札幌市内の道立高校が五月中旬に行った内科検診で、女子生徒約百二十人が
「(大学病院から検診の応援に来た三十代の)男性医師に乳房をつかまれた」
などと訴えたため、検診を中断していたことが二十九日、分かった。
学校側は「丁寧に診たことで誤解された」としているが、一連の混乱で学校保健法が
健康診断の期限とする六月三十日までに、検診を終えられない事態となった。
同校や道教委によると、内科検診は二日間の日程で初日は一年生全員と三年生の半数の計四百五十人が対象。
大学病院からの応援医師(協力医)三人と学校医の計四人が診察。
協力医のうち男性一人、女性一人が女子生徒を担当した。
検診後、女子生徒から養護教諭や担任に「(男性の協力医に)右手で聴診器を当てている時に
左手で胸をつかまれた」「ブラジャーを外された」などと苦情が続出。
このため、学校は二日目の検診を延期した上で、この男性医師が診た女子生徒にアンケートを実施。
一年生百二十人のうち九十人と三年生の三十四人全員が不快な思いをしたと答えた。
同日、学校から相談を受けた学校医が、大学病院の医局を通じて男性医師から事情を聴取。
その結果
《1》乳房の下部に位置する心尖(しんせん)部の心音を聴くため、ブラジャーを外したり乳房を持ち上げたりした
《2》短時間で行うため、聴診しながら同時に胸郭のゆがみを調べる触診もした−と判断。
これらは正当な医療行為で、他の医師より丁寧に診察したことが誤解を招いたと結論付けた。
検診では胸郭の異常を調べることなどが定められており、また、この医師は他校の検診で問題になったことはないという。
検診の二日後、臨時全校集会で校長が「校内において不安で不愉快な思いをさせ申し訳ない」
と謝罪した上で、「(医師は)大学病院勤務で学校検診は不慣れだった」などと説明した。
さらに、女子生徒の保護者に家庭訪問などで説明したほか、
ショックを受けた女子生徒には専門家によるカウンセリングも行った。
学校は二十七日に検診を再開したが、学校行事の関係で二年生三百十二人の検診が七月中旬にずれ込むこととなった。
同校の教頭は、六月末の期限に間に合わなかったことは「申し訳ない」とした上で、
「今後は女子生徒の感情に配慮するよう学校医から協力医に事前に話してもらう」と話している。
また、学校医が「学校のアンケートが混乱を大きくした。
正当な医療行為だと生徒や保護者に説明することが先だった」と学校の対応を批判。
六月十五日に辞表を提出している。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/35229.html