「無責任な行動を反省し、“罪”を償ってほしい」。
ふじみ野市営の流水プールで小学二年女児が死亡した事故で八日、同市職員二人を起訴、
プール管理の請け負い業者と下請け業者などが起訴猶予処分となった。
この処分を受け、亡くなった戸丸瑛梨香さん=当時(7つ)=の父勝博さん(46)
と母裕子さん(39)がコメントを発表し、胸の内を明かした。
この日、さいたま地検から説明を受けた両親は、プールの管理業務を請け負っていた業者が
起訴猶予となったことに対して「予想しなかった処分に戸惑っています」と驚きを隠せなかった。
さいたま地検は市職員が安全管理上の注意義務を怠っていたことを事故の主な原因とした。
ただし、両親はずさんな安全管理の連鎖が招いたプール事故において、
「対策を取らずに傍観して事故を招いた現場責任者こそ責任が重い」との認識があっただけに、
「いまだ頭の中が整理できない」と不満そうだ。
両親は市や業者の関係者に向けて「無責任な行動を反省し、罪として償ってほしい」とし、
「ふじみ野市は事故の原因を明らかにし、確固たる防止策を講じていただきたい」と要望した。
両親と市は既に示談が成立している。
職員二人が起訴処分となったふじみ野市は会見を行わず、島田行雄市長が「大変重大なことと受け止めている。
あらためてご遺族の方におわびを申し上げます」とのコメントを発表しただけにとどまった。
市内二カ所の市営プールは閉鎖が続いている。市民からプール再開を望む声が多く、
市は代替措置として市民に県営プールの利用補助券を配布することを発表。
プール事故を踏まえ「市危機管理基本マニュアル」を作成し、再発防止への姿勢を見せている。
市の過失を重く判断
さいたま地検は業務上過失致死の容疑で書類送検された市職員、業者計六人のうち、
高見輝雄市元課長ら二人を起訴し、業者ら四人を起訴猶予処分にした。
処分が分かれた理由を地検は「市の過失が核心部分で、業者のは付属的なもの」と判断したことを挙げた。
ふじみ野市は、厚労省が二〇〇一年に出した通知や県の指導要綱を順守していなかった。
県内のほかの公営プールの点検状況を地検が調べたところ、厚労省の通知が軒並み順守され、
職員が業者と防護柵を点検していたという。
そのため、地検は「ふじみ野市がほかの自治体のように点検していれば、危険性の認識は可能だった」と判断した。
業者らの起訴猶予については「責任はあるが、当初から安全管理が十分でなかったプール
を委託されたにすぎない」と、責任はあるものの起訴には至らないとした。
業者は防護柵を針金で留めていたが、地検は「現場責任者は市への報告を怠っていたが、
防護柵を直す義務はなかった」と、点検を怠った市の責任がより重い、とした。
http://www.saitama-np.co.jp/news06/09/17x.html .