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異邦人さん:
俺が田舎から大阪に出てきて、最初に入った会社が超ブラックだった。
平たく言うとデート商法ってやつで、地方の喪男・喪女達に色仕掛けをふまえながら安物を高値で売りつけるというもの。
うちの会社は主にダイヤとパールのリング、ネックレスなど。
・○○県で業者向けイベントやるんです
・その下調べでアンケート取ってるんですけど
・ところで君可愛いね(ここまで露骨ではないが口説いていく)
・うちは卸業者だから小売店を通さず直接買えば安くなる
とまあこんな風が吹けば桶屋が吹き飛ぶくらいの屁理屈で、実際には5万以下の商品を60〜100万くらいで売ってた。
最初はそんな悪徳商法だとは気づかず、まさか求人誌にも「詐欺師募集」などと書いているはずもないので、
フツーに宝石類を売ってるんだと思った。だが上記の通りヘンテコなマニュアルを覚えさせられ、日々テレアポ。
そんな会社で働いていると、とんでもないモンスターが入社してきた。彼は俺の隣の席になった。それが不幸の始まりだった。
そのモンスターというのが身長180センチ、体重推定100キロ以上の元ボクサーで、
渡された名刺には金色の菊の門と何やら大仰な名前の団体……つまり、右翼893だった。
今でこそネットなどで右翼=在日みたいに書かれてるけど、当時はそんなことを知るはずもなく、
「野球の外野?」などと暢気なことを言っていたが、これだけ要素が揃っても距離を置かなかった俺にも問題があるかも知れない。
やたらと声がでかい。トンデモマニュアルもあっという間に覚え、隣で大音声でまくしたてるので、受話器の声が聞こえないくらい。
ご想像の通り、ジャイアニズム精神旺盛な奴で、俺は恰好のカモに見えたのだろう、いつの間にか「友達」ということになっていた。
毎日のように居酒屋や寿司屋やラーメン屋などに連れて行ってもらい、金は殆ど彼が出してくれた。
ああ、太っ腹だな、根はいい奴なのかも知れない……。
世間知らずだった俺は彼の手口にコロッと騙されていた。
こういう輩を友達と認識することはかなり危険だ。
あくまでモンスターとして接しなければ、たちまち食われてしまう。