●オオカミ放ちシカ駆除、食害困り豊後大野市が検討
畑の作物や植林の樹皮を食い荒らすシカやイノシシ駆除の切り札として、
海外から輸入したオオカミを野に放つ計画が、大分県豊後大野市で浮上している。
国内での実例はないが、米国の世界自然遺産・イエローストーン国立公園で実績が
あるという。食害に頭を悩ます市は来年度、手始めにシカの生息数などの調査に
乗り出す方針だが、専門家の間では、生態系の崩壊に加え、人や家畜が襲われる
危険への懸念が強く、論議を呼んでいる。
大分、宮崎県境の祖母・傾山系のふもとに広がり、農林業が盛んな豊後大野市では、
シカやイノシシの食害が後を絶たず、サツマイモ、シイタケ、特産のカボス、植林の
ヒノキやスギを中心に、2009年度の被害額だけで約2300万円に上る。
市では地元の猟友会に依頼し、今年、シカ約330頭、イノシシ約500頭を駆除したが、
繁殖による増加に追い付かず、食害は一向に減らない。
今回浮上したオオカミの投入計画は、獣医師や大学教授らで作る「日本オオカミ協会」
(東京、240人)が提案しており、橋本祐輔市長らが今年に入り、「対策の切り札になら
ないか」と検討を始めた。国内に実例はないが、協会には四国の自治体などから問い
合わせが入っているという。(続く)
(2010年12月29日 読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/world/20101229-OYS1T00337.htm http://kyushu.yomiuri.co.jp/photo/20101229-495609-1-L.jpg