富士山(標高3,776m)は、夏の暑さと冬の寒さを併せ持ち、強い風が常に吹き続ける厳しい自然環境の山です。
観光地化しているといっても、日本一高い山に登るのだということを忘れないでください。
一般に、高度が100m上がるごとに気温は0.6℃下がり、風速1m/sごとに体感温度は1℃下がります。
特にご来光を迎える夜明け前が最も寒い時間帯で、平地が25℃以上の熱帯夜であっても、富士山山頂では
気温は氷点下、風速は10m/s以上(体感温度マイナス10℃以下)なんてこともざらです。
また、「寒いのはがまんすればよい」というものでもありません。
冷えた体を温めるために、人体は多くのエネルギーを消耗します。
つまり、寒いとそれだけ疲労するのも早く、最悪の場合は真夏でも疲労凍死する危険があります。
開山期間の7月〜8月及び、積雪前の9月以外は風雪に閉ざされ、仮になんとか登ることが出来たとしても
降るときにちょっとバランスを崩せば、つるつるに凍った斜面を滑り落ち、岩に激突するまで止まりません。
(初冠雪は例年10月初旬ですが、9月中に積雪することもあるのでご注意ください)
このスレでは、まともなアドバイスをくれる人だけではなく、「安いから」というだけの理由で、100円のペラペラ
雨合羽を薦める人、「山の天気は変わりやすい」という常識も知らずに、「天気予報が晴れのときに登れば
装備は簡単でいい」などという、初心者以下の知識の人もいるので、惑わされないようにしましょう。
また、「自分はこれで大丈夫だった」「他の人もこうしてる」という経験談も、天候、体調、個人差など状況が
異なれば単純には参考にできません。すべて鵜呑みにせずに自分なりに判断しましょう。
>>2-以降のテンプレを参考に、「余力を残して登頂、余裕を持って下山」を心がけ、楽しい登山を。
▲注意:このスレは、人のレスを意味なくコピペして荒らすバカがいます。相手しても無駄なので無視しましょう。
・登山キャンプアップローダー:写真を投稿できる画像掲示板
http://8424.teacup.com/tozankyanpu/bbs 前スレ
●初心者のための富士山登山入門第57●
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/out/1280843230/
■テンプレ/装備編
◎必須○オススメ△状況しだい×余計な荷物
◎ザック・・・ザックは装備の量に合わせて容量を選びます。ザックを決めてから装備を揃えるのではありません。
富士山の気象では、夏であっても、一般的に冬の日帰りに最適と言われる30gぐらいがお薦めですが、
防寒着が嵩張るようなら40gぐらいまでが有効です。荷物の詰め方は、下に軽くて嵩張るもの、肩の下
辺りに重いもの、上によく出し入れする物、救急箱など急に必要になるものは、雨蓋やサイドポケットに
入れます。重い物は真ん中に寄せ、左右均等に振り分けます。行動中はザックが揺れると疲れを誘うので、
肩ベルト、コンプレッションベルトを絞り、腰で背負う感じを意識しましょう。
○スタッフバッグ・・・小物をまとめ、パッキングがしやすくなります。機械物、着替えなどには防水の袋が便利です。
△ザックカバー・・・雨のときにザックに被せて、濡れるのを防ぎます。防水のスタッフバッグを使えば無くても可。
ザックに最初から付属している製品もあります。ザックの下部を確認してみましょう。
◎トレッキングシューズ・・・捻挫防止と、砂や小石が入り難いようにミドルカットが最適。重登山靴は必要ないですが、
スニーカーでは最悪靴底が剥がれてきます。靴下は厚いものを購入時にも履いていって合わせましょう。
靴の慣らしは必須ですが、もし合わないときはインソールか、靴下を2枚重ねで対策可能。
◎雨具・・・天気予報が晴れでも、夏山では急な雨があります。山では地形の影響で、強い風によって雨が下から吹き
上げるので、最低限、上下セパレートで、フード、裾、袖が絞れるものでないと役に立たちません。
また、裾から風が強く吹き込むことで煽られ、とても危険です。ポンチョ、100円雨合羽はNG。傘は不可。
◎ヘッドランプ・・・昼間だけの行動で予定していても、不意の怪我などで下山が遅れることもあるので必須装備です。
懐中電灯は両手が使えず、落として壊すリスクもあるのでNG。予備の電池も忘れずに。
◎サングラス・・・空気が薄い高所では、紫外線も強くなります。紫外線カットされていない安物は、開いた瞳孔を
紫外線が直撃して逆効果です。レンズに歪みがある安物では、頭痛や吐き気を感じる人もいます。
目の横まで覆う、大き目のものがよりいいです。ユニクロのものが値段の割りにいいそうです。
コンタクトは、UVカットであっても白目までカバーせず、風で砂が目に入ることもあり、それ単独ではNG。
透明で素通しの眼鏡でも十分にUVカット効果がありますが、風が強いと舞い上がった砂が吹きつけるため、
プラスチックのレンズは傷だらけになることも。オーバーサングラスなどを使用すると良いでしょう。
曇りでも、最大で晴天時の80%ほどの紫外線があるので、油断せず掛けましょう。
◎日焼け止め・・・効果の強いものは皮膚に優しくないので注意。汗で落ちたら塗り直しを。首の後ろ、耳などに注意。
◎帽子・・・日焼け防止と、サングラスの上から入る紫外線も防ぎます。ツバが大きく、裏が黒いものが良いです。
強い風に飛ばされない対策の、帽子につけるクリップ付きの紐が100円ショップなどで売られています。
◎防寒着・・・夏でも山頂は0℃を下回ることもあり、風も強いです。嵩張らず、脱ぎ着しやすいものを。風が強いときは
雨具をウィンドブレーカー代わりに使います。夜に登らなくても、最低限フリースぐらいは持ちましょう。
◎手袋・・・軍手でもいいですが雨に降られたときを考え、防水の手袋だとなお安心です(コンビニ袋を被せる裏技もあり)。
足を滑らせて、とっさに手をつくこともあるので、寒くなくても下りではつけて下りましょう。
◎飲料水・・・水と、(塩分を含む)スポーツドリンクなどを、500mlペットボトルに小分けして持つと便利です。
1.5〜2.5gが目安ですが、行程と時間、昼か夜か、天候や個人差を考え、適宜判断して下さい。
値段は高いですが山小屋で買う前提なら荷物を減らせます。下山時に200ml残すぐらいの余裕が適当です。
▲重要:転んでの擦り傷や、目に砂埃が入ったときに洗うのに必要になるので、真水を必ず持ちましょう。
◎服装・・・化繊100%のTシャツに、長袖のカッターシャツを脱ぎ着して調節しましょう。ズボンは伸縮性のあるものが良い。
ジーンズは足を動かし難く、濡れると重く、肌に貼り付くのでNG。半ズボンは風に吹かれると寒いです。
◎下着・・・綿の下着は濡れると乾きにくく、風に吹かれると寒いです。化繊100%のものが必須。
◎その他・・・行動中に糖分や塩分が補給できる飴、梅干、カロリーの高いキャラメルなどを摂りましょう。
タオル2本ほど(日本手ぬぐいが薄くて便利)。ごみ袋(ごみは必ず持ち帰りましょう)。保険証のコピー。
トイレットペーパー(ティッシュペーパーは自然分解されない(非水溶性)ので使ってはいけません)。
◎登山地図・・・下山時に道を間違う人が多いです。最寄の山小屋、診療所・救護所、トイレを探すときにも必要です。
◎医療セット・・・バンドエイド(靴擦れ対策にも)、消毒液、包帯もしくは三角巾(長めのタオルで代用可)。
○ストック、金剛杖・・・上り下りに腕の力を活かせるので、足(特に膝)の負担軽減に効果があります。
○その他・・・ウェットティッシュ、替え下着。
△レジャーシート・・・あると便利ですが、強い風で飛ばされやすいので使用時は要注意。
△水筒・・・保温保冷水筒は便利ですが、重くなるのであえて使わないのも手です。
△スパッツ・・・須走口、御殿場口下山道の砂走りを下りるときに有用です。ローカットの靴の場合、砂や小石が入るので、
それを防ぐためのものです。ハイカットの靴なら、ズボンの裾を上から被せることで軽減できます。
△その他・・・ガムテープ(靴などの補修に使える)。砂埃がすごいのでマスクが有効という意見も。
×酸素缶・・・吸い続けている間の、一時的な効果しかありません。
×頭痛薬・・・高山病による頭痛も和らげますが、症状を隠すので却って危険という意見もあります。
●余計な荷物は体力を消耗するだけなので、出来るだけ持たないようにしましょう。
但し、本来持たなければいけない装備も、重いとか、ザックに入らないからといって持たずに登るのは本末転倒です。
きちんと装備を揃え、その装備を背負えるだけの体力をつけてから登りましょう。
■テンプレ:気象に関して
Q,富士山は山小屋が多いから、雨が降り出してから山小屋に避難すれば大丈夫?
A,いいえ、積乱雲は発生から雨が降って消滅するまで、わずか数十分です。つまり、よほど山小屋の近くにいない限り、雨が降りだしたり、
降りそうになってから山小屋に逃げ込むのは、夏の登山道の混雑、渋滞状況を考えても非常に困難です。
富士山山頂では8月の風速が平均7m/s以上ですが、瞬間最大風速は当然さらに強く、積乱雲による雨では、台風並みの激しい突風や雷、雹が
伴うことも珍しくありません。
100円の雨合羽は、前身ごろの合わせ目がジッパーではなくボタンのため、雨量が多いと隙間から雨が進入し、フード、裾、袖を締める
ドローコードもないために、強い風による横殴りの雨や、下から風とともに吹き上げてくる高山特有の雨に対しては全くの無力です。
それどころか合羽が風をはらみ、煽られることによって転倒、滑落の危険性が高まります。
Q,降水確率が低いときは大した雨は降らない?
A,いいえ、降水確率予報は、6時間の間に1mm以上の雨が降る確率を表しており、降水確率の値の大小は雨の強さや量を表すものではありません。
つまり、降水確率がたとえ10%であっても、100円の雨合羽では対処できない、大量で強い雨が降る可能性があります。
Q,天気予報が晴れになっていれば、特に問題はない?
A,いいえ、予報が晴れでも雷雨の恐れがあります。
富士山に限らず身を隠す場所の無い高山では、落雷は命取りになるので、【天気概況】(文章の形式で簡潔に示したもの)を参考に
「大気の状態が不安定」「急変する恐れ」「雷を伴い」というような予報が出ている場合は、 登山を延期、中止する決断も必要です。
万が一登山中に雷雨に出くわしたら山小屋に避難する必要がありますが、夏場の混雑した山小屋では入れない可能性もあります。
結論としては、天気予報が晴れだとか、降水確率が低くても、ポンチョや100円雨合羽などの 「山では使い物にならない雨具」は避け、
ちゃんとしたドローコード(裾を引き絞る紐)付きの、上下に分かれた雨具を準備しましょう。
また、台風、雷など天候の悪化が予想されるときを避けるのは当然ですが、台風一過の晴天でも風が強く吹くことがあり、注意が必要です。
■テンプレ:登山中の注意点
道中は長いです。登り始めは特に、靴一足分だけ前に出すぐらいの歩幅で、ゆっくり登りましょう。
速いペースで休み休み登るより、ゆっくりでも休まずに登るのがバテないコツです。
また、休憩は1時間に5分ほどを、立ったままで取るのが良いとされています。
水分は、少量を定期的に摂るのが最適です。
のどが渇くからといって、大量、頻繁に摂り過ぎないようにしましょう。
保温保冷水筒は荷物が重くなるので出来るだけ避けるのがいいですが、ご来光待ちの方は500ml程度の温かい飲み物を用意するといいでしょう。
親子など多人数で登られる方は、途中ではぐれてしまう方もいるようです。
登山においては、パーティーをバラバラにしないのが鉄則です。
最低限2人以上での行動を維持しなければ、高山病など体調不良になった場合に、対処が遅れてしまいます。
▲重要:登山中は最も遅い人のペースに合わせ、登るのが早いからといって、子供などに単独行動はさせないようにリーダーが統率しましょう。
また、経験の浅い者を隊列の真ん中に挟み、より経験のある者が最前列と最後列を固めましょう。
登山前の準備として、以下のことを実践しましょう。
1、リーダーだけでなく、各人にひとつずつ地図のコピーを持たせる。
2、どのルート(登山口)を使うかをお互いに確認し、覚えておく。
(ルート標識は色分けされています。【富士宮口/青色】【御殿場口/緑色】【須走口/赤色】【吉田口/黄色】)
3、どの程度の時間が掛かるかをある程度想定して、計画を立てておく。
4、はぐれたばあいに落ち合う場所を、行程ごとに複数設定しておく。
5、特に、下山時に通過する分岐点について予習しておく。
万が一体調不良、怪我人が出た場合、全員で下山するのが大原則です。
どうしても続行する場合でも、病人などをひとりで下山させるのは避け、必ず付き添いを付けるようにしましょう。
また、体調不良の場合は高山病も疑われるので、山小屋などで待たせるよりも下山させた方が良い場合が多いです。
トイレは有料なので、100円玉を多く用意しておきましょう。
列に並んで待つことが多いと思います。限界まで粘らずに、早め早めに済ませましょう。
■テンプレ:高山病の予防と対策
高山病は体質に起因するといわれ、年齢や性別もあまり関係ないようです。
自己の体力を過信せず、登り始めはゆっくりと時間を掛け、身体を慣らしながら登りましょう。
ゆっくりと深く呼吸して、特に吸う事よりも吐く事を意識してください。
また、有圧呼吸法が特に有効とされています。
大きく息を吸い込み、2秒ほど呼吸を止めるとともに、胸に圧力をかけるように力を入れた後、ゆっくり口から吸い込んだ空気を出す。
これを5〜6回繰り返すと、血中の酸素濃度が上がり、楽になります。
水分を定期的に摂ることも大切です。
行程の時間から逆算して必要量を算出し、計画的に摂取するのが良いです。
下記HPによると、1時間あたり、体重kg×5mlを4回ぐらいに分けて飲むのが良いそうです。(間隔や量は自分なりに調整してください)
・Yutaka Miura's home page:私の高山病の治療方針
ttp://www.med.nagoya-cu.ac.jp/igakf.dir/chyo_AMS.html 山小屋に泊まると、高山病になりやすいとの報告が多く寄せられています。
睡眠中は呼吸が浅くなるため、充分な酸素が取り込めないからと言われています。
山小屋に泊まる場合でも、なるべく低い高度で泊まる方が良く、着いてからすぐ横にならず、30分ほど身体を動かして高度に慣らしましょう。
また、催眠成分が入っている頭痛薬も、呼吸が浅くなるため高山病を誘発しやすいです。
特に遠方から来られる方は、初日は麓の宿か5合目で宿泊し、翌日一気に登った方が体力的に楽な場合があります。
▲重要:もし高山病になったら(重篤な場合は、診療所・救護所へ助けを求めましょう)
もちろん、下山するのが一番の解決策です。
また、無理に動かしたり、引っ張ったりしてはいけません。
初期症状としては、まずは頭痛、息切れ、むくみ、不眠症、食欲不振、吐き気など。
さらに、激しい頭痛、嘔吐、空咳、脱力感、意識障害(トンチンカンなことを言う、問いかけに反応しないなど)になると、とても危険な状態です。
登山を諦めて、付き添いの人と共にすぐに下山してください。
高山病は、肺水腫、脳水腫などを引き起こし、最悪の場合、死に至るということを忘れないでください。