322 :
底名無し沼さん:03/07/13 19:41
と言い残し、山崎渉はアクアコンガに攀ると言ったまま消息を
絶ってしまい、このままこのスレが沈んでしまうのに耐え切れな
くなった俺はこの3年封印したままだった山道具を入れたダンボ
ール箱を実家の物置の奥から引きずり出したのだった。
323 :
底名無し沼さん:03/07/13 19:44
>>314 「12級のヤブは登れませんが、何か?」とアルパインクライマーは言った。
そのアルパインクライマーの正体は山崎渉だった。
324 :
底名無し沼さん:03/07/13 20:46
日本の山は百名山ピークハンターの中高年に溢れ、
若きクライマーはすべて安近短のジムやボルダーに流れていく。
そんな閉塞感を打ち破るべく、
>>322が自らに設定した課題、
それは・・・
↓
325 :
底名無し沼さん:03/07/13 20:47
勇気をもって昼間外出すること。
326 :
底名無し沼さん:03/07/13 21:04
↑
おい、>>322よ、おまいこんなこと言われてるぞ。
なんとか言え
327 :
底名無し沼さん:03/07/13 21:33
「それなら厳冬期100名山に挑戦しる!」
と、
>>322は叫んだ。
厳冬期100名山・・・・筑波山ならいざ知らず、
利尻や剣岳では死を賭した挑戦となる課題であった。
328 :
底名無し沼さん:03/07/13 21:45
まあしかし、とりあえずは大菩薩あたりから行こうかと
>>322は思った。
なんせ三年ぶりだから。
こんなわけで身長169センチにして89キロにまで太ってしまっていた
322はある冬の日、大菩薩嶺へハイキングに出かけたのでした。
八王子からの鈍行列車に乗り替えた322(以後、田中金一(仮名)32歳独
身とする)はいつのまにかその列車の音の中に、バルン、バルンという、
へリの轟音思い出していた。
「おい、しっかりしろ、しっかりするんだ!」という、救助隊委員の声を
おぼろに聞いた時、ああこれで助かったというより、ともかくもう安心し
て眠ってしまってもいいんだということしか自分は考えていなかったよう
な気がする。
田中がこの三年、山道具を仕舞いこみ、山に関わることには一切目を背け
てきたのには訳があった。あれはやはり厳冬期の
331 :
底名無し沼さん:03/07/14 13:41
北アルプス奥穂高であった。
田中金一(仮名)は無謀にも、穂高屏風から滝谷への厳冬期
継続登攀を試みていたのだが、悪天につかまったのはその奥
穂高岳だったのだ。
列車はいつしか塩山駅に到着した。
334 :
底名無し沼さん:03/07/15 07:34
バスを乗り間違えた田中金一(仮名)は大菩薩ではなく、
甲武士岳の入山口、西沢渓谷についてしまった。
「ま、いいかここも百名山だし」
田中はそうつぶやくと登り始めた。
登り始めてほどなく金一は前方から漏れ聞こえてくるざわめきに
一瞬歩みを止めた。
「誰かこの先にいるな。しかも大人数だな」
金一はさらに歩みを進めた。ざわめきと思えた人の気配に
どんどん近付き、やがてそれはざわめきから嬌声へと変わった。
ふと上げた金一の目に飛び込んできたものは、
団体と呼ぶにはあまりにも多い、年寄りの行列であった。
336 :
底名無し沼さん:03/07/15 22:51
たしかに金一がやみくもに山を登っていた3年前よりも
かなり以前から山には中高年世代が目立っていた。
しかし、無雪期ならいざ知らず、この1月半ばの厳
冬期に甲武信ヶ岳へ向かうこのルートを埋め尽くして
いる人々の数は異様としか言いようがなかった。
どうりで、カチカチのアイスバーンが続いていたはずである。
やっぱり12本爪のアイゼンを持って来てよかったと金一は思った。
金一が近づいていくと一番後ろを歩いていた60代とおぼしきオジサン
が気づいて前方に声をかけた。
「若い人が来ましたよ。みなさん、道を開けてあげてください」
「お兄さん、どうぞお先に」
「いえ、あの・・・」
「さ、さ、どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
「こんにちは」「こんにちわ」「こんにちわ」「こんにちわ」・・・
・・・一体全体、何人いるんだろう?・・・
次々と掛けられる「こんにちわ」の挨拶に、返事をするのにいい
加減くたびれながら、金一は必死でジジババの列に沿って登ってい
くハメになってしまった。
「特急列車の通過でええす!」
「ああ、そんなふうに言うらしいな」
金一は酸欠気味の脳みその片隅で、2ちゃんねるとやらで
見知っていたことを思い出していた。
まだやってたのかココ
幻なのかもしれない。
金一の酸欠頭には、しかし確かに小屋が見えたのだった。
「兄ちゃん、ラッセルご苦労さん」
ふと気づくと金一はさっきからジジババの先頭に立って戸渡
尾根から木賊山までをずっとラッセルし続けてきたのであった。
「団体様お着きで〜す」
「え・・・」
前方から聞こえた女の声に顔を上げて金一は絶句した。
そこに建っていたのは十数年前に彼も泊まったあの簡素な甲武
信小屋ではなく、まるで石和温泉にあるような鉄筋コンクリート
建ての大きな温泉旅館風の建物だった。
玄関には「歓迎 ○○市老人会山岳部御一行様」という歓迎札
まで架かっていた。
「あ〜、着いた着いた」
老人たちは口々にそう言ってザックを下ろし、さっそく浴衣に着替えて
風呂に入りに行ったかと思えば、いつの間にか派手なタキシードやドレ
スに着替えてホールで社交ダンスを始める者さえいた。
金一がただただボーゼンとして佇んでいると、一人の老人がビールを
片手に近づいてきた。「まあ、お兄さん、一杯おやんなさい」見れば
登山道で最初に彼に声をかけてきたあのオジサンであった。
“水川きよし”の歌謡ショーが行なわれていた大広間の片隅で金一は
オジサンにビールをついでもらった。
「あの、実は俺はここしばらく山を辞めていたんですが・・・・
いつからこんなふうになったんですか?」
と金一はオジサンに尋ねた。
342 :
底名無し沼さん:03/07/16 16:28
「一昨年からだよ」とおじさんは答えた。
「お国の政策でそうなったんだよ。君だって高齢者の
医療費や介護費がどんどん高額になっていっていたの
は知っているだろう?そこで国は我々中高年の山好き
に目をつけて登山関係の施設に資金をつぎ込むことに
したんだ。中高年のうちから山歩きで鍛えてもらって
将来、医療費や介護費をあまり使わないですむように
というわけさ。この小屋だって補助金を使って建て直
したということだよ」
「はあ、ちっとも知りませんでした」
金一は自分無知を恥じる一方、しかし本当にそんな
ことがありうるのだろうかと、一抹の疑問を感じた。
水川きよしショーはいつの間にかリオのカーニバルみ
たいなショーに変わっていた。ラメ入の超セクシーなビ
キニからこぼれそうな小麦色の乳房を揺らしながら
キンキラの羽飾りをつけた踊り子が客席へ降りると
情熱的な黒い瞳でじっと見据えながら金一の方へまっ
すぐに歩いてきた。
欲望に正直になって手を伸ばした金一だったが、
彼の手に触れたのはダンサーの乳房ではなく、
雪洞の冷たい雪の天井だった。
「ここはどこだ?」
思い出したのは、奥穂のピーク直下に掘った雪洞の中
で、すでに停滞3日目という現実だった。
いったいどちらが夢で、どちらが現実なのか・・・
「もうやってないんだな、ここ」
つい15分前に呟いたことと、今度は全く逆の事を呟くのだった。
「わーっ!」
精神的に追い詰められた金一はそう叫んで外に飛び出
そうとし、雪洞の入り口でこけた。その瞬間、雪洞の天
井がザザーッと崩れてきて、思わず屈みこんだ金一は・・・
金一は雪の中に突き出た岩の上で屈みこんでいたのだった。
おれは一体・・・・
ここはあの悪夢のような穂高の雪洞ではないことは確かだ。
そのことだけはホッとしたがではここは・・・
あたりにはあの踊り子はもちろん、広間も老人たちの姿も
何も無かった。ただ灰色の空からちらほらと小雪が舞い始
めていた。
どうやらなまりになまった体のままの戸渡り尾根の登りは
あまりにきつく、途中でつい一休みしてそのまま眠り込ん
でしまったようだ。
しかしリアルで変な夢だった。そう言えばあのオジサンの
目はかなりの「キツネ目」だったな。まさかキツネが化か
していたんではあるまいな?
しかしのんびりしている間は無かった。すでに時刻は午後
3時を過ぎていて、この分ではとても今日中に甲武信小屋
までは辿り着けそうもなかった。
一応、積雪の山に登るのだからとそれなりの装備はしてき
たつもりだが、そもそもは福ちゃん荘にでも泊まって大菩
薩嶺を往復してこようなんて安易な計画しか立てていなか
った金一である。
金一はバスを乗り間違えさせた334を恨んだ。
しかしいつまでも書き手を恨んでいても仕方ないので、とり
あえずザックの中身を点検することにした。えーと、持って
きたのは・・・
清酒八海山の一升瓶1本。
エイリアン1セット。
ライフジャケット1着。
ハクサイまるごと1個。
ホワイトガソリン1斗缶で1缶・・・
「わーっ漏れはいったい何を!!??」
錯乱した金一はわれに返った。
夢とは残酷なものである。
燃料はあと0.3Lのガソリン、
まともな食料はジフィーズ一袋しかもう残っていないというのに。
ぎりぎりに食い延ばしてあとどれほど持つか・・・
最新の気象通報でとった天気図は、がっちりと冬型の気圧配置がきまっていた。
下山予定日を過ぎて、下界では仲間や警察が動き出しているだろうが、
この悪天ではヘリが飛ぶのは無理だ。
せめて自力下山だけは・・・金一はそう思うのだった。
ふたたび彼はまどろみのなかに入っていった。
気がつくとやっぱり金一は戸渡尾根にいた。
自分が持ってきた変な装備にがっかりしてヤケになって雪の
中に座り込み八海山を飲んでしまっていたのである。
いっそこのまま死んじゃおうかな・・・
そんな考えすら頭に浮かんでいた。
そもそもこんな装備でこの時期の甲武信ヶ岳を目指したなんて
知れたら笑いものだ。(
>>334と
>>347の野郎!と金一は思った)
そうだ、いっそ覚悟の自殺ということにしてしまおう。
実は金一は失業中で再就職先が見つからないまま先月、失業
保険も切れてしまっていたのである。恋人がいるわけでもないし
・・・このまま生きていたって、何の希望があるだろう?
「あれ以来、山へなんか行ってた様子はなかったんですがね。
やっぱりあいつは山が好きだったから、最後は好きな山で死に
たかったんでしょう」と世間は言ってくれるだろう。そうだ、
それで行こう。
金一がそう決めて遺書を書こうと手帳を取り出した時
「お若いの、お待ちなさい」と誰かの声がした。
「誰ですか?」「天の声とでも言っておきましょう。この際読者
アンケートを採りなさい」「はあ?」「アンケートをやって一番
良いと思う方法を採用すればいいのです」
その声はなんだかあのキツネ目のオジサンに似ているような気も
したがこの際、そんなことにこだわってもいられないのであった。
はじめまして。金一です。
さて、それではみなさんに質問です。
あなたがいるのは厳冬期の奥秩父戸渡尾根、すでに午後4時を
回って、雪がちらついています。今夜はどうしてもここでビバー
クせねばならないのですが、装備は
>>347が示したものしかあり
ません。あなたなら、どうやってサバイバルしますか?
350 :
底名無し沼さん:03/07/19 07:23
何も反応がないからageてみよう。
と、田中は思った。
誰か金一を助けてやってくらはい。
352 :
底名無し沼さん:03/07/20 15:15
,一-、
/ ̄ l | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■■-っ < いったんCMでーす
´∀`/ \__________
__/|Y/\.
Ё|__ | / |
| У.. |
「二人で登ろう」
354 :
底名無し沼さん:03/10/09 19:52
☆★☆★★☆ラッキーレス☆★★☆★☆
⊂⊃ .☆.。.:*・゜
(\ ∧_∧ /
(ヾ ( ´∀`)/ このレスに出会ったあなたは超ラッキー。
''//( つ ● つ
(/(/___|″ 近々幸運が舞い込んでくることでしょう。
し′し′
☆★☆★★☆ラッキーレス☆★★☆★☆
355 :
底名無し沼さん:03/11/06 20:20
age
356 :
底名無し沼さん:03/11/06 21:43
まだCM中-------
登山ヲタってなんかヘンだよな?
ヲタってこもってる香具師のこと?
登山マニアのほうがしっくりくるか?
ププ
--------
357 :
底名無し沼さん:03/11/07 18:25
age
358 :
底名無し沼さん:03/11/11 00:41
>>356 でも、ヲタと言いたくなるような香具師もいるんでは?
山へは行くけど、街では引きこもってる。
かく言う俺もそうです。(仕事は一応してます)
そう、人が密集してる繁華街や電車はダメ。
360 :
底名無し沼さん:03/12/04 13:09
ツヅキマダー?
361 :
底名無し馬鹿さん:03/12/04 23:08
わしも待ってるよん。
自分の力で良くなるんだ、ET!もとい金一。
362 :
底名無し沼さん:03/12/06 10:01
363 :
底名無し沼さん:03/12/10 22:21
金一はどうなった?
364 :
底名無し沼さん:03/12/10 22:28
オートキャンプ中心のキャンプヲタよりましかも。
365 :
底名無し沼さん:03/12/12 10:19
八王子からの鈍行列車に乗り替えた322(以後、田中金一(仮名)32歳独
身とする)はいつのまにかその列車の音の中に、バルン、バルンという、
へリの轟音思い出していた。
「おい、しっかりしろ、しっかりするんだ!」という、救助隊委員の声を
おぼろに聞いた時、ああこれで助かったというより、ともかくもう安心し
て眠ってしまってもいいんだということしか自分は考えていなかったよう
な気がする。
おー、金一。
ヘリに乗れたんか。
今が夢か現つかわからんけど、ひとまず良かった良かった。
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370 :
◆XVUp.wHBSo :04/05/27 15:39
age
371 :
底名無し沼さん:
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