000001☆TRON2chニュース+板ログ転載スレ@N速N+東+等+群 ●nT-Engine,pT-Engineを利用した住宅を展示
T-Engineフォーラムは,有線/無線のセンサ・ネットワークを利用したモデル住宅「TRON電脳住宅」を展示した.人間は情報端末
「ユビキタス・コミュニケータ」を持ち歩くことにより,部屋のどの位置にいるかを住宅内のサーバに伝える.サーバはその位置に応じて,
電灯の点灯/消灯,ブラインドの開閉,エアコンやテレビのON/OFFなどを実行する.各機器には有線で接続された通信ボード
「nT-Engine」が付属している.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p3.jpg [写真3] 電脳住宅のデモンストレーション
住宅内に設置されたnT-Engineは赤外線を発しており,それをユビキタス・コミュニケータが受信すると,受信したことを無線LAN
(IEEE802.11b)経由でサーバに伝える.サーバはその位置に応じてnT-Engineに適切な制御を行うように指示する.
例えば,ソファに座ると正面のテレビが点き,エアコンが作動する.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p4.jpg [写真4] さまざまな形状のnT-Engine
T-EngineやμT-Engineはおもに開発や評価のためのボードという意味で,「開発プラットホーム」と呼ばれている.これに対して,nT-EngineとpT-Engineはそのまま実際の製品に組み込んで利用することから,「実行プラットホーム」と呼ばれている.
今回のデモンストレーションで利用したnT-EngineとpT-Engineは,YRPユビキタス・ネットワーキング研究所が試作した.
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は,nT-Engineに実装する通信プロトコルとして,UNP(Ubiquitous Network Protocol)を
規定している.UNPでは,物理層レベルの通信プロトコルとしてRS-485を採用している.UNPとnT-Engineの仕様はほぼ固まっており,2005年4月に公開される予定.
また,ワインのびんやおもちゃなどに双方向無線機能を搭載した通信ボード「pT-Engine」を取り付けて,ユビキタス・コミュニケータと
双方向で通信するデモンストレーションを行った.ユビキタス・コミュニケータの画面上でリストから品物を選択すると,該当する品物に
取り付けられたpT-Engineの情報がユビキタス・コミュニケータ上に表示される.また,画面上の「探す」ボタンを押すと,pT-Engineの
LEDが点滅する.LEDの点滅の代わりに音声を出力するようにもできるという.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p5.jpg [写真5] pT-Engineのデモンストレーション
それぞれのおもちゃやびんなどにpT-Engineが取り付けられている.pT-Engineは電池を備えており,見通せる10m以内で双方向通信が可能.
現在試作しているpT-Engineの通信には,315MHz帯の微弱無線通信(アクティブ方式で双方向通信が可能)を利用している.
また,UWB(Ultra Wide Band)通信の採用も検討している.なお,pT-Engineの仕様が確定するのはもう1〜2年ほど先になる予定.
●凸版印刷のRFIDタグを利用した点字ブロック
凸版印刷は,視覚障害者用の白杖と点字ブロックを使った経路誘導システムを展示した(写真6).点字ブロックにはRFIDタグが,
白杖の先端にはリーダ・アンテナが組み込まれている.利用者は,方向センサとタグ・リーダの付いた携帯情報端末(PDAなど)を
手に持つ.携帯情報端末で目的地を指定すると,RFIDタグが示す位置情報と方向センサの情報を参照しながら,
目的地に着くためにはどのように歩けばよいか(ここで右に曲がる,など)を音声でガイドする.
本システムは,国土交通省が中心となって実施している「自立的移動支援プロジェクト」に採用され,2004年度から2005年度に
かけて,兵庫県神戸市で実証実験が行われている.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p6.jpg [写真6] 経路誘導システム
点字ブロックの表面のゴム部分に,RFIDタグを内蔵している.
●TRON上で2次元や3次元の地図を表示
パスコは,同社の地理情報表示ソフトウェアをユビキタス・コミュニケータやBTRON OS上で動作させるデモンストレーションを行った
(写真7).2次元地図表示についてはすでに開発を終えている.また,開発中の3次元地図も展示した.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p7.jpg [写真7] ユビキタス・コミュニケータで航空地図を表示
街頭に設置された地図に取り付けられたRFIDタグにユビキタス・コミュニケータをかざすと,その地点の周囲の地図を表示する.
表示領域の拡大や移動が可能.
●T-Engineを電話機に搭載
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は,ユビキタス・コミュニケータの機能を搭載したPHS電話機「UC-Phone」を展示した.
UC-Phoneはユビキタス・コミュニケータと同じようにRFIDリーダやバーコード・リーダを搭載している.ユビキタスIDセンターが認定した
ucodeタグのIDを読み取って,ucodeが取り付けられた品物の情報をユビキタスIDセンターから取得することができる.UC-Phoneは
PHSのPIAFS通信網を利用してUC-Phoneのゲートウェイ・サーバにアクセスし,そのサーバがユビキタスIDセンターと通信する.
なお,同研究所は,PHS電話機だけでなく,携帯電話機にもユビキタス・コミュニケータの機能を搭載するための研究を行っている.
http://www.kumikomi.net/article/report/2004/35tron/p8.jpg [写真8] UC-Phone
UC-Phoneは,2004年12月に発表された.
●T-EngineでMIDI通信
ヤマハは,インターネットを介してつながった複数の電子楽器を演奏するデモンストレーションを行った(写真3).
各楽器間でMIDI(音符データ・フォーマット)に従った演奏データをやり取りする.このとき,楽器間の同期をとるための
時刻制御やセッション管理を行う必要がある.本デモンストレーションでは,“Conductor”と呼ばれるT-Engineボード
(日立製作所製)によってこれらの制御を行っていた.
このほか,日立製作所製T-Engineの拡張ボードとして,携帯電話音源ボードを展示した.本ボードは,同社の音源LSI
「YMU762」を搭載している.YMU762は,最大40音を同時に発音できる.FM音源やWaveTable音源
(実際の音を録音して音色データを作り,そのデータを再合成して音を出す方式)に対応する.また,本ボードは
米国Analog Devices社の2軸加速度センサを搭載している.この加速度センサを利用して,3Dポリゴンを表示するデモンストレーションを行った(写真4).
http://www.kumikomi.net/article/report/2002/36tron/p_03_a.jpg http://www.kumikomi.net/article/report/2002/36tron/p_03_b.jpg [写真2]リアルタイムMIDI通信のデモンストレーション
この電子ギターと離れたところにキーボードが置かれており,インターネットを介して演奏を行う.
http://www.kumikomi.net/article/report/2002/36tron/p_04.jpg [写真4]T-Engine拡張ボードを利用して3Dポリゴンを表示
T-Engine拡張ボードは,ヤマハの音源LSI「YMU762」に加えて,米国Analog Devices社の2軸加速度センサを搭載している.
T-Engine規格の定めるOS「T-Kernel」上に加速度センサ・ドライバとエイチアイの3Dポリゴン・エンジンを実装した.
見る角度によって表示される人の角度が変わる.
●T-Engineで開発した応用製品が来年出荷
アイピートークは,三菱電機製μT-Engineボードを利用して,IP電話を開発した(写真5).TCP/IPのハードウェアとソフトウェアは
三菱電機が提供し,アナログ・プロトコルの部分はアイピートークが開発した.2003年夏ごろには量産に入る予定.現在のところ,
バッテリの持続時間は100分程度であるが,量産に向けてバッテリ容量を上げたり,耐衝撃性の強化や小型化などを行うという.
一方,ピンチェンジは,教育用端末「TEA端末」を展示した.日立製作所のT-Engineボードを利用して開発した.現在は,
まだ試作段階である.2003年の4月以降に発売を開始する予定.価格は6万円以下.外形寸法は約27cm×約25cm.重さは
約1kg.現在,10.4インチ型の液晶ディスプレイを使用しているが,低価格化のためにこれを8.4インチ型にすることも考えているという.
http://www.kumikomi.net/article/report/2002/36tron/p_05_a.jpg [写真5] IP電話
写真の左はインターネット回線と一般の電話回線のアダプタ.電話機は,屋内のほか,ホットスポットで使用することを想定している.
http://www.kumikomi.net/article/report/2002/36tron/p_06.jpg [写真6] TEA端末
ピンチェンジが開発した小学校や中学校の教育用の端末.
ソフトウェア工学は組み込みソフトの開発現場を救えるか?
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/12softs/01.html 組み込みネット編集部
2001年6月13日〜15日に高知市で開催されたソフトウェアシンポジウムにおいて,
「ソフトウェア工学は組み込みソフトウェアを救えるか?」
というテーマで,パネル・ディスカッションが行われた.最近,携帯電話などの製品出荷後のバグの発覚や欠陥品の回収,
開発スケジュールの遅延など,組み込みソフトウェア開発の現場でソフトウェア品質に関するトラブルが頻発している.
今回のパネル・ディスカッションでは,「ソフトウェア工学的手法を開発プラットフォームとして活用すれば,
組み込みソフトウェア開発現場の問題は解消されるはず.現場の技術者は,もっとソフトウェア工学を学ぶべきだ」という声が挙がった.
ただし,組み込みソフトウェアは納期やコストの制約が厳しいため,ソフトウェア工学の適用をはばむ要因が多すぎるという見方も出ていた.
パネル・ディスカッションの司会は,リアルタイムOSの研究者である高田広章氏(豊橋技術科学大学)が務めた.パネラとして,
組み込みソフトウェア開発者の和田喜久雄氏(NEC静岡)と鈴木郁子氏(シャープ)が参加した.このほか組み込みシステム開発の
経験のある張漢明氏(南山大学)がソフトウェア工学の研究者の立場から,
伊藤昌夫氏(ニルソフトウェア)がソフトウェア・コンサルタントの立場から議論に参加した.
●開発工数は増えても開発期間は変わらない
本パネルでは,まず,組み込みソフトウェア開発現場の実状と問題点が提示された.和田氏は,
「携帯電話は身近になり,家電製品と同じソフトウェア品質が要求される.また機能の増加(ブラウザ機能,Java機能など)や,
プラグラム容量の制約のもとでのリアルタイム処理など,開発の困難さは増加している.その一方で,開発期間(約8ヵ月)は
変わっていない」と発言した.すなわち,開発工数は増えても,納期はそのままというケースが多いようだ.1台の携帯電話を
200〜300人体制で開発しているという.「これだけの大所帯になると,当然,スキルのばらつきも問題となる.
スケジュール管理も難しく,プロジェクトをどのように進めていけばよいのか,明瞭な解が見いだせない」(和田氏).
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/12softs/zu1.jpg [図1]「携帯電話の開発では品質の確保が命題である」と語る和田氏
携帯電話メーカにとって,市場での製品の回収騒ぎは非常に頭の痛い問題だ.しかし,機能の増加にともなって,
テスト評価が必要な項目の数が急増している.またブラックボックスの部分が多くなってきており,従来のホワイトボックス的な
テスト手法が通用しなくなってきているという.
●ソフトウェア開発者の意識改革とスキルアップが必要 これ対して,張氏は「形式手法(フォーマル・メソッド)は組み込みソフトウェア開発を救える」という立場に立って持論を展開した. 自身の組み込み分野での経験から,「最初に仕様がないのはしかたがない.しかし,仕様変更が生じたとき,プログラムのすべてを 見直さなければならないというのはおかしい.この問題を解決してくれるのが形式仕様記述言語.仕様の分析は必要だが, 本質的な概念を明確にすることが大事だ」と述べた.複雑なソフトウェアの開発はそもそも難しいものだという認識をもち, ソフトウェア開発のための技能を習得するべきで,そのためには方法論に基づいた道具(ツール)が必要なのだという. 「形式記述の意義は,ソフトウェア開発者の支援と訓練,情報伝達の手段」(張氏).形式記述は,論理的な思考や 抽象的な思考の手助けをしてくれる.記号化による簡略な表現で,直感的な理解の支援しているのだという. そのうえで張氏は,「ソフトウェア工学を組み込みソフトウェア開発へ適用するには開発者の意識改革が必要. より簡易なモデルの構築,開発環境の整備を開発者全員が理解することが重要になる」という. ここで鈴木氏が「要求仕様分析の段階でどのように仕様を決定すればいいのか.教科書的な例ではなく, 具体的な事例に沿った図式化や抽象化の方法を知りたい」と述べた.これに対して張氏は, 「細かいことを書くために形式手法があるのではない.図式化,抽象化することで複雑なものを記述できるようになる」と答えた. 続けて張氏は,「例外処理を明確にするために,どのようなモデルで記述するのかを分析して見通しをよくするのである. 形式化のメリットは,図式化することで例外事項が見えてくることだ」と述べた.
●開発現場の技術者は,ソフトウェア工学を学ぶべき 組み込みソフトウェア開発のスケジュールは,ハードウェア(メカ部や回路部)の進捗状況に左右されることが多い. また,メカ部のテスト・プログラムや回路部のテスト・プログラムでソフトウェアの動作確認を行っていることが多く, 開発期間とコストの制約から,テスト・プログラムを再利用して最終的なソフトウェアを作ることも少なくないという. さらに,つぎはぎで作成したソフトウェアの品質を確保するのもたいへんである.会場からは「ハードウェア設計の進捗の影響も 仕様変更と考えればいい」,「テスト用に開発したものは捨てて,作り直したほうが再利用するより品質がよくなる」という意見が出た. 組み込みソフトウェアの開発工数の増大と開発期間の短縮に対して,開発現場は開発者の増員や開発工程の並列化 (コデザイン)などで対応しようとしている.このため,開発要員の間のスキルのばらつきや工程間のインターフェースの不ぐあいなど が問題として表面化してきている.ソフトウェア工学の側からは,「形式手法などのソフトウェア工学の成果を利用すると, 開発要員の訓練を行いやすくなる.同時にこれは情報伝達の手段としても利用できる」という意見が出てきた.また, 「効率的な設計手法は,開発エンジニア自身の問題.ソフトウェア工学的手法を開発プラットフォームに用いることで いくつかの問題を解決できる」という.そのためにも「現場の技術者は,ソフトウェア工学を学ぶべきだ」という言葉で パネル・ディスカッションは終了した.
日本人気質が設計環境の研究・開発を妨げている!?
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/25sldm/01.html 組み込みネット編集部
2001年9月26日〜28日に,山口大学(山口県山口市)で第63回情報処理学会全国大会が開催された.その中で,同学会
「システムLSI設計技術研究会」の発足30周年を記念してシンポジウムが開かれた.今回は研究活動の紹介や特別公演と併せて,
「LSIの設計品質はCADツールの使いこなしが決める!」と題したパネル討論会が開かれた.
現在,日本のLSI設計で利用されるEDA(電子系CAD)環境について,ほぼ100%米国製のツールおよび関連技術が使用されている.
今回のパネル討論会では,EDAツールの日本での開発の是非について議論が行われた.あらかじめ「CADツールは使えれば,
日本で研究開発する必要はない?」,「なぜ日本籍のEDAベンダがほとんどないのか」,「日本人主体でCADの研究開発はできる?」,
「ソフトウェア開発環境との融合はどうする」,「結局どうすればCADの研究ができるのか」という質問が用意され,これに答える形で討論が行われた.
司会は,東京大学大学院でシステム・レベル合成や論理合成の研究に従事する藤田昌宏氏である.さまざまな角度から議論するため,パネラとしては,大学のEDA技術研究者の立場から九州大学の安浦寛人氏,ソフトウェア研究者の立場から
豊橋技術大学の高田広章氏,EDAツール開発企業の立場からSTARC(半導体理工学研究)の吉田憲司氏,
EDAベンダの立場から米国Cadence Design Systems社Berkeley Laboratoriesの渡部悦穂氏,
EDAユーザの立場から富士通の谷澤哲氏が本討論会に参加した.
●米国ユーザと比べてハンディが大きい
まず,「CADツールは使えれば,日本で研究開発する必要はない?」という質問に対するパネラの答えは,いずれも「ノー」であった.
「EDAツールが日本製だろうが米国製だろうが,LSIを期日までに設計しなくてならない.だから,今は米国製を使わざるをえない.
EDAユーザの立場としては,LSI設計者の意見を取り入れながら,われわれの隣でEDAツールを開発してもらうのがいちばんなのだが…」と富士通の谷澤氏は述べた.
STARCの吉田氏も,EDAツールは使えさえすれば米国製でかまわないが,米国のユーザと比べると,ことばや時間,距離などの
ハンディが大きいと述べた.また,同氏は,将来,EDAツールによる設計結果について,知的財産権問題が発生する可能性があることを指摘した.
つまり,LSI設計において,EDAベンダが提供した設計技術に対して権利が主張される可能性があるという.
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/25sldm/sldm_p1.jpg STARCの吉田氏
一方,Cadence社の渡部氏は日本企業とのやりとりの難しさを指摘した.「EDAベンダとの共同研究や開発に対して,
日本の企業は金は出すが,人と時間は提供してくれない.大企業になるほど社内の情報に対して口が固くなるのは,日本も米国も
同じだ.しかし,例えばIntel社などは,設計情報はいっさい漏らさないが,EDAベンダとの共同開発に人数を割いて,より良い
EDAツールを開発するための環境を整えている」と同氏は語った.
●大企業の課題,大学の課題
EDAベンダが日本で育たない理由として,産学協同によるEDA研究の推進に努めているSTARCの吉田氏は,
設計者の意識と大学教育,日本の社会基盤に問題があると述べた.ほかのパネラも,この意見に賛同した.
九州大学システムLSI研究センターの安浦氏は情報工学教育を再編しなおす必要があると述べた.
「従来の学問ももちろん必要だが,情報工学を教える大学の2,3割は,アプリケーション指向の授業を行っても良いのではないか」(同氏).
米国の大学で学んだ渡部氏は,同氏の大学院時代のエピソードを交えながら,社会人の再教育の増加が学生への良い刺激に
なると語った.「大学院の授業でSRAMの設計を行うことになったが,アクセス時間の短いものから成績をつけると言われて頭を悩ませた.
一方,その授業にはIntel社のi486プロセッサの設計を行っていた人も参加しており,その設計能力の差を見せつけられた」(同氏).
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/25sldm/sldm_p2.jpg Cadence社の渡部氏
日本の大企業の「終身雇用制度」や「技術の囲い込み」がEDAツール開発の妨げになっているいう意見も出た.
「日本人には,『よらば大樹の陰』という気持ちがある.設計者にもそれは当てはまり,新しい企業を起こそうにも失敗したらどうしようと
か,人は集まってくれるのだろうかと考えてしまい,なかなか着手できない.人や技術が自由に流動する環境が日本には根付きにくいの
ではないか」と富士通の谷澤氏は述べた.
●日本の技術者の意識を変えることが必要 今回のパネル討論会では,日本におけるEDAツールの研究開発の遅れの原因として,大学教育と企業体質の二つに焦点を 絞って議論が行われた.また,それらは異質であることを嫌ったり,多数であることが良いと考える日本人の性質そのものに起因してい るという悲観的な意見も出た.逆に本来勤勉で協調性があるという日本人の特性を生かすことにより,日本独自の技術開発は可能 であるという意見も出た.「日本の設計者に足りないのは,自信と意欲と執念」(STARCの吉田氏). 「企業内の他部署間あるいは他企業間での共同プロジェクトの立ち上げと,それに設計者が積極的に参加し,意見を交換するよ うな環境作り」というのが,EDAツール開発だけでなく,これからの日本の半導体産業の発展のためのかぎであるというのが,パネラの 一致した意見だった.
ユビキタス空間基盤推進協議会/ 『ユビキタスてぶら観光』サービスの実証実験を開始
- 物流ニュースリリース【通販物流、物流コンサルティング、物流システム】
http://www.e-logit.com/loginews/20090213x02.php 「地域ICT利活用モデル構築事業」における
『ユビキタスてぶら観光』サービスの実証実験を開始
神戸市とユビキタス空間基盤推進協議会(※1)(会長:坂村 健・東京大学教授)は、「地域ICT利活用モデル構築事業」(※2)
において、最先端のICT(情報通信技術)やユビキタスID技術(※3)を利活用した魅力ある観光交流のまちづくりの促進、
ユニバーサル社会につながる生活支援の充実を目指して、平成19年度より神戸市内において「交流・観光」をテーマに
携帯端末を活用した観光客等支援モデルの実証実験を実施しています。昨年度は、ucodeによる超精密場所番号を利用し、
インターネットの通信販売で購入された商品の配送について配送サービスの質を高める実証実験を実施しましたが、本年度は、
旅行者を対象に旅行の途中で購入した土産品のホテルへの配送を、昨年度に実証した「高度配送モデル」を活用・応用し、
更に観光客の回遊性向上のための『ユビキタスてぶら観光』モデルの取り組みを実施します。
◆実施内容 『ユビキタスてぶら観光』は、ホテル(※4)に宿泊いただくお客様を対象に、南京町・北野工房のまち・さんちか(※5)にて お買い物いただいた際、てぶらで快適な観光を楽しんでいただくためのユビキタス応用サービスの実証実験です。 利用者は、購入した商品に、事前に渡される常温用シールか冷蔵用シールを貼ります。このシールに印刷されている ucodeQR(2次元コード)には、登録の時点で利用者情報と宿泊情報(ホテル名、部屋番号)が管理サーバ上で紐付けられます。 宅配業者が業務用端末でその配送品に貼られているシールのucodeQRを読むと、端末に配送先ホテル名と配送条件(常温/冷蔵) のみが表示され、利用者名や宿泊部屋番号等の情報は読み取れません。ホテルのフロントが専用端末で配送品に貼られている シールのucodeQRを読むと、引き渡すべき利用者の部屋番号と管理条件(常温/冷蔵)のみが表示されます。 以上より、利用者は、次の行程に配慮することなく「てぶら」で観光ができる、重い荷物を持たずに観光ができる等のメリットは もちろんのこと、その都度伝票を書く必要がないので配送先ホテルの住所を覚えておく必要がない、個人情報や宿泊情報を 記載せずに済むので店員や配送業者に対して個人情報などのプライバシーが守られる、 配送条件や管理条件が自動的に保持される等のメリットも合わせて享受できます。 この実証実験では、この『ユビキタスてぶら観光』というビジネスモデルが、旅行者の回遊性の向上、購買意欲の向上、 滞在型観光の増加等の観光振興に寄与することも併せて検証します。 ◆実施主体: ユビキタス空間基盤推進協議会(※1) ◆実施期間: 2009年2月13日〜26日 ◆実施地域: 中央区の一部 ◆実験で実現されるサービス・イメージ: www.ubin.jp/press/pdf/UNL090212-01.pdf 参照
※1:ユビキタス空間基盤推進協議会 2006年9月に設立された「ユビキタス空間基盤協議会」を2007年7月に発展的に改組して設立しました。ucodeを利用した 空間コードの普及に向け、利用用途の開発と基盤としての規格制定等を検討しています。会員は個人会員(学識経験者等)8名、 一般会員(企業・地方公共団体等)19社・団体。一般会員の業種は、不動産、オフィスサプライ、運送事業、地図・測量、 広告・メディア、IT、エネルギーなど。 オブザーバとして、総務省、国土交通省、農林水産省などの中央省庁も参画しています。 ※2:地域ICT利活用モデル構築事業 ICT(情報通信技術)の利活用を通じて地域が抱える課題を解決するためのモデル的取組を、総務省が市区町村等に委託して 実施する事業です。神戸市では、平成19年度から本事業を受託し、地域の関係団体と共に設立した 「神戸観光等情報化推進協議会」で協議を行いながら、観光交流のまちづくりの促進とユニバーサル社会につながる生活支援の 充実を目指し取り組んでいます。 ※3:ユビキタスID技術 識別したい個々の「モノ」や「空間(場所)」および概念に、世界で唯一無二の固有識別子である「ucode」を振り、 コンピュータが自動認識することにより、現実世界と仮想世界との橋渡しをする重要な基盤技術であり、世界最先端の技術です。 ※4:対象ホテル 神戸東急インに宿泊いただく方が対象となります。 ※5:対象店舗 実験参加協力店舗のみが対象となります。 2009年02月13日
組み込みネットニュース ETロボコンが走行体と開発環境を一新,地区大会は全国7カ所で開催 2009.2.13_01
http://www.kumikomi.net/article/news/2009/02/13_01.html ETロボコン実行委員会は,2009年に開催する「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)」の概要を発表した.
これまでは走行体として「教育用LEGO MINDSTORMS RCX」のキットを使って組み立てたライン・トレース・ロボットを採用していたが,
2009年からは「教育用LEGO MINDSTORMS NXT」のキットを利用した二輪倒立振り子ライン・トレース・ロボットを採用する
(ただし,2009年は移行期間として,従来の走行体によるレースも合わせて行う).また,2008年は地区大会を全国5カ所で開催したが,
2009年はさらに「北関東(群馬県と新潟県で交互に開催)」,「南関東(神奈川県横浜市で開催)」を追加し,
全国7カ所における開催となった.
LEGO MINDSTORMS NXTの開発環境/実行環境については,TOPPERS/ATK(旧名:TOPPERS/OSEK)やTOPPERS/JSPを
ベースとしたC/C++言語向けの開発環境「nxtOSEK/JSP」や,Java言語向けの開発環境「leJOS NXJ」などが無償で提供されている.
また,二輪倒立振り子の制御プログラムはライブラリとしてETロボコン実行委員会が提供する
(現在のところ,C/C++言語向けには提供の準備ができている.Javaについては提供を検討中).このほかETロボコン実行委員会は,
モデリング・ツールや統合開発環境などをロボコン参加者向けに提供してもらえるようにツール・ベンダなどと交渉しているという.
発表会では,NXTによる二輪倒立振り子ライン・トレース・ロボットのデモンストレーション走行が行われた.ロボットは安定した姿勢を保ちながら,
ゆっくりとコースを周回した.参加チームには,倒立振り子の制御プログラムが提供された.前進するモータの速度を変えると,
API(Application Programming Interface)を呼び出してパラメータを調整する必要がある.複数のパラメータが存在するため,
手探りの試行錯誤によって最適解にたどりつくのは難しそうだった.
中日新聞:携帯端末に施設情報 高山で移動支援のモニター実験:岐阜(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20090214/CK2009021402000020.html いつ、どこでも、誰でもコンピューターで通信できる「ユビキタス」技術で高山の町歩きを楽しむ
「飛騨高山自律移動支援プロジェクト」を国土交通省と高山市などが進めている。
14日から3月1日にかけて市内でモニター実験をする。
国交省が2004年度から全国延べ12カ所を対象に始めた実証実験の一つ。本年度は高山市を舞台に、
約3000万円の事業費でシステムや送信情報の整備を図っている。
実験は、NTTドコモの同実験専用の携帯電話と、横須賀テレコムリサーチパーク(神奈川県)が開発した
ユビキタスコミュニケータ(UC)端末の、2種類の情報機器を使って実施する。
市内各所に設置した発信機から、店や交差点、トイレなどの観光情報を、UCと携帯電話に自動的に送信。
UCは、車いすや高齢者など利用する人に応じた目的地までの経路をカーナビのように地図情報で示す。
携帯は、現在地や観光施設の情報を日本語と英語の文字で表示する。
専用携帯とUCは、駅前観光案内所で貸し出しと返却を、市政記念館で返却を受け付ける。
市は「(遊園地のように)端末の貸し出し・返却をする限られた出入り口があるわけではないので、
誰もが持っている携帯で運用できないと、実現は難しい。実験の反響を見て次の対応を決めたい」としている。
モニターは「飛騨高山自律移動支援プロジェクト」のホームページから誰でも応募できる。
(白山泉)
神尾寿のMobile+Views:特定小電力通信+Bluetoothで屋内ナビ──神戸自律移動支援プロジェクトの今(後編) - ITmedia +D モバイル
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/17/news028.html 神戸自律移動支援プロジェクトでは、前編で紹介したIMESを利用する屋内GPSナビのほか、
特定小電力通信とBluetoothを活用する「ユビキタスコミュニケータ(UC)」を利用するナビの実験も行われている。
“屋内ナビ”の現状をリポートする。
http://image.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/17/l_os_uc-0019.jpg YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 ユビキタス事業第2部部長の井上昭人氏
位置情報サービス/ビジネスの世界で、今もっとも注目されているのが、「屋内ナビゲーション」分野の開発だ。
屋外でのナビゲーションサービスは、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)の活用が進んでいるが、
GPS衛星が利用できない”屋内ナビ”は、技術的な課題も多い未踏の地。GPSの拡張仕様を使う
「IMES(Indoor Messaging System)」や、Skyhook Wireless、PlaceEngineといった「Wi-Fi測位」などさまざまな方式が、
屋内ナビの実現に向けて技術開発を進めている。
屋内での位置測位はどこまで進化するのか。また、それをケータイへ実装することは可能なのか。
前回に引き続き、2月5日に実施された「神戸自律移動支援プロジェクト」実証実験のプレス向け体験会の取材をもとに考えていきたい。
http://image.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/17/os_uc-0050.jpg http://image.itmedia.co.jp/mobile/articles/0902/17/os_uc-0062.jpg 屋内に設置された電波マーカー。特定小電力通信で、各マーカの位置を送信する
今回の実証実験では地上と地下に合計69個の電波マーカーを設置。それを元に歩行者に経路案内や周辺施設の
検索・案内サービスを提供する。健常者だけではなく、車いすや高齢者を想定したルート設定のほか、視覚障害者や聴覚障害者
向けのナビサービス、また日・英・中・韓の4カ国語での音声案内に対応している。なお、ルートナビゲーションはPDA端末内に保存さ
れた地図とソフトウェアを使い、位置測位にGPSは用いていない。このあたりがGPS利用・サーバ連携を前提にした
IMES利用型システムとの違いになる。
地図ナビではなく、「方面案内」でUIを工夫
それでは実際のサービスを見てみよう。
UC型の実証実験で貸し出される端末は2つ。1つは電波マーカーからの特定小電力通信を受信し、
その信号をBluetoothに変換する受信端末。そしてもう1つが、ナビゲーションを操作・提供するPDA型のUC端末だ。
今回のナビゲーションサービスは専用ソフトウェアで開発されており、あらかじめ登録されている「登録地点」までのルートガイダンスを
行う。健常者だけでなく、車いす利用者や高齢者、聴覚障害者向けのナビゲーションが可能だが、一般的なGPS携帯ナビのように
目的地を地図上から自由に設定する機能はない。あくまで収録された登録地点情報から目的地を選び、そこまでのルート案内をするというスタンスだ。
なぜ、このような仕組みになっているのか。
その最大の理由は、UC端末における「ナビゲーション方法」にある。一般的なGPS地図ナビサービスでは、地図上にルートが表示
されて経路誘導を行う。一方、UC端末では電波マーカーの位置に応じて、画面上に周辺風景の写真が表示され、
そこに進行方向が方面看板のように示される仕組みになっている。ナビの表現方法としては、交差点などの曲がり角で曲がる方向を
示す「ターン・バイ・ターン」形式に近い。この方式だと、あらかじめ端末内に進行方向にあわせた写真を収録しておかなければならず、
地図ナビのような自由度がないのだ。
屋内では「地図ナビ」がすべてとは限らない 今回、UC端末を体験して筆者が感じたのは、「屋内ナビは『地図ナビ』がすべてとは限らない」という点だ。IMESにせよ、 特定小電力通信にせよ、現在の屋内測位システムでは屋外で複数のGPS信号を使うようなナビゲーションのスムーズさは望めない。 それならばターン・バイ・ターンのナビの方がむしろ見やすいのではないかと感じたのだ。特に地下街やアーケードならば 決められた通路があるため、UC端末が基本スタイルとして採用していた「風景写真+方面案内」の使いやすさが顕著だった。 -------------------------------------------------------------------------------- 今後の屋内ナビの進化とケータイとの連携で考えると、ケータイが持つGPSチップを使う「IMES方式」、特定小電力通信を Bluetooth通信に変換する「電波マーカー方式」のどちらも、比較的容易に既存の携帯電話に取り込めるものだ。また「iPhone 3G」 などで採用している「Wi-Fi測位」も、各キャリアが重い腰を上げて無線LAN対応を積極的に行えば、日本の携帯電話でも 利用可能になるだろう。むろん、屋内測位システムの実現では、IMESや電波マーカーなど設備インフラを“誰が設置するのか”という 課題が残されているが、屋内ナビは実現へ向けた道のりを着実に進んでいる。今後の動向に注目である。
国内の主要組み込みツール・ベンダ数社が組み込みLinuxのベンダ,イーエルティを設立
http://www.kumikomi.net/article/report/2001/06elt/01.html 組み込みネット編集部
国内の主要な組み込みツール・ベンダである,ガイオ・テクノロジー(コンパイラやデバッガ),ワイ・ディ・シー(ICE),エルミック・システム
(ミドルウェアなど),ガイア・システム・ソリューション(シミュレータなど)が,組み込みLinuxの開発環境ベンダとして,株式会社
イーエルティ(ELT:Embedded Linux Technology)を設立した.イーエルティは,組み込みLinuxのアプリケーション・ソフトウェアが
すぐに開発できる環境の提供を目指している.GNUベースの開発環境だけでなく,上述のツール・ベンダが提供しているコンパイラ,
デバッガ,ICEなどを組み込みLinux開発用として統合していく.今回は,イーエルティの代表取締役社長に就任した坂本秀人氏に,
会社設立の経緯,組み込みLinux企業としての今後の取り組みを聞いた.
イーエルティ代表取締役社長の坂本秀人氏
−− ELTの会社設立の経緯を教えてください ITRONに対する反省があります.ご存知のとおり,ITRONはOSの仕様を公開しています.しかし,性能を重視しているためか, 実装はベンダごとにバラバラの状況です.当然,採用したITRON準拠OSに特化した開発ツールが必要になります.このため, 一つのベンダで対応できる開発ツールは存在しません. また,外資系ソフトウェア開発ツール・ベンダとの付き合い方の難しさの問題もあります.欧米のソフトウェア・ベンダは 合併や買収などが多く,ユーザが採用を決めて投資しても,むだになることがあります. Linuxの場合,シングル・ソースです.実装で,大きなバラツキが出ることはありません.また,コミュニティが支えているので, 必要な技術情報は,随時,入手することができます.ミドルウェアが充実しているのも魅力です.しかし,ネイティブで動作するツールが 少ないという課題があります. 現時点では,バイナリの動作までテストして確認を行っている米国MontaVista社のHard Hat Linuxが一番だと考えています. 組み込みLinuxのカーネルとしてHard Hat Linuxを標準採用しました.ただし,MontaVista社はPure Linux (カーネルに手を加えていない,オリジナルのLinuxという意味)を提唱しているため,GNU以外の開発ツールを提供することが難しい という問題があります.そこで,組み込みLinuxのポータル・サイト役になることを目指して,組み込みLinux向けの非GNU開発環境を 提供する会社を設立することにしました. −− なぜ4社で,会社を設立したのですか? 1社だけで設立すると,「イーエルティは組み込みLinuxのポータル・サイト」と見てもらいにくくなります.このため国内の 主要ツール・ベンダを中心に据えました.「組み込みLinuxを担いでいこう」というのが参加企業の考えです. それぞれの会社が持っているツールのコア・テクノロジをLinuxに特化することで,ITRONでLinuxのファンクションを使ったり, ITRONのIP(ミドルウェアなど)をLinuxで利用することも可能になります.
−− 競合として考えているのは? 一番の競合は,半導体メーカが提供するソフトウェア開発ツールですね. −− システム・インテグレータ(SI)とは競合しないのですか? SIとは競合しないと思います.イーエルティは,ツール,ターゲット,プロトタイプ,カーネル,ミドルウェアのコンサルタント,インプリメント, テストを扱います. −− Hard Hat Linuxを標準カーネルに採用していますが,今後の予定は? ITRONについては,「LinuxとITRONのハイブリッドOS」のサポートを考えています.ブラウザ,Javaなどを組み合わせる製品を提供する予定です. イーエルティは,Linuxを組み込みに応用することを目的としています.現時点では,オープン・ソースであること,バイナリの動作まで テストで確認していることなどから,Hard Hat Linuxが一番だと考えています.もっと良い,組み込み向けのLinuxが登場すれば対応していきます. Hard Hat Linuxだけを取り上げるのではなく,組み込み分野におけるLinuxの市場を広げていきたいのです.このためコミュニティ活動 を充実させます.Emblix(日本組み込みLinux協会)を通して,公開できるものは広める考えでいます. これは極論ですが,将来,イーエルティやMontaVista社が統廃合の波に飲み込まれることも考えられます.しかし,オープン・ソース としてまとめてあれば,サポートを続けることが可能になります.このためには,Emblixが主導でテスト,品質管理などを進める必要があると考えています.
−− 対応するターゲットCPUは?
PowerPC,MIPS,ARM,SH,XScaleをターゲットCPUと考えています.意外かもしれませんが,x86への対応は考えていません.x86を採用するシステムは,OSにWindowsCEを採用する向きが増えています.また,ツールに関してWindowsネイティブの環境が
整備されているからです.
−− Hard Hat LinuxのターゲットCPUとラインナップが異なりますが?
MontaVista社との同調が取れていないのは事実です.しかし,移植が必要な場合は,日本支社のモンタビスタソフトウェアジャパン
を窓口として依頼をもらえば対応していきます.
−− 最初のツールとして,提供する予定の製品を教えてください
2001年7月からの本格参入を予定していましたが,実際には,最初の製品の出荷は2001年9月になりそうです.まず,
ガイオ・テクノロジーのクロス開発環境とワイ・ディ・シーのICEを,Hard Hat Linuxに対応させて発売します.イーエルティが,
OSとのインターフェースの情報を両社に提供します.また,開発された製品はイーエルティが検証し,パッケージとして出荷します.
これらの製品は,2001年6月27日〜29日に東京ビッグサイトで開催されるESEC(組み込みシステム開発技術展)で発表する予定です.
イーエルティのホームぺージ
http://www.emblit.co.jp/
ユニバーサル社会(上)いつでもどこでも 必要な情報獲得 : 最前線 : 共生 : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20090224-OYT8T00548.htm?from=os2 年齢、障害の有無問わず
年齢や障害の有無、話す言葉にかかわらず、誰もが生き生きと暮らせる社会の実現に向け、ユビキタス技術が注目されている。
場所や時間を問わず、必要な情報を提供しようというもので、産学官民共同で実証実験が2004年度から行われ、
既に実用化された技術もある。その一つ、東京都台東区の上野動物園を訪ねた。(安田武晴)
イリエワニの秘密
携帯端末によるガイドシステムを使い、園内を見物する安田記者(東京・台東区の上野動物園で)=杉本昌大撮影
「ゾウは水浴びが大好きです。新しいゾウ舎にはプールもあり、暑い日に水浴びするゾウの様子が見られます……」
ゾウ舎の前に携帯端末を近づけると、「ピン!」という音とともに画面に情報が表示された。案内に従って操作すると、
ゾウが水浴びをする動画が表れ、スピーカーから解説が流れ出す。寒い日だったので、ゾウは水浴びしていなかったが、
映像で見ることができ、得した気分だ。
イリエワニの飼育舎前では、「イリエワニは口を開けているときがありますが、何をしているのでしょう?」という三択クイズが
携帯端末に出題される。答えは、「体温を調節するため」。汗腺がないワニは、口を開けて口内の水分を蒸発させることで
体温を調節する――という解説も聞ける。
同園では06年10月から、ユビキタス技術を使った情報提供サービスを行っている。飼育している約500種類の動物のうち、
約100種類の飼育舎の前に、情報提供のためのICタグを設置。携帯端末は、園内の案内所で無料で借りられる。
情報は、音声や画像、文字のほか、英語でも提供される。
動物解説員などによるガイドサービスもあるが、いつでもやっているわけではない。小学4年の長男(9)と来園した 都内の会社員男性(42)は、「子どもでも簡単に詳しい情報や知識が得られるので便利。 親も、子どもからいちいち質問されなくてすむので、のんびりできる」と話す。繰り返し利用する来園者も多く、 クイズの答えを全部覚えてしまう子どももいるという。 外国人にも人気 ユビキタス技術による情報提供は、東京都港区の東京ミッドタウンでも行われている。敷地内に展示されている彫刻や オブジェなど計20点について、作品の詳細や制作者のインタビューなどの情報が得られる。英語、フランス語、中国語、 韓国語にも対応しており、外国人観光客にも人気があるという。 ミッドタウンでは、作品の近くに、赤外線マーカーや電波マーカーを設置している。ICタグのように、端末を近づける必要はなく、 赤外線や電波が届く範囲に入ると、自動的に情報を受信してくれる。 ICタグや赤外線、電波マーカーには、様々な場所やモノに付ける番号「ユビキタスコード」が組み込まれている。 携帯端末はこのコードを認識し、無線によるインターネット経由で、対応する情報を瞬時に得る。情報は、 ブログを作成する程度の技術があれば簡単に更新でき、多言語化や動画の使用も自由にできる。 未来を支える基盤 ユビキタス技術の仕組みが広がれば、いつでも、どこでも、誰でも、必要な情報を入手できるようになる。 初めて行く場所でも戸惑わずにすむほか、災害時の避難情報などにも応用できる。 民間研究機関「YRPユビキタス・ネットワーキング研究所」の所長、坂村健・東大教授は、 「急激な少子高齢化は、高齢者や障害者の移動など物理的な面でも大きな問題だ。 社会全体を自動化、効率化するユビキタスは、日本の未来を支える社会基盤になり得る」と強調している。 ユビキタス技術 コンピューターなどを使い、誰もが時間、場所にかかわらず情報を得られるようにする技術。誰もが暮らしやすい「ユニバーサル社会」の実現に欠かせない。ユビキタスとは「至るところにある」という意味。
ユニバーサル社会(下)専用白杖と通信 障害者を道案内 : 最前線 : 共生 : 医療と介護 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20090225-OYT8T00577.htm 街歩き楽にする携帯端末実験
時間、場所を問わず利用できるユビキタス技術を使い、年齢や言語、障害の有無などにかかわらず
誰もが自由に移動できる環境を整える「自律移動支援プロジェクト」が、各地で進められている。
東京・銀座で行われている実験を取材し、実際に体験してみた。(安田武晴、写真も)
スムーズに地上へ
東京・銀座で行われた自律移動支援の実験。モニターとして参加した男性(左)は、スタッフの説明を受けながら携帯端末を操作していた
地下鉄・銀座駅近くの地下通路。携帯端末を操作し、一覧から有名な老舗「東京鳩居堂」を選択する。
すると画面に現在位置が写真で表示され、「宝くじ売り場の奥を左に曲がり、A3出口の方向へ進んで下さい」と、音声と文字で案内が出た。
その後も、10〜20メートルほど進むごとに案内が出て、スムーズに地上へ出た。わざと迷ってみたが、「ルートを外れています」という注意とともに、正しく案内してくれた。
店の前に着くとほぼ同時に、店の入り口の写真が画面に現れ、「お香や書画用品、和紙小物を扱う老舗専門店です……」
と音声が流れる。入り口のガラス戸に受信機を近づけると、商品の写真や値段などの情報が表示された。
急にトイレに行きたくなった。そこで、端末を操作すると、最寄りのトイレへと誘導してくれた。
全国で12か所 実験に参加する視覚障害者の男性(中央)。「携帯端末は、画面に指で触れて操作するので、視覚障害者には使えない」と 改善を求めた 自律移動支援プロジェクトは、国土交通省、自治体に産学も協力し、2004年度に始まった。 銀座や神戸市、青森市など全国12か所で実証実験が行われ、技術、費用、官民の役割分担などについて検証を重ねている。 買い物客や観光客から障害者や足腰の弱った高齢者、ベビーカーを押す家族連れ、外国人まで、 あらゆる人が楽しく自由に移動できるようシステムを設計した。銀座の実験で使われている携帯端末は、英語や中国語など 外国語はもちろん、車いす利用者、高齢者、聴覚障害者など、それぞれの専用モードも用意されている。 車いすが通れる道幅や、越えられる段差を指定すれば、バリア(障壁)を避けて目的地へ案内してくれる。 公衆トイレは、道案内の前に、入り口の幅や中の広さ、設備などの情報を動画付きで得られる。 携帯端末に情報が届くのは、地下では天井など、地上では街路灯、店舗の入り口などに、赤外線マーカー、電波マーカー、ICタグ などが設置されているからだ。銀座では計約1000か所に2000個が設置されている。 携帯端末と専用の白杖(はくじょう)を連動させることで、視覚障害者の移動も支援できる。地面に埋め込んだICチップを 白杖で読み取る方法で、同様に道案内を行う。階段の段数なども知ることができる。
一人で気楽に 銀座の実験は、東京都や国土交通省、民間研究機関が連携して、06年度から毎年度行われている。今年度は、 百貨店や飲食店、トイレなど計約3000か所への案内情報に加え、東京鳩居堂など34店から、 お薦め商品の情報を提供してもらった。銀座の歴史情報も用意した。 実験に参加した東京都練馬区の視覚障害者、本田武さん(39)は、 「この技術が完成すれば、行ったことのない場所でも、一人で気楽に行くことができそうだ」と語っていた。 一方、都内の団体職員本山雄一郎さん(44)は、 「とても便利だが、情報を更新していくのは大変で、費用対効果が気になるところ」と話していた。 将来は、携帯電話での利用も視野に入れており、技術的には既に実現可能な水準にあるという。 白杖を使う場合に情報提供の速度が遅いなど、未解決の問題はある。本格導入までには、まだ時間がかかりそうだが、 東京鳩居堂の高橋雄貴・総務部副長は、 「情報発信の機会が増えるのは、店舗にとってありがたいことだ。銀座全体の活性化にもつながるはず」と期待を寄せている。 (2009年2月25日 読売新聞)
東京見聞録:東京ユビキタス計画 銀座・新宿の公開実験参加 /東京 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090226ddlk13040278000c.html 東京見聞録:東京ユビキタス計画 銀座・新宿の公開実験参加 /東京
ユビキタス−−。聞いたことはあるけれど、詳しい内容は分からない。ラテン語で「どこにでも存在する」を意味するという言葉だ。
いつでもどこでも誰でも最先端の技術を使えると読み替え、街の魅力を高めて暮らしやすくする計画が東京で進められている。
都と国土交通省が05年度から「東京ユビキタス計画」と名付けて力を注ぐ取り組み。銀座と新宿で行われている一般公開実験に参加してみた。【木村健二】
◇「銀ブラ」で新発見も
実験をスタートしたのは地下鉄銀座駅(中央区)のイベント広場で、必要な機器の貸し出しを受けた。専用の情報端末
「ユビキタス・コミュニケータ」(UC)に、街頭に埋め込まれた小さなコンピューターから情報を読み取る「マルチレシーバ」。UCは
タッチパネル方式の画面(縦8・7センチ、横5・2センチ)になっており、音声を聴き取るためにイヤホンをつなげる。マルチレシーバを首からかけて準備完了だ。
銀座の実験対象は中央通りと晴海通りを十字で結んだエリアで、街路灯や花壇など約1000カ所に小型コンピューターが設置されている。
小型コンピューターは用途に応じ、
▽シールタグ
▽赤外線マーカ
▽無線マーカ−
−の3種類がある。これらに近付いたり、マルチレシーバをかざしたりすれば、UCにさまざまな情報が表示され、一味違った「銀ブラ」を楽しめる。
「神ならぬ猫があなたの願いをかなえてくれます。その名も『コイコリン』」。銀座4丁目のシンボル建築の一つである
三愛ドリームセンター前。UCで「銀座探訪」というメニューをタッチすると、女性の声がコイコリンを紹介した。1階の喫茶店の両わきに
目をこらして見ると、石像の猫が1匹ずつあった。なでると恋愛関係の願いがかなうという。銀座には何度も訪れたが、
コイコリンの存在は知らなかった。自分にとっては新しい発見だった。
銀座から地下鉄丸ノ内線を使って西新宿の都庁へ誘導する道案内も試してみた。ポイントを通過するごとにUCが反応して
案内の音声が切り替わり、街並みの画像と進路方向の矢印が表示される。都内の地下道は複雑に感じるが、案内されるままに都庁にたどり着くことができた。
実験の指揮をとっているのは、国産の基本ソフト(OS)「トロン」の提唱者として知られる坂村健・東京大教授。今月9日に
都庁で開かれた実験のオープニングセレモニーでは、
「この機械がこの場所に来たことが分かるように、コンピューターを都市の中に埋め込まなければならない。
国とか都が道路を造るのと同じように、情報の道路を造るように計画を進めていただかないとインフラの整備が進まない」と協力を呼びかけた。
既に上野動物園(台東区)などでは、一足先にUCを使った動物情報サービスが提供されている。限られた場所だけではなく、
多くの地域でユビキタス環境が整えば、現在とまったく異次元の世界が開かれるのかもしれない。
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■メモ
◇1日80人の事前予約制
東京ユビキタス計画の一般公開実験は、2月10日〜3月6日の25日間。ユビキタス・コミュニケータの貸し出しと返却は、
地下鉄銀座駅のイベント広場と都庁第1本庁舎1階。募集定員は1日当たり80人。応募は事前予約制で、ホームページ
(
http://www.tokyo ‐ubinavi.jp/jp/ginza.html)。
マルチコアの面倒はOSが見る(1/2) ― EE Times Japan
http://eetimes.jp/article/22824/ 組み込み機器の開発プラットフォームである「T-Engine」と、それに向けたリアルタイムOSである「T-Kernel」。
組み込み機器向けのプロセッサもマルチコア化が進み、T-Kernelも対応した。それが「MP T-Kernel」である。
T-EngineやT-Kernelの標準化を行うT-Engineフォーラムの発起人であり代表を務める坂村健氏に、
マルチコア化に向けた組み込みシステムの動向について聞いた。(聞き手=渡邊淳一)
EE Times Japan(EETJ) 組み込み機器にマルチコア・プロセッサを採用する利点は何か。
坂村氏 今までのマイクロプロセッサは、半導体の微細化技術で、消費電力の上昇を現実的なところに抑えながら性能を高めてきた。
その技術が、壁に当たってしまった。今以上の性能向上にはマイクロプロセッサの動作周波数を上げるしかないが、
そうすると単純に言えば、周波数向上に対して3乗の割合で消費電力が爆発的に高まる。
発熱の問題は、組み込み機器では特に深刻だ。携帯機器には大げさな排熱装置を付けられない。
車載情報機器では動作環境の温度が高く、自己発熱量が高ければ熱で機器が動作不良を起こしてしまう。
しかし、カー・ナビゲーション機器もデジタル・カメラもますます高機能化しており、マイクロプロセッサの性能向上が強く求められている。
そこで注目されているのが、マルチコア・プロセッサだ。微細化技術によって増えたトランジスタ数で高機能化するのではなく、
複数のプロセッサを1つのチップの中に作る。周波数を80%に低くすれば消費電力は半分になる。
プロセッサをデュアルコア化すれば、プロセッサ1つのときと同じ消費電力で、処理性能を1.6倍に高められる。
EETJ マルチコア・プロセッサを採用する際の課題は何か。
坂村氏 リソースをコア間でどのように共有するかなど、ソフトウエアを大きく書き変えないといけなくなる。
組み込みソフトウエアの規模は非常に大きくなっている。既存のソフトウエア資産やミドルウエアなどがすべて書き直しになるのは問題だ。
このような問題をできる限り解決した、シングルコア・プロセッサ用と互換性の高い組み込みOSが求められている。
EETJ マルチコア・プロセッサの性能を生かすには、アプリケーション・ソフトウエアをどのように作り込んでいく必要があるか。 坂村氏 マルチコア・プロセッサは、ソフトウエア面から見ると、マルチプロセッサと同じである。マルチプロセッサは、30年以上前の 大型機のときからあるアーキテクチャだ。アーキテクチャ上は、大型機に採用されてきたことを組み込み機器などの小型機に 反映しているだけである。そのため大型機に由来する情報処理系のOSでは、マルチプロセッサであることを意識せずにソフトウエアを 開発できる。しかし、それらの情報処理系OSのスケジューリングは一般にラウンド・ロビン方式で、リアルタイムOSに必要な プライオリティ方式ではない。組み込み機器に高性能なプロセッサを採用すれば、情報処理系OSでも 疑似的にリアルタイム性を出すことはできる。しかし、そのためにオーバーヘッドが出るなら、マルチコア・プロセッサで消費電力を抑える 理由が分からなくなる。組み込み機器でマルチコア・プロセッサの性能を生かすには、マルチコアに対応したリアルタイムOSが必要となる。 さらに、マルチコア・プロセッサを使った組み込み機器では、大きく分けて次の2つの構成が考えられる。 各コアを個別のOSが管理するAMP(Asymmetric Multiple Processor)構成と、 複数のコアをまとめて1つのOSが管理するSMP(Symmetric Multiple Processor)構成だ。 情報処理系OSで扱うマルチプロセッサはSMPのみだが、「MP T-Kernel」はどちらの構成にも対応する。 AMP構成は各コアの役割分担が固定的なときに有効で、汎用性を前提とする情報処理系OSでは一般に対応していない。 SMP構成は情報処理系OSも対応しているが、プライオリティ・スケジューリングしながらプロセス実行を動的に複数のプロセッサ・コアに 振り分ける機構は持っていない。MP T-Kernelを使えば、アプリケーション・ソフトウエアが実行時のコア数に合わせて 最大限のパフォーマンスを引き出すように、タスクを分配する。
T-Kernel上で動作するソフトウエアは、タスクに分割されている。もともとタスクに分割されているのだから、 それをSMP構成で稼働させれば、各タスクが異なるプロセッサ・コア上で同時に実行できるようになる。シングルプロセッサでは、 複数のタスクを疑似的に同時に動かしていたものを、本当に同時に動かせるようになるわけだ。 EETJ ソフトウエア開発者は、機器のプロセッサ構成がシングルプロセッサなのかマルチプロセッサなのかを意識して区別せずにソフトウエアを開発していけるということか。 坂村氏 それが理想だ。「T-Kernel Standard Extension」を使ってソフトウエアを開発していれば、特別なコードを記述することなく、 マルチコア・プロセッサの性能を生かせるようにしたい。組み込みソフトウエア開発者に、チップが備える コアの数を意識してソフトウエアを開発させるようなことはしたくない。 なお、T-Kernel Standard ExtensionはT-EngineフォーラムがT-Kernel向けに用意している大規模で高度な組み込みソフトウエア向けの拡張OS機能群だ。 メモリー管理やプロセス管理、ファイル管理やイベント管理、デバイス管理などの機能を含んでいる。 EETJ これからの組み込みソフトウエア開発はどのような方向へ進むと考えているか。 坂村氏 複数の異なるOSの連携が重要になるだろう。例えば携帯電話機には、マルチコアではないが、 すでに複数のプロセッサが使われている。無線通信を司るベースバンド・プロセッサや、グラフィックス・プロセッサ、アプリケーション・プロセッサなどだ。 AMP構成の極端なケースといってもいい。ここまで非対称だと、それらすべてに同じOSを載せることはしない。例えば 電子メールやウェブ・ブラウザなどを動かすアプリケーション・プロセッサの部分はパソコン化してきているので、 WindowsやLinuxなどの情報処理系OSの採用が進んでいる。しかしだからといって、特にリアルタイム性が求められる ベースバンド・プロセッサのOSにLinuxを使おうと考える人はいないだろう。実際にITRONが多く使われている。
このように高度な組み込み機器では、1つの機器の中で、モジュールごとに複数の異種OSが稼働するのが普通になるだろう。 OSによって向いている処理と向かない処理があるからだ。そのため、異種OSの接続性が大切になる。T-Engineフォーラムでは、 さまざまなOSとT-Kernelとの接続性を高める取り組みを進めている。 【EE Times Japan 2009年2月号「The Interview」、p.86〜88掲載記事】 (渡邊淳一:EE Times Japan)
【正論】東京大学教授・坂村健 「住基」超える「国民」カードで - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/090318/wlf0903180328000-n1.htm ≪生き残りへのコスト削減≫
「業務の効率化」という言葉には、非人間的で抵抗があるという向きもあるかもしれない。
しかし、極端な少子高齢化の進む日本では早晩、非効率な社会プロセスに人手を割いていられる余裕はなくなる。
すべての社会プロセスにおいて、今まで以上の効率化を達成すること
−それはいまや単なる努力目標でなく、日本が生き残るために避けて通れない段階にきている。
メーカーにとって利益を生む研究開発や製造業務が「プロフィット(収益)センター」であり、
総務や管理など絶対必要ではあっても直接利益を生まない間接業務は「コストセンター」と呼ばれる。
実は企業での情報化に欠かせないのがこの視点である。
情報化の目的も結局のところ端的にいってコストセンターからの人員削減なのだ。
その目標を見極めないと、大金をはたいて情報化しても何もメリットがない、ということになる。
望ましいのは情報化によってコストセンターで余った人員をプロフィットセンターに回し、人切りはしないことだろうが、
とにかく情報化した分の人的な合理化ができないのでは、単に情報化しただけで終わってしまう。
≪国・地方を超えたシステム≫ 日本にとっての最大のコストセンターは国、地方自治体を合わせた巨大な行政機構である。 借金財政が高進する中で、その効率化は待ったなしだが、そこで思い浮かぶのは 「住民基本台帳番号(住基カード)」の制度である。 社会保険庁の杜撰(ずさん)な情報管理は「非効率」というより、まず「非常識」のレベルで弁護の余地はない。 しかし、いまだに、年金や保険台帳の再構成作業が困難を極めているという話を聞く。 米国の社会保障番号のような国民を特定できる番号制度なしに年金を管理するというのが、 いかに大変かということは想像にかたくない。 日本の住基カードの制度に反対した人たちの意図はいろいろだっただろう。だが、結局、住基カードについても 法律でがんじがらめに利用目的を制限したがために結局、メリットが少なく、利用者は増えていない。 その揚げ句、電子政府を目指すシステム構築にかけた予算も、毎年数百億といわれるメンテナンスコストも 「壮大な無駄」といわれるようになってしまった。 しかし、スタート時の住基カード構想では、マルチアプリケーション(総合)ICカードとして、 運転免許証から保険証まで多様な機能を一枚のカードに持たせるという夢が語られていたはずだ。 たとえば、タバコ自販機用の成年証明カードなど、本来の構想通りの住基カードがあればそれを利用できた。 定額給付金だって、皆が住基カードを持っていれば事務は恐ろしく簡単、低コストになる。 一番合理的なのは、住基カードに関する規制を見直し、米国の社会保障番号のような多様な利用を可能にすることだ。 そして住基カードを利用して効率的なワンストップサービスができるようにする。 それによって国も自治体も超えた行政システムを再構築する。それが理想だと思う。
≪「上からの目線」を排除し≫ とはいっても、一度ケチがついて現行法律で縛られてしまった住基カードの多機能化を、いまさら復活するのは至難の業だろう。 プライバシー的な問題だけを言うなら、住基カードを計画したころより情報技術も進歩しインターネットも普及した。 この機会に、それに対応した最新のネットワーク対応ICカードの採用を提案したい。 「住民基本台帳カード」というのも、いかにも行政側の管理のにおいがする「上から目線」を思わせるので、 名称もこの機会に「国民サービスカード」と変える。 プライバシーに最も気を使わないといけない「住民基本台帳番号」の露出は最小限とし、 通常はサービスごとの利用者番号を発行する。 その記録は各サービスのデータベースに分散し、 すべてのサービスの利用者番号と住民基本台帳番号を 一括記録しているのは各自のカードだけという構成にするのである。 住民基本台帳のときに言われた問題では、住基ネットの脆弱(ぜいじゃく)性のほかに「名寄せ」の問題があった。 しかし、このような構成なら名寄せは非常に難しくなる。 冒頭で述べたように、何より大事なことは「(国民サービスカードの導入で)何人の公務員、どの程度の行政予算を減らせるか」 というコスト削減の目標を国民に提示することだ。技術ができる限りのことをしても、プライバシーにもセキュリティーにも完全はない。 そのリスクを前提にしてもなお、日本が生き残るために、やらなければならない。 そういう覚悟を示す時期に今や来ているのではないだろうか。(さかむら けん)
新聞記事はそのうち消えるからという理由で全部転載してるのかな。 ウェブ魚拓とか使えば?
坂村健・東大教授が一言: 「ボクは悪くない。TRONは悪くない。世界の反応がおかしい」…
105 :
Be名無しさん :2011/09/06(火) 21:09:06.12
TRONニュースをもっと
106 :
Be名無しさん :2012/09/05(水) 23:22:39.77
モバイル用トロンは失敗?
107 :
Be名無しさん :
2014/12/22(月) 19:15:37.49 ぬるぽ