【四万】群馬県の温泉3【水上】

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56名無しさん@いい湯だな
私は何をしてるのか…夜風に頬を撫でられ我にかえった。
追い付いたところで、どう声を掛けるつもりだったのか、初対面の相手に何を話そうとしていたのか。
年甲斐もなく馬鹿な事をしたものだ、うつけ者とはこの私の事だと私は自嘲した。
川筋をわたる夜風は冬の訪れが近い事を告げている。この川は夏になれば山女や岩魚が釣れるのだろうか。
友人の影響で幾度か釣りをしたことがある。どうやら私には釣りのセンスは無いようで、友人からは雑魚釣り名人の称号を贈られた。
私は上着のポケットに手を入て歩きはじめた。夜、寝しなに読もうと、出掛けに持ってきた川端康成の「山の音」の文庫本をポケットの中で握りながら来た道を戻り始めた。
すっかり身体が冷えてしまった。旅館に帰って風呂に入ろう…そう心に決め、歩を速めた。
ふと後ろを振り向くと…