【女王の】静香様に冷たく罵られたい330【お昼寝】

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860クーベルタン男爵さん
─「フラウ」に掲載されていた静香様の恋愛話で鬱祭りになったこともあったな…

あの夜、眠れなかった事を懐かしく思う。
あれから数十年たった今、俺はアイスリンク仙台の前に立っていた。極度に緊張していたが、深呼吸して気持ちを落ち着けてから建物の中に入った。

静香様はショーから引退してメディアから一切姿を消した後、地元に戻った…とは偶然目にしたネットの書き込みで知っていた。

“アイスリンク仙台でスケート教室を始めるらしい”
そんなネット上での書き込みを見つけ、確実な情報を得ようと久しぶりにキモ目検索をすると、新たに再開された静香様の公式サイトを見つけた。そこには、確かにスケート教室の生徒を募集している一文があった。
年齢制限や住んでる地域や性別などは限定していなかった。
『滑れるようになりたい人は、ぜひ参加してみてくださいね(*^o^*)』

俺は、メタボ腹は絞れないが勇気だけは何とか振り絞って、リンクサイドにやってきた。
リンクサイドには、何年たっても変わらず美しいあの人が、小さなお友達や大きなお友達に囲まれ立っていた。

「こんにちわ!今ちょうど出席を取っていたところですよ!あなたは…えっと、肝井さんですね?」
静香様はそう言って、一度クリップボードに止められた出席表らしきものに目を落とした。
「えっ…肝井さん…こんなに遠くからわざわざ…?ありがとうございます!」
「は、は、はい…静香さm…先生、よ、よ、よろしくお願いします!」
「はい、よろしくお願いします。みんなで楽しくがんばりましょうね」
静香様は、ずっとあこがれていた素敵なあの笑顔で、迎えてくれた。