【忙中】静香様に冷たく罵られたい156【閑あり】

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603クーベルタン男爵さん
赤頭巾ちゃん
昔々ある北国に美しい少女がおりました。
少女はすらりとした背と透き通るような雪のような肌を持っていました。
初冬のある日、森のはずれのおばあさまが病気だとの連絡が入ります。
少女の母親は面倒見のよいすぐれたご夫人なのですぐさま色々用意をして
少女に赤い頭巾をかぶせるとおばあさまの家へ向わせました。
少女が薄暗い森の中に分け入ると木々の陰から獣が覗きます。
「おじょうさん、どこへむかうのだね?」
「森のはずれのおばあさまのところよ、病気なの。」
「それは大変なことだね、近道を教えてあげよう。」(勿論遠回りの道だ。)
少女は素直なので教えられた通りの道を行きました。
しかしここで誤算だったのは少女の卓越した身体能力でした。
おばあさまの家で今まさに獣が襲いかかろうとしたときに少女が到着したのです。
ことの次第を瞬時に見極めた少女は赤頭巾をはらりと落とすと
鉄の刺がついたムチで獣を百回たたきのめし、
とどめに白いしなやかな首筋を赤く染め獣の首を噛み千切りました。
そして森中に美しい遠吠え響きわたらせます。
「わらわは、狼の女王ぞ!」
そしてやさしくおばあさまを寝かしつけると美しい銀色に輝く毛並みをなびかせて
森の向こうへ走って行きました。
おわり