【トロける】静香様に冷たく罵られたい129【ご褒美】

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72クーベルタン男爵さん
あれは3年前、僕が高1の春休みの出来事だった。
横浜に住んでいる祖父母は自宅の一角で小さな古いアパートを
営んでいたので、僕は都会見物が出来る楽しみを兼ねて、
その家屋や庭木の手入れ等を手伝いに祖父母の家で数日滞在するのを
例年の事としていた。その手伝いをしている時に自室に出入する
長身の綺麗だけど少しニヒルな表情のお姉さんと稀に顔を合わせ、
軽く会釈を交わす事があった。祖母の話から、あのお姉さんは
大学生で、部活でスケートをしているらしいと聞いていた。

ある晩、TVで清水選手やウォザースプーン選手が一位を争っている
スピードスケート世界大会を祖父と共に観ていると、祖父が
納屋に古いハーフのスピードスケート靴が在るからお前も
この近くにあるリンクで滑ってみたら言ってくれた。
僕は中学校の冬休み行事である下駄スケート教室で何度か
滑っていたので、翌日、その古びて埃を被ったスケート靴を
納屋で見つけ出して庭先で磨いていた。

すると、あのお姉さんが通りかかり、”あれ、君はスケートをするんだ、
明日、あそこのリンクで私は早朝練習があるから、朝一番だけど、
良かったら一緒に滑ろうか”と含み笑いと共に声を掛けてくれた。
僕はスピードスケートの滑り技を教えてくれると思い、”うん”と
生返事をした。