【凍て付く】静香様に冷たく罵られたい11【微笑み】
今日は静香様の練習日……だったが、おれは風邪を引いて家で寝ていた。
ベッドの中で熱にうなされていると、突然玄関のドアが開いて、静香様と木戸先輩が姿を現した。
「あれ、静香様? 鍵は……」
「こんなこともあろうかと、こっそり合い鍵を作らせておいたのよ」
静香様は平然と言うが、犯罪スレスレだ。
だが警察に届け出ても、おれの方が留置場でない隔離施設に入れられてしまいそうで怖い。
「かわいそうに。熱があるのね」
静香様がおれの首筋に手を当てた。
その手はひんやり冷たくて、触れられただけで少し体が楽になったような気がした。
「でも私への奉仕を怠った罰は与えるわよ。木戸、例のものを」
静香様が言うと、木戸先輩は長さ1mほどの棒を静香様に手渡した。
スグリ球に対抗して発注したシズカ棒である。
「怠け癖が付かないようしっかり調教しなくてはね」
静香様は棒の先をぐりぐりとおれの頬に押し付ける。
「早く風邪を治しなさい。安藤が寂しがってたわよ」
「本当ですか?」
「嘘よ」
身を乗り出したおれの額を静香様は棒で叩いた。
「ところであなた食欲はあるの?」
「いえ、あまり……」
「ちゃんと食べなきゃ駄目よ。野菜スープを持ってきたから後で食べなさい。
ちょっと作り過ぎちゃったの」
確かに木戸先輩の足元にシチュー鍋が置いてある。
「(ベタベタなツンデレ展開ですが)ありがとうございます、静香様」
「まあ作ったのは木戸なんだけどね」
おれの食欲は消し飛んだ。
「それからアイスも持って来たのよ。これは正真正銘私の手作りよ。
稲垣香取ペアからレシピを聞き出して作ったの」
「ありがとうございます、静香様」