【凍て付く】静香様に冷たく罵られたい11【微笑み】
静香様の小間使いとして働く私
とろくてドジな私は、いつもしかられてばかり
なにしろ、静香様のおそばに行くだけで、緊張してしまうのです
あの美しいお目で見られるだけで、震えてしまうのです
ある日、紅茶を淹れようとしたら、手が震えて、ポットの中身を
こぼしてしまいました
何度も謝って、テーブルを拭きましたが、静香様は無言でした
ほんとうに情けなくなって、涙がでました
静香様に涙を見られまいと、下を向き、お茶の道具を片付けていると、
白いしなやかな指がすっと伸び、私のあごをとらえました
それは一瞬のできごとでした
「馬鹿な子ね・・おまえ」
そう言った唇は、ほんの少し笑っておられるように見えました
私の気持ちを、すべて見透かしていらっしゃるかのように
「行きなさい、もうお茶はいらない」
その囁きだけで、私の心臓はいまにも爆発しそうです
静香様は、すぐにいつものひややかな表情に戻り、無関心にふっと
横を向かれました
こんな妄想を抱く私は、ちゃんと普通の恋をできるのでしょうか
望みは薄いと思います