47 :
クーベルタン男爵さん:
712 名前: 名無しさん@恐縮です [sage] 投稿日: 2006/02/23(木) 12:06:31 ID:YCuknenA0
及川は朋美の部屋に恐る恐る入って言われるままに椅子に座った。
多分自分の部屋と変わらない造りであろうが、
朋美の部屋は女性らしくきちんと片付けられていて旅なれた雰囲気だった。
そして香水でもない、自然ないい香りがした。
落ち着かない及川を気にかけることもなく、朋美は話し始めた。
「私、思ったんだけど、及川君のフォームってちょっと癖があると思うの、、なんたらかんたら、、」
ああ、やっぱりスケートの話か、、、
及川はがっかりすると同時にほっとした。スケートの話をする時の朋美の横顔は真摯で美しかった。
「これ私のトレーニングメニューなの。男子には全然足りないと思うから及川君も参考程度にして」
朋美は50枚ほどのレポート用紙を及川に渡した。
及川はレポートに目を通しつつ心の中でさっきの不埒な気持ちを自嘲した。
その時、ドアをノックする音がした。
「誰だろ、小百合かなぁ」朋美はドアの方へ歩いていった。
ドアをの外には目だし帽をかぶった男3人が立っていた。
朋美は声を上げるまもなく頭からウエアを被せられると
みぞおちを蹴られ、そのまま前のめりに倒れこんだ。
「岡崎さん?」ただならぬ雰囲気に及川はレポートを落として振り返った。
三人組の男達が部屋へがずかずかと入り込んできた。
「なんだ、優等生ぶってるくせに男を部屋に連れ込んでるのか」
及川を見つけると目だし帽の中の目がいやらしく光った。
「おまえら、スノボの奴らだろ」及川は立ち上がって男を睨み付けた。
そして床でウエアを被せられたまま倒れている朋美に気づいた。
「岡崎さん!!」
駆け寄ろうとした及川の後頭部をもう一人の男が割れたスノーボードの一片で殴りつけた。
「く、、、」崩れかかった及川の手足をもう一人が手馴れた手つきで縛り上げた。
「こいつらのパワーは並じゃないからな、特に足をよーく縛っとけ」
48 :
クーベルタン男爵さん:2006/02/23(木) 18:23:47
717 名前: 名無しさん@恐縮です [sage] 投稿日: 2006/02/23(木) 12:51:00 ID:YCuknenA0
ロープでぐるぐる巻きにされた及川を部屋の隅に足蹴にすると、男達は朋美をベッドにかついできた。
「岡崎さんに何をする気だ!」
及川がもがきながら叫んだ。
「おまえとおんなじコトをするのにきまってんじゃん。」
男達は下品な笑みを浮かべながら目配せをした。
一人が床に散らばったレポート用紙に気がついた。
「へっ、ほんとにスケートのおべんきょしてたんだ。まったくスケートバカってやつだな。
もうメダルなんか取れっこないのに」
及川は唇をかみしめた。
「う、うーん」
ベッドの上で朋美は気がついたようだ。
「おい、取ってやれよ」
ウエアを取られるとようやく朋美は少し体をもたげて頭を振った。
「何、、?」
みぞおちを押さえながらあたりを見まわすと拘束された及川の姿と三人の怪しい男達が目に飛び込んできた。
「あなた達、誰?今すぐここを出て行きなさい!」
痛みをこらえつつ毅然とした声で朋美は言った。
「岡崎さん、逃げてください!」
しかし、男達は朋美をベッドに押さえつつ後ろ手に縛り上げた。いくら朋美の剛脚をもっても男二人に押さえ込まれては
自由に動くことはできない。朋美は抵抗しつつ、男達を見返した。
「、、、國母君たちね。何を考えているのよ」
「俺達、メダルどころか予選も落ちちゃったんすよ。主将の岡崎さんに慰めてもらおうと思ってね」
朋美の瞳が怒りでみるみる殺気だった。
足を押さえている男の隙を見て朋美は思い切り蹴り飛ばした。
あまりのパワーに男はぶっ飛び安普請の壁にヒビがはいってしまった
49 :
クーベルタン男爵さん:2006/02/23(木) 18:26:33
725 名前: 名無しさん@恐縮です [sage] 投稿日: 2006/02/23(木) 13:38:54 ID:YCuknenA0
「くそ、この馬鹿力がぁ」
「まったく、ババアの癖になんて奴だ」
「やめろ!彼女に乱暴するな!」
朋美と男二人ともみ合っている間、及川も必死にロープをほどこうともがいていた。
國母は及川に近寄っていき、ボードのエッジを思いっきり及川の太腿に突き立てた。
「うあーっ」
及川の絶叫に朋美ははっとして動きを止めた。
「及川君に何をするの!」
「スピードスケーターは腿が命って訳でしょ」
國母は不気味な笑みを浮かべて、もう一度ボードを高く振りかざした。
「やめて!!」
駆け寄ろうとした朋美の腕を二人の男が両脇から掴んだ。
「後輩がかわいいなら、抵抗しないで言うことを聞きな。
でないとバンクーバーもスピードスケートはメダルなしだぜ。」
國母はもはや目だし帽を脱ぎ捨てて澱んだ目でこちらを見ていた。
この人達、本気なの、、、
朋美の顔から血の気が引いた。
50 :
クーベルタン男爵さん:2006/02/23(木) 18:27:45
「、、わかった。その代わり、及川君や、他の選手には絶対に手を出さないで。」
「さっすが主将、話がわかるね。」
いうやいなや朋美は男達に再びベッドに押さえ込まれてしまった。
「岡崎さん、岡崎さん、やめてください!!」
及川は痛む足をこらえながら這うようにして國母に体当たりしてきた。
「シツコイ奴だな、黙ってこれからやる事よーく見ときな」
及川は口にタオルを詰め込まれると蹴られ、壁の隅に転がった。
「及川君、、、!」
朋美は及川を見つめ静かに首を振った。