▲▲▲開成中学・高校についてパート8▲▲▲

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104通りすがりですが−旧制高校との共通性(2)
私の考えは、こうです。買ったばかりの真新しい制帽は、白線が光りすぎて、自分にとって違和
感の強いいわば「ヨソ者」にとどまっているのです。しかしこれを毎日被っていると、次第に傷
み、白線も汚れて黄ばんできます。こうなってようやく、制帽・そしてそれが象徴する学校は、
本当に自分の身体の一部として合体されます。汚れて白線が黄ばんだ制帽というのは、憧れの
学校と自分の身体が合体したことの証しなのです。新入生たちは、制帽をあえて自分の意志で汚す
ことで、早く自分を憧れの高校に合体させたい… こう考えたのではないでしょうか。

時代は変わり、白線入り制帽を被る生徒は誰もいなくなりました。しかし、開成でも、入学時に
買った新品の制服は、ボタンが黒、襟章も明るさを抑えた銀色なのに、プラスチック製カラーだ
けやけに白く輝きすぎです。このことに、生徒は違和感を覚えてしまうのではないでしょうか。
そこで、友達や先輩のみようみまね、あるいは運動会の応援のさいの先輩の指示に従いながら、
新入学早々から白いカラーをあえて外し、制服を黒一色へと自分の意志で変形させてゆく。この
ことで開成と自分の身体とを合体させ、「質実剛健」の個性を自分の内面に埋め込んだ、硬派な
個性を持つ開成の生徒へと育ってゆくのではないでしょうか。開成の校風は、旧制高校と似てい
るところがあります。生徒の心理もまた、時代を超えてつながっているのですね。

もちろん、旧制高校では、制帽を傷めたり汚したりしたからといって、先生から生活指導される
ことはありませんでした。開成でも、カラーをつけないからといって、生活指導されることはなく、
先生方はこうした生徒の自主的な行動を見守ってくださっています。巣鴨辺りでは、詰襟にカラー
がないと、たちまち厳しく頭ごなしで指導されるとか。成熟した伝統ある進学高校の開成と、巣鴨
との違いというのも、案外こんなところに1つあるのかもしれません。