公立中高が、私立一貫教育に勝負できる戦略とは

このエントリーをはてなブックマークに追加
253ゆめときぼう ◆xcrNWSUCcQ
>>219の1・2の3さんへ
 >が、誰を相手にして啓蒙しているかも問題
  
  確かに、そのとおりです。
 この点は、そろそろ書こうとは思っていました。
 実は、私立公立の差よりも、もっと大きな問題があるからです。
 それは、家庭間での文化資本の格差です。

  父親、母親の学歴、父親の職業の3要素を得点化して、
 その得られた得点(社会階層得点)を3分の1ずつ、上位・中位・下位に区切り、
 その集団に属する中学1年生の家庭での学習時間を示すと、
         上位  中位  下位
 1979年度 120 100  70
 1997年度 100  60  30 (単位は分)
 と、驚くべき、そして悲しい結果になっていました。
  一般的に、最近の生徒は、学習する時間が著しく減ってきています。
 バブル崩壊直後の92年度を境に、年々減っていくデータもあります。
 年功序列、終身雇用といった制度の崩壊、学歴社会の否定を思わせる報道、
 これらが、学歴獲得のための競争に参加するためのインセンティブの低下の要因になっています。
  しかし、下位層の階層(笑)になるほど、学習時間の減少の度合いが大きいことに気づくかと思います。
 上位の階層には、やる気を引き出すための誘因が分かっていて、
 たとえ、勉強をする意義が見つけられにくくても、
 家庭から、何らかの形でインセンティブが与えられています。
 そして、自己の学歴から得られた成功経験も強く影響しているはずです。
  その点、下位の階層では、将来志向よりも現在志向が強く働いているようです。
 将来のために頑張るなら、今楽しければよいと考える生徒が多いのも、この階層の特徴でしょう。
254ゆめときぼう ◆xcrNWSUCcQ :02/12/13 23:39 ID:rSu2G85o
(つづきです)  
  上位の階層ほど、親が子に伝えていく力、つまり文化資本をより多く持っている傾向にあるはずです。
 博物館に行ったり、キャンプをしたり、インターネットに常時接続できる環境であったり、
 そして、ここ2ちゃんねるに参加して重要な情報を吸収することも、
 上位の階層ほど頻繁に行われています。
 私の提案した先取り学習についても、おいしい部分はきちんと採用されているのでしょう(うぬぼれ?)

  さらに、ショッキングなデータがあって、
 東京大の保護者において、企業の取締役や医師・弁護士等の専門職などの
 上位ノンマニュアル職の占める割合が、30年間も80%台で推移していることです。
 他の上位大学でも同じことがいえるかと思います。
  
  アメリカでは、黒人の地位向上を目指して、特定の大学に一定の優先枠を与える等の
 アファーマティブアクション(逆差別)や
 幼児の時点から、家庭での学習習慣をうえつけるための個別のカリキュラムを通じて、
 階層の格差によって生じる不平等を少しでも緩和しよう、
 教育の現場にも、実質的平等を反映していこうする姿勢がみられます。
  それに比べて、日本では、見かけ上の平等に注視しすぎて、
 家庭の環境の差には目を向けず、選抜にや評価において、 
 できる限り、生徒間の差が生じないようにすることに重きが置かれました。
 結果として、生徒の学力が、家庭の階層に大きく影響を受けることが、
 是正されないままになってしまいました。

  上位の階層は、その時代時代によって、どの学校コースを選べばよいか、
 その戦略を知っています。
 以前であれば、日比谷をはじめとした公立の学校、
 現在では、開成をはじめとした私立一貫の学校をきちんと選択していきます。
 そして、私立一貫校での効率のよさから、勉強時間を減らしたとしても、
 十分に、東京大をはじめとした著名な大学に合格できることも分かっているのでしょう。
 この視点がないと、このスレッドは、ただ無意味であるだけでしょう。
255ゆめときぼう ◆xcrNWSUCcQ :02/12/13 23:39 ID:rSu2G85o
  今回の内容は、東京大の苅谷センセの授業の要点シートをもとにしました。
 要点シートは、単に、私が授業後に要点をメモしたものにすぎないので、
 彼の主張とは大きく異なっている可能性があります。
 ノートやレジュメが、私の部屋に眠っているはず?ですので、
 折を見て、正確なデータ等を書き込む予定です。