2 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 00:31:57.56 ID:rBhUHDmB
これ以外にも
例えば入力が面倒過ぎ。
AAAA−BBBB−CCCC−DDDD
と例えば入力するとすると、AAAAの欄入力し終わったと
自動的にBBBBの欄に移動してくれない
わざわざ、キーボードから手話してマウス使わなきゃならない、
マジ面倒。
クレジットカードで払えればいいんだけどね、信用なくって作れねー
朝、起きたら自キャラになっていたFFXIプレイヤーたち。
ステキに過酷なヴァナ・ディール、笑いと涙の右往左往。
俺たち“来訪者”を排除していく、謎の集団も現れた!
この異世界に出口はあるのか?
リアルに帰還できるのか?
熱血、友情、ラヴ、バトル! 陰謀、シリアス、ギャグ、微エロ!
俺たちの明日はどっちだ!?
"リンクしたお話を書いている人向けの"共通設定。これは絶対ではありません。
ある程度共通していた方が、読み手の方も分かりやすいのではという意図のものです。
参考程度に留めて、投下する方が自由に想像し設定してください。
LPは映像付きが多い (例:Yurifina氏のSSでは映るが、Lead氏のSSでは会話のみ)。
冒険者証明書は金属カードで、邪魔にならない所に魔法で入っている。競売は魔法紙で取引されている。
みつめる(/c)はとても嫌な視線扱い。時間感覚はリアルと同じ。tell等のSay・sh・echo以外は念話。
リアルからヴァナに入り込んだ人々の事を「来訪者」と言う。
「来訪者」はリアルの品物を三つまでヴァナに持ち込める、こともまれによくある。
いわゆるGMと同じ姿の連中がいて、「フェイト」という組織を形成し、洗脳した来訪者「黒マント」を使役して
「来訪者」達を狩っている。(マントではない、ただ単に黒装束のやつもいる)
この世界はゲーム内ではない、"実際のヴァナ・ディール"なのかも知れない?
レイズは意識不明(戦闘不能)に有効だが、完全に死んだ者には効果が無い。
(まとめWikiのテンプレより)
キャラ紹介テンプレ
初出: 別スレ同番の人もいるようなので、スレも併せてお願いします
PC(仮)名: / 中の人:
種族フェイス:
ジョブ&Lv:
特記事項:
活動エリア:
あらすじ:
他キャラとの接触:
独自レギュレーション: 共通設定(?)と目される設定とは敢えて変えてある部分を明記するのはどうでしょう。
6 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 00:34:17.58 ID:FRy0G4Ke
落ちていたから立てた。
今は反芻している。
7 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 00:37:32.89 ID:GRqN43b4
スレ立て乙でございます。
9 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 01:29:31.54 ID:v2gtqNNs
スレ立て乙です
それにしても毎度毎度スレ乱立荒しの度に被害にあって
それまでの保守も空しく落ちますな。
落ちても再度スレが立つってことは住人が居るってことだから
問題ないんだろうけど、1000or容量限界マデイキタイヨネー。
10 :
竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/17(土) 02:06:13.61 ID:GRqN43b4
寝るまえに少しだけ支援投下ー
11 :
竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/17(土) 02:33:58.31 ID:GRqN43b4
「で……結局どうなったんだ、あの異常データ。削除されたのか?」
STTのオペレーションルーム、前と同じく、男と女が差し向かい。
ただ一つ違うのは、そこにいる男は子供ではなく、告発のヒュームの男であるということだけ。
「削除……できたらよかったんですけどね」
モニターの一つに物憂げに視線を移して、女が言う。
「できなかった、そういうわけか…それじゃ一体どうやってエリアを復旧させた。自然に収まったのか?」
「いいえ、増大の速度自体は安定してますが、今もその謎のデータは増大中です。テスト用のサーバーを一つ放棄して、その中にデータを移して何とか急場を凌いだだけみたいです」
とどのつまりが、根本的な解決は何も成されていない。そういうことで。
「深刻、だな」
男が呟き。
「ええ、本当に、かつてない一大事です」
女も、それに同意した。
「やはり、と言うべきなのか、エリアダウン前後で、我々が監視している来訪者の数が、数名変化しています」
数が減っているのだ、と付け加えた。
「三人組で来訪者狩りを行っていた、レベルイエローの来訪者です」
「来訪者狩り、か……」
忌々しげに呟く。だが、自分のしていることもそれとさして変わりはないこともまた、彼は知っていた。
12 :
竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/17(土) 02:46:03.35 ID:GRqN43b4
「で、結局俺は何をすればいいんだ?ただ話をするためだけに呼んだわけでもないだろう?」
話はもういい、とばかりに手を軽く振って。
「そうですね、その話、まずしちゃいましょうか。今回の任務は、エリアダウン発生の特異点、これの捕獲もしくは破壊です。もうすぐ分析班が特異点の特定を終えるはずですから、そのまま現場に向かって下さい。後の処置は任せるとのことです」
手元のデータを参照しながら、要件だけを述べる。
「そんなところだろうな。じゃ、俺は一足先に現場に行ってるぜ」
その姿がかき消えて。
「これで、あっさり解決してくれれば、いいのだけどなぁ」
それを見送った女は、なぜか奇妙な不安を感じていた。
>2
tab
14 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 09:05:35.52 ID:Xhb+YI4o
テスト
私は、まさに後悔していた。航海とかけた冗談…なんて考えている余裕も無かった。
海賊がやってきて、船に召喚した屍を次々に送り込んでくるのだ。
戦えない船員は足早に船室に立て篭もり、戦える者は武器をとって戦い始めた。
私も魔法を放った。良心が咎めないわけでもなかったが、死体が相手なので気は楽だった。
しばらくして戦いは終わった。こんなに魔法を使ったのは初めてだった。
脱力感と疲労が波のように押し寄せ、額を流れる汗よりも多くの魔力が流出していくのを感じた。
ケアルを唱えるのとは勝手が違う。ゆっくりと階段に腰を下ろし、流れていく景色と潮風に意識を溶かす。
光のような一生の後ろには常に死の影がある。言葉にするのは簡単だが、私は実感を持って理解した。
あの退屈だった日常は、どれだけ恵まれて穏やかだったかを知ってしまった。
……帰りたい。そのためには帰るための方法を見つけなければならない。
最もあってはならないのは、心が折れて、そのまま諦めること。迷ってる暇はない。
このままセルビナに到着したら、体力が戻り次第引き返して書庫を調べなければならない。
「なあ…あんた…お願いがある…」
船員の一人が話しかけてくる。青い顔で、まるで縋りつくかのように、私の前で跪いた。
「仲間が…仲間が、やられちまった…酷い傷で…血がとまらないんだ…」
私はどれだけ座っていたのかわからないが、そんなに時間は経っていない。
魔力は辛うじて戻りつつある。もっともあってはならないこと…それを思い、私は立ち上がった。
「案内して……大丈夫よ、きっと助かるわ」
立ち上がって深呼吸をすると、くらくらした視界もしっかりとしてくる。
案内された先に男が横たわっていた。仲間が取り囲み懸命に声をかけているが、酷い出血だ。
その男は、ついこの前に指を怪我していた男だった。長生きできそうにないタイプなのかもしれない。
ケアルをかけてみたが、ほとんど効果は無い。レイズをかけて、神の力とやらで生命力を戻す。
私であって私でない力だとか、神業だとか、そういうことはこの瞬間、どうでもいいことだ。
助けるか助けられないか…助けられるなら何だっていい。私が帰るための手段を問わないように!
「…戻ったら安静にしてれば治ると思うわ。出血は止まったし、呼吸も安定している」
小さな歓声と安堵のため息が入り混じった声が上がった。他の冒険者も、やっぱり白はいい…と言っていた。
こんなイベントはゲームには無かったような気がする。それとも、私が認識していなかっただけ?
港について祝杯に誘われた。その夜は疲れていたので夜のバルクルムを越える気にはならなかった。
ところで怪我人が一番騒いでいた気がするのは気のせいだろうか?男は、頭がどうかしているに違いない。
夜が、更けていく。
17 :
Croire_491_ ◆PhQAq2ad6I :2007/02/17(土) 11:22:51.47 ID:S9QSh28O
//
…ということで保守もかねて、以上です。失礼しました。
18 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 14:49:15.11 ID:Rx6p9JfM
19 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 16:49:07.40 ID:WU/sGeg/
おッー!
「・・・何だ?こりゃあ」
山積みの書類を見上げる。
書類整理をしている兄弟の様子を見に来たはずなのに、何故本人でなく神学生の青年が書類に埋もれているのか。
そして何故、彼の兄弟が見当たらないのか。
「・・・エティ?」
ぐったりと机に突っ伏している青年を呼ぶと、彼はのろのろと顔をあげた。
「ノルバレンのオークはウィンダスのカレーに似ていて、ガルカが求める伝説においてブガードが、・・・・・・」
ぶつぶつと呟く。
駄目だこりゃ。よく分からんが壊れている。
「キース、あいつは?」
小柄故に書類の山に隠れていた少年に問うと、彼は無表情(青ざめているようにも見えた)で応えた。
「多分、あのあたりに」
示した先には、散らかった書類の山。
ちょっと待て。
「あのあたりに、埋まっているのか?」
「恐らくは」
「・・・・・・・・・・・・。」
このままでは、彼自身も手伝わされそうだ。危険を察し、素知らぬ風で逃げようとする。
が、扉のドアに手をかける前にそれを聞いた。
《バインド》の魔法の詠唱が完了する声を。
21 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 21:56:39.23 ID:Xhb+YI4o
初めまして。ここでは初めて投稿します。
忌憚のない意見をお待ちしています。
22 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 21:57:21.77 ID:Xhb+YI4o
001
いろいろと考えてみたけれど、やっぱりその店のマスターは、世界中の誰よりも
野兎のグリルを美味しく作ることができた。僕は断言できる。外はカリっと香ばしく、
中は赤黒いレアで、噛めば噛むほど肉汁が溢れるような。香辛料はマージョラム
だけで、たぶん肉の臭みをとるくらいにしか使っていないと思う。塩すらふりかけて
いない。それにしても美味しい。とてもとても美味しい。僕が思うに焼き方に秘密が
あると思う。でもその店はそこにはない。本当に。昨日も一昨日も、今日の昼だって
その店があった所にいってみたけれど、やっぱりその店は跡形もなく無くなっていた。
それも一晩で。4日前のことだ。
僕はその件でため息を何回もついている。ああ神よ僕はどうすればいいのでしょうか。
23 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 21:57:49.85 ID:Xhb+YI4o
002
僕はこれからどこでお昼ご飯を食べればいいのでしょうか。朝昼晩と
三食自炊は正直ツライんです。僕は独り者なんです。ああ、神よ。この
悲しきガルカに幸あれ。
神様は、或いは女神様は(本当にいたら、なんだろうけど)そんなこと
いわれても、私はいろいろと忙しいんだから、とでも言いそうだ。
願い事を叶えるにも優先順位というものがあるでしょう。わかってくださいよ、
ガッダルさん。
そんなことわかりませんよ、とガッダルさん(つまり僕ですね)は神様に
言うだろう。だってマスターの作る野兎のグリルはとてもとても美味しい
んですよ。神様も一度食べたらやみつきになりますよ。僕は断言できます。
なので早くマスターを探してください。はやくはやく。
24 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 21:58:18.74 ID:Xhb+YI4o
003
ともあれ、マスターは何処にいってしまったんだろう。僕にはもちろん
心当たりはないし、そもそも僕はマスターとあまり話したことがない。
むしろほとんど話したことがないんじゃないかな。カランコロンと鈴付きの
ドアを開けて店の中に入って、狭い、6席しかないカウンターの一番奥から
2番目の席に腰を下ろし、マスターに「野兎のグリル、オレンジジュース」と
声をかけて、マスターは無言で頷き、野兎の肉を焼きはじめ、丁度15分後に、
破滅的に美味しそうな香りを醸す野兎のグリルと絞りたてのオレンジジュースを
持ってきて、「どうぞ」と僕に声をかけ、次の客が入ってくるまでカウンターの中で
新聞を読み始める。そんなやりとりがもう3年も続いていたっていうのに。
25 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 21:59:12.12 ID:Xhb+YI4o
004
ある日突然無くなったんだもの。店跡形もなく無くなっていたその日、僕は店が
存在していた場所の前で、僕ができる一通りの、精一杯の負の感情を表現した。
つまり、その場に立ちつくし、呆気にとられ、天を仰ぎ、首を横に振り、
眉間にしわをよせ、じだんだを踏み、そして肩をめいいっぱい落としてトボトボと
家路についた。一体僕は毎日何のためにウィンダスの街中を午前中ずっと
走っているというんだ。その店の野兎のグリルを美味しく美味しく食べるためなのに。
まぁ、世の中は理不尽な事がいっぱいある。いちいちかまっちゃいられないけれど、
僕にとっては一大事だった。僕は本当に、その店があった場所の前で立ちつくして
いた。次の日の夜に会ったタルタルの友人に一部始終を話したけど、その友人は
「あぁ、それはとても不幸な出来事だったね」とでも言いたそうな(実際言ったけど)、
本当に悲しそうな眼をして僕を慰めた。曰く、「その出来事はとても残念で、
理不尽で、どうしょうもなかった。世の中ってそんな理不尽な事が往々にして
起こるものだよ。同情するよ。多くの人々は、そのような経験をして年を重ねて
いくものなんだよ。そりゃあ、僕だってそんな出来事に出会うかもしれないしね」云々。
26 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 22:01:15.22 ID:cbEquI96
全力で黒歴史刻んでるスレはここでしょうか
27 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:01:20.40 ID:Xhb+YI4o
005
でも彼はそんな出来事に出会わないだろう。そしてあなたは(君ですよ、君)
そんな経験をしたことがありますか?ないでしょう。だからあなたは僕に言えるのだ。
「まぁそんなに気を落とすなよ」「明日はいい事があるよ」「そんな事で悲しんで
いてもしょうがないよ」と。でも、実際自分の身に降りかかったら立ちつくすしか
ないのだ。これはその出来事の中心にいる本人にしかわからないし、その周りに
いる見ているだけの人には実感しにくいものなのだ。そこに越えがたい壁の
ようなものが確かにあるのだ。本人は立ちつくすしかないのである。そして周りの
人々は見守るしかないのである。そう、何回も言うけれど、理不尽な出来事が
起こった時って、本人は立ちつくすしかないものだ。たとえば、長年連れ添った
彼女と所属LSのリーダーがセックスをしている現場をたまたま見てしまった時とか。
たとえば、お金に少々困って、お気に入りの出来のいいブリガンダインを、
そこそこの値段で売った直後にギルの価値が暴落した時とか。たとえば、
ウィンダスからジュノへチョコボを借りて走っている途中、乗っていたチョコボの
レンタル時間が過ぎてメリファト山地に一人放り出された時とか。たとえば、
全然関係ないのにHNMLS間の抗争に巻き込まれてしまったりとか。
28 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:04:05.49 ID:Xhb+YI4o
006
そして、たとえば、毎日通っていた店がある日突如消えてしまった時とか。
ありえないような事だけれど、そういう時って当の本人は立ちつくすしかないのだ。
誰かが暇つぶしに天へ石つぶてを投げて、その石つぶてが頭に当たる
不幸な人はいるのだ。石つぶてを投げた人はその石つぶての行方を知らないし、
知ろうともしないんだけれど。クソッタレ、と思う。クソッタレ。どうにでもなれ。
29 :
既にその名前は使われています:2007/02/17(土) 22:04:56.28 ID:Xhb+YI4o
007
仕事の話をしよう。僕の仕事は、人の話を聞く事だ。誇張ではなく。
僕に話を聞いて欲しい人は、僕にアポイントメントをとって、指定の時間に
僕の事務所へ訪れる。大抵は午後だ。午前中は、僕は(野兎のグリルを
美味しく食べるために!!)走っているから断ることが多い。そして依頼人は
2.3時間程、個人的な出来事や、ある事に対して感じた事、思っている事を話して、
僕の一言、二言のコメントを聞き、僕にお金を払い帰っていく。そんな仕事を
何年もしている。これは自慢なんだけど、僕は相槌ができる。「なるほど」とか、
「そうですね」とか、「確かに」とか、「おっしゃっている意味は判ります」とか、
「よく理解できます」とか、「お気持ちをお察しします」とか、「残念な事です」とか。
あと、何事に対してもそこそこ忍耐強くて、何時間でもずっと黙っていることができる。
そのおかげで、多くはないけれど、まぁまぁの生活が過ごせるくらいの
報酬を貰っているのだ。
30 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:05:29.40 ID:Xhb+YI4o
008
依頼人は大体がモグハウスを借りるような冒険者だ。
彼ら、或いは彼女達は、『立ちつくす』出来事によく遭遇するらしい。
そして僕のところにやってくる。その『立ちつくした』どうしようもない出来事を、
僕と依頼人で消化する。正確には、基本的には依頼人だけで消化するんだけれど、
その消化に僕は『相槌』分くらい貢献している。つまりは、スガシカオの歌う
『君の願いとぼくのウソをあわせて』ってヤツだ。……スガシカオって誰だろう。
まぁいい。深く考えない。ともあれ、僕の事務所の顧客リストの内訳はほとんど
冒険者なわけで、僕のことを土地の人はあまり使わないようだ。慎ましく、
規則正しい生活を送っている土地の人々は、『立ちつくす』出来事にあまり
遭遇しないようだし、もし仮に遭遇したとしても、うまく切り抜ける(もしくは
その出来事を都合よく忘れ去る)技術を持っているからだ。
31 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:06:04.51 ID:Xhb+YI4o
009
事務所はウィンダスの水の区モグハウス出口から、西へ5分くらい歩いた
ところにある。狭いワンルームの事務所だ。メープル製のテーブルと椅子が4つ、
備え付けのチェストが2つ。それで部屋の中はいっぱいいっぱいだ。しかし、
なかなか居心地がいいのだ。モグハウスから近いので訪問者からの評判も
上々だし、まわりは静かだ。風通しもいい。昼はやわらかい日差しが部屋に
入ってくるし、夜は心地よくてちょっと肌寒い風が通り抜ける。
築30年くらいの一軒家だけれど、管理人のタルタルはとても誠実な人で、
献身的に手入れをしていたようだ。彼の本業は農家で、一家でウィンダス茶葉を
作っている。そして僕はそのタルタルから、形の悪い、商品にならないような
茶葉をたまに貰う。この茶葉でいれたウィンダスティーは抜群に美味い。
商品にならないのは形が不揃いだからであって、味わいは一等級とかわらない。
そのかわりに茶葉作りを手伝う。茶葉を摘んだりとかはしないけれど、
揉んだり蒸したりはさせてくれる。僕はこう見えても器用なのだ。
32 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:06:29.79 ID:Xhb+YI4o
010
僕は、その貰った茶葉で淹れたウィンダスティーを飲みながら、今日の依頼人の
到着を事務所で待っている。待つ、待つ、待つ。はたして彼女はやってきた。
約束の時間よりピッタリ10分はやく、ドアをノックした。僕はドアノブに手を
かけながら、今日の依頼人の顔を想像する。ファーストインプレッションって
結構大事だから、ニコっと笑って出迎えるか、眉間に皺をよせながら難しい顔を
して招き入れるか、僕は依頼人の顔を見て選択する。ドアの前に立っている
ヒュームの女性は小柄でとても綺麗だった。整った顔立ちをしていた。でも、
うつむいていて、とても悲しそうな顔をしていた。「なんで私がこんな目にあわ
なければいけないんだろう」そんな事を言いたそうな唇だ。
33 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:07:14.82 ID:Xhb+YI4o
011
失礼な言い方だけれど、適度に不幸な女性って綺麗で艶のあるように
見えるものだ。服装は赤いチュニックとパンツで、太ももがあらわになっている。
よく鍛えられた、黒虎のような筋肉だ。帯刀している片手剣は所在無さげに腰の
辺りでぶらぶらしている。とにかく、彼女は事務所のドアの前で『立ちつくして』いた。
僕は彼女にニッコリと笑って、「どうぞ」と声をかけて部屋の中へ迎えた。
片手剣を預かって、彼女を4つの椅子の中で一番綺麗なものに座らせる。
僕は彼女のために、丁寧にウィンダスティーを淹れた。そして僕は彼女から見て、
右手の椅子に腰かけた。向かい合っては座らない。
「お茶、美味しいですね」と彼女は言った。僕と会って、初めて発した言葉だった。
僕は「ありがとう」と言った。この茶葉を作っているタルタルがいかに誠実な
仕事をする人か、とかは言わない。言ってもしょうがない。だって彼女は
そんなことを聞きにきたのではないのだから。
34 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:07:51.88 ID:Xhb+YI4o
012
そしてちょっと事務的な会話をする。こんにちは。今日はようこそおいで
くださいました。僕の名前はガッダルです。あなたの名前はノナニアさんで
よろしいですね?お約束したご相談時間は3時間ですが、短くなっても
長くなってもかまいません。料金は前払いですが、本日の午前中までに
ノナニアさんからの入金を確認しておりますので問題ありません。ご相談が
短くなった時間分の差額はお返ししております。長くなった分は頂いて
おりません。守秘義務ですが、私はウィンダス国民で、ここはウィンダス
ですので、ウィンダス法 第134条 第1項が適用されます。そして、何人たりとも
私が業務上知り得た人の秘密を他人に教える義務はございません。
35 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:09:47.87 ID:Xhb+YI4o
013
正当な理由があって、国から開示を求められたとしてもです。ウィンダスは
そんな国なんです。けっこうヘビーな出来事が起こって裁判所なりへ出向いても、
「そのことを話す義務はない」と言えばそれで終わりなんです。あちらさんも
「義務がないならしょうがない」で終っちゃうんです。建前上、開示してくれって
言われるんですけれどね。諦めちゃうんです。国自体が素直で享楽的なんです。
まぁ、サンドリアとの関係はちょっと複雑なんですけどね。依頼人の方が
サンドリア国民の場合はちょっと違うんです。サンドリア国憲法ってものが
クセモノでしてね。二国間の犯罪者引渡し協定っていう難儀なものを結んじゃった
んです。大昔に。その関係でサンドリアへ情報開示をしなければならない事が
あるんです。でもノナニアさんは大丈夫ですよ。あなたはバストゥーク国民ですから。
36 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:10:11.84 ID:Xhb+YI4o
014
そしてですねぇ、大変お手数をお掛けしますが、この書類のこことここにサインを
お願いします。そうそう、ここです。あと、この誓約書にもサインをお願いします。
裏にも色々と書いてありますので、できればちゃんと理解されてからサインして
くださいね。あ、この誓約書にも書いてあるのですが、一応僕の口からも
お伝えしておきます。ノナニアさんにも守秘義務があるんです。でもそんなに
深く考えなくても大丈夫です。その守秘義務は無視して頂いて結構です。
すみませんね、誓約書ってそんなものなんです。大丈夫、僕は守りますよ。
それが仕事ですし。
37 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:10:34.62 ID:Xhb+YI4o
015
彼女は僕が一方的に話しかけている間中、ずっと目の前にある緑色の
液体を眺めていた。そりゃそうだ。そんな事を聞きたくて僕に会いにきた訳じゃ
ないのだ。そんなことは僕だってわかっている。でもしょうがないじゃないか。
義務なんだし。ともあれ、僕の演説は終わり、彼女が2枚の紙に3回サインをして、
その後30分程雑談をした。大丈夫、タイムスケジュール通り、事は運んでいる。
彼女の協力のおかげで。彼女は、この雑談が自身の緊張をほぐすためだと
理解していて、そのために一所懸命に努力してくれている。とてもありがたいことだ。
38 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:10:52.69 ID:Xhb+YI4o
016
彼女は、冒険者で、ウィンダスに滞在している理由は国から依頼された、
とあるミッションのためで、ジョブは赤魔道士で、つい最近24歳になって、
付き合っている特定の人はいなくて、でもたまにセックスをする男性が
複数人いて、毎回の食事はけっこうな量の料理を食べて、日中は街中を
ぶらぶらしたりフレンドと雑談をして、日が暮れるとミッションの進捗を確認し、
しかるべき場所でしかるべき活動をして、モグハウスに夜遅く帰ってきて、
ベッドから起きるのは昼前で、甲高い声で喋りかけるモーグリにちょっと
うんざりしていて、自炊はあまりしていなくて、そしてまた街中をぶらぶらして、
とまぁ、典型的な中流冒険者のようだった。
39 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:11:53.93 ID:Xhb+YI4o
017
そして彼女は黙った。貝のように。でも、その唇はやっぱり何か言いたげだった。
「なんで私がこんな目にあわなければいけないんだろう」と。僕はよく理解できる。
そして待つ。待つ、待つ、待つ。僕は腕組みをしてメープルで出来たテーブルの
木目を見る。少々難しそうな顔をしながら暇つぶしをする。待つ、待つ、待つ。
こういう時は待つに限る。彼女はじきに語りだすだろう。自分がいかに
『立ちつくして』いるかを。語りだす方法は大体2通りある。何もかも諦めて、
しょうがない、このガルカに話しでもしないと自分は進めないのだから、と口を開く。
あるいは、意を決して、この問題を解決しようと、僕の目を見て、自分を納得させる
ように一言一言思いを込めて語り始める。
彼女は後者だった。彼女は語り始めた。
ぽつぽつと。でも言葉を選んで、しっかりと。
40 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 22:12:10.41 ID:Xhb+YI4o
018
「私は、2回、女性を無理矢理犯したことがあるんです」
と、彼女は僕の顎と首の真ん中辺りを見つめながら言った。
「たぶん勘違いとか、思い違いとかじゃないと思うんです。最近気付いたんです。
正確な日時とか、場所とかは覚えてないですけれど……でも、確かに私は女性を
無理矢理犯したことがあるんです」
「1回目と2回目は同じ人ですか。それとも違う人?お知り合いですか」
「違う人です。知らない人です。というか、知らなかった人です。犯した後に
友達になったんです。1回目の人は交通事故で死んじゃいました。それで、
死んだ次の日に他の人を犯しました」
41 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:16:39.77 ID:Xhb+YI4o
019
「一回目の人は、マユミと言います。マユミとは朝の駅で出会いました。
髪の毛が黒くて、とても幼い子でした。17歳くらいだったとおもいます。その日、
私は休日なのに出勤のために駅のホームにいました。そしてデンシャが、
……船といいますか、まぁ、船のようなものがきて、その船に私は乗りました。
そして、その船のドアが閉まりそうになった時、階段をドタドタと降りてきて、
間一髪で船に乗り込めた女の子がいました。その子が、マユミだったんです。
汗で、首筋にべったりと髪の毛がくっついていました。私はそれをじっと見て
いました。マユミは荒れた息を整えながら、窓の外の景色を見ていました。
そして、私の視線に気付いて、私を見たんです。私達は見つめ合いました。
次の駅につくまで。そしてマユミはその駅で降りて改札口の方向へ行って
しまいました。私はちょっと迷ったんですが、私もその駅を降りました」
42 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:18:18.74 ID:Xhb+YI4o
020
「とりあえず私も改札口の方向へ歩き出しました。そこでマユミは私を待って
いました。……すみませんよくわかりません。待っていなかったのかもしれない。
とにかく、私はマユミをまた発見しました。マユミはトイレへいこうとしていました。
私もいってみました。マユミは男子トイレの……個室に入ったようでした。
私はドアを叩こうとして押してみたら、カギはかかっていませんでした。
中を覗くと、マユミは下着を下ろして、股を広げていました。そして、私はマユミを
犯しました。マユミは私の耳元で、小さい声で『やめて』と言いました。」
43 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:18:43.96 ID:Xhb+YI4o
021
「でも私はやめませんでした。そういう特殊な場面に立ち会った時の性欲って、
抑えきれないんです。とても気持ちよかったです。たぶんマユミは処女だったと
思います。足が震えていたというよりも、痙攣していました。事が終った後、
どうしようかな、と思いました。私は、なるようになるさ、と思うようにしました。
ベルトを締めて、私はその個室から出ました。洗面台で手を洗っていると、
個室の内側からガチャリとカギを閉めた音がしたあと、すすり泣く声が、
嗚咽が静かに漏れてきました。私はそれどころではありませんでした。
その時点で出社時間を30分もオーバーしていたんです」
彼女はウィンダスティーを一口飲んだ。もう美味しくはないだろう。ちょっと時間が
立ちすぎているし。
44 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:20:30.94 ID:Xhb+YI4o
022
「丁度7日後に、マユミとまた同じ駅で会いました。マユミは私の姿を見て、
ちょっと吃驚して、そして大分恥ずかしそうに声をかけてきました。『この前は
ごめんなさい』とマユミは言いました。『初めてだったからどうしていいのか
わからなくて……』私は『こちらこそごめんね』と言いました。白々しいですね。
でも本当に言っちゃったんです。そして私はマユミと一緒にドトールでブレンド
コーヒーを飲みました。マユミはドトールにいる間中、ずっと喋っていました。
顎が疲れるんじゃないのかな、と私が心配するくらいに話してました。
高校生活の事、仲のいい女友達の事、好きな先輩の事、両親の事、3つ下の
頭の回転が速くて勉強がデキる弟の事……」
45 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:21:01.01 ID:Xhb+YI4o
023
「これから大変だって言ってました。
『2年の前期までは理系科目のほうが点数がとれてたから、文理で分かれる時、
そっちの科目を選択したけれど、勉強していくにつれて、私の頭って感覚で
物事を考えるんだってわかってきたの。理詰めで考えられないの。数学とかの
成績がよかったのは、ちゃんと勉強していたからなの。でも最近は勉強しても
わかんないことが多くて…実際、点数が落ちてきている。勉強しても勉強しても
授業が理解できないの。大丈夫なのかな私』って、そんな感じで」
僕はメモを取りながら聞いている。よくわからない単語が多いけれど、
いちいち聞くのも野暮な話だ。そう、彼女の話している事はよくわからないけれど。
46 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:21:34.99 ID:Xhb+YI4o
024
「結局私達は、その日はセックスをしませんでした。お互い満足だったし、
前に経験した以上の興奮は得られないとわかっていたんです。連絡先も
聞きませんでした。マユミについて、客観的な情報として判明したものは、
マユミはマユミという名前だった、ということだけでした。マユミの死は新聞で
知りました。交通事故でした。相手の飲酒運転。大型トラックが歩道に突っ込んで
きたんですって。フルネームはオノマユミということを、その時初めて知りました。
お葬式にはいきませんでした。今までお話したことが1回目の人のすべてです」
そして、彼女は頬杖をついて目を閉じた。僕は彼女のために、お茶を淹れなおした。
前回よりも丁寧に。
僕が彼女にお茶を差し出し、席に着いた後、彼女はお茶をすすって息を整えた。
「こんな事を他人にお話したのは初めてです」
と彼女は言った。
「ノナニアさん、あなたの今のお気持ちはよく理解できます」
と僕は言った。彼女は僕の言葉を聞いていくぶんほっとした様子だった。そう、
『君の願いとぼくのウソをあわせて』ってヤツだ。
47 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:22:06.81 ID:Xhb+YI4o
025
「最近よく夢をみるんです。イヤな夢です。主人公は私なんだけれど、私のようで
私でないようで、その、表現をしにくいのですが、体の構造から全然違うんです。
でも私のようなんです。以前見ていた夢は違いました。気持ちのいい夢でも、
悪い夢でも夢の中の私は確実に私でした。でも最近は違うんです。うまく言い
あらわせません。先ほどお話ししたことは私の夢のようですが、多分夢じゃないと
思います。私は、確かに、そのような行為をしたんです。私は、無理矢理犯して
欲しいと思ってる女性を見分ける事ができるんです。私はそんな人と3人、
出会いました。なんとなく、匂いが違うんです。どう表現していいのかわかりま
せんが、その3人の女性は壁のあちら側にいる感じなんです。越えがたい壁の
あちら側に。マユミはその3人の女性の中の1人でした。あちら側の人間だった
んです。でも、私はノーマルなセックスが好きなんです。当時は彼女もいましたし。
こう見えてもそこそこモテていたんです」
「どうしてでしょうね。同性だからではないでしょうか」
「私は、当時男性だったんです」
48 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:22:43.58 ID:Xhb+YI4o
026
男性だったんです。僕は彼女を見て頷いてみせた。私は、当時、
男性、だったんです。オーケイ了解した。そして話を続けるようにうながした。
49 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:24:58.32 ID:Xhb+YI4o
027
「私は確かに男性だったんです。心も身体も。今の身体とは違うんです。
最近気付いたんです。深く、深く、1人で目をつむって思考していると、だんだんと
心の内側から、どうしようもない違和感がこんこんと湧き上がってくるんです。
その『心の内側にいる私』は、私のようで私でないような感じなんです。
そして心の外側に出てきません。そこにも越えがたい壁があるんです。
『心の内側にいる私』は、どこにでもいる、ごくごく一般の成人男性です。でも、
私と『心の内側にいる私』は(何度も言うようですが)根本的な部分で違います。
性別とか、そういうものではなく。人を作る設計段階から違うというか」
50 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:25:16.12 ID:Xhb+YI4o
028
「ノナニアさん。あなたは10代前半の頃、どこで生活を送っていましたか」
「バストゥークの港区です。港区中央北10条西。そこで両親と3人で暮らして
いました。学校では強化魔法を中心に学んでいました。剣術は第二村井道場の
早川心願二刀流です。あなたのおっしゃりたい事はわかります。それは私の
人生です。『心の内側にいる私』とは違うんです」
「話をまったく変えるようで恐縮ですが、ノナニアさん、あなたは死後、
どうなってしまうとお考えですか。そのまま朽ち果てるのか、それとも楽園の
扉の向こうへいってしまう?」
彼女は首をかしげた。
「よくわかりません。死なないとわからないと思います」
51 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:25:35.66 ID:Xhb+YI4o
029
「ヤグート族が信仰する(一般に邪教と言われていますが)宗教に、
輪廻転生という考え方があるのはご存知ですか」
「知っています。一応、大筋は理解できているつもりです。でも私は死んだら
別の人として又生まれ変わるというのは、想像しにくいんです。でも、多かれ
少なかれ、そのような事ってあると思うんです。私はヒュームとして、ガルカの
あなたを前世で迫害したかどうかはわかりませんが、私の遺伝子は、つまり私の
7世代くらい前の先祖は、ガルカを迫害していたでしょう。その遺伝子を、
私は持っていると思います。そして、この事実は、この先私が子供を生まなくても、
私が関わったすべての人の人生に、私は多からず少なからず、影響を与えて
いきます。その点においては、私の意志というか、そういうものは私の遺伝子を
受け継ぐ子を持たなくても、未来へ受け継がれていくでしょう。それが輪廻と
いうのなら、そうなのでしょう。私の考えに破綻がないのであれば」
52 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:26:14.29 ID:Xhb+YI4o
030
「輪廻転生の考え方と、私達ガルカの実際的な転生の違いは、さておきましょう。
あなたの考えるそのような『輪廻の輪』のなかに、あなたの言う『心の内側に
いる私』は関わっていますか」
彼女は首を横にふった。
「関わっていません。まったく関わっていません。世界がちがうんです。
確かに世界が違うんです。なにもかもが違うんです。こちらとあちらでは。
そして、こちらとあちらの間には、『越えがたい壁』のようなものが確実に
存在するんです。私は実際にそれをみたことがありません。でも確実に存在する
んです。私はその壁を越えなければいけない。そんな気が最近するんです」
「心中をお察しします」
53 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:26:47.70 ID:Xhb+YI4o
031
彼女は、確かに『立ちつくして』いた。でも、大丈夫だろうと思う。普通であれば、
彼女は彼女なりに、そのようにわき起こってしまった疑いの心と、
うまく折り合いをつけて生活をしていくのだろうと思う。僕は、彼女について
それ以上の事を考えようとはしない。僕は彼女の話を聞いてあげることしか
できないし、彼女はそれ以上のことを僕に求めていないのだから。
彼女は、幾分納得したような、納得しきれていないような、興味深い表情をしている。
54 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:27:48.43 ID:Xhb+YI4o
032
「2人の人物を紹介します」
と僕は言った。
「1人は森の区で開業している知人の医者です。彼はあなたに何種類かの
抗うつ剤と睡眠導入剤を処方してくれるでしょう。もう1人は、僕の冒険者時代からの
古い友人です。ナルルコルルというタルタルです。変わり者で癇癪持ちですが、
ノナニアさん、あなたの疑問に答えてくれるかもしれません。1人しか会わなくて
大丈夫ですし、どちらとも会わなくていいとも思います。もちろん2人とも会って
頂いてもかまいません。一応、2人にはあなたが訪れるかもしれないと連絡を入れて
おきましょう」
55 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:28:10.80 ID:Xhb+YI4o
033
さて、丁度3時間経った。上出来だ。僕たちは立ち上がり、彼女に片手剣を
お返しした。僕は彼女を見送るためにドアノブに手を置いた。
「ちょっとお聞きしたいのですが、これは個人的な質問なのでお答えしなくても
かまいません。ノナニアさん、あなたは無理矢理犯して欲しいと思ってる女性を
見分ける事ができる、と言った。その女性は3人です。そして実際に犯した女性は
2人。後の1人はそのような行為をしなかったのですか」
と、僕はドアを開けながら彼女に質問した。
「ええ、しませんでした」
と彼女はちょっと恥ずかしそうに言った。
「後の1人は私の母親だったんです」
56 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/17(土) 23:29:51.31 ID:Xhb+YI4o
034
私はその壁を越えなければいけない。そんな気が最近するんです。と、
彼女は言った。彼女の話は、僕には少し理解できなかった。ドトールとか、
デンシャとか、カイサツグチとか。でもそれでいいと思う。正直依頼人の話なんて
どうでもいいのだ。僕の興味があるのは依頼人の顔だけだ。(比喩的な表現として)
その顔に書いてあるのだ。その越えがたい壁を認識しているのか、認識して
いないのか。彼女はその壁を認識していた。彼女はナルルコルルに会いに
いくだろう。彼女がその壁を越えられるかどうかは、僕はわからないけれど。
でも、もしも、彼女が本当にその壁を越えられた時、彼女はこの世界から
跡形もなく消えてしまうのだろうと思う。そんな事を、世界中の誰よりも
野兎のグリルを美味しく作ることができるマスターがいた店が存在していた
場所で考えていた。マスターの顔にも書いてあった。マスターは、確かにその
越えがたい壁を認識していた。そして消えた。僕は立ちつくしている。
『私はその壁を越えなければいけない。そんな気が最近するんです』
クソッタレ。どうにでもなれ。
おわり
竜騎さん、Croireさん(読み方が解りません。俺は馬鹿です::)
そして◆N4hISqu3agさん、
面白〜〜〜〜!!!
>>10-12 さてデッかくなった子竜がどんな活躍するのか楽しみです。
…背にも乗れるな。ドラッグ・オン・ドラグーン?
>>17 白はヴァナ住人にとっても重宝されてるんですな。
ゲーム中でも依頼してほしいもんだ。
>>21 なんがい投下ご苦労様です。ダークっぽい、いやダークなお話。
俗に言うお悩み相談室の話ですね。これぞショートショートの王道って感じ。
しかし、主人公のガッダルさんが最初と最後で180度別人になってますが
猫かぶってたんですか?
さて、
やっと推敲終りました。
前々スレで「&%$#∩凵ロ√煤轣B」←が間違ってると知って驚愕。
そういや始めの頃はやってたのに何時の間にかミスったまま来てたのね、自分。
投下させて頂きます。
後頭部の首の上辺りを爪を立てやや強めに掻く。現実でもことあるごとにやっていた癖。
おかげでそこに傷が出来て、そこに引っ掻く度に痛い目にあったのだが、この体になってからその心配は無用になった。
「…確かにあんたたちが思ってる…、知ってる通り俺たちは別の世界の人間だ」
口に手を当てているウピさんとは対象にエンササさんは無反応だった。先を、ってことらしい。
「俺たちはモニターっていう代物を通し、この世界を見ていた。あくまで俺たちがいる世界で、この体を動かしていた」
親指で自分を指す。外ではいつもと変らない川のせせらぎが聞こえていた。いつもと変わらないウィンダス。
「その世界では、この世界とは考え方も、暮らし方も、人々も全く違う世界…多分あんたたちが想像し難いところだ。
その世界にはタルタル族はいない。エルヴァーン、ミスラ、ガルカも。ヒュームによく似た種族のみがいる。
…もともと俺もそうだ」
「……」「一応だけど、その世界はこの世界の未来じゃないと思う。
過去の文献にはこの世界について全く載ってないからな」
「少し安心したね」話を続けるようにと示される。
「そのモニターから見た世界は忠実にこの世界を写していない。
だから、多くの人がこの世界があることを知らない。…いや、『誰一人』知っていないんだ」
エンササさんが鼻から煙を出す。
「一番肝心なこと言ってないね。あんたたちはこの世界でいったい何をやっているんだい?」
「…言えない」
国のトップ級は知らないが、ヴァナ住人は俺たちの行動をよくは知っていない。
ミッション、他それに準ずるクエストはおそらくは完全にゲーム中の設定。
闇王の復活、古代人ジラートの末裔の暗躍、プロマシア神の降臨。そしてヴァナ・ディールの創世の秘密云々は、
ヴァナの人たちとって預かり知らぬことばかりだった。だからこそ、俺はこのことは話すことができない。
「……早速かい、じゃ質問を変えるよ。なんでその世界の人たちはこのヴァナを知らないんだい?」
「言えない」
「なんであんた達は、不自然な行動ばかりするんだい?」
「言えない」
「それをあんた達は不自然だとも思っていない節があるけど、それは何故だい?」
「………言えない」
一つ、ここはゲームの世界だと認知されてるから多くの人たちが知らない。
そもそもこの世界が実際に存在していないと思っている。
二つ、ここはゲームの世界だから俺たちの行動はなんら不思議なことじゃない。
三つ、同上に同じ理由。
答えるのは至極簡単。相手の気持ちを考えなきゃな。だけどその理由とは別の理由が俺にはあった。
「埒があかないね。これじゃ話を聞いてないのとお」「…よくまだ判っていないんだ、俺自身」
「……、それは何故だい?」「……」「言えない、って言うつ」
「まだ掴みきれていない。俺が本当にこの世界にいるのか、俺がもといたその世界が本当に俺の世界なのかを」
「……」
「本当のことが判ったら全部話す。包み隠さず全部。それまで待ってくれないか?」
本当は話したい。ここはゲームの世界なんかじゃない。あんた達は本当にここにいる。俺たちがここにいるのと同じように。
だけどまだ早い。俺自身が足場をしっかり踏んでいないんだ。引き上げる者が足をプルプルさせてるなんて怖いだろ?
紫煙が再び部屋を舞う。煙が喉にひっかかり少し咳き込む。(そういや、俺タバコ吸わないもんな)
「あんたみたいな冒険者を私らは始めて見た。聞かなくても私らがあんたをどう思っているかわかるだろうに」
コトン。
「しばらくあんたを見守っておくよ。ひょっとしたらあんたみたいな冒険者がひょっこり訪れてくるかもしれないしね」
あ、それはかなり困る。悪いほうの最上級の意味で正直者だったら、俺のやっていることが無意味になる。
「さてと、あんたを困らせる、もといイジメるのはこれくらいにして」ええっ!?イジメられてたのかよ!?
「ほい、薬だ」…フリートの薬だ。「ありがとう。…いつも聞いてるけどお金は?」ニヤリとエンササさんが笑う。
「いつも言っているけどあんたのやるべきことを成したら請求するよ。色もつけてね」
「こわいや」「商売人だからねぇ」
戸を開け、外に出る。リアルの時モニター越しに見た時とは違うきれいな夕焼けが広がっていた。本当にきれいな。
「…じゃ。あいつも治ったら、お礼に来させるよ」「気にしなくていいよ。言ったろ、あんたはお得意さんだって」
声をあげて笑おうとした。…出来ない。目の端で『冒険者』を捕らえる。おそらくこの店の端で釣りを始めるつもりだろう。
「…ありがとう、いくよ」小声で言って店を離れた。そいつとすれ違うとき身を強張らしたが杞憂におわった。
暫くは走っていく。普通は歩いて移動しない、『プレイヤー』は。『来訪』した身にとっては結構きついな、常時オートラン。
モグハウス前にたどり着く。ふと振り返る。「お…」
朱色に染まった空にポツポツと星が瞬いている。さながらバーミリオンクロークを広げたかのような。
「……不器用に生きる意味探して 紙ふぶきから一つ探るよ 真冬の空駆け上がって…」
リアルで聞いたことがある唄。思わず口につく。
「…心に響く風の音聞く人の旅路さ どこまで伸びるかな 夢を型抜き冬を越してゆくよ…」
「…報告したっていいんだよ、ウピ。そうすりゃあんたは無罪放免だ」「エンササさん…」
相も変らず『冒険者』は釣りに没頭している。店先に立っている二人を気にもせず一心不乱に竿を振っていた。
「『冒険者に由来を聞いてはならない。冒険者を信頼してはいけない。故に冒険者と話すべからず』基本三原則だ。」
「なんで…」「うん?」「なんでそこまでわかっていてて、あの冒険者に、聞いたんですか…」
「…悪い癖だろうねぇ、あたしの」「……」「ロベルタは知らないほうがいいこともある、っていうけどね。」
エンササは紫煙を横の『冒険者』に向かって直に吹きかけた。
普通なら咳き込むところだが、『冒険者』はなんら変化を見せなかった。
「…あの子は咳き込んだ、少しの煙でね。始めて来たときも煙の行方を気にしていた。普通の『冒険者』じゃない」
「……」『冒険者』がフナを釣り上げた。
無造作に自らのカバンに苦しそうにもがいているフナを突っ込み、すぐに釣りに戻る。
「まぁ私の我侭だからね、あんたに迷惑をかけられない。直ぐにでも…」
「いいえ!」エンササがビックリしたように見上げる。
「そんなこと、できません!!」ため息をつく。「あんたねぇ…」
「私はエンササさんに拾ってもらって、ここで働かせてもらってます。雇い主にそんなことできません」
「…、でもあんたがどうな」
「それに」ウピがしゃがみ、エンササの視線の高さに合わす。
「こんな誰もが聞いたことがないことを、検査官に全部話すのは勿体ないと思いません?」
ウピの両耳がピコピコ動く。
「……あっはは!!確かにそりゃそうだ!」「うふふ、ですよね?」ウィンダスの空に夜の帳が落ち始める。
「…さて、もう人頑張りしようかね。夜に来る冒険者用に商品を陳列しなきゃ。」「ハイっ」
エンササとウピが店に入っていく。
まだ『冒険者』は釣りをしていた。彼のカバンは、死にゆく運命にある数匹のフナの必死の抵抗によって時折跳ねる。
その彼の丁度正面、そこの森の下の草むらが音もなくユラリと揺れた。同時に
「『冒険者』どもめ…、相変わらず気味の悪いやつらだ…」スゥ…とその影が後ろの闇に消えた。
まぁ、エンササとウピさんが話したこと、その怪しい影の存在、
そんなこと俺には知る術なんてなかったけどな。
「……でも、バレ自身も確信していないんでしょ?その人たちが本当に生きてるってこと…」サニーが俯いたまま言った。
「だからこそ信じたい、っていうのが本当のところ。…じゃなきゃ、俺たちがここにいることも否定しそうで怖い。」
サニーが体をギュッと固くした。「…でも、絶対違うじゃない。私たちと、ここの人たちとは…。
バレも言ったじゃない、私たちの世界は『この世界とは考え方も、暮らし方も、人々も全く違う世界』って…」
競売で買ったばかりのエレマイトワンドの柄の汚れを拭う。薄く削ったウィロー材でコーティングされてるが少し血まな臭い。
オークのNM、Ashmaker Gotblutが落とすハーミットワンドが元だから当然、か。
「…始めてここに来たときさ、フリート…うちのモーグリの名前なんだけどさ。…あいつ、俺と話してすごい喜んだんだ」
「……」「上手くいえないけど…、多分あいつは信じ続けていたんだと思う。『俺たちと話せる』ってこと」
見上げたサニーを真っ直ぐ見た。「だから、俺も信じたい。あいつがいるこの世界を」
暫くすると、ふとサニーの目の奥がふわっと緩んだ。「…うん」再び顔を俯かせる。
(…既に認めてたかもしれない。怖かったんだろうか…)ズリズリと座ったままサニーに近づく。
「…ていうか、話の途中でこの世界の人たちが本当にいる前提で話してたしな、俺たち」ニヤリと笑った。
「あ…」「なっ」ぷっとサニーが吹き出した。「あはははっ!!」
暫くのあいだ森の区と港の間の道に笑い声が上がった。
「……私も話したよ。名前は聞いてないけど。」「モーグリ?」
「うん、すっごいビックリしてた。あんなに開けれるんだね、眼」
「あ、それ俺も驚いた。ていうか眼あったんだ、って」「いや、あるでしょ?」また笑い声が上がる。
サニーと話して気付いた。サニーと話しても、エンササさんと話しても、ウィンの人たちと話しても、
そしてフリートと話しても、ちっとも変わらない。なにも
変わらない。
「…でも」「うん?」
「ここが本当にあったとして、じゃあ■eが私たちを取り込んだってこと?
世界的な会社といってもゲーム会社でしょう?こんな大それたことできるなんて考えられない。
私たちは本当はどこにいるんだろう…」
そう、そこが『?』だ。仮に■eが俺たちをこっそり拉致って、地下なんかで頭なんかに機器をつないで
幻影を見せているとしても、それが■eにとってなんのメリットがあるのか。
バレたら会社の存続に関わる大スキャンダル物。まず倒産は間違いないだろう。
そもそもその技量が■eにあるとはとてもじゃないがあるとは思えない。今ある技術でも疑問符がつく、それなのにだ。
それじゃ、これは■eが想定していないことなんだろうか。その線も疑問だ。
FF11は他の神話や物語からヒントを得たとしていてもあくまで■eのオリジナルのゲーム。
FFのスタッフ、創造主達がネットワークの海辺に作りだしバーチャルの世界、その筈なんだ。
じゃあ『この世界』は■eが作り出した『世界』じゃないってことか? いったい俺たちがいるこの世界は…
「…ねぇ、バレ」サニーが突付く。顔を上げると何処かを見ている。視線を追った。「……!」
一人のタルタルが明らかに俺たちに近づいていた。一見チュニック系の胴を来た普通のタルタル。
だが、左腕にウィンダスの国旗と同じ模様の腕章が付いている。星の大樹に五つの星をあしらった遠目にも鮮やかな緑。
…天の塔の女官、それも星の神子に直に仕えている者だと、それは示していた。
座っている俺たちの目の前で深々とお辞儀をした。音もなく顔を上げる。
「星の神子さまがお二人にお会いしたいと託(ことづか)ってまいりました。天の塔までご同行願えますか?」
思わずサニーと顔を会わした。
投下終了。
正直JASLACがこわいです…。てかファンもこわいなぁ…。
書いてる途中、アルバム延々聞いてるんで思わず歌詞を転載。
転載箇所は
レミオロメンが唄う「紙ふぶき」のサビの部分です。
『HORIZON』収録
>>21 本人が忌憚のないレスを願ってるので、遠慮なくコメントしますw
どこか他で随分書いてるのか話の流れや構成に関しては、ほぼ申し分なし。上手い。
で、読み終って、どこか引っ掛かる部分があって読み返して感じたのは
「ヴァナ・ディールっぽくない」ことが非常に気になった。
ウィンダスに住む独り身のガルカの一人称が「僕」というのを始め
一人称で進む解説が子供っぽく幼稚で違和感がある。
(ガサツな文というわけではなく成人したガルカとしての種族の設定と合わない。タルタルっぽい?)
他にどんな話を書けるのか知らないで書きますが、
物語中盤からのセックスネタは必要性を感じない(&万人向けではない)。
「立ち尽くす悩み」は他の内容の方がヴァナ・ディール、もしくは自キャラになった設定らしさを出せるはず。
ついでに、相談者(男時)の「分かる能力」のせいで非現実世界として用意したヴァナと対する意味がなくなっている。
このネタで書くなら「分かる能力」はないほうがリアルさと「立ち尽くす悩み」の重さが出せるはず。
正直な所、この話はヴァナ&自キャラ設定省いて現実の相談屋ネタで書いたほうが面白いんじゃないかと思った。
__ __
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|;.イ"-ー:ェェヮ;::) f';;_-ェェ-ニ.`ト:|
二ヽl::.|:::''  ̄´.::;i, i `'' ̄ l:.レ',ニニニ7 朝起きたら自キャラになっていた
ヽl:.| ::. ....:;イ;:' l 、 l:.| ´ /
、___.l:.ト、:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ. ,.l.:|i___/
.|!:|::゙l ::´~===' '===''` |.:!l
.{.|:!::| 、 :: `::=====::" , i |:! |
/iヾ! :|. ゙l;:. ,i' リノト、
/ .| \ゝ、゙l;: ,,/;;,ノ;r'" :| \
'" | `''-、`'ー--─'";;-'''" ,| \_
72 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/18(日) 05:44:56.63 ID:cKt9C1BG
人のことを言えるほど偉くはないのでコメントは控えます。
とりあえず保守をかねてテンプレを。
初出:指定避難場所123
PC(仮)名:キーゼル(Kiesel)/中の人:Kiesel◆nu123wJPbk
種族フェイス:ヒュム♂F4金
ジョブ&Lv:自称戦士。でももしかして赤じゃない?ともっぱらの噂。サポ不明
特記事項:中の人は知識も技能も村人A。小さい。何故かシオンと同じ装備を持つ。クリスタル合成・魔法の使用が不可能。
活動エリア:サンドリア→コンシュ→バス
前スレまでのあらすじ:
"私"を狙う二人組と対峙するシオンとキーゼル。一方、意識を失った"私"は『夢』を見ていた。
そして"私"を護るために戦う二人の前に現れたのは、キーゼルと同じ、いや、"私"と同じ姿の少年だった。
「『鍵』は手に入れた」と高らかに宣言する、キーゼルでもなく、"私"でもない存在。
己を『鍵』とした彼は自ら『手に入れられること』を欲し、突如現れたタルタルによってキーゼルの手に渡る。
ここまで書くと、もう何の話だかさっぱりです。
他キャラとの接触:なし
独自レギュレーション:現在不明
まとめ:
http://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/Kiesel%20%a2%a1nu123wJPbk%a1%a1%a4%de%a4%c8%a4%e1
73 :
既にその名前は使われています:2007/02/18(日) 12:46:20.16 ID:AA4WtRli
おk、保守するお
ガルなら戦災孤児でウィンダスにいるてのは・・・。
ダメだ。ガルの20歳は人間で言う10歳だ。
20歳のとき戦災にあったら40歳だが物心ついてしまってるしな。
75 :
既にその名前は使われています:2007/02/18(日) 15:45:40.65 ID:8tAmGCQO
保守るよ!
76 :
既にその名前は使われています:2007/02/18(日) 20:40:40.31 ID:eZASQavc
age
初出: 1スレ161
PC(仮)名: Lead、リード / 中の人:161 ◆zmxSLEadCU
種族フェイス: エル♂F4A
ジョブ&Lv: 不明 (片手剣、ガンビスンとガリシュズボン)
特記事項:
ジョブチェンジ不能。クリスタル合成不能。睡眠がとれない。
禍神から「マガシキノロイ」を受けている(→仕様が変わった?) 。
はじめは記憶喪失だったが、記憶復活。管理者組織の裏切り者と判明。
前スレ(17&17.5スレ)のあらすじ:
デム遺跡の町で昼食をとり、冒険者の二人組を囮として雇う。
バストゥークに向かうべくチョコボで出発。
なぜか、後ろからHNM羊が追いかけてきた。
活動エリア: エルディーム→ジュノ→(機船航路経由)→ウィンダス→サンドリア→オルデール→ラテーヌ
→ジュノ上層→バタリア→コンシュタット
他キャラとの接触:イッチ、マイウ、ゴイス、サン、レップ、ロック、
メイミィ、クルス、ユリフィナ、タイガー(正体はルーファス)、アオツキ
独自レギュレーション:
人間は死んだらそれまで。死んだ者は甦らない。一応、瀕死はレイズで息を吹き返す。
戦闘やアビリティ、呪文や時間等の描写はあいまい。サーチ機能なし。
基本はSayとShout。LS会話は通話のみ。視界内にいる者同士でtellができる人間もいる。
峡谷に飛び込む。
過去たびたび氾濫した河川が、長い年月をかけて作り出した迷路。
両側を岩肌で囲まれた狭い道が縦横無尽に走る、天然の要害だ。
俺たちが楽々通れる道幅も、バルデリッヒにとってそうはいくまい。
足踏みして待つメイミィの横にチョコボをつけた。
「リードさん!」
「大丈夫」
背後を確認しようと、俺は騎首を巡らせた。
「ここまで来れば、追ってはこれ・・・な・・・!?」
ゴゴガガガガッガガッガガッ!
バルデリッヒの暴走は止まらない。
腹の底まで震わせるヒヅメの歩みには、いったいどれほどのパワーがあるのか。
無理矢理、両脇にせり出す剥き出しの岩壁を削り飛ばしながら、進む。
「ふむ、さすが“鋼の羊毛”。まるで掘削ドリルだ」
「感心してる場合じゃないです!」
とはいえ、バルデリッヒのスピードは格段に落ちている。
「二手に分かれよう。グスタの橋で落ち合う。OK?」
メイミィが応えるより早く、騎乗していたチョコボがひと鳴きして駆け出した。
投下乙でーす。
最近どうにも筆が進まないですわ。
81 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 02:01:21.48 ID:Fpg7iQuP
読むほうが楽だからどうってことはない。誰も強制はしてない。楽しんで書いて読めばいいだろう。
と、思う。
完全にネタスレだと思ってるのだが、真面目(必死?)に書いてる人もいるんだなと気が付きだした今日この頃。
82 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 07:39:17.02 ID:i8A2iF0G
ドリルage
83 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 10:01:58.90 ID:9WTow+h2
三日坊主で終わらなかった人が書き続けてるって感じですな。
いや勿論いい意味で。
84 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 14:33:30.02 ID:Gs+kr5x/
ネタスレにネタレスしたつもりが、気がついたら書き続けている人もきっといるはず。
私とか、私とか。
85 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 17:27:01.27 ID:uBelsOD1
今日も元気にスーパークライム
あぁ、自キャラになったら竜騎士レベル12だけど、
ジャンプでどこまで飛んでるのか空から景色を眺めてみたいな。
プレイ画面だと単にフレームアウトするだけだしな。
え、滞空時間から計算すれば何メートル飛んでるか分かるって?
夢の無いこと良いなさんな。
え、ダンジョンで天井があるのに異常な滞空時間が気になるって?
夢の無い……いや、確かにそれは気になるな。
>>86 天井に張り付いた後、カサカサ言いながら相手の真上まで移動して落ちる
89 :
既にその名前は使われています:2007/02/19(月) 23:15:22.48 ID:Gs+kr5x/
>>88 それはまさか、頭文字(イニシャル)G・・・
90 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 01:14:57.13 ID:r6u6PBSB
あげとこ
91 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 01:29:23.75 ID:+EpLUXIi
誰か、いまバスにいる来訪者の名前と状況をリストにしてくれないか。
てかお願いします。もううワケワカメ。
92 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 01:31:41.99 ID:22eUcOFG
イッキ→中の人消息不明
ヴァリエンテ→中の人消息不明
アオツキ→中の人消息不明
ヒロ→出番待ち?
フルキフェル→出番待ち?
メイミィ→中の人消息不明
リード→エロエロ
ルーファス→エロエロ
こんなとこじゃなかったっけ
誰か補完ヨロ
ちょこちょこまとめ弄ったら
結構上手くいった記念age
94 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 11:37:22.72 ID:Ci1etNM5
今は保守するだけが私に出来ること……か?
95 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 15:04:05.74 ID:4BRGAdIj
むしろヴァナの俺が現実
雨の日は眠くなる。
書庫の隅で古書の読書に耽っていた彼は、いつかうとうとと眠ってしまっていた。
「雨の日ってヤだなぁ」
溜息にそちらを見る。レポートの資料に広げた参考書に落書きをしている。
「眠くなるし、外に出るのがめんどいし」
「金を使わなくて済むだろ」
こいつはただでさえ無駄遣いが多い。使う機会が減るのはよいことだ。
「ヴァナみたいに、濡れても大丈夫ならなぁ。マントとか着てるし、中まで濡れないかな」
「でも、剣とか鎧とかきっと重いぜ?鋼とかで作ってあるんだから」
「・・・それは・・・ヤだ」
挿図に落書きを終えたらしくペンを放る。代わりに紙パックを手にしてストローをくわえた。
「でもエルナだし、それなりに体力あるかなぁ?」
「カブも引っ張れないお前じゃ無理。ほら、人工知能概論のレポート終わり」
「わーいっ、ありがとー♪」
「・・・お前も書けよ」
つんつん、とつつかれ、微睡みから目を覚ますと、黒髪の兄弟が不思議そうに覗き込んでいる。
「寝ていたのか?」
「・・・ああ、・・・雨の日は眠くなるから、な」
97 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 19:25:38.37 ID:u9S9LCWe
>>92 ろっく、めき、髷タルの人、半裸ヒュムの人とかもいたと思う。
98 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 20:03:26.82 ID:0WMJ7irg
`‐、ヽ.ゝ、_ _,,.. ‐'´ //l , ‐'´, ‐'`‐、\ |
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ く
,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ // わ
i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::| っ
! |: |
ヽ ー‐==:ニニニ⊃ !:: ト、 !
「久々に俺、参上!」
99 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 20:04:15.22 ID:0WMJ7irg
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
,. -─- 、._ ,. -─v─- 、._ _
,. ‐'´ `‐、 __, ‐'´ ヽ, ‐''´~ `´ ̄`‐、
/ ヽ、_/)ノ ≦ ヽ‐'´ `‐、
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ ≦ ヽ
i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ ≦ , ,ヘ 、 i
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、 │
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/ ! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
/`゙i u ´ ヽ ! !{ ,! ` ( } ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ !
_/:::::::! ,,..ゝ! ゙! ヽ ' .゙! 7  ̄ | トy'/
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 / !、 ‐=ニ⊃ /! `ヽ" u ;-‐i´
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' / ヽ ‐- / ヽ ` ̄二) /ヽト、
i、 \:::::::::::::::..、 ~" / ヽ.___,./ //ヽ、 ー
100 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 20:50:56.16 ID:8COf95je
うわ懐かしいw
おかえり!
101 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:07:29.60 ID:0WMJ7irg
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐'´ __ ヽ /.i | __\. |、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! '´lノ: |}二. {`´ ヽ! lノ:!ヽヽ |. |.r-'‐┬‐l l⌒ | 俺のこと覚えててくれたのか
゛l |`} ..: |:::| リ ̄ヽd、 |:::| /|ヽ |l !ニ! !⌒ // すごくうれしいぜ!
. i.! l .:::::. ┴'‐ ソ;;:.. ヽ、._⊥:L.|ノ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::|
! | ̄ ̄| |: |
ヽ ヽ、__/ !:: ト、
102 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:08:20.24 ID:0WMJ7irg
_,,.-‐-..,,_
/ `''.v'ν
i' / ̄""''--i 7
!ヘ /‐- 、u. |'
|'' !゙ i.oニ'ー'〈ュニ!
,`| u ..ゝ! しかし久しぶりってレベルじゃないぞいったい何やってたんだ
<:::::\ (二> /
\::::\ '' /
\ \. , ̄
_
103 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:08:58.52 ID:0WMJ7irg
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐' ヽ:::::::/ ゝ‐;----// ヾ.、
[ }二 |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゙l リ ̄ヽ |l:::::::::::!ニ! !⌒ //
. i ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ':::::::::::::::::ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ :::::::::::::::::i/‐'/
i::::::::::::: .:::ト、  ̄ ´ ::::::::∪::::::l、_/::|
!:::::::::::: :::::::::::::::::::::|:::::::::::|
ヽ::::::::::: --───-- :::::::::::::::::: !::::::::::::ト
104 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:10:44.78 ID:0WMJ7irg
,ィィr-- ..__、j
ル! { `ヽ, ∧
N { l ` ,、 i _|\/ ∨ ∨
ゝヽ _,,ィjjハ、 | \
`ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ > アイドルをプロデュースとかしてマスタ!!
{___,リ ヽ二´ノ }ソ ∠
'、 `,-_-ュ u /| ∠
ヽ`┴ ' //l\ |/\∧ /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ / |`ー ..__ `´
く__レ1;';';';>、 / __ | ,=、 ___
「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
| |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,| , -,
! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | | | | .l / 〃 ))
l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj 7
| |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\:: ::::| ::l /
105 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:13:04.26 ID:0WMJ7irg
_
, ‐''´~ `´ ̄`‐、
ヽ‐'´ `‐、
≦ ヽ
≦ , ,ヘ 、 i
l イ/l/|/ヽlヘト、 │
|/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
} ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ !
゙! 7  ̄ | トy'/
! `ヽ" u ;-‐i´
ヽ ` ̄二) /ヽト、
ヽ、 ー / ゝ
\ __, ‐' / / \
 ̄ i::::: / /
何言ってんだあんた・・・頭大丈夫か・・・
106 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:14:46.59 ID:0WMJ7irg
|丶 \  ̄ ̄~Y〜 、
| \ __ / \
|ゝ、ヽ ─ / ヽ |
│ ヾ ゝ_ \ |
│ ヽ_ _ / /| |\ \|
\ヽ _ // / | \ |
ヽ\二_二// ∠二二二| ヘ|
| | | ヽゝソゝ|TT|<ゝソ フ |/b}
ヾ| ヽ___ ノ/|| .ミ__ ノ | ノ
| 凵@ /フ
| u .F二二ヽ /|/
\. |/⌒⌒| イヽ
/. \ ==′/ |.| |
 ̄|| ヽ__/ / / ̄
\ヽ_____ノ ノ
俺の頭はいつだって大丈夫だ!
ていうかそんなことは動でもいい
久しぶりにヴァナにとりk稀田人々を助けるためにMMR出動だ
107 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:16:08.21 ID:0WMJ7irg
\ヽ \\ + ,
ヽ __i_ ,. -─- 、._ \ヽ. ,
i ,. ‐'´ `‐、 ヽ丶
/ ヽ、_/)ノ \
/ / ̄~`'''‐- 、..__ ノ
\\ i. / :::::l 7.
\ヽ ,!ヘ. / ‐- 、._ ::::|/
. \ |〃、!ミ: -─ゝ、 __:::l __|__ .
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,`::/ │.
┼ /`゙i ´ ヽ:::::!
_/:::::::! ,,..ゝ! \
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 -i-____ 、 /. ヽ
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' / -i-
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /ヽ丶
.! \ `‐、. `ー;--'´ \ヽ -‐
ヽ \ \ /
おいおい落ち着けよ木林タイプミスってるぜ!
それじゃあMMR出動しますか!
次回へ続く
109 :
既にその名前は使われています:2007/02/20(火) 21:23:43.13 ID:1t+YtM/4
w
|丶 \ ̄ ̄~Y〜、
| \_ / \
| \ / / ヽ |
\__ ̄ //\ ;!
,ゞi ̄ ̄l‐! ̄ ̄|- 、!
i `ー‐"||"---' |b |'
| / | /
\ ー-- イ/
ヽ _,/ト\
 ̄
**おれのIDをいたないけんさくしないでくれよなじゃあなまたおうぜ!
111 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 00:08:33.94 ID:9MdsEAyI
美味しいロランベリーが手に入ったので、いかがですか?とtellが来たのは
つい先程の事。馴染みの店に向かうべく、魔法修行中のタルタルに飛ばして
貰った所、ばたりととんがり帽子のミスラと鉢合わせた。
浮き足だった様子から同じ目的だろうと察して微笑ましく思っていたのだが
「に”ゃっ!?」
「いかがなさいましたか?」
大分前を歩いていたミスラが、唐突に足を止めた。叫びに驚いたのか、離れた
所でサーベルトゥースタイガーが不快そうにグルグルと唸り声をあげている。
覗き込むと、ミスラの命とも言える鉤尻尾にべっとりと血糊がついていた。
ハンカチを取り出してみたものの、元々生乾きであったのか殆ど毛に絡み付いて
いて濡らしていない布程度では到底落ちそうもない。
「駄目ですね、お店で流しをお借りしましょう。他にはついていませんか?」
くるくると回りながら服を確かめ、やがてミスラが「大丈夫みたいにゃー」
と返すと二人、血糊にまみれたジュノ上層に繋がるアーチを後にした。
恐らく直後はもっと酷かったのだろうが、乾き具合から見てそれなりの時間が
経っているのだろう。血臭は潮の香りにやや紛れている。
(現場に居合わせなくて良かったというべきか。それにしても派手にやったもんだ)
よりにもよって神聖な教会の壁に飛沫が描いた「保守」の文字を横目に見やると
紅いキモノ装備を着こんだエルヴァーンの男は小さく嘆息して、ミスラを促し
「後処理」をする事になるのだろうジュノ警備隊にひっそり胸中で十字を切った。
112 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 00:09:51.59 ID:9MdsEAyI
「後処理」をする事になるのだろうジュノ警備隊にひっそり胸中で十字を切った。
250を越えた事に焦って久々に保守してみたが、この素晴らしい流れをぶった
切ってしまった事に酷く後悔している。
113 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 01:31:44.26 ID:10i44K7c
面白い… 見せてもらおうか!
アイマスの新型とかちの性能とやらを!
114 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 01:35:27.02 ID:5nSPq8iS
それじゃ>113の事、今度からハニーって呼ぶね♪
115 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 02:38:30.14 ID:2UiB5dcu
質問。MMRの人とイッキさんの中の人いっしょ?
116 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 02:40:00.70 ID:10i44K7c
アイマスときいてクトゥルフの化け物か?とおもった俺がPOP
118 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/21(水) 04:10:29.15 ID:4kClpXMO
「あおい〜とり〜♪」
赤AFの少年が気持ちよさそうに歌う様を、遠巻きに眺める。
「・・・調子に乗ってやがるな」
「歌詞の記載は○AS○ACに引っかかるのでアウトだそうです」
「・・・JA○R○Cねぇ。素直に歌詞が分からないと言えばいいのに」
「最近筐体を見ないんですよ。凶箱を買うかは悩みどころです」
アイドルなんて飾りですよ。と思っていたあの頃。
そんなわけで続きを少し。
「やれやれ、おちびは泣きやんだか」
それまで静観していた、暗黒騎士の男が口にする。得物を地につけ、暢気に銀の前髪を払っていた。
「ただの来訪者だと思ってたんだがなぁ。なんか悪いもんを引き寄せたか」
「守り手のいない『鍵』は貴重ですからね。まさか中にいたとは分からないでしょう」
タルタルは苦笑し、フードをはねあげる。短い金髪の、俗にボサタルと呼ばれる髪型の男性だった。
それからシーフに向き直り、どこか困ったような、嬉しそうな、そんな表情で言う。
「彼女は渡せません。あの子を確立させるには危うすぎる器だし、彼女自身にも危険すぎる。
『鍵』としての価値を失ってもいいなら、話は別だけど」
シーフはふぅっと息を吐き、対に手にしていた短剣を収めた。仕草にも、表情にも敵意はない。
首を振るともう一度、今度はわざとらしく溜息をつき、ようやくタルタルを見る。
「あれは誰だ?知っているんだろ」
「ええ、あなたの【兄弟】ですよ。末っ子で、まだ名前もない。・・・いや、名前はもらったのかな」
「【兄弟】?末っ子は"鷹"じゃなくてか」
「その次ですよ。まさか器に『鍵』を選ぶなんて思わなかったけど」
おっとりとさえ思える笑みを浮かべ、ライトスタッフを両手で持ち替える。
「"鷹"が面倒を見るはずだったけど、あの子は迷子になってしまった。ようやく見つけたと思ったら・・・もう」
「『鍵』を見つけ、器に選んだ、か」
キーゼルが低く唸る。腕の中の存在を離すまいと、しっかりと抱きしめて。
「勝手に来訪者にされ、勝手に『鍵』にされ、勝手に器にされた。・・・どこに彼女の意志があるんだ」
そんなものはありはしない。望んで来訪者になった者はいないのだから。
肩をすくめて、シーフが言う。
「やれることはなさそうだな。まったく、お互い厄介なことになったな」
おどけてキーゼルに振るが、彼は応えずにただ彼女を抱きしめる。それに溜息をこぼし、今度は私へ、
「せいぜい大切にしてやれ。そいつは使い方次第でどうにでも使える」
「・・・使い方?」
「世界をぶち壊すのも、世界を支配するのも、お望み通り。何せそいつは、世界のほころびに干渉する」
訳が分からない。世界のほころび?そんなものがあるのか?
顔をしかめる私にシーフはにやりと笑い、
「来訪者は、『リアル』から来た。だとしたら、『リアル』に行ける」
出来の悪い教え子を諭すように言った。
つまり、・・・こいつらの目的は?
それ以上は言わず、シーフはどこか演技じみた仕草で背を向けると歩き出す。
一歩、二歩、三歩。足を進めるたびに姿が薄れ、消えた。
馬鹿らしい。馬鹿馬鹿しい。何がリアルだ。何が来訪者だ。
「・・・自分の居場所もないのに」
何故だかその言葉が私の口をついて出た。
だって、来訪者はこの世界の住人ではないのに。なのにどうして、こうも苦しんでいるのだろう。
どうして、この世界は彼らを拒絶するのだろう。彼らが一体何をしたというのか。
ただいるだけで、彼らは本当の自分を見失っていく。
121 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/21(水) 04:22:41.83 ID:4kClpXMO
今回は以上です。
前スレからの続きとなります。テンプレは
>>72に。
・・・あんまりシリアス?が続いていて、そろそろコメディの禁断症状が出そうです。
122 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 10:34:57.78 ID:IvJjCxkp
色んなひとに見守られ…ヲチられてる?
123 :
既にその名前は使われています:2007/02/21(水) 15:25:12.92 ID:ozdBffgI
コメディ禁断少女うage
うむー。シリアスというか物語中の設定を解き明かすシーンが続くと
意味深進行にしたくなりがちというか何と言うか……。
自キャラになったのはどうして?なぜ?目的は?みたいなWHYを取り除いて
ついでに苦悩成分も取り除いて、単純に非現実ドタバタ物語も面白そうだなぁ。
……と思ってきた今日この頃。
125 :
◆N4hISqu3ag :2007/02/21(水) 20:35:36.86 ID:U7aEXdUT
遅レスですんませんが
>>57 推敲とかせずにやっちゃいましたからねぇ。
話が進むにつれて主人公の機嫌が悪くなるようには
したんですけど、やりすぎましたかね
>>70 主人公の性格付けは、(種族含めて)まんまヴァナでの自分です。なんで、読み手が
口調とか解説を幼く感じるのはしょうがないと思ってます。で、自分がノナニアみたいに
「朝起きたら自キャラになっていた」ら、一番始めに、(うわ、オレ気が狂ったか!?)って思うはずです。
そしてリアルに戻ろうとなんて考えずに、とりあえず街のカウンセラーに話してみると思うので、そんな物語が
いいなぁと思って書きはじめました。そして、『気が狂った』感を手っ取り早く演出するために、
あんな相談内容になっちゃいました。
>>72 そうおっしゃらずに。
ご意見ありがとうございました。いやー自分必死スネ
朝になって、夜が来て、また朝になった。私はサンドリアに、何とか五体満足で戻れている。
司教は取り返した書物と、そのついでに私の無事を心から祝福してくれた。
さらについでにシスターにならないかと勧められたが、これはお断りしておいた。
別に女神信仰のために聖堂に来ているのではない。あくまでも、この教会の持つ情報のためだ。
ようやく禁書を読む許可をもらえた。司教の評価よりも、こちらのほうが嬉しかった。
持ち出さないこと、見張りをつけること、奉仕活動に参加することが条件だったが…些細なことだ。
その日からはシスターとして日々の大半をすごすことになった。
奉仕活動とは、つまるところ雑用ばかりである。炊事洗濯、事務の処理、農作業と祈りを少々。
料理レシピではないが、実際には一日の1/3ばかり、これらの奉仕活動に奪われる。
これくらいは想定していたが、予想外だったのは終身時間の早さだ。なんと20時〜22時には寝てしまう。
あの明かりの意味は何?と嫌味の一つも行ってやりたいところだったが、今の私は立場が悪い。
そのまま、あれよあれよと半月が過ぎるころには、すっかり顔まで覚えられた始末だ。
祈りの文句も既に覚えつつある。私は冒険よりも机に向かっている方が性に合っていたようだ…
…それからこの聖堂にいて、初めて『善意』が怖いと思った。人々に感謝されると、私は喜びを感じる。
このままでいいとすら思うようになる。声をかけてくれる方は優しく、満ち足りている。
中には恋愛感情が混じりかけたような、以前にはかけてもらったことのない言葉すらあった気がする。
悪意に対してなら、いくらでも対処できる。できなくても耐え凌ぐ覚悟はしている。
だけど善意には覚悟も対処も出来ない。ただ受け取り、ゆっくりと流していくしかない。
決意が揺らぎそうになる。戻るより、ここで過ごした方が幸福になれるのではないかと思えてくる。
望んだものは、ほとんど手に入ってしまう。幸福が、善意が、ジレンマとなって私を苦しめる
この世界では半月でも、現実には1日経ったか経たないかなのだろうか。1日が、ほぼ一時間なのだ。
予想以上に時間を費やしてしていることに僅かな苛立ちを覚え、再び白魔道士として旅立つことを決意した。
禁書の方で興味深い記述を見つけた。召喚と、竜騎士についてだ。
どちらも何かを召喚し、送還する。私が召喚されたということは、戻るべき方法が存在するということだ。
精神を召喚するということは実体を伴わないということ。どちらかといえば、この状態は召喚獣に近い。
魔力の消費で意識が飛びそうになるのは、ひょっとしたらそれが鍵なのだろうか?
ところで、夢や精神を象徴するような召喚獣なんていたのか私の記憶には無い。
これから調べる必要がありそうだが…この国では、これ以上の追求は望めないのだろう。
召喚といえばウィンダスだ。ふたたび飛空挺のお世話にならなければいけない。
――そして私はいま、モグハウスで力の限り、白魔法を唱え続けている。
もちろん精神値を0にした場合に私がどうなるかを調べるためだ。
あと少し。消耗の弱い魔法を小出しに唱え、いよいよ限界になる。
目の前が真っ暗になり、私は自分の崩れ落ちる音を頭の中で聞いた。
次に目覚めたのは2日ほど過ぎてからの事だ。どうやら私にとっての戦闘不能とは、精神の限界のことらしい。
…だとすれば生命の限界は痛みも鑑みて、死ねば本当に死んでしまうことは容易に想像できる。
私はジュノで下船してプロエーテルとハイポーションを買ってからウィンダスへ行く。
禁書の閲覧を外国の冒険者ができるとは思えない。だけど、何とかして召喚の秘密に迫る必要がある。
私は諦めない。必ず帰ってみせる。
保守もかねて、以上です。時々、自分の文体が読みにくいような気がします。
これから文体を変えてみたりしてみたいのですが、まずはテクニックとか真面目に考えずに
気軽に書いてみようかしら…と思う私なのです。
>>57 クロワール、と読みます。読みづらくて申し訳ありません…。
130 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 01:36:51.04 ID:bwkfc//4
ageさせてもらう!
131 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/22(木) 01:37:10.67 ID:+XupPCoJ
>>123 「少女という年齢ではないのにk」
すぱぁんッとノーグ謹製のハリセンがいい音を立てた。
「ヴァナじゃまだ未成年だもんッ!!」
「その代わり男だろ?」
「・・・お、」
何か言い返そうとするが、言葉が出ず。
「〜・・・・・・!!お、おっさんに言われたくないー!!!!」
「失礼な、オレは純情可憐なお兄さんだ」
「あ、じゃあ、ぼくは美青年で、」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
「・・・ご、ごめんなさい」
>>124 自分としては、シリアス2割コメディ9割くらいでやりたいものです。
「お前、さっきまでのシリアスモードはどうしたよ」とツッコミが来るくらいが理想です。
何もかも納得ずくめで、ついでに来訪者の特殊技能を使っちゃったりして、時々赤鎧がお茶をしに来る。
そんな話も面白そうですね。
赤鎧との、存在意義を賭けたとんかつ争奪戦とか。・・・違うかな。
132 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/22(木) 01:40:51.40 ID:+XupPCoJ
>>125 では忌憚なく。
極端な話だなぁ。と思いました。
自分は、保守ネタも含めて『中の人とヴァナの人の記憶が混在する』キャラを用意していますが、
異常性を与えるための異常な背景は用意していません。
日常的な非日常、あるいは非日常的な日常に入り込んでしまったことに重きを置くように。
だから、極端な話だなぁ。というのが感想ですね。
>>129 自分の書きやすいように書けばよいかと。
そして読みにくく編集しにくい私・・・(つД`)
書き慣れた書き方なんですけどね。
こういうまとめかたをされたことがなかったので、読み返すと粗が目立ってしょうがないです。
精進せねば。です。
>>131 いいか!!突っ込んだりするなよ!!
数字なんて単なる卓上論でしかないんだ!!
子供の1+1=3という答えは彼らにしか見えない「夢」が詰まってるんだ!!
自称「美青年」万歳!!
むしろ書かないほうがよかったかもと朝焼けを眺める今日この頃。
134 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 08:55:14.96 ID:/QQMlgBg
おはようございます
投下乙ですage
135 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 12:43:01.17 ID:+XupPCoJ
・・・11割ってorz
ふぅ、ぽかぽか陽気で食べるお昼ご飯はおいしいですねぇ(逃避)
136 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 14:57:32.93 ID:fhBfPemM
セルビナの暑さは人を狂わせることを知ったのは父さん・・・親父が帰ってきてすぐだった。
いかにもクールで冷静に仕事をこなしてそうな人間だった親父は数日経っただけど性格は急変し
陽気なおっちゃんになってしまった。ついでに自分のことを親父と呼ぶようにも言ってきた
「息子よ! 今日もたっぷり魚を釣るぞ! それではハニー、行ってくる!」
「母さん、いってきます」
「気をつけてねー」
ということでいつもと同じように汽船に乗って船釣りを楽しんでいた。
「なぁ、親父。リアルに帰る方法って知ってる?」
丁度親父がググリュートゥーナを釣り上げた時にさりげなく聞いてみた。
「ああ、知ってるとも。しかし既にお前は帰る資格がなくなってるがな!」
「帰る資格なんてあるのか」
「帰る方法というのは結構ある。しかしいずれにしてもヴァナに3年以上いる場合は帰還することができなくなる」
「なんで?」
「制限時間というところだろう。この世界の規則だ。なんだ? 帰りたいのか?」
「いや、なんとなく聞いてみただけ」
親父はこっちをみて頷くと再び竿を振った。
3年というのはこの世界の3年だろう。それだけの時間があれば帰る方法がみつかるものなのだろうか?
もしも帰れなかった場合、リアルでの自分の身体はどうなるのだろうか? そもそもなぜ制限時間が?
疑問がまだ残っているが質問するのはやめとくことにした。知ったところでどうしようもないと思ったからだ。
遠くのほうでもうひとつの汽船がほしゅー、ほしゅーと汽笛を鳴らしている。というか海賊船じゃん
137 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 17:20:49.81 ID:TK5we8RZ
>>ほしゅー、ほしゅーと汽笛を〜
に不覚にもちょっと笑ってしまったw
138 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 20:01:47.83 ID:+XupPCoJ
むせかえるシナモンの香りに顔をしかめる。
「お前が作るチャイは、シナモンがきついんだよ」
アトルガン皇国から中の国、つまりアルタナ同盟四国に伝えられたチャイは、彼らが知るものよりもシンプルだった。
だから、記憶を頼りにオリジナルレシピをこしらえたのだが、どうもこの黒髪の兄弟に任せるのはよろしくない。
シナモンもジンジャーも、ついでにメープルシュガーも加減しているのかと疑うほどにきつい。
とは言え、氷雨降る日の読書の暖には悪くはない。
ふと視線をやると、神学生の青年が、うたた寝をしている少年に上着を掛けてやっていた。
そう言えば、この青年はことあるごとに教会から抜け出しては騎士たちの中に混じっている。
彼の兄たちが騎士であることと、小さい頃から双子の騎士(当時は見習いだったが)がかまってやっていたのもあるだろう。
少年に関しては、家が騎士の名門である以上推して知るべし。いや、語るまでもない。
まだ子供と呼んでも差し支えないだろうに、種族の差を気にもかけず、人並み以上の力を見せていた。
と言うか、その程度で弱音を吐いたら『王家以外には神にすら勝て』と豪語する当主から殺されかねない。
『破壊神』『剣舞姫』『刃の君』などと称される当主の前においては、神ですら恐れるものではないのが恐ろしい。
彼自身はそれなりに信仰心を持ってはいる。天気予報が大きく外れたら神を呪うくらいには。
と。
「ん・・・くぅ・・・」
小さな寝息がこぼれ、誰からともなく笑みが浮かんだ。
読書もまた鍛錬のひとつ。本来ならば処罰の対象だが、まあ、いいだろう。
後で武具の保守点検でもやらせるか。思いながら、濃すぎるチャイにミルクを注いだ。
139 :
既にその名前は使われています:2007/02/22(木) 22:51:47.63 ID:TQUmbLKF
ほにゅageするよ!
ダンディー最高っ!(何
と言うわけで、参考がてらに.hack sign見ながら本日は保守ー
チープで陳腐ながらも、あの第一話はこのスレに降り立ったキャラの最初の状況を示すいいお手本だと思います。
とりあえず天麩羅ー(違
初出:自キャラスレ17.5 番号は忘れますた
PC(仮)名:シェティ / 中の人:竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA
種族フェイス:実は自分のキャラがどのフェイスなのかよく分からなかったり……ヒュム♀なことは確かですが。
ジョブ&Lv:竜/白73
特記事項:能力は全てゲーム中のキャラに準拠、ただし「彼」人格にはそれができるという認識が無かった。
活動エリア:ワジャーム森林>東アルテパ>ラバオ>西アルテパ
あらすじ:
試験当日、彼が目覚めると、そこはヴァナ・ディールだった。
色々と戸惑い、ノンアクモンスに手を出してわざわざ窮地に落ちるも辛くも難を逃れ、東アルテパ砂漠へ。
そこで謎の少年と出会い、自らがヴァナ・ディールの存在であることを自覚した瞬間。
彼は自らがロール、演じていた人格であるところの彼女、シェティにキャラクターを明け渡してしまった。
そして、彼の存在は今のところロスト。彼女も来訪者狩りの三人組の襲撃を受ける。
その時、飛竜−オボロ−が謎の変容を遂げる。エリアダウンという、世界への大きな傷跡を残して。
他キャラとの接触:今のところなっしんぐ〜
お久しぶりでございます。二月の頭からどうにも体調が良くなく。
全く書けない日々が続いていたのですが、回復に向かってきたので。
一月末から書いていた話に少し書き足ししたものを投下しますです。
(ちょっと時期が過ぎてしまったのが残念ですがw)
焼け焦げた扉が内側からの衝撃によって破壊され倒れている。木材で出来た扉は煤となり一部は今も燻り続け
て、その匂いが辺りを包んでいる。
これが自分の部屋のものでないならば良かったが、悲しいか自分に宛がわれた冒険者用宿泊施設モグハウス
の自室の扉である。事が終った後に自分でこれを直すかと思うと気が重い。
手にした銃を確認する。一度に装弾できるのは六発、ヘキサガンと呼ばれるタイプの短銃だ。これから対峙する
敵に対しては少し心もとないフォルムではあるが、以前読んだ週間魔法パラダイスの記事に出ていた女冒険者の
愛用の品だけあって信頼性は十分である。
もう一度扉の方に目をやれば破壊された扉の影からこちらを子ミスラが伺っている。頭上にある猫耳は一定の
リズムを刻み、お尻についている尻尾は場違いのようにフラフラと宙を撫でている。しかし表情は完全に怯えきって
いる。
彼女がこちらを見つめている眼に映るのは俺――ではなく、室内に居る一つの巨大な影であった。
そして、その巨大な影と対峙しているのが他ならぬ俺自身である。朝起きたらゲームの世界、Final Fantasy XIの
世界に、ヴァナ・ディールという世界に居た俺は、ただ自分がいた現実世界に戻ろうとしていただけなのに、何故
こんな状況になってしまったのだろうか。
過去を思い返して今が変わるわけではないが、この均衡が崩れない内にどこに原因があったか思い返してみて
損はないだろう。
発端は人々がにわかにヴァレンティオンのイベントに浮かれ始めた、そんな朝から始まったんだろう。
……多分な。
実際問題、ヴァナ・ディールから現実世界に戻るための活動も重要であるが、その基礎となる体力は
日々の生活がままならなくては始まらない。なにより不味い食事よりは、美味い食事のが良い。
ここウィンダスの国が誇る調理ギルドやレストランの食事に頼ってばかりというのもなんだしで、その日
の朝も自炊の為に漁師ギルドや競売へと食材の調達から始まるはずだったが――。
「遅い……どこで油を売っているんだか……はぁ」
もはや我がモグハウスの第二の居住者となっている子ミスラが魚を選ぶなら任せておけ、と勇み足で俺
より早くモグハウスから出掛けて行ったのだが、いざ漁師ギルドについてもどこにもおらず、ギルドの人に
聞いても彼女はまだ来ていないらしい。
どうしたものかと漁師ギルドの前で立ちすくんでいると、何事もなかったかのようにトテトテと子ミスラが
重役出勤してきた。まったく先に出たのにどこいっていたんだか。
「森の区に新しく来た、変わったミスラさんに会いに行ってたんだにゃッ!」
そういえばこの前にあった嵐の翌日に、この漁師ギルドに打ち上げられたってミスラがいたな。そりゃまぁ、
嵐の日に海水浴する人間、いやミスラが変わっているか変わってないかで言えば、もちろん変わっているだ
ろうな。
「にゃにゃにゃ? そうにゃ! 色々と変わっていたにゃ!」
そもそも、このヴァナ・ディールやウィンダス国内において現実世界が当たり前の俺にとって、変わって
ない人間の方が遥かに多いぞ。恐竜のような尻尾に上半身が発達して筋肉隆々のガルカ族、首やら耳やら
体のパーツが妙に長いエルヴァーン族、子供のようで実際は子供の外見とは異なるタルタル族、目の前に
居る子ミスラに至っては猫人間と言うしかない容姿、獣人族は完全にモンスターだしな。その中でヒューム族
だけが俺の知っている一般的な人間と同じだと言えよう。
そう考えると子ミスラから見た変わったミスラというのはどういうものを指すんだろうな?
いやいや、とにかく寄り道するなよ。
そんなことより森の区の競売にも行く必要があるんだから、まず漁師ギルドに並んでいる魚をさっさと選ん
でくれ。
「わかったにゃーッ!」
言わなくてもわかるだろうが、美味いのを頼むな。間違っても季節限定だけど美味くないものや、見た目が
面白いという理由で選ぶんじゃないぞ。
「も……もちろん、わかってるにゃッ!」
漁師ギルドでの買い物の後、競売に来た俺達は何事もなく食材の買出しを終らせ、そのついでと言っては
なんだが、ウィンダスを護る森の区のガードのラコ・ブーマ隊長に挨拶をしにいった。まぁ社交辞令の一環だな。
「おはようございます。ガードのお仕事ご苦労様です」
「ご苦労様ですにゃ!」
するとブーマ隊長は、きりっとした笑顔で返してくれた。少し肌寒い日にも関わらず、美しい御御足をあらわに
した脚装備で仕事に就いている。心なしか初めてあった頃よりも肌の艶が良いような気がする。
いやいや、そんなやましい目で見ていると俺の品格を疑われかねないからな、挨拶も済んだし早々に立ち
去るのが賢い付き合いというものだろう。
「ツヤツヤ脚に、ほっぺたスリスリにゃ〜」
誰にも気づかれずに近づいた子ミスラがブーマ隊長の御御足に頬を摺り寄せている、羨ましい……。
いや、そうじゃないだろ!
あっけに取られていた隊長に謝り、返事を待たず子ミスラの首根っこを捕まえ一目散にその場を立ち去った。
俺は子ミスラに、お願いだから悪戯しないでくれ、と釘を刺しておいたが、当の子ミスラは「にぅぅ」と、わかったん
だか分かってないのか、生返事をしていた。
買出しが終わり一息ついた俺が街を見渡すと、ヴァレンティオンのイベントがちょうど始まったところであった。
愛する人に気持ちを伝えるイベントか……。ヴァナ・ディールさん愛しています、お願いですから俺を現実世界に
戻してください。と告白しても、きっと聞く耳すら持たないだろうな。今までもそうだったし、これからもそうだろう。
だからこそ俺は自力で、この世界から脱出するべきと考え行動しているのだ!
っと、まぁ、買い物袋をかかえた姿で言っても説得力ないか。
「説得力ないにゃ!」
無邪気とは言え、子ミスラに言われると何故か心にグサリと来る。そんな自分が悲しくもある。
「しかし、バレンタインのイベントはあるのに、節分、豆まきのイベントはヴァナ・ディールにはないんだな」
「にゃにゃにゃ!? 節分? 豆まき?」
「知らないか。……あたりまえか。簡単に説明すると、棍棒を持った悪い鬼に豆を投げて厄払いする、
ちょっとした季節の行事だな」
きっとこの台詞がいけなかったんだろうな、誰とは言わないがたまたま後を通りかかった彼女の耳に入り。それが
巡り巡って俺のモグハウスの扉を焼いた原因になったわけだ。時既に遅しってやつだったな。
彼女はウィンダスという国に名を連ねる博士の一人で、魔法はもとより鈍器の扱いにも長け、破壊と人を足蹴
にすることをこよなく愛する、傍若無人な人間であった。もちろん誰とは言わないし口にも出来ないが……。
そんな彼女の家まで招待され、節分とは何たるか、豆まきとは何たるかを説明することになってしまったの
は言うまでもあるまい。
「節分というのはですね、季節の変わり目の前日の事を指していて、ここでは冬から春にかけての境目の事
を言って。その日に悪い鬼に見立てた厄を、炒った豆を使って追い払うってのが豆まきで――博士聞いてます?
え、鬼って何かって? んー。角があって、赤い肌や青い肌をしてたり、怖い顔をして、手には棍棒をもっていて
……他に何か特徴あったかな……。兎も角、悪い奴の象徴みたいな、そうですね。モンスターといっても良いと
思います」
俺が説明している横で、子ミスラは口を四角に開けてカタカタと震えていた。どんな鬼の想像をしているんだろ
うか。
最近悪戯がすぎるから、後でこれを使って少し脅かしておいても良さそうだな。
その後も、鬼の説明に続き、豆まきの時の掛け声や、魔除けの品に関しての説明を余すことなく説明するに至
った。人間自分では無駄なことだと思っていても自分の文化を説明することにより、異文化コミュニケーションが
成立するとは良く言ったものだ。中学校だか高校だかに習った遣隋使の小野妹子を今なら尊敬できるね。あんた
は良くやったよ。言葉が通じる相手でこのプレッシャーだからな、ほとんど言葉の通じない相手に異文化コミュニ
ケーションを成功させたんだ、その大変さが今なら良くわかるぜ。
ひとしきり説明が終ると某博士も満足したのか、やることが出来たから帰れとのお達しがあった。ええ、日も傾い
てきましたし、なにより昼飯ヌキで喋り通しましたし帰らせてもらいます。とは流石に口には出来なかったので、
愛想笑いと共に帰路へついた。
日が落ち夕飯を食べ終わった頃には漁師ギルドで選んだ2匹のバストアサーディンは仲良く頭と骨だけ
の存在になっていた。新鮮な海の幸を毎日のように食べられるのは至極幸福ではあるのだが、ここヴァナ
・ディールにきて時折、現実世界が恋しくなって……か、どうかはわからないが、ハンバーガーなどのジャン
クフードを炭酸飲料で喉に流し込みたくなることがある。誰か俺に現実世界から差し入れしてくれるなら、
安いセットメニューで良いからよろしく頼む、毎日はいらないけどな。
腹が膨れたことをバストアサーディンに感謝しつつ俺が食器を片付けている横で、子ミスラは帰り際にどこぞ
で拾ってきたホリー原木の枝を両手に持って振り回して遊んでいた。目に当たったり、食器に当たったりしたら
危ないから振り回さないで下さい。葉っぱが軽く凶器です。
二刀流は忍者のジョブ特性が必要らしいが枝を振り回すのには必要ないのかと頭の隅で考えつつ、俺は
子ミスラをちょっと驚かせてみることにした。
「ほらほら、危ないことや悪戯ばっかりしている悪い子は、明日の節分の日をすぎると家の中に入れなくなって。
おまけに、悪い鬼に連れ去られるからな。お前も気をつけろよ」
子ミスラの全身が思考と共にゼンマイの切れたブリキの玩具のように止まり、その手からは持っていた枝が
カサリと落ちる。
しばらくして、彼女の口の開いた頭だけがカタカタとこちらを向いた。
「オ、オニさん、こここ……、ここにも来るかにゃ?」
「そうだな。夜更かししている悪い子の所には来るかもしれないな」
あわわわわ、と挙動不審なロボットダンスを数秒やったあと、思い出したかのように寝支度をし始め、
「ももも、もちろん今から寝るところだったにゃ! おやすみにゃッ!」
猛禽類に狙われたプレーリードッグが地面にある巣に帰るが如く、危険を察知したウラグナイト族が
自らの殻に閉じこもるが如く、子ミスラはベッドに潜り込んでいた。俺のベッドなんだがな、そこは。
兎にも角にも、思いつきの軽い躾は子ミスラの夢想の中の鬼も手伝い成功に終った。しかし、彼女の
善行もむなしく夢想の中ではない、紛いもない鬼の来訪の準備が、我がモグハウスへと某博士の手に
よって着々と行われていたのもその時だったのだろう。
翌朝目覚めるとポストに水晶玉と二丁の銃と、前日に会った某博士からの手紙が入っていた。
パジャマ姿で起きてきた子ミスラが透明に輝く水晶玉の魅力に取り付かれている横で、俺は手紙を
読むことにした。その内容を掻い摘んで説明するとこんな感じだ。
――昨日、異国の風習を聞かせて貰った礼にアトルガンで手に入れたキメラの胚のレプリカを使って
作った鬼を水晶玉に封じ込めたので、ここウィンダスに来ても豆まきが出来ることを感謝するが良い
――と、礼を言っているのか、感謝して欲しいのか良くわからない内容だった。
銃がついているって事は、これで鬼に豆を当てるということだろうか? あの博士は豆まきを何かゲーム
か何かと勘違いしているのではないだろうか……。
そして、注意書きにはオーブを割ると中から鬼が出てくるので指定区域で使うようにと書かれていた。
バルガの舞台やワールンの祠などの専用バトルフィールドがあることは、現実世界でゲームをやっていた
時から知っていたので、恐らくその場所の事を指していることは容易に想像がついた。
それはモグハウスを借りるような冒険者に取って当たり前のことでもあった。
さて、ここで問題だ。冒険者にとって当たり前の事は子供にも当たり前か否か。今その取扱危険物
であるオーブを誰が持っているか? 答えは一行後。
一つの物体であったものが細かく破砕される甲高い音を俺の耳は確かに聞いていた。
振り向かなくても、状況は如実にわかることではあったが、このような場合どうしても人間振り向いて
しまうものだ。そして案の定、俺の視界にはその手から落としたであろう子ミスラと、その足元で派手に
砕け散っているオーブがあった。俺の心の中でもきっと何かが砕け散ったはずだろうな。
「かかか、勝手に手の中から石ころころりんなのにゃッ! ホントにゃ……ちょっとだけツルっと……
したかもしれにゃいけど……」
必死で言い訳をしようとする子ミスラに対し、俺は頭脳を活動停止すべく頭を垂れるはずだったが――
なんだこれは!?
辺り一面、部屋中を隈なく虹色の霧が充満している。吸い込んでも大丈夫なのかこれは……そして出所は
……そりゃ、今割れたオーブが一番怪しい。すぐさま眼を移すと海水浴などで時折見かける目隠しされた
人間に叩き割られたスイカが見事に役目を終えたような姿をしている元水晶球が現在二つの半球状の塊がある。
問題の霧はやはりここから出ていた。何なのだ、このアストラル的な何かのような霧は? 混乱した頭を
落ち着かせろ、問題はこの霧自体ではない、この後に起こることなのだ。
虹のような霧が役目を終えたように晴れてゆき、そして一つの影が浮かび上がる。
そうだ、さっきの注意書きには何と書いてあったか? 今、俺の両目はそいつを捉えていた。
「――なんだこいつは?」
マンティコアと呼ばれるモンスターをご存知だろうか、有翼獅子とも呼ばれる何とも凶暴そうなモンスターな
のだが……何を間違ったのかそいつをベースに体は赤色に、頭には申し訳ない程度の角が、知性の
かけらも無さそうな顔に似合わず片手には棍棒が握られている。
どうやら昨日、某博士との異文化コミュニケーションの意思疎通は失敗だったようだ。一般的な鬼と
これっぽっちも似ていない。同時に小野妹子を賞賛したが、考えてみれば俺の置かれた立場は異国
どころではなく異世界だ。誰か異世界に飛ばされた偉人を知らないだろうか? その人の著書が在る
ならば凶器になりそうな書籍で百巻あろうが読みきってみせるから。
「あ、ああああ、あれはもしかして鬼かにゃ?」
俺の服の裾をひっぱり、今出てきたマンティコア……いや鬼を指差して、今にも泣き出しそうな表情
の子ミスラが訊いてくる。
取り敢えずフレンドリーな関係を作れそうな感じではなさそうだな。となればゲーム内ならばオーブを
使ってやることは一つしかない。戦闘である。この場合、敵に名前をつけるなら――。
「やっぱり鬼なんじゃないか?」
「はわわわわ。どうするにゃ、どうしようにゃ。やっぱり……」
何やら必死うろたえる子ミスラは、ジリジリと後ずさりし始める。二、三歩動いた所で床が軋み、鬼が
反応する。
――まずい、気付かれた。
鬼は口内に炎を溜め込み一度大きく空気を吸い込む。この動作は火炎の息。そしてターゲットは俺で
はなく子ミスラの方。
大きく動き出した鬼に対して驚いたのか子ミスラは本格的に外にモグハウスの出口に向かって走りだ
す。このままでは後から狙い撃ちである、どうにかして避けさせなければ。
走り出した子ミスラの肩を掴むことは、もう火炎の息が吹かれるまで間に合わない。仕方が無い。もし取れて
しまったら責任取るから怨むんじゃないぞ。俺は体を捻って上体を低くし子ミスラの尻尾に腕を伸ばし掴む。
間髪をいれず引っ張る。すると子ミスラは、「にゃッ!?」に濁音が混ざったような奇声を発したあと、見事に
前のめりに鼻の頭を打ちそうに転んだ。鼻は打ったかもしれないが尻尾は取れてないようだ。いや、よかった。
立っていれば子ミスラの頭があった部分を火炎の息が熱気を伴いながら走り、火炎はその先にある扉を衝撃
と共に包み込み焼かれ破壊された。
俺と子ミスラは壊れた扉と扉を壊した鬼をシンクロナイズドスイミングのように見比べた。流石半年間近く一緒に
居るだけあってタイミングもバッチリだ。合わせる必要はもちろん無いがな。
しかし、その後の行動は子ミスラは壊された扉の影に逃げ、対して俺は手に持った銃を構えなおした。
と、まあ、回想も終ったんだが、勝利の方程式が見えるでもなく現状を打開する道が見つかるわけでもなく、
やはりこの手にした銃で応戦しなければいけないようだ。子ミスラの方は後ろの方で竦みあがっているし、自分と
子ミスラと自分のモグハウスがこれ以上破壊されないように目の前の敵を倒すのは俺以外に居ないだろう。
手にした銃のグリップ感を再度確かめる、博士から送られてきた鬼なのだから、同時に送られてきたこの
ヘキサガンならば倒せない道理はないだろう。
どれだけの知能があるのか知らないが、未だ様子を伺っているマンティコア改め鬼に銃口を向ける。勝負の基本は
先制攻撃、この一発で仕留められるようなことがあれば、それこそラッキーである。むしろそうなってくれ。
それほど重くもないトリガーに力を込める。この距離なら外しはしないだろう。トリガーを引ききると劇鉄が落ちる音に
鬼が反応した。
なぜだ? 発砲音が全くしない!? それどころか銃口からは、コロンと豆が落ちてきただけだ。どうなって
いるんだこれは、確かに節分は豆を鬼にぶつけるのがセオリーだが、発射するものが何であれ銃口から飛
び出ないなら銃の形状である意味がないだろ。何考えているんだ、あの博士は。
それよりも、鬼が今まさに片手にもった棍棒を振りかざしている。まずい。あの豪腕と棍棒から繰り出される
ホームランアタックでも食らおうものなら、俺の体と意識が場外へ飛んでいくこと請け合いだ。
避けなければ。既にスイングの開始した鬼に対し俺はバックステップで距離をとる。駄目だ。まだ距離が
足りない。こうなったら銃弾を避けるミスターアンダーソン君が如く、荒川静香のイナバウアーの如く、上半身を
反らせて避けるしかない。間に合え。
仰け反って天井を向く俺の鼻先を棍棒がかすめていく。間に合った。しかし俺は氷上の女神でも、電脳空間を
自在に活躍するヒーローでもない。そのまま一人バックドロップを敢行することになったが、それでも助かったと
言えよう。見事に頭を打ったがな。
それが功を奏したのかもしれない。俺はこの世界が持つ特殊性と、豆まきに欠かさずしている事が頭の中で
関連付けられた。ヴァナ・ディールの世界には一般的テレビゲームと同じく魔法がある、それは言葉という媒介で
発動される。そして豆まきをする時に必ず言う言葉がある。そうだ、それしかあるまい、このナマクラ銃を使い物に
する可能性は。
体勢を立て直し、銃口を鬼に向ける。発する言葉はヒラケゴマでも、テクマクマヤコンでも、うはwwおkwwでも
ない。俺は引き金を引くと同時に言葉を発した。
「オニハソトッ!」
力ある言葉と共に銃口からは、魔力を帯びた豆が吸い込まれるように鬼に向かっていきヒットした場所で破裂
する。見事に巨大な体を大きく仰け反らしダメージを負わせることが出来た。
鬼のヘイトもどうやら十分に貯まったらしく本格的に攻撃を仕掛けてくる。しかし、攻撃モーションが元々
大振りなモンスターである、そのことごとくが俺の力ある言葉と共に撃たれる銃によって攻撃そのものが
スタン状態になり、こちらの一方的な攻撃を続いた。
一発撃つ毎に体力を減らされていき次第に動きの悪くなるのが見て分かる。あと一発で仕留められるか、
と思った時にそれは起こった。
――弾切れである。
最初に一発無駄打ちした分が今となって悔やまれる。床を見渡してみても、さすがに運よく転がっては
いないだろう……いや、あった。どうやら天も俺を見放していなかったらしい。入り口からこちらを覗く
子ミスラの足元に転がっていたのだ。
「そこの足元に転がっている豆を取ってくれ」
優勢になりつつある戦況からか怯えた表情が少し抜けた子ミスラは、俺の呼びかけに視線を落とし足元に
ある豆に気付いた。
「お豆さん? ころころコロリンにゃ〜ん」
足元に転がっていた豆を子ミスラが手に取る。よし、その一発を撃ち込めば、この馬鹿馬鹿しい豆撒きも
終焉を迎える。これでジ・エンドってやつだ。
「おいしそうにゃ〜」
まぁ、炒った豆だからな、そりゃ食べられ――まて……。
「あ〜ん。パクッ……おいしいにゃ〜」
どうやら天は見放してなくても、子ミスラは現状を理解していなかったらしい。窮地に逆戻りである。
どうするよ俺? 使える物を探せ、頭を回転させろ。そうだ、豆自体は食べられる普通のものなのだ、
昨日競売で買った豆でも問題ないかもしれない、武器の一つでもあれば応戦できるんだろうが、今あるのは
昨日寝る前に子ミスラが振り回していた棒切れぐらいだ、刃物なんぞ置いておいて子ミスラの玩具になるのは
危険だと収納家具の奥へと入れてしまった。今から出している暇はない。
未だに鬼の方はダメージが抜け切らず怯んでいる。俺は豆の入った袋に手を乱暴に突っ込み、ヘキサガンに
装填しようとするが……基本的に銃というものは決められた口径に合う弾丸を用いる必要があるのだ。言うまでも
あるまい、今手にしている豆では大きすぎて詰められないのだ。
こうなったらもうヤケクソだ、いや伝統的な方法とも言えるか、この際どっちでもいい。そのまま投げつけてやれ。
装填することが出来ず行き場が無くなった手の中の豆を鬼に投げつけた。もちろん例の言葉もセットでだ。
「オニハソトッ!」
意外だった。どういう原理かは分からないが。手から放たれた豆は先ほどよりは力なくだが、放物線を描かず
魔力の篭った独特の射線を描いて鬼に当たり、そして同様に銃から撃たれたものよりも軽い破裂音ではあったが
ダメージを与えることが出来たようだ。
未だに薄く残る虹色のアストラル霧(仮)の効果なのだろうか、そう考えるとヘキサガンの方はブースターの役割が
あるのだろうか、思考を巡らしても答えは出ない。ならば目の前にいる鬼を倒して、気が向けば某博士を問い詰める
までだ。気が向く日は来ないだろうがな。だってそうだろ? 誰も死にたくはないからさ。
そうなのだ、目の前にいる息も絶え絶えな鬼も例外ではなかった、俺が出会って早々に知性の方を疑ったが、
どうやら満更でもなかったようだ。偶然かもしれないが、軽い破裂では止めることの出来なかった火炎の息が豆の
入った袋を焼いてしまったのだ。鬼の顔の向きが自分とはずれていたので大丈夫だと安心しきっていた。
まったく、どうしてこうトドメの一撃が刺せないか? 思考を巡らせ! ……どうやら敵とこの場の設定は俺が昨日
博士に説明したものから作られているようだ、俺は昨日何を話した?
鬼の説明を俺は博士にした。そして今目の前にどこで勘違いしたかマンティコアベースの鬼がいる。
豆撒きの説明もした。そのおかげで魔力を伴い銃口からでも発射できる豆撒きが出来ている。
あと一つ。魔除けの説明をした。節分に使う魔除けは……鰯の頭を柊の枝に刺したものが節分の魔除け
アイテムだ。鰯を英語で言うと? 柊を英語にすると? サーディンとホリーである。そうだ昨日の夜に俺が
食べたものと、その後子ミスラが振り回していたものである。これは奇跡と言うしかあるまい。
先ほどの火炎の息が最後の足掻きだったのだろうか鬼の方も虫の息である。俺の方もこんな茶番は
さっさと終わりにして現実世界へ帰る方法の一つでも考えたいんだ。これで終わりにしようぜ。
ごみ箱に駆け寄り、ホリー原木の枝を手に取りバストアサーディンの頭を刺す。ボスにトドメを刺す聖剣と
しては、未だかつて無いほどのダメっぷりだろうが見た目に拘っている必要はない。使えるならばそれで
いいのだ、効果が本当にあるのかが一抹の不安ではあるが、最早これに賭けるしかない。
鬼の懐に飛び込み。生臭聖剣をアゴ下から力ある言葉と共に突き上げる。
「もう逝けや! オニハソトォッ!」
どうやら鬼のヒットポイントゲージもゼロに達したらしい。巨大な体躯が沈み込み倒れる。まずい、押し潰さ
れる……しかも、先ほどのアクロバティックイナバウアーの腰の痛みが今頃になって恐ってくる。やばい、本当
に押し潰され――る前に、どうやら鬼の巨体は霧の様に四散したらしい。俺は一人、所々破損し散らかった
モグハウスの中で倒れ天井を見上げていた。
「……やっと終った」
込み上げてくる疲労感と共に溜息も溢れてきた。子ミスラはどうしているだろうか、鬼も消えてはしゃいでいる
かな。俺は見上げるように首を動かし扉の方を見る。予想に反して、天地が逆になった視界の中で立ち竦んで
いる子ミスラの表情は未だに浮かないものであった。
流石に足にきているらしい、起き上がり子ミスラの方へ近寄る足も我ながら力なく情けない。
「どうしたんだ? 鬼もどっかいったのに元気ないじゃないか?」
視線を合わせるように膝立ちになった俺は子ミスラに問いかける。表情からは不安が見て取れ、今にも
涙が溢れてきそうだ。俺の中のハテナマークは依然消えない。
「にぅぅぅ。悪い子のところには鬼がやってくるって――」
そういや、そんな事も言ったな。
「そしたら悪い子は、お家の中に入れなくなるって言ってたにゃ……だから、だから……もしかしたらお家の
中に入れないかも知れないにゃ……」
そうか、だから扉のあった内側には入って来ないのか。よっぽど信じていたらしいな。
「お家の中に入れなかったら、一緒に遊んだりゴハン食べたりも出来なくなっちゃうと思うと……うう……」
とうとう子ミスラの瞳からは涙が溢れてきて頬を濡らした。
ああ、そうだ。悪い子の所には鬼がやってくる。だが悪いのはお前じゃない。悪いのはこのヴァナ・ディールに
一人現実世界からの来訪者として孤独に佇むはずだった俺に笑顔を振りまいてくれるお前を泣かしてしまった
俺自身だ。
それに鬼を退治できたのも、お前が選んだ魚のおかげであり、お前が拾ってきた枝のおかげだ。言うなれば
子ミスラは俺の福の神である。
そうだ、節分には対になっている二つの言葉がある。その言葉にも魔力が宿っていたのかは分からないが、
抱擁と共に子ミスラに云ったその言葉は、彼女の表情に笑顔を取り戻し、一歩を踏み出させる呪文でもあった。
なんて言ったかって? そりゃ一つしかないだろ? ――「フクハウチ」ってな。
157 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2007/02/23(金) 02:07:35.34 ID:XKMBQAIe
と、まぁ、ご覧の通り、
ものっそい文章量のある話なので暇な時にでも
読んでくだされば幸いです。
いつの間にか夜も更けてきたので、一人反省会と
他の方へのコメントは明日の夜にでもしたいと思いますです。
158 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 08:14:07.45 ID:LEwULkXn
保守
159 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 11:11:17.70 ID:cJCUnwa3
ロングバージョン乙です
某博士は本当にろくな事しないなw
160 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 14:57:24.15 ID:GWrqWdaT
保守っ!
保守しとこう
162 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 19:45:53.65 ID:+QpyUOzC
「信じらんないっ!」
カップをテーブルに叩きつける音が店内に響く。みなが一斉に何事かとそちらを見、いつものことだと知ると談笑に戻る。
炎のように鮮やかな赤い髪のタルタルの少女?が、友人を相手にくだを巻いているのだ。
「ユーリったら、またひとりでどっか行っちゃったのよ!今日はあたしとオズに行く約束だったのに!」
「でも、彼女、今日は、」
「あああ、も〜!!」
言葉を遮り声を上げる。
ダメだこりゃ。あきらめて、カップいっぱいのジュースをすすった。
「彼女なら、もうすぐ来ますよ」
笑って、エルヴァーンの店員がテーブルに大きなケーキを置いた。
てっぺんにパインで作ったクロウラーが乗った、カスタードクリームたっぷりのケーキは、この店の秘密のメニューだ。
と言っても、メニューリストにないだけで、誰でも頼める『公然の秘密』なのだが。
「ああ、ここにいたか」
約束をすっぽかしたことをわずかにも気にかけず、赤魔道士のアーティファクトを着たミスラが彼女に声をかけた。
ちょうど、店員がケーキを置いたタイミングにぴったりに。あるいは、来るのを狙って置いたのかも。
「ユーリ!あんたねぇ!」
「ああ。また、『サルタバルタのクロウラー』か」
げんなりとケーキの名を口にして、アップルジュースを頼む。
「ストローはいらない。カップ半分で」
「はい」
163 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 19:51:46.85 ID:+QpyUOzC
常連さんから代金(値段より多いのにお釣りを渡そうとすると怒られる)を受け取り、代わりにメモを渡した。
「ん?」
きゃんきゃんと騒ぐタルタルをほとんど無視し、折り畳まれたメモを広げ、文字をなぞる。
[今夜、星降る丘に]
「・・・・・・?」
メモを眺め、小さく畳んで懐にしまう。
そう言えば、あの店員。彼は確か、サンドリアの出身だった。それが『色々あって』今はウィンダスにいるのだと言う。
奇妙と言うほどではないが、不思議なところのある青年だった。
以前には、世界の成り立ちの神話を聞いてきたり(彼はサンドリアで神学生だったそうだが)、魔法の理屈を聞いてきたり。
しかし別に異常と言うほどではないだろう。時々は、世界のあり方を理解しないで世界を知る存在もいる。
世界にとってみれば、イレギュラーな存在なのだろうが。
「・・・さて、では、来訪者が何の用かな」
口にして、ケーキの上のクロウラーをつついた。
「ごめんなさい。もう、行かないと」
謝る彼に、女将は苦笑する。
「気にしないでいいよ。あんたはよく働いてくれたから、いなくなるのは惜しいけどね」
「・・・ごめんなさい」
微笑み、まとめたレシピの隅に『保守』と記した。
164 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/23(金) 23:50:31.10 ID:mfff/fK1
「はっはっは! 楽しいな! 息子よ!」
そういいながら自慢のマシンボウ(しかもHQだぜ?)を打ちまくる親父。
「そうだね。楽しいね」
と適当に流しつつファイガをその辺中にまく俺。
先ほど見えた海賊船はいつのまにか横付けされていて大量の骨が流れ込んできた。
ゲームなら無視して釣りを続行するものの悲しいことにここはリアル。当然絡んでくる。
しかも船員も絡まれたりするので有志で海賊退治となった。ああ、めんどくさい。
そもそもクロスボウの攻撃属性である突属性は骨に効きにくいのになんであんなに倒せるんだ。
と疑問に想いつつファイガ一発。骨一掃。でか骨もいないしさっさと終わらないものか。
「我が一撃受けてみろ!!」
突然叫んだ親父は目の前の骨・・・の頭の上を撃った。しかもイーグルアイじゃん。まさか外した?
矢は一直線に飛んでいき・・・相手の骨を召喚する魔法使いに直撃。ほしゅっと音を立てて貫通した。
どんだけ飛命あげてるんだよ。ありえないよ。まじで。ほら、他の乗客もかなり驚いてるぜ?
と思ったが口には出さないでおく。それを見て無理だと判断したのかすぐに海賊船は去っていった。
165 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2007/02/24(土) 00:35:01.71 ID:+7IMxmp5
166 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 02:11:03.30 ID:gsxHsDu6
ageage
167 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 08:37:09.74 ID:x1pCSGeV
さらっと読めたさage
168 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 14:33:46.34 ID:g+9tRWsi
緊急浮上
169 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 17:21:02.34 ID:5IqqoN8m
保守るよ!
170 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 19:43:17.35 ID:s7AqECpl
ちゃぷん。水の入った瓶を揺らす。
蒸留水と言うのだから、H2Oなのだろう。飲用水にするには難がある気がする。
そもそも水の味は、水に含まれた様々な成分によって複雑に作られ、・・・さて、蒸留水で作るお茶はおいしいのかな。
料理好きとしては、ちょっと気になる。男の身で料理好きと言うのは、こちらでは珍しいのだろうけれども。
「・・・んー」
まあ、いっか。焚き火を岩で囲んで作った簡易のコンロに鍋をかける。ポットに茶葉を入れて、湯が沸くまで待つ。
ウィンダスでは、いたるところに水があった。湧き水もたくさんあった。だから、蒸留水を使ったことはない。
「合成で作らないのですか?」
周囲を見回っていた男が問うてきた。
同じ金髪の、でも背の高い男。緑のガンビスンを着ていて、彼女と同じ、細身のレイピア(名前はよく分からない)を武器にしている。
「合成の仕方、分からないんです」
「おや?調理ギルド公認の師範と聞いていますが」
「・・・合成だと、うまく作れないんです」
困ったように微笑むと、彼はわずかに首を傾げただけで、それ以上は追求してこなかった。
鍋から湯をポットに移し、懐中時計で時間を計る。
その間彼女のパートナーは、黒い刃の剣を荷物から出して眺めていた。
「その剣は?」
問うと、彼はきょとんとし、それから口を開く。
「重く、古い剣です。武器として使うにも難しい。鍛え直せば素晴らしい武器になると言われましたが、難しいでしょうね」
隅に『保守』と刺繍された布で剣を丁寧に包みながら、彼は言った。
171 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/24(土) 22:19:14.93 ID:5IqqoN8m
いつものとおり晴れ渡った日。いつもの通り親父と釣りをしていた。今日は街で釣っている
竿を振るとホシュゥ、と音をたてて伸びる。この感じがいい
「……この前リアルに帰還する方法を聞いたな?」
大羊のおいしい食べかたについて議論している最中に突然そう切り出した。
「確かに言ったね」
海賊船が襲ってくる少し前に言ったことを思い出す。言われなければそのまま忘れて言ってたな
「方法はいくつか存在する」
「どのくらいなんだ?」
「僕が知っているのは四つ。そのうち一つは来訪者に不可能な技だ」
はて、不可能とはどんな技なのだろうか。親父の次の言葉を黙って待つ。
「不可能な技……。それは一部の赤鎧クラスの管理者に許される現実帰還魔法。対象は自分のみだがな」
「そんなのがあるのか……。まさに裏技」
「だな。他の三つの一つ。いや二つだな。この二つはアイテムが関連したものだ」
「デジョンの魔法府みたいの?」
「片方はそれに似てる。一回のみ。もうひとつは何度も使うことができるものだ。
ただ一回きりのほうはアイテムのほかに魔方陣も必要になる。この方法で帰還するのはほぼ不可能だろう。
まぁ、例外はいたがな」
そういうと強くため息をついた。苦い思い出でもあるのだろう。キニシナイでおく。
172 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/25(日) 01:27:10.05 ID:X9youHjm
「俺、竜騎士になるんだ!」
そういった友人行ってしまった友人の知らせを聞いたのは一年後だった。
「なになに・・・街中にブネを持ち込み竜騎士を名乗るヒュームを捕まえたか・・・。世の中物騒だ」
ということで保守るよ!
皆様、投下乙でございます。
当方の続きは、昼頃に書こうかと思っております。
しばらくスレでお見かけしていない、あのかたのキャラをお借りしてしまう予定でございます。
将軍の朝は早い。というわけでなく、早朝ビシージはきついです。
「・・・ぁふ」
あくびをかみころしながら、属性杖を構える。
「疾く来たれ風の刃。《エアロIII》」
風圧でシャポーが飛ばされないように気をつけながら詠唱。うーん、やっぱりマムには利かないかぁ。
「彼の者にシヴァの口付けを。《ブリザドIII》」
杖を持ち替えて、早口に唱える。ふむぅ。
俺の横を、二刀流のタルタルが駆けていく。そして、・・・あ、マムの自爆に巻き込まれた。
ぷすぷすと頭から煙が立っているのを見ると、なかなかに笑える。けど、俺は笑い事じゃすまない。
倒れたら、死ぬ。
「痛ッ・・・」
プークの鋭い一撃が頬をかすめた。とろりと生暖かいものが伝う感覚。
「女神よ、慈悲を。《ケアルIII》」
暖かい光が俺を満たす。
と、深紅の装束をまとった男が鎌を背負ったまま深い詠唱に入っている姿が見えた。
炎蛇将ガダラル。黒魔法に長けた彼は、競売地区を守る五蛇将のひとりだ。
ビシージになるといつもそばにいる俺に、近寄るなだの回復などいらんだのと文句を言ってくるが、それで負けたら親衛隊じゃない。
だが、待て。彼の唱えている魔法は・・・!
「エアロガIIIッ!!」
・・・俺は、彼を囲んでいるプークがっゃっゃになる瞬間を見た。
175 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/25(日) 10:07:38.13 ID:HCTHYEdg
ヨイショ
176 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/25(日) 13:41:47.17 ID:X9youHjm
天の彼方までスーパークライム!!
保守るよ!
177 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/25(日) 14:15:51.10 ID:t6oBu1T1
保守&投下お疲れ様です。
1週間振りくらいになりますが投下します〜
(377)
「スタングレネード、でございますか…?」
半信半疑と言う表情で、爺さんがそう呟くように言った。ラディールも神妙な顔をして考え込んでいる。
「俺も実物を見たことがある訳じゃないし、使ったことがある訳でもないから確信はないけどな…」
言っては見たものの、俺としてもそれほど自信はない。
蒸気の羊亭での一件があって1時間ほど経ったが、駆けつけた銃士と共に説明に出向いた領事は相変わらず戻ってきていない。
一先ず領事館まで引き揚げてきたものの、上手く行けば一気に問題解決という場面だっただけに、場の空気は重いままだ。
領事の机の上には、先ほどエルリッドが使用したものの破片がいくつか乗せられている。
レバーのような形状の金属と、炭化して判別不能の何か。手がかりとしては大いに不足だが、推測ならできる。
「でも、体が痺れるとか衝撃を感じたとかそういう感じではなかったけど…」
「ん〜、まぁそれは多分方法の違いってだけだな。意味は同じだよ」
首を悩ましげにもたげながら、納得がいかないという様子のラディールに軽く微笑みながら返す。
「魔法のスタンは相手の体に弱電流を流し筋肉を弛緩させることで一時的に行動不能にするし、タックルやブレインシェイカーの場合は直接的な衝撃で筋肉を硬直させる。どれも直接的に身体に作用して無力化するんだが…」
「成る程、轟音と閃光で感覚機能を麻痺させることでも同様の効果が得られると言う事ですな」
爺さんの相槌に頷きつつ、大仰にウンザリとした表情を作ってさらに言葉を続けた。
「イヤな感じだな。こんなものが出てくるって事は、やっこさん相当隠し球がありそうだ」
(378)
向こうの世界の、殺傷能力が低いとはいえ兵器がこちらに来ているというのはまったく想像していなかった事態だ。
よく考えてみれば、金属片やらプラスチックやらが流れてきてるならそういう可能性もなくはない。
しかし、仮にそうだとするならば、少なくともその一つを使ってどういうものかを把握していたことになる。
スタングレネードは一つではなく、複数個もっている可能性が高い。
「爺さん、こちらでアレと同じものを作ることは可能だと思うか?」
「…おそらくは不可能かと。あれほどの轟音や閃光を発生させるような素材は見当が付きかねますな」
ため息混じりに答える爺さんの表情に、若干だが落ち着かない様子が見られた。
こちらで作れないなら、やはり向こうの世界から来たものだろう。
そして、下手をすればもっと強力な兵器を持っていてもおかしくはない。
「スタングレネードは殺傷能力をほとんど排除した特殊な兵器だ。もし他の兵器がこっちにあるとなると…」
そこまで言って、続く言葉が見つけられなかった。
最悪というなら大陸一つを死の大地にするようなものまであるのだから、むしろスタングレネードで良かったと思うのが妥当なのかも知れない。
ただ、状況が最悪だっただけの話だ。
(379)
「…もう少し、調査が必要なようですな」
「最悪の場合も考えると、エルリッド一人の為に事を急ぐのはヤバ過ぎる。しばらく様子見だろうな」
ようやくの結論を得たところで、領事館のドアが開かれる音がした。
慌ててラディールが応対をしに向かおうとするが、それよりも早くカツカツと踵を鳴らしてこちらに向かってくる。
そして、俺と爺さんが唖然とするのを気にする素振りもなくどっかりと領事が自分の席に腰を落とした。
「…ファーロス、少し面倒なことになったぞ」
不機嫌をまるで隠そうとしない鋭い視線が突き刺さる。
「今回の件、バストゥークとしては外交問題にしたいらしい。知らぬ存ぜぬで通る状況ではなくなった」
俺と爺さんが首を傾げて領事を見ると、領事は凄まじく深いため息を一つついてから説明をしてくれた。
現状、サンドリアとバストゥークには協定が存在するそうで、国内における作戦の実行については重要度や緊急度の如何に関わらず
事前通達が必要になるという。今回、その手順を踏まなかったことをバストゥーク側は指摘しているらしい。
領事としては、たまたまその場に居合わせただけで巻き込まれただけだと主張したようだが、駆けつけた銃士の証言により
在バストゥークサンドリア領事館の職員が原因であると言うように決め付けられており、現在対応を検討中だという。
騒ぎの中心にいたのは俺達だから、そこは隠しようがなかった。
悪いことに、あの轟音はバストゥーク中に響き、閃光は大工房の総理府からも見えたのだという。
つまり、俺達が思ったよりも大きな騒ぎになっているのだそうだ。
(380)
領事が領事館に帰ってきたのも、帰されたと言うよりは半ば強引に一時的に引き揚げてきただけで、またすぐに総理府に行くのだそうだ。
「それで、だ。エルリッドの件について、全てとは言わないまでも一部をバストゥーク側に説明する必要がありそうだ」
しかも、なるべく当たり障りのない不名誉な部分のみをな、と領事は続けた。
エルリッドという騎士が王国を出奔し、それと遭遇したために事件が発生した、というシナリオで鎮静化を図りたいのだそうだ。
そうなると外交問題という意味では確かに回避できるかも知れないが、シュヴィヤール家としては不名誉なことになる。
その了解を一応取っておきたいと言うことだった。
「そりゃ構いませんが、そうなると今度は俺に目が向くのでは…?」
「そうだな、時間は稼いで見るが明日には君にも総理府へ出頭するよう通達が来るかもしれない」
困ったことになった、という表情をその場にいた全員がしている。
そうなるとエルリッド奪回はおろか、俺の行動自体に制限が発生する。
「まぁ、真実を織り交ぜてできるだけ水掛け論をしてくるさ。できればその間に今回の件が解決していれば言うことはない」
そう言って領事は含みを持たせた視線を俺に送ってきた。
その視線に、俺は黙ったまま頷く。
「…では行ってくる」
そう言うと領事は素早く席を立ち、肩で風を切るように領事館のドアから出て行った。
(381)
「と、言う訳らしい。とりあえずやるだけやってみるしかなさそうだな…」
明るく言っては見るが、それも空しい。
「困りましたな…」
「困るでも何でも、チャンスはもう今夜しかなさそうだ」
一先ず、爺さんにヒロとフルキフェルへの連絡を頼んでから、一度"こうもりのねぐら"に戻って荷物を取りに行こうとしたところで、
領事館のドアが再び開かれた。
「こんにちは、何か御用でしょうか?」
ラディールが重い空気を振り払うように明るい声を上げる。
ドアを開けて入ってきたのは、チェーン装備で身を固めたヒュムだった。
バストゥークの国内警備を担当するガードであると一応の自己紹介をした後、書類を2枚手渡しながら説明を始めた。
「南グスタベルグの商業区ゲート付近で、貴国に所属する冒険者の遺体が2体発見されました」
遺体はゲートで保管してあるので、早急に確認して引き取るなりなんなりして欲しいとの事だった。
崖に横たわっている2人組に気がついた銃士によって報告されたのだそうだが、発見時には既に息がなく、
背後から心臓を一突きした傷跡以外はまったく損傷がないと書かれている。
一先ず領事の不在を理由にして後日連絡をする旨を伝えると、男は足早に去って行った。
(382)
「エルヴァーンの男と、ヒュムの女か… とりあえず知り合いじゃなさそうだが…」
「でも、ヒュムの女の人の特徴にある、『ネコ耳』って何かしら…?」
ラディールが怪訝な顔をしながら、書類に記述されているその部分を指差しつつ俺に手渡してきた。
「死人にこう言ってもなんだが、間抜けな話だな…」
逆に言えば、まったく予期せず殺されたということだろう。
「何か関係あるかしら?」
「さぁな、とりあえずこのくらいの事で驚かなくなった自分が悲しいような気もするよ」
書類を領事の机の上にあった未処理と書かれた木箱に入れる。昨日はなかったから、今日ラディールか爺さんが作ったものだろう。
「荷物を取りに一回宿に戻るけど、何か必要なものはあるか?」
「坊ちゃま、それならばヒロ様かフルキフェル様にお願いするのがよろしいかと」
爺さんがリンクシェルでの会話をしながら、こちらに声をかけてきた。
「…なら、そう伝えてくれ」
「かしこまりまして」
そう言って、爺さんは再び耳に手を当ててそちらの会話を続けた。
手持ち無沙汰になり、先ほど木箱に入れた書類に再び目を通し始める。
エルヴァーンの男の特徴を見て何か思い出しそうな気がしたが、結局特に何も思い出せはしなかった。
今日は以上です。
>>165 ボリュームよりも読みやすい感じでした。
擬音のない戦闘シーンも私は好きですね〜
勉強させてもらいますw
投下乙でございます。
洗車をしていたら、アレもコレもと手をかけたくなってしまい、
気が付いたら、「お昼頃」などすでに過去のことに。
右、左とうねる峡谷の道を必死に駆けた。
頭の中に道順を描きながら、チョコボを強引に操る。
が、レンタルチョコボで、俺の意図に俊敏に反応させるのは無理だった。
せり出す岩肌に肩をぶつけることもしばしばで、俺は内心、舌打ちしていた。
リズムが合わない。
今メイミィが乗っているあのチョコボなら、ただしがみついているだけでも出口まで抜けられるだろう。
なんだかんだ言いつつも、俺はあいつのことを信頼しているらしい。
ごう、とビル風のような突風が吹き抜けた。
地図にない狭い脇道も見かけるが、そこに飛び込むのは自殺行為だ。
脇道は、ひと一人分程度の横幅しかなく、有利に見える。
だが地図にないということは、出口まで通じていない、ということだ。
常時なら、行き止まりで引き返せばいいが・・・。
「まあ、そうだろうよ」
悠長に振り向いて確認する余裕はないが、掘削ドリルの破壊音は相変わらずだ。
バルデリッヒは、確実に俺を追尾してきている。
思考をシフトする。
まともにやりあうのでなければ、どうすればいいか。
通りすがりの熟練冒険者を期待するには根拠が足らない。
では、バストゥークの正規兵にでも任せようか。
俺もチョコボも傷だらけになりながら、最後の急カーブを抜けた。
砂埃のまじる錆臭い風が額を打ち、目を細める。
荒涼としたグスタベルグの風景が目の前に広がっていた。
気がつけば、陽の光にオレンジ色が混じり始めている。
今まで溜めに溜めていたストレスを発散するかのように、チョコボが破れかぶれに加速した。
「メイミィ・・・」
チョコボの差は歴然だ。
はるか先、視界ぎりぎりに彼女の姿を認めた。見えてさえいれば、念話は可能だ。
(メイミィ。先に行って、関所でバルデリッヒを迎撃するように言ってくれ)
北グスタベルグは、瀑布につながる大渓谷によって分断された土地柄だ。
一箇所しかない橋を渡らなければ、バストゥーク本国へは行けない。
そこに、バストゥークの管理する関所がある。
コンクエスト政策により支配権が他国に渡る可能性もあるので正確な言い方ではないが、実質バストゥークの関所だ。
当然、正規兵も駐留しているし、彼らで倒せなければ応援も呼ぶだろう。
かくっ。
俺の乗るチョコボの足が、もつれ始めた。
くちばしの端から泡を吹き、さすがに限界が近いのを見て取れる。
かわいそうだが、しかしこんなところで立ち往生だけは勘弁してほしい。
だが、物事はたいてい期待通りにはいかないものだ。
ごふっ・・・。
と、最期の息を吐き出して、チョコボがくず折れた。
デム遺跡からここまで、さすがに無理をさせすぎたのだ。
俺は電光石火の動きで鞍とバックパックだけ予備チョコボに移し、すぐさま跨った。
モノは考えようだ。
こちらのほうが幾分スピードは出る。
関所に辿り着いた俺を待っていたのは、メイミィと兵士たちとの押し問答だった。
「本当なんですぅぅぅ!」
「そんなバカなことがあるか!」
バストゥークの兵士たち、特に経験豊かな者ほど信じないのは無理はない。
バルデリッヒに限らず、コンシュタットに生息するものがグスタベルグに現れるなど前代未聞。
ズズズズ・・・ン!
腹の底に響くような地鳴り。兵士たちがギョッとして、何事かとあたりを見回した。
いいタイミングだ、バルデリッヒ。
「危急につき騎乗にて失礼する! 私は王国騎士、リードリッヒ・V・ヴォルデモール!」
俺は乱戦でもよく通る声で一喝した。
一旦ここまでで区切らせていただき、ageをいたします。
予定のあの方もいまだ登場せず。ごめんなさい。
191 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/25(日) 20:05:19.39 ID:6Kj1Sf/u
天気はいつも良好とは限らない。特に、憂鬱な日に限って天気が悪くなり、憂鬱に拍車をかける。
錬金ギルドの二階で黒板に向かいながら、大粒の雨が屋根を叩く音が聞くともなしに聞こえる。黒板にはチョークで細かい文字がビッシリと書き込まれ、見ただけで読む気も失せるほどだ。
……ヴァナに降り立ってから、もう数ヶ月あまり過ぎた。もう違和感はない。リアルにいた時の記憶は長い夢のように感じられる。昔は“ヤツら”に怯えていたものだが、今はもう恐れることはない。
「つまり、この溶解薬の主成分はトレントが体内で作り出す胃酸………つまり塩酸ですが、それら消化液を水のクリスタルを使って抽出した、自然の酸というわけですね。」生産指定日係のタルが黒板の前をウロウロしながら説明するが、正直全くわからない。
「これを鉱石にかける実験は以前やりましたね?その時に、蓋を閉めてかけると重さが変わらなかったわけですが、それはどんな理由でしたか?」チョイチョイと俺をつつくタル先生。
「スレッド保守の法則。」
「質量保存、ね……」タル先生がため息を大きなため息を吐く。
俺が錬金術を学ぶには、まだ時間がかかりそうだ
192 :
既にその名前は使われています:2007/02/25(日) 20:59:02.26 ID:EFzujZ8y
落ちそうにないけど
ageるよ!
忍/暗ですか、と思う間もあればこそ。
スタンの衝撃を受け、私はなす術もなくベッドの上に沈められた。
そのまま胴の中心から爪先と頭のてっぺんに向けて、
骨を金やすりで挽かれたような不快な痺れが通り抜けていく。生身で食らったらどうなるんだこれ。
――大丈夫ですか!?
驚愕と焦りの滲む声。返事をしたいけど声も出せない。首だけを捻って、どうにか上を見上げた。
金髪を肩近くまで伸ばしたヒュームらしき男が、
傍らに放り出されていたパンプキンヘッドを掴んで被りなおしながら、体を起こす。
「で、誰と話していたのかな〜?」
もう片方の手で首根っこを掴んで持ち上げられ、顔を覗き込まれた。
『ひ、独り言です〜』
「そ。んじゃいいや」
とりあえずなんとか否定してみればそれ以上の追及はされなかったけれど、
だからといって男はそのまますんなりと私を解放してはくれないようだった。
私をつまみ上げていた手をぱっと放したかと思うと、ベッドの上に落ちた私の背中を
指二本で押さえつけた。というか、指がすり抜けて貫通したような格好になっている。
すり抜けてるならそのまま逃げられそうな気もするというのに、
どういうわけか重く苦しいような感覚に支配されて、その場から腹這いのまま動けない。
私の自由が利かないことを確認した男は、甲賀鎖帷子の袷から虹色の小さな珠を取り出す。
「やぁ、三日ぶりだな。いや、君にとっては二日ぶりだったかな?」
男はまるで親しい友人に語りかけるような口調で、リンクパールとよく似たそれに囁き始める。
「ちょっと邪魔されたくなかったからスタン入れただけだよ。そう大騒ぎしなくても平気平気。
それにしても何のつもりだとはご挨拶だなぁ。人が親切で保護してやってたのにw」
あー、なんだかパールの向こうにいるのが誰だか分かった気がする。
私が隠そうとするまでもなくモロバレでしたか、そうでしたか。
「残念だがアルテパで起こった事のあらましもオレは大体把握してる。
それじゃあ返して差し上げます、ってな訳にはいかないんだなコレが」
あくまで世間話のような語り口だけど、その内容は重い。
つまりGMもどき軍団にこちらの動きは割と筒抜けということに…なる。
けれどその次に男が語った言葉はなにやら意外なものだった。
「いや別に何にもー。強いて言うなら、あまりつまらない事に首突っ込んで死ぬなよ、と」
…ん? なんか心配されてる? なんで?
「そうそうそれだよ。奴は少々やりすぎた…こっち側から懲罰部隊がもう出てる。
キミがわざわざ出張らなくても、早晩解決する話さ」
私の疑問を他所に、なにやら会話は弾んでいるようだった。
「それはそれで楽しそうだが、ことバストゥークに関してはそうするまでもないんだな。
……教えて欲しい? 教えて欲しい?w」
やたら表情豊かに機嫌よく話す姿も、得体の知れなさを増幅する。
「あー、じゃあ教えてやるからコレくれw くれたらついでに超サービスで、
オレ以外にバスに来ている連中の布陣も教えちゃうぞ」
コレって何! もしかして私のことですか!?
物呼ばわりに思わず抗議の声を上げようとしたが、体を貫通する指に阻まれやはり声は出せなかった。
そしてそんな私に構うことなく、それ以上にショックな言葉が、男の口から吐き出されていく。
「くくく…君が言えた立場か? 君こそさんざん好き放題コレの記憶を弄りまわしてたくせに。
いくら自分自身のアニマだからって、記憶の移し変えはほどほどにしとかないと…」
いや記憶を仕舞いこまれたりなかったことにされてたのは薄々知ってたのですが、なに?
ほどほどにしとかないとどうなるの?
「いや別にないしこれの精神がどうなろうと知ったこっちゃないけどさ、
オレはちょっぴり傷ついたわけよ。顔見せて、さあどんな反応があるかなとワクテカしてたら
完全スルーだぞ? このガッカリ感、分かってくれるか?」
話題があっちこっちに飛んでいる。フルさん側の声が聞こえないのがもどかしい。
いやわざと聞かせてくれないのだろうけれど…。なんか話題が誘導的な感じを受けなくもない。
なんとか表情を伺うと、パールの向こうから何を言われたのか、
男は俯き、なにやら少し考え込んだようだった。
「…オレは自分の事ももけっこうヒドイ奴だとは思うが、君もなかなかどうして大概だよな…
昔の仲間が今の君を見たら、どう思うかな?」
…昔の仲間。私にもFFで一緒に遊んでたフレがいたみたいに、
フルさんにもそういえば一緒に戦った仲間がいたというのも、自然な話ではある。
なのに私は、どうして今の今までそれに思い至らなかったんだろう。
そうか、心を、考え方をいじるって、こういうことなのかな…。
「それは違うな。あのまま大人しく死んでいればよかったのに、君が自ら何もかも捨てたんだ」
私の心中を他所に話はまだ続いていく。嘲笑うような囁き。
「コレを何に使うかは深く追求しないでおいてやるけど、覚えておきな。
君ひとりがどう足掻いたって、何も変えられないし、だれも救えはしない」
世界の変容に興味があるとか言っていた男のそんな言葉は、フルさんを挑発しているように私には思えた。
世界の変容が是であるなら、きっと何かは変わっていくのだろう。
それが救われるべき人を救う道につながるかどうかは、分からないけれど。
パールの向こうからの返答を待っていたかのような微妙な間を取って、男がふ、とかすかに笑うのが見えた。
「……こんな事を言っても、信じやしないかも知れないが…
少なくともオレはオレなりに、この世界の全てを愛しているよ」
そう告げ、最後に私にも聞き取れない声で何事かを告げる。
その瞬間、バチッ! と激しい音と共に閃光が走った。
「うあっちぃ!?」
叫びと共に虹色のパールが放り出され、私も指から解放されて自由が戻る。
目の前には耳たぶを押さえる男と、煙を上げながらベッドに落ちてきた、白く濁ったパール。
『リンクパールって、爆発するんですね』
「くそ…パール越しにタゲってくるとは…かなりキてるな。焦らしプレイはこの辺が限度か」
プレイて。そんな。焦らしプレイて。全部仕組んでましたか。だとしたら自業自得だ。
もう一度フルさんと話がしたかったけれど、どうしたら向こうにテルを飛ばせるかが分からなかった。
それにあっちの精神状態を鑑みると、今夜はもう話すのはムリかなぁ…。
ここまでで一旦カットです。
うまいことタイピングが乗ったら今夜中か明日にでも別視点パートで話がもっと進むかも知れません。
それではひとまずおやすみなさい。
199 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/26(月) 01:26:34.50 ID:uYD49C7b
山積みの本を片っ端から読み漁る。
マナを音律で操る理屈。基本の音律を維持すれば他の言葉でも発動でき・・・そういうことか。
両の手をあわせ、意識してマナを集約する。ランプの炎が揺れた。小さく、小さく。手のひらに収まるくらいに小さな炎。
「ん・・・」
す、と意識を解放すると、収縮した炎が散り、テーブルにわずかな焦げ目をつけた。
つまり、音律がなくてもマナを操ることは可能なのだ。
うまく操れば、もっと上位の魔法も詠唱なしでやれるはず。正直、いちいち詠唱するのは面倒だ。
鍋をわかしたり、風呂をわかしたり、それから・・・駄目だ。全部生活に関係している。
Give me ファンタジーな生活。
予定していた調べものを終えると、手製のサンドウィッチとミルクティを持ち込んで、ローテ王妃の庭で一休み。
暇だし、これから武具の保守点検でもするかな。などとぼんやり考える。
と、どこからか子供の泣き声が聞こえた。
「また転んだのか?・・・まったく」
兄弟の溜息。もう少し落ち着くようにと小言を言って、泣きじゃくる少年の頭を撫でた。
[痛いの痛いの飛んでいけ]
短い詠唱とともに、回復魔法が発動する。
そういやあいつ、替え歌が得意だったな。そんなことを考えながら、カップに口を付けた。
「さて、」
ポニーテールの少女が、ペンを取り上げ唸る。
「会議をしようか。これまでの、あるいはこれからの」
「話すことなどない」
黒髪を短く整えたヒュームの男が言い、それに髪を高い位置でまとめたエルヴァーンが口を開く。
「まあまあ。"星"が言いたいのは、要は『鍵』と『騎士』のことだろ?」
「そう。どうにかしないとね」
己の失敗に悪びれぬ男を気にせず、少女はうーん、と唸る。
「"蠍"がボッコボコにやられちゃうなんて考えてなかったなぁ。"蜂"はどうだった?」
「器自体それなりに力があるんだが、それに来訪者の力を乗せていたな。いつかソロでやってみたい」
「器を壊さないでよ。『鍵』にしなきゃいけないんだから」
それほど重要視していなさげに言いながら、メモに『要保守』と記す。
「まだ自分のものにしていないみたいだから、分離させればこっちのものかな?」
「そうなるな。とすると、もう少し手数がほしいか。・・・そう言えば、ゆき、・・・とか言うのがいたな」
「黒だっけ。おおーそれは便利だっ」
メモメモ。
鼻歌を歌いながら、しかしその瞳には冷酷な光が含まれている。
「"蜘蛛"に任せてみようかな。"凶鳥"にぶつけるにはちょうどいいし」
愉しげな笑みをいっぱいに浮かべて、誰にともなく言った。
201 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/26(月) 12:25:18.06 ID:uYD49C7b
真顔で向かい合う、金髪の少年がふたり。
「・・・いい加減、本編・・・」
「ここ数スレは快調に進んでいますが」
「・・・むしろ、バカ笑いしたり叫んだりしないようになりたいです」
「頑張れ中の人」
「・・・あうぅ」
そんなわけで保守でなく続きを少々。
>>119-120の続きになります。
202 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/26(月) 12:29:06.51 ID:uYD49C7b
それにしても。
落ちてそのままにされていたシャポーを拾い上げる。
彼女が『キーゼル』であるなら、戦士でなければならないはず。なのに、赤魔道士の姿だった。
そう、赤魔道士だった。私と同じ。
つまり・・・終わる?
「 」
聞こえた名前に、私は顔をあげた。
見ている。見つかった。見つけられた。終わりだ。この『ごっこ遊び』も。
「・・・ッ、」
「シオン?」
不安げな声が私を呼ぶ。
気付くと、いつ来たのかカイが私の側にいた。ミガイフォングはキーゼルの側に。ふたりとも、私と彼らを案じている。
「よかった。さっき、すごい音がしてたから」
「・・・音?」
「うん。何かが壊れるみたいな、どーんっていうか、どかーんっていうか」
言いかけ、崩れた壁に気付いて絶句する。よく見ると噴水も破壊され、広場は水浸しになっていた。
私は知らない。関与していない。銃士隊が来たら、真っ先にあの男を突き出してやる。
「加減なく力を乗せたのでしょう。あの程度の被害で済んだのは奇跡ですよ」
ミガイフォングが苦笑しながら言う。言われてキーゼルは、どこかばつの悪そうな顔でうつむいた。
その仕草に小さなタルタルがくすくすと笑う。
「騒ぎになる前に戻しますね」
簡単に言うと、空に向かって両手を掲げ言葉を口にする。
[今度の魔法は特別だよ〜!]
ぱあっと光が散る。きらきらと降る光が触れると、触れた先から元の通りになっていく。
まばたきを数度する間に、広場は何事もなかったかのようにそこにあった。
「これが、世界への干渉です」
少し照れながら言う。キーゼルはわずかに微笑んで返した。
「《女神の印》に力を乗せたのか。・・・俺にはうまく使えないな」
「魔法やアビリティに、軽く意識を重ねればいいんです。あなたなら、システム側からの干渉もできるはずですよ」
「俺には無理だ。彼女ならできるだろうけど」
言って、腕の中の存在を見る。
意識を失いぐったりと身を預けている。夜闇を照らすランプの光を受けるその顔は、彼女のものだった。
その姿はキーゼルなのに、はっきりと分かる。
多分、ああ、そうか。
「彼女は、・・・ん、」
カイが言葉に詰まる。
少し考え、それから喘ぐようにわずかに唇を震わせ、ようやく言葉を口にできた。
「・・・そう、彼女は、キーゼルさんじゃないんです」
不安げな、聞こえないほどに小さな声で。
同じ名前を持つのだから、中身もそっくり同じだと思っていた。けれど、違う。
金を薄くすいたような髪も、どこかあどけなく柔らかな表情を描く顔も、確かに彼女だった。
男なのに。キーゼルなのに。
「『私は女です!』って?」
揶揄を含んで、暗黒騎士が言う。私が見上げると、彼は何がおもしろいのか喉で笑う。
「しょうがねぇよなぁ。中は女でも外は男なんだからな」
女の外見で男みたいな奴もいるけどな、と続ける。
つまりそれは、・・・うん?
「私のことかッ!?」
「そこまで言ってねぇよ」
「だったら何で私を見るんだ!!」
「さあねぇ。それにしても、ミスラってのは小さいもんだな」
「頭をなでるなーッ!!」
こんな場面をどこかで見た。いつだっけ?でも、分かるよ。覚えている。
だけど、どうしてだろう。
そこにいなかったはずなのに、どうして覚えているんだろう。
205 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/26(月) 12:40:15.11 ID:uYD49C7b
今回は以上です。
ミスラって小さいですよね・・・
(明後日の方向を見る)
・・・・・・小さいですよね。
206 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/26(月) 15:31:51.37 ID:8trtipsy
age
207 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/26(月) 18:34:09.82 ID:SYXxQ7ka
小さな子猫ちゃんage
208 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/26(月) 21:51:09.53 ID:TDAqAjP4
保守るよ!
209 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/26(月) 21:51:27.43 ID:FNXwFzoF
最近フレのエルヴァーンと並んだら
自分のミスラ(Mサイズ)って小さいな……と思ったから小さいよ。
……まぁ、エルがデカイだけかもしれんけど。
保守上げいたします。
エルLサイズは前衛向きかと思われます。。
鎧姿の見栄えが大変よろしゅうございます故。
211 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 00:16:34.88 ID:zCmxCg/a
タルのLは頭デカすぎだから一見の価値ありですね
ということで補習の授業が今朝から始まるので保守いたします
とうとう竜騎士75になりまして、メリポに装備集めに東奔西走している日々に御座います。
そんなこんなで最近すっかりご無沙汰でしたが、そろそろ投下始めたいと思います。
えーっと、風呂上がったら投下しますネ(ぇ
では、恐縮ながら1レスのみ、お先に投下いたします。
前回の投下は
>>187-189でございます。
「隊長殿は何処に?」
私が、と名乗り出たのは、なるほど叩き上げらしい険しい顔の壮年兵だった。
身に付けた鎧の、ウロコ状に並んだ白色の小札がシャラリと鳴る。
「狂った大羊が南に向け暴走しているのを見、知らせに来た」
このままでは、時を待たずしてバストゥーク本国への侵攻を許してしまう―――。
俺がそう言い終えたと同時に、兵たちにどよめきが湧いた。
ドズズン・・・ドズズン・・・!
猛進を続けるバルデリッヒが、コンシュタットの方角から姿を見せたのだ。
その姿は、まさに異様だった。
両の眼が燃えるように赤く、“鋼の羊毛”と称される体躯には無数の岩石をまとう。
どこで引っ掛けてきたのか、黒々と枯れた大木が2本ほど、逆向きに刺さっている。
「狂ってはいるが、体力だけならアマルテア級と見た」
「アマルなんだって?」
まぁ、知らなくても仕方がない。
「何にせよ、ここで食い止めなければ、な」
「でも隊長ッ、これから休暇で娘さんに会いに行く時間じゃ・・・!」
制止を聞かず、隊長は腰間の剣を抜き放った。何ごとか祈りを捧げた彼の、眉間のしわが深い。
「総員戦闘配置! 迎え撃つぞ!」
今夜は以上でございます。
たっぷりと熱を帯びた大気の中、頬に触れる涼しい風。
その心地よい感触と、胴着越しに感じる砂の熱さ。
相対する感触が、ぼんやりと私の意識を覚醒させていった。
「あれ……?私、何してたんだっけ……?」
頭の中にも霞がかかっているかのようで、必死に記憶の糸を探る。
なにか、大切なことがあったはずなのに……
「あーっ!シェティ!目が覚めたんだねっ!」
いかにも元気いっぱいな少年の声だ。誰だろう。私の名前も知っているようだけど…
何とか上体を起こして、声のする方向を向いてみる。
青い体に一対の翼、つぶらな瞳に長い尻尾。
姿は同じでも、私には分かる。私の飛竜。オボロだ。
「オボロっ!」
その瞬間理解した。私も、オボロも生きている。
「オボロ……よかった、よかったよぉ……」
向かってきたその小さな体を抱きしめる。暖かい。確かに生きているのだとわかる。
「シェティ……泣いてるの?」
「だって……怖かったから。いなくなっちゃうんじゃないかって、怖かったから……っ!」
ただ、生きていてくれたことが嬉しくて。
「大丈夫……ボクは、ここにいるから……」
そんな言葉が、嬉s……言葉?
「な、な……なな、何で喋ってるの〜っ!?」
叫んでみた。思いっきり身を離した。
本当に何で喋ってるんだろう。中に人でも入ってるんだろうか……
想像したら、かなりイヤになってきた。
「何で、って……それは当然……あれ?」
喋っている当の本人(本竜?)が逆に首を傾げている。
「ボクって、喋れるんじゃないの?」
「いや、普通あり得ないでしょ。喋る子竜とか…聞いたこと無いよ、私」
さっきまでの感動っぽい雰囲気は何処へやら、なんだか間抜けなやりとりを繰り返している。
結局、喋れるものは仕方がない。特に不便なわけでもないし、と、妥当な結論に落ち着いたのだった。
私も、話し相手ができたのは嬉しいことだったから。
なかなか筆が進みませんorz
続きは何とか後ほど……
子竜(ワイバーンの幼生)は知らんが、Pukはしゃべれるな。
公式のモンスター紹介を参照。
220 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 07:42:44.22 ID:wTcCgj1b
竜騎士取得クエストから言えば子竜は生まれたばかりって設定だし
将来喋れるようになるかもしれんが、現状では喋れないってイメージがある。
FF11の小説に出てきた女竜騎士の子竜も喋ってなかった気がするな。
喋りかけてはいたが……。子竜がどの程度理解していたかはナゾだ。
221 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 11:21:46.92 ID:lTXqsxht
喋れなくても分かってる路線
222 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 15:04:03.24 ID:SsJtZL5Y
直接的な会話でなく、心に話しかけるみたいな感じなのかな、と考えてみる。
223 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 18:14:51.93 ID:SBW2sRAo
あげあげっと
224 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/27(火) 21:04:27.57 ID:SsJtZL5Y
遅レスだけど、ミスラSとタルLで並んでタルを泣かせたことがあります。
なら何故そのサイズを選んだのかと・・・
225 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/28(水) 00:09:41.02 ID:+gdSFLt3
age
「それじゃ……これからどうしようか?」
エアーズロックの袂、湖の畔で一人と一匹並んで座り。
巨大なビートルがわさわさと歩いている。襲ってこないというのは分かっていても、見ていて楽しい物でもないな。
「ボクは……自分のことが知りたいな、どうしてボクだけ喋れるのか、とかさ」
「そっか、まずはそれを調べてみようか。となるとやっぱりウィンダスかな?でも子竜の事ならサンドリアの方が詳しいのかも……」
いずれにせよ両方廻る必要があるのかもしれない。
「……あっち。あっちの方に行かなくちゃならない気がするんだ」
オボロがその翼で指すのは北。
「北……ってことは、サンドリア?」
「わからないけど、あっち。何かに呼ばれてる気がするんだ」
何を見てるんだろう、その視線の先にもひたすら砂漠は続いていて。
「それじゃ行こうか!サンドリアへ。きっとそこで何かが分かるはずだよね」
「おーっ!」
立ち止まって考えるのはひとまずお終い。立って、歩いてみよう。
今は、動くときだ。
なんだか最近書くスピードが上がりません。
一応ネタはあるのになぁ・・orz
彼女を抱いたまま膝を突き、小さなタルタルと視線を合わせる。一体どうしてタルタルはこんなに小さいものかと無意味に思った。
「とにかく、助かった。礼を」
「いいえ、利害が一致しただけですから」
にっこり笑ってタルタルは応えた。幼い子供のような外見だが、その仕草は大人のそれだ。
ただのタルタルではないことは知れた。俺が知る以上のことを知り、そして彼女を『シオン』と呼んだ。
それならば、ユーリのことも知っているのだろう。
「せめて名を。知っているだろうが、俺はキーゼル・ソルニエ。姫騎士に連なる偽りの騎士にして剣の主」
もうずっと口にしていなかった言葉は、どこか空虚なものだった。
タルタルはきょとんとし、それからかりかりと頭を掻く。
「ええと、冒険者としての名前はジーニ・アーニ。知人からはジンと呼ばれています」
俺はそう呼ぶことを許されるのだろうか。・・・そうでなければ名乗りはしないか。
だが、初対面の相手を軽々しく呼ぶのも失礼だな。ん・・・どう呼べばいいんだ・・・
俺の思案をよそに、彼はそっと彼女の手に触れた。
「キーゼルさん。彼女たちをお願いします。ふたりとも、大切なものを忘れ何も分からないでこの世界にいる。
迷子になったまま、この世界にひとりにしちゃいけないんです」
祈るようにその手を重ねる。
「"おれ"はまた、『彼女』に名前を呼ばれたい」
何故皆そんな表情をするのか。愛しげに言う表情は、今にも泣き出しそうだった。
騎士として誓う以外に、俺に何ができただろう。
もしかしたら、俺にはそれすらも許されないかも知れない。
「そう言えば、」
ふと顔をあげ、俺を見る。手は彼女から離していた。
「彼女は、何か言いましたか?シオン・・・あー、ユーリは?」
「ユーリも?・・・いや、分からない」
俺とは直接繋がりがない以上、ユーリについて知ることはできない。ユーリ自身は、彼女の意識に触れたのだろうか。
思い当たり見ると、いつか彼女がしたと同じように騒いでいた。
あれ・・・?
「・・・彼女の影響があるのか?」
「恐らく、あれが本当なんでしょうね」
くすくす笑う。・・・俺にとっては、ものすごく不本意だ。
「ユーリ。・・・おい、ユーリ」
頭を押さえつけられながら騒ぐ彼女を呼ぶと、合わせたようにヴォーシェルが手を離し、彼女は渋々とこちらを見た。
「何か・・・あ?」
呼ばれた名前に気付くと、言葉を失う。誰も呼ぶことはないと信じていたのだろう。
ヴォーシェルの代わりに俺が立ち上がって頭を押さえつけると、彼女はふにぅ、と妙な声をあげた。
「・・・ユーリ・フェルシオン?」
「な、あ、う、ど、どうしt」
「どうして、じゃない」
頭にチョップをかましてやる。と、へたりと耳が伏せられ、頭を抱える。
その様子を、微笑みながらジンが見ていた。
「フェルシオン・ランクス?お前は何を言っているんだ」
「だ、何でお前がその名前を知ってるんだ!?」
頭を抱えて叫ぶ彼女を、もう一度引っ叩く。まったく・・・何を考えているのだか。
と、溜息をつく俺の足元で、ジンが笑って言った。
「ランクスは、あなたが名乗った名前でしょう?だから彼女も名乗った。違う?」
頭を抱えたまま、ユーリは苦々しげに顔をしかめて舌打ちをする。
大体が、ランクスなんて名前を名乗る奴はいない。いるとすれば俺以外にはなく、あるいは彼女以外にはいない。
「シオン・・・え?ユーリって?」
まったく唐突に、きょとんとまばたきをしながらリュシアンが首を傾げる。・・・ちょっと待て。
睨むと、彼女は慌てて視線を逸らした。
「・・・おい」
この馬鹿猫は今まで何をやっていたのか。考えたくもない。
「・・・ん・・・」
不意に小さな声が聞こえた。
腕の中で、わずかに眉を寄せる。目覚めるのだろうか。不安になる。
目覚めるのは、どちらだろう。
[月が太陽に焦がれる間は、おやすみなさい。]
柔らかな音律が言うと同時に彼女の眉が開き、すぅ、と寝息を立てる。《スリプル》の魔法だ。
「寝かしてやりな。慣れないことをしっぱなしで、体に負担がかかりまくってるはずだ」
ヴォーシェルが言い、俺から彼女を抱き上げる。
ただでさえ背のあるエルヴァーンであるのに、中でも体格のよい方だ。こう近いと、俺からすれば見上げるほどになる。
あの頃には見なかった漆黒の鎧をまとったその姿は、しかし、あの頃と変わらない。
「・・・あ、」
「寝こけてた見習いが、随分立派になったな」
笑って、空いている手で俺の頭を撫でた。
子供扱いだとかそういうのでなく、・・・小動物とか愛玩動物扱いだ。昔からずっとそうだった。
彼女も同じ扱いを受けたのだろうな。・・・非常に心苦しい。
俺の心中など気にもせず、彼はジンへ言う。
「『鍵』は守るさ。オレたちには無理だったけどな」
わずかに陰のある言葉に、しかしジンは柔らかく微笑む。
「あなたがたは『剣』。『鍵』を守る力。だから、あなたがたにはまだまだ働いてもらわないと」
返された言葉に苦笑して彼女を抱き直すと、これ以上話すことはないと言うかのように、モグハウスへと足を向ける。
ついでにユーリの襟首を引っ掴んで。
「なっ・・・?!バカダルメル、手を放せ!!」
「聞こえねぇなぁ、チビ猫」
「こ、この・・・ちょっ、トルクを引っ張るな!!」
ああ・・・先程までの静謐な緊張の余韻もなく賑やかだ。
「ほんと、ユーリは賑やかだなぁ」
くすくす笑いながらジンが言い、ふと表情を正す。
「世界はひとつだけじゃない。リアルだけじゃなく、ヴァナ・ディールもある。だから楽しいのに」
リアル。俺たちの知らない世界。彼女の記憶から知る限り、このヴァナ・ディールとはまったく違う世界。
毎日何も変わらなくて、楽しいことなんか何もなくて、だから、嫌になる。楽しいことなんか何もない。
考え、首を振る。これは俺の思考ではない。
「ヴァナ・ディールに残ることを選択した来訪者は、何を望んでいたんだろう」
知らず口にしていた言葉に、ジンは険しい表情で応える。
「分かりません。ただ、どうしてもそれを選ぶしかなかった人もいます。リアルから逃げたくてこちらを選んだ人も」
「彼女はどちらだろう」
「彼女は、」
痛いほどの静寂。答えなどいらない。互いにそれは聞いてはいけなかった。
「戻らないと」
誰が、とは言わなかった。小さなタルタルは柔らかな声で詠唱を完成させ、俺の目の前でどこかへ消えた。
俺はしばらく彼がいた場所を見つめ、どこからか聞こえてきた、冒険者のまとう鎧が立てる金属音に追われるようにその場を離れる。
それから、何事もなかったかのように、商業区には賑わいが戻った。
そんなわけで、
>>202-204の続きです。
リアルから逃げること。
不可能だけど、考えたことは一度ではないはず。
では、いざ逃げられるとなったら?
何となく、そんなことを考えながら読み返してました。
・・・そしてまとめさんのところを読み返したら、有り得ないミスをしていたことが発覚。
ケータイから投下するのも考え物ですね。
キーさんの話は一度頭から読みなおす必要を感じてきた。
逝ってくる。
235 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/28(水) 14:16:12.36 ID:vor11n1/
緊急浮上
236 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/28(水) 17:02:02.45 ID:q33rMKMY
保守るよ!
237 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/28(水) 19:58:11.42 ID:vor11n1/
今日二度目の緊急浮上
投下乙でございます。
上げさせていただきます。
239 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/02/28(水) 22:41:27.20 ID:XZj5xQtO
保守ageっ!
本日の投下をさせていただきます。
前回の投下はコチラです。
>>214
総員、と呼集されて整列した兵は、わずか六名だった。
皆、頼りなさげな小銃を手に、剣を腰に下げ、隊長と同じ鱗鎧を一様に着込んでいる。
あまりにも、戦力不足。
対するバルデリッヒは、一歩一歩、荒廃し赤錆びた大地を踏みしめ近づいてくる。
徐々に彼我の距離が縮まるほど、山のように見上げんばかりの巨大さが実感されてきた。
さすがに走り通して、疲労したのだろうか。
否。
まるでこれから行う暴虐の突進に備え、今は力を蓄えているかのような不気味な静けさがあった。
「あの化けモンはここで食い止める。ヴォルデモール卿は行ってくれ」
「そうさせてもらう」
ぶっきらぼうな隊長の言葉に、俺は騎首を南へ向けた。
カッ、カッ、とチョコボの爪が橋で鳴った。
バストゥークの土木技術で築かれたこの橋は、ゲームで見るよりも立派だ。
渓谷の幅も広く、それに見合うよう頑丈に設計された構造体だ。
とりもなおさず、防衛隊を突破したバルデリッヒの巨体、その超荷重にすらギリギリ耐えうるだろう。
一刻も早く、ここから離脱しなければならない。
「メイミィ、チョコボに乗って。行こう」
「でも・・・」
俺は溜め息をつき、一旦降りて彼女を強引に乗せ、再び自分のチョコボに跨った。
「あのなァ、嬢ちゃん」
隊長が頭をかきながら、面倒くさそうに言う。
「ここが俺たちに任された持ち場なんだわ。邪魔しねぇでとっとと行ってくれ」
しっしっ、と犬を追いやるようなしぐさで、そっぽを向く。
「でもっ、娘さんが待ってるんでしょう!」
メイミィは、激昂して食い下がった。普段の彼女からは、珍しい。
「子供はみんな、お父さんに無事に帰ってきてほしいって、いつも思ってます!」
それを聞き、隊長の顔が苦味走った。
反射的に何かを言おうとし、躊躇して、腹の底に全て飲み込んだ。
「誕生日に帰ってやれねぇのは毎度のことだ。そういう仕事なんだよ」
―――目標、射程内!
兵の叫びがこだまして、おうッ、と隊長は応えた。
初めて対峙する、計り知れない敵への怯えが混じる。いかな古強者といえども、その声は震えていた。
「・・・死ぬぞ」
「ま、しゃあねえやな」
わずかに、ほんのわずかにだけ、彼は決意と諦念を織り交ぜた素顔を垣間見せた。
国を守る兵士であること。娘の父親であること。そして、その前に男であること。
全てを背負い込んで、壮年の隊長は己の持ち場へと赴いた。
243 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/28(水) 23:29:47.64 ID:mu/z4aOS
今夜は以上でございます。
>>234 う、やっぱり訳分からんですか・・・orz
245 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/01(木) 08:19:20.94 ID:tk/OFDjv
age
>>244 いあ、読み直したらなんとなく分かったので心配めされるな
ということでage
247 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/01(木) 13:52:27.86 ID:165WndNU
天高く、天の塔よりもデルクフの塔よりもトゥーリアよりも高く!
アッガーレ
248 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/01(木) 16:51:32.81 ID:mlmMHMuV
フォセ
250 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/01(木) 22:24:03.70 ID:165WndNU
書くことが重要なんです
偉い人にはわからんとです
保守るよ!
251 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/01(木) 23:26:09.21 ID:U847ijx4
だが保守だ
252 :
既にその名前は使われています(1001決めよう!):2007/03/02(金) 01:46:26.86 ID:X108G1OQ
最近以前から書いてる人は「詳細はまとめで!」ってことで分かりやすくまとめてもらってるのだけど、
できればリンクしたほか筆者さんのほかにも登場人物多数な人はちょっと
そっちも紹介してもらいたいんだぜ?
つーことで保守
日本語でおk
254 :
既にその名前は使われています:2007/03/02(金) 10:43:03.94 ID:Lb51d1Jz
つまり、物語中に出てくる登場人物の整理と紹介ってことか。
255 :
既にその名前は使われています:2007/03/02(金) 12:42:57.51 ID:O7ZGxUnv
そうですね・・・自分の場合、再登場が4ヶ月ぶりとか、違う視点での進行だと呼び方が違うとか。
かなり紛らわしいですし、次の投下の際には考慮してみます。
まとめられるところまで進めば・・・
その書こうと思う気持ち、投下しようと思う気持ち
それが大事。
スレ主流の連載形式とは違って短編完結で書いてるので、
その回の投下分だけで主人公の目的、人物紹介や関係など分かるように書いてるつもりです。
前回の投下が一週間前だから……次は来週ぐらいを目標に。
小出しに投下しない分、間隔が開くけど、そのかわり最後まで書いたあとに
冒頭部分なんかの訂正が出来るのは便利というか、そのおかげで時間がかかるというか何と言うか……。
258 :
既にその名前は使われています:2007/03/02(金) 19:12:31.62 ID:RDt6PH6+
緑茶さんの作品は物覚えの悪い俺にとってはとても楽しめるものであることは確定的に明らか
ページをめくり、文字をなぞる。視界の隅では、幼いミスラの少女が羊皮紙に何事か落書きしていた。
確かあれは、大統領府から預かったものだったが・・・まあ、落書きされる程度のものだと思っておこう。
先日ようやく手に入れた、『偉大なる保守魔道士の証』に落書きをされた時には、一週間ご飯はサラダの刑にしてやったが。
「みっくすくすくすつくるくる〜♪だんだんだんだん食べたくなる〜♪」
他愛のない言葉を歌にして、がしがしとクレヨンで塗りたくる。
うむ・・・これは・・・情熱的でダイナミックかつびゅりほーで・・・何だこれ。
「・・・これは、何だ?」
「ひしもちですにゃ〜♪」
「・・・・・・・・・・・・。」
菱餅は、黒くない。
紫でもないし何か得体の知れないものも挟まっていない。
というか、5段くらいあるんだが。
もはや原形を理解するよりこれはこういうものだと考えるほうが容易なそれについて追及するのをやめ、再び本に視線を戻した。
「おねーさんは何を読んでるのかにゃ?」
「『神に対する人間の最初の叛逆と禁断の木の実について』」
「・・・ふにぅ〜?」
さっぱり分からないと首を傾げる。
てふてふと揺れるしっぽをなでてやり、しおりを本に挟む。
「唆された人が悪いのか、唆した悪魔が悪いのか。・・・まあ、傍観者たる神が一番の悪だな」
だって、何の因果か私は今ここにいるのだもの。自嘲気味に微笑み、今置かれた身の上を思った。
260 :
既にその名前は使われています:2007/03/02(金) 23:48:59.57 ID:RDt6PH6+
新ジョブ:保守人
261 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 01:36:59.95 ID:I0hqHXMX
/ja 保守 <t>
262 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 08:07:20.63 ID:OEacpVoA
あぶないこれは落ちる
263 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 12:18:43.88 ID:ewHvSkuh
保守るよ!
264 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 14:46:11.89 ID:ewHvSkuh
二連続保守るよ!
265 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 17:14:41.72 ID:wWg21hej
「何じゃこりゃあああああああああああ!!!」
悲鳴と言うか雄叫びと言うか松田○作と言うか、とにかくそんな声があがる。
何事かと見に来た友人は、うたた寝をしていたはずの彼の姿を見てくすくす笑った。
「あーあ、やられたね」
ソファの上で呆然としているのは、小さな小さなミスラの少女。勿論、仕草は男のそれだが。
笑みが抑えきれず、笑いながら彼と視線を合わせる。
「毎年恒例の菱餅だよ。ミスラの菱餅、どっかで食べさせられたんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッッッ!!!!!」
ぴんっと耳としっぽを立てて、思い当たるあの男の居場所を0.002秒で割り出す。
「あ・の・野・郎〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
そしてあの野郎は。
「・・・・・・・・・・・・。」
「ry)よって、害がないとは言えこのようないたずらを行うと言うのは、民の安寧の保守を任された騎士として(ry」
ちょこんと正座をさせられて、説教されていた。
「聞いているのかね?」
「・・・は」
応えるその姿は幼いヒュームの少女のそれで。
その後、騎士団のょぅι゙ょ好きもとい子ども好きの一団に追われたとか言う話もなくはなかったそうだが、それはまた、別の話。
266 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 20:22:57.70 ID:ewHvSkuh
朝起きたらヒュームの少女とミスラの少女が朝飯を作っていた。
セルビナも幼女だらけだ。しかし俺はこれはこれでいいと思っている。
今日はひな祭り。ロリコンどもが喜ぶ日。もちろん俺にとっても喜ばしいことだ。
今日は保守の仕事もそこそこに幼女と追いかけっこをして遊んだ。
267 :
既にその名前は使われています:2007/03/03(土) 23:07:13.47 ID:wWg21hej
ヒシモチの効果で萌えるのは、やっぱり子ミスラだと思う今日この頃。
グラの使いまわしはどうにかなりませんか・・・いや、使いまわしでもいいんだけど、もうちょっとグラが・・・
ワキワキ ワキ ,ヘ
., --、 i´!⌒!l r:,=i /ヽ / ∨
.|l⌒l l | ゙ー=':| |. L._」 )) l\/ `′
.i´|.ー‐' | | |. ! l ワキワキ _|
|"'|. l │-==:|. ! ==l ,. -‐; \ 真夜中の保守作戦始まるよ!
i=!ー=;: l | l. | | / // > ウザイ思ったらIDアボーンしてね!
│ l l、 :| | } _|,.{:: 7 )) ∠__
|__,.ヽ、__,. ヽ._」 ー=:::レ' ::::::|; 7 /
\:::::\::::: ヽ ::::::!′ :::| .:/ /_
/ヽ::: `::: :::: ....::..../ ワキ | ,、
l/ ヽ ,ヘ
\/ ヽ/
ヴァナに入っちゃった人たちを救出するために出動したMMR
そんなMMRはとんでもない危機に遭遇していた
|丶 \  ̄ ̄~Y〜 、
| \ __ / \
|ゝ、ヽ ─ / ヽ |
│ ヾ ゝ_ \ |
│ ヽ_ _ / /| |\ \|
\ヽ _ // / | \ |
ヽ\二_二// ∠二二二| ヘ|
| | | ヽゝソゝ|TT|<ゝソ フ |/b}
ヾ| ヽ___ ノ/|| .ミ__ ノ | ノ
| 凵@ /フ
| u .F二二ヽ /|/
\. |/⌒⌒| イヽ
/. \ ==′/ |.| |
 ̄|| ヽ__/ / / ̄
\ヽ_____ノ ノ
くそうなんてやつだ! ちーとで レベルを上げたおれたちがまったく相手にならないだと!?
これが ふぇいと のせんとうりょくか!!
キバヤシ れべる75 HPのこり 200
,..-‐−- 、、
,ィ":::::::::::::::::::;;;;;:ii>;,
/:::::::::::::::;;;;;;;;iii彡" :ヤi、
.i::::::::::::;:"~ ̄ ::i||li
.|:::::::::j'_,.ィ^' ‐、 _,,. ::iii》
.|:::i´` `‐-‐"^{" `リ"゙
ヾ;Y ,.,li`~~i
`i、 ・=-_、, .:/ ←狩人/戦士
ヽ '' :/
` ‐- 、、ノ
どうした きばやし そのていど か それで救出しようなどと 笑わせて くれる
_,,.-‐-..,,_
/ `''.v'ν
i' / ̄""''--i 7
!ヘ /‐- 、u. |'
|'' !゙ i.oニ'ー'〈ュニ!
,`| u ..ゝ!
<:::::\ (二> /
\::::\ '' /
\ \. , ̄
_
くそう なんてつよさだ
こんなのが居るなんて聞いてないぞ!
ナワヤ レベル60 HP 100
,r' ,ィi、 ヽ
r、 l! i,,_'´'__,,ヾ l!
(0)ー‐r=,、 ヽiーi ー‐'`l'7!
`゙i''i {三)、_ ゙l --' /'/
ソl!r=,イェノ、___,r‐-.、‐--rゝ__, ‐'゙i´
l‐゙ー'ニ=ik ヽ ヽ l_ ヽ二ニi7゙i、__
ヽ、二ニリ! ' l ヾ´ >' ',' ,ヽ<`ー-、
l!ゝメノ l `゙! ; l i l
゙ヾ、_ _ _ ノ ,ィ~`{フ,r= '゙ ! l
| o l l
| o | l
| l l
l l l
これでとどめだ キバヤシ&ナワヤ ごみのよう に しにたまえ
,ィィr-- ..__、j
ル! { `ヽ, ∧
N { l ` ,、 i _|\/ ∨ ∨
ゝヽ _,,ィjjハ、 | \
`ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ > くそ
{___,リ ヽ二´ノ }ソ ∠ これまでか
'、 `,-_-ュ u /| ∠
ヽ`┴ ' //l\ |/\∧ /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ / |`ー ..__ `´
く__レ1;';';';>、 / __ | ,=、 ___
「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
| |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,| , -,
! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | | | | .l / 〃 ))
l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj 7
なぞの こえ : まてーい!!
|ヽ
,ヘノ:::::ヽ
/:::::::::::::::::ヽ
/| /::::::::::::::::::::::::::ゝ
/::::|/:::::::::::::::::::::::::::::::::::〉/!
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://|
|::::::::::::::;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|\:::::::::/ `、::::::::/ ヽ:::::::::::::::|/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ:::::::::/ !::::/ !:::::::::::/ | はなしはきかせてもらったぞ
\::::::::> V __<,,=-、/ |
ヽ「`|〒=。,_;' 。=〒|#l) |おれも 救出に てをかす ぜ!
‐ゝ、!  ̄",└≡=ナ-┘ <
`∧ i=`==、 ∧´ \_________
―┬─┬―i⌒/ \ー='/ ヽ⌒i―┬─┬─┬―
! ! | | |. ハ`ー'´ハ | | | ! ! !
, -─ - 、
, -'´ l、 ` 、
/ ノ ヽ ヽ
冫 ノ彡,ィ/ ヽ. l
7 l _,. l! l
レ'、r l=-、;__,r-=、_ l,_ ノ
ヽlー─'l ー‐' `lノ /
', ` /,ノ
ヽ -─- ノi'
lヽ、__ / _l、
_,r '゙|ニ= 、 , 一' ´ ,ト 、 _
-‐'.´ ̄/;;;;;;;;|>/ヽ二二´ノ;;;;;;;;;;;;ヽ`'';;;;
;;;;;;;;;;;;<;;;;;;;;//l :: ヽ /;;;;;;;;;;;_ - ';;;;;;;;
なんだ きさま は
| / \ j冫`ヽ /
| | ヽ / | 卜 | /
|| /\ ヾー' | / /
| |/´ ∨/ ´' -,,,_
| ||\ _ム,,,,,,,,、__──'''''´
|、_| / ,, ヽ、
) ` ´ 〉 ヽ
/,, /| , /: ! ヽ、
`~'''‐'、 /;; ! \
おれも げんじつから 引き込まれた人間 さ
現実 にもどるほうほう を 探っていたところ だぜ!
,,r'':::::::::::::::::::::::;i::::::::::::::::i、
,r'::::::::::::::::::::;::r;:r l::::::::::::::::::l!
'i::::::::i:::;:::;r'´'´ `ヾ:::::::::::::l!
r‐、 'i;i::::::l_,,,_ __,,,_ ヾ::::::::::l!
人 ゝ,,_ ,,_,,,、 'i;:::,,i´ ゙̄l‐'i´ ̄`i!、_l::::::::;;;l!
(○) ̄  ̄ i‐、-l、 !i`'‐''゙l _`‐-‐'゙ `;´!;;;l!
``'‐二i ‐`-'__ )) ゙l , ノ,/;l!''
l l! `-' ,r'i {_,,,_ l -===・'' ノ`'l!
l l!  ̄ l! /,_ ) l! ´ / :l''
/l l!/゙,=-,(こ)丿,,_ _,,r‐‐--‐ー‐-- ,,__,,,r}ゝ__,,, 、 -' l、
l、__l :l!__,(_ソ ̄) l;;;;;; ̄ ̄ ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;l;;;;;;;ヽ_ ̄``''‐- 、 , -‐}
} ヽ-~__,,,' -‐i/》;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;l;;;;;;;;;;;ヽ ̄`''‐- 、l!//{`‐-、
l! ___,,, -‐{ l l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;`''=‐- \‐-ッ'´ ', ' ,ヽ;;;;ヽ\_
`- ,,__,,, ‐'l./ l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;`'‐ 、;;;;;;;;;;;>' ', ' ,ヽ<;;;;;; ̄`'‐、
l! ヽ`‐-、/ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'‐ / , ' ヽ/;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
そうかい ならば遠慮 はいらないな
いきなりだが MMRとともに死んでもらおう!
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| u | /
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|| | ___ |__  ̄ ̄―______-/
Λ_Λ ( ̄ ̄ ̄(Ξ (|| || | _______|__
( ´∀`)  ̄ ̄ (Ξ (|| || ___|―― _________|_
( ) (Ξ (|| ||≪| _―― ̄ ̄ |
| | | | ̄― ̄/ ̄ ____―――――――――
(__)_) ( ̄(0_/ ̄ ̄ ̄
( ̄ ̄/
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// 」 |
// 7Γ |
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ダンッ | u | /
ダンッ | \ |
\ _ | \ |
マトリクスー _―\\ || | ___ |__  ̄ ̄―______-/
━−‐‐‐ ) ( ̄ ̄ ̄(Ξ (|| || | _______|__
━Λ_Λ‐‐ ━−‐‐‐  ̄―//  ̄ ̄(Ξ (|| || ___|―― _________|_
( ´∀`)ーっ__ ミ / ダンッ (Ξ (|| ||≪| _―― ̄ ̄ |
⊂ニ__  ̄ヽ\ | ̄― ̄/ ̄ ____―――――――――
(__)_) ( ̄(0_/ ̄ ̄ ̄
( ̄ ̄/
――⌒――ヽ
おれの こうげき が あたらないだと!?
|ヽ
,ヘノ:::::ヽ
/:::::::::::::::::ヽ
/| /::::::::::::::::::::::::::ゝ
/::::|/:::::::::::::::::::::::::::::::::::〉/!
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|::::::::::::::;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
|\:::::::::/ `、::::::::/ ヽ:::::::::::::::|/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ:::::::::/ !::::/ !:::::::::::/ |
\::::::::> V __<,,=-、/ | おいおい そのていどか がっかりだぜ ふぇいと さんよ
ヽ「`|〒=。,_;' 。=〒|#l) |
‐ゝ、!  ̄",└≡=ナ-┘ < つぎはおれのたーん だ!
`∧ i=`==、 ∧´ \_________
―┬─┬―i⌒/ \ー='/ ヽ⌒i―┬─┬─┬―
! ! | | |. ハ`ー'´ハ | | | ! ! !
,,;;;;;" .! /j/;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
,,;;;;'" || .|.| l.!/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;//
,,;;;;;" | |.| .| .l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;/
,|ヽ;;;" ||.| | | |. .l;;;;;;; -、;;;;;;;;_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/‐‐-
,;; | `, | | | | | | _,. -‐ヲl:Y.,.、゙; !/ `i;;;;;;;;;;;;;/ヽ
,,;;;" l `、/ ! |j |j _,. -'"ヽ ll(,j' 'ヘ.!' ', '" /:;;;;;;;;;_/ヽ ヽ,.-"
,;;;;" l | , -'"ヽ ヽ ヽ ll.`|,.i_,j!l!==;;,`y,.;;'''ヽヽ_,='"
;|` ,/ ,、/| | 〃_ヾ___ヽ__ヽ.__ ヾ ; _;'_`'='".;' ,:'"_==':丿
,;| .,/ | | /::::::::,ゝ::::::`y ヽi=;/_,/`´_/::::::::;丿
; \ \ | ! r:';;:::;: >::::::::,ノ_゙=-‐{´} .y' j':;_::::::::/
; \ ヽ, | | r"ヽ-'"k_'''"`y (.._,`k_,i~.{,.' ,,' `i;j"゙、
\j .| .| l`='フ"nl {.} /.7 ,-. { k.,.∠_:::::::j
.| .| ,'_,. " ..{.}」,{メ./,.'.丿 .k,__, 、= __ノ:::::ノ
.| | { ,..-;,.` .r'´ ./`-;<, `‐;ヽ;;-'ソ
. | | `‐-..,,___`-、 . `'':ヽ=Y
{j .'.' .`-" ! ./
くらえ! きこうだーん!! ↑モンクれべる75
::::::::::::::::::::::::...... ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
γ ⌒ ⌒ `ヘ
イ "" ⌒ ヾ ヾ ドガァァァァァァァァン.....
/ ( ⌒ ヽ )ヽ
( 、 , ヾ )
................... .......ゞ (. . ノ. .ノ .ノ........... ........
:::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....| |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
_ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''! i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
/==H=ロロ-.γ ,〜ー'''l ! |'''ーヾ ヾ 「!=FH=ロロ
¶:::-幵-冂::( ( |l | ) )=HロΠ=_Π
Π=_Π「Uヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
Д日lTl,,..:''''" ""'''ー-┬ーr--〜''"" :::Д日lT::::
FH=n.:::::' | | :::FL日l」:::::
ロΠ=:::::.:. ノ 从 ゝ .::田:/==Д::
口=Π田:::. .::::Γ| ‡∩:::::
Γ| ‡∩Π::.... ...:::Eヨ::日lTlロ::::
Д日lTlロ_Π::::....... ...::::::::田:凵Π_=H:::
,. -─- 、._
,. ‐'´ `‐、
/ ヽ、_/)ノ
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ
i. /  ̄l 7
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` /
/`゙i u ´ ヽ !
_/:::::::! ,,..ゝ!
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 /
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' /
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /
.! \ `‐、. `ー;--'´
ヽ \ \ /
おいおい 一撃であの強敵を倒したぞ なんて強さ だ こいつあ
| / \ j冫`ヽ /
| | ヽ / | 卜 | /
|| /\ ヾー' | / /
| |/´ ∨/ ´' -,,,_
| ||\ _ム,,,,,,,,、__──'''''´
|、_| / ,, ヽ、
) ` ´ 〉 ヽ
/,, /| , /: ! ヽ、
`~'''‐'、 /;; ! \
MMR さん 救出活動に きょうりょくするぜ
おれをいっしょにつれていって くれ
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐'´ __ ヽ /.i | __\. |、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! '´lノ: |}二. {`´ ヽ! lノ:!ヽヽ |. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゛l |`} ..: |:::| リ ̄ヽd、 |:::| /|ヽ |l !ニ! !⌒ //
. i.! l .:::::. ┴'‐ ソ;;:.. ヽ、._⊥:L.|ノ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::|
! | ̄ ̄| |: |
ヽ ヽ、__/ !:: ト、
ああ!いいとも! 君のような強力 戦士 がてをかしてくれたら 救出活動
成功したも同然だ!!
今回の お話 は ここまで
次回へ つづく!
289 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 02:19:06.42 ID:Yg4ysorb
ほしゅ(´∀`)ノ
「さて」
モーグリが出ていくと、私は睨んだ。
「知っていることをすべて話してもらう」
「すべて、か」
キーゼルはカップの面を見つめ反芻する。暗黒騎士の男はテーブルに肘を突き、曰くありげににやにやと笑っている。
モグハウスには、私を含めて3人しかいない。カイとミガイフォングは彼女の世話に離れていた。
「どこまでが本当で、どこからが虚構なのだろう」
歌うような言葉を口にし、そっと俯く。金の髪がさらりと音を立てた。
「まずは名を。俺はキーゼル・ソルニエ。サンドリアに所属する騎士であり、」
「そんな話は聞いていない」
ぴしゃりと言い放つ。彼はわずかに首を振ると、なおも続けた。
「・・・騎士であり、元はバストゥークに所属していた」
「バストゥークに?」
「俺は、元は孤児だから。ランクスは実の両親の姓なんだよ」
微笑みながら言う言葉ではなかった。
「小さい頃に、獣人に追われたんだ。父とは離れ、母は殺された。俺も殺されるはずだった」
「そこをソルニエが救った、と。美談だな」
「それだけですめば、こんなことにはなっていません」
男の言葉に苦笑して顔をあげる。
「その頃ソルニエは後継ぎ問題で揺れていて、当主になりたくなかった姉上は俺を身代わりに。
斯くして、エルヴァーンの家系にただひとりのヒュームが居座ることになった。
もちろんみんな反対した。だけど彼女と俺以外に代わりはいなかったから、結局彼女の意向を汲んだ」
「養子と言えば聞こえはいいが、名実共に身代わりだな」
「仕方がない。おばあ様は俺を気に入られたし、姉上も俺を騎士として認められたのですから」
笑って、ふとスプーンを取る。手持ち無沙汰にいじりながら、
「・・・嫡子以外の後継者は認めないとしながら、それでも俺を選び認めた」
困ったように微笑む。
恐らくそのジュスティーヌという婦人に、周囲が子を望むことは叶わなかったのだろう。
「俺は数年の間だけ自由が認められた。その数年の間に世界を見てこいと、一振りのスパタを渡されて。
あちこちを歩いたな。他国にも回ったし、北の果ても見た。辺境にも行った。
あれを見つけたのは、国に戻る直前だったけど」
「あれ?」
どこか懐かしそうに微笑む。
「カイ・・・か。あの子が身につけていたペンダント」
「・・・あ、あれはお前が・・・!?」
確かに、カイはペンダントを身につけている。それは私が、ミガイフォングから渡されたものだった。
「まさか、また見るなんて」
寂しげに言う。
と。
「シオン」
不意に名を呼ばれて、私は顔をあげた。ミガイフォングが、彼女を伴い部屋に入ってくる。
促されて、テーブルの端に席を取る。その姿こそは男だが、確かに『彼女』だった。
「遅くなりました」
「・・・ああ」
チュニックのフードを背中にやった彼女は、気分がすぐれないのか、どこか不機嫌そうに見えた。
「カイは?」
「キッチンで何かやっているようですよ」
料理好きの彼のことだから、お菓子でも作っているのだろう。合成よりも手をかけるほうが好きだから。
キーゼルは手にしていたスプーンを置き、彼女を呼んだ。
「大丈夫ですか?『シオン』」
問いに彼女はのろのろと顔をあげる。金の髪に、銀の髪飾りをつけていた。
「・・・そっか」
小さく、短く言う。
「あなたが、キーゼル・・・」
「ええ。俺はもうひとりのきみであり、きみが姿を借りている存在。そして、この『世界』のきみ」
穏やかな笑みを受け、彼女の表情がいくらか和らぐ。
それはどこか、すべてを諦めたような表情。
「訊きたいことはたくさんあるのに、・・・何だろう、何を聞いても分からない気がする」
「間違いじゃない。正しい答えはどこにもないのだから」
苦笑。彼女もまた弱く微笑み、けれどすぐに表情を消した。
明らかな変調を見取り、ミガイフォングが口を開く。
「大して時間が経ったわけでもないのに、疲れましたね」
部屋を出てから再び合流するまでの経緯は知らないが、確かに疲れた。浴場はまだ開いていただろうか。
「遅いな。見てきてもらえますか?」
誰がとも、どこをとも言わなかったが、それで理解できたらしい。軽く頷くと、彼女は席を立つ。部屋を出ていく彼女の後を男がついていった。
それを見届けてから、キーゼルが、胸元から薄いプレートを取り出す。身分を示す冒険者証明証だ。
「ユーリ」
私を呼び、短剣を差し出す。意図が分からず受け取ると、彼は2枚のプレートのうち1枚をテーブルに置く。
「どこでもいい。軽く切って」
「・・・?」
「分けていないだろう?」
意味はうまく理解できなかったが、私は彼の言うとおりにする。
指先に軽く刃を当て、少し力を入れる。つ、と皮膚が切れる音が幻に聞こえた気がした。
赤い滴をプレートに落とすと、プレートの面が水面のように波打ち、何事もなかったかのように元通りになる。
行為の痕跡は、私の指にある傷だけだった。
294 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/04(日) 05:24:53.86 ID:X55Kk9Ji
こんな時間に、今回の投下は以上です。
>>228-233の続きになります。
・・・も、もう少し進めたかった・・・orz
次回あたりで人物暫定まとめができそうな予感。
295 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 08:16:20.64 ID:1eEKTXni
あぐる
296 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 11:27:18.91 ID:GsnPnCbJ
保守るよ!
297 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 13:47:34.41 ID:rm5mqMGj
高いけど、カップタイプのコーヒーは美味いag…じゃにぃ、
応援age!!
298 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 16:10:31.13 ID:EGU11+rV
投下しようと思ったけどさっぱり筆が進まない件について
299 :
既にその名前は使われています:2007/03/04(日) 19:52:00.03 ID:F2qUCKme
自分のペースでイーンダヨー。ってどっかの人が言ってました。
お久しぶりっす。ちょっと長いですけど勘弁してください。
001 disc-A
その夜、僕が豚のしょうが焼きを作っていると、マユミが泣きながら電話を
かけてきた。マユミはこれから僕の家にいっていいかと聞いてきて、
僕はいいよと答えた。マユミは僕の家で、また泣いた。患者がまた死んだらしい。
僕はマユミの頭をさすって、黙って話を聞いた。
布団の中でうとうとしているとマユミは思い出したように言った。
「カオルって誰」
002 disc-B
『糸はまだ張られているのに、もはや誰もかなでることはないでしょう。それに指を
あてると、私達が共にいだいたかなしみが、しずかに、かえってくるのです』
その手紙は、そのような文章で終っていた。僕はその手紙をもう一度、はじめから
最後まで読んでみた。相変わらず上品で綺麗な字を書くなぁ、と思った。
「お似合いのカップルだったと思うけれど」
とガッダルは食後のウィンダスティーを美味しそうに飲みながら言った。
「君たちは出会うのが早すぎたんだ。彼女の中で、君はもう思い出の中の人に
なってしまっているんだよ。僕が言うのも野暮だろうけどね」
「そうかも知れない。でも違うかも知れない」
と僕は言った。
003 disc-B
テーブルの上には食べかけのソテーがのっている。ガッダルはそれを見つめながら、
僕が食べていいか、と言った。僕は無言で頷いた。この、尻尾の生えている白い
巨人はよく食べる。
「もう3年も会っていないんだろう。書簡のやりとりで愛を確かめ合うには、君たちは
若すぎたんだと思うよ」
「うすうす気付いてはいたんだよ。僕たちは、もう恋人同士の関係じゃないってね」
「上出来だ。美味しいものをいっぱい食べて、森の区の猫でも買えばすぐに忘れるさ」
ガッダルは話題を変えたそうだった。彼の話はとめどない。彼の一番の関心事は、
昼飯をどこで食べるか、だった。お気に入りの店が無くなった(文字通り無くなったらしい)
ので、ここ最近はほぼ毎日、一緒に昼飯を食べている。
004 disc-A
1年くらいその名前は聞かなかった。改めて聞くととてもいい名前だと思った。
「誰?」
とマユミは言った。
「どうしてそんな事を聞くの」
と僕は言った。
「なんとなく」
「友達だよ」
「ならなんで寝言でずっと呼んでるの」
僕はちょっと驚いた。いや、すごく驚いた。僕が寝言を言うなんて。
カオルの名前を言うなんて。
005 disc-B
「新しい店には、一人ではなく二人で行ったほうがいい」と彼は言う。
「失敗した店にいったときは、悲しさが1/2になるから」と。そして、この巨人は、
昼飯を食べながら明日の昼飯のことを話している。
「いい店を見つけたんだ」
とガッダルは小難しい顔をして言った。
「魚料理が抜群に旨いところだ。ただ難点は、昼時はとてもとても混んでいる。
客はほぼタルタルだ。ちょっと前に僕一人でいったんだけれど、店員に露骨に嫌な顔を
されてね。ほら、僕ってタルタル3人分のスペースをとるじゃないか。それで昼時は
勘弁してくれって言われたんだよ」
「とても残念だね」
006 disc-B
「だから午後2時くらいにいこうよ。僕の仕事場から近いし、そろそろ行きつけの店を
決めたいんだ。そこの店の地図を渡しておくよ。ここも美味しいけれど、ちょっと
遠いんだよなぁ。ここは本で紹介するのかい?」
「うん。値段も手頃だし、街からもそう離れてはいない。早いうちにもう一回顔を出して
雰囲気を見て、店主に聞いてみてからだけどね」
「雑誌記者はマメだねぇ」
店を出て、別れ際にガッダルは僕の肩をポンと叩いた。
「彼女の事は忘れなさい。君の敗北だ」
そして、性的敗北だ、とガッダルは独り言のようにいった。
僕はガッダルにお礼を言い、僕たちはお互い反対の方向へ歩き始めた。
007 disc-B
次の日の昼は、ガッダルは僕の仕事場へ訪ねてこなかった。午前中に片付けなければ
いけなかった用事もあって、時刻は1:30くらいになっている。時間の頃合もいいので、
僕はガッダルの薦める「魚料理が抜群に旨い」店に一人で行ってみることにした。
その店は確かに混んでいた。着く頃には2:00を回っていて、行列はできてなかった
んだけれど、店の中はほぼ満席だった。忙しそうに動き回るタルタルの店員をつかまえて、
席が空いているかどうかを尋ねたら、相席なら、という答えが返ってきた。僕は了解し、
店員につれられて、一番奥のテーブルに座るよう指示された。赤いチュニックを
着た猫だった。テーブルの上には綺麗に骨と身にわけられたバストアサーディンの
ソテーと、ウィンダスティーがのっていた。
008 disc-B
店員は猫に相席になる旨を伝え、猫は僕のほうをにっこりと笑って「どうぞ」
と言った。そして、猫は大きなバッグから分厚い黒い表紙の本をとりだし、熱心に
読み始めた。
009 disc-B
彼女はいつも黒い表紙の、分厚い本を読んでいた。その黒い本には付箋が
何十枚も貼られ、所々にアンダーラインがしてあって、手垢でちょっと黄色くなっていた。
彼女はいつも、どんなときもその黒い本を持ち歩いていて、わずかな時間でも
その黒い本を開いていた。
僕は一度、彼女にその本に何のことが書かれているのか聞いてみたことがある。
「私もよくわからないの」
と彼女は答えた。
「たぶん、魔法の事が書かれている本だと思う。でもね、とても抽象的な記述の
しかたなの。書いてあることが比喩ばっかりなの。そして自画自賛の嵐。この本はすごい
んです、この本に書かれていることは正しいんです、みたいな。わたしじゃ一生理解
できないだろうけど、読んでいてとても心が落ち着くの」
010 disc-B
向かいに座っている猫が熱心に読んでいる、その黒い本を見て、僕はそんなことを
思い出していた。
「魔法の勉強をしているんですか」
と僕は猫に話しかけた。猫はちょっと以外そうな顔をして、そして「そうです」と答えた。
「驚いた。この本を知っているの?」
と猫は言った。
「内容はわからないけれど。僕は魔法とかそういうものはちょっと苦手なんだ。
でも魔法のことが書かれている本っていうのは知ってる。難しい本っていうのもね」
「そう、難しい。何書いているのか理解できない。買って損しちゃったかなって最近思ってる」
猫は健康的に笑いながら言って、僕が頼んだピピラの塩焼きを持ってきた店員に、
アップルパイを注文した。僕は椅子に立てかけてある刀身の細い片手剣を見た。
「君はサンドリアの人なのかな。その剣はサンドリアの店先でしかみたことがないね」
「いえ、ウィンダス国民。私は冒険者なんです。ちょっとした用事でサンドリアに行くことに
なって、今日の朝、ウィンダスに帰ってきたの。遠出をしてウィンダスに帰ってきた時は、
必ずこの店に来るようにしているんです。ここの料理は美味しいし、なんというかほっとするの」
011 disc-B
「僕は友人に薦められて、初めてきたんです」
僕はピピラの塩焼きを食べながら話を続ける。
「塩が違うのかな。まぁ、ウィンダスって水がいいから、基本的に料理屋はハズレが
少ないんですけれど、この店の料理は確かに旨いね」
時折敬語が混ざる、お互いにちょっとぎこちない会話は続いた。
僕より早く食事を食べ終わり、店を出ようとする猫に、僕は今日の夕食を誘った。
猫は了解してくれた。仕事場へ帰りながら、今彼女は何をやっているんだろう、
と思った。いったい何をやっているんだろう。
012 disc-A
「ただの友達だよ。1年くらい会ってないしね」
「どこにいるの?カオルさん」
「失踪したんだ。突然。今はどこにいるか、誰も知らないんじゃないかな」
「そうなんだ」
「本当にいきなりだったんだよ。僕は次の日に映画を見る約束をしていたから、
警察に色々聞かれたな。そういえば、スガシカオが好きなんだよ。カオルは」
「女の人?」
「男でも、女でも、どちらでも関係ないと思う。カオルはカオルだよ。」
013 disc-B
夜。店先で猫を待っている。はたして、猫はやってきた。大きなバッグを背負っていて、
帯刀していた。
「モグハウスの登録に手間取っちゃって、自分のモーグリがまだ帰ってきてないから、
明日の朝までモグハウスに入れないの」
と、猫はネビムナイトの壷焼きを食べながら残念そうに言った。
「じゃあ、今夜は冒険者様お得意の野宿かな」
「まさか。姉が森の区にいるから、そこでお世話になるつもり」
「ところで、君の黒い本って、何処で手に入れたの」
「バストゥーク。競売で。たまたま出品されていたのを捨て値で買ったの。ミッションが
一段落したら魔法の事を勉強しなおそうかと思っていて、それで買っておいたの。
読み始めたのはつい最近で、難しいけれどなかなか興味深い本なのよね」
「転職でもするの?」
014 disc-B
「うん。私はどちらかというと強化魔法とか、弱体魔法が得意なんだけど、今は
神聖魔法に興味があるの。そのために色々と学んでる。それで剣を捨てて、
杖を持とうって思ってる」
「女神への帰依心を示すために?」
「表向きはね。知ってる?刃物を持たないほうが精神力を高めやすいのよ。一般的にね」
「そこは信仰心と言って欲しかったな」
「白魔道士ってね、以外とマッチョなお仕事なのよ。体力がないとやってけないの」
「興味深い考え方だね。とにかく、白魔道士になるために黒い本を読んでいるわけだ」
「ううん、それは、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。この本に書いている
ものはそういうものじゃないようだし。私にも何が書かれているかよくわからないの」
「その黒い本を持っていた知人も、そのように言っていたね」
015 disc-B
「この黒い本を読んでいると、とめどなく疑いの感情が沸きあがってくるの。つまり、
結論からいうと、女神は存在するか否か」
「白魔道士志望のミスラが言う台詞じゃないなぁ。君の行うであろう『治癒』という
奇跡はどう説明するんだい」
「学生の時に習わなかった?基礎魔法学で」
「もちろん習ったさ。『いかにして』魔法を行使するのか、ってことをね。でも、それと
これとは違うだろう。僕たちが話している事は、『なぜ』魔法が行使できるか、って事だよ」
「その答えがこの黒い本に書かれていると思うの」
「やれやれ。君は、女神の祝福のおかげで魔法を行使できる、とは思っていないんだね」
「さあ、それはどうでしょう」
猫は喉を鳴らしながら、僕ににやりとして見せた。
016 disc-B
結局、猫は僕の家にきた。そして僕は猫にキスをした。
「1つ、大事な事を聞いてもいいかな」
と僕はベッドの中で猫に言う。
「僕の名前はルージン。君の名前は何?」
「私の名前はナターリア」
夜中、僕は雨が降る音で目を覚ました。ざあざあと音を立てて降るその雨は、
とても僕の心をざわめかせた。僕は彼女のことを考えていた。僕は彼女に会いたいと
思った。今、会いたいと思った。今彼女は何をやっているんだろう、と思う。いったい何を
やっているんだろう。
017 disc-A
その日、僕はカオルの夢を見た。白い床が地平線まで続いている。そこに薄い、
しかし硬そうな壁が立ちはだかっている。その壁の向こう側にカオルがいた。
『カオル』と僕は呼んだ。カオルは壁を越えてこちら側にこようとしているようだった。
僕はまた、『カオル』と呼んだ。
「カオル」
僕は僕の声で目を覚ました。横を見るとマユミが僕の顔を見ていた。
投下完了・・・でしょうか? 乙でございます。
念のため、上げさせていただきます。
隊長はリンクパールを使い、簡潔に報告を済ませた。
おそらく本国か、一番近いグスタベルグのアウトポストかだろう。
リンクパールを懐にしまいこみ、やや小ぶりで扱いやすそうな剣を抜いた。
すでに橋の北側で横一列に並んでいた兵士六名の側に立つ。
「射撃用意!」
隊長の号令で、兵らはいっせいに膝立ちで銃を構えた。
「十分に引きつけろ!」
そうこうしているうちにも、バルデリッヒの巨体は一歩、また一歩と関所に迫りつつあった。
不気味にこだまする地響きが次第に大きくなっていき、いやがうえにも恐怖心を煽る。
この関所は強固なバリケードを備えてはいない。
今まで必要がなかったのだ。
人間同士の戦争は、コンクエスト政策によって過去のこと。
元々一ヶ所しかない橋という地の利を利用した、旅人を簡易にチェックする役割だけが残された。
時たま橋を通ろうとするゴブリンやクゥダフのような獣人も、駐留兵士の敵ではない。
彼らと、迫り来る計り知れない強さの敵との間に、遮蔽するものはなかった。
倒さなければ、ひとたまりもない。
それは、隊長以下すべての兵士が理解していた。
当然のごとく、口火を切ったのは人間の側だった。
「て―――ッ!」
バルデリッヒに向け狙い澄ました六つの銃口から、致死の弾丸が容赦なく浴びせかけられた。
バルデリッヒは、前進を止めなかった。
その巨体に着弾はしている。
確実に、必死の射撃を当ててはいるのだ。
だが“鋼鉄”の羊毛は、浴びせられた弾丸すべてを撥ね飛ばしていた。
まるで、その呼び名が比喩ではないことを証明するかのように。
「バケモノめ・・・」
人間たちの抵抗は、バルデリッヒにとって天気雨が降る程度の、ほんのささやかなものでしかなかった。
仮にその程度であろうと、自分に向けられた敵意には、敏感に反応した。
「臆するな! 次弾込めィ!」
空は朱色に染まっていた。
あれほど高くで照りつけていたはずの太陽は、稜線の端でぼんやり尽きようとしている。
黒々と盛り上がる、ありえないほど巨大な羊のシルエット。
その中心で、双眸だけが真っ赤に燃えていた。
おもむろに息を吸い、あぎとをガパリと開く。
オォゥゥヴォアァァァァァ―――ァ!!!
吼えた。
大気が、震えた。
「―――ッ!?」
野獣の大咆哮は、聞く者すべてを打ちのめした。
隊長以下、兵士たちは弾込めの途中だった。なすすべもなく威圧され、身動き一つ取れなかった。
橋の南側に退避しかけていた俺のチョコボも、そこで足がとまった。
舌打ちして見やれば、メイミィが騎乗したまま硬直している。
メイミィを乗せたチョコボが、驚いた表情の彼女を乗せたままそ知らぬ顔で橋を渡っていく。
この危機的状況でも期待を裏切らないというか、なんというか・・・。
ともかく俺は、固まったチョコボから降りて手綱を引っ張らなければならなくなった。
ドン―――!
再び、空気が震えた。
バルデリッヒが彼我の距離を一息に詰め、大質量の頭突きで兵たちを跳ね飛ばしのだ。
全身に鎧を着込んでいる兵たちの体が、くるくると宙を舞った。
彼らは自分の身に何が起こったのか理解できぬまま、空中で、地べたで、あるいは谷底で逝った。
「ッ・・・がァ・・・」
橋の真ん中まで飛ばされた隊長は、背中や後頭部をしたたかに叩きつけられて昏倒した。
それでもなお息のある彼を追い、バルデリッヒは足元をミシリミシリと軋ませながら、橋を渡った。
慈悲なく容赦なく、躊躇もなく。
両前肢を振り上げ、次の瞬間、全体重を乗せて鋼のヒヅメを落とした。
今夜の投下は以上でございます。
隊長が持つのが銃剣だと思ったのは間違いですよね・・・
ヴァナに銃剣銃はないだろうし、指揮刀か普通の剣かしら。
困ったときは即ぐぐる。
現実世界のバヨネット(銃剣)は偶然の産物らしいが、
その意義はこう。
連射性能悪すぎるので、槍兵が槍襖つくって銃兵守っていた。
銃の先端に剣着けたら槍兵いらんじゃん。→誕生(17世紀)。らしい。
ヴァナの銃は単発のフリントロック式。精度は・・・一部銃のアイコンにライフリングあった気もしないではないが・・・程度。
(この世界には現実世界の技術を用いたスナイパーライフルっぽいのがあるようだが)
対して昔からある遠隔武器である弓、クロスボウ(ゴブリンが開発。連射式)。
タルタルの魔法に対抗できるかは極めて疑問。
銃は比較的最新兵器だけど火砲、およびその砲術はオルデール卿の少年時代には既に確立済み。
あと、ヴァナの剣って巨大なゴーレムを打ち殺すのに使える武器だし、
カバンはゴブカバンあるから銃剣持つ必要あるのかな?
ナイフ一本でジタのドーモやゴーレム狩れる世界だし・・・。
普通の剣だと思う。
326 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 08:12:21.60 ID:ow6dB0HX
>>325 dクス
施条銃はあるものの、滑腔銃が主流なんですね。
ヴァナでは銃はあくまでサイドアームズで、メインウェポンが刀剣類だと考えてた。
というか、短剣ひとつで倒せるって、まずそこからアレだけど・・・
世界設定スレじゃないからスレ違いになるけど、
道具はこの物語みたいに「よその世界から来た」ん出ない限り何らかの目的を持って生まれている。
(まぁ趣味で変なもの作る奴は結構いるが)
たとえば魔法というものが既にある。ゴブリンの連打式クロスボウがある世界で、
火薬の反発力を利用して鉛の(この世界では銀とか金、銅だが)玉を撃つ装備があるなら、
魔法より習得が楽、精度もそこそこ、連打も利かないと普及しないだろうね。
連打式クロスボウってかなりいい装備なんだ。精度もいいし、扱いも簡単(弓兵は生まれたときから訓練必要)だし。ただ整備が難しい。
百年戦争だったかな?アレではロングボウ部隊にボコボコにされてる。
実際、ヴァナで銃使う狩はあんまいない。玉高いし、隔でかすぎるし。
銃のメリットは威力がでかい、子供でも引き金引けば巨大な生物を倒せる、でかい音がして威嚇効果満点なのが挙げれるけど、
魔法の習得が容易(ウィンダスの魔法学校ハイクラスの子供が10レベルまでの魔法を使用可能)な世界では発達は難しいね。
バストゥーク的には、携帯できる火砲を作って、コレの精度と射程、使いやすさを跳ねあげていく方針じゃないかな。
魔法は生涯学習だけど、銃は生産側がかなり使用者に考慮して改良可能だし。
328 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 13:35:32.72 ID:mtMj11OO
ほほ〜…勉強になります
age
329 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 17:42:51.08 ID:+LnTtokY
ageだ
スレ違いは重々承知の上でageがてらに……
銃火器技術についての個人的考察
以下、公式設定資料集の年表等から抜粋
(ただし年表の最後に、「主観的視点からでありすべてが真実とは限らない」と注釈されているなんともオイイィイなもの)
天晶暦611 錬金術師コンラート、ボム火薬発明(通常の火薬とは別物なのかは不明)
天晶暦627 ガルカ鍛冶職人、近東の難破船を参考に大砲を開発
天晶暦867 パルブロ鉱山での落盤事故によりシドが火薬研究所所長を辞任(これによって火薬使用制限始まる?)
バストゥークの初代大統領(在任494〜503)は近東生まれでクォン大陸のゴールドラッシュに憧れて密航。
以上を踏まえると。
近東圏で考えれば、銃火器技術はそうとう古くからあるが、肝心な部分は国外へ出さなかったと考えられる。
しかし、その後の発展は四カ国だけで考えてもクリスタル戦争時の名銃レリックガン(アナイアレイター)を見ることが出来る。
クォン・ミンダルシア大陸での銃火器技術は、大戦後のバスにおける火薬使用制限で衰退の一途を辿った後、
現在において蘇り、小型銃火器における全ての技術が過去においついてないと推測される。その理由は上で挙がっている通り
魔法技術や近接武器の異常な性能所以かもしれない。
色々調べても核心部分に迫れなくてもうぬるぽ。とりあえず現時点で銃剣はなさそう。(ゲーム的にあとから追加されなくもないだろうけど)
331 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 21:20:23.46 ID:+LnTtokY
もういっちょage
銃剣が来たとしてwsはどうなるのよって問題もあるなw
タッチの差であがったから下げとこう。
先日は中途半端な投下ですんませんでした。
途中でラーメン食いたくなっちゃって……
今日は最後までやっちゃうつもりです。
018disc-B
ふいに、家のドアをトントンと叩く音が聞こえた。最初は勘違いかと思ったけれど、
確かにドアを叩く音が聞こえる。僕は服を着て、ドアを開けた。ドアの前には、
ずぶ濡れのタルタルが二人立っていた。黒いローブと白いチュニックだ。
「どうも、ルージンさんですね。詳しい事は後でお伝えします。早急に口の院に出向いて
頂きたい」
と、黒いローブを着ているタルタルが、申し訳なさそうに言った。
「いったいどうしたんですか」
と僕は言った。
「あなたのお知り合いのガッダルさんが」
雨がざあざあと降っている。僕は目をつむった。
「西サルタバルタで」
僕は彼女のことを思った。彼女は今何をやっているんだろう。たぶん、柔らかい毛布に
くるまって、すやすやと眠っているんだと思う。彼女は規則正しい、健康的な生活をして
いる筈だから。こうやって夜中に起こされることもないんだろうな。
「遺体で発見されました」
019 disc-B
僕は目を開いた。
「10分待って頂けますか。こちらも用意が必要なので」
と僕は言った。黒いローブは家の中を覗きこみ、黒い鼻をならした。
「5分待ちましょう」
と黒いローブは答えた。僕はベッドに戻った。猫は起きていて、僕を見ていた。
「口の院に行かなきゃならなくなった」
「何時頃帰ってくるの」
「わからない。カギを渡しておくよ。朝になって、モグハウスが使えるようになったら家を
出るといい」
僕は猫の耳にキスをして、家を出た。
020 disc-B
僕と、タルタル二人は雨露に濡れながら、口の院へ向かった。
「まぁ、今回はご愁傷様でした」
と白いチュニックが言った。
「人が死ぬ事件ってのは珍しいもんでしてね、ちょいとご足労願いたいってだけなんですよ。
口の院に着くまでにお話しましょうか。西サルタバルタの岬に、ガルカが倒れているのを
釣りをしていたタルタルが発見しましてね。今日の昼頃だったかな、こちらに通報が
ありまして。ルージンさん、あなた、ガッダルさんの家の保証人になっていますでしょう。
なので、こんな深夜に呼び出さなきゃならんようになったってわけです」
021 disc-B
口の院に入り、タオルを渡される。白いチュニックがタオルで身体を拭きながら話を続ける。
「まぁ、自殺か他殺か、ってことだと、自殺なんですよね。それも、ちょっと特殊な死に方を
されてるんです。ヤグートの自殺と同じやりかたなんですよ。ヤグードの羽って知ってますか。
風切羽って言うもんでして、それをむしり取られると、ヤグードは空を飛べなくなるん
ですな。これは、ヤグード達からすると、とてもとても不名誉で恥ずかしい事なんですよ。
それで、まぁ、意地の悪いシーフなりが、サルタバルタ辺りにいる若く未熟なヤグードの
風切羽をむしりとって、そのままとんずらこいちゃうんですわ。そして、風切羽のない
ヤグードは自ら命を絶つんですな」
022 disc-B
僕は椅子に座り、書類を書かされる。
「確認のためにお聞きします。別に疑ってるわけじゃあない。今日の昼はどこにいました」
「会社にいましたよ。事務のタルタルの学生と一緒に雑誌を作っています。その子に
聞いて頂ければ判ります」
「まぁよろしいでしょう」
そして僕は色々な書類にサインをして、朝方になってやっと開放された。家に戻ると、
もう猫は出て行ったあとだった。テーブルの上に、モグハウスの番地が書かれたメモが
あった。
翌日、会社に出て行くと、事務の女の子はもう出社していた。かわいくて、とても
頭のいい子だ。3ヶ月の短期バイトのはずだったんだけれど、お願いしてずっと働いて
もらっている。もう1年になる。
023 disc-A
もう、なにかどうでもよくなって、僕は今日、仕事を休んだ。布団の中で、
天井の黒ずんだよくわからないシミを見つめていると、とても自分が惨めな
存在に思えてくる。部屋のテーブルには昨日の食べかけのポテトチップスと、
炭酸の抜けたコーラが置かれている。それを片付ける人は僕以外いないし、僕は、
少なくとも今日は布団の中の住人でいたいから、当分の間テーブルの上は
そのままなんだろう。布団の近くに灰皿があって、煙草の吸殻がこんもりと
盛ってある。昨日マユミがすっていたものだ。部屋の中は『マルボロメンソールライト』の
香りがする。僕は煙草の香りが好きだ。自分はすわないんだけれど、ほっと
するような感じがする。
024 disc-B
おはようと挨拶したあと、僕はその子に話しかけた。
「急な話ですまないが、会社をたたむことにした。後の処理を君に任せていいかい。
一週間くらいで済ませたい。よろしく頼んだよ」
午後に、次号に載るはずだった料理屋を訪れ、事情を説明し、お詫びして回る。
一通り回ったあと、水の区にある、ガッダルの事務所へ言った。
大家からカギを借り、荷物の整理をするために家の中へ入る。殺風景な部屋だ。
メープル製のテーブルと椅子が4つ、備え付けのチェストが2つ。僕はカッカッと靴底で
音を立てながら歩き回る。食器も急須といくつかの湯のみしかない。
台所は水のクリスタルと火のクリスタルが数個、大事に保管されていた。
025 disc-B
僕はテーブルの辺りまでコッコッと音を鳴らしながら戻ってきた。
僕は上を向いた。さて、どうしよう。ここで大人しく帰るか、どうするか。僕はガッダルの
ことを親友だと思っている。年は離れているけど、出会ったころからウマが合ったし、
けっこう危険な事も一緒にやってきた。僕はテーブルの下を靴で鳴らした。コッコッ。
ドア前まで歩いて、鳴らした。カッカッ。僕は、テーブルをどかして、敷いてあるカー
ペットを剥いだ。そして、僕は、地下へと続く、鋼製の蓋がそこにあることを認めた。
僕は階段を降りた。地下はガルカ一人分入れるくらいの空間があって、小さいテーブルと
椅子があった。壁はほのかに発光していて、テーブルの上には、僕が読めない
文字が書かれた紙が散乱していた。僕は、椅子に座り、テーブルに肘をついて、
紙に書かれた文章を読もうと努力した。でも駄目だった。僕はため息をつき、その紙を
折りたたんでポケットにつっこんだ。
026 disc-A
壁にかけてあるカレンダーの今日の日付を見て、僕は今日が図書館の
返却期限日だということに気付いた。東野圭吾の本を3冊借りていたんだけれど、
僕は1冊も読み終わっていなかったのだ。その本はマユミに薦められて読んでいる。
僕は、普通はそういう感じの本は読まない。そういう感じの本とは、片山恭一とか、
荻原浩とか、乙一とかが書いている本だ。付き合っている人に薦められれば
読まない訳にはいかないし、僕はけっこう暇だから、休日は大体図書館で
すごしている。2年くらい前はツルゲーネフとか、ドストエフスキーとか、
トルストイとかの本を読んでいた。つまり、当時はそういう本を読む人と付き合っていた。
ともあれ、僕は東野圭吾が書いた3冊の本を読んで、図書館へその本を返却
するために家の外へ出なければならない。
343 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 21:39:34.99 ID:FGcd2ItZ
「銃は素晴らしい威力を誇っている。特にヘヴィシェルを詰め込んだカルバリンの威力といったら…。
近接で撃てば人の上半身ぐらい簡単に吹っ飛ぶ。すでに実証もすましてある。ビバ・カルバリン!
しかしこれは同時に大きな隙を作ることになる。その間隔はなんと1120。カルバリンをNQと考えて
この間隔。ちなみに一番早い武器である短剣は150.約7倍の差があります。しかし威力はなんと
149! これがどれだけかは…来訪者ならわかるはず。最もこの世界ではそういうものがあまり
意味を成さないのが残念だ。仮想空間ヴァナディールと違い現実空間ヴァナディールではオニオン
ナイフで雄羊を倒すことも可能だろう…。それでも目安程度にはなる。銃と一口言っても長銃と
短銃に分けられる。短銃の誕生はコルセアのジョブが伝道してきたと同時期に伝わってきた。
比較的間隔は短いが威力も低い、そして使いこなせるのはコルセアのみとなっている。確かに短銃は
今までの銃に比べ癖があり少々使いにくい部分もある。癖の理由は火薬にあるのではないかと睨んでいる。
アトルガン皇国は錬金術がとても発達してることからもしかしたら違う原材料の火薬を使っている可能性がある。
その火薬がなにかはまだわからない。しかしそこに未知なる銃があるならすごく気になると思わないか?
ああ、思うだろ。何せ銃は男のロマンだ。俺も本当なら銃を使いたいとこだが残念ながら弾が高くて滅多に使わない。
ということで俺はマシンボウのHQと呼ばれるものを愛用している。間隔が非情に早いクロスボウだ。
こちらのほうが俺向きなのかもしれないな。早撃ちはなかなか得意だ。ホーリーボルトなども使い勝手がいいし安い。
ということで俺は銃よりかクロスボウのほうが好きなんだ。息子よ、お前はどっちのほうが好みだ?」
親父の謎話をBGMに俺は「保守人 〜初めての保守〜」を呼んでいた。俺にとってはどっちだっていい話だ
344 :
既にその名前は使われています:2007/03/05(月) 21:41:19.06 ID:FGcd2ItZ
なんということだ、保守のつもりだったのに割り込んでしまった。
ごめんなさい、首つってきますorz
027 disc-B
事務の子は、やっぱり仕事が出来る子だった。倒産手続きの処理は3日で終わり、
不必要な書類は全て焼いた。僕はその子にちょっと重めの給料袋を渡し、短い労いの
言葉をかけて別れた。空はよく晴れていた。僕は竿を2本買い、モグハウスへ向かった。
猫は、モグハウスにいた。ドアの前にいる僕を見つけてにっこり微笑んでくれた。
「釣りをしよう」
と僕は言った。
「わかった」
と猫が言った。
028 disc-B
西サルタバルタのさらに西、人気の無い岬で、僕と猫は釣りをした。
「仕事を辞めたんだ」
釣れない。僕は釣りが下手なのだ。猫もあまり釣りは得意ではないらしい。
「これからどうするの?」
「わからないよ。ちょっとブラブラするさ」
「私は1週間後にまた旅立つの。リーダーがバストゥークに帰っていてね、
仕事を頼まれたからマウラへ来いって」
「そうなんだ」
猫は膝を抱えて僕の横顔を見つめた。
「何かあったの?」
「友達が死んだんだ」
029 disc-A
僕は決意を固めて布団の外へ飛び出し、テーブルの上に置いてあるポテトチップスと、
炭酸の抜けたコーラが入っているグラスを手にとった。
僕は図書館に行くために家を出た。街は人が少なくて、閑散としていた。
平日の昼間の御徒町なんてそんなものなんだろうけれど。空は不機嫌に
なるくらいにどんよりと黒い雲が覆っていて、もう少しすると雨が降りそうな気配がした。
空気は身体にまとわりつくように湿っていて、昼なのにちょっと暗い。いったん家に
戻って傘を取りにいこうか迷ったけれど、雨が降ったら、その時はその時で考えれば
いいと思った。もう、なにかどうでもいい。僕は歩きながらマユミのことを考えていた。
030 disc-A
マユミと知り合って半年くらいになる。マユミは宇都宮に住んでいて、28歳の
看護士で、身長が172cmもあって、酒と車とバイクが好きで、半日かけて洗車をして、
衝動的に1人で1泊2日の温泉巡りをし、夜中に泣きたくなったら高速道路で
晴海ふ頭まで行って海をじっと見つめて、1日に3箱も煙草を吸う人だ。マユミが
初めて僕の家にくるときに、かっぱ橋通りで大きな鍋と鋼のフライパンと小さい
ナイフとトングと2枚の品のいい白い皿を買ってきて、スパゲティを作ってくれた。
マユミの仕事が休みの時に僕の家へ泊まりにくるようになったのは、ここ1ヶ月くらいだ。
マユミは僕の家ではトマトのスパゲティしか作らない。パスタに絡めるものは大体
決まっていて、完熟のトマトと、アンチョビと、オリーブと、たまにケイパーが入っている。
そのマユミが作ってくれたパスタを食べたあと、二人でツタヤへビデオを借りにいって、
1本の映画を小さいテレビで観て、二人で芋焼酎を飲むのだ。そして、大概、
マユミは僕に泣きながら仕事の愚痴を言い、話し疲れたら先に僕の布団の中へ
入ってしまう。
031 disc-B
ガッダルと出会った時、僕は8歳だった。鉱山区で迷子になったとき、ガッダルは
僕を港区の僕の家まで送ってくれた。その時の縁で、二人で度々遊ぶようになっていった。
ガッダルは他のガルカとちょっと違っていた。正確には、出会った2年後、
ガッダルは変わった。性格とか、そういうものではなくて、中身が、根本的に、
変わってしまうような。壁を越えてしまったような。よくわからないけれど。ともあれ、
僕は、10代の多感な時期をガッダルと共に過ごした。20歳を過ぎた頃、僕はガッダルに
冒険者にならないかと誘われた。僕はその誘いに乗った。ガッダルは、もう一人冒険者を
誘っていた。
032 disc-A
僕は図書館の近くのカフェに入った。ここはとても雰囲気が良くて、モカがとても
美味しい店だ。そこで秘密と、手紙と、白夜行を読んだ。さて、今週のノルマは終った。
次は何を借りよう。
家に帰ると、僕の布団の上にカオルがいた。
「コーラは身体に悪いと思う」
とカオルが言った。
「おかえり」
と僕は言った。
「ただいま」
とカオルは答えた。
033 disc-B
それが黒い本を持っていた彼女だった。僕達は3人でクエストをこなし、
国からけっこう重要なミッションを与えられ、3国を回り、旅の仲間は6人に増え、
世界の真実の一端を知った。それは素晴らしい体験だった。でも、ガッダルはもういない。
ガッダルはここではないどこかへいってしまった。
「死んだんだ」
僕は泣いていた。今初めて、僕はガッダルのために泣いた。猫は僕を抱いてくれた。
「もういない。死んだんだ」
おわり
353 :
◆N4hISqu3ag :2007/03/05(月) 21:58:33.95 ID:lid3BBsZ
けっこう駆け足で物語を進めちゃったので、反省する部分が多いデス
>>132 登場人物を、極端な状況においたほうが筆がすすみます。日常的な
場面を色彩豊かに描くというのは、僕には荷が重いと思っています。
ともあれ、書いてる時には個人的にはそう思わなかったのですが、
改めて読んでみると、自分も極端な話だなぁ、と思っちゃいますねぇ。
ご意見ありがとうございます。
ご意見お待ちしています。ツッコミが多そうだなぁ。
皆様、保守そして投下乙でございます。
続きを投下いたします。
前回分は
>>320-322 でございます。
急転直下。
―――ッガァァァァン!
盾でヒヅメをはじき飛ばした。
纏うは、白銀の騎士鎧。
「・・・っ・・・」
俺は寸前でバルデリッヒの正面に立ちはだかっていた。
並行して構築し投射した魔力で、隊長の意識を引き戻す。
とはいえ闊達に動けるはずはなく、上半身を起こすのがやっと。
「・・・卿・・・?」
応えず。
闖入者にいきり立つバルデリッヒの、鼻っ柱を思い切り盾で殴りつけた。
ドバァンと痛そうな音が響く。
羊にとっても急所だったのか、ひるんだ。
「借り受ける」
そう断り、隊長が決して手離さなかった愛剣を、強張ったその指からもぎ取った。
良い剣だ。
たとえ、その本質が凶器であろうとも。
数々の危難から、人々を守ってきた剣にかわりはない。
―――戦いたくはない。
誰だってそうだ。戦いをためらう理由は山とある。
隊長の帰りを待っている家族がいるのだろう。兵たちもそうだったはずだ。
一目で、決してかなわぬ相手だと判りきっていたはずだ。
それでも、この男は。
一日に何度も真剣勝負に挑めば、いかな強靭な精神にも限界が来る。
バストゥークを抜けるまで目立ってはいけない。
面倒事に巻き込まれてはいけない。
管理者組織に捕捉されてはいけない。
メイミィを危険な目にあわせてはいけない。
それでも、俺は。
こんなとき、なんと言うのだったか・・・、あぁそうか。隊長の言葉を思い出した。
ますます興奮したバルデリッヒを睨みつけ、すらりと剣を構えた。
「ま、しゃあねえやな」
本日の投下は以上でございます。
擬音多めでお送りしております。
358 :
既にその名前は使われています:2007/03/06(火) 01:01:52.67 ID:v4Ecg9/5
寝る前にage
359 :
既にその名前は使われています:2007/03/06(火) 01:09:33.39 ID:m2unKael
k札の使うような盾は、最近では軽量化の為にカーボネートで作られるのが多いが、
それでも犯人に打ち付ければ首をへし折るくらいの打撃になる
それを純金属製の盾でやるとは、リード氏の盾装備時のSTRは異常www
360 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/06(火) 02:20:58.79 ID:Q0o5SGEq
きっと機動隊はナイトなんですよ。
ファランクスはポリカで。
そんなわけで続きを少し。
甘い香り。・・・シナモン。アップルパイ食べたいな。
ぼんやりと思った。
昔遊んだバルーンハウスみたいに、足下が落ち着かない。しっかりと均された通路なのに。
何があったんだっけ。何もなかった気がするし、たくさんのことがあった気もする。
それに、あの人・・・あれが、本当の、キーゼル。
優しい表情を作っているけれど、でも、優しくない。まるで・・・そうだ、薄い氷のよう。
ふとすると壊れてしまいそうで、強いのに、脆い。
「大丈夫か?」
言われて私は意識を戻した。真紅の礼服を着た銀髪のエルヴァーンが、私を見下ろしている。
軽薄そうな笑みを浮かべて、・・・あれ?
「ケイン?」
何で、ここに?確か、サンドリアで・・・
相変わらず私は考えが顔に出るらしい。ケインは笑って私の背中を叩いた。
「そりゃあ、絶体絶命のピンチに駆けつけるのがヒーローのお約束だしな」
「・・・途中で倒される悪の軍団の幹部っぽいけど」
「うーむ、せめて途中退場から華々しく復活する2枚目くらいにならんもんかね」
「ブラックコンドルくらいでいいならね」
「待て、それ最後に死ぬだろ」
他愛もない話。さっきからぐるぐるしていた頭が、少しずつすっきりしてくる。
はっきりと声が聞こえる。足下もしっかりと踏みしめられる。間違いなく、ここは私の居場所。
私はここにいる。なぜだか分からないけど、そう思った。
でも、・・・ここにいるのが正しいんだろうか。どこにいても、自分が場違いな存在に思える。
そもそも、私の居場所って?
一縷の不安。
不意にケインが私の肩を抱き、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ちょっ・・・」
「調子出てきたか?」
笑う声に、私は誰からも心配されていたことを知った。
調理場で、カイはぼんやりとボウルの中身をかき回していた。甘い香りはシナモン。それにチョコ。
ギルド支給ではないエプロンの胸に、手のひらくらいのトップのペンダントをさげている。
何かを考えるようにうつむくその横顔が誰かに似ている気がして、私は声をかけるのをためらった。
「エティ」
ケインが呼ぶと、彼ははっと顔をあげた。
「またレシピに悩んでるのか?」
「ん・・・あ、ッ・・・」
はっきりしない表情で首を振り、それから私に気付くと慌ててボウルをテーブルに置いた。
「・・・き、・・・あ・・・」
確かめるように私を見て、それから、そっと安堵の溜息をつく。
「よかった・・・」
「ソルニエじゃなくて、か?」
揶揄を含んでケインが言うと、彼は照れたように微笑む。
「・・・キーゼルさん、変わってたから。何か決めたって顔をしてたから、・・・だから」
「ソルニエが知ったら何が何でも取り戻そうとするな。ありゃマダムの好みだ、死をも厭わない騎士は」
にやにや笑いながら言って、私の背中を叩く。
「いった・・・」
「守るもんがこれじゃあ、死ぬ覚悟がないときついしな」
それって、私があんまり頼りなさすぎるってことなのかなぁ・・・ずっと守ってもらってきたし。
けれどケインは、私の頭をくしゃくしゃと撫で回す。何か言ってくるかと思ったけど、何も言わない。
見上げると、見たこともないくらいに真剣な、厳しい顔をしていた。
「来訪者をそのまんまで維持しておくのは難しい。
お前のように隔離されていたならともかく、器の記憶と自身の記憶が混在し、いつか世界に飲み込まれる」
「器の記憶?」
「お前自身でなく、"キーゼル・ソルニエ"の記憶。お前が知らないヴァナの記憶はあるか?」
「・・・えっと」
そう言われても、すぐには思い出せない。っていうか、どれがどの記憶なんてぱっと分かるわけがない。
うーん、と唸る私に、ケインは決してふざけずに言った。
「気が付くとな。自分のじゃない記憶があるんだ。そうしてどっちが本当の記憶か分からなくなる。
それからだんだん、こっちの記憶が本物じゃないかと信じはじめる。そうなったら、もう、戻れない」
戻れない?どこに?・・・どこから?
不意に。ぐっと襟が掴まれ、冷たい瞳が私を見据える。
「ッ・・・」
「言ってみろよ。お前の名前は?歳は?出身はどこで今はどこに住んでいる?使ってるケータイは?」
「な、・・・わ、私は、」
「言えるか?今すぐに。分かるよな。お前がお前の記憶を持っているなら」
私の記憶。私の名前は、
「・・・違う」
嘘だ。私の名前は、・・・違う。キーゼルじゃない。
それは『私』の名前じゃない。
「やっぱり、か」
ふと私の襟を掴む手が緩み、代わりにしっかりと私を抱きしめる。
「思い出せないんだろ?畜生、みんなそうなっちまう。オレも、あいつも、みんなそうだ」
「ケインも・・・」
「あいつの居場所はここだ。・・・あいつを置いてどこかに行けるかよ」
あいつが誰のことかは分かった。ケインとは双子の兄弟の、あの黒髪のカイン。
何だ、つまり・・・彼らは来訪者で、だから私の面倒を見ていたんだ。
「カイン、・・・記憶、ないの?」
「綺麗さっぱりな。もう向こうの話をしても理解できない」
「ケインは?」
「少しならまだ分かる。何でオレの記憶はまだ残っているのかは分からないが」
何でもないように言って、笑う。
「こっちに来てからずっと日記もつけてるしな。さすがに最初の頃の内容は分からないのもあるが、何とか読める。
でも・・・まあ、いつかはオレも忘れるんだろう。全部、さっぱり、何もなかったように」
自虐的な笑みで言いながら、ケインは、私の頭を撫でる。
誰かに聞かせたかったんだろう。この世界で、話が分かる誰かに。
でも。
どんなに願っても、戻れない。サンドリアは女神信仰に篤い国なのに、女神は彼らを救わない。
神様なんて信じないけど、もし本当にいるなら、ひどいな、と思った。
「あ、でも」
乗せられた手を払って、ふるふると頭を振る。
「カインは?カインもこっちに来てるの?」
「いや、あいつはサンド。お前とキーゼルがいることが分かって、オレだけバスによこされたんだよ。後で領事館を通して連絡するけどな」
「・・・あの」
そぅっと、カイが口を開く。
「レティ兄様は・・・?」
「レティシアも向こう。・・・あ、お前黙って家を出てきたんだって?アレクが心配してたぜ」
「・・・あぅ」
しゅんとうなだれるその頭をわしわしと撫で回し、それから、私へ言う。
「慣れたもんさ。もう未練はない。未練に思う奴も忘れちまった」
じゃあ、向こうの人はどうなんだろう。ふたりに未練がある人たちはいないんだろうか。
「もし戻れなくても、俺が責任もって男にしてやるから心配すんな」
にっこり笑う男のその鳩尾に一撃を入れて、私は深い溜息をついた。
今回は以上です。
キャラの暫定まとめはまた今d(背後からの一撃)
368 :
既にその名前は使われています:2007/03/06(火) 10:03:50.14 ID:vjCDXD8U
久々にわっふるわっふるage
>>357 相変わらず驚異的な戦闘力乙です。
俺だったら即効で
プチっ
だな。
>>353 今回も起伏に飛んだ話、投下乙です。
読んで思ったこと。もう少し語り手の情報が欲しいなと思いました。
蛇足ですが、相席になった相手が本を読み始めると
「話しかけないで下さい。」ということを暗に示すそうです。
…でも、自分の興味のある本横で読まれたら声くらいかけますわなw
>>367 この頃キッセルさんのSSみると、そこはかとなくボーイズ・r…
い、いや何でもないです。
370 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/06(火) 13:08:54.38 ID:Q0o5SGEq
>>バレさん
「・・・・・・orz」
「ホント来訪者は地獄だぜ。もういっそ開き直っちまえよ。いい子紹介するぞ?」
「・・・髪はミディアムでメガネの似合う、ちょっと天然入った子をお願いします。あ、種族はミスラでジョブはコルセアがいいな」
「・・・妙にこだわるな」
中の人はすべて男とは限らないのですけども。
ちなみに、キーゼルと読みます。
371 :
既にその名前は使われています:2007/03/06(火) 15:27:56.76 ID:ekF8WvCh
「コルセアの胸元が開いたAF! 実にすばらしい! 更に眼鏡をかけて天然とはもうこれはポイントが高い!
俺的にはエプロンも捨てがたいな。手に入ればメイド服も・・・! ああ、なんと素晴らしい! さらに銃を持たせれば
さらにポイントは高くなるだろう。ドジっ子でもいいな。ああ、夢がひろg」
飛んできた植木鉢が親父に直撃する。俺は「保守人のなり方」の本にしおりを挟んで戦場を後にした
>>352◆N4hISqu3agさんへ
物語内容が理解・把握しにくいので独自の読解以ってして意見等連ねていきたいと思います。
「緑茶!ソコハソーユー解釈ジャネーヨ、ココヨミオトシテルダロ」って場合は素直に謝るので許してくださいな。
discB(以下B)における(ヴァナディール側と思われる)、黒い本を持っている彼女について。
>>308で店で偶然であったミスラが黒い本を持っているのを見て
>>309の回想シーンに入る
回想シーンでは昔同じ本を持った「彼女(種族不明)」が登場している。
>>310で回想シーンから戻り黒い本を持っているミスラの話になる。以下「猫」と称されてるのは全てこちら。
>>350は回想シーンで「壁を越えてしまった〜」よりガルカのガッダルに来訪者属性があるものと考えられ、
続く
>>352で種族不明の彼女とガッダルで3人以上のPTを組んで居たことが分かる。
冒頭に戻って、
>>302と
>>303で語られている別れた彼女は、恐らくPTを組んで居た黒い本の種族不明の彼女になる。
Bにおける主人公ルージンの種族もバストゥーク港区出身からヒュームっぽいが正確な記述なし。
ルージンの一人称「僕」、ついでにガッダルの一人称も「僕」である。
つづく
ある朝目覚めると、自分がミスラF1Aになっていることに気がついた。
陽光に細めた目を開けてみると、そこはリアルの俺の世界と全く同じだった。
朝起きたら自キャラでリアルに降り立ったら、ってスレだったかな?
そう思いながらネクタイを締めなおし、地下鉄に乗って出勤する。
光曜日明けのどこか弛緩した空気の中、チーフが定時ぴったりに会議室にやって来た。
しっぽがきっかり右20度に傾いてぴくぴくしている。
参ったな、チーフがあれの時は相当機嫌が悪いんだよ。
配られた新人の企画書に目を通す。
憂鬱な一日になりそうだった。
374 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/03/06(火) 18:25:34.67 ID:v4Ecg9/5
(383)
ヒロとフルキフェルに連絡を終えた爺さんは領事の机の上を片付けたかと思うと、そこに地図を広げた。
見覚えのある印がつけられていると言うことは、昨日、"こうもりのねぐら"の爺さんの部屋で見たものと同じもののようだ。
大方の荷物は宿に置いても、コレだけは持ち歩いていたらしい。
「荷物につきましては、マルトに申し付けておきました。お2人ともお忙しいご様子でございましたので…」
そもそもあの2人は何をやっているのか、そういえば俺はまったく知らない。
だから、忙しいというならそれでも良いが、それは果たして事態が切迫してきたことも理解した上での返答だろうか。
さっきの騒ぎにしろ、少なくとも轟音はバストゥーク中に響いたのだそうだから、その時に連絡があっても良いはずだ。
ただ油を売ってるのか、それとも彼らには彼らの為すべき事があるのか。
何れにせよ、俺のやる事は変わらない訳だが…
窓に差し込む陽光の色がほんのり赤みをを帯びた頃、領事館のドアがまた開かれた。
ラディールの声がしないということは、おそらく顔見知りだろう。
「遅くなりました。荷物はこちらに」
そう言ったのは、昨日会った時の服装ではなくサンドリアを出立するときに見た服装に着替えたマルトだった。
(384)
「あぁ、ご苦労さん。ところで、ヒロかフルキフェルは見なかっ…」
言い終わる前にまたドアが開かれた。またラディールの声は聞こえない。
足音は2人分。これならもう疑う余地もない。
「…なんだ、わざわざ待ち合わせでもしてから来たのか?」
「いえ…そういう訳ではないのですが…」
「リフトのあたりでな、偶然だよ、偶然」
悪びれる様子もないヒロと、やはり少し血色の悪い(とは言っても昨日よりはマシなのだろう)フルキフェルがこちらに歩み寄りながら挨拶に答えた。
ヒロはそのまま近くにあった椅子に座り込み、フンっと鼻息を鳴らしてからこっちに視線を向けてくる。
一応、その視線に答えるように目線を合わせてから、俺は再び地図に目を落とした。
フルキフェルはと言うと、机上の地図を眺めて不思議そうに首をひねって見せた。
「いつ、こんなものを?」
「昨日から、あることはあった。事を起こすのはまだ先だと思って見せてなかっただけだ」
ガタッと椅子から立ち上がるような音がした。同時に、フルキフェルの顔にも若干の緊張が見える。
「…なんだ、聞いてなかったのか。今夜やるぞ」
感情のこもらない低い声で、言った。
短いですが、今日は以上です〜
>>372のつづき
Aでの主人公一人称「僕」、Bのルージンと違って本名が呼ばれたり、自分の名前を言わないので一貫して名無し状態。
Bルージン、Bガッダル、A主人公の一人称が全員「僕」な為、ルージン=A主人公なのかガッダル=A主人公なのか
もしくはルージンでもガッダルでもない、第三の全く別の人物なのか不明なまま冒頭部分が進んでいる。
>>317の夢シーンでのカオルが壁を越えて〜から、ヴァナ→リアルへの移動を誰かが行ったとすると、
物語の流れ上ガッダルしかいないので、ガッダル=B主人公説はハイキエター。で、ガッダル=カオルとなる。
しかし、
>>312よりカオルはA主人公から見て1年前に失踪するが、B主人公から見ると出会って2年で中身が変わり、
その後20代になってから3人PT以上で冒険し、それが終り、
>>303で「彼女」と3年会ってないとの会話より、
少なくとも4年間はB主人公とガッダルは一緒に居たことになるので、カオル1年失踪説との食い違いが発生する。
しかし、これは「ヴァナとリアル時間の流れは違うんだよ説」で折りたたむこともできる。
AとBの主人公が別人だとすると、
「B主人公はガッダルが死んだと思ったが、実際はAのいる世界にカオルとして生還した物語」になり。
AとBの主人公が同じだとすると、
「統合失調症(精神分裂症)の患者が書き綴った現実世界にいながら、
フラッシュバックのように起こる幻覚であたかもヴァナにいるような、境目のない日常の物語」になる。
(知ってる人なら「かってに改蔵」の最終回みたいなイメージと言えば分かりやすいだろうか……)
さらにつづく。
379 :
既にその名前は使われています:2007/03/06(火) 19:08:26.70 ID:V3WunXe9
批評してもらえていいなぁ(*´Д`*)
俺も突っ込みお待ちしておりますとか添えて投下したら書いてもらえるんだろうか…
それはそれとして投下乙でございます。
>>378のつづき。
で、上記を踏まえるて考えると。AとBの主人公は別説で物語を進めていると思うので。
何が言いたいか、という結論はこうなる。
「Aの主人公とBの主人公の一人称は、どっちか「僕」から「俺」に変えたほうが良かったかも」
黒い本を持っている二人や、A主人公とカオルの関係や、
discBに挟まる回想部分と実進行部分、discAとBの割り込み挿入演出なんかも
輪郭線や境界線が曖昧でぼやけてるから、そこらへんもハッキリ書いたほうが読み手にはやさしいかも。
半分感光して焼けちゃったモノクロフィルムの邦画を見てる様な、そんな感じがしました。
面白いか面白くないかで言ったら……面白くなかったら、こんなに熱く語らないわな。ってことですw
こんだけエラソーに書いて、今度自分が投下する話がショボかったら…… (;゚∀゚)y-~~ ガンバッテニツメヨウ
ダイスを手に、駒を進める。
「そう言えば、ヴィーダルのやつ、今頃何をしてるかな」
今はいない知人を思い、カップに口をつける。
かつて、遥かタブナジアからサンドリアに逃れてきたという彼は、存在が確認されたかの地へと旅立ち、以来姿を見せない。
調子に乗りやすいのが玉に瑕だが、どんな苦難にも決して折れることのない芯の強い青年だ。
しばらくは手紙も来ていたが、最近はさっぱりだった。
「元気にやっているだろう。あれから元気をとったら馬鹿しか残らない」
親愛を込めた言葉で返したそのとき。
「ロールorダーイ!!」
底抜けに明るい声が響き、ほぼ同時に、飲んでいた茶が吹き出された。
「ッ・・・ヴィーダル!?」
「ひっさしぶりだなぁ!!元気にしてたか!?」
「いや、元気とかそういう問題じゃ・・・」
「・・・より悪化して帰ってきやがったか」
数年ぶりに見た彼は、性格はさておき容姿が随分と変わった。少年の面影を残す顔立ちは男のそれになり、成長が窺える。
しかし、あの飾り帯がついた帽子や、過度の装飾が施された露出度の高いフラックは一体・・・
疑問を察してか、にこにこ笑いながら彼は言う。
「タブナジアに渡った後に、やっぱりおれの祖国はサンドリアだって気付いてさ〜、でも戻ってくるのもなんか味気ないし。
だからついでにアトルガン皇国まで行ってきちゃった。これ、コルセアって海賊の衣装なんだぜ」
パイレーツオブタブナジアン!などとのたまう男に、双子の騎士はダイスを彼に投げた。
382 :
既にその名前は使われています:2007/03/07(水) 00:09:11.96 ID:a9OrPABh
出会いが突然であるように別れも突然である、と思う。
俺は昔取った黒AFに腕を通す。この感覚は久しぶりだ。あえてAF2でないとこもこだわり。
「それじゃあ、行ってくる」
俺はそう行ってセルビナの家を飛び出した。保守人になるために。保守人を探しに。
383 :
既にその名前は使われています:2007/03/07(水) 01:54:22.99 ID:0lUn+yPt
禍々しい装飾が施された鎧を眺める。
「・・・・・・・・・・・・無理。」
溜息をついて、はずしていた布をかける。つけられたタグがひらりと揺れた。
キャラとしてある程度体力が付いているものの、こちらに来てすぐはやはり着ることができなかった、この鎧。
今でこそは重い金属鎧を着てもさほど苦にはならなくなったが、次第に別の理由が首をもたげてきた。
漆黒の鎧。
彼のジョブにしか着ることができないこの鎧を身につけたら。
きっと、オレはオレになってしまう。
彼が必死に否定し続けてきたこと。彼がこの世界の彼になってしまうこと。
彼にとって、リアルを捨てることはできない。リアルを忘れることはできない。
なぜそれにこだわるかなど、とっくの昔に忘れた。
それでも。彼は最後の一線を越えることができなかった。
「・・・・・・せめて、それでも」
もう、戻ることなんてできるわけがないのに。それでも必死に縋ろうとする自分が愛しい。
戻れたら、どうする?一瞬よぎる。
「・・・戻れるわけがないのに、そんなことを考えてどうすんだ」
未練を払うように大きく息を吐いて、真紅の礼服の飾鎖を指先でいじった。
ふと気付くと、暖炉の火が弱くなりつつある。
布についたままの『保守』と記されたタグを強引にとると暖炉にくべ、薪を適当に放り込む。
ぱっ、と赤い色が散った。
おはようございますage
385 :
既にその名前は使われています:2007/03/07(水) 13:41:24.51 ID:1uMBVn3y
緊急浮上
386 :
既にその名前は使われています:2007/03/07(水) 16:26:01.73 ID:a9OrPABh
さて、急に息子が旅に出たいといったら送るものなのだろうか。
可愛い子には旅をさせろとはいうが一切の躊躇もなく笑顔で行って来いといわれると悲しい。
と物悲しさに浸りながらほしゅー、ほしゅーと汽笛を聞きつつ夕日を眺める。
保守人を探すといってもどこにいるのかはわからない。しかしとりあえず人のいるところに向かうことにした。
目指すは緑溢れる魔法とタルタルと猫とネコとねこの街 ウィンダス。
387 :
既にその名前は使われています:2007/03/07(水) 19:52:53.35 ID:4EeDm8nE
あ、あんたの為に保守するんじゃないんだから!
保守とは一体何なのだろう。
389 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 00:08:20.67 ID:a9OrPABh
船室は狭く汚い。まぁ、もともとは荷物を運ぶためのものだから仕方ない。
さらに今日は波が強く揺れる。つまりこれはどういうことか。
「うえっぷ……」
船酔いをした。もう保守の本なんて読んでらんない。
軋むベットから飛び起きると急いで看板まで走って海に向かって吐く。
しかし神様は俺のことを嫌ってるらしく丁度そういうときに限って大波がきて…
この先は……言わなくてもわかるよな……
皆様、投下乙でございます。
なかなか大量投下とはまいりませんが、一読いただければ幸いです。
前回の投下は
>>355-356 でございます。
チョコボが寄ってきて、仰向けに倒れたままの隊長をクチバシで掴んだ。
そのまま橋の南側へバックステッポで軽々と引きずっていく。
グモォォォォォ!
バルデリッヒが吼えた。双方、逃げ場はない。
戦時使用にも耐えうる立派な橋が、その巨体で小さく錯覚される。
ふるへふるへよわけみたま
突然、どこからともなく凛と響いた言葉、歌、詠唱。
それは自分の内面、その深奥から届いたようにも思える。
あまりに不自然な現象を、俺は自然に受け入れ、声に出していた。
「ふるへふるへよわけみたま」
ごう、と身体を駆け巡る幻の炎が、漆黒から黄金色へと変化した。
常ならぬ力がみなぎってゆく。
ジュノでその奔流に呑まれそうになった、理性が飛ぶような兆候は感じない。
男の意地とともに引き継いだ隊長の剣を、もう一度確かめるように強く握り締めた。
動いたのは同時。
バルデリッヒは、太くねじれた雄角で突き刺しを狙った。
寸前。
羊の双眸に閃光が走り、ブン、と空振りする。
読み通り、頭突きも踏み潰しもダメなら串刺し、そして跳ね上げてくる・・・と。
その勢いを俺は利用した。電光石火の反射神経で、雄角に腕を絡めた。
あまりにもあっさりと、エルヴァーンの中でも大柄な身体が空高く跳んだ。
「ひゅっ」
一息で、バルデリッヒよりも高く、高く、跳んでいた。
失敗すれば即死は間違いないはずなのに、恐怖は感じなかった。
むしろ、宙に浮かぶ高揚感があった。今まで、これほど高く飛んだことはない。高すぎだ。
視界を奪われ、敵を見失い、たたらを踏んでたじろぐバルデリッヒ。
俺は上昇しながら姿勢を制し、狙うべき目標を見定めていた。
それはあまりにも範囲が狭いものではあったが、不可能ではない。
やがて身体は上死点へと到達し、すぐに鎧を含めた質量で落下を始める。
落陽の残光で、白銀の騎士鎧が煌めいた。
「雄雄雄雄ォォォォッ!」
気合一閃。
鋼毛でよろわれた脳天めがけ、二人分の意地を込めた剣を、突き刺した。
393 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/03/08(木) 00:48:58.03 ID:FqvdT13n
本日は、以上でございます。
394 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/03/08(木) 01:10:30.97 ID:0p45fdM0
(385)
苛立たしげ気に声を上げたのはヒロだった。
「冗談だろ!? 作戦はどうするんだよ!?」
「作戦?虎口に飛び込んで今更ナンセンスだな。俺たちが乗り込んだ時点で、もう罠の中なんだ」
まだ、サンドリアの時のように広範囲の洗脳を使われてないだけマシな状況とも考えられる。
突入せざるを得ない状況になったのは、ある意味好都合だと思うしかない。
「とは言え、市民に被害を出せば俺達や領事の立場が危うい。だから、陽動も含め炸薬入りの特製カノンシェルを旧港区の湾に打ち込んで、例の時間を止めるのをやってもらう」
「わざわざ、こちらの動きを報せると…?」
フルキフェルの呟きに黙って頷く。
金属音と共に、マルトがカルバリンを抱きすくめるように鞄から取り出した。
「時間を止めてこなかったら?」
「止めてくるさ。それが都合が良い状況だと、少なくともそう思ってるはずだから」
それだけは半ば確信に近いものがある。今までの行動を見る限りで言えば、そうせざるを得ないだろう。
「俺達と同じで、人目を憚らなきゃならないって事だよ」
仮に黒髪の赤鎧がやらなかったとしても、誰かが必ずそれをする。
それは爺さん側の人間かもしれないし、傍観者としてバストゥークにいる赤鎧かもしれない。だから突入を報せる相手は、敵だけではなくバストゥークにいる全ての関係者に対して、だ。
(386)
都合が良いことに、爺さんがこちらについてる以上戦況は確実にもつれる。
さらに、傍観者の目的は不明だが介入してくるならそれもまた良い。
「予測できない事が必ず起こる。それは俺達にとってもそうだし、黒髪の赤鎧にしても同じ事だ」
自身に言い聞かせるよな心境にもなってきたが、これは決して最悪の状況ではない。
一通り俺が話したところで、ヒロがふっと呟いた。
「そういえば、アオツキは?」
「…お前、一緒じゃなかったのか?」
思わず、目を見開いてヒロをじろりと睨み付ける。
「…知らねぇよ、あんな奴」
「目ぇ離すなっつったろうが!」
バンッと机を叩いて、思わず立ち上がった。
「あの… アオツキさんなら、大工房までは私と一緒に来ましたが…」
おずおずと、マルトがそう言った。
視線をそちらに向けて表情を確認し、そのマルトの視線を追って腕を組んだまま壁際に立っている爺さんと目が合った。
マルトがさらに言葉を続ける。
「大統領府が見えたあたりで、お知り合いの方に声をかけられて先に行くように言われたもので…」
さて、大統領府で知り合いときたもんだ… あのネカマ、いよいよ素性が知れない。
(387)
「…じゃぁ、とりあえず近くまでは来てるんだな?」
「はい、それは間違いありませんが…」
さっきから、この近辺で変わった様子はない。いきなり死体とご対面と言う事は無いだろう。
ここから別のところに連れ出されたりしていなければ、だが。
何か釈然としない話の矛盾に、最初に気がついたのはラディールだった。
「ちょっと見てくる!近くで呼び止められたのにヒロもフルキフェルも見てないなんて、おかしいわよ!」
そうだ、通り道で呼び止められればそこから遠くに行くのも不自然だ。なら、やはりどこかに連れて行かれたのだろうか。
「いいじゃねぇか、来ないなら来ないで。どうせ邪魔になるだけだ」
「…お前は黙ってろ」
目を合わせずにそう言ってから、駆け出すラディールの後を追ってドアに向かう。
ドアを開きあたりを見回したラディールは、大きくため息をついて足を止めた。
黙って指を刺す先の、日が傾き塀に遮られて陽光が当たらなくなっている大統領府の景色の中に、確かに昨日見たヒュムの姿があった。
誰かと話している様子はなく、少し胸を張るようなポーズで口を開いている。
「…歌ってる?」
大工房の中から聞こえる歯車の音にかき消されているが、彼女は確かに歌っているようだ。
聴衆も無く、音も響かない場所で彼女が何故歌っているのかは分からないが、その様子は何処か気高い印象すら覚える光景だった。
398 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/03/08(木) 01:14:18.25 ID:0p45fdM0
今日は以上です〜
399 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 04:18:35.50 ID:JCye8z2m
「赤い鎧?」
くわえていた煙草を灰皿に押しつけながら反芻する。
友人は肩をすくめて応えた。
「何でもね、『世界の秩序を保守する存在』なんだってさ」
「・・・GMか」
口にするが、友人は理解するわけもなく、不思議そうに首を傾げた。
「どうやったら世界の秩序を乱すことができると思う?神様でないと無理だよ」
「・・・そうかな」
例えば、無詠唱で魔法を発動させること。対応するジョブではないのにアビリティや魔法を使うこと。
それは充分に、『世界の秩序を乱している』。
「見てみたいと思うか?世界の秩序が乱されるところを」
「さすがに遠慮するよ。ぼくはこの世界にいたいもの」
「なに、そんな大層なことじゃないさ」
ひとつひとつの事象は、確かに大きなことではない。だが、それはとても大きな影響を与えるのだ。
彼は黙って、新しい煙草に火をつける。
それが《ファイア》の魔法によるとは、彼の友人は気付かなかった。
「世界の秩序を乱そうとする人たちって、何が目的なんだろうね?」
「さあな。ただ、これだけは分かるさ」
ふぅっと煙を吹き出す。
「望もうが望まないが、無理矢理にでもその力を与えられた奴らもいるってこった」
400 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 08:50:38.17 ID:HWFws7aB
投下乙です〜。
ver.upのため落ちやすいかも…気を付けよう。
401 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 12:50:35.89 ID:HWFws7aB
流石に下がるの速いな
「うわーっ!な、なんなのよこれはーっ!」
「酷い砂嵐だね……早く何処かに避難しないと」
先程までとは打って変わって、酷い砂嵐の中で。
「特異点を確認した。仕掛けるぜっ!」
私達は、ソレと遭遇した。
そこに降ってきたのは、鉄塊と見まごうばかりの巨大な剣。
そして、赤く揺らめく鎧。
私はソレを知っている。その姿を、知っている。私の知識じゃないのに、何故か、知っている。
GM……違う。フェイト、だ。
砂塵に霞む視界の中、私は槍を構えた。私の知っていることが正しいのなら、恐らくあれは敵だから。
「そっちも殺る気十分、って訳か。話が早くていい……っていうか、砂嵐止めろオイ!やりにくいんだよ!」
こっちに向かって口を開いたかと思ったら、なぜだかいきなり虚空に向かって叫んでる。
「何やってるんだろうねあの人?」
「さあ……?」
私もオボロも、お互い顔をつきあわせて困惑するばかり。
「何?天候の管理は管轄外!?……わかった、わかったよ、それで何とかする」
そこでようやく、ソレ(声からすると、多分男なんだろう)がこっちに振り向いて。
「いや、すまんな。俺は砂嵐は大嫌いでな。あちこち砂は入るわ視界は悪いわで……まあ、そんな話はともかくだ、そっちも構えてるって事は俺が何をしにきたか分かってるってことだな。じゃあ、行くぜ!」
砂の中に突き刺さっていた大剣を抜いて、こちらに向かって突っ込んできた。
「いまいち釈然としないけど……やるよオボロっ!」
「うんっ!」
振り降ろされた剣と、薙ぎ払おうとした槍が小さな火花を挙げた。
戦いは、思っていたよりもずっとこっちのペースで進んでいる。
元々が大きすぎる武器、何合か打ち合う内に必ず何処かに隙ができる。
その隙をオボロが体で、翼で突く。体勢が崩れれば、そこを貫く。
別に合図や作戦があった訳じゃない。竜騎士と飛竜の、生来のコンビネーション。
そんなことを、もう何度も何度も繰り返している。未だに衰えすら見せない相手に、僅かな焦りも感じていた。
本当に効いているのかすらも怪しい。だからこそ、ここは勝負に出よう。
鋭く突き込まれた剣をぎりぎりのところで逸して、そのまま槍を突き込む。
いつの間にか体に染みついてしまった槍の技。ペンタスラストの五連撃。
最後の一突きで、勢いに抗しきれなかったのか鎧ごと体が宙に浮く。
「今っ!」
「わかってる……燃え尽きろーっ!」
そこに、炎のブレスが追い打ちをかけた。
火だるまになりながら、砂の中へと落ちていく。
「効いた……のかな?」
起きあがってこない。
「手応えは、あったと思うよ」
これで倒れて欲しい、なんて、都合のいいことを考えながら、槍を握る手に自然と力が篭もっていた。
今回はここまでー。
そういえば、バージョンアップですなぁ。
………竜騎士にジャベリン追加って本当かしら(ぉ
406 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 16:39:09.81 ID:JCye8z2m
夜の森の中、身動きがとれず溜息をつく。
彼の膝の上では、まだあどけなさを残した少女が眠っている。
これがヒュームやエルヴァーン、果てはミスラであればひょっとするとひょっとしたかも知れないが、あいにくとタルタルだった。
「・・・ペットを乗っけてるみたいだ」
ふぅ、と溜息。
そう言えば、神父は元気かなぁ。私がいなくて寂しがってないかな。お父さんたち、ちゃんと散歩させてあげてるかな。
愛犬を思い出し、しんみりとしてしまう。
茶色い大型犬で、茶色>ブラウン>ブラウン神父>神父と、よく分からない命名なのだが、よくなついていた。
「ルジェ」
呼ばれて顔を上げると、東方装束に身を包んだエルヴァーンの女性がこちらに来る。
「さっぱり分からん。話では、こちらに件のモノがあると聞いたんだが」
「・・・そう」
短く応え、そっと俯く。揺らぐ焚き火の炎に照らされたその顔は、しかし髪で表情が隠されていた。
相棒のその反応に彼女はそばに腰をおろし、相手の顔を見ずに言う。
「俺はお前がどんな奴なのかは知らない。でも、ヴァナでのお前は知っているつもりだ」
一度言葉を切り、相手の反応を窺う。・・・俯いたまま、先を促すようだった。
「だから俺は、お前のそばにいる。俺に何ができるかは分からんが、せめてそれくらいはできるだろう」
「・・・・・・うん」
頷いて、それから手の甲で目元を拭った。
407 :
既にその名前は使われています:2007/03/08(木) 19:18:41.77 ID:HWFws7aB
全てが遠くなっていく
律子好きはいないのか?
いないなら律子は俺の嫁にしときますね^^
「真っ黒な髪ってどうなんだろ・・・」
黒髪をつまみながら言う相手に、銀髪の彼が応えた。
「悪くないと思うぜ?ってか、そういうフェイスだしな」
「染めたい・・・ブリーチしたい」
「待て待て、それはまずいだろ」
「だって私、黒似合わない〜・・・」
拗ねたように言う相手に、彼は笑う。
「染めるにしたって、まず抜かなきゃ駄目だろ?どうすんだよ」
「・・・む〜」
クッションに顔を埋め、ぐりぐりと首を振る。夜闇色の髪がそのたびに揺れた。
「そういうとこが不便だなぁ。魔法とかでぱっとできないかな」
「魔法ばっかりに頼るのはいかんな」
「なんで?」
顔をあげる。双子のようによく似たその顔を直視せず、彼は言った。
「・・・魔法ってのは、こっちの力だ。それに馴れるのは、・・・よくない」
けれど、駄目だった。それは半ば必然で、彼自身にも、あるいは彼女にも、とめることができなかった。
黒髪を見つめる相手に首を傾げる。
「どうした。・・・何かあるのか?」
「いや、・・・別に。何でもないさ」
皆様、投下乙でございます。
VerUPの影響は大きいようですね。
前回の投下は
>>391-392 でございます。
頭蓋を貫く手応えはあった。
剣はバルデリッヒの頭部に深々と突き刺さり、柄だけが真っ直ぐに天を向いている。
刃が脳内部にまで到達しているのは明らかだ。
俺は間髪いれず跳び退り、橋の上に着地した。
さすがに、竜騎士のように身軽にはいかない。
体勢を崩さぬよう、しかし鎧はズシャリと派手に鳴った。
「!?」
しかし。
巨大羊は倒れない。
爛々と赤みを帯びた双眸が、はっきりと俺に敵意を向けている。
残る武器は、布でぐるぐる巻きにして背中にくくりつけた己の剣。
無論、それをほどいているヒマなどない。
俺は盾を構え、眼前に迫るバルデリッヒの、死に物狂いの反撃に備えた。
―――ボッ!
必殺の弾丸が、バルデリッヒのアバラを斜め上から撃ち抜いた。
着弾から刹那遅れて轟音が響く。はるか遠方からの、音速を超えた弾丸だった。
火砲の衝撃は腹部を食い破り、どす黒い内臓を橋にぶちまけた。
射手は心臓を狙撃したのだと、俺の直感が告げていた。
霊妙な音色を伴って、紫暮の空にひときわ白く光の球が輝いた。
無数の光線がバルデリッヒに降り注ぎ、その巨体を侵食していく。
―――光連携!
とっさに俺は対応するイメージを編み、魔力を装填する。
電光石火。
光の輪が目標を二重三重に取り囲み、高出力レーザーのような威力で羊毛を灼いた。
これで・・・と俺はつぶやきかけて、即座に己の早計を否定した。
なおも、バルデリッヒはその体躯を崩さなかったのだ。
ぎこちなく四肢を動かしながら、頭突きを繰り出す。
俺は反射的に盾で阻んだものの、迫る勢いを殺しきれず、後退せざるをえなかった。
反動で、バルデリッヒの破れている腹部が揺れた。
どろり。
オイルのように黒ずんだ、血とも内臓ともつかぬ不定形がこぼれ落ちた。
腐臭が鼻をつく。
それで、わかった。
「くそったれ!」
バルデリッヒは、はじめから死んでいた。
動く死骸。奴らに、その存在を改変されたのだ。
生物のルールを外れ、疲れも知らず、痛みも感じず、怯えもしない。
この鋼の戦車は、バラバラになってすべてを焼却されるまで、決して停止することはない。
「くそったれ・・・くそったれ・・・」
ここで食い止めなければ、背後に守る者の命が蹂躙される。
武器のない俺は、不死の猛獣が遮二無二くりかえす攻撃に防戦一方だった。
盾で防ぎ、鎧で防ぎ、それでも受けた身体の損傷は並行して修復する。
対するバルデリッヒは、今なお構造体としての体力を十分に残していた。
キュゴッ!!
直感で背後に跳んだ俺の足元に、ガルカ一人分もある弾痕が生じた。
ゴッ、ゴッ、ゴッ・・・!!
戦っている相手ではなく、その周囲に連続して着弾していく。
メア遺跡での不快な一件が、俺の脳裏をよぎった。
いや、今度は違う。遊びではない。
弾丸は、バルデリッヒを円で囲むように橋を穿っていた。
414 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/03/08(木) 23:51:46.81 ID:FqvdT13n
今夜の投下は以上でございます。
415 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 01:26:38.62 ID:iDCkcrEz
寝る前にageっと
416 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 04:10:21.25 ID:AzTCYTK/
はぁーッ・・・はぁーッ・・・
荒い息が静寂を乱す。両手の鎌が重さを増し、今にも地に縛り付けんとしているかのようだった。
辺りには、かつて生者だったものの残滓が散らばっていた。崩れかけた体躯、朽ちかけた鎧、錆にまみれた剣・・・
彼らが来た時には、確認しただけで十は超えた数の死者どもがいた。
やつらは彼らに気付くと、その生に引き寄せられるように襲いかかってきたのだ。
たった四人、しかもひとりは戦う術がない。圧倒的不利から辛くも生き延びたのは、奇跡としか言いようがなかった。
「終わり・・・か?」
誰にともなく訊くが、応えは返らない。
周囲を見ると、傷を負った少年が膝を突き、青年の治療を受けていた。
いや、意識を失っているらしく、時折痛みに喘ぐ以外はされるがままになっている。
「キース・・・」
「・・・命に別状はないです。ただ、傷が深くて・・・少し休まないと」
言われるまでもない。彼自身もまた軽からぬ傷を負っていた。
エルディーム古墳。古き魂が眠るこの地は、思っていた以上に危険な場所だった。
・・・って、『何度も』来たじゃねぇか。護衛に箱開けに限界に・・・
頬を伝う血と汗を拭い、遅れてきた痛みに顔をしかめる。
と。柔らかな旋律が静寂を満たす。
黒髪の騎士が紡ぐそれは、彼の持つ力である【言霊】を織り込まれた鎮魂の歌。
今なお守るための力を失わず、しかし安らぎを与えられぬ魂のために。
高く、低く、旋律は溶けていった。
417 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 09:58:31.40 ID:b6wOQRP2
船を下りて最初に出迎えてくれたのは強風だった。
帽子を飛ばされないようにおさえる。セルビナではこれほど強い風は滅多に吹かない。
マウラの町並みはセルビナとは全く違う。同じ港町でもこれほど変わるものなのだろうか。
マウラは土をくりぬきその中に家を建てるという構造になっている。空気の循環が悪そうだ。
少し前までは寂れた町だったのに今となっては溢れるというほどじゃないが冒険者が結構いる。
アトルガンへ渡航するものたちだろう。新たな冒険の地に夢を馳せているようだ。
最もパスがない俺には関係ないことなのでここでは食料と水を揃えたら出る予定。
風が止むまで休憩しようかと思ったがどうやらやみそうにないのでまだ日が出てるうちに出発した。
そういえば船酔いってイレースで治せるんだな。サポ白ってことをすっかり忘れてたぜ
418 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 13:11:37.84 ID:AzTCYTK/
墳墓の奥へ足を進める。
いまだ解放されぬ魂たちを警戒しながら進んでいくと、小さな・・・そして簡素な祭壇が現れた。
香はとうに消え、灰と埃が周囲に散っている。薄氷を扱うように香壷をそっととりあげ、新しいものと取り替える。
軽く指を鳴らして火をつける不届き者に不敬を咎める視線と苦笑が向けられ、ふと、その視線がそれる。
黒髪の兄弟に抱かれた少年が、小さく声を漏らした。
傷そのものは癒されたが、失われた血はすぐには戻らない。貧血から来る失神からいまだ醒めない少年は、ぐったりと身を預けていた。
それが、香に火がつけられたのとほぼ同じくして醒めたのだ。
「・・・・・・・・・・・・?」
普段には見せない、年齢相応かそれ以下に幼い仕草で辺りを見回す。
親愛を込めた苦笑を浮かべ、理性がはっきりと醒めぬままの少年を立たせると、誰からともなく祭壇に祈りを捧げる。
金の髪の青年が胸にさげたペンダントに触れながら祝詞をなぞった。
荒ぶる魂よ。どうか安らかに。
願いを込めたその声は、森々たる闇のその奥にまで染み入るようだった。
ジュノ大公国、上層酒場。看板には『本日俺様の日』と掲げられ、誰一人立ち入ることが許されない。
「今回は珍しく苦戦したみたいだな」
銀髪の彼がフォークを手に揶揄の笑みを浮かべて言うと、今度は休息の眠りから覚めたばかりの少年は、両手でカップを抱えて応える。
「斬っても斬ってもこたえないから・・・面倒になっちゃって・・・」
ちょっと痛かったです。そう続けた少年の頭を撫で、諦観をたっぷり込めた溜息をついた。
419 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 15:58:12.81 ID:8nQFzCEv
ほしゅります
420 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 19:22:52.98 ID:AzTCYTK/
ネタがなかった・・・無念のage
421 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 19:28:13.34 ID:b6wOQRP2
ブブリムはバルクルムほどではないがなかなか暑い。
と言っても強風が吹いてるのでそこまで暑さを感じない。むしろ吹き飛ばされないように必死。
今日の強風は強いほうだそうだがこれ以上に強い風が吹くこともあるそうだ。多分タルタルは飛ばされる。
このへんの敵は絡まないから平気だな、と考えたがよく考えたらここはあそこの世界と違うわけだからその道理は通じない。
ゴブリンから身を隠し、時々いるエレメンタルを眺めながら歩いてアウトポストに着くころには日は沈んでいた。
ゲームとは違うアウトポストに微妙に感動しつつ宿で休むことにした。寝る前の保守本を読むのは欠かさない。
>>416 見つけたwwwww
オマエちんちん避難所にゴバクしてただろwwwwwwwwwwwwww
>>423 あたりだ。ここまでお疲れ。
しかし安価ミスしたお前も仲間だ
>>424 「r',. 、
d ´c`/ ちくしょう・・・
i ' ∋
ぉち 彡 ,.-,ニユ、
ぉ く .三 { ,.= r、
|し 三 (6' r',ニ7
|ょ 三. | !| { {
|お 三. | ミ‐ニ)
! ! ぉ ミ ! {
426 :
既にその名前は使われています:2007/03/09(金) 21:52:36.07 ID:AzTCYTK/
>>425 畜生、畜生、畜生・・・・
よりによって安価をミスるとはッ!!
・・・本気で焦りました。
>>526 うちのウナギがすみません。あとで黒タルの防御力程度に叱っておきます
428 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 00:31:19.31 ID:2FKsr3PS
429 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 00:32:25.07 ID:cYp0wx1X
このスレも長いよなぁ、
最初に書き出した俺もいまじゃ力尽きて読み手でROMってますよ…
ミクシーで書こうと思ったけどみんながやってるかわからんんからなぁ
とりえずかいてみるか・・・
主な登場人物
・[俺]…気がついたら自キャラになっていた、エル♀F6
・[199]…ミスラの黒魔、サンドリア所属のスレ住人
・[200]…ガルカの戦士、サンドリア所属のスレ住人
・[1]…ミスラの白魔、俺が初めて出会ったスレ住人
・2人組みの冒険者…コンシュタット耕地にちて異型の敵と
交戦していたプレイヤー達、詳細は不明
以下NPCの設定は公式とは大幅に異なる
・シャントット博士…ココ数ヶ月の間に起きている「異変」に
ついて独自に調査を行なっている
・アジドマジルド院長…博士の補佐
・吟遊詩人のミスラ…ウィンダスに滞在している旅の詩人
その戦闘力はかなりのものだが…
[俺]に興味を持ち、行動を共にする
・アンジュリカ…ウィンダスに滞在する流浪の画家
仮装世界から脱出する為にシャントット博士にあわなければ ならない俺の手助けをする事に
・バレリアーノ一座…旅の芸人一座、ただの流浪の者ではない ようだが…
前回までのあらすじ
・エピソード-I サンドリア編
なぜか朝おきたら自転車とトイレットペーパーと模造刀をもって
自キャラになっていた俺=エル♀F6黒髪
わけもわからずふらふらするうちに[1]や[199]、[200]といった
同じ元スレの住人達と出会うことになる
お互いかならずも元の世界に返ろうと誓いながら俺達は暫しの時を
サンドリアで過ごしていたが、ある日冒険に出ていた[1]が重症を負ってしまう
北サンドリアの教会へ運び込まれた[1]だったが既に処置の施せない状態であった
魔法にたけた国、ウィンダスならなんとかなるかもしれない・・・
[俺]は無我夢中で[1]を担ぎ上げ、なぜかこの世界に一緒に持ってきた自転車にのり、
ウィンダスへの渡航経路、港町セルビナへと駆け出したのだったが…
・エピソードーII 迷走
ロンフォールをこえ、ラテーヌを超え、もう何時間走り続けていただろう
バルクルム砂丘に差し掛かった時であった
暗闇にまぎれてゴブリンの盗賊、ムガーに[俺]たちは襲われてしまった
俺は一撃で胴を切り裂かれ、地面に倒れこんだ
絶体絶命の中、瀕死の[1]が立ち上がり、ゴブリンと対峙するが…
俺の意識はそこで途切れた
翌朝。激痛とともに目を覚ますと、俺はセルビナの前に駐屯していた
アウトポストの宿舎にいた、たおれている所を衛生兵に発見されたのだった
そこに[1]の姿はなく、兵に聞いてもそのような人物に記憶はないとのことだった
・エピソードーIII ウィンダスへ向けて 〜戦士の休息〜
[1]を早々と見捨てたサンドリアに戻るのが勺にさわった[俺]は
[199]と[200]にtellで話をつけ、1人ウィンダスへと旅立つ事となった
今のところ唯一の手がかりとなりそうな、とある人物を尋ねるために
ハイレベルの冒険者の傭兵を捕まえたおかげで、セルビナからウィンダスまでの
旅は順調だった
ウィンダスへたどり着いた[俺]は、「とある人物」に謁見する為に
必要となるであろう移籍金を得るため、ここより暫くはウィンダス国内で
仕事を探す事にしたのだった
そして俺は数日後、癖のある絵描きと、人当たりのよいミスラの詩人と
出会う事となる
・エピソード-IV 手がかりを求めて 〜流浪の民〜
ひょんな事から、流浪の芸術家アンジュリカと親しくなった俺は、
彼女の用事のついでに目的の人物、シャントット博士との謁見を果すこととなった
俺の記憶が正しければ、博士は「ヴァナディールは誰かの見ている夢にすぎないのかもしれない」と
いう言葉を発したNPCである、今俺がおかれている状況について
手がかりが得られるのではないだろう、とかすかな望みを抱いていた
博士によると、ここ数ヶ月の間に、ヴァナディールに正体不明の歪みが
発生しているらしい事がわかった、俺とアンジュリカは博士のススメで、
現在ウィンダスに滞在している流浪の者達、吟遊詩人に話を聞けば
なにか情報が得られるのではと考え、酒場にいた旅する詩人のミスラ、
背各各国をまわる芸人一座、バレリアーノ一座との出会いを果す
・エピソード-V 見えない敵 〜見習い赤魔道士の試練〜
俺は博士と一座の謀略?により強制的に詩人のミスラとウィンダスのミッションを
受ける事となった、移籍金を免除してもらうためだ
ホルトト移籍の調査という低レベル向けだったのだが実戦闘経験などまるでない
俺は魔法やWSの使い方も判らず苦戦を強いられていたが
詩人ミスラの助けもありミッションもなんとか完了しようとしていた間近、
異変がおこった 何の変哲もないはずのゴブリンが俺たちを追い詰めたのだ
そいつは切っても突いても、ミスラが魔法をぶつけてもたおれなかった
不死身とも思える敵を相手に[俺]達は窮地に陥ったが
刹那にはなった[俺]のファストブレードで、何故かあっけなく絶命した
その夜、俺はモグハウスで体を休めていたら詩人の彼女が訪れ、
俺に不思議な光を話す剣を授けてくれた
月明かりの下でレストハウスから彼女を見送り、俺はモグハウスに戻ろうとした瞬間
「奴ら」が現れた
・エピソード-VI 黒い影と黒い人 〜プロローグ終焉〜
真夜中のレストハウス前で、[俺]とミスラは「影」と対峙していた
そいつは、一瞬前までハウス管理人のミスラだった
突然黒い闇に飲み込まれ、彼女は影へと変化して俺達に襲い掛かってきたのだった
事前に周囲の人間から魔法の使い方を教わっていた俺は、
新米赤魔道士としての初陣を辛くも勝利で飾る事が出来た、が
影を退けた俺たちの前には血だらけの管理人ミスラが横たわっていた
駆けつけてきた憲兵に、騒ぎの容疑者として引っ立てられたが
博士の計らいで即日釈放された
その後俺は、バレリアーノ一座からコンシュタットでの影との交戦記録を
聞く事になった、
その後、些細な蟠りが生じたが博士に言いくるめられ、俺達は
博士の指揮の下、ヴァナディールで現在起こっている
異変の調査を行なうためのパーティー結成をする事となった
へっぽこ赤魔道士 凄腕の吟遊詩人のミスラ、謎の芸人一座による
暗霧に包まれた旅が始まった
とりあえず今は以上だす。
これからさき[俺]達は以前事件のおこったコンシュタット耕地をめざすことになりやす
そこで[俺]を待ち受ける悪しきモブリンの影
はたして[1]は死んでしまったのか 次の章では一応そこら辺を書くかも(´A’)
過去のログアサリまくれば多分1〜VIの話は読めると思うけど
わかんないとこあったら適当にレスできいてくらさい
昔読んでくれてた人ならわかるかもだけど
ミスラたんは只のNPCではなくこの先もキーマンになります(´A’)
438 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 02:50:57.39 ID:m2Foskqw
取り敢えずマイミクしませんか(´∀`)ノ
おお、はじまりの人が…。
おかえりなさい、超楽しみにしてます!
440 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 04:00:49.11 ID:cYp0wx1X
ミクソはなぜか検索ためしてみたけどまったくヒットしねえから
あきらめた(´A’)
名前:エル♀ F6
キーワード:ネジツ 朝起きたら自キャラになってた
今回からきちんと鳥つけるので
ミクソで下書きしてこっちで書いてもいいやとおもったり
441 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/10(土) 04:27:04.43 ID:UMRuW0gr
>>440 特定できませんでした。
検索条件に該当するユーザは見つかりませんでした。
検索のヒント:
・キーワードに誤字・脱字がないか確かめてください。
・キーワードの表現を変えてみてください。
(アルファベット⇔カタカナ、漢字⇔ひらがな、など)
・お探しのユーザが mixi に参加していない場合がございます。
mixi に招待しましょう。
ってなってしまいますね。
プロフィールで、検索設定を公開にしてらっしゃいます?
自分はしっかり引っかかるんですが・・・
・・・あ、マイミクは無理です。ごめんなさい。
442 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 04:28:49.10 ID:m2Foskqw
名前で検索して出たお(´・ω・`)
全角スペースそのままにしてませんか?
443 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/10(土) 04:50:07.50 ID:UMRuW0gr
でないなぁ〜ん・・・orz
検索方法間違えてるかなぁ・・・
444 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/10(土) 05:04:25.01 ID:UMRuW0gr
あ、ミス・・・なんつーことをorz
本編投下しようにもまとまりきらないので、キャラの暫定まとめを少々。
[サンドリア]
"私"(HM♂F4金):興味本位でスレを読んでいたら、ある朝ヴァナにいた。中の人は村人Aだがどうなんだろう実際。
デュカイン・ヴォーシェル(EV♂F2黒):神殿騎士団に所属。ナイト。来訪者絡みの任務についている。愛称はカイン。
リュケイン・ヴォーシェル(EV♂F2銀):神殿騎士団に所属。暗黒騎士。来訪者絡みの任務についている。愛称はケイン。
※カインとケインは双子だけど、どちらが兄でどちらが弟、というのはないらしいです。
黒衣の刺客:年齢性別ジョブなど一切不明。ヴォーシェル家で"私"を襲うが返り討ちに遭う。
マヴド(GKF4黒):"私"のフレ。モンク。"私"のリアルを知っており、『姉御』と呼んでいた。裏通りで"私"を襲う。
ハルヴァー:天然系ツンデレ宰相。来訪者についての情報を集めている。"キーゼル"について知っているらしい。
モーグリ:変なところで気が利く。ヴォーシェルさん家のクピエッタに一目惚れ中。クポポという名前がある。
445 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/03/10(土) 05:33:33.72 ID:UMRuW0gr
[バストゥーク]
ユーリ・フェルシオン(MRF6赤):冒険者。赤魔道士。アトルガン皇国から帰ってきたばかりの暴力猫。愛称はシオン。
故あってフェルシオン・ランクスと名乗るが、キーゼルによって本当の名を知られる。
カイ(EV♂F7金):冒険者見習い。白魔道士。キーゼル、ヴォーシェルについて何か知っているらしい。
シオンからもらったペンダントを肌身離さず持っている。
キーゼル・ランクス(HM♂F7金):冒険者。戦士。削除されアカウントを消されているはずの"私"のキャラ。
バストゥーク出身だが両親を喪い、ソルニエに拾われサンドリアに所属する。現在はキーゼル・ソルニエを名乗る。
ロア(HM♂F6黒):戦士。自称セクシー系?インパクトだけは最強。"私"を狙う。
"蜂"(EV♂F3黒):シーフ。色々と来訪者について知っているらしい。"私"を『鍵』と呼び狙う。
"末っ子"(仮):詳細不明。笑ったり叫んだり破壊したり。『手に入れられること』を望み、キーゼルによって叶えられる。
ジーニ・アーニ(TT♂F2金):白魔道士。"蜂"同様来訪者について知っているらしい。愛称はジン。
ミガイフォング(EV♂F7金):シオンのフェロー。真面目タイプ。シオン一筋で、その愛故に暴走しがち。
ガードのお姉さん:お仕事ご苦労様です。
多分、フェイスとかこれであってるはず・・・です。見なくなった人もいるからちょっと不安。
エル率・野郎率が高い上に金髪率が高い・・・これなんて『女の子のための恋愛アドベンチャー』?
446 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 06:02:25.29 ID:cYp0wx1X
自分で検索しなしたらヒットしたw
どうやら「検索」ではなく
上の真ん中らへんにある「serch」に「エル♀」っていうと
引っかかるっぽい なぜだ…
ミクシで書きなぐってこっちに清書で書くので
基本こっちのみでいいとおもいやす 見てくれるのは
447 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 11:56:17.73 ID:2FKsr3PS
age
久しぶりに来て見たら大長編入り乱れっぽくて着いていけないw
ここじゃ邪道なのかもしれないけど、373みたいなやつが好きなんだけどなあ
橋梁のダメージが限界を超え、ビシッと悲鳴を上げた。
―――瓦解する。
バルデリッヒもそれに気が付いた。
橋を渡りきろうと突進しかけ、俺は堅くザラついた鼻面に盾をぶち当てた。
「させ・・・るかッ!」
渾身の力がぶつかり合う。
俺は懸命に踏ん張った。奴の吐く腐臭の混じる呼気が顔に触れるほど、近い。
だが、アマルテアに匹敵する筋力を与えられた奴に、俺は徐々に押されていった。
バキッ、ビシッとあちこちから響く破壊音がいっそう増している。
時間がない。
ドンッ!
着弾から一瞬遅れて、バルデリッヒがバランスを崩した。
橋に撃ち込まれた衝撃で生じた亀裂に、後肢を取られたのだ。
「ッゴォ!」
「っあ!」
トドメの一撃で、峡谷にかかっていた大橋が崩壊した。
瞬間何も聞こえなくなるほどの、轟音が耳を打った。
ちょうどバルデリッヒの後肢がめり込んでいた、橋の真ん中が崩れた。
ガクッと俺が立っていた足元の橋げたも落ちる。
わずかに早く、俺は南岸へと跳んだ。息をするのも忘れていた。
「んなろォ!」
不意に、空いていた右手を引っ張られ、俺は地面に転がり落ちた。
オオオオォ・・・。
奴の巨体は跳べなかった。
重力には逆らえず、四肢をバタバタさせて、もがきながら落下していく。
それをきっかけに、破壊が両岸に向かって連鎖していった。
破断した橋梁がバラバラと、はるか下の谷底へと落ちていく。
橋で残ったものは、両端の基部のみだった。
ゼイゼイと息も荒く、俺と隊長は地べたで大の字に転がっていた。
「余計なコトを・・・おとなしく寝ていろ・・・」
「今、ので、また、折れやがった・・・」
あきれて、すっかり真っ暗になった空を見上げたまま、大きく息を吐き出した。
視界の端に、動けるようになったメイミィが涙目で走り寄ってくるのが見えた。
オオオォ・・・オオオォ・・・。
吹き上がる風に乗って、怨嗟の唸り声が聞こえた。
空耳には思えず、身を起こして覗き込む。
黒々とした肉塊が、谷底をゆらりゆらりと彷徨っているのが見えた。
予想通りとはいえ、落下の衝撃を受けてもなお動けることに舌を巻く思いだ。
俺は身を起こし、今度はぐるりと周辺を見回した。
強力すぎるほどの火砲支援をよこした者はどこだ・・・。
大瀑布の上。
「ヤグード頭の・・・ミスラ・・・?」
遠目にそう見えた。
銃で正確に狙撃をするには、ありえないほど遠い。そして暗い。
だが、彼の者であれば不可能でないことは実証済だ。
ピタリと銃口をこちらを向け、静止している。
正体不明だが、仕掛けてくる気配はない。
―――寄らば、撃つ。
援護はしたが関わるな、という意思表示に受け取った。
俺は、戦意がない事を示すように、身にまとっていた騎士鎧と盾を解除した。
すっ、と光の粒子が拡散して、もとのガンビスン姿になる。
負傷している隊長に肩を貸し、南側の小さな詰め所に運んだ。
ケアルでどうこうできる状態ではないことが、わかった。
「じきアウトポストの奴らが加勢に来る・・・が、こりゃあなァ」
くははは。と、隊長はあまりの有様に、笑いをこらえきれない様子だった。
「本国の連中でも呼ぶかねェ。ミスリル銃士がいい」
「む・・・ぅ、面倒事はまずいな。悪いが、俺たちは先に行く」
ああ、と隊長は頷いた。そっちにも事情があるんだったな、と。
「達者でな。名乗りもしねェ“通りすがりの冒険者”さんよ」
ニヤリ、と隊長は顔色が悪いまま笑ってみせた。
どこまで不敵で、頼もしい男だろうか。
「娘さんの誕生日には、間に合わないな」
ふと、そんなことを思い出し、口をついて出た。
「会うっても、まァ、墓参りなんだけどよ」
俺の何気ない一言に、隊長は自嘲気味に目を閉じ、天を仰いだ。
九つの誕生日に、流行り病でな、と。
「死んでから毎年帰るようになったなんざ、バカな話さ・・・」
俺は無言でチョコボに跨った。
日が落ち薄暗いグスタベルグを走り出す。
454 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/03/10(土) 16:08:01.14 ID:iifONVeD
今回の投下は以上でございます。
455 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 18:48:52.75 ID:JCrf9VKC
;;age
上昇気流に乗ってどこまでも
457 :
既にその名前は使われています:2007/03/10(土) 21:04:55.13 ID:LGUVH3p6
ジャンプ!
エピソード-VII 遠き山に日は落ちて
VIIーI:港町の怪談話
俺達はタロンギ大峡谷をブブリムに向けて移動していた
なぁ、態々舟に乗っていかなくても
ジュノを経由していきゃいいんじゃないか? 陸続きだし
「いまジャグナー森林とロランベリー耕地の辺りは豪雨の
時期真っ最中だかんね」
「そんな中この子達はしらせんのもかわいそうじゃん?」
そういうとジャグラーミスラは先頭のチョコボ2頭の頭を撫でた
「それと、最近マウラの辺りで気になる噂を耳にしたんですよ」
詩人のミスラはすこし身震いをしながら話し始めた
最近になってマウラとセルビナの住民の間で流れている噂話
霧の深い夜になると、何処からともなくうめき声とともに
おぞましい姿をした人型の化け物が現れるという怪談話だった
…ボギーの見間違いじゃないのか?
「ボギーは人型じゃねえだろー? それにここ数日で急にだもん、こいつぁなんかあるんじゃないかなってさ」
ジャグラーミスラは何故か目をランランとさせていたが
正直俺はこういう怪談話は苦手だった
しかし、ゴーストやグールが実在して
一般市民もその存在を知っているこの世界で
「幽霊やオバケ」ってのはどういう存在なのだろう
俺はそれとなく詩人のタルタルに聞いてみた
ミスラはどうも苦手なんだ
「ゆーれい? ゆーれいとゴーストやグールは全然ちがいますぜぃ?」
ゴーストやグールはあくまでモンスターの亜種に過ぎないのだという、
そういえばグールは死者の頭蓋骨をネクロマンサーが呪術で
作り出した操り人形だというのは聞いた事があるな
俺はてっきりケアルでダメージ入るのは死者だからだと思ってたけどなぁ
「<俺>さん、ケアルとファイヤの違いはなんだとおもいやすか?」
え? そりゃー、、白魔法と黒魔法だろ?
「まー一般にはそうなってやすが、誰かに何かを作用させるといった意味合いでは基本は一緒でやんすよね?」
んあ? まぁそうだけど
頭に?マークを浮かべている俺を苦笑しながら
詩人のミスラが話にくわわってくる
「ケアルというのはある種の属性で形作られた生き物、
つまり私たち人間や獣人に対して生命活動を活発にする働きを持つ魔法です」
グールやゴーストはそのエレメントが違う、
だから回復するはずの魔法でダメージを受けてしまう、と
そういえば召喚獣も同族性は吸収するんだったな
「そうですね、つまり毒と薬の関係と同じです、投与される対象次第でどちらにもなりますから」
厳密には回復魔法 攻撃魔法ってククリはないわけか
「ええ 生き物を構成するエレメンタルに合わせて
属性の作用を選ぶのが魔法ですね」
「まー、便宜上死者とかオバケっていわれるんでやすんけどね〜」
おえらい先生2人に魔法の授業を受けているうちに、
俺たちのキャラバンはブブリム半島領域へと入っていた
「−つまりーー なぜ黒魔法、といわれているかっつーとですねー」
「…声を立てるな、この辺りはゴブリンの縄張りだ」
火吹きのガルカはタルタル大先生に注意を促しながら
すでに臨戦体制で周囲に意識を払っている
…なぁ、ブブリムってこんな霧こかったか?
「砂吹雪はよく待っていますが、霧というのは
珍しいですね」
『…現在のヴァナディール、全域での霧の地域は、
バルドニア、コルシュッシュ、ザルクへイム…』
ヴァナディール・ウェザーリンクシェルの情報を聞きながら
詩人のミスラはすこし不安げな顔をした
「博士が異変を察知しはじめた数ヶ月前から、
ヴァナディールで霧が発生する地域が増え始めたんですよ」
だとするともしかしたら影の奴らの発生と何か
関係があるのかもしれないな、
怪談話もあながちウソじゃないかもしれない
なんだろう 頭の奥に電気が走るような感じがする
いわゆる「嫌な予感」という奴だ
道中でいくつかのゴブリンの死体を見つけた
冒険者と一戦交えた末路と思われたが
奴らの死体の有様を見る限りは…
「人間の仕事じゃねえよな」
ああ、こんな事する冒険者がいるとは思いたくは無いな
「むごすぎます、いくら獣人とはいえ…」
俺とミスラ2人組の3人はそれらを正視する事は出来なかった
半身を食われたゴブリンの死体の山
食糧ほしさに死体を貪る野生動物は
ブブリムにはいないのだ
精精野うさぎや大鳥程度のはずだし、
兎や鳥にゴブリンを倒せるとは思えない
VII-II 目覚めた悪夢
西側の入り組んだだ道をぬけ、俺達はブブリムの海岸よりのエリアに差し掛かっていた
タロンギでみかけたダルメルよりも一回り大きい
ブルダルメルが闊歩している
遠くにはうっすらマウラの入り口をしめす街灯の明りも見えてきた
「団長どうする? 霧がこいけどマウラまで一気に
つっぱしるかい?」
俺とともに死体を調べていたジャグラーミスラが指示を待っている
「ゴブリンの事も気になるしな、私も嫌な空気にまとわり疲れていて落ち着かん、マウラまで走り抜けよう」
周囲に敵の気配がないのを確認して俺とミスラが
キャラバンに乗りこもうとした瞬間、
奴が現れた
とりあえずココまでです(´A’)
ここからマウラにたどり着くまでの話はミクソにありますが
加筆やら削ってみたりでいま調整してまふ
投下乙でございます。
思えば去年の今日、2006年3月11日に、スレ1がスタートしたのでした。
早いもので、もう一年です。
“自キャラスレ”が、皆さんの手でこれからも続きますよう、切に願っております。
470 :
既にその名前は使われています:2007/03/11(日) 00:34:44.82 ID:XFwwQJ7m
模倣犯的記念カキコage
4月からリーマンなので
なんとか今月中にひと段落つけたいと思いがんがってまふ
いまかいているエピソード7(マウラ編、セルビナ編、コンシュタット編)
エピソード8(モブリン編1 再びマウラ編、○○との因果に決着編)
ここまではなんとか今月中にここにうpしたいな(´A’)
472 :
既にその名前は使われています:2007/03/11(日) 04:25:22.30 ID:c6qJMffF
98氏、飛蚊症なおったんか?お前さん目玉に爆弾抱えてるんだから気をつけてくれよ。
ひぶんしょうはブラインの永続効果なので
キャラメイクをやり直すまで消えませんな・・・
お陰で夜の車運転とかすげーこわいw
一応はるから入社する人事の人には話し通して理解してもらえてるが
現場のおっさんどもが理解しているかは不明えええうえうw
474 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:05:12.57 ID:XFwwQJ7m
がんがれ!
超がんがれ!ヽ(;´Д`)ノ
で、すごく久しぶりに投下です。
出番待ちとか言ってたくせに朝の場面からwwww
475 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:05:28.49 ID:XFwwQJ7m
爽快な目覚めだ。
目を開くとまず目に飛び込んできたのは、露を帯びた外套と、その向こうに広がる赤茶けたグスタベルグの大地。
眠るまでは剣を握っていたはずの右手はだらりと緩んで、外套が護ってくれた暖かい空気の中で垂れ下がっていた。
固まってしまった首筋をほぐし、大あくび。喉を通る空気が刺すように冷たい。時計を見ると、まだ五時か六時といったところだった。
おれがまだリアルにいた頃は、そろそろ寝ようかと思案していたような時間帯だ。
外套についた露と土を払い、肩に羽織る。
おれが一夜の宿を借りた岩屋の周囲には、足跡一つなかった。
そんなものを気にする自分が急に滑稽に感じて、苦笑い。
宿で眠った方が快適で安全だろうに。パターンを崩す事で自分を狙う連中から身の安全を図るにしても、ムラがありすぎだ。まるで子供が、何かのあてつけにわざと自分に頓着するのをやめるような感じか。
まったく、いくつ眠ってもおれは大人になれていないな。
そんな事をぼやきながら、バストゥークの不細工で仰々しい門をくぐった。
476 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:05:46.37 ID:XFwwQJ7m
入国に際して、特に面倒な事はなかった。
おれの素性を知って咎める銃士もいなかったし、外出の理由は夜の間出没するアンデッドモンスターの駆除という事で簡単に納得を得られた。
いい加減おれも、自分の体を使って色々検証するのはやめた方がいいな。我ながら少し呆れて、おれは再び首都バストゥークへと入った。
小腹がすいていたので、ベリゲン広場の朝市でなんたらケバブみたいなパンと果汁を買い求め、ぼんやりと池を眺めながら食事を済ませた。
パンに挟んであるのは羊の肉だろう、岩塩の塩気と脂肪の甘みが心地よいが、アンモニアみたいな臭みがある。
食べ終えてひと心地つくと、急に催してきて、おれはそそくさと内股で跳ね橋を渡り居住区へと向かう。
バストゥークはきちんと公衆便所がある。といっても仕切りで区切られた部屋の中に汚物を落とし込む小さな水路があるだけだ。外から見えないと言っても、誰かが同じように用を足しに入ってくると顔をあわせる事になる。
それはどうにも耐えがたかったが、借りた便所の場所が比較的裕福な住宅地だったからだろうか、ご同類と顔をあわせる機会はなかった。
こちらの世界の人間も、こんな気まずい公衆トイレより、可能なら自宅のそれを使いたいのだろう。
おれとしてはそんな事よりも、便所の場所を尋ねて売春宿に案内されそうになった事の方が気になった。多分便所の便は便利の「便」てことなんだろう。
火急の用が済んで一息ついたので、改めてルーファス達の待つ宿を目指す。
きっとおれは、リアルに帰っても段ボールハウスで立派に暮らしていける。そんな気がした。
477 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:06:22.57 ID:XFwwQJ7m
蝙蝠のねぐらに向かう道すがら、ふと思い立って自分の部屋の前を通ってみた。
まだ朝も早いというのに、銃士の制服を着た連中が集まって実地検分だかなんだかをやっていて、野次馬が集まっている。
あたりには昨日の痕跡がまだそのままに残っていた。
昨日はあたり一面血の海になったような気がしたが、時間を置いて見てみるとひどくしみったれた血痕が階段にこびりついているだけで、正直のところ、自分の記憶とは別の場所のようにすら思えた。
人ごみにまぎれたお陰か、特に見咎められるような事はない。
顔も見られなかったのだろう。結果的には良かったのだが、自分からすれば少々意外にも感じられた。
別にドラマというわけでもないし、ヤバい事には関わらないのが長生きの秘訣だと、この街の連中は知っているのだろう。
ふと、白銀銃士に混じって一人だけミスリル銃士の階級章をつけた人物が部屋から出てきた。アヤメだった。
早起きだな、と内心漏らすと、それが聞こえたのか野次馬に混じって見物しているおれと目が合った。
アヤメが鬼婆みたいに目じりを吊り上げ、ドカドカ踏み鳴らす勢いで階段を下り始めたので、おれは文字通り尻尾を巻いてその場を後にした。
次に顔を合わすことがあったら、さぞかし呆れ顔で色々と説教を垂れてくれる事だろう。
478 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:06:44.61 ID:XFwwQJ7m
蝙蝠のねぐらはまだ朝の微睡から醒めていなかった。
無理もない、まだ時刻にして七時かそこら、泊まっているのはここ数日強行軍で旅だの諜報活動だのしていた連中だ。むしろおれが起きているのが不思議なくらいだろう。
それでもマルトとマティエールは既に起き出していて、何事か忙しげにしていた。
「ルーファス達はまだ寝てるのか?」
答えは分かっていたが、話しかける口実にして声を掛ける。
召し物を手入れしていたマルトが手を止めて、不機嫌そうにそれに応じる。
「はい」
そして再び、エルヴァーン物の上着を新しく取り出すと、丁寧にブラシをかける作業に集中する。
ぞんざいといえばあまりにぞんざいな対応だ。けど、猫が衣類を扱って、しかも几帳面にそれを整える様がなんだか滑稽で、腹も立たなかった。
マルトが本当に猫なら、あの上着は念入りに手入れをしたらしただけ、毛だらけになる事だろう。
「他に何か」
おれが見物する様子が気に障ったのか、マルトはもうこちらを見もせず、声だけでおれを咎める。
「ああ、いや、別に。──アオツキは?」
「まだお休みです」
返答によりいっそうの険が含まれる。
そんなに嫌わなくてもなぁ、と肩をすくめた。そもそもおれはなんでこんなにこいつに嫌がられてるんだっけ。幾分気にはなるけど、優先順位は低い。
「そっか。じゃあ昨晩はどこにも行ってないんだな」
マルトの肯定に軽く頷き、
「一晩好き勝手させてもらったし、しばらくあいつのお相手を引き受けるかな」
伸びをして、大欠伸。あいつの本心はもう疑っちゃいないが、自身の微妙な立場を理解しているとも思えない。しばらく監視が必要になるだろう。
479 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/11(日) 06:08:23.35 ID:XFwwQJ7m
ひとまずここまでです。
ていうかなんか規制の仕方とか変わったんでしょうか・・・
ようやくアク規解けたかと思ったのに、色々怒られます(つд`;)
480 :
既にその名前は使われています:2007/03/11(日) 10:50:42.64 ID:HM2yDisO
ブブリムのアウトポストで泊まり朝起きると霧が出ていた。
てかなんだよこの霧は。濃すぎだろ。濃霧ってレベルじゃねーぞ! そういえばマジックギャザリングにも
濃霧って魔法あったよね。懐かしい。しかし今はそんな話どうでもいい。これじゃあ、出発できないな。
ということで詰めあい所に一日限りの仕事を求めにいくとアウトポスト付近の警備を頼まれた。ゴブリンの襲撃
を防げばいいらしい。楽そうな仕事だ。
アウトポストの周りを歩く。しかしこの濃霧でとてもじゃないけど警備などできないな。保守本も読めない。
その時だった。霧の向こう側にぼんやりと明るいものが見えた。警備を頼まれている以上はとりあえず寄ってみる。
「松明か……」
火のついた木が落ちてた。それも一本だけ。焚き火にしては木が少なすぎる。周りには木など生えてない。ということはだ。
咄嗟に振り返りしゃもじを顔の前に持ってくる。
すとんっ、と木に矢がささる。
「やっぱり罠か」
松明を矢が飛んできた方向に投げる。何か見えるかと思ったがなにも見えないな。そういえば霧の時に幽霊が出るなんて話も聞いたな。
第二射が飛んでくる前に動く。相手も目印がない以上は撃てまい。すこし離れたところでブリンクとストンスキンをかける。
さてとどうしたものか。霧が張ってるしサンダガでも撃っとこうかな。しかし確実に仕留めるにはその前に…。霧を払い飛ばす!
エアロガを撃つ。大きな風の力で一瞬霧が晴れる。敵もよく見える。どうやらゴブリンのようだ。幽霊じゃなくて実に残念。
しかし姿が一瞬でも把握できればこちらのものだ。あとはバインドを撃って動きを止めとどめにファイガ!て仕留める。
「やれやれ、意外に面倒な仕事だな…」俺は愚痴を垂れてため息をついた
まさに”深い霧にまぎれてうめき声と共に”だ
死者のうめき声のような低いうなり声をあげながら、
そいつはこちらへ突進してきた
でかい、早い、なんだこいつはっ
俺達は寸でのところで周囲に散らばり攻撃を回避したが
キャラバンは直撃をくらい、木っ端微塵になってしまった
しかし今の俺達にそれを木にかける余裕なんかねえ
奴は一瞬こちらを見返すと素早い動きで霧に隠れた
逃げたわけではない、再び襲ってくる
素人の俺でもその殺気はひしひしと感じ取れた
霧のせいではっきりとした姿は確認できなかったが
確かに人型で、、でかいな、、ガルカよりでかいかもしれない
剣を握る手から汗がしみわたる
俺達は円陣を組み奴の再襲撃に備えた
右か? 左か? 正面か?
『くぁw背drftgyhujikolp[78:0fd709fd!!!!』
獣の言葉とも人の言葉ともわからない
叫び声を上げながら奴は再び突進してきた
くそ、やわなパントマイムのねーちゃんのとこかよ!
咄嗟に彼女の前にでようと足を踏み出した俺よりも早く
巨大な影が俺の司会をさえぎった
「同じ手をくらうかああああああああ!!」
なんと火吹きのガルカが奴の突進を正面から受け止めたのだ
「うごごごごお はやくしろおおおおおお」
俺と詩人のミスラは反射的に剣を構えて左右から
突き攻撃をぶちかました
ガギギイイ 鈍い音が響く
くそっ 剣じゃきかねえよ!
「つかいたまえ!!」
俺の横に陣取っていた団長が散乱した荷物の中から
ブラススピアを拾い上げて俺に投げ渡した
突く事に特化した武器であり貫通力は片手剣の比ではない
渾身の一撃で俺は奴のわき腹に槍を突き刺した
「<俺>さん、それを突き刺したら後ろに飛びのいてください!」
え!? あ!??
俺は詩人のミスラに言われるがまま一歩後ろに退避した
直後に激しい光と共に雷が発生し、
奴に突き刺さっていた槍に落雷した
サンダーの魔法だ 雷は金属に落雷する
うおっ まぶしいっ
てかそんな使い方できるのかよ・・・
一瞬よろけたそいつを火吹きのガルカは瞬時に大きく投げ飛ばした
やったのか??
「いや、多少手ごたえはあったようだが・・・」
「恐らくいまの一撃じゃ致命傷にはなりえないでしょうね・・」
奴はよろめきながらも再びこちらへ向かってきた
俺達は武器を構えなおしながら改めてその姿を凝視する
ごつごつした筋肉 異常に盛り上がった背中
背後には尻尾のような物も見えていた
見たこと無いタイプのモンスターだ、
つぎはぎの皮膚、皮膚には突き刺さったボルトなどの金属部品も見え隠れする
・・・フランケンシュタインか?
しいて言えばモブリンたちのつくった生体兵器バグベアに似ているな・・・
無論ゲーム上でしか見たこと無い俺には殆どの敵が初めて見るものになる訳だが
奴はゆっくりとこちらへ近づいてきた
まだやるってのか、俺は灰色に光る剣を構えた
その時だった
「・・・なにかきこえないか?」
え?
「かすかにだが、人間の言葉のような」
「それにこれは、、泣き声?」
今この場には俺らとあいつしかいないのにか??
その声らしき発進元は他ならない、今俺達が
対峙している化け物であった
『・・・・リタイ』
なに?
『・・・・リタイヨ オ・・・サン・・・・・・ト・・・サン』
次の瞬間、そいつは突然泣声を上げながら俺達の前から
姿を消していた、場には再び静寂が戻り、海岸線では
定期貨物船の汽笛が響いていた
暫しの間、沈黙の時が流れた
とりあえず以上れす(゜д゜)
この先、謎の化け物を退けた主人公たちはマウラへと向かい、
そこから舟を乗り継ぎセルビナーコンシュタットへと旅を勧めていきやす
489 :
既にその名前は使われています:2007/03/11(日) 17:04:39.32 ID:HM2yDisO
上昇
ここは 泉
人間の想像力が生み出す数多の 人生
あの世界にきっとある 物語
その一端をかいま見る事が出来る 場所
あなたのヴァナはどこにありますか?
連続で繰り出される斬撃を身を転がす事でどうにか避けつづけた。気付けばツェールン鉱山の近くまで来ていた。
我ながら惨めだった……。でも、もはやそれ以外に出来る事なんかなかった。魔力はほとんどない、剣もへし折られた。
「そんな芋虫みたく転がってばっかりなんてみっともないと思わない?」
地を蹴り、接近してくる赤鎧から必死に距離を離す。その姿は赤鎧の言葉どおり酷くみっともないものだった。
「確かにみっともないよな、できることなら逃げ回らず、あんたをさっくり倒したいもんだ」
次の一撃のために構える赤鎧、それに対応してこちらも迎撃の体制をとる。
「そんなの無理なのは理解できてるんでしょ? もう諦めなさいよ!」
繰り出される刺突。
身を捻るも回避しきれず右腕で受ける派目になる。斬撃じゃなかったのが不幸中の幸いだった。前腕部を貫かれるも致命傷ではなかった。
「責任があるといったろうが……、俺はこの体を奴に返すまでは死ねないんだよ!!」
言葉と共に目の前の赤鎧をありったけの力で蹴りを繰り出す。赤鎧は剣を離し、蹴りを回避する。赤鎧との距離が開いたのを確認する。近寄ってこない……、ならば……。
右腕刺さった剣を痛みをこらえながら一気に抜きとり、手に取る。腕から血が滲み出す。痛みも酷い。だが今は我慢するしかない。
「剣なんか構えちゃってまだやる気? それに責任責任って五月蝿いのよ!! ならばこの世界に対する責任はどうなのよ!!」
「そんな事、知るか!! 俺だってこの世界に望んできた訳じゃない!!」
糞……、武器を奪えたは良いが右腕はほとんど感覚がない。こんなんじゃまともな攻撃なんて出来やしない……。
それに武器ぐらいなくったって奴は攻撃してくるに違いない…。何か策を考えなければ。
「来訪者はそうやっていつも!!」
叫ぶ赤鎧の方見上げると崩れかけの鉱石の山が目に入る。
あれだ……、あれを崩して赤鎧を巻き込めば……。だけどどうする? 剣か? いや投げつけた所で弾かれるだけだ……。
ならば魔法か? イメージは奴の記憶から引き出せた、だが残りの魔力であれを崩すだけの威力を出せるか……?いや、やるしかないか、他に手はないんだから……。
右手に残っている魔力の全てを込める。感覚がないが魔法を唱えるだけなら大した問題ではない。命中の精度なんてのは精神力で決まるもんだ。
「その程度の魔力、無駄な抵抗を!!」
いってろっ……。すぐに一泡吹かせてやる…。
赤鎧の追撃を避けつつ、鉱石の下におびき寄せる。
その際、何発か斬撃をもらったが傷だらけの体には最早関係ない。
左手に持った剣を投げつける。利き腕じゃないからか、狙った所とは大分誤差があるが赤鎧の方向にさえ飛べば良い。
奴のことだ、こちらに武器がなくなればまた余裕をかまして嫌味の一つでもいってくるに違いない……。
「無駄な抵抗ね」
投擲した剣はなんなく回避され、赤鎧は再び剣をその手に取った。
「折角の武器を捨てちゃうなんて何してるのかしら? その右手のちっぽけな魔力で私を倒せると思ってるのかしら?」
予想通り、剣を拾った赤鎧は動きを止め嫌味を吐いてきた。
今だ!! 持ってくれよ…、俺の魔力よ!!
「サンダー!!」
「どこへうっているのよ? ――まさか!?」
そう、そのまさかだ。あんたの油断が今の状況を作った。
開放された魔力は雷に変換され、鉱石の山へと降り注ぎ小規模な爆発を起こし防壁を破壊する。
支えとなる壁を失った鉱石達が赤鎧に降りそそぐ。
鉱石の量はいかに赤鎧といえど避け切れる量ではない。
「ちっ!! こんな岩屑ぐらいでで私が!!」
なすすべもなく鉱石の山に追い詰められていく赤鎧の姿があった。
作戦成功と思った瞬間、その誤算はやってきた……。
「何、この音? 一体何が!?」
音に気付いたのか、こちら向かってくる足音と声が聞こえた。
「ぐ、こっちにきちゃ、駄目!!」
鉱石を必死に避けながら、声を張り上げていた。
直後、赤紫の服の女性がこちらに走りこんで来る。
「な、なによこれ……、い、いやぁぁーーーー!!」
そして悲鳴を上げながら赤鎧と共に鉱石の中で姿を消していった。
「おい……、なんだよ、これは……」
なんで深夜に女がこんな危険な所を出歩いているんだよ。
俺は何故こんな事態になってしまったのかが飲み込めずただ立ち尽くすことしか出来なかった……。
何ヶ月ぶりか忘れるぐらい久々の投下となりました。
次回はもっと早く頑張って見ます…。
496 :
既にその名前は使われています:2007/03/11(日) 22:07:01.87 ID:HM2yDisO
保守るよ!
497 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 00:26:09.05 ID:J96Swdam
自分のペースが遅くとも。
書き上げる、書き続けることに意味があるのです。ってばっちゃがいってた!
VII-III マウラの灯、機船の汽笛
「私は新しいキャラバンの手配を博士に申し開きを
してくる、君たちは先に宿屋へいっててくれたまえ」
真夜中にマウラにたどり着いた俺達は団長と別れ
マウラ特有の石つくりの建物の宿屋へと向かった
皆無言で割り当てられた客室へと向かった
誰も一言も口を交わさなかった
マウラまでの数キロをダッシュしたからに他ならない
部屋割りは
俺:詩人ミスラ 詩人タルタル:火吹きガルカ
ジャグラーミスラ:パントマイムのエル女性、そして団長
団長だけ1人部屋か、ずるいなーー ははは…
部屋にはいった俺達は2人きりだ なんかいわないと真が持たない
・・・彼女はだんまりだ
空気が思い 【助けて!】
なぁ。そんなに奴の事が気がかりか?
みんな偉いだんまりしちまったけど
「・・・みんな行き成りの出来事で疲れたんでしょう」
ふむ、しかし噂もバカにできないもんだな、
「気にする必要はありません、所詮ただのモンスターです」
すこし陰のある表情で彼女はそう言い放った
とありえず、霧と砂嵐で汚れ放題の体は何とかしよう
俺、ちっと風呂はいってくるわ。宿屋の人にたのめばいいのかね?
「わたしも・・・いきます」
はい?
「ご一緒してはだめですか?」
ここで「よろこんで」といえない俺はチキン野郎ですね・・・
焼いた土で固められた風呂ガマ、露天形式で
上を見上げると今時間なら星が良く見える、
バカでかい真っ赤な月もだ・・・地球育ちの俺には君が悪い物である
いやしかし・・・
以前、
>>1とサンドリアの体臭浴場にご一緒した時は
なんつーか、お互い中身はやんちゃ男なのに体はナイスバデー(死語)
なもんだから、こっぱずかしくて正視できなかった
ましては今度は中身の女の子?である
オマケに風呂ガマは小さく、体格のいいエル♀とミスラの彼女は
体がぴっちりだ ハァハァ
「<俺>さん、どうかなされましたか?」
どうみてもこっちの心中察している顔で笑いながら言ってくる
悪魔や 女はみんな悪魔や・・・
不本意ながら、やはり本当の自分はエルヴァーンの女性などではなく
現実に居る1人の男なのだと改めて実感する事が出来た
相手に背中を向けて丸くなったまま俺はキョドキョドと話題を振った
そ、そういえば、あいつ何か言いたかったんじゃないかなやっぱ
「何か?とは?」
俺は奴の言葉を今一度頭の中によび起した
・・・かえりたい
「え?」
あいつ、そういってた気がしたんだ、まるで・・・
「まるで?」
いやー、なんでもないよ
俺の聞き違えみたいだったようだなやっぱ
そういうと俺は頭からお湯を被り、さらりとした自前の黒髪を束ね
風呂ガマを後にした
そう、奴はまるで迷子になって泣いている子供のようだった
『かえりたい かえりたいよ おかあさん おとうさん』
そして俺は、奴に槍をつきたてた一瞬、どこか懐かしいぬくもりを感じていた
119<<:まじか・・・
俺<<:ああ、ありゃただの化け物じゃねえな、
俺<<:そっちじゃシャードとかは現れたりしてんのか?
119<<:なんやら最近、神殿騎士団の中で色々物騒なことが起こってるらしいけど、俺ら一介の冒険者にはなんも情報おりてきてねーな
俺<<:そうか、まぁこっちはキャラバン届くまで丸二日ほど
足止めくらってっからなぁ、マウラで釣りでもしてるわ
俺<<:んじゃな〜
そっかそっか、あいつ無事博士とあえたんだな!
そういやもうすぐセルビナまで来るんだよな、顔みにいってやるかw
あ、俺? 俺はだれかって?w
異世界から現われし稀代の黒魔道士ミスラっ
[
>>119]様たぁ〜〜俺のことだにゃ!!
「・・・そこ伝票かきまちがえているぞ、バカいってないで仕事だ」
あ、すんませーんいますぐやr
エピソードVII-ブレイクストーリー 〜ひとりでできるもん?〜
とりあえずココまで
[俺]達はマウラで暫しの休息を取り、クォン大陸を目指す事になります
ブレイクストーリーでは
セルビナにて[俺]と
>>119、
>>120が懐かし?の再開を果すまでの
短い期間に起こった小さな冒険を書いてみようとおもいまふ(´A’)
決してこのままだとサンド組の存在感がウエウエになるからとかじゃないですよwwwww
507 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 05:01:49.66 ID:sfg6bAxy
荷物運びしてた連中が冒険者としてパワーアップしている・・・・。
なんつうかルナティックドーンみたいだな。
荷物運びしてたって覚えていてくれた人がいたんだな(゜д゜)ヨカッタ・・・
509 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 10:44:00.87 ID:K3C9yUpn
さぁ行こう、一歩踏み出して。
現実逃避?
夢想屋?
有り得ない?
そんなことない。
俺達は
私たちは
僕たちは
みんな
みんなみんな
ここにいる。
ここで、笑っている。
510 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 11:17:00.88 ID:sfg6bAxy
つーか。気まぐれな98が気が向いたらこっちに書くだろうからしたらば移転とか大反対だったしな。
511 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 11:18:45.04 ID:sfg6bAxy
・・・あー本人見てるようだから聞いておく。今の今まで聞けなかったが。
・・・98ってまさかエル♀ハァハァスレの住人か?
エルメスキーだけどあのスレだけは近づけないな(´・ω・
あとしたらばでもどこでも拙僧はいいでござるよw
かけない時期が結構永かったけどちゃんとスレの位置はトレースしてる
513 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 14:42:17.13 ID:ZS/EL7b8
何度かふがいなくも落としてすまんかった
なー
>>120〜
「・・・・」
俺ら冒険者だよな〜?
「・・・・」
俺らも
>>98みたくどっか外をとびまわらねえか?
「・・・・」
『こんにちは! 配達に来ました!』
お、おお いつもわるいな坊主ww
「・・・・」
一ヶ月前、俺達はあんな事があったにも関わらず
淡々と競売の仕事を続けていた
>>1の墓標でも作ってやリたかったんだが遺体もないしな・・・
ロンフォールに流れるシュバリエ川の小脇に
土をもって代わりを作ってみたがそれも数日で草木に覆われて
今は見る影もない
「あいつのことか?」
へ?
「シャントット博士を味方につけたあいつに着いて行けば」
「もしかしたら元の世界に変えれるかもしれない、とでも思っているんだろ?」
俺は思わずカウンターに預ける小包を落っことしそうになった
ばっかww俺はお前と一緒でいまの生活に満足してんだよw
やっと掴んだ安定生活だぜ??
影なんてやばい奴ら相手にドンパチやれるかってんだw
「・・・ふん、お前はいつもあいつとtellでだべっているからな」
半ば図星だった
この世界に来て半年近く、俺達はもう一生この生活を
続けるんだと思っていた
最初はホームシックに掛かっていたが今ではもう、家族の事すら記憶のかなたに追い遣られて母親の顔すらイメージが出来ない
生活も安定してきた、この世界での友人知人も増えた
何より・・・
>>120は現実世界のことを自主的に忘れようとしている
否、もう俺達にはいまの世界こそが現実なのだ
つまらない現実世界になんかもう戻りたくないんだ
それと俺には気になることが一つあった
>>120が何故か
>>98の奴を快く思っていないそぶりがあることだ、俺が尋ねても「気のせいだ、下らん事に気を回すな」と
一喝されるがあれはどう見ても顔に現われてる
オレがあいつとの会話の話をすると決まって不機嫌になるのだ
そして今の俺は、間違いなく
>>98に惹かれ始めている
好きとか嫌いとかそういうのじゃないんだ
俺達が諦めて、受け入れた日常をあいつは真っ向から
反発して、今も見えない出口を探して足掻いている
かっこわりいぜ 外の世界になんて出れるわけないのに・・・
半年いた俺達が出れないんだからな
なのにどうしてだ、もはや他人事のはずなのに
あーもうモヤモヤするにゃーーーーー
あ、にゃっていっちまったっww
あれ? おれって何歳だっけ? ・・・まぁいいか
その日の夜、サンドリアの大衆浴場から帰ってきた俺は
モグハウスの金庫を物色していた
あったあった、こないだ大枚はたいて買った
マボガニースタッフ、あとは〜〜
シアーチュニック シアーズボン、まぁこんなとこか
おっとと、魔法スクロールももたねえとな
「ご主人様どうしたクポ?」
ああわりいな ちらかしちまってwwww
俺、明日あたりミッション行こうと思うんだけど
「クポポー ご主人様はいまランク2クポ
次のミッションが終れば晴れて公認冒険者クポ〜」
・・・ああ、それが終れば俺も世界各地を飛びまわれるんだ
今度の相手はゲーム上ではBFでドラゴンと戦う奴だ
流石に1人では厳しい、あいつに助けてもらうか
俺は
>>120に対話念波を送信した
俺<<:なぁ〜明日だけどさ
120<<:なんだ? 明日は俺はセルビナまで貨物キャラバンの護衛なのだが
しまった、そうなると
>>120は2-3日は戻ってこれない
・・・・うーんどうすべ、まぁやばかったらデジョンがあるしなw
俺<<:あー用事あるならいいんだわwww
俺<<:釣りにでも行こうとおもってさwwwww』
120<<:・・・そうか、そのうち埋め合わせをしよう。すまんな』
さーて明日は忙しくなるし、もう寝るかね
「ご主人様、1人でいくクポか? 危険クポよ??」
心配すんなって、いざとなきゃ薬品がぶのみでよw
デジョンもあるからしにゃしないさw
何故突然ミッションをしようと思ったのか、俺自身も
上手く説明できないんだ
単に冒険者としての名声がほしかったからなのかな?
それとも・・・Zzzzz
とりあえずここまでで飯いってくるぜえええええ
ちなみに俺はソロでドラゴン倒したことはないwwwwウエウエ
モンクはポーション連打でいけるってきいたけど
ミスラの黒はどうなんだろうなぁ
あ、一応念のために言っておくと今野「俺」はミスラの黒魔である「119」でふ
なので
119<<:まじか・・・
俺<<:ああ、ありゃただの化け物じゃねえな、
俺<<:そっちじゃシャードとかは現れたりしてんのか?
119<<:なんやら最近、神殿騎士団の中で色々物騒なことが起こってるらしいけど、俺ら一介の冒険者にはなんも情報おりてきてねーな
俺<<:そうか、まぁこっちはキャラバン届くまで丸二日ほど
足止めくらってっからなぁ、マウラで釣りでもしてるわ
俺<<:んじゃな〜
この部分は[俺=98<<][119<<=俺]と変換しないとだめでしたね(゜д゜;;)
523 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 17:50:03.64 ID:LfNZI9bm
Aotsuki> すべてを とかちつくす てぇくにっくべぇ〜♪
524 :
既にその名前は使われています:2007/03/12(月) 19:44:38.10 ID:9Tyuw6hX
「隊長、アオツキさんが電波に飲み込まれました」
「いいか、気にしたら負けだ。電波は感染する。だから見てはいけない。聞いてはいけない」
「わかりました・・・。とりあえず保守します」
これが夢なら、なんてリアルな夢なんだろう。
これが現実なら、なんて非現実的なんだろう。
鉄錆びた血のにおい。蛋白質の焼けるにおい。響くのは慈悲を求める声。
いつかそんな世界に立つことなど、誰が予想したのか。
電車の中、バスの中、またあるいは道の途中。
あるいは剣と盾を手に、あるいは両手棍を手に、立ち尽くすその時を思っただろうか。
彼らは女神の御許にありながら、時に呪詛を口にし、祈りを口にする。
私の居場所はどこにある?
現実と虚構が交差する中、彼らは己の存在を賭けて戦う。
負けることは、己の存在を否定することなのだから。
526 :
既にその名前は使われています:2007/03/13(火) 01:25:11.16 ID:+KStdoXk
ageておくかな…
527 :
既にその名前は使われています:2007/03/13(火) 01:26:44.53 ID:5o8ien5d
保守
528 :
既にその名前は使われています:2007/03/13(火) 07:19:23.95 ID:fr+niBPe
おはようございます。
529 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/13(火) 07:20:09.07 ID:5o8ien5d
おれの存在が気に障って仕方ないらしいマルトを眺めているのも悪くないが、ハラスメント行為でGMでも呼ばれては一大事だ。
おれはロビーまで退散すると、安物のベンチにどっかと腰を下ろして待つ。
宿はほぼルーファスの身内で貸切状態であるようだ。おかみも客ですらないおれがくつろぐ様を見て特に文句を言うような事はない。
それどころか、茶まで振舞ってくれる歓迎ぶりだ。
もっとも、これはチップ目当てであったらしい。おれが硬貨を渡すまで、おかみはそこを動かなかった。
少し多めに握らせてやると、上客だと思ったのだろう、おかみは麦粉を練って焼いた固い菓子をお茶請けにと添えてくれた。
ぼそぼそと崩れる塩味の菓子を薄い茶で流し込みながらぼんやりしていると、マティエールがやってきた。
「お早いですな、ヒロ様」
挨拶もそこそこに言う爺さんに「まあな」と適当に答えて、茶をすする。
「坊ちゃまはまだお休みです。誠に申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちいただけますか」
マルトに聞いた、と返すと、「左様で」と静かに頷く。待てって事は、起こす気はないって事か。
「ルーファスん家って、ルーファスが当主なんだろ? 坊ちゃまはまずくないか?」
関係ない話題だが、一人でいるのも手持ち無沙汰だったのでつい無駄話を振る。
マティエールは面食らった様子で、目を丸くして手をポンと打つと、「左様で」と、今度は柔和に笑いながら答えた。
「習慣とは恐ろしいものでございますな。ヒロ様の申される通りです」
気をつけましょう、と笑う。何がおかしいのか。
530 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/13(火) 07:20:43.85 ID:5o8ien5d
マティエールはおかみと何やら相談事をすると、再び戻ってきてベンチに腰を下ろした。
おかみがすかさず茶を出し、小銭を受け取ってカウンターに戻る。
そのチップがおれより幾分少なかったので、おれは勝ったような損したような複雑な気持ちになった。
「いつだ、今日か?」
特殊部隊でもあるまいし、似たような建物を探して演習もないだろう。だったら結構は早い方がいい。
そう思って訊ねたのだが、マティエールはしばらくきょとんとなった。
さすがに言葉が足りなかったか、と言葉を選んでいると、合点が言ったのか、
「領事館でブリーフィングをします」
言葉少なに答えた。さすがにここで話すことでもない。おれはちょっと反省して、再び黙った。
爺さんと話すこともなく、誰も起きてくる気配がないので、おれは腕組みすると「少し寝る」と告げ、目を閉じた。
フルキフェルとアオツキが顔を見せたのは、それからさらに一時間以上経ってからだった。
ビシッと身支度を整えたフルキフェルと、ねおきのままのだらしないアオツキを見比べて、アオツキ=ネカマ説の正しさを改めて実感していると、それまで沈黙を保っていたマティエールが口を開いた。
「夕刻から、領事館で会議がございます。リンクパールで改めてお報せ致しますので、それまでバストゥークの街でも見物なさっては如何でしょう?」
ルーファスが起きてくるまでここで待つな、という事だろう。丁度退屈していたところだ。
おれは腰を浮かせながら、「そうさせてもらうよ」と告げた。
フルキフェルも何か用があるのか同様に立ち上がると、折り目正しく一礼して出て行く。
アオツキは何も考えていなかったようだ。おれ達につられて立ったものの、次の動作を決めかねて立ち尽くす。おれは少し辟易しながら、「お前はどうするんだ?」と意地悪く聞いてみた。
「その、ちょっと、モグハウスに」
いかにも、今思いついたという口調だった。
531 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/13(火) 07:21:00.27 ID:5o8ien5d
そんな感じです(´・ω・`)ノ
532 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/13(火) 07:22:03.31 ID:5o8ien5d
そして誤字発見…
多いなぁ(つд`;)
>530
結構は早い方がいい→決行は早い方がいい
誤字なんてお互い様さ(*゜д゜*)
534 :
既にその名前は使われています:2007/03/13(火) 11:49:42.26 ID:kH50rf50
保守るよ!
「貴様、チョコボ騎乗免許は持っているか?」
え?wwないwwwwむりさぽしwwww
朝一番で南サンドリアのガードハウスを訪ねた俺は
うっかり忘れてしまっていたが、これは3国を回るミッションだったんだ
どうしよう、テレポ石はラテーヌのしかねえな。テレポ屋捕まえてもダメか・・・ブツブツ
「何ですと?・・・判りました」
ブツブツ・・・
「おいそこのミスラ そこで暫し待機していてくれ」
ぶつb・・・え?w
そういうと鬼剃りヘアーのエルヴァーンオガードは
上司にらしき人物に呼び出されて遠くで何やら
指示を仰いでいた
暫くして換わりにその上司らしき白髪のエルヴァーンが
こちらえとやってきた
「待たせてすまなかったな、早速だが君に発行される
ミッションについて説明しよう」
うほ、結構いい男!・・・いかんいかん、俺も男じゃないか、
それにこいつはどこかで見覚えがあるな・・・誰だっけか、、
頭をひねっている俺を無視して彼は淡々と話を進めてゆく
「ランク3昇格用のミッションは本来なら他国への渡航をも
厭わない経験と技量を持つ冒険者に任せる事になっているのだが
どうやら君の戦歴を見る限りでは技量に関しては 十分のようだ」
彼はシグネットに施された情報を記した紙を見ながら
説明を続けた
え?wそう?wwまぁこっそり修行してたからなw
「うむ、なので今回は我が領土で発生している問題の解決に当たって貰いたい、如何か?」
にやけてヘラヘラしながら俺は内心ひっかかりを感じていた
話が上手すぎる、
遠くで待機しているさっきのガードもこちらをチラチラと
見ていし、いや警戒しているようにも取れる、
かなりきな臭い感じがするが背に腹は変えられない
喜んでやらせていただきます、格別のご配慮感謝いたします騎士様
「うむ、期待しているぞ。
「それから私は王立騎士団団長、ハルヴァーだ。
自分の国の騎士団の長の名前くらい覚えておくんだな」
ふんふんふ〜〜ん♪
俺は自分の体にプリズムパウダーをまぶして
オークの大群が住まうユグホトの岩屋を駆け抜けていた
今回俺に与えられたミッションは、現在ホルレーに起こっている異変の元凶の確認とその解決、
まぁはやい話がユグホトBCでドラゴンと目玉を倒せって事なんだろうけどな〜
ユグホトの敵なんかもう相手にもならないけど一応念には念を入れてのパウダーだ
俺は普通のやつらとはちがう、練習相手に襲われる事がないとは言い切れない
くらくってよくみえねえな、、ファイアで照らせればいいんだがwwww
俺は魔法の地図を手がかりに岩屋をぬって進んだ
上って降りての繰り返し、
途中でパウダーの煌きが弱くなると物陰に隠れて
追加のパウダーを自身に振りかけてまた進む
雑魚ばかりとはいえ回りは敵だらけだ、さっきから冷や汗やら脂汗が止まらない、喉がカラカラだ、早く地上へ出来たい・・・
くっそ! 昔なら乱獲している白鎧やシーフがわんさかいたのによ!!
などと1人愚痴を溢しながら漸く外の光が差し込む場所までやってきた。ふー ここらには誰もいないしちょっと休憩にゃー
出掛けにモーグリが作ってくれたサーモンサンドを頬張りながら俺は空を見上げた
目の前にはゲルスパ砦の入り口が見える、その遠くには
オークが数匹、うーん、ちょっとだけつよめの敵のようだ
まぁここもパウダーでいけるだろ
サンドイッチを平らげて大の字に寝転んだ
あいつ、いまなにやってんのかなぁ
博士から新しいキャラバンがとどいて・・・
そっから舟に乗って1日かけてセルビナ・・・か
俺は2週間ほど前のことを思い出していた
あいつにも、
>>120にも話していない、俺だけの秘密
あの日俺は、ラテーヌで2人組みの冒険者とであった
モンクのミスラとガルカの白真道士
俺達と同じ、この世界に迷い込んだ人達だった
聞けば恋人同士らしく、2人仲良くこっちの世界にきちまったと
苦笑していた、しかも近々結婚予定だったそうだ
『そいつはぁ・・・ご愁傷様ww』
『はははw まぁ2人でいられるだけマシですよw』
『しっかしガルカはほんとに魔力がねえな、、おっとと、
次釣るの待っててくれよー』
俺達3人は同じ環境におかれた物同士、すぐに意気投合した
彼氏さんからケアルで援護を受けながら俺と彼女で羊を
しばいてゆく 久々に充実した経験がつめそうだ
食事の為に休憩を取っていたとき、彼は俺につぶやいた
『どんなことになっても、あいつだけは、元の世界に
戻してやるって決めたんだ、俺』
俺もそんなふうにおもってくれつ奴がほしいなぁ
夕暮れまでラテーヌで頑張っていた俺達も流石にへとへとになり
サンドリアへ引き返すことと鳴った
『そだ、サンドには
>>120っていう、ちょっと無口だけどいい奴がいてさw サンドついたら皆で飯でも食いにいこうぜw』
『結構こっちに飛んできちゃった人がいるんすね〜』
などと雑談を交わしながら西ロンフォールへの道を歩いていた矢先、ガルカが歩みを止めた
『やばい・・・!』
『え?』
寝るぅ(;;´д`
546 :
既にその名前は使われています:2007/03/13(火) 17:32:29.66 ID:zhpQ/HrU
そして保守
続きが、続きが書けない…誰かtskt
では僭越ながら、私が続きの書き方を伝授して差し上げたいと思います。
夜、寝る前にPCを起動。
↓
コーヒーを淹れる。
↓
メールチェック。お気に入りのサイト巡り。
↓
藤田和日郎の作品を読む。
↓
コーヒーを淹れる。
↓
もう一冊読む。
↓
たいへん満足して睡眠。
・・・あっ
549 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 00:40:45.08 ID:CwKHHwjo
仕事でも課題でも溜め込んで修羅場にする。そして現実逃避に書く。
マジオススメ!
550 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 01:41:58.02 ID:CwKHHwjo
おいィ?俺も目が覚めたら自キャラになっていたわけだが?
二流ならここで取り乱すのが常識だが一級廃人の俺は冷静に右往左往して状況を確認したんだがどうやらここはバストゥークだという事が分かったので俺はひとまずモグハウスに行く事に決定して行った。
競売所前でおかしな事が怒った何かというと世界が止まったのだが、俺は走ってきた二人組を呼び止めて何事か訪ねると分からないと言った。
「お前それでいいのか? 俺は逃げ回るくらいなら黙って牙を剥くグラットンスウィフトでバラバラに引き裂いてやろうか?」
どうも何かに追いかけられているようなので俺は優しく言い聞かせると二人は外人だったので俺は素早く定型文を呼び出すとマジでビビッたんだろうな二人は感動していた。
「he's comin'!」
「main tank comin'!」
「he'll certainly give us a great win!」
二人の名前をカカッと確認するとボブとマイクだった。
真のナイトは黙っていても鉄壁の守護神だと分かるものだから二人は俺の後ろに隠れて助けてくれと言うので
「Wool psych kick got chill. It shouldn't know you damnd got inner cheatly」
と英語で答えると黙った。
ユラリと鎧を鳴らしながらGMがやってきたのでリアルに帰らせろと言うとGMは二人を引き渡せと言った。
「うざいなお前弱い雑魚ほど口ばかりなのは確定的に明らか。本当に強い奴は黙って牙を剥く」
「せめて問題を起こすまでは、と思ったのですが……仕方ありませんね」
GMは命乞いをしようと思って兜のバイザーを上げたすると中はリアルヒュム♀だったのだがそんな事は体格を見れば分かるので俺の怒りを沈めるには役不足だった。
オーラを感じ取ったんだろうなGMは剣を抜いたがあまりにも構えがなってないので「お前それでいいのか?」と言うと「貴方こそ構えたらどうですか」と言った。
俺はリアルでもグラットンの使い手なんだが赤い雑魚が不正だとわめていてたので「もう勝負ついてるから」と言うと相手は黙った。
GMはWSを駆使して俺の鉄壁の牙城を崩そうとしてきたが黄金の鉄の塊のナイトを打ち砕く事は出来なかったついでに言うと俺はリアルではモンクタイプなので攻撃も隙はなかった。GMの顔はやがて絶望に包まれていった。
最後に自分の器を思い知ったんだろうな肉薄して捨て身の攻撃を試みたが時すでに時間切れ、30秒後ボロボロになった赤色の雑魚がいた。
551 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 02:40:42.06 ID:kGIVMj+B
ブロンド様つよすぎwwwwwwwww
つうかあなたナジスレにもいるでしょw
ヒュム娘にも動じないブロントさんが超硬派なのは確定的
553 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 13:56:14.17 ID:F4ss+owO
ブブリムのアウトポストを出てから三日。
タロンギで迷子になった。なんだこの入り組んだ地形は。どこがどうなってんだがわからないぞ。
近くの丁度いい高さの段差に腰をかけて地図を開く。しかし地図を開いたところでここがどこだか
わからない以上はどうすることもできず意味もなく開いた地図を閉じる。
三日前アウトポストを出てタロンギに着いた時は空は青く晴れ渡っていたが、すこし休憩してる間に
みるみると天気は悪くなっていき砂嵐が吹き荒れる天気になってしまった。
それならば止むまで待とうと思い近くの岩場にキャンプを張ってそこで一日を過ごした。
翌日、晴れ渡ってはいたが砂嵐の中どこをどういう風に歩いたのか地図を確認してもわからず
今現在に至る。人が通れば道を訊くのだが生憎通るのはウサギとマンドラゴラぐらいなものだ。
タロンギは南にずっと向かえばそのうち出れるということは知っているが最早南がどっちかさえ
知らないわけだ。俺は憂鬱になり小さく溜息をこぼすと本を片手に歩き始めた。歩いてる間
ヒマなので保守本を読むようになったのは昨日からだ。読んでても読んでなくても結局は
同じ結果になるだろうと判断した。と、その時目の前を大きな影が過ぎった。顔を上げると
そこにはチョコボに乗ったタルタルの姿が! 着た! これでかつる!
そのタルタルも丁度ウィンダスに帰る途中らしく二人乗りは規約違反なのでタロンギの出口までなら
乗せてってあげるという。ご厚意に甘えてチョコボに乗る。風を切りながら走るのは実に気持ちのいいものだ。
今まで迷ってたのが馬鹿みたいにあっという間にタロンギを抜けて緑の生える大地へたどり着いた。
ウィンダスまではもうすぐだ
554 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 16:40:53.08 ID:fLh1n9qm
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ /|_
┃いい男専用しおり ┃ / __/
┃ | │ 〈 ! ┃ ( ( ̄
┃ | |/ノ二__‐──ァ ヽニニ二二二ヾll ,'⌒ヽ ┃ /)
┃ /⌒!| =彳o。ト ̄ヽ '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ ! C<ニン
┃ ! ハ!| ー─ ' i ! `' '' " ||ヽ l | ┃
┃ | | /ヽ! | |ヽ i ! ┃
┃ ヽ { | ! |ノ / ┃
┃ ここまであまさず読んだ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
555 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 16:43:27.10 ID:fLh1n9qm
ついでに555get
556 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 19:38:06.72 ID:sxLl7Lbt
あまさずか…
557 :
既にその名前は使われています:2007/03/14(水) 22:25:11.62 ID:fuoJP8uK
保守ageっと!
558 :
既にその名前は使われています:2007/03/15(木) 00:36:31.05 ID:dLfiS0ig
投下できない代わりにage
噎せる兄弟の背を撫でる。
「無茶な飲み方をするな」
「・・・うるさい」
グラスに酒を勢いよく満たす兄弟に、彼は顔をしかめた。
何が不満だというのか。いや、不満なのではないだろう。
不安。
「・・・気になるのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
応えはない。だが、グラスを呷ろうとした手が止まる。
やはり、そうなのか。
「・・・近いうちに、騎士団の仕事から離れる。オレたちは、来訪者についての仕事を任される」
「来訪者について?」
「情報収集に始まり、来訪者の保護、襲撃者の撃退、」
そこで言葉が止まる。わずかに躊躇う間があり、静かにグラスが置かれた。
「来訪者の帰還のサポート・・・くそっ、それができればどれだけ楽か」
「・・・戻ることができた来訪者は、わずか・・・か」
こぼれた酒でテーブルに落書きをする兄弟を見つめて言う。
『保守』と記した彼は、酒に酔った風もない顔で、腰にはいた剣に手をかけた。
「皮肉だよな。戻ることができない来訪者が、来訪者の戻る手助けをするなんてな」
朝おきたら痔キャラになってた なんつってな・・・
561 :
既にその名前は使われています:2007/03/15(木) 12:30:07.15 ID:0GAZzJqj
ウィルナは痔を治します。座らない人には関係ありません。
「………って名台詞スレで昔あったよね」
「いやあ…よく覚えてるなそんなの」
「でもいざ自分がかかってみると…とてもそんなこと言えない。状態異常なめてた…。
あつくてさむくて、あたまがガンガンするよう…」
「悪疫だからな。TPも減るし」
「なんでバッファロー狩りになんか来ようって言い出したんだっけ…」
「お前が後衛で食う機会がなかったマーブルステーキを食べてみたいって言い出したからだろ」
「もういい…しょせん私にはマロングラッセがお似合いです…帰りたい…」
「んじゃ、帰るか。サポ白にしてすぐウィルナして暖かくして寝ろ。な」
「うん…」
春になりかけたと思ったらドカ雪が降ったりと落ち着かない気候です。
皆様も風邪など召されぬよう…保守。
562 :
既にその名前は使われています:2007/03/15(木) 15:15:49.61 ID:jKjdHeS1
保守るよ!
563 :
既にその名前は使われています:2007/03/15(木) 20:30:41.48 ID:Sh1IKuVa
ちょっとギリギリ
564 :
既にその名前は使われています :2007/03/15(木) 22:34:24.69 ID:iiVGkOsO
ほすー
565 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 00:46:37.70 ID:j7td35MQ
age
すっごい面白いねこのスレ
自分も描きたくなってきたけど小説なんて書いたこともないから
取り合えずROMる
567 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 03:14:27.54 ID:j7td35MQ
You、書いちゃいなよ
568 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 10:19:37.91 ID:yKujH/VM
書いちゃいなよ
569 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 12:57:20.30 ID:6fzdjhIq
自分がもし、ヴァナに来訪したとしたらどうなるのか?
結局のところ、そこが書き出しの始め。
戸惑い、否応なく戦いにはせ参じ得なくなる…。
その後の展開は個々の作者さんの力量ですね。
そう考えると赤鎧、黒マント、フェイトの設定って
実に書きやすい前設定だなぁ…。
別に異世界に迷い込んでしまったって設定は昔から使い古された王道SFストーリーだしねえ
前歴が大量にあるから難しくはないヨ
今全部を自己内設定のみで書けてる人って初代の人とあと誰だろう
571 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 15:54:12.00 ID:3+wBGehU
保守るよ!
572 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 20:01:59.22 ID:hWJZGVi6
あげーる
573 :
既にその名前は使われています:2007/03/16(金) 23:21:59.54 ID:RcXRVVUq
溜息が出る。
基本教練、執剣教練、座学、戦闘訓練、保守教練・・・・・・まだ教練計画は完成していない。
やることは尽きない。溜息も尽きない。
だと言うのに。
「何でオレは飯を作っているんだ・・・」
数十人分の馬鹿でかい鍋をかきまぜながら唸る。
そもそも、奴らが毎年バレンティオンに押しかけて来やがるのが悪い。
お返しというわけじゃないが、こうして毎年のように手料理を振る舞っている。面倒なので大抵は鍋とかカレーだが。
意外と律儀なのが隠れた人気の秘密なのだが、鈍いのか気付いていない。
「・・・ったく」
コンコンとおたまを鍋の縁に当て、かけていた火を《ウォータ》で消す。魔法って本当に便利だ。
「できたぞ」
短い言葉に、雄叫びが応えた。
騎士という華やかな響きとは無縁の獣たちによって、この鍋は陵辱の限りを尽くされるのだろう。
せめて綺麗に食ってくれりゃあなぁ・・・
片付ける手間を考えると、溜息がまたこぼれた。
そして、自分の分を確保するのを忘れ、酒保の世話になるのは、また別の話。
574 :
既にその名前は使われています:2007/03/17(土) 02:51:43.41 ID:sOAyitG4
保守るよ!
575 :
既にその名前は使われています:2007/03/17(土) 07:20:02.06 ID:DWMTwx9x
おはようage
576 :
既にその名前は使われています:2007/03/17(土) 11:40:17.39 ID:iFJSiR1k
保守るよ!
577 :
98 ◆tr.t4dJfuU :2007/03/17(土) 13:45:29.04 ID:TjphyLLE
ちょっと空を飛びながら地球をまもりつつ黒のパンチラ眺めていました
夜に投下させていただきます・・・( ゜д゜)
578 :
既にその名前は使われています:2007/03/17(土) 17:23:46.41 ID:GmYoQAgh
保守だ!
皆様、投下乙でございます。
保守いたします。
580 :
既にその名前は使われています:2007/03/17(土) 22:25:48.83 ID:WDV/Ewky
保守なんだZE−!
グスタベルグの夜は急激に冷え込む。
メイミィになるべく厚着をさせて、青白い月明かりを頼りにチョコボを走らせた。
月が出ていて助かった。
チョコボまかせとはいえ、ヘッドライトもなく真っ暗闇の中を走るのは相当の度胸がいる。
本来、夜の行軍など諦めるべき無謀な選択だったが、差し迫った事情もある。
バストゥークまできて、官憲に足止を食うわけにはいかない。
南北グスタベルグの境目辺りで休息と簡単な食事をとり、一路、西を目指した。
バストゥークの南門に到着したときには、もう夜も更けた遅い時間帯だった。
街をぐるりと囲む断崖にぽっかりあいた巨大な石門は三箇所ある。
そのうちのひとつ、ここは鉱山区の入口だ。
外敵を警戒して灯し続けられる明かりに、思わず安堵の溜め息が漏れた。
エントランス前で、俺とメイミィはチョコボを降りた。
彼女の顔にも、疲労の色が見て取れる。
「宿に一泊して、明日の朝出発しよう」
頷くメイミィ。
「ちょっと頭が痛いです・・・」
夜風に当たったせいか。
「風邪の引きはじめかもしれない。今夜は暖かくして休もう」
鉱山区の宿屋といえば“こうもりのねぐら”亭があったはずだ。温水風呂はあっただろうか。
入国手続きはいつも通り、簡単に済んだ。
冒険者というだけで、夜でもほとんどフリーパスだった。いいのかバストゥーク。
予想通り、俺の手配書もまだ届いてはいないようだ。
疲れた顔をした衛兵の挙動に、不審なところは見当たらなかった。
ただ、妙なことを聞いた。
「おかしなモノを持ち込まないでくれよ」
と。
衛兵が言うには、商業区でゴーレムが暴れる騒ぎがあったそうだ。
重要技術の中枢であるはずの大工房では、施設が一部爆破される事件が発生している。
さらには立て続けに何件か、殺人事件も起きているらしい。
そこまでの事態でありながら、この警備のユルさは・・・。
おかげでこちらも入国できるというものだが。
「一泊したらすぐに出発する予定だ。長居はしない」
俺は、何食わぬ顔でチョコボの手綱を引いた。
「だが随分、バストゥークも物騒な街になったものだな」
「ああ。まぁ、政治が腐ってるのさ」
冗談でも不穏当な発言だったが、衛兵はあくびをかみ殺して詰め所に戻っていった。
「リードさん、もしかして」
メイミィが不安げな顔でつぶやいた。
「他にも“赤い鎧”がバストゥークに来てたりとか・・・」
584 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/03/18(日) 00:03:17.47 ID:DE9KifYc
今夜の投下は以上でございます。
585 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/03/18(日) 01:56:21.23 ID:ZWN3PWfD
(388)
しばらく様子を見ていると、やがて歌い終えたのかアオツキが辺りを見回し、こちらの姿を見るなり走り寄ってきた。
「あの…お待たせしてしまったようでごめんなさい」
照れくさそうにそう言うと、そそくさと俺とラディールの間をすり抜けて領事館の中に入っていく。
このネカマは、思ったよりも飄々と世の中を渡るタイプのようだ。
歌を歌っていた理由はなんだろう、と考えてみたが思い当たる訳もない。
結局、歌ぐらい気分次第で歌うこともあるだろう、とそれについて質問するのは意味が無いような気がして止めておいた。
一同が領事の机に集まったのを確認して、アオツキに声をかける。
「早速なんだが… 君がヒロから何処まで話を聞いているか知らないが、俺たちは今夜からちょっと忙しくなる」
そこで言葉を切り反応を窺ってみるが、何のことだか、という表情をしている。
この反応は意外だった。ヒロの話から、おおよその見当くらいは付く程度の事情は知っているのだと思っていたからだ。
しかし逆に言えば、判断がしやすいとも言えた。
「で、申し訳ないが出来るだけ安全なところに即刻移動してもらいたい。少なくとも、バストゥークの外だな」
しばらく考えるような素振りを見せたアオツキは、少ししてからポンと手のひらを叩いた。なにやら合点が行ったらしい。
だがその後すぐにまた表情が曇る。なんとも分かり易い。
「それは、カラミヤ君が言ってた天晶堂と敵対していると言うのと関係があるんですか…?」
「ま、そんなところだな」
既に用意していた答えを、抑揚も無くさらりと返した。
587 :
既にその名前は使われています:2007/03/18(日) 01:57:18.51 ID:PTi5ANy1
倉庫の♀キャラになってた
裸だったわっ きゃっ
(389)
「飛空挺、まだ間に合うだろ。天晶堂でアルドの世話になってたってんなら、ジュノに戻ってそっちを頼ってくれ」
日もそろそろ沈もうかと言う時間ではあるが、ジュノ行きの飛空挺はまだある。
このまま引き下がれば良し、そうでなかった場合には色々と疑ってかかる必要がある。
そもそも、もう少し時間をかけて見極めるつもりだったが、事情が事情なだけに少々強引でも仕方が無い。
「…結局、あなたもカラミヤ君と同じようなことを言うんですね」
アオツキがそう呟いた。
反射的にヒロの方を向いたが、当の本人は何のことだかさっぱりという顔をしている。
「あなた達だけでなんでも出来る気になって、他の事に目を向けない。同じですよね」
ヒロが何を言ったか知らないが、確かにコイツが言いそうなことではある。
これがアオツキの本音なのか、単に何らかの目的を果たそうとゴネ始めたのかは分からないが…
少し考えていると、今日何度目か数えるのも億劫なほど開いた扉が、また開かれる。
遠慮も無くツカツカと踵を鳴らして歩く音を聞くのは、今日二度目だ。
「紋章、何処に仕舞った?」
領事が不機嫌そうに声を上げた。少し呆気にとられた様子の爺さんが、慌てて引き出しから所望の物を取り出したようだ。
「この国の大臣は、分かっていた事だが本当に腐ってる!」
声を上げた領事は、何のことだか分からないという表情を皆が一様に浮かべているのを把握して深い溜息をついた。
(390)
なんでも、サンドリアにおける冒険者政策とバストゥークにおけるそれを比較して散々に言われたらしく、
「それ以上は、この紋章にかけて許さん!」
と見得を切ろうとしたところで、手元にそれが無いことに気がついたらしい。
それより、昼間の事件の釈明をしに行ったんじゃなかったのか、この人は…
何だかんだ言ってみても、この人も立派に矜持の強いエルヴァーンだと言うことだ。
手短ながら怨嗟をたっぷり含んだ愚痴を振り撒いた後、領事はようやくアオツキの存在に気がついたらしい。
「応援を呼んだのか、ファーロス。準備が進んでるのはいいことだが、目立たぬように重々気をつけろよ」
「いや、応援という訳でもないんですが…」
「そうか、ならば私の関知するところではないな。私が知らない以上、冒険者ルーファスの縁者だろう?
サンドリア領事館は、一介の冒険者の話に付き合うほどには暇じゃないんだよ」
そう言い放ち踵を鳴らしてドアへと向かう、と見せて領事は急に立ち止まってこちらを見た。
「机の下にある床をはがしてみろ、おそらく最も目に付かない手段で外に出られる」
それだけの言葉を残し、今度は走るような勢いで領事は出て行った。
「さてはて… あの気風はまったく相変わらずと言うところでございますな…」
「年食ってヒスも入ってそうなだけに、もうあの人はもう嫁に行けないんだろうな…」
爺さんと俺がしみじみと呟く横で、アオツキが何が起きたか分からないという様子でオロオロしている。
そうだ、まだこっちの話が片付いてなかった。
(391)
「あー、それでだな。とりあえず、俺たちで何でも出来ると思ってるってのは誤解だ。そんなわきゃない」
とりあえず話を戻してみたが、アオツキはじめ皆呆気にとられた表情は戻らない。
「俺たちは、というか俺はスジを通しに行くだけなんだよ。だから出来る出来ないじゃなく、やる」
俺がそういうと、場の空気が少しだけ冷えたような気がした。
「いきなり襲われて訳の分からん理屈で殺されかけた挙句妹さらわれたんだ。落とし前つけてもらわない事にはスジが通らねぇ」
「でも、それが天晶堂の仕業だと決まった訳じゃ…」
「俺が的に掛けてるのは天晶堂じゃなく、そこに潜り込んだ一人の男だ」
ヒロには話してないから仕方が無いが、実際は天晶堂自体が敵という訳でないのは確かだ。
「本来ならな、そもそもこんな世界で来訪者なんて呼ばれてること自体に文句を言いたいところだが、
そんな奴がいるとしたら神様とかそんなレベルの話になっちまう。で、奴が言うには、この世界じゃ『神は死んだ』んだそうだ。
だったら、神の代行者と名乗ったそいつにその落とし前をつけてもらうのも悪くないだろ?」
ポカンとした顔のアオツキをよそに、なんとなくこんな感じでいいだろうと俺は満足して微笑んで見せた。
「…でも、それはある意味とばっちりみたいなものよね…?」
ラディールが、やはり呆れ顔で言う。
「ま、まぁそうだが… それでも人の妹連れ去ったんだ、この一事のみでも高くつくって教えてやらないとな」
領事はいい事を言ってくれた。確かに、これは一介の冒険者であるルーファスの事情だ。
下らない事をグダグダと考えるよりはよっぽど分かりやすくていい。
591 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/03/18(日) 02:01:11.32 ID:ZWN3PWfD
本日の投下は以上です〜
感想とか色々書きたいところですが、また後日にでも・・・
とりあえず久々に、わっふるわっふる!
ふと、優しく吹き付ける風で、目が覚めた。
髪が顔にかかってて、掻き揚げようとしたら、手がヌルヌルしてた。
よく見たら赤黒くて、ベタついてて、血のようだった。
辺りを見回したら、緑色のハゲガルみたいなのが、沢山死んでた。
みんな、顎の下辺りから、血を流して死んでた。
多分、自分が、殺したんだろう。
もっと、周りを、見てみた。見渡す限り草原で、起伏も岩も山も、何もなかった。
無限に広がる平原の中で、死体に囲まれ、私は何をしようとしていたのだろう。
「・・・ぉあようござます。」
寝ぼけ眼でテーブルに突っ伏す少年に苦笑。朝食の時間はとっくに過ぎていたが、まあ、今回は大目に見てやろう。
今日は彼の黒髪の兄弟が、この少年のために朝食を作ってやるのだという。
先のオークとの小競り合いで負った怪我は重くはないが、しかし大事をとって待機を命じられていた。
だというのに、彼は勝手に出かけてしまうのだ。これでは手がつけられない。
同じく怪我を負ったこの少年も待機とされていたが、こちらは大人しく事務仕事(もっとも、これは押し付けられたものだが)を処理していた。
但し、あまりにも暇を持て余しすぎるのか、仕事に熱中しすぎて遅くまで起きてしまうのだが。
「できたぞ」
ひょっこりと黒髪の兄弟が顔を出す。その手には、奇妙なサンドウィッチとジュースが入っているらしいグラスが乗ったトレイがある。
「何だぁ?そりゃあ」
「朝食だ」
トレイの上のものをテーブルに並べながらしれっと言う。
匂いに反応したか、のっそりと少年が顔をあげた。ふんふんと鼻をひくつかせ、ようやく体を起こす。
目玉焼きとハンバーグが、しっとりしたキツネ色のパンに挟まれたサンドウィッチ。
「・・・・・・?」
不思議そうな顔で、それでもゆっくりとサンドウィッチを手に取る。
小動物のような仕草でかじりついた少年の動きがぴたりととまった。
「・・・何だ、ありゃ」
「固めに焼いた目玉焼きと薄く焼いたハンバーグをパンで挟み、メープルシロップをたっぷりかけたものだ」
「・・・朝から胃に来そうなものを作りやがって」
594 :
既にその名前は使われています:2007/03/18(日) 12:12:26.23 ID:DP2EFZTp
「のっひょーーーい!!」
チョコボよりかは遅いが走るよりか早いスピードで景色が流れていく。
俺がサルタバルタについて最初にやったことはクロウラーを見つけることだ。
親父が昔「タルタルならクロウラーに乗れそうだな」と言っていたことを思い出したからである。
そんなわけで俺は近くにいたクロウラーに跨ると尻に火をつけて走らせ始めた。
ハンドルは触覚。引っ張るとそっちの方向に曲がる。我ながらなかなかの外道行為だと思う。
しかし早い早い。タルタル諸君は試すべきだね。走るよりかよっぽど早いよ。速すぎて保守本が読めない。
もともと両手ともふさがってるが。開いてたとしても速すぎてまともに読めないだろう。
平野を駆け、川を突っ切り、マンドラゴラを撥ねながら進む。
だが当然このような危険行為は許されていないらしく途中でウィンダスの警備兵に見つかってしまった。
「そこのクロウラー! 止まりなさい!」 鎧を着たミスラが叫ぶ。
「いやなこった! 俺はヴァナディールのシューマッハだー!」 と俺も負けないくらい大きく叫ぶ。
まぁ、すぐにつかまったわけだが。さすがにチョコボには勝てません
595 :
既にその名前は使われています:2007/03/18(日) 15:41:32.82 ID:vvuaguOL
あげようか
いつの間に眠ってしまったのだろう。
気がつけば朝になっていて、僕は上着を脱いだだけ、他は装備を殆ど付けっぱなしのまま、
ベッドの上に倒れこむような体勢になっていた。
あの子がどういう状況になっていたかは一応掴むことができたけれど…
見ようによっては、随分やっかいな事になった。
奴にはもう、知られてしまっただろう。僕があの子なしには、まだ理から逃れられない存在だということを。
正しい手続きによってこの世界に落ちてきた彼らとは違う、紛い物に過ぎないという事を。
…けれど、僕はそれでもできる限り、彼らを助け、守らねばならない。
気を抜くと耳の奥から蘇ってきそうになるおぞましい囁きを振り払い、体を起こす。
小ぶりの鏡台を覗き込んでみれば相変わらずヒドイ顔だったが、
なんだか髪の色は少し金髪に戻ったような気がした。。
いや、照明の具合のせいで実際はまだまだ銀のままかも知れないけれど。
廊下に出て、水場で顔を洗っていると、後方から足音がして、慌てて顔を上げる。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「ええ、まあそれなりには…」
人のよさそうな営業スマイルの女将さんに、僕もついつい社交辞令で返してしまう。
「今日も領事館の方にお勤めに行かれるんで?」
「いえ、今日は方々歩き回るんで、もしあとから起きて来た人に居場所を聞かれたら、
直接連絡をくれと伝えていただけますか?」
顔から水気を拭き取り、ブレスドブリオーのフードをかぶりながら女将さんにそう託を頼むと、
かしこまりました、と柔らかい笑みと共に返された。
朝食も他所で食べてきます、と断り、自室に戻りかけたところで、
僕達が宛がわれた並びの部屋よりは手前の部屋から、若いヒュームの女性が扉を開けて出てくるのが見えた。
ああ、他にも泊り客がいたのか…そんな事を考えながら、
鼻歌など歌いつつ水場へと向かう彼女と擦れ違いざまに、小さく会釈を送る。
どこかで聴いたことのある旋律。どこだっただろう?
「―――!」
記憶を辿り、その答えにたどり着いた瞬間、僕は振り返りその女性を呼び止めずにはいられなかった。
「あの、すいません!」
「…はい?」
怪訝な顔をして振り向く彼女。
「その曲…一体どこで覚えたんですか?」
「え…? その、うーん……自分の、ふるさとというか…」
故郷。その言葉を正しく受け取るならば、彼女もまた。だけど、それにしては…。
「…何なんですか。……あ!」
「そうですね、今度似たようなことを聞かれたら、誰かに教わったとでも答えたほうがいい」
「そう、ですね…。ところで、貴方は?」
僕のことを、彼女は訝しげな目で見上げた。まあ、当然といえば当然だろうか。
「ああ、僕は名乗るほどの者でもないのですが、サンドリアからさるお方の従者として
バストゥーク領事館に出向している者です」
答えてから少し後悔する。一応間違ってはいないけどこれじゃかえって怪しい。
けれど、彼女の反応は思いのほか明るいものだった。
「ってことは、ルーファスさんとカラミヤ君の仲間なんですね。そうならそうと言ってくださいよ」
「…おや?」
「大丈夫です、守秘義務はちゃんと守れますから! あ、わたしアオツキって言います。よろしくね」
「そ…そうですか…僕はフルキフェル。色々あって今は偽名なんで、呼ぶときは『従騎士さん』とでも」
「従騎士さん、ですね。でも今は白魔道士のような…? それブレスドブリオーですよね。
でもクロークっぽいフードついてるし…」
「今は白魔道士の技術を行使しますが、立場としては従騎士ということです」
なんだか奇妙なやりとりに、内心笑いがこぼれそうになるのを堪える。
けれどその一方で、この女性…アオツキさんそのものに、危うさと心細さを覚えた。
言動や物腰は"この世界に馴染んでいない"来訪者そのものだというのに、向こう側の気配が、ひどく薄い。
ヒロさんはともかく、すでにこちら側と交じり合っているルーファス殿と比べても、あまりに…。
「なるほどー。ところで、どうして従騎士さんは、わたしの鼻歌がリアルの歌だって分かったんですか」
「声がちょっと大きいですよ。…実は、昔その歌を、あなたと同郷の人に聴かせてもらったことがあるんです」
「そうなんですか…それで、その人は今どうしてるんですか?」
「今…ですか」
「…! ごめん、そういうつもりじゃ」
思わず表情に出てしまったらしい。謝られてしまった。
「いいんです、本当なら…こんな事で云われもなく排除されなければならない現状のほうが、おかしいんですから」
「…やっぱり、来訪者は、狙われてみんな…殺されてしまう?」
「必ずしも、そういうわけじゃない、です」
何を話して、何を伏せておけば、この人を危険から遠ざけられるだろう。
「けど、奴らにとっての世界が脅かされそうになるのを感知すれば、その原因を抹消するべく、
奴らは速やかに動き出す」
「たとえそれが、食卓塩一瓶でも、ですか…厳しいなぁ」
「全く、理不尽な話ですよ」
「その理不尽が許せないから、従騎士さんはカラミヤ君達のことを手伝ってくれてるってわけですね。
来訪者でもないのに」
「ええ、まぁ…。そのあたりは話すと長くなるんですけどね」
そう答えると、アオツキさんは表情を輝かせて、新たな問いをぶつけてきた。
「じゃあじゃあ、あの黒マント達に狙われにくくなるコツとかも分かります?」
「コツ…ですか」
「そうそう。うまいことあいつらに見つからないように行動しないと」
動かない、という選択肢は、彼女にはなかったらしい。そうだ、来訪者達はみな、すべからく冒険者。
コンクェストにより規定された公認冒険者などという意味なんかじゃなく、
世界に謎ある限り追い求めてきたのではなかったか。
僕は知らず、石組みの天井越しに空を仰いでいた。
「……平穏を望むなら、向こう側の事は忘れるといい。
歌のことも、向こう側で暮らしていた自分のことも、なにもかも」
「そんな、それじゃ意味がないじゃない!」
「けれど、世界は変えられる。向こう側からこちら側に持ち込まれたものすべては、
有形無形を問わず、この世界に染み渡り、世界をやつらの知るそれからずらしていく。
世界が奴らのものではなくなれば、奴らは来訪者を狙うどころか、何もできなくなるでしょう」
女神よ、どうか彼女の魂尽きるそのときまで、彼女の命を護り給え。
「いつか帰ることを望むなら、この世界を奴らの手から自由にしなければならない。
…向こう側の世界にある歌の中には、こちら側にとっても深い意味を持つものがあります」
「それって…?」
「僕には分かりません。彼も"究極の幻想"というものにまつわる歌だとしか教えてくれなかった。
そもそも、それが一体何なのかも、どうしてこの世界を強く揺るがすのかも、残念だけど僕は知らない」
教えてしまった。雲を掴むような話だと、我ながら思う。
だけど、彼女は何か合点がいったかのように、両手をぽんと合わせた。
「とにかく理屈は分からないけれど、歌われるとあいつらはすごく困るわけだ」
「そうですね…。でも、ただ適当に歌ってたんでは、すぐに奴らに捕捉されてしまいます。
ただ、色々な場所を巡っている間は、どこにいるかは分からないようでした」
「ふーん…リアルのGMみたいに万能ってわけじゃないんだね」
「最終的には、奴らもそうなりたいんだと思います。…どのみちぞっとしない話です」
そこまで話したところで、二人示し合わせたように、ため息がこぼれた。
「とにかく」
「はい?」
「旅を続けて、いろんなものに触れてみて、考えるのはそれからでも遅くはないと思いますよ」
嘘をついた。
明日か明後日か、それとも一週間後か。
何か食い止めうる要因がない限り、彼女は遠からず、向こう側の事を忘れてしまうだろう。
ただ、奴らは理に抗い得ないこちら側の人間には、余程のことがない限り手出しをしない。
ならば、そうなるまでに少しでも……少しでも?
僕は今、何を考えた?
「そうですね、わたしもバストゥークでの用事が済んだら色々かんがえてみます。あ、カラミヤ君ー!」
話を続けるうちに、いつの間にか彼女につられてロビー方面まで出てきてしまっていたらしい。
考え込む僕を他所に、彼女はベンチでうたた寝をしていたヒロさんを見つけ、
そちらへと駆け寄っていった。傍らにはマティエール老もいる。
アオツキさんにに揺り起こされるまでもなく彼は目を覚まし、早速彼女に向けて悪態でもついているのだろうか、
彼女が頬を膨らませるのが見て取れた。
「おはようございます。無事に戻ってくれて何よりです」
「ああ…お前もいつぶっ倒れるかと思ったけど昨日より調子よさそうだな」
僕も歩み寄り、声をかける。
ヒロさんは少し僕の言葉に眉をしかめ、それからへッ、と笑みを洩らした。
彼が纏う気配は、未だ出会ったときとそう変わらない。その事に安堵する。
「それにしても…顔ぐらい洗ってこいよ。だからネカマなんだよ」
「ネカマとか関係ないでしょ!? ボクはこれから洗うとこだったんだってば!」
「あぁ…すいません、僕が引き止めてしまったから…」
「はいはい、そういう事にしておきますよ〜と」
からかうヒロさんと、乗せられて熱くなるアオツキさん。
そのやりとりは昨日隣の部屋から漏れ聞こえてきた、かしましいやり取りを想起させた。
昨日ヒロさんが連れてきたのが彼女だったのか、と今更気がつく。
それにしてもこうして見ていると、なかなか仲のいいように見える。
もしかして、お互い来訪者になる以前からも縁があった人たちなんだろうか。
とりとめもなくそんな事を思っていたら、横で佇んでいたマティエール老が口を開いた。
「…夕刻から、領事館で会議がございます。リンクパールで改めてお報せ致しますので、
それまでバストゥークの街でも見物なさっては如何でしょう?」
用事があるなら済ませて来い、でなく見物、ねぇ。
僕自身はもとよりそのつもりだったけれど、なんか気にかかる言い方ではある。
この上なにを考えているのやら…。まあ、いい。
「そうさせてもらうよ」
ヒロさんはそう告げ立ち上がると、タバードの裾を捌く。
「では、僕も色々と雑用を片付けてきますよ」
自室に鞄を取りに戻る。その後ろでヒロさんがアオツキさんに何か尋ねていたようだったけど、
あまり立ち入るのも野暮というものだろう。僕は放っておいて、そのまま蝙蝠のねぐらを後にした。
ひとまずここまでです。
なんか前回のお話の案内がほぼ丸コピペなのがまるバレですね。すいません。
あと事後ですがアオツキさんの中の人! まだ見てたらごめんなさい!
いえその、いろいろと。口調が怪しいです。(他にもあるだろ
あとヒロさんもごめんなさい。台詞寂しかったんで追加してしまいました。
ともかく、もうちょっとで元に戻れそうです。
わっふるわっふるももはや古典だなぁ…。
『え?』
ふと後ろを振り向くとそこには強大な山が
いや、山じゃねえ、白くてでかい、こっちに向かってきてる?
早い 避けきれない
『ブモオオオオオオオオオオオオオオオオ』
ラテーヌ高原最強のモンスター、ランベリングランバートの強襲
その巨体を生かした体当たりをくらい、俺達は5メートルほど
吹っ飛ばされた、
いてえ。。。2人は? 2人は無事か??
ミスラは俺の目の前に、ガルカはその体重が作用してか
雄羊とさほど距離がないところに蹲っていた
『幾ら俺でもNMにはかてねー! にげるぞ!!』
俺は気絶したままの彼女に肩で支えて体を起させると遠く離れた彼に大声で
示唆した。全力でロンフォールに逃げ込むんだ、きっと何とかなるさ
どれだけ走っただろうか、森まではもう300メートルもないはずなのに
一向に距離が縮まらない、そんな感覚にさえ襲われている
はぁはぁ・・・。息が切れる・・・苦しい・・・
はぁはぁ・・・。あいつは、着いて来てるか??
俺が走りながら後ろを振り返りガルカの位置を確認しようとしていた矢先、彼は突如反転して、雄羊の前へと飛び出した
『ばかなにしてやがる!! 早くこい!!』
『・・・さっき追突された時、足をやられたらしい』
『まじかよ、まってろいまいく!!!!』
俺は彼女を地面に座らせ、彼の救援に向おうとした
『くるな!!!!』
『あ? なんでだよ!!』
『いまあんたがこっちに引き返したら、3人ともやられる。
それよりも・・・』
おい、まさか ばかなことかんがえんなよ??
『オレが奴を少しでも引き付ける、その間にそいつを連れて 森に撤退するんだ』
『あんた一人じゃ無理だ!! 一緒に走るんだよ!!』
叫びながら彼に近づこうとした俺に彼は怒号をあげた
『行けといっている!!!!!』
『さっき言っただろ? そいつだけは絶対に、元の世界に戻すって』
そういうと彼は俺達に背を向け
雄羊向って突撃を開始する
『へへっ ガルカ様と雄羊の高速バトルに猫ちゃんじゃついてこれないぜ?』
『・・・バカ野郎、ヴァナディールイチ素早い種族にケンカうってのかよ・・・』
夕日に染まる不敵な微笑みは、オレが見た最後の彼の顔だった
『結果は見えている、だが此処は退けぬのだ』
『なんてな、、一度これ言ってみたッタんだよ・・・w』
役立たずとなった足の替わりに杖を地面に突き立てディアを唱える
『さぁこいよデカ物、てめーの晩飯はここにいるぜえ!?』
西ロンフォール ルフェ湖の畔
気絶した彼女を抱えながらどうにか此処まで逃げ延びた
ゼイゼイ・・・あとちょっとて・・・アウトポストだ・・・
そこに救援妖精を・・・うぐぅお・・・
チキショウ 俺も頭の打ち所が、わるかっ・・た、、か
彼女、、だけで、も・・・衛兵に・・・
俺の意識はそこで途切れ、次に目を覚ました時には、
彼女は隣には居なかった
しまった、オークか ゴブか? そこらの奴らにつかまったか
周囲を散策するが人の気配はまったくない
慌てて松明宿し、ふと地面にやるとそこには
俺のとは異なるが似た大きさの足跡が、蛇行しながらも
ラテーヌ方面へと続いていた
狩猟民族であるミスラの鼻を利かせ、その足跡の主を 追跡する
・・・この匂いは・・・くそっ
動悸がして、かすかなめまいも覚えながら俺は
走り出した、心臓がドキドキする、破裂しそうだ・・・
倒れ込みそうになりながらラテーヌにたどり着いた俺は
大鳥やオークが群がる小山を見つけた
雄羊の姿はすでにその場にはない
その山を見た俺は、そこで再び意識が途切れた、
いや、我を忘れたと言ったほうがいいんだろうな
正気に戻った時には、あたり一面は血の海となっていた
力に任せて蹂躙されたオーク達の死体、ずたずたに引き裂かれた大鳥たちの屍骸、
周囲は行き場を失って放射された魔法によって焼野原となっている
燃え盛る炎が、俺の顔を赤く染めていった
そして目の前には、獣たちに貪られた死体が二つ、転がっていた、お互い重なり合い、互いを守るようにして・・・
『ごめんなさい、でも、彼がいなくなったら私はもう
この世界ではいきてゆけないの。 たとえ独りで生き延びても・・・。
食事、一緒にいけなくてごめんね。
あなたは私たちとは無関係だもの、
生き延びて元の世界へ帰れる事を祈っています』
無関係? わらわせんな
それに俺は・・・・とっくの昔にこの世界に順応しちまってたんだよ・・・
ルフェ港の畔の石には、走り書きで書かれた彼女の文字が刻まれていた
・・・冒険者なんてヤクザ家業やってりゃ、
知り合いの一人や2人なくすことなんて珍しくもないさ
さてさてっと 休憩おわり!
再びプリズムパウダーを全身に振りかけると
俺はユグホトの奥地へ向けて歩み出す
え〜と、ここだなー
実際?に見るのは初めてだけどなんか、、ちょっと
触るのこええなこれw
地面から一団盛り上がった岩板には
獣人軍を示すまがまがしいマークが魔法の力により浮き上がっていた
「・・・そうかもしれない」
俺とメイミィは、手綱を引きながら並んで歩いた。
「おそらく、俺たちとは無関係の任務で来ているんだろう」
気をつけるにこしたことはないな、と俺は安心させようと微笑んでみた。
が、脱力したような表情にしか見えなかったに違いない。
疲労が重なっているのが、自分でわかる。
「・・・っ」
またメイミィが、こめかみのあたりを軽く押さえた。
風邪の頭痛、か。
街灯は数はあっても一つ一つが薄暗く、彼女の横顔からその顔色は窺い知れない。
熱を出す前に、早く休ませないといけない。
チョコボ厩舎は、ゲートから入って競売所に向かい右手側にあった。
冒険者が昼夜問わず利用するため、この時間でも開いている。利便性は高い。
チョコガールにレンタルチョコボを返却する旨を告げる。
その間に、メイミィが連れていたチョコボは勝手に奥へ入っていってしまった。
どすん、と一番良い寝床に陣取って、そのまま寝入ってしまった。
俺は困り顔のチョコガールに、多少色付けした代金を支払った。
仕方ない。ある意味、今日一番の功労者はコイツだ。
だが、他の一般チョコボを威圧するのはよせ。
チョコボの次は、俺たちが泊まる場所だ。
“こうもりのねぐら”亭、という宿がギルド方面にある。
そこに空き室があればいいのだが、なければ商業区まで赴かなければならない。
ツェールン鉱山の方から吹き抜けてくる夜風は、炭の臭いが混じっていた。
「メイミィ」
彼女がわずかにフラつくのを認めた俺は、そっと肩を抱き寄せた。
「もう少しで宿だから」
頷くメイミィ。
酷だと思いつつも、俺はまた一つ無理を重ねた。
「念のため、宿では偽名で通すよ」
彼女に耳打ちする。
それを聞いて、ぴょこん! とメイミィは尻尾を立てた。
照明に浮かんでそびえたつ競売所も、いまは人影もまばら。
こんな夜の通りなら、いちゃつく二人だと見られているかもしれない。
ある意味人目につくが、人目につかない。
「な・・・な・・・なっ」
「OK?」
「むぅぅぅ・・・」
風邪が進行しているせいか、彼女の頬が染まった。
「わかりました・・・」
“こうもりのねぐら”亭は、場所が場所だけに少し警戒していた。
しかし、それは思い過ごしだったようだ。少なくとも、待ち伏せの気配はない。
「あいにく団体様がお泊りになっていて・・・。
一室しか空いていませんが、よろしいですか?」
夜遅く訪れた俺たちを、人のよさそうな女将が迎えてくれた。
ロビーの長椅子に座らせたメイミィの様子に、女将も心配になったようだ。
妻が風邪を引いてしまってね、と言い、俺は料金を少し割増して支払った。
モンブローに支払う入院費は踏み倒すと決めたので、懐具合には余裕があった。
「軽い夜食とショウガ酒、熱い風呂を頼みたい。暖かくして休ませたいんだ」
すぐに、と女将は応え、俺は満足げに、そして貴族らしい鷹揚なしぐさで頷いた。
少しは金払いの良い上客だと、女将に認識してもらえたのだろうか。
ふと女将のやや斜め下に向けた視線に気付いて、カウンターを見た。
宿帳がある。
なるほど当地ではこうか、と、この形式に慣れていない風で、それとなくページをめくった。
いま宿泊している客の名前を確認したが、これといって思い当たるような名前はなかった。
そもそも他の客が見られる状態というのは、セキュリティに問題がありはしないだろうか。
俺は差し出されたペンをつまみ、自然な書体で二人分の名前を書き記した。
夫、ルヴェラー・ローク・ロポッサ
妻、マナルーヴィ・ロポッサ
―――と。
618 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/03/18(日) 21:29:37.28 ID:tEcUjtbg
本日の投下は以上でございます。
皆様、わっふるわっふるでございます。
いつも思うんだが何であっちにいく系ばっかりでこっちに来る系がないんだ?
おきたらいつもの部屋なんだけど体だけ自キャラとか
いや僕は文才ないから書かんけど
620 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 00:55:31.77 ID:5ugMCoET
ミスラになって通勤ラッシュの電車に乗るよりも
ミスラになったらチョコボで風を切って走りたいというのが
ごく自然な欲求なのかも知れない
621 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 01:18:17.11 ID:h0et13Lt
ほんじゃあ、俺が書いてやるよ!
また今度な
622 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 01:37:59.34 ID:yRG+3sGc
>>619PSU板で展開されている。そっちへGO。
多分皆あっちの世界いってるから書き易いんだろ。
623 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 08:27:15.36 ID:8YbPsr7S
おはようage
624 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 10:13:22.10 ID:y25a8i+C
朝起きたら自キャラになってるスレだからだろ!!!!!と
INT500のオレが名推理
625 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 10:21:22.46 ID:y25a8i+C
あくまでゲーム世界にとびこんだネタという趣旨でたったスレだしねえ
それが気に食わないなら自分で新たに立てるか自分で書いて市民県を得るしかない
他人にもとめるもんじゃないよw
626 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 13:02:50.37 ID:5ugMCoET
リーマンのお兄さんがミスラになっちゃってそのまま日常生活ってのは
どこかのブログでやってたな確か
「ア・・・アニキ・・・?」
いつものようにうっさい弟が勝手に人の部屋で何かを呟いているようだ。
「ユースケ!?ユースケはどこ!?幼女連れ込むなんてあの変態!」
姉貴の金切り声も聞こえる。それどころか時々築20年の我が家がぶっ壊れてもおかしくないような蹴りを
壁にドンドンぶちかましている音まで聞こえる。うっさいな・・・俺は休日は寝だめするんだ。
「お、おとーさん・・・とりあえず警察に電話かしら・・・」
「・・・息子が間違った方向に進んだならば、私たちがなんとかしなければいけないんだ。
心を鬼にして・・・まずは警察に・・・」
ケーサツ?何を言っているんだこいつらは。俺は重たいまぶたをこじ開けるようにゴシゴシこすりながら、
まだ重たい頭と一緒に上半身を起こした。
「うっさいな・・・泥棒でもはいったの?」
家族全員が俺を上から見下ろしている。弟は困り顔、姉貴は睨みつけるように、母さんは泣きそうな顔で、
父さんは無理矢理色々な感情を押し殺して作った無表情といった感じでだ。
姉貴の表情が普段家ではみせない柔らかい表情となり、あまりの不気味さに困惑していると、姉貴は俺に目線を合わせ、
優しげな声で語りかけてきた。
「おじょうちゃん、名前は?」
「姉貴あたま平気?」
「え?」
指先でコンコンと自分の頭をつつきながらこういうと、笑顔の姉貴の眉がピクリと動き、瞳にはっきりと怒りの色が見えた。
「姉貴って・・・あんたユースケ?」
「とーぜんだろ?顔だけじゃなく頭もだめになったか?」
「えーと・・・それコスプレ?」
「はぁ?」
よく分からないで聞き返すと、ふと、姿見に映りこんでいる俺の姿が目に入った。
正確には、俺ではない。クピピたんとおなじオレンジ色の髪をしたタルタルが映っていた。
「はああああああああああああああああああああ?」
「黙想!」
俺が思わず叫び声を上げると間髪いれず弟がくだらない合いの手を入れる。
そこに更に間髪いれずに姉貴のローキックが華麗に弟のスネに叩き込まれる。
「くだらない事を言ってる場合じゃない!」
まったくもってその通りだ。コントしている場合じゃない・・・。
『臨時ニュースをお伝えします。株式会社スクエアエニックスでサービスをされているファイナルファンタジーXIのキャラクターが
現実世界に現れるという事件の続報をお伝えします。』
居間に付けっ放しになっていたらしいテレビの音声に、俺と弟と姉貴は素早く反応し、ドタバタと居間へと我先にと走った。
「父さん、母さん、俺がやってるゲームの事」
「え?」
両親もこの臨時ニュースがどうやら居間の俺の状況に関係しているらしい事を察して居間へと移動する。
『この事件について、ファイナルファンタジーXIプロデューサーの田中弘道氏が記者会見を開きました。』
画面が切り替わり、数多くのカメラマンに囲まれたヤクz・・・じゃない、田中Pが画面にでかでかと映し出された。
しかし、なぜ彼はゴブリンコイフをかぶっているのだろう・・・。
「今回の事件の原因は私がコンセントに足をひっかけ・・・いえ、失礼しました。
依然調査中で、誠に申し訳有りませんが解決の目途は立っておりません」
タナPが頭を下げるとコイフの長い耳もぴょこんと動く。その姿に多くのカメラがフラッシュを浴びせかける光景は・・・
シュールだ。
「この事件に巻き込まれてしまったユーザーさんにはわが社と国が様々な保証をすることが決定されました。
ちなみに、私もゴブリンにされてしまったのですが、国の審査に通らなかったために補償は受けれないそうです。」
それが言いたくてゴブリンコイフをかぶってきたのか!!!お茶目なやつめ!!
「クロノクロスも面白いですよ!」
ここで、映像は突然ぶつ切りになった。当然といっちゃ当然だが・・・。
この事件、どうやらFFユーザーの多くが巻き込まれたらしい。自分が当事者として巻き込まれてはいるものの、
そこら辺をガルカやミスラがうろつく姿を想像して、少しだけウキウキもしてくる自分もいた。
まぁ、そのうち事件も解決するだろう・・・。それまではタルタル生活という非日常を楽しませてもらおうか。
〜続かない〜
こんな感じですか?><分からないんです><
630 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 17:09:29.28 ID:q4Wf+NQQ
おちそうなんです><
631 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 19:37:07.33 ID:p8aC0k/W
保守るよ!
632 :
既にその名前は使われています:2007/03/19(月) 22:03:34.90 ID:p8aC0k/W
もういっちょ保守るよ!
633 :
既にその名前は使われています:2007/03/20(火) 01:17:29.05 ID:OzhOxyjY
現実側に来る話は、色々と面白い話が書けそうですが……
例えば自キャラになるんじゃなくて、
東京ガスだかのCMのように、ヴァナのNPCがさも当然のように家にやってきて
「(プレイヤー名)君、またお邪魔しますにゃ。この前、レーゾーコに入れさせてもらった
バストアサーディンを取りに来たにゃ!」
……ガサゴソ。
「あったにゃ!流石レーゾーコにゃ。まだまだ新鮮にゃッ!」
バタンッ!
「じゃッ!また来るにゃ。バイバイにゃッ」
みたいな感じで保守っておきます。
634 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2007/03/20(火) 07:55:29.41 ID:Ju6/mkOY
アクセス規制解けないのでしばらくまとめに直接書きます(´・ω・`)ノ
ついでにほしゅ
635 :
既にその名前は使われています:2007/03/20(火) 13:11:51.36 ID:Dun3yrsM
危ないage
636 :
既にその名前は使われています:2007/03/20(火) 15:15:11.38 ID:BBIWkz6f
巷で話題のガルカの大工
・・・保守るよ!
637 :
バレ【1-898】 ◆i2zvqkiQWY :2007/03/20(火) 18:19:10.51 ID:khbySH50
「さて…と、……おーい、なに明後日のほう向いてんだよ」
…キャラが作者を呼び出して、あまつさえ俺が直に床座りって、…お前それでいいのか?
「…ほお、今のこの状況でよくそんなこと言えるよな。じゃあ…」ガサゴソ……ブゥンッ
「これはなんだ?」>>>>>>>>>
>>370「…」「お〜い…」コンコン
「…ぅ」「他の作者さんの名前間違えるなんて、最悪だなオイ」「…ぃ」「本当に読んでるのかよ?他の人のSS」
「…ぉ」「…って!!これ二週間前じゃないか!!ここまで放置しとくなんて、うわっ最悪!!」「…ぇ」
「しかっと、インプットしとけよ?このメモリ極小の頭ン中に。『キーゼルさん』とキッチリとな」「…あ〜、っと…」
「…なんだ?」「…まぁ、二週間放置したのは…いや、まあ、流石だけど…それは仕事がいっぱいで…」「…、で?」
「で、名前間違えたのは…寝不足でその場で勝手に自己翻訳した訳で…」「っほぉ…、…で?」「い、いや…」「で?」「…ぁ」
「仕事を理由にするのは浅はか極まりないし、しかも自己翻訳? それは設定無視か?」「…ぉぉぉっ…」
「あ〜恥ずかし恥ずかし!!こんなゴミが俺らのこと書いてるなんて!!」「……」「お? なんだ」がぁん!!「…だぁっ!!!」
「…ガキンチョが大人をナメルなぁ!!」「中身は23だって、いってんだろが!!」
「完全に俺が悪いし、反省を大いにするが、そもそもテメェに偉そうに言われる筋合いなんてないんだよ!!」
「なんだと!!俺が出てこないとずっと放置するつもりだったくせに!!」「…か、関係…」「大いにあるだろうがぁっ!!」
…シーン「…え?…あ、れ?なんで魔法が…」「…く、はっはっは!!!」「てめぇ…!!」
「これが作者の力量!! この場所は俺の支配化にあるのだぁ!!いははははは!!!」「…じゃ、出てきて下さ〜い」
「ははは…、は?」「幾ら作者といえども、設定したキャラは消せないよなぁ?…じゃ、こいつ自由にしていいから」…ごしゅぅ〜…
「ちょ、ま、い、いや、お前まだ出番はずっと先だろ!? ちょ、なんだその目…!まさか俺を食おうっていうんじゃ…
待てまて!! 俺はそんな趣味ないし!!…え?『俺はノンケでも食う』だ!? 阿部さんかよ!! ちょ、マジ、や…
638 :
バレ【1-898】 ◆i2zvqkiQWY :2007/03/20(火) 18:20:49.39 ID:khbySH50
アッーーーーーーーーーー!!!!!!
キーゼルさん、本当にすいませんでした。
結局まとめサイトのは、
誰の話から読めば全体のストーリーがわかるの?
誰のが一番面白い?
本編完結してるのはユリフィナさん
メインストリームっぽいのはリードさん&ルーファスさん
ヒロさんの話はリアルに想いをはせる描写がグッとくる
フルキフェルさんのは番外編まで読むと背景設定がなんとなく見えてくる
レグナスさんはクールでクレバーだが続きが止まってる
サンさんは時折すげぇ電波だが続きが止まってる
キーゼルさんのは絡んでるんだか絡んでないんだかまだよく分からん。だが続きは気になる
結論。自分が読みやすいと思ったものを読むといいと思う。
一応絡んでいるように見えるがそれぞれのお話はあくまで別のお話です、と割り切ることを勧める。
(以前のテンプレにこの一文あったはずだが、なんか消えてね?)
さて、メインどころか、他とはかすってもいないヤツがきましたよ
001
「夢を見ていた」
とカオルは言った。
「夢なのはわかるんだ。でも、現実のような気もする。夢のような、
夢でもないような。とても居心地のいい、不思議な経験だった。
もうあそこには戻りたくないけれど、一定の愛着はまだ持っているんだ。
いろんな人と会った。いろんな人が死んだ。目の前で奇跡がおきた。
神秘的な出来事に遭遇した。……なんだろうね、うまく表現できないよ。
同じ事を何回も見たり聞いたり経験したような気がするんだ」
僕はお茶を淹れるために立ち上がった。
お茶を淹れている僕の背中に向かって、カオルは、話を続けた。
002
「渋谷に用事があってね、銀座線の電車に乗っていたんだよ。
電車内は適度に混んでいた。席はほとんど埋まっていて、
何人かはつり革につかまりながら、(地下鉄だから壁しか見えない
んだけれど)窓の外を見ていた。三越前で親子連れが乗ってきた。
小学2年くらいの、かわいらしい女の子。白いタイツをはいていて、
ピンクの服を着ていた。母親は、その女の子を30代ににした感じで、
上品で綺麗だった。SAZABYのバッグを持っていた。二人は
運良く空いてる席を見つけて、僕の真向かいの席に座った。今度は
男の子とその母親が乗ってきた。男の子は女の子とおなじくらいの
年のようで、茶色いジャケットを着ていた。その母親はやっぱり30代
後半のようで、やっぱり綺麗だった」
003
「席はもう空いていなくて、男の子とその母親はドアの近くで
立っていた。男の子は女の子を見つめて、母親に何か
言った後、女の子に無言でチョコを渡してきた。
女の子の母親はドアの前に立っている男の子の母親にお礼をいい、
女の子はそのチョコを大事そうに食べはじめた。食べ終わったら、
女の子はバッグの中からタブレット状の白いお菓子を取り出して、
男の子にそれを渡した。そのお菓子をにぎりしめながら、男の子は
女の子をじっと見つめていた。二人の母親は、目くばせをして、
微笑みながら会釈をした」
004
「赤坂見附に着くころ、女の子の母親の隣の席が空いた。
そこに男の子の母親が座って、男の子を呼ぶんだけれど、
男の子は首を横に振って、ドアの近くから動こうとしない。
女の子を盗み見るように、そっと見つめるだけ。女の子は男の子の
視線に気付いて、男の子をちらりと見るんだけれど、男の子はその時だけ、
僕の方を見るんだよ。母親同士は二人で盛り上がってるらしくて、
楽しそうに話している。やがて、四人は表参道でおりて、いってしまった。
何年前の話かな。とても昔の話なんだけれど。そして、はっと気付いた。
この光景って前にも見たような気がする。確かに俺はこの子供達を知っている。
……気がする。ともあれ、銀座線での出来事は確実にデジャヴだ。
別に特別な経験じゃあない。でもね、僕が経験した事は、
それとはちょっと違っていたんだよ。」
005
カオルは、自分で言いながら自分自身を納得させようとしている
ように見えた。少なくとも僕には。
「うん、違うんだ。デジャヴと言われればそれまでなんだけれど、
やっぱり違うんだ。なんというか……予定調和的な……筋書き
通りというか……うまく表現できないな……ところで、やっぱり君の
淹れるお茶はおいしいね」
もう午前0時を過ぎているけれど、僕はカオルを散歩に誘った。
雨はやんでいた。御徒町から、浅草の浅草寺まで30分かけて
歩いていくつもりだった。僕達は雷門に着くまで一言も喋らなかった。
僕はカオルに色々と(本当に色々と)聞きたいことがあったけれど、
実際にカオルが帰ってきて、目の前にいると、さまざまな疑問は
とても些細な事のように思えてきたのだ。
006
僕達は人気の無い仲見世通りを歩いている。
「幻想的だね」
「正直、この時間の浅草が一番綺麗だと思う。雷門をくぐって、
仲見世を通りすぎ、ライトで荘厳された美しい浅草寺を見る。そして、
人々は粛々と頭をたれ、真剣な表情で祈るんだ。昼間に訪れる
観光客とは違う、とても実際的な信仰心がここにあると思う。だから僕は
この時間のこの空間が好きなんだ」
「確かに空気が違うね」
とカオルは賽銭箱を見つめながら言った。ちょっと緊張しているようだった。
「空気が違う。本当に」
007
ふと、カオルは僕の方を振り向いて僕の顔を見つめた。いや、
僕の顔ではなく、僕の後ろにある、何かを見つめた。
僕は後ろを向いた。そして僕は、巨大な黒い岩を認めた。
黒い岩は僕を見た。黒い岩は徐々に赤く染まっていっているようだった。
黒い岩は腕を伸ばしてきた。腕はぐんぐんと伸びていって、
僕の腹に吸い込まれていった。 僕は、僕の腹と繋がった黒い岩の
腕をさわってみた。不思議な感触だった。自分で自分の腕にふれている感触だった。
いつの間にか、黒い岩はしゅうしゅうと泡を立てて、スライムのようにゆっくりと溶けていった。そしてあとかたもなく、無くなっていった。
「いこう」
とカオルは言った。
「どこへ」
と僕は言った。
008
カオルは、浅草寺の裏手にある病院の方向へ歩いていった。
病院の隣、ちょっと大きめの民家の庭に黒い岩は片膝をついて
うずくまっていた。身体中が血で真っ赤になっていた。黒い岩は、
その巨大な身体をほのかに発光させていた。
「とても美しい、呪詛の歌でした。俺以外の人達はみんな呆けていましたよ。
まさか詩人だったとはね。お久しぶりです、ノナニアです。
なぜこちらに来られました?ガッダルさん」
とカオルが言った。
「過ぎたる欲は身を滅ぼしますな。やはり、ヤグードの言葉は信じられませんなぁ」
と赤く染まった黒い岩が言った。
おわり
以上です。
>>369 ヴァナの方の物語は、以前どっかで発表した記憶があるんですよ。
んで、同じ事をツッコまれたような気が……
語り手の情報というのは、容姿とか、性格とか、そういうものなんでしょうか。
>>372 ほぼ、書いていた時の自分の考えと同じです。
すんませんねぇ、あんな独りよがりな文章をそこまで理解してもらっちゃって。
二人の主人公の一人称が違ったほうがメリハリがつくとは思うんですが、
お察しの通り、二人が同一人物かも、っていう余地を残したくて、
二人とも『僕』で書きました。
お二人ともありがとうございました。
「いきなりですが、こちらサンドリアの私です。バストゥークのケインさーん」
「はいよーって、なんだお前今回そっちバージョンか」
「来訪者バージョンですよ。きーさんそこにいる?」
「今オレの下だな」
「なに、ついに18禁?エル×ヒュムで腐女子対応?」
「いや、キャメルクラッチ食らって伸びてる」
「・・・ひどいことするなぁ。さて、絡むの?って話があるけどそのへんどう?」
「ネタバレだぞそれ。んーまあ、あっても話の中で出てくる程度かな。直接の絡みはない予定だな」
「おーけーブラザー。ついでにフォローもよろしく〜」
「あぁ?・・・あー、把握した。Kieselの読み方ね。Kies(キース)-el(エル)なんだが、sが濁ってキーゼルとなります。
現役当時はきーちゃん(さん)、キースと呼ばれてたっけな。今はネカマって呼んでるけど」
「あんただけでしょ・・・」
「否定しねぇんだもん。・・・お?」
「だ、誰が豆粒チビネカマ・・・」
「誰もそこまで言ってねぇっつの。はいおやすみ〜」
「ぎにゃああああああああ!!!!」
「・・・なにか聞こえたよ?」
「いや、おもいっきし気のせいだ。ところで護衛神エイトって5巻マジで出てるのかな?」
「さあ?」
652 :
既にその名前は使われています:2007/03/21(水) 09:19:18.14 ID:aNTtSIu/
保守
653 :
既にその名前は使われています:2007/03/21(水) 11:41:12.42 ID:y8AcQnEP
保守るよ!
654 :
既にその名前は使われています:2007/03/21(水) 13:15:31.25 ID:LUhEB+Jq
保守りage
655 :
既にその名前は使われています:2007/03/21(水) 15:42:44.63 ID:1tUIHJat
ていうかメインのストーリーなんてないでしょ
全部べつもんだよ
変にテンプレにしちゃうから混乱するんだよ・・・
フェイトとか赤ジムとか全部個人が勝手に考えた設定だし
656 :
既にその名前は使われています:2007/03/21(水) 17:26:46.84 ID:znvdSA7h
ある者の物語でフェイトは絶対悪という位置づけである。
しかし、別の物語では憎めない悪という位置づけである。
またさらに別の物語では、善や悪という事自体が無い。
世界に対する設定も、各々のストーリーも、全てそうだ。
不整合がイヤかい?画一化され調和の取れた世界が良いかい?
我々はその整合性の為に力を行使する側だ。
そして君は、世界に整合性を求めた。君は長生きできるだろう。
ようこそ、来訪者達に畏れられる削除者「フェイト」と呼ばれる側へ。
657 :
既にその名前は使われています :2007/03/21(水) 20:40:36.35 ID:/MOz41R/
ほすー
メインから完全独立の偏屈がきますた。
>>650 というより、画の描写が少ないなぁと感じてます。
他の人が小説をどう読んでるのか、というのはもちろんわかりませんけども、
俺の場合、文章から人物像(もしくは景色)を描写してる文を元に頭の中でその『舞台』を作るんです。
そこから物語を進ませていき、主人公の視点で物事を体験します。
こう読むと、自分の考え方との相違点などやその舞台の景色を眺めたりすることが出来ます(俺だけかもしれませんが)。
◆N4hISqu3agさんの場合その情報が少ない、そして元の文章力が高いために俺の想像力が入り込める余地が微妙になってしまい、
結果、畏れながら読みにくいと感じました(じゃあ俺自身は出来てるのかといえば甚だ、というより思いっきり疑問ですがw)。
もちろんそういう書き方をしてるプロの方もいますし、一概には言えない、とははっきりと言います(十人十色とも)。
時々思います。文(小説、手紙、伝言、チャット含む)っていうのは難しいな、と。読む側に判断を全て委ねる訳ですから。
それを、どうやってこちら側の見てる世界を見せるか、
っていうのは本当に作者の力量です。
>>651 (???????)これは…、許してくれてるのか?
(Bareiluyareilu)というより、こう読むんだバカタレとも読めるな。
クリティカル!! Bareiluyareiluは???????に153ダメージを与えた。
???????はBareiluyareiluに倒された……。
(Bareiluyareilu)…はい?
寝る前に保守
ドンマイだバレさん
660 :
既にその名前は使われています:2007/03/22(木) 09:48:28.92 ID:9RNt+u8G
そうだドンマイだともage
661 :
既にその名前は使われています :2007/03/22(木) 13:34:32.99 ID:dCDwgUq2
どんまいage
662 :
既にその名前は使われています:2007/03/22(木) 15:50:51.33 ID:FIkNPm2S
誰でも失敗はあるさ。どんまいage
663 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2007/03/22(木) 19:04:03.98 ID:th4zMPx8
はい、バレさんと同じく完全独立の話書いてる人です。
>>650 いや、こちらこそ申し訳ないです。
今読み返すとあのコメントを自分に向けられたら、よしんば内容は正しくても
ちゃぶ台返ししたくなるような、ちょっとキツイ書き方でした。
>>658 確かに書いた文章が、読み手にどう伝わるのか分かりませんから自分も苦労しますです。
物語の進行が一人称視点か三人称視点でも、相当人物像や風景の印象が変わったりしますしね。
個人的には世界の命運を賭けた話よりも、もっと小さい日常レベルの話を書く方が好きなので、
(でも読む分にはフェイトや黒服やら赤鎧とか好きかもw)
世界を牛耳る巨大な組織や悪役なんかが出てくると、ちょっと手に余るので出してません。
(ウルトラマンよりも仮面ライダー派というか何と言うか……)
コテつけて言い訳だけするのも何なのでageついでに軽くSS投下〜ヽ(゚∀゚)ノ
夕暮れが冷えた暗幕に多い隠される頃に一人の女性がパソコンを操作しゲームを終了させた。彼女は椅子の
背にもたれかかり、少しため息をついて白い天井を見上げる。
思い出したかのように携帯電話を手に取ると小さなディスプレイには一件のEメールを知らせる表示があった。
華奢な指でキーを操作すると、見慣れた文章がつづられていた。
『ミノリへ。元気でやっていますか?
お母さんがこの前買った地球環境問題の本が面白かったです。ミノリも――』
全てを読む前に彼女は携帯を閉じると、再びため息が漏れる。
「……夕飯何にしようかな」
人並みには料理の出来る彼女の脳裏に様々なレシピが浮かんでは消える。どれかに決める前に立ち上がり、
化粧も程々に出掛ける準備を終らせた。玄関の重い扉を開くと、冷たい風が首筋を撫でる。
アパートマンションの地階にある『ヌノツギ』と書かれたポストの中を覗き何も無いことを確認すると、すらりと
伸びた細い足は近くのスーパーへと爪先を向けた。
店内に入ると、視界には主婦をメインに様々な人が縦横無尽に流れていた。
カゴだけ手に取り何を買うでもなく歩き始めると、人々が白いマスクを手放せないこの季節に、花粉でもウィルス
でもないものが彼女の鼻先に流れてきた。それは精肉売り場に作られた試食コーナーからのもので、脂が焼けて
弾ける音が心地よいほどである。彼女の視線はその一角に釘付けになった。
一日中パソコンの前に座り続け紅茶しか口にしていない彼女は、その空腹から試食コーナーの傍らに積んである、
霜が良くのっている牛肉に手を伸ばしたくなる衝動に駆られる。
しかし、カメラの前に立つという仕事が――日の当たる華やかな仕事とは似合わない、人には明かしたくない
インドアな趣味を隠すための絶好なボディラインを維持する為に、彼女の理性はそれを手に取ることを拒んで
いる。
だが、ブラックペッパーと焼けた肉の香ばしい匂いに喉をならさずにはいられなかった。
彼女は先ほどのゲーム中で起きた出来事を思い返す。
それは自分が操作するキャラクターの目の前にレアアイテムを持ったノートリアスモンスターが居るが、その
アイテムは自分には必要がない、ともすれば所持アイテムの限界を狭めてしまう邪魔なものになってしまうもの
だった。しかし、彼女はイレギュラーな敵達の名前を目の前にすると、どうしようもなくモンスターに手を出したく
なってしまうのだ。
その時は、悩んでいる間に他のプレイヤーに敵を倒されてしまったのだが、目の前に並ぶ精肉パッケージは
十分に積まれている。考える時間は十分にあると思ったその時だった。
『ただいまより、精肉コーナーにて霜降肉のタイムセールを――』
店内に流れるアナウンスと共に、目の前の商品棚にタイムセールと書かれたノボリが掲げられる。聞きつけた
主婦達が次々と集まってきた。店員が試食品を渡すと、その数だけ積まれたパッケージが減っていく。
「……ううう。どうしよう」
一歩引いた所で見ていた彼女の口から思わず言葉がこぼれる。
しばらく悩んでいると、店員が彼女に微笑みかけた。すると何かを閃いたように彼女の表情は明るくなり、こう
一声かけたのだった。
「ちょっと試食してみて良いですか?」 〜おわり〜
と、まぁ、完全に自キャラ話とはかけ離れたSSで申し訳ない。
『地球環境問題』クラスの大きい話よりも、『今晩の食事』並みに小さい話でも面白く書けるように
するのが個人的な趣向なので、こんな話になってしまいました。
とりあえずネ実とFFのキーワードいれたから許してw
読み手に話の展開を委ねる余地を持たせるのも、これぐらいストレートの方が
面白く読める場合もあるっつーことで……。
こんなの書いてる暇があったら、「ヘキサガンの女」か「帰りたい男」の物語を書けって話ですねw