「朝起きたら自キャラになっていた」物語17.5

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1既にその名前は使われています
朝起きたら自キャラになってヴァナにいた。。。という前提でストーリーを作っていくスレです。
前提さえ満たしていれば、大抵どんなブッ飛んだ設定で物語を展開してもおk!
基本的に作者様毎の物語はそれぞれ別物です。互いに矛盾や理不尽があってもおかしくないです。
(ででおの話じゃないので、スレ名を修正しました)

保管庫
ttp://ss.ga4.net/
ttp://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/FrontPage

前スレ
「朝起きたら自キャラになっていた」物語17
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1169219734/
http://live25.2ch.net/ogame/kako/1169/11692/1169219734.html

避難所
朝起きたら自キャラになってた:避難所
ttp://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11ch/1155547002/l50

詳しい事は>>2-10あたりや保管庫・wikiへどうぞ。
2既にその名前は使われています:2007/01/28(日) 23:15:22.01 ID:7zahty2T
朝、起きたら自キャラになっていたFFXIプレイヤーたち。

ステキに過酷なヴァナ・ディール、笑いと涙の右往左往。

俺たち“来訪者”を排除していく、謎の集団も現れた!

この異世界に出口はあるのか?

リアルに帰還できるのか?

熱血、友情、ラヴ、バトル! 陰謀、シリアス、ギャグ、微エロ!

俺たちの明日はどっちだ!?
3既にその名前は使われています:2007/01/28(日) 23:15:54.71 ID:7zahty2T
"リンクしたお話を書いている人向けの"共通設定。これは絶対ではありません。
ある程度共通していた方が、読み手の方も分かりやすいのではという意図のものです。
参考程度に留めて、投下する方が自由に想像し設定してください。

LPは映像付きが多い (例:Yurifina氏のSSでは映るが、Lead氏のSSでは会話のみ)。
冒険者証明書は金属カードで、邪魔にならない所に魔法で入っている。競売は魔法紙で取引されている。
みつめる(/c)はとても嫌な視線扱い。時間感覚はリアルと同じ。tell等のSay・sh・echo以外は念話。
リアルからヴァナに入り込んだ人々の事を「来訪者」と言う。
「来訪者」はリアルの品物を三つまでヴァナに持ち込める、こともまれによくある。
いわゆるGMと同じ姿の連中がいて、「フェイト」という組織を形成し、洗脳した来訪者「黒マント」を使役して
「来訪者」達を狩っている。(マントではない、ただ単に黒装束のやつもいる)

この世界はゲーム内ではない、"実際のヴァナ・ディール"なのかも知れない?

レイズは意識不明(戦闘不能)に有効だが、完全に死んだ者には効果が無い。
4既にその名前は使われています:2007/01/28(日) 23:16:15.94 ID:7zahty2T
(まとめWikiのテンプレより)

キャラ紹介テンプレ

初出: 別スレ同番の人もいるようなので、スレも併せてお願いします
PC(仮)名: / 中の人:
種族フェイス:
ジョブ&Lv:
特記事項:
活動エリア:
あらすじ:

他キャラとの接触:
独自レギュレーション: 共通設定(?)と目される設定とは敢えて変えてある部分を明記するのはどうでしょう。
5既にその名前は使われています:2007/01/28(日) 23:16:35.86 ID:7zahty2T
テンプレここまで。それでは来訪者の皆様、張り切ってどうぞ。
新たな旅人も、一見さんもウェルカムです。

貴方の物語を、聞かせてください。
誰かと共に創る物語でも、貴方だけが紡ぐ物語でも。
6既にその名前は使われています:2007/01/28(日) 23:57:52.31 ID:1MHEiTc5
またおちちゃったのか・・・
>>1乙です
7既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 00:06:05.49 ID:qHdjKPzX
>>1乙です
まぁ、落ちても落ちても粘り強く立つスレというのも、風情があっていいものですな。(ぉ
8既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 02:07:18.91 ID:wwHpwnMp
実際問題としてネタ切れなら、しばらくスレ立てないほうが良かったんじゃないだろうか…?age
9既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 02:30:51.21 ID:Bm3X3Rxk
一回これやりたかったんだよね
     /                /      ゙i,  ヽ
    j                ,ィ/        |  |
    lィ'             ,ィ/j/          | iリ
   |         /l /          '"` | j
   リ!      /,ノ           _,、-''''` /リ  __________
     |   _.._ l/   ,.--;==ミ 、 ___,.ノ /{.○-゙‐rV /
    ヽ,/`ヽヽト、 ´  {,.○-`‐‐ 、,.-ト|    ,ノ< ハッハッハ! 見ろ!
     ∧ ̄ ゙i,   `ヽ,r'´      ノ.  ゙、--‐''´| \  人がエクスかリバーゼロのようだ!
     | | ̄ ゙i     ヽ、 __,,、-'" ,-、,:‐、〉  /   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     \\/. |          \\\  i
       \_'i       ___\\\|
           ヽ     `ー─''''"´\\\
            ヽ           j\\\".;":;"." :
 ".;":;"." :".;":;". \         / \\\".;":;"." :
  .;".;: .;"       \ ______ /´   \\\ ".;":;"." :
 :   ゴ オ ォ ォ …… ! !".;"     \\\   ;": ..;.;".;":
 ;"         .;".;": _.;.;_".;":       \\\   ド カ ァ ン !
  .;".;": ..;.;".; ζ /_.;_/| .;".;", _   \\\  .;".;.;".;":.
 .;".;": ..;.;".;": ;:'.;| ΓΓ | |;":从へ_/|   .  \\\"_.;__..
10既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 06:56:28.60 ID:HLwzXOaR
うわ、まさか落ちるなんて…
なんにしても素早い立て乙です。

う〜ん週に一回は投下する勢いでやらないといかんなぁ…
11既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 12:46:29.03 ID:upBzLqTD
うぅ、まさか落ちるとは・・・
しかも本編のデータを消してしまった・・・そんなにショックだったのか自分orz
と、とりあえず>>1さん乙です。
12既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 12:52:45.74 ID:h6YL2T4b
このヴァナ・ディールに来てしまってから、どれくらいの日数が経っただろうか。
やろうと思えば、戦いに赴くこともできたのだろう。だけどボクはそうしなかった。
いや、一度練習相手であろうヤグードの前に立ってみたけれど、
めちゃめちゃでかくて恐ろしいものに見えたそれと対面したボクは、
向こうから何かされる前に、一目散にモグハウスまで逃げ帰ってきてしまったのだ。
それ以来、僕は勢いで引退手続きまで取り、このウィンダス居住区で静かに暮らしている。
モグハウス以外にも、普通の住民が暮らしてる家なんかも色々あって、
モーグリとも別れて自炊を始めた僕は、今ではこの国の人たちにずいぶん受けいれてもらえた…ように思う。
鞄の中になぜか入っていた浅漬けの素がもったいなくて、
タマゴナス、シモカブ、バタリア菜、なんでもお漬物にしてみたのが結構好評で、
ご近所さんと取り替えあったり、晩のおかずをお裾分けしてもらったり。

要は世界を乱さなきゃいいんでしょ。
リアルのことも心残りがないわけじゃないけど、ここでの暮らしも悪くない。
何にもしないでおとなしくしてるから、どうか赤鎧さん、ボクのことは見つけないでね…。

そんな事を考えながら、今日も一日何事も無く、ボクは床に付く。
枕元のランプに手を伸ばしたところで、上からにゅう、と手が伸びてきて、
ボクの手を上から捕まえた。赤い金属で縁取られた、頑丈そうなガントレットだった。
「こんばんは。ヴァナ・ディールでの生活、お楽しみいただけておりますでしょうか? さて、今回お伺いした件なのですが…」
13既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 12:54:10.38 ID:xZrNTHdR
ハイパー兵器がないです><
14既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 17:01:47.23 ID:9WrkHWap
新スレ保守乙

避難所にヒロ氏の外伝ネタ来てましたね
夢見がちナナコカワユス
15既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 19:34:09.09 ID:upBzLqTD
黒髪の騎士が、つい、と指で指示する。
「総員その場に正座」
やり慣れない姿勢に、一団はやや乱れつつも揃って座る。全員の前には、ウィンダスから取り寄せた書台がある。
「着衣・姿勢・態度。これらはすべて乱してはならない基本であり、このたびはこれを確かめ諸君をあらためる。
よって本日の鍛錬は読書とする。離席は認めるが、姿勢を崩すことは許さん」
・・・仰々しい言い方しやがって。要はやる気がないから何もしたくないってことだろ。
心の中で兄弟に舌打ちし、正座のまま書へ視線を投じる。
端から見れば異国語で記された難書に見えるが、実際は彼が『こちら』に来た時に持ち込んでいたライトノベルだった。
理論的というより屁理屈をこねる錬金術師の物語は、彼が意地だけで読み切った、彼には合わない話だったのだが。
・・・活字中毒だな。
しおりが挟まれていた、シアン化合物についての長ったらしいくだりを眺めながら思った。
『maintenir』と金で記されたしおりが、わずかに煌めく。
「バラ科の植物の種子の大量摂取による中毒ねぇ・・・」
そういや、今日のおやつは何にしようかな。



兄弟を呼ぶ。
「なあ、杏仁豆腐食いたくないか?」
「・・・は?」
16既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 23:28:51.07 ID:qHdjKPzX
自キャラになってる物語を書いてる人と、
自キャラになった人の物語を書いてる人と、
二種類いるけど、だからなんだと言う訳でもなく。

面白く読めればそれで良いと思っている。
17既にその名前は使われています:2007/01/29(月) 23:29:03.92 ID:upBzLqTD
ネタもなく保守・・・
18既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 00:50:30.39 ID:Vl76EY53
ネタもないのに保守とな?
19既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 04:16:19.71 ID:DhYPS9EJ
ネタがないわけじゃなくて〜・・・
ちょうど続きのシーンを全部削除してしまった私は・・・orz
本編進められそうにありません(つД`)
20既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 08:00:19.47 ID:cFtSQ4tI
焦らずゆっくり、思い出し書きすればいいさー
21既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 10:45:05.67 ID:Khty4vgC
前スレにあった緑茶氏の「美しい国」だかの話で、
言葉使いを美しくするってネタがあったけど、
今マスコミが騒いでいる大臣の失言問題とマッチしてて、
読んだ時は、そんな事してどうするんだよwと思ったが、
今にしてみると妙に納得してしまうw
22ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:55:58.25 ID:Hk8XjidK
みなさまお久し振りです。短編を投下しておきながら中途半端なところで
1ヶ月も放置してしまって申し訳ないですorz
それでは、続きを投下しますね

初出: 1スレ19
PC(仮)名: ユリフィナ/ 中の人: ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ
種族フェイス: タルタル♀F5(茶髪のポニーテール)S
ジョブ&Lv: 白魔道士70
特記事項: エロモーグリ、レズエルヴァーン、サポ暗両手剣ナイト、ヒゲサブリガの詩人、フェローのリポケケと濃い連中にもまれてます。
活動エリア:ウィンダスが中心となっています。
短編あらすじ:レベルと実力が見合っていない来訪者から金品を巻き上げる「来訪者狩り」なんてものが
巷では流行っているらしい。その対策の一環として来訪者を護衛するクエストなんかも出てきていて、
私もフェローのリポケケとフレのユファファに護衛をしてもらう事になった。
だというのに、運悪く一人の時に来訪者狩りの現場に出くわしてしまった。
その場は何とかしたものの、その件で目をつけられた私の家に来訪者狩りをしていた連中が乗り込んできて・・・。
23新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:56:27.17 ID:Hk8XjidK
 手首足首が窮屈な感じがする。頬に触れる石作りの床が冷たい。空気が埃っぽい。
気持ち悪い。このまま眠り続けていたい。薄暗い。静かだ。肩が刺すように痛い・・・。
「ここ・・・どこ?」
 窓がいくつかる、物置のような部屋だ。大小さまざまな箱が無造作に積み上げられ、
天井の隅には干からびた蝶がかかった古い蜘蛛の巣があり、横を向いた視界には綿埃がいっぱいの床が映っている。
手首足首が窮屈なのはロープのようなもので縛られているかららしい。何故か猿轡のようなものはされていない。
「ボス、獲物は寄り道せずちゃぁんと一人で来ています。」
 箱の上に座っているのだろうか?かなり上のほうからひょろい狩人の声が聞こえる。
獲物?一人?何のことだろう? 
「ちゃんと丸腰かどうかは分からないのか?ファミリー。」
 もっと上の方から傷ガルカの声が訪ねた。
「広域スキャンにも限界があります。あのタルナイトの野郎の大まかな場所以外はわかりません。」
「そうか。まぁ武器がぁあってもこの俺様のファミリーへのLOVEパワァで瞬殺してやるがな。」
「人質もいますしねぇボス!」
 スタッと狩人が私の目の前に飛び降り、その衝撃で埃が舞い上がる。私が思わず咳き込むと
うれしそうに狩人が私の顔を覗き込んだ。
24新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:57:24.29 ID:Hk8XjidK
「あぁ?お姫様やっとお目覚め?」
「何を・・・するつもりなの・・・?」
「あの糞アマを処刑♪せーぜーいい声で助けを求めろよ?」
 ユファファの事だろうか?あんなに一方的にやられたのに勝てるつもりだなんておめでたい奴!
と、思ってもそんな事を言ったら何をされるか分かったものじゃないので黙っておく。
ああ・・・つくづく気が小さいな私・・・。
・・・あれ?でもさっきの二人の会話・・・。一人、丸腰、人質、ボス。・・・・・・ユファファピンチじゃない!!
しかも狩人の広域スキャンによると一人で向かってきちゃってる!?どうしよう・・・どうしよう・・・
私のせいで・・・どうしよう・・・。
 私の不安を察してか、思わず目を背けたくなるような邪悪な笑みを浮かべて狩人がこう、付け加えた。
「自分とあの糞アマのな。」
「そんな事しても・・・今頃モグタンがこの事を誰かに伝えているんだから、絶対にそんな事できないですよ。」
 なけなしの勇気を振り絞って、蚊が鳴くような声で何とかこれだけ言い切るが、狩人はフンと鼻で笑うだけだった。
モグタン、死んじゃったりしてないよね?無事だよね?私の事、助けに来てくれるよね?
 狩人の眉間に、突然皺が刻まれた。
「ん?・・・ボス!なんだかこの物置に近づいてくる奴がいます!」
「んだと?ここはもう数ヶ月以上放置されている物置だろ?とりあえず人質を隠しておけ!」
「あいっ!」
25新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:58:15.05 ID:Hk8XjidK
 蝶番をギィィと軋ませながらドアが開いたかと思うと、私は狩人のポケットから出てきた
しわくちゃのハンカチを口に突っ込まれ、さらには襟首をつかまれると手近な木箱へとほうり捨てられた。
頭から木箱の中に着地をすると、ゴッと硬い音と鈍い痛みが頭の中で暴れ周り目の前でお星様が踊りだす。
痛い・・・痛いってば・・・人質ならせめてもう少し丁重に扱ってよ・・・。
「君達は物取りの類かね?残念だけどうちの倉庫には金目のものはないですよ?」
 ユファファをフェローとして従えているヒゲと白サブリガと吟遊詩人の魔合成で誕生したもっこりキメラ、
ヒゲヒゲオヤジさん(本名はリチャードらしい。)の声に思わず目をパチクリさせた。
私は芋虫のように箱の中を這いながら少し大きめの節穴に近づいて外の様子を見てみると、
困ったような顔で後頭部をかいているオヤジさんと、微動だにしないガルカとヒュームの狩人の背中が見えた。
もうちょっと節穴に近づけばもっとよく見えそう。
 とつぜん、ボスガルカがバチンと豪快に手を鳴らした。
「おっと!これは失礼しました。ウィーはウィンダスは初めてでして、レンタルハウスを借りたものの、
ロードがわからずこんな路地裏の倉庫にまで迷い込んでしまって・・・。
いやぁ、レンタルハウスにしては物が多いとはミーもシンクしたんですがね・・・。
いや、これは失礼しました。アイムソーリー。ただ、ウィー達の荷物もすでにいくつか置いてしまったので
それを持って外に出たいのですが、現在ミッション中につき、バストゥークの国政に関わる物資がいくつかありまして、
他の国の方はもちろん、他の冒険者に見られるのもまずいものもあるんですよ、
ですから準備ができるまでしばらく外で待っていてくれませんか?」
26新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:59:01.67 ID:Hk8XjidK
 人間、嘘をつくと饒舌になるとはよく言ったものだ・・・。それにしてもこのガルカさんはよくもまぁ
ここまで口からでまかせを言えるものだと思う・・・。
 オヤジさん、今の話を聞いてどうするんだろう・・・。きっと私がさらわれたことをユファファに聞いて
ここに来たのだろうからこのまま帰るなんてことはないだろうけど。ああもう!よくオヤジさんが見えない!
私はひっしにイモムシ運動をして精一杯節穴に目を押し付けようとした瞬間、世界が大回転して、
背中と背中側にまわされていた腕を強かに打った。トドメに空から私が入れられていた木箱が脳天めがけて落下&ヒット!
たぶん今ので手首を捻ったらしく、少し動かそうとするだけで思わず声が出そうなほど酷く痛む。
頭は・・・言うまでも無い。もう・・・本当に今日は厄日・・・。
 室内だというのに、私には天井が涙で歪んではいるがチカチカ光る、満天の星空に見えた。
「彼女が見られてはまずい物資かね?」
 声がするほうに首を向けるとオヤジさん、狩人、傷ガルカが私をジッと見下ろしていた。
しばらくの間の沈黙。それを破ったのはガルカさんの咆哮のような怒声だった。
「見られちまったからにはしかたねぇ!アンクルにはぁしばらくの間スリープしてもらうぜ!!」
 ガルカはどこからか両手斧を持ち出しそれを構える。狩人もそれに従いボウガンを取り出す。
ガシャアアアアン!と派手にガラスが砕ける音に思わず全員が音のしたほうを向いた。
この部屋にいる4人がやったことではない。5人目の誰かが窓ガラスをぶち破り飛び込んできたらしい。
茶色い髪の毛をポニーテールにしている、ツリ目のタルタルの中ではかなり背の高いナイト、
ユファファがニッと笑いながら両手剣ではなく、短剣を振り上げた格好で現れた。
27ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/01/30(火) 12:59:39.83 ID:Hk8XjidK
本日は以上となります
あと、遅くなりましたがスレ立てお疲れ様です。
28既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 15:13:13.79 ID:2NSWNKBX
投下おつです
箱入り娘ユリフィナたん…そんなフレーズが浮かんだがどうしたものか

それはさておき、age
29既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 19:51:55.14 ID:DhYPS9EJ
木箱の中にユリフィナさんが入ってるのを想像しました。
30既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 21:27:34.46 ID:B6l1vegN
つまり、こうか…。




つ【赤魔導士AFクエスト3】
31既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 22:51:52.99 ID:c5RAn2oH
あ〜くそ
保守ネタが思いうかばねぇ…
だもんで唐揚げ
32既にその名前は使われています:2007/01/30(火) 23:26:24.08 ID:sx1mzqGh
美少女になってる夢はよくみるね。朝起きたら男でボロ泣きしてるけど・・・

33Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/01/31(水) 00:33:49.46 ID:jml6rrqE
>>1
スレ立て乙でございます
スレ17は、いつのまにか落ちておりましたね。驚き。
そしてユリフィナさん、お久しぶりでございます。
ユリフィナ軍団最強の漢(おとこ)、ヒゲサブリガの活躍を勝手に期待しております。
34Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/01/31(水) 00:45:11.37 ID:jml6rrqE
初出: 1スレ161
PC(仮)名: Lead、リード / 中の人:161 ◆zmxSLEadCU
種族フェイス: エル♂F4A
ジョブ&Lv: 不明 (片手剣、ガンビスンとガリシュズボン)
特記事項:
 ジョブチェンジ不能。クリスタル合成不能。睡眠がとれない。
 禍神から「マガシキノロイ」を受けている(→仕様が変わった?) 。
 はじめは記憶喪失だったが、記憶復活。管理者組織の裏切り者と判明。
前スレ(16スレ)のあらすじ:
 白昼堂々、ジュノ上層で赤い鎧“ハイプリースティス”の配下たちと戦闘。
 チョコボに乗ってジュノを脱出後、バタリアのシェルターからテレポデムでコンシュタットへ到着。
 バストゥーク経由でアルテパを目指す。
活動エリア: エルディーム→ジュノ→(機船航路経由)→ウィンダス→サンドリア→オルデール→ラテーヌ
        →ジュノ上層→バタリア→コンシュタット
他キャラとの接触:イッチ、マイウ、ゴイス、サン、レップ、ロック、
            メイミィ、クルス、ユリフィナ、タイガー(正体はルーファス)、アオツキ
独自レギュレーション:
 人間は死んだらそれまで。死んだ者は甦らない。一応、瀕死はレイズで息を吹き返す。
 戦闘やアビリティ、呪文や時間等の描写はあいまい。サーチ機能なし。
 基本はSayとShout。LS会話は通話のみ。視界内にいる者同士でtellができる人間もいる。
35Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/01/31(水) 00:46:40.64 ID:jml6rrqE
今夜は、まとめだけで力尽き。

↓ここにまとめてございます。前スレのお話はこちらからどうぞ。

ttp://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/Lead%5f161%20%a2%a1zmxSLEadCU%a1%a1%a4%de%a4%c8%a4%e1
36既にその名前は使われています:2007/01/31(水) 08:29:07.53 ID:QxXlzPz8
保守
37既にその名前は使われています:2007/01/31(水) 10:33:22.73 ID:oY98dIJA
保守野監督
38既にその名前は使われています:2007/01/31(水) 14:27:15.05 ID:M9QBXob7
ぼく、保守えもん
39既にその名前は使われています:2007/01/31(水) 18:40:58.59 ID:Wg/v5OwO
不明ったって…
どうみてもナイトです。本当にありがとうございます。

…だよなぁ。
ともかくワッフル保守。
40既にその名前は使われています:2007/01/31(水) 23:36:50.07 ID:Wg/v5OwO
鯖落ちてた?
41既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 00:39:26.21 ID:5laBxakj
2chの鯖の電源工事だったらしい。

そういやブログで物語書いてた人の話がFFの鯖メンテって所で更新停止してるけど
何気に続きが気になるんだが、続き書かないのかなぁ。
42既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 01:43:06.95 ID:SQMI3UfW
ブログの人気になるよねage
43既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 03:29:08.80 ID:ZCBuRq0a
リードからはブロントさんに近いものを感じるage
44既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 10:33:07.25 ID:PXbMbYf5
おまえメイミィさんの甲賀袴でボコるわ…
45既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 13:17:07.48 ID:pjobrLdS
「・・・ずいぶん増えたな」
いくつ並べられたのかも分からない、今は亡き『来訪者』たちの記憶の棺。そのうちのひとつを取り上げふたを開ける。
今はもう電源の入らない携帯電話と、小さなオルゴールが納められていた。
オルゴールのネジを巻き、留め具代わりのふたを開けると、柔らかな旋律が奏でられる。
『リアル』でよく聴いた、あの歌。
今にも壊れて消えてしまいそうな記憶をなぞり、小さく口ずさむ。
・・・新曲、出たかな。出てるよな、もう何年か経ってるし。
『リアル』の時間とこちらの時間に差があるかは分からない。だが、彼がこちらに来てから少なくとも数年は経っている。
実際のゲーム内時間と変わらないなら、大して時間は経っていないのだろうが。
「・・・私はここにいるよ・・・ねぇ、神様・・・」
それは切望にも似た声で、しかし、彼の声ではなかった。
振り向くと、修道士見習いの青年が、戸口で旋律をなぞっていた。
「・・・あ」
こちらに気付き、顔を赤らめてうつむく。
「あの、クリルラ様が、お呼びです。その、・・・今度の、合同演習のお話だそうです」
「合同演習?そんなもん、レティシアにやらせればいいだろ」
「レティ兄様は、今日は、ハルヴァー様のお手伝いだそうです」
「じゃあ、クリルラ様とふたりでしっとりしてくるかな。たまには保守の役得ってやつだ」
真意も隠喩も分からずにきょとんとする相手に、彼はオルゴールを押し付けた。
「歌ってくれ。忘れないように」
46既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 17:14:03.45 ID:4TViiJb7
さて本来ならば五種族でもっとも器用な種族はミスラだ
だがしかし目の前にいるミスラはとてもじゃないが器用そうには見えない
裁縫もできない、料理もできない、掃除も洗濯もできない。
そのミスラは今頑張って針に糸を通そうとしている
「ねぇ。それでも本当に五種族トップの器用さを誇るミスラなの?」
「うるさいなぁ・・・。気が散るでしょ・・・」
「ちなみに針に糸を通そうと決意してから十分経ってるよ」
「むうぅ・・・、できるかっ!!」
針と糸をテーブルに投げる。しかたないので自分で糸を通す。
「女ならもうすこし家事できるようにしたら?」
俺は布を縫いながらミスラに言葉を投げる。
「こっちの世界は合成よ、合成!手先の器用さなんて必要ない!それに夫もいるし」
「本当にそれでいいのかね・・・」
最後に玉止めして糸を切る。布にはきれいに保守と刺繍されていた
47既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 20:55:59.85 ID:pjobrLdS
にっこり微笑んで書類を差し出す。
「・・・何だろうか、マイブラザー」
「月例報告書、提出してないのお前だけだぞ?」
「なぜにっこり笑って剣に手をかけt」
「やれっつってんだよ」
手にした書類ですぱぁんっと兄弟を叩く。頭を抱える兄弟を一瞥もせず、棚からペンとインクを取り出した。
「いつもお前のところの奴らが気まずい顔でオレのとこに来るんだぜ?『すみません、隊長が見つからなくて』って」
「・・・もう少し鍛えたほうがよさs」
「お前が逃げるなっつの」
インク壷で一撃を入れてやると、もう一度頭を抱えて黙り込む。
ティポットとカップを机に置き、水のマナを操ってポットを満たす。炎のマナでポットを熱すると、茶葉を入れてしばらく蒸らし、
ストレナーでこしながらカップに注いだ。音律を操る兄弟とは似て異なり、彼はマナを操るのに長けていた。
「クリルラ様からいただいたバタリア茶。集中するにはいいぜ」
「・・・・・・・・・・・・。」
無言でカップを受け取り、口をつける。ほんのりと、茶葉特有の甘みがある。
「手伝ってやっから、さっさとやるぞ」
「・・・・・・分かった」
渋々とペンを取る。やる気になればさっさと終わらせるくせに、やる気になる気がないのではどうしようもない。
「こんなんで、保守人なんてやっていけるのかよ・・・」
溜息をつき、自分のカップに茶を注いだ。
48既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 23:17:29.22 ID:4TViiJb7
人によってはリアルでの才能がヴァナにも受け継がれるらしいことに最近気付いた
リアルでは一人生活のせいで家事全般ができる俺はヴァナでもたいていのことができる
逆に目の前のヴァナでは自称合成廃人な猫もリアルではだめなせいかヴァナでも全くできない
これもまた人によって変わるものなのだろうかと思いつつ刺繍をする
「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!」
ふてくされて散歩へ出ていた猫が叫びながら帰ってくる。実にうるさい
手には手紙を握っている
「ほらほらお父さんからだよ!うれしいなどんなこと書いてあるかなたのしm」
ハイテンション過ぎる・・・。この状態には着いてはいけない・・・
手紙を音読している。どんだけうれしいんだよと突っ込もうかと悩む
「お父さんは今ズヴァールで働いてるんだってー。仕事内容は雑用や保守だってさ」
あんなとこまで行ってそんな仕事とは・・・。しかも保守って・・・
「ああ、早く帰ってこないかなー。あの人ってねー・・・」
猫のノロケを聞きながしながら俺は刺繍を続けた
49Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/01(木) 23:52:18.97 ID:rIHuROek
食堂兼宿屋の、お世辞にも綺麗とはいえないレストランはそこそこ繁盛していた。
昼時ということもあり、それほど多くない数の丸テーブルが旅人や冒険者であらかた埋まっている。
あいている席を探すふりをしてざっと見回したが、その中に“奴ら”はいなかった。
まだ自分たちが捕捉されていないなら、この後の行動もやりやすい。
俺たちも、どこにでもいるような風体だ。無論、誰も見咎める者はいない。

目をつけた二人組を奥の席に認め、俺たちは一番入口に近い席についた。
「ちょっとした保険をかけておく」
看板娘のヒュームに二人分のパンとスープを頼んだ後で、俺はメイミィにそう断りを入れた。
いきなりそう言われて理解できるほど、彼女は場数を踏んでいない。
「保険・・・?」
「そう」
頷きながらギルの詰まった小袋を取り出し、中身を二つに分けた。
「囮を雇う」
注文した料理は手軽なメニューだったようで、すぐに丸テーブルに並べられた。
特に、大ぶりの各種野菜をぐつぐつ煮込んだトマト味のスープが、彼女の食欲を蘇らせたようだった。
メイミィには、今のうちにしっかり身体を温めておいてほしい。
「先に食べていて。話をつけてくる」
俺はギルを片付け、バックパックを手に席を立った。
50既にその名前は使われています:2007/02/01(木) 23:55:04.80 ID:5laBxakj
保守話の人、今日は好調ですなぁ。
写真を撮るように、いつかどこかの一瞬を切り取った保守話、
なかなか素敵ですな。
51Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/02(金) 00:33:37.11 ID:s4hwbsrZ
奥のテーブルに座る二人組の、一方は精悍な顔つきのエルヴァーン。
年季の入った黒鉄の鎖帷子を着込み、大剣を壁に立て掛けていた。
女性は髪の長いヒュームで、あいにくミスラではなかったが、そこまでの幸運は望めまい。
こちらは黒っぽい配色のシルクコートを着ている。
二人とも何の職業か大方の予想はつくが、俺にとっては別に何でも構わなかった。
望む仕事さえ果たしてくれれば、それでいい。
「ちょっといいかな?」 俺は二人組に声をかけた。「休憩中に申し訳ない」
まだ注文した料理が出てこないようで、テーブルの上には男の脱いだ兜が置かれただけだった。
「手練れの冒険者と見込んで、仕事を一つ、依頼したいんだ」
「ふむ・・・」
突然声をかけた俺を、何者かといぶかしむエルヴァーン。
ガンビスンにズボン、そして片手剣のみを佩いた俺の姿では、正体を推察することも難しい。
そんな俺たちにはお構いなしに、「お待たせーっ」と看板娘が出来たての料理をさっさっと置きはじめた。
肉の香草焼き、サラダにパンとスープ。ざっと見積もって、空いた丸盆に二人分の代金を多めに置いた。
カネ払いのいい人間、とイメージ付けることも、ときには大切なことだ。
「追加で、彼女にデザートを」
はーい、と奥に引っ込む看板娘。
「とりあえず、話だけでも聞きましょう。それから決めてもいいですよね?」
席をすすめられ、俺たちは簡単な自己紹介を済ませた。
俺はリードと名乗り、エルヴァーンはサイファー、ヒュームはナオミといった。
52Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/02(金) 00:34:37.24 ID:s4hwbsrZ
今夜の投下は以上です。
53既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 03:13:47.16 ID:yF3I7oS7
深夜のage
54既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 09:26:52.44 ID:ZW7pih8q
「・・・・・・・・・・・・ッ!!」
悲鳴。それが自分のものと気付くには、飛び起きてなお少しの時間があった。
「・・・夢・・・か・・・?」
寝着の胸元を掴み、どちらが現実か・・・どちらがすがるべき現実か・・・を判じようと首を振る。
寝乱れた黒髪は確かに彼のもので、夢の中で見た栗色の髪の誰かではない。
息を整え、汗を拭うと、苛立たしげに枕を殴った。




「そりゃ重症だな」
サラダをつつきながら、銀髪の兄弟が言う。
「医者に診てもらうべきか?」
「いや、医者でも治せないだろうな」
笑う。それは、『リアル』の記憶が薄れてしまい、『世界』に同化してしまった来訪者に起きる症状なのだ。
リアルから見たこの世界は架空でも、この世界から見たこの世界は、間違いなく現実だった。
「・・・しかし、熱心だな。夢の中でもスレ保守なんて」
口の中で呟く。彼には原因も、夢の内容も分かっていた。
ただ、もうその記憶を失っているはずの来訪者がなぜまだその夢を見るのか。それだけが分からなかった。
55ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/02/02(金) 13:49:29.21 ID:5pamSmGt
さっそうと保守age & 投下します
リードさんはまたもや新展開に向かっていそうで楽しみです
そして保守話の人の引き出しの多さが素直に羨ましいです
56新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/02/02(金) 13:49:40.88 ID:5pamSmGt
「先手必勝!サイクロンッ!」
 ユファファが振り下ろした短剣はガルカと狩人のいる辺りの大気を切り裂き、
そこを中心に真空の刃を無数に発生させる。
 脳味噌が筋肉で出来ていそうな彼女も一応は魔法を得意とするタルタル。
発生した真空の刃は力強く渦巻き、二人の全身に無数の切り傷をこれでもかというくらいに刻み込んだ。
うめき声を上げる二人にすかさず竪琴を取り出し魔物たちのララバイを歌うオヤジさん。
キラキラと光るガラス片を辺りに舞わせながら優雅に着地をするユファファ。
ちなみに、ユファファが撒き散らしたガラス片で私は頬を切った。痛い。
「さらに!追い討ちのサイクロン!炸裂!!」
 ユファファはどこからか白い羽で作られた扇のようなものを取り出したかと思うと、それを大きく一度振った。
その扇のようなものは、白い羽をユファファを中心に撒き散らしながら彼女に力を与える。
一瞬、彼女の両腕の筋肉が服の上からも一目でわかるほど盛り上がったかと思うと、
眠りに落ちかけていたガルカ目掛けてもう一度サイクロンを放つ。イカロスウイングだ。
真空の刃と真空の刃がぶつかり合い、ガルカのいた辺りの空間が破裂音を立てて炸裂し、
ガルカと狩人の悲鳴をかき消しながら白い羽と再びガラス片が舞い散る。
彼女は短剣をくるくると弄びながら優雅に舞う白い翼の中でニカッとさわやかに私の微笑みかけた。
「護衛の報酬に参りました。」
 うめき声を上げて地面をのた打ち回っている二人組みに眠気を誘う呪歌をもう一度聞かせ、
二人組みが眠りに落ちたのを確認した後、オヤジさんがなぜか嬉しそうにユファファに駆け寄った。
57新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/02/02(金) 13:49:52.12 ID:5pamSmGt
「ユファファちゃ〜ん、せっかく眠らせたのに起こしちゃだめだよ〜。」
 コツンと、軽くこぶしでユファファの頭をごつくと、ユファファの表情が突然子供のように変化した。
「えへへ、オヤジさんごめんね・・・オヤジさんが危ないとおもっちゃって・・・。」
 甘えた声でうっとりとした表情でオヤジさんを見上げながらユファファはとてとてとリポケケのような
いかにもタルタルといった歩き方で彼に近づき、彼の胸に飛びついた。
「私、オヤジさんだけのナイトになるって決めたんだもん。」
「僕も・・・ユファファちゃんのためだけに歌いたい・・・。」
 二人の周りにピンクのバラの幻が見える・・・。
 忘れられてる私がかわいそうだった 普通なら誘拐のことで救出する人がぜいいんだろうが
私は無視されたみんなとよrこび助けられたかったのでモゴモゴ言ってやったら
そうとう自分達以外が見えなかったのか効果がなかった
「ユリフィナ〜・・・あたし出番なかったよぉ〜・・・。」
 涙目で小さな体に不釣合いな巨大な両手斧を背負ったリポケケがとてとてと私のそばへとやってくると、
私の縄と、口に突っ込まれたハンカチを取ってくれた。
「ううん、リポケケが来てくれなかったらきっとこのまま二人に忘れ去られてた・・・。」
 ジトッと横目で救出劇のヒーロー達を見ながら後頭部や捻った手首にケアルをかける。
「リポケケ、モグタンは・・・?」
58新!護衛の報酬_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/02/02(金) 13:50:23.35 ID:5pamSmGt
 寝息を立てていたくらいだ、多分大丈夫だとは思うけれど・・・やっぱり心配。
「大丈夫だよ〜。モグタンくんがリンクパールでみんなにこの事を知らせてくれたんだよ〜。
ユファファはほんとは一人で行くつもりだったみたいなんだけど、
モグタンくんが止めてみんなで行くことにしたんだよ〜。」
「よかった・・・モグタン、無事だったんだ・・・。」
 ほっと胸をなでおろした私に、なにやらニヤニヤしながらリポケケが珍しく意地悪く一言。
「モグタンくん、『ユリのビンタの方がずっと強烈クポ・・・。』なーんて言ってたよ〜」
「なっ・・・!!!!」
 思わずカッと顔面に血が集まり、安心の気持ちが一転、怒りへと【コンバート】。
「それと、『ユリを守れなかったのに痛がる資格は無いクポ。』とも、ね。」
「んなっ・・・!!!!!」
 今度は顔の熱が別の意味でどんどんあがっていった。
59ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2007/02/02(金) 13:51:43.32 ID:5pamSmGt
以上です。
おやじさんとユファファの会話を打っていて、背筋が凍ったのは秘密w
60既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 16:30:52.39 ID:ZzYn4vhm
相当背筋が凍っていたのか、>>57の真ん中あたりの文章が
句読点が無くなっていたりタイプミスやなんかで崩れてるw
ニュアンスは伝わるから問題なく読み進められるけどね。

ユリフィナさんに一つだけ、どーしても文章中気になる点を……
かぎかっこの閉じる方には文の切れ目の意味があるので、
かぎかっこの台詞の最後は句読点はつけないんです。
「つまり、この最後の句読点は必要なく。」
「なるほど。つまりは句読点のない、こんな形なんですね」

でしゃばってすいませnうわnいをsるymえあjgぁいrgわっふるわっふる
61既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 17:33:26.88 ID:5pamSmGt
>>60
うあ、ずううううっと知りませんでした(|| ゚Д゚)
これからは直しますヽ(´Д`;)ノ指摘、ありがとうございます
62既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 19:52:33.19 ID:ZW7pih8q
「んなこたぁない。」
煙草をくわえたまま言う。火はついていない。
「・・・なんだ、いきなり」
「文章の話だ」
「・・・は?」
さっぱり分からない。だが兄弟はちっちっち、と指を振った。
「厳密なルールに則るならそれが正しい。しかし、現在は厳守されておらず(これはラノベが顕著か)さほど気にしなくてもいい」
「・・・断言するか、そこで」
「大体、正しい記述法を遵守していたら、読みにくくて分かりにくい場合もある。ケースバイケースってとこか」
「まあ、な」
「そもそも文章なんてのは、
・・・まあ、語ると自滅しそうなんでこのへんでやめとくけど」
「さすがに知ったかはやめたか」
「いや、これまでも全部知ったか」
「・・・・・・・・・・・・。」
「てか、一番守ってない奴が言えた義理じゃねぇか。ついでに保守、と」
言って、煙草をケースに収めた。
63既にその名前は使われています:2007/02/02(金) 22:06:12.25 ID:cWOhSG14
このヴァナの世界には踊り子というのを見たことがない。
いるのかもしれないが知らないだけかもしれない。
そして俺がヴァナで始めて見た踊りはどうみてもキチガイな踊りだった
「あの人が帰ってー・・・くっ!!!るっ!!!」
だれかこのミスラを引き取ってくれないだろうか。アトルガン貨幣一枚でいい
「頼む、お母さん。すこし黙っててくれ」
こんなこと言ってるが実際のとこ自分もかなり楽しみでならない。
一応自分の父親にはなっているらしいが俺が気付いたときには既にいなかった。
これだけ舞い上がってるのだから期待してもいいと思う、うん、きっとそう
64Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/02(金) 23:47:48.55 ID:s4hwbsrZ
皆様、投下乙でございます。
ほんのちょっとつもりで観たら、いつのまにか最後までTVの前に。恐ろしきジブリパワー。

ユリフィナさん御無事で何より。ヒゲサブリガGJ!(っ
保守人様方も絶好調とお見受けいたします。良き哉良き哉。
65Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/03(土) 00:28:49.04 ID:swrBvN0z
冷めないうちに、と俺はサイファーとナオミに食事をすすめた。
そして、自分たちのフリをしてバストゥークに向かってほしい旨の依頼を説明した。
俺たちは、そのスキにサンドリアへ赴き、アルタナ大聖堂に保護を求める算段だ、とも。
「追っ手たちとは、戦いたくないんだ」
言って、肩をすくめた。
「臆病風に吹かれた様には、見えないが?」
「もちろん。だが、これには人に言えない事情がある」
ぴんと伸ばした人差し指を口の前にかざし、声をひそめた。
人間、だれしも秘密とか裏事情という者には興味を引かれるものだ。
すっ、と目の前の二人が話に集中する気配を感じ、俺はこの依頼が成功する確信を得た。
「彼女は―――」
メイミィにちらりと視線を送った。つられて、二人も彼女のほうを見る。
気にしてこちらに注意を向けていたメイミィが、不意に視線を向けられてペコリと頭を下げた。
「とあるところの、お姫様だ」
俺は小声のまま、突拍子もないことを告げた。
「俺たちは愛し合っていたが、それとは別に、彼女は家同士の不本意な婚儀を迫られていた」
「もしかして」
ピンときたという表情で、ナオミの瞳がキラリと輝いた。
萌えの炎が彼女の背後にゆらめくのが見えた気がした。
「愛の逃避行!?」
66Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/03(土) 00:57:13.77 ID:swrBvN0z
「そう。俺は、彼女をさらって逃げた。今まさに、その真っ最中なんだ」
我ながらよくもまぁ、いけしゃあしゃあとセリフが出るものだ。
「追っ手は忠義に厚い家臣たちなんだ。・・・わかるだろう?」
わかるだろう、の部分に葛藤の色を滲ませる。
そんな演技くらいはお手の物だ。
「甘いヤツだ」
サイファーがひとこと言い捨てた。が、それはむしろ好意的なものだった。
“自分にはお前の気持ちが理解できるぞ”と大きく顔に書いてある。
俺は苦笑しつつ、話を続けた。
「故郷のサンドリアに行けば何とかなる。かばってくれる友人は大勢いるし、なにより」
いったん言葉を区切った。
決意したような、真剣な眼差しをサイファーとナオミに向けて三つ数える―――いいぞ、上出来だ。
「大聖堂で、結婚の誓いを立てるつもりだ」
まぁ、と目を丸くするナオミ。
「アルタナの女神に認められた夫婦は、何者も二人の絆を引き裂けない、ですね」
まるで自分のことのように舞い上がった様子の彼女に、ひとつ頷いた。
「それには、三枚の免状が必要なのだが・・・」
三枚の免状のうちジュノからはすでに入手済み。ウィンダスにはそもそも女神信仰は存在しない。
サンドリアにはこれから赴くのだから、残るはバストゥークのみ。
「囮として追っ手を引き付けつつバストゥークに入国し、聖堂で免状を入手―――頼めるか?」
67既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 01:31:42.63 ID:3+C5Jd4B
age
68Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/03(土) 01:33:38.43 ID:swrBvN0z
ねぇ、とナオミが目配せし、サイファーがそれに頷いた。
「OK。その依頼、請け負おう」
「ありがとう。助かる」
俺は素直に頭を下げ、思い出したかのように小袋を二つ、テーブルに置いた。
「報酬はこれだ。10万ある」 片方を手に取った。「半分を前払い。残りはサンドリアで渡すよ」
サイファーが残る一つを手のひらに載せ、その重みを確かめた。
「これだけでいい」
「?」
「もう半分は、俺たちからのご祝儀だと思ってくれ」
半ば驚き、すまない、ともう一度、頭を下げた。
「実は、正直苦しかったんだ」
冒険者の懐具合なんて皆そんなもんだ、とサイファーが屈託なく笑い、俺も笑った。
「悪いが、これを着て行ってくれ。追っ手の、目印になる」
俺はバックパックから、端々が焼け焦げたダブレットを大事そうに取り出した。
「ずいぶんと・・・特徴的だな、コレは。別に鎧の上から羽織るだけで構わないよな」
「任せる。あぁ、それから」 あやうく忘れるところだった。「万が一、追いつかれた場合は・・・」
「斬る、か」
「まさか。抵抗せず事情を説明して丸く収めてくれ。雇われただけだと。リードは、サンドリアに向かったと」
心配せずとも依頼は完遂してみせる、とサイファーは断言し、俺たちは握手を交わして別れた。
「では、サンドリアで」
69Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/03(土) 01:34:18.02 ID:swrBvN0z
今夜の投下は以上でございます。
70既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 11:10:05.54 ID:EygKQ2o9
報酬10万の仕事にしては大変な内容になる予感。
71既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 14:40:16.98 ID:eqZPw34i
俺がこの世界に来たのは今から五年前の夏。あの日はとても暑かった。
俺の母親を名乗る人が来たのは今から二十年前らしい。
二十年前。大戦時にこの世界に来て大戦に参加。その際同じ来訪者である父親に出会う。
そのまま結婚して今から十年前に当時十三歳で黒魔道士をしていたタルタルを養子に引き取った。
そして五年前俺がタルタルになった。ちなみに前とはあまり変わってないらしい。
そして今、俺達来訪者家族はセルビナでのんびり暮らしている。否、父親だけは出張中だ。
「そういえばあの人っていつ北に行ったの?」
俺は読書をしていた母親に質問した。
「あの人じゃなくてお父さんね。あなたが来る前だから五年以上前ねー」
「じゃあ一応初対面か・・・」
「そうねー」
母親は本を閉じて机に置いた。タイトルは「保守人として」と書いてある
「あぁ、早く帰ってこないかなぁ」
母親はぽつりと呟いた
72既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 17:24:16.18 ID:eqZPw34i
ageときますね!
73既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 19:37:28.39 ID:Lm+XGTQT
「ちょっとディタッ!!」
裏返った声が、ル・ルデに響く。長身のエルヴァーンにしがみつき、しかしずるずると引きずられる。
「・・・ルジェ、うるさい」
「うるさいって話じゃないでしょ!?」
抑揚のない低い声に、彼は悲鳴にすら聞こえる抗議で返した。
しかし相手は知らぬげに足を進める。手にした羊皮紙には、『保守』と記されていた。
「俺はあのふざけたジジィとガチで勝負しないと気が済まん。ルジェも分かるだろう」
「そりゃ、私だって爺様にやられまくったけど・・・って、ディタ」
不意に調子が変わる。気付いて彼女も足をとめた。
遠巻きに、鋼鉄鎧の数名が、こちらを訝しげに見ていた。明らかに怪しまれている。
「ウォルフ隊長に保護されてる身としては、少し慎んだほうが・・・うん」
「・・・それもそうだな」
もちろん後で『派手な行動をするな』としっかり叱られたのだが、この段階では彼らの知るところではない。
「そ、そうだ。アルドさんから、『来訪者』について話を聞きたいって言われてたんだ。お茶出してくれるかも」
「・・・む」
彼女は天晶堂によく入り浸っていた。
それというのも、彼女はスシが好きで釣りが得意で・・・後は、言うまでもない。
「そう言えば、ソールがあったな・・・」
「ね、じゃあ、それおスシにしよう?私も食べたいな」
何とかなだめて、ご老体をボコりに行こうとしていた相手を、下層へと連れ出すことに成功した。
74既にその名前は使われています:2007/02/03(土) 23:06:35.65 ID:Lm+XGTQT
机で頭を抱える弟に、兄はつんつんつついた。
「なにを悩んでいるのかな?」
「・・・兄様」
弟はペンを置き兄を見上げる。月光に似た金髪の彼と違い、兄は銀を梳いたような髪だった。
困り、戸惑い、あるいは泣きそうな顔で、兄へ言う。
「違う」
「え?」
「ここは・・・どこですか?」
懇願にも似た虚ろな声が問う。何を言うのか。何を言っているのか。この子は、・・・誰だ?
「兄様。『私』は、誰ですか?」
「誰、って・・・」
「ここはサンドリア・・・どうして、ぼく・・・姉貴も?」
うわごとのように口にする。彼の兄弟に女はいない。
「違う。ここは違う。ぼくは・・・私、は、どうして・・・何で?うそ・・・帰れるの?」
壊れたカーディアンのように呟き続ける。・・・分からない。いや、そもそも『彼』は本当に自分の弟なのか?
「・・・エティ、お前は何を・・・」
問いかけ、『この世界ではない場所から来た存在』の噂をふと思い出す。
それは彼の所属する騎士団で幾度か話題にあがっては、双子の騎士が一笑に付していた。
確か、彼らは言っていた。
「戻ろうとしたってもう戻れないんだ。それならせいぜい生き延びてこの世界を楽しむのがせめてもの抵抗だ」
75既にその名前は使われています:2007/02/04(日) 04:43:36.59 ID:cS5sfj2C
隊長の朝は早い。
というわけではなく、まだ日も昇らぬ頃にあることを思い出して慌てて起きたのだった。
「・・・お前さ〜、いきなり思い出すのはいいけど、オレを付き合わすな」
東方の装束に着替えた黒髪の兄弟に言うが、当然聞いていない。
・・・大体、どっから持ってきたんだ?
羽織袴に檜の三方(さんぽう)。炒った豆を乗せた折敷(おしき)には、何故か『保守』と記されている。
『リアル』の記憶はもうほとんど失っているのに、どうしたものかこういった行事の記憶は残っているらしい。
「豆をまいて鬼を払い、無病息災を祈る。守る者としてやっておくべきだろう?」
「・・・このイベントマニアめ」
おにはそと〜。ふくはうち〜。などと明らかに棒読みの言葉を聞き流し、押し付け・・・もとい渡された豆を見た。
炒ったコーヒー豆は、香ばしい香りを漂わせている。
「隊長、やっぱこれなんか違・・・あだッ」
疑問を口にした途端豆の襲撃に遭う。地味に痛い。
肌寒い早朝の空気の中で、ただ彼の溜息だけは静かに溶けていった。



「食用はブルーピースか・・・で、食べる豆の数は?」
「・・・よん?」
「・・・・・・・・・・・・。」
76既にその名前は使われています:2007/02/04(日) 09:55:55.72 ID:NMrOLE9t
その日はいつもよりか一時間も早く起きた。新聞もまだ届いていない
この感覚は遠足当日の感覚に似てるなと思いつつも何度目かわからない荷物チェックをする。
なぜこんなことをしているかと言うとそれは一週間前に遡る。

その日も雑用のためにその辺中を走っていると赤鎧を着た人に声をかけられた。
「そこの雑用係」
「・・・なんでしょうか?」
「確かセルビナから派遣されたんだよね?」
「はい」
「ずいぶんと長くいるしもう帰っていいよ。一週間後にセルビナまで送ってくから準備ヨロシク」

回想終了。あの赤鎧は誰なのかは今でもわからない。
そんなわけで久しぶりに我が家に帰れることもあって気分が浮いていた。
「お土産なににしようかな・・・」  男は遠い故郷にいる家族の顔を思い出していた
77既にその名前は使われています:2007/02/04(日) 13:21:37.90 ID:NMrOLE9t
父親が明日帰ってくる。
なんともいえない複雑な気持ちだがとりあえず釣りをして落ち着く。
竿が動く。掛け声とともに釣り上げる。
そこには『保守』と書かれた木の板があった。
78既にその名前は使われています:2007/02/04(日) 16:40:29.29 ID:cS5sfj2C
隊長の朝は(ry
「くぉらッ!!」
すぱぁんッ!!といい音が響いた。
紙を折り畳んだ東方の片手棍、ハリセンで一撃を入れられた相手は、本に顔を突っ伏した。
「痛い・・・」
「お前、今朝外を掃除しなかったのか!?ピェージェ王子が犯人捜してたぞ!!」
話では、路上にまかれた豆に足を取られトリオン王子が頭を強打し、突然『烈火の如しィィイイイ!!』と叫び出したとか。
「まだ日もないうちに、落ちたコーヒー豆なんか拾えるわけないだr」
「おバカーッ!!」
表裏に『信賞必罰自業自得』『保守点検安全第一』と書かれたハリセンで、後頭部にもう一撃をかます。
ぐにぅ、とか奇怪な声をこぼし、兄弟は突っ伏したまま患部を撫でる。
「今から掃除しても間に合わないだろう?」
「だったら最初から、・・・・・・ッ!!」
言いたいことが山ほどありすぎて言葉が出ない。
そもそもこいつは脱いだら脱ぎっぱなし、食ったら食いっぱなし、CDも本もほったらかしにしてどっかにやっちまうし、
賞味期限が半年も過ぎた食いかけの菓子が出てきてリアルレイズ【ください】になりかけたし・・・あーもう!!
いや待てよ、こっちに来てからは詠唱が面倒だからと適当に唱えるし(しかもそれで成功する)武具の手入れは部下任せ、
事務仕事は面倒だからとオレに押し付けて逃げるし今回だってくぁwせdrftgyふじこlp;@
「帰りたい・・・リアルよりタチが悪ぃ・・・」
平然と読書に戻る兄弟を見て、ハリセンを手にがっくりとうなだれた。
79既にその名前は使われています:2007/02/04(日) 20:49:41.06 ID:DLUrN/Zs
ハリセン実装きぼんぬ
80竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/04(日) 23:02:06.35 ID:d+YwnL5K
かりかりと走らせていた鉛筆を不意に止める。
時刻は既に午前3時。

「……明日から定期試験か、一応、やるだけのことはやったけど……不安だ」
一学生として、非常に切実な問題だ。これが乗り切れなければ、来週再びあの場所に帰れるかどうかもわからない。
そんなことを考えながら向けた視線の先にあるのは、最新機がコケたおかげで今後も某社の顔になるだろう物体。

そう、ゲーム機界の黒ダイヤことPS2(HDD外付け型)だ。
テストが近いからと、その機体にはここ2週間、全く火が灯っていない。
それは当然、ヴァナ・ディールにいる自分とも、ここ2週間顔を合わせていないということにもなる。
正直、そろそろ向こうに行きたくて仕方がない。
末期だな。と、自嘲めいて思ってみせても、その思いは変わらない。

「週末になればまたインできるんだ、それまでの辛抱じゃないか」
そんな思いを断ち切るように、机と部屋の電気を消してベッドの中に潜り込む。

ああ、早くインしたいなぁ……
81Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/04(日) 23:21:30.30 ID:FNqEes9V
皆様、投下乙でございます。
そして>>80に新たな犠牲者の予感・・・!
割り込みでなければいいのですが。


前回の投下はこちら >>65-68
82Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/04(日) 23:21:50.40 ID:FNqEes9V
ただいま、と俺はメイミィの待つテーブルの席についた。
「お帰りなさい・・・」
心配そうな顔で、彼女は俺の顔を覗き込む。
「引き受けてくれたよ」
彼女のほうの皿は、いちおう空になっていた。
一安心しつつ、すっかり冷めてしまった自分のスープを口にした。
俺たちの囮を引き受けるといコトが何を意味するか、そこまで説明していいものか・・・。
だが結局は、話さずにいた。
「冷めて、ますよね」
「ああ」
ときおり製粉しきれていない粒が奥歯に当たったが、食えればどうでもいい。
そんな捨て鉢な気持ちで、固いパンをほのかに酸味がきいたスープで流し込んだ。
“他人を犠牲にして、生き残る”
割り切れなさが自分自身をイラつかせていることは、理解している。
理解しているなら、抑制し、制御すべきだ。
「もう少し、ここで休んでいこう」
囮の二人とは時間差で出発しなくては。そう判断し、看板娘に二人分のサンドリアティーを頼んだ。
持ち帰り用にと、パンをスライスしたもので野菜と肉を挟んだ携帯食料も注文した。夕飯のためにだ。
「強行軍ですもんね」
メイミィは微笑んで、俺の沈む気持ちに追い討ちをかけた。
83Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/04(日) 23:22:05.66 ID:FNqEes9V
短いですが、今夜はこれにて。
84竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/04(日) 23:25:55.68 ID:d+YwnL5K
「ん……、朝か」
風が頬を撫でる感触と、首筋に感じる草のチクチクとした感触。そして明るい太陽の光で目が覚める。
あまり日差しの良いとは言えない部屋に住んでいたせいもあって、太陽の光を浴びて目覚めるというのはなかなか新鮮だ。
これはこれで、結構目覚めが良い。

「さて、今日はいよいよ試験本番だなー」
跳ね起きて、まるめて枕代わりにしていた上質のアメミットのマントを羽織る。
寝ている間に乱れていた長髪を軽く撫でつけ、竜騎士の証たるアーメットを被る。
もうしばらく愛用し続けているサハギン王の槍を、手の中で軽く一回転させながら背中の留め金に付ける。

鏡……はないが、近くにきれいな泉がある。水面に自分の姿を写して見る。
一際目をひくオレンジの胴着に、竜騎士の跳躍にさらなる力を与える股当て、火山に潜む怪物の皮より作られた上質の手袋。
そして異国の竜より削り出されたという脛当て、首には首鎖、耳には緑と透のピアスが一つずつ。
どこからどう見ても、立派な竜騎士の姿だった。
後ろで物音。振り向くと其処には、主人が起きたのを察したのか、軽く目元を翼で擦り、いまにも飛び立たんとしている子竜の姿。
「おはよう、オボロ」
軽く手を挙げ声をかけると、オボロも小さく喉を鳴らして返事をした。


………良くできた夢だなー、と。今更ながらに思った。
85竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/04(日) 23:28:42.67 ID:d+YwnL5K
何も考えず手書きでやってたもので、時間がかかっております。
リードさん以下、スレ住人のみなさん、今日はもう少しだけ続きます。どうかよろしくおねがいします。
86竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/04(日) 23:47:25.75 ID:d+YwnL5K
「まずいよなぁ……こういう夢、見るのって」
いくら何でもまずすぎる、少なくとも試験当日に見る夢じゃない。
だが、そう。なんて言ったらいいのか、この夢は……

「妙にリアルなのが、余計に気になるんだよな……」
足下の草を弄びながら、風に吹かれて考える。
リアルすぎる、リアルすぎて逆に違和感がある。

軽く胸元に視線を降ろしてみる。
普段ではあり得ないモノが二つ、胴着の上からでもはっきりとわかるふくらみが、胸部にくっついている。
何の間違いだろうか、これは。
立ち上がり、その場で飛び跳ねてみる。ふくらみはしっかりとその動きに合わせて上下に揺れる。ぽろりと取れてしまうような気配は全くない。
その後かなりの早さで走り回ってみても、反復横跳びをしてみても、そのふくらみはしっかりと動きについてきた。

一通りの検証を終えて、ようやくコレが本物であるという結論にたどり着いた。
そんな姿を、小さく首を傾げてオボロが見ていた。
87竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 00:15:28.47 ID:nk++zgwe
そんな検証のための運動中に、さらなる違和感を感じていたりする。
なんというか、身体が安定していないように感じる。中心を欠いているような感じだ。
唐突あるいは必然に、とてもとても嫌な予感がして両手を股間に当てた。
……ない。

「え……えええぇぇっ!?」
思わず両手で股間をまさぐり、そこにあるはずのモノを探した。いない。どこにもいない。
かけがえのないモノが、たった一人の相棒が、竜騎士にとっての槍のような、アレが。
血の気がひいていくような感覚、目の前が真っ白になりそうなのを必死で堪える。

「何で…何で、何でないんだァァァァっ!!」
声に驚いて飛び上がったオボロにも構うことなく、俺は余りにも大きすぎる喪失感にうちひしがれていた。

ぽかーんと口を開けて、空を見上げて呆けることしばし。
その間オボロはただ、慰めるように手に頬を擦りつけていた。
88竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 00:16:02.29 ID:nk++zgwe
夢にしても悪趣味すぎるじゃないか、これは。
そう考えると、なんだか怒りが込み上げてきた。
理不尽な状況への怒り、どうしようもない喪失感への怒り、ヴァナにインできない俺への当てつけかという、この夢そのものへの怒り。
ただもうどうしようもなくムシャクシャしながら、足下の草をひたすらむしる。
小さな石が落ちていた。丁度いい。このやり場のない怒り、こいつにくれてやろう。

「っざけん、なぁっ!!」
投げた、当たった。向かってきた。
その黒々とした巨体。ああ、アレはマーリドだ。

……地響きが、近づいてきた。
89竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 00:16:52.48 ID:nk++zgwe
今日はここまで、では、明日は試験なので勉強することにしますorz
90既にその名前は使われています :2007/02/05(月) 00:34:57.06 ID:myT/CLZP
おお〜新しい人〜!!
しかも、竜ですよ!!
今後に期待!
ま、まずは試験がんばってね〜
91既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 01:37:36.53 ID:h0RadbZL
age
92竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 02:06:40.59 ID:k2o608/9
黒い山が迫ってくる。地響きで足が竦む。蹴立てた土が頬に当たって微かな痛みが生じる。
本当に、これは夢なのかと思うほどに、余りにもリアルな感覚。だが、リアルであるはずがない。
「…そう、そんなはず、ないじゃないか」
認められるわけがない、認めて良いはずがない。そうだ、これは夢なんだ。
夢なら痛いはずない、殴られたって死ぬはずない。大丈夫だ。
そこまで考えて、頬は確かに痛かったのだという事を思い出したその時。
「う……うわぁぁぁっ!!」
衝撃と、奇妙な浮遊感。そして俺の身体は大地に叩き付けられた。その直後走る痛み、口の中に血の味がする。
「夢、なんだろ…夢なのに、なんで、何でこんなに痛いんだ?」
何がなんだかわからない。唯一理解できることがあるとすれば。このままでは、殺される。

「逃げなきゃ、逃げなきゃ……死ぬっ!?」
もう、なりふり構っていられなかった。ほぼ本能的に、反転して走り出す。
振り返る余裕もない。だが、轟音が後を追ってきていることだけはわかる。
とにかく白門まで逃げれば。そう思ったときに、2度目の衝撃は訪れた。
「あ……ぐ、ぁ。がはっ!」
後ろから突き飛ばされて、思いっきり顔面から地面に落ちた。
赤い液体が、口から吐き出た。痛い。とにかく痛い。
死ぬ。そんな言葉を、いままでの日常では絶対に感じることのなかった言葉を今、全身で味わっている。
最後の力を振り絞って身体を仰向けにしたところで見たものは、今にも俺を踏み潰さんとする巨獣の足だった。
93竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 02:42:33.13 ID:k2o608/9
死にたくない。死にたくない。死にたくない。
そんな想いと裏腹にゆっくりと振り下ろされる終わりを告げる一撃。
そんな時、声が聞こえた。
「跳ぶんだ、少しでも、生き延びるんだ!」
何故だろうか、とても聞き覚えのあるような声。
その声に導かれるように、体を起こす。今まで感じたこともないほど強く、熱い何かが、膝の所に渦巻いている。
そして、それを解き放つ。

轟音が響き、一瞬意識が飛ぶ。目が覚めると……
「すっげぇ……」
大凡常人には到達できない高み。雲にも手が届くんじゃないかと思うほどに高く。
じゃれるようにまとわりついて飛ぶ、オボロの姿。
「お前が、助けてくれたのか?」
その喉元を軽く撫でると、嬉しそうに鳴く。
94竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 02:43:51.11 ID:k2o608/9
真下を眺めると、白い甲冑を身に纏った何者か。ここからではよく見えないが、恐らくヒュームかエルヴァーンだろう。
巨獣目掛けて斬りかかっている。
「助かったみたい、だな」
短い空の旅はやがて終わりを告げる。重力に絡め取られて落ちていく、加速度的に地面が迫る。
大丈夫、なぜなら俺は竜騎士だから。
地面に降り立つ。僅かな土煙と、衝撃と共に。

「よかった、無事だったか!」
改めて見えたのは、白い鎧を纏ったヒュームの男。これはナイトだろうか。
「一旦飛びます、それまで、もたせて下さい」
その後ろには、白い装束に身を包んだタルタルの……性別の判断は遠目では付けられないが、恐らく白魔導師だろう。
なにやら長い呪文の詠唱に入ったようだ。
「アンタも一緒に逃げるだろ?なら、協力してくれ!」
巨獣の攻撃を、なんとか盾でいなしながらナイトの男が言う。
「あ、ああ!」
背中から槍を引き出し、男に向かって牙を突き出そうとするその横から突き込む。
それを意にも介さず、牙による連撃を繰り出す。いなしきれず、その牙が深々と鎧を貫き腹部を抉る。
「ぐぅっ……まだ飛べないのかっ!?」
「まだ、後少し」
お互いの表情に焦りが浮かぶ。
95竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 02:44:18.75 ID:k2o608/9
こんな時に、できることは何か……あった。
意識を集中させる、大丈夫、やれるはず。隣でオボロが頷いた気がする。
「ディアっ!」
弱体魔法としては初歩中の初歩の魔法、小さな光が巨獣を蝕み、その体力を奪っていく。
だがこれほどの相手に、しかも本職でない竜騎士の魔法であればその効果もたかが知れている。
そして、元より目的はそこにはない。
オボロの身体が光を帯びる、そしてその光が一転に収束し、吐き出される。
その光の向かう先には、巨獣ではなく男の方。そして、傷を癒す。

ヒールブレス。子竜がもつ、不思議な力。
他のどの竜にもこの力はない。竜騎士にだけ与えられた、癒しのための力。
そう、俺はこの力が好きだったから、竜騎士を極めようと、思ったんだ。

「飛びます」
詠唱が完成し、俺たち3人の身体が光に包まれ消える。
そして残されたのは獣だけ。忌々しげに唸り声を上げ、やがて虚空へ消えていった。
96竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 02:45:56.28 ID:k2o608/9
あー、本当に今度こそここまで、きょうはもうつかれました
97既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 03:15:17.81 ID:h0RadbZL
こんな時間まで乙と言っておこう
98既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 10:01:36.31 ID:UohIpHcu
胸のあるリューサンktkr!
楽しみにしてます。
99既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 12:42:20.06 ID:bLmmF9ZX
頭痛。
「・・・リポD・・・」
「あ?」
「ユンケル。ウィダー・・・」
瀕死の声にそちらを見ると、ペンを手にし机に突っ伏す兄弟の姿。
今朝から未提出の報告書をやっているのだが、一切の手伝いを禁じられているため、その進みは非常に遅い。
そして彼は、やる気を出す気のない兄弟の監視役だった。
「バタリア茶でよければ淹れてやるよ」
笑って、席を立った。


「書類は進んでいるかしら?」
からかうような声に苦笑で応える。彼の兄弟に提出を命じられた書類は、彼女からの達しだった。
「閣下も人が悪い。武具の保守内容なんて、あんなの報告書にしなくたっていいのに」
「あら、彼もそれを知っているはずだけど」
微笑みに思う。
いや、あいつ何を提出するかなんて把握していないな。でなきゃオレが毎回提出期限を教えていない。
「『彼女』、随分杜撰な性格なのね。『彼』とは違うわ」
隻眼の騎士の呟きに、彼は首を振った。
「・・・ええ。だからオレたちはいつも一緒にいるんです」
100既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 16:27:22.39 ID:Qdk/tWT0
リューサンだけにスレもスーパークライムage!

折角アトルガンから始まったのに、テレポ使って4国に行っちゃう
そんな今後の展開に期待。
アトルガンで活動してる来訪者少ないからなぁ、ちょっと残念かも。
101竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 17:11:58.54 ID:k2o608/9
見上げると映る、一面の青い空。たなびいている輝く雲。
目の前には巨大なクリスタル。そして感じる乾いた風。
この場所もまた、俺の記憶にある場所と同じ。
「テレポルテ、完了しました」
そう、ここは東アルテパ砂漠、テレポイント。

「危ないところだったな、だが、無事そうで何よりだ」
ナイトの男が、自分のケアルで傷を癒しながら声をかけてきた。
「あ…ああ、助かったよ、ありがとう」
本当に心から頭を下げる。まだ足は震えている。
全ては夢の中の出来事のはずなのに、なぜこれほどまでに怖いのか。
そんなことを考えていたとき、くいくい、と、服の裾が引っ張られる感触。
振り向けばそこには、さっきのタルタルの白魔導師の姿。
「傷が、残っています。少し、待っていてください」
詠唱、そして光が降りかかり、傷が、痛みが消えて行く。
余りにも現実離れしている感覚。そして、それをしっかりと知覚している自分。
頭の中である仮説が、ひっきりなしに浮かんでくる。だが、それを認めるわけにはいかなかった。
それを認めてしまえば、何か、大変なことが起こってしまいそうだったから。
102竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 17:27:42.89 ID:k2o608/9
「ユウさん、時間です」
「何っ、もうそんな時間か……」
何やら2人が話し込んでいる。
不意に、ナイトの男の視線がこちらに向いた。上から下へじっくりと、まるで品定めでもするかのように視線が身体を撫でていく。
何とも言えない嫌悪感、何か言おうとしたその時。

「そのレベルなら、ラバオまでは大丈夫そうだな。じゃ、俺たちは行くから、また縁があったらな」
「どうか、お元気で」
「え……あ、ああ」
今のは恐らくこちらの装備やレベルを見ていたのだろう。
頭では理解できた、だが、嫌悪感は拭えなかった。
もしこの夢が覚めて、再びゲームとしてヴァナに降り立ったときには、みつめるはあんまり使わないようにしよう。
そんなことを考えている内に2人の姿が虚空に消える。
棒かサポ黒か、いずれにせよ、デジョンであることだけはわかった。

そして、俺はまた一人になった。
103竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 17:37:26.87 ID:k2o608/9
き、今日はここまで……
比較的行き当たりばったりで書いてるもので、まだ今後の展開は未定だったりします。
というか来週末までずっと忙しいというのに何を書いているのかと小一時k(ry
104既にその名前は使われています:2007/02/05(月) 20:42:50.26 ID:qEvVieX9
人生なんて、行きあたりばったりなものさ。
105Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/05(月) 21:11:44.14 ID:9EQbsRiO
投下乙でございます。
>>103
やはり割り込みになってしまいました。すみませんでした。
異性のキャラクターは何かと難しいと聞きますが、
わっふるわっふるでございます。
そのうち、キャラどうしがどこかですれ違えたら良いですね。

前回のお話はこちら
>>82
106Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/05(月) 21:34:21.40 ID:9EQbsRiO
「でも、どうして急ぐんですか?」
メイミィが素朴な疑問を投げかけた。
あぁそういえば、それを説明していなかった。
「追っ手のこともあるが、ジュノでひと騒動起こしたから」
少し声のトーンを落として応えた。
忙しい昼時のピークを過ぎて店内もやや空き始め、隣のテーブルに人はいなかったが。
「俺は第一級容疑者だ。各国に国際指名手配の通達も行くだろうし、捕まったら斬首だな」
ええええっ、と目を丸くして叫びそうになるメイミィ。
とっさに口をふさいだ。
「いもしない自称冒険者のアラバスタが、だよ」
「むぐむぐ」
「でも、ほとぼりが冷めるまでジュノには行けないな」
「んぐ」
彼女が落ち着いたのを見て、俺は手を離した。
それに、と俺は付け加えた。
顔風体の似顔絵なり何なりを付けて“捜査要請”を出したところで、効果は薄い。
サンドリアにはハルヴァーやラーアルがいるし、ウィンダスにはアジドマルジドとラフィーナがいる。
ピンときて、握り潰すか形式だけで対応はお流れだ。
ところが、バストゥークはそうはいかない。
「あの国だけは、中枢にコネがない」
107Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/05(月) 22:05:07.62 ID:9EQbsRiO
確かに何度も“任務”で赴いたことはあったが、あくまで血生臭い仕事のためだ。
ただの冒険者のふりをした他国人が、都合よくお偉方と知り合える確率は低い。
むぅ、とメイミィがジト目になった。
「ピンポイントでまずいじゃないですか」
「まずいね。だから急ぐ」
にやりとしそうになるのを、意識してこらえた。
危機的状況になると可笑しさがこみ上げるのは、俺の悪い癖だ。
WANTEDの看板に自分の顔が並ぶ前に、可及的速やかにバストゥークを通過してアルテパへ抜けたい。
そしてラバオにいるはずの、モーグリを迎えに行かなくては。
「“あの男”が言うには大変な事態になってるらしいが、知った事じゃない。無視して通り抜ける」
俺は、明日は雨だってさ、程度の口調で言い放った。
ティーポットから二杯目を注ぐ。
色が濃い。まだ温かいが、これでは出すぎている。
「もともとバストゥークは平穏なエリアだったんだが、それには特殊な事情が」
「ううううう・・・」
「聞きたくない?」
聞くだけ聞きます、と彼女はティーカップに口をつけて、今度は茶の渋さに顔をしかめた。
俺は笑って、残しておいたロランベリーのジャムをひとすくい、ティーカップに落とした。
二人で過ごす昼下がり、といえば聞こえはいいが事態は切迫している。
これを飲んだら出発しよう。
108Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/05(月) 22:10:31.56 ID:9EQbsRiO
今夜の投下は以上でございます。
109竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 22:16:39.54 ID:k2o608/9
拝見させて頂きました、投下お疲れ様です。
早速何処かですれ違いそうなのは無計画故の奇妙な偶然なのか……
なんだかネタが沸いてきそうな予感がします(ぇ
110竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 23:15:06.68 ID:k2o608/9
いつ果てるともなく広がる砂漠、照りつける太陽の中をひたすらに歩く。
どうも俺はコンパスというものを見るのが苦手らしい。自分の位置を表示する魔法の地図をもってしても、あらぬ方法へ迷走したりしている。
このままでは、本気で砂漠で野垂れ死にかねない。それは困る。
いつの間にやら、どうせ夢なんだろうという楽観的な考えは欠片もなくなっていて。
今はただ、夢であって欲しいという願いだけがあった。

「暑いな……本当に、暑い」
少なくとも、今感じているこの身を灼く熱さは、リアルだった。

何とか、砂漠の端までたどり着くことができた。
それは、あくまでエリアを隔てるためだけに存在する天然の壁。
東アルテパ砂漠の構造は、地図を見ずとも頭に叩き込んである。つまり、この壁沿いに歩いていればいつかは西砂漠への境界に着く。
少なくとも、この世界が俺の知っているヴァナ・ディールであるのなら。

「……着いた」
どれほど歩いたか、ようやく目の前に洞窟が見えてきた。
あそこまで行ったら一休みしよう、日陰ならきっと少しは涼しいはずだ。
そして、確か鞄にはメロンジュースの材料があったはず、ジュースは竜ソロには欠かせない。
メロン味は好きじゃないが、それで喉を潤すことにしよう。
日陰が眼前に迫ったとき、誰かの声が聞こえた。
111竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/05(月) 23:45:08.70 ID:k2o608/9
「そっちはラバオじゃないよ、オネーサン?」
子供の声だ。少なくとも、声変わりを迎えた人間の声とは思えない。
額を伝う汗を拭って、もう一度眼前の光景に目を凝らしてみる。ガードがいない。

何故子供がここにいるのだろうとか、何故俺がラバオに向かっているのかわかったのか、とか。
疑問はいくらでもあるはずだった。だが、そんなことは後回しだ。今は、
「誰がオネーサンだ、オイ」
振り向いて、言って直後に思い出す。今の俺の身体は、生物学上女に分類されると言うことを。
直後にその考えを打ち消す。いくら身体が女だろうと、俺の心は、精神は、アイデンティティは男のものだ。
だからこそもう一度、胸を張って言ってやろう。俺は男なんだと。

「あのなぁ、俺は…「そんなことより、さっさと帰りたいんじゃない?こんな場所から?オネーサン?」
言葉は遮られた。そして俺は、その言葉の意味を図りかねている。
帰りたい?HP?こんな場所?東アルテパ砂漠?…この子供が流しのD2屋というのなら、話はわからなくもない。
だが、俺は生まれてこの方D2屋なんて人種を見たことがない。よって、この案は事実上廃棄となる。
だとしたら……帰りたい。リアルへ。こんな場所。ヴァナ・ディール。
他に思いつくものはない。自然に動悸が速くなるのを感じる。そして俺は…

「そんなことより、俺は男なんだ」
一番言いたかったことを、砂漠の熱気にもかかわらず黒いローブを纏った子供に向かって言い放った。
112竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 01:31:29.99 ID:kT7eWDvg
ちまちま書きながらの勉強飽きたよ……orz
というわけで、とりあえず現時点までで固まった設定を晒してみる。
PC名:不明
種族フェイス:不明
ジョブ&レベル:竜騎士73
装備:
武器:コロッサル 頭:AF1 首:剣侠 耳:アサルト&ファウリング
胴:アサルト 手:タラスク+ 指:不明 背:アメミ+ 腰:不明
脚:バローネ 足:ハイドラ
その他所持品:不明
活動エリア:ワジャーム→東アルテパ(現在はコロロカとのエリア付近)
他のキャラとの接触:現在の所無し
レギュレーション:
「来訪者」とされる者たち以外の全てのPCにはゲームにおける状態がそのまま適応される。
(戦闘不能になればHPへ戻る、どれだけダメージを受けても装備や身体への損傷は無い、疲れることがない等)
113竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 01:37:36.77 ID:kT7eWDvg
最後に、リード氏へ。
………N◎VAですか?(何
114Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/06(火) 01:58:57.18 ID:EQDMntuI
なのですよ(何が
いい加減保守だけでなく、テンプレを。


初出:指定避難場所123
PC(仮)名:キーゼル(Kiesel)/中の人:Kiesel◆nu123wJPbk
種族フェイス:ヒュム♂F4金
ジョブ&Lv:自称戦士。でももしかして赤じゃない?ともっぱらの噂。サポ不明
特記事項:中の人は知識も技能も村人A。小さい。何故かシオンと同じ装備を持つ。クリスタル合成・魔法の使用が不可能。
活動エリア:サンドリア→コンシュ→バス
前スレまでのあらすじ:
前々スレでシオンたちと合流した"私"は、まったく知らない"キーゼル"の存在に戸惑う。
混乱する"私"をミガイフォングが慰めるが、一方シオンたちを狙う存在があった。
・・・が、前スレでは特に何もありませんでしたorz
他キャラとの接触:なし
独自レギュレーション:現在不明
115Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/06(火) 02:03:21.96 ID:EQDMntuI
突き込んだ剣を半歩ずらして避け、薙いだ鎌を飛んでかわす。
敵対する男はなよなよとした仕草と裏腹に動きは早く、防戦一方と言えどこちらを軽くあしらってさえもいた。
「あらぁ、その程度かしら?」
しなを作り、ウィンクをして投げキッス。・・・と、鳥肌が・・・
私と暗黒騎士の男はたった数瞬で戦意を喪失しかけ、慌てて気を取り直す。
「オレたちの真の敵は・・・あのキモさだ」
「・・・言われなくても分かっている」
言葉を交わす間にも、「美しさは罪ね」などとよく分からないことを言っている。誰かあいつを黙らせてくれ。
「派手にいきますよっと」
「!?」
一瞬のこと。
不意に現れた存在が、手にした両手斧で男を文字通り『ぶっ飛ばした』。
派手な音と共に噴水に激突した仲間を気にもとめず、それまで静観していたシーフがわずかに身構える。
「・・・『騎士』」
「『欠片』にも手を出すのか?」
それは真紅のチュニックを着たヒュームの少年。金髪の下の表情は硬い。
シーフはにやりと笑い、得物を手にした。
「『鍵』はお前が隠していたのか。・・・なるほど、奪い甲斐がありそうだな」
「やらせるものか」
長大な両手斧を手に、彼は低く唸った。
116Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/06(火) 02:10:59.05 ID:EQDMntuI
少年の名はキーゼルと言うはずで、けれどその表情は、あの表情は、どこにもない。
頼りなく、情けなく、けれどすぐにころころと表情が変わり、人柄がよく知れる笑みはない。
代わりにあるのは明確な敵意と殺気。仮面のような表情は、冷たさすら感じられない。
例えるなら、やはり、研ぎ澄まされた剣なのだろう。触れただけですべてを断ちそうなほどに危うい。
まだ幼さを残す顔立ちにも、気だるげにすら見える振る舞いにも、はっきりとまとっているその気配。
つまり、こいつは。
「・・・お前が、」
「キーゼル・・・」
暗黒騎士が、名を口にした。
こいつがキーゼル。サンドリアの騎士にして冒険者。剣を持つ者。
そしてこいつが、
「・・・守る者・・・」




117Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/06(火) 02:14:32.71 ID:EQDMntuI
今回は以上です。
やった!消した本編も何とか復旧できた!
・・・いや、書き直しですがorz
さあ、これからどうやって迫力のない戦闘シーンを書こうか・・・アクションシーンはとかく苦手です(つД`)
118Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/06(火) 07:52:38.46 ID:LCHEc00+
>>113
なのです(を

◆OGiz5i2nGA氏、◆nu123wJPbk氏、投下乙でございます。
保守ageでございます。
119既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 11:07:54.20 ID:57Sv4Gou
Novaって面白い?ソードワールドとモンメカ、和訳で富士見のシャドウランまでだなぁ。

しかしトーキョーNovaってやったことないゲームが分かる俺もなかなかのもんだぜ。
120既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 11:25:25.22 ID:57Sv4Gou
そしてNovaといわれて真っ先に農婆のCMを思い出した俺。

まぁあの世界にいってまずやることはエル♀の彼女を作ることだな!
121既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 11:28:30.84 ID:AjI8ruDE
「今日もファング行かなきゃ。」
122既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 14:35:35.51 ID:EQDMntuI
ライディング・インファイトに命を懸ける私が(ry
言えない、私の中ではオーサカと2ndでとまってるとか言えない。
背後の人は、もう話が分からなくなっていますw
123既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 18:48:55.47 ID:bAdlht3Q
>>117
迫力のあるシーンを書きたいのか、
敢えて迫力のないシーンを書きたいのか…
124竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 19:15:36.59 ID:yFaTTNVN
「なんだ、つまんないの」
さして残念そうにも聞こえない、声。
やけにあっさりと納得したものだと思ったが、この世界はネットゲーム。納得されて然るべきだと思うことにする。
さしあたって一番わかってもらいたいことは相手に伝わったようだ。

「とりあえず話戻すけどさ、戻りたくないの?えー…っと、オジサン?」
コケた。
「誰がオジサンだ!誰がっ!」
流石にこれには憤慨する。明らかに口調が素なのが余計に気に食わない。
文字だけのやりとりならばきっと、こうはいかなかったのだろう。

「そうやっていちいち反応してると、いつまで経っても話、終わんないよ?……オニーサン?」
それでいい。と心の中で頷く。
だが、本当に話は進んでいない。いい加減に何か聞き出すことにしよう。
「悪いとは思うが、こっちにとっては重要な問題なんだ……話、続けてくれ」
やれやれといった様子で肩を竦めて、その子供は話し始めた。
125竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 19:57:22.20 ID:yFaTTNVN
「来訪者」だとか、「フェイト」だとか、色んな事を聞かされた気がする。
だが、そんなことより何よりも俺を打ちのめしたのは、この世界での死は、本当の意味での死だということ。
そして、この世界から帰還できたものはほんの僅かしかいない、ということ。

「これで基本的な説明はお終い、で、ここからが本題なんだけど……」
「嘘……だ」
全ては夢だ。ノンレム睡眠の作り出した幻想だ。認めない。認めてはいけない。
喉がカラカラだ。そういえばまだ何も飲んでいない。
こんな感覚も、全て幻想なんだ。この暑さも、踏みしめた砂の感触も全部。
「あり得ない…こんな、馬鹿げた話。あり得るはずが、ない」

「わっかんない人だねオニーサンも、こんなに物分かりの悪い人を見たのは初めてだよ」
既に呆れが入った様子で呟く子供。
「あんまりこういうことするの好きじゃないんだけどさ……仕方ないかな」

最初に感じたのは、熱さ。そして、痛み。
「う…ぁ、あぁぁァ!」
大振りのナイフが、腹から生えていた。
126竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 20:35:04.16 ID:yFaTTNVN
痛い。とにかく痛い。頭が混乱している。
何でこんな事になっているのか、原因と結果が全くリンクしない。繋がりがない。
「この痛みは本物。わかるでしょ?」
その手が翻る。ナイフが引き抜かれ、その手に戻る。
赤い液体が流れる。胴着を赤く染め上げて、砂漠に赤い染みを残して。
ほぼ反射的に俺の手は腹部を押さえて。その手が、子供とは思えない力で捕まれて。
「この血も本物。それでも信じられないんなら、もういいよ。要らない」

信じたくなかった。信じられるわけがなかった。
だが、拒んで死を迎えるか、受け入れて生き延びるか。死ねるはずが、なかった。
「ぁ……ぐ、じゃあ、俺は……ヴァナ・ディールに、居るのか」
認めてしまった瞬間、全てが色を失った。
127竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 20:55:03.82 ID:yFaTTNVN
ヴァナ・ディールがただのゲームの舞台であった頃、俺のキャラクターは女だった。
そして俺自身も、女のキャラクターという役割をずっと演じていた。
よく言えばロールプレイ、悪く言えばネカマという奴か。
「俺」という存在の在処は、あくまでもリアル。ヴァナ・ディールではない。
そして今、リアルは失われた。つまり俺は、存在するべき場所を失ったのだ。
それを、認識した。

「やっとわかってくれたね、オニーサン。さて、それじゃ本題に移ろうか」
ぱちん、と子供が手を叩くと、彼女に付けられた傷が、一瞬にして塞がった。
衣服の傷も、赤い染みさえもが同じく消えた。
「で、オニーサンを元の世界に戻そうって話なんだけど…って、聞いてる?おーい、オニーサン?」
その場にへたり込んだまま、一切の反応がない彼女の様子に、不審がって子供が問う。
答えはない。

(緊急招集、手の開いているものは至急、本部に戻られたし)
事務的な声、その子供にしか聞こえない、誰かの声。
「ようやくここまできたのに、ついてないな…じゃ、続きはまた今度ね、オニーサン」
子供の姿がかき消える。

そして、再び彼女は一人残された。
128竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 21:03:11.73 ID:yFaTTNVN
ひとまず今日はここまで……思いつきだけで書き続けてます。
ちなみに、N◎VAは一回しかやったこと無かったりします(ぉ
129既にその名前は使われています:2007/02/06(火) 21:38:10.94 ID:EQDMntuI
思い付きは物語を進める推進力ですよ。
130竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/06(火) 23:41:08.14 ID:yFaTTNVN
今のところは思いつきをメインエンジンにして突き進んでるもので……
エンストしないように気を付けていきたいものです

ちなみに、私はDX派です(何
131竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/07(水) 01:45:01.59 ID:WbttNAWh
「ん……くぁ、ぁ」
一つ欠伸をして、彼女は目を覚ました。
「なんだか、すっごい長いこと寝てた気がするよ……でも、もう寝るのはお終い」
立ち上がり、辺りを見渡す。
青い空がある。輝く雲がある。一面に広がる砂漠がある。
オボロが居る。背には槍がある。彼女にとってのリアルがそこにある。

「そう……ここが、私の世界」
それはある種の別離。それまでそこに存在していた、何かとの。
そして彼女は世界に告げる、自らの存在その物を。

「私は、シェティ」
132竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/07(水) 02:01:17.72 ID:WbttNAWh
一応ここまでを第一章という事で、思いつくままに突っ走ってきました。
リアルの人間本体である「俺」人格は、自分の存在を認められずに、ある意味での死を迎え。
代わって彼が演じていたキャラとしての「私」人格、シェティが新たな主人公となります。
リアルでの経験と記憶、そしてヴァナで行使される、キャラとしての能力。ようやく両輪が揃ったところででしょうか。
第二章、近日公開。こうご期待。


……決して野郎な女キャラを書く自信がないとかそういう訳じゃあ(ry
133Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/07(水) 02:11:25.13 ID:lckqe9t6
歩いていた。
真っ暗な道はどこへ行くのかも分からず、どこから来たのかも分からない。
無意識に聞こえるのはル・ルデの庭の曲。アトルガンまではいつもいたっけ。
私の横を、小さなタルタルが走り抜けていく。あのポニーテールには見覚えがある。姉のキャラだ。
あれ・・・じゃあ、ここは?まだ夢を見ているのかな。


朝起きたら                                       自分のキャラになっている
                         夢。


なんて滑稽な夢だろう。
目が覚めたらきっと、いつもの朝なのに。




「・・・・・・は、は」

134Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/07(水) 02:13:38.98 ID:lckqe9t6



ははは。



何だ、これ。



どうして。



あはははははは。



135Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/07(水) 02:14:58.52 ID:lckqe9t6



どうして


                            手に入れようとするんだろう。



          ここにあるのに


                                                     私は、ここに





136Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/07(水) 02:23:37.89 ID:lckqe9t6
っというわけで>>115-116の続きでした。
今回はかなりアレな投下です。キモいですね。うん。
できるならギャグを入れたいですね。シド工房長のセクスィーチラリズムとか。
・・・どこで出せばいいんだそんなシーン。


>>123
それはきっと、『迫力を求めているはずなのに何故か迫力がかけらもないヘタレシーン』の間違いです。


>>132
大丈夫!素が男らしくて常にネカマなミsrくぁwせdrftgyふじklp;
137既にその名前は使われています:2007/02/07(水) 10:03:38.04 ID:Qyfx9rPV
age
138既にその名前は使われています:2007/02/07(水) 14:50:05.81 ID:7CpcSzPT
ageage
139既にその名前は使われています:2007/02/07(水) 18:08:59.02 ID:5lR42VWD
朝いつもの通り目を覚ますとすでに母親が起きていた。
これにはびっくらこいた。このミスラが俺より早く起きるなんてアリエナイ。
しかも料理をしている。・・・少々危なっかしいがほっとこう。
さて今日は何の日なのだろうか。いつもの通り青いフィッシュ装備に着替えながら考える。
朝早くから普段やらない料理をやる…。不気味だ…。嫌な予感もする…。
俺は黒AFの帽子をかぶると竿を背負いばれないように外にでた。
外はいつもの通り快晴で青い空がどこまでも続いている。
丁度汽船も来ていて『ほしゅー、ほしゅー』と汽笛を鳴らしている。
いつもどおりののどかな風景。今日もいい日になるだろう、と思った
140既にその名前は使われています:2007/02/07(水) 22:16:33.42 ID:0is/j6rj
海賊船もほしゅーほしゅーだったらカワイイな
141既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 01:22:39.70 ID:Hq0rXeNI
age
142Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/08(木) 04:03:19.68 ID:mSrMydDM
汽笛を思い出そうとしたら、なぜか汽車の警笛を思い出しました。
汽車は〜闇を抜けて〜♪




・・・続きを少し。
143Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/08(木) 04:06:12.12 ID:mSrMydDM
「・・・え?」
不意の声に顔をあげる。
聞こえる。なぜ、
「なぜ、笑っているの・・・?」
高く、高く。哄笑が響く。
それは可笑しく、奇怪しく、苦しく、悲しく、寂しく。ただ空虚に響く。
いや、それは悲痛な叫び。なぜ、どうして、と求める嘆き。
「・・・どうして、泣いているの?」
恐らく彼女もそれを理解してはいないだろう。それほどに虚しく、憐れだった。
カイは胸からさげたペンダントに触れ、悲しげにうつむく。
「そんな声をしないで。あなたは欠片にならないで」
哄笑は続く。ただひとりの声なのに、輪唱のように途切れない。きっと分かっていないと、そう分かった。
「あなたを守るためだから・・・だから、」
言葉が続かない。喘ぐように息を吸う。ああ、なんて声なんだろう。
こんなにも優しくて、こんなにも悲しいなんて。


「お願いだから・・・『シオン』」

144Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/08(木) 04:14:11.92 ID:mSrMydDM
は、は。
乾いた声が哄う。
「ははははは。はははははははははは、あははははははははははははははははははははははははは」
高らかに、そして空虚に響く。
真紅をまとったヒュームの少年。シャポーを深くかぶり、腰の剣に手をかけ、薄い胸をなお反らせて笑う。
割れた声にも気付かず、ただ無心に。
「あなたは・・・」
知らずカイが誰何すると、哄笑はぴたりとやむ。
表情のない瞳が彼を見つめ、それから、にぃ、と口を歪める。
「ああ、」
柔らかなテノールが無邪気に笑う。
幼いその表情は、しかし深淵の底を見つめるように昏く、腐食され枠ばかりを残すかにすら思えた。
「そっか。・・・ああ、そうだ。はは」
虚ろな笑みはとてもあどけなく、悲しくて。
「・・・あなたは、」




145Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/08(木) 04:17:10.07 ID:mSrMydDM
今回は以上です。
また話が暗い・・・(つД`)
しかも誤字を発見してしまったりもしましたが、もう開き直るばかりです。
146既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 09:48:12.01 ID:soupljec
そんなこと言われると誤字探ししたくなるわ。

パッと見わからなかったけど。
147既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 11:04:49.08 ID:lZTNUv1V
みたYO!!
ageるYO!!
148既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 15:22:43.43 ID:mSrMydDM
え、バレてる!?Σ(´□`;)
149既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 17:54:57.45 ID:uXKwvqlw
  _,,_
 ( ・д・)ノ" <保守
 ノ(へωっ)へ
150既にその名前は使われています:2007/02/08(木) 21:12:23.62 ID:o0nC11Cs
誤字が見つけられないよage!
気づかなければ、それはそれで問題なさそうだがw
151Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/08(木) 23:39:42.52 ID:O8zU+oT1
皆様、投下乙でございます。
まずはageでございます。
152Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/09(金) 00:10:38.19 ID:joaaBWU5
管理者側にとって、バストゥークというエリアは特別区だ。
“赤い鎧”が常駐しているのは共通しているが、事情が異なる。

ティーカップ一杯分のつもりで、俺はかいつまんでバストゥークの話を始めた。
・・・多少、長くなりそうだ。

周辺エリアも含め、かの地域を担当するのは“テンペランス”。
テンペランスは一切、姿を現さない。
バストゥークにいることは確かだが、俺は会ったこともなければ所在地も知らない。
いや、一度だけズヴァールで遠目に見たことはあったが。
彼/彼女の役目はただ一つ。

「常時、バストゥーク全体に結界を張り続け、維持すること」

それはウィンダスでチャリオットが展開したような結界とは、目的が異なる。
非常に微弱で、いかなる者の出入りも自由。
通常では、結界があることさえ気づかないだろう。
次元干渉による空間崩壊の極限時間、666秒の制限もない。
「だが、こいつが曲者で」
テンペランスの結界は、いわゆる来訪者にとって、深刻な影響を与えるものなのだ。
153Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/09(金) 00:40:47.76 ID:joaaBWU5
「テンペランスの結界は、来訪者の侵食率を急速に促進する」

確かに、なんらかの対策を講じない限り、その日は必ずやってくる。
リアル世界に帰れない以上、環境に適応するのが自然な生き方だと考える者も多い。
穏やかに緩やかに、あるいは何かのきっかけで、来訪者はヴァナの元人格と魂が同化する。
この世界の存在であることを自ら認め、リアルの魂を手放し、ヴァナ・ディールの住人になってしまう。

―――そして“赤い鎧”に抗う資格を、喪失する。

見えない結界によって、バストゥークにいる来訪者はそれと気づかないうちに、急速に魂を侵食されるのだ。
試験運用だった頃から最近に至るまで、すでに大勢の来訪者がそうなっている。
だからこそ、バストゥークは今まで基本的に平穏なエリアだった。
わざわざ赤い鎧や黒マントが出向いて異分子を抹殺する必要が無いほど、完璧に思えるシステム。
「うっ・・・」
ぶるっ、とメイミィが身震いした。
そんな見えない恐怖が蔓延する所に今から行かなくてはいけないのかと、涙目で訴えている。
「大丈夫。完璧なものなど存在しないよ」
テンペランスの結界にも、致命的な欠点がある。他の同僚が“おまじない”と呼んでいた理由がある。
そのため、同型の結界がヴァナ・ディール全土に敷設されることはなかった。
「“赤い鎧”一人分のコストの割に、強い意志や目的をもつ者には、からっきし効果がない」
154Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/09(金) 00:46:20.47 ID:joaaBWU5
今夜の投下は以上でございます。
155既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 03:25:35.85 ID:JaZdTnNh
ageよう
156既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 04:50:40.79 ID:846kyu9u
>>100 アトルガンや辺境地帯といったゲーム的には未実装エリア(1スレたった2006年1月前後において)にはこの物語の悪役さんたちのいう「神の力」は及ばない。

よって来訪者や赤鎧はメザラクでぶん殴られると大ダメージを受けるらしい。
157Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/09(金) 07:02:51.97 ID:joaaBWU5
おはようございます。
保守ageいたします。

>>156
・・・?
158既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 08:05:56.07 ID:Ur27BSHU
自キャラスレの1が立ったのは2006年の3月だな。
159既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 12:20:19.11 ID:0IQayo4w
いつだったかは覚えてないけど、アトルガンが出てなかったのは間違いないですね
1スレで描き始めた時、アトルガン実装のメンテで鯖落とされてリアルに帰ってくる結末にしようとか思ってたので

ま、筆が全然追いつかなかったんですけどね(´∀`)
160既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 15:31:39.98 ID:JaZdTnNh
アトルガンでたの4月だったかな
161既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 17:05:39.41 ID:IBovObFU
そして避難所設立は2006年8月ですね。
面白そうだったから適当に書いたはずなのに、どうして壊れた話を書いているんだろう・・・


というか、アトルガンでの赤鎧の描写がないので何とも言えないのですけども、
私は実装していないから赤鎧は影響を与えない/受けないでなく、
基本的に『ヴァナ・ディール』すべてに干渉できると考えてます。
極端な話、いきなりバスにケルベロスを持ってきたりするのもアリとか。
あるいは各種NM・各ミッションのボス詰め合わせセットをプレゼントしてくれたり。
だって、悪者は都合よく邪魔をして、主人公は都合よく勝つものですし(´ー`)
ダンジョンを抜けた先で「ふはははは、待っていたぞ!」と敵が待ちかまえてるのも、
重要なものを「とんでもないを見つけてしまったぁ(棒読み)」と見つけるのも、
すべて様式美ですw
162既にその名前は使われています:2007/02/09(金) 18:24:45.15 ID:t4zVlPfe
アルテパ砂漠にギーヴル先生降臨とかあったな
163Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/09(金) 21:44:04.42 ID:joaaBWU5
保守上げいたします。

>>161
自分もそういった設定であります。
様式美、いい言葉ですよね。
銭形かわいいよ銭形。
164竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/09(金) 22:26:22.57 ID:UXu3hjc8
やっとテスト終わったー・・・
というわけで、本日の投下〜

>>161
多分、赤鎧達もバージョンアップとかすると思うのですよ。
アトルガン来たらそれに合わせた仕様にするとか。
基本的に、仕様の外にあるものでしか立ち向かえないと認識してます。

それはそれとして、美、美、様式美〜!(何
165竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/09(金) 22:40:20.13 ID:UXu3hjc8
「全く、緊急招集なんてかけるんだから、一体何事かと思ったら……まさか幽霊騒ぎだとわね」
落胆を全く隠さない色で。
「私たちSTTの任務は、全ての逸脱行為の観察、および調査です。貴方のように、自由勝手に来訪者達と接触することじゃあないんですよ」
なんだか不機嫌な様子の女性の声。
360°全周囲をモニターが埋め尽くす空間の中で、女性と子供が差し向かい。
そのモニターの半分近くが、ズヴァール城を移している。
「それに、今回のようなケースは今まで類を見ません。早急に調査を開始すべきだと思っただけです」
「ま…確かに、誰も居ないはずのズヴァール城になぜか存在する、名前すらない謎のキャラデータ……まさに幽霊、って感じだね」
宙をぷかりぷかりと彷徨っている子供が、お手上げといった様子で諸手を挙げる。

フェイト達に取っての隠れ蓑であり、調査機関の一つでもある、STTのオペレーションルーム。
ヴァナ・ディールの中に内包される1エリア。それでありながら仕様から逸脱した場所。
166竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/09(金) 22:41:41.91 ID:UXu3hjc8
「既に今回の事例をケース【ゴースト】と呼称、ステルス仕様のSTT隊員を現地に派遣、調査を開始しています……なのに、なぜ貴方はまだこんな所に居るんですかっ!」
そう、この場所は本来彼女一人の仕事場なのだ。そこに先程からぷかりぷかりと浮かんでいる不埒な乱入者。命令は出ているはずなのだが、動こうともしない。
「だってさー……つまんないじゃん、あんな殺風景なところで延々と調査してろ、だなんてさ」
「貴方って人は……本当にやる気あるんですか?……何でこんな人が私たちの上司なんでしょうね」
不満を隠そうともせずに言う。少なくともこの彼女は、自分たちの上司がつまらない愚痴にいちいち目くじらを立てるような人間ではないことは知っている。
「まあ、気にしない気にしない…さて、それじゃ僕も調査に戻るかな。丁度面白いサンプルを見つけたところだったしね」
「また来訪者に接触するんですか……くれぐれも、証拠は残さないようにして下さいね」
これももう毎度のことである。今更止めもしない、止められた試しもない。
「大丈夫、いつも通り上手くやるって……っ!?」
突如として鳴り響くアラーム、灯る赤色灯。
「え……何これ…?」
すぐさま事態の把握のため、コンソールに手を走らせていたその女性が、呆然と呟く。
そこに示されていたのは、あるエリアの状態を示す数字の群れ。
西アルテパ砂漠。
そのエリアの、純粋にそのエリアに存在するデータ量が明らかに異常な勢いで増加を始めたのだった。
「この増加スピード……このままじゃ、エリアが保ちませんっ!」
「……システムメッセージを、緊急メンテとでも言ってとりあえず体裁は整えないとね。それから実行部隊に連絡。多分今度のは早急な対応が必要になるはずだよ」
先程までとは打って変わって冷静沈着な声。
「り、了解ですっ!」
慌ただしく動き始めた女性を尻目に、コンソールの画面が、無数のモニターのいくつかが光を消す。エリアが、落ちたのだ。
167竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/09(金) 23:13:53.21 ID:UXu3hjc8
書いてる途中でしたが、裏バスシャウトあったので逝ってくることにします(ぇ
168既にその名前は使われています:2007/02/10(土) 03:43:13.49 ID:vHhJY9+6
「よろしいか」
行儀悪くテーブルに肘を突き、顎を手の上に載せたまま、苛立たしげに言う。
延びかけた髪を鬱陶しげにリボンでまとめた様は、憂国の騎士のそれを思わせた。
「よろしいとも、兄弟殿」
言いながら今まさに髪をまとめている鏡写しの兄弟は、傾国の軍師に見える。
白と黒、対の兄弟は一枚の地図を前に、装飾の施された短剣とダイスを互いに手にしていた。
「ここか」
「そこか」
それを合図に、同時にダイスを振る。


「で、いくら負けたって?」
友人の言葉に、がっくりとうなだれる。彼らの親友は立てられた指を数え、あきれた溜息をこぼした。
彼の友人であるこの双子は、ダイスの出目で陣地を取り合う遊びで賭事をするのが好きだった。
「200?・・・違う?2000?・・・まだ足りない?まさか2万?」
ふるふると首を振る。今度こそ親友は声をあげた。
「20万!?いくら兄弟同士だからって、限度があるだろ!!」
限度を知らない双子は、架空の地図に短剣によって付けられた『保守』の文字を眺めていた。
169既にその名前は使われています:2007/02/10(土) 12:13:19.19 ID:ITPi1hOq
母親が舞い上がってるのを不気味に思った俺はいつもの通り釣りを始める。
本日も快晴で絶好の釣り日和。と言っても面白い魚が釣れるわけでもない。
釣れた錆びたバケツにクラゲを入れていると背後から声を掛けられた。
「釣れてるかな?」
どことなく懐かしい響きがある声。しかし初めて聞く声。釣り糸を海に投げる。
「ぼちぼちですね」
「そのくらいが一番いいのさ…。あまり釣れても困るからね」
「そうですね」
潮風が吹く。涼しくて丁度いい。
「おかえり、父さん」
「ただいま、息子」
竿を上げるとそこには保守と書かれた木の板があった。
170既にその名前は使われています:2007/02/10(土) 16:36:14.73 ID:vHhJY9+6
死んだ男が眠る棺に泣いて縋る女を、痛ましげに見る。
いつだってやりきれない。国を守るためなら死をも覚悟しているはずなのに、やはり死んだら誰かが嘆き悲しむ。
彼らは抗う術を持たぬ人々を守るための剣であり楯。故に、騎士となることを決心した時点で死は常に意識される。
だが、やはりやりきれない。


扉を開けると、むせかえるほどにきついアルコールがむっと香った。
「・・・おい、まさか飲んでるのか?」
顔をしかめながら中を覗くと、黒髪の兄弟は、グラスを片手にぐったりとテーブルに伏せていた。
彼の持つグラスにも、彼の前にあるボトルにも、芳醇な香りを放つ液体は半分以上も残っている。
その上、知らずに落としたらしいボトルの破片と中身が床に散乱していた。むせかえる香りはこれだろう。
ありゃクリルラ様から頂いたロランベリーワインじゃないか。足下に転がっているのは度数だけが自慢の安酒。
エルヴァーンにしては色白なほうの頬を赤く染め、兄弟は一口二口で酔っぱらったのだろう。安上がりだ。
「ほら、こんなところ奴らに見せられねーだろ」
体を揺すって起こすと、彼は小さくこぼした。
「・・・く、ない・・・」
「あ?」
聞き返すと、もう一度同じ言葉を口にする。とても小さく、切ない言葉を。
それを聞いて、彼は笑った。
「お前ひとり残して死にはしないし、お前だけを死なせるつもりはかけらもないよ」
171既にその名前は使われています:2007/02/10(土) 21:51:14.29 ID:ITPi1hOq
父さんが帰ってきた日、母さんは大喜びしながらわんわん泣いていた。
どんだけ嬉しいのだろうか・・・。その日は飲んで狂って終わった。
次の日は母さんは二日酔いでダウン。俺は父さんと釣りに出かけた。
親子でのんびり釣り糸を垂らす。
「お前に釣りを仕込んだのは俺なんだぞ…。昔からお前は釣りが好きだった」
父さんはバケツを釣り上げた。
「リアルとキャラの性格は似るのかな?」
俺はキュスを釣り上げた。
「個人差があるみたいだ…。この世界に入った瞬間リアルのことを忘れた来訪者も存在する。
お前の場合はリアルの性格も相まって順応が早かったのだろう…」
「父さんは?」
同時に釣り上げる。父さんはレギンスを。俺はキュスを。
「否応がなしに順応した…。時代が時代だ…」
「戦争…?」
「ああ、そうだ。同時に保守人もしていた」
「戦争からずっと保守を…?」
「ああ、ずっとだ…」
172既にその名前は使われています:2007/02/11(日) 01:50:15.68 ID:hirTSjX7
ずきずき。
「・・・頭痛が・・・」
「・・・何でお前は、酒を舐めただけで二日酔いになれるんだ」
頭を抱える兄弟に呆れて言うが、しかしいつものことだった。
この黒髪の兄弟は、酒を口に含むだけでもすぐ酔っ払う。
そして絡む。嫌がらせのように絡む。その上説教し出すととまらない。こちらに来てからは武器も振り回す。
しかもそれを綺麗さっぱり忘れてしまうのだから、非常に厄介な酔っ払いだった。
だが、それもここずっとなかった。彼自身が酒を好まないのは周知だったし、彼もまた酒には近付かなかった。
それ以前は、よく言っていた。帰るのだと。その記憶がなくなるまで。
「これに懲りたら、自棄酒はやめるんだな。ほら、お茶」
熱い茶を注いだ、『保守専用・3倍』と書かれたカップを差し出すと、兄弟は唸りながら受け取る。
丁寧に淹れられたウィンダスティーは、独特の甘さを持つ茶葉の風味を充分に引き出していた。
「・・・・・・♪」
ふと聞こえた歌に顔をあげる。
「飽きるまで話しても、全部分かりあえるわけじゃない・・・」
切ないほどに柔らかい旋律に、彼もまた己の声を重ねた。


君がいつか探した夢の続きはきっと、ふたりで描こう。忘れないで。
173竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/11(日) 03:10:28.37 ID:hIauxFlL
話は少しだけ遡る。

「やっと、やっと着いた……ラバオーっ!」
洞窟を抜け、また砂漠を抜け、そして洞窟を抜け。
目の前に涼しげな湖の姿が見えてきたとき、私は走り出していた。
あの暑い砂漠の強行軍でもう喉はカラカラだったし、汗だって沢山かいた。
冷たい水が飲みたい。早く水浴びがしたい。とにかく、頭の中はそんなことで一杯だ。

走る、走る、走る。
自然と顔がにやけてくる。
「みーず、だーっ!!」
色々と面倒だったから、水に向かって跳んでみた。
それも、とっておきのスーパージャンプで。
174竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/11(日) 03:10:55.18 ID:hIauxFlL

昇っていく、昇っていく。
この世界にも存在する、重力という名の鎖をその足で振り切って。
私という存在が、雲の一欠片になったような感覚。
空気の流れが心地よい。蒼穹の空は美しい。
視線を降ろせば澄んだ湖、からからと廻る風車。そして広がる白砂。
空気の流れが、ふい、と止む。

落ちていく、落ちていく。
解き放ったはずの鎖に、今一度縛られて。
空が遠ざかる。ほぼ本能的に、手を伸ばす。
掴んだはずの手の中には、やっぱり何もなくて。
鳥が飛んでいるのが見えて、とても羨ましくなって。
空に向けていた意識を、大地に還す。

とてもとても大きな、水飛沫が上がった。
175竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/11(日) 03:41:56.48 ID:hIauxFlL
「っあー、気持ちいいー…」
ひんやりとした水の中にいると、今までの苦痛や疲労がまとめて癒されていくような気もする。
ぼんやりと水の中に身をたゆとわせながら、これからの事を考えてみる。

少なくとも、今こうしている状態自体が異常なのだということはわかる。
わかるんだけど……それが、具体的な行動に繋がらない。
どうしたら良いんだろうなぁ……ホント。

「おーい、アンタ、大丈夫かーっ?」
岸の方で、誰かの声が聞こえる。
遠目に見ても目立つのは、明らかに趣味の悪そうなとんがり帽子と、どう見ても暑そうな黒装束。
とどのつまりは、忍者な誰か。それも結構レベル高そう。

「大丈夫ー、泳いでるだけだよーっ!」
手を振ってみる、どうやら相手にも伝わったようで、何やら頷いてる。
「ところで、話があるんだ、アンタ来訪者なんだろーっ?」
……どうやら、思っていたよりはずっと早く、事態は動いてくれそうだ。
「そうみたいなんだ、今、そっちに行くねっ!」
176竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/11(日) 03:42:40.24 ID:hIauxFlL
半分くらい頭死んでます、皆さん、お休みなさいませ(ぉ
177既にその名前は使われています:2007/02/11(日) 03:45:58.72 ID:GMvG5Gps
178既にその名前は使われています:2007/02/11(日) 06:51:55.03 ID:hirTSjX7
ヤバい。ヤバい。ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
何だあの赤い奴は。あんな赤い鎧は・・・見たことあるけど、あいつは何なんだ!!
「・・・ちぃッ」
逃走を遮る植樹を鎌で薙ぐ。ざっ、と音を立てて道ができた。
何故あいつは、ゆっくりと歩いているはずなのにオレに追いつけるんだ。何故オレは、あいつに追いつかれているんだ。
何故、追われなければならないんだ。
「飛べッ!!」
悲鳴にも似た声に飛ぶ。足元を風鳴りと共に斧が触れそうになる。
壁の上に着地し振り返ると黒髪の騎士。・・・いつ、何で、ここに。
いや。そのそばに、金髪の少年もいた。表情のない顔で赤い奴を睨んでいる。
「聴け」
薄い唇が紡ぐ。赤い奴はぴたりと動きをとめていた。
「我は死より死を得し者。死して死を与える者。秩序の中にあって秩序を乱す者。汝我を捉えよ。我は形を保たぬ者」
それは歌に似ていた。
見覚えのある少年。しばらく姿を見ていなかったが、そうか。
「お前も、来訪者・・・」
呟きに応えるように、彼は一歩踏み出した。
「《秩序》よ。守り手たるあなたがたは、何故秩序を乱すことなく安寧に住まう人々を狩るのか」
「存在することそのものが罪だと知りなさい、イレギュラー」
男とも女ともわからない声が冷たく言う。それを聞いて、オレはほんの少しだけ、この世界に未練を抱いた。
179Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/11(日) 10:17:45.45 ID:+/sz+p8A
皆様、投下乙でございます。

前回の投下はこちら
>>152-153
180Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/11(日) 10:29:58.64 ID:+/sz+p8A
そろそろ行こう、と俺は席を立った。
「・・・どうしたら、いいんですか?」
メイミィが不安げな顔をしていた。
むべなるかな。
自分には赤い鎧をしのぐほどの、強い意思があると言い切れる人間などそう多くはない。
「そうだな・・・」
ふと顎に手を当てた考え込むしぐさで、ちょっと悪戯っぽくニヤリと笑ってみせた。
「朝晩一回ずつ、“自分はここにいる! 魂の証はここに在る!”って熱血に叫ぶといいかも」
「いやです」
もうっ、と彼女は頬を膨らませた。
もちろん冗談だ。
「行きましょう、姫」
俺はうやうやしく、メイミィに手を差し伸べた。
姫ですか、と彼女。
姫なんですよ、と俺。
181Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/11(日) 10:57:37.69 ID:+/sz+p8A
チョコボは、俺を乗せるのを嫌がった。
「おいおい・・・」
厩舎は昼夜お構いなしに忙しい。
預けておいたチョコボを受け取りに来たはいいものの、手間取る俺たちに呆れたのだろう。
御勝手にどうぞ、とばかりにチョコボガールは次の仕事に移っていた。
「ヘソをまげたのか?」
厩舎でまずいメシでもくわされたのだろうか。
手綱をほどかれたチョコボは、ぷぃ、と俺にそっぽを向いた。
俺など知らん顔で、メイミィにすりすりと甘え、「乗ってよ」というしぐさを見せる。
そうかそうか。じゃあ、そうしたまえ。
どうしましょう、と当惑するメイミィを乗せてやり、俺は別のチョコボをレンタルした。
さらに追加でもう一頭、引き連れていくことにした。
体力バカのこいつは別格として、並のチョコボでは人より先に潰れる可能性が高い。
メイミィが大柄なチョコボの背にしがみついた姿は、サイズ的にアンバランスな取り合わせだった。
が、万一道中で何かあった場合、メイミィと素人チョコボでダブルパニックを起こされると最悪だ。
その点では、ベストチョイスといえなくもない。
「乗せたからには、ちゃんと守れよ?」
拳で軽く小突くと、チョコボは「任せておけ!」とばかりに羽根をふるわせて、ひと鳴きした。

そして、俺たちは快晴のコンシュタット高地を風よりも速く駆け出した。
182Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/11(日) 10:58:53.27 ID:+/sz+p8A
ひとまず、今回の投下はこれにて。
183Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:47:45.95 ID:nHfb3G0F
(372)
「オッサン、今からあのミスラを大人数で捕まえることになるが手を出さないで見ててくれ。仮に助けを求められても、だ」
さっき話してた声よりも低く、俺はそう言った。
オッサンは興味があるのかないのか分からないような生返事を返してきた。
返事を聞いてすぐグラスに残っていた酒を全て飲み干してから、領事に背中を向けたままの格好で右手を高々と上げた。

一瞬の間があって、椅子が激しくガタガタと動く音と甲高い叫び声が耳に入ってくる。
その間も、俺は振向かないままに事態が収まるのを待っていた。

「お前は手を出さないのか?」
「出しちゃ不味いんだよ」
そう言って、俺はカウンターにひじを付いたまま後ろの騒動に耳を傾けていた。

しばらく喧騒が続く中、やがてオグビィがふと口を開いた。
「ルーファス、どうでも良いことかも知れんが」
「ん?」
「あのミスラ、逃げ遂せるぞ」
その言葉に慌てて体を翻すと、既にミスラは体にまとわり付く人間を振り払いながらドア付近まで進んでいた。
正確には、ミスラの動きを捉えきれずに多くの人間が翻弄されていたと言ったほうが正しいかもしれない。
手がかりを逃がす訳には行かないと俺が動いたのと、蒸気の羊亭のドアがミスラによって開かれたのがほぼ同時だった。
184Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:48:11.22 ID:nHfb3G0F
(373)
「跳ね橋の方だ!」
ミスラが駆け出す方向を確認して、声を上げる。
するとミスラの動きに翻弄されていた密偵たちが我先にと蒸気の羊亭から左に折れて駆け出す、と思うとその足はそこで止まったようだった。
外から、わずかだが剣が鞘から抜かれるような音がした。

「なんですか!あなたたちは!?」
そう叫ぶ凛とした声には聞き覚えがある。
声に釣られ足を止めた密偵たちを掻き分けて外に出ると、そこにいたのは紛れもなくエルリッドだった。
まだ俺には気がついていないらしく、剣を抜いてあたりを牽制しながらじりじりと後ずさりして逃げるタイミングを計っている様だ。
サンドリアで連れ去られたときに着ていた例の新素材で作られた皮鎧に剣を佩いただけで、盾は持っていない。
ミスラの方は、そのエルリッドよりも少し後ろで心配そうに様子を見ている。

「エルリッド・S・シュヴィヤールだな」
俺が、できるだけ感情を排した声を上げる。
同時に、密偵たちが俺の前を空けてエルリッドと正面から向かい合う形になっていた。
「悪足掻きはするなよ、お前をサンドリアに連れて帰る」
俺も面食らっているが、エルリッドも同様かそれ以上に動揺しているようだ。
「ルーファスさん…なんであなたがここにいるんですか!?」
「今はファーロス・S・シュヴィヤールだ」
185Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:48:46.88 ID:nHfb3G0F
(374)
こちらに突き出されていた剣の切っ先がわずかに下がったように見えた。
「俺は、ルーファスでもあるしファーロスでもある。もっとも、今はそのどちらでもないのかもしれないが…」
だから、エルリッドの植えつけられた情報がそもそも間違いなのだ、と俺は説きたい所だった。

だが次の瞬間、わずかに下がった切っ先が鋭くこちらに向けられる。
その瞳には何か強い感情が宿っているように見えた。
「兄を殺して名前を奪った、という事ですか!!」
ああ、そう取ったか…

「あなたは、どこまで私を貶めれば気が済むのですか!」
その言葉と同時に剣がそのまま俺に向かって突き出された。

身を屈めてその軌道から自分の体を外し、がら空きになっている胴にタックルを見舞う。
左手でそれを防ぐようなしぐさを見せたが、盾もなく腕のみでは受けきれなかったらしく、そのまま後ろに大きく跳ぶ。
と同時に突き出した剣を振り下ろそうとしたようだが、こちらの勢いが勝り叶わなかったようだ。

着地して態勢を立て直し、背筋を伸ばして俺の方をまっすぐに見つめながら、彼女は再び口を開く。
「私は…あなたを許しません!」
186Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:49:10.93 ID:nHfb3G0F
(375)
再び、エルリッドの剣が大きく振りかぶられる。
既に周りには野次馬が集まっていて、先ほどの密偵たちもいつの間にかそこに紛れて息を潜めているようだ。

「だから、誤解だって言ってるだろう!お前の兄貴は死んじゃいない!」
殺気を放ち始めたエルリッドに向かって、俺は声をかける。
「なら何故あなたがシュヴィヤールを名乗るのですか!?」
「本人だからに決まってんだろうが!」
「まだそんな事を!!」
言い終わるのが早いか、猛然と俺に向かって突進してきた。

ふと、横合いから激しく風を切る音が聞こえ、そして何かが金属的な音を立てて床に突き刺さった。
丁度エルリッドと俺との間合いの中間地点に、石畳の床から生えたかと思うほど、ルーンチョッパーが深々と刺さっている。
「お嬢様!お止めください!」
ルーンチョッパーの乱入で突進を止めたエルリッドが、その声を聞いて狼狽したように腕を落とした。
「マティエール…あなたまで…?」

「お嬢様、私めが坊ちゃまを見紛うとお思いでございますか?」
「あなたは本当の事を知らないから…!」
そう言って、エルリッドは再び構えを取った。
187Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:49:45.70 ID:nHfb3G0F
(376)
「何れにせよ、観念なさい。話ならあなたが納得するまで何度でも聞かせてあげるわ」
ラディールが、俺の前に踏み出してルーンチョッパーを引き抜きながら言う。
「っく…」
臍を噛んだような表情を作ったエルリッドは、わずかに後ろで見ているミスラを確認したようだ。

次の瞬間、こちらに何かを投げつけてから身を翻して走り出した。同時にラディールも駆け出そうとする。
だがそれを追うことより、俺はその投げつけられた物の形に意識を奪われていた。
こぶし大の黒い塊。そして、それと同様にゆっくりと宙を舞っている金属のレバーのようなもの。


「伏せろぉぉぉ!」
そう叫んでから、俺はエルリッドの後姿を確認する。
既に飛空挺乗り場のあたりだろうか。随分と足の速いものだ。横にはあのミスラの姿も見える。
元気にしているのなら、それだけでもいいような気がしている。だが、誤解だけは解いておきたい気もする。


やがて視界で捕らえていた後姿と俺の思考は、閃光と轟音にかき消されていった。
188Loufas ◆TTnPTs4wAM :2007/02/11(日) 14:52:37.10 ID:nHfb3G0F
以上、投下終了です。

詳しくは下記をご参照くださいということで…
http://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/Loufas%20%a2%a1TTnPTs4wAM%a1%a1%a4%de%a4%c8%a4%e1

189既にその名前は使われています:2007/02/11(日) 19:36:20.72 ID:m/FRIm/R
ageっぞ!!!
190既にその名前は使われています:2007/02/11(日) 23:07:34.94 ID:hirTSjX7
世界のありかたがひとつだと言うなら、その世界に住む我々は何だと言うのか。
世界がただひとつしかないと言うなら、その世界に住む我々は誰だと言うのか。
世界のソトには世界があると言う。世界は、鏡合わせを覗くように、幾重にも重なっているのだと。
例えば本の中。そこに広がる世界が存在しないと誰が断定できるのか。
本当に、空想だけだと言えるのか。
ああ、つまり、俺は。
この世界がひとつではないと。この世界が他から見えていると。
そんな、ことを考えた。
「歌うのは、誰の歌?」
問われて何か応えられるのか。
「守るのは、誰の為?」
分からないから剣を手にする。
来訪者。話には聞いた。【ソト】から来た人々。
ソト。・・・ソトは、どこだろう。騎士団で、あるいは個人的に関わりを持つ双子の騎士に問うたことがある。
だけど彼らは、ひとりは笑ってごまかし、もうひとりは顔をしかめた。
その反応に、俺は、彼らが知っているのだと知った。
彼らは答える代わりに、知っているだけの来訪者の話をしてくれたのだから。
・・・そう言えば、来訪者の中には、ソトの記憶を持ちながらこの世界の記憶を持つ人もいるらしい。
なら、彼らも持っているのかな。ソトの記憶。彼らの言う、『リアル』の記憶。
私の中に、いつからかある。この記憶のように。
191竜騎がゆく ◆OGiz5i2nGA :2007/02/11(日) 23:58:06.48 ID:hIauxFlL
今日はネタを考えつつ保守age〜
192Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/12(月) 01:52:08.49 ID:yP96vUN7
深夜の保守上げをいたします。

>>188
投下乙でございます。
ようやくエルリッド嬢に会えた、と思いきや・・・。
街中で刃物を振り回すなんて、物騒な世の中になったものですねぇ(遠い目)。
193Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/12(月) 03:24:33.14 ID:QBnBzRT8
「物騒だな」
「ああ」
(棒読み)とつけたくなるような言葉を交わすふたりを見やる。
片方は片手剣を、もう片方は両手斧を手にしている。
どちらもまだ年端もいかない若者だが、それゆえにその得物が違和感を与えていた。
「・・・物騒って、あなたがたが言えたことですか」
恐る恐る言うと、ふたりは同時に言った。
「「物騒だからこその護身用だ」」
「・・・・・・・・・・・・。」




考えてみれば、抜き身の武器を持ち歩くヴァナはとても危険ですね。
そんなわけで続きを少々。
194Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/12(月) 03:34:55.65 ID:QBnBzRT8
重い音が重なる。触れ合う得物同士はわずかにも揺るがない。
動作が大きくなりがちな得物をそれでも軽々と扱い、キーゼルは相手をまっすぐに見つめている。
シーフは余裕を含んだ笑みを口元に浮かべ、だが、脇を抉ろうとした一撃を回避して壁の上に飛び乗った。
モグハウスへ、あるいは大工房へと通じる道。
「何故・・・」
誰が口にしたのか。真紅のワーロックアーマーをまとった少年が、そこにいた。
シャポーを深くかぶり、腰の剣に手をかけ、彼はただ静かにこちらへ歩いてくる。
「どうして、『鍵』はここにあるのに、手を出さないの?」
少女の声にも似ている、まったく無邪気な声が問う。いや、小柄なその姿を見なければどちらとも判るまい。
宝石のような瞳が、シーフを見つめる。
「"蜂"。どうして、『鍵』を手に入れようとしないの?ここにあるよ、ほら」
祈るように、薄い胸に手を添える。なんて幼い仕草。この男の仲間だろうか。
だが、その姿は目の前の少年によく似ている。
キーゼルと言う、少年に。
「ね、ほら。ここにあるよ。『鍵』はここにあるよ。みんな、これを探してるんでしょう?だからほら、」
にぃ、とその口元に歪つな笑みが浮かぶ。ぞっとするその笑みはあどけない。

「手に入れてよ」

195Kiesel ◆nu123wJPbk :2007/02/12(月) 03:39:01.03 ID:QBnBzRT8
あぁう、続けようと思ったらうまく続けられず・・・不覚。
今回は以上です。
>>143-144の続きとなります。
196既にその名前は使われています:2007/02/12(月) 10:27:29.44 ID:XOTERFPk
「なんかお土産話ないの?」
父親と釣りをしながら聞いてみる。
「そうだな…。両手剣を二刀流で使うナイトのGMがいたな…」
「その人…強いの?」
「一度手合わせたことがあるが強かった…」
「父さんは狩人だよね?」
「同時に保守人だがな・・・。マシンボウで連発する弓を全部切り落とされたよ・・・」
「化け物だね・・・」
「ああ・・・」
今日もセルビナは平和です
197既にその名前は使われています:2007/02/12(月) 14:11:10.51 ID:Fxzswz15
ageて!
198既にその名前は使われています:2007/02/12(月) 18:44:30.55 ID:XOTERFPk
アッガーレ
199Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/12(月) 21:22:44.32 ID:yP96vUN7
投下乙でございます。

前回の投下はこちらでございます。
>>180-181
200Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/12(月) 21:27:10.56 ID:yP96vUN7
起伏に富んだコンシュタットの地にそそり立つ、風車群をすり抜け駆ける。
案の定、メイミィを乗せたチョコボは鼻歌交じり。俺のほうは追尾するだけで必死だった。
予備のチョコボを引き連れて、無茶な走りは出来ない。
そんなこちらの事情もお構いなしだ。
くん、と更に加速して、白い地肌の段と風車の影に見えなくなってしまった。
「・・・ッ、くそっ!」
悪態をついて追いすがろうとした俺は、チョコボが急加速した理由に気づいた。

遠くから腹に響くような、地響き。
大羊程度ならよくうろついている。問題ないが。
まさか。
轟音が空気を震わせ、次いでレンガがガラガラと崩れるような破壊音。
俺はチョコボの背から振り返り、思わずうめいた。
「バルデリッヒ・・・!」

―――“鋼の羊毛” バルデリッヒ。

めったに姿を現さない、コンシュタットに棲む暴君。
身の丈をはるかにしのぐ巨大羊が、その大質量をもって風車塔の一つを倒壊させていた。
201Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/12(月) 21:52:43.01 ID:yP96vUN7
何の因果か、バルデリッヒは荒れ狂っていた。
自らが作り出した瓦礫を踏み越え、落下した羽根車を踏み抜いた。
狂気に彩られた瞳で、ギロリとこちらに視線を定める。急に空気が冷えこんだ気がした。
「・・・目が合った、な」
俺は前を向きなおした。今ここで、あんなバケモノとやりあっている暇はない。
彼我の距離は、まだある。
逃げ切れ・・・るか。
引き連れていたチョコボのハーネスを解いた。
グスタベルグで乗り換えるつもりだったが、それどころではなくなった。
俺は騎乗したチョコボに鞭を当て、後のことは考えず全力で走らせた。
リリースしたはずの予備チョコボも、こちらと並走している。
背後から脅威が迫っている、という認識は同じらしい。誰だって踏み潰されたくはない。

ドン、ドン、ドドン、ドドン。

彼我の距離が徐々に縮まってきているのを、鼓膜で感じた。
前方を見やれば、メイミィの方はもう遥か先、峡谷の手前まで進んでいた。
そう、峡谷だ。
あそこなら、バルデリッヒの巨体が不利。自然の要害をどうにかできるわけがない。
更に鞭をくれてやり、チョコボの脚力を振り絞らせた。
202Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2007/02/12(月) 21:53:29.32 ID:yP96vUN7
今夜の投下は以上です。
俺の名はStryy、惑星リヴァイアサンでナイトをしている、まだまだ初心者で仲間にも迷惑をかけてしまうダメナイトさ
今日も朝から仲間を捜し、しばらく町を歩いていたら運よく今日もモンスター狩りに誘ってもらえた
まぁ運がよかったのはここまでさ 俺にとって長くて最悪の1日が始まろうとしていたんだ
俺の入ったPTの編成はコモ暗白青そして俺ナ、まぁあんまりいい編成じゃないのかもなw
それにしても俺以外の人はみんないい装備をしていた 俺なんて36歳でスチームスケイルだぜ?
見た目はスケイルメイルだし 俺かっこわるいぜ・・・

そんなこと考えてる間に狩場についた さっそく釣り役の人がモンスターを連れてきた
俺はナイトだ、俺が前にでてみんなを守らないと 心の中で俺はそう言っている
しかし俺は経験がまだ浅い、実際は俺はモンスターに見向きもされないでいる
仲間が傷ついているのに、俺はなにもできない自分に無性に腹がたった


 

狩りが終わり俺はジュノに戻った いつもと変わらないジュノの町並み
しかし周りの人の目が冷たく俺を見つめている いったいどうしたんだ
そしたら一人のタルタルが俺に話しかけてきた 青髪を後ろで結んだ可愛らしい女の子だ

女の子「あなた、リヴァ鯖スレで晒されてるわよ 可愛そうにひどいことする人がいるのね」

俺がなにか悪い事でもしたんだろうか みんなが俺を冷たい目で見ている
いい噂は広まらないのに悪い噂はすぐに広まるんだよな 嫌な世の中だよ、まったく
そして誰も俺と冒険に行ってくれなくなった 俺はいつも一人で狩りにでかけた
地味なスチームスケイルを着て安っぽい装備で身を固め今日も一人旅さ

そして何日かが過ぎて俺はアトルガンに着いた ジュノから遠く俺の噂はここまでとどいてなかった
俺の旅はまたここから続いていく・・・ 俺はそんな気持ちで冒険の仲間を捜した
白門についてから俺にも仲間ができた その人達と冒険にでてさまざまな事を学んだ
そして俺は前の国で晒しにあった事を友人達に話したんだ そしたら友人達も晒しにあったらしいんだ
やっぱりどこの国でも晒しはあるらしい いちいち気にするなって友人達にも笑われたよw
そういえばジュノでも子供に同情されたんだっけ このまえの可愛らしいタルタルの女の子の事も話したんだ
そしたら友人の一人が急に脅えだして 俺にこう言ってきたんだ

友人「そのタル女は青い髪を後ろで縛り 服にムーミンの絵が書かれてて・・・ たぶんお前を晒したのその子だよ」

俺は最初は意味がわからなかった なぜその子が俺を? 俺なにか悪いことした?
友人は青白い顔で俺にこう言った それは聞いた俺はヴァナディールがどれだけ馬鹿な世界かと、俺は絶望した

友人「お前がなにもしてなくても、あの子に見つかったら晒されるんだよ 永久に叩きつづけられるぞ」

俺の旅はここで終わった・・・ 友人達に迷惑がかからないようにもらったリンクパールは捨てたよ
俺は一人さ 今度はべつの惑星に生まれたいな 惑星オーディンかな? それともビスマルクかな?

 完

206既にその名前は使われています:2007/02/13(火) 00:44:09.29 ID:eEHup+oH
ヘイローが動かないから代わりに買ってからほとんど手をつけてなかったハーフェクトダーク
やってみたけどすこぶるクソゲーだったので10分くらいでやる気なくした^^
207既にその名前は使われています:2007/02/13(火) 00:57:02.41 ID:orTIL/38
週末にヒュム♀F3のフェローを連れたあいつが大量投下するって!
死ぬ気で保守するお!(´∀`)ノ
208既にその名前は使われています
相変わらず危険な位置にあるぜage