1 :
既にその名前は使われています:
朝、起きたら自キャラになっていたFFXIプレイヤーたち。
ステキに過酷なヴァナ・ディール、笑いと涙の右往左往。
俺たち“来訪者”を排除していく、謎の集団も現れた!
この異世界に出口はあるのか?
リアルに帰還できるのか?
熱血、友情、ラヴ、バトル! 陰謀、シリアス、ギャグ、微エロ!
俺たちの明日はどっちだ!?
リンクしたお話を書いている人向けの共通設定。これは絶対ではありません。
ある程度共通していた方が、読み手の方も分かりやすいのではという意図のものです。
参考程度に留めて、投下する方が自由に想像し設定してください。
LPは映像付きが多い (例:Yurifina氏のSSでは映るが、Lead氏のSSでは会話のみ)。
冒険者証明書は金属カードで、邪魔にならない所に魔法で入っている。競売は魔法紙で取引されている。
みつめる(/c)はとても嫌な視線扱い。時間感覚はリアルと同じ。tell等のSay・sh・echo以外は念話。
リアルからヴァナに入り込んだ人々の事を「来訪者」と言う。
いわゆるGMと同じ姿の連中がいて、「フェイト」という組織を形成し、洗脳した来訪者「黒マント」を使役して来訪者達を狩っている。
この世界はゲーム内ではない、"実際のヴァナ・ディール"なのかも知れない?
レイズは意識不明(戦闘不能)に有効だが、完全に死んだ者には効果が無い。
(まとめWikiのテンプレより)
キャラ紹介テンプレ
初出: 別スレ同番の人もいるようなので、スレも併せてお願いします
PC(仮)名: / 中の人:
種族フェイス:
ジョブ&Lv:
特記事項:
活動エリア:
あらすじ:
他キャラとの接触:
独自レギュレーション: 共通設定(?)と目される設定とは敢えて変えてある部分を明記するのはどうでしょう。
というわけでテンプレこんなもんだろうか。
スレを読んで、さー感想書くかーと思ったら落ちやがったので衝動的に立て直した。
反省はしていない。
貴方の物語を、聞かせてください。
誰かと共に創る物語でも、貴方だけが紡ぐ物語でも。
6 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/10/26(木) 16:38:12.63 ID:vE6tuC59
>>1 スレ立て乙でーす。
今から2スレ前から続く完結系の最終話?(wを書きます。
書き上げるのにどれくらい時間がかかるか…
7 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 17:31:29.91 ID:NHOLlHy2
>>6 楽しみにしてます! 5話目はちょい恐系だったけど、最後はどうなるのやら・・・。
「でもなー、やっぱサバイバル物だと後衛のが強いよw 俺5ジョブカンストっつっても全部脳筋だし」
「いや、スレに出てたお話みたくヴァナ側の人格が目覚めれば勝つる!wwww」
「だといいけどなー・・・。その前に赤鎧にゆんゆんされて敵になりそうww」
「そしたら武士の情けってことで私がグラビデマラソンでApisのように沈めてあげやう」
「赤様ktkr、ってかApisってなんだっけ」
「赤に必要なのは謙虚でひろーい心ですyp。Apisってウルガランの聖牛ね」
「おー、そうだったそうだった。・・・所で」
「何かね相棒よ」
「忍足袋が切れた」
「おまwwwwwバカwwwwwww ・・・手動切り、どうやるんだろうな」
「切れろー、て念じたら切れるかも。切れろ〜」
「敵がいないとこで試してくれ、お願いだから。リアルで他人にかけ直しはまだ自信ない」
8 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 17:39:28.53 ID:uQPtEorq
朝起きたらロンフォミミズになっていた。俺は
9 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 17:42:11.24 ID:4BPF0vRS
おれもおれも
10 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 17:44:00.74 ID:7qKDGnEB
あれ?ででおの話どこ?
12 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/26(木) 20:04:44.10 ID:iYsy5RBm
サンドリアの騎士の家に生まれた男子は、剣技の心得を持つのが常だと言う。
「まあ、お前はまず慣れた武器を使うことから始めたらいいんじゃないか?」
「OK、把握した」
ケインの言葉に私は応え、弓を構える。学校の授業で和弓は使ったことがあるから、何となくの感覚で。
「形だけはまともなんだな」
「・・・うるさいなぁ」
狙うのはロンフォールの兎。・・・小さいし可愛くて狙いにくいんですけど・・・
「動く目標を撃ったことないな?」
「うん・・・」
ああ、動かないで・・・って言うか、目標変えちゃダメ?木とか動かないやつに・・・
「!」
気を抜いた一瞬、弦から指が離れた。風を切る音がする。
矢は狙っていたはずの兎に掠りもせず、側でうねっていたワームを射た。
「・・・・・・。」
「やり直し」
ぽんぽんと私の頭を撫で、ケインが言った。
そんな小ネタ。
油断しました・・・かなりこまめに保守しないとすぐ落ちますね((((;゚Д゚))))
(332)
足元に用意した廃棄書類の箱は既に満杯を通り越してさらに積み重なっている。
そもそも彫金ギルドのジュエリーコレクションの案内とか、開催日時が過ぎたパーティの招待状とか、封筒から出して書類と一緒になっていると言うのはどういうことか。
「そもそも君が遅参したせいでこんなに溜まってるんだ。責任の一端は君にある」
「連れの白魔道士が体調を崩しましてね…」
ヒロやマルトと合流しなきゃならないのに、こんな事してていいんだろうか…
と、入り口の方から明るい話し声が聞こえてきた。
誰か来たのだろうか、と思いながらも書類から目を離さずにいると、やがて聞き慣れた声が聞こえてきた。
「ほっほっほ… これはこれは、坊ちゃま。なかなか堂に入ったものですな」
声の方に視線を移すと、爺さんがニヤニヤしながらこちらの様子を見ている。
「お久しぶりね、マティエール」
「サヴィーお嬢様もご健勝のようで何よりでございます」
"お嬢様"と敢えてそう呼ぶあたりが、この爺さんのうまいところと言うかイヤらしいところと言うか…
案の定、領事は随分と機嫌を良くしたようだ。
だが、目を落として書類の山を見て、再び「どうしたものか」という苦笑いを浮かべる。
「少し骨が折れるでしょうが、今日中には片が付きましょう」
一方の爺さんは余裕たっぷりにそう言う。何の根拠があっての自身なのだろう。
「仕事は仕事ですから」
いつの間にか横にいたフルキフェルが、酷く機嫌の悪そうな声でそう言った。
(333)
爺さんが着いてから書類の山は瞬く間に整理されていく。
領事のサインが追いつかず、フルキフェルに領事館印を持たせてサインの代わりに押させて、何とか日付が変わる前に書類の山を攻略することが出来た。
大統領府の大臣は酷く嫌な顔をして嫌味を言うものの、書類は受理してくれると言っていた。
人は悪そうだったが仕事には忠実らしい。
一切の処理を終えた頃には大統領府や他の領事館に人の気配は無く、鍛冶ギルドの方からは金属音だけが高々と鳴り響いていた。
「明日は遅めで構わないから、ゆっくり休んでくれ。ただマティエールとラディールは朝から来るように」
領事はそう言いながら、領事館の鍵を手渡してくる。
「いや、それよりも宿舎はどこに…」
「宿舎はあるが、君らのような大人数が泊まれる場所は無いな。鉱山区の宿を使ってくれ、経費はこちらで持つ」
それだけ言い残すと、力なく手を振りながら領事は去っていった。
「…とても貴族の振る舞いじゃねぇなぁ、ありゃ」
「それはルーファスの言えた事じゃないわね」
「坊ちゃま… "こうもりのねぐら"に急ぎましょう」
後方にいた爺さんが、不意にそう声をかけて来た。振り返ってみると、いつもの好々爺と言う顔はなくなっている。
「…どうした?」
「マルトとヒロ様が襲撃を受けたそうです」
15 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/10/26(木) 22:10:20.25 ID:BY5j0SnJ
今回は以上です。
日本ハムの応援しててすっかり筆が止まってしまいました…
と言うわけで、北海道日本ハムファイターズ優勝記念age
16 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 22:13:49.02 ID:ak06fwll
つ・・つまんね( ゚Д゚)ポカーン
17 :
既にその名前は使われています:2006/10/26(木) 22:14:07.50 ID:ak06fwll
誤爆ごめん
18 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/10/26(木) 23:24:12.17 ID:vE6tuC59
書き終わったわー
やっぱり飯挟むと時間がかかる…
赤魔AF装備の正式名称調べたら乗馬用の正装の名前なのに
乗馬で使う帽子はシャポーじゃなくハットだし
ズボンはタイツじゃなくてブリーチズだし
どうも胴装備をメインに命名してる感じが…
2ch用に校正したら、投下開始します
「じゃあ、ボクはコーヒーで」
子供のような身長に白い羽をつけた帽子と首のネクタイが目立つコート、そして揃いのズボン、篭手、具足が
赤色と黒色で配色された一式でデュエルアタイヤと呼ばれる装いの彼は店員の注文に大げさな身振りをつけて
答えた。
「なら私はもう一杯チャイを貰うわ」
帽子は似ているがこちらはワーロックシャポーに、少し肌を露出させ体のラインがわかるナラシンハベストと
ワーロックタイツ、清潔感を感じさせるエラントカフス、そして足を長く見せるクリムゾングリーヴという組合せで
着飾り、お尻に生えた尻尾をユラユラさせながら店員に付け足した。
注文を取った店員が戻ったカウンターからはコーヒーの香ばしい匂いがアトルガンと呼ばれる国の風に運ばれ
てくる。二人がいる店は庶民や傭兵の憩いの場、茶屋シャララトだった。
「う〜む」と唸りつつ靭皮紙に黒インクで書かれた文章を真剣に読むのはコーヒーを頼んだ方である、子供の
ような身なりでも既に成人である彼はタルタルという種族であった。対してチャイを頼み、自分の書いた物語を、
どう評価されるのか不安と期待に駆られているのはミスラと呼ばれる種族であり、ネコ人間と評せば簡単だろう
か、今は帽子で隠れているが頭の上に耳がついており、先ほどの通り、お尻には尻尾が揺れている。
十数枚の靭皮紙をめくる音だけが無言の二人の間を流れてゆく、ミスラは運ばれてきたチャイに口をつけ、
空に流れる薄い雲を見上げて読み終わるのを待っていた。
「なるほど…仕事にも就かずに何をしていると思ったら、こんなところで、こんなものを書いているとは…」
読み終わった開口一番の台詞はグサグサと心に突き刺さる辛辣なものだった。
「こんなところで」の台詞に関しては、ここアトルガンという国を内包するヴァナ・ディールという世界に
居ることは彼女にとっても不可抗力だったが、その前後の台詞だけで落胆させるには十分であった。
しかし、無謀なまでの前向きさが自慢の彼女は、即座に開き直りズレた言い訳を返す。
「だってー、家のことはモーグリがやってくれるし、何もしようと思わなければ暇なんだもん〜」
事実彼女の蓄えは、何もせずに毎日の食事だけに費やせば向こう10年分ぐらいは手元にあったので、
貯蓄を増やそうと思わなければ暇であることは確かだった。
その言葉に多少なりとも呆れ、コーヒーで一度喉を潤し、少し間を空けて話を切り出す。
「まぁ、そういう事を言ったわけじゃないし。ボクもここにいる以上、仕事の方は無断欠勤だろうし…
どうこう言う積もりはないんだが…」
チャイを淹れたカップの手が止まり、ホッとしたのも束の間、続々と愚痴と質問が繰り出される。
「最初の話のタルタル、これってこの前のバハムート戦のボクでしょ?」
「まぁ、それは良いとして、この兄妹の話の続きはどうなるの?」
「んでもって、この話の台詞もボクが実際に言った台詞を使ってるし…」
「あと、こっちの姉弟の話の続きも気になるし…」
「それと、からくり士のオートマトンの名前がクロだけど、ファミレス話に出てきた猫と関係あるの?」
矢継ぎ早にぶつけられた問いに「おおう」と後ずさりしたくもなったが、逐一丁寧に説明と謝りを入れていく。
続いてネタバレだからと誰も聞いていないのに手に持っていたチャイのカップを置き、耳打ちで続きを話すと
「ほほう」やら「ふむふむ」やら「なるほどー」などと驚嘆と納得を重ねて、話が終るとタルタルは満足したように
座りなおし、頭に手を当てて思考を巡らした。
本日何度目かの無言の空気が流れる。
いくらかの雲が流れた後、結んでいたタルタルの口が開き衝撃的な台詞が出た。
「よく知らないんだけどさ、この先の話って『自キャラになった』っていうお題?…から逸脱しすぎて、全然
普通の物語にならない?」
再び無言の空気が流れ、言われた方は素っ頓狂な顔になる。そして台詞の意味が頭を駆け巡り、理解という
単語へたどり着くと顔が引きつりだし、付け足した語尾と共に小声が漏れる。
「そういえば…そうだ……にゃ」
理解したことを言葉にすると急に現実味を帯びたのか、悶絶するかのように頭をかかえ体をうねらせる、追い
討ちを掛けるように、タルタルは幼いその顔に似合わず、きつい言葉の弓を引く。
「んでもって、話の発想は面白いと思うけど、文章力が追いついてないね、語彙も少ない感じだし。まともな
文章かけるようになってから続き書いたほうが良いんでない?」
『的を射た発言』とはまさにこの事、悶えるミスラの体にグサリと刺さったかと思うと、ビクン!と動きが
一瞬止まる。狩人が狙いを定めて撃った矢のようだった。
「ほ…ほら、少なからず続きを読みたいと期待してくれてる人の為にも…」
息も絶え絶えな口から、反撃の台詞が飛ばすが……。
「一銭にもならない文章に何を言うか、そんなんだから就職できないんじゃない?」
このタルタルには心のクリティカルポイントが見えているのだろうか、その台詞が終ると息絶えたミスラが
茶屋シャララトに横たわっていた。トンベリというモンスターが使う急所突きという技でも、こう美しく決めるのは
難しいだろう。
しばらくして「うぅ〜」と呻きながら身を起こし覚悟の台詞を口にする。
「分かったわ…ならせめて『とりあえずの最終話』だけでも書いて読者を納得させるわ…」
アトルガン地方では珍しくないコリブリと呼ばれる鳥の鮮やかな色をした羽根を飾ったペンを手に取り、
未だ白紙の靭皮紙に『とりあえずの最終話』を書き始めた。
紙の上で羽根がフィナーレを踊る様子に満足したのか、席を立ち幕引きの時間を尋ねる。
「どれくらいで書き終わる?」
手の動きと靭皮紙に向かった視線はそのままでミスラが答える。
「そうね……昼食込みで7時間14分ジャストで書き終わらせるわ!」
一旦高まった集中力を切らすまいと、席を立ったタルタルはシャララトの中央にある少し開けた場所で魔法の
確認などを始めた。宣言した時間ならば日が落ちる前には書き終わる、そうなれば、こちらも出来ることをやっ
ておこうとの考えだった。
しばらくして昼食。シャララトにはデザートこそあれ、主食となりうるものが売っていなかった。
「何か買ってくるけど、何にする?ボクはとりあえず山串を食べてみたいんだけど」
そう言われてペンについた羽根で顔を撫でながら考える。目の前のタルタルがヴァナ・ディールへ来る
数週間前から彼女は食べ歩きツアーと銘打って一人であちらこちらの特産品や食品を食べてきた。
そのメニュー達が頭をよぎった。
「ほら、私の主食は活字だから、お腹空かないの……いや、ウソ。ジョークだから…カルボナーラで…」
冷たい目を察知したミスラがすぐさま訂正したメニューを言った。
「書き終わったー!」
原稿となっている靭皮紙の隣には甘い香りを漂わせるシュトラッチやイルミクヘルバスのデザートの皿が置か
れていた。ご褒美と言わんばかりにミスラが舌出し唇を舐め、手を伸ばす。口に運べば、至福という名の栄養が
体中を走り、表情には笑みが溢れる。
一人悦に入っているミスラにタルタルが念を入れる。
「この話は一旦終るのかもしれないけどさ、文章力を上達させたいなら、どんどん書いていかないとダメだと
思うんだよね。次の話とか考えてる?」
至福の源となるデザートを口へ運ぶ手が止まり、目線を少し上にやって考える。再度シュトラッチを口へ運んだ
スプーンをくわえながら『題名:街』とだけ記した。すると二人の間に置かれた靭皮紙の上から重なるように
夕日に映る人影が伸びてきた。座っている二人が見上げると、そこには水着姿に刀を差しヤグードドリンクを
両手に持った女性が立っていた。
「…あれ?…え?…本当に居るの?」
タルタルが混乱しながら、先ほど読んでいた物語の文章と見比べている傍らで、女性二人は
「ひさしぶり〜バレたかぁ」に「あなた、やっぱり〜、大学以来?変わったわね〜」などと談笑していた。
話が一段落し「これから祝勝会だから、またね〜」と水着姿の女性が姿を消すと。ミスラはタルタルに
満面の笑みと共にウィンクをして台詞を放つ。
「ふふッ、全部がフィクションとは言ってないでしょ?」
面白そうなので参加させて下さい〜
今から書いてきまっす!
投下終了でござい〜。
今までと同じく完結系で、会話は二人のみの進行
ただし今回だけは、今までの話を読んだ方が面白いかも…。
ピーマンの肉詰め作って夕飯食べたら途中2時間ぐらいロスしたから
赤魔アーティファクトの設定調べてる時間引いても
50文字×20行に設定してる1レス分書くのに1時間弱ぐらいかかるのか…
もっと早くバチバチと打ちたいわぁ。
>>24 どうぞどうぞ
26 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 00:29:38.42 ID:9eP/Fs87
投下おつです〜 そういうオチだったか緑茶さんwww フィクションの中のさらに…ぐるぐる。
サンドリア組もいよいよ再始動の兆しか!?
>>24 楽しみにしてます(*´Д`*)
「ご主人様〜起きるクポ〜」
間の抜けたような何とも緊張感のない声が俺の耳に届いている。
目を開ける必要もない。
そこにはモーグリがいて俺を起こそうとしているだろう。
「ご主人様〜」
オーケイオーケイ
起きましょう。
目を開け身体を起こすと予想通りモーグリが俺を起こそうと側に来ていた。
「ご主人様おはようございますクポ」
モーグリの挨拶に返すこともなくとりあえず身体を見渡してみる。
長い手足。浅黒い肌。がっしりとした筋肉。耳に手をやればその耳はつんと尖っている。
「あのさ、もうちょっと空気読もうよ」
思わずモーグリにそう言うとモーグリは驚いたように細い目を更に細めた。
「クポッ!?」
「俺の倉庫キャラに女キャラいるんだしさぁ、普通そっちにするだろ」
「クポッ!?クポポッ!?」
「なんつーかさ、こう、性別も変われるんだからわざわざメインのエル♂にすることはないだろ」
「ご主人様・・・もしかしてリアルから来たクポ・・・?」
はいその通り。
倉庫のヒュム♀かミスラになれる事を期待しておりました。
「モーグリ君。俺の名前とジョブとレベルを言ってくれ」
「ご主人様の名前はFillでレベル75の赤魔道士クポ」
よく出来た子だね。質問を完全に無視したのに全く気にする様子もなくこちらの質問に答えている。
「わかった。ちなみにココはドコ?」
見渡せば気を基調としたモダンな部屋がそこにある。
家具は見覚えのないものばかりだが恐らくここはサンドリアのモグハウスだろう。
「ここはサンドリアのモグハウスクポ!」
予想通りの答えが返ってくる。
そういえばマイチョコボの様子を見るために最近はずっとサンドリアにいたような気がする。
「あの・・・ご主人様・・・」
ふと見るとモーグリがオズオズとした感じで話しかけてきている。
なんだろうこいつは。俺に告白でもする気か?
「ご主人様がもしリアルから来た来訪者なら国に届け出を出す事になってるクポ」
「届け出?国に?」
「はいクポ。黒装束の人達がご主人様達を狙っているから保護するために国に真っ先に伝えて欲しいらしいクポ」
なんともありがたい話だ。
黒装束達はまあそれなりの数の来訪者達を殺しているみたいだけどちょっとおおっぴろげに動きすぎたのだろう。
それでなくともリアルから来た来訪者達の知識は真新しいもので貴重なのに
それを殺して回っている奴等がいれば国が目を付けるのも頷ける。
しかし・・・
「モーグリ君」
「クポ?」
「俺が来訪者だという事は君と僕だけの秘密だ」
「クポッ!?」
なんてゆーか。
せっかくこっちに来たんだから城に閉じ込められて科学者だかなんだかに毎日質問攻めにされるのってもったいなくない?
安全になるのは嬉しいけどレベル75の赤魔道士なんだしまあなんとかなるだろうよ。
「ダメクポッ!来訪者が来たら絶対に伝えるように言われてるクポ!!」
うん、いい子だね。人から言われた事はきっちり守るようだ。
「モーグリ君」
とりあえず傍にある片手剣を手に取る。
マーシャルアネラス。うん、俺がゲームで使ってたのと同じ物だ。
「俺は君に秘密を守って貰いたい。でも君はそれは出来ないと言う」
モーグリは俺の話をきちんと聞いている。
なんていうか・・・こいつかなりいい奴なんじゃないか?
「そうなると俺はちょっと困る。俺は困るのは嫌だ。だから・・・」
手に持ったマーシャルアネラスをモーグリに突きつける。
「どうしても国に届け出しちゃうって言うなら口封じするしかないかなーなんて(はぁと)」
「クポッ!クポポポポポ!!?」
「ね、モーグリ君。もう一度だけ言おうか。コレは君と僕だけの秘密だよ?(はぁと)」
「クポ!クポ!」
わかったと言うふうに勢いよく頷くモーグリ。
うん、やっぱりいい子だ。臆病な性格らしいしきっと自分から城には行かないだろう。
さて・・・
「どうしようかな〜、ん〜」
なんかこう、朝と比べると俺とモーグリの距離が離れているような気がするけどそこはキニシナイ。
倉庫の女キャラじゃなかったのは確かに残念だけどメインだったのはもしかしたら結構ラッキーだったのかもしれない。
なにせレベル上げも金策もしなくていい。
とすればやる事は・・・
「権力を手に入れて世界を好きなようにするとか」
「クポッ!?」
心なしさっきよりも遠くなったモーグリが驚いたように声をあげる。
さっきからチラチラこっちを見ているようだしなんだかんだ言って気になるのかもしれない。
「世界征服とかいいかも」
夢は大きく志は高くもたなくっちゃね、うん。
「クポッ!クポポ!!!」
いちいちこっちの言葉に反応してくれている。
こいつがもしリアルにいたらいい友達になれるかもしれない。
「とりあえず外を見て回りたいから出かけてくるよ」
そう言って俺はモグハウスを後にした。
ざっと書いたのでここまで〜
32 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 01:19:43.76 ID:h+NkVDKc
勇気を持って、ageるんだ…!
33 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 01:59:48.71 ID:FgGE2dn2
「……!!…?……………………♪」
回りが騒がしい。近所のやけに早起きな小学生がまた朝っぱらから騒いでいるんだろうか?
まぁたまにはこんな目覚めも悪くないさ。
そう思いながら背伸びをしようとして……手足が動かない事に気づいた。
正確には動かないわけではなかったが、無理に動かそうとすると結構な痛みが走る。ちくちくと
した感触から、多分荒縄で縛ってあるのだろう。
(朝っぱらから荒縄緊縛プレイか?
いやいや落ち着け。俺にはそういう事をするような相手すら居ないじゃないか)
自分で思ってちょっと情けなくなったが、取りあえずどういう状況なのか確認しなければ。
恐る恐る目を開ける。
「うおっ!!!??」
目に飛び込んできたのは、コポコポと泡をたてる紫のどろどろした液体が入ったフラスコや、
ホルマリン漬けのようにビーカーの中に浮かぶマンドラゴラの生首、ケタケタと笑う謎の
観葉植物などおよそこの世のモノとは思えないものばかりでその中心に俺は放置されている。
思ったとおり、手足はきつく縛られていて自力で抜けるのは不可能に近いだろう。そして、
その異様な空間を取り囲むようにして三名のタルタルが何やら議論を続けている。
34 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:01:25.83 ID:FgGE2dn2
(夢の続き……じゃないのか?)
正直夢であって欲しいが、聞こえる声のリアルさといい、回りの物品のグロさといい、夢に
してはあの独特の「オブラートに包まれた感じ」がまったくしない。
「だからさっきから何度もいっておるだろう!こやつは我々タルタル族と同じ外見をしておるが
まったく異質の魔力を持っておる。だからこやつは来訪者と見て間違いないのじゃ!」
「しかしだな、コルモルよ。これまでの天晶歴の中でも特異な魔力を持つ者は幾人も存在していた
という記録が残っているんだぞ。それだけで来訪者と決め付けるわけには」
「ううむ……それは確かにそうなんじゃが。しかしヨランオランよ、この時勢にこのような魔力を
持つ者が存在すると言う事は来訪者の可能性は極めて高いと言わざるを得ないぞ」
「二人とも相変わらず無駄な議論がお好きのようですわね。そんな無駄話するよりも本人に直接
聞いたほうが早いんじゃございませんこと?
……丁度目を覚ましたことですし」
その言葉を合図に、3つの視線が俺に集まる。どうも俺について議論していたようだが……
話を聞く限りでは男のタルタル二人はヨランオランとコルモル。確かFF11のキャラで
『三博士』と呼ばれる人物のうちの二人だ。とするとこっちのツインテールのタルタルは
『連邦の黒い悪魔』シャントット博士だろう。なんとも豪華な顔ぶれだ。
35 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:01:59.27 ID:FgGE2dn2
まだ夢が続いてるのか……?)
「随分と長く眠っておいででしたけど、お目覚めはいかがですこと?」
「何故手足をきつく縛られているのか、その理由を聞かない事には夜も眠れないぜ」
手足を縛られクロウラーのようにうねうね這いずりながら、敢然と抗議を主張する。
「オホホホホ!このワタクシに向かってそんな強気な態度に出れる度胸は評価して差し上げますわ。
…………けれど、アナタは今このウィンダス連邦で一番の危険人物に認定されてましてよ?
まぁ今の待遇がご不満だというのであれば、今すぐにでもワタクシ自ら処分して差し上げても
よろしいのですけれど」
「あ、いやこのままでいいです。マジで」
シャントット博士の言葉に二言は無い。やるといったらやる、処分するといったら高笑いと共に
処分しにかかるだろう。ここは反抗しないのが身のためだ。
「まぁまぁ……シャントットは少し言い過ぎだが、君が要注意人物だということは確かなのだ。
納得いかないだろうが暫くは我慢してくれ」
俺とシャントット博士の間に入り、それとなく両者の距離を取らせるヨランオラン。この辺りの
気遣いは三博士唯一の良心と呼ばれるだけはある。
36 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:02:21.97 ID:FgGE2dn2
しかし、気になる事がある。
「なんで俺が要注意人物なんだ?」
そう、俺は何もしていないはずだ。先ほどちょっぴり錯乱したりはしたが。
「ワシが散歩をしておると、お主のモグハウスのモーグリが『ご主人様が頭がおかしくなって死ぬ
クポ!!』と大騒ぎしておるところにでくわしての。それでお主を介抱してやろうとしたんじゃが
奇妙な事に気づいてしまったんじゃ」
「奇妙な事?」
「ウム。丁度修理が完了した『魔法人形:魔力みやぶるくん3号』を持っておったのじゃが、お主に
近づいたらかつてないほどの反応を示して、もしや来訪者ではないかと思って縛り上げてきたのじゃ」
「ふーん。つまりその、俺が来訪者ってのだと危険なわけか?」
「ム、そうじゃの……来訪者自体が危険というわけではないのじゃが……」
「まぁこちらにも色々と事情があるということだよ」
コルモルの言葉を遮って、ヨランオランが前に出る。
「ともかく、我々は今、君が来訪者なのかどうかを知りたいのだ」
よくわからんが、兎に角今の俺はここウィンダスにとってイレギュラーな存在らしい。
イレギュラーな存在ということは、そこからどんな事象が起こるかどうかも予測不可能で、
それ故にこうして拘束されているって事か。
だが、そもそも『来訪者』というのは何の事なのだろうか。
「『そもそも来訪者って何なんだ?』という顔してますわね……
よござんす!このワタクシ自ら教えて差し上げますわ」
37 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:03:26.99 ID:FgGE2dn2
そうして、シャントット博士は来訪者について語ってくれた。
簡単に言うと、このヴァナ・ディールには本来存在し得ない、異世界からの闖入者の事を来訪者
というらしい。そして、元々この世界にあるはずのない存在が存在しているため、この世界にある
様々な法則に矛盾が生じてしまい、例え来訪者本人に害意や悪意が無くとも予測不可能な事象を
引き起こしてしまうかもしれないんだとか。確かにそれは危険極まり無い存在だ。
ともあれそういう意味では俺は『来訪者』に該当するか。
「ああ、確かに俺はこの世界の住人じゃないから来訪者ってことになるかな」
ほらな、とヨランオランに胸を張るコルモル。
「しかしそうなると、君の今後の身の振り方を考えねばならないな」
「身の振り方?」
「うむ。実はな、ちょっと言いにくいのだが…………今後君は命を狙われる事になる」
「…………シャントット博士に?」
「それに関しては君の態度次第だとは思うが……ま、それはともかく。
君が命を狙われるのは『赤い鎧を着た人間』に、だ。彼らはフェイトと呼ばれる組織を形成
していて、君たち来訪者を手当たり次第に狩っているらしい」
38 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:03:56.09 ID:FgGE2dn2
「ちょ、ちょっと待てよ!あれか、危険だからか!危険だから殺されるのか!?」
冗談じゃない。
ただでさえ訳がわからないままヴァナ・ディールに来た挙句に今度は訳がわからないまま
命を狙われるなんて納得できるはずが無い。
「アルタナ同盟4国としても、いくらイレギュラーな存在だからといってそれを排除にかかる
フェイトを見てみぬ振りはしていませんわ。
……けれど、情けない事に4国が協力して捜査を続けているにも関わらず彼らがなぜ来訪者を
狩るのか、そもそも彼らは何者なのか。ようとして実体が掴めていないのが実情ですわ。
で・す・か・ら。
当面の対策としては各国で来訪者の存在を確認した場合、フェイトよりも先んじて来訪者を
保護する事になってますわ」
「それで先ほどの身の振り方についてなのじゃが、お主にはこれからどの道を生きていくかを
選んでもらわにゃならん。
ひとつ、国に保護を求め、安寧に暮らすか。
ふたつ、敢えて国の保護を断り、一介の冒険者として生きていくか。
そしてみっつ、フェイトどもに徹底抗戦を挑むか。何れにしても自分で決めねばならぬぞ」
迷っている暇はあまりないがな、とコルモルは付け加える。
39 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/27(金) 02:05:09.06 ID:FgGE2dn2
「まぁ貴方みたいな凡人には自分の人生の方向を即決めれるような判断力は持ち合わせていない
でしょうし、暫くはここで暮らして良く考える事ですわね」
「いいのか?」
まさかあのシャントット博士からこんな申し出があるとは。博士の事だから薄暗い牢獄にでも
押し込められるものだと思っていたが、やはり人の子という事か。多少の……極僅かだが
良心というものを持ち合わせているらしい。
「構いませんことよ?もちろん、対価としてそれなりの労働はして頂きますけど。
そうですわねぇ、さしあたって新魔法の実験台にでもなって頂こうかしら」
前言撤回。やっぱり博士は博士だった。
そんなこんなで、様々な不安を胸に俺のヴァナ・ディールでの生活は幕を開けた。
俺はこれからどうなるんだろう?どうすればいいんだろう?
そもそも俺はシャントット邸から生きて出ることができるんだろうか?
「あ、そうそう。昼食はシャル貝のパイン蒸しを作っておきなさい」
なんだかちょっと泣きたくなった。
>>31 >>39 乙でーす。本格的な物語はこれからですな。
>>26 本当はこういうオチじゃないんですwww 以下は制作裏話かつ無駄話の長文です、読みたい方だけどうぞ。
今までの物語で進まない理由は物語中で喋っている通りです。付け加えると、今の仕様で書いている人物&
キャラの名前なしで話を進めるには難しい程に話が大きくなりすぎるので、『とりあえずの最終話』と相成りました。
まぁ、これはこれで『緑茶はシャララトに出没する甘いもの好きのミスラ』と読んだ人が無意識に思ってくれれば、
話のネタとしては成功でして(言ったら意味ねぇww)話のオチの方が「ついで」だったりします。
私の書く話は基本的にアイテム名などでゲーム感を出し、そのアイテム説明を詳細にすることで
始めて読む人でも分かるように&知っている人でも映像として頭にアイテムが浮かぶようにしているので、
(風景や天候、匂いの描写が連発するのもそのせいです。あと
>>21のような比喩表現もかなり多いですね)
今回の話の冒頭のように種族と装備についての説明が入り、それを構成して文章にするのに時間がかかります。
他の方の話と違って「会話」が圧倒的に少ない反面、行動を事細かに言葉を選びながら書いてるんですが(つもりw)
>>23の場面でスプーンを使ってシュトラッチを食べている何気ないシーンなども、
『そもそもシュトラッチはどういう食べ物で、手で食べるのか、フォークで食べるのか、スプーンで食べるのか』
をしっかり調べてから書いてるのも時間がかかる要因です。えぇ、凝り性ですw
てか各話が並行リンクする設定なんかにするから、さらに辻褄合わせをするのに時間かかるしww
41 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 08:18:41.37 ID:q8tnw1ai
積極的に危険な道を征こうとする剛の者が二人も…!
42 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 11:56:27.13 ID:q8tnw1ai
電撃保守
43 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/27(金) 12:57:21.18 ID:n6oxHda9
歩いてくる人影に気付く。
「・・・うわ、これはまた・・・楽しんでらっしゃる」
コヴンハットをかぶりピッチフォークを背負う少年に、私は曖昧な表情を向けた。
彼はちっとも気にとめず、ちょんと帽子のつばをつまむ。
「だって俺、ずっと出番なかったし。ちょっと暇つぶししていました。あ、ランタンもそろえましたよ。
それよりシーンがこっちに戻りますから」
「はーい」
応えて、ふと気付く。
「その格好で?」
私の言葉の意味が理解できず首を傾げ、それから、あ、と小さく声をあげた。
「・・・あ〜・・・着替えてきます」
帽子を取り、慌てて走っていく。
さすがに、帽子にフォークでは雰囲気が出ない・・・ってか、それ以前の問題です。
そんなわけで続きを少し。
44 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/27(金) 13:02:20.82 ID:n6oxHda9
力なく膝を突く少年を前に、彼は躊躇う。
まだ幼い少年を手に掛けるのは彼の主義に反していた。
まして圧倒的な差をもって一方的に潰すなど、武人として恥ずべきことだ。
だが、与えられた役は果たさねばならない。そう言い聞かせ構える。
うずくまる少年は覚悟したか身じろぎせず、彼に疑問を抱かせた。
・・・何だ、これは。
あれだけ抗った者がこれほど大人しく諦めるだろうか。否、死の間際まで足掻くだろう。
では・・・?
一瞬のためらいが、彼を油断させた。
「!?」
斬撃を察し飛びすさる。横一文字に胴着の胸が避け、分厚い胸板が覗く。
いつ抜いたか、少年のその手に剣が握られていた。
いや、違う。
それは長大な、両手斧だった。
いつの間にか立ち上がり、一息に振り抜いたままの姿勢でわずかに首を傾げる。
狙いがはずれたな、とでも言うかのようなその仕草は、わずかにも敵意を含んでいない。
気付いた。
彼にとっては、それはわずかなミスでしかないのだと。
致命傷を与えられなかった。ならば、次に与えればよい。それだけのこと。
彼にとって、問題はそれだけだった。
45 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 13:17:49.91 ID:jr4QXrPH
25日 おれ今日から鉢植えなにが育つか楽しみだ
26日 芽が栄える。まるで干し草のような草だ
27日 は
46 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/27(金) 13:18:57.83 ID:n6oxHda9
青い瞳が真っ直ぐに私を見つめる。モニタで見たあの幼さ、あどけなさのない瞳が。
「きみはここで終わる。それでいいのか?」
終わる。・・・終わる?終わるって何だ?
「ダメだ」
誰にともなく私は口にした。
「それじゃあダメだ」
けれど、私には無理だ。私には、その力はない。
厳しい表情を浮かべた彼は、私に向かって手を差し伸べる。
「俺はまだ、終われない」
型のない構えで相対し言う。
「終わりを迎えてはいけない。終わらせるために、俺はまだ終われない」
「・・・なに?」
独白とも語りかけとも取れる言葉を口にする。まっすぐに前を見つめ、得物を掲げた。
「『終わり』が彼女の邪魔をするな。彼女はまだ終わらない」
「・・・お前は何を言っている?」
心臓を掴まれるような怖気に知らず問う。
47 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/27(金) 13:29:50.67 ID:n6oxHda9
ざ。と踏み込む。半ば本能で避けなければ、腕を断たれていた。
身の丈ほどもある斧を振るうその力は、先程の彼からは微塵も感じられなかったものだ。
「名を。俺はキーゼル。・・・冒険者だ」
「異端だろう。この国にとっても、この世界にとっても」
唸りに彼はわずかに唇を噛む。
「『終わり』を玩ぶあなたたちが言えた義理か」
それは確かに己にも言えたことだったが、しかしそれは敢えて無視をした。
「解放しろ。『それ』は枷にしかならない。それが嫌なら、」
少年は柔らかく微笑み、ふいと構えを解く。わずかな動作で空気が変わった。
「キレるよ?」
一瞬。
傍らの樽が、中に満たされていた水を撒き散らして砕けた。
「まさか、そこまで知っていてソルニエを知らないなんて言わないでしょう?・・・俺のことも」
火花に似た音がはぜる。彼の首から下げたプレートが、わずかに輝いていた。
「・・・・・・く、」
背丈なら倍ほども差があるというのに、何故、気圧されるのか。
「ああ、ごめん」
柔らかな笑みのまま言う。掲げる得物とはひどく違和感があった。
「関係ないな。俺が誰でも、あなたが誰でも。俺がいる意味も」
48 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/27(金) 13:40:30.96 ID:n6oxHda9
今回は以上です。
>>45さん、投下の邪魔してしまってすみまs・・・鉢植え!?(´口`;)
あの・・・この穀物の種、植えますから・・・
49 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 16:02:12.38 ID:Vu6ZjMc+
あげ
50 :
Fill ◆/mxTlpzcHk :2006/10/27(金) 17:21:14.57 ID:XC0ml7dw
人気のない所に来たのが失敗だった。
「こんにちは」
「・・・」
黒装束は俺の挨拶に返す事無くじっとこちらを見つめている。
すぐに襲ってこないのはこちらの力量を測りかねているからだろうか。
なにしろ俺は曲がりなりにもレベル75である。
向こうのレベルは知らないが、生き残る事に関してはレベル75の赤魔道士に勝てる奴などそうそう居ない。
でもまあそれはゲームの中での話であるわけで。
(やっばい・・・結構ピンチ)
何と言うか・・・甘すぎた。
さすがにこんなすぐに襲ってくるとは思わなかったので俺の装備は丸裸状態。
武器も無ければ防具も無い。鞄に入っていれば装備出来るのかもしれないけれど、
今の俺は鞄が空どころか鞄すら持っていない状態。
レベルが高いから基礎的な戦闘力は高いのかもしれないけれど戦い方なんて知らないし魔法なんてもってのほか。
赤魔道士レベル75。武器なし防具なし戦闘経験なし魔法なし。
クフタルの蟹どころかロンフォのミミズにすら負けるのではないでしょうか。
目の前の黒装束さんやったね!☆ココはボーナスポイントみたいなものだ。
恐らくレベル75の中で一番弱いのが俺でしょう。倒すなら今!
51 :
Fill ◆/mxTlpzcHk :2006/10/27(金) 17:21:37.57 ID:XC0ml7dw
とは言えそう簡単に倒されても困る。
何とかしてここを切り抜けなければならない。
こっちに来てやった事がモーグリへの脅迫だけなんて間抜け過ぎる。
「貴方がフェイトという組織の人ですか?思っていたより早く来てくれて助かった」
「・・・」
黒装束は相変わらず無言。でも多分話はちゃんと聞いている。
「話をするために武器を持たずに接触してくるのを待っていました」
「・・・」
「貴方達はこの世界の秩序を護る為に俺達を狩っているとか・・・」
「・・・そうだ」
コンタクト成功。というか意外にも女の声だ。
「それで俺のところにも来たんですね」
「そうだ」
はい、それ正解。
だって俺この世界をめちゃくちゃにする気まんまんだもん。
「ですが俺は貴方達と戦うつもりはありません」
「・・・」
「その証拠に、こちらが知っている情報を教えましょう」
「・・・」
こちらの真意を測りかねているのかまたもやじっと見つめてきている。
52 :
Fill ◆/mxTlpzcHk :2006/10/27(金) 17:22:06.73 ID:XC0ml7dw
「とは言っても俺が知っている事もほとんどないのですが・・・
貴方達の行動が国に目を付けられている。来訪者の多くは国に届け出を出し保護を受けています」
「・・・」
相手がそれを知っていても知らなくても別にいい。大事なのはここからだ。
「俺はモーグリに口止めしてまだ届け出をしていない状態なのですが・・・スパイとか欲しくない?」
さすがに驚いたのだろう。普段無口で微動だにしないので動揺したときはとてもわかりやすい。
「・・・なにが望みだ?」
世界征服・・・とは言えないよなぁ、うん。
「特にはありませんよ。まあ強いて言うなら元の世界に戻りたいって事ですかね」
「・・・すぐには決められない」
他のメンバーと相談でもするつもりなのだろう。
「わかりました。では明日の日付が変わる時間にここで返事を聞かせて貰えますか?」
「すぐに同じ場所で、というのはまずい。1週間後にランペールの墓まで来れるか?」
「可能です」
「では1週間後にランペール王の墓の前だ」
そう言うと黒装束は音も無く路地裏に消えていった。
なんというか、一度決めたらそっからの行動がえらく早い。
残された俺はと言えば・・・
53 :
Fill ◆/mxTlpzcHk :2006/10/27(金) 17:22:27.10 ID:XC0ml7dw
「アブねかった・・・」
今更になって冷や汗がだらだらと出てきている。
(とはいえ黒装束と接触出来たのは案外良かったかもしれない)
奴等の組織がどの位の規模のものなのかは知らないけれどもきっと裏の世界とも繋がっているだろう。
この先この世界で権力や力を手に入れるには裏の世界とのコネクションがあったほうがやりやすい。
とは言ってもバレた時の事を考えるとリスクが大きいような気がしなくもない。
「とりあえず1週間あるんだしじっくり考えて行動しますかね・・・」
もし国の側に付くなら1週間後にランペの墓に黒装束が現れる事を教えてやればいい。
黒装束の側に付くなら普通に予定通りランペの墓に行けばいい。
表か裏か。光か闇か。
それは俺のこれからの行動次第で決まる。
・・・困った事に
「どっちのが早く権力を手に入れられるかな〜?」
結構本気で世界征服するつもりだったりする。
ごめ、全部上げてた・・・orz
まじすまん
>>54 投下乙です
私の書いた話のまとめをWikiの方にページ作って載せておきました。
ええ、馴れないことはするもんじゃありませんでした。
14スレに投下した物語まで13スレって題名ツケチャッタヨw
まぁ、何も言われなければ気づかれまい……ッて!!
そもそも題名あるんだから、スレ番号いらなかったし…orz
今日はもういぢるの怖いので、他のページからのリンクを編集するのはやめておきます。
あと、まとめのテンプレ・レギュレーションの文も今度ちゃんとしたのに書き直します。
56 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 19:39:37.78 ID:q8tnw1ai
魂を縛られないよう気を付けて…age
57 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 22:49:02.54 ID:h+NkVDKc
むしろ全部ageじゃないとまた落ちそうだよねage
58 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 23:35:37.49 ID:BQBus65Y
ageといえばN-ageとかいうMMOあったの知ってる奴はこのスレにいないだろう!
59 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 23:39:22.58 ID:HrfHqBCK
フフ、名前だけは知っていますよ?
60 :
既にその名前は使われています:2006/10/27(金) 23:44:05.80 ID:BQBus65Y
ナ ゝ ナ ゝ / 十_" \/ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
,. -─- 、._ ,. -─v─- 、._ _
,. ‐'´ `‐、 __, ‐'´ ヽ, ‐''´~ `´ ̄`‐、
/ ヽ、_/)ノ ≦ ヽ‐'´ `‐、
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ ≦ ≦ ヽ
i. /  ̄l 7 1 イ/l/|ヘ ヽヘ ≦ , ,ヘ 、 i
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/ l |/ ! ! | ヾ ヾ ヽ_、l イ/l/|/ヽlヘト、 │
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l レ二ヽ、 、__∠´_ |/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` / riヽ_(:)_i '_(:)_/ ! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
じゃあNageをプレイしていた奴は俺しかいないだろう
これなら大丈夫だろうそうだろう
Fill ◆/mxTlpzcHk
来た征服系のお話きた!おもしろそうだからよみまくるだぜ!
来月こそは…!Nage
(334)
大工房のリフトを待ちながら、焦りと疑問が悶々と湧き出てくる。
このタイミングで襲撃を受けた理由は何だろう。俺たちがバストゥークに着くのを見計らっていたか、あるいはただの偶然か…
爺さんにコンタクトを取ったのはマルトらしい。マルトはこちらがまだバストゥークに着いていると言う事実は知らない。
着いているかどうか判らないのにコンタクトを取ってくるほど危急だった、と言うことだろう。
「…いや、そもそもどうやってマルトから知らせが届いたんだ?」
「こちらでございます。リージョン内でしか使えない旧型ではございますが、中継地点で盗聴されるリスクが少ないのが利点ですな」
爺さんが差し出した掌には、小さな宝石のような球状のものが乗せられていた。
「そういう便利な物があるなら、どうして先に言わないかね…」
「多用すれば、如何な中継地点が無いとは言え盗聴される可能性がございます。何しろ、相手が相手でございます故…」
ようやくやってきたリフトに早足で乗り込む。
非常階段などがあれば駆け下りたい気分だが、それらしい物は見当たらなかった。
「しかし、こちらの動きは結局筒抜けです」
フルキフェルが責めるような口調で短く言う。爺さんは苦笑いのような表情を浮かべながら首を振った。
「筒抜けだったのはこちらではなく、ヒロ様のようで…」
同じことだ。猫に鈴をつけるのが遅れたのはこっちの不手際と言える。
「取りあえず、二人とも無事なんだな?」
リフトが地階に着いたところで、全員が走り出す。その動作の中で、爺さんがこちらに小さく頷いた。
(335)
大工房を出て商業区を走りながら、先ほど渡されたリンクパールを耳につける。
「マルト、簡単に事情を説明してくれ」
そう言うと、マルトは少し口ごもった後に話し始めた。
『ヒロ様のモグハウス… いえ、レンタルハウスの中で襲撃を受けました。相手は… 1人です』
「そうか、それで?」
『襲撃してきた本人はその場で倒しました。ただ、その後仲間が現れて死体を回収していきました』
最初に1人と言ったのに、仲間が現れて回収というのも妙な話だ。こういう矛盾があるときは何かを隠していると疑うのが定石だが…
相変らず走りながら、爺さんに目を移す。わかっている、とでも言うように目を合わせてまた視線を前に向ける。
「…わかった。今こっちも"こうもりのねぐら"に向ってるから、その場で待ってろ。それと…ヒロ!聞こえてんのか!!?」
声をかけてしばらく待ってみても返事は無い。
『リンクパールは渡したのですが…』
「ったく、あの馬鹿は…!」
それだけ言って、耳にはめ込んだリンクパールを懐に突っ込んだ。
「もう寝てたりしてね」
おどけたようにラディールが言う。
「何考えてんだ、あいつは!」
思わず口に出た言葉は、俺が思うよりも忌々しげな口調だった。
64 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/10/28(土) 02:32:13.16 ID:RNPWjAqN
以上、投下終了Nage
>>54 世界征服ktkr!
鬼畜王ランスとか思い出しますわ…
頑張ってくださいw
>>55 いつも楽しく読ませてもらってます^^
Wiki編集等ご苦労様です。
未だに編集方法が理解できないのでうらやましい限りです…w
65 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/10/28(土) 02:37:18.53 ID:RNPWjAqN
途中で送ってしまいました…
>>48 凄い続きが気になるので、すぐさま投下を要求するニダ!
66 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 07:11:30.32 ID:8yMe67oS
オスラとミスラがひとつ屋根の下age
67 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 11:26:40.74 ID:C1GOCs7/
あげ
68 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 14:36:02.88 ID:8yMe67oS
モグとミスラとエル♂がひとつ屋根の下age
69 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 14:52:50.06 ID:FjuApCaD
・・・!?いつもよりもおちんちんが大きいタル!!・・・語尾もなんだかおかしいっポ!
朝起きたらオスラになっていた……
個人的オスラ話のイメージ:
華奢なミスラに外仕事を任せるぐらいだから、更に華奢で半ズボンが似合う細身で背の低めな美少年オスラ
ミスラのお姉さん逹に色々イタズラされて泣きながら、家事をこなしていく…
それでも、健気に仕事をしていくオスラに少しずつ心を奪われるお姉さん逹。
満月の夜にオスラがふと目を覚ますと、
四つん這いで覆い被さり、頬を赤くしたミスラのお姉さんの一人が…
そんなイメージ
>>70 _ ∩
( ゚∀゚)彡 わっふる!わっふる!
⊂彡
72 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 17:53:02.06 ID:/GXwopkI
とりあえず補習
(336)
鉱山区は昼間の雑踏が嘘のような静寂だった。その中に、俺たちの足音だけが響いている。
建物や壁が岩で出来ているせいか、あるいは町の周りが荒地のせいなのか、空気が随分と冷たい。
街灯が僅かに照らす道をただひたすらに宿屋に向って走り続けていた。
フルキフェルが少し遅れ始めていた。アルテパの時と言い、走るのは苦手なようだ。
実際のところ、少なくともマルトは無事なのは確かなようだから宿屋に急ぐ理由はそれほど無い。
ただヒロとの連絡が取れない以上、マルトとの合流して詳しく話を聞き、あいつの行き先を特定して探し出す必要がある。
結局鈴をつけたところで猫は猫。気ままなのは変わらない、と言うところだろうか。
もう10メートルほど集団から遅れているフルキフェルをよそに、目的地に向う足取りを緩めることはなかった。
「あそこだったかしら?」
ラディールがそう言って指差した先は、下に入る通路の横に設けられたベランダのような通路だった。
その先に、大き目のランプが煌々と灯っている。間違いなさそうだ。
細くて今にも壊れそうな欄干には手を触れず、なるべく建物側を通るようにして、そのランプまで行き着く。
少し息を整えて、フルキフェルが後ろから追いついたのを確認してからガチャ、とドアを開けた。
中にいたのは、いかにも無愛想な顔をした中年の女だった。こちらを一瞥した後、また手元に視線を落としたようだ。
「部屋を3つ頼む。サンドリア領事のパレーデ卿にここを使うよう言われたんだが…」
「あらなんだい、サヴィーさんとこの人かい?」
領事の名前を出した途端、上機嫌に何か準備を始めたようだ。しかし妙な人脈だ。あの人はちゃんと仕事をしていたのだろうか?
(337)
この女は、どうやらこの宿屋の女将さんらしい。
鍵を取り出して部屋へ案内しようとする女将さんを少しとどめて、マルトについて聞いてみた。
「あの娘、お連れさんかい? ちょっと前に血まみれで戻ってきたようだったけどねぇ…」
「部屋は?」
「あぁ、その奥にある部屋だよ」
それだけ聞くと全員がその部屋に向って走り出した。
ドアを開けると、どうやらお着替え中だったらしく下着姿のマルトがこちらに尻を向けて屈んでいた。
「よぅ、大丈夫か?」
そう声をかけた途端文字通り飛び上がるように驚いてから、傍らのベッドに置かれていた服で胸元を隠して振り向いた。
「これは…失礼しました。こちらに着くのはもう少し後だと思っていたので…」
「気にしなくていい、取りあえず服を着な。ヒロの行き先について知っていることがあったら聞きたい」
いそいそと服を着始めるマルトと、それを面白そうに眺めているラディール。
男3人は後ろを向かされ、なんだか妙な光景が広がっていた。
「お待たせしました… もう大丈夫です…」
そういわれて振り返ってみると、少し袖の長いタブレットを着たマルトが椅子をこちらに差し出していた。
右手でそれを制しながら、マルトに椅子に座るように言う。
「で、ヒロの行き先に心当たりはないか?」
(338)
「心当たりはありませんが… ヒュムの女性と一緒に出て行きましたので、その方と一緒ではないかと…」
部屋にいた一同に『ハァ?』という声が上がりそうな表情が広がる。
「あいつ、女引っ掛けて遊んでたのか?」
「いえ、何か事情があるような節でしたが…」
ふぅん、と相槌を打っておいて、さてどうしたものかと考える。
「取りあえず、リンクパールで呼びかけなきゃ」
「いや、しかしだな… ほら、女連れとなると、その… 最中って可能性もあるだろ?」
「そんな事を言っている場合ではありませんね」
冷たい視線と共に、また一層冷たい言葉がフルキフェルから放たれる。
「いや、さっき呼んでも反応しなかったし… 俺はそういう野暮な事はしたくないんだがなぁ」
そう言いつつも、先ほど懐に放り込んだリンクパールを取り出して耳につける。
「おーい!ヒロー!」
返事は無い。
「ほら、やっぱこういう野暮な事はさぁ…」
「そうやっている間に彼が襲われないとも限りません」
またフルキフェルが言う。機嫌が悪いと言うより、なにか差し迫ったような感じがある。
ため息を一つついて、もう一度呼びかける事にした。
76 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/10/28(土) 19:25:49.97 ID:RNPWjAqN
投下終了age
先生・・・ オスラに…なりたいです…
何はともあれ魔法が使えないと話にならない。
南サンドリアの裏路地のさらに奥まった所にある広場。
何の為にこのようなスペースがあるのかは知らないが人目に付かない様に魔法の練習をするには絶好の場所だ。
約束の日まで残り6日。
場合によってはその場で黒装束と戦う事もあり得るので戦い方は覚えておかなければ。
「つってもなぁ・・・」
魔法の方法は2通りとスレで見た記憶がある。
詠唱を唱えるかTabを思い浮かべて集中して魔法を使うか。
とは言っても詠唱の文なんて覚えてきちゃいないから実質的には後者でやるしかない。
「とりあえずやってみっか」
思えばここに来て以来身体の中にリアルに居た頃には感じなかった『何か』を感じる。
恐らくこれが魔力とか言われてるものなんじゃないかと思う。
この魔力を紙粘土での遊びのように魔法のイメージに練りあげていき、発動のキーとなる魔法を唱える。
そうするとあら不思議、耳がでっかくなっ・・・たりはしないけど使いたい魔法が使えたりするのだ。
と言うかイカン。俺の頭はなんか雑念だらけらしい。どうでもいいけどうまい棒タコヤキ味って案外美味いよね。
気持ちを切り替えて息を吸い魔力の流れを意識する。
それは血液の様に体中を流れ、時に速く時には遅く流れを変えていく。
その中から少しだけの魔力を汲み取り、流れから切り離す。
切り離した魔力に使いたい魔法のイメージを組み込み練りあげていく。
その魔法の完成した姿を思い浮かべる。
いくつものつぶての形。土の匂い。地面から勢いよく湧き上がる様子を思い浮かべ・・・
「【ストーン】!!」
・・・
・・・・
・・・・・しかし何もおきなかった!
なんつーかこう道端で気持ちよく歌いながら歩いていたら実は後ろに人が居て凄い気まずい思いをした時のような
漫画で知った事を学校で自慢気に話してたら実はそれがネタだった事を指摘された時のような。
改心のネタのつもりで言ったのに周囲から「ハァ?」という顔をされた時のような。
そんな気まずさが俺の心に満たされております。
周りに人が居なくて良かった・・・本当に良かった・・・。
イメージを固めたはずの魔力は形が崩れて元あった流れの中に消えてしまっている。
これは思っていたより大変かもしれない・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・
3時間粘ってやっと形になった頃には日は沈みかけ辺りは夕闇に照らされていた。
魔法を使うという事は思っていたよりも結構大変で、集中力がかなりいるようだ。
ゲームをやっている時はちょっと殴られた位で詠唱が中断される事にうんざりしていたが
実際にやってみると納得、これは話しかけられただけでも失敗しかねない。
・・・どこからかかすかに夕食の支度をする音が響いてきている。
ふと幼い頃の事を思い出す。
そういえば小さい頃もこの位の時間まで遊んでこの音を聞きながら家に帰ったものだ。
身体の中の魔力はほとんど使ってしまったらしい。
最初の頃は濁流の様だった魔力の流れの勢いも量も今では小川程度になっている。
(・・・ヒーリングってどうやるんだろ?)
MPの量がそこそこある事から今まで気にする事無く練習に打ち込んでいられたが
よくよく考えるとヒーリングの仕方を俺は知らない。
寝れば回復するような気がしなくもないが、
街の中ならいざ知らず外に出たらMPが無くなったたびに睡眠をとるというのはどうも現実的じゃない気がする。
これは今のうちに覚えておいた方がいいかもしれない。
やれる事が多いのは確かにありがたいのだが、その分覚えなければいけない事もかなり多い。
「っと、そうだ!コンバートがあるじゃん」
アビリティの使い方も知らないけれどそこはそれ。魔法と違って結構簡単に出来る様な気がする。
「・・・【コンバート】」
しかしなにm(ry
試しに呟いてはみたものの何も起きない。
最初に魔法を失敗した時と同じ虚しさがあるだけ。やべぇ、俺すっげぇ泣きそう・・・。
試しに今度は魔法と同じように使ってみる事にする。
目を瞑り、意識を集中。
どこからか聞こえる包丁がまな板をたたく音。
そのリズムに合わせるようにイメージを構築していく。
いつしかその音は俺の心臓の音に変わり・・・
【コンバート】
瞬間
目の前が真っ赤になった
身体の至る所から鮮血がほとばしる。
イタイ
血は留まる事無く流れ続け身体の熱を奪っていく。
イタイ
声にならないうめき声を上げ、俺はその場に倒れこんだ。
イタイ
魔力は狂ったように体中を暴れ周り血を外へと押し出す。
イタイ
途切れそうな意識を必死にかき集めイタイ魔力を汲み取り集中する。
光のイメージ傷がイタイ塞がるイメージイタイイタイ血を止めるイタイイタイイタイイタイイメージ
意識はもうほとんどなくただがむしゃらに魔法を唱えた。
「・・・っ【ケアル】III!!」
どこからか夕食の団欒の声が聞こえる
お父さんの声。お母さんの声。お姉ちゃんの声。弟の声。
「うっ・・・あ!」
腕を少し動かしただけで全身に痛みが走る。
傷は塞がったものの、身体から出て行った大量の血液は戻ることは無く俺の意識を朦朧とさせている。
身体が赤かった。
そういえば昔白魔法と黒魔法の両方を使えるんなら灰魔道士なんじゃないの?なんて思った事があったっけ。
「・・・イタイ」
倒れたまま呟く。
月の光が照らす服は俺の血でまっ赤に染め上げられている。
そうか、だから赤魔道士なんだなーなんて思いながら
「前途多難だにゃー」
俺はその場で意識を失った。
>>76 任務ご苦労
パスネットをやろう
・・・オスラっていいよね
生まれつきハーレムだもんね
84 :
既にその名前は使われています:2006/10/28(土) 22:13:17.06 ID:8yMe67oS
たとえ我が魔力尽きようとも、汝がため血を流さんage
…すまんうろ覚え。
85 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/10/28(土) 23:49:38.79 ID:C3+kP8sD
>>1 遅くなりました。
スレ立て乙でございます。
>>虎 ◆tQar3mtsYE
初っ端から、シャントットの家政夫?
ご愁傷様です。^^;
>>Fill ◆/mxTlpzcHk
危なっかしい人がいっぱいいるのに世界征服を目指すとは…恐ろしい人だ…。
コンバート発動で傷だらけ?…M専用?w
「『コンバート!!』……あぁん!らめぇっ!!」
…書いて後悔。
オスラ…
多分緑茶さんが言うように少年、しかも超純情。一人称は「僕」で決定。
背丈はミスラの平均身長より半分強。箸よりも重いもの持てないほど華奢。
だからヒモ、っていうかミスラに養われてる感じ。
だが、しかし!! いざ事となるとミスラをヒィヒィ云わせるテクをあやつり、挙句n…
…書いて後悔。
明日投下予定。
朝起きるといつもの家ではなかった。
季節はずれのクリスマスツリーが三本とタイムピース、そして今寝ているブロンズベットだけの部屋。
どうやらここは俺の部屋ではないらしい
「ご主人様、手紙が来てるクポ」
「ん、ありがとう」
おれはいつもよりか長い腕でそれを受け取った。
封を切り、ひっくり返すと一枚の紙が出てきた。そこには大きく二文字が書かれていた
保守、と
88 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 02:18:19.37 ID:3Mtbqkgo
age
オスラが好評なのは予想外w
でも折角なのでオスラ話をちゃんと書いてみようかと思い
ウィンダスのミスラの名前を調べたら
……よめねぇorz
Nanaa Mihgo(ナナー・ミーゴ)とSemih Lafihna(セミ・ラフィーナ)を例にとると、
母音が二つ連続すると伸ばす発音に。
hは明らかに子音として発音する以外は、発音しないか上記の母音の変わりになるかのどちらか。
って感じでいいのかなぁ…不安だ。
お詫びと訂正…と愚痴
>>19の赤魔AFの正式名称はアタイアではなく、アーマーでした。
白魔と黒魔、シーフやモンクもアタイアだったから同じだと思ってましたスイマセン
ついでに…ヒュム♀、エル♀やミスラの場合は赤魔AF脚が腰紐パンツなのにタイツというのは是如何に。
ってか、ネクタイ締めて腰紐パンツの装備一式の名前にアーマーってつけるか普通w
「ご主人様、保守ってなにクポ?」
「それは世界を守ることだよ」
91 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 09:20:40.09 ID:GTqXa5TI
まとめの方にも手を入れなきゃなー
92 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 09:36:59.88 ID:AZIkcqb2
どう見ても鱗鎧なのに百人隊長鎖帷子ってつけちゃったりとか、鋼鉄銃士制式甲冑と銃士正式長銃を同時に扱えるジョブが存在しなかったりとか、工場使った大量生産が確立してないっぽいのに「制式○×」が多用されちゃってたりするゲームですからね(´∀`)
名称に突っ込みだしたらきりがないですw あと、鎧の上に羽織る装束もタバードと言うそうなので、下の鎧も合わせて「ワーロックタバード」で、総称が「アーマー」なのでしょう(´∀`)b
で、ageます。
朝起きたらカッパエルモンクになってたなんて笑えない。しかも被ってる。
「ちょっと出かけてくる」
俺はそういうと保守の紙を握り締めて外へ出た
保守保守いいながらsage・・・って突っ込んだら負けか
スレが落ちるのはスレ番号の古い順じゃなくて、
最後の書き込みが古い順だからsage進行でも保守にはなるはず。
何より文章の仕方が「物語を書くスレ」っぽくて私は好きですね。
>>92 あんまり気にしないことにするw
オスラ話書いていて、公式で本当にオスラが出てきた時、
全然違うものだったらどうしようと少し思うw
96 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 12:32:49.00 ID:GTqXa5TI
97 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/29(日) 12:42:04.92 ID:JX4s8fB9
ミスラさんに説明してもらいました。
「ワーロックアーマーについて?ああ、いいけど・・・
やっぱり特徴的なのはタバードとシャポーだな。赤魔道士を目指すなら誰もが一度は憧れるんじゃないか?
タバードは、白いカラーに映える真紅のジャボ。フロントの黒に対して引き締まって見える。
基本が赤と黒の配色でありながら白を添えたこのコントラストは美しいと思う。
ちなみにタバードとは本来騎士が鎧の上に羽織るものであり、サーコートと同じものと考えるといいだろう。
また紋章官が羽織る官服でもある。
ガラントサーコートと比較すると、ワーロックタバードはどこに鎧を着ているかを考えてはいけない。
ヴァナの場合、むしろそれ自身が鎧だと考えるべきかな。だからワーロックアーマーと呼ぶのだろう。
まあ、ワーロックタバードよりもデュエルタバードのほうが、よりそれらしいと言えばそうかも知れない。
シャポーも赤と黒が基本だが、アクセントであり最大のポイントの、大鳥の羽根が添えられている。
オウムなどの羽根を用いて作られることが多かったみたいだ。ソフィーの帽子屋でも作っていたな。
一式を着るとあれを思い出すんだけど、多分私だけじゃないだろうな。私はアニメのほうが印象にあるけど。
・・・え?そんなことは聞いていない?装備なんてどうでもいい?
何でタイツなのに紐パンなんだって・・・?
お、お前ら、露出が少ないと文句を言うくせに!!好きで露出度の高い格好をしてるんじゃない!!
こっちだって恥ずかしいんだ!!セクハラですか?^^とか言うな!!」
ミスラさんセクハラです><
そして保守人さん含めカッパエル率が高い気がしまs
98 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 13:45:03.87 ID:e4xbZpdV
石造りの津路を抜けると大きな噴水が見えた。
「ここは北サンドリアか……」
やることもないのでとりあえず北サンドリアをぶらぶらする。
途中ですれ違ったお化けに手持ちのクッキーをあげてみた。
「ありがとう……。これをどうぞ……」
お化けは口から手紙を出して、俺に渡すとどこかへ行ってしまった。
「ハロウィンで手紙なんてもらえなかったような気がするが……」
さっきのものとは違い、手紙の表面に文字が書いてあった。
『リアルへ帰還する方法』
俺は急いで封を破り中から手紙を出した。その時間0,5秒
手紙には二つの文が書いてあった。
1、北の地へ行け。そこに真実がある
2、sageよりかageのほうがよろしい
とりあえず俺は2は理解できないので1を実行することにした
99 :
既にその名前は使われています:2006/10/29(日) 15:44:18.23 ID:e4xbZpdV
モグハウスに戻った俺はベットに腰をかけると『保守』と書かれた紙を見た。
保守……保守……保守……どこかで聞き覚えのある言葉だ。
俺は自分の記憶の棚を引っ張り出すことにした
朝起きたら自キャラのミスラたんになっててタルタルにおっぱいしゃぶられてヒュム♂に手マンされてエル♂にチンポしゃぶらされてた
「コンバート禁止!!」
「クポッ!?」
うちのモーグリってば何を言っても反応するから面白い。
「・・・」
「・・・」
「わたくしが世界を征服した暁には女キャラは全員水着着用を義務付けます!!」
「クポッ!!?」
「・・・」
「・・・」
「飛空挺私物化計画!!」
「クポッ!!」
「・・・」
「・・・」
「シャントットは俺の雌奴隷!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
モーグリの反応がない。
「・・・クポポポポポポ」
見るとモーグリは何故か俺の後ろを見て震え上がっている。
なんだよ、後ろに何かいるってのか?
「オーーーーホッホッホ!どうやら貴方にはわたくしの恐ろしさを身を持って教えて差し上げなくてはならないようですわね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?
「ちょっ、まってここさんどりあ」
「全く最近の若い者はレディに対する態度というものを知らないから困りますわ」
「れでぃっていってもおばさんじゃ・・・」
「ほほほ、どうやらとんだ身の程知らずのようですわね」
「まっておれにはつまと3にんのこどもとぺっとのモル子が・・・」
「 問 答 無 用 ! 」
シャントットが構えた杖の先から迸る光が俺の体を空中に跳ね上げた。
薄れゆく意識の中シャントットの高笑いが聞こえる。
俺の冒険は・・・ここまでのようだ・・・
「カリカリクポー」
「うわわわわうわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は叫び声を上げながら跳ね起きた。
「クポッ!?」
驚いたようにモーグリが声を上げる。
窓から入る朝日が部屋を照らしていた。状況を確認しよう。ここはサンドリアの俺のモグハウス。
常識的に考えればここに奴がいるとは考えられないのだが奴には常識とか通用しないような気がする。
やだなぁ、後ろ見たくない。居たらどうしよう。
「怖くないぞー全然こわくないぞーこれっぽっちもこわくないからなーでも居たらやだなー」
呟きながら恐る恐る後ろを見る。
壁がある。家具がある。・・・誰もいない。
「良かったぁぁぁぁぁぁ」
思わず安堵の声が漏れる。深くついたため息に反応したのかモーグリがこちらを心配そうに見た。
「ご主人様・・・?」
「いや、なんでもない。なんでもないんだけどひとつだけ言っておくと・・・」
大きく息を吸って一言
「夢かよ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
モーグリの反応がない。
悲しい事にどうやら最近うちのモーグリはこういうのに慣れてしまったらしい。
とくに大事無いと思ったのかこっちを無視して掃除の続きを始めている。
コンバートを使用してからすでに2日。
体中の血液を失ってろくに動かなかった体も大分動くようになってきた。
思い出すと今でも冷や汗が出る。
血と共に体から力が抜けていく感覚。体中の痛み。暴れまわる魔力。
正直もう2度とコンバートは使いたくない。あんなのはもうコリゴリ。
「・・・さて」
2日間ずっと寝ていたので身体がちょっと痛い。
なので運動をしようと思う。
とは言ってもここはサンドリアなので運動施設なんてあるわけがない。
つまり運動と言えば・・・
「ザ!モンスター退治!!」
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・モーグリに無視される俺ってどうなんだろう。
うちのモーグリを見てると慣れって怖いなぁって実感できる。
こうやって人はどんどんつまらない人間になっていくんだなぁ。
・・・なんかこれ以上ここにいてもどんどん悲しい人になっていく気がするからとっとと装備を取り出して外に出よう。
どうでもいいけど俺の物語は遅々として進まないんだけどまあそこはキニシナイ!
真っ黒いきのこ帽子からこぼれる、毛先へ向けて段々朱に染まっていく金髪。
普通の人には見えないらしい、今の私の姿を捉えているその目は、
ドラギーユ城で会ったシーフさんと同じように、まるで曇りガラスの球をはめ込んだような色だった。
多分このタイミングでやってくるなんて十中八九罠だと思う、けれど。
『先輩…無事だったんですね…。フルさんのアホ、ちゃんと生きてるじゃないですか…』
身体がちゃんとあったら多分泣いていたかも知れない。
私が顔をくしゃくしゃとしながらしゃがみ込みそう呟くと、目の前の彼は困ったような顔をして笑った。
「いきかえったような、そうじゃないような、へんなかんじなんだよね」
『う…もしかしてそれって、ケアル掛けたら逆に痛かったりしませんか』
「こわいから、ためしてないよw」
そりゃそうだ。私も同じ立場になったら多分試せない。
『それで先輩、逃げるって、どこに逃げるんですか?』
思わぬ再会に動じて、忘れるところだった。
あのGMもどきがシステムのバグを潰すように人を消し、イベントでNPCを配置するように
砂漠にギーブルをぽんと配置できるようなこの世界に、安全な所なんかあるんだろうか?
「トゥー・リアのデータは、こわれたまま、まだふっきゅうできてないんだって」
そんなの、初耳なんですが。というか、そんな割と重要そうな話ができるってことは…。
『…先輩。洗脳こそされてないけどGMもどきに言うこと聞かされてるんですね…』
「たぶん、しじんだからあぶなくないとおもわれてるんじゃないかな…
それになにかめいれいされると、からだがかってにうごくし」
『それってなお質が悪いじゃないですか』
ひどい話だ。普通に洗脳食らってるなら嫌な事をさせられても分からない。
だけど意識があるのなら、嫌な事を嫌な事と認識したまま、色んな事に従わせられてきたって事で…。
私のそんな思いとは裏腹に、先輩は首を横に振る。
「ぼくはへいき。おぼえていられるおかげで、いま、いろんなことをつたえられるから」
そうは言うものの、その舌っ足らずな声を聞いていると、何となく不安が募る。
『で、ここで話すと全部筒抜けになっちゃうから、その…空にいきたいわけですね』
「つつぬけってわけじゃないけど、さがされたらすぐにみつかっちゃうから」
『ふむふむ…でも先輩、私まだこの国でやらなきゃいけない事が…』
「そうだぞー、"オラトリオ"。あまり大事なゲストを困らせちゃいけないなぁ」
突然会話に割って入ってきた、いやに明るい調子の声。目の前の先輩が、びくん、と身体を振るわせ、
それから糸の切れた操り人形のように、力無く前のめりにぱたん、と倒れた。
『先輩!?』
肩を揺すろうにも助け起こそうにも、この身体では触ることもなにもできない。
周囲に漂う精霊に集まってもらいながら、後ろを振り向く。
人通りのまだまだ多い競売前広場。その真っ只中で夕日よりもなお紅い、小柄な人影が目に入った。
「はぁい♪」
私に向けて、ひらひらと手を振ってみせるのは、甲賀装束ひと揃えに、カボチャ帽子を被ったミスラ。
かなり目立つ格好だろうに、だれもそのミスラさんに注意を向けない。
それだけでなく、倒れ伏した先輩も、誰の目にも見えていないかのようだった。
…あれ? 私前にもこんな感じの人に会わなかったか?
どういうわけかこの人からは、前に遭遇したフェイトの人やGMもどきのような、刺すような嫌な気配を感じない。
けれど、先輩をこんな風にしてしまえるって事は、この人が先輩を操ってる関係者ってことで…。
「ふーむ…データとしては存在しないが、目では確認できる…不思議だ〜」
ミスラさんはなにやらぶつぶつと呟きながら、両手で写生をするときに構図を決めるような窓を作り、
覗き込んだり外したりしながらこちらへと歩み寄ってきた。
『あのすいません…どちら様でしたでしょうか』
バニシュIIIを構築しながら、警告の意味を込めた声色で問いかけてみた。
が、そんなものは意にも介さず、ミスラさんはさらに距離を詰めてくる。
「面白いけど言語に起こせないんじゃ解析できないなー…くっそ、要研究だw」
『なんで貴方が話しかけただけで先輩がぶっ倒れるんですか! あと近づきすぎです!』
「ああ、悪い悪い。あと魔法はやめた方がいいな。キミの存在が維持できなくなる可能性がある」
『…はい?』
右手に集まっていた光属性が、ミスラさんにちょいとつつかれただけで霧散した。
「アイツもなかなか無茶させるねぇ。察するに、君は今、いわゆるMPだけでできた存在だ。
お仲間と無事再会したいなら、なるべく大人しくしている事を勧めるよ」
『……それは、ご親切にどうも』
釈然としないものを感じながら、絞り出すようにやっと返事をする。
その言葉にミスラさんは満足そうに頷いた。絡みつくような視線がなんだかキモい。
私の頬や肩のラインをなぞるように掌を動かし、それから倒れたままの先輩の方へと歩いていく。
「まあ何はともあれ、君がコロロカに突っ込む前に止められてよかった。
あれが逃げだそうとか言い出すのは想定外だったが、結果オーライてとこだな」
『私がコロロカに入ると、なんかまずいことでも?』
「うん、時間の流れの齟齬がさらにエリア境界一帯に力の流れの混乱を呼び込んでて、
そのまま進んでいたら小さな力の塊なんぞ、さっくり擦り潰されてなくなるとこだった」
私の問いに恐いことをさらっと答えるミスラさん。
しかし来訪者の人が邪魔なら、それこそ放って置いてもよかろーもん…この人は一体、なんなんだろう。
全然関係ないかも知れないけど、ヒロさんやマルトさんと違って尻尾の動きがなんか不自然だし…。
「ということで、オレは君の命の恩人と言えなくもないわけだ」
『え? あっはい、えーと…ありがとうございます』
考え込みそうになったところを中断される。顔を上げるとミスラさんは、
まだ倒れたままぴくりとも動かない先輩を抱き上げようとしている所だった。
「それを踏まえて、君にちょっと話がある。一緒に来て貰おうか」
『いや、困るんですけど…ここにいれば合流できるって分かってるから、ここで待ちたいんです』
「分かってないなぁ」
私の反論に対し、ミスラさんは小馬鹿にしたような口調でかぶりを振る。
そうして次に吐かれた言葉を聞いたとき、私は自分の迂闊さを大いに呪った。
「君自身には誰も手出しできなくても、君の加護を失くしたアイツの方はどうだろうね?」
投下終了age。
素早い新スレ立てありがとうございました。
実質200で足切りとか、まったく最近のネ実は油断ならないですね…。
それでは他の皆様の続きも、わっふるわっふるです。
111 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/10/29(日) 20:49:56.95 ID:3Mtbqkgo
何はともあれ上げますね
初出: 1スレ161
PC(仮)名: Lead、リード / 中の人:161 ◆zmxSLEadCU
種族フェイス: エル♂F4A
ジョブ&Lv: 不明 (片手剣を装備、ダブレットとズボンを着用)
特記事項:
ジョブチェンジ不能。クリスタル合成不能。睡眠がとれない。
禍神から「マガシキノロイ」を受けている。
はじめは記憶喪失だったが、記憶復活。管理者組織の裏切り者と判明。
前スレのあらすじ:
ジュノに借りているモグハウスに向かうリードとメイミィ。
しかし、サンドリアから来ているはずのモーグリが、いない・・・?
活動エリア: エルディーム→ジュノ→(機船航路経由)→ウィンダス→サンドリア→オルデール→ラテーヌ→ジュノ上層
他キャラとの接触:イッチ、マイウ、ゴイス、サン、レップ、ロック、メイミィ、クルス、ユリフィナ、ルーファス、アオツキ
独自レギュレーション:
人間は死んだらそれまで。死んだ者は甦らない。一応、瀕死はレイズで息を吹き返す。
戦闘やアビリティ、呪文や時間等の描写はあいまい。サーチ機能なし。
基本はSayとShout。LS会話は通話のみ。視界内にいる者同士でtellができる人間もいる。
N◎VAかyp!神業使った?
(・・・1)
俺は心の中でカウントした。
ドアノブを動かさないよう、差し出した左手は僅かに浮かせる。
(・・・2)
すっ、とメイミィが姿勢を低く身構えた。
いつもはゆらゆらと揺れる尻尾が、いまは攻撃態勢であることを示すように緊張する。
やや力が入りすぎた、固い表情。きっと俺も同じ顔をしている。
(・・・3!)
バンッ! という音を響かせながら、弾けるようにドアを開けた。
瞬間、メイミィが俺の横を前のめりに走りこみ、そのままの勢いでクルリと前転。
ひざ立ちになったときには、すでに二刀を構えていた。
何事かと通行人がいぶかしむが、キッチリ目を合わせ、無言で威圧。
通行人は「見なかった事」にして、そそくさと立ち去った。
ワンテンポ遅れて、俺も中に入った。
ざっと見渡す。
何者かが襲ってくるようなプレッシャーは感じない。
だが当然、通常のモグハウスとは違和感がある。
・・・モーグリの姿はない。
暖炉に火は点いていない。簡素な家具類にも白いシーツがかぶせてあるままだ。
そして何よりも、部屋の中心に置かれた“荷物”。
暗い部屋でも鈍く輝く、あれは―――。
二刀を手にしたままメイミィが立ち上がり、開口一番。
「・・・転んでませんからね?」
「ああ」
彼女は突入の際に前転した。
それを、気合を入れすぎて転んだものだと誤解されたくないのだろう。
「べ、別につまずいたわけじゃないんですからね?」
「わかってる」
短く応えながら、俺の視線は“荷物”に釘付けだった。
―――白銀の騎士鎧が一揃。圧倒的な存在感を伴って鎮座していた。
今夜の投下は以上です。
ダメだ…書けない…。
明日また書こうと思います。
保守
118 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 00:09:27.79 ID:WhYgTWYs
そもそも自分が何者であるか?
それすら思い出せない。ヴァナの情報はなんとなく覚えてる。
ただ他に覚えてるのは俺がエルモンク白カッパLということ。
そして俺はこの世界の人間ではないということ。
俺の元の世界のヒントは手紙二つ
北の地……保守……age……sage……
特に後半の三つがなんだかわからない。
どこからか微かに叫び声が聞こえる。単なる幻聴だろう。
保守か……
(339)
「おーい、良い雰囲気なら邪魔して悪いが、無事なら無事で返事しろー!」
相変らず返事は無い。
「やっぱり寝ちゃってたりしてね」
移動中に言っていた事をラディールが繰り返す。
「本当に寝てるのか、それかアレの最中で無視してるのかな… どっちにしてもロクなもんじゃねぇが… おい、ヒロ!」
『うるせえな、起きたよ』
口調は相変らずだが随分と弱々しい声が聞こえてきた。取りあえずホッと胸をなでおろす。
「なんだ、本当に寝てたのかよ… ひょっとして取り込み中だったのか?」
わざと意地悪そうな声を出して聞いてみる。もちろん心配もしてたが、無事とわかればちょっとからかって見たくもなる。
『いや、ちょっとうとうとしてただけだよ。そちらは今着いたのか?』
からかい甲斐のない、あっさりとした返事が返ってきた。無事ではあるが元気では無いらしい。
「着いたのは昼間だよ、すぐ連絡しようと思ったんだが、色々とヤボ用があって今になっちまった。悪い」
『いや、どうせこちらも昼間はあちこち駆けずり回ってたから。ルーファス、そっちは今どこにいる?』
「蝙蝠のねぐらだ。マルトもいる」
『そうか……正直、すまん』
どうやら本格的に元気が無いようだ。
(340)
「まぁ無事だったなら、取りあえず部屋に荷物を置いてこようかしら」
そう言って、ラディールは部屋の外に出る。爺さんとフルキフェルもそれに倣って部屋を出て行った。
軽く手を上げてそれを見送りながら、、この元気の無いヒロをどうするべきかと思案する。
大体、何があったか知らないがこうもしょんぼりされるとこっちも困る。
冗談を言えば悪態が返って来ると思っていたのに、押すドアを引いたような、そういう気まずさがある。
アレですか、いわゆる『空気を読めない人』って奴ですか、俺は。
「……ヒロ、大丈夫か?」
思案を重ねた後に口を突いて出たのはそんな台詞だった。
『ああ、いや、大丈夫だ。何でもない。ちょっと疲れてるだけだから。他の連中は?』
丁度今しがた出て行ったところだが、こんなところで呼び出すのも馬鹿らしい。
「いない。とりあえず今ここには、な。バストゥークには……ああ、いや。パールで長話もなんだ、合流できないか?」
『…わかった。20分くらいでそっちに行く』
そう言うと、どうやら通信が途切れたらしい。俺も耳からリンクパールを外し、それを少し眺めてから懐にしまった。
さて、20分あれば風呂なりシャワーなり浴びれるだろう。上着を脱ぎながらシャワーは何処かと部屋を物色し始めたところで背後から声がかかった。
「あの…ファーロス様… シャワーでしたらそちらに…」
振り向いてみると、ちょこんと椅子に座ったマルトがどうしていいか分からないという表情でこちらを見ている。
「…そうだったな、そういや。 俺の部屋は何処だったかなっと…」
121 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/10/30(月) 01:12:02.96 ID:Gak7zMxX
今日は以上ですage
122 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 06:14:18.98 ID:L4E50r/+
時間軸が前後してるなー
123 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 11:14:28.08 ID:rLFks19X
あぐる
124 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 11:18:05.69 ID:F+3WQ+QY
もう話がまったくわからんなw
よしここまでのサンドリア組バストゥーク編の流れを整理してやろう
ほかにも出てきてた人はいたけどチョイ役の人はわりと割愛。先にゴメスしとく
8スレ目〜9スレ目禍神戦後、その日のうちにヒロはバスを目指して出発。これを一日目としよう。
同日夜ルーファスとフルキフェルはサンドリアに一度帰還、ドラギーユ城でハルヴァー宰相と会見している。
ヒロはハエ・ジャッキヤ(サンド)とテレポ石チョコボ屋近くで出会い、セルビナまで行って、そこで一泊している。
二日目 朝、ルーファスとフルキフェルはテレポでアルテパ砂漠へ。
ギーブルに絡まれ、いろいろあって流砂洞へと逃げ込む。
ルーファスの篭手(プライマルアーツ)が、フルキフェルが所持してたGM装備の盾と共鳴して、
フルキフェルから一日目午前中の話の顛末を聞きだし、盾を使ってみようということになる。
使ったところでクゾッツリージョン全体が、「配置変更前」まで巻き戻る。←これがすごくややこしい…
ヒロはジャッキヤに魔法に関する話なんかを聞きながら、のんびりと北グスタのOPまで移動、ここでまた一泊。
三日目 ヒロはバストゥークに到着。エルリッドを発見したり、アオツキと出会ったり黒装束に襲われたりする。
ルーファス・フルキフェル側は、巻き戻しの反作用で時間の流れをすっとばされてしまう。
ので、三日目の午前中は存在しない。午後に時間の流れが元に戻り、流砂洞で一泊。
フルキフェルの中の人が体からはじき出され、プロミヴォンの奈落をちょっと歩いた。
長くなったんで次へ。
四日目 ルーファス・フルキフェルが流砂洞からエスケプ、そのままコロロカでもいちどエスケプ、
と思ったところでフルキフェル倒れる。魂が半分になってやばいらしい(がルーファスには言ってない)
コロロカを歩いて抜けることに。
ヒロは一旦別れたアオツキと再会、ゴーレムと戦闘してこれを撃破。
その少し後にフルキフェルの中の人が現世に脱出、レグナスと出会うがヒロの事は見つけられず。
コロロカの洞門でいろいろあってルーファスが先行、フルキフェルは後から追うことに。
ヒロはなんやかんやアオツキとしっぽり。
夕刻、フルキフェルの中の人が赤鎧サイド関係者に捕まる。
その少し後にルーファスがバス着。領事館でパレーデ領事とやりあう。
夜、ヒロが自分のモグハウスに帰ったところで襲撃を受ける。マルトが殺されかけて連続魔使用。
なんとか撃退? んでまたアオツキ宅にしけこむ。
フルキフェルがバス着。領事館でルーファスと合流、領事の仕事を手伝わされる。
ヒロはなんかへこみながら自宅に帰って、眠ってうなされる。
ルーファス・フルキフェルがマルトと合流。ヒロに連絡を取る。 ←いまここ
四日目の密度がいちばんすごいな。
127 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 12:10:22.57 ID:X8mA//tA
ヒロが最後に帰ったのは自宅(モグハ)じゃなくて別にとった普通の宿だったw
ついでにあげ
128 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 15:07:55.20 ID:L4E50r/+
まとめ乙。
でもヒロがうなされてたのはアオツキのモグハでの話だと思ったんだ…。
それにしてもS博士は美味しいキャラだよな。保守
129 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/10/30(月) 16:28:51.96 ID:jox5z9b/
整理どうもです(`・ω・´)ゞ
ヒロがうなされてたのはアオツキたんのモグハですね(´∀`)
というわけで続きの投下をwktkしつつ保守
130 :
既にその名前は使われています:2006/10/30(月) 18:22:01.08 ID:WhYgTWYs
「ご主人様、ご主人様」
「ん? なんだモーグリ?」
「保守の意味ってご主人様自分で言ってたクポ」
「え? マジ?」
「っ
>>90」
「あ……」
投下します!
電○男かよ!!って突っ込みはなしで!
〜ウィンダス連邦 東サルタバルタ テポカリプカ湖畔〜
ミトンを外し両手で顔を拭う。血でヌルヌルして気持ちが悪い。手を放すと固まりかけてるのか粘りが酷かった。
視線を下に落とす。座ってる地面には結構な血溜まりができてシアーチュニックの刺繍は
血と泥で判別がつかないほど汚れていた。
(フリートに頼んでもキレイになるかなぁ…、ていうかそれ以前にやってくれるかなぁ…)
カバンから取り出した布で再度顔を拭う。「さてと…」とりあえず帰ろう。
腰を浮かす。「…」なんていうかすごい。立ちくらみもなくすんなり立てた。
これくらいの血を出せば立ち上がると同時に貧血で頭が冷たくなる。鼻血大量出血で体験済み。
ぶっちゃけ、ケアルでこれだけ回復できるなんて凄すぎないか?
額に手を当てる。無い。傷が完全が消えていた。傷そのものが無くなっている。
(これだとジュノの医者なんか必要ないのになぁ…)
にしても本当に助かった。頭骨一歩手前で皮一枚で刃が止められたからいいものを
あのままいってたら本気でゾッとし…
(…?)思わず眉を顰めた。
まてまて、変じゃないか?あの時ヤグードは俺を殺すことができた筈だ。
止めずにそのまま力を入れれば俺の頭真っ二つに出来たはず。現に最初からそのつもりでナイフを振り上げたはず。
なぜ止めを刺さずに? 他の種族なら解るが憎き隣人のタルタル族の俺を何故?
ヤグードの走リ去ったほうへ眼を向ける。何も無い。いつもと変らないサルタバルタの平原が広がってる。
巨大な幹を湛えてっ辺に巨大な実のようなものを実らせる巨木。
ふとその脇に白いものが見えた。どうやらプレイヤーらしい。
「いっ!」慌てて近場の岩に身を隠した。身を縮めて通り過ぎるのを待つ。(まいったなぁ…)
はっきりいって意味無いのはわかっている。俺には見えないがおそらく頭上に俺の名前が浮かんでる筈だ。
物陰に隠れていたってそれで俺の位置ははっきりわかる。でも隠れずにはいられなかった。
次第に足音が近づいてくる。眼を瞑り来るかもしれない『恐怖』に備えた。
……ざざざざざざざざざざぁぁぁ………
足音が離れていく。「…ふぅっ。」岩にズズっと身を滑らせる。そっと岩の物陰から顔を出し離れていくのを確認した。
ヤグードが2…5体と一人のプレイヤーだった。プレイヤーの方に視線を移す。
遠目からでも赤と白が印象的な装備品。なんの事は無い、数珠集めだろう。関係ないし関わらないほうがいい。
と
ビュオォォッ!!
突然前方から結構な向かい風が吹き抜けた。思わず眼を瞑る。
ぴちゃっ
「…?」顔に何かかかった。手で拭う。(水?)頭上を見上げる。(狐の嫁入り?)雲ひとつない。(??)
もう一度さっきの方向へ視線を向けた。ゆっくりとさきほどのヤグードの後ろ姿が消えていく。
(……)もう一度顔を拭う。指の腹に馴染ませるように撫でる。
(……)考えるより先に足が動いていた。
終了!!
なんか書いて恥ずかしいなぁ…
血の匂い。血の匂い。血の匂い。
「あ・・・」
思わず漏れた自分の声に驚き剣を落とした。
何気ない・・・本当に何気ないゲームの感覚でモンスターを狩りに来たつもりだった。
鼻歌交じりでロンフォールの森を歩き、たまたま見つけたオークに剣を叩き込んだ。
肉の裂ける感触。苦悶に満ちたオークの顔。
相手は一撃では死ななかった。
どうみても助からない傷で・・・それでも生きようとするそのオークはもがいて逃げようとしている。
・・・・・・・・・俺が殺した
途端吐き気が喉元までせり上がる。
体が震えていた。
怖い
「えgんjばおはえいbんsbhdpbfぎ」
違う、まだ死んでない。
オークの声が聞こえる。オークは生きようとしている。
殺さなくちゃ。あれは敵だ。もしあのまま野営陣に戻るような事があればきっと仲間が報復に来る。
関係ない、戦えない人達が襲われる。殺さなくちゃ。俺が殺さなくちゃ。
体が動かない
地面を這っているオークは段々と遠くなっていく。
生き物を殺す事がこんなに恐い事だと思っていなかった。
オークなんて何度も殺してきたはずなのに。それこそ数え切れない数のオークを殺してきたはず。
・・・違う。
今更ながらに気が付いた。
ここはゲームの中じゃない。
ここはヴァナ・ディールという一つの世界なんだ。
あのオークにも親がいて生まれるべくして生まれ多くの年月を費やして今まで生きてきた。
「殺した・・・俺が・・・!」
すでにオークは見えない所まで行ってしまっている。
ただその這った跡に残る血だけがそこにあった殺戮の存在を主張していた。
「う・・・うぇ!う、!」
喉元まで来ていた汚物が決壊した。
思わず膝をつき地面に吐き出す。
嘔吐はしばらく続いた。
体の震えは止まる事無く、胃の中の物を全て吐き出してもまだ吐き気は治まらない。
怖かった。生き物を殺した自分が。生き物を殺せる自分が。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声?
誰の?
「だれかたすけて!!」
ヒトのこえ
・・・人の声!?
近くに転がっている自分の剣を取り走り出す。
何も考えられなかったが、とにかく血の跡を辿って走っていった。
血の道を走る。
辿り着くのはどこだろうか。
「いた!」
オークの姿が見えた。その視線の先にはエルヴァーンの少年の姿がある。
オークは立ち上がり息も絶え絶えといった様子で目の前の少年に向かっていっていた。
少年は腰を抜かしていまい立ち上がることも出来ないようだ。
魔法は間に合わない。俺の魔法はまだまだ未熟だ。
確実にそれよりも早くあの斧は少年に振り下ろされるだろう。
剣を持つ手に力を込めた。
全力で、ただがむしゃらに走る。オークは震える手を少年に向けながら歩いている。
「くるなぁ!くるな!!」
少年の泣き叫ぶ声が耳に届く。
走る脚に更に力を込める。
「あああああああああああああ!!!」
俺の上げた雄叫びにオークが反応した。
ゆっくりとオークがこちらに振り向く。
俺はきっと一生忘れないだろう。
(・・・忘れられない)
オークの顔は恐怖に彩られていた。
(救いを求めていた)
俺の剣はオークの背中に突き刺さった。
141 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/10/30(月) 22:12:23.19 ID:VqdohYw+
投下乙でございます。
どうもです( ´∀`)つ旦お茶でもドゾー
他の方々も頑張って下さい(*´д`*)
143 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 01:06:07.45 ID:6h4oRPx+
頑張るage
オスラ話が自分が投下してきた中で過去最高の長さになりそう
原案は
>>70の5行分しかないのにw
>>136 違う意味で私は恥ずかしいものを書いてる気がしますwww
保守上げついでに、次回作をちょっとだけ部分投下www
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪キノコさん〜♪ フニャフニャフニャにゃ〜♪」
自分も寝そべり、頬杖をついて、歌にあわせて人差し指一本で器用に左右へと倒している。
どういう状況かは本投下まで脳内補完でヨロシクwww
145 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 09:41:00.93 ID:olHhpVln
「補完するまでもないwwwww
そのままじゃないかwwww」
そう言った俺はスレッドをあげる事にしたage
146 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 10:55:01.43 ID:HrppZcwN
記憶が錯乱……いや、混乱? もうワケワカンネ
――そうだ! ズヴァールへ行こう!
俺は保守の紙を鞄にしまうとアウトポストデジョンを利用して北の地へ向かった。
書くのが楽しくなってきた俺がいる。
しかし文才ないからこの話終わったら普通に保守するかな
>>142 でも、それでも慣れていくんでしょうな、ヴァナの生活に。
しかも来訪者はこの世界で圧倒的な力を持つ存在になっていることが多いです。
もしその『力』を手にしたとき貴方はその力を何に使いますか?
自分を守るため?大切な人を守るため?それとも…
極限状況に陥った来訪者がどのような行動をとるか。そしてヴァナにどのような影響を及ぼすか。
ヴァナからの視点。リアルからの視点。その違いによってどう行動が変るか。
それを書きたいのにちっとも筆が進まない…。orz
>>70+
>>144=…
……昼真っから何想像させるんですか!
(/ω\)
148 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 13:21:17.60 ID:fn99GjNI
>>バレさん
つまり剣や魔法がまともに使えない、Kenくん以下の村人Aな私は来訪者ではないんですねΣ(´□`;)
むしろサブキャラのほうが異能力バリバリなんですg
誰か少し分けてください(つД`)
>>緑茶さん
ウィンダス名物ララブのしっぽですね!
と、あえて回避しつつ続きを少し。
149 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 13:29:31.58 ID:fn99GjNI
聖堂前、鎧を着込んだふたりへと歩く。
ヴォーシェルの双刃。彼女は、予想以上に厄介なことになっていたらしい。
「遅い」
顔をしかめる一方に、すみませんと応えた。
「宰相閣下にお伝えしないと。あまり長居できなさそうです」
「なに?」
面倒なことになった。ここまで簡単に接触を許していたとは。
「先程狙われました。物騒だ」
双子が同時にはっとする。知っているのか、分かっているのか。
本当は、宰相閣下にお会いする時間も惜しい。あの子から欠片を受け取るのは早ければ早いほどいいのに。
それに、そもそもサンドリアは都合がよくない。
「おばあ様に知られる前に発たないと」
奴らに消される前に殺されかねない・・・おばあ様、キーゼルはまだ死ぬわけにはいきません。
少なくとも、身内に殺されるのは嫌です。
我ながら嫌なことを考えたと首を振り、腰の剣を撫でた。
「じゃあ、宰相閣下に」
言いかけて不意に膝を突く。
本当に一瞬の、ほんのわずかなことだった。
150 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 13:36:55.39 ID:fn99GjNI
ちょうど座り込む形になり、双子が支えた。
体に力が入らない。抱き上げられても、それが感じられない。
まるで波間を漂うような。
「 」
何か声をかけられているのに聞こえない。
違う。
感覚が、切り離されて
「キーゼル?」
力なく身を預ける少年の名を呼ぶ。応えはない。
「・・・気を失ったみたいだな」
前髪を払ってやりながらケインが言い、カインは少年を抱いたままただ唸った。
と、胸から下げている冒険者証明証が輝いているのに気付く。
同時に、少年の重さを感じられないことにも。
「・・・え・・・」
向こうに薄く見える己の手を眺め、茫然と声を漏らす。
少年の存在そのものが、感じられなくなりつつある。
151 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 13:48:36.80 ID:fn99GjNI
「まずい、な」
舌打ちしケインが鞄から小さな袋を取り出した。こつりと音を立て出てきたのは、淡い碧の真珠がふたつ。
少年にまだ触れられると確かめ、ついでに出した短剣と共に彼の腰のポーチに押し込む。
「何で、」
「何かあった時のため!また見失いたくないのは同じだ」
彼の着るチュニックを掴み、一息に言う。
「忘れるな、キーゼル・ソルニエ。お前はサンドリアの剣、エタンダールの剣舞姫に愛される少年。
お前が戻る場所はここだ。お前が戻るのはリアルじゃない。リアルに戻るのは彼女だ。
だから、彼女を護り送り返せ。戻れないオレたちの代わりに、彼女だけでも返せ」
転瞬、静寂が満ちる。
その時カインは、世界に音がないことに初めて気付いた。
何があっても、往来に一切音がないことなどありえるだろうか。
「ケイ」
呼びかけ、腕の感覚が完全になくなったことを知る。少年の姿も。
兄弟を見ると、彼はそっと首を振った。
「伝えることは伝えた。あいつはまだ終わらない。・・・キーゼルは捕まえて、彼女を戻さないとな」
「・・・彼女?」
問いに兄弟は応えず、城を振り返った。
「目下の問題は、これからそれを宰相閣下とあの方に報告しないとならないことだな」
真摯な言葉に、カインの表情が一瞬で暗くなる。それと共に、音が世界に戻った。
152 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 13:59:03.43 ID:fn99GjNI
今回は以上です。
遅くなりましたがテンプレを。
初出:指定避難場所123
PC(仮)名:キーゼル(Kiesel)/中の人:Kiesel◆nu123wJPbk
種族フェイス:ヒュム♂F4金
ジョブ&Lv:自称戦士。でももしかして赤じゃない?ともっぱらの噂。サポ不明。
特記事項:中の人は知識も技能も村人A。小さい。何故かシオンと同じ装備を持つ。
活動エリア:サンドリア
前スレまでのあらすじ:きーさんはガルカに追われてました。
そんなこととはつゆ知らず、話題の人のシオンはバスでデート中?
その男は誰なんだ。お父さん許しませんよ。
他キャラとの接触:なし
独自レギュレーション:現在不明
153 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 16:27:55.56 ID:+PPprcHF
見てたら続き書きたくなってきた
だが途中で書くの辞めた俺が書いてもいい物なのか・・・
ついでにage
154 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 17:09:57.46 ID:EB+kE7fM
>>154 ありがとう
話出来たら書く事にする。第2部とでも思って読んでくれw
156 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 18:45:03.94 ID:EB+kE7fM
勢いで一行レスだけしちゃったけどもう一言だけ
ララブのしっぽはもやしだと思うの!!!!
157 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/10/31(火) 19:47:03.79 ID:fn99GjNI
あ・・・!!Σ(´□`;)
ララブのしっぽ
闇属性のエネルギーで発芽させたブルーピース。
どう考えてもモヤシです。本当にありがとうございました(つД`)
アイコンだとエノキダケに見えて、つい・・・
158 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/10/31(火) 22:35:45.73 ID:yHbyysYu
投下乙でございます。
人大杉・・・なのでしょうか
159 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/31(火) 22:52:04.76 ID:NVEKR8dg
「し……死ぬ…………」
シャントット宅にある地下室の一つ。その中でベッドに突っ伏したタルタルは今にも命の
灯火が掻き消えそうな声で唸っていた。
なし崩し的にシャントット宅の家政夫となってしまった俺は、毎日多忙に過ごしていた。
炊事・洗濯・雑用・助手とありとあらゆる家事を押し付けられた挙句、実験台と称して
妖しげな新魔法の試し撃ちの標的とされていた。実用性の測定も兼ねるとかで逃げ回る事は
許可されていたが、あの魔手からそうそう逃げられようはずもなく毎度散々な目に遭っていた。
「その台詞、32回目クポ。弱音を吐けるようじゃまだまだ余裕みたいクポね?」
相変わらず辛辣なクポクポ星人がボロボロの体に言葉の鞭を打つ。
本来、モグハウス勤務のモーグリが何故ここいるのかというと……「貴方もこの世界に来た
ばかりで常識の欠片も持ち合わせていないでしょうし、特別にワタクシ自ら組合に掛け合って
レンタルしてきましてよ。勿論その分の賃金は貴方が支払うのですけれど」とのこと。
160 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/31(火) 22:53:28.90 ID:NVEKR8dg
「お前にはもっとこう主人を労わる気遣いとかいうのは無いのか?」
「そんなモノはとうの昔にアットワ地溝に捨ててきたクポ」
「てめぇ…………」
そもそもこいつよく今までモグハウス勤務をこなせてたよなとつくづく思う。
「そういえばご主人様。さっきアジドマルジドさんが来てこれを渡しておいてくれって言ってた
クポよ」
「あんがとよ」
アジドマルジド院長とは、度々ここシャントット宅で会っている。最初に会ったときはなんとも
いえない哀れみと同情の混ざった目を向けられたりもしたが、ノビている所を何度も介抱して
くれたりシャントット博士の凶行を止めてくれたりした命の恩人だ。この人が来てくれるから
未だ生きているといっても過言じゃないかもしれない。
ほれ、と常に身に付けているバッグから一通の封筒をとりだしモーグリ手渡してくる。
封が切れているが。
「時に何故封が切れているのかな?モーグリ君」
「そりゃモグが見たからに決まってるクポ」
「いけしゃあしゃあと言ってんじゃねええええええ!」
もう勘弁ならん。ここらでこいつをきっちり教育しておかねば……!
そう思い手近なところに立てかけていたダークスタッフを乱暴に掴むと、そのままの勢いで
上段から豪快に振り下ろす!
161 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/31(火) 22:54:04.92 ID:NVEKR8dg
ぱしっ
「何ッ!?」
「甘いクポよ……ロランベリーパイより甘いクポ」
確実に捕らえたと思われたその一撃は、しかし華麗に身を捻ったモーグリの短い両手で器用に
キャッチされてしまう。
「ひんがしの国の技を会得したモグにそんな両手棍なんかララブのしっぽ同然クポ」
「いつのまにそんな技を……」
「水の区の調理ギルドにいるひんがしの国の出身の人に習ったクポ」
「そういや居たな、そんな人」
「常日頃から精進を怠らないのがモーグリ族クポ。
ところで手紙読まないクポ?なんかアジドマルジドさん急いでたみたいクポけど」
「そういう事は先に言え!」
怒号と共に、ダークスタッフを受け止めた体勢のままのモーグリごと床まで振り抜く。
「クポァッ!?」
ごきゃっ、とか鈍い音がしたけど気にしないでおこう。
既に封が切られた封筒から一枚の手紙を取り出すと、そこには短くこう綴られていた。
162 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/31(火) 22:54:54.61 ID:NVEKR8dg
─重要な話がある。博士の家では話せないので日付が変わる頃『オバケの家』にて待つ。
アジド=マルジド─
簡素な文がいかにもアジドマルジド院長らしい。だが此処で話せない話とはなんだろう?
シャントット博士の暗殺計画とか?……いや、それだけはありえないな。そんな事がもし
可能ならもうとっくに俺が実行してるし。
「重要な話、ね」
まぁ景気の良い話でない事は確かだろう。が、アジドマルジド院長がこうまでして話そうと
している事に少しばかり興味が沸いてきた。どのみち此処にいたって景気の良い事なんか
何一つありゃしないんだ。行くだけ行ってみるか。
読み終えた手紙をポケットの中に突っ込んで、壁に掛けたバストゥーク製の時計をみると
もうそろそろ日付が変わろうとしていた。未だに床をゴロゴロ悶絶しているモーグリを尻目に
イギラ装束に身を包むとその上からブラッククロークを羽織る。冬を目前にしていて夜風が
寒いのもあるが、これならシャントット博士に見られてもさほど怪しくは見えないだろう。
「博士、ちょっと寝る前に散歩してきますよ」
玄関のドアに手を掛けた所で一応声を掛けておくが、返事は無い。確か外出の予定は無かった
と思うが……まぁいいか。居ないなら居ないで都合が良い。
気を取り直し、ドアを開けて夜の闇へと歩みを進めた。
163 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/10/31(火) 23:04:01.91 ID:NVEKR8dg
ここ数日アクセス制限を受けてて投下できず( ´・ω・`) とばっちりカナァ……?
と、それはともかく自分もテンプレ忘れてたので貼っておきます。
初出:「自キャラになった」で物語を書くスレ14 の336
PC(仮)名:トラフィック(Trafic)/中の人:虎◆tQar3mtsYE
種族フェイス:タルタル♂F8A 金髪
ジョブ&Lv:黒魔道士75/赤魔道士37
特記事項:極ありふれた黒樽。たぶん。恐らく。金には異様な執着を見せる。
活動エリア:ウィンダス
前スレまでのあらすじ:現実世界からヴァナ・ディールへ。
ヴァナに来た事に気が動転して気を失った挙句シャントット博士の家政夫の座に収まってしまう。
現在家事雑務実験体をこなしながら今後の身の振り方を思案中とか。
他キャラとの接触:なし
独自レギュレーション:NPCも自分と同じく独立した思考を持つ人間に見える。PCとの差異は今のところ不明。
164 :
既にその名前は使われています:2006/10/31(火) 23:38:40.00 ID:nsLUupPd
投下おつです。人大杉うざいよなぁ。
それにしても東方の技を会得しても所詮モグはモグってことがまたセツナス(ノ∀`)
「新品みたいにきれい・・・。でもこれって、どこかで見たような?」
これ白いし、とメイミィが首をかしげた。
思い当たるところは、ある。
こんなものを送りつけてくるのは、一人しかいない。
俺は簡素な文机に視線を移した。
そこには荷物の納品書と、そして一通の手紙が置かれていた。
「やはり」
伝票の、送り元の欄には“さすらいの御隠居”と記入されている。
激しく人名ではない。普通なら届かない。
俺は溜め息交じりに、彼の名を口にした。
「ハーミット・・・」
罠か? それとも、何か目的が?
完全に信用してこの贈り物を受け取っていいものか、逡巡した。
「ね、リードさん。ハーミットって誰ですか?」
彼女がそう言いかけ、あっ、と短く声を上げた。
それは突然、何の前触れもなかった。
目の前にそびえる騎士鎧が光の粒子になり、瞬く間に俺の身体にまとわりついて、消えた。
チャリオットとの戦いで失った、以前の鎧と同じ仕組み―――。
「返送不可、か・・・。使わせてもらおう」
短いですが、今夜はこれにて。
167 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 01:05:52.80 ID:yJtlguiU
age
168 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 02:05:14.93 ID:uTl/wrm0
デジョンの向こうは雪国でした。
寒い。寒い。寒い。
モンクの服って半袖なんだよ? この寒さ、尋常じゃない。
俺は上からアミメットマントを被る。それでもまだ寒いが我慢。
敵の戦闘は避けるために靴の裏にサイレントオイルを塗り、身体にはプリズムパウダーを振り掛ける。
――目指すは北の地の果て。ズヴァール城。
俺は震えながら確実に一歩ずつ進んでいった。二つの手紙を携えて。
保守と関係なくなってきた罠
169 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 02:13:53.30 ID:xJ31zYH7
どうかご無事でage
170 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 07:57:20.19 ID:Eq8roL+M
羅漢とか着ても胸元が無防備だしね
171 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 09:44:21.77 ID:uTl/wrm0
「ふう。あともうすこしだな」
俺はズヴァール城前の光る谷まで来ていた。光は様々な色に怪しくきれいに光っていた。
ここで敵の様子がおかしいことに気付く。
全く動いてない。止まっている。近くにいた骨は走っている途中で止まっている。
「なんだよ、これ……。まるで時間が止まってるみたいじゃないか……」
「みたい、じゃなくて止まっているのよ」
声に反応してすばやく振り向く。
そこには赤い鎧を着た女性がいた。
保守
172 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 11:11:38.01 ID:Eq8roL+M
保守なのに続きが気になるage
173 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 14:08:13.58 ID:TmhqZaS3
トゥー・リア緊急浮上!
174 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 17:21:01.50 ID:uTl/wrm0
――まずい!
雪に足を捕られながらも後ろを大きく跳ぶ。
「そんなに怖がらなくてもいいじゃない」
目の前の赤い鎧を着た白髪の女性が言う。
いや、白髪という点を抜けば結構歳が近いのかもしれない。
「こんにちは。『来訪者』さん」
「『来訪者』? 何のことだ?」
「あなたみたいな別世界から来たヒトのことよ。で、私は『来訪者』を始末する人」
「なるほど。なら確かに俺はそれだな。しかし、始末されるのは困るね」
「喜ぶヒトなんていないわ。まぁ、精々抗って死んでね」
彼女はそういうと空間から湧き出るように出てきた兜を被り、これまたどこから出てきたかわからないクローを手に持った。
「私の名前はシヴァ。この名に賭けてあなたを殺す」
理不尽だがやるしかないか。
俺は腰にぶら下がってたスパルタンセスタスを手に取った。
保守
175 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 17:30:54.93 ID:HXogHjZw
フ(て)\
/ `―'"
,.--――-、 /
/彡二二ミミヽ/
'イ',へ |・ヽ iヽ 久々にエクスカリバーゼロage
彡| | ‘| : Lノ ノ);:ミ 煽りと見せかけて実はリスペクトしてたのが昔のやーまだなんだよな
ソ フ -、 / | ;:ミ あまりにも久々で山田AA紛失したから岩鬼
ヽ Y `ヽ ' / !;:「ヽ
| _/ ;:9ノ
| /,.--`ゝ ;:-'ミ
| '"~ ヾ
く ,,,...--'"" `、
`┐;:;:;:;: ヽ_
|;:;:;:; | ̄ ̄ \
| _,..--''"フ 二二 ヾミー--
,,,,,...-i''" ,,,...--'"
く ,,.-'" ̄
/YO
176 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 18:24:52.38 ID:yiGMIcNS
一言だけ言わせてくれwww
どっからそんなふざけたAAもってこれたんだよwwww
折れたアバラに響いたじゃねーかww
(341)
マルトの部屋を出て、女将さんの所まで戻って部屋を確認する。
ご丁寧な事に、四つの部屋を並びで用意してくれたらしい。都合よく部屋が空いているあたり、この宿は流行っているとは言い難いのだろう。
マルトの隣は爺さんの部屋だった。ドアが開いていたので覗き込んでみると、既にテーブルの上に地図を開いてなにやら書き込んでいる。
目が合って軽く会釈する爺さんに軽く手を上げて、そこは通過した。
次の部屋もドアが開いており、中にはフルキフェルがグッタリとしたままベッドに腰掛けていた。
ランプの黄色い灯りに照らされてなお、その顔色はどこか青白い印象を受ける。表情も心ここにあらずと言った感じだ。
声をかけようか迷って、やはりここも通過する事にした。また癇癪を起こされたら堪らない。
俺とラディールの部屋は流石にドアは閉まっていた。ただ、既に荷物が展開されそれまで見た部屋とは異質な雰囲気が漂っている。
「あ、おかえりなさい」
声につられてドアの裏を見てみると、部屋の角あたりにカーテンが引かれている。その上には大きなタンクのような物が付いていた。
やがてカーテンが開け放たれ、簡素なシャツと太ももの半ばくらいまである短パンのようなものを着たラディールが出てきた。
「さっき女将さんに頼んでお湯を入れてもらったから、熱いうちに浴びた方がいいわよ」
どうやらこれはシャワーらしい。簡素にも程があるが無いよりはマシだと思うべきか…
(342)
「で、ヒロはどうしたの?」
シャワーを浴びている最中に、ラディールが話しかけてきた。
「もう少ししたらこっちに来るってさ」
短く答えて、タンクに取り付けられたバルブを閉めて湯を止める。
簡素とは言えさすがバストゥークと言うべきか、バルブやシャワーの口は中々良く出来ている。
髪に絡み付いていた砂や指に付いたインクもすっかり洗い流し、持ってきていた拳法着に着替えた。
「そろそろ着いても良い頃なんだがなぁ… ちょっと見てくる」
そう言って部屋を出ようとしたところで、ドアが数回ノックされて開いた。
ヒロが来たかと思ったが、そこに立っていたのは神妙な顔をしたマルトだった。
「ちょっとお話しておきたいことが…」
「大事な話ならヒロが来てからの方がいいんじゃないか?」
少し小首を傾げておどけながらそう言ってみたが、マルトはドアの隙間からするりと部屋の中に入り込み、ドアをしっかりと閉めた。
と、閉めた側から突然ドアが開かれた。
「ルーファス、いるか?」
そこに立っていたのは今度こそヒロだった。声と同様に顔も随分と疲れているように見える。
マルトはヒロの顔を見るなり尻尾を立てて驚き、やがて尻尾が下がるのと同時にため息をついたようだった。
いじょ、上がってるのでsageておきます
率直に言うと、私は
>>175に張ってある台詞やAAが嫌いです。
何のAA張ったり、何を書き込もうと、どうこう言うつもりはないんですが、
それを見ると、どうしてもやる気がなくなります…。
そんな個人的な理由でオスラ話は明日以降に頃合見て投下します。
今回は長いので他の人の投下の妨げにならないように人知れずw
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪たけのこさん〜♪ フニャフニャフニャにゃ〜♪」
今度は同じように上下に倒す。それはまるで道で拾った小さな玩具を人知れず倒して遊んでいるようだった。
よほど気に入り、それが楽しいのか、彼女自身の尻尾も同じように揺れている。
>>157 すみません。このようにモヤシでもエノキダケでもありませんでした…。
>>179 乙でーす。
私は同じ場所で三人以上が同時に会話している時の、
「この台詞は誰が喋っているか」を表現するのに苦労するんですが、
みなさん上手いこと登場人物が会話しているのに関心します。
181 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 19:19:22.66 ID:yiGMIcNS
AAは文章書きとしては邪道という考えやAAでの煽りもあるけど、
2CHだからいいやっていうのと、文字を配列して絵にする工夫と発想。
雰囲気が悪くならないようにちょっとした笑いを提供する。
そう考えたら悪くないんじゃないかな。
煽りじゃなくてリスペクトなら尚更。
182 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 20:42:57.46 ID:94lTNN6D
そうじゃなくて、前スレでウザイほど「エクスカリバーゼロ」と例のAA貼りまくってて
本人がなんと言おうと、旗から見たら荒らし状態になってたからじゃないか?
投下してる間に挟んだら作者が幻滅すること受け合いだぞ。
183 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 23:25:34.06 ID:xJ31zYH7
なにはともあれ保守。
今まで出てきたリアルのもの
トイレットペーパー、マウンテンバイク、模造刀、バイク、日本酒、FF11ワールドリポート、
時計、たばこ、百円玉たくさん、食卓塩、世界最速のサイコロ、するめ、
補完きぼんぬ。
184 :
既にその名前は使われています:2006/11/01(水) 23:28:00.23 ID:uTl/wrm0
シヴァねぇ……
武器を構え、目の前にいる赤い鎧を着た女性をじっと見つめる。どうみてもヒュームなんだが……。
さらにどうみてもモンクなんだが時間停止なんていうふざけた魔法使うみたいだし……。
「お前……、何者だ?」
「シヴァって言ってるでしょ? エルヴァーンはそんなに頭悪いの?」
カチーンときたよ。今のは。相手との距離はおおよそ十歩。一秒で詰めれる。
「うるせぇ!」
俺は大きく前に飛び出した。
勝手にGM使ってごめんなさいorz
そして保守間隔早くてごめんなさいorz
185 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 00:22:13.73 ID:Q8meviEe
エルヴァーンとミスラでINTを比べあった私が来ましたよ?(´・ω・`)
何者かと訊かれているのに答えないお姉様も頭が悪い気がしまs
186 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 01:17:46.04 ID:NJrnbtov
俺前スレ見てないからなぁ。今日もアバラ折って病院いってたし。
187 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 01:57:46.65 ID:sWbDKFON
日付も変わろうかという深夜に外へと出たトラは、はたと歩みを止める。
「…………?」
何かが、違う?
シャントット宅を出てすぐの所で、辺りをぐるりと見渡す。
これといって何かあるわけではなく、リアルのほうで見たシャントット宅周辺の風景と同じ
ものが広がっている。植え込み・道・そして遠くに見える星の大樹。何もかもがゲームと同じ
のはずだ。
「気のせい、かな」
大方ゲーム内の風景のイメージが強すぎて、いざリアルな風景にとってかわったからなんとなく
不自然に感じたに違いない。そう納得し再び歩みを始めようとして……違和感は確信に変わった。
視界の片隅で何かがきらりと輝く。
「植え込みの奥に何か…………?」
植え込みの奥に、暗い天に爛々と輝く満月に照らされた何かが控えめに自己主張していた。
大した物じゃないだろうとは思ったが、万一シャントット博士の私物だったりしたら大問題だ。
責任の所在がどこかに関わらず俺が探す羽目になってしまうんだろう……。加えてどんな
とばっちりを喰うかわかったもんじゃない。
「一応拾っとくかね」
関係無かったらその辺に捨てとけばいいしな。
そう思って控えめな自己主張を繰り返すそれに手を伸ばし、掴む。
188 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 01:59:06.70 ID:sWbDKFON
「どれどれ……っと。なんだ、只の空き缶か」
正真正銘ゴミだった。軽いため息をついて、何も考えずに拾った空き缶を投げ捨て
「って空き缶んんんンン!?」
投げ捨てようとしたそれをもう一度しっかりと見る。何の変哲も無い空き缶だ。表面には
『ドクターペッパー』と記されてある。
「よりにもよってドクターペッパーかよ……ってまてまて、問題はそこじゃないだろ俺」
そう。問題は「なぜ」「空き缶が」「この世界に存在しているのか」だ。
紛れも無くリアルの物品がヴァナ・ディールに存在するはずが無い。ヴァナには缶ジュース
なんて存在はしないのだから。
やっぱりこれは夢なんだろうか。そう思ったとき、一つの記憶が蘇る。
『来訪者はヴァナ・ディールに3つだけリアルの物を持ち込める』
「そうか、だからンなモンがヴァナにあるのか」
またもや一人で納得し……大きなため息をついた。
「どこの馬鹿だよドクターペッパーなんて持ち込んだのは……」
偶然か、それともこれを持ち込んだ来訪者が相当な好事家だったのか。
ともかく、一つ判った事がある。
「やっぱゴミだわ」
手にしたドクターペッパーを思いっきり放り投げると、遠くでぽちゃりと着水音が聞こえた。
星の大樹の周りの池に落ちたようだったが、トラは気にせずオバケの家へと足を向けた。
189 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 01:59:40.87 ID:sWbDKFON
ギイィィ…………
オバケの家の扉を開ける。当然のように中は真っ暗だったが月明かりに照らされてなんとか
中の様子が見て取れた。そしてその中には小さな人影が一つ。
「アジド院長、遅くなりました。
……それで、話ってなんです?しかも博士に聞かれたくないって」
まさか博士の暗殺計画ですか?と冗談交じりに言おうとして……止めた。
部屋の中に居た小さな影が一気に倍以上の大きさまで伸びたのだ。
「……お前、誰だ」
よくよく見てみるとどうやら先ほどは屈んでいただけらしく、その影は黒いローブを身にまとった
ヒュームの男だった。男は未だ黙して語らない。
「もう一度だけ聞く。お前は誰だ?」
背負ったダークスタッフに、静かに手を掛ける。
「名は既に捨てた。今ここに在るのは来訪者を消すためだけに存在する器に過ぎない」
抑揚の無い声で男は言葉を紡ぐ。
「ってことはアレか、『赤い鎧を着た人間』のお仲間ってわけだ」
わざわざ夜中にご苦労なこって、と平静を取り繕う。内心は張り詰めた空気に今にも押しつぶされ
そうになっていて心臓が8ビートを刻んでいるが。
そして、男は答えない。答えはしなかったが、代わりにすらりと片手剣を抜き放つ。
これがこいつの返答か。
190 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:00:06.99 ID:sWbDKFON
何秒位だっただろうか?月明かりに照らし出されたオバケの家を支配していた静寂を、黒ローブの
男が唐突に破った。
「……シネ」
静が動へとシフトする。
脚に力を込め一足飛びで切りかかろうとする黒ローブだが、流石にだまってやられるつもりなんざ
シャントット博士の良心ほども持ち合わせちゃいない。
「意識を刈り取れッ、スタンッ!」
咄嗟にダークスタッフを抜き放ち黒ローブへとスタンを放つ!
詠唱をほぼ必要としないこの魔法はやはり頼りになる。FF11をやってて何度この魔法のお陰で
経験値のロストを免れたことやら……と、そんな事を考えている場合じゃなかった。
脚に力を込めて今にも飛び掛らんとする体勢のまま、黒ローブの動きは固まる。
「ふぅ……モーグリに魔法の唱え方を習っておいてよかったぜ」
しかしながらスタンの効果は保ってせいぜい後1、2秒。
ここは素直に博士に感謝しておくことにして、魔法の効果が発動したのを確認するや否やトラは
身を翻し距離を取ると、再び向き直り魔法の詠唱を開始する。
「シヴァの抱擁は汝を氷結の呪縛へ誘う……バインドッ」
詠唱が完了すると、地面から飛び出した氷のツタが黒ローブの足へと絡まりその自由を奪う。
黒魔道士のソロの常套手段だ。接近した敵をスタンで封じ、その隙にバインドで脚を止める。
詠唱の完了の数瞬の後に黒ローブは意識を回復するが、その足はすでに封じた後だ。教本どおりの
戦法であればここでグラビデなりスリプルなりを入れる所だが、まだこいつには聞きたい事がある。
191 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:00:56.07 ID:sWbDKFON
「さて、見ての通りお前さんの動きは止めさせてもらった。命が惜しいなら質問に答えろ。
……何故来訪者を襲う?」
臨戦態勢のまま黒ローブへと問う。だがやはり黒ローブの返答は無い。
「だんまり、か。
俺こーゆーの好きじゃないんだけど、人の命を狙うからには自分の命を捨てる覚悟が出来ている
って事だからな。俺もまだ死にたくないし……悪いが仕留めさせて貰う!」
ダークスタッフを地面に突き立て、精神を極限まで集中させる。
「イフリートの灼熱の魔炎はその身を焦がし、その身を焼き、その身を消し去る……されど魔炎は
猛り狂い汝の心も焼き尽くし、そして魂すら焼き尽くす……ただの一つの欠片も遺さず」
紡ぎだす詠唱は黒魔道士屈指の必殺魔法
「フレアッ!!」
極限まで圧縮した魔力を目の前の一点へと向かい放つ!
ズガァァァァァァン!!
「グ………ァ…ッ!!」
解き放たれた魔力は荒れ狂う炎となり、眼前の黒ローブを容赦無く吹き飛ばし、石畳へしたたかに
打ち据える。
192 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:01:49.07 ID:sWbDKFON
「く………結構しんどいなこりゃ」
魔法の発現と共に襲ってきた疲労感に片膝をつき肩で息をする。
黒ローブの男のほうはというと、服の端々が燃える中倒れこんだままだった。だったが、まだ
息はあるらしく僅かに胸が上下していた。
トラは地面に突き立てたダークスタッフを頼りに立ち上がると、黒ローブの傍までよたよたと
歩み寄る。
「どうだ?軽軽しく人の命を消そうとした代償は」
ざまぁねえな、と鼻で笑う。しかし黒ローブの男はこちらに目を向けると意外な言葉を発する。
「君……すまないね。命を…………狙ったりして」
息も絶え絶えに投げかけられたその言葉に、トラは思わず目を丸くする。
「今更何言ってんだ?まさか『赤い鎧を着た者』に操られてました、とでも言うつもりか?」
「不本意だけど…………そういう事だ…………」
「……何だって?」
「よく聞くんだ。僕たち来訪者は……赤い鎧を着た集団…………フェイトに命を狙われている。
そして僕みたいに……黒いローブを着た者たちはその尖兵…………ゴフッ」
魔法の衝撃で内臓でも破れたか、血を吐く黒ローブの男。慌てて介抱しようとするが無駄だ、
と目で制されてしまう。
193 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:02:41.24 ID:sWbDKFON
「ハァ……ハァ……
そして黒ローブを着た者たちは……フェイトに帰順したか、若しくは洗脳された来訪者で
構成されている。ハハ……捨て駒って奴だね。仮に僕みたいに黒ローブが来訪者に返り討ちに
遭ったとしても、彼らにとっては厄介な来訪者が一人減っただけの事なんだ」
「あんた、操られてたのか」
「まぁね……でも、これは僕の不始末さ。気に病む事はない。
…………なんかこういうシーンって、ゲームの中ではよくあるよね」
「馬鹿か。ヴァナ・ディールはゲームの中の世界だろ。あと台詞がチープすぎる」
そういやそうだったね。そう言って男は弱々しく笑ってみせる。
「どれ位操られてたかな……ずっと意識はあったけど、もう覚えてないや。でもそれも君のお陰で
終われるんだ。ありがとね」
だんだんと、上下する胸の動きが緩慢なものになっていく。
「そうだ、もし他の黒ローブに会ったら……可能ならどうにかして解放してあげてくれないかな?
もし不可能だと思ったら…………せめて楽にしてあげて欲しい」
「出来ればもう二度と出会いたくないっての……」
194 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:02:56.15 ID:sWbDKFON
「うん。一番いいのは二度とフェイトに出会う事なく君がリアルに戻る事…………
ここだけの話、何人かはリアルに戻る事が出来たらしいよ。聞いた話だから本当かどうかは
判らないけど…………
でも、操られるまでに僕が調べた限りでは『この世に在りてこの世に在らざる者』っていうのが
何かの手がかりになっているって事だけはわかったんだ……
ね、わがままだと思うけど……僕の後を引き継いでくれないかな」
「言われなくても帰る為ならやってやるさ」
その言葉を聞いて、男は心底ほっとしたのかとても安らかな笑顔を浮かべる。本当は……苦しい
はずなのに。生きていたいはずなのに。
「よかった。それじゃこれを受け取って」
言うと男は懐から薄汚れた茶封筒を取り出し、渡してきた。
「これから先、君が十分に力をつけて旅立つ時にこれを開けてね……僕の調べたものを隠した場所を
記した地図が入っているから」
何も言わずに受け取り、頷く。
男は最後ににこりと笑うと、静かにその目を閉じて最後の言葉を紡ぎだす。
「それでは…………良い旅を」
その言葉を最後に黒ローブの男の姿は風景に溶け込むようにして無くなっていった。
「…………あんたもな」
トラは目を瞑ると只一つその場に残った黒いローブに向かって十字の印を切る。
そして再び目を開けて……
195 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:03:30.49 ID:sWbDKFON
「!?」
満月に照らしだされて石畳に映る自分の影に、さらに大きな影が被さっているのに気づいた。
そしてそれは剣を振り上げている!
(一人じゃなかった……!?)
咄嗟に飛びのこうとしたが、先ほどの魔法の代償がまだ大半が残っていて思わず足をもつれさせて
前のめりに倒れてしまう。
「畜生ッ!」
(折角後を託されたってのにもう終わりかよ!)
そして振り下ろされる剣。
しかし。
196 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/02(木) 02:03:45.05 ID:sWbDKFON
「エアロ!」
唐突に聞こえた声、ついでざむんという音と共に石畳に映った影は上下に分かれる。
声のしたほうを振り向くと、そこにはある意味黒ローブよりも恐ろしい人物が立っていた。
「シャントット……博士…………なんでここに……?」
「オーッホッホッホ!ワタクシを出し抜こうなんて一千年ほど早くてよ?トラフィック。
貴方の行動はモーグリを通してばっちりくっきり筒抜けですわよ!」
「成る程ね……さすが博士、そこにシビレる憧れるゥ、ってか…………?」
モーグリの野郎、後でしばく。
そんなことを考えていると、
「大体貴方は肝心な所でポカを…………」
説教を始めるシャントットが周りの景色ごとぐるりと回転する。さすがシャントット博士だ。
「トラフィック、ちゃんと聞いてますの?」
ドサッ
「あら?」
目の前が急に暗くなり、ブラックアウトした。
今回も夜分にえらいな量の投下です。見づらくてすいません( ´・ω・`)
しかしID:uTl/wrm0氏のお話が気になって気になって…!とうとう職場のPCにも
専ブラ入れてしまいましたw
198 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 06:46:07.82 ID:mhbEQq4Z
空き缶はリサイクルへage
199 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/02(木) 07:26:50.22 ID:G9+ylHHE
長かった。本当に長かった。
朝起きたら、このヴァナ・ディールの自キャラになっていた時はどうしようかと思ったものだ。
だか、それも今日これまでだ。今振り返れば、ヴァナ・ディールという世界も悪くない。
ここウィンダスで知り合った子ミスラも、悪戯好きだがとても可愛かった。
果てしない冒険の末、ガラス瓶に少量ほど入っているの秘薬「リアルニモドルン」を飲み干せば、
彼女ともお別れだ。…そんな時だった。
その子ミスラが悲しい別れをしないためか、満面の笑みでこちらに駆け寄ってくる。
あぁ、なんと愛くるしい姿だろうか、最後に抱きしめてあげよう。
テッテッテッテ…短い腕を大きく振りながら走ってくる。
抱きしめたら、彼女の名前を何度でも呼んであげよう。
テッテッテッテ…リボンが先に付いている尻尾が揺れている。
最後に頬に軽くキスもしてあげよう。
両腕を大きく広げ、胸を広げた。さぁおいで、と言わんばかりに。
「鉄拳!ネコぱんちにゃぁぁぁぁぁ!」
広げた腕の先にあるガラス瓶に、手首のスナップを利かせた彼女の拳がクリーンヒットした。
ガシャーン!と割れる音。そして液体はウィンダスの大地に流れ落ち、すぐさま乾き、吸い込まれた。
子ミスラは「にゃにゃにゃにゃ〜」と言い素通りしていった。
それは可愛い悪戯だった。彼女の背を見て、軽く泣きながら言った。
「これからもヨロシク。ヴァナディール」
昨日、傍若無人な事を言った自分がなんだか恥ずかしい…。
そんな訳で小話投下で気分を一新してみました。
>>197 虎さんは、書く速度はやいですね。羨ましい限りです。
201 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 10:03:35.76 ID:NJrnbtov
202 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 11:25:57.05 ID:yyIm05jd
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_::|:::|. ,.ro' /9;7'"/ }
-'`i::| /_'"! .,!--' /'’ノ 久々に定期エクスカリバーゼロage
、 `J ~ __ ヽ '' // 山田AA紛失したから仕方なく里中なんだよな
,/`l ___ '" ./ 誰か山田AA持ってませんか
|、 `ー、 └┘ ノ` 、 いくらググっても見つからないから困る
| \ `ー、 ̄_, '"|l `i--、_
. | `ー- 、 ____,..-'"`、 `、 `ト、__
│ | `i、 | ¨`ー-、
│ │ || |
│ | || |
203 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 11:32:54.61 ID:yyIm05jd
,..-'::::::::::::::::::''''ー ..、
_..-'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::.;;;;;'-ー''''ー―ヽ::::::::::::::::゙''、
/:::/ ;;;;;;;;;;;;;;;;、 ゙''ト,:;;;;:::::::!
l::/ _,,ン'´::; ===、 .!::::::::\;;|
!.〃.,彡゙ノ 、...... !::::::,::i;;\ 久々にやーまだ
|i .,.. ,″ !::::l ⌒i::\ 諦めかけてたら普通に前スレにあったから困る
,i'.!.゛ ヽ'' _,,..、 .、. !;;;| し .|:: .〉
! ! ヽ´_/ ! 、.,ノ..../
ヽ ! ,,,,,,.. ! i'"
゙'.l. .ノ .l
ヽ 、 _..-ー'''^゙ ̄´゙'''ー
ヽ .... ......--;;''''":;.,;;〆;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::
204 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 13:13:05.67 ID:pxrHVw9J
あぐる
205 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/02(木) 13:31:44.90 ID:Q8meviEe
結局・・・エクスカリパーゼロって何ですか?
まったく分かりません・・・
玄米何とかは覚えました。覚えた頃には流行遅れですがorz
今後の展開用に台詞のみめもめも(´ー`)φ
「・・・あなたのために強くなったのに、あなたは私に刃を向けるのか・・・」
「この墨魔道士!!」
「あら、このわたくしに逆らおうなんて半万年早くてよ?」
「守るべきものを失ったくせにナイト気取り?滑稽ね」
「男装の麗人ですね!」「こいつは男だ」「女ですッ!!」
「傭兵風情がッ!!」「それに縋るしかないあなたたちは何だ?・・・これは正当な取り引きですよ」
「コスプレ?」「ですよね〜・・・orz」
極めて断片的ですけれどもこんな感じです。
206 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 13:38:41.07 ID:yyIm05jd
このスレでコテやってるのにleadさんのSS読んでないのか
207 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:05:33.09 ID:NJrnbtov
最近老人ボケ始まっていて俺も物語覚えてない。
住人のかけあい漫才をたまに見に来る。
色々いて良いし、知らないのも立派な武器になるかと。
208 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:12:54.39 ID:+sDQOQCC
きもいスレだな()笑
209 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:13:50.42 ID:+sDQOQCC
書いてる奴はほんとに楽しく読まれてるとおもってんの?
みんなネタで面白いとかいってるだけですよ(木核火暴)
210 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:22:08.97 ID:NJrnbtov
少なくとも俺は楽しく読んでる。数週間に一回か二回パラパラと見に来る程度だから、
長編はジャンプのストーリー漫画みたいに流し読みだが。(そして覚えていない)
動画作ったり絵かけるからなんかやっても面白いかもしれない。
>>209ネタで面白いと思ってない奴、俺は小説でスレを面白くしてやる!
ってやつはちゃんといるから小説専門で建て直しとかがんばってるんだが。
ボーブ!変な世界に迷い込んじゃったぜーーーーーlololol
マイク!フローズンアイスよりクールになれ。ホットなハートでできないことはなーい!
211 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:22:45.07 ID:NJrnbtov
すまん!ボブマイクスレのレスと間違えたwww
212 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/02(木) 14:24:12.24 ID:Q8meviEe
いや、あの・・・山田AAとエクスカリバーゼロの関係は・・・?
213 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:25:46.42 ID:+sDQOQCC
なにマジレスしてるわけ?こっちが恥ずかしいじゃない
214 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:27:44.91 ID:yyIm05jd
あん?山田がエクスカリバーゼロって言っちゃだめだってのか!?
例えば高倉健がベリーズ工房について語ったらだめだって意見か?
何と言われようが俺は山田にエクカリゼロageと言わせ続ける
215 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:33:18.27 ID:bV+zud6d
朝起きて自キャラになってたら、周りが外人ばかりで自殺するだろ
常識的に考えて・・・
216 :
虎"8131:2006/11/02(木) 14:42:35.60 ID:hNEmBRJm
やはりやーまだとエクスカリバーゼロの関係が気になる新参者が
仕事中に通りますよ( ´・ω・`)
#と"を打ち間違えた・・・なので変えときますorz
ぶっちゃけ、何の関係もないな。
「関係ないAAにFFの台詞を言わせるスレ」みたいなもん。
人によっちゃ面白いと思うのかもだが、度を越すと寒い。何事も節度あってこそだと思う。
219 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 14:54:08.98 ID:+sDQOQCC
とりあえずさ^^;こんなきもいオナニーがやりたいなら外部板でよろ^^;
220 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/02(木) 16:40:06.47 ID:G9+ylHHE
ある街で男が二人睨み合い、その周りを群衆が取り囲んでいました。
「どうしたんですか?」通りかかった一人の小柄な女性の冒険者が尋ねると、近くの店の主人が答えました。
「喧嘩だよ。まったく周りの迷惑も考えちゃいねぇ。どうだい冒険者なら二人を止めてくれないか?」
彼女は少し考えて、手のひらを出して返事をしました。
「わかりました。まわりに迷惑をかけないようにやるので、報酬は前払いでいいですか?」
店の主人は「うまくやってくれよ」と、いくらかの金貨を渡しました。
彼女は群衆をかき分けて二人の男の前まで行くと、背の高い二人を見上げて言いました。。
「どちらが強いんですか?私は強い人が好きなので、勝った方にこの金貨を差し上げますよ」
先ほど店主から受け取った金貨を見せると、チラリと二人とも視界に入れて言います。
「ッハ!オレの方が強いに決まってるだろ!」彼は腰に刺した曲刀を抜きます。
「んだと?やってやろうじゃねぇか!」と、こちらは背負った大剣を担ぎました。
群衆が刃物の光に声を飲み込み、息を止め静まり返ります。
男二人が動き出すよりも早く、「ダンッ!ダンッ!」と、重く空に響き渡る音が二回しました。銃声です。
彼女の持つヘキサガンと呼ばれる銃の六つある銃口のうちの二つから硝煙があがっています。
男二人の鼻から上が、元の形も分からないほど崩れ、鮮血で染まっていました。
「なんだ…避けられたらどうしようかと思ったけれど。二人とも弱いですね。この金貨は私が貰います」
力なく、そして無造作に倒れた二人からは当然返事はありません。
群衆も、店主も口をあけて、まるで蝋人形のように驚いた表情で立ちすくんでいます。
彼女は本来自分の住む世界ではないこのヴァナ・ディールの美しさを誇りに思っていましたが、
そこに住む人々には然して興味がありませんでした。
以上。1レス20行で起承転結の小話。その2でした。
222 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 17:42:59.90 ID:I0zbknPH
相手の懐に飛び込むと同時に身体の機能を極限まで高める。
「一分で片付けてやるよ!」
百烈拳発動!
考えるよりか遥かに早く手と足が動く。目の前のモノを破壊するために。
金属と金属がぶつかり合う音に混じって鎧がきしむ音が聞こえる。
相手は対抗してこない。いや、早すぎてできないのだろう。声も出さずに攻撃を受け続けている。
ばきっ
と音が聞こえる。今までにはなかった音。拳が鎧を貫通した音。
右手を大きく引き、今まで貯まった分の気を集中させる。
「終わりだ!」
その拳を鎧の穴に打ち込む。
「空鳴拳!」
拳は直撃し、相手は大きく跳んで行き雪の上に落ちた。
「ジャスト一分。俺に狂いなし」
保守
223 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 18:41:25.18 ID:J0/PlvFQ
1レスで話を完結させるってすごいな・・・
225 :
既にその名前は使われています:2006/11/02(木) 21:42:57.19 ID:iYHqf4RV
「真実なんかどこにもない。すべては虚構、我らを楽しませるためだけにある」
「友を失った嘆きも、今感じている痛みさえ、お前達はそうやって奪っていくのか」
「奪うとは人聞きの悪い。もう遙かな過去から、全ては我らの手の内なのに」
「ならば私達は、お前達のものではない、揺るがない真実をさがしに行こう」
「そんなものがあるなら、是非見てみたいものだね」
「真実は剣となって、虚構の戒めを断ち切り、いつの日かお前達を切り伏せる」
「楽しみにしているよ。それではよい旅を」
泣き声が聞こえる。
誰が泣いているのだろうか。
目の前の少年か。背中に剣を刺されて息絶えたオークか。それとも俺なのか。
「うあぁぁぁん!あぁぁ、うっああああああ!」
わかったからもう泣くな。泣きたいのはこっちだっつーの。
泣きじゃくる少年の頭に手を添えそのまま抱きかかえる。
昔何処かで心臓の音を聞かせてやれば人は落ち着くと聞いた事がある。
本当に効果があるのかはわからないが何もしないで見ている事も出来ないので試して見ることにしよう。
こういうのを火がついたように泣くと言うのだろうか。
幾度となく頭を撫でるが少年は泣き止む様子はない。
少年の頭を強く抱いた。何かにしがみついていなければ心が壊れてしまいそうだった。
周りに人気のないロンフォールの森に子供の泣く声だけが響く。
子供の泣く声だけが・・・。
俺の声は小さすぎて誰にも聞こえない。
(ごめんなさい)
少年が泣き止んだ後近くの小川で体に付いた血を洗い流し南サンドリアへと入った。
少年に向き直りその目を見つめる。
「さっきのオークは俺が遊び半分で斬りつけたんだ」
少年は驚いたような顔をして俺を見た。
「あのオークは君を襲おうとしてたわけじゃなくてただ逃げてただけだった。
いや、もしかしたら君に助けて貰いたかったのかもしれない・・・」
「そうなんだ・・・」
「ごめんな。怖い思いさせて。あのオークが死んだのも俺のせいだ」
俺の言葉に少年は首を横に振り
「ううん、気にしてないよ。でもおにいさんて強いんだね!その調子で獣人なんてみんなやっつけちゃってよ!」
吐き気がした
ここはそういう世界なんだ。
オーク等の獣人と人間達はお互いに怨みあっている。
20年前の大戦が原因だろう。お互いの遺恨は根強い。
鼻歌交じりで獣人を殺しても褒められはしても侮蔑される事はない世界。
そんな世界に今俺は居る。
「おにいさんは冒険者なの?」
「ん〜、どうだろうね・・・。昔はそうだったかもしれないけど今はちょっとわからないな」
「変なのっ」
俺の答えが面白かったのか少年は笑顔になる。
「君はどうしてあんな所にいたの?」
「・・・川の水を汲みに行ってたんだ。欲しいって言う人が汲んできたら報酬をくれるって言うから」
うちお母さんが病気だから・・・少しでもお金を稼ぎたくって」
「・・・そっか」
少年の頭を撫でてやる。
「でもあまりここから出ない方がいい」
「大丈夫だよ!騎士の人達がもうすぐこの辺りからオークを追い出してくれるんだ!」
「騎士?王国騎士の人達が?」
「ううん、冒険者の人達が集まって『騎士』って名前で活動してるらしいんだ」
「は?冒険者が?オークを追い出す?」
「うん!なんか獣人達をみんなやっつける方法を見つけたんだって!」
・・・そんな方法あったっけ?
この世界は破壊のための兵器とかはそこそこあるけどそんな都合のいい方法があるとは考えられない。
「あ、ごめんね!配達の仕事があるんだ。もう行かないと」
「ん、そっか。ごめんな、引き止めて」
「ううん、おにいさんと話せて楽しかったよ!」
少年はにっこりと微笑むと競売の方へと走っていった。
俺も・・・モグハウスに戻ろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ご主人様、おかえりなさいクポ」
モグハウスに帰って来た俺をモーグリが迎える。
いつもならここでモーグリを驚かせて遊んでいる所だが今日はそんな気分にはなれない。
第一うちのモーグリは最近そういうのに慣れてしまって全然驚かなくなってしまっている。
ベッドに無造作に倒れこんだ。単調な色の天井が見える。
「・・・慣れ、か」
俺も慣れるのだろうか?この世界に。生き物を殺す事に。
「ぼくは、世界を自分のものにします・・・」
実は子供のような理想は正直好きじゃない。
現実は結構厳しいし思い通りにならない事だらけだと思う。
でも
「ぼくの世界は獣人も人間もアルタナも関係ない平和な世界にしたいと思います」
たまにはそういうのもいいのではないだろうか。
そういえばジュノにも人間と獣人が仲良く暮らす事を望んでる奴がいたっけ。
黒装束との話が終わったら会いに行ってみるのもいいかもしれない・・・。
そういや俺もテンプレ忘れてたので今更だけど投下
初出: 「朝起きたら自キャラになってた」で物語を書く15の
>>27 PC(仮)名: フィル(Fill)/ 中の人: Fill ◆/mxTlpzcHk
種族フェイス: エル♂F2黒髪
ジョブ&Lv: 赤魔75
特記事項: とりあえず真面目ではないと思う。
活動エリア:サンドリア
あらすじ: 世界征服??
他キャラとの接触: 今のところナシ
独自レギュレーション: 特になし
自分の書いたのを読み返したりしないで投下するから誤字脱字はご勘弁。
231 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 00:33:00.57 ID:G4gZYIUQ
投下乙です
黒装束の中の人が話の分かる奴だといいのですがw
232 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 00:38:22.85 ID:OLahuQrT
「……驕慢」
「ん?」
俺は振り向いた。そこには先ほど倒した人間しかいない。
「気のせいか……」
俺が前を向いた。
そして、そこに彼女はいた。ついさっき倒してあそこにいるはずの彼女が。
「なっ!?」
「内なる『驕慢』が、おまえたちを腐らせる……」
彼女は俺と同じ構えを取っていた。空鳴拳の構えを。
身体は痛んで動かない。防御は間に合わない。
次の瞬間、俺は血を撒き散らしながら宙を飛んでいた。
保守。例えどんなに短くても見直ししないのが俺クオリティ。
また保守間隔短くてごめんなさい。
233 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 00:53:26.82 ID:wugsKZZl
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!.〃.,彡゙ノ 、...... !::::::,::i;;\ wクスカリバーゼロage
|i .,.. ,″ !::::l ⌒i::\
,i'.!.゛ ヽ'' _,,..、 .、. !;;;| し .|:: .〉
! ! ヽ´_/ ! 、.,ノ..../
ヽ ! ,,,,,,.. ! i'"
゙'.l. .ノ .l
ヽ 、 _..-ー'''^゙ ̄´゙'''ー
ヽ .... ......--;;''''":;.,;;〆;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::
234 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 01:01:15.86 ID:tXUP0rDD
クスかリバー
コンシュタットと呼ばれる高原の夜。本来はこの世界の住人ではない小柄な女性が一人崖を背に座っていました。
彼女は崖の岩肌と同色のマントと海賊のような帽子で全身を覆い闇に紛れ夜露を凌いでいます。
視線の先には誰が点けたか分からない焚き火が周囲を照らしていましたが、その光は彼女の所には届きません。
しばらくすると、誰もいない焚き火に、一組の男女がやってきて、周りに置かれた薄い石に腰をかけました。
「危険だな」と闇に紛れた彼女は思いましたが口には出しません。どうやら男女二人は恋人同士のようです。
手を取り合い愛でも語り合っているようですが、無表情に見ている彼女には二人の声は聞こえません。
男の方がズボンのポケットに手を伸ばし何かを取り出そうとした時です。
彼の上半身は左右二つに分かれました。男女の後ろから現れた一匹のクゥダフと呼ばれる亀に似たモンスターの、
その自身の長さほどもある大剣の一振りによるものでした。
赤い血しぶきを全身に浴び、悲鳴を狂った表情で女があげるよりも早く、クゥダフの大剣が女を薙ぎます。
再度クゥダフが大剣を振りかぶった時、重い発砲音と共にヘルメットとその下にある頭が砕け散りました。
先ほどまで闇に潜んでいた彼女がヘキサガンと呼ばれる六つの銃口がある銃をホルダーにしまいながら言います。
「しまったな…クゥダフのヘルメットは高く売れるのに…粉々だ…こちらはどうかな?」
左右二つに分かれた男の手を開くと指輪がありました。満月の光を仰いで彼女は指輪の価値を見ます。
真剣な表情が、フッと緩み「やれやれ」といった感じで独白しました。
「どうやら、これは店に売りに行く必要もなさそうですね。捨てちゃいましょう」
帽子を正しマントを羽織りなおして一言呟き彼女はその場を去ります。
「やはりヴァナ・ディールは美しくあるべきだ」
あとには無残な男女の亡骸だけがありました。そこから伸びた腕は夜空の星を掴むかのようです。
そして、女の方の薬指には"店に売りに行く必要もない指輪"が輝いていました。
236 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/03(金) 01:27:42.59 ID:L4uZCtB2
投下乙でございます。
毎回、投下を楽しく読ませていただいております。
>>200 嵐は基本的にスルーですね。
>>205 エクスカリバー・ゼロは私の駄文で登場させた武器の名前ですが、
複数スレにわたってAA等で連呼するのはお寒いですね。
237 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 01:31:04.32 ID:tXUP0rDD
0でとめるからあらされるんだよ
1とか3とか4とか5とかいっぱい出せばどれ使えばいいから荒れないきっとそう
238 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 01:42:36.92 ID:wugsKZZl
>>236 ウイングガンダムゼロカスタムみたいでカッコイイですね
239 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 03:39:23.23 ID:J3SkYCdv
寝る前にage
240 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 07:24:52.55 ID:2LQe1icb
>>237イージス・ワンとかあったような気がする。
一人の男がヘキサガンと呼ばれる銃口が六つある銃を持った女性から、必死で逃げていました。
ワジャーム森林と呼ばれる木々の茂ったあるところで袋小路に捕まり退路を断たれ追い詰められます。
男が振り返ると、やはり銃をまっすぐ向けて間を詰めてくる女性がいました。
男より少し小柄な女性は本来この世界の住人ではありませんでしたが、さも慣れた感じで言います。
「あまりこういう事はやらないんですけど、個人的な事情があって、つい請け負ってしまいました」
蕃国と呼ばれる敵軍と密通しているとのことで、男が所属する国から彼女に抹殺の仕事が回ってきたのです。
二回トリガーが引かれると、男の両脚が血で染まり、衝撃と痛みで後ろに崩れるように倒れました。
「墓標にはなんと入れますか?」と言いながら、さらに二回の発砲音が辺りに響きます。
両腕も撃たれた男が息も絶え絶えに「国で最初の和平交渉を試みた男、ここに眠る…がいいかな」と答え、
彼女が「わかりました」と返事をした時には既に男の頭と胸にも赤い穴が開いていました。
「いやぁ、今回は簡単な仕事だった。さぁ、帰りますか」
彼女は大の字に横たわる男を背に、銃を腰のホルダーにしまうと彼の所属していた国を目指して歩き出しました。
暫くして、彼女はさも満足と言った表情で自らが殺した男の所へ戻ってきました。
地面を掘り、遺体を埋葬し、墓標を立てると彼女は海賊が使うような帽子を脱ぎ礼儀正しく頭を下げます。
「あなたは本当に素晴らしい人だった、おかげで今の私がここにいるというのも過言ではない」
仰々しく彼女は言うと、その場を立ち去り、二度と訪れることはありませんでした。
彼女が誇りに思うヴァナ・ディールの美しい夕日がワジャーム森林を染め上げる中、一つの墓が立っています。
墓標には『二日ぶりの食事代になった男、ここに眠る』と記されていました。
というわけで、
>>199 >>220 >>235に続いて1レス小話の4回目でした。
メル欄に題名と通し番号ありますが、別に続き物というわけではありません。
20行使ってギッシリ書いてるので、もしかしたら携帯なんかのが読みやすいかも?
243 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/03(金) 11:38:51.99 ID:T5rLRMuv
ワジャーム森林じゃなくて樹林だった…まぁ…キニシナーイw
そしてこのスレの書き手の中で私一人浮いてる感じもしなくもない!
…が、それもキニシナーイ(´∀`)
自分の書いたものを見て、チェックしなかった報いをうけ悶え中。
文法おかしっ!!この文変じゃね!?
つかこのドーデもいい箇所に長々注訳つけたおれっておかしくね!?
さて、改訂版作って置かなきゃ…。
>>220>>235>>241 ワンレス完結。なんかいいですなぁ〜。読みやすい。
読んでててなんか「キノの旅」の師匠を思い出しました。
「女は度胸です」
保守します。
245 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/03(金) 14:44:27.60 ID:L4uZCtB2
“ヘキサガンの女”編
ちょっとひねりの入ったキャラ設定と、緑茶さんの語り口でとても面白いと思います。
246 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 17:58:55.49 ID:OLahuQrT
雪の上に倒れこむ俺。身体は動かない。
「『来訪者』で無敵のエルモンクがいると聞いたんだけどどうやらはずれね」
俺は声の変わりに血を出した。
「わざと撃たれてあげたけどあなた弱いね」
余計なお世話だ。そう言いたくても声には出来ない。
「さようなら、弱いヒト」
足音が遠のいていくのがわかる。
視界には灰色の雲とそこから降る白い雪しか見えない。
白い雪が俺の体に積もっていく。数時間もすれば俺の存在なんてわからなくなるだろう。
「眠いな……」
俺はそういうと目を閉じた。
保守。長々とスレ汚し失礼しました。
今後は普通の保守に戻ります
247 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 18:26:22.34 ID:4z+rqFKS
おいィ!?
立て…立ってくれ、>246ーーーー!!!!
248 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/03(金) 21:41:35.62 ID:0OkV5q/B
投下人様方、投下乙でありますっ
続きが思い浮かばないのでせめて保守だけでも……!
249 :
既にその名前は使われています:2006/11/03(金) 21:41:39.89 ID:G4gZYIUQ
なんて幕切れだ(つД`)
250 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 00:19:47.13 ID:n+QiujMQ
誰か暖めて
チーンってしてあげるよ
252 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 00:27:18.59 ID:RIXdD+EL
つまらない文章だなあ
253 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 01:33:41.44 ID:ZcHzK1k4
いろんな人が投下するのと話が小出しなのもあって途中で内容がわからなくなってくる。
どこかでまとめて読みたいな。
254 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 01:35:19.98 ID:ZcHzK1k4
と思ったら保管庫があった。
255 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 06:47:14.67 ID:n+QiujMQ
おはようございます
256 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 08:03:24.83 ID:yblPvAX+
なんていうかエクカリゼロage
257 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 10:47:15.18 ID:m6FKxZhx
保守!
258 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 10:50:05.74 ID:qs7JLgGq
モグハウスにひきこもる
259 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/04(土) 13:59:02.23 ID:bTxK7Lmk
土曜出勤しても割とやることなくて、
こっそり携帯から保守age
いくらネタは頭の中にあっても、
書き始めないと細かい修正に時間がかかるから
暇なときに文章化したいのに職場にテキスト打てるPCがない罠…
260 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 16:45:37.78 ID:m6FKxZhx
あげ
261 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/04(土) 18:33:12.04 ID:86bNfXmO
「う、んっ…」
あれ、私なんでこんな所で寝てるんだっけ…?
目を覚ましてみたら足元は石畳だった。
私は寝相は確かに悪いけど夢遊病ではなかったよね…?
落ち着いて昨日の行動を思い出してみよう、そうすればここで寝てる原因が分かる筈。
昨日は珍しくヴァリエンテからパールで通信が入ったはず。でもなんか様子がおかしかったのよね…。
それで心配になってバスまで来てこっそり様子を見てたんだっけ。そしたらあの馬鹿何を血迷ったのか尾行してた剣を抜いて私に襲いかかってきたんだっけ。まったく、襲うなら別のところで襲えっての!
ま、でもしょうがないかなぁ、だって来訪者になっちゃったのよね…。でもあれはないわよ…、何が「君の好きだったヴァリエンテは死んだ、いや、俺が殺したと言った方が正しいかな」よ…。
多少の違いはあってもヴァリエンテはヴァリエンテよ!
まぁ、それはいいわ、後で本人が分かるまで言ってやるんだから!
確かそこでカーッと来てヴァリエンテに平手打ちをして外に走り去っちゃったのよね…。うん、すぐ怒るのはよくない、でも今回はあの馬鹿が悪い!
えーっと、そうその後よ! なんか変なエルヴァーンとヒューム女の子が争ってるの見つけたからまた様子見てたらいきなりエルヴァーンが襲いかかってきたんだ!
ヒュームの女の子が助けてくれたから良かったけどどうなる事かと思ったのよね…。で、必死で逃げてる途中に変な赤鎧にぶつかって…、つまり気絶しちゃってここで倒れてたって事かぁ…。
262 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/04(土) 18:33:46.91 ID:86bNfXmO
って、変な赤鎧はどこよ!? 気絶してる間になんかされてたらたまったもんじゃない!!
慌てて辺りを見回すと赤鎧と斬り合うヴァリエンテの姿という予想外の光景が見えた。
「ちっ!!」
「いつまでそうやって逃げ続けるのかな?」
「さぁ?それはあんた次第だ」
赤鎧の猛攻を必死の形相で受け流し続けるヴァリエンテの姿があった。
その姿に私は自分の目を疑った…、あんなに防戦一方のヴァリエンテなど見た事がない、必死に皮肉を叩いているけど余裕などなくやられるのは時間の問題に見える。そこには獣人だろうがデーモンだろうが余裕に表情で魔法剣で倒してきたかつての姿は無かった。
でもどうして? なんでそこまでして戦ってるの? ここで私が倒れていて貴方が戦っているって事は私を守って戦っているって事でしょ?
ヴァリエンテは私の事なんかもうどうでもいいはずでしょ?
だからこそ殺したなんて言ったんでしょ? どうしてそんなにも必死に戦っているのよっ!!
「なら、その体に刻みなさい私の本気を…」
言葉と共に赤鎧が一瞬で間合いを詰めヴァリエンテを切り裂く、ヴァリエンテの体は力無く倒れ地面に血の海が出来た…。
私は一瞬何が起きたのか理解できなかった…。
263 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/04(土) 18:34:05.18 ID:86bNfXmO
はっと我に返りヴァリエンテの元へ走り出す。
「ん? 起きてたんだ? でもヴァリエンテはもう再起不能よ」
うるさいっ!! 少し黙ってなさいよ!
赤鎧の言葉を無視してヴァリエンテのそばにかけよる。
「生命をもたらしたる精霊よ 今一度我等がもとに! レイズ!」
外傷はふさがったけどヴァリエンテは目を覚ます気配すら無い…。
「清らかなる生命の風よ 失いし力とならん! ケアル!」
それならば必死になってケアルを掛けるも反応は無い。なんで起きないのよ!
「無駄な事をするのね、立てたとしても私には勝てないのに」
「ケアル! ケアル! ケアル! ケアル!」
話しかけてくる赤鎧を無視してケアルをかけ続ける。うるさい! うるさい! うるさいっ!! ヴァリエンテは誰にも負けないんだから!
だから早く立ち上がりなさいよこの馬鹿ヴァリエンテ!! あんたには貸したままの物とか守ってもらうべき約束とか言い足りない事が一杯あるんだからっ!!
264 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/04(土) 18:35:15.70 ID:86bNfXmO
ということで今回は以上です。
趣向を変えてべあとりす視点から書いて見ました。
てことでage
265 :
既にその名前は使われています:2006/11/04(土) 21:33:33.66 ID:n+QiujMQ
ピンチのシンクロニシティage
266 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/04(土) 23:04:19.79 ID:QiBbAept
仕事から帰ったら、ニュースで世間様は3連休と言っていた…
そんなわけで、まとめWikiを編集していたら、
うっかり過去の自分が投下した話を読んでしまった。
一作目はそうでもないのに、二作目と三作目の文体が非常におかしいw
デモキニシナーイ(´∀`)オモムクママニカクノサー
>>264 乙であります。
緑茶の中の人は何か仕掛けのある話を作る趣向があるようです…
中の人の妄想力に私の文章力がおいつかないお!
「返答は?」
ランベールの墓。深夜0時。
約束通りに来た黒装束に俺は真っ先に問いかけた。
風の音が聞こえる。虫の鳴き声も聞こえる。
黒装束は黙ったままこちらを見ている。その顔はフードに覆われていて表情を見る事は出来ない。
「仲間と相談してきたんじゃなかったのか?」
「・・・」
静かだなー。
虫の鳴き声を聞いてると結構張り詰めた状況のはずなのになんとなく平和な気分に浸ってしまう。
「・・・帰っちゃうぞー」
「・・・仲間との話し合いの結果サンドリアにはスパイは必要ないという結論が出た」
あらら。ちょっと意外。てっきりOKが出るものだとばかり思っていた。
「えーっと、じゃあ俺はこれで・・・」
「しかしお前はレベルが高い事から洗脳して我々と共に来訪者を狩ってもらう事になった」
言いながら黒装束は格闘武器を構える。
「は?なんですと?」
「お前にはフェイトの一員になってもらう・・・ふん!!」
唖然としている俺の顔に黒装束の右拳が襲い掛かる。
「!!っっっちょっと待って!タンマ!!マジデ」
大きく後ろに跳んで敵の攻撃をかわす。身体能力が高いのでリアルの時とは比べ物にならない程に吹っ飛んだ。
吹っ飛びすぎて壁に当たる。ヤバイ、超痛い。
「っつぅ・・・。えっと、要するにここで俺を捕らえると・・・そういう事?」
「そうだ」
なんつーかさすがにちょっと予想外。でも考えてみれば黒装束って洗脳された来訪者らしいからこうなるのは別におかしくなかった。
「とりあえず俺と手を組む気はないって事だよね?」
「ああ」
なんとも発言が簡潔な人だ。・・・でも簡単なのはいい。わかりやすいって大事だよね。
「そうですか。 そういう事らしいです、みなさん」
その瞬間、俺達意外誰も居ないはずだったランベールの墓に鎧に身を包んだ騎士達が現れた。
・・・・・・・・・・・・・・・
ランベールの墓に行く前日、俺は城に行きハルヴァーと会っていた。
用件は来訪者であるという届け出をすると共に後日フェイトの一人と会う事になっている事を伝える為である。
どちらかというと俺を疑うような目でみていたハルヴァーだったがこちらの意図は掴めたのだろう。
フェイトの真相と実態を探るべく、俺をスパイとして送り出すことを決定した。
しかし場合によっては断られる事もあるのでその場合は交渉に来た相手を拘束する手はずになっている。
その為に神殿騎士団の騎士達を借りて事前に俺のインビジとスニークをかけて潜んでもらっていた
現れた騎士達を見渡す。借りた騎士は15名。
一人を捕まえるのにさすがに多いような気もするが・・・って、あれ?15人にしてはどう見ても多すぎない?
「どうやら考える事は同じようだな」
よく見ると現れた連中の中に黒い格好をしている奴等が混じっている。
「全くだ。俺達気が合うんじゃない?付き合おうぜ」
こちらの手を読んで・・・という事ではなく、向こうも俺を捕まえる為に人数を用意していたのだろう。
「捕らえろ」
誰かの声で一斉に場が動いた。
一気に俺に襲い掛かってくる黒装束達。
その間に割り込むようにして俺を庇う神殿騎士団の面々。
敵の数は多分7か8。数の上ではこちらが圧倒的に有利なのだが・・・。
「【スリプル】!」「【スリプル】!」「【スリプル】!」
敵の魔道士の数3に対してこちらは俺だけ。
気持ちを静めて目を瞑り魔力の流れを感じる。
魔力を汲み取りその形を変えて・・・
「ぐっ!!」
腹に思いっきり打撃を喰らう。
目を開けると目の前には俺の腹に拳を叩き込んでいる黒装束がいた。
「いきなりっ、殴るなんて、アプローチの仕方が、ちょっと過激なんじゃないのか・・・?」
腹がズキズキする。超痛い。
剣を抜き腹の部分が敵に当たるようにして思いっきり横薙ぎに払う。
しかし剣を持った手をガードされ今度は腹にタックルを喰らい俺の体は吹っ飛んだ。
「がっ!!」
本日2度目の壁との激突。こんばんは壁さん、さっきぶり。
見ると借りてきた神殿騎士団の連中はすでに半分程がノンレム睡眠中。何しに来たんだこいつら。
残った面々も寝てしまった奴を起こす事も出来ずに他の黒装束との戦いに明け暮れている。
そして俺の前にはまた腹に拳を叩き込もうとしている黒装束。
「そうっ何度も喰らうか!」
体をひねり拳をかわす。その勢いを利用して剣の柄を相手の腹に・・・
「ぐっ!」
頭を思いっきり蹴られた。痛い。マジで洒落にならない位に痛い。
辺りを見渡す。とにかく距離をとらないと・・・やばい、向こうの魔道士と目が合った。
魔道士は俺を見ながら詠唱を開始している。あぁ、なんかすっごい嫌な予感がする。
「【スリプル】U!!」
途端に眠気が襲ってきた。
体を支える物が欲しい。眠っちゃだめだ。何か掴む物・・・。
手近に居た黒装束の体にしがみ付く。柔らかい・・・こいつやっぱ女だったんだな。
もう・・・だめだ・・・意識・・・なくなっ・・・・・・・・・・・
自分ルールその1:一度の投下は4レス程度までに縮める
今回正直縮めすぎた気がする。
>>266 仕掛けのある話いいですね〜( ´∀`)
俺は仕掛けたいのに悲しい事に仕掛けが全然思いつかない。.゜.(ノ∀`).゜.。
どうでもいいけど俺の書く話は改行が多すぎるのと自分ルールのせいでものっそい進行が遅いです。
現在最初に考えた大まかな話の流れのようやく1割に到達した?という感じ
272 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 00:51:11.30 ID:4U/1U81e
age
273 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 01:05:21.97 ID:mGO1VPWP
文章書ける人っていいよね・・・と嫉妬しつつ保守
274 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 03:15:20.88 ID:NKiul+7F
ネタ考えつつホシュホシュ
275 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/05(日) 03:27:53.97 ID:7vtdXgv+
冷たい。
寒い。
何か聞こえる。
聞こえているよ。
276 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/05(日) 03:32:46.29 ID:7vtdXgv+
目を開けると、そこは薄暗い場所だった。目が慣れていないせいか、よく分からない。
あまりはっきりと感覚があるわけじゃないけど、どうやら私は横になって寝てたみたいだ。
起きようにも自分のものじゃないみたいに体が動かない。
ここはどこだろう。サンドリアじゃないのは分かる。・・・そうだ。あのふたりは?
ぼんやりした意識で周囲を見渡すけれど、気配がない。
いや、遠くから足音が聞こえる。土を歩く音。・・・意識がはっきりしない。
足音がとまる。敵だったらイヤだな、と何となく思うと、冷たい何かが頬に触れる。
「・・・ぅ・・・」
頬を撫でられて、私は不覚にも声をあげてしまった。・・・ほとんど無意識だったけど。
ふ、と。
柔らかな光が生まれた。
それは暖かく、優しくて、体の真ん中から隅々にまでゆっくりと広がっていく。
淡い青が、閉じたまぶたの裏に見えた。
もう一度目を開けると、暗さに慣れたかあるいは別の理由でか、視力が戻ってくる。
視界に入ってきたのは、エルヴァーンの青年だった。珍しく色白で、シアーチュニックの胸にペンダントをさげている。
彼は私のそばにちょこんと膝を突いて、私を覗き込んでいた。
・・・こんなことが以前にも3回くらいあったような・・・相手はやっぱりエルヴァーンで。男で。
男にしては華奢な手が差し伸べられる。
それは私を起こそうとしたわけではなく、私の着ている服に手がかけられた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
277 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/05(日) 03:39:36.41 ID:7vtdXgv+
チュニックの裾に手をかけ、ゆっくりとめくりあげようとする。
ちょ・・・まっ、待て!!こんな所で一体ナニをするつもりですかあなたは!?
抗議しようにもあまりのことに声が出ない。
力のない抵抗はもちろん聞かれず、裾がお腹の上までめくられて、
「・・・き、」
悲鳴が、響いた。
同時に小気味よい破裂音も。
「・・・すみませんでした」
頬に真っ赤なモミジをつけて、彼は小さな声でそれだけを言った。
私はと言うと、平手打ちを食らわせた上に膝蹴りを腹に決めてしまった気まずさで、ただ黙っていた。
278 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/05(日) 03:56:46.62 ID:7vtdXgv+
今回は以上です。
>>Fillさん
不意打ちキタコレ
お互い伏兵がいるなんて、何て卑怯なんだ!w
このまま洗脳されてしまうんでしょうか・・・あるいは・・・?
>>273 嫉妬するならYou書いちゃいなよ(´∀`)
他人を羨んでも自分は成長しないものです。
元しっとマスクズ19号としては、とりあえず自分でやってみる!これに尽きると思います。
私がこのスレに投下するようになったのも、適当に投下したのがきっかけですしね。
『朝起きたら突然自キャラになってヴァナにいた』ら、どうするか?
うはwwwwwミスラエロスwwwwwと【エキサイト】してもいいし、釣りをして暮らしてもいいし、
連邦の黒い悪魔にこき使われてもいいし、別にフェイトや赤鎧が出なくてもいいし。
まあ、何だ。とりあえずYou書いちゃいなよってことです。
ではおやすみなさいです(つ∀-)
279 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 09:20:47.65 ID:f8wMk3pg
___
,;f ヽ
i: i
| |
| | ///;ト,
| ^ ^ ) ////゙l゙l; おお・・・エクカリ様じゃ・・・
(. >ノ(、_, )ヽ、} l .i .! | ありがたやありがたや
,,∧ヽ !-=ニ=- | │ | .|
/\..\\`ニニ´ !, { .ノ.ノ
/ \ \ ̄ ̄ ̄../ / .|
ある街で六つの発射口がある銃を腰のホルダーにぶらさげた少し小柄な女性に声がかけられます。
「そこのヘキサガンを持った冒険者さん、それはチョコボの卵じゃないかね?うちので厩舎で育てないか?」
彼女は手にした卵を確認してから、"チョコボ乗り場"と書かれた看板がある店の入り口に立つ男に答えました。
「ええ、そうらしいですね。ですが、これからパラダモの丘まで出かける所ですので…」
どうやら店員らしい男が、はっ、とした表情を浮かべて、手のひらをポンと叩いて納得します。
「パラダモの丘から見える美しい満月にかざしたチョコボの卵からは素晴らしいヒナが生まれるって話の!」
彼女は子供のような笑顔で「はい、今から期待していたりなんかします」と少し照れながら返しました。
「だがよ?満月は明後日だぜ?今から行くには少し早すぎねぇか?」と訝しげな表情で男は言います。
「ですから、足の速いチョコボは使わずに歩いていきます」と彼女は背負った荷物を見せるように体を捻ります。
そのまま、振り返ることなく街の出口を目指し歩き始めました。そんな彼女に男は手を振って送っていました。
二日後、彼女は丘の頂上で腕を空に伸ばし、海賊のような帽子を枕にして仰向きに寝そべっていました。
先ほどまで空を隠していた雲は晴れて、片目を閉じた彼女の瞳には全天を覆うほどの星と二つの満月が見えます。
一つは周囲の星の輝きを隠すかのように煌々と光る満月、もう一つは彼女が手にしたチョコボの卵でした。
彼女は仰いだ腕を下げます。「素晴らしい。本当に素晴らしい満月だ。期待して此処まで来た甲斐があった」
もう一度彼女が腕を上げた時には、その円の一部を欠けた卵がありました。そして彼女は満足そうに言います。
「やはり、先に茹でてきて正解だったな。この夜空は一晩中こうして見ていたいものだ」
パラダモの丘の上で一人空を見ながら寝そべっている彼女は本来この世界の住人ではありませんでした。
ですが、こんなにも美しい夜空の見える、このヴァナ・ディールという世界をとても誇りに思っていました。
281 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 14:19:19.61 ID:4U/1U81e
hosyu
282 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 16:57:02.15 ID:iNyH0P3K
有精卵のゆでたまごage
283 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 18:04:55.40 ID:4U/1U81e
Y^´ ∨// /,∠ ,. ' /l/// /, ' , '/ ! | l }´ 〈
〉 変 〈/ , ' // ̄`>< /// /// _,.=‐|'"´l l〈 変 /
〈 態. ∨, '/l| ,.'-‐、`//`7/ /''"´__ | ハ l丿 態 {
人) ! ! (/! |ヽ〈_ ・.ノ〃 〃 / '/⌒ヾ.! ,' !く ! ! (_
ト、__/ ヽ、_,.イ /l l |:::::::```/:::::/...´.. //´。ヽ }! ,' !! ) /
ト' 亦 ,イ⌒ヽ/ !l l ! l し J ::::::::::::::::::::``‐-</ / ,'、`Y´Τ`Y
l 夂 (ハ ヽ l i ! l ', ! , -―-、_ ′::::::::::::: //! Λ ヽ、ヽl
ヽ 〉,\ ! i ',.l `、'、/_,. ―- 、_``ヽ、 ι 〃,'/! ヽ、\ ヽ、
! 能 // ,' lヽ! ii ',l ∨\'⌒ヽー-、 `ヽ、! / ハ ノヽ._人_从_,. \
| 心 { / ,' ' ,! ll l`、 { ヽ' \ ヽ ' '´ Λ ',} ( \
.丿 ∨ // ,',! l l l ヽ`、 \ \ ∨ し /! ∨ 変 ,ゝ、
∧ / / ヾノ //l l l l、_ヽ\ \ ヽ , ' ,.イ |ノ 態 (ヽ
/ノ__ ゚ ゚ (⌒`〃'j | l l l `ヽ `ヽ、.ヽ _,.}'′ ,.イl { | ヽ ! ! ,ゝ\
/ /`Y⌒ヽ/⌒ 〃 ノ | l l l } ヽ、._ } ノ,.イ l | ! ! | )_
284 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 18:05:27.00 ID:4U/1U81e
誤爆だった。VIPに貼る予定だった。今は反省している。
頭が痛い
(今回・ちょっ・・・・違う・・・し・・ます)
(任せ・・)
声が聞こえる
(おや・・・起き・・・ったよ・・すね)
(も・・度・・で眠・・・すか?)
ココはどこだろう
(そ・・す・・願・・・・・)
(はい・・・)
赤い・・・鎧
頭が痛い
来訪者ヲコロセ
声が聞コえる
来訪者ヲコロセ
何も見えナイ
来訪者ヲコロセ
殺しタくナイ
来訪者ヲコロセ
ダれもコロシたくナい
来訪者ヲコロセ
コろしタクなイ
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
イヤダ、おレはモウダレモコロしタクない
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロシタクなイ・・・
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロシタ
殺セコロせころせ殺せコろせ殺せコロセ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ラテーヌに首を切られたヒュームの女性の死体が転がっていた。
「ははは」
そばにはその体を愛しそうに撫でている青年がいる。
青年は切り落とした頭を持ち上げその唇に優しくキスをした。
目は虚ろ。口元には少年のような、だがどこか歪んだ笑みが張り付いている。
青年は横たわる死体に何度も剣を突き立てた。
「先日捕らえ洗脳したフィルというエルヴァーンの男ですが少し様子がおかしいようです」
「ほう?どのように?」
「彼等には自分の意思はほとんど存在しない。ただ秩序の為に機械のように来訪者を狩るはずなのですが・・・
彼はなんと言うか、人を殺すのを楽しんでいるふしがあるのです」
「なるほど・・・そうですか」
「このままでは逆に秩序を乱す事になりかねません。早々に処分した方がいいかと・・・」
「大丈夫ですよ。彼等は来訪者にしか興味がありません」
「今回の洗脳は前回とは違った方法で行ったとか。
結果がどのようになるのかもわからないのですから早々に手を打っておいた方がいいかと思いますが」
「君は真面目ですねぇ。わかりました、考えておきましょう」
フィルさんはちょっと自分の書いた文出来るだけ見ないようにしつつ
精神安定剤飲んで寝たほうがいい
290 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 20:27:21.35 ID:kFEQtDdc
>>289 マジレスすると文字が斜めに書かれてるように見える視覚効果。
>>285 とりあえず投下したあとは
なんかレス書いてください。
え?狙ってる?
>>289 精神科いかないと…
え?ネット通販!?
んじゃ別の意味でヤバイもの投下しますね。
どこで見たのか忘れたがタルタルの足音はリックリックらしい。
断言する。ありゃ嘘だ。だって俺は今普通に走って普通の足音を立てているんだから。
背の高い草の間を構わず走り抜ける。スッと草の端が頬を切ったが構わない。
まだ完全に乾いていないチュニックがグチャグチャ音をたてていた。気にしてる暇は無い。
体中が血まみれ。どうだっていい。
まだ耳の奥に残っていた。本当に微かな言葉。
絶対に有り得ないことだ。lv60以上の高レベルの白魔道士がここサルタバルタで
「タスケテ」
とは絶対に言わない。
――――――来訪者で無い限り。
「はっ…いっ…やっ…くっ…ぜっ…たっい…ぃ……!!!」
死ぬのはいやシぬのはいやしぬノは嫌死ヌノはいヤシヌノハいやシヌノハイ
頭が重い。鼻が詰まって呼吸しづらい。でも走ら
ヒュン!!
突然信じられない痛みが左肩を走る。バランスを崩して「…ひっ…!」
ドサァッ!!!! 左肩から落ちた。
ズっ
「ぃああああああっ!!!!!」頭に鋭い感覚がガスンと突き刺さる。地面を転がって少し体を起こした。
「あ、あああっ…!」訳が判らないほどの痛みじゃすまないほどに痛む肩を押さえた。「……え…!?」
刺さってる。何が? ナイフが。私の左肩に。根元まで。「ひぃっ!!」なにこ
「クワァァ…」「ギャギャッ…」「ココココ…」「キュキュキュッ…」
バッと上を向いた。数匹の鳥人が私を見下ろしている。獲物を見るような目つきで。
全員ナイフしか持ってない。刃物しか。数ある刃の一つが一瞬私を写した。笑っちゃうほど滑稽なひどい顔。
同時に振り上げるのが見えた。なんか昔見たことがあるアニメの三人の剣士を彷彿させる動きだった。
そっか、死ぬんだ。私。
(オークじゃないだけマシか。なんか乱暴されるって話だし。)なんか頭冷静。どうでもいいのかな。
「…ごめん、恵…」なんで謝るんだろう…迷惑かけっ放しのままの親友だから?
ヒヒヒンっ!!! 鋭い刃だから出せる音。眼を瞑れなかった。
「ストーン」 目の前の巨木に向かって放つ。対象が動物じゃなくてもいけるもんだな。
ズン
「………」え?
正面の二匹が居なくなって代わりに大きい鮮やかな黄色の岩みたいのが現れた。
…え? 上を見上げる。(…落ちてきた?)
「うっし。」声のした後ろを振り向く。
チュニックを着た血まみれの小さな男の子が片手で小さくガッツボーズをとって立っていた。
さて…と。残り@三匹がこっちを向いている。ええ、ブちぎれてます。
小さく息を吐いて頭を掻いた。「…やれんのかなぁ。」俺。ま、いいや。考えず地を蹴った。
「ギャァガアアァァッ!!」やや右斜めに走り寄った俺をヤグード@が横にナイフを薙ぐ。
とっさに背を低く下げると頭の真上にナイフがかすめる。体を正面にぐいっと向き直す。
一番遅れてきたユーワンドが一番早く前にくる恰好になった。そのまま目の前のヤグード@の足向かって振りきる。
バギぃっ!! 「ガっ…!」右足が変な形に曲がり倒れ掛かったヤグード@を踏み台にし飛び上がる。
丁度「下」にいるはずの飛び掛ろうとしたヤグードAの姿が足元に見えた。こっちを見上げ口を開けている。
「だっ!!」落ちる勢いそのままワンドを頭に叩きつける。ガゴン!!「グギャっ!!」血を吐き舌を出した。
地面に降りた俺を見下げるように俯いたヤグードAの嘴の上辺りに手のひらを当てた。「…ファイア」
ズゴォッ!! 少し浮きながら後ろに吹っ飛ぶ。ちょうど後ろは壁だ。ズガァン!「キぎゃぁっ!!」
ふと眼の前の影が広くなった。さっきので羽がちぎれたワンドを目の前に少し掲げるように上げる。
カッ! ワンドがなかったら頭に振り下ろされたナイフが先端の膨らんだ部分のど真ん中に刺さる。「クアっ!?」
そのまま回れ右。ナイフがヤグードBの手を離れた。呆然とした相手に向かって左から右に脇めがけて薙ぐ。
ザクッ!! ワンドに刺さったナイフの刃先がヤグードBの脇っ腹に突き刺さる。「グキャァァァッ!!」
ヤグードが上げた両手でコブシをつくって振り下げてきた。「ガァっ!!」ブンッ! ワンドを手放し後ろに飛んで避ける。
「ッカッケッ…」脇に刺さったナイフつきユーワンドを引き抜いたヤグードBがこっちに向く。
「…!!……カカっ!!カカカカカカッ!!!!!」武器を手に入れたのがよほど嬉しいらしい。
黙って右手を相手に向けた。「カカカカカッ、…カ?」ワンドを見せびらかすようにヒラヒラとさせていたのが固まる。
「…サンダー」ギュアァっバリリィっ!!! 「!!!!!」
悲鳴も上げず口から煙を吐きながらヤグードは後ろにドォッ!!と倒れた。
「ガァ!!ギュアアアア!!」懸命に立ち上がろうとしているヤグード@に近づく。黙って右手を相手の額に当てる。
「ガ、アアアっ…」右手に力を込める。このヤグード、知っている。さっき俺を殺す一歩手前で見逃した奴だ。
殺し損ねた相手が自分を殺す羽目になるなんて何て笑えない冗談だろう。「…お前が仲間を助けようとする気持ちはわかる。
今の俺が同じ心境で同じ状況だからな。だから…」だから、仕方ないよな? こういうことで。一層右手に力を込める。
本当に?
スマン
つーかぶっちゃけ書いてて怖かった
―――――― ……
キャンセルし、別の魔法を唱える。「…すまん。」ヤグードのやや藍がかった眼が大きく開く。
「…ファイガ」ヤグードの頭上に火の玉ができそれが広がる。あっという間にヤグードを包む。
ズギャァァン!!!
「……」肉を焼く匂いとは違う濁ったえぐい匂いが辺りに漂う。思わず咳き込んだ。
(いい訳…か…。)消えかけているヤグードBに近づきワンドを拾う。瞬間パキッと真っ二つに割れた。ナイフも同時に落ちる。
(これで9本目…消費半端ないなぁ…)それとも使い方が悪いのか?俺の。ワンドを空に投げた。
「エアロ」ワンドに唱え粉砕させる。パラパラとサルタバルタの地に落ち土に返るであろうチップを見下ろす。
「…あ…」後ろで声が聞こえた。何気なく振り向く。
(うっ…)な、なんか見ちゃいけないものを見た気が…。
アーティファクト(AF)と呼ばれるそのジョブ専用の装備品の総称、その中で実に鮮やかな赤と白の色彩を放つ白魔道士のAF、
ヒーラーアタイアに身を包んだ女性が座りこんでいたがお世辞にもキレイといえる状態ではなかった。
顔の表情は普通だったが涙と鼻水が土を被りドロドロに汚れていたし、同様にヒーラーブリオーも汚れきっていた。
で、あんまり見たくはなかったが足元の地面が彼女を中心に少しぬれている。
(まぁ、殺される間際だったし仕方ないか…)初めての失禁現場の立会い、しかも女性。ぶっちゃけこっちが恥ずかしい。
…ってどこみてんだ俺!! 肩にナイフが刃が見えないほど深々と刺さっており血が噴出していた。
「ちょっ! 大丈夫かよ!?」慌てて彼女に近寄り傷口を見る。……これ素人が抜いていいものか?
ビックリするほど見事にブッスリと刺さっている。(かといって、このままケアルすると絶対刃が残るよな…)
仕方ない。「スーパー無茶苦茶 我慢して。」「…ふぇ?…」ナイフの柄を握り一気に引き抜く。
「!!!! ぎゃああああああああっ!!!」血を撒き散らしながら俺から離れるようにゴロゴロと転げまわる。
「ま、待てって!」暴れる彼女を無理矢理地面に押さえつけ、さっきよりも血が盛大に噴出している肩に両手を当てる。
「ケ…」ズガンっ!! 肘がモロに顔に当たる。堪らず地面に倒れこむ。(き、効いたぁ〜…)頬を押さえ顔を振る。
「ああ!!…あううううっぅぅっ…」彼女のほうはというと地面に俯きながらカタカタ震えて呻いていた。
ますます出血が酷くなっている。マズイ。彼女に駆け寄りケアルをし
バチィッ!!平手打ち。これも効きます。(ってぇ……どうしよう…)叩かれた腕を押さえ考え込んだ。
考えれば簡単。動けなくなるまで放って置きその際に一気に回復すればいい。実に簡単だ。
無理。流石に無理。放置は無理。
(……苦しむ姿見ても苦しいしなぁ…う〜ん…試して…みるか。)
ある程度離れた場所で詠唱を開始した。(よし、今だ!!)寸前に彼女に駆け寄る。「ケアル!」 ズガン!!
よし出来た!!痛いけど。これを繰り返せばいける!!痛いけど。
ケアル詠唱開始。…よし!「ケアル!」ゴン!…暫くケアルと殴りの応酬が続いた。
――――――数十分後…
「け、ケアルU…」全部の魔法力を注ぎ込み終わりバタッと後ろに倒れた。も、もう一歩も動けねぇや…
なんか俺のほうがケアル必要なくね?…まぁいいや、もうMP無いし。
彼女は一人しきり泣いたらしく少し落ち着いていた。呆然と空を見てる。…って大丈夫か?
「…大丈夫?」ゆっくりと俺に向かって顔を向けた顔は相変らず汚い。顔を少し前に倒す。
「よかった……そのヒーラーアタイアさ、担当のモーグリに洗濯してもらうといいよ。あいつらプロだから。」
「………!!」眼がビックリするほど大きく開いた。「き、君…も……ま」震える手で俺を指した。
「えっと…、うん、俺も取り込まれた。ゲームの中の筈の、この世界に。」よかった、やっぱひ
「…ふぇぁっ…」彼女の顔がくしっとゆがむ。と同時にこっちに駆け寄り寝てる俺に倒れこんできた。(げっ!)
ズンっ!!
「!!!??!???」苦し苦し苦し苦しいしっ!! でなんかいろんなものが当たってるしっ!!
「ひやああああああああっ、ひょっかった〜ひょかった〜〜〜」鼻水で何いってるのかわかんないしっ!!
もし俺がヒュームだったら結構嬉しいかもしれない。だけど俺はタルタル、君はウィンダス。
ただでさえMP使い切って疲労してる身にはボディプレスは正直キツイ。
当然の如く気を失う羽目になったのだった。
――――――
「…ひぇ!?ちょちょっとどうしたの!? ボク!? ねぇ!?」
サルタバルタの地でガクガクと小さな種族を揺らすヒューム♀がポツネンとあった。
あんたのせいだよ。
はい終了!!
あくまで言っときますが俺の物語は
「自キャラを元に作ったオリジナルストーリー」であり
決して「ヴァナに俺が入ったらこんなに大活躍すんぜ!!」という小説ではありません。
…ハイ、イイワケデスガナニカ?
ごめんなさい、投下の邪魔をしてしまいました・・・orz
>>305 いえいえ、なんかすっごいいい位置に入ってるのでこれこれでいいかなと。
ぶっちゃけ、
狙 い ま し た か ??www
冗談です。w
自分も怖い小説書けるのは正直羨ましいです。
そう言って貰えると助かります
狙ってませんでしたwwww
最初はもっと違う形だったのだけれど投下の直前に思い立って文章変更
出来上がったのを見て「・・・怖!・・・まあいっかーうっひょー!」とそのまま投下した次第でございます
ちなみに斜め効果は狙ってません、適当ですもの
308 :
既にその名前は使われています:2006/11/05(日) 23:19:57.95 ID:mGO1VPWP
保守。
>>278 レスサンクス。
実はこの前まで保守小話書いて・・・・げふげふ
309 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 00:21:34.65 ID:Cz0Vjx/N
寝る前に保守
310 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 00:50:36.43 ID:acym9FG6
○)))
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
○)))
イヤダ、おレはモウダレモコロしタクない
(´・ω/ω/ω・)っ/・)っ/・) ・・・ → (´・ω・)
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
○))))
コロシタクなイ・・・
((((○ ((((○
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ
コロシタ川
○<アー!!
殺セコロせころせ殺せコろせ殺せコロセ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
312 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 07:04:20.03 ID:KHt93A3O
おはようございます
313 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 09:01:56.01 ID:acym9FG6
視覚効果だといった者ですが。
なんとなく楽しかったので作ってみた。
フィルさんすいません。
314 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 09:27:21.51 ID:rjKtoOKc
315 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/06(月) 10:28:06.23 ID:dcw9MeVq
ラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラ
ノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノ
ベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベ
っぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっ
ぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽ
い視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい
視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視
覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚
効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効
果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果
ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果な
らこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果なら
こんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこんな感じにラノベっぽい視覚効果ならこ
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すると、『どんよりしたウネウネ感』が出るかもしれないお!
でもコレ携帯からじゃウネウネ感が分からないのが問題だ…改行も機種によって一定じゃないしw
あ、上のスレの補足。
『同じ文章や台詞を繰り返して使う時の方法』として〜です。
まぁ、こういうのは多用するとウザイだけですがw
小説で丸々一ページ空白とか、漫画で見開き4ページ『無駄無駄無駄…』とか
ここぞ!って時に入ると読み手も面白く感じますな。
だお
318 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 15:01:00.27 ID:KHt93A3O
確かにウニョラー
319 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 15:01:09.43 ID:B08efc2w
あげ
320 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 17:52:22.12 ID:Cz0Vjx/N
保守るよ!
321 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/06(月) 20:47:48.18 ID:GZNq+zTN
皆様投下乙です。というわけで保守〜。
書き込めれば自分も投下したいと思います。
DIONは土日はよく規制されます…=□○_
「……で、賊から身を守る為にフレアをぶっ放した、と」
翌日、俺とシャントット博士と……早朝からシャントット博士に呼び出されたアジドマルジドの
三人は半壊状態のオバケの家の前で現場検証に立ち会っていた。
真意のほどは定かではないが、シャントット博士から「フェイトに関しては口に出すな」と
口止めされていたのであくまで「強盗に襲われた」ということにしている。
「概ねそれで合ってます」
肝心な部分でウソをついている為どうにもこうにも曖昧な言動になってしまうが、隣で度々
高笑いを上げる博士の圧力もあってか、取調べはさくさくと進んでいった。
「なるほど……では正式な沙汰は追って連絡がありますが、正当防衛ということでお咎め無しに
なると思います。問題は……」
ガードはちらりと半壊状態のオバケの家に目をやると小さいため息をつき
「住人不在の家屋ではありますが……流石に前住人がかの英雄カラハバルハですからねぇ。
幸い修復はなんとか可能ですが、重要文化財的な意味合いもありますしある程度の修理費を
請求されr」
「おだまり」
詰め寄るガードをぴしゃりと静止するシャントット。
323 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/06(月) 20:50:47.62 ID:GZNq+zTN
「は……え?いやしかし」
「修理費は元老院のほうから捻出しておきますわ。ですから上への報告は『賊が被害者に危害を
加えようとして放った魔法で壊れました』とでもしておきなさい」
「はぁ……」
明らかに納得がいかなようだったが、シャントット博士にああ言われては引き下がるしかない
だろう。人事ではなかったが、とぼとぼと帰るガードに同情を禁じえなかった。
「いいのかなぁ……」
「いつもの事だ。お前も慣れておいたほうがいいぞ」
そう言うアジドマルジドの言葉に深い悲しみが感じて取れた。そういえばこの人もシャントット
博士と関わったばっかりに何度も死にかけたんだっけか。
それでも博士に関わり続けているのだから強いというか哀れというか。
「さて、と。些事はさておくとしまして……朝食にしますわよ。トラフィック、先に帰って朝食の
用意をしておきなさい」
「俺の生命の危機に関することは些事扱いなうえに朝食以下ですかい」
「ご不満でも?」
「【ごめんなさい。】」
そう言って俺は逃げるようにその場を後にした。
324 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/06(月) 20:51:19.58 ID:GZNq+zTN
「しかし、フェイトの連中がまた博士の身辺に現れるとはな」
現場検証も終わり、復元作業の準備で賑わうオバケの家を眺めてアジドマルジドは唸る。
「先の戦闘であれだけ大事にした手前、暫くは大人しくしていると踏んでいましたけれど……
どうやらフェイトの方々は慎ましさというものが足りないようですわね」
「それははk……ゴホン。
それで、トラフィックの事はどうするつもりだ?博士」
刺すような眼光を向けられたアジドマルジドの首筋に冷や汗が垂れる。そういうところの
慎ましさが足りないんだろうと言いたかったが、命に代えられないので黙っておいた。
「そうですわねぇ……」
ふむ、と思案にふけるシャントット。
「どんな状況下であろうと襲ってくる可能性が見つかった以上、俺としては正式にウィンダスの
庇護下に入ってもらうのが最良と思うのだがどうだ?」
確かに、確実にフェイトから身を守るにはまず侵入すら困難な場所に匿ってしまうのが安全と
言えば安全ではある。セミ・ラフィーナの目の黒いうちは少しでも怪しい人物はまず侵入すら
出来ないだろうし、仮に侵入できたとしてもターゲットに辿りつく事は極めて困難といえる。
対価としてかなり縛られた生活を送る事にはなるのだが……
しかし、アジドマルジドに意見を求められた本人は話すら聞いてはおらず、
「…………博士?」
変わりにとてもとても邪悪な笑みを浮かべていた。
「朝食を作りながら考えてたんですけど、俺ここを離れて旅をしようと思います」
朝食のフィッシュ&チップスをテーブルに並べながら、トラフィックは話し始める。
「また急に決めたもんだな」
言って、並べられた朝食に口をつけるアジドマルジド。シャントット博士は……珍しく何も
言わずに朝食を黙々と食べている。
「ええ、まぁ……」
二人には昨日の黒ローブの男が話してくれた事は言っていない。言えば間違いなくシャントット
博士によって封筒は奪われ、調べ尽くされてしまうだろうから。
それはそれで調査もはかどるだろうから良いのだろうが、出来得るならこれだけは自分の
手で調べたい。身勝手な我侭だとしても。
「俺自身『赤い鎧を着た者』の事は気がかりだしいつ襲われるかもわかったもんじゃないけど。
でもだからって安全な場所で閉じこもってるのはぶっちゃけ性に合わないんですよ。
だから、旅をしてリアルに戻る方法を探してみようと思ってます」
黒ローブの男は「もっと力をつけたら」と言っていたが、腐ってもLv75だ。襲ってきても
逃げるくらいならなんとかなるだろう。それにリアルに戻る方法があるかもしれないっていうなら
尚の事足踏みをしているわけにはいかない。
「ふむ……だそうだが、博士」
「……それが貴方の出した答えですのね?」
口をつけていたティーカップをかちゃりと置くと、シャントットはトラを真っ直ぐ見据えた。
326 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/06(月) 20:53:35.20 ID:GZNq+zTN
「はい。もう決めた事です」
「そうですの…………」
席を立ち、窓辺へと足を向けるシャントット。
俺も、アジドマルジドも、シャントット博士も。無言のまま時が流れる。そして
「却下」
「工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工工」
俺の決意はたった2文字で切り捨てられた。
「オーッホッホッホ!
あぁた、一体どの口からそんな身勝手な事が出てくるのかしらねぇ?」
「ちょ、だって身の振り方決めろっていったじゃないか!」
「ええ、ええ、確かに言いましたわ」
「なら……!」
「でも、誰もそれを認めるなんて言ってませんことよ?」
『まぁ貴方みたいな凡人には自分の人生の方向を即決めれるような判断力は持ち合わせていない
でしょうし、暫くはここで暮らして良く考える事ですわね』
327 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/06(月) 20:54:29.39 ID:GZNq+zTN
うん。確かに言ってないな。
「ま、なんでしたら認めてやってもよござんす。
た・だ・し。立て替えておいたオバケの家の修復費用を今すぐに払って頂けたら、ですけどね」
なるほど、やけに気前が良いと思ったらこういう事だったのか。
「くっ……!幾らだ!幾らだせばいいんだ!!」
「1500万ギル」
「( д) ゜゜」
事の成り行きを静観していたアジドマルジドがブハッと茶を吹くのが横目で見えた。
どうみてもボッタクリです。本当にありがとうございました。
「さぁ、どうしますの?ワタクシはどちらでも結構ですわよ?」
払えるもんなら払ってみなさいな、とシャントット。
「…………て頂きます」
「聞こえませんですわよ?」
「今まで通り働かせて頂きます……」
「結構」
「畜生、畜生……ッ!」
済まん黒ローブの男……まだ暫くは旅立てそうもない……
その場に崩れ落ちたトラフィックは、シャントットの勝利の高笑いの下でさめざめと泣いた。
というわけで今回の投下分は終了です。
……我ながらギャグに行きたいのかシリアスに行きたいのかよくわからない流れだorz
329 :
既にその名前は使われています:2006/11/06(月) 23:48:01.47 ID:Cz0Vjx/N
保守るよ!!
330 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 00:11:17.41 ID:KTMqaMZY
寝る前に一応保守るよ!!
トラさん、シャントットに捕まったらあきらめr
ん? 誰かきたみたいだな・・・。こんな時間に
331 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 02:07:35.18 ID:nbar9wWQ
age
皆様投下&保守おつかれさまです。
1500万ギルもあったら主要な属性杖がHQに化けます。
そんな大金をしれっとした顔で一般冒険者に要求するシャントット様はやはり鬼
というわけで投下いきます。
ちょっとキモスな表現混じりますので、読んでて雲行きがあやしいなと思いましたら、
専ブラでIDをNGに突っ込むなど対応お願いします。
私自身が逃げ出すだけなら、恐らくは簡単な事だったろうと思う。
けれど。
『…そういう事言われたら、ついてくしかないじゃないですか』
ミスラさんの腕の中には、ぐったりしたまま動かない先輩がいる。
来訪者の特性――多分GMもどきの干渉を受け付けない性質の事だろう――を得るために、
"私"を招いたという"僕"。その私がいなくなれば、"僕"はどうなる?
「物分りのいい子は好きだよ。じゃ、落ち着いて話が出来るところへ行こうか」
ニコニコと機嫌のよさそうな笑みを顔に貼り付けてミスラさんが言う。
ついてくるように促し、私に背を向けて歩き始めるが、正直逃げられる気がしない。
背中にも目がついていて、未だしっかりと観察されているかのような錯覚を受ける。
『…で、結局、貴方はどちらさまなんでしょうか』
そう、最初に聞いたのに結局答えてもらっていなかった。
私のそんな問いに、ミスラさんは振り向くとにやりと笑ってみせる。
「残念ながらその情報は、貴方のセキュリティ・クリアランスでは、開示されていませんw」
どこのアルファコンプレックスのウルトラヴァイオレット様ですか。
…いや、私にそのネタが通じると知った上での切り返しなら、これは洒落の効いた脅しって奴か。
親愛なるコンピュータ、私は幸福です。よろしい、コンピュータはあなたの友人です。
眉間と両のこめかみと背中に銃を突きつけられたような気分で、
私はふわふわとミスラさんの後をついていった。
バス鉱山区の居住区入り口には、やはりサンドリアのようにゲートが設けられ、
ゲーム内でもそうであったように、銃士の人がレンタルハウスの手続きなんかをやってくれるようだった。
「さてさて、アイツがまだ来てないってことは手続きもまだだよな…」
ミスラさんがそう独りごち、左腕で小脇に先輩を抱え直してから、胸の前の空中に右手を翳す。
その瞬間、私たちの周囲を、例の異様な力の動きが取り巻いた。
砂漠でおじいさんが使ったそれと似ているけれど、規模も精密さも段違い、といった印象を受ける。
同時にミスラさんの足元に赤い光の輪が生じ、柱となってその体を包み込む。
腕の中の先輩が燐光になって消えうせた。
『先輩!』
「騒がない騒がない。ちょっとしまっただけだから」
そんな風に私をたしなめる声と共に、赤い光が収まっていく。…女性の、ミスラの声じゃない。
よく耳に馴染んだ、落ち着いた感じがする青年の声。
低かったはずの目線の高さが、私と同じくらいに合わせられている。だけど変化はそれだけじゃなく。
「すいませーん、レンタルハウスの手続きお願いしまーす」
あっけにとられて、ただその動きを目で追うしかできない私の前で、
白魔道士のAF一式からイチゴ帽子を脱いだ、きれいに刈り上げられた金髪に褐色の長い耳を持つ後姿は、
普通の冒険者の人がそうするように、レンタルハウスを借りる手続きを進めていた。
『…反則だ、そんなの…』
「バレなきゃいいんだよ、と。さ、キリキリついといで」
離れているのに耳元に声が届く。ああもう、なんだか頭がおかしくなりそう…。
モグさんはフルさんの顔をしたその人を何の疑いもなく迎え、お茶まで出してまた仕事に戻っていった。
私は床の絨毯の上に座り込み、ベッドに腰掛けるその人に見下ろされる格好になる。
居心地の悪い空気の中で、お盆の上に戻されるティーカップの音がやけに大きく響く。
『…それで、話ってなんなんでしょうか。死んでくださいとか言われても拒否しますよ』
「くくく…そんなダルイ事するくらいなら遭った瞬間に消すよ。可能ならね」
『さいですか…』
先ほど指先ひとつで中断させられたバニシュIIIのことが思い浮かぶ。
私が生粋のヴァナ生まれの幽霊だったなら、構築しかけの魔法ではなく私自身が、
あんな風に消し去られていたのだろう。格好こそ鎧じゃないけどこの人はやっぱり赤い鎧なのか…。
「で、前フリが長くなってしまったけど、話というのは何のことはない単なる提案でね」
言葉をそこで切り、推定赤鎧が私の目をじっと見つめる。
私の精神世界で話をしたフルさんと寸分違わない顔。ただ眼だけが、狂気を孕んだ金色に輝いている。
「アイツと一緒に戦うのを、やめてみないか」
そんなやばい眼をした人の口から出るには多少インパクトの欠ける言葉ではあったが、
それでもおいそれと、はいわかりましたそうします、というわけにはいかない。
黙りこくる私に対し、推定赤鎧はさらに言葉を重ねる。
「簡単なことさ。ただアイツを拒絶すればいい。"もう貴方にはついていけない、
記憶を返せ、私は貴方の道具じゃない" …それだけで、アイツはオレ達と戦う力を失くすだろうさ」
『――!』
「これは君のためでも、アイツのためでもある」
何をしたり顔でとうとうと語っているのだろう。ちょっとだけ、かちんと来た。
『べつについてけないってほどでもないし、余計なことを思い出さないおかげで助かってることもあるし、
なんだかんだと気を使ってもらってますんで、私たちのことは心配しないでもらえますか。
大体人と話をしようってときにいきなり脅しっていうのがそもそも最悪だと思います。
挙句先輩をものみたいに扱ってみたり、赤鎧の人ってみんなそうなんですか。
そんな仁義礼にもかけてるような人々に管理されてるようじゃ、各地でおかしな事件も頻発しますよ。
っていうかですね、管理する側だからこそ不正みたいな事はダメじゃないですか。
何が、バレなきゃいいんだよ、ですか。そっちがそういう態度だから、フルさんの方だって、
理に囚われるなとか言い出して、普通は使えない魔法を開発したりしちゃうんですよ。
そういうわけで貴方の言う事を聞いても、なんにもいいことなさそうなのでお断りします』
「すまん悪かった…でもなお嬢さん、杓子定規じゃ世の中、上手く行かないことのほうが多いんだぜ?」
ぐったりした表情の推定赤鎧。息継ぎ最小限でしゃべったんで(本当は息継ぎも要らない体だけど)
私もちょっと疲れた。だけど彼の言葉には聞き捨てならない単語があったぞ?
『言うに事欠いてお嬢さんですか』
「違ったかい? お嬢さん」
違わない。くそう。
『う〜……でも実のところ、なんで私がフルさんに戻らないことが私たちのためになるんですか?』
「簡単に要点だけを述べると、君達はイレギュラー認定の解除が可能な数少ないケースだ」
『……やってきた来訪者の全てが、排除の対象になってるとばかり思ってました』
少し驚きの混じった、私のそんな返答を聞いて、推定赤鎧はふぅ、とため息をつく。
「本来は世界に致命的な異常をもたらした、あるいはもたらす可能性がなければ、
即排除、抹消ってことにはならないんだ」
『…その可能性ってのが曲者ですね』
「まぁね。ともかくアイツは君なくして世界のシステムを破壊する存在とはなり得ないし、
君はアイツという依代がなければ、今のようにまったくもって無力だ。
融合してしまえば永続的に世界を歪める存在でいられる。だけど、それでは仮に事が全て済んだとき、
君をすんなりと、もといた処に帰せるか分からない。…まったく、お優しいことで」
そこまで語って、推定赤鎧はやれやれと首を振った。
それが、魂を分けることの意義? 本当にそうなんだろうか。
『フルさんの場合、まだ他にもなんか考えてそうですけどね…』
「ま、君がオレの提案に頷いてくれれば、何をたくらんでいようが関係ない。
アイツは晴れて人間の生活に戻れるし、君も自由って奴を謳歌できる。
アイツの心の傷はオレが時間をかけてゆっくりじっくりと癒してやるとして…(*´Д`*)」
『(…きもっ)』
「……君が普通の来訪者なら、二度とそんな口が利けないように念入りに洗ってやるのに」
心の中で呟いたつもりだったのに、うっかり声に出てしまっていたらしい。
『だってそういう事フルさんの顔で言わないでくださいよ! 自分の顔で言ってくださいお願いします』
とりあえず逆ギレしてみる。
「キレてるのか下手に出てるのか分からんなぁ。君みたいのをフェイトに組み込めたら楽しそうだったのに」
『せっかくですが遠慮します』
ほんとに折角の逆ギレが台無しである。
「君にアイツの人格がちょっとでも混ざりこんでいればそこから干渉もできそうだが、
さすがに抜かりはないな…残念残念」
『…なるほど、来訪者の人はGMもどきの干渉を受けないって聞いてたのに洗脳はされちゃうって、
ずっと変だなぁと思ってたけどそういう理屈だったんですね』
「知ったところでどうにもできないけどなー。
ちなみにこちら側の人格休眠中でもいける新メソッドもあるぞ。試験中だがw」
一応機密事項っぽいことをそんなにぺらぺら喋って、大丈夫なんだろうかこの人。
『貴方みたくお喋りな人が幹部だと、組織のみなさんも色々大変そうですね』
「そうかい? オレはむしろこの話がまことしやかに来訪者の間で囁かれる事を考えると、
すごく興奮するよ。誰もオレ達からは逃げられない…隷従か死か、素敵な二択だろ」
『ここはひどいディストピアですね』
「しかし人手不足と来訪者の機動力はいかんともしがたいのだった」
トリップしがちな表情から一転、深刻な顔を作って傍らのティーカップを手に取る。
ゲーム内の本物のGMと違って、彼らにとっての不都合については即時対応可能、ってわけではないらしい。
色々気疲れもしたけど、それなりに得るものはあったかも。
それにしても、人がこんな体でお茶も飲めないのを知ってるくせにこの人は…。
そんな私の心境をしってか知らずか、お茶を飲み干すと推定赤鎧はよいしょ、と立ち上がる。
「さて、大事な話は一応済んだし」
『帰ってくれるんですね!』
思わずとても嬉しそうな声を出してしまった私に対し、推定赤鎧はニヤリ、と
大変邪悪な笑みを浮かべてこちらを見た。
「残念。今はオレが"フルキフェル"、このレンタルハウスの主はオレです。
というわけで、楽しい楽しい家宅捜索ターイム」
『ええええ、やめてくださいよプライバシーの侵害ですよ!』
ちょっとくらいバカになっても! という気持ちで、なんとか阻止しようと再びバニシュを構築する。
「ご主人様、さっきから一人で何を騒いでるんですクポ?」
と、そこへ移動した荷物の片付けなんかを終えたモグさんが戻ってきた。
首をかしげながら近くへとふよふよと寄ってきた、その頭をすかさず鷲づかみに。
「オレの眼を見て…そう、いい子だ」
囁かれたと思ったとたんにモグさんの体が弛緩する。だれかマジで止めて!!
「というわけで煩い邪魔者も片付きました。お、ダマスク織物二枚発見ー」
『なんでいきなりそんな風に金目の物を探し当てるんですかー!?』
ゲーム内で、フレに銘入りで作ってもらうために、印章をこつこつ貯めて神BCに通ってた。
あと一枚ってとこで今私はこんなことになってるけど、こういうところまでシンクロするのか…。
「これにあと一枚足して、オレの銘入れて譲渡不可属性つきのバーミリにして、
金庫に突っ込んどくか。くくく、アイツの死ぬほど嫌がる顔が眼に浮かぶぜ…(*´∀`)」
『やーめーてー!!』
フルさんは、ルーファスさん達はもうバスについてるだろうか? 頭の中でそんなことをちらりと考えながら、
私はいつしか三枚に増えたダマスク織物を前に、己の無力を思い知らされたのだった。
ここまでです。
体がないとサーチアンドデストロイの暗示は解けてしまうようです。
で、なすすべなくイヤガラセされ放題なのでした。
お早うございます。
age
ageてない…
age
343 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 10:34:39.54 ID:kRii7in3
嫌な奴だがトップクラスでお茶目な奴だよな。
こいつと比べると保守小ネタのバハムート様のほうが真面目なキャラに見えるぜ。
344 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 13:51:06.23 ID:myDJ7MHE
虎氏の畜生、畜生……ッ に反応してしまった俺がだらーw
悔しさを知るものは羅刹になれるさ! 応援しちゃうぜ。
フル氏はなんというか、本当に各筆者さんの設定を一つにまとめる方向にがんばってるな…w
今回はFill氏の洗脳についてか。願わくばあんな救いのない結末では終わってほしくない、かも。
っていうか最後ほんのりコメディなのに深く考えるほどかぼちゃが怖いw
なにはともあれ保守。
345 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 16:48:06.34 ID:KTMqaMZY
保守るよ!
346 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 18:47:58.14 ID:KTMqaMZY
保守るよ!
タロンギ大渓谷という荒涼とした大地に一組の男女がいました。二人は息を潜めて草むらに隠れています。
女性は獣人族のヤグードと呼ばれる鳥人間のようなモンスターに手にした銃で狙いを定めていました。
彼女はヤグードに一気に間合いを詰めると、その四肢に向かって削り取るようにトリガーを引いていきます。
ヘキサガンと呼ばれる彼女の持つ銃は、六つの銃口がある特殊なものでした。重い発砲音が鳴り響きます。
六本の硝煙が上がった時には、四肢を失った烏人間と、そこから流れる血の池が出来ていました。
一方男性は、そんな彼女を取材するために付いてきた、ある国の記者でした。メモを取りながら男が言います。
「すごい腕前ですね。今回の仕事は女盗賊からの依頼でしたっけ?そんな数珠何に使うんでしょうね?」
「さあな」と答えて、彼女は手際よくヤグードから数珠を取り上げ、そして羽根を毟り取り始めました。
不思議がっている男が質問するより早く「裁縫ギルドにもっていって矢羽根になるんだ」と続けて言います。
「矢羽根ですか、ヤグードの羽根を使った弓矢で、ヤグードが撃たれるのを想像すると、何かキモチ悪いですね」
彼女は手を止め、腰のホルダーにかけた銃を抜き男の眉間に向けました。その目はとても冷徹なものでした。
「誰が何を使おうと、一つの命が無くなる事には変わりない。私は殺した相手を上手く使う…それだけだ」
台詞の最後には表情を崩し、にこっ、と笑って見せました。しかし男は、震えた手からペンを落とします。
岩の隙間に落ちてしまったペンを見て「すまない、筆ならあるが使うか?」と男に差し出しました。
「あ…あ…ありがとうございます。…でも、これ墨がないと使えな…あ…まさか…」
男がゆっくりと顔を動かします。その視線の先には"上手く使われる"ヤグードの死体がありました。
―編集長へ―
『赤筆で失礼します。海賊のような帽子にヘキサガンをもった女冒険者の取材の件ですが、
自分は今後彼女についていく自信がないので辞退させて頂きます。そして、すみませんが暫く休暇を貰います』
ん〜。20行にまとめるのは結構難しいですなー。
『来訪者』であるという文を入れ忘れたし…マ、イイカー。
というわけで、ヘキサガンの女5回目でした。
今までのを読めば大体わかると思いますが、
彼女は自キャラになって随分経ったコルセアの人です。
性格や考え方などは本文参照。彼女や登場人物の種族は読み手の想像にお任せします。
前後の話を気にせずにサクっと読めるのもあると良いかなっと書いてますです。
349 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 21:25:58.67 ID:KTMqaMZY
三度目の保守
てかどのくらいの間隔で保守すればいいのかわからん・・・
朝昼夕食後30分以内に保守
351 :
既にその名前は使われています:2006/11/07(火) 21:46:29.84 ID:KTMqaMZY
>>350 食後の薬かよ!
そういえばヴァナには粉末とかカプセルの薬ってないのねー
352 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 00:12:44.10 ID:Lnjfmo3+
ハイポDはカプセルっぽくないか?
353 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/08(水) 00:45:18.66 ID:b1+iUiXn
投下人様&保守人様お疲れ様であります。
ドライ系は確か丸薬だったような・・・気がしたので競売で覗いてみたら……これなんだろう?w
以前は丸薬っぽいアイコンだった気がしたんだけどなぁ( ´・ω・`)
>>344氏
ぶっちゃけ狙いました……何を隠そう自分もがだらーですのでw
本当は「流石ヴァナ・ディールで連邦の黒い悪魔と呼ばれ、恐れられたお方は一味違う」って一文を
入れようとしてたんですが、流石に狙いすぎなのでやめておきましたw
とりあえずトラフィックにはこれからもシチューにカツを求めて頂くとしましょう。
354 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 01:38:29.37 ID:iW4nJHL6
>>353 > とりあえずトラフィックにはこれからもシチューにカツを求めて頂くとしましょう。
なんかおいしそうだにゃ〜
とんかつたべたいにゃ〜
355 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 06:53:07.05 ID:Lnjfmo3+
羊肉で作ったらラムカツ?
356 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/08(水) 07:51:00.09 ID:Gant9/Wl
ラムカツ旨いのかっ?!
あげw
357 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 11:58:31.00 ID:zOQGcsGP
イッチたんのとんかつ再現作戦中にはダルメルカツとかコカカツとかの試作品も
いろいろ大量に作られたんだろうなぁ
358 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 15:47:14.90 ID:Lnjfmo3+
バッファロー肉とか、ディマトリア肉とかも
牛カツはうまいぞ
360 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 18:22:37.81 ID:ewCdT0qJ
カツについて語るスレはここですか?
保守。
ちなみに料理人としてはシズの肉なんかはカラアゲでうまいかもしれん・・・
361 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 18:41:05.96 ID:OcB+b5Nw
カツカレーならぬカツシチューとな!
…普通に美味しそうですな。
363 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/08(水) 20:15:22.50 ID:Gant9/Wl
本当にすごい料理は自分のすごさを口で説明したりしないからな。
口で説明するくらいなら俺なら食わせてじっかんさするだろうな。
俺ゴールデンタイムに「保守」とか普通にやるし
364 :
既にその名前は使われています:2006/11/08(水) 23:04:49.12 ID:ewCdT0qJ
保守るよ!!
365 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/09(木) 00:58:25.17 ID:NCOg2zQT
超残業から帰ってきたらシチューにカツで話が続いてる!?w
しかしながら執筆する元気も無いのでこのまま保守して惰眠へと……
カツシチュー……今度機会があったら作ってみようかなw
366 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/09(木) 01:35:28.66 ID:FZGYBnN5
錬金術で特殊合成、「コンカクション」というのがあるんですが、
これの説明によると、
> 濃縮して水薬と同様の効能の丸薬を調合する
ですので、一応丸薬はありますねw
どうやって説明であぐるって証拠だよ?!
ググッたら…
カツシチュー の検索結果 約 91,300 件中 1 - 10 件目 (0.04 秒)
結構メジャー!?なのか?
揚げたての上にかけるのがいいそう。
上手そうです。
368 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 07:16:38.21 ID:BjeLHssT
来訪者の ごはん
・普通にクリスタル合成でめしをこさえる
・リアルと同じようにヴァナの食材でなんか作ってみる
・クリスタル合成でゲーム内にレシピがないリアルごはんを作れるかチャレンジ
キトロンってレモンだよね
369 :
98:2006/11/09(木) 07:56:10.05 ID:K6USH8gU
ウィンダスを出発して三日目
俺達は東サルタバルタの北の渓谷にさしかかっていた
乾季の長いウィンダスには珍しく集中豪雨にあい移動は難攻している
「視界が悪いな こんなときヤグードに襲われたらたまったもんじゃねえ」
おれはサルタバルタの雨なんてはじめてだけどな。精精強風程度で
「そりゃぁいくらサルタバルタでも1年中乾季ってわけでもないさ
こんな大雨は数年ぶりだがな」
湿気がレザーベストにまとわりつきとても気分が悪い
元々熱帯であるウィンダスでこの状況は最悪だった 脱ぎたい 上だけでも裸になりたい
一応団長に縫いでも良いかと説いてみたが・・・いや中々の堅物だった
370 :
98:2006/11/09(木) 07:59:41.25 ID:K6USH8gU
下着以外を脱ぎ、ミスラの詩人に風クリでベストを乾燥させてもらった
「こんな使い方する人、初めてですよ」とすこし困惑というかあきれた顔をされた
「・・・・あんたナニやってんの?」
風クリのエネルギー開放で発生している小さな旋風にむかってアアアアアアアと声をあてていたら
ジャグラーのミスラに君の悪そうな顔をされた
なんだおまえら 扇風機の前ではアアアアアアってやれってかーちゃんにならわなかったのか
371 :
98:2006/11/09(木) 08:14:56.03 ID:K6USH8gU
半日以上チョコボキャラバンの幌の中におしこめられ、いい加減気がめいっていた
この集中豪雨の中ではチョコボを動かすわけにもいかず、北ホルトト遺跡の入り口で立ち往生だ
「まいったすよー こう湿気がおおくちゃ食糧がくさっちまう・・・」
「・・・食糧がつきたら獣を狩ればいいだけだろ」
タルタルとガルカは食糧樽をみて何やら困惑していた
俺はおもむろに岩塩を砕きナマモノにぶちまけた
その上から氷と水でシャリシャリシャリシャリ・・・
「ちょ、お姉さんなにやってんですか!!」
パニックモーションをするタルを無視して俺は作業を続ける
372 :
98:2006/11/09(木) 08:19:32.31 ID:K6USH8gU
「ん、まて。みてみろ」
食糧の周りにたちまち冷気が立ち込め樽の中身は見る見る氷漬けになった
何かを冷やす時、氷と一緒に塩を混ぜてやるとマイナス10度以下を保ちやすくなるんだ
まぁこの場合氷のクリスタルの力が強力だったから丸ごと氷漬けにできたんだけどな
「すげえなぁ これどんな魔法? ブリザドじゃないよな」
魔法じゃねえ 化学式・・・ああまぁいいや
これを一定時間おきにやれば暫くはもつだろ
373 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 11:24:57.10 ID:m2YWn6ER
aguru
374 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/09(木) 12:28:51.48 ID:FZGYBnN5
>>372を見てエタブリを想像してしまった俺が今保守る!
375 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 12:33:58.00 ID:4/pNTlVs
376 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 15:48:16.26 ID:BjeLHssT
お帰り初代age
377 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 17:57:48.52 ID:1wedmZdO
そうか。薬はあったのか・・・。
ペルシコスってなんだろ?
378 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 18:05:19.41 ID:BjeLHssT
見た目桃っぽいがどうだろう
379 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/09(木) 20:13:51.23 ID:FZGYBnN5
>>377 桃……かなぁ?
でんせつwの果物みたいですねw
で、保守しないと落つるでしょう?;;
380 :
既にその名前は使われています:2006/11/09(木) 23:20:32.68 ID:mdTOv94/
うーむ…さくさく続きを書き進めたいけど時間がなかなか取れないのだった
381 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 00:14:31.51 ID:lXudmgfB
ペルシコス→桃
キトロン→レモン
あとは蜂蜜とロイヤルゼリー、水を加えると
っ呪われたスープ
ドーピングコンソメスープでも作る気ですか
383 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/10(金) 01:00:06.80 ID:8Pf4NQPq
ちゅーか、
呪われたスープはリアルで考えて普通に甘いドリンクにしか見えないww
384 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 02:03:01.20 ID:L9NNGnr2
たまにはage
385 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 06:55:21.92 ID:VvIFCxrK
おはようございます。
386 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/10(金) 08:50:27.84 ID:8Pf4NQPq
aguる!
387 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 12:19:57.94 ID:Oq1Z/fDw
hage
388 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 17:04:11.27 ID:/XmjHi1V
ヴァナに来てからどれほどの時間が立つだろうか?
毎日クピピちゃんに新鮮なロランベリーや持ち込んだ元の世界のお菓子をを貢いでいるのに
一向に俺の事を見てくれているようには思えない。
それどころか最近は避けられさえもしているような気がしてならない。
なぜ?なぜなの?なぜなのよーー!!
「ポンポンポーン♪週刊魔法パラダイス本日発売!
クピピを狙う巨大な影!彼女を太らせて食べようとしているガルカの生体とは!?」
389 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 20:59:46.99 ID:VvIFCxrK
ガルカさんカワイソス(つД`)
390 :
既にその名前は使われています:2006/11/10(金) 22:21:59.12 ID:1/yXBQR+
まあ本人がどう思ってようと相手が不快に感じてたらハラスメントですから^−^;
さて、久しぶりに長編の投下を…原案
>>70のオスラ話です。
あんまり自キャラ物語っぽくないですが、
まぁ書いちゃったので読みたい人だけどうぞ。
※注意:後半ちょっとエロくなるので、そういうのが嫌いな人は読まないで下さい。
「やぁ、メー・クリョビ、今日も早いな、毎日餌撒きご苦労さん。それが終ったらギルドの裏手に流れ着いたものを片付け
ておいてくれ」
「あぁ、わかった。今日も魚達は元気そうだ」
メー・クリョビと呼ばれた彼女は餌撒きが終ると「んんーッ」と言いながら、しゃがんでいた体勢から全身を伸ばすよう
に立ち上がり、早朝の新鮮な空気を吸い込んだ。風が束ねた左右のブロンドの髪を撫でていく。
彼女はここから見る景色が好きだった。これから青味を増す澄んだ空、真っ直ぐな水平線、朝日を受けてキラキラと輝く
水面、海を泳ぐ魚達……そして、ダラリと力なく流れてくるミスラ……。
「むむむッ!これは一大事!」
言うのが早いか、動くのが早いか、彼女は海へ飛び込んでいた。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
一人のミスラがペリィ・ヴァシャイ族長の前に立ち報告文を読み上げている。
族長は二十年前の大戦で両目を失ったが、弓の腕は衰えず、その長たる威厳はウィンダス国内の他のミスラを圧倒して
いる。報告しているミスラは始めてではないが緊張していた。
「―――以上が昨晩の嵐によるウィンダス森の区の被害状況です」
読み上げると声にならないため息を小さくついた。
「報告ありがとう、ラコ・ブーマ。特に被害はないようだな…だが、隊長がそのように緊張していると、部下まで強張って
しまうぞ?」
事実、彼女の後ろに立っているティー・ピケは日ごろ自慢していた尻尾が不自然に伸びたままになっている。その姿を見
て彼女は真横に結んでいた口が解け、肩が軽くなった。
族長は目蓋を閉じたまま空を見上げている。それは、どこか楽しげな表情だった。
「嵐は去ったが。…今日は、なかなかにして荒れそうだな」
彼女も空を見上げたが、昨晩の嵐は過ぎ去り、どこまでも透明な青い空が広がっているばかりだ、雲ひとつない本当に良
い天気である。荒れる様子などさほどもない。
「ときに有事の際には戦闘も辞さない森の区のガード、ラコ・ブーマ隊長よ」
族長が改まって名を呼んだ。彼女は即座に姿勢をただし「はい」と返事をした。
「森の戦士ミスラとて、ホームに戻れば一人の女には変わりない。身なりは正しておきなさい」
改まって言われた割には族長らしくない言葉と思った。
だが、族長の言葉である。すぐに愛用のレザーベストの状態を確認した。仕事に就いてから使い込んでいるせいか、灰色
の皮で作られた軽鎧は少しくすんではいるが、ほつれた所などはない。お気に入りの紫色のカチューシャも問題なく髪を整
えている。
族長が言ったホームとはミスラの女達が共同生活を送る家のことである、同じホームで互いに協力しあい生活していく数
人のミスラの集まりをコロニーと呼んでいた。
ミスラにおける男子の出生率は極めて低く、生まれたとしても、家を殆ど出ない。ある程度育ったら母親がホームを出て
行き、男が生まれたホームを女達と共に護っていくほどである。
族長は女のミスラが男を囲うと言っていたが、ラコ・ブーマにはその意味がよくわからなかった。なにしろ、彼女がいる
コロニーには男のミスラはいない。そもそも同年代で男のミスラを見たことがある者がいないのではないか…というぐらい
ミスラの男子はウィンダスでは見かけないのだ。
「では、これからウィンダス港の確認に―――」
ラコ・ブーマが次の仕事へ移る台詞を言っている時、彼女の名前を呼びながら一人のミスラが駆け込んできた。
「ラコ姉ぇぇぇぇ!大変だにゃぁぁぁぁぁッ!」
彼女の部下であり、同じコロニーに属するソラ・ジャーブは仕事熱心ではあるのだが、どうにも目先の事に囚われがちで、
空回りする性質である。
今も「ラコ姉」の呼び方はホーム内だけで、外での仕事中は…
「ソラ・ジャーブ!私の事はブーマ隊長と呼びなさいと、あれほど言ったでしょ!」
息を切らしながらソラ・ジャーブは族長へ敬礼すると、続きを話し始める。
「はッ!ブーマ隊長!ウィンダス港の漁師ギルドに見かけないミスラが一人流れ着いたんですにゃ!」
ラコ・ブーマは顔を顰めた。
昨晩の嵐で船が難破し放り出され流れ着いたのだろうか、見かけないということは他国に住むものか…だが同族であるこ
とには間違いない安否の確認が優先だ。
「無事なのか?」と問うとソラ・ジャーブは黙って頷いた。
そのまま顔をあげずに両手の人差し指を絡めながらモジモジとしている。
なぜかその顔は少し笑みがこぼれていた。
ラコ・ブーマは族長に漁師ギルドへ向かうことを告げ、ティー・ピケに森の区の通常業務を任せると、ウィンダス港へと
駆けていった。
ウィンダス港に入りギルドがある西地区へ走る間、国家間を行き来する飛空艇の乗場入口辺りでソラ・ジャーブが興味津々
といった表情で告白した。
「ラコ姉ぇ?アタシ…ついてるの…はじめてみちゃったにゃ…」
ミスラという種族はヒュームやエルヴァーンと呼ばれる種族とは体型が少し異なり、獣のような耳が頭の上についていて、
お尻には尻尾がついている。だが、ここはウィンダス、ミスラが半数弱を占める国だ、そもそも彼女自身にもついている、
初めて見たということはあるまい。
他に「ついてる」で心当たりがあるのは、死して害を及ぼすモンスターのアンデッド族のゴーストにでも憑かれたか…だ
としたら、恐れこそすれ、嬉しがっているのは違うだろう。
ラコ・ブーマの自問は漁師ギルドの桟橋に裸で仰向けに横たわるミスラを一目見て理由が分かった。
これはギルドに所属しているタルタル族にも見せられない。そしてソラ・ジャーブの仕草の理由にも合点がいった。
「二人ともやっときたか、付近のミスラを集めてタルタルを払っておいたぞ。これはミスラの問題だろう」
無言でラコ・ブーマが頷くと、その言葉を受けてソラ・ジャーブが続けて言う。
「にゃにゃにゃ、そうにゃ!だから、最寄りの港ガードじゃなく森の区のアタシが呼ばれたにゃ…でも、アタシもどうした
ら良いか分からなくてラコ姉を呼びにいったんだにゃ!」
「私が最初に見つけた時は危険な状態だったが、処置は既にした。意識こそ失ってはいるが、呼吸もしているし、怪我も見
当たらない、しばらくすれば目が覚めるだろう」
「ありがとう。メー・クリョビ…だが、その格好、本当に何とかならないのか?…いや、その話はあとだ」
メー・クリョビはラコ・ブーマ達と同じコロニーの一員だ。漁師ギルドに属しており、泳ぎや料理が上手い。しかし、彼
女の唯一にして最大の欠点は服のセンスがない…どころの話ではない。服がないのだ。街にはタルタル族や冒険者がいるの
に下着姿で国中を歩き回る。ホームに戻れば下着どころか一糸まとわぬ姿でいることも稀ではない。それでいて本人は、「す
ぐ海に潜れて着替える必要がなく便利だ」と譲らない。
しかし、今はそれどころではなかった。
三人に囲まれている流れ着いたミスラは、年の頃なら十三ぐらいだろうか、成人とも子供ともつかない身長に華奢な体つ
きに外傷ひとつないミントピンクの肌。少しカールのかかった金髪は海水に濡れて額に張り付いていた。頭には力なく折れ
てはいるがミスラの象徴の獣の耳が、お尻には少し短めの尻尾が生えている。その横顔は、見た全ての人がため息を付く天
使のような整った顔立ちだった。
だが、それだけでは終らない。
静かに呼吸をしているこのミスラには女性を象徴する胸の膨らみはなく、下半身には男の「アレ」が…
「なるほど。確かに、ついているな…」
口を開けて興味深く見ているソラ・ジャーブとは対照的に、ラコ・ブーマは至極当然かのように視線を落として言った。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
ミスラが使う住居はログハウスに茅葺屋根を乗せた自然素材の作りで全体がアースカラーで整えられナチュラルで落ち着
いた南国特有の建築様式である。
未だ気を失っているミスラはウィンダス森の区の一角にある家にソラ・ジャーブと二人でいた。
ここはラコ・ブーマを筆頭にするコロニーが使っているホームであった。
コロニーは本来互いを助け合うように出来るだけ違う仕事についた者同士で組まれる。しかしソラ・ジャーブがガードの
仕事に就くには若く、どこか抜けている性格だった為、隊長であり面倒見の良いラコ・ブーマが同じコロニーに誘った。彼
女が着ているボーンハーネスも同時に贈られたものだ。
ソラ・ジャーブはそんなラコ・ブーマに尊敬と好意を寄せていた。
漁師ギルドの桟橋から流れ着いたミスラを人目の付かない彼女達のホームに移すと、ソラ・ジャーブを残し二人は族長へ
の報告に行ってしまった。
取りあえず何か服を着させ、看ているようにと言われたが、彼女はそんな事も忘れ、囲炉裏の横に寝かされている裸のミ
スラを舐めるように見つめている。
ただ見ているだけに飽きると、人差し指で肩口などをツンツンと突いた。
何度か突いても、一向に起きる気配はない。
悪戯好きはミスラの性だろうか、ソラ・ジャープは「ニタァ」と口を半開きにさせ笑うと、その人差し指で下半身につい
ている自分には「ついていないもの」を歌いながら弄りだした。
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪きのこさん〜♪ フニャフニャフニャにゃ〜♪」
自分も寝そべり、頬杖をついて、歌にあわせて人差し指一本で器用に左右へと倒している。
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪たけのこさん〜♪ フニャフニャフニャにゃ〜♪」
今度は同じように上下に倒す。それはまるで道で拾った小さな玩具を人知れず倒して遊んでいるようだった。
よほど気に入り、それが楽しいのか、彼女自身の尻尾も同じように揺れていた。
だが、そんな時間は往々にして邪魔が入るものだ。
「ガチャッ!」と家の扉を開く音。ビクっと肩を震わせ扉の方へ振り向くと、全身の動きが止まった。
「様子はどうだ?族長がガードの仕事は今日の所はもうい………」
帰ってきたラコ・ブーマの動きも止まる。
二人の目と目が合った。
そして、無言の二人の間を一陣の風が外から流れる。
「ソラ・ジャーブさ…ん?何を……やっているんですか?」
ラコ・ブーマは目の前の光景を見て、赤くなった顔をひきつらせていた。それでも冷静を装う笑顔を作りワナワナと動い
ている口で質問した。
ソラ・ジャーブは子供が母親に他愛もないものを、さも素晴らしいもののように「みてみてー」と見せるように、恐る恐
る歌い指を動かした。
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪きのこさん〜……にゃ♪」
駄目だった。どうやらお気に召さなかったらしい。
ラコ・ブーマという名の嵐が発生し一歩一歩その歩みを大きな子供へと進めた。
ソラ・ジャーブの止まった指先で「へなっ」と弄っていたモノが倒れる。
彼女は嵐が直撃する前に心の中で「やっぱり服を着させてから弄ればよかった」と反省した。
ガミガミと猛威を振るう嵐を横目に「やれやれ」と言うと。今も変わらず下着姿のメー・グリョビが奥にある下着などの
衣服や鎧などが脚の踏み場もなく散乱している寝室から青色をした体に緊密する形のコタルディと、少し膝丈の短い忍袴を
持ち出し、目を覚まさないミスラの上半身を起こすとダラリと垂れている四肢を上手く通し服を着させた。彼女は服を着せ
たミスラの頭を自分の太ももに乗せて座っていた。視線の先には腰に手をあて叱るラコ・ブーマと、正座をさせられひたす
らに謝り続けるソラ・ジャーブがあった。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
夢。それは泡の様に生まれては弾けて消えてゆく儚い夢。
「虹は七色あるだろ?だからナナの名前は虹って書くんだよ」
それはずっと前の夢。
「あなたは女の子なんだから、自分の事をボクっていうのはヤメなさいね?男の子になっちゃうわよ」
それは少し前の夢。
「あら?志野さん、中学生にもなって未発達な胸ですこと。さすが『ボク』と言うだけありますわ」
それは昨日の夢。
「違うんです…「だから」ボクはボクって言うんです…」
泡の夢はそこで終った。そしてパチパチと弾ける火の夢が続く。
「おい、こいついつまで寝てるんだ?叩き起こしちまおうぜ?」
それは素気無い夢。
「ハエ・ジャッキヤさん、こういう時は安静にさせてないと駄目なのですわん」
それはやさしい夢。
「ムゥ・ベトレの言うとおりだ。私が見つけてすぐ処置をしなければ大変だったんだぞ?」
それは頼りになる夢。
「そうだにゃ。安静にさせてないと、ラコ姉が怖いにゃ」
それは怯えた夢。
「だが、どうやらお目覚めのようだな。私の名前はラコ・ブーマだ。君は自分の名前が言えるか?」
それは……夢ではなかった。視界には板張りの天井と四つの人影が覗き込んでいる。自身では分からなかったが、吸い込
まれるようなスプリンググリーンの瞳に彼女達は「ほほう」や「あらあら」や「キレイにゃ〜」と感嘆の声をあげていた。
質問に虚ろな状態で答える。
「ナナ…ボクの名前は…ナナです」
その声はガラスのように透き通ったボーイソプラノ、囲炉裏を挟んだ場所で足を投げ出し、一人遠目に見ていたハエ・ジ
ャッキヤもつい振り向くほどだった。
「ナナ。起き上がれるか?」とメー・クリョビが言い、両肩を手で触れた。そこで寝かされていることに気づいた。それ
ばかりか、自分の名を呼んだ声の主に膝枕されていた。下着姿の女性に膝枕をされているのを知ると、恥ずかしくなって少
し息を吸い込み、そして止め、上半身を起き上がらせようとする。
だが体に力が入らない。見かねたメー・クリョビが押すようにナナが起き上がるのを手伝った。
真っ直ぐで真剣な眼差しでナナの前に片膝を立てて居るのはラコ・ブーマだ。
「何があったんだ?どうして溺れていた?」
質問されても言葉が出ない。目の前にいる女性が自分の知っている人間の形では無かったからだ、だが違和感はなかった。
何年も前から見ているが、自分とは違う…程度の事だったが、いざ目の前にすると感想が口から漏れる。
「頭に耳が…」
その台詞を聞いたラコ・ブーマは、少し急ぎ過ぎた、と目を閉じ、ため息を一つして反省した。表情を崩し笑顔を作って
から改めて切り出した。
「まずは無事を祝おう。そして我らミスラは、ヴァナ・ディールのどこにいようとも同族同士助け合う、キミもその一人だ」
ソラ・ジャーブとムゥ・ベトレが自らの台詞のように誇らしげな笑みを浮かべている。
「お前も立派な垂れ耳があるじゃないか」
ナナの頭を後ろからメー・クリョビがポンポンと叩くように撫でる。
そして、ナナが既に答えの出ている質問をした。
「ここはどこ?ボクは……なに?」
記憶喪失。それは意識障害で過去のある時の経験を思い出せないことである。
ラコ・ブーマはナナの単純明快な、そして衝撃的な自己紹介の台詞を聞いて、今度は深くため息をした。
「これは本当に私達のホームで預かることになりそうだな」
驚きの声があがる。しかしハエ・ジャッキヤだけ異を唱えた。
「なんだって!俺はこんなのと一緒に生活するのは……」
ラコ・ブーマが被せるように「族長が決めたことだ」と言うとハエ・ジャッキヤが「うッ…」と黙る。
ぱんッ!と手をムゥ・ベトレが叩く。
「でしたら、自己紹介が必要ですわん。まず、私から行きますわん。仕事は森の区のガイドで…」
彼女を先頭に順々に自己紹介をしていく、ナナはその間「みんなスタイルがいいな…」などと全然関係ないところを感心
していた。
四人の紹介が終わり、全員の視線はハエ・ジャッキヤに向けられた。彼女がナナの新緑を思わせる瞳に見つめられると、
一瞬たじろいで、渋々と顔を横に向けて自己紹介を始めた。
「お…俺はハエ・ジャッキヤだ。森の区の競売所長をしている」
短い台詞にソラ・ジャーブ補足を入れ、ムゥ・ベトレが茶々を入れる。
「ハエ姉はジショー一匹狼なんだにゃ、ちょっと怖いけど実はとってもやさしいにゃ」
「あらあら。それですと、ナナさんが狼に食べられないように注意が必要ですわん」
「食うかッ!第一、毎日毎日チーズばっかり食ってるムゥに言われたくない!飽きないのかッ!」
その台詞にムゥ・ベトレが反論する。
「ダルメルのミルクから作るチーズは、クセがあるけど一度ハマるとなかなか抜けれないグルメなお味なのですわん。ジャ
ッキヤさんも一度お試しになるといいですわん」
彼女達の言い争いにナナが少し困ったように笑っているのを見ると、メー・クリョビが場の話を止め夕飯の準備を促した。
「さぁ、みんな、もうすぐ日も暮れる。晩御飯の準備だ」
彼女の台詞で空気が変わったかのように、それぞれが自分の仕事に取り掛かる。自分は何をしていいかわからないナナに
ラコ・ブーマが寄ってきて言った。
「私は料理が得意ではなくてな。ごはんリーダーはもっぱらメー・クリョビだ」
ウィンクひとつすると、彼女は囲炉裏を濡れた雑巾で拭き始めた。名前の挙がったメー・クリョビがナナに、下着姿で迫
ってきた。額が付くぐらいまで顔を寄せると。
「いいか?ミスラは働かざるもの食うべからずだ。ナナ、お前も手伝えるな?」
というと、ナナは「はい、できます」と気持ちのいい声で返事をした。
「じゃあ、ナナはこれを切ってくれ。ワイルドオニオンだ」
囲炉裏のとなりの土間に、からしのへたを取るハエ・ジャッキヤ、肉を切るメー・クリョビ、そして間に挟まれるように
立ってオニオンを切るナナ。
タマネギを切るのに四苦八苦しているナナを、ハエ・ジャッキヤは無言で見つめていた。ナナがそれに気づくと少し涙目
の顔を「えへへ」と笑ってみせたが、彼女は何を言うでもなくプイっとナナから目をそらした。
隣で見かねたメー・クリョビが、ナナの後ろに立ち、包丁を握る手をさらに握り、オニオンを押さえる手にも自分の手を
重ねた。彼女がトントントンと軽快にナナの手を使ってオニオンを輪切りにしていく。
「どうだ。ワイルドオニオンはこうやってきるんだ」
彼女の手ほどきをし終えた時、ナナは頭の上に乗っている重みを感じて顔が真っ赤だった。
「メー・クリョビ。胸を乗せるな!胸を!…まったく…ナナは男の子なんだ、そんなにくっつかれて困ってるじゃないか」
「おっと、そうだった。ナナには前にも可愛い尻尾がついていたな」
ラコ・ブーマの台詞に「へへへ」と笑いながら返事をした。
そんな二人の会話を、ハエ・ジャッキヤは言葉を挟むでもなく、ただ無言で見つめている。
「それと、肉を切るときはエプロンぐらいしろ、モンスターの血が体に残ると同族のモンスターを呼ぶからな」
ウィンダスを護るガードとして、コロニーを護る年長者としてラコ・ブーマは指摘した。
ポンっと手を叩いて思い出したかのように理解したメー・クリョビは「切ったオニオンを串に刺しておいてくれ」とナナ
に言うと、奥の間にエプロンを取りにいった。
ナナは言われた通りに、オニオンを串に指していく。最後の一本で串の先を人差し指に刺してしまった。
「痛ッ!」
プクっと指先から血が溢れて、痛みがジワジワと広がっていく。しかし、その痛みに自身がここにいるのを確かめるよう
見つめて特に焦りもしなかった。
隣でそれを見たハエ・ジャッキヤがオドオドしている。
ラコ・ブーマがナナに寄り、「これぐらい舐めておけば治る」と ナナの指先をペロっと舐め、その後、パクっとくわえる。
それを見ていたソラ・ジャーブが駆け寄ってくる。
「ラコ姉ぇ、アタシにもペロペロして〜」
さらに、自分用のチーズを皿を盛ってきたムゥ・ベトレも囃し立てる。
「あらあら、ブーマさんは殿方との接し方がお上手ですわん。さすがは昔ヒュームの男性と付き合っていただけありますわ
ん」
「別にたいした事ではな…な…な…なんで、それを知っているッ!?」
顔を真っ赤にしたラコ・ブーマがムゥ・ベトレの両肩に手を置き掴んだ。
「その様子ですと、あながち噂というわけでもなさそうですわん」
「どこで知ったぁぁぁッ!」
半泣きになっているラコ・ブーマが掴んだ両肩を前後に揺さぶる。
ムゥ・ベトレが揺さぶられ舟をこぐ頭で「ほほほほ〜、どこまでいったのかしら興味がありますわん」と笑っている。
グラグラと体を揺らされながらも、その手に持っている皿の上のチーズは上手いように零れ落ちたりはしなかった。
「マコ姉ぇ、ペロペロして〜」
ソラ・ジャーブはラコ・ブーマの腰のくびれに、おねだりするように腕を巻きつけていた。
ハエ・ジャッキヤは「はぁ…」とため息をひとつ吐いた。
下着にエプロンという姿のメー・クリョビが手際よく囲炉裏に材料を刺した串を並べ、しばらくして、肉の焼ける良い匂
いが部屋を満たした。
食事の間にラコ・ブーマが言葉を選ぶように喋った。
「そうだ、みんな分かってると思うが、ナナはまだ大人じゃないんだから…その…手を出さないように」
その台詞に「はーい」と返事が返る。その中一人だけ同じ返事をしなかったハエ・ジャッキヤは呆れた表情をしてナナの
華奢な体を見ていう。
「俺がそんなヒョロヒョロ相手に手を出すわけないだろ」
ラコ・ブーマはナナの方へ向いて「すまないな、一応念のためだ」と言い、ナナは「はぁ…」と空返事で返した。
「あッ!ラコ姉、お皿にお肉が残ってるよ〜。いらないならアタシ食べる〜」
「いや、それは最後に食べようと残してある…って、あー食べるな〜」
ナナは愛嬌のある笑みで、そんな彼女達のやりとりをみていた。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
奥の間は寝室になっていたが、下着や服、鎧などが散らばっている。ハンモックすら物置と化していた。寝る直前まで歓
談していたのだろうか、ナナを取り囲むように、川の字に並べた布団を無視して彼女達は寝息を立てていた。
月明かりだろうか、窓から差し込む淡い光にナナが目を覚ました。自分の尻尾を手に取り、自分の記憶の道を振り返るが、
そこには何もなかった。
「ボクは…ボクは…」
「あなたはミスラの男の子、そして同じホームで暮らす以上、私たちの家族ですわん」
いつのまにか目を覚ましてナナを見つめているムゥ・ベトレが横になったまま、さも当たり前の事のように言う。その表
情も仕草も自然で、今日初めて会ったとは思えないほどだ。
「そして、私たちのコロニーの可愛い弟。それだけですわん」
「弟…ですか。なんか実感ないですけど…わかりました。お姉さん…でいいですか?」
指を一本立てて「ちっちっち」と振りムゥ・ベトレが訂正する。
「ムゥ姉さん…ですわん。では、お姉さんと一緒に少し夜風にでもあたりにいきましょうか」
「はい。ムゥ姉さん」
薄暗い室内でナナは自分と彼女の関係を確かめるように返事をした。
外に出た二人に降り注いだのは、満天の星と満月の光。全天に敷き詰められた宝石が夜空を隠すほどだった。
「うわぁ…すごい、すごい、すごい!!ボクこんな夜空…」
「はじめて見ましたか?喜んでくれて誘った甲斐がありましたわん」
月明かりに照らされたムゥ・ベトレが満月を見つめながら言う。
「そうでした。お母様が仰っていましたわん。殿方と一緒に暮らす時はこう言えと…」
体をナナの方に向け、両手を前に沿え、軽く会釈をして…。
407 :
既にその名前は使われています:2006/11/11(土) 01:07:22.68 ID:tfxKauCf
規制に引っかからないように邪魔させてもらおう。
「不束者ですが、これからよろしくお願いします…わん」
そう言って、最後ににっこりと微笑んだ。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
夜一睡も出来ぬほど、ハエ・ジャッキヤは悩んでいた。
それはナナと言う自分達のコロニーに突然やってきた来訪者の所為だった。
以前、「ある愛のうた」という本を自分が読んでいた…という疑惑、もちろんそれは手違いだったのだが、競売の所員に"そ
ういうものに興味がある"と勘違いされてから、なんとも異性のことが気になってしまっていたのだ。そこにきて、今まで
見たこともなかったミスラの男の子が、これから同じ屋根の下で暮らすことになろうとは思いもしなかったのだ。
さらに、今まで同年代のラコ・ブーマも同じように、特に男女の関係には無関心と思っていたのに、昨日のそれで昔ヒュ
ームと付き合っていて、どこまでか行ったらしいと聞かされた時は正直、何か"差"のようなものを彼女は感じていた。
「それにしても、どこへいったんだ?アットワ地溝あたりか?」
ハエ・ジャッキヤはアットワ地溝のパラダモの丘から見る天の川を一度は見たいと思っていた。
しかし、彼女の問いに答えるものはいない。ホームには既に未だ寝ているナナと自分しかいなかったのだ。漁師ギルドの
朝は早いし、ガードの二人は早番担当。ムゥ・ベトレはハロウィンの飾りつけに朝早くから手伝いにいっていた。
「そういえば、『前についてる尻尾』って何だ?」
昨夜の様子を振り返っていたハエ・ジャッキヤがメー・クリョビの台詞を思い出す。
彼女とムゥ・ベトレは海から引揚げられたナナの裸の姿を見てはいなかった。
当たり前だが、彼女の隣で仰向けに寝ているナナがはいている忍袴を見ても、お尻についているような尻尾は見当たらな
い。腰に巻いているのか?と思い、近寄ってブルーコタルディを少しめくってみても、それらしきものは見当たらなかった。
「むむむ、どういうことだ?」
寝ているナナは返事をしない。代わりにスゥスゥとまだ寝息を立てている。
彼女はそんなナナをじっと見つめた。
「昨日の夜、あの後オマエはムゥと何を喋っていたんだ?弟だとか、姉さんだとか…」
一晩中横になっているだけだったハエ・ジャッキヤは二人が起きて会話している間、自分は寝たふりをして聞いているだ
けだった。そして、二人が外へ出たあとのことは分からない。もちろん寝ているナナの返事はない。
彼女は自分が一人だけナナとの距離が遠いことに苛立ちを覚えていた。
「ナ…ナナ?起きてるか?」
小声で、名前を呼ぶのに少し照れながら、起きていないのを確認するかのように言った。
「す…少し何があるのか確認するだけだからな?その間起きなくていいぞ?」
ナナの忍袴を腰でとめている紐をスルスルと緩め引き抜いた。
「こんなことミスラの女同士でもやらんが……いや…アイツならやりそうだな」
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
「ちっちゃな♪ちっちゃな♪きのこさん〜♪フニャフニャフ…にゃ〜……ヘックシ!」
「クシャミなんかして、どうした風邪か?…あと、その歌は…やめてくれ…」
朝靄の立ち込める森の区サルタバルタ出口にあるガードの詰め所でラコ・ブーマはソラ・ジャーブの心配をした後に、
少し恥ずかしそうに呆れていた。
「にゃにゃにゃ!誰かがアタシのことを噂してるにゃ!」
「わかった、わかった。少しここを任せるぞ。ソラ・ジャーブ」
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
「なんだこれ」
それはハエ・ジャッキヤがナナの忍袴の下にあった『前にある尻尾』を見て言った感想だった。
「どう見ても尻尾…じゃないよな…」
彼女は自分の尻尾のようにナナのうな垂れたモノをいじった。
指先で触れてみる。「てろん」と力なく押した方に倒れる。
親指と人差し指とで挟むように押してみる。「ふにふに」と微かな弾力がある。
少し飽きてきた彼女は、手で全体を隠すように包んだ…その時だった。
「ふわぁ…あ。おはようございます…お姉さん」
ナナが眠い目を擦って起きた時、そこには、自分の下半身にあるものを握った手と「どうしよう」という顔があった。
握った手から伝わるハエ・ジャッキヤの温もりを感じると、途端に恥ずかしくなり、全身が火照る。
「い…いや、俺はただ何があるか見たかっただけで…」
見たかっただけ、と言った彼女の手は未だにナナを握っていた。次第に手の中のものが熱くなり、大きくなり、硬くなった。
そして、手の中に納まりきらなくなったものが頭を出した。
二人がそそり立った頭をじっと見つめている。
「お姉さん…ボク…なんだか体が変です…」
「お…俺のせいか?…ちがうぞ!」
少しムキになった彼女がギュっと手を握る。
「ッ!」
涙目になるナナに動揺して手を離す。
「すまん…大丈夫か?」
もう一度手のあった場所を見つめると先が少し赤くなっていた。
「どうしたんだ?充血してるぞ!?それに、先が少し切れてるし…」
―――「これぐらい舐めておけば治る」と彼女の脳裏にラコ・ブーマの台詞が蘇る。
自分もこれでナナとの距離が縮まると彼女は思い。口を開け舌を出す。
「あの、ちょっと…それは何か違うと思いますッ!」
「大丈夫だ。舐めておけば治る」
上目遣いにナナを見る彼女の口から湿った息が敏感な先端を包む。
ゴクリと唾を飲み込み、再度口を開けて、少し躊躇った後にハエ・ジャッキヤが、その温かい口でナナを大きく咥えこみ
濡らす。彼女の口内からは次から次へと唾液が溢れ出る、ナナの全体が唾液で包まれると、今度はそれを吸い取るかのよう
に、唇で撫でながら引き抜いた。
「ちょっとしょっぱいな…」
生まれて初めて口に含んだモノの感想を率直に述べると、次に先端を舌で舐めはじめた。
彼女のザラついた舌にナナは敏感な先端で初めての感触を得ていた。痛みにも似たその感触にナナはと言葉にならない声
を漏らす。
「やっぱりダメです。こんなの…ボク…」
赤面して、何も出来ないナナが目を瞑って精一杯の反抗をするが、彼女はナナの言葉を無視して動物の親が子を舐めるよ
うにやさしく、やさしく舐め続ける。しばらくして、口を離すと、舌の先とナナの先を繋ぐように一本の液体が糸を引いて
いた。
「どうだ、これで大丈夫か?」
彼女が顔をあげると、苦しそうな表情と肩で息をするナナの姿があった。
「だ…大丈夫です…だから…もう…」
その碧眼には大粒の涙、懇願を紡いだ小さな口からは、弱弱しく荒れた息遣いが聞こえる。
彼女は、ナナをこんなにしてしまった自分が酷く情いと思っていた。
「駄目だ!お前…こんなに苦しそうじゃないか…」
許しを請うように彼女は再度ナナの赤くなった先端を口に含んだ。
「ちがうんですッ!ボク…ボク…もう…我慢できないんですッ!」
ナナの手が下半身に覆いかぶさるようにいるハエ・ジャッキヤの艶やかな薄紫色の髪をクシャっと握る。
彼女の舌がナナを覆った口の中で再び先端に触れた時、堪えていたものがナナから溢れ出てきた。不意に舌の上をすべり、
喉の奥に流れ込んできたものを彼女は驚いて飲み込んでしまう。
間髪を置いて、未だにナナを咥える彼女の口に二度目の熱い液汁が迸る。今度は喉の奥にこそ流れなかったが、痙攣する
かのようにビクついたナナのモノが口から飛び出て、二、三度の痙攣と共に白濁した液体が飛び散り、彼女の頬から鼻をベ
ットリと濡らした。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…」
何が起こったのかはナナ本人にも理解し難い状況だったが、目の前にいる彼女を汚してしまったのは自分であるのには間
違いが無い、とても悪いことをしてしまった、そんな感情で胸が一杯だった。
一方、ハエ・ジャッキヤは顔にかかった粘く、白濁し、てらてらと光る液体を手にとって見つめていた。先ほど舌を滑り
喉の奥に流れた、今も口の中に広がるものはこれなのかと。
―――のミルク…は、クセがある……ハマるとなかなか……グルメなお味……ですわん。
今起こった非現実的な行為の中、昨晩のムウ・ベトレの台詞が浮かんでは消える泡のように頭を過ぎった。
「気にするな。グルメなお味…だった」
口の中に残るものを意を決して飲み込んだ彼女がそう言った時、頬を涙で濡らしたナナの瞳には初めて見せたハエ・ジャ
ッキヤの笑顔があった。
ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ
ラコ・ブーマは自分の性格を呪っていた。
好きなものは最後まで取っておく、ただこれだけなのだ。何ゆえに、その大事に取っておこうとするもの程、他人に取ら
れてしまうのか、非常に納得がいかなかった。昨日もしっかりと釘を刺しておいたはずだった。それがどうして、よりにも
よって、一番興味のなさそうな返事をしていたのに、だからこそ、二人きりにさせても問題ないと思っていたのに、さあ、
どうしてくれよう、女盗賊のナナー・ミーゴに好きにしていいと突き出してやろうか、それとも漁師ギルドに持っていって
魚の餌にしてもらおうか…許すまじ、このミスラ!…そう、彼女の名は。
「ハエ・ジャッキヤ。ナナには手を出すなと昨日言っただろう…何を…しているんだ?」
「違うんですッ!これは…ボクが悪い…んです…」
先に返事をしたのはナナだった。少しカールのかかっていた髪は寝癖で色んな方向へ跳ね、両手は神へ祈るように胸の前
で握られ、涙で潤んだ瞳はキラキラと彼女へ赦しを願う視線を送っていた。
「……まぁ…過ぎてしまったことは仕方ない、それは許すとして…」
ラコ・ブーマは未だに、ナナを見つめて顔をこちらに向けないハエ・ジャッキヤを見つめている。すると、クククと、ま
るで人形が首をゆっくり捻るかのように真横まで振り向いて呟いた。
「俺…は手は出してない…殴ってない…からな…」
ぎこちなく言ったその台詞には、確かについ先ほどまでは、その通りしか彼女はわかっていなかった、しかし、ナナの
反応と、ラコ・ブーマの問いかけによって、何が"手を出さない"ことかがようやくわかったのだ。
「はぁ…もういい。わかった」
ハエ・ジャッキヤが捻り出した回答に、彼女はため息と共に理解を示した。そして、ツカツカとナナの横まで歩き、ペタンと
座ると、ナナの頬に軽くキスをすると、涙の後をなぞるように目元まで唇を滑らせた。そこでもう一度キスをした。
「まったくナナはかわいいな。それでいて、こっちの尻尾は立派なものだから」
いつのまにか彼女は未だに熱く、固く、そそり立っているナナの下半身を左手で掴んでいた。
「ただ見ていただけでは詰まらないからな、私もナナを味わっておこう」
言うと、上唇をペロっと一舐めし、ナナの半身に両手を添えて先端にキスをした。
「い…いつからみていたんだ…」
「ダメです…よ。ダメですってば…」
二人の問いかけには答えず、彼女はハエ・ジャッキヤの残り香を消すように舌を這わせる。根元から先端へ、根元から先
端へ、スノールジェラートのアイスを大事に味わうように、周囲を舐めまわした。そして仕上げに取り掛かるように、やわらか
なピンク色の頭部分だけを口で包んだ。
「やっぱり…こんなの…」
「お姉さんの言うことが聞けないなら、噛んじゃうぞ」
ナナを咥えたままラコ・ブーマは少し意地悪そうに白い歯を見せると、「うっ…」と身を引きナナは口を閉じた。
その反応に心を躍らせた彼女は、より強く感じる部分だけを舌先で遊ぶように、転がすように弄った、するとナナのものとも、
彼女のものとも知れない潤滑液が二人の接点でクチュクチュと音を立て始める。口の端から零れそうになると彼女はゴクン
と飲み干す、しかし、すぐに次の液体が二人の間を潤わせた。
ハエ・ジャッキヤはがらにもなく指を咥えて、いつもなら釣りあがった目をトロンと垂らして、そんな二人を見ていた。
「…ボク…もう、これ以上は…」
既に限界を一度超えていたナナだが、ラコ・ブーマの作る刺激によって、二度目の限界を迎えようとしていた。ナナの声
を聞いた彼女は、それを受け入れるかのように、喉を鳴らし口内を空にした。その音に導かれるようにナナの奥から白濁の
液体が彼女の喉へと滑り込む。口の中で踊るナナが静まり返ると、根元まで大きく沈め、込み搾り出すように咥えた口を引
き抜いた。
「ブーマ、俺にも一口…」
口の端からとろりと垂れた白い液体をハエ・ジャッキヤが物欲しそうに、ナナを乗り越え四つんばいになって寄ってくる。
親指で垂れたものを口の中へと拭いなおすと、いつもは見せない態度に気を良くしたのか、少し笑みをこぼし、彼女は物
をねだるミスラの顎を軽く上げ、唇を重ねた。舌を出して口を開かせ、ナナから搾り出した液体と自身の唾液とが混ざった
ものを流し込んだ。舌を軽く絡ませたあと、そっと二人の距離が離れた。
弛緩した口元からねっとりと光るものを垂らすとハエ・ジャッキヤはナナの右手を握り満足した表情になる。
「ナナはやっぱりグルメな味だ」
そう言い残すと、そのままナナに添い寝する形に倒れスヤスヤと寝息を立て始めた。
「まさか、ハエ・ジャッキヤも昨日寝てなかったのか…まぁいいか、私も少し横になろう…」
ラコ・ブーマは、ふわぁ、と小さくあくびをした後、ナナの左手を手に取りハエ・ジャッキヤとは逆側に沿うよう横たわった。
いつのまにか寝息を立てているナナの横顔を見ながら彼女は改めて歓迎の挨拶をした。
「私たちの弟。ナナ。これからもよろしく」
朝靄は東から登った太陽の光に消され、小鳥が朝の歌の終わりを告げるころ、三人の寝息だけが室内を満たしていた。
以上投下終了〜。
文章を張っていく作業が面倒なことこの上なかった…。
最後にも一応…
※注意:今回の話は最後の方がちょっとエロイですー。
レジストエロスない人や、Hなのはいけないと思う方は読まないようにしてください。
読みたい人は
>>393から読んでくださいな。
原案が5行の割には恐ろしく長いお話になってしまいました。
23レスも使ってネタ物語を書いたことをお許し下さいー。
詳細な言い訳wは明朝以降にw寝ますww
418 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/11(土) 08:10:46.28 ID:+GVLujuM
ムゥ・ベトレとメー・クリョビだけ正確な読み方がわからなかったのです、
もし違ってたら脳内変換して読んでください。
というか、昨日の夜からレスついてないってことは誰も読んでないのかもッ!
419 :
既にその名前は使われています:2006/11/11(土) 09:09:44.82 ID:4aH+XSyt
投下おつです。久々に直球ktkr
願望がかなってオスラになっちゃったのか…
反省:
もちっと題名をどうにかしたかったのと、
ミスラならではのシーンを入れるべきだった…
折角の猫耳と尻尾を上手く使えんかったわー。
全てが駄文ということは言わずもがななので割愛w
421 :
既にその名前は使われています:2006/11/11(土) 17:31:40.81 ID:JKFMSzxh
しかしみんな忙しいんだなぁ
422 :
既にその名前は使われています:2006/11/11(土) 20:35:28.77 ID:6yZaSvB6
保守るよ!
423 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 00:10:08.93 ID:q/H9ScEb
ageさせてもらう!
424 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 00:21:22.37 ID:e5tZlNgl
ともかく保守
425 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/12(日) 01:35:55.43 ID:LbeoNIO+
>>418 投下お疲れ様です
オスラウラヤマシス(´∀`*)
本来の目的は保守!
>>417 なんていうか…こう…エロイのかエロくないのか分かりません!! ;;
エロ小説にしてはストレート表現が無い分そういう雰囲気が薄れてるのは凄いなと思いますが
小生男子としてはもっとこう、具体てk…
はい保守しときますね。
ナナはミスラ本国から流れて来たんですかねー…
…よくふやけなかったもんだ…
427 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 08:37:52.17 ID:e5tZlNgl
あげたいと思います
428 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 12:27:54.18 ID:q/H9ScEb
あげたいと思います
429 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 14:29:55.36 ID:nJIhqilo
ほっしゅ
430 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 18:04:58.34 ID:nJIhqilo
むむむ。久々に書く気力が出ているというのにレポートが・・・
いや、レポートが忙しいから書く気力が出ているのだろうか・・・・・・・?
431 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 21:02:03.46 ID:q/H9ScEb
age
432 :
既にその名前は使われています:2006/11/12(日) 23:34:37.89 ID:vVuZlXhE
どうも最近完結しないage・・・orz
433 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 00:38:16.26 ID:Z74brsaM
そろそろ年末に向けて完結させたいage
そろそろネ実でやるの諦めれば?
435 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 09:32:30.38 ID:xBwNXK2N
だが断る
436 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 09:35:41.46 ID:HaMrZuUW
ここでやらんと気まぐれな98がこないのは確定的に明らかなんだぜw
さて、この前に投下したときにある事を特記するのを忘れまして
その説明のために同じ世界観で書いた外伝を投下します。
注)ぶっちゃけショッキングな内容です。
批判は一切受け付けません。だってこんな世界ですから。
ザァっ…
木々の僅かな隙間に風が吹きぬけ、足元のやや背の高い芝を揺らした。
(うわぁ…)目の前の美しい森に心なしか顔に笑みが浮かぶ。
本当だったらRonfaureという美しい音楽がここら一帯に流れているはずだが
CGではない『本物の』リアルなこの景色ではそういったものは不必要だった。
(こんなことがほんとに起こるなんて…、僕は最高にツイている!)
その身にはオレンジ色の衿が印象的な麒麟大袖、両手には藍色のウォリアーマフラ、
脚はダスクトラウザ、足は同じ装備群のダスクレデルセン。
その背には金色の剣格に黒色の五つの四角模様を刻んだ
剣先がやや広がってるという独特の形状を持つ両手剣、
サブドゥアが輝いていた。
彼はLV75のエルヴァーン族の戦士。この世界にその身を置けない筈の存在
〜サンドリア王国 東ロンフォール〜
ここはサンドリア王国のお膝元、ロンフォール。
東西に分かれる二つのエリアからなり様々な木々が繁茂するヴァナ・ディール有数の美しい森だ。
もっぱら、所属国をサンドリア王国に決めた新米冒険者が始めにバトルを経験するフィールドだが
高レベルの冒険者が闊歩するのは決して珍しいことではない。だから彼を物珍しそうに見る者はいなかった。
(ここで僕は新たな生活を過ごせる。薄暗いあの部屋で惨めな思いをすることなんてもうないし、
将来の心配もしなくていい。ババァの小言も聞かなくて済む。僕…じゃない、俺は…)
思わず背のサブドゥアを天に掲げた。
「自由だ!!」
始めに彼が目を覚ましたのはモグハウス。冒険者一人一人に割り与えられている居住スペースだ。
もちろん人間ある日突然に居る筈が無い場所に放りだされば、混乱するのは当然だが彼の場合は少し違っていた。
始めこそ自分の置かれている状況に混乱し取り乱し涙を流したが落ち着きを取り戻し始めると彼はこの境遇に喜びを見い出しはじめた。
彼のリアルでの生活は悲惨だった。高校を卒業し言われるがまま大学を受験するもそのやる気のなさを証明されたが如く
不合格となり浪人生となったが初めての挫折に彼は全てを投げ出した。定職にもつかずに両親と同居しながら過ごす退屈な日々。
寝る。食う。寝る。たまに外に出るのは誰も居ない夜中。警官に職務質問をされることもしょっちゅうだった。
惨め、極まりなかった。
そんなある日ネットで彼はあるゲームの存在を知る。
「FINAL FANTASY XI online」 ■のRPGの代表作FINAL FANTASY、その11作目にあたるシリーズ初のオンラインゲーム。
βテストの募集の際に真っ先に応募した。もちろんHDも同時注文。歴代のシリーズを全作品プレイしたことも理由だったが
他人と仮想(ヴァーチャル)の世界で冒険するというそのスタイルに彼の好奇心は大きく揺さぶられた。
年が明け正式サービス開始。彼はプレイを続けその世界――――ヴァナ・ディールで成長しともに戦う友を増やした。が、
彼のリアルでの現状は変わらずむしろますます追い詰められていった。彼は、
次第にヴァナ・ディール「で」生きていくことを切望するようになった。
だから彼はあっさり受け入れた。今の自分の境遇を。
衣食住には一切困らない。彼の懐には実に数億もの大金が詰まっていた。このままサンドリアで一生過ごすことも可能。
だが彼は外に飛び出した。薄暗い部屋で見たディスプレイに映し出される美しい世界を見たかったからだ。
この世界に身を置きたい、切に願ったその夢を叶えかったからだ。
足元で感じる踏みしめる芝の感触を楽しみながら森の中を進んでいく。
(これから何処へ行こう?空?海?何処だっていい。この俺に不可能なんてないんだ! )
彼の心は遠足前日の子供のように踊っていた。…刹那
「!!!??」突然彼に恐怖が襲いかかってきた。思わず地面に倒れ頭を抑えながら地面に這いつくばる。
(……くそ!くそ!!くそ!!!)襲い掛かる恐怖にカタカタと震えながら必死になって耐えた。
――――やがて恐怖は過ぎ去った。ゆっくり顔を上げ辺りを見回す。誰もいない。
頭の中が真っ赤になった。立ち上がり手近にあった木に剣を思いっきり叩きつける。
葉が落ちるなかでまだ収まらない怒りで肩を震わせた。
(ヤロウ!!人が折角いい気分で歩いていたところを邪魔しやがって!!)
周りをもう一度見渡す。(…うん?)立ってるところはやや丘になっている。そこから見下ろす下の木々の隙間に何か蠢いていた。
(俺を調べやがった奴か!?)迷うことなく彼は坂を滑り下りた。
(あンのヤロウ、どうしてやろうか!?前に遠慮なく調べやがった糞樽と同じように物陰に引きず…)
坂の中ほどまで辿りついた。………なぁんだ…。目の前で不っ格好に歩く巨体を見下ろす。「オークか…。」
筋肉質の巨体に厳つい顔をした獣人、オーク(戦士タイプ)がヨタヨタと闊歩していた。
……立ち去ろうとは思わなかった。まだ手にある得物を肩に担ぐ。(…ストレス発散したいし、いい機会だ。)
オークに近づいていく。(初めての獣人だがまぁ、ヤレんだろ。ここら一帯のオークは糞弱いし…)
「おぅい!!!」目の前のオークの背中に怒鳴る。オークがこちらをみた。その…目…は…(……!)
なんだよ…、こいつ…
真っ白い目だった。どこを見ているのかわからない目。オークが巨体を揺らしながらゆっくりとこっちに近づく。
(何振るえてんだよ、俺…。大丈夫だって。こいつなんか一発でやっつけれるさ。俺はLV75だぞ?)
オークが斧を取り出す。更に近づいてくる。
(メリポだって振ってるし、今着てる装備だって最強だぞ?ま、負ける、わけ…)
「ないんだぁぁぁっ!!!」剣を前方に振り下ろす。ザシィっ!(あ…)敵に当たらず地面を抉った。「ウゴァぁ」
ウンっ!!斧が風をきる。
ドシュァっ!!「!!!!!」頭に衝撃が走った。(な、なんで…こ、こん…な…に)ぐらりと地面が揺れる。
(痛…い…んだ…?こ…の装…備…は、さ…最…強…な、なのに…な…なん)ゴスっ!!!!
「…あれ?」目の前のディスプレイを見た。「なんだろ?」
ゲームパッドの左ステイックを倒す。画面に映し出されたヒューム型のキャラクターが前方に向かって走り出した。
「…ええ?」もう一度ディスプレイを見る。画面にはオークの足元で倒れている一目で高レベルと分かるエルヴァーンが写っていた。
「なんでさっきの75が死んでんの?」
そう、この男は先ほどこのエルヴァーンを調べたヒュームのキャラを使ってるプレイヤーである。
『うごぁ』スピーカーがオークの『声』を鳴らす。「ヤバっ」慌てて目の前のオークにターゲットを移し戦闘開始。
無機質に切る、攻撃を受けるキャラクター。やがて「アガァァ…」オークが崩れ落ちた。「なにこれ、ザコじゃん。」
再び倒れてるエルヴァーンに目をやる。(死…デジョン…かな?だったら、なんでこの高レベルで?)
やがてエルヴァーンは掻き消えた。戦闘不能になったキャラクターがホームポイントに戻るように。
「……ま、いっか。」再びステイックを倒す。画面のキャラクターが別のモンスターを探し始めた。
彼はLv6のシーフ。サポ用に育てようとここ東ロンフォールでソロでレベル上げをしていた。
装備品は適当に見繕ったものでありお世辞にも上等とは言えない代物である。
彼はLv6のシーフ。
追加イレギュレーション
来訪者はどんなに低レベルの敵でも殺される可能性がある。
投下終了
もしあなたがヴァナディールに来訪したとしたら、
どんなに低レベルの敵でも手を抜かないで下さい。
どんなに高価な装備でも安心しないで下さい。
全力で
戦ってください。死に物狂いで。
あげるんだぜ?
447 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 16:49:03.28 ID:xBwNXK2N
つまり来訪者化するとLv補正がoffになるってわけだな!
生きる気がなければカンストでも簡単に…だけど、
死にたくないとあがき抜けばLv10台でも黒い運命をも退けられる。
そう思えば、意味深いおはなしでした。廃戦士さんは南無(´・ω・`)
>>428 エロ小説目指したわけではなく、
男がいないミスラの所帯にオスラを放り込んだら、
無知であるがゆえのエロシーンに突入しただけですw
同居人達もウィンダスに実際にいるNPCなのでミスラ好きの人には
どこにいるどのミスラというのも分かるはず
オスラの方は、いわゆる来訪者で
「朝起きたら記憶喪失でオスラになっていた現実世界では女の子」という面倒な設定ですw
>>445 投下乙です。
上の方にある『ヘキサガンの女』の彼女は来訪者としてやってきて死に物狂いで生き抜けた結果、
「不意打ち上等、有無を言わさず先制攻撃&即発砲」というスタイルで生きる術を見出した人っぽいです。
本来の性格はロマンチストで、元いた現実世界では演劇の劇団員とかやってそうなイメージ
449 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 19:40:30.43 ID:nYuI78Z1
保守上げ
今夜か明日には投下できそう。久しぶりだなぁ
みなさんお久しぶりです。
待っててくれた方がいらっしゃるかは分かりませんが、過疎を防ぐために少し復活です。
数ヶ月ぶりの投下なので、軽く短編から行ってみる事にします。
初出: 3スレ73
PC名:Meki
中の人:73 ◆7Q162gjvR6 :
種族フェイス:銀髪ミスラ♀(6A) ブラックチュニック装備でフードは被らず。
ジョブ&Lv:赤41/戦20
特記事項:マクロの編集・使用可能。
サーチ、tell、メニューを開く等は不可。
性格にミスラの影響を受けている。
活動エリア:バストゥーク
あらすじ:黒装束を撃退したMekiは大工房の仕事を手伝うことを決める。
その過程でミスリル銃士のナジに護衛についてもらい、彼とは仲良くなった。
再びフェイトに襲撃されるも撃退し、現在は開発者としての日々に戻りつつある。
他キャラとの接触:レグナス
独自レギュレーション:マクロの編集は羊皮紙にコマンドを書き、それを食べることで可能となる。荒業。
バストゥークに現れたフェイトの暗殺者と赤い鎧をレグナス、ナジ、バルフェルらと共に撃退したメキは勝利の喜びと二日酔いを仲間達と分かち合う。
そして新たに出発するレグナスらを見送り、大工房の修繕、新アイテムの開発等、日常へ戻って行くのだった。
「・・・というのが今までのあらすじと、諸々の事情で省略させていただいた場面ですにゃ」
「ご主人、誰と会話してるクポ・・・・?」
モーグリがツッコミを入れるが、彼のマスターである銀髪の小柄なミスラは華麗に流す。
「気にしない気にしない、さ、モグリン、アイテム開発に戻るよー」
「了解クポ!」
ここは大工房の一室。シドの取り計らいでクリスタル合成がしやすいよう、私は専用の部屋を貸してもらっている。
最近は大工房に流れてくる『漂流物』の鑑定が私の仕事だったけれど、
前回のフェイトの襲撃で漂流物やその技術を応用した新製品はほとんど持っていかれ、
さらに私以外の技術者達の漂流物に対する知識が消されるという事件が起きた。
そのために私は大工房内で唯一『リアル』を知る者として、新製品の開発・消えた製品の復元の仕事をシドに頼まれたのだ。
「よーし、午後もガッツでファイトにゃ!」
「お昼ご飯も食べて気合充分クポ!」
ちなみに一緒にいるモーグリはモグリン。大工房に寝泊りしている私のため、お昼の時間になると大工房へお弁当を届けに来てくれるとってもナイスなヤツなのだ。
私が全然モグハウスに戻らないので暇らしく、近頃はお弁当を届けた後に私の仕事を見ていくことも多い。
「で、ご主人、今日はいったい何を作るクポ」
モグリンが期待に満ちた目(多分。細目でよくわからないけどきっとそう!)で見つめてくる。
ここはモグリンをあっと言わせる新製品を華麗に生み出すしか無いだろう。
「ふっふっふ・・・モグリンは知らないだろうけど、私はレグナスから、新しい魔法の存在というものを聞いているにゃ」
「し、新魔法!ドキがムネムネするクポ!」
モグリンがいっそう目をキラキラさせながら、くるくる回って期待と興奮をアピールする。
「その新魔法とはストップ!いわゆる時空魔法ってヤツにゃ。そしてそれは、他のFFシリーズの魔法。つまり!」
「つ、つまり・・・?」
モグリンがぐっと顔を近づけてくる。
それを限界までひきつけた後、オーバーアクションを取って声をはりあげる。
「他のFFシリーズの武器防具なら再現可能なはずにゃ!!」
「おおおおお!!」
きっとモグリンはFFシリーズなんて言葉は理解していない。だが、このハイテンションは彼をノリノリにさせているようだ。
頭の上の黄色いボンボンが激しく揺れる。揺れまくる!
「右手に!ミスリルソード!!」
叫び、ゴブリン製四次元ポーチからミスリルソードを取り出し、天に掲げる。
「左手に!アークゥイバス!!」
更に同様に左手にアークウィバスを持ち、高く上げる。
「そして!中央に土クリクポ!」
もはやボンボンが残像を残すほどに早くなったモグリンが待ってましたとばかりに土クリをかかげる。
これで材料は揃った。後は合成するのみ。
テンションを最高潮まで上げきり、モグリンと二人で声をあげて叫ぶ。
『超絶合身・土クリ合成エクステンション!!』
キュイイイイン!!
クリスタルから噴出されるエネルギーが光となって部屋を包み、あまりの光に目を閉じてしまう。
だが、目を閉じても私の目指す完成像はゆらぐ事は無い。
イメージ像・集中力・魔力・そしてテンション。全てが完璧だ。
しばらくの静寂の後、そっと目をあける。そこには光り輝くクリスタルも、宙を舞う材料も無く、一振りの武器があるのみ。
「・・・ふ。完成にゃ。我ながら自分の才能が恐ろしいにゃ!」
ブロードソードの刃の根元から塚までの部分。そこアークウィバスが内蔵された、ちょっと不恰好なヘンテコウェポン。
リボルバーは無くて単発のフリントロック式だが、それでも紛れも無くあの武器だ。
「FF8にインスパイヤされた、天才ミスラ・メキのオリジナル作品!名づけて!」
イスに飛び乗り、机に足を乗せ、武器を天高く掲げて宣言する。
「ガンブレェードオオオオ!!!!」
ジャッキーーーーィン!!
「ご主人すごい!カッコ良すぎるクポォ!!そこに痺れる憧れるクポポポポッーーー!!」
モグリンが大興奮で部屋を駆け回る。彼には今の私の背後には後光もしくは大爆発が見えていることだろう。
「ご主人ご主人、実験クポ!早速試し斬りするクポ!」
「ふふふ、それもそうだにゃ。けど二人だけではつまらないにゃ。ここはやっぱり、ナジを呼んで自慢するしか無いにゃ!」
「合点承知、早速呼んで来るクポ!」
ダッシュで部屋を出て行くモグリン。もはや完全にガンブレードの虜になり、早く活躍するところを見たくて仕方ないに違いない。
ちなみにナジは私の護衛についてくれているミスリル銃士で、来訪者になってからのヴァナで一番の親友だ。
彼と一緒ならグスタベルグに出ても大丈夫だろう。
問題はシドの説得か?
いやいや、このガンブレードを見せて実験してくると言えば一発でOKが出そうだ。知的好奇心に勝るもの無し。
そうと決まればお出かけの準備準備っと。
〜〜南グスタベルグ〜〜
「まったくなー、メキ、お前一昨日襲撃受けたばっかりだってのにグスタなんか行くなよな。危ないだろ」
「へーきへーき、襲って来るやつがいたらナジがちょちょいとやっつければいいにゃー」
「クポー!ナジカッコイイクポ!」
「簡単に言ってくれるよなぁ・・・」
と言いつつ、ぶつくさ言いながらもついて来てくれるナジ。とっても良いヤツ、好青年です。
シドもナジをけっこう信用しており、「ナジがついて行くならまぁいいだろ。気晴らしでもしてこい」と外出許可ゲット。
そんなワケで私たちはグスタへやって来たのだった。
「しかしメキ、アークウィバスって単発式だったよな。そのガンブレードってのは1回しか打ちながら攻撃できないんじゃ無いか?」
ナジが疑問を口にする。まぁ確かにその通り、リボルバー式の銃が無い以上仕方ない。けど、対策はバッチリだ。
「ふふふ・・・そんな事もあろうかと実は人数分、3本ガンブレードを用意して来ましたー!」
じゃじゃーん、と四次元ポーチから3本の武器を取り出すと、二人とも目を輝かせて「おおおっ!」とリアクションを取ってくれた。
モグリンだけじゃ無く、ナジもけっこうガンブレードに興味があるようだ。
もちろんモグリン用のは小さいサイズのモノを用意。仲間はずれは良くないしね。
「へぇぇ。これが。この引き金を引けばいいのか?」
「そうにゃ。斬りつける時にその引き金を引くと刀身に衝撃が伝わり、
攻撃力が爆発的にアップするという仕組みにゃ・・・むっ、獲物発見にゃ」
説明しながら歩いていると前方に巨大ミミズを発見する。ちょうど良い敵だろう。
「じゃあまず私がお手本を見せるから、二人は近くで見てて欲しいにゃ」
「分かった」
「了解クポ!」
二人は返事をして、私の少し後方につく。
私の方はというと、正面からミミズに近づく・・・・・・ミミズは特に何もしてこない。
そのまま近づく。5M、4M、3M・・・ここで来た!
ミミズの体が伸び、私のほうへ向かって突っ込んでくる。
「ふっ!」
呼気を吐きながら一直線に突っ込んでくるミミズを回避。
そのままミミズの左へステップを踏んで回り込み、右手で腰のガンブレードを抜き放つ。
かっこよく体をひねって回転させ、剣が円を描くように水平に薙いでミミズの体を絶ちに行く。
引き金には指をかけたまま―――剣がミミズに当たる直前にそれを引く。
「ガンブレード・シュゥートッ!!」
ズドンッ!!
重い銃撃音、そして響く衝撃。
「う、うわ!?」
それは予想外に重い射撃だった。
手と指にかかるのは剣の重さと銃の衝撃であり、その強烈な負荷のために思わず剣を手放してしまう。
手放した剣は一直線に吹っ飛んで行く。その先にいるのは、不幸にもモグリン。
「避けろモグリンっ!」
「ク、クポ?」
ナジが叫びをあげるが、モグリンはどうしたら良いか一瞬迷ってしまった。
非戦闘種族であるモーグリゆえのとっさの判断力不足。それが生死を分ける致命的な差となった。
シュッ――――
モグリンの黄色いボンボンと本体との頭をつなぐ紐―――ガンブレードは無情にも、そこを絶ってしまったのだ。
彼の目の前に、切り離されたボンボンが転がる。
始めは何が起きたか認識できなかった彼も、それを見て全てを悟り・・・・・・
それと同時に、羽ばたく力を失って地面に落ちる。
「う、ううっ」
地面に転がってうめき声をあげるモグリン。私とナジは慌ててかけより、モグリンを介抱する。
「だ、大丈夫にゃ?」
「し、しっかりしろ!」
「モ、モグはもうだめクポ・・・ど、どうか故郷にいる妻のモグリーナに愛していたと・・・・・・」
モグリンは息も絶え絶えに死亡フラグを吐く。
「しゃ、喋っちゃダメにゃ!生きるのを諦めちゃダメにゃ!」
「って、お前結婚してたのかよ!?」
「モグはご主人達に会えて、幸せだった・・・ク・・・ポ・・・」
ガクリと力尽き、目を閉じるモグリン。
「モグリン!ねぇ目を開けるにゃ!モグリン!!モォーグリィィーンッ!!」
「無茶しやがって・・・」
何かをやりとげたように満足そうな顔をしたモーグリ、その体を抱きしめるミスラ、そして敬礼するヒューム。
グスタベルグの夕焼けは3人を赤く照らすのだった・・・・・・
ちなみにモグリンのボンボンはその後レイズによって元通りにくっついて元気になったものの、
ガンブレードは安全性に問題ありとされ、表の市場に出回ることは無くなった。
けれど、天晶堂を通じて一部のマニアに人気になったとかならなかったとか。
投下終了です。
数ヶ月も前の続きからいきなり話をつなげるのも微妙と思いましたので、省略部分があります。
レグナスさん、赤い鎧撃破後の会話を書けなくてすみません。
それと新規の皆様方、よろしくお願いします。
463 :
既にその名前は使われています:2006/11/13(月) 22:35:26.81 ID:wpOZFF4m
メキさんおかえりなさい! 何気にLvアップしてるw
ガンブレードは想定外…他シリーズの面白いもんをこれからどんどん創造しちゃうのか?
楽しみにさせていただきます。
夢を見た
いくつもの夢
人の死ぬ夢
人を殺す夢
その目は虚
その体は毒
マリオネットは踊る
目的はなく
その手は剣を振り
その足は血を踏む
体の中に流れるものはいつしか錆付いて
その身に与えられた力はすでになく
ただただ踊り続けるだけの人形に成り下がった
・・・いつからだろう
(飽きたのかもしれない)
逃げ出す事を考えたのは
「フンフン〜フ〜ン♪」
どこか調子外れな鼻歌が聴こえる。
「あ、起きたんですか?良かった〜、もうどうしようかと思ってましたよ〜」
「・・・?」
目を開け相手の姿を確認しようとしたが眩しすぎてろくに見ることが出来ない。
「大丈夫ですか〜?貴方もうずっと眠っていたんですよ〜?」
なんとも間延びした声だな「もしも〜し、起きてますか〜?」
「・・・起きてる。俺はどうなったんだ?」
確か黒装束に捕まって・・・その後の記憶がない。
「ごめんなさい〜。実は私も3日前に起きたばっかりで詳しい事は知らないんですよ〜」
ようやく目が辺りの明るさに慣れてきた。
「ここは・・・どこ?」
体を起こし辺りを見渡す。
「それがわからないんですよ〜。困りましたね〜」ちっとも困っているようには聞こえない。
辺りは木々に囲まれ地面は緑色の苔に覆われている。
イメージとしては樹海に近いかもしれない。行った事はないがきっとこんな感じなんだろう。
「えっと」
目の前にいる人を見る。ヒューム♀。茶髪で髪を後ろで結んでいる。
「ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「はい!実は私も聞きたい事があるんですよ〜」
「君は誰?」
遠回しに尋ねても仕方ないので単刀直入に聞くことにした。正直目の前にいる彼女に見覚えはない。
「実は私が聞きたいのもそれなんですよ〜。私は誰なんでしょうか?」
ナンダッテ?
「記憶喪失っていうのですかね〜。起きたらここにいてそれ以前の事は何も覚えてなかったんですよ〜」
言いながら彼女はにこやかに微笑んでいる。
「ぶっちゃけ貴方が知ってるかな〜なんて思ってずっと起きるのを待ってたんですけど」
「・・・ゴメン、知らない」
俺がそう言うと彼女はにこやかに「そうですか〜困りましたね〜」と言った。全然困ってるようには見えない。
「と言うか何で俺達はこんな所で寝てたんだ?」
地面に柔らかい苔が生えているため決して寝れなくはないのだがベッドよりも快適とは言えない。
第一、屋根どころか壁もない完全に森の一点にすぎないこの場所は人が睡眠をとる場所としてどうなのでしょうか?
「ん〜、さっきも言った通り私は起きてからの事しかわからないんで」
「て事はお互い何でこんな所にいるのかわからないって事?」
「そうなるんですかね〜?私は貴方が知っているものとばかり思っていましたが〜」
「・・・ゴメン、知らない」
「困りましたね〜」
やっぱりちっとも困っているようには聞こえない。
「とりあえず・・・」
「あ!貴方の名前を教えて下さいますか?いつまでも『貴方』では呼びにくいじゃないですか〜」
ナマエ?
ああ、名前か。
急に聞かれると普段では普通な事でも思い出せない事はよくあるもんだ。
この場合はもちろんリアルの名前じゃなくてヴァナでの名前だ。
「俺の事はフィルって呼んでもらえるかな」
「フィルさん、ですね〜!はい、わかりました!」
「んで・・」
「フィルさんは記憶はあるんですか〜?」
・・・この娘には俺の言葉を妨害する機能でも付いてるのでしょうか?
「自分がどこで何をしていたかの記憶はあるかな。でもここで何をしていたかとかここ最近の記憶はないみたいだ」
「そうですか〜、困りましたね〜」
・・・というか今ホントに困った状況なんじゃないか?
ここが何処かもわからず、何をしていたのかもわからず、そして・・・
「あ、私の名前どうしましょうか〜?」
変なおまけまで付いてきてしまっている。
「あの〜、聞いてますか〜?私の名前・・・」
兎にも角にもまずは人の居る場所に行く事にしましょう
「名前・・・」
・・・の前に名前を決めてやらなければならないらしい。
なんとなく前途多難な気がして俺は深く溜息をついた。
投下終了でっす
前回適当に書きすぎて何かもう段々わけわからんくなってきた
メキさんお帰りなさい&始めまして〜
メキさんのお話はまとめのも含めて全て読ませて頂いてまっす(・ω・)ゞ
469 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/13(月) 23:54:35.36 ID:e/8s9fUc
皆様、投下乙でございます。
なかなか時間が取れず、投下が遅れてしまい申し訳ございません。
そしてメキさん、おひさしぶり&お帰りなさい。
そして、俺はオルデール鍾乳洞での事件を、メイミィに説明した。
話をしながら頭の中で要点を整理しつつ、伝えるべきことを手短にではあったが。
「そう、ですか・・・」
言って、メイミィは困惑顔で長いまつげを伏せ、押し黙った。
彼女は、帰還が不可能ではないことを、その可能性が他にも在り得ることを知った。
心が、揺れても不思議はない。
リアルに。元いた世界に。
「帰りたい?」
俺はデスクに軽く腰掛け、まだ開けていない手紙を指でもてあそびながら問いかけた。
踏絵のつもりはなかった。ふいに口を突いた言葉だった。
「なに言ってるんですかぁ」
くすっ、と彼女は明るい笑みをこぼして視線を上げた。
「リードさんと一緒にいるって決めたんですから、いまさら帰りませんよ」
「・・・あぁ」
わかってる。二度とこの話題に触れるのはやめよう。
俺たちがつけこまれるとすれば、この弱をおいて他にはないのだから。
半ば話題をそらすべく手紙をつまみあげ、明かりにかざした。
見覚えのある几帳面な筆跡。宛先は無論、俺。差出人は―――。
その手紙は、サンドリアから来ているはずのモーグリからだった。
本日は以上です。
すみません、訂正です。
× 俺たちがつけこまれるとすれば、この弱をおいて他にはないのだから。
○ 俺たちがつけこまれるとすれば、この弱点をおいて他にはないのだから。
473 :
既にその名前は使われています:2006/11/14(火) 01:53:00.05 ID:cVcuBpih
寝る前にage
474 :
既にその名前は使われています:2006/11/14(火) 07:01:07.38 ID:K4+/1UDt
おいィ? メイミィそれでいいのか?
475 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/14(火) 08:47:10.92 ID:eS3TrJ8k
あぐ
>>462 おかえりなさいメキさん!
ちょっwwwモーグリwww
やっぱメキさんオモシロスwwww
>>468 フィルさんのネーミングセンスのミセドコロですねっ?!
>>474 たしかに聞くのは勝手だがそれなりの聞き方があるでしょう?
リんドさんの設定通り進むのは稀に結構よくあるらしい。
476 :
既にその名前は使われています:2006/11/14(火) 08:57:22.32 ID:S7o2UW5e
きた!メキさんきた!これでかつるにゃー!
>>447 Lv補正クリアは確かにありますが(大体が立ち合いがものをいう。)この場合少し違います。
この戦士の場合低レベルのモンスターを前に自分の力を過信しすぎてしまったのが敗因。
「もしかしてやられるかも」と思わないとこの世界で生きていけません。
相手は常時戦いに身を置くもの。平和なリアルに浸かりきった俺たちが簡単に倒せるあろうはずがありませんな。
が、それが適用されるのはヴァナに住まうもの達と戦う場合。
来訪者同士ではそこに『アビリティ』や『魔法』が差をつけることになります。
…あ、展開ばr(ry
>>448 だからってあんなにブチキレタ人は怖いです。
>>462 おかえりなさいませ。
やっぱり投下したからには(この世界に足を突っ込んだともいう)
完結せねばいかんです。/grin
479 :
既にその名前は使われています:2006/11/14(火) 16:27:48.20 ID:K4+/1UDt
そこまで含めてのブロントさんネタなのは確定的に明らか
>>478 >>474で予期せぬブロント語が飛び出したので、
>>475にてカカッとブロント語でさらにレスを加速させようとしましたw
ちなみにメールアドレスっぽいところにメッセんじを入れると見てくれる人がいるのは確定的真実
レスくれた方々に感謝です
>>463 さりげなく数字変更したのに1レスでバレるとはw
>>468 投下乙です。名前はカワイイ系かカッコイイ系か、それが問題ですね。
新規の方にも過去の話を読んで貰えるとは嬉しい限りです。
>>469 お久しぶりです。Leadさんの話はとても面白いので楽しみにしてます。
忙しいみたいですので、ゆっくりまったり待ってます。
>>475 >>476 >>477 面白いと言ってもらえて嬉しいです。
かつるかどうかは分かりませんが、がんばって完結を目指していきたいですね。
482 :
既にその名前は使われています:2006/11/14(火) 20:59:29.99 ID:cVcuBpih
____
/ \
| ─ ─ |
| (●) (●)|
|\(__人__)/| 常識的、と君は言うがな?
\ |` ⌒´ | / 自分のいう常識が、必ずしも他人の常識と同じであるとはかぎらない。
/ 丶' ヽ::::: 常識とは人の数だけ存在するのだよ。
/ ヽ / /:::: これはどのような物事にもいえることだ。
/ /へ ヘ/ /::::: 例えば善悪。何が善で、なにが悪かなんてしょせんは人が決めたこと。
/ \ ヾミ /|::: 必ずしもそれが絶対とは限らない。
(__/| \___ノ/::::::: ニーチェも「一切は許されている」って言ってるしね。
/ /:::::::: 社会で言われている善悪はいわば相対的な善悪なんだよ、
/ y )::: 常識だってそうさ、社会で言われている常識は相対的な常識でしかない。
/ / /:::: ならば絶対的な「それら」はどこにあるのか?
/ /:::: それは個人の中に存在する、つまり人の数だけ「それら」はあるんだよ。
/ /::::: 突然こんなことを言われても理解できないかもしれないが、
( く:::::::: きっと君にもわかる日がやってくる。
|\ ヽ::::: 「真実は常に君と共に。」
| .|\ \ ::::: 自分を信じて生きるんだ。
\ .| .i::: \ ⌒i::
ウィキの自分のまとめを編集すると、稚拙な文章だと痛感するorz
そして他の方のを読めば読むほど、自分の話が浮いてる気がしてならない
…けどまぁ、これはバリエーションを増やしているとか何とか、そういう事でw
(節操なく、色んな話を書きまくってる所為かもしれない…)
毎回完結短編を書いてる人が言うのもなんですが、
自分は、ネトゲのように『終わりの無い(終わりを目指さない)物語』というのを面白いと思うのです。
面白い映画や漫画や小説を最後まで読みきって、
「あぁもっと読んでいたかったな」とか
「終らすのが勿体無い」と思ってしまう性質なのであります。
だからといって完結させるな。というわけでもなく…
完結したものを読みきったという満足感も捨てがたく…
(そんな変なジレンマを感じるのは自分だけじゃないはず!…たぶん)
484 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/14(火) 23:13:31.52 ID:/dCNPllB
>>481 もったいないお言葉ありがとうございます。
私もメキさんの雄姿を心待ちにしております。
ポケットから折りたたみナイフを取り出して、封を切った。
本文に目を通す。
そこには、俺がサンドリアのモグハウスを出た後の顛末が記されていた。
侵入者の“処理”を任されたにも関わらず、遂行できなかったこと。
ナナシの邪眼に囚われ、無様な姿を晒してしまったこと。
己の心身を鍛えなおすべく、勝手ながら修行の旅に出たこと。
それらのことについての、謝罪と決意。
「モーグリ・・・」
ペンを走らせながら、感情を抑えきれなくなったのだろう。
ところどころ、インクが滲んでいた。
それは悲しみの涙、いやむしろ、悔し涙だ。
「修行の旅に、出たそうだ」
溜め息混じりに言葉を吐き出し、俺はメイミィに手紙を渡した。
「わたしが読んでも、いいんですか?」
「あぁ」 俺はひとつ頷いた。「メイミィに隠すような事じゃない」
羊皮紙の便箋に並んだインクの文字を追った彼女は、目を丸くした。
「きれいな字・・・、じゃなくって」
これって、まさか。と、驚きを隠せない表情を俺に向けた。
「ひらがなとカタカナ!?」
「俺が教えた」
この世界で、これを読み書きできる者は極々限られる。機密保持には有用な手段だ。
さすがに漢字を教える時間はなかったが、と肩をすくめた。
いや、案外、習えば遣えるようになるかもしれない。
「“けっしてさがさないでください”って。修行の旅っていうより、家出なんじゃ?」
という、手紙を読んだメイミィの感想。
なにしたんですか、という疑惑のまなざしに、俺は苦笑した。
「本当は迎えに来てほしいんだよ」
次の目的地は決まった。
あらためてメイミィに手紙を見せ、すみっこに押された受取印を指し示した。
「行こう。モーグリは、俺たちに必要な仲間だ」
そこには、“ラバオ”とかすれた文字が記されていた。
487 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/15(水) 00:11:02.30 ID:OY4mVf7D
今夜は以上です。
488 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 00:58:27.01 ID:KVjoTSGC
ううむ書きあがらない…! 寝る前に保守だけ。
489 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 01:37:33.99 ID:N7Ur9GHK
書く時間がほっすぃ…
490 :
虎 ◆tQar3mtsYE :2006/11/15(水) 01:45:37.05 ID:9tRgiPJ8
同じく書く時間が欲しい……仕事終わって諸々必要な事やってたらこの時間って(゚д゚)
それは兎も角皆様投下乙であります。
まとめのほうでMekiさんの作品を読ませてもらいましたが、やっぱり面白いw
モーグリの頭のボンボンってちぎれると致命傷だったのか……w
では寝る前に保守ageしときます。
誰もいない家。そこに待つものはおらず、密かに眠りに付く毎日。
自由の代わりに得たのは、仕事による束縛と、繰り返される日常。
そんな中で見出したささやかな楽しみはネットゲームと旅行であった。
どこか遠くへ行く。そういった行為に何らかの喜びを見出していた。
…だから、買ってしまった。怪しい中東系の露天商から、旅を招く護符なんて物を。
それを買った夜の行動も、いつもと変わらぬ同じ事の繰り返しであった。
競売へ出品した品が売れたかどうかを確認し、ソロで狩り、モグハウスでログアウトをする。
フレと呼べる相手はいない。LSにも誘われず仕舞いで、気づけば野良でLvを上げる日々だ。
既にカンストしたジョブが2つほどあった。一つは白魔道師。もう一つは黒魔道師である。
今となっては不適当なので、シーフにしようか悩んでいるところである。
ミッションは遅々として進まないのでランクはサンドリアの2で止まっている。
私は6人も集めるほどの人脈も気概も無く――そのうちミッション自体への興味を失ってしまった。
492 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 01:58:38.27 ID:q35p/cJa
外見が気に入られるのか外国人から誘われることもあるが、基本的に英語で断っている。
日本人以外とコミニュケーションをするのは、仕事と趣味の旅行だけだと割り切っていた。
その日はログアウトしたあと、シャワーを浴びて直ぐに寝てしまった。
眠気が酷かった。特にそういう体調ではなかったと思うが、眠くてたまらないのだ。
そして夢を見た。まるでヴァナディールに降り立ったら、こうなるだろうという夢を。
いや、この表現は正しくないのかもしれない。目の前のモーグリのはばたきの風を感じる。
温度、匂い、視界、聴覚…そして空気が舌先に触れて感じる刺激、味覚までが現実を示す。
眩暈を覚えながらも私は窓まで進み、自分の顔を見た。
…私は私のキャラクターになっているようだ。これが夢ならば、はやく覚めて欲しい。
そう願いながら、私は倉庫拡張で大枚をはたいて買ったノーブルベットで2度目の睡眠に入った。
自分のベッドより快適な造りに少々の不満を感じながら。
図らずともageてしまいました。皆さん初めまして。
これから、ほんのり書いていけたらな、と思っています。
メール欄はLead_161 ◆zmxSLEadCUさんの模倣です。
新たなぎs…来訪者さんようこそ! まだ種族もなにも分からないのが余計に気になる。
続き楽しみにしてます。
495 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 12:02:33.53 ID:l/E38WRr
あげときまっせ。
ノーブルベッドはいいものだ
496 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 12:16:12.80 ID:vgoyK/m0
>>493 ほんのり書いていくなら、誰の話なのか分からなくなるんで
トリップかなんかで名前つけないと、読み手としては、
困ったちゃんになるのかもしれないのだぜ?
不安なラインまで下がってきてたので投下をば…
お仲間が増えるのはうれしい事なのです。
微妙に鬱展開かも知れない。
「ちゃらららら〜♪ たららららら〜らら〜♪」
なんでそうすんなりとオリーブの首飾りを口ずさめるんだろう。
やっぱり赤い鎧の人たちはリアルにつながる出口を知っているんだろうか。
それとも、何らかの形でリアルの情報をどこかで得ているだけなんだろうか。
推定赤鎧(まだ姿はフルさんのままだ)が再び取り出したパンプキンヘッドの中から、
それこそ手品のようにつるつると引っ張り出される金糸を見ながら、
私は床の絨毯の上で体育座りをしたまま、そんな事を考えながらため息をついた。
「待たせて悪いな。許可取ってれば直接バーミリを出せるんだが」
等とのたまう彼の背後のベッドには、同じようにして何もないところから取り出されたビロードや絹布、
増やされてしまったダマスクに、それから昏々と眠り続けるモグさんが放置されている。
『そういう意味じゃないです。ズルとかチートとかデュープとか言いませんかこれって』
「これからオレ達の世界を壊そうって割に、変な所で律儀なんだな君は」
私の抗議に、まったく不思議でならない、といった口調で答える推定赤鎧。
私からすれば、この人の存在のほうが余程不思議で、また不気味だ。
『なんで壊さなきゃいけないんですか。それにそんな風にぽーんと高額物品もらっても、
対価としてお返しできるものが…ないです。大体友達でもなんでもないのに』
そもそもリアルの、ゲームの方のFFではGMは一般アカを持っちゃいけないし、
普通のプレイヤーに情報を漏らすことだって、服務規程かなんかで禁じられてたような気がする。
「友達どころか、赤鎧は来訪者にとって恐怖の象徴、敵でしかないって?」
『いや話を分かってくれるソフトな人が存在するなら、その限りではないと思うのですが…』
私の言葉を受けた推定赤鎧が肩を震わせながら、喉の奥でくっくっと笑う。
「…甘い。アルザビコーヒーに砂糖入れすぎて溶けきらずにジョリジョリするくらい甘い」
『なんかもっと華やかな例えはなかったんですか。甘いなりに。それはキショイ甘さです』
「むう…ともかくオレ達のほとんどは来訪者とまともに話すことなんか考えたこともないと思うぜ。
抹消すべき、忌まわしき存在と認識するか、従順な玩具の中に現れた、不良品とでも認識するか」
来訪者に、人権なし。あまりといえばあまりなその返答に、頭がくらくらした。
しかしそうなると、いやがらせといいつつも直接危害を加えてこないこの人の考え方は、なおさら気になる。
『……貴方自身は?』
「ひみつ〜w ま、来訪者が世界へ変容をもたらす仕組みに興味がある、とだけ言っておこうか」
はぐらかしながらまたパンプキンヘッドに手を入れ、そこからずるり、と黄金色のクリスタルを引っ張り出す。
「割れなかったら拍手よろしく」
『変容をもたらす…だから先輩をあんな風にして手元に置いてるんですか』
「それもあるっちゃある…」
取り出した手からクリスタルが離れて浮かび上がり、その周りへ布と糸たちが寄り添うように螺旋を描く。
思えば、この世界にやってきてからクリスタル合成を見るのは初めてだった。
ほどけて濃密な属性の力場へと変じたクリスタルが創り上げる、幻想的な光景にしばし見入る。
その向こう側にいる男の、いやがらせと称するにしては真剣な表情にも。
やがて螺旋は収縮していき、その中心から光が溢れ出す。
私は耐え切れず目を閉じようとして、それが不可能だということに気がついた。
肉を、目玉を、視神経を持たないこの体で、私はどうやってものを見ていた?
黄金色の光に染められた視界が、だんだんと本来の色を取り戻してくる。
その中心で、なにやら赤かったり黒かったりする物体を両手で広げてみせる男がいる。
「というわけで、めでたく完成」
その言葉にはたと我に返り、音は出ないけれど拍手をした。
「アイツも君くらい素直だったらよかったんだがなぁ」
『先輩をあんな風にしてしまったのが貴方本人なら、それは無理ってもんだと思います。
…先輩は、もう元には戻らないんですか?』
バーミリオクロークを畳みながら、その質問に男は不思議そうな表情を浮かべる。
「なに? 返してほしいの?」
『当たり前です。帰り道を見つけて、一緒に帰らないと』
忌憚ない、純粋に思うところを述べただけだった。
だけどそれを聞いて、男はやれやれと首を振ってみせる。
「元に戻してやってもいいけど、その瞬間にあれはもう一度死ぬよ。
それにあのままオレの手元から離れても、一週間と保たず大地に還るのは確定的に明らか」
『やっぱりアンデッドにしてるんじゃないですか! ちょっといい人っぽかったけどやっぱり外道!』
ヒロさんの彼女にひどい事をしたという、サンドリアでやりあった赤鎧の事が思い出された。
「そう外道だ。世界のため、秩序のためだのなんだの建前はあるが、
みんな与えられた力を振るうのが楽しいだけさ。あるいはもう力に呑まれてカラッポな奴もいるかもな。
だから事態は収束しない。救いを求める手を踏みにじり、つかんだ希望は片っ端から取りあげて粉々にする。
オレ達は世界を守ってなんかいない、ただあの方が望むままに、縛り付けて言う事きかせてるだけさ!」
笑っている。だけど、嘆いているようにも見えた。
『そんな事を続けて、その先には何があるんですか』
「何もないよ。何もない。過ぎたる力を得て、それに溺れたものの末路はいつだって、ひとつしかない。
あの方もオレ達も、アイツも君も、他の来訪者達も、行き着く先は世界の果てにある崖っぷちさ」
『貴方たちはともかく、私たちは普通の人じゃないですか』
「何が普通なものか。魂の規格が違う世界に訪れて、本来ならば振るうべくもない力を得る。
最初に見かけた、君達本来の姿ではかなうべくもない相手を一撃のもとに葬ったとき、君は何を思った?
死に行く命を簡単につかんで引き戻したとき、君の心は確かに昂らなかったと、そう言えるかい?」
問いは刃となって私を貫き、標本をとめる虫ピンのように、私をその場に縫い止めた。
『でも、それができなければこの世界では生きていけない! 戦えなければ死ぬしかない…違うんですか』
「いいから答えな。…どう思った?」
囁きは毒となって、私の体に回っていく。息が、くるしい。呼吸なんか必要ないはずなのに。
『わからない…ただ必死で、ひっ、し…で…』
目の前が、暗くなっていく。ただ、私の目を覗き込む男の目だけを残して。
なんとか思考をまとめようとしたけれど、かき集めたそばから、何もかもがこぼれていった。
「所詮は半分か…続きはちゃんとくっつけてから改めて聞こう。ゆっくり休みな。
明日はもっとキツい出来事が待ってるから」
意識だけの存在が意識を失ったら、どうなる? 私が最後に考えたのは、そんなどうでもいいことだった。
GMが一般プレイ用の垢を持っちゃいけない云々はむかーし聞きかじった話だったので、
今は違うかもしれないし、そもそも昔からそんな事はなかったかも知れません。
でもそういう曖昧な記憶なので、違ってても軽く流していただけると助かります。
この暗さがたまらなひ・・・
504 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 18:13:16.84 ID:fmqIj8X4
神経細いな文ちゃん
∩___∩ /゙ミヽ、,,___,,/゙ヽ
| 丿 ヽ i ノ `ヽ'
/ ○ ○ | / `(○) (○)´i、 先生助けてっ!
| U ( _●_) ミ 彡,U ミ(__,▼_)彡ミ さっきまで動いていた文ちゃんが
彡、 |∪| ,,/ ,へ、, |∪| /゙ 息をしてないの!!
/ ヽ ヽノ ヾ_,,..,,,,_ / ' ヽノ `/´ ヽ
| ヽ ./ ,' 3 `ヽーっ / |
│ ヾ ヾl ⊃ ⌒_つ ソ │
│ \,,__`'ー-⊃⊂'''''"__,,,ノ |
506 :
既にその名前は使われています:2006/11/15(水) 23:49:13.14 ID:vgoyK/m0
うえへまりまーす。
心地よい目覚め。何処とも知れぬ部屋。目の前に浮遊するのは、あの白い生物(ナマモノ)。
眠りに着く前と何も変わらない光景に、私はしばし放心して五体を投げ出した。
そうしている間にも、白い生物(ナマモノ。以降モーグリと呼ぶ。)はよく働いてくれた。
食事も用意してくれたし、最低限度の部屋の維持管理も行ってくれる。
普段モニターに映るのは特徴的な部分をピックアップしているに過ぎないのだと理解した。
私はボソボソしたパンと水で空腹を満たすと、自分の装備を確認して外に出ることにした。
そして、グロテスクで巨大なミミズとウサギ相手に私は試行錯誤を繰り返し、そして理解した。
黒魔法の詠唱は呪文書の文字を詠唱するだけでは効果を発揮せず、イメージによる補完が必要だった。
そしてイメージが具現化するたびに効果が目の前に現れ、周囲と自分から何かが失われるのを感じた。
白魔法はさらに独特で、空間の向こう側から、自分を通路として相手に働きかける性質を持っていた。
この事実と感覚は私を困惑させた。あまりの不気味さと生々しさから暫く座り込んでしまったほどだ。
何よりも我慢なら無かったのは、単なる一般人の自分がそれを行えたという事なのかもしれない。
更に私にとって不幸だったのは、冒険者としての目的が無かったことである。
既にミッションを放棄して久しい。LSもフレンドもいなければ、もはや行く宛ても無い。
テレポで転移してウィンダスの図書館にでも向かおうかと思ったが、これが魔法によるものなのか?
今、私は何を考えていた?魔法?どうして野生生物と戦ったりなどしたのか。私は狂っているのか。
…物事には意味と目的がある、という考えに至った頃、私はいよいよ泣く寸前だった。
その思想が唯一、私にとっての支えとなった。これが夢であれ現実であれ、そこには何かがある。
私は魔法や伝承…特に転移に関する文献を調べることにした。
モニター越しには映らない細部が見れることが、現在の私にとって最も有利な点だ。
それに加えて多少、ヴァナディールに世界に関する知識があることも幸いした。
旅行が趣味だったので、簡単ながら3ヶ国語喋れるのはいい点だった。
この世界の言語ではなく、現実の言語。まだ1日も過ぎてないのに、遥か彼方の世界に思える。
気の持ちようで随分と楽になった。私は見つける。帰る術を。ここにきた意味を。
一度モグハウスに戻ってモーグリに、ウィンダスへ向かうことを告げた。
どうしてそんなことをいうのか?とモーグリは不思議そうにしていた。
飛空挺に乗り込む前に見せる、ミッションをクリアせず50万ギルで買った飛空挺パス。
そこに名前が刻まれているという発見すらも、私にとっては驚くべきことだった。
「…何か見つかるわよね、きっと。」
デッキの上で風に吹かれながらそう自分に言い聞かせる。
私はCroire(クロワール)。フランス語で信じることを意味する名を持つ、エルヴァーンの女。
会社を無断欠勤で首になるんじゃない?なんて、考える余裕もない。
…というわけでご指摘どおりトリップをつけました。
旅立ってみたり。
投下乙でございます。
本日はレスのみにて。
>>502 追いつめ系Sなカボチャいいですねぇ。
ところで意識を失ったら、フルさん消滅・・・しませんよね。
まさか。
>>509 新たな来訪者さん、いらっしゃいませ。
クグツ◎マヤカシ●ハイランダーというスタイル、どんな物語が展開されるのか楽しみです。
511 :
既にその名前は使われています:2006/11/16(木) 01:23:31.44 ID:6f6TJiZM
,_,..,ィヽ,、 |
/;;::r‐〜-ミ、 | ウ ェ ル カ ム
4~/へi::::::;/,ヘミ7 | W E L C O M E !
'-l|<>|:::::|<フ1|i' ノ ( よ う こ そ )
l! '" |::::l、~`リ へ
/`ー、 ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y; ヽ、_` ー―――――
,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト- ~` ー- 、_
, ィ ´ ,ゝ、_ `r' l | 、レ // `テ三..ノく _ ` ヽ、
/ , -' ,、 `、_) l,i, i // (/ ...,,;;;;:` 、 ヽ
;' '" ノ ;;;;:::: i ! : // .....:::::;;イ、_、_\ _ _ノ
l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,// - = ""::;; :/ ` '''' '"
ヾ :;;;,, ,i l,// ,,..," / _,,.....,_
,. -- .,_ \ :;,. ;' V ;! `; /;: ノ ,.ィ'"XXXXヽ
/XXX;iXXミ;:-,、 ヾ '" ''' /./! ヾ / ,. - '"XXXXXXXX;i!
,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、 i 、. / ;:::゙i ;: , | ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
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XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::! `. /:: | '" l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::! |:: | i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
512 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/16(木) 02:09:24.87 ID:SryomAa2
マントを敷布代わりに広げ、お茶とお菓子を並べる。簡単なお茶会だ。
向かい合うのはふたりのエルヴァーン。・・・何故か湯呑みを抱えて、目の前にようかんの皿を起き、正座で。
「ぼく、思うんですけど」
「ん?」
「最近の流行は、シリアスにちょっとギャグをプラスするのみたいなんです」
「ふむ・・・?」
「でも、キーゼルさん、ギャグがないと暴走しちゃうから・・・」
「暴走も何も、はじめからギャグではないですか」
「・・・じゃ、じゃあ、シリアスがないってことでしょうか」
「何せ村人Aですからね」
「・・・せ、せめて、イベントキャラくらいになってもらわないとダメですか?」
「さあ・・・もしかしたら、ヤスくらいかも知れませんね」
「ヤス、ですか・・・?」
問いかけに彼は応えず、両手で抱えた湯呑み(魚の名前入り)を一息にあおった。
「では、私は出番がまだなので。ヤスさんによろしくお伝えください。あ、そのようかんは食べてくださいね」
「や、ヤスさんって呼ばないであげてください・・・わ、これ粒あんだ。ぼく嫌いなのに・・・」
そんなわけで続きを少々。
513 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/16(木) 02:14:43.88 ID:SryomAa2
柱越しに、彼が言う。
「・・・その、えっと。あなたは倒れてたんです」
何があったのか濡れたチュニックを脱ぎながら、私は彼の話を聞く。まさかまたウォータぶちこまれてないよね?
「そのままにしたらいけないと思って・・・敵もいたし、とりあえず、安全なところに移動させたほうがいいと思って。
あの、ぼく、何かしようと思っ・・・あ、いや、着替えたほうがいいと思ったけど、でも、あのっ・・・」
彼の話は途中から何だかよく分からなくなってきた。
私は彼から借りたタオルで体を拭き、やっぱり彼から借りたバロンサイオを着た。あ、思ったよりかわいいかも。
「アルタナの女神に誓って、ぼくはあなたに手を出そうとしたわけじゃなくて・・・あれ?でも、・・・えっと?」
おーい、自分で自分に疑問を持つなッ。
「・・・えーと・・・とりあえず、ありがとう」
それだけは言って、手櫛で髪を整えると、さりざりと砂利の感触があった。うぅ、頭洗いたい・・・
ここは、・・・何だろ、これ。石みたいな、でも違うひんやりした何かでできた大きな何か。
「・・・あのっ!!」
不意に肩を掴まれる。
いいって言うまでこっちに来ない約束でしょ!?と、抗議する暇もなく、彼は切羽詰まった表情で言った。
「だからぼくは・・・女の子が好きなんです!!」
おーっと、衝撃の告白キタコレ。いや、そんなことは焦点にしてないんだけど。
・・・って。
「私だって女の子ですッ!!」
ほどよく濡れて重くなった服で、思いっきり彼の腹を叩いた。
514 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/16(木) 02:23:10.66 ID:SryomAa2
今回は以上です。
新たなスタイル持ちさんがいらっしゃいましたね!
目的のない旅人さん。目的を探すのが目的でしょうか・・・?
村人Aにはスタイルはないので・・・いやはや。
515 :
既にその名前は使われています:2006/11/16(木) 04:00:28.11 ID:da2SxD4I
村人Aの成長の可能性は無限大さ!
516 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/16(木) 08:34:09.34 ID:tRKHtb7X
ほんじゃまずはageようか
おはようage
518 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:14:23.18 ID:aX4I6dTF
519 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:14:53.21 ID:aX4I6dTF
ほこりっぽい風が吹く中を、二人で歩く。赤くすすけた月明かりで、でこぼこの石畳にぼやけた影が長く伸びた。
アオツキはおれが怒っていると思ったのだろう、神妙な顔をして、黙ったままついてくる。
好都合だ。
別に怒っちゃいないが、無駄話をする気分でもない。
正直なところ、どう説明したものか、おれは途方に暮れていた。
思考は堂々巡りだが、足はしっかり動いてくれたようだ。
あの忌々しい蝙蝠のねぐら亭にたどり着いても、時間はさほど過ぎていなかった。
例のおかみは下卑た笑いを引っ込め、代わりにどこか緊張した面持ちでこちらを窺っていた。
それはそうだろう、女が血まみれで戻ってきたと思ったら、間男が二人も押しかけてきたのだから。
しかも、後から来た方は別の女を連れているのだから。
マルトの部屋は案内されるまでもない。
「見舞いに来たんだ、すぐに帰るよ」
不審な来訪者を咎めようか見て見ぬふりをしようか迷っているおかみに声をかけ、おれ達は奥へと入る。
マルトの部屋をノックしてみたが、返事がない。扉に鍵はかかっておらず、中には誰もいなかった。
軽く思案に暮れていると、隣室の扉が開いた。顔を出したのはマティエールだった。
「やはりヒロ様でしたか。坊ちゃまでしたら奥の部屋におられます」
坊ちゃま? 後ろでアオツキがぼやくのが聞こえた。アオツキの事は"同じ来訪者だ"くらいに説明して、おれはルーファスの部屋の前に立った。
520 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:15:13.18 ID:aX4I6dTF
「ルーファス、いるか?」
何となしに扉を開くと、取り込み中だったらしい。
中にはルーファスだけでなく、マルトとラディールもいた。なんだ、全員いるんじゃないか。あ、いや、フルキフェルはどうだか知らないが。
マルトがおれの顔を見て気まずそうに口をぱくぱくさせ、すぐ諦めたように肩を落とした。咄嗟の言い訳でも考えたんだろうか。
早速告げ口かよ。おれが一瞥をくれると、マルトは尻尾を足の間に隠し、耳をぺたんと倒してそそくさと出て行った。
ラディールはというと、驚いたような呆れたような、憮然とした顔でおれ達の顔を交互に見比べている。
「来たな」
女連れで参上したおれを咎めるような顔つきのラディールとは対照的に、ルーファスは純粋に興味があるといった調子だ。
「ああ、道中問題はなかったか?」
「大ありだよ、参ったぜ」
両腕を広げて大げさに嘆息する仕草。そこで会話が止まる。
アオツキがいるからだろう、どこか仕草がぎこちない。おれが紹介しないから話しかけづらいんだろうか。
(ちょっと、紹介してよ)
アオツキが脇をつついて耳打ちする。うるせえな。
「自分でしろよ」
えー、なんで! ぶうたれる。
そんなやり取りを仲睦まじいじゃれあいと取ったらしい。ルーファスが肩をすくめる。
「仲がいいのはいいけどな、いちゃついてないで紹介してくれないか」
521 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:15:33.05 ID:aX4I6dTF
「いちゃついてない!」
アオツキが即答する。
「ネカマといちゃつく趣味はねーな」
言いながら、ある意味いちゃついてたと言えなくもないと気づく。
「だからネカマじゃないって! ボクは健全な女性キャラプレーヤーです!」
チャットならまだしも、実際に女の声で言われると頭がくらくらしてくる。
ぎゃあぎゃあ騒がれるのが面倒くさくなってきた。呆れ顔のルーファスと目が合う。
「これがルーファス、来訪者でおれの仲間だ。そんでこっちがアオツキ。バストゥークで知り合った、やっぱり来訪者だな」
「よろしく」
苦笑しながらルーファスが握手を求め、アオツキが慌ててそれを握り返す。
「よ、よろしくお願いします」
「何にしても、味方が増えるのは嬉しいよ」
いや、まだそうと決まった訳じゃないんだがな。
そんな話をしたら、今度こそ心底呆れられた。
522 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:15:55.45 ID:aX4I6dTF
「まあ、いいんじゃないか?」
事情と経過を聞いてルーファスが述べた感想は、こんなものだった。
寛容にもほどがあるだろ。
「さっきも言ったけど、味方は多い方がいい。俺達と一緒に行動して、じっくり見極めるといいよ」
そのまま、世間話や苦労話に入る。おれは開いた口が塞がらないといった心持で、阿呆面のまま二人のやり取りを見守った。
「さて、と」
ひとしきり話して話題も尽きた頃、ルーファスが切り出した。
「二人とも、少し外してもらっていいかな。おっかない人から預かったお小言を、ヒロに伝えなきゃならない」
パレーデ総領事の事だろう。早速お小言かよ、気が重いぜ。
「分かったわ」
「分かりました」
先ほどの世間話にも出ていた人物だから、特に訝しむ様子もなく二人が席を立つ。
「今日はありがとうございます。…カラミヤ君、外で待っていた方がいい?」
呼び方も変わってないし、言ってる事も全く腑に落ちない。
「てめーのモグハウスだろ、一人で帰れ。おれにはおれのねぐらがあるっつの」
あ、そっか。納得し帰りかけるアオツキを、ルーファスが呼び止める。
「ああ、アオツキさん。この辺りは治安が悪いから、よかったら今日はここに泊まって明日帰るといい」
大繁盛だな、蝙蝠のねぐら亭。
523 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:16:22.03 ID:aX4I6dTF
二人が出て行って、おれはルーファスに食って掛かった。
「いいのかよ、土壇場で足引っ張られたら、出来る事も出来なくなるぞ」
そもそもエルリッド奪回作戦自体の見通しも暗いというのに、爆弾を抱え込むなんてどうかしてる。
「彼女の気持ちも分かるしな。自分の中での道理に叶った事をしたいんだろ」
ルーファスはそれを受けて、返す。そりゃ誰だってそうだ。おれは口ごもる。
「それよりも、ヒロ」 ルーファスが身を乗り出す。
「彼女から目を離すな。ここまで関わったら、一人で泳がせておく方が危険だ」
どう危険なのかは言わないが、大体予想はついた。あいつ自身が裏切るとは思わないが、目をつけられる可能性はある。
いや、そもそも味方になると言ってはいないのだから、裏切りとは言わないか。
「とんだ策士だな。マンガジョブだと思ってたんだが」
「面と向かってマンガジョブとか言うなよ」苦笑し、「心配性なだけさ」
二人顔を見合わせて、笑った。
「で、何か分かった事とかあったら、教えてくれないか?」
粗末な背もたれに身を預けて、ルーファスが問う。
「ん、小言はいいのか?」
拍子抜けしたおれに、笑顔で返す。
「嘘に決まってるだろ。サヴィさんは文句があるなら直接言いに来るタイプだよ」
それは確かにその通りだ。小言があると言ったのも、ラディールを一緒に退室させたのも、込み入った話をする為の演出ってわけか。
「そゆこと」
フーコンファミリーかよ。
524 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/16(木) 13:34:13.24 ID:aX4I6dTF
PokotasoかわいいよPokotaso
まだまだアオツキさんといちゃつくであろうヒロさんにwktk
526 :
既にその名前は使われています:2006/11/16(木) 17:00:55.25 ID:hd7eNZkm
とうとう話が動き出しそうな予感age
527 :
既にその名前は使われています:2006/11/16(木) 20:29:04.84 ID:6f6TJiZM
age
528 :
既にその名前は使われています:2006/11/16(木) 23:36:08.07 ID:6UBD3VSD
ネタはないけど、とりあえず保守age
降り立ったウィンダスの空気は日本に似ていた。湿気を感じる空気と、温暖な気候。
目の前にいるタルタルを見てしまうと、たちまちそんな考えは霧散していったが。
その足で図書館へ向かってみると、思いのほか簡単に許可が下りた。
禁書の類まで見れることは期待していなかったので、当分は図書館に篭ることになるだろう。
ガードに話しかけてレンタルハウスを手配すると、さっそく半日を読書に費やした。
本の大きさと本棚の高さには閉口したが、それでも致命的なほどの問題ではない。
夜になった。いくらなんでも私の体が悲鳴を上げる。具体的に言うと、お腹が鳴った。
仕方がないので水の区にあるレストランへ向かう。NPCが言っていた設定どおり、少量だ…。
ついでにお酒も頼んでみた。現実世界に比べると不純物が見受けられて、あまり合わなかった。
きっとヴァナディールでお酒を飲むことは、もう無いだろう。
家に戻って、ノーブルに比べれば質素だが、私のベッドよりはやはり上等な寝台で横になる。
明日も本を読んでいたい。この世界の文字が読めることは幸いだと思いながら、私は眠った。
翌朝、ハウスの中にある噴水で顔を洗い、体を拭いた。この設備はありがたいと思った。
いい加減にローブの匂いが気になったので、ウィザードコートを着る。
ついでに帽子をかぶってみたが、あまりの似合わなさに、置いて行く事にした。
この国でエルヴァーンは目立つ。途中で英語でギルを要求されたが、頑張ってと告げて別れた。
今日も魔法に関して調べる。だけど目ぼしい記述は見当たらず、むしろ理論の難解さに驚いた。
午後、私はサルタバルタを歩いた。広い。本当に広い広大な土地が広がっていた。
風に薫る草の匂いを胸いっぱいに吸い込み、しばらく周囲を歩き回る。
魔法の本は魔術を使う時の助けにはなったが帰還の助けにはなりそうもなかった。
遠くにヤグードが歩いているのが見える。意思の疎通をしてみようとは思わなかった。
ふと、自分のホームポイントはどこなのか、という疑問が湧いてくる。
戦闘不能に陥れば戻れるのではないだろうか?試しに自分の頬を抓る。
…痛い。これでは自殺なんてする気にはなれない。
遠くで何かが叫ぶ声がする。見ればタルタルがクロウラーに襲われているではないか。
様子を眺めていたが、どうやら走って逃げているらしい。出血も見える。
ガードの居る所までの距離を考えると、きっと間に合わずに倒れるだろう。
私は、気づけばケアルの詠唱に入っていた。
戦闘は直ぐに終わった。クロウラーは私に襲い掛かってきたが、私の目前で砂礫によって死んだ。
タルタルも黒魔道士だったらしく、日本語で丁寧にお礼を言われた。
気をつけて、と返答したのが相手に伝わっている所をみると、どうやら相手にログで見えたらしい。
この事実は僅かながら私にとって希望を与えてくれた。現実と私が繋がっているのだ。
気をつけて、と私は無愛想にタルタルに別れを告げて、もう少し本を読み進めることにした。
そして私と同じような人がいたか、ということも調べることにした。そういう記述を捜し求めた。
結果として、そういった記述は見当たらなかった。私はその日の夜にウィンダスを去ることにした。
ガードとモーグリに話して、その日のうちにジュノへ飛空挺が出ることを知ったからだ。
特に急ぐ理由はなかったが今は睡眠なんてどうでもいいから、少しでも行動しておきたかった。
私は飛空挺下部の階段に腰を下ろし、流れていく景色を眺めながら自分について分析していた。
その結果、今の自分は自己分析してしまうほどに感情の起伏が失われている事に気づいた。
よく考えれば自分は虫が苦手だったような気さえしてきたし、もう少し気の利く人間だった気もする。
今は理不尽さに対する怒りも、孤独である悲しみも、枯れた泉のように私の心から湧いてこないのだ。
食事も満足にとっていない。向こうに着いたらレンタルハウスを借りて食事にしようと思った。
…そのまま寝てしまっていたようだ。旅人の一人が私を起こしてくれて、私は目覚めた。
ジュノに到着していた。空はうっすらと明るくなって、昼と夜の住人が往来を交差していた。
実際に歩くジュノは道に迷うほど広かった。ガードに道を尋ねながら、何とかハウスまで到着した。
食事は、やはりパン食にした。それをスープで流し込み、その日はずっと横になっていた。
モーグリが心配そうにしている。ただ飛んで回っているだけの印象は、既に無かった。
そして翌朝、体力を回復させた私はジュノを歩き回ることにしたのだった。
保守代わりに書き込みさせていただきました。
ねこ可愛いですね。
533 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 02:41:04.27 ID:0pyYmLWH
深夜の保守
534 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 07:46:32.78 ID:EUYMWZi1
おはよう保守
ガルカなら、上から下まで一品ずつ。ごめん嘘。
535 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 11:41:21.19 ID:eRdH658Z
>>534 どっかの二次創作サイトで見たなそれ。ガルカじゃなかったけどw
まあ保守
536 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 12:43:14.70 ID:qIkfYmxC
保守
537 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/17(金) 14:25:45.13 ID:xXxYbse1
引き続きageageファンタジーをお楽しみください
538 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 17:40:22.11 ID:MlB3KT7b
ヴァナにはミスラはいるがネコがいない
俺には耐えられない・・・
539 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 17:43:48.30 ID:GtZ8/wbC
キャットバグナウって武器があるくらいだから、きっといるお!(´∀`)age
Raging LionなんてNPCがいるくらいだから、ライオンだっているさ!
そして多分アンデッドじゃない普通の犬だっているさ!
540 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 18:00:45.91 ID:O0dshTnr
モンスターではない動物や虫は、背景としてならいるから
ギルド桟橋のフクロウとか、コンシュのバッタとか、アットワの空飛んでる鷹っぽいのとか。
アンデッドの犬も、区分としては腐犬なわけで、腐ってない奴がいるはずで・・
ネコは・・・
アサルトの海猫護送作戦てのがあって、その元となる鳥の
海猫はニャーニャー鳴く鳥のことで、つまりニャーニャー鳴く猫という生物が他にいるってことだったんだよ!
バス港のクエで、親方が犬飼ってたとかいう台詞があったからいるんじゃないの?hage
542 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 21:28:28.98 ID:O0dshTnr
そういやガルカの来訪者はいないんだっけかage
543 :
既にその名前は使われています:2006/11/17(金) 22:00:45.03 ID:RfFgMmHt
1スレからみるとかなりいたが話が続かずに消えていったようだ。
ガルカには邪気眼使いは少ないらしい。
544 :
既にその名前は使われています:2006/11/18(土) 01:12:41.94 ID:P35i3+7L
あのでかい尻尾をぶら下げて歩く感覚は気になるな
「なんだって!?帰る食事があるって!?」
「そうにゃ!図書館で見つけたんだにゃ!ママも食べたら、かえる〜とかなんとかいってたにゃ!」
このヴァナ・ディールという異世界に、いつの間にか迷い込んだ俺は、帰る方法を探していた。
ここウィンダスという国で仲良くなった子ミスラと話をしていたところ、ググリュートゥーナという魚を使う、
そんなメニューがあるらしいというのが分かった。
詳しいレシピを調べる前に漁師ギルドへ寄り、新鮮な魚を調達した。
さすがに生魚をもって図書館に入るわけにはいかないので、モグハウスに一度立ち寄ると。
「おさかなさんにゃ〜!おいしそうだにゃ〜!じゅるじゅるじゅるりッ」
「なぜここにいるッ!いや…それはいい…もう一度出掛けていくのに、魚は置いてくが絶対に食べるなよ!?」
以前、この子ミスラのおかげで現実世界に戻り損ねた記憶が蘇り、念入りに釘を刺した。
「わかったにゃ〜。戻ってくるまで我慢しとくにゃ〜!」
はつらつとした笑顔で返事をする子ミスラは何と愛おしいことか…いやいや、帰る方法を探さねば…。
図書館へ着くと、サンドリアから来たのだろうか、ここでは珍しいエルヴァーンの種族の人が魔道書を読み漁
っている。その横で料理の本を広げる自分のなんと情けないことか…ええい、ここは見た目を気にしている場合
ではない。次々と例のレシピを探して本を積み上げる。図書館に長居するなんて何年ぶりだろう…。
ようやくの末、目的の本を見つけた時には、既に日は暮れていた。モグハウスへ急いで戻ろう。
「おかえりなさいにゃ〜。夕飯作っといたにゃッ!」
どこから持ってきたのか小さなエプロンをした子ミスラが新妻のように出迎えた。かわいい…いやまて。
俺の視線の先に、子ミスラの向こうに、きれいに料理されたググリュートゥーナが見える…これは…。
「あー…食べはしなかったけど、調理しちゃったのね…」
「そうにゃ!一緒に食べようと思って、我慢して食べなかったにゃ!えらいにゃッ?」
待ってくれるなら、調理をする前から待っていて欲しかった…と言葉には出さず、ため息をついた。
もう一度子ミスラの後ろで美味しそうな湯気を立てているググリュートゥーナに目をやる…おや?これは…
「これってもしかして、この本の?」
と借りてきた料理本に指を差す。
「そうにゃ!将来お嫁さんになるから、料理はバッチリなのにゃッ!」
腰に手を当てて胸をそらす子ミスラ。誇らしげに頭にある耳も、ぴんと立っている。
よくやった!名誉挽回とはまさにこのことだ!
「えらいッ!将来立派なお嫁さんになるぞ!もう…」
俺の嫁にしたいぐらいだ!と言うのは流石に息を飲んで声にはしなかった。
「やったにゃー!ほめられたにゃー!さっそく一緒に食べるにゃー!」
テーブルに着きナイフとフォークを手に取ると、体に染み入るような、食欲をそそる良い香りがする。
これを食べ終われば、現実世界に戻っているのだろう。目の前の彼女と、このヴァナ・ディール最後の晩餐を
楽しむのも悪くは無い。一口ほどに切り分けられたトゥーナの切り身を口に運ぶと、上手く味付けされた魚の肉
が舌の上でとろりと溶ける。
慣れない所為か一日中図書館で本を読んでいた体は、酷く疲れていたようだ。言葉にするならこれは…
「そう…まさしく、生きかえるような味…あ〜…そういうことね…」
「おお!ママと同じこといってるにゃ!かえる味にゃー!」
それじゃあ、蛙の味みたいじゃないか、と思いつつも軽く泣きながら舌鼓を打った。
「まだしばらくヨロシク。ヴァナ・ディール」
1レス完結のはずが…まぁいいか。
>>545だけでも一応オチてるし、2レス目はおまけってことでw
よく喋る二人が出ると、どうしても話が長引く…。
というわけで
>>199の「帰りたい男」第二回目でした。
なにはともあれage
549 :
既にその名前は使われています:2006/11/18(土) 12:01:31.71 ID:PRw3V5nk
あげるんだぜ?
550 :
既にその名前は使われています:2006/11/18(土) 15:49:54.00 ID:P35i3+7L
Youそのまま嫁にもらっちゃいなよ
551 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/18(土) 17:31:25.68 ID:FfleiY35
膝の上の同居人、だったかという猫耳子供と暮らすゲームを思い出した。
さて、投稿した後に自分で書いた物語を反芻して読んでみたりするわけですが、
当たり前ですが自分の言葉の中でしか読み返せないので、今後の文章力向上を目的に
他の投稿者の方や、読んでくださっている方に添削のようなものをしてもらえるとありがたいです。
たとえば『ここの比喩表現はおかしい』とか
『ここの言葉は違う語彙のが良い』や『同じ単語を連続して使っててクドイ』とかそんな感じで。
保守上げついでに「今回の話はビミョー」とかでも結構ですので
辛口や屈託の無い批評歓迎しますです。
評価とかどうでもいいんじゃねどうせ誰も読んでないし
553 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/18(土) 19:36:29.55 ID:6rkM0GFs
>>552 うざいなお前グラットンスウィフトでバラバラにされたいのか?
読んでないとかいうくらいなら俺なら面白い話書くだろうな
俺、マッハ湯切りで100歩間違えてトイレに麺流すとか普通にやるし
ということで、抹茶氏は気にせずこれからもワクテカで寿命がマッハになる話を投下してください;
554 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/18(土) 19:37:23.45 ID:6rkM0GFs
抹茶氏じゃなくて緑茶氏すいまえんでした;
>>553 ふんふん
なら面白い話書いてみてよあの日のように
>>緑茶氏
んじゃ、気になった点を。まず三点リーダー「…」を使いすぎている。
空白や…を使わずに、間を表現する文章を書けると良いかも。
文章の順番がおかしく感じる場所が多く見受けられる。
>>546にある文章の
誇らしげに頭にある耳も、ぴんと立っている。
↓
頭にある耳も誇らしげに、ぴんと立っている。
の方が読みやすい文だと思う。
話自体の起承転結はしっかりあるし短編としては読みやすいと思う。
ネ実は意味なく煽る人が多いから真っ当な批評は少ないと思うが、
こんなレベルの指摘で良いなら、いつでもできますぜ。
指摘は他の人がしてくれてるから自分は緑茶さんの作品の中で好きなモノをあげてみよう。
やっぱりヘキサガンの女がいいな。キノの旅を少し思い出したりして面白い。
次点で帰りたい男。子ミスラ可愛いw
へきさがんはいいな
みじかくてよみやすい
ながいのめがつかれるな
新ジャンル『パシリ』くらいの短いの集合体みたいなの読みたいんだな
「むむむむむ・・・・う〜ん・・・何か違うにゃ」
大工房開発室にて私は苦戦していた。
復元した作品の仕上がりが微妙に違う気がするのだ。でも、何がどう違うのかが分からない。
あとちょっとで分かりそうなのだけれど。
「うう〜、この思い出せそうで思い出せない感覚・・・・・・
うああー!と、とりあえず部屋の掃除でもして気を紛らわせるにゃ」
とりあえず逃避。夏休みが終わりに近づくと、非常に部屋の模様替えをしたくなったのを思い出す。
もちろん宿題が終わっていなかったからなのだが。
「ん・・・・・・夏休みってなんだったかにゃ?確か、夏のお休み、ってそのまんなすぎる気がするにゃ?」
そもそもお休みなら宿題なんて無いような。うーん?
コンコン
と、またも思い出せないものを見つけて苦悩すると、ドアがノックされた。
「どうぞですにゃー」
返事をするとドアがバタンと開き、白い飛行生物―――モーグリが入ってくる。
「ご主人、お弁当届けに来たクポー」
「モグリン、ナイスタイミングにゃ!」
というわけで、私はモグリンと一緒にお弁当を食べながら『夏休み』とはいかなるものかについての議論を―――
「いやいやいや・・・そうじゃ無くって、大事なのは復元作業が滞ってるほうだったにゃ」
そう言って私はお弁当を食べるために部屋の隅にどけたモノを指差す。
ハンドルにペダル、そして2つのタイヤがついた乗り物―――自転車だ。
「ご主人、コレは本当に自転車クポ?モグが前に見たのとちょっと違うクポ」
「うんうん、やっぱりどっか違うのにゃ・・・って、モグは自転車覚えてるにゃ?」
モグリンはコクリとうなずく。
「前にご主人様にお弁当届けに来た時に見たクポー」
「ふむふむ、にゃるほど。
モグリンは普段モグハウスにいるから、大工房を赤鎧に襲撃されたときに記憶を消され無かったぽいにゃ。
そしてこれは好都合!モグリンに間違いを指摘してもらえば自転車の復元作業がスムーズになるにゃ!」
「モグリンにおまかせクポー!」
クルクル元気に回り出した彼はその回転の勢いを緩めず、回りながら自転車の周囲を移動して調べる。
「ふむふむ、むむむ、クポポポポ・・・」
回り続けながら唸るモーグリ、何か発見でもあったのだろうか。
「モグリン、どうにゃ?どこが違ってるか分かるにゃ?」
私がそう尋ねるとモグリンの目がキュピーンと光り、パイプを取り出してふかすマネをする。
「名探偵モグリンにかかれば解けない謎は無いクポ・・・まずは、コレ!」
そう言って彼は自転車の後輪を指差すが、私にはどこがどう違うのかさっぱり分からない。
「ココのどこが違うにゃ?」
「モグが見た時は後ろの車輪は1つだけだったクポ。3つじゃなかったクポ。
つまり・・・補助輪なんて無かったクポー!!」
そう言われて衝撃が走る。た、確かに!
「そういえばそうにゃ。子供のころのなつかしい思い出でつい付けてしまったにゃ!」
近所の店の広い駐車場で自転車の練習をしたのを思い出す。
自転車の補助輪の偉大さは当時幼稚園児だった私の脳に深く刻まれているのだ。
「次はここクポ!ここには確か『サドル』って言う座るための台がついていたはずクポ」
「あああ!こ、子供のころ、自転車のサドルだけ盗まれた時の記憶が強烈過ぎて・・・
ところで犯人は何でサドルなんかを取るんだろうにゃ?」
やっぱりただの愉快犯だったのだろうか?それともやむをえない家庭の事情でサドルが必要になったとか。
「うーん・・・」
サドルについての思考がめぐり始めるが、結論が出ないままモグリンが次の指摘に入る。
「とりあえずサドルの次はここ!ペダルクポ!」
彼の言うとおりにペダルを見るが特に変なところは無い。
「このペダル、モグの足じゃ届かないクポ!」
「あ、ごめん。それは仕様にゃ。ヒュームサイズで作ってみてるにゃ。ていうか前回もこのサイズだったにゃ」
「ううう〜、モグも自転車乗りたいクポー!!」
どうやらこれはただ単に自転車に乗りたいと主張したかっただけらしい。
今度、タルタル・モーグリサイズの開発でもしてあげよう。
「考えておくにゃ。他に変なトコロはあるかにゃ?」
「えっと・・・このハンドルのところに手で引くレバーが無いクポ!アレが無いと『カミカゼトッコウ』になってしまうクポ!」
無いと神風特攻になるレバー・・・・・・ブレーキか!
「ブレーキを忘れるとは一生の不覚にゃ・・・・・・というか、いくらなんでも忘れてる箇所が多すぎる気がするにゃ!」
「確かにクポ。ご主人は物覚えはけっこう良かったし、リアルのことはしっかり覚えてて、モグにたくさん話してくれたクポ!」
「むむむむむ・・・・・・これはもしや、何か大変な事が起こってるにゃ?」
赤鎧を撃退してからの自分を思い出す。
そういえば、レグナスが何か言ってたような。
確か、ヴァナのキャラとリアルの自分の魂が混ざるとか、侵食率は経験値に比例するとか。
「・・・まさか!今の私のレベルはいくつにゃ!?」
慌ててポーチの中に手を突っ込み、冒険者証明書カードを取り出す。
そこには赤魔導士41レベルと書き込まれていた。
「れ、レベル41!フェイトの襲撃前は23だったから・・・もしかしてあの一晩で18もレベルアップしてるにゃ!?」
「ご主人すごいクポ、おめでとうクポ!これなら1週間でレベル75も夢じゃ無いクポ!!」
レベルアップを祝福してくれるモグリン。けれど私としては喜んでいられる状況では無い。
「い、いったいどれぐらい忘れてるにゃ?か、確認するにゃ!
リアルの自分の名前OK、家族の名前OK、住所年齢氏名性別趣味仕事OK、日本の首相は・・・スズキムネオ?
政治経済は置いといて日本地理は・・・千葉滋賀SAGA・・・オオグンタマ?
はうあっ!都道府県が半分くらい思い出せないにゃ!!」
必死で思い出していくが、記憶のいくつかがボンヤリしていてハッキリと思い出せない。
これがアルツハイマー病か。ついに私もボケて・・・・いやいやいや!
「待て待て待つにゃ!素数を数えて落ち着くにゃ。2,3―――よん?
じゃあアレは?ラーラーラー言えるかな♪ポケモンの名前ー♪」
1曲歌ってみる。
ピ力チュウカイリューヤドランピジョン♪――――
・・・・・・うん、完璧だ。歌い終えるとモグリンが拍手してくれた。って、
「うわああ!!151匹全部歌えて都道府県の言えない見事にダメな子完成にゃあああ!!」
そ、そういえば以前の俺よりも性格がノリノリというか子供っぽいような。
もしかしてこれがMekiの素か!天然なのかマイキャラよ!!
「このままだとノリツッコミ習得も近いにゃ!って習得してどうすんにゃ!はうぁっ!」
今この瞬間にノリツッコミ習得。目指すはヴァナの芸人か!どうせならアイドルがいいのに!
「ご、ご主人大丈夫クポ?とりあえずこのポーションを飲んで落ち着くクポ」
突如取り乱して暴走をし始めた私にモグリンは戸惑いながらもポーションを渡す。
「あ、ありがとうにゃ。・・・うわマズッ!」
それを受け取った私は即座に一気飲み。そして口の中が嫌な味に染まっていく。
とりあえず、コレだけは確実に思い出した。
リアルもヴァナも、同じくらいポーションはマズかった。
投下終了です。今回は設定汲み取り編かな?
>>490 読んでくれてありがとうございます。
私も虎さんの作品の続きを楽しみにしています。
>>502 GMの外道で悲しい話ですね・・・次はいったい何を見せ、語るのか
>>509 ようこそ、ヴァナへ。現実への帰還を目指してがんばりましょう。
>>513 作者のがんばり次第でいくらでも主役を張れるはずっ。
>>487 >>519 いよいよ動き出しそうな物語ににwktkですね。
>>547 子ミスラ可愛いですw
566 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/18(土) 21:21:35.76 ID:6rkM0GFs
>>555 時既に時間切れ。
お話が停滞している間に自然消滅した天の塔の雑魚がいた。
そうか
あの日のように書いてくれると思ったのに残念だ
568 :
既にその名前は使われています:2006/11/18(土) 21:30:20.52 ID:80lMTD+x
あの日ってどの日?
あの日か
あの日はとても強い嵐が来ていてな
そうそう家なんか吹き飛んじまうんじゃないかってくらい風がふいてたさ
そんな嵐の中やつはロンフォールにある羊小屋が吹き飛んでしまわんように押さえいってくるといいだした
おれはとめたさ嵐の中で回るなんて危険だもんな
けどやつは何か飛んできてもハイスラで防ぐとか分けわからんこと言ってでていったさ
>>569 なんだかMMRの話が読みたくなりました
気のせいかな
まあ次の日嵐が収まってから羊小屋とやつの様子を見に行ったら小屋は全壊してたさ
でもまあ不思議なことにやつの姿はどこにもなかったね
すでに家に帰ったのか思ってやつの家にってみたが帰った気配なくてな
そのままやつが姿見せることはなかったんだ
572 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/18(土) 22:10:04.30 ID:6rkM0GFs
お話を残念なことに停滞しまくったせいで深い「今更感」が俺を襲うので続きを書くのをキャンセルした
「天の塔の雑魚がいないヴァナに未来はにい」っぽい意見が有頂天になれば新規かつづきでお話を書くのは確定的に明らか。
しかしニーズがあるかわからない系の予想なのでもうダメ
あの日以来
雨が降る日に人が消えるってことがおき続けてな
騎士団様が捜索にあったったりもしたんだが誰一人見つからなかった
それどころか捜索活動してた騎士も消えたりしてな
どうにもならないってことで捜索は中止
それからこの街じゃ雨の降る日には家から出ちゃいけないって法ができちまった
あんたらもこの街に滞在するんなら雨が降る日に外でちゃいけねえぜ
574 :
既にその名前は使われています:2006/11/18(土) 23:35:17.55 ID:bn5FMKrh
あの日・・・か・・・。ちょっと書いてみるw
ノーグに行こうと思ってテレポヨトをした後、のんびりとユタンガを歩いていたんだ。
だけど突然スコールに降られたから、びしょ濡れにならないうちにアウトポスト前の穴に落ちて、
洞窟で雨宿りをしようとしたのだけど、穴に落ちる際に濡れた岩で足を滑らせて足をくじいちゃったんだ。
ズキズキ痛む足を抱えて丸く切り取られた灰色の空を見上げてみると、ふと、とてもとても昔にもこんなことがあった気がしたんだ。
あの日、おてんばだったあたしは近づいちゃいけないって言われた井戸のある空き家に友達と忍び込んで、
好奇心の赴くままに井戸を覗き込んだんだ。
そして、そのまま枯れ井戸に落ちて足をくじいて・・・痛くて不安で恐ろしくて、あたしは泣きながら少しずつ暗くなってゆく灰色の空を見上げたんだ。
でも、私のその思い出だとその後あたしはそのままずっと足が動かなくなっちゃっうの。
ほら、今はまだ少し痛むけど、あたしの足はちゃんと動くのにね。変な思い出でしょ?
上手に思い出せない空き家の風景、上手に思い出せない友達の顔、そして上手に思い出せないおてんばだったあたしと、動かない足を抱えて一人で泣くあたし。
この、あたしじゃないあたしの思い出は、なぜかあたしを酷く不安にさせるのだけれど、そんな事は今はどうでもいいや。
今、あたしの周りには毎日思い出を作ってくれる風景が、今すぐ顔も声も思い出せる素敵な友達が、そしてなによりも、自由に歩きまわれる足があるのだから。
過去なんかどうでもいいって思わせてくれる素敵なものが周りにあるだけで十分じゃない!
あ、いつの間にか雨がやんで、さんさんと綺麗に微笑む太陽が顔を出してユタンガの丸い空に珍しい虹の橋をかけている。
その空にしばらく見とれてから、オートリジェネで全く痛まなくなった、元気な足で立ち上がり、一歩踏み出す。
そしてあたしは、少しだけセンチメントな気分に浸りながら一歩一歩を楽しむように、水溜りをブーツで踏みつけていった。
575 :
既にその名前は使われています:2006/11/19(日) 01:46:12.68 ID:CFWwuuUx
age
576 :
既にその名前は使われています:2006/11/19(日) 02:00:56.87 ID:WuJhMp0r
微妙に邪気眼が。
素数数えられないのは恋をしたからだ!というのはダメか!?w
ちなみに某氏によると発情期のミスラは男の数倍のパワーがあり、逆らうと【危険】なのだそうです。
(343)
ヒロはじろりとマルトを見ると、そのまま遠慮した素振りも見せずに部屋の中に入ってきた。
入れ替わりでマルトが部屋の外に出る。
何を言おうとしたが知らないが、内容はヒロのことらしい。
取りあえず後でそれは聞くとして、俺の興味はヒロと同様全く遠慮なく部屋に入ってきたヒュムの女に移っていた。
失礼にならない程度に少し眺めて、間違いなく俺の顔見知りではない事はわかった。
だとすれば、リンクシェルで話したときにマルトが言ってた彼女って訳だ。
「来たな」
俺はそう言って笑顔を作った。出来るだけ場を緊張させたくないという配慮だったのだが、ヒロはそれを気にする様子もなく話を続けようとする。
「ああ、道中問題はなかったか?」
「大ありだよ、参ったぜ」
おどけたように返事を返すが、このヒュムがいるこの場所でどの程度の話をするべきか判断がつきかねていた。
やがてその微妙な空気に気がついたのか、ヒュムの女がヒロに小さく耳打ちした。
「自分でしろよ」
「えー、なんで!?」
傍目にはイチャつくバカップルにしか見えないが、わざわざ紹介しろと言っている(っぽい)あたり、俺たちに同行するつもりでいるらしい。
(344)
「仲がいいのはいいけどな、いちゃついてないで紹介してくれないか」
「いちゃついてない!」
ヒュムの女が叫ぶような声ですかさずそう言った。
「ネカマといちゃつく趣味はねーな」
なんとなく想像はついていたが、やはり俺たちの同類らしい。
「だからネカマじゃないって!ボクは健全な女性キャラプレイヤーです!」
ネカマはみんなそう言うんだよ、という皮肉は飲み込んでおいた。
しばらくイチャイチャしている様を監察していたが、やがてヒロがウンザリしたような表情で俺を一瞥すると早口でまくし立てるように紹介を始めた。
「これがルーファス、来訪者でおれの仲間だ。そんでこっちがアオツキ。バストゥークで知り合った、やっぱり来訪者だな」
「よろしく」
相変らず笑顔を浮かべたまま、握手をする為に手を差し出した。ラディールの視線が痛い気もするが、ここは気付かないふりに限る。
アオツキと紹介された女性は慌てて手を差し出し、俺の手を握った。
手は随分と小さく、全体がやわらかい。少なくとも武器を持って戦ってきたと言う手ではない。
「よ、よろしくお願いします」
その言葉に、少しだけ口角を引き上げて答えた。
(345)
「何にしても、味方が増えるのは嬉しいよ」
こうまであからさまな社交辞令を言ったのも久々な気がするが、アオツキの表情は若干和らいだようだ。
「まだそうと決まった訳じゃないんだけどな…」
ヒロがため息混じりにそう言い、ここ数日の行動やアオツキとの馴れ初めについて話し始めた。
延々と続くヒロの話を半分聞き流しながら、俺はアオツキの立場について考えなければならなかった。
先ず、ヒロと接触して一緒に行動している時点で色々とアウトだろう。
サンドリアで出会った3人組のように、この世界に馴染んで無事に過ごすと言う選択肢はもう無い。
後は殺されるか攫われるかの2択だ。
何より、そういった思慮が欠片もなさそうなコイツに引っかかったのが運の尽きと言っていい。
いや、思慮がないと言うより人が良すぎる。嫌な顔をしても結局受け入れてしまうタイプだ。
こんな事を考えながら、相変らず笑顔でヒロの話を聞いていられるのだから我ながら不思議なものだ。
一通り話が終わると、ヒロは俺に意見を求めた。
是非も無い。既に手遅れなのだから。
「まあ、いいんじゃないか?さっきも言ったけど、味方は多い方がいい。俺達と一緒に行動して、じっくり見極めるといいよ」
(346)
「さて、2人とも少し外してもらっていいかな。おっかない人から預かったお小言を、ヒロに伝えなきゃならない」
ラディールの方は既に色々と察しているらしく、立ち去ろうとする前に僅かに視線を合わせて、肩を竦めて見せた。
俺は首を軽く振って答え、アオツキの方に向き直った。
「今日はありがとうございます。 …カラミヤ君、外で待ってた方がいい?」
カラミヤと言うのは、確かヒロが最初に名乗った時に言っていた氏族の名前だったか。
しかし、この会話はどう見ても彼氏彼女のそれだ。しかも初々しい感じがしてこっちが恥かしい。
「てめーのモグハウスだろ、1人で帰れ。俺には俺のねぐらがあるっつの」
「あ、そっか」
改めて、コイツは何もわかってないと言うのを再認識した。
「あぁ、アオツキさん。この辺りは治安が悪いから、よかったら今日はここに泊まって明日帰るといい」
どうせ領事館の経費で落ちるから、と付け加える。
ラディールがアオツキをドアの外へと促し、ドアが閉められたのを確認してから俺はヒロの正面に座った。
「いいのかよ、土壇場で足引っ張られたら、出来る事も出来なくなるぞ」
「彼女の気持ちも分かるしな。自分の中での道理に適った事をしたいんだろ。それよりもヒロ…」
「彼女から目を離すな。ここまで関わったら、一人で泳がせておく方が危険だ」
ほとんど聞き流していたが、それでも原因がヒロにあるとも言い切れない事はよく分かった。だが彼女をここに連れてきたのはコイツの責任だ。
582 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/11/19(日) 02:23:46.37 ID:CFWwuuUx
以上です
583 :
既にその名前は使われています:2006/11/19(日) 05:56:22.79 ID:WuJhMp0r
サンド組のいいとこは普段忙しいルーファスさんペースに合わせて、
ルーファス不在時は独自物語ガンガン作ってるとこだな。
足並み合わしてるからトリオ解消にならん。
584 :
既にその名前は使われています:2006/11/19(日) 10:42:36.70 ID:CbWU3wyX
トゥーリア緊急浮上!
`‐、ヽ.ゝ、_ _,,.. ‐'´ //l , ‐'´, ‐'`‐、\ |
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ く
,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ // わ
i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./
` ー==--‐'´(__,. ..、  ̄ ̄ ̄ i/‐'/
i .:::ト、  ̄ ´ l、_/::| っ
! |: |
ヽ ー‐==:ニニニ⊃ !:: ト、 !
586 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/19(日) 15:30:08.52 ID:auT3dls3
皆様、投下乙でございます。
保守いたします。
587 :
◆35//hs0Y0Y :2006/11/19(日) 16:49:41.73 ID:zlvji8+a
ageokageok
∩(・ω・)∩
早く続き読ませれhage
皆様投下お疲れ様です。
自分もやっと時間が取れたので書き上げたものを投下しておきます。
なんか暫く書かないと書き方すらよく思い出せない=□○_
「ところでご主人様、これ何クポ?」
「なんだ?やぶからぼうに」
今日の仕事が大方終了して、ベッドの上で一日の疲れを癒しているとモーグリが話を振ってくる。
モーグリの手には薄いプラスチック製の板が握られている。ラベルには『作業用』と。
「あー、MOディスクか」
「えむ、おー?なんかボスの名前っぽいクポね」
「マニアックだな。まぁ簡単に言うとその中に本がギッシリ詰まってるみたいなもんだ」
「ふーん……便利クポね」
「問題は、普通の人はMOなんて使わないって事なんだがな」
大抵CD−RWとかだしなぁ、と漏らし天井を仰ぐ。
記録媒体としては容量もそこそこあるし、FDと同じように使えるから便利なんだけどなんで
いまいち普及してないんだろうか。
そんなリアルの事をふと思い出して
「ちょっとまてえええぇぇぇぇぇ!!」
ベッドから飛び上がり、中空にふよふよ浮いていたモーグリのその手からMOを奪い取るトラ。
「ね、寝っ転がった姿勢のまま跳躍をクポ!?」
「だからなんでそういうネタ知ってるんだよお前は。っていうかこれどっからもってきた!?」
「どこ……って、そのノーブルベッドをモグハウスから移動させるときに見つけたクポ。ご主人様が
リアルから持ち込んだんじゃないクポ?」
「え?あ……」
『来訪者は3つまで、リアルの物品をヴァナ・ディールに持ち込む事ができる』
そういえばすっかり忘れていた。
ヴァナに来てからというもの、黒ローブの襲撃やシャントット博士の小間使いや家事で忙殺されて
いて思い出しもしなかったが俺もこの世界にリアルから持ち込んだモノがあるようだ。よく見ると
このMOも仕事で使っていた奴をたまたま自宅に持ち帰っていたもののようだ。
ともあれ、3つまでというからには後2つあっても不思議じゃないんだ……
「よし、正直に吐けモーグリ。他には何があった?」
「他クポか?えーっと……」
いわれてモーグリは自分専用のタルタルスツールを漁りはじめる。
「あれー?どこにしまったクポ?」
「知らんわ。っていうかなぜ俺に言わずに仕舞いこんでるんだお前は」
トラフィックのツッコミにも、モーグリは「無いクポ無いクポ」と呟きながらシカトしている。
やっぱりコイツは一度みっちりと教育してやらなければならないらしい。
「あ、あったクポ!」
教育用のブラックジャックを探していると、背後から能天気な声が上がる。
「これクポ!」
ほれほれと手にしたそれを見せ付けてくる。
「……タバコのカートン?」
モーグリが取り出した長方形の赤い物体には「Marlboro」という文字がプリントされていた。
「そういえばこの世界ってタバコあるのかな?」
「聞いたこと無いクポね」
「そうか」
至極残念だ。
「まぁ後々時間が出来たらそれっぽい材料集めてクリスタル合成してみるとして……これで終わり?」
「えーと、後はこの本クポね」
「本?」
モーグリが最後に取り出したのは、一冊の雑誌だった。そして本のページをめくり
「ご主人様」
「なんだ?」
「何故この本に載ってるヒュームの女性達は裸なのクポ?」
「イヤアアアアァァァァァ!!見るな!見るなぁぁぁぁぁぁ!!」
どうやら俺は持ち込んではいけないものを持ち込んだらしい。
「あれ、ミスラの女性も載ってると思ったらこのミミと尻尾は作り物クポね。こっちの女性はなんか
紺色のぴっちりした服着てるクポね。風邪引かないクポ?」
「じっくり読みふけるな!あとそれ寄越せ!」
しかも相当マニアックな本のようだ。
「ダメクポ。まだ読み終わってないクポ」
本をひったくろうとしたその手をパシッと払いのけると、モーグリはトラフィックの手が届かない
高さまで浮かび上がってさらに本を読み始める。
「色んな格好した女性ばっかり載ってるクポね〜この本」
「止めてぇぇ!それ以上俺の尊厳を汚さないでぇぇぇぇぇ!」
半ば泣きながら手近にあったコアスブーメランを振りかぶり、力いっぱい投げる。
「クボファッ!?」
トラフィックの遠隔攻撃→モーグリにクリティカルヒット!
「イエス!」
小さくガッツポーズ。ブーメランをみぞおちに食らったモーグリは見事に撃墜されて床の上で
のたうちまわる。
「悪いなモーグリ。だがこれもお前が男の神聖な領域を侵したが故の結果……」
「い……言ってる意味がわからないクポ……」
「いずれ時がくればお前にも意味がわか」
バタンッ!
「ちょっとトラフィック、今何時だと思ってますの!?」
トラフィックの言葉を遮って現れたのは、言わずと知れたシャントット博士。しかも寝巻き姿
でのご登場だ。どうやら騒ぎすぎて起こしてしまったらしい。かなりご立腹のご様子。
あ、いやこれはちょっとモーグリに教育的指導をですね」
「おだまり。理由はどうあれワタクシの睡眠を邪魔した罪は……あら、なんですのこれ?」
シャントットの視線の先には……さきほどの本。
「見慣れない様式の本ですわね……」
「あ、それは……!」
静止しようとするも、シャントットは素早く本を拾い上げ目を通し始める。
「…………」
ぺらり、ぺらりとページをめくる音だけが室内に響く。
どれくらいそうしていたか、ページをめくる音だけが響く室内でトラフィックはただただ無言のまま
立ち尽くしていた。そしてその時間は10分か、1時間か。正直時が止まっていたとさえ思えた。
ややあって、シャントットはぱたりと本を閉じる。
「変態」
「キャアアアァァァァァァ!!」
その日以降、トラフィックがシャントットに名前で呼ばれる事は無くなった。
以上で今回は終了です。
改めて見返してみるとやっぱりなんか文章がおかしい( ´・ω・`)
連日5時間↑残業の後遺症だということにしておきますorz
いやまぁ稚拙な文なのは今に始まったことではないんですが。
仕事でもないし勢いあれば何でもいいよって高山局長が言ってたよ
597 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 00:30:33.25 ID:y1iFt/pa
あげ
598 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 00:31:48.79 ID:8Y7Sgpvt
トラたんカワイソス(ノ∀`)
高山局長って誰だ…w
599 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 02:39:17.71 ID:5yQrZcZ0
Maiku:おいおいボブ、なんだか今日は随分落ちるのが早いじゃないか
Bob:このごろ寒くなってきたからな、冷えると地上に落ちて来るんだよ
Maiku:Oh!ボブ!それはこのスレが空気みたいな物だって言いたいのかい?
Bob:違うんだマイク!俺のレッドホットチリペッパーで一気に暖めてやろうって話なのさ!
Maiku:そいつはゴキゲンだ!さっそく、久しぶりにお前のレッドホットチリペッパーを見せてくれよ!
Bob:OK!良く見てるんだマイク!俺の股間の剣が天をつくZeeeeeeee!YaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaHaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!
パタ…
Maiku:Oh,no.... ボブ、タバスコ3瓶はかけすぎだよ…
600 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 06:43:15.95 ID:hI79gpaw
く、クレイジー
601 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 12:02:31.09 ID:9hCCT7md
タバスコが勿体無い
602 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 14:10:05.65 ID:z6BnzhOp
そして懐も寒くなるというわけですね。
皆様投下お疲れ様です。
保守をかねて一方その頃。ほんとはもう少し追いつきたかったのですが…。
バストゥークくんだりまでやってきて、僕は一体何をしているのだろう?
書類の山に囲まれ、領事のサイン代わりだと持たされたスタンプを書類に押しては、
処理済み書類の山に重ねながら、ふと、そんなとりとめのない事を考えた。
九十度となりではパレーデ領事が、同じように書類に次々とサインをして山から山へと片付けている。
領事殿がためにためた書類を片付ける。ルーファス殿…いやいや、ファーロス様が領事館員として
今回赴任してきたからには、それを手伝うのは当然の事。
そして僕も今回は上級近衛騎士ではなく、ファーロス様の従士ということにしてついてきたのだから、
主の仕事を手伝うのもまた当然のこと。うん、おかしくない、おかしくないぞ。
問題は、その片付ける書類の量だった。
冒険者のランクとしての近衛騎士というのは正直いって名誉職みたいなものだから、
僕自身はこういう事務処理の仕事にはあまりなじみがない。
だからといって、こんな書類のため方がまったくもって非常識だという事くらいは分かる。
まったく…早いところあの子を探しにいかないといけないのに…。
とはいえ、さすがに目に見えて未処理の書類は減っていた。
バストゥークの役人が、役人にしては柔軟な対応を見せたことも幸いだった。
ブレスドブリオーのフードは、普段はかぶるものではない。
僕がわざわざそれをかぶって現れたことをラディールさんは多少訝しんだようだったが、
ルーファス殿がそれとなくとりなしてくれた。
やはり本質は聡明な男なのだろう。あの問いはやはり何かの気の迷いだったのだ。
処理すべき書類の全てが片付いて、帰り支度を始めた頃、月は中天へとかかっていた。
階下の鍛冶ギルドからずっと聞こえていた金属を打つ音は、いまだ止まない。
僕らもたいがいではあるが、こんな時間までよくやるものだ。
ルーファス殿がパレーデ領事から何かを受け取っている。良く見ればどこかの鍵のようだ。
「明日は遅めで構わないから、ゆっくり休んでくれ。ただマティエールとラディールは朝から来るように」
「いや、それよりも宿舎はどこに…」
「宿舎はあるが、君らのような大人数が泊まれる場所は無いな。
鉱山区の宿を使ってくれ、経費はこちらで持つ」
…ということは、レンタルハウスは借りられない? …いや、まだそう決まったわけではないか。
ふたりで詰め直した鞄の中身について反芻する。できれば、あのまま行くのは避けたいところだ…。
僕の懸念など知る由も無く、領事はルーファス殿に後は任せたとばかりに去っていく。
「…とても貴族の振る舞いじゃねぇなぁ、ありゃ」
「それはルーファスの言えた事じゃないわね」
その後姿を眺めて、ルーファス殿が肩を竦め、
ラディールさんはそんな彼に呆れたかのように首を振って見せた。
道すがらあの子の大まかな居場所でも絞ることにしよう、そう思って流れに意識を沿わせる。
先に立って歩き出すルーファス殿の気配を顕界での道標と定め、
あとは薄く広く、自分を引き伸ばしていく…その途中。
「坊ちゃま… "こうもりのねぐら"に急ぎましょう」
不意に横合いから聞こえたマティエール老の緊迫した声に、僕の意識は引き戻された。
思わず、邪魔をするな、と文句を言いそうになり、その表情に慌てて口を噤む。
「どうした?」
ただならぬ雰囲気に、ルーファス殿が表情を引き締めて問う。
「マルトとヒロ様が襲撃を受けたそうです」
その言葉に、全員が鉱山区の方角を見やった。
昇降機は、まだ階下に留まっている。
「…いや、そもそもどうやってマルトから知らせが届いたんだ?」
昇ってくる昇降機をじりじりと待ちながら、ルーファス殿がそんな問いを口にする。
「こちらでございます。リージョン内でしか使えない旧型ではございますが、
中継地点で盗聴されるリスクが少ないのが利点ですな」
「そういう便利な物があるなら、どうして先に言わないかね…」
ルーファス殿の愚痴を受け流しながら、マティエール老が取り出したその小さな珠を見ていると、
ほんの少し昔の事が思い出された。あの男に歪められてもなお、
僕が未練がましく握り締め、あの子が塵へと返し解き放った、穏やかな日々のかけらが。
昇降機が定位置に収まるのを待たず飛び乗る。
そんな事をしても、動き出すまでの時間は変わらないのがもどかしい。
「多用すれば、如何な中継地点が無いとは言え盗聴される可能性がございます。
何しろ、相手が相手でございます故…。」
「しかし、こちらの動きは結局筒抜けです」
目を付けられてさえいなければ、意味を成す有効な対策だった。
現行型のリンクシェルと違い、ログを得るまでの手続きが煩雑になる事は確かだが、
一旦捕捉されてしまえば同じことだ。僕はかつて、それをイヤと言う程思い知らされた。
この旧型リンクシェルの存在自体はまだ露見していない、そう思いたいけれど…。
「筒抜けだったのはこちらではなく、ヒロ様のようで…」
僕の懸念が表情に出てしまっていたのを見てか、マティエール老がそう言いながら苦笑を浮かべる。
「とりあえず、二人とも無事なんだな?」
ルーファス殿がそう問うたとき、昇降機が地階に着いた。
走り出しながら、マティエール老が頷く。
一瞬安堵しかけたけれど、これからも無事とは限らない。急がなければ。
商業区と言えど、深夜ともなれば人影はまばら。
そんな中を血相変えて急ぐ集団があれば、さぞや目立つだろうと思ったけれど、
生憎それを指摘する余裕を、残念ながら僕は持ち合わせていなかった。
ルーファス殿が先ほどのパールを耳につけ、何事かを向こう側の相手に語りかける。
相手はマルトさんだろうか。しばしのやり取りの後、怒鳴りつけるような声。
「……それと…、ヒロ! 聞こえてんのか!!?」
どうやら一緒にいるらしい。けれど、呼びかけた彼の纏う雰囲気がどんどん険しくなっていく。
「ったく、あの馬鹿は…!」
ルーファス殿は毒づきながらパールを外し、懐に仕舞い込む。
「もう寝てたりしてね」
「何考えてんだ、あいつは!」
場を和ませようとしたのかも知れないラディールさんの言葉も、
苛立ちを増す役しか果たさなかったようだった。
そんな事より、体が重い。
炎水の広場を通り過ぎる頃から感じていた違和感は、
鉱山区へと入る頃になって、はっきりとした苦痛となって僕に圧し掛かっていた。
いつもであれば苦にならないような距離なのに…。
口と言わず皮膚と言わず、あらゆる箇所を抉じ開け、切り裂いて出て行きたがる黒い流れ。
奥歯を噛み締めて堪え、立ち止まって背中に落ちていたフードをかぶり直し、
僕は少し先を行く三人の背中を追いかけた。
ツェールン鉱山方面と錬金術ギルド方面へと分かれる道を左へと曲がり、開けた道を進む。
小さなゲートの向こう側、鉱石通りの二階に軒を構える宿屋の前で、
三人は僕が追いつくのを待っていてくれたようだった。
急を要するところだったというのに、それを申し訳なく思う。
僕がたどり着くかつかないかの所で、ルーファス殿が勢いよく宿屋の扉を開く。
客というよりは何か、ガサ入れに入る神殿騎士を思わせる動きに、
不謹慎ながらもそれが少し可笑しく思えて、気が紛れた。
その後に続けてぞろぞろと宿屋に入り、僕が後ろ手に扉を閉めたときには、
ニコニコしながら空き部屋を案内する女将さんの姿があった。
鍵を持ち出して、部屋を案内しようとする彼女を、ルーファス殿が呼び止める。
「ミスラの娘が一人、ここに宿を取ってるって聞いたんだが」
「あの娘、お連れさんかい?ちょっと前に血まみれで戻ってきたようだったけどねぇ…」
「部屋は?」
「あぁ、その奥にある部屋だよ」
女将さんの返答を聞くが早いか、駆け出すルーファス殿。僕たちもその後に続いた。
目的の部屋の前に着く。彼の手はまっすぐドアノブに伸び、ためらう事も無く扉を開けた。
そういえばこの人、シュヴィヤール邸でもノックしないで扉を開けてたな…。
あんなあり得ない悲鳴を上げたあの子もあの子だけど、
出奔していたとは言え、貴族の人がそんなことでいいんだろうか?
「よう、大丈夫か?」
ルーファス殿がそう声をかける部屋の奥には、案の定無防備なマルトさんの姿があった。
嗚呼、お約束。僕は居たたまれなくなって、フードを深くかぶり直して窓の外へと目を逸らした。
そういえば、ヒロさんはどこに? ルーファス殿が先ほど毒づいていたのは、この不在の事だったんだろうか。
じんわりと嫌な予感が頭をもたげてくる。
「お待たせしました…もう大丈夫です」
遠慮がちなマルトさんの声に、僕は澱む思考を中断して振り返った。
「で、ヒロの行き先に心当たりは?」
差し出された椅子をマルトさん自身に座るように促し、ルーファス殿が立ったまま尋ねる。
「心当たりはありませんが…ヒュームの女性と一緒に出て行きましたので、その方と一緒ではないかと…」
「あいつ、女引っ掛けて遊んでたのか?」
表面的な出来事だけとはいえ、それ単体で見るとあまりにあまりな行動だ。
一同の呆れたような空気に、マルトさんが慌ててフォローを入れてくる。
「いえ…何か事情があるような節でしたが…」
「とりあえず、リンクパールで呼びかけなきゃ」
「いや、しかしだな…ほら、女連れとなると、その… 最中って可能性もあるだろ?」
ラディールさんの至極もっともな提案に、難色を示すルーファス殿。
思わず、ため息が漏れる。そんなの僕が知ったことか。
「そんな事を言っている場合ではありませんね」
こんな現状に身をおきながら暢気に事に及んでいるようなら、それは全面的に彼が悪い。
「いや、さっき呼んでも反応しなかったし…俺はそういう野暮な事はしたくないんだがなぁ」
ルーファス殿はしぶしぶと懐からパールを取り出し、向こう側に呼びかけた。…しかし、返事はなかったらしい。
「ほら、やっぱりこういう野暮な事はさぁ…」
「そうやっている間に彼が襲われないとも限りません」
仮に実際そういう事になっていたとして、そんな最中に後ろから…なんて事になったら、
命は勿論の事、彼自身の名誉すら危うい。
死んだらそれまでとは限らない、そこまで伝えることはさすがにためらわれたけれど。
ここまでです。
近くにいるのに、状況が、因果が、いろんなものが邪魔します。
では、皆様の投下もわっふるわっふるしつつ、age。
612 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:15:05.81 ID:Ib4mxF6P
皆様投下おつであります。
てことで駄文ですが自分も投下してみようと思います。
613 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:15:34.34 ID:Ib4mxF6P
体は切り裂かれ、絶望的な力の差に心は折れた。
後は朽ち果てて行くだけの筈だった…。
だがなぜか意識は消えず、誰かの記憶が流れ込み続けてきた。
最初に見えたのは冒険者として希望に満ち溢れてた男。
やがて男は仲間を得て世界を救う為に戦っていく。
ここまではよくある王道パターンだ…、お約束過ぎて反吐が出るぐらいの。
でも、そこから先は凄惨とかしかいえないものだった。
仲間の一人が世界を救った手柄を独り占めしようとしたのだ、当然他の仲間は憤慨しその仲間を非難した。
口論はやがてエスカレートして同士討ちとなり、何の因果か男一人が生き残る事となった。
男は人間に絶望し世捨て人のような生活を続ける事となったらしい。
どこかで見た事があるような話なきがしたが気のせいだと思う、というか非常に不愉快な記憶だ。
大体俺は赤鎧に切り裂かれて死んだはずだというのに。
614 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:16:09.47 ID:Ib4mxF6P
体は切り裂かれ、絶望的な力の差に心は折れた。
後は朽ち果てて行くだけの筈だった…。
だがなぜか意識は消えず、誰かの記憶が流れ込み続けてきた。
最初に見えたのは冒険者として希望に満ち溢れてた男。
やがて男は仲間を得て世界を救う為に戦っていく。
ここまではよくある王道パターンだ…、お約束過ぎて反吐が出るぐらいの。
でも、そこから先は凄惨とかしかいえないものだった。
仲間の一人が世界を救った手柄を独り占めしようとしたのだ、当然他の仲間は憤慨しその仲間を非難した。
口論はやがてエスカレートして同士討ちとなり、何の因果か男一人が生き残る事となった。
男は人間に絶望し世捨て人のような生活を続ける事となったらしい。
どこかで見た事があるような話なきがしたが気のせいだと思う、というか非常に不愉快な記憶だ。
大体俺は赤鎧に切り裂かれて死んだはずだというのに。
615 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:16:54.57 ID:Ib4mxF6P
――鈍い奴だな、まだ理解してないのかよ――
頭上から見下したような口調の声が聞こえた。
いきなり随分な挨拶だな…。
――そりゃそうだろ、この記憶見てまだ理解してないんだからよ――
声の主を探して頭上を見上げてみるも誰もいない。
てかさ人の心を勝手に読むなよ…。
――そりゃ悪かったな――
まったく心のこもってない謝礼が返ってきた。
なんかムカつくがとりあえず今はなんで俺がここにいるかを問いただす方が優先だ。訳の分からん状況ってのが非常に気に入らない。
「で?さっきの記憶はなんだよ? わざわざ死ぬ寸前の人間にあんなもん見せてどうする?
だいたい、ここはどこだよ? そしてあんたは誰だ?」
口に出してから気付くここが死後の世界ってではないのかと。
結局さっきの赤鎧の一撃で俺は死んでしまい悪趣味な死神に捕まって嫌がらせを受けているって訳だ
616 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:17:14.94 ID:Ib4mxF6P
――誰が悪趣味な死神だ、というか質問は一つずつにしてくれ――
「はいはい、じゃあまず一つ目だ、ここはどこだ?」
――ここはお前の意識の最深部だ――
「じゃ次、あんたは誰だ?」
――まだ分からんのか、俺はお前だよ、ヴァリエンテ――
つまり事態はもっとメンドクサイ状況だったって訳だ。
赤鎧の一撃をもらった俺はなぜか意識の最深部とやらに来て体の持ち主に絡まれてるって事だ。
「んじゃ最後、さっきの記憶はなんだ?」
――俺の今までの人生だ――
617 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:17:35.38 ID:Ib4mxF6P
声の持ち主がヴァリエンテの時点でなんとなく察しが付いたがまさにその通りだった。
見た事がある気がするの当然の話だ、俺のFF人生そのものだったんだから。
最初は希望に満ち溢れてたのも同じ。
仲間を得たってのはLSの事。
いつの間にか世界を救う戦いをしていたってのは三国ミッションの事。
同士打ちは少し違うがLSメンバーと喧嘩してそれ以来音信普通になった事。
世捨て人になったってのはその後のソロ活動メインになった事。
そりゃ不愉快だよな、多少の違いがあるとはいえ自分のおろかな過去を見せられたんだから。
だがこれを何故今見せたんだ。
「そうじゃない、何故記憶を見せた?
あの記憶見せて自分のおろかな過去を見直せとてもいいたいのか?」
――そうじゃないさ、見て欲しかったのは戦いの部分だ――
「戦いの部分だと?」
618 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:17:52.20 ID:Ib4mxF6P
――あんた赤鎧に全く歯が立たなかったろ? みてて滑稽だったよ、自分じゃ互角に張り合ってるつもりだろうけど、防戦一方で最後は挑発してきっつい一撃もらってるんだから――
「うるさいっ!! あんたに何が解る!!」
逆切れだ、みっともない有様を指摘されて思わず激昂してしまった。
認めたくなかったんだ。防戦一方だったとはいえ、自分は赤鎧と互角に戦っていたつもりだった。
だが、指摘は正しい。赤鎧は手抜きをしていたのは間違いない、その証拠に少し本気を出したら俺は簡単に切り裂かれてしまったんだから…。
――解るさ、あんたは俺、俺はあんただからな――
「知ったような口を聞くな!! 俺は俺でお前とは別の人間だ!!」
似たような生き方をしてきたといったって俺とこいつは別人。
別の世界に放り込まれた俺の気持ちなんか理解出るわけがない!!
619 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:18:10.74 ID:Ib4mxF6P
――そう熱くなるなよ、話を戻そう――
相手の冷静な態度にヒートアップしてた頭がさまされる。
自分で挑発しておいてこの態度、腹が立つ。
同属嫌悪とはよく言ったものだよ、自分がこんなに嫌な人間だとは思ってもみなかった。
――ああ、俺も自分がこんなに熱くなりやすい人間だとは思わんかったよ――
「だから人の心を読むなといっているだろう? そんなことよりさっさと続きを話せ」
――悪いな、つい面白くてな――
絶対こいつ性格ひん曲がってやがる…。
620 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:18:29.13 ID:Ib4mxF6P
「で、戦いの部分ってなんだよ」
――そのままの意味だ、俺の戦いの経験をあんたに感じ取ってもらおうと思っただけだ、そうすればよわっちいあんたでも赤鎧に勝てるだろうからな――
「残念、戦いの部分より他の部分のが印象に残ってて覚えてないな」
事実、印象に残ったのは同士打ちの惨さの方が上だった。
それに比べたら戦いの印象なんてちっぽけなもんだ。
――そうか、ならばもう一回見てもらおうか――
声と共に頭の中に情報が流れ込んでくる。
「ぐっ、何だよこれ…」
先ほどとは違い頭の中に押し付けるような形で記憶が流れ込んでくる。
頭で処理できる許容量を越えているのか、酷く頭が痛む。
その代わり記憶の方はしっかり頭に刻み込まれたらしく、戦闘の数々がまるで自分の記憶のように思い出せた。
621 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:18:47.38 ID:Ib4mxF6P
――ふむ、どうだ? 今度は戦闘の所だけしっかりと刻み込んでやったから解りやすいだろ?――
「ああ、お陰様でな! 痛みを伴うのが大変不愉快だがな」
ヴァリエンテは愉快そうに問いかけてきた、姿見えないが笑顔で見ているに違いない、つまり人が苦しむ様を見て楽しんでやがる訳だ…。
――まぁ、精々頑張ってくれ、俺はもうそろそろ消えるから――
「ちょっとまて消えるってどういうことだよ」
――言葉の通り消えるんだよ、あんたに上書きされて俺は消えるのさ、むしろ今まで残ってたのが不思議なぐらいだ――
「な…」
――ああ、お前が気にする必要はない、俺はもう生きる事に疲れてたんだ、むしろ丁度よくお前が来てくれて助かったぐらいだ――
そうか、こいつ人間に絶望してたんだっけ。
622 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:19:14.49 ID:Ib4mxF6P
――心残りはベアトリスぐらいだったが、あんたがしっかり面倒見てくれそうだしな――
「そいつはどうかな? 俺が一回突き放してるのを忘れたか?」
――あんだけ必死で探してたんだ、大丈夫だろう? ま、そういうわけでベアトリスは任せたからな――
「ちっ、しょうがねーな。できる限りは何とかしてやるよ」
――それだけ聞ければ満足だ、さぁそろそろ行けよ。聞こえるだろう? あんたを呼ぶ声が――
「ああ、じゃあな、糞野郎」
待ってろよ、すぐに元の世界に戻ってお前の体に戻らざるを得ないようにしてやるからな。
そして今日の礼にゲームの中のお前をまたこき使ってやるからな…。
623 :
290valiente ◆JMUNf1M.LE :2006/11/20(月) 17:20:53.61 ID:Ib4mxF6P
今回は以上です。
間違えて最初の分を連投してしましましたorz
そして自己最長記録更新です。
長さの割りに内容が薄かったり話が進んでなかったりするのが問題点ですね(´・ω・`)
ヴァリさん覚醒ktkr。反撃なるか!?
人に歴史あり、ですね。
ぐは、名前消してなかった(´Д`;)ヾ
まあいいや、ついでに保守
626 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 21:35:23.04 ID:8Y7Sgpvt
最初ルーファス殿って呼んでファーロス様って呼び直してるのに
次の投下からはルーファス殿に一本化されてるのはなんなんだw 飽きたのフルさん?w
仕留めたと思った来訪者がガッツで起きあがってきたら赤鎧びびるだろうなぁ。
そしてヴァナ側のヴァリエンテ、お前それでいいのか?
これから一体どうなってしまうのか…。
さておきage
627 :
既にその名前は使われています:2006/11/20(月) 22:12:41.92 ID:Et9CBb8u
寝るぜhage
629 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:41:48.59 ID:lLeWKmQy
心地よい風が吹いていた。
吹き付ける風に乗った若草が鼻元をくすぐる。
それに少しだけ驚いて、辺りを見回す。
見慣れた景色ではない。が、全く見知らぬ土地ということもなさそうだ。
今だ醒め切らない頭を覚醒させて、ようやく自分の状況を理解する。
前髪を引っ張ってみれば金髪が覗き、頭をなでて見ればアホ毛がしっかり引っかかっている。
耳を触ってみれば、エルヴァーン特有の長い耳に指が触れている。
どうやら自キャラになっているらしい・・・?い!?!?
630 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:42:19.96 ID:lLeWKmQy
「あはははははははははは」
とにかく可笑しかった。何が可笑しいのか分らないが、笑うしかなかった。
FFXIをプレイした者なら一度は聞いたことがあるだろう。
詳しく語られてはいないが、「朝目覚めると自キャラになっている」ということらしい。
どうやら今の俺は、ソレに該当しているらしい。
立ち上がり、やっと山から顔を出し昇ろうとする太陽をじっと眺める。
立ち上がったことで、鎧の、背負った盾の、腰に据えた長剣の重さが、
自キャラになったのだ、ということをより一層感じさせた。
(まぁ、どうにかなるだろ…)
風が、向かい風から追い風へと変わる。
自然と顔は笑みを作っていた。
631 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:42:58.39 ID:lLeWKmQy
爽やかな草原。どこまでも続いていそうな渓谷。透き通った二つの池。
細い木々によりなされている林。
この景色の感じからすると、今俺のいる場所はラテーヌ高原らしい。
(そういえば、ここで寝落ちしたんだな・・・たぶん)
そんなことを冷静に考えられるくらい、今の自分の状況に不思議と不安はなかった。
むしろ、ワクワクとした興奮のようなものを感じている。
何をやっても中途半端な自分。何も無いただ繰り返すだけの日常。
今自分がいるのはそんなツマラナイだけの日々とは乖離した場所。
そう、誰もが一度は憧れたことのある、剣と魔法の世界―――ヴァナ・ディール
それを思うと、恐怖とかいった感情よりも、期待にも似た高揚感の方が全然勝っている。
(とりあえず、歩き回ってみるか…)
そう思い、辺りを散策してみることにする。勿論、足取りは軽い。
632 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:44:19.15 ID:lLeWKmQy
地図をひっぱりだして、片手に持ちながら辺りを散歩する。
途中見かけた所謂、キノコだのカニだのに
「ははっ、実際は気持ちわりーw」
「こんなでけーカニ見たことねーよw」
と、独り言で感想をつけたりと、ちょっとした旅行気分である。
・・・ヤツに出会うまでは。
遠目に見てもハッキリと分る。
ずっしりとした図体、不恰好な武器、鎧・・・オークだ。
初見で少し驚きはしたが、よく考えれば俺のレベルなら絡まれることはない。
(そ、そうだよ。クマと一緒だろどうせ。素通りすりゃいいんだよな)
そう自分に言い聞かせ、オークのそばを何事もなかったかのように通り過ぎようとする。
が、その淡い期待は見事に裏切られる。
「イい度胸しテルじゃネーか!?」
そう言い放つと同時に、オークが俺に向かって猛進してくる。
(な、なんで!?)
そう思うと刹那、突進してきたオークの無骨な斧の一閃が俺の首を襲う。
咄嗟に腕でソレを受け止める。
633 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:45:25.88 ID:lLeWKmQy
「なんだよ、これ!?痛てぇよ!!!」
篭手のおかげでなんとか免れたものの、
篭手はしっかりを痕を残しへこみ、伝わる衝撃がただのゲームじゃないことを明白にする。
俺は間違っていた。
これは娯楽の延長なのだと、楽しいだけの世界なのだと、そう思っていた。
自キャラになるとは、この世界――ヴァナ・ディールの、リアルな住人になることだったのだ。
さらにオークの攻撃は続く。
剣を抜く余裕も、盾を構える余裕も今の俺には、ない。
オークは肩を内に入れ、体重を乗せたタックルを繰り出す。
腕をクロスしただけの簡単なガードでやり過ごそうとするが、
それだけで凌げるほど、甘くはないようだ。
吹っ飛ばされる、という形容がそのまま当てはまるほど、体が宙を浮き、はじき飛ぶ。
街道沿いに設置されている防壁跡に勢いよく叩きつけられる格好となる。
気付けば、逆光を浴びたオークのシルエットが目の前で今まさに斧を振り下ろそうとしていた。
634 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:46:01.47 ID:lLeWKmQy
このままじゃ間違いなく「 」
言葉にしたらダメだ、耐えていたモノが決壊する、そんな気するのだが・・・。
「 」・・・「し 」・・・「 ぬ」・・・「死 」・・・「死ぬ」!?
もう、連想してしまっている。
自分の明確な死の予感を、この状況から感じずにいられることなど不可能だ。
堪えていたものが、声となって噴出す。恐怖を、畏怖を吐き出すように。
「ああぁあぁああぁぁぁあぁ!!??!?!」
「なンだ?オ前?大層な鎧ヲ着てイるワリニは情けナいモのダナ!!
アーヒャッヒャッヒャッ!!!死ねエ!!!!!」
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
やっとあのただ大学に通っているだけの日々から開放されたのに・・・なんて、犬死。
(俺はこんなところで死にたく・・・ない・・・!!糞ッ糞ッ!!!)
そんな意思とは裏腹に、無情にもオークの銀の一閃が振り下ろされる。
635 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:46:36.42 ID:lLeWKmQy
(あぁ・・・これまで・・・)
最後に想うことなどこの程度のモノなのだ。
そう諦めた瞬間、自分の頭に振り下ろされようとしていた、オークの腕がなくなっている。
「んァ?俺の腕はドこニ…」
そう言いかけ、肘から綺麗になくなった腕を見ると同時に、
複数の銀の光がオークの頭を貫通する。
それをもろに受け、すでに息絶えたと思われるオークが俺に寄りかかるように倒れこむ。
死体をどけることも忘れ、辺りを見渡す。
最初に目に入ったものは、木に刺さった矢である。それがオークの腕を貫いている。
それを見て、ようやく自分が助かったのだと、死ななくて済んだのだと安心する。
が、自分の生を噛み締めているのもつかの間。
636 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 00:47:10.11 ID:lLeWKmQy
「あんた!その豪華な鎧はなんなのよ!?飾りだっていうの!?
歴戦の勇士にだけ送られるアーティファクト、しかもナイトのじゃない!!」
怒り心頭といった様子の女の子が声を上げて怒鳴りつける。
ポカーンとそれを眺めていると、心底呆れた顔をしてこう続ける。
「はぁ・・・。まぁいいわ。大丈夫?」
「あ、あぁ。おかげさまで」
「・・・それなら、その死んだオークをまずどけたら?」
「うわぁ!?」と素っ頓狂な声をあげ、慌てて頭に矢の刺さったオークをどける。
手を差し出されたので、それに甘えることにし、ゆっくりと立ち上がる。
とにかく、俺はまだ生きていられることに、心から安堵した。
今日はここまでにしたいと思います。
初投稿で至らない点もあるかと思いますが、読んでやってください。
638 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 01:49:51.48 ID:I0/Gz/xg
投下おつです、ようこそヴァナへ!
これからどんな風に世界に触れていくのか、楽しみにさせていただきます^^
いきなりヒロイン登場とはやりますね…w
ついでに寝る前保守
639 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 03:28:58.73 ID:HIErAeYC
投下乙age
最近活気があって嬉しい限りですね(´∀`)
640 :
緑茶 ◆vUu2nK2xdY :2006/11/21(火) 03:32:49.10 ID:izU69Owx
週末の間PCに触れる暇がなく開いてみたら、かなりの投稿に驚きを隠せず…。
自分はまだ次が書きあがってないので感想だけでも…。
>>556 ご指摘ありがとうございます。間を表現する文章、善処してみます。
>>565 リアル・ポーション。先日家に6本ぐらい飲んでないのがありまして毎日飲んでいたりしました。
ホントにお世辞にも、美味しい、とは言えないものですねw
>>582 複数人が一堂に会する場面を文章で書くのは、なかなか大変そうであります…。
>>595 私も昔はMO使ってたんですが、最近はUSBフラッシュメモリに、その座を奪われている感じです。
>>611 月が中天へかかる。という表現なかなか勉強になります。ええ、知りませんでしたorz
>>623 自己との対談は、会話だけで進む上に、記憶の回想という意味合いが強いので
なかなか話は進みづらいですが、それが終ったところから新展開・急展開の予感ですな。
>>637 >風が、向かい風から追い風へと変わる。
>自然と顔は笑みを作っていた。
この心を弾ませてる表現がとても素晴らしいです。初投稿の文章は後で読み返すと誰でも(…中略…)気にせず頑張って下さい!
641 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 09:32:37.08 ID:Dpdk/R24
上げときます。
エルナイトのライバルあらわるだリード氏、もっとがんばれ超がんばれ
Asel氏はアホ毛…φ(. . )
なんか退屈だしベジータ投下するわ
644 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 16:02:28.23 ID:Dpdk/R24
ベジータまだー?
645 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 18:11:10.74 ID:I7E5Qz6S
「その、ありがとう。おかげで助かったよ」
「ようやく落ち着いたようね。
私はこの街道付近に最近出没するオーク討伐の命を王国騎士団から受けてきたの。
そんなわけだから、礼はいいわ。それより、質問」
もうとっくの昔に絶命しているオークを、ピッと親指で指差す。
「アレに殺されかけるってどういう事?
オークのなかでも捨兵に分類されるフォッダーよ?
アーティファクトもそうだけど、まずあなたのその腰の長剣。
ウィンダス魔戦隊の中でも選ばれた魔戦士だけに送られる代物。
次に、背中のその盾。
王立騎士隊の中でも、私も任命された王国騎士の中から
実力を認められたナイトにのみ与えられる一品。
そんな装備のあなたがただ一方的にあんな下っ端に殺されかけるってなんなの?」
一歩踏み込んでじっと見つめられ・・・
いや、ここまで来ると睨まれている、という表現が正しいのかもしれない。
再燃した彼女にすごい勢いでバーッと撒くしたて上げられる。
646 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 18:11:56.40 ID:I7E5Qz6S
俺はというと、これまたポカンとした様子で言われたことなど右から左。
キリッと釣りあがった碧眼の目が凛々しいだとか、
流れる様に鮮やかな金髪のショートが綺麗だとか、
背負った物騒な長弓とは対照的に、
妙にしっくりくる狩人のアーティファクトが活発そうだなとか、そんなことを思っていた。
「・・・あなたのような冒険者が出回ってるんじゃ世も末ね・・・って!聞いてるの!?」
ぼーっとヒュームの彼女を眺めていた俺はしっかりお叱りを頂く。
「聞いてる聞いてるw」
できるだけ彼女の気を立てないようにそう答える。苦笑いで。
「じゃあ、もう一度聞くけど、なんで?」
より真剣に、じっと見つめられて質問される。
647 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 18:12:27.02 ID:I7E5Qz6S
俺は今の自分の経緯を簡潔に説明した。
ヴァナ・ディールは自分のいた世界とは異世界であること。
そんな場所に朝目覚めたら迷い込んでしまったこと。
この格好は目覚めた時に身に着けていたものであること。
あたりを散策していたら、オークに襲われてしまったこと。
自分が分かる範囲内のことを全て並べていく。
・・・ただ一つを除いて。
ヴァナ・ディールは自分の世界ではゲーム中の世界だということは黙っておいた。
それは言ってはならない、タブーのような気がした。
「へぇ・・・。聞いてはいたけど、本当にいるのね・・・」
「何か知っているのか?」
「ええ。異世界から迷い込んだ住人―――来訪者。
最近世界各地で出現しているらしいわ」
「やっぱり、俺の他にも・・・」
彼女は唇に指をあて、ふむふむと考え込んでいる。
648 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 18:13:05.57 ID:I7E5Qz6S
そのうち、何か閃いたのかこう提案する。
「私だけじゃ解決できなさそうね。
騎士団長のラーアル様に相談してみます。
ってなわけで、サンドリアまで一緒に行くわよ」
俺の是非なんかなんのその。彼女は俺の手を引っ張ってずかずかと歩きだした。
「私はシャル。実は堅苦しいの苦手なの。シャルでいいわ。で、あなたは?」
彼女―――シャルは振り返らないで質問する。
後ろから見たシャルの横顔が、少し楽しそうなのは気のせいなのだろうか。
649 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/21(火) 18:13:43.40 ID:I7E5Qz6S
「俺は鈴木・・・」
自分の本名を答えようとして詰まる。
FFXIの中で今までプレイしてきた名前は本名のそれとは違う。
名前とは自分の在り方を伝える、最も手軽であり、最も重要であるツールだ。
俺はこのヴァナ・ディールに現実世界から迷い込んできた。
それはここにきて訪れた、変化の風。
今までの自分を、中途半端な、ツマラナイ自分をかき消すよう自信を持って答える。
「俺は、アセルだ!」
「スズキ・アセル?変な名前」
「ハハハハハハハh・・・アセルだからな・・・」
半泣きでこう答える。人の決意をあっさりスルーしてくれる女だ。
太陽は依然東。
光は未だ白さを含み、サンドリアへと向かうことになった彼等を映している。
今回はこれで終了です。
大して推敲していないので、大した文章じゃないかもしれませんが、
よかったらまた読んでやってください。
話膨らませたのはいいけど、収拾がつくかどうか(;´Д`)
651 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 19:23:54.18 ID:1p1cum1s
大丈夫だ。必殺後付設定や、理由になってない理由なんてプロも使っているんだから
書きたいようにかけばいいさ
仮面ライダーとか矛盾だらけだよなプロの作品なのに!
653 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 21:28:41.25 ID:jFXWJRmE
筋肉マンになると作者自身が設定忘れてるからな!w
654 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 21:29:52.63 ID:I0/Gz/xg
後付満載で事を大きくし過ぎた僕が通りますよ、と
655 :
既にその名前は使われています:2006/11/21(火) 22:14:31.45 ID:HRRoN2aH
保守る!
投下乙でございます。
保守いたします。
新しい方が増えるのは喜ばしいことですね。
657 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 01:53:17.71 ID:gbCngL0L
新しい来訪者歓迎age
そろそろ真剣に続き考えるか・・・
ジュノの大きさは予想していたものより遥かに大きなものだった。
建築には詳しくないが、それでも緻密な技術と異様な労力の結晶であることは理解できた。
飛び交う声には聞きなれた言葉もあれば聞いたことの無いような言葉も混ざっていた。
私はうんざりしていた。あまりに多くの人間が居すぎて目的を忘れてしまいそうだった。
空気に馴染めるよう散策をしながら、自分と似たような人間の情報を本で探した。
だが当然のように記述は見つかず、ささやかに転移に関する知識を深めるだけだった。
途方にくれて下層を歩いているそのとき、誰もいないはずのカウンターから声がした。
「ねえ、お姉さん。ちょっと。」
周囲に女性の姿は無い。私は幻聴かと思ったが、よく考えたらここは占い屋の近くだ。
だとするとこの声の主は…タルタルのクロウモロウだ。声を聞くのは初めてだけど。
「占わせて。何か見えたんだ、今。」
ここが現実世界なら間違いなく無視して立ち去るけれど、ここは幻想世界なのだ。
他にアテもなかった私は好きにやらせることにした。話半分でも今後の行動の目安にしようと思ったのだ。
「お姉さん、遠くから来たね。サンドリアとかそういうのじゃない、凄く遠く。」
いきなり予想だにしない結果に頭を殴られたような衝撃を受けた。
どうして?と尋ねると、わからない、と返された。それはそうだ。私にもわからない。
その後のやりとりを簡潔に纏めると私は自分と同じような境遇の者に会うべきだそうだ。
そして赤い鎧の者に会うべきだとも。
それ以上のことは聞き出すことは叶わなかった。クロウモロウは首を横に振るばかり。
ありがとう、と告げると少々の対価を要求されたので懐から金貨を取り出して渡した。
何かに依存しなければならない人々の心境が少しだけ理解できた。理解などしたくなかったが。
対価を満足そうに懐にしまったクロウモロウは、ひとまず所属国へ帰るといいと付け足してくれた。
確かに自分にとってあの国は勝手を知る国だったし、なによりもジュノの人ごみには飽き飽きだった。
なので、その日のうちに私はサンドリアへと戻り、その足で自分と同じような者を探すことにした。
いい加減に髪も洗いたい。F6の髪型はセミロングだった筈なのに気づけばロングになっている。
…というかレイヤーをかけた記憶は無いのにレイヤーになってる。ブラッシングもしていない。
きっと今の私は酷い顔をしているのだろうな、と思いながら簡単な湯浴みを試みてみたけど、ここには
お風呂が無い。シャワーも無い。普段、何気なく楽しみにしていたドラマも雑誌も、ここには無い。
帰れないとなるだけで、これほどにも恋しくなるとは思わなくて、気づいたら私は泣いていた。
理由が欲しかった。この世界に放り込まれるに足りる、私のいる理由が。
そして、自分と同じ立場の人間を、一目見てみたい。どんな顔をして過ごしているの?
「…明日、ホルレーに行ってお風呂に入ってこよう。」
自分に言い聞かせるように、自分の意思を確認するように、ひとりごちる。
デオードの存在なんて忘れてたし、途中のゲルスバのことなんて、もっと忘れていた。
ただ今は自分のやりたいことをしながら、なるべく元の世界と同じ生活を送りたいと、そう思った。
でもモーグリが困っていたことは忘れない…別に減らないし意識する相手じゃないけど。
以上です。
>アセルさん
私もはじめて文章らしい文章を書くので、一緒に頑張りましょう。
とても上手ですね。
661 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 08:37:21.46 ID:bf8EVboo
激しく期待age
「所詮は半分か…続きはちゃんとくっつけてから改めて聞こう。ゆっくり休みな。
明日はもっとキツい出来事が待ってるから」
主のいないレンタルハウス。
冥府の炎の如き紅をまとった男は、目の前で支えを失って、空間に融けていく光を見つめながら、
語りかけるように、そうつぶやいた。
光が晴れていき、あとに残されたのは、ちいさなちいさな異世界。
一見すると、ヒュームの拳大の大きさをした、白い光を帯びた靄の塊にも見えるそれを、
男は拾い上げて、ためつすがめつすると、抑え切れない、といった感じに笑みを零した。
「あー、できればもって帰りたい…でもダメダメ、アイツに返してやらないと」
確かにここに存在しながら、彼らの定義の上では存在しているとは言えないそれは、
戯れに力を込めてやれば、簡単に握り潰せてしまえそうでありながら、
実際にそうしてみても、握りしめた指をすり抜け、何事もなかったかのようにその場に浮かぶ。
その姿が、どんなに手を尽くしても堕ちてこなかったある青年の事を想起させて、
男にはそれもまた、愉快でたまらなかった。
「娘はざくろの実を四粒、口にしてしまっていたのです。それ故、一年のうち四ヶ月を…」
囁きは届かない。
抜け目のない彼のこと、この意識喪失も暗示のひとつなのだろう。
何も見えないように、何も聞こえないように。けれど、秘め事はいつか明るみに出るもの。
「そろそろ、この子にオレとの関係を、ちゃーんと紹介してもらわないとな」
青年の懊悩する顔を思い浮かべただけで、男は幸せな気分に浸れるのだった。
というわけで、皆様投下お疲れさまです。
NPCとは言えど、生き生きと描いてもらえるときっと嬉しいんじゃないかと、ふとそんな事を思ったり。
過去サンド編では宰相とクリルラ隊長ばかり出ばってて、ラーアル隊長はあんまり出番なかったですからねw
占い師さんも存在忘れてたけど、話を転がすには出しやすい人物だよなーと、今更ながらにw
ところで、もの食ってはいないんですけどね、食う以前に体がないですからね。
赤くてリフレなアレを作ってもらってしまいましたが。
エクレアのバーミリなんてものは存在しない。
真はバーミリか、それとも真はエクレアか? …どっちでもいいよ、そんなもん。
野暮でもなんでも、死ぬよりはいい。
僕は腕を組んだまま、ルーファス殿の耳に付けられたパールををじっと見つめた。
ルーファス殿がふう、と溜め息をつく。それから、再度パールに向けて呼びかけた。
「おーい、いい雰囲気なら邪魔して悪いが、無事なら無事で返事しろー!」
「やっぱり寝ちゃってたりしてね」
「…本当に寝てるのか、それかアレの最中で無視してるのかな…」
思案顔になるラディールさんと、眉間に皺を寄せるルーファス殿。
大体なんで、一度合流しておきながら、調査をそれ以上続行するでもなく別れたのか、そこから理解に苦しむ。
この時点でもういちど襲撃があって、既にヒロさんが奴らの手にかかっていようものなら、
僕たちはただでさえ少ない戦力をさらに欠くことになる。
「どっちにしてもロクなもんじゃねぇが…おい、ヒロ!」
『…うるせえな、起きたよ』
パールから漏れ聞こえてきた声。紛れもなくヒロさんのもので、僕はそこでようやく安堵した。
「なんだ、本当に寝てたのかよ…ひょっとして取り込み中だったのか?」
『いや、ちょっとうとうとしてただけだよ。そちらは今着いたのか?』
多少からかいを含んだルーファス殿の声とは裏腹に、気力の薄いヒロさんの声。
なにか、あったのだろうか。
「着いたのは昼間だよ、すぐ連絡しようと思ったんだが、色々とヤボ用があって今になっちまった。悪い」
『いや、どうせこちらも昼間はあちこち駆けずり回ってたから。ルーファス、そっちは今どこにいる?』
「コウモリのねぐらだ。マルトもいる」
パールの向こうの気配が、何かを逡巡するように押し黙る。
『そうか……正直、すまん』
ややあって戻ってきた、沈み込んだ感情が滲む声に、ラディールさんが僕の肩をとんとん、とつつく。
そうして、廊下を指し示して見せた。
「まぁ無事だったなら、取り敢えず部屋に荷物を置いてこようかしら」
ルーファス殿にそう告げ、荷物を取り上げて部屋を出ていく。
…そういう気の使い方も、有るって事か。丁度一人きりになりたい用事もあるし、都合も良い。
僕もラディールさんに倣って、自分に宛われた部屋へ引っ込むことにした。
背後にルーファス殿の、ヒロさんを気遣う言葉を聞きながら、後ろ手に扉を閉める。
「フルキフェル様。…いや、ウィユヴェール殿の方が今はよろしいですかな」
マティエール老にそう声を掛けられながら、部屋の鍵を手渡された。
「ありがとうございます…今は、貴方の呼びやすい方で」
「ではフルキフェル様、どうか今宵はごゆっくり、お休みなさいませ」
好々爺然としたいつもの顔で、老人は僕にそう告げる。僕はただ黙ってそれに頷くことしかできなかった。
頭からフードを払い落とし、部屋に備え付けられた小ぶりの鏡台を覗き込む。
黄色いランプの明かりでも分かる程に、髪からは色が抜けて白に近い銀髪に染まり、
目の色も自分の元々の色とは違う、暗赤色へと変じていた。
「髪は錬金術ギルドで毛染めを調達するとして…目は…困ったな…」
疲れて充血してるみたいです、で誤摩化せるといいのだけれど。
静かに目を閉じる。が、さあ取り掛かろうと思った瞬間に邪魔が入る。
とんとん、と扉が叩かれ、女将さんが扉の向こうから顔を覗かせた。
「お客さん、お連れさんの奥様がお湯を使いたいってんで用意しましたけど、どうなさいます」
「あー…後で浴びたいので、置いといてもらえますか」
「はいよ、かしこまりました」
そう言い女将さんが部屋に入ってくる。部屋の隅に備え付けられた設備に、
持ってきたお湯のタンクを据え付けるのだろう。
ふと思えば、レンタルハウスではない宿を借りるのは滅多にない事だ。
どうせ周囲に人がいては集中もできないので、なかなか見る機会のない仕事を眺めていることにした。
「済みましたよ。それじゃ、ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
鞄から小銭入れを引っ張り出し、いくばくかの心付けを手渡す。
台車を引いて女将さんが退出していくのを待たず、僕はまた目を閉じた。
コンシュタット高地の方角へ向けて、ゆらゆらと幾筋もの光が流れていく。
バストゥークへ降り立ったときに、幽かながらも気配を感じたのは確かだった。
間違いなく、ちゃんとこの町にたどり着いている。だけど…。
「冗談じゃない……なんでこんなに、集まってるんだ…」
ひとつは恐らく、エルリッド嬢と行動を共にする赤い鎧。
けれど、その他にも同種の、おぞましい気配が、ふたつ、みっつ…。
クリスタルラインに連なる流れを読める奴が何人いるかは知らないが、
これじゃ迂闊に呼びかけることもできない。
こいつら全員が、マティエール老の言う「傍観者」であれば、当面の作戦行動の間はまあ安全とも言える。
だけど、それは僕たちが目的を果たすまでの話。
手の内を横から覗かれ放題の挙句、事が済んで安心した瞬間に取り囲まれないとも限らない。
ましてや、純粋に来訪者を狩る目的でバストゥーク入りしている奴だっているだろう。
ヒロさんの存在を捕捉し、黒装束を送り込んできた奴に関しては、おそらくそういう方針で動いている。
…どうすれば、いい? 僕は彼らを守るために、何ができる?
ふと、廊下を行き来する足音に、これまでいなかった足音が増えた事に気がついた。
多分二人。嫌な気配は感じない。僕の部屋の前を通り過ぎ、奥へと向かっていく。
「ルーファス、いるか?」
小柄な少年を思わせる声。ヒロさんだったか。
となると、一緒にいた足音の主は、マルトさんが言う所のヒュームの女性だろうか。
少しの間があって、さして厚くもないない壁の向こうから、話し声が聞こえ始めた。
一瞬、僕も話を聞きに行った方がいいのかとも迷ったけれど、
垣間見てしまった現状は何もしたくなくなるほどに、僕の心身を押しつぶしていった。
そんな苦悩とはうらはらに、赤鎧さんたちは基本スタンドプレイで連携なんかとってないくさいですが。
いち冒険者にはそんな事知る由もないですからねー。
F7黒髪とF7銀髪を実装してほしい。NPCでもいいから。
PMのウルミア嬢がF6赤髪だったみたいに。
では、わっふるわっふるということでひとつ。
669 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 15:00:09.82 ID:bf8EVboo
なんかもうすっかり、だいじなもの扱いですな
670 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 17:49:03.46 ID:ShD3oBa9
保守
671 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 20:53:37.86 ID:473JDt0E
あぐる。
672 :
既にその名前は使われています:2006/11/22(水) 23:35:17.57 ID:NUJb4G/v
あげるんだぜ?
ホルレーの温泉までは何の困難も無く到達することが出来た。
インビジとスニークを使ったのと、私を見ても襲ってこなかったから。
温泉は心地よく、ほのかに温泉っぽい香りが私の鼻をくすぐる。
お湯の質はとてもよくて、ひさしぶりに入浴らしい入浴を満喫することができた。
戻って髪を乾かしてから、少しルーズな服装に着替えることにした。
種族装備は際どいので趣味じゃなかったし、黒魔道士や白魔道士の服は好みじゃない。
普段は見ることもできなかった路地や通りの商店が目に入ってくる。
私はそこで服を買ったのだ。地味だけど、とても着心地の良い服で気に入っている。
こうしてみると単なる女なんだと思い知った。魔法も武器も使えない単なる女だ。
ヴァナディールのと現実世界の差は大きいけど、こうしてみると小さい気がするから不思議だ。
私が調べなければいけないことは、あまりにも多く、得体の知れない物ばかり。
気分の悪循環からは抜け出したのだから、次のステップに進まなければならない。
通りの向こうではアホ毛みたいな髪のナイトが、もう一人と城へ向かうようだった。
私は伝承を調べるために大聖堂へと向かうことにした。何かあればいいのだけど。
…次のアクションが浮ばないので、これだけです。
675 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 02:41:10.79 ID:ImbbfB7C
下がりすぎでしょう;
続いて投稿させてもらいます。
明日が休みなので、帰ってからずっと思いつくまま話を進めてたら
かなりの量が書きあがりました。
一度に投稿するのも鬱陶しそうな量なので分割したいと思います。
他の皆様に比べたら駄文かもしれませんが、よかったら読んでください。
また、感想が話を書く糧になるのでどんなものでも構いません。
お暇があったら書き込んで下さると幸いです。
>>Croireさん
淡々と進む展開に毎回wktkしております。
一緒に頑張りましょう。
二人はラテーヌ高原を超え、西ロンフォールのアウトポストへと差し掛かかる。
太陽は西へと傾き、夕日へと変貌を遂げようとしていた。
俺は、ゲームの中ではただ小屋が置いてあるだけのアウトポストが、
実際ではちょっとした町のようになっていることに少し驚きを覚えた。
やはりここ―――ヴァナ・ディールはゲームの中の世界というより、
一つの現実として世界を形成しているのかもしれない。
嫌というほど思い知らされたことを、今更ながらに再認する。
シャルは、少しだけ足を速め、門番の方へと歩いていく。
「警備ご苦労様。調子はどう?」
「こ、これはシャル様。任務お疲れ様であります。
今日も特に不審な点はございませんでした」
シャルはアウトポストの警備を任されているであろうエルヴァーンに話しかける。
受け答えをする彼の表情が難しい顔をしているように見えるのは何故だろうか。
「そう。じゃあ私は任務の報告もあるし、これで失礼します。
引き続き警備の任、怠らないように」
「はっ!」
軽く手を上げて立ち去ろうとするシャルに対し、彼は敬礼を行う。
もうすぐ日が落ちようとしていたが、
シャルがオーク討伐完了の報告を今日中に済ませたいというこで、
少しの休憩後、二人はアウトポストを後にした。
日はすっかりと役目を終え、上り始めの満月が辺りを紫に映し出している。
「なあ、シャル。お前偉いのか?」
先ほどから気になっていたことをストレートに質問する。
「んー。一応王国騎士任されてるんだし、そこいらの人よりか偉いんじゃない?」
なんでもないといった様子で、サラッとした答えが帰ってくる。
「それから、アーティファクトは歴戦の勇士にのみどうとか・・・。
ってことは、シャルも何かで活躍したってこと?」
「大した事してないよ。サンドリアにオークが攻め込んできた時に、
指揮してたオークの親玉の眉間をたまたま打ち抜いたってだけ。
そしたら偶然その日に来てた、
ミスラのお偉い族長様のお眼鏡に適って貰えたってわけ」
そう答える彼女には自慢や驕りなどといった表情は全く見受けられない。
それは、本当に心から「大した事をしていない」と思えるからこそなのだろう。
彼女の弓の腕は、オークの振り下ろしている腕を打ち抜くあたり納得がいく。
「ヒュームなのにサンドリアの軍人やってるのはなんでなんだ?」
「・・・。サンドリア出身のヒュームも居るってことよ!悪い!?」
俺はとりとめのない質問をしたつもりだったのだが、
シャルは少しの沈黙のあと、苛立ちを抑えきれないといった様子で声を荒げる。
俺にはその理由がサッパリ分からなかった。
「待ってくれよ、何怒ってんだよ」
そう言いながら、先に行ってしまったシャルを追いかける。
怒っているシャルの相手をするのは正直面倒臭そうだったが、
夜のロンフォールを彷徨うのはもっと厄介そうだ。
「あんたには分かんな・・・」
シャルが文句を言おうと振り向くと同時に顔つきが変わる。
その表情からは、先ほどの怒りはとうに消え、
何かを牽制するための鮮烈なモノが感じられる。
慌てて振り返ってみると、そこには、
月光に不気味に濡れ、フードを被った黒マントの男が
クスクスと笑いながら様子を伺っていた。
「あなた、何者?」
既に敵と判断したのか、シャルは背中の長弓を取り出し問いかける。
俺はそれに釣られる様に遅れまいと剣を抜き、盾を構える。
「私ですか?私はフェイトより派遣されし来訪者を狩るモノです。ククク・・・」
「来訪者・・・?俺のことか!?狩る・・・?なんで!?」
答える黒マントに対し、気づけば叫んでいた。
間違いない、この男は何かを知っている。
「今日の正午、この世界のモノではない魔力がラテーヌ高原で検出されました。
そして、アセルさん。あなたの持ち物の中からその魔力の残り香があると
判明しました。そのことから、あなたは来訪者で間違いありません」
黒マントの男は俺を指差す。そして、淡々とこう続ける。
「来訪者はこの世界のモノではありません。
よって、世界に何らかの乱れを生じさせます。言うなれば異物です。
それを取り除くのが我々の仕事なのですから」
いきなりそんなこと言われても、訳も分からないままヴァナにやって来たのに、
急に狩るだの異物だの言われても全く腑に落ちない話だ。
「ああ・・・。ところで、シャルさん、でしたっけ。
大人しく彼を引き渡してくれれば、貴方には危害を加えません。
ただ、来訪者―――彼との記憶は消させて貰いますが」
「ふむ・・・」
黒マントの提案に、黙り込んで考えてしまう彼女。
彼女が悩んでしまうのも無理はない。
考えてみれば、危険を負ってまでシャルが俺を庇う理由など万に一つもありは・・・
「ごめんなさい、パス。
ラーアル様に相談するって決めたし、彼に約束もした。
何より・・・あんたみたいな不気味な奴の話なんか信用できるかっていうのよ!」
しない・・・ってあれ?
おぉ、神様仏様、どうやら俺を見捨てないでくれたらしい。
「ククク・・・それじゃ・・・仕方ありませんね。
二人とも、死んでください^^」
そう言うと黒マントは腰に据えられていた剣を抜く。
「アセル、あんたは下がって!素人でしょ!?ちょろちょろされたら邪魔よ!!」
「あ、あぁ」
彼女の言うことはもっともだ。俺は戦闘に関しては素人同然。
戦っていたのはゲームの中のアセルであって、俺ではない。
ここは大人しく従うことにする。
なんか俺、まるで空気だよね・・・。
今回は以上です。
明日起きて少しレスが進んでから続きを投稿しようと思います。
685 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:33:32.86 ID:fGeXdFKb
お互いの情報交換はさして時間はかからなかった。
総領事がおれのこちらでの動きを把握していると聞いた時は少し気分が悪かったが、何の事はない、噴水前でゴーレム相手に暴れた事を知っているだけであるようだ。
天晶堂相手に色々嗅ぎまわっているようだ、というのも単に宿の人間から漏れ聞いただけの話。要は「自分の管轄で迷惑を掛けるな」と釘を刺されたのを、真に受けたという事なんだろう。
「らしくないな。あんな顔が怖いだけの年増、ほっとけばいいだろ」
おれがそう言うと、ルーファスは苦笑して、
「そうもいかないのさ。色々あってね」
降参、という仕草をした。
色々、とはどういう事なのか気にはなったが、こちらの世界で身元がある者の苦労なんだろうな。そう思って追及はしないでおいた。
ルーファス達のバストゥーク入りに関する顛末も聞いたが、途中で頭が痛くなってきて聞き流してしまった。
とにかく大騒動があったらしい、と覚えておけばいい。後で必要になったらまた聞こう。
エルリッドに会った話をした時は珍しくいきり立ったが、総領事側も所在は確認しつつ静観しているらしい、その事を思い出して、勝手に納得してしまった。
こちらで二人切った話、マルトと合流した時の話、ガルカの爺さんや天晶堂の連中と出会った話ときて、話題はいつしかエルリッド奪回の流れについてになっていた。
ここまでの緻密な手回しとは対照的に、ルーファスの襲撃プランは単純明快過ぎて、おれは少し呆気に取られた。
居場所を確認してみんなで押し入る。歯向かう奴らを蹴散らして、エルリッドを助け出す。
今いる手勢が全員ルーファスか、同じくらい豪傑で、全員例の赤い小手を持ってればそれで充分という気もするが、もう少し考えておいた方がいいように思う。
その事を告げると、ルーファスはしばし思案する仕草をして、明日もう一度、全員で作戦会議をしようと言った。
686 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:34:06.59 ID:fGeXdFKb
「天晶堂を敵に回さずに運ぶ事は出来ないもんかな」
自信なさげに切り出したおれの提案に、ルーファスは驚いた素振りを見せた。
「どうしたんだ、ヒロ。お前こそらしくないぞ」
アオツキに当てられたのか、とおどける彼に、そんなんじゃねぇよと釘を刺して、おれは先を続けた。
「エルリッドを捕まえてる奴は、少なくともここの天晶堂の人間じゃない。だけど客分として迎えられているから、おれ達が手を出せば自ずと天晶堂も敵に回す事になるだろう」
そうだな、とルーファスは相槌を打ち、続けてくれ、と手で促す。
「だけど、エルリッドの人気ぶりとは対照的に、そいつは天晶堂の鼻つまみ者だ。少なくともおれが接触できるような下っ端の兵隊からはね」
少なくとも、が重なった。どうもおれ自身、今言ってる事によほど自信がないらしい。蒸れたふりをしてシャポーを脱ぐと羽飾りをしごいて伸ばし、急いで話したい事をまとめる。
「あいつが神殿騎士の身柄を確保している事は確かなんだから、その辺をつついてみたりとかして、さ。天晶堂が手出し出来ないようになんて、出来ないもんかな」
例の赤鎧がどのくらいアンテナを伸ばして情報収集しているか分からないが、うまくすれば裏で結んで、丸裸の赤鎧だけを相手にする事が出来るかもしれない。
立場があるなら、それこそ空に向かって一発撃って、「我々は抵抗し戦った。だから名誉ある扱いを要求する」とか言ってくれてもいい。
「それは面白い案だな……」
感心したような口調で、ルーファスが言う。でも、顔の方は相変わらず浮かばなかった。
「試してみる価値はあるかもしれない。しかし、うまく行かなかった時はこちらが先制の一撃をもらう事になるぞ」
やはりそうか、と内心毒づく。エルリッドがいるのは、旧港地区の南端、グスタベルグとの境界近い倉庫街だ。それなりに警備はいるだろうが、犯罪結社としての天晶堂の主力がいる新港地区からは距離がある。
現時点でおれ達が持っているアドバンテージはここだけだ。赤鎧はおれ達の襲撃を予見しているだろうが、始終天晶堂の精鋭に周辺を守らせる訳には行かないだろう。ここにつけ入る隙がある。
だけど、おれ達が取引きを持ちかければ、天晶堂も赤鎧の懸念を現実のものと受け止めるに違いない。おれがカゲトラなら、守りを固めるなんてまどろっこしい事はせず、先手を打つ。
687 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:34:16.93 ID:fGeXdFKb
ルーファスは眉間に皺を寄せて思案に暮れている。
多分同じ事を考えているんだろう。
688 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:35:01.38 ID:fGeXdFKb
おれの懸念はもう一つある。
この世界はゲームじゃないし、天晶堂の連中はデュナミスの獣人どもでもない。こちらの世界の流儀は知らないが、おれ達の世界と通じるものがあるなら、面子を潰せば報復に来るだろう。
仮におれ達が突貫して天晶堂の連中を蹴散らし、見事赤鎧を倒してエルリッドを連れ帰ったとしても、そこで後腐れなくエンドロールが流れるわけじゃないんだ。
だったら、多少借りを作る事になっても、連中とは仲良くしておきたい。
ぶつぶつ言いながら考え事をしているルーファスが、おれの視線に気づいて顔を上げた。
「考えとくよ、少し結論は待ってくれ」
分かった、と答え、部屋のドアに手を掛ける。
「今日はここに泊まっていけ、まだ空室ならあるはずだ。代金は領事館あてにつけてくれていい」
おれは時計を取り出した。一日に六〇分しか進まないから見づらい事この上ないが、まだ日は変わっていない。
「ちょっと野暮用があるんだ。朝また来るよ」
「あれだけの事があったのに、まだ一人で出歩くつもりなのか」
語気が荒くなる。本気で心配してくれてるんだろうとは分かったが、おれもつい売り言葉に買い言葉を返す。
「おれより自分の心配をしたらどうだ。奴らの天網は恢々、疎にして漏れまくりだ。別におれ達の居場所を捕捉する便利魔法なんてものを使ってる訳じゃない」
ほんの数日、我が身を使って検証しただけだが、半ば確信はある。
「聞く限り、あんたらこそ連中に居場所を嗅ぎつけられてばっかりじゃないか。どういうルートで情報が漏れてるのか、本気で考えた方がいいぞ」
かくしておれは、ルーファスの頭痛の種をまた一つ増やし、その場を後にした。
性分なんだ、ごめんな。
689 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:35:32.84 ID:fGeXdFKb
やり場の無い苛立ちを覚えつつ廊下に出ると、見知った顔に出くわした。
ひどく憔悴した顔のフルキフェルだった。今は…"僕"の方か。
「やぁ、ヒロさん。ご無沙汰でしたね」
よほど疲れているのか、それとも悩み事でもあるんだろうか。笑顔が弱々しい。
おれは挨拶を返す代わりに、意図せずこんな事を口にしていた。
「いつか、この世界や人にもっと触れてみて欲しい、って言ったな」
そんな事言ったっけ、と記憶をたどるフルキフェルに、更に言葉を続ける。
「……失敗ばっかりだよ。ナナコもアオツキみたいにネカマだったら、もう少し気楽に話して、分かり合えたのかもな」
「誰です、それ? それに…ネカマ、って、なんですか?」
きょとんとした彼の横を通り過ぎざま、
「性同一性障害の一種さ」
でたらめを言って、おれは宿を出た。
顔をあわせづらくなるようなことばかり言っては悦に入ってるおれは、多分マゾなんだと思う。
690 :
609 ◆dWeYTO/GKY :2006/11/23(木) 03:38:42.85 ID:fGeXdFKb
以上です(´∀`)ノ
最近はなんだかすごく活気があって嬉しいですね〜
ここんとこSS投下しておられる方々と比べると自分の文章が見劣りしてしまって気まずいですw誰かくれませんか、才能とか文章力とかw
「どうかしましたか?」
パートナーの問いに、私は首を振るだけで応えた。
得体の知れない不安がある。何か、大切なものをなくしてしまったような不安。
けれどそれが分からなくて、私の不安は一層かき立てられる。
ああ、・・・そうか、
「・・・・・・ッ」
ぐっ。と、胸が締め付けられる。
「シオン・・・」
肩を抱かれ、仕方なく身を預ける。
シャポーで表情は隠れているだろうか。そんな心配をした。
「『彼』のことですか?」
「・・・知らない」
分からない振りをした。
彼以外の前で言葉にしたら、きっとそれは現実になる。それならば私は心に納めておこう。
・・・けれどもし、彼女がそれに気付いたら?欠片のままになっていたら?
彼は要領がいいから、そんなことはないだろうけれど・・・
「・・・彼女は無事かな」
「大丈夫でしょう。何せ彼女は、」
その言葉に私は、思いきりパートナーの鳩尾に拳を叩き込んだ。
この男は、どうしても私から愛の一撃がほしいらしい。ムードブレイカーめ・・・
692 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/23(木) 05:49:57.06 ID:X4bbNewl
今回はこれだけです。
新しい方々、よろしくお願いいたします_(._.)_
文章・・・そもそも投下したきっかけが適当に書いたものだった私はどうすればw
『朝起きたら自キャラになってた』
ほぼスレタイのみ見て、まとめサイトもろくに見ずに投下した不埒者ですw
自キャラはこんな性格ではありませんが・・・あ、中の人の時はほぼ素です。
つか怖いです。キレやすい少年に暴力ミスラ(つД`)
693 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 10:03:21.43 ID:LkDg+bI8
祝日だと午前中の4時間だけでも280番あたりまで下がるのね。
というわけで緊急浮上。
694 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 11:13:58.79 ID:9pHOlCRc
なんかクロワール嬢がなんとなーくアセル氏とコンタクトをとりたそーにしてる件
wktkしつつ保守
695 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 13:37:50.67 ID:uq+vbh9j
保守るよ!
「「はっ!!」」
両者が吼える。
漆黒の長剣を手に黒マントが疾走する。
迎え撃つは、銀の弾光。
黒マントは高速で迫り来る矢を長剣で起用に弾き、前進する。
だが、シャルも消して引けをとってはいない。
黒マントがその長剣の間合いに入るまでの約5秒。
その間、彼女は6本の矢を放っている。彼女は後退しながらそれを行ったのだ。
それに加え、彼女の放った矢はまさに必殺。
黒マントの眉間を、腕を、足を、急所を的確に捉えている。
二人が編み上げようとしているのは、まさに生死のやりとりを行う戦闘。
今までそんなものとは無関係な環境にいた俺がどうこうできるレベルではない。
697 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:31:57.45 ID:PDrNb2Wf
「ちぃっ!」
間合いを詰められたシャルは弓を背中に戻し、腰に備えられた短剣で応戦する。
「クク・・・。流石の狩人も、間合いを詰められては矢を放てませんものね」
弓兵に勝機がないと悟ったのか、不気味な笑みうかべ、皮肉を叩く。
満月は、木々の陰を邪魔だと言わんばかりに、二人を照らし出す。
奔る斬撃。流す一撃。
確実に命を刈り取るそれを、シャルは短剣で器用に受け流していく。
だが、彼女に残された道は防戦しかない。
狩人とは本来、敵の間合い外から弓矢を用いて迎え撃つのが正攻法だ。
それを失った彼女に勝機はない。
いくら防戦ができたとしても、攻める機会がないのだから。
698 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:32:28.70 ID:PDrNb2Wf
しかし、苛立っていたのは黒マントの方であった。
間合いを詰め、弓兵を捉えたのにも関わらず、
今だ自分の剣は彼女に傷を負わせてはいない。
それほど、シャルの守りは堅かったのだ。
「なかなかやりますね。それもここまでですよ!」
痺れを切らしたのか、はたまた、雌雄を決する自信から来るものか。
黒マントが勝負を決めるため、剣を交えながら素早く魔法を織り込む。
―――ブライン
一時の漆黒が、彼女を襲う。
699 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:32:52.98 ID:PDrNb2Wf
「くぁっ・・・目がっ・・・!」
シャルは突然の魔法にただ一度きりの隙をみせる。
彼女が怯むのは必然だった。彼の剣術はナイトや戦士のそれだったのだから。
黒マントがその隙を逃そうはずもない。
中空へ突き上げる斬撃、体重に重力を加えた斬撃―――サベッジブレード
シャルは初太刀を勘だけで避け、
頭を狙ったニ撃目を咄嗟にずらし込み、なんとか肩に被弾する。
彼女の鮮血が飛び散る。キャンパスに赤の絵の具をぶちまける様に。
700 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:33:54.37 ID:PDrNb2Wf
だがしかし、彼女とて攻撃後の一瞬の隙を逃そうはずもない。
肩への攻撃を終え、着地した黒マントを蹴りで弾き飛ばし、
その反動で自らも後退する。
5メートルもあれば十分過ぎる。それは、彼女のテリトリー。
苦悶の表情からそれを押し殺し、切り替わること刹那。
標的を縛り上げ、足を奪う蜘蛛の巣―――影縫い
シャルの影縫いが、黒マントを捉える。
701 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:34:20.38 ID:PDrNb2Wf
「捕まえたっ!!!」
「馬鹿な!?2撃目はしっかり肩を捉えたはず!?」
黒マントが疑問を投げかけるより疾く、彼女は放っていた。
狩人最強とも言える一発―――サイドワインダー
銀の弾丸が黒マントの胸を捉える。それは確実な死をもたらす悪魔の一撃。
着弾すると、まるで爆発したかのような衝撃を生み出し、
貫いたまま黒マントを後方の木へと叩きつける。
彼女の攻撃は終わらない。
シャルの周りの空気が氷つく。
彼女が起こそうとしているのは、そのジョブ毎に与えられた、数限りある奇跡。
全精力を、全魔力を次の一発に籠める―――イーグルアイ
ガラスが砕けるような音が、彼女の全てを飲み込んだことを証明する。
そうして放たれた一発。
空気すら切り裂くような鋭さをもって黒マントに炸裂する。
702 :
Asel ◆3MJqxuakeQ :2006/11/23(木) 14:35:31.88 ID:PDrNb2Wf
彼女は倒れこむ。
それも無理もない。肩への致命傷受け、かつ彼女は全てを出し尽くしたのだ。
倒れて尚、黒マントを見据える。自分の勝利を見届けるために。
今回はここまでです。
駄文ですが、読んでやってください。
クロワール氏とコンタクト・・・。
どうでしょうねぇ、今はまだサンドリアについてないのでなんともw
704 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 16:39:34.96 ID:KZoaJOdT
上へ参りまーす
705 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 18:08:39.79 ID:G5otnp2Y
シャルかっこいいよシャル
俺のヒロさんへのまっすぐな想いが揺らぎそうだw
706 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 18:28:53.91 ID:zBTRRv61
「朝起きたら自キャラになっていた」
モグハに引き篭もって寝た。
投下乙でございます。
皆様の御活躍される様子に、つい読みふけってしまいました。
私も忘れられてしまう前に投下しなくては。
・・・バストゥークの夜は未だ明けず、か。
さて。
まずは、準備だ。
俺はクローゼットを開け、中の金庫からギルの詰まった小袋を三つ、取り出した。
“アラバスタ”の資金が底をつくが、仕方がない。これをモンブローに支払う入院費に充てる。
「手早く済ませて、ここを出よう」
砂漠で旅をするための装備品も見繕う。マント、ターバン、バックパック、予備の水筒、etc。
とはいえ、荷物は送付されたままの未分類だ。手探り状態で、必要な物がなかなか見つからない。
多少いらつきながら物品の山を引っ掻き回す。
そんな俺の背中に、メイミィの声がかけられた。
「モーグリさんと、仲がいいんですね」
刺々しい言い方ではない。しかし僅か、ジェラシーが含まれた感のある声。
俺は手を休めず、そうでもないよと応えた。
「彼は他人との間に一定の距離を置く。俺や他のモーグリにさえ踏み込ませないラインを引く。
互いに必要だから一緒にいるけど、実のところ、何を考えているのかわからない」
だから、今回の一件も多少は疑っている。お膳立てされた罠ではないかと。
同時に、もしかすると、という期待にも似た感情も浮かぶ。いや、ムシが良すぎる。
こんな関係を“仲が良い”とはいえないよ、と俺は苦笑した。
そんな関係も“仲がいい”っていうんです、と彼女は微笑んだ。
どうも調子が狂う。まるで包み込まれてしまうような錯覚。
困るのは、それが特段、不快ではないということだ。
俺は(半ば諦めかけていた)クローゼット探索の手をとめた。
メイミィ、と俺は遠慮がちに名を呼び、彼女は屈託なく、はい、と応える。
さも当然のようなやりとり。
それが今までの自分からすれば、とてつもなく大切なことに思えてしまう。
己の事ながら、まったくタルんでいる。やれやれ、と俺は使い古された風体のマントを羽織った。
俺も彼女も、旅装はほぼ整った。
砂塵を防ぐ覆面ターバンは、現地についてからその場で巻けばいい。
あとは―――。
「メイミィ。いまのうちに話しておきたい。これまでの事、これからの事」
テーブルに軽く腰掛けながら、彼女に椅子をすすめた。
「少し、長い話になる。
俺たちのような存在は、善悪というモノサシでは量れない、ということはわかってると思う」
固くなって、頷くメイミィ。
この“ヴァナ・ディール”にとって、“来訪者”とは何か。
世界の在り様と、俺たちの敵対勢力“赤い鎧”。
そして、俺のやらんとする破滅的な事を。
納得してもらうには、むろん時間がかかるだろう。
それでも、まずは知ってほしい。
俺は、人体と病原菌そして白血球を例えにして、一から説明を始めた。
710 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/23(木) 21:29:37.23 ID:wIig7q+R
まずは、ここまで。
711 :
既にその名前は使われています:2006/11/23(木) 23:42:27.13 ID:ImbbfB7C
hage
キンコン♪
「……はい、こちらNo.22…」
『もしもし、ケロちゃん? オレオレ、オレだけどさー』
「……今忙しいので、後にしてください。あとその声でその口調はやめてくださいデス様」
『むうう…旧称号で呼ぶな。余程キてるなケロちゃん、作業中か』
「はい…つい先ほどトゥー・リアの再データ化処理を一時凍結せよと通達もらいまして…。
代わりにミラー作って神々の間と繋いで、ついでにホラデムメアのアークからも繋げちゃえだそうです…」
『事実上の降参宣言じゃないか…やるなーあのチビ王子』
「あはははうふふふふふ;; 死ねばいいのに」
『おちつけーおちつけーケロちゃん、NPCはダメだーw 代わりと言ってはなんだが多分いい知らせを』
「…期待はしませんが一応聞かせてください」
『"純粋な"来訪者を捕まえた。持って帰れるかは五分だが、解析できればイタチごっこは5歩くらいリードできると見たね』
「それはそれは。ってかそんならすぐ帰ってきてくださいよ」
『えー…それは困る』
「いや困るとか言われても」
『見なきゃならんもんが色々あるわけよ、分かってくれケロちゃん…w』
「………(死ねばいいのに)」
『聞こえてるぞー。というわけで、邪魔したなぁ。ミラー作成がんばれ』
ぷつん。
「……多分帰ってこねぇな……あーもー、休み欲しい……」
713 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 01:58:00.36 ID:WPxjl9YZ
aguru
714 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 06:58:34.85 ID:uONBhjAF
旅立つ二人と不穏な二人age
おはようございますage
今夜は久々に番外編を、と構想中でございます。
716 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 08:32:42.11 ID:WR0WKWw9
Good morning AGE
717 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 11:35:16.52 ID:Vt9LDjc1
ケロちゃんてケルベロスか。どこの木之本さくらだよw
そしてリード氏の破滅的なお話…番外編ともども気になるage
718 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 15:25:05.75 ID:uONBhjAF
agaruta
719 :
既にその名前は使われています:2006/11/24(金) 20:16:43.22 ID:b2rf/xco
ほす
保守いたします。
管理者組織が再編成されて、赤い鎧の各名称が変わった・・・というのも面白いですね。
********************
お姉さまは確かに、“朝食は、外においしいものを食べに行きましょう”と言ったけれど。
うん、料理はおいしい。
タイミングよく給仕の人がグラスにジュースを注いでくれて、イッチはそれを飲み込んだ。
ゆっくりしすぎて、朝食というよりブランチといった時間帯なのは、別に問題ない。
ただし、ここは―――。
「どうしたの、イッチ?」
デュエルが優雅にナイフを扱う手を休め、イッチをやわらかく見やった。
「このあと少し忙しくなるわ。ちゃんと食べておきなさいね」
「ハイですにゃ」
と返事をしたものの、どうにも居心地が悪い。
実際は、料理も、調度類のしつらえも、給仕さんたちの気の利かせ方もすこぶる快適。
ただ・・・、いわゆる気分的な問題がふたつ。
「あの、お姉さま」 イッチは上目がちに、今日何度目かの同じ質問を重ねた。
「ホントにいいんですかにゃ・・・」
いいのよ、とデュエルが一口大にパンをつまみながら、今日何度目かの同じ答えを返す。
「わたくしたちは、そういう世界の人間なのよ。もちろん、イッチもね」
―――ここは、ジュノ大公宮。そのゲストルームで、イッチたちは優雅なひと時を楽しんで(?)いた。
映画でしか見ることがないような、巨大とも言える貴族テーブルの、最上座にデュエル。
イッチと、“気分的な問題その2”、すなわちハイプリースティスが向かい合って次席を占めていた。
彼女は顎のラインより少し長めの黒髪を分けた、いかにも生真面目そうな眼差しのヒューム。
さすがに食事の席では鎧姿のはずもなく、しかしかっちりしたデザインの平服を着用している。
それが更に、彼女の印象を固いものにしていた。
これで眼鏡をかけていたならば、それ系が好きな男性には堪らないものになるだろう。
(でも話してみると、意外にフツウのねーちゃんだにゃー)
赤い鎧のひとりだと紹介されたときには、イッチも驚きで尻尾が股に隠れてしまったほどだった。
なにせ来訪者にとって恐怖の代名詞ともいえる、あの赤い鎧だ。
「それで、私の話は理解しましたか?」
先ほどまで休むことなく説明を続けていた彼女が、苛立ちを隠し切れない様子でイッチに問う。
「世界を管理する我々の組織について、非常に噛み砕いて説明したつもりですが」
「・・・よん?」
ごめにょ。ほとんど頭に入っていない。
「―――っ!!」
小馬鹿にされたと感じ、そもそも、どこで拾われてきたのかこの猫、という気持ちが追い討ちをかけた。
ハイプリースティスの端正な顔は一気に紅潮し、爆発寸前だった。
まあまあ、とデュエルが二人のやり取りを制止した。
「でも、お姉さま」
ハイプリースティスのひとことに、今度はイッチがピクッと片眉を上げる番だった。
(お姉さまをお姉さまと呼んでいいのは、オレだけにゃッ!)
二人の視線がぶつかり合い、激しい空中戦を展開していく。
“お気に入りのペット同士が、微笑ましくじゃれ合っている”
デュエルにとっては、その程度の些事にしか感じていないのかもしれない。
彼女はさして気にすることもなく、食後の紅茶を喫しながら説明を例えてみた。
「イッチ、こう考えてみてはどうかしら」
ヴァナ・ディールという世界を、人体に想定しよう。来訪者とは、ウイルスのようなもの。
リアルという外界から飛来し、健康に様々な悪影響を生じる可能性が高い存在。
ヒトの体に感染したウイルスのうち、影響のないものや逆に取り込まれて消えるものは、まだいい。
だが悪影響を及ぼすならば、それを速やかに駆逐する白血球の役割こそが、赤い鎧や黒マント。
体調を管理し、病気にかかった場合は治癒するのが、すなわち管理者組織というわけだ。
無菌状態など現実にはありえない以上、いままでもこれからも必要不可欠。
「なるほど、わかったにゃー。“ミスター・アンダーソン。君たちはウイルスなのだ”ですにゃー」
本当にわかったのかどうかはともかく、うんうん、と腕組みして頷くイッチ。そして、重要なことにハッと気づいた。
「もし、もしもです、お姉さま。ものすごくもしかしての話なんですけどにゃ。
リアルから持ち込んだ物が木刀とトイレットペーパーと自転車だった場合、駆逐対象になるですかにゃ・・・?」
「ずいぶん、おかしな組合せね」
今夜は以上です。
725 :
既にその名前は使われています:2006/11/25(土) 00:48:34.58 ID:oubOWpJT
>>724 ごめん、笑いのツボが俺は人と違うらしい
吹いた。
べ、べつにイッチが理解力不能でマ○リックス知ってたから吹いたわけじゃないんだからね?!
さぁ、投下をさせていたただきます。
「だ、大丈夫?」顔覗き込むように言われる。
「あ、ああ…な…大丈夫…。」なんとか、を付けたかったがやめた。ほんとはまだ苦しい。
「ホント?…ゴメンね。なんか嬉しかったから…。」少し離れて頬を染めている。
ふと彼女を見上げる。フードの影で顔はよく見えない。さて、「あの、さ」「え?なに?」
あさっての方向を見ながら頬を掻く。「言いにくいんだけど…さ。」「?」
「着替えてきたら?それ。」彼女はゆっくり自分の姿を確認した。当然自分の今座ってるところも。
ぼっ!!
彼女の頭の上に湯気が立ち昇った。「…ごめん、ちょっとここで待っててくれる?」「うん…」
さっきよりも顔を真っ赤に染めた彼女がウィンダス連邦内に続く門へと走っていった。
…一緒について行くのはやめとこう、って俺はどうすればいいんだろ? 放置?
血まみれのシアーチュニックを見てから空を仰いだ。相も変わらずサルタバルタの空は青かった。
だいぶ経ってから(3時間くらい?)してから彼女が戻ってきた。(……)
こっちに走ってくる彼女はさっきと同じように白いチュニックを着ているが今度は蒼いラインが入っている。
ブレスドブリオー一式。その一式には頭装備が無く今度は彼女の顔をしっかり確認できる…のだが…
(…あら…まぁ…)しゃがみ息をつきながら俺に笑いかけた彼女は……なんていうか、かわいかった。
さっきまで泥まみれだった顔がキレイになったせいなのか、ヒュームのF8(ショートにまとめたヘアスタイル)の顔のせいなのか、
はたまたとっびきりの笑顔で笑ってるせいなのかはわからなかったが実に、かわいかった。
すこしの間彼女に見とれていると(…あれ?)何かが頭に引っ掛かる。と、
「はい、これ!その格好だと気持ち悪いでしょ?着替え。」紙に包まれた何かを手渡された。
「?」なんだろう、紐を解く。…シアーチュニック一式だ。競売で買ったのか?「あ、ありがとう。あとでお金渡すよ。」
「いいよ、そんなこと気に…って、あれ?」とりあえず一番気持ち悪かった上を脱ぐ俺にむかって彼女が聞いた。
「下、着て無いの?」
通常キャラは全ての装備を外すと俗に下着と云われているものを着ている。当然といえば当然だが、
タルタル族のそれは他種族に比べそれを服装と呼んでもいいようなものを着込む。
上は長袖のTシャツ、下はオーバーズボンみたいなものを穿くのだが、まぁ「どこが下着だ」といいたい。
「ああ、鬱陶しかったから脱いだんだ。寒いところだったらまだしもここは比較的暖かいし、脱いでもあんま影響なかったんだ。
もちろん上だけ脱いだんだけどね、っと。」ぐちゃっと草むらに汚れたチュニックを落とした。
「へェ…」感心したような顔で上を脱いでいる俺のほうを眺め、見ている。
……「…とりあえず上だけ着替えるわ。」「? うん。」【えーっと…】まぁいっか。袖を通す。
うん?これ…「へへっ、わかった?ハイクオリティ『シアーチュニック+1』!!なんかいいでしょ?」
「ちょ!!そんな、悪いよ!!」「いいからいいから!!お姉さんに気兼ねしなくっていいの!」
……………………
はい、すこし質問してもよろしいでしょうか?
「あのさ…」「うん?」「ぶっちゃけ、俺いくつに見える?」彼女はピタと固まった。
「え?えー…っと、ご……きゅ?………じゅっ…さい?」思わず頭を抱えた。
「俺、今年で23なんだけど。」「ウソ!見えない!」
そりゃ見えないだろ!タルタルの体型で顔だけ大人って気持ち悪いだろ!!3頭身の大人顔ってなんだ!!
「どっかで小学生プレイヤーってのは聞いたことはあるけど、俺はそうじゃないよ。きっちり働いて給料しっかり貰っ…」
…てあれ? 彼女は目を瞑ったままうつむいている。顔がまた真っ赤に染まっていた。(…フィールド・バック?)
ガキンチョだと思って油断してたのに、いい大人だと知って羞恥心がぶり返したらしい。
「き、気にしなくっていいって!!あの状況じゃ仕様が無いし、女性はしやすいってい」
頭を抱えうずくまるように小さくなる彼女。かすかに震えている。
ああ!くそ!!なに言ったって全部逆効果だ!!…! そ、そうだ!!
「そ、そういえばまだ名前聞いてなかったよな!?なんて名前?」
顔をゆっくりあげた。目じりが少し濡れている。「…わたしの?」「そそ!なんていうの?」「ああ!! わた」
彼女が急に下をむいた。心なしか、いや顔が青い。
ブツブツなにか言っている。「…違うって…それは、ここでの名前だって…」(?)
「え? な」俺の方を気にもしていないのか更に独り言を言う。「違うって、その名前じゃないって…その名前、じゃ…」(!!)
彼女の頬に涙がすぅっと流れた。
彼女の肩を掴んで少し雑に揺する。「…どうしたんだよ! 名前がど」彼女の眼を俺の眼が捉えた。瞳が小刻みに揺れている。
眼がまるで水そのものみたいに潤んでいる。すこし触れるとこぼれてしまいそうな葉の上の露みたいに。
「…わ、私の、名前、お、思いだせ、ないの」「…え?」
「ここのね、な、名前じゃ、な、なくて、現実の名前、が解らないの。な、なんで、わた、しの、私の『名前』なのに!!」
たまらず彼女はわっと両手で顔を覆った。
名前? 『名前』? 俺は?
俺の名前は、 『バレィルヤレィル』?
違う。なにいってんだ。俺の本当の名前はそんなふざけた名前じゃない。
その名前はキャラを作るとき思いつきで考えたものだ。本当の名前じゃない。 じゃあ俺の『本当の名前』は?
そうだ、全部漢字で書いている。 本当に?
本当だって、だいたい日本人の多数はそうだろ? それで、四文字だ。 確信できる?
できるとも。それで それで?
それ、で… それで?
… ?
思い出せない。現実で呼ばれていた俺の本当の名前。
俺の現実世界で呼ばれていたはずの名前。生れ落ちたときにつけられた名前。
両親がおそらくは考え尽くして、そして喜びながら考えてくれた名前。
友人に率直に、または少しアレンジを加えて呼ばれた名前。
職場や病院、そのほかいろんなところで呼ばれた名前。
これまでに何百回も書いた自分の名
『た』? 『た』かよ? 過去形かよ? もう俺の名前はどこにもないのかよ? ここにいる俺はなんだよ?
足元が崩れる錯覚を覚える。奈落に落ちる。どこま 「…ひっ…」
はっとする。前に眼を向ける。
彼女が泣いている。ぽろぽろと涙を流している。俺と同じ思いで
潰れかけてる。
――――――――「忘れたんじゃない、向こうに置き忘れたんだよ。名前。」
「…え?」
「向こうにしっかり残っているんだ、俺や君の名前は。忘れたんじゃない。」
「で、でも、わたし、ここでの名前しか思いだせ」
「この世界にいるんだから当然だって。ここでの名前はそうなっているんだ。『ヴァナ』での名前なんだって。」
「…」
「現実世界に戻ればすぐ思い出せる。現実は無くなってないし、俺たちがそこにいたってことも同じように無くなっていない。
戻れば変わってないよ、なにもかも。俺たちが主張したことは絶対に無くなってない。だって」
ここまで一気に喋り、唾を飲み込む。
「ここにいるじゃないか、俺たち。」「……」
確信なんて無い。現実世界に戻れるってなんてのもはっきりわからない。ここで一生過ごす羽目になるかもしれない。
だけど、こう思わなきゃやってらんないじゃないか。
現実の世界で生きていったことが、自分がいるのに無くなるかもしれないなんて考えたくないじゃないか。
少なくても、自分で自分を肯定しなきゃここでも現実でも生きていけないじゃないか。
「…教えてくれよ、君の、『ここ』での名前を。」そうだ、『ここ』だ。
彼女は鼻をすすり、深呼吸して息を整えた。「私の、『ここ』での名前は、」
すっと俺の眼を見つめる。もう揺れていなかった。はっきりとした口調で彼女は言った。
「サニーリンツ(Sunnylintu)。仲間からはサニーって呼ばれてる。そう呼んで。」
「ああ、サニー。俺の『ここ』での名前はバレィルヤレィル。バレって呼んでくれ。」
「うん、よろしく。…バレ。」
彼女がまたとびっきりの笑顔を見せてくれた。
こうしてこの長い長い旅路の隣にいてくれ、そして誰よりも長く一緒にいてくれたサニーに出会ったのだった。
そして、このサニーを好きになり故に自分の弱さに飲まれたリド(lid)ともこれから先、俺は出会っていく。
「で、ちょっと気になってるんだけど…」ちょっとどころかかなりだが。
「なに?」
頭の後ろを撫でる。「サニーっていくつ?」「う〜ん…」
サニーはぺロッと舌を出しウィンクしてみせた。
「秘密♪」
悪戯っぽく言った。
「えぇ〜〜。」
投下終了。
11半ごろ書き始めてこの時間…。
おれは馬鹿か?
ここでひとつお願い。
サニーのフルネームの由来がわかってしまった方、どうか黙っててください。
だって恥ずかしすぎる裏設定だもんなぁ。
さて以下補足解説。
この世界で自分のことを紹介しようとするとリアルの名前で、と思うんです。
まずキャラの名前で名のることはない。リアルに考えると当然ですがw
それなのに自分の本当の名前が名のれない。思い出せない。
これって結構恐ろしいことだと思うんですよね。
個人的考えですが「名前」って社会と自分を繋ぐものじゃないかと。
自分の名前を他の人間に繰り返し呼ばれ自分という存在を確立していく。
そうして同時に自分の居場所を見つける。自分はここにいると認識できる。
(昔の話ですが、赤ん坊に対し名前を呼ばず話しかけずに栄養だけ与えるという実験を行ったところ
実験対象の赤ん坊一人残らず全員死んだそうです。)
それなのにヴァナに来たばっかりに違和感ありまくりの名前を押し付けられる。
で、拒否したいのにそれを受け入れられずにはいかない。
リアルの社会と自分を繋ぐ「名前」という名の綱が無くなった瞬間。
人によってその衝撃の度合いは違ってくるでしょうが確実に心をえぐるでしょう。
そういった小さな傷が物語が進む過程で次々とバレをはじめ来訪者に襲い掛かってきます。
幾つも、幾つも。
果たして正気を保ちつつ彼らはリアルに帰れるでしょうか…?
書きたいことの一つがやっと書けました。
しかし、音楽聴くと結構指が進みますな。
今日は、てかずっとこれ聞いて書いてるんだが。
レミオロメンの「HORIZON」
「スタンドバイミー」が一番聞いてます。
投下乙だがレディに年齢を聞くときはそれなりの聞きかたがあるでしょう?
742 :
既にその名前は使われています:2006/11/25(土) 11:32:50.76 ID:Y7BKYpZU
連保守は気まずいが
デュエル嬢はハイプリを一体どうやって手懐けたのか気になる次第
743 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:13:21.46 ID:4czdndnL
それはやはり、・・・あ、何だか赤い鎧の人が見えるッ。
あれが噂のS(sister)GM・・・ってギャアアアアアア!!!
お姉様ってステキな響きですね。
では、続きを少々。
744 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:18:21.32 ID:4czdndnL
周囲を見回すと、沈みかけた夕陽が山の端にかかっていた。空は赤と青が混じりかけ、非現実的なほどに美しい。
「・・・ふわ」
『こちら』に来て、初めてちゃんと空を見た気がする。いや、サンドリアで見たっけ。昼だったけど。
随分時間が経っている気がする。今は何日なんだろう?・・・リアルも、ヴァナも。
もしかしたら、そんなに経っていないのかもしれない。
「あの、・・・あれ?」
何か言いかけた青年が、私を見る。首を傾げ、それから小さく声をあげた。
「あ・・・!?」
・・・え?
それは明らかに、私への反応だった。
「そ・・・っあ、あの、・・・」
突然にうろたえだして、慌ててぱしぱしと服を払う。今まであった中で、とても変わった反応だった。
「・・・あの、あなたは・・・」
「えーと・・・」
恐る恐るの問いに、どう答えるべきなんだろう。・・・普通に名乗ればいいのかなぁ。
何か肩書きがあるわけじゃないし、それ以外ないよね?来訪者って名乗るわけにもいかないし。
「えっと、私は・・・キーゼル」
「キーゼル・・・ソルニエの」
「あ〜・・・いや、その名前は知らないけど、確かキーゼル・ランクスです」
私が言うと、彼は不安げな表情になり、それから首を振った。
745 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:21:47.41 ID:4czdndnL
うあ、私答え方間違った?なんかサンドリア流かエルヴァーン流の答え方があるんだろか。
ドキドキしていると、何か吹っ切れたのか彼はにっこり微笑んだ。
「いえ、すみません。こちらの勘違いでした。・・・あなたが知り合いに似ていたので」
それ、なんかヤバい人じゃないよねぇ!?すげー不安なんですがッ!!
穏やかで優しいその微笑みは、私の不安を一層かきたてた。
何故なら、
「いいんです。知らないなら知らないで全然いいんです。全部すっかり忘れてください」
なんて念を押されたから・・・
少し離れて見上げると、それは巨大な・・・やっぱり分からない。
「デムの岩です」
青年が教えてくれた。
ああ、つまりここは、コンシュタット高地なんだ。
ほへ〜と見上げていると、彼は私に行き先を問うた。
「これから、バストゥークへ戻るんです。あなたはどうします?」
「どうって・・・ああ!!」
忘れて・・・ってかそれどころじゃなかったけど、ハルヴァー様に会いに行かなきゃいけないんだ!!
746 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:28:18.15 ID:4czdndnL
お昼だったのが、もう夕方だ。きっとすごく怒られるな〜・・・ほら、騎士の国だけに規則とか厳格だろうし。
「サンドリア行かないと・・・」
「サンドリア?」
反芻し、ふと腰のポーチから何かを取り出す。小さくて私にはよく見えない。
それを大切そうに両手で包み込み、まるで祈るように胸に当て目を閉じる。
「・・・・・・?」
時折彼の表情がわずかに変わる。少し難しげに、あるいは困ったように。
決定的に変わったのは、彼がはっと私を見た時だった。
「・・・え、でも、そんな・・・」
呆然と呟く。
何なんだ・・・一体。私は、何なんだ。
いそいそとしまい込むと、彼はそっと首を振り、私に微笑みかける。
「サンドリアは、行かないほうがいいみたいですよ」
唐突だなオイ。って、だから何があったの!?
ああ、もう泣きたい・・・
まさか顔を出さなかったくらいでハルヴァー様が指名手配とかするとは思わないけど・・・すごいイヤな予感がするッ!!
あの双子?いや、違うな。あの人たちはむしろ共犯になってくれそうな気がする。
「サンドリアで何かあったの!?」
「いや、その・・・」
747 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:33:21.92 ID:4czdndnL
言い辛そうに口ごもり、それからそっと言う。
「・・・その、ある重要人物が失踪して、ですね。不審者とか片っ端から捕まえてるそうです。
だから、今はやめておいたほうがいいんじゃないかな、って・・・」
私不審者にしか見えないですか、そうですかorz
まあ・・・でも、完全にハルヴァー様に信頼されてるわけでもないだろうしなぁ・・・
いきなり異世界から来ましたなんて言われて、まともに信じるほうが怪しいし。
あのふたりも、もしかして監視だったのかなぁ。うぅ、イヤな想像が尽きない・・・
がっくりと肩を落とした私に彼はぽんぽんと肩を叩き、
「とりあえず、バストゥークへ行きましょうか。街にいたほうが何かと都合がいいですしね」
いたわるように微笑む。
元はと言えば、こんな不安になったのはあなたのせいなんですが・・・その笑顔が憎いッ。
私の思いを無視してその本人はさっさと行ってしまい、慌てて後を追う。まさか歩きなのかなぁ。
と。黄色いダチョウ?が見えた。大きいと言うよりおっきい。
「チョコボには乗れます?」
チョコボ!これがチョコボなんだ。思ったより大きくてふわふわしてる。ちゃんと鞍が乗ってるし。
手綱を引くお姉さんは、免許証の提示を、と促した。
うーん・・・無免許です。とは言えないよなぁ。どこかにあるかな。
着替えた時にまとめた荷物、と言っても、チュニックのポーチに入っていたものだけど、それをあさる。
薄いカード。顔写真?と名前が刻まれている。えー・・・『死ぬまで有効』。非常にツッコみたい。なめ猫ですか。
「ん・・・?」
748 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:37:27.23 ID:4czdndnL
荷物の中に、見たことのないものが入っていた。
鞘に収められた短剣と、ふとなくしそうなくらい小さな淡い色の真珠。・・・これ何だろ?
「どうぞ」
お姉さんが、手綱を引いてチョコボを私のそばに寄せた。
乗馬の経験なんて、小学校の遠足でポニーに乗ったことしかないんですが・・・
「あなた、サンドリアの騎士でしょう?チョコボに乗ったことくらいあるわよね?」
・・・と言われましても。なぜか免許はあるけど、乗ったことも見たこともありませんでした。
「えーと・・・あんまり、乗るの得意じゃなくて。だからあんまり乗ってません」
としか言いようがない。もちろんお姉さんは不思議そうに私を見て、それからバシッと背中を叩いた。
「慣れれば大丈夫よ。男の子なんだから、怖がったりしないの」
・・・うぅ、やっぱり乗らなきゃダメですか・・・仕方なく、お姉さんに手伝ってもらいながらチョコボの背に乗る。
・・・お、意外と安定して、
「クエーッ!!」
「うわッ!?」
突然、チョコボが暴れ出した。羽をひどく打ちつけ、でたらめに全身を振るわせる。
「クィーキー!?」
お姉さんが悲鳴を上げ、慌ててチョコボをなだめる。
ああ、このチョコボ、クィーキーって言うんですね。とっても元気なチョコボですね。
私を振り落としてくれるくらいに。
・・・・・・い、痛い・・・
749 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:43:26.79 ID:4czdndnL
柔らかな光が私に触れる。心地よいぬくもりと共に、全身から痛みが引いていった。
まだ興奮しているチョコボをなだめ、お姉さんは困りきって言う。
「クィーキーは、本当はおとなしい子なのよ。初心者でも乗りこなせるから、変に自信をつかせちゃうくらいなの」
そりゃあ別の意味で危険なんですが・・・
試しに青年が乗ってみると、チョコボはおとなしく彼を乗せた。お姉さんも軽々と乗ってみせる。
・・・エルヴァーンしか乗せないチョコボ?
「キーゼルさん、ちょっといいです?」
チョコボの上から彼が言う。
「う?」
「二人乗り。それなら多分乗れるはずです」
その言葉にお姉さんを見ると、お姉さんは頷いた。
「あなた小さいから大丈夫じゃないかしら。女の子を乗せるようなものでしょ?」
いや、だから私は・・・もういいや。
もう一度、今度はお姉さんと彼に手伝ってもらってチョコボに乗る。
チョコボは少し身じろいだけれど、それでも私を落とそうとはしなかった。
「大丈夫そうね」
「視界の邪魔にならないですしね」
「・・・ん?」
なんか今、ものすごく失礼なことを言われた気がする。
750 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/25(土) 13:51:41.13 ID:4czdndnL
今回は以上です。
いつもよりちょっと長めになりました(´Д`;)ヾ
チョコボの二人乗りって、思ったけど難しそうですね・・・
いや、自分で書いてて何ですけどw
なめ猫age
752 :
既にその名前は使われています:2006/11/25(土) 21:08:48.56 ID:s8v97qX7
hosyu
753 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/26(日) 00:03:43.39 ID:4czdndnL
>>751 元ネタはありますが、深い意味はありませんです。
ただの姓と考えていただければ。
いや、ほんとに深い意味はないですよ?
それっぽい名前を考えるのが面倒だっただけでw
754 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 02:14:43.53 ID:HUNJ9IKu
ソルニエ の検索結果 約 9,020 件中 1 - 10 件目 (0.36 秒)
age
「あれは生き物を殺す事を嫌がっていた。だから俺が代わりに殺した」
『彼』はそう言った。
「殺して殺して殺し尽くした。数なんていちいち覚えていない。目につく奴はみんな殺した」
その姿は私の知った彼のものだったが。
「だがそれももう飽きた。遊びすぎて赤鎧にまで目を付けられたしな」
その中身は私の知らない『彼』になっていた。
『彼』は私を荷物のように肩に担ぎ夕日に染まるジ・タの森の中、木を器用に避けながら速度を全く落とす事無く走り続けている。
顔が背中の方に来るように担がれているので『彼』の表情は見えない。
代わりに見えるのは後方約30メートルの所に黒い格好をした男がこちらに向かって走ってきている姿だけ。
そう、『彼』はあれ等から逃げている。あれ等は『彼』を捕まえる為に放たれた追っ手だ。
・・・いや、捕まえる為にしてはいささか大袈裟すぎる程の武装をしている。
『彼』は処分が検討されていた。秩序を乱す可能性有りとみなされた為だ。
恐らく捕らえた場合はその場での処分が言い渡されているだろう。
黒装束と『彼』の距離は時に開き時には縮まりを繰り返している。
彼は実にうまく木々の間を縫って走り、時折彼の姿を見失った黒装束がてんであさっての方向に走っていくのが見えた。
しかしそのまま敵の目を欺き続ける事が出来る程に木々が密集しているわけでもなくすぐに発見されその距離は縮められている。
「・・・逃げられないな」
唐突に『彼』が呟いた。
黒装束達は相変わらず追いかけてきている。このままではいずれ追いつかれるだろう。
こんな時間に帰ってくるなら家に帰らずに会社に泊まっていた方がいいのでは?という位に最近忙しいですです
みなさん投下頑張って下さい!!
誰か休みをくれ
757 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 10:28:40.49 ID:DnZDIbhu
お仕事おつかれさまです(つД`;)age
758 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 10:29:49.57 ID:8XqhkcJz
「朝起きたらキラになってた」で物語を書く15スレはここですか?
759 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 10:29:51.26 ID:Iz6ybWdM
保守
おきばりやす
やべえ、興味本位で覗いて見たら下手くそな文章自慢げに垂れ流してて素で引いた。
すまない、消えるわ。
761 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 12:11:42.09 ID:Eft3LYqr
黙って消えてればいいのにワザワザ捨て台詞吐いてて素で引いた。
すまない、消えてくれ。
762 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 12:51:24.36 ID:foLF8306
俺はここで小説を書くときは邪気眼を発動させている
まだまだ真の邪気眼使いへの道は遠いが、いつか小説を完成したときに世界を滅ぼす程の力が手に入るはずだ
何だかんだ言いつつ残り50kb切ってるわけだ
3スレ振りにあれが読めると思っていいのかね?
>>758 ノートで殺すキラですかMSで殺すキラですかスク水で戦うキラですか剣王のキラですか元レスラーなきらですか赤穂浪士に殺されたキラですか
765 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 18:05:12.26 ID:HUNJ9IKu
スク水と元レスラーについてkwsk
767 :
既にその名前は使われています:2006/11/26(日) 19:08:23.85 ID:HUNJ9IKu
thx
しかし、中学生だらけとは如何な物か…
レスラーのキラというとキラー・ザ・ブッチャーしか思い浮かばない。
投下したい投下したいとは思いつつも色々あって書きあがってないから投下できないや……
ともあれ投下人様方、乙です。
今日はモグタンに私がいた世界の文化を教えようと思う。
「勝手に怪しい物に触ってはいけません。私がいた世界では物が爆弾になっていることがあります。」
「クポ?」
不思議そうな顔をしてモグタンが私の顔を見つめた。私も確かに説明不足だったとは思うので更に詳しく説明をする。
「私のいた世界にはスタンドというものがあります。それは大抵は特殊能力を持っているのです。
その特殊能力には物を爆弾にするというものもあります。なので、見知らぬものに触れてはいけません。」
「何が言いたいクポ?」
またもや不思議そうに首を傾げるモグタン。あくまでとぼけるつもりらしい。
「引き出しが荒らされた跡がありました。」
「自意識過剰クポ。」
「引き出しには小さな紙がはさんであり、誰かがあけると落っこちます。落ちてました。」
「勝手に落ちただけじゃないクポ?モグはちゃんと元に戻したクポ!・・・あ。」
「やっぱ荒らしたんじゃない!!!」
ウィンダスの一角で「オラオラオラオラ」という奇声が響き渡ったとか響き渡らなかっただとか・・・。
爆弾で殺す吉良吉影を忘れちゃだめですよ(゚∀゚ ∬ ジョジョネタ分からない人すみません
ゆりひな嬢がモンクになってはる…
投下乙でございます。
確かに残り容量もそろそろ・・・ですね。
該当する区域の担当官にもよるけれど何れにせよ、と前置いてデュエルが答えた。
「放置してもいいリアルの物品など一つもないの。全て引き渡してもらうことになるわね」
「まさか、あなた・・・」
きらり、とハイプリースティスの双眸が光った(ようにイッチには見えた)。
まるで、狩るべき獲物を見つけたかのように。
「それらを持ち込んで、隠しているんじゃないでしょうね」
反射的に、ブンブンと手を振って否定するイッチ。
「ち、違うッ。ただ思いつき、そう、思いついた物だっただけにゃ!」
あぶない、あぶない。
命の恩人のことは、秘密にしておいたほうがイイに決まってる。
「あくまで仮定の話よね」
イッチの焦りなどお見通しなのだろうか。ただ穏やかに微笑むデュエル。
「説明すれば、皆、快く従ってくれるもの。罪を憎んで人を憎まず、よ。」
さあ出かけましょうか、とデュエルは席を立った。
「百聞は一見にしかずとも言うわね。これから実際に、組織の施設を見に行きましょう」
ハイプリースティスがひとつ頷き、手をかざす。
それだけの動作で、光の粒子が瞬時に身体を包み込み、彼女は深紅の騎士鎧を纏う。
「では、ズヴァールへ移動します」
ハイプリースティスの宣言とともに、すぅ、と三人の姿は虚空へとかき消えていった。
********************
774 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/11/27(月) 00:44:22.33 ID:w6SIxcPW
今回の番外編はこれにて。
775 :
既にその名前は使われています:2006/11/27(月) 01:40:14.17 ID:H/PmB5ak
久しぶりにユリフィナ姫。
中の人はおと(ryでも充分すぎるほど萌えたのが俺達なんだな。
今のヒロインはパンチが無いのが困る。
776 :
既にその名前は使われています:2006/11/27(月) 02:34:19.06 ID:5YslmZiV
おいィ?
確かに煽りみたいなageしましたがマジレスしなくてもいいでしょう!
ここはどこだ。いや、俺は知っている。ここは自分の部屋のベッドの上だ。
開けっ放しだったのだろうか、窓から吹き込んでくる微かな風に揺られるレースのカーテン。壁に掛けられて
いるブレザー、ネクタイにズボンは通っている学校の制服だ。勉強机にはパソコンが置かれ、そのディスプレイ
には流れる景色をバックにFinal Fantasy XIの文字が―――。
そう、俺は今までこのゲームの中の世界ヴァナ・ディールに閉じ込められ、帰る方法を探していたのだ。
それがどうだろうか、その時と同じようにいつの間にか現実とゲームの世界を行き来したらしい。今思えば、
あの世界も悪くはなかった。自分で帰る方法という道を切り開いていく精神や、挫けない心を持てたと思う。
そして出会った人たち、中でも常に一緒にいた子ミスラには何度励まされたことか、最後に挨拶だけでもしたか
ったものだ。
それらを思い出すように目を閉じる。
次に目を開けたら、またヴァナ・ディールに戻っていたらゾっとしない話だな。はは……。
確かめるように静かに目を開けると同じ天井が見える。安堵のため息と共に体はベッドに沈みこんだ。すると
ドタドタと玄関の方から騒がしい物音が聞こえてくる。
「おじゃましま〜―――。おはよう―――。」
「おはよう―――、まだ寝てる―――。」
部屋のドアは閉まっている。会話はよく聞き取れないが、どうやら幼馴染が一緒に学校へ行くのに俺を起こし
にきたらしい。…まったく、どこぞの恋愛ゲームみたいだな。ふと疑問がいくつか浮かび上がったが、けたたま
しく叩かれるドアの音に思考はかき消された。
「はいるよ〜。あ〜、やっぱり今日もまだ寝てる〜。起きろー!にゃ〜ッ!」
寝たフリをしている俺を揺さぶってくる。というか「にゃー」とか言うな、あの子ミスラを思い出すだろ。
そうか、もしかしたらあのヴァナ・ディールの世界は俺の夢の中の出来事で、あの子ミスラは逆にこの幼馴染
をモデルに形作られたのかもしれない、そう考えると少し照れくさい。
わざとらしく開いた目に入るのは、チェック柄に膝上丈のスカート。自分のものと同じブレザー、その胸元に
は緑色の小さなリボン。見下ろしているその表情からは小さく微笑んでいるのが伺える。そして―――。
目の錯覚か…さも何事もなかったかのように、頭の上に猫のような耳が、ミスラと呼ばれる猫人間の耳が。
女子高生の格好をしたミスラ、いや背丈からしてみれば女子中学生だろうか、意外と似合っていて可愛らしい。
「ニヤニヤしながら夢みてるにゃ〜。早く眼を開けて起きるにゃ〜!」
何を言っているんだ、もう目を開けて起きてるじゃないか。目を開けながら、更に目を開ける何てことが出来
るわけが―――……出来た。
二度目の開眼で見えたものは板張りの天井に、覗き込む子ミスラ。そして、サラサラと小さな噴水の音が聞こ
える、そこは冒険者用の居住施設モグハウスだった。
「夢か…そうだよな。そもそも、小中高と全部私服の学校だったし、レースのカーテンなんてなかったし、中の
良い女の子の幼馴染なんて居るわけもないし、ベッドじゃなくて布団で寝てたし。いやでも、しかし、制服着
たミスラも可愛かったな。はぁ、色んな意味で起きたのが悔やまれる」
「なにブツクサいってるにゃ〜、朝ごはん食べにいくにゃ〜!」
何ゆえにこの子ミスラは朝一番からテンショントップギアなのだろうか、羨ましい限りである。
子ミスラに連れられるように外へ出れば見慣れた街並みが飛び込み、朝の心地よい風が身を包む、登った太陽
の眩しさからは確かな現実感が伴われた。
この世界から意地でも現実へ戻ってみせる。俺は空に向かって挑戦的に言い放った。
「おはようッ、ヴァナ・ディール!」
おはようございます。というわけで、一週間ぶりの投下でした。
明日は同じネタでヘキサガンの女のものを投下する予定。
781 :
既にその名前は使われています:2006/11/27(月) 10:58:15.73 ID:hRpkCnlH
笑っても、泣いても、それでも日は昇るage
ブルドラは売れんよ
売れたとしてもブルドラと一緒にPS3を買っていく人とか出てくるだろうね
783 :
既にその名前は使われています:2006/11/27(月) 12:51:41.91 ID:LRNblDSg
ネコミミの幼なじみが毎朝起こしに来てくれたら
きっと厨房時代に出席日数で呼び出しはくらわなかったage
練兵場で剣術の鍛練をする兄弟を眺め、おれは煙草を石壁で擦り消した。
最後の一本だったが仕方がない。この世界にも煙草くらいあるだろう。・・・あってくれ。
ライターを手持ち無沙汰にいじっていると、鍛練が終わったらしい兄弟が、息荒くこちらに来る。
「おつかれちゃーん」
「・・・死ぬかと思った・・・」
ぐったりと倒れ込んできたのを抱きとめてやる。相手が麗しの乙女なら気分も出るだろうが、あいにく野郎に色気は感じない。
「もうやだ・・・もう帰る、今すぐ帰る、絶対帰る・・・」
呪詛のように繰り返す兄弟の、今は黒い髪をなでてやる。朝からずっと動きっぱなしだったのだから、同情の余地はある。
「ほらほら、情けない顔しないの」
「あんただって、あんな運動したらそんなこと言えなくなるよ・・・」
ごもっとも。
「リンゴジュースあるけど飲むか?」
「もらう〜」
革袋に入ったジュースを渡すとぱっと破顔し、大事そうに抱えた。端整な顔が台無しだ。
「帰ったらマックのシェイク飲もうな。バニラとチョコ」
「モス!オニポテ希望!あとイタトマのバナナタルトwithミルクティ!!」
「まだ元気じゃねーか・・・後でおれの鍛練付き合って」
「も、もうやだ〜・・・」
リアルの記憶がなくなるまで、おれたちはそうして慰め合った。
あの頃はまだ、帰れると信じていたから。
〜バストゥーク 南グスタベルク ある山の頂〜
目の前で焚き火がパチパチと音を立てていた。上を見上げれば幾千もの星が瞬き情緒は満点だ。
焚き火の前でガルカンソーセージの焼き具合を見てる小さな人に眼を移す。
彼はタルタル。このヴァナディール一のちんくs…
「…だから状況説明はいらないっていってるだろ!」だからっていきなり会話形式で始めると不自然だろう!!
「不自然も何も残り容量が少ないんだからどうでもいいことは省けよ!!」
なんだと!!これでも省いたんだ!!お前がこの焚き火周りのゴブリンを手懐けた過程を省いた分結構浮いた…
「それも省けよ!!」…ってぇ!!このやろ、お前なんか黒魔道士じゃねぇ!ケモリンだ!!「獣人は操れネェだろうが!!」
「オメェラ。ウルセェーぞ。チッタぁ…」「お前らもなんで和みたっぷりで焚き火囲んでんだ!!」「ごっぷぅ!!」
「なに当たってんだよ!!つうかなんでここくんだりまで呼出したんだ。それが問題だろ!?」ああ、そうだ。ほれ。
「んン?なになに…
>>741 :既にその名前は使われています :2006/11/25(土) 06:50:21.56 ID:Y7BKYpZU
投下乙だがレディに年齢を聞くときはそれなりの聞きかたがあるでしょう?
なんだこれ?」言葉どおりだ。なんだあの聞き方。遠慮ってモンがないよなぁ?
「…じゃぁ、なんて聞きゃいいんだよ?」…お?これ焼けてるんじゃないか?ほれ。「オホォ、んゥマソォ!!」
「おいぃぃっ!!!!」
保守がてら投下(・ω・)ノ
ところで仕事用PCが起動しない件について・・・
仕事切り上げろと言うサボリーマンへのお告げかしら。
787 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/27(月) 14:25:51.65 ID:r6angUz2
アイゴー、バレさんに被ってしまったニカ?
謝罪はするけど賠償は(ry
続きどうしたもんか…頭の中の世界が広い人がウラヤマシス
被るという行為を侵した
>>787に対しわが国は、えっと非常に遺憾、であると
えー表明しました。えっと、わが国はこのような行為をした
>>787国に対し
前向きに善処ある対応をしていただきたい、とこう思うわけですがいかがなものでしょうか?
てかこっちが悪いです!!
もぉしわけございません!!
お願いだからkakuなんて撃たないで!!
…こんな感じでしょうか?、日本の対応ってのはww
ちょっと違うかな…
790 :
Kiesel ◆nu123wJPbk :2006/11/27(月) 20:11:37.09 ID:r6angUz2
<*`∀´><ウェーハッハッハ!イルボンはウリナラの言うことを聞いてればいいニダ
(´・ω・`)<・・・・・・。
(´・ω・`)<非核三原則・・・考え直そうかな
<;`∀´>そ
(´・ω・`)<・・・9条改正して、イージスやF-22も持っちゃおうかな
<;`д´>そ
(´・ω・`)<・・・まあ、考えてみるだけだけどね
<;`∀´><そ、そうニダ!平和が一番ニダ!
こうですか!分かりません!><
来訪者事件がある程度の落ち着き始めてから何年がたっただろうか?
落ち着き始めたとは言ってもそれは本当にある程度で依然来訪者は現れ、そしてヴァナディールに一波乱を起こす事もある。
だが、とある来訪者に深く関わった一人のエルヴァーンを筆頭に、多くの者の努力があり、
来訪者を元の世界に帰す魔法が開発されたため、昔ほど大事になることはずいぶんと減ったものだ。
その魔法は非常に大規模なもので、赤魔道士5人、白魔道士4人、黒魔道士7人に詩人2人、そしてアトルガン皇国の魔道士、
青魔道士3人の力と光るインクと龍の血で描かれた大規模な魔方陣があって始めて発動できるものだった。
サンドリア大聖堂の地下に増築された特殊な部屋にその魔方陣はあった。排他的なサンドリアだからこそ、
来訪者と言う招かれざる客を追い出すのに協力的だったのか、研究の中心であった学者がエルヴァーンだったからか、
それともその両方かはわからないが、魔法に関わるものがウィンダスではなくサンドリアに作られたという事は一時期世間を騒がせたものだった。
そしてその騒ぎの直後は来訪者が殺到したのだった。やって来た来訪者は一人な人もいれば、
二人の事もあり、中にはリンクシェルのメンバーが丸ごとなんて事もあった。
だが、それもうかなり昔の出来事で、最近はその特殊な魔方陣が使われない日すらもあったりする。
その日、サンドリア大聖堂にヒュームとミスラのカップルがやって来た。
仲良く連添うその様子ははたから見ると挙式にやって来た新郎新婦のようにも見えるが、
男のくたびれた鎧と使い込まれた剣と盾や、女の持ち手の部分が磨り減るまでに握り締められた年季の入った杖からは、
多くの修羅場をくぐった冒険者だということが見て取れた。
その二人はしばらく門の前でためらった後、意を決して中へと進んだ。
792 :
ある冒険者達の冒険の先 ◆/GKRtxSDWQ :2006/11/27(月) 22:24:31.08 ID:pICLCRrN
帰される来訪者がすることはいたって簡単だ。魔法が完成するまでの間、魔方陣の中心に立っていればよい。
それさえ守れば中で何をしても大丈夫だ。たとえば、別れを惜しんでいちゃついても・・・だ。
「俺は、ルナと旅したこの79日間のことを一生忘れない・・・。」
ヒュームの男が静かにミスラの腰に手を回し、熱を帯びた視線でミスラの瞳を見つめた。
「ボクもだよ・・・カーツさん。」
ミスラは静かに男の胸に顔を埋め、静かに涙をこぼし始めた。
「ね、無事に帰れたらボクに東京を案内してくれるって約束・・・忘れないでね。」
「絶対に・・・忘れない。」
男、カーツは泣きじゃくるルナを強く強く抱きしめた。魔方陣から光の帯が現れ、詩人のバラードが二人を祝福するように歌われる。
その様子はさながらドラマのワンシーンのようで、二人の世界にどっぷりと浸かっている二人を自分達の世界に酔わせるには非常に効果的だった。
必死に魔法を発動させている魔道士達のヘイトをインビンシブルくらい稼ぐにも・・・。
突き出されるミスラの濡れた唇、そこにそっと重ねられる男の唇。
盛り上がってゆくバラードの調べに乗って、抱き合う二人の体から、同じように抱き合うヴァナディールにはいない姿の
二人のヒュームが幽霊のようにゆっくりと抜け出し、そして光の中に消えていった。
魔法が完成した後、魔方陣の中には、来訪者の記憶だけを残した二人の冒険者が恥ずかしそうに残っているだけだった。
実際は魔道士達のヘイトもずいぶんと残っていたようだが・・・。
793 :
ある冒険者達の冒険の先 ◆/GKRtxSDWQ :2006/11/27(月) 22:24:46.26 ID:pICLCRrN
ハチ公前で待ち合わせだなんて自分でもベタだとは思う。でも、このベタさが初々しくていいと思うんだ。
俺が今、待ち合わせている相手はヴァナディールで共に旅をした、例えではなく本当に共に旅をしたミスラだ。
彼女がいたから俺はゲームの世界に取り込まれるだんて状況にあっても、
どんな厳しい困難にめぐり合っても、自分の前に立ちはだかるものをまっすぐに見据え、
目を背けずに、逃げずにぶつかって行き乗り越えられたのだ。はっきりとこういうことが出来る。
「あの・・・カーツさんですよね?」
おずおずとした頼りなげな、今にも消え入りそうな声が俺の耳に入った。
今更、リアルでの容姿を気にするような段階ではないとは自分でも思うのだが、声から予測するにかなり若く、
かなり美少女な予感がした。自然と心の中でガッツポーズをとってしまうのは男の悲しい性だ。
「ルナさん?」
笑顔で振り向く、視界には頭頂部しか見えなかったので、少し視線を下げる。
小柄なボーイッシュな印象を与える『美少年』がそこにはいた。
その美少年は本当に女の子のように可愛らしい花が咲いたような笑顔になると、あろう事か俺に抱きついた。
細く華奢で本当に女の子のような・・・あくまで女の子の『ような』であって明らかに男の腕で。
「ほんとうに・・・あえて・・・ボク・・・ボク・・・。」
ボロボロと涙を流し俺の胸で泣く美少年。突き刺さる周囲の好奇の視線はまるで槍のように鋭く、耐え難いものだった。
俺は彼女の前で、いや彼の前で初めて困難から目を背け、逃げ出した。
ああ、彼は俺の名を叫びながらまだ追いかけてくる・・・。
794 :
◆/GKRtxSDWQ :2006/11/27(月) 22:29:38.49 ID:pICLCRrN
以上です。小ネタと言って前ふりの段階で一レス・・・
文章を短くまとめる力は未だにつきそうにありませんヽ(´Д`;)ノ
ヘキサガンの女を書き上げている緑茶さんの実力にひたすら脱帽するばかりです。
埋め小ネタ用の食べ物ネタを慌てて引っ込めたのは秘密w
795 :
既にその名前は使われています:2006/11/28(火) 00:52:24.78 ID:IkYO3QrW
小ネタ乙です。
正しい時空魔法を思い出せたのかアリアたん…。
こんな未来が来ることを願って、age。
サルタバルタで対峙する。こちらの得物は短剣。相手は・・・ウサギ。かわいいウサギさんです。
「お偉いさんたちの会食に使う野兎の肉が足りなくてね。さ、頑張ろうか」
調理ギルドのジャコドーさんが、にっこり笑って言う。ウサギなんて、育てたことしかないのに・・・
やっぱりタルタルさんじゃ大変なのかなぁ・・・とか言っている間に、もう捕まえてる。早いです。
「さばいたことは?・・・ない?」
ありません、ありません。首を振って否定すると、じゃあ見てて、と言ってウサギを
「・・・う」
ぼくはつい、目をそらしてしまった。小さな悲鳴が聞こえる。
水のクリスタルのこぽこぽという音がするまで、顔をあげられなかった。
「きみ、確かサンドリアの出身だったね。騎士の訓練は受けた?」
「・・・少しだけ」
剣の重さに耐えられなくて、白魔道士の道を選んだ。傷つけたくないから。
ジャコドーさんはふぅんと頷くと、綺麗に血を抜いてさばいた肉をぼくに渡した。
「食べるために殺すのは、生かしてもらうこと。変に後ろめたい気持ちになったら命に失礼だ」
そう言ってまたウサギを捕まえる。今度こそぼくは、ウサギが肉になる過程を見た。次にはぼくもやった。
リアルでは意識しなかった命を、ぼくはこうして思い知らされる。サンドリアではぶつかり合うものだと教わった。
調理ギルドに戻ると、ピケットプケットさんが誉めてくれた。キーポオーポさんは「それくらいできて当然」だって。
嬉しいような、恥ずかしいような。料理の準備を手伝いながら思った。
どうしてぼくはここに来てしまったんだろう。そんなことはさっぱり分からないけれど。
とりあえず今は、自分にできることをやりたいと思う。
797 :
◆nu123wJPbk :
考えてみたら、敵を倒してからさばいて肉や皮をゲットしてるんですよね。
やりなれないと現地調達に苦労しそうです。