374 :
1/1?:
ナ将(以下ナ)「毎度毎度足を引っ張りおって…! 貴様等は屑だ、スズ石よりも役に立たん!!」
侍・竜・暗「ッ! …………」
--翌日--
ナ「本日の深夜に、獣人の軍団がこのジュノへ攻め入る準備をしている。これは周知の事実だ」
ナ「20年前の悪夢に比べれば微々たるものだ。親衛隊に任せるまでも無い、我々の手でこれを阻止する」
戦「ですが、決して油断のできる相手ではありません」
忍「一瞬の油断が命取り、とも…」
ナ「うむ。故に相応の覚悟を、そして万全の体制を整えねばならん」
白「一人として欠けさせは!」
詩「この国は私の故郷でもあります、絶対に好きにはさせません」
暗「……」
ナ「どうした、暗黒」
暗「え、ああ、いや…」
ナ「なんだ怖気づいたか? 騎士の名を語るどころか人であることすらおこがましい」
侍「それは言い過ぎでは」
ナ「フン。侍、そして竜よ。貴様等のようなカスは元より頭数に入っておらんのだ」
竜「な…! 僕達だってこの街を、国を守りたい気持ちは同じです!」
ナ「黙れ!! 貴様等がいれば余計な気をつかう、皆 赤子をおぶって戦えるほど器用ではないのだ」
375 :
2/1?:2006/04/29(土) 03:12:51.66 ID:RRBefs6i
赤「団長、いくらなんでも酷すぎます!」
ナ「赤魔ァア? わかるだろう? お前達だって迷惑していたはずだ」
侍・竜・暗「……」
ナ「昨日の戦いも寸でのところで余計な手を出したのは誰だ、何故黒は怪我を負った!!?」
黒「しかし彼らは今日まで共に過ごした仲間ですよ!」
狩「俺達だって失敗はします、互いにフォローしあって今ここに立っているのでしょう」
青「力にも…色々な形が…ある…」
白「団長。誰一人欠けても、私は納得できません…」
ナ「…だが連れて行くつもりはない」
召「団長!」
ナ「獣人の部隊はソロムグ方面にて確認されている。さらに忍の報告によればロランベリーに伏兵勢力が多少」
ナ「貴様等3人はバタリア方面の外門の警邏に回れ。少数だが親衛隊もいる、万一の際は彼らに報告をして逃げろ」
竜「…わかりました……」
侍・暗「……」
376 :
3/1?:2006/04/29(土) 03:14:42.94 ID:RRBefs6i
--日没後--
白「みなさん」
暗「あ、白さん。それに黒さんまで」
黒「昼間のことは、その、あまり気にしないで…」
竜「大丈夫です。皆と僕の戦い方の相性がよくないのは確かですし」
黒「そんなことないです。侍君に合わせて暗君や竜さんが連携してあたしが魔法を落として…団長はINT低いから解ってないのよ」
侍「でも俺達がいるから全力を出せない。見てて…わかるんだ、そういうジレンマ」
竜「それに団長には感謝しているんですよ。こうして皆と会えたのは間違いなくあの人のお蔭ですから」
白「…無茶はしないで。皆も、くれぐれも気を付けてと」
竜「ありがとう。心配しないでください、見てのとおり臆病ですから」
竜につられて侍と暗もはにかむように笑った。
--深夜・ソロムグ--
ナ「来たな。…およそ50。まずは情報どおりだ、蹴散らすぞ!」
コ「張り切ってるな、石頭め」
モ「俺達もバタリアのアイツらの分までかまえていこうぜ」
シ「ヘッ、いつもより多めに団長にだましてやるか」
白「露払いかもしれない、下手に体力使っちゃダメよ!」
377 :
4/1?:2006/04/29(土) 03:16:20.88 ID:RRBefs6i
--同時刻・ロランベリー--
狩「………! 見つけた、5体編成が3つ」
忍「まだ増えるやもしれぬ、気負い過ぎることなきように」
黒「今日は全力でいくわ! もう、ここまで怒るのは珍しいんだから!!」
召「…今月6回目だよな」
獣「なだめる方の身にもなってほしいよね」
か「その点〜うちの子はぁ、とてもとてもぉ、お上品さんですねぇ〜」
オ「ケツメドグリグリ」
--同時刻・バタリア--
暗「皆は今ごろ戦っているのかな」
侍「日頃から何か引っかかってたけど、ああまで言われるとはなあ」
暗「団長には団長なりの作戦があるんだろうけどな。もうちょっとこうよぉ」
竜「よく言うよ。僕と同じで肝心な時に躊躇するくせに」
侍「ジョブ以前に、大事な物が足りなかったのを見抜かれてたんだろうな」
竜「喧騒は遥か向こうのことなのに…震えが止まらない」
378 :
5/1?:2006/04/29(土) 03:18:07.27 ID:RRBefs6i
足音
侍「詩ちゃん」
暗「どうして、もう獣人達は攻めて来てるはずだろう」
詩「すぐに向かいます。その前に少しだけ会いたくて」
詩「…また明日が来れば…いつも通りの18人であってほしくて」
竜「どうかしたん、ですか?」
詩「なんだか貴方達が、今にも消えてなくなってしまいそうな、あ、変な気持ちになって…」
侍「ははっ揃いもそろって心配性だな、うちの女性陣達は」
竜「こうまで言われると逆に飛んでいきたくなっちゃうね」
詩「からかわないでください! ……」
侍・竜・暗「………」
そっとコルネットを取り出しメヌエットを奏でる
詩「では、また明日」
379 :
6/1?:2006/04/29(土) 03:19:53.45 ID:RRBefs6i
--ロランベリー--
召「ちょっとさあ、これ不味いんじゃないの?」
獣「獣人さん達が6つ、7つ、やっつぅぅぅ」
狩「気配の群れがソロムグの方へ向かっている…」
黒「ここら一帯のマナは使い果たしたわよ! あたしだって、もう走れな、いぃ…」
か「かけかっかけこっかぇ lobo〜合体だぁぁー」
オ「マスター×オレ アオォォー」
--ソロムグ--
シ「レーダー真っ赤だぜっほーぅ だまし切れねえよ!」
ナ「きついと思ったらお前のせいか!!」
モ「うほぉぉほほ見てみてカウンター出すぎて常時百烈拳みたイテえぇぇぇえぇ」
コ「ピンチだ、窮地だ、逆境だ! 今こそ一発逆転のコルセアロォールゥ」
白「落ち着きなさいよ死にたいの!!?」
詩(鈍器の音が鳴り響く…着いてからマドリガルしか演奏してないわ)
赤「あの一角の奴等の注意を引き付けて…赤魔ならやれる、やってみせるわ」
青「機を…窺うのだ…! …援軍が…いずれ…」
ナ「剣が折れた。青魔! そこの豚のを俺に投げろ!」
戦「敵の武器がお宝に見えてきやがった。戦士やってて良かったなぁオイ!?」
380 :
7/1?:2006/04/29(土) 03:23:01.92 ID:RRBefs6i
--バタリア--
親衛隊「最低限の隊を残して後の者はソロムグの防衛に迎え! 一刻を争う、早くだ!!」
駆け回る親衛隊の様子を門の外から見ている3人
竜「…何があったっていうんだよ」
侍「余裕だって言ったよな、俺達がいなければ楽勝なんだろ、そうなんだろぉ!」
暗「おい、やっぱり向かった方がいいんじゃないか。少しでも戦力はいた方が」
侍・竜・暗「……」
竜「…いたって邪魔になるだけだ―」
ガッ
侍「ッッバカ野郎! 叫んでくれただろう黒が、仲間だって!
言ってただろう狩が、助け合ってきたからだって!
詩が泣いてくれただろう……また明日も同じみんなでありたいと…」
暗「俺らも行くんだ。俺らが助けるんだ、楯になってでも守るんだ…!」
竜「……」
381 :
8/1?:2006/04/29(土) 03:24:17.63 ID:RRBefs6i
竜「そうだね。僕達が―」
旅人「うわあああああああヴぁあああえあああ」
チョコボに乗った旅人が奇声を発しながら門を抜けて駆けていく
侍「どうした! おぉーーい!!」
暗「…なあおい、バタリアの丘ってあんなに盛り上がってたか?」
侍「いや…というか動いてないか、地面が」
竜「違う、あれは―オークだ! オークの……なんだよあの数は!」
まるで移住地を探す動物の群れのように、しかし狂気をまとった集団が確かに、
走るとも歩くともつかない速度で――ジュノへ向けて近づいていた
侍「…親衛隊を呼び戻そう」
暗「今更来るわけねえだろ」
竜「嘘、嘘だああぁぁ!!?」
諦観、絶望、逃避。受け入れ難い現実の前に呆ける3人
382 :
9/1?:2006/04/29(土) 03:25:49.77 ID:RRBefs6i
暗「この数が街に入ったら、どれだけの人が死ぬんだろ」
侍「最初の獲物は俺達だぜ。3人の首を槍玉に上げた豚野郎ども、ぞっとしねえな」
暗「おい、泣いてもしょうがないだろ竜」
竜「うっ…うぅ…みんなが…黒さん達が…」
暗「親衛隊がソロムグにいってんだ、無事だよきっと…」
竜「でももしあいつらが街に入ったら…加勢にでもいったら…」
侍「……殺されちゃうかもな」
竜「そんなの…ぅ、許せないよ…」
暗「許せないな。でもどうしようもねえや」
侍「だけど、それは許せねぇな」
竜「絶対、嫌だよ」
暗「絶対嫌だな…」
侍・竜・暗「……」
暗「逃げようぜ、泥啜ってでも、誰かの血の上に立ってでも生きてりゃ勝ちさ」
侍「だなあ。怖いもんはどうしようもない、侍だけにイ テラー、なんつってな」
竜「無理だよ無理無理、あんなの真正面から見ることすらできないし。あははは」
暗「うははははは」
侍「っへへ、はは、えはははっ」
383 :
10/1?:2006/04/29(土) 03:27:51.52 ID:RRBefs6i
暗「おい侍、そっちはジュノじゃねえぞ」
侍「お前こそ、そっちは西だっつの」
竜「気が動転してるんだよ二人共、ねぇKocha」
暗「紅茶…詩ちゃんのティーをもっかい飲みたいな」
侍「俺は赤さんとチャイをたしなんでみてぇよ」
侍「オィーなんか強烈に不細工なオジサマが登場〜」
暗「雁首揃えてなんかメッチャ睨まれてますよ竜さん」
竜「大丈夫です、こういう時は互いの獲物で」
3人の武器を重ねた姿がAを描く
竜「はい、エース」
オーク達は武器を構えた
384 :
11/1?:2006/04/29(土) 03:29:21.21 ID:RRBefs6i
暗「殺される」
竜「殺されちゃいますか」
侍「でも、まあ」
「「「 許せねぇもんな!!! 」」」
腕が千切れる感覚、何度目だろう
背中から狙われる頻度が増えてきた
空が白んでいる、夜明けが近いようだ
…遠くで微かにメヌエットが聴こえたような気がする
385 :
12/1?:2006/04/29(土) 03:30:35.91 ID:RRBefs6i
--翌朝・ソロムグ--
ナ「勝った…勝ったのだ、我々は」
モ「よん発目からカウンターした数覚えてねえや」
シ「青魔ぁぁお前途中から俺にだましただろお」
青「不意…ばぁちかる…最強」
赤「最後の方コンバートしたのにMP減ってたような」
白「スキン張りなさいよ! スポンジ一人増えてもう服が血で真っ赤だわ!!」
詩「返り血よそれは」
忍「いやはや、無事に済んで何より」
狩「距離気にせず撃ちまくれたのはある意味爽快だったぜ、はは」
獣「親衛隊の人は操れませんでした…」
--同時刻・ロランベリー--
か「あおぉぉー!」
オ「イイコトオモイツイタ」
黒「Zzz..」
386 :
13/1?:2006/04/29(土) 03:32:48.45 ID:RRBefs6i
--バタリア--
詩「でも、こんな時間になっても戻らないのはおかしいですよ」
ナ「だから逃げたのだ。我々が死に物狂いで戦っていたというのに、加勢にすらこない! 役立たずの方がまだ使える」
コ「勝手なことばかり言いやがって」
召「あ、なんか親衛隊ぽい人が集まってません?」
忍「…皆参られたか」
戦「え? なんだよ、これ」
モ「オークの死体の山だ、が? ちょっとまて、この数はなんだ」
見渡す丘陵一面が赤一色に染まっていた
外門から出た途端、足の踏み場も無いほどに群青色の死骸が転がっている
ナ「…ソロムグに来た奴等より多いぞ」
赤「まさか、これが本隊だったのでは」
狩「しかしそれなら事前にわからないはずは無い!」
青「ここに…あるものが現実…」
忍「防寒具を着けている、ボスディンから攻め込んで来たのであろう」
387 :
14/1?:2006/04/29(土) 03:33:39.79 ID:RRBefs6i
白「親衛隊の方達がこれを倒したのですか?」
親「いや…。そこのお嬢さん、君は昨夜ここにいた冒険者と話をしていたね。
このオーク達を発見して逃げてきた旅人の言う3人が彼らと同一人物のようなのだが―」
詩「あの3人は、今どこにいるんですか!」
親「落ち着いてくれ、我々もその3人を探している。まだ見つかっていないが…」
一同「………」
ナ「…ハ、馬鹿馬鹿しい。有りえる訳がないだろう!
大方この下等生物どもは同士討ちを始めたのだ、あいつらはそれに巻き込まれた! それだけだ」
黒「団長、あんた―」
獣「ねぇ…これ人の血だよ」
ナ「そらみろ! 全くもって屑だ、こんなに重大なことを知らせることもできずに野たれ死んだ!」
コ「いい加減にしろよこの狸がァあ!」
ナ「私の判断は正しかった、あのままあいつらをパーティに加えていたら誰が欠けたかもわからん!」
親「そちらはまだ調査が終わっていません、危険です!」
388 :
15/16:2006/04/29(土) 03:35:43.92 ID:RRBefs6i
死骸の中から一体のオークが起き上がりナに向けて斧を振り下ろす
ナ「うぉぁああ!?」
―こともできずに崩れ落ちた
黒「ちょっと、このオークに刺さってる槍!」
シ「…竜のだ」
ナ「………」
389 :
16/16:2006/04/29(土) 03:37:05.41 ID:RRBefs6i
団長を筆頭とする集団はあの後すぐに解散した。満場一致であの馬鹿を蹴り飛ばして。
全ての死骸が片付けられたものの、砕けた鎧や武器以外にあの3人を示すものは一切出てこなかった。
真に自由な冒険者となった今でも私は黒達と一緒に彼らを探している。
未だに手がかりの1つも出てこない。
だけど、これだけは伝えたい。
ジュノは今日も穏やかな喧騒に包まれている
いつかこの詩が彼らに届きますように―
うわあ長い…慣れないことはするもんじゃなかった。
キャラにジョブ名適当に使ったせいで
ナが悪役っぽくなってますが悪意はないです、ごめんなさい。