1 :
1:
1日始まって4時間未満なのに2回も赤っ恥かいた俺様が華麗に初の2ゲット
3 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 03:43:56.87 ID:qNqA4gkT
華麗に3げと?(o>ω<o)
よん?(渋い声で
5 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 03:45:49.14 ID:TWtPIK7q
どうでもいいけど日付がおかしいよね
6 :
>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/03/32(土) 08:03:29.75 ID:lghY8TAV
まとめサイト様。前スレ
>>806-810に続きかいてます。非常にお手数ですが補完お願いします
7 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 08:03:59.39 ID:GV+KQ3ZL
いつも6ちゅうになって読んでます
8 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 08:04:28.78 ID:GV+KQ3ZL
orz
9 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 10:32:49.63 ID:dFn0MMkv
9やしい・・・でも・・・
10 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 10:33:39.54 ID:riAuHMCl
幹事長
11 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/03/32(土) 12:13:35.92 ID:3UoeKgLs
キャラ紹介テンプレ
初出:
PC(仮)名: / 中の人:
種族フェイス:
ジョブ&Lv:
特記事項:
活動エリア:
あらすじ:
他キャラとの接触:
まずは自分から。
初出: 1スレ
>>161 PC(仮)名: Lead、リード / 中の人:161 ◆zmxSLEadCU
種族フェイス: エル♂F4A
ジョブ&Lv: 不明
特記事項: ヴァナでの、自キャラに関する記憶がない。ジョブチェンジ機能使用不能。
活動エリア: エルディーム→ジュノ→ラテーヌ→バルクルム→セルビナ→機船航路
あらすじ: 片手剣、正義バッジ、100紙幣のみ持って、墓場で“目覚め”る。
さまざまな人(?)と出会いながら、リアルへの帰還方法を求めてウィンへ移動中。
他キャラとの接触:バルクルム砂丘で瀕死の
>>1を救助。セルビナで接触どころかセッk
13 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 12:39:26.01 ID:X78CfTU2
>>6-10のせいでゲル状じゃないコーヒー吹いたwwwwww
14 :
既にその名前は使われています:2006/03/32(土) 12:40:21.55 ID:X78CfTU2
>>1のキャラもテンプレ使ってみます。勝手に書いてゴメンな
>>1 初出: 1スレ
>>1 PC(仮)名: イッチ / 中の人:
>>1 種族フェイス: ミスラF8A
ジョブ&Lv: 白魔20、サポシ
特記事項:“朝起きたら自キャラになってた”第一報告者
活動エリア: サンドリア→バルクルム→セルビナ→ラテーヌ(→サンドリア?)
あらすじ:
朝起きたら自キャラになっていた。
リアル世界に帰る方法を求めてヴァナを放浪するも、ある日、瀕死の重傷を負う。
まともな治療を受けさせるため、
>>100が担いでマウンテンバイクでサンドを飛び出すが、砂丘でゴブに絡まれ絶体絶命。
>>100を助けようとケアルで自分がタゲを取り、砂丘の闇夜に消えた・・・。
他キャラとの接触:1スレの
>>100、
>>119、
>>120、
>>161。
他にも出会っている可能性あり。リンクシェルオーナーらしい。
16 :
ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2006/03/32(土) 16:48:46.31 ID:dFn0MMkv
こんにちは、新スレ立てお疲れ様です。私も皆様に倣って名前を入れてみました。
初出: 1スレ
>>19 PC(仮)名: Yurifina / 中の人: 19 ◆/GKRtxSDWQ
種族フェイス: タル♀F5B
ジョブ&Lv: 白70 他にもいろいろ
特記事項: エロモーグリと同棲。 リアルには妹がいる。
頭には妹のキャラクターが作ったリラコサージュをいつも装備している。
活動エリア: 主にウィンダス
あらすじ: 朝起きたら自キャラになってた。
ヴァナライフを何の疑問もなく満喫していたが、ある日ホームシックに。
帰る方法をさがしてウィンダスをふらつくうちに、
いろいろあって神子様から元の世界に帰るというミッションを与えられることになった。
帰る方法を探すためには冒険、そして戦いは避けられない・・・。
後のために実戦訓練を受けることにした。
他キャラとの接触: 直接の接点はまったくないです。
17 :
サン464 ◆PCl7Dh0dlY :2006/03/32(土) 17:55:30.66 ID:wzqpGkLZ
初出1スレ目>464での愚痴の一言。初投稿は1スレ目>566
PC(仮)名:サン 中の人:サン464 ◆PCl7Dh0dlY
ジョブ&Lv シ75/謎(コロコロ変わる予定)
種族&フェイスタイプ オスラF6A(女装) ※女装癖って訳では無い。
特記事項。高Lvでしかも元々親和性に富む為侵食の境界が曖昧。守銭奴。
戦闘面は回避、逃げを基本。正々堂々真っ向勝負は超不得手。
手癖悪し、いつのまにか何か盗ってたり持たせてたり。
オーク以外の獣人とは出来るだけ仲良くしたいと思ってたりするが襲われたら殺す偽善者w
活動エリア:ジュノ開始→バタリアに様子見→徒歩でオズ経由、現在ウィン森の区のモグハ内部。
あらすじ:ジュノで目覚め(?)、バタリアで317にリアルの情報を聞き、
3国のどれかに行こうと思い、所属国というだけでウィンに決定。
現実への帰還手段は交渉の手札程度の目的で探す事に。
他キャラとの接触:バタリアで317と遭遇、他とは未接触
18 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/03/32(土) 22:38:01.35 ID:3UoeKgLs
age
白AFに着替え、盾とダークモールで武装した私は
左ほほに鮮やかな赤色のフライパンのあとをつけたモグタンに留守番を頼み耳の院へと向かった。
実戦訓練をするためだ。
「実戦訓練ねぇ・・・一体何をするんだろう・・・」
私は相変わらず能天気にウィンダスを暖める太陽を眩しそうに見上げながらつぶやいた。
実戦訓練は14時から15時までの一時間らしい。今なら丁度始まる頃にはつくはずだ。
耳の院に続く手すりのない危なっかしい木造の橋を半ばまで渡ると空気に緊張感のようなものがでてきた。
何となくわかる・・・空気の中の魔力がいつでも利用できるような状態になっていると。
もう、実戦訓練は始まっているのかもしれない。私は少し早足になった。
立派な石造りの建物である耳の院は学校というよりは砦のようだった。
耳の院の職員室へ行き名前を言うとすぐに訓練を行うクラスへの担任の先生がやってきた。
モレノトエノという名前のその先生はニコニコしながら口を開いた。
「えーと、今日は実戦訓練の護衛をなさってくれるそうで。本当に助かりますよ。」
え?話が違うぅ!?み・・・神子様ぁ・・・。
「いいえ、私も訓練になりますので。」
そういって私はにっこりと笑った。・・・うう・・・確かに実戦訓練だけどさぁ・・・
これは訓練じゃなくて本当の実戦じゃない?
私の気持ちも知らずに先生は上機嫌に続けた。
「ユリフィナさんみたいなすばらしい白魔道士が護衛についていただけると本当に安心ですよ。
レイズIIIとケアルVがあれば頭が潰れたり、首がちぎれたりしない限り死人は出なさそうですしね。」
「それでは今日の実習内容です。3人のグループを作りタロンギまで行きます。
そして、蜂とウサギを相手にして核熱マジックバーストファイアを3回成功させましょう。
出来るまでは帰れません。わかりましたね。」
はーい!と元気のよい返事をする子供達。と言っても実際は15歳前後くらいだろうか?
自分がタルタルのせいか最近、何となくだけどタルタルの歳がわかるようになってきた。
そんな私が思うに、一番右側の列の後ろの席に座っている頭のてっぺんで髪を縛っているタルっ子のあだ名は
おっさんとか、オヤジとかだろう。
それにしても、タロンギに行けるってこの子達は結構強いのね。
「さて、ここで注意です。絶対にテレポイント周辺から離れないように。
少し離れただけで危険なゴブリンやヤグードがたくさんいますから。」
またまた元気な返事。その無邪気な声になんだか本当にわかっているのか少し不安になってくる・・・
「今日は特別にウィンダス出身の冒険者。名白魔道士のユリフィナさんがついてきてくださいますが、
くれぐれも怪我には気をつけるのですよ。白魔法は怪我の治療は出来ても
なくなった血とかは戻せないですからね。
それに、即死してしまったら手の施しようがありませんから。」
即死・・・その言葉に思わず背筋がぞっとした。
その言葉の重さのためか、生徒達も『はい』と少し緊張感のある返事をする。
先生は真剣なまなざしで生徒達を見回した。
「いいですね。これは実戦訓練というよりは実戦です。
勝手な行動と油断は死につながります。これだけは忘れないように。」
教室の空気がピンッとはりつめたような気がした。
考えてみると、私ってこっちにきてからウィンダスとサルタバルタ、
あとはアルテパにしか行ってなかったなぁとタロンギを見回しながらふと思う。
タロンギはモニターごしに見るよりもずっと乾燥していて、
命というものが感じられない不気味なところだった。
あんなにものどかにウィンダスを照らしていた太陽は攻撃性をあらわにして
肌を刺すように照りつけ、風が吹くたびに砂がむきだしの顔を打って痛い。
そしてなによりも、サルタバルタよりもはるかに濃い血のにおい。
私はふと、冒険者心得に書いてあったある文章を思い出した。
『レベルが20前後の冒険者は特に命を落としやすい。その数はなんと一日50人以上に上る。
そして彼らが無くなった場所はラテーヌ高原、コンシュタット高地、タロンギ大峡谷がほとんどだ。
この三地点はLV20では練習相手にもならない相手がほとんどだが、
危険なモンスターもまだ数多くいる。
その事を忘れないで、この書を読んでいる人達には長生きして欲しい。』
きっと、今日もここでたくさんの冒険者も獣人も多くの血を流していったのだろう・・・。
もしかしたら、今も私のすぐ近くで誰かが・・・。
私も・・・私も生きて元の世界に帰れるのかなぁ。
なんだか、ものすごく不安になってきた・・・。
以上です。ついに二スレ目キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
24 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 00:59:27.37 ID:53zX4jAJ
>>23 乙です
なんていうか、読者の引込み方が凄いですねw
続きを楽しみにしてます
nanikonosure
みんなすごいハイペースで執筆してるなぁ(´д`;
おつかれさま&新スレおめです〜
部屋に戻ったら、モーグリは既に起きていた。部屋を出たのは早朝だが、あちこちうろうろしている内に時刻は昼を回っていた。
食い物を分けてやり、その日はモーグリとだらだらして過ごした。お互いのことを話したり、手足の短いモーグリの代わりに毛繕いをしてやったり、といった具合に。
話してみて、おれは彼らを何も知らなかった事を改めて認識させられた。
システム的な処理や通知の為になんとなく設定されたヘルプアイコンのようなものだと思っていたのだが、彼らにも彼らなりの生活があり、家族があり、故郷があるのだそうだ。
モーグリは元々群れて生活する種族で、おれ達が留守の時にお互いに毛繕いしあったり、陽だまりで固まって昼寝したり、仕事の愚痴をぶちまけたりしているのだそうだ。
タルタルみたいだ、とおれが感想を述べると、モーグリは頭の変な毛玉を少しうなだれさせて、「タルタルには魔法があったけど、モーグリには何もなかったクポ」と寂しげに答えた。
タルタルは、魔法の力のおかげで自分たちの主権を守りぬいたと設定にあったのを思い出した。
モーグリ達には貧弱な翼しかなく、その為他の種族に奴隷として仕える事でしか自分達の種を守る事が出来なかったのだと言う。
こいつが生まれた場所もサンドリアに保護された入植地の一つで、東西ロンフォールの間にある小さな盆地なのだそうだ。
おれが同情して頭を梳くと、モーグリは気持ちよさそうにもぞもぞと身を捩った。
「ご主人さまの故郷はどんなところだったクポ?」
眠くなってきたのか頭をふらふらと揺らして尋ねるモーグリ。おれは返事に詰まった。
おれの故郷は、ぎりぎり東京都内と言える場所。川を一つ渡れば隣の県に入ってしまうような町だった。
そんな話をヴァナ・ディールでする事に気が引けたのはもちろんだったが、家族や友達の話を嬉しげに語るモーグリに対し、
自分の身の上話は誰それに苛められたとか、一人でゲームやテレビばかり見ていたとか、お袋からは最近就職活動の話しかされないとか、そんな事しか記憶になかったんだ。
いいところさ。おれは投げやりに答えた。こんなおれがリアルに無頓着になるのも当たり前だ。そして、ヴァナ・ディールに必死になるのも当たり前だ。
ふと気づくと外は暗く、モーグリは眠り込んでいた。
明日は遠出してみよう。おれはモーグリを起こさないようにロイヤルベッドに運ぶと、自分用の粗末な寝台に潜り込んだ。
翌朝は、明け方から目が覚めた。以前なら床に就いていたような時間だ。
早く寝ればその分早く起きるものでもない事は知っていたのだが、遠足の日に早起きする子供の気持ちは少しだけ分かった。
おれはモーグリに言いつけて装備を揃えさせると、身体中の回路から、忍術に絡んだものだけをピックアップして活性化した。
ガチソロ最強の誉れ高い赤サポ忍を体感してやろうじゃないか。おれはモーグリに差し出された剣二本を挿すと、馴染みの帽子を目深にかぶり意気揚々とモグハウスを後にした。
もっとも、剣を二本持った時の取り回しがどうもしっくりこなかったので、盾も念の為腰に吊っていたのだが。
空はすっかり明るくなっていた。道中、既に開いていた市場の露店で日持ちのしそうな食料を買い漁ると、おれはチョコボ厩舎を訪れた。
チョコボは思っていたよりもずっと大きく、そして鳥特有の匂いがした。
チョコボを借りたはいいが、うまく背に乗れずもたもたしているおれに、厩舎の係の女が「話しかけるといいわよ」と教えてくれた。
なんでも、チョコボは人間の意図を敏感に汲み取ってくれる動物で、感情を込めて話しかけてやれば言葉は理解できなくとも、大体の事は分かるのだという。
チョコボに頼むと、実は言葉が分かるのではないかというくらいすんなりと、大人しく膝を折って、背中を提供してくれた。
チョコボに乗るのは新鮮な体験だった。
鞍は背中というより、首の付け根に乗っている。
二本脚で走る分、餓鬼の時分に那須かどこかで無理やり乗せられた馬に比べて、軽快な代わりに揺れが酷く、安定性も低いように感じた。
よくランスを構えてチョコボに乗るイラストを見かけるが、チョコボに乗ってランスを使ったりすればチョコボは倒れてしまうだろう。
酷くゆれるし、鞍のU字で股間のナニが潰れるので、おれはすぐ鐙に踏ん張り、腰を浮かせて乗る事にした。
こちらの意思が面白いくらい通じるので、ひとまずジャグナーに向かうように命令すると、道順などは全てチョコボに任せておれは少し高い視点での景色を楽しんだ。
改めてロンフォールを眺める。
ロンフォールは薄い靄に覆われ、蒼く静かだ。
ローポリの四角じゃない木々が次々に視界の後ろへと流れ、森特有の土と木々の香り、そしてチョコボが踏み折った若草の青い汁の匂いが、湿った空気に乗って鼻腔に流れてくる。
田中、今までさんざんバカにしてごめんな。お前のヴァナ・ディールはこんなにも素晴らしいよ。
お前の脳内にあるヴァナ・ディールは、こんなにも美しく、そして綺麗だよ。
ん……脳内?
ふと気づいた。という事はおれは、田中を倒せば元の世界に帰れるのか?
まあ待ておちつけ。
相手はリアルの人間だ。しかもコンセントにスリッパを引っ掛けるだけで、実に30以上もの世界を滅ぼせる、ヴィナ・ディールの人間からすれば文字通り神そのものの存在だ。
第一、どうやって田中に会うって言うんだ。おれは自分のふと浮かんだ考えがあまりにも馬鹿馬鹿しかったので、チョコボの背でにやにやと笑った。
チョコボは飛ぶように駆け、あっという間にロンフォールを抜けて、昼前にラテーヌへと入った。
台地状になった高原の街道を駆け抜け、虹に見とれながら馬上で干肉と堅パンをかじり、おれがジャグナーに入ったのは午後も深くなった頃だった。
ジャグナーは深い森だが、ロンフォールのそれとは様相が違っていた。
うまく言えないが、おれ的にロンフォールはエルヴァーンが何百年もかかって手を加えてきた、人を受け入れる自然だ。対してジャグナーは、人の手の入っていない、人が踏み入る事を嫌う自然だ。
心細くなったわけじゃないが、おれはポケットから白い真珠のついたイヤホン状の装飾を取り出し、耳につけた。シグナルパールだ。
情けない話だが、おれにはフレがいない。だからおれのモグハウスには、自前で揃えて誰かに譲る当てもないベッドが三つ並んでいるわけだが。
リンクシェルは持っているが、狩人弱体だか、イリュージョンだったか、その辺りから誰も来なくなってしまった。どうでもいい。
身に着けたパールに魔力が充填されるのを待ちながら、おれは適当な場所でチョコボから降り、帰らせた。
途中何度か降りて休んだ時は帰らなかったのに、おれがご苦労さんと言った途端、あいつは一声鳴いて去って行った。
「…いる?」
パールが作動し始めたので、なんと言ってフェローのナナコを呼び出そうか思案していたら、先に声をかけられた。
「ん、あぁ」
不意を打たれたおれは、鼻に詰まったようなうなり声で答えるしか出来なかった。
パール越しに、安堵の溜息が聞こえた。
「よかった。ずっとパールつけてくれるの待ってたんだからね」
「ん何か用だった?」 声が上ずるのが自分でも分かった。
「べ、別に用があった訳じゃないけど、Pokotasoの声が聞きたくて……」
フェローってこんな子だったんだっけ?と、おれは正直少し圧倒されてしまい、うまい返し文句が言えずにいた。
ていうか、そういえばおれ、Pokotasoって名前なんだっけ。もう少しまともな名前にすればよかった。
「何してるの? わたしも行っていい?」
おれの自己嫌悪などお構いなしに、ナナコは声のトーンを上げて問いかける。元よりそのつもりで願ったり叶ったりなのだが、おれは喉から漏れるような情けない声で「うん」と一言だけ答えた。
「ありがとう! ちょっと待ってね、すぐ行くから!」
途中からは、パールを通してではなく、耳に直接聞こえてきた。見ると、髪を後ろで纏めた黒目がちの女が駆けてくる。こーいうの、ストーカーって言うんじゃないか?
「お待たせPokotaso!」 嬉しそうに目を細めるナナコに、おれは意を決して口を開いた。
「次からはおれの事はKuraudoかSukoolって呼んでよ」
以上です(´・ω・`)ノ
週一で書くのが精一杯…駄文でスレを汚さずに済んでいいのかな(´д`;
テンプレでキャラ紹介します〜
初出:前スレ609
PC(仮)名:Pokotaso(?) / 中の人:609 ◆dWeYTO/GKY
種族フェイス:ミスラ♂
ジョブ&Lv:RDM75?
特記事項:中の人はタッパがあって横幅もあるらしい
活動エリア:サンドリア→ジャグナー
あらすじ: 筋金入りニートの青年がヴァナで成り上がろうとするけど既にヴァナでも負け組くさいという話(?)
他キャラとの接触:今のとこないですヽ(´ー`)ノ
初出:503
PC(仮)名: アルル/ 中の人:アルル
種族フェイス: タルタル♀2A
ジョブ&Lv:赤魔道士21
特記事項:倉庫でログオフした為、倉庫キャラに。ジョブチェンジ不可、キャラチェンジ不可。
ボディチェンジした為、あまり動けなかった。
活動エリア:サンドリア周辺、これからジュノになります。
あらすじ:倉庫タルになった中の人は、アルルとして生きなければならなくなる。
モグハを追い出され、一人寂しくしてるとこへ、王子様登場。一夜を共に。
誤解から別離。タルとして覚醒、冒険者になる。
ひょんなことから、貴族の子供をめぐってNMと激戦、再び王子と再会。
他キャラとの接触:あんまり絡まない方向で書いてます。
34 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:15:07.92 ID:53zX4jAJ
>>32 またまた乙ですw
フェローの呼び方はいつも疑問でしたw
続きが楽しみです。
35 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:19:20.80 ID:53zX4jAJ
2スレ目に突入したので、記念とばかりに書いてみます(´Д`)
偽名にせよ、俺のヴァナでの行動を知ってる奴なら特定できるかも((((゚Д゚;;;))))
36 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:20:30.50 ID:53zX4jAJ
砂と岩しかない荒れ地。動くものは、風に吹かれて舞い上がる砂や揺れる植物のみ。しかし、その植物も水をあまり必要としないサボテン等だ。
そこに、一人の子供のような外見をした――FFXIというゲームに出てくるタルタルという種族――が地に突っ伏している。
見に纏った茶色っぽい服は裂け、血に染まり、砂が付着しどす黒くなってしまっている。近くに転がっている先端の曲がった血のついた杖は彼のものだろうか?
その時、遠くから獣の鳴き声のようなものが聞こえ、砂を踏み締めて歩くような音が徐々に近づいてくる。
――ダルメル! ゲームの中に登場する敵だ
早くあのタルタルを助けなければ! 気持ちは焦るが、僕は上から眺めることしかできない。
と、再びダルメルが叫んだ。まるで仲間を集める狼の遠吠えのようだ。
?!急に頭が痛くなってきた。あのダルメルの叫び声のせいか? 耳を塞ぎたいが、なにもできない!
やめろ!頭が割れそうだ!
やめろ――――!
しかし、叫び声は徐々に流れ落ちる水の音に変わっていった。
37 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:22:03.35 ID:53zX4jAJ
流れ落ちる水の音すぐ近くからが聞こえ、今まで睡眠状態にあった意識がゆっくりと覚醒して行く。
妙な夢をみた……。あのタルタルはいったい……? そして、なんの夢なんだ……
謎は深まるが、とりあえず布団から抜けだし、ベッドから降りることに――ん? 急に違和感を感じた。ベッドの端に座っても、床に足が届かない。
ていうか、なんで水の音が?
38 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:25:01.83 ID:53zX4jAJ
「ご主人様! 新しい朝がきたクポ! 希望の朝だクポ!」
ドワ――!モ、モ、モーグリじゃないか!えっ!?何だこれは!?……ああなるほど、さっきの夢の続きか。
「それならそれでよし!」そういって、再び布団に潜り込む。
多分夢の続きだろう。寝ればもっと別の……もっとスリルとか、笑いとか、ムハッwとか、マシな夢を見れるだろう。いや、もしかしたらさっきの変な夢の続きを見られるかもしれない。……夢とわかっていても、続きは気になるものだ。
しかし、いつまで経っても眠れる気配がない。
39 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 02:25:50.11 ID:53zX4jAJ
あぁ、きっと回りでフワフワ浮きながら歌ってる不思議生物のせいだろう。いい加減ウザいしw
モーグリの声に〜 健やーかな……グベボォ
俺の拳は、頭のあたりを歌いながら飛び回っていた不思議生物にクリティカル・ヒットしたらしい。不思議生物らしい不思議な声を出してポテッと床に落ちる。
ニヤッとしてから、ベッドから降りる。どうせ寝られないから、モグでも調べよう。
いってぇ! 降りた途端、バランスを崩して転ぶ。が、ここで重大なことに気付いた。
「痛みがある……」タルタルがゲームの中で死ぬときのように、鼻から地面に直撃する。問題はそこじゃない。「痛い」ということは、すなわち、「夢じゃない」ということではないのか……?
40 :
35:2006/04/02(日) 02:28:25.27 ID:53zX4jAJ
以上です(´・ω・`)
なんつーか、文章って難しい……
43.
「ご主人様、お城からぱーちーの招待状クポー」
お金持ちになった俺は、ぐーたーらモードで寝ていたところを起こされた。
「あ、いつよ?」
寝ぼけて答える。
「今日クポよ、もうすぐ始まるクポよ」
えーーー。
驚いたそのときだった。
ピンポーン。
うは、来たかも
やり場のない怒りに燃えた俺は、
起き上がりざまに夏塩蹴りを叩き込んだ。
返事がないただのぬいぐるみのようだ(--)
すばやく準備すると、出発する。
久しぶりに豪華な飯にありつけるぜ^^
44.
息子を助けて頂いたお礼にぱーちーってことらしい。
騎士団のかなりの人数、そしてトリオン達もいる。
食事は豪華さで言えばそこまですごくもないかもしれない。
ただ、すごく丁寧に作ってある。
素材の持つ力を引き出しているとでも言うのだろうか、
とかく効率優先になりがちな、チェーン店とかではまず出ない味であろう。
料理人、給仕、皆が一生懸命働いているのがよくわかる、
それだけこの王家が慕われているってことだろうか。
俺のとこにもひっきりなしに、いろんな人が話しに来る。
NMエターナルヒールを倒した、エンドオブヒールとか大層な称号になってるっぽい^^;
成り上がりたい者なら喉から手が出るようなチャンスなんだろうけど
王様とか、政治家とかって柄じゃないしな・・。
45.
暇すぐる;;
そんな時だった。レイズしてくれた白さんが入って来たのだ。
おお、お礼言わなきゃ。
早速、近づき挨拶する。
「こんばんは、この前はどうも、レイズありがとうございました。
おかげでなんとか生き延びれました。」
白さん激怒;; 顔チョーコエー
引きずられて、耳元で怒鳴られる。
「おまえ、誤解されたらどうするんだ、もう喋るな、殺すぞ」
こえ〜〜。
黙って頷く俺;;
46.
ぱーちー恐怖症
なんとなくそんな感じです。
一瞬騒然としたものの、エターナルは強くて死にかけたほにゃららとか
ごまかされたようです。
俺は、にこにこしつつしゃべらない、しゃべれない。
でなんとかfinish。
終了後連れてこられた、私室らしき場所で、白さんが怒っている。
いやたぶん彼がピエールなんだろう。
「兄さん、立場を分かってるの」だの
「ちょっとした誤解が王家の立場を悪くするんだよ」だの
「MPKして、横取りした後レイズした」だの
「倒した後、一緒に倒したことにするよう脅した」だの
〜
〜
〜
>>35さん
初投稿おつかれさまです。
やっぱり皆さんヴァナに入って 夢?かななんて思うんですねw
まとめサイト報告:
順不同で思い立った順に移行作業を行っております。
編集のほかに、抜けているところを補完するための「挿入」する機能、
いらないところを消すための「削除」機能、
表示されている投稿者名を変えるための「プロフィール編集」機能
を導入(準備)中です。
・漏れもSS書いているのにページが作られていない!
・ここが抜けている
・日付間違ってる
・トリップつけたのに編集機能つかえない
・文字化けしてる
などありましたらレスして置いていただければ修正します。
46 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 03:06:27.19 ID:6W+nwFM0
あっ、割込みしちゃいました?
申し訳ないです。
キャラ紹介テンプレ
初出: 前スレ
>>228 PC(仮)名:Miena(ミーナ)
妹:Mepipi/ミピピ 母:Nanami/ナナミ 父:Rungo-rango/ルンゴランゴ
中の人: 228 ◆EqtePewCZE
種族フェイス:樽♀5A
ジョブ&Lv:白71/詩74/黒61/狩46/忍30、その他20以下
特記事項:ヴァナ内ではウィンダスに家族アリ、もちろん本人一切知らない
ウィンのランクは6、他は一切手付かず。
活動エリア:今の所ウィン国内限定
あらすじ:前スレ
>>228にて初めてヴァナに取り込まれ、モグをいぢめつつシャントット様にいぢめられつつ
この後、シャントット様の協力(?)により元の世界に戻れる方法を探す旅に出る。
他キャラとの接触:一切無い予定、ただし直接の絡みが無いだけです。
48 :
>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/02(日) 09:44:28.08 ID:qdYuGiV/
初出:前スレ
>>69 PC仮名:P、自称ロック(
>>69)
中の人の仮名:S。ただ、リアル友人とかぶるのでKにしようか検討中。
種族フェイス:たるっこ。金髪お下げ♂
ジョブ:赤/戦75.戦闘系スキル白し。
特記事項。中の人は非社交的だったが、
たるっこと同化して徐々にこの世界に取り込まれつつある。
活動エリア:おそらくバスだけで完結。
あらすじ:ジュノで生活だけはなんとかなっていたが、
なにをトチ狂ったのかアンティカ兵団に訓練を受けさせてもらい、
>>1探しのたびにでた先のバストゥークで、
国家転覆計画を察知して諜報活動?に乗り出す。
49 :
その名前は既に使われています:2006/04/02(日) 09:54:29.16 ID:QwcfsX1G
age
>>45 まとめ乙です〜
自分のも確認しました、ありがとうございますm(。_。)m
投稿時に狂ってしまった改行位置を弄ろうとしたんですけど、やり方がよく分かりません(´д`;
パスワードのとこには、トリップで入れてるエンコード前の文字を入れればいいんですか?
教えてもらえると嬉しいです(´・ω・`)ノ
面白そうなので俺も参加しまっす。
SS書くのは初めてなので拙いかもしれませんが、よろしくお願いします。
(1)
夜中にふと目を覚ました。
いつもの整理の行き届かない自分の部屋だ。時刻は午前4時。
テレビをつけようか3秒ほど迷った後、そのまま目を閉じた。
明るい光が差し込んできたのを感じ、再び目を開ける。
小さな小窓からやわらかい朝日が差し込んでいた。
ん・・・小窓から朝日?
俺の部屋は、窓が南向きだから朝日は入らないはずだけど・・・第一小窓じゃなかったはずだ。
よく見ると、部屋の様子がいつもと違う。俺の部屋じゃない。
寝ぼけ眼をこすりながら、周りの状況を確認する。
まず俺の部屋じゃないのは確かだ。造りが違うというレベルじゃない、何もかもが違う。
今いる寝床だって天蓋付の豪華なベッドだ。万年床の布団じゃない。
正面には壁際にびっしりと並んだタンス、熱帯魚がいる水槽に椰子の木、それに大きなサボテン。
そして部屋の隅には少し小さなベッドがあり、そこには白いぬいぐるみが横たえられていた。
「なんなんだ、こりゃ・・・」
(2)
とりあえず体を起こしながら注意深く部屋の中を観察しようとして、まず目に入った自分の手に驚いた。
やたら大きい。
いや、他人と比べれば大きな手だったが、それはいつも見慣れた自分の手じゃない。
よく見ようとして腕を曲げると、その感覚もいつものそれとは違っていた。
あわてて部屋の中に鏡がないか確認する。
ベッドから起き出して引き出しの中もすべて開けて確認したが、それらしいものはなかった。
どうしたものかと頭をかこうとすると、今度は何かが手に引っかかる。
・・・耳?
耳に感触を感じたが、そこに耳があるはずがない。頭とは大分離れた空間のはずだ。
もう一度その空間に手を伸ばすと、確かに耳に触れられた感覚があった。
ようやく、いつもの自分の体じゃないという確信を得た。それどころか、人間ですらないかもしれない。
だとしたら何だろうか。人間と同じ構造の体で耳が長い生き物。
数分考えて毎日見ていた生き物を思い出す。いや、生き物ではなかった、データだ。
「・・・エルヴァーン?」
(3)
まさか、そんな事がありえるのか・・・?
いや、よく考えてみりゃエルフという線だってあるか・・・
いつも見ている分FFに関連させたけど、耳の長い空想の人型生物なんて掃いて捨てるほどいるはずだ。
何か他の情報・・・ここが何処で、俺が何なのかを判断する情報が必要だ。
部屋の中を見回して、隅にある小さなベッドに目をやった。
白い小さなぬいぐるみな横たえてある。
白いぬいぐるみ・・・そういやFFならこんな生物がいたな。だとすれば・・・
「おい、起きろ」
「むにゅぅ・・・クポー・・・」
しゃべった・・・こりゃ決定的だ・・・
すぐさまぬいぐるみの首根っこをつかみ自分の顔の近くに持ってきた。
「起きろ白豚!んでさっさと説明しろ!ここは何処で俺は誰だ!?」
驚いたのか、ぬいぐるみは何度も瞬きをしている。
「ご主人・・・寝ぼけてるクポ?」
「寝ぼけてるのはお前だ!いいからさっさと説明しろ!」
(4)
ぬいぐるみ・・・モーグリは面食らったような様子でおずおずと話し始めた。
「えと、ここはサンドリアのモグハウスで、ご主人はご主人クポ」
思わず空いてる手を眉間に当てた。
「そうじゃない・・・・・・それじゃ、とりあえず俺の名前を教えてくれ」
「ご主人、どうしたクポ?」
「いいから早く!」
「は、はいクポ!ご主人の名前はルーファス(Loufas)!サンドリアの冒険者クポ!」
眉間に当てていた手をそのまま上に上げて髪を掻き揚げる。表情は多分相当硬いだろう。
まいったな・・・自キャラの名前だ・・・
「ご主人・・・苦しいクポ・・・」
「あ、あぁ、すまない」
モーグリからゆっくり手を離すと、そのままふわふわと浮かんで部屋の中心で止まった。
(5)
「ご主人、いったいどうしてしまったクポ?」
よく考えてみりゃ、この白豚は今の段階で唯一の情報源だ。手荒に扱ったのは拙かったな・・・
「すまない、ちょっと混乱してね・・・」
「どうしてそんなに取り乱しているクポ?」
この生き物はどの程度信用が置けるのだろう?
いや、そんなことを知っても仕方がない。
信用が置けないとしても、やはり話してみなければ始まらない。
「なぁ、ちょっと話を聞いてくれないか?」
「そんな事いわなくても話してくれれば聞くクポよ?」
「今から俺が話すことは本当のことだ。これがどういう状況か俺には判断できないから、君に判断してほしい」
ひとまず、この数十分で俺の側から見た今の状況を話してみた。
「・・・ご主人、大丈夫クポ?」
信じてないな・・・だけど、案外こいつは普通の思考を持ってるらしいってことはわかった。
普通信じないよなぁ・・・
(6)
「確かに、そういう噂はあるクポよ」
「!? 噂でも何でもいい!関係のありそうなことを知ってるなら話してくれ!」
モーグリの話はおおよそ以下のような内容だった。
近頃、突然おかしくなるご主人がいるのだそうだ。
人格が変わったように態度が急変し、別の世界から来ただのと妄言を吐く。
しかし、それと同時期にこの世界の構成物ではない何かが最近発見されたり
開発されたりしている。
どうやらこの世界はほかの世界につながり始めた、という噂だった。
「たとえば、これがそうクポよ」
週間魔法パラダイスという雑誌をモーグリが持ってきた
文字が読める時点で軽い驚きだが、それはもういい。それよりも興味をそそる記事を見つけた。
『バストゥークで新発明!その名も自転車!!』
「ただの噂と思ってたクポ・・・」
(6)
「なぁ、この自転車って呼び方は前からあったのかい?」
「モグはこの雑誌で初めて見たクポよ」
「へぇ・・」
同じ構造のものを発明したとしても、同じ名前なんてのは出来過ぎだ。
だとすりゃ、俺と同じ境遇の奴がいて情報提供をしてる可能性もあるな・・・
この雑誌は基本的にはゴシップ紙らしく、それほど信憑性が高いとは言えないそうだ。
だが、気になることには変わりはない。
「他に、こんな記事が載ってる雑誌はあるのかな?」
「これだけクポよ、でも色々と世界中で変わったものが発見されてるらしいクポ」
色々と、ねぇ・・・
「モグ達は噂程度の話しか聞いてないクポ。偉い人ならもっと詳しいことを知ってるかもしれないクポ」
「偉い人って・・・例えば?」
「ハルヴァー宰相とかトリオン王子とかクポよ」
書いた分は以上です。
もう少ししたら続きも投下します。
60 :
898 :2006/04/02(日) 10:32:55.64 ID:QwcfsX1G
>>45さん、お疲れでっす。
俺のSS追加してくれると有難いです。
ってSSって何の略?w
では紹介しますかね
初出: 前スレの898
PC(仮)名: 自分のキャラ名晒すわけもいかんしなぁ…未定でw
中の人: 898
種族フェイス:タルタル F6 B
ジョブ&Lv: 黒30
特記事項: 基本的にリアルからそのまま来た感じ。
tell、サーチなどおおよそ現実ではできないことはできない。リアル追求志向でいきます。
活動エリア:まだウィンダス。調べられることがトラウマとなり競売とモグハを行ったり来たり。
あらすじ:モグハで目覚める。街に出るも数人から「調べ」られトラウマとなる。
モグハウスに戻り現在の状況に絶望。モーグリに話しかけられ大喜びされ困惑。モグハ掃除っ。
書いてるわりにはあんまり進んでないな…。
他キャラとの接触:今のとこなし。後に他の人が絡みやすいとこが入りそうだな。
俺?設定が違いすぎるため絡めねぇ…。
SSはふつう、ショート・ストーリーの略じゃなかったかな?
FFだとスクリーン・ショットがメジャーかもしれないけど。
62 :
898:2006/04/02(日) 10:53:12.31 ID:QwcfsX1G
>>61 ども〜
SS=ショートストーリー か…。
俺の場合、すごく長くなりそうなんデツカ…。
投下おつ!(≧w≦)ノ
続き投下の前にプロフィールを
初出番号:2スレ目 51
名前(仮):ルーファス(Loufas)
ジョブ :モンク 75 /戦士37・シーフ37・忍者37・白魔道士37
活動地域:当面はサンドリア周辺
あらすじ :とりあえず宰相にご相談←今ここ
他キャラとの接触:設定は色々パクらせてもらいました(ごめんなさい!;;)
直接の絡みは今のところは考えてませんが、できるなら是非。
(8)
王子はともかく、宰相にはすぐに会える。
「…よし、出かけてくる。」
「それじゃ着替えと食事を準備するので少し待つクポ!」
モーグリは俺の荒らしたタンスを手際よく片付けながら、着替えを渡してきた。
連邦軍師制式コートと拡大眼鏡、ワーグバグナウに羅刹筒袴…ヴァナでの普段着だ。
「戦闘用の装備も持っていくクポ?」
「あぁ、一応頼む。場合によってはひと暴れして逃げてくることもあるかもしれないからね」
「…穏やかじゃないクポね」
事情を話せば協力してくれるとも限らない。
それどころか貴重な情報源として拘束される可能性もある。
暴れる、というところで気がついた。WSやアビリティは使えるのか…?
(9)
モーグリの用意してくれた朝食は、クァールサンドとサンドリアティーだった。
「なんだか大変そうだから、力のつくメニューにしたクポ!」
だそうだ。なんにしろ有難い。
モグハウスを出ようとするとモーグリが声をかけてきた。
「ご主人…」
「ん?」
「あんまり危ないことしちゃダメクポよ?」
何も言わず、背中越しに手をひらひらと振って答えて扉から外に出た。
モグハウスのある居住区は、なんだか石造りの長屋といった印象だ。
冒険者が行きかっていることもあり、何か活気が感じられる。
町の中は画面で見るよりはるかに広く、ゆっくり歩いているとすぐに日が暮れそうだった。
居住区から北サンドリアに出た俺は、直接ドラギーユ城には向かわず、
急ぎ足で西ロンフォールを目指していた。
(10)
魔法の使い方は俺にはわからないが、殴ることは出来る。
ジョブがモンクだったのが幸いだった。
アビリティは画面で見ていたエフェクトを頭でイメージすると発動する。
戦闘というよりは一方的にウサギやミミズを殴りながら、そこまでは確認できた。
WSは双竜脚と乱撃を試した。動きを真似するだけだ。
1発目で手ごたえがなくなっていたが、これも問題はなかった。
次は夢想阿修羅拳。
体に力がみなぎるのを確認して、勢いよく拳を突き出す。
「っ…てぇ!」
8回拳を出すというのは、思ったよりも体に負担がかかることがわかった。
腕がちぎれるかと思うような激痛が肩口に走ったが、まぁやってやれないこともない。
「案外どうにかなるもんだな…」
肩口をさすりながら、俺はその場で踵を返して一路ドラギーユ城へ向かうことにした。
(11)
ロンフォールの森の中をゆっくり歩きながら、ふと現実のことを思い出した。
いなくなれば不都合なことだらけだ。帰れるものならすぐにでも帰りたい。
だが、知らない世界に来て心細いと思うことと同時に、
仕事や人間関係から開放されたという開放感もある。
しばらくここにいてもいいと、少しだけ思った。
だが、さっきの阿修羅夢想拳を撃ったときの痛み、ありゃ本物だった。
要するに、きっと殴られれば痛いし、酷ければ死ぬんだろう。
これだけは肝に銘じる必要がある。
これから行くドラギーユ城だって、軍隊が配備されている場所だ。
怪しい行動をすれば命はないだろう。
事情を話せば、それだけで拘束される可能性だってある。
なら、情報を得られるかもしれないメリットと自由を奪われるかもしれないリスクを勘定しなければならない。
というより、今の状況を知るのに最も手っ取り早い方法というだけでリスクをかぶるくらいなら、
他の方法を考えるべきなのか…
(12)
考えてる内に、すでにドラギーユ城の前についてしまった。
肚の決まらないまま目的地についてしまったせいか、心臓の音が自分で聞こえるくらい高鳴っている。
極度の緊張状態だ。
準備はあるといえばあるし、ないといえばない。
心構えと、自分の状況を整理して話すだけだ。
なら、もう考えても仕方がない。ようやく肚が決まった。
ドラギーユ城前の門番は、俺の顔を一瞥したのみで止める様子はない。
そのまま扉をくぐり、瀟洒な絨毯が敷かれたエントランスにたどり着いた。
そしてその正面には目的の人物が立っていた。
ハルヴァー宰相
ある意味、俺の今後はこの人物のさじ加減次第ということになってしまった。
プロフィール補足…
種族:エルヴァーン
性別:♂
フェイスタイプ:2A(黒髪)
以上です。
お、テンプレがあったんですか
では、俺も書いてみます(ID違いますが、キニシナイでくださいw)
初出: 2スレ目 35
PC(仮)名:Rep-trip(レップ・トリップ) / 中の人: 35 ◆35//hs0Y0Y
種族フェイス: Tarutaru♂ F2A
ジョブ&Lv: 全1から再スタート
特記事項: 地球での記憶は全部・ヴァナでの記憶はわずか
活動エリア:
あらすじ:
やけにリアルな夢を見て、そこからモグハウスへ移り変わる。
この夢を気にしながらも、元の世界に戻る方法を探る(仮)
他キャラとの接触: そのうち出てくると思う。現在は0
72 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 13:53:49.83 ID:6W+nwFM0
>>50 編集の際のトリップパスは変換前の文字列を入力してください。
例:
投稿時:1001#nullpo
変換後:1001◆Q8gIG/Xc5k
でしたら
パスの欄には nullpo と入力してください。
>>60 新規の方のをすべて追加させてもらいました。
ご確認ください。
おーし、dat落ちる前に前スレ読破。
・・・ヤベェ、俺最後インしたの別鯖キャラじゃねーかorz
>>72 まとめの人、乙です(`・ω・´)ヾ
>72
了解ですっ(`・ω・´)ゞ
まとめの方お疲れ様です。
質問なのですが、私はトリップを全角でつけているのですが、トリップ付け直したほうがいいですか?
続き投下します。
(13)
「なるほど、事情は大体わかった」
驚くほどあっさりと受け入れた宰相の顔を、目を丸くして凝視してしまった。
「なんだ、意外か?」
「…えぇ、普通では考えられないことですから」
「貴様のような境遇の人間が数人いることは、すでにこちらでも把握している」
さらに目を丸くした。モーグリの話していた噂はどうやら本当だったらしい。
「詳しい話をしたい。こちらの部屋に来てくれ」
促されるままに小部屋に入り、いすに座った。
宰相は俺にここで待つように指示すると、さらに奥の倉庫のような部屋に入っていった。
程なくして戻ってきた宰相の手には、小さな鉄片が握られていた。
「これがなんだかわかるか?」
「刀の欠片のように見えます」
「おそらくそうだ。しかし、この成分は今までに確認されなかった均質な金属で出来ている」
均質な金属…?
「すみません、金属に関してはあまり明るくないもので…」
「おそらく、貴様が元いた世界のものではないかと考えている」
(14)
鉄片をよく観察した。刀の欠片に見えたが、よく見ると刃が付いていない模造刀だ。
「わが国では、この鉄片の成分を解析して新しい鎧の開発に成功している」
そうですか、と相槌を返したが、現実世界のものが兵器利用されたという話はあまり気持ちのいいものではなかった。
「知っていることがあれば教えてほしい。これが何なのか」
模造刀といえば、今はアルミやジェラルミンが主流だったはず。
確かにどちらも軽くて丈夫な素材だ。
ぱっと見た感じではわからないが、これもそのどちらかだろう。
間違っても刀匠が打ったものではないと思われる。
「わかりません。先ほどもお話しましたが、私は金属に関しては明るくないものですから」
「本当に何もわからないのだな」
「えぇ」
「わかった、この話はここまでにしよう。ところで…」
ため息とともに鉄片を懐にしまいこんだ宰相の眼光が、さらに厳しいものになった。
「貴様は元の世界で何をしていた?」
覚悟はしていたが、俺から出せる情報を全部引き出そうという魂胆だ。
鋭い視線が突き刺さるが、ここで気圧されるわけにも行かない。
軍需利用が可能な情報をもっていると判断された段階で、自由はなくなると思ったほうがいい。
嘘、しかも相手を信用させないまでも辻褄の付く嘘をつかなければならない。
(15)
しばらくの沈黙の後、俺は話し始めた。
「パンを焼く仕事をしていました」
「ほう、パンを焼く仕事か。貴様はパン職人だったわけだな」
「そうです、大きな窯を使って毎日パンを焼いていました」
我ながらどうしようもないくらい出任せな嘘だ。もう少し何かなかったものか…
宰相の眼光は相変わらずだが、若干あきれているかのようにも見える。
ここでシラを切り通せば俺の勝ちだ。
「パンと言うとサンドリア小麦粉のようなものが元の世界にもあるということなのだな」
「はい、小麦の種類も約1000種類以上ありますから、そこからブレンドしたものを使用します」
俺は知っている限りの小麦粉の知識を思い出す。
「胚芽が付いたまま挽いた小麦粉は栄養分が豊富ですし、麦の風味も強いので、私は好んで使用していました」
深く聞かれる前に、相手が求めていないであろう知識を提示しておく。
そうすることで、こちらが警戒していないと錯覚させるとともに、他の事への質問をぼかしておきたかった。
(16)
宰相は俺に警戒心を抱かせることは避けようとするはずだ。
何か情報が引き出せる相手かもしれない相手だから。
俺の持っている情報が宰相にとって未知数だから。
つまり、ある程度話を聞いた段階で今日の話は終わるだろうと踏んでいた。
長く引き止めれば俺が不審に思う、と考えるのが普通だからだ。
そして、必ず次の機会のアポイントメントを取ろうとする。
その間は、もしかすると俺に監視が付くことも考えられる。
そんなことを考えながらも、麦について熱く語る俺と宰相。
「そもそも麦というのは、俺の世界では4千年以上前から栽培されていてですね…」
「わが軍の輜重線を維持するにあたり、コンシュタット高地で製造される小麦粉は重要で…」
元々俺も、そしておそらく宰相も、麦の知識なんてたかが知れているのだろう。
麦の話をしつつ、なんだかよくわからない方向に話は伸びつつある。
宰相としては、話の中のアラを見つけて、そこから切り込んでいきたいという所だろう。
それがわかっているから、こちらも付け入る隙のないように話す。
しゃべり続けて興奮しているはずなのに、額から冷たい汗ばかりが流れる。
そのやり取りは、まだまだ長く続きそうだった。
本日は以上で投下終了します。
82 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 17:50:09.24 ID:GAT2iFgE
>>81 乙です。麦について熱く語る二人・・・なんだか
ご飯時のデパ地下パン屋戦争!とかそういう特集で見れそうですねw
コソーリ投下準備(´・ω・)っ
初なので、トリ等無しです。
84 :
83:2006/04/02(日) 18:00:06.15 ID:cM9pMZeZ
ふっ――と、意識が覚醒する、寝起きと似たような感覚。
体を起こし、まだボンヤリとする目で周囲を見渡す。
いつもの見慣れた――雑誌や何やらがうず高く積まれた、雑多な部屋の風景――では、ない。
まず視界に入ってきたのは、黄色がかった敷石。そして、周囲を囲む木の板。
(えー・・・っと・・・部屋?)
軽く頭を振り、ここが何処なのか考える。記憶にはあるんだが。
「ご主人様、起きたクポー?」
後方から語りかけてくる、聞き覚えの無い声。まさかとは思うが・・・このパターンは。
一気に覚醒した頭で、寝る前に見たスレの内容を思い出す。
確か、起きたらFFの自キャラになっていたとかどうとか、SSが張られていたスレ。
いまいち確信は持てないが、まずすべきは現状の把握。
読んだ通りの内容ならば、自分が最後にログインしたのは――
立ち上がり再度、周囲を見渡す。直に床で寝ていたからだろうか、少し体が痛む。
目に付くものは、正面に水の流れる小さな水場。丸みを帯びたクリスマスツリー。
そして壁にかかった、何を表しているのか理解に苦しむ絵画・・・そして
「ご主人様、さっきから鳥がブルーピースでもくらったような顔して、どうしたクポ?」
背中に生えたコウモリのような羽で、パタパタと浮かぶ白豚。否、モーグリ。
『マジかい』
意識せず、一人ごちる。現実にありうるのかこんなこと。ぶっちゃけありえない。
85 :
83:2006/04/02(日) 18:01:03.29 ID:cM9pMZeZ
スレを覗いたのは偶然――いや、初代スレ読破したが――だし、その前に別鯖のキャラで遊んでいたのも偶然。
そんな偶然が折り重なり、どうやら自分が居るのは
(・・・う゛ぁなでぃーる?)
だろう。しかも、スレの流れに沿った通り、最後にインした別鯖のミスラ。
・・・ん?ミスラ?
どうしたクポ?どうしたクポ?と、壊れたスピーカーのように同じ事を繰り返すモーグリを押しのける。
水場まで歩み寄り、水面に映った自分の姿を確認する。
どう見てもミスラF6Aの顔。衣服もログアウトしたときの装備一式。
体つきはどう見ても女性のそれだ。腰にはバーニンセスタスが吊ってあり、尾てい骨の辺りから尻尾。
『ヘイ、マイク。どうやら俺は、仮想現実の中に入り込んじまったようだぜlol』
思わず口に出る独り言。つーかマイクって誰だよ。
「マイクって誰クポ?モグはモグクポ!」
同じ疑問を持ったのか、傍らに居たモーグリが聞き返してくる。
そちらに向き直り、不思議そうな――と言っても、表情はよくわからない――顔をしているモグに話しかける。
『あぁ、ごめんモグ。寝起きで顔洗おうと思ってボーっとしてた』
何食わぬ顔でそう告げる。
86 :
83:2006/04/02(日) 18:01:44.36 ID:cM9pMZeZ
「なるほどクポ。いつもなら真っ先に『モグ、宅配何か届いてる?』って聞くクポ。
珍しくハウスに帰ってきたから、きっととても疲れてたクポね」
合点がいったのか、うんうんと頷きながら語るモグ。
「最近よく聞く、不思議な言動の冒険者さんと同じになったのかと思っちゃったクポ」
その言葉を聞いて、体が一瞬強張る。
スレで読んだ内容を信じるならば、自分より先にヴァナディールに来てしまった人達の事だろう。
ここは一つ、モグから聞けるだけの情報を得ておくべきだと、そう思う。
『なあモグ。その・・・不思議な言動の冒険者って、具体的にどんな?』
当たり障りの無い言葉を選び、いかにも初めて聞きましたという体を装う。
言ってから水場で顔を洗う。冷えた水の感覚・・・ここが夢では無いと再確認させられる。
87 :
83:2006/04/02(日) 18:02:19.32 ID:cM9pMZeZ
縁にかかっていた布で顔を拭い、顔を洗い終えるのを待っていたモグの前に座り込む。
「あのねクポ。まずさっきご主人様が言ったみたいに、何が起きたかわからない風に
独り言を言う人が多いらしいクポ」
軽く頷き、続きを待つ。
「それを不思議に思った仲間のモーグリが近付くと、その人達はモグを見て驚くクポ。
『ちょwwwwモーグリwwww』とか、意味不明な言動つきクポ。モーグリはモーグリクポ。
中にはいきなり服を脱ぎだして、奇態に走る人も居たらしいクポね」
思わず吹き出す。欲望に忠実というか、なんというか・・・。
「続けるクポよ?・・・奇態を晒した人は別にして、落ち着いてからモグに尋ねるクポ。
『今の日付と時間は。あと、ここは何処?』 当然、問われた通りに答えるクポ。
答え終わった後に頭を抱える人が大半らしいクポね」
そこまで話し、ふぅ、とため息一つつくモグ。心なしか、表情が暗く見える。
「ここから先はあまり言いたくないクポ・・・」
察した通り、どうやら良い話ではない様子だが、残念ながらそこまでの話は知っている。
88 :
83:2006/04/02(日) 18:03:34.68 ID:cM9pMZeZ
自分が知りたいのは、その先。
胡坐の状態で頬杖をつき、身振りで続きを話すように促す。
「聞きたいクポ?」
『続きがあるならね』
聞き返したモグに即答する。再度ため息をついて、モグが話し出した。
「何か思いついたのか、持てる物持って飛び出す人、『これは夢だ』って
ベッドにもぐりこむ人が大半・・・だったのは少し前クポ。 最近増えてきた報告には・・・」
言い淀むモグ。恐らく、この先が言いにくい事なのだろう。
「・・・先に言った人達はまだ良いクポ。
話を聞く前に、金庫から武器を取り出して、自殺しちゃう人も居るらしいクポ・・・
知っての通りモンスターに倒されたりするなら、HPに戻るクポ・・・
でも、自らの手で命を絶った人っていうのは・・・」
それは知らなかった。
確かに、自分自身を攻撃する術というのは、ヴァナには無かったように思えるが・・・。
『あれ?忍者の微塵がくれは・・・』
疑問を投げつける。微塵がくれは自分の意思で発動せねばならないはずだ。
「ご主人様、忘れちゃったクポ?
微塵がくれは、正確には死ぬ訳じゃ無いクポ。
体内に集約された生命エネルギーを、潜在的な魔力を使って――」
『あぁいいよ、詳しいことは。要するに戦闘不能になるだけなんだよね』
多分、理屈を聞いても理解はできないだろうし、説明の途中で制止する。
死ではない、という事さえわかればいい。
90 :
83:2006/04/02(日) 18:04:28.46 ID:cM9pMZeZ
そういう行動を理解できない事もない。正常な感覚を有している人ならば、異常について行けないだろう。
何故ヴァナに来てしまったのか、そして、どうすれば戻れるのか。
戻る為には、街中をウロついてるだけではどうにもできないだろう。
そうなれば、街から外に出る必要がでてくる。外に出れば、モンスターとの戦闘は必至だ。
平和ボケした日本人が、いくら現実の自分とは違う能力を持っていたとしても・・・まともに戦えるとは思えない。
他人を傷つける行為を躊躇するだろう。逆に、傷つく事を恐れるのも当然の事だ。
実際スレを見ていた限りでは、本格的な戦闘を行っていた人は少なかった。
そして何よりも・・・自分の分身とは言えど、いつまでこの状態が続くのか。
多分、手っ取り早い手段はキャラクターの死であると考えた人が、自殺という手段を取ったのだろう。
それが正解だったかどうか。・・・報告が無かった事を考えるのはやめておこう。
91 :
83:2006/04/02(日) 18:05:02.53 ID:cM9pMZeZ
『言っておかなきゃならないかな』
話を聞く限り、自分がそういう――現実からの冒険者と同類だというのは、モグも気付いているだろう。
『自分もさ、不思議な冒険者の一人なんだ』
そう言い放ち、自分が現実から来た経緯をかいつまんで話す。
言い終えて、モグの言葉を待つ。モグは羽ばたくのをやめ、床に下りて足元に近付いてくる。
歩くモーグリをヴァナで見るのは初めてだ。だからといって、どうという事はないが。
寄って来たモグの手が膝に触れ、次に背伸びをして顔に触れる。フサフサした毛がこそばゆい。
「そうだと思ってたクポ。でも話をした感じ、触った感じは・・・いつものご主人様クポ」
それはそうだろう。動かしていたのは間違いなく自分なのだ。
モグの手が離れ、羽ばたいて宙に。そして何事も無く言ってのけた。
「根拠は無いクポ。でもきっと、元の状態に戻れるクポ!大丈夫クポ!」
根拠が無いと臆面にも出さず言うのは、モーグリの性格からだろう。
でも何故か、その躊躇いの無い言葉が希望に思えた。
92 :
83:2006/04/02(日) 18:05:54.86 ID:cM9pMZeZ
話を終え、モグハウスから外に出る。
思いのほか綺麗な通路を抜け、石材でできたトンネルを走り抜ける。
朝靄に煙る、ウィンダス石の区モグハウス前の広場。
ゲートに立つガードの横を抜け、踏みしめられて硬い、広場の土の感触で立ち止まる。
辺りを見渡すと、ゲーム内で見慣れたカーディアンと、子ミスラが花畑で何かを話している。
空を見上げる。
昇り始めた太陽の方角から、白い雲が、真っ青な空を横切ってゆく。
しばらくそのまま空を眺める。はたから見たら、変な人か寝落ちの人と思われるだろう。
(正直、冗談じゃないよなぁ・・・)
昨日まで何事も無く過ごしていた日常を思い返す。
寝て起きて仕事に行って、帰宅して束の間の休息のヴァナ・・・。
ほんの数時間しか経っていないにも関わらず、遠い昔のように思える。
(今は――ココが現実、か)
覚悟は決めたつもりだった。
でも何故だろうか・・・現実とは違う空を見ていると、涙が零れた。
93 :
83:2006/04/02(日) 18:06:53.99 ID:cM9pMZeZ
以上・・・一箇所名前抜けましたが。
駄文失礼しました。続投するかは未定!w
94 :
三回目 898:2006/04/02(日) 18:17:23.81 ID:QwcfsX1G
モーグリは寝ていた。寝息も安定している。「とりあえずは安心か…」床にドサッと倒れこむ。
…匂いが気になるな…。例の酸っぱいような粉っぽいような例の匂い。
ふと小窓を見上げるともう昼らしい、青空がのぞいていた。
(時間感覚がおかしくなってきてんな…)俺は思った。
ヴァナの1日はリアルで1時間。リアル1日でヴァナ24日経つ計算だ。
NMやその他のモンスターには時間POPってのがある。その時間帯にPOPか時間ごとにPOPするものとかだ。
もしリアル時間そのままを当てはめると、夜にPOPするモンスターを狩るため寝る時間を削るはめになるとか、
NMのPOP間隔時間が数日が当たり前になるという有り得ない設定のゲームになってしまう。
製作サイドの考え方はよくわかるし、理解できる。だがいざヴァナで暮らすとなると話は別だ。
リアルと比べてじつに24倍のスピードで時間が進むとなれば誰だっておかしくなる。
「まぁ、■eもまさかゲームの中に生身の人間が入り込むとは思わないよな…」
起き上がりその場で屈伸運動を始める。さっきの掃除で図らずもいい運動になった。
感覚としては…、小学2〜3年の頃と同じくらいかな…。あの頃何にもかもがでっかく見えたんだ。
学校の校舎も、近所の塀も、普通の自動車にだって憧れたもんだ。そして、周りにいた大人達にも…。
「…。」帰りたい…、今すぐにでも。ノドの奥から石みたいなものがせり上がってくる感覚がした。
視界が滲む。「だったら…帰らなきゃ。」ずっと突っ立っててても何にもならない、今までもそうだった。
他人が全員マザーテレサじゃないんだ。歩きだすのはいつだって俺自身だ!! やるぞ!!、俺!! よし!!
「じゃあ、外出て飯を買うぞ、おー!!!」気合の割りに陳腐な目標を得て俺はモグハウスのドアに手を掛けた。
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : また一人被害者が: ::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
_,,..,,,,_ ,,,,_ _,,..,,,,_
./ ⊃`ヽーっ /,'3 `っ / , `ヽーっ
l ⌒_つ `‐‐‐'´ _,,..,,,,_ l ,3 ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''" _,,,,,... / ,' 3 `_,,..,,,_----‐'''''"
ヽーっ ⊂⌒ ε ', ヽ / ,' 3 `ヽーっ
⌒_つ ⊂_⌒ ⊂ |,,,|_ ⊃ ⌒_つ
‐'''''_,,..,,,,_ "'''''‐---ー/,'3 `っ-‐'''''"
./ , ∪,,`ヽ,,,,, `‐‐‐'´
l ,3 ./ ,' 3 `ヽーっ
`'ー---l ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
是非続投をw
96 :
三回目 898:2006/04/02(日) 18:21:16.53 ID:QwcfsX1G
〜ウィンダス石の区〜
階段を下りきったところで、周りを見渡す。「良かった…、誰もいないな。」
ウィンダス石の区 モグハ前。ヴァナでも有数の過疎地だ。極たまに謎の軍団が集まるんだが。
競売へ続く道を道なりに進んでいく。布をドーム状に張った道に向かいに風が強く吹き抜ける。
道を抜け、視界が広がる。「…すっげぇ…。」俺は見上げた。
星の大樹。ウィンダス連邦の象徴であり、そしてタルタル族の精神的な支えでもある聖なる巨木。
侵食というより守るように天の塔を覆いかぶさるそれは、なるほど確かに神々しかった。
現実世界にもちょっとあるようなもんじゃないほど巨大すぎるその大樹をしばらく呆けて見上げていた。
(…おっと、ボケッとしてる場合じゃない。飯買うんだった。)競売に向かう。
何人かのプレイヤーがいる。俺は目立たないように一番右端のカウンターの前に向かう。
初めて外に出た時に感じた粘着した視線。あれを恐怖を感じるのは二度とごめんだった。
プレイしたときは気づかなかったが、ログに表示される「見つめた」は単なる開始の意味。
相手がやめるか、こっちか相手の視線外に移動しない限りずっとそれは続く。ずっと。
頭を振った。とりあえず早く買おう。そして早くモグハウスに戻るんだ。
カウンターの前に立つ。ここで疑問が湧いた。(どうやって買うんだ?)
ゲーム中では話しかけるだけでよかった。しかし今の俺に同じようにすることは無理。
さてどうしようかと悩んでると、カウンターから一枚の紙が差し出された。「?」
紙を手にとってみる。(へぇ…、こんなシステムになってんだ。)
97 :
三回目 898:2006/04/02(日) 18:25:18.02 ID:QwcfsX1G
色々脳内解析中。
現実に有り得るようにするのは難しいもんだ…。
98 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 18:26:28.05 ID:MpkIFKsz
このスレ、神だな。面白い
まとめお疲れでっす。
編集とか挿入とか出来るか試そうと、
数字をクリックしてみたり、挿入を押して、
パスにトリップを入力したんですが、真っ白画面が出て来ます。
もしかして、トリップ短すぎ、とかそういう罠でしょうか。
100 :
>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/02(日) 18:52:10.06 ID:qdYuGiV/
新しい戦績品が追加されました。
これは異世界侵食イベントの一環として導入された一時的なものです。
イベントが終了して無くなっても交換に使用した戦績は戻ってきません。
バストゥーク(ランク4)
大工房守護長銃
異世界の技術を一部用いた銃身を使った銃。
玉は小さいが、射程はきわめて長く精度が高い。
D20 隔400 飛命+10 クリティカル率+10% Lv40 戦赤シ暗吟狩侍忍竜
サンドリア(ランク4)
エアリーシールドシリーズ
まとめて預けることが可能です。詳細は【>>こちら】
ウィンダス(ランク2すべてEXレアの秘薬です)
異世界の金属、裁縫技術と魔法とを融合し、
使用者の衣服などを一時的に強化する。
本来はカーディアン用。
防御薬30min物理防御および魔法防御50%Up。
生命強化薬(バリスタの巨人の薬と同じ効果です)
101 :
>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/02(日) 19:06:17.40 ID:qdYuGiV/
エアリーシールド(盾) EXレア
防御力10攻-5回避+10命中-1 リジェネ Lv1 ALLJob
(表示にない隠し効果:シールドバッシュダメージ50%ダウン 物理&ブレスダメージ1%カット)
異世界の技術と魔法を融合させた透明な盾。
とてつもなく頑丈で軽く扱いやすい。
エアリーソード(片手剣)Exレア ALLjob Lv40 戦黒赤シナ暗獣吟狩忍竜
D20間隔200 クリティカル率2%UP追加効果:回避率ダウン(この剣での攻撃時敵の回避は半減で判定)
素材不明の透明な剣。壊れないよう強化魔法がかかっている。
102 :
>>69鴉野兄貴:2006/04/02(日) 19:25:54.45 ID:qdYuGiV/
アイテム解説。全種共通。
魔法強化された布と皮、異世界の金属と魔法で作られた。
服同様動きやすいが、要所要所を紙のように薄い金属板で補強している。
(ALLjob40装備エンチャントは24Hに一回で無制限)
頭 エアリーバンダナ 防5 回避+5AGI+3INT+3敵対+2リフレシュ
胴 エアリーブレスト防18 回避+10攻撃+10命中+10 AGI+2 マズルカ
腕 エアリーグローブ 防5 DEX+5 AGI+1 回避+4命中+4
脚 エアリートラウザ 防10 AGI+5 攻+10 ヘイスト6%
足 エアリーブーツ 防5 AGI+3 回避+5 リジェネ ヘイスト4%
■<バランス?シラネwwwww
47.
子一時間後、言い疲れたのかピエールが黙る。
「で、どうおとしまえつけてくれるの?」
俺は、考えた結論を口にする。
「俺、ジュノ行くわ」
「騒動の本人がいなくなればすぐにおちつくっしょ」
一瞬呆気に取られる兄弟
しかし、ピエールは一瞬後に言った。
「わかりました。何かミッションを用意しますのでそれを口実にジュノへ行ってもらいます。」
トリオンはまだ呆気に取られてる。^^;
問題が片付けば、ピエールは極めて紳士的だった。
わりと友好的な雑談の後、俺はお城を後にした。
48.
何かのミッションそれが来るまで俺は、旅立ちの準備に取り掛かった。
ロンフォを歩いた感じからすると、ジュノまでは10日はかかるだろう。
素材もすべて売り払い現金にする。
食料も保存食を中心に買い込む。
重いな;;
既に挫けそうだが、ひとつひとつ準備していった。
なかなか来ないミッションがちょっと気になったが
剣と魔法の修行に精を出し日々が過ぎていった。
49.
「お城から招待クポー」
朝起きると、モグにそう言われた。
おお、やっと来たかそう思い出かける。
お城に着くと、ハルヴァーさんが直接対応してくれる。
「アルルさん、例のお話ですがジュノでは大使館員をお願いすることになりました。」
うお、これってミッション3かな。
「明日、出発前の謁見を行います。」
「今夜はお城にお泊り下さい。」
なぬ^^;
部屋に案内される。
結構、いやそうとういい部屋だ。ベッドも大きいし・・・。
わっふるわっふる
107 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 20:40:57.27 ID:qdYuGiV/
わっふるわっふるわっふる
では、書いてためてたのを投下しますw
ここが……ヴァナ・ディールなのか……?
ウィンダスのモグハウスに備え付けられた滝(?)からは水が常に流れ落ち、自分の部屋の外からは賑やかな人の話し声が聞こえてくる。
まず、自分のことから考えてみよう。
何故、俺はここにいるのか? と、昨日寝る前にみた文章が脳裏に浮かんだ。
“朝起きたら自キャラになっていた” ……これだ!
きっと、このスレを見た人間の一部がヴァナに入り込んでしまったのだろう。
つまり、この世界には地球から来たプレイヤーが沢山いるはずだ!
「とりあえず、そいつらと会おう。」そう考えたところで、ヴァナにきた自分を調べてみる。
冷静に考えなくても俺がタルタルなのは決定的に明らかだ。身長小さいし、それでさっきもベッドから降りてコケたしな。
持ち物は何もない。来ている服は、タルタルの初期装備だろう。目の端に赤いスカーフがチラチラ見える。
ジョブは……全くわからない。
そして、さっきからピクリとも動かない白い不思議生物。コイツだけが、この世界での情報源だ……。うん、そう考えるとさっき殴ったのは忘れてもらおう。
「おいィ?大丈夫か?」真っ赤な嘘だ。心配など全くしていないw が、モグに不信感を抱かれては困る。とりあえず起こすしかなさそうだ。
白いフワフワ生物はまだ動かない。いい加減起きろ!
その時、コイツの頭の上についているポンポンが目に入った。
「頭のポンポンには触らないで欲しいクポー」以前、別のゲームでコイツが言っていた。
「ご主人様! おはようございますクポー!」しばらく悩んだものの、この方法をやってみることにしたのは正解だったようだ。
頭についてるポンポンを引っ張ってみたのだ。すると、今まで死んだように動かなかったモーグリがいきなり喋り出した。まるでドラ○もんのシッポみたいだな。(しかも、俺が殴ったことは忘れているらしいw)
ニヤッとしながら俺も「おはよう」と言ってやる。多分、今のが/sayみたいなのだろうか?
白いフワフワ生物はまだ動かない。いい加減起きろ!
その時、コイツの頭の上についているポンポンが目に入った。
「頭のポンポンには触らないで欲しいクポー」以前、別のゲームでコイツが言っていた。
「ご主人様、今日は元気ないクポ?」――今日は特別な日だから、ちょっと豪華にしてみたクポー♪ と言い、部屋の中央のテーブルに着き(着くまで、2回コケた)、俺と一緒に朝食を食べ始めたモーグリが言った。
確かに、考え込んでいた俺は、元気がないように見えたのかもしれない。
「いや、大丈夫だ」全然大丈夫じゃないが、とりあえず返事をする。ふと、先程のモーグリの言葉が引っ掛かった。
「なぁ、モグ?」俺は茹でた蟹に噛り付いているモーグリに話し掛けた。
「なんですクポ?」ふーん。ちゃんと会話になるんだ。
「今日が何の日か知ってるみたいだが、何の日だっけ?」俺は、考えていた疑問を口にした。考えてもわからないなら、聞いてみるのが一番だ。
「ご主人様、冗談がうまいクポw」いや、冗談ではない。(ターミネーター風に)「今日はご主人様の、『冒険者登録書』が発行される日だクポ」……な、なんだってー!(AA略 そんな大事な日なのか……
ショックを受けている俺を放置し、朝食を食べ終わった不思議生物は、フワフワと部屋の隅に飛んでいく。
「やっぱり届いてたクポ!これでご主人様は立派な冒険者クポ♪」なぜか嬉しそうなモーグリ。いや、おいィ、俺は全く嬉しくないわけだが?
はしゃぐモーグリを見ながらスレのことを考えていると、この生物に聞きたいことができた。
「よし、いい加減に落ち着け。」あんまりはしゃいでると、また気絶するぞ?「もう一つ聞きたいことがある。」静かな口調で言った。
一通り話しを終えた俺はモーグリに支度をしてもらい、モグハウスを出た。
腰の鞄には初級呪文、『ストーン』が書かれた紙を入れ、背中には初心者用両手棍、「オニオンスタッフ」を背負っている。
冒険者としての生活がスタートしたのだ。
頭の中でウィンダス水の区の地図を思い浮かべる。
モグハウスから出た後は、真っ直ぐ行くだけだ。目指すのは「耳の院」だ。
まず、俺がモーグリに聞いたことは、やはり「最近のおかしな冒険者」についてだ。この世界が他の奴と、本当に同じ世界かどうかを確かめたい。(というか、ワールド違ったら意味ないし…)
答えは、半ば予想していたが、「まさか、ご主人様も……?」だった。
この時点で、俺は一つ確信した。間違いなく、リアルからきた人は近くにいる。
さらに、俺はモーグリから思いも寄らぬ情報を聞き出せた。いや、聞き出したというか、勝手に喋ったのを聞き逃さなかっただけの発展系だが。
「……そのご主人様達は、皆モグ達をブツブツ。最近は毎日ご主人様に叩かれて頬っぺたが真っ赤になってる……グボッ」その言葉を聞いた瞬間、俺はモーグリに飛び掛かった。毎日叩かれる……間違いない。
「そのモーグリか、主人と話しがしたい!」一気にまくし立てる。
「ご主人様、痛いクポォDVクポォ!」どこかで聞いたような台詞で喚くモーグリに気付き、どいてやる。「教えてくれるのか?」モーグリの近くに座り、ゆっくりと聞く。
「通常、ご主人様個人のプライベートは喋っちゃいけないことになってるクポ……」ビクビクしながらモーグリが小さな声でいう。――しょうがないよな。
ガッカリだ。せっかく、仲間に会えると思ったのに……
「でも」モーグリが考えながら言った。「相手のご主人様に絶対に迷惑かけないなら、教えてくれるかもしれないクポ」俺は歓喜の声をあげた。
えーと、この十字路は直線でいいんだよな?
しばらくして、うちのモーグリは例のモーグリから“情報”を貰ってきた。偉いぞ、モーグリ!
「『ご主人様は、モグをフライパンで殴りつけた後、訓練とか言いながら耳の院に向かわれたクポ』ということらしいクポー!」モーグリは興奮気味に言った。俺に褒められたのがそんなに嬉しかったのか?
しかし、こっちに来てから時間の感覚が狂ってる。いつまで経っても着けない――いや、いま着けた。おいおい、めちゃくちゃ時間かかるなorz
耳の院は安全のためなのか、通路から直接扉にいけないのがめんどくさい。
アーチ状の門をくぐると、すぐに右に曲がると職員室がある。まずはここで話しを聞くことにしよう。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが」なるべく丁寧にそういった。なにせ、相手は先生なのだ。
「はい、なんでしょうか?」モニターを通して会話しているのとは、全く違う雰囲気だ。あ、早く用件をいわなければ
「今日、こちらに実戦訓練とかで来ている冒険者の方はいらっしゃいますか?」よく息がもったと思うほど、一気に言う。
「冒険者の訓練? あー、はいはい、生徒の護衛に来て下さったユリフィナさんね!」ユリフィナさん……?冒険者の名前だろうか?
「ちょっと前に生徒と一緒に訓練へ行きましたよ」あー、ちょっと遅かったか。そうだ
「いつ頃戻られるかわかりますか?」予想はつくが、一応聞いてみる。
「さぁねぇ?生徒が全員できるまで帰ってこないんじゃないかな?」やっぱりそうか。
「帰って来たら伝えようか?」いや、そこまで迷惑はかけられない。「いえ、それほど重要なことじゃないんで」そう言って耳の院を後にした。
以上です(´・ω・`)
なんつーか、書けば書くほど迷いが出てくる。。。
>>72 お疲れ様です
まだ大きなミスはありませんw
テレポイントの階段を下りた先で実習内容の確認がもう一度行われた。
「獲物は蜂と兎です。マンドラゴラや若木には人を眠らせる力があるので手を出してはいけませんよ。
先生たちの目が届く範囲から出てはいけません。
ヤグードやゴブリンを見かけたら静かにその場を離れて先生たちに伝えるように。
もし見かけたら絶対に逃げるのですよ!絶対に絶対にですよ!!」
両手をぶんぶん上下に振りながら先生は熱心に説明する。
「それではユリフィナさん。蜂か兎をこちらに連れてきてください。」
「・・・へ?」
私は不意打ちに間抜けな返事を返してしまう。わたしぃ!?
「ええ、ユリフィナさんは白魔道士以外にもナイトや戦士、シーフなども経験豊富なので
釣りはお手の物だと伺っていますが。」
先生はにっこりと微笑んで私をもちあげにかかる。
「えぇ、まぁ・・・。」
正直、自分でモンスターをつるというのは自信が無い。
このヴァナでも相手に攻撃をして走って逃げればついてきてくれるのだろうか?
まぁ頼まれたものはしかたないか・・・。
「分かりました。待っていてくださいね。」
少々緊張気味に私は答えた。これも実戦、何事も経験。
「あっ、ヤグードやゴブリンを見かけたら確実に殺しておいてください。生徒たちが襲われたら大変なので。」
先生は私の背中に人の気持ちも知らないでさらりと恐ろしい事をいいやがった。
・・・はぁ。私は早くも暗い気持ちになっていた。
テレポイント沿いに少し歩くと見間違えようの無い青紫の羽をした二足歩行の鳥人間と見事に目が合った。
ぎょろりとした目に長い耳。鋭いくちばしに憎たらしいほど細いウエスト。
見かけたら確実に殺さなければいけないことになっているヤグードだ。
そのヤグードの手には大振りの刀が握られていた。
侍だからたしか・・・ヤグードパーセクターだったっけな?
みた感じではむこうから戦おうという意志は感じられない。でも、こいつが生徒たちを傷つけない保証は無い。
私はヤグードを見上げながらすっと腰にさげたダークモールに手をかけた。
かわいそうだけど・・・死んでもらわないと・・・。少しだけ目に涙がにじむ。
相手が何者であれ、命を自分の手で奪うのはなんだかものすごく怖い・・・。
私がダークモールを引き抜き構えるとヤグードは突然地面に刀を突き刺した。
そして両手を挙げて後ずさりながらだみ声でしゃべりだした。
「な、なぁ。あんたレベル高いんだろ?俺みでぇな小物を倒したってほとんど得はねぇだろ?
見逃してくれ 顔の前で両手を合わせるヤグード。隙だらけだ。
本当に命が惜しいのだろう。ものすごく必死さが伝わってくる。
なんだか、思わず気が抜けてきょとんとしてしまう。
「頼む!まだ死にだくねぇんだ!そうだ、数珠やるよ!!だから頼む!!!」
そういってヤグードは腕につけていた数珠を外し私のほうに放り投げる。
カチンッと硬い音をさせてごつごつした地面にそれは落ちた。ねぇか?なぁ!」
「分かったわ。見逃してあげる。」
おびえきった顔を見ていたら、だんだんかわいそうになってきた・・・。
甘いとは思うけれど・・・。
「ただし、次にあったら容赦はしないから。その事は忘れないでね。」
私はそういって武器をしまいながらストーンを詠唱する。
私が武器をしまいきった時には意志を持った石つぶてが
猛スピードでヤグードが地面に突き刺した刀に激突して刀を破壊していた。
その様子を見てヒッ!とヤグードは情けない声をあげてびくりとする。
ビクビクする巨大鳥人間はちょっと・・・いや、相当かっこ悪い・・・。
「私はしばらくテレポイントの周りで用事を済ますから。
死にたくなかったらしばらくは近づかない事ね。わかった?」
私はヤグードを睨みつけながらそういった。・・・ちょっとかっこいい事をいった自分に酔いながら。
「は、はい!恩にきりますぜ姉御!」
ヤグードは折れた刀の柄を握ると猛スピードでどこかへと走り去っていった。
できる事なら、こんな感じで誰とも戦わないで済んだらいいんだけどな。
私はそう思いながら地面に転がっている数珠を鞄の中に放り込んだ。
私はヤグードやゴブリンと会わないことを祈りながらウサギや蜂を見つけてはフラッシュをかけて
生徒達の下へと連れて行った。
幸いあれから獣人と出会うこともなく、さらに意外と簡単にモンスターを釣ることもできたので
この仕事はけっこう楽に終わりそうだった。
私はこの演習の最後の獲物にフラッシュを放ち生徒のもとへとかけていった。
スケイルメイルの少年がウサギに向かってバイオを入れるところを確認してから
私は彼らから5メートルほど離れたところたっている先生の隣へと移動して演習の様子を見物した。
彼らはウサギに思いっきり蹴られたり、蜂にかみつかれたりしても、
ケアルを使ったりしながらあまり怯むことなく戦い続けた。
「・・・すごいですね。とても学生だとは思えないです。」
私は彼らの戦いぶりをみて思わずそう言った。先ほどバイオを撃った少年が
ウサギの返り血を浴びながらもレッドロータスで切り込み、
そこにすかさずローブを着たおかっぱ頭の少女がヘヴィスウィングを叩き込む。
そして、ローブをまとった少年がその衝撃で発生した爆発の中心に狙い済ましたファイアを放つ。
『生きたい』という悲痛な気持ちが痛いほど伝わってくる悲鳴を上げながらメラメラと燃えるウサギは
しばらくは激しく地面をのた打ち回っていたが、しだいに静かになりついには動かなくなる。
物が焦げる悪臭に私は思わず嫌な顔になってしまったが、彼らは表情一つ変えることなく
今の戦いの怪我の治療へと移っていた。
先生が静かに口を開いた。
「えぇ、たしかに学生らしくはないと思います。こんなに血に汚れて。」
そして少し寂しそうな表情になる。
「でも、今の世の中では残酷すぎるほうがいいのです。優しい人は生き残れませんから・・・。」
とてもとても悲しいことを先生は言った。けれど、これがヴァナの現実なんだろう。
殺される前に殺さなければならない。そんな・・・厳しい世界。
私も・・・私も残酷にならないと・・・。
「さて、みんな怪我の治療も終わったようです。そろそろ行きましょうか。」
先生はそういうと生徒達の方へと歩いてゆき、彼等を整列させて一人ずつデジョンIIで家へと送り始めた。
整列している様子は小学生の遠足なのに・・・。
全員送り終わってから先生はこちらへと歩いてきて小さな革袋を差し出しながらこう言った。
「今日はありがとうございました。怪我人も出ないですんでよかったです。
たいした額ではありませんが受け取ってください。」
「こちらこそ、怪我人が出なくて本当によかったです。」
そういって少しだけ重い袋を受け取った。
それはまったく手を血に染めずに終わった実戦訓練の報酬としては多すぎるように感じた。
「それでは、家まで送らせていただきますね。」
先生は私に向かってデジョンIIを唱え始めた。
その様子を見ているうちに、まともに実戦をしないで帰る自分がだんだんと情けなくなってきた。
皆様、投下乙であります。
>>72 なぜか編集者ログインができません。
「ユーザーIDまたはトリップキーが間違っております。」
と、表示されます。
以上です。
>>117でちょっと貼り付けミスしました・・・
「な、なぁ。あんたレベル高いんだろ?俺みでぇな小物を倒したってほとんど得はねぇだろ? なぁ!」〜〜
〜〜カチンッと硬い音をさせてごつごつした地面にそれは落ちた。
ってなるはずだったのに・・・。orz
>>105 わっふるわっふる
>>114 なんだか私を登場させていただいてありがとうございます。
うれしいような恥ずかしいようなw
123 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/02(日) 23:39:43.56 ID:4InYKAnN
さて、自分も書くとしますか。
いきなり前スレからの続きです。本文中に前回のあらすじは入れません。
これまでの話が不明な場合、まとめサイトを参照いただければ幸いです。
124 :
既にその名前は使われています:2006/04/02(日) 23:41:28.92 ID:mob2GPRR
クレヨンしんちゃんの映画スレはここですね
逃げ道はない。
ドアを力任せに打ち破ろうとする音は、ますます大きくなっていく。
ドンッ、という音と共に、木っ端が飛び散った。
隙間から、青白い骨がうごめくのが見える。
「もう、ダメだよ・・・ぅ」
俺と目を合わせた幼いアルドは、もうどうしたらいいのかわからない、という顔をしていた。
小刻みに震えているのが俺にもわかる。当然だろう。
だが。
あきらめたら、死ぬ。
HPがゼロになるってことじゃない。俺とアルドという存在が、消える。
「戦うぞ」
俺は目に力をこめて、言った。
「俺と、アルドは、戦って、生き延びる。手はある」
本当は、冴えたやり方なんてありはしない。
それがどうした。
二本の剣と、二つの命。
戦力としては充分だ。
126 :
既にその名前は使われています:2006/04/03(月) 00:19:30.93 ID:vj9WI4Vb
わっふるわっふる
127 :
既にその名前は使われています:2006/04/03(月) 00:26:03.11 ID:yS6NuNka
>>76 全角トリップにも対応させてみました。
>>99 3文字以下のトリップは照合に失敗していたみたいです。
修正をしておきました。
あと、挿入モードはまだ使えない状態になっております・・・w
>>115 ◆<その殴り方は想定外
>>121 おそらく今の修正で治ってるとおもうのでご確認いただけたら嬉しいです。
わっふるわっふる
「アルド。この船はまだ、さっきと同じように動き続けている」
俺は、つとめて落ち着いた口調で語りかけた。
「なぜだ? 操舵室で、誰かが舵を取っているからだ」
こくりと彼は頷く。
「操舵室で、まだ誰かが頑張っている。誰が?」
俺はアルドを見つめ、答えを待った。
今は、壊れつつあるドアの隙間からねじ込まれる骨の腕は無視だ。
「船長さん・・・?」
「そうだ。あのクマヒゲオヤジは生きている」
「生きてる、よね」
ここに踏みとどまって戦ってもジリ貧になる。そこで作戦だ、と俺は告げた。
操舵室が無事ということは、その場所と船長を、骸骨たちから守っている人間がいるはず。
俺たちも操舵室まで行って、彼らと合流し、共闘する。
そこまで行くためには、おしよせる骸骨の群れを突破するしかない。
あいにく俺は人間で、前方しか見えない。数で押し囲まれれば、終わる。
そこで二人が背中合わせになって進み、死角から襲い掛かる敵の動きを逐一、俺に知らせてもらう。
「頼んだぞ、相棒」
「う、うん」
>>127 編集可能になりました。ありがとうございます(喜)
>>127 全角トリップ使えました。ありがとうございます。
ちょこっと書いた分を追加投下…
(17)
麦のやり取りが始まってから3時間ほど経っただろうか。俺はまだドラギーユ城にいた。
「災難だったわね、事情は大体わかりました」
ゴトッと音を立てて、目の前にバタリア茶が置かれた。
「宰相は新しい素材の鎧に続いて、何か情報がほしかったのだと思うわ。
鉄片ひとつであれだけの実績を上げたのだもの」
目の前にいる隻眼の女将軍は、ゆったりとした手つきでバタリア茶を飲み始めた。
俺と宰相の熱く無益なやり取りを納めたのは、このクリルラだった。
「宰相、国王様がお呼びです」
「む、もうそんな時間か…」
宰相は元々忙しい中だったようで、俺に後日また訪ねてくるように言うと部屋を後にした。
クリルラはひとまず事情を聞かせて欲しいと俺を神殿騎士団の詰め所に招いた。
正直、同じ話を最初からしただけだったが、この将軍は宰相とは違う見解を持っているようだった。
「あなたの世界の技術は、今の4国で成り立っている均衡状態を揺るがしかねないのよ」
「そうでしょうか」
「そうよ。現に新技術で作られた鎧はバストゥーク製の銃弾ですら貫通しないものになった」
(18)
「宰相が躍起になるのも理解できるの」
眼鏡を曇らせながらバタリア茶を飲む俺を見てクスリと笑った後、さらに続けた。
「バストゥークもウィンダスもそれぞれ新しい兵器を開発したと聞いているわ」
「それなら、均衡に問題はないのでは?」
「それは今後次第かしら」
三者三様の兵器の性能をお互いに理解した段階からパワーバランスを伺うことになる、ということだろうか。
「ひとまず、ここ1〜2ヶ月でどうということはないわ。半年も経つとどうなるかわからないけれど…」
どうやら、新兵器の件は思ったよりも深刻に受け止められているようだ。
「ところで、あなたはこの先どうするつもり?」
「元の世界に戻る方法を探します」
即答した。考える余地もない。
「そう、それならその方法を探して各地を回るということになるのかしら」
「必要があればそうします」
ただ、今のところは手がかりはおろかどうやってこの先食いつなぐかを考えなければならない、と続けた。
ギルが無いわけではないが、それでも何かの糧が必要だろう。
(19)
「この世界についてある程度知る必要があるでしょう?しばらく軍で見習いでもしてみない?」
意外な申し出だった。給金も出すと言う。
クリルラの真意は測りかねるが、こちらの世界になれるという意味では願ってもないことだ。
訝しげな表情をしていると、クリルラがさらに続けた。
「正直に言えば、このまま帰してしまってあなたがどこかに行ったりしてしまうと、私たちが追わなければならなくなるの」
そういえば、宰相から後日顔を出すように言われていた。口頭であったが、あれはいわゆる出頭命令なのだ。
「…わかりました。ただし、手がかりを探す活動については認めていただけますか?」
「構いません。ただ申し訳ないけれども、私の部下を監視として常にあなたに帯同させます」
話が違うじゃないか、という目でクリルラを睨み付ける。
「監視というのは名目よ。あなた、この国のことやこの世界のことを何も知らないんでしょう?案内をさせるだけよ」
どっちが名目だかわかりゃしないが、そう言われてしまうと返す言葉もない。
「…わかりました。でも、俺は自分のモグハウスから城に通わせてもらいますよ?どうせ近いですし」
「その方が都合がいいわ。男性の兵舎に私の部下を一人で送り込むわけにも行かないもの」
あぁ、なるほどね。…………ん?
(20)
「あの、もしかして部下の方って…女性?」
いや、そうじゃない。気にするところはまだある。
「兵舎に送り込むわけには行かないって、もしかして1日中監視がつくということですか?」
「両方とも正解よ。今連れてくるからちょっと待っててくれるかしら」
とんでもない展開になってきた…
また眼鏡を曇らせながらバタリア茶に口をつける。
程なくしてクリルラに連れられてきたのは、うなじの辺りで銀髪を切りそろえ、
前髪を上でまとめたエルヴァーンの女性だった。
「紹介するわ、ルーファス。この娘はエルリッド」
「始めまして、よろしくお願いしますね」
「あ、いや、そんな…こちらこそよろしくお願いします」
「エルリッド、ルーファスにこの国のことを色々教えてあげて頂戴」
「はい、かしこまりました」
笑顔で返事をするエルリッド。
細かい指示を出しているクリルラと、それに一々うなずいているエルリッドを見て俺は心の中で同じ言葉を何度か繰り返していた。
これなんてエロゲ?
ついに、ドアが破壊された。骸骨たちが踏み込んでくる。
はっきり言って、ムチャクチャな作戦だ。
では、ただ悲観にくれて、怯える少年ともども殴り殺されるのを待つのか?
否。断じて、否。
俺は腰の剣を抜いた。今だけは、右手にかかるこの重量感を頼もしく思う。
アルドも、自分のオニオンソードをぎゅっと握り締めた。
必ず、護る・・・!
烈魄の気合を入れた俺の、口が勝手に動いた。またマクロ暴発!?
“変身”
俺の周囲で、光の文字が旋回した。
体をまばゆい輝きが包み込み、白い粒子が集まり形を成していく。
一瞬のきらめきの後、俺は純白の騎士鎧をまとっていた。
左腕には、特徴的なデザインの盾が現れる。
俺の脳裏に、この世界で得た初めての友から送られた言葉が響いた。
同じセリフを、少年を振り返り、言う。
「“人間には、運命を変える力がある”。行くぞ!」
今夜はこれにて。おやすみなさい。
赤い水…血!?自分の血か!?
驚きながらも頭を手でくまなく触り、目の前に手をもってくる。血はついていない。…自分の出血じゃ無いのか。
じゃぁいいやw と言うわけにもいかず、水をよく確認してみる。紅くはあるが、血の匂いなどの異臭は無い。
水をすくってみる。…透明だ。色の原因は何だ…?折角サッパリとした頭がまた混乱してきた……。
……何かわからない場合はどうすれば良いか。…自分で調べるか、解りそうな人に聞けば良い。
包帯がはみ出ている寝ワラ…リンゴはしっかり無くなっている。時折モゾモゾと動いている。
「モーグリ。ちょっと教えて欲しい事がある。起きてくれ。」
寝ワラに手を突っ込んでまさぐり、触覚…のようなモノを探り当てた。そのまま引き上げる。
寝ぼけて「ふプォ〜ソコはダメくぽぉ〜…」などと言っているがそんな事は知らない。興味無い。頬をつねる。
「グプッ痛いイタイぃたいクポーーー!」 起きた。
「寝てた所すまないがモーグリ、水場の水が赤いんだがアレはなんなんだ?」
そう言い家具を…もとい水場がある方を指差す。モーグリがフラフラと飛んでいく。
「なんだ…ご主人…こんな事のためにモグの愛しのモロアちゃんとの楽しいひと時を邪魔したクポ?」
夢で思い人とイチャつくのが楽しいのが解らないが、今はどうでも良い。水場の異変が知りたいのだ。
「モロアちゃんは知らないが、モグが言うその「こんな事」を早く私に説明してくれ。」
「水の色は変わってなんかいないクポ。窓から入る月の光を反射してるだけクポ。」
「………え?」
「だから、窓から入る月の光を反射してるだけクポ。今は火曜日だから赤なのであるクポ。」
その解答は想定外……そりゃ曜日に合わせて月の色変わるけどさ…窓から入った光… orz
「ご主人が聞きたいのはソレだけクポ?モグはモロアちゃんとの夢の続きを早く見たいクポ。」
「あぁ…ありがとう…良くわかったよ、御苦労様…睡眠の邪魔して悪かったね…。」
空中でぺこりとお辞儀をして、フラフラと寝ワラに戻っていくモーグリ。
水の色で驚いて忘れてたが、あの夢はなんだったんだろう…。
リアルでいつも通りの朝を迎えて…ログインして…キャラ選択画面からおかしくなっていた。
いつも通り…おかしく…朝…ログイン…リアル…キャラ……
――――グッ!?
頭が…痛い!ビキビキとヒビが入るような痛みと、浸み込むような痛みが頭を襲う。
ベッドに倒れこみ、あまりの痛みに頭を抱えてのた打ち回る。
何かが思い出せそうなのに…!何か判るかもしれないのに…!
「クソッ頭ガ痛ェ!!」
!? 自分の声とは違う、明らかにドス黒い低い声が自分の口から出た。
自分は誰だだれだダレダダレダダレダ自分じぶんジブンジブンジブン私ワタシわたし俺オレオレ
自分の思考の中に、自分とは違うナニカが"居る"!
「居ルダァ?異物ナノハ貴様ノ方ジャナイノカ?」
自分の口から勝手に言葉が出てくる。
(なんだお前は、お前は誰だんだ!なぜ私の中に居る!)
「俺ハ俺ダ。貴様コソ誰ダ。コノ躯ハ最初カラ俺ノモノダ。貴様ハ俺ノ躯ヲ乗ッ取ッテ何ヲスルツモリダ?」
(私は……)
この体は最初から俺のもの?…じゃぁ私は誰だ…私の体はどこだ…私は何をしようとしている?
「貴様ハ貴様共ガ"リアル"ト呼ブ所カラ来タ。ドウ来タカ、誰カハ知ラン。目的ハ何ダ。」
考えてる事が読まれてる…?
「貴様ノ思考ハ俺ノ思考。貴様ハ俺ノ思考ガ解ラナイ様ダガ、俺ハ貴様ノ考エガ判ル。」
(じゃぁ閉じて考えても無駄か…私は自分が誰かわからない。別の世界から来たのは解っている。)
(何をするかは、元の世界へ帰る手段を探す…しか無いんじゃないかな…。)
「…好キニシロ。俺ノ躯ヲ今動カセルノハ貴様ダケダ。俺ガ使エル器官ハ発声器官ダケダ。」
(すまない……ところで、本来の状態でもいつもカタコトなのか?)
「違ェヨヴォケガ。貴様ガ躯ノ中枢ヲ乗ッ取ッテルカラ上手ク喋レナイダケダッツノ。」
(私以外の同じ境遇の人も、私らみたいに二重人格状態なのか?)
「ンナ事知ルワケ無ェダロウガ。俺ハ女神サマジャ無ェカラ知ランワ。可能性ハゼロジャ無ェケドナ。」
私は…もとい私(プレイヤー)と私(ヴァナのキャラ)は、お互いが1つの体に存在する状態になってしまった…。
以上です。
最近取り込まれる仲間が増えて、ンバ大変嬉しいでス。
皆に接触するときまでマトモなサンのままなのか心配になって来ましたw
ソレを書くのは私ですが、頭に浮かぶ通りにただ書いてるようなもんなので…
深夜(某フライパンでモグ殴った人が訓練出発する日の午前)にこんな独り言言うアブナイ猫になっちゃいましたw
まとめサイト【どこですか?】【知らないんです。】
教えてエロイ人〜
>>142 _| ̄|○・・・
すまん、ありがとう。ちょっと吊ってくる。テラハズカシス
>>136 お疲れさまです
すごいドキドキする展開ですね〜
145 :
既にその名前は使われています:2006/04/03(月) 12:44:37.10 ID:vWxyByUW
ほす
146 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 13:55:44.96 ID:LYpKKDzK
ウィンダス及びカザム競売取引場 冒険者専用取引申し込み書
紙の一番上にはそう印刷されていた。
続けて希望取引内容【落札】【出品】のどちらかを○で囲み
落札、出品したいアイテムを記入、最後には金額を書くらしい欄があった。
俺は困った。食い物の名前なんていちいち覚えちゃいない。他のプレイヤーも似たり寄ったりだろう。
(どうすればいいだろ…)ふと競売の横の看板に目をやった。「…おお」
現在出品を許可されている品物全種類一覧表がそこにあった。
それぞれのアイテムの横には数字が書かれている。どうやら現在出品されている数らしい。
その看板の下には小さな紙が束になって吊ってあった。手にとってみる。
「品物取引金額照会依頼書」とありアイテム記入欄があった。
何もかもゲームと違う。ボタンひとつでこれをやっていたのか、俺は?
他のプレイヤーをそっと伺う。…驚いた。
紙を受け取ったと思ったらすぐに窓口に渡している。
そしてあっという間に金を渡し下からアイテムを受け取っているのだ。
別のプレイヤーは慣れた感じで看板の下の紙を取り、すぐに窓口に渡している。
どうやら何かを見ている。そしてすぐに金を渡しアイテムを受け取っていた。
現実離れしすぎている。ちゃんと書いてるのか?
…書いてるらしい。だから競売は異常に円滑に動いていた。
(やってみるしかないな…)俺は申し込み書に記入しだした。
147 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 13:58:18.91 ID:LYpKKDzK
「よし」
買う食料はグリーンキッシュとウィンダス風タコスをそれぞれ1D。値段も手ごろで日持ちもするだろう。
モグ金庫にはパイなどはある。が、スィーツを飯にするのは幾らなんでも、だろ?
(マリー・アントワネットも酷な事を言ったもんだ。)俺は一人ごちた。
窓口に紙を渡し金を置く。すぐに下から出てくると思った。が、
(…あれ?)数秒経っても出てこない。なんだか格子の裏から少し戸惑う空気が流れた。
やがて紙に包まれたグリーンキッシュとウィンダス風タコスが下から出てくる。
間違ってたらどうしようと思ったが安心した。
(ウィンダスティーも買おうかな)また記入した紙を渡しウィンダスティーを受け取る。
(1ℓ程はあるけど、現実よりも高いな…)もう買わないでおこう、そう思ったそのとき
「やぁ、バレさん。久しぶり!!」いきなり野太い声が響いた。「うおおっ!!」
……怖る怖る後ろを振り向く。俺は身を凍らせた。俺を包むほどの影を落とすほどのでかい怪…じゃない、
ガルカが俺の後ろにズゥン…と立っていた。
148 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 13:59:09.60 ID:LYpKKDzK
影で表情はわからない。それがますます俺の恐怖を増大させた。声も出せない俺に向かってガルカは首を傾げた。
「バレさん?」我に返った俺は慌てて答えた。「あ、ああ、ひ久しぶり!!」どもる俺。
「久しぶり〜 この頃LS付けてなかったから 仕事?」
「う、うん。ちょっとね…。」LSメンバーの誰かだ。誰だろう?確かLSには三人いたはず…。悩む俺に
「そうなんだ」とガルカ。
…ちくしょう、さっさと返ればよかった…飲み物なんて水場があるじゃないか。
わざわざ買わなくてもよかったのに!!俺の馬鹿野郎!!
…とりあえず早く、早く話を切り上げなければならない。手遅れになる前に。別れを言おうとしたそのとき、
「そういえばアスピル欲しがっていたよね 今から一緒に答案取りに行こうか?」
無理だ、今こんな状況なのに!!「い、いや、すぐに落ち…じゃなくて他に用事が、あ、あるから。」
俺は言い換えた。落ちるなんて言ってみろ、何時までも経っても落ちない俺にtellが来る可能性がある。
「…。」ガルカは黙ってる。まずい、非常にまずい。画面の前で訝し気にしてるに違いない。
この会話はログにはどう表示されているんだろう。そう考えると頭がグルグルしてくる。
は、早くモグハウスに帰ろう。「い、急いでるから。じ、じゃ…」と離れようとしたそのとき、何かにつまづいた。
あ、というまにズザァッ!!と顔から地に倒れた。額がズキィと痛んだ。摺ったらしい。
そんなこと気にしてる場合じゃない早く立ち上がらなきゃ、そう思い手を地面を付け
149 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 13:59:55.95 ID:LYpKKDzK
「!!」 体が固まった。痛みで固まったんじゃない。ゆっくり後ろを振り返った。
…あの目だ…。倒れた俺をじっとりと見るあの目。俺をじっと見るあの視線。
すぐに立ち上がった。俺は逃げ出した。早くあの視線から逃げ出すため、走った。
やがて視線外にまで離れたらしい。視線を感じなくなった。それでも走るのを止められなかった。
何もかもから逃げ出したかった。いつの間にか俺は泣いていた。涙が目じりに流れる。
怖い。何もかもがだ。親しく話していたはずのLSメンバーも怖かった。周りのプレイヤーも怖かった。
sayが嫌われる風潮にある現在の静かすぎる街も怖かった。音楽が流れていたはずの街もゾッとするほど静かで怖かった。
そしてそれ以上に怖かったのは、もう誰とも話せない。そのことだった。
ゲームをして一番楽しかったのは色んなプレイヤーと話していることだった。PTや、LS、tellなどで。
それが全部無くなった。俺にはもう
…何にも無い。
150 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 14:00:56.54 ID:LYpKKDzK
〜モグハウス〜
…息が苦しい。ゲームではどこまでも走れたのに。
自分のモグハウスの扉を開け中に入る。「あ、おかえりクポ〜、ご主…」
目を上げるとモーグリがベッドから降り駆け寄ってくる。「ど、どうしたクポ!?ご主人!!そんなになって!!」
…熱いものが胸にこみ上げてくる。…あった…。俺に話しかけてくれる。たったひとりの俺に。
俺はその場で崩れ顔をうつむいて声を上げて泣いた。何時以来だろう、こんな大声で泣いたの。
「ご主人…」モーグリが何かを差し出してる。顔を上げると木綿布だった。
思わずモーグリを抱きしめた。モーグリは暴れることなく俺を受け入れてくれた。
モーグリの毛が俺の頬を優しく撫でる。さっきより大きく俺は泣き声をあげた。
「大丈夫…クポ?」モーグリがウィンダスティーを差し出してくれる。
それを受け取る。「ああ…、落ちついたから…もう大丈夫。」
一気に飲み干す。体が痺れるように広がった感じがした。
モーグリのほうに顔を向ける。「なぁ、モーグリ…」
「何クポ?ご主人。」モーグリが答える。言葉のリレー、こんなに素晴らしいって気付かなかったな。
「…話をしよう。」「はいクポッ!」
それから俺たちは話し合った。いくつもの夜を超えて。
千夜一夜物語のシャフリヤール王はこんな気持ちだったんだろうか。なんか違うかな。
151 :
三回目中途半端っす 898:2006/04/03(月) 14:02:46.20 ID:LYpKKDzK
名前書く直後に決めました。
バレてww
さぁ頑張れ、俺!!w
152 :
既にその名前は使われています:2006/04/03(月) 14:46:08.50 ID:vWxyByUW
>>150 ちょwwおまwwwその木綿布モグのあれをふいた奴・・・
153 :
898:2006/04/03(月) 15:35:57.12 ID:LYpKKDzK
>>152 そんなキミは
>>1の保管庫をよく見てくれるとうれしい。
釣りでなければ
計算では後一枚残ってるはずなんだけどな、木綿布
154 :
既にその名前は使われています:2006/04/03(月) 15:40:42.31 ID:vWxyByUW
読み直してみたら行李の中に残ってたのねorz
155 :
898:2006/04/03(月) 21:07:22.71 ID:LYpKKDzK
^^b < GJ!!
朝おきたら自キャラになってたの58%はカルシウムで出来ています。
朝おきたら自キャラになってたの25%は乙女心で出来ています。
朝おきたら自キャラになってたの10%は白インクで出来ています。
朝おきたら自キャラになってたの4%は努力で出来ています。
朝おきたら自キャラになってたの2%は欲望で出来ています。
朝おきたら自キャラになってたの1%は愛で出来ています。
実際はカルシウムなワナ((((;゚Д゚)))
全身を覆う白銀の鎧は大型で、鎖帷子の上のサーコートには豪奢な刺繍が施されている。
鎧を着ているのもかかわらず、平服を着ていたときと同様に動きの負担にならない。
むしろ己の能力を引き上げるかのように、俺の体には力がみなぎっていた。
強い意志をもって、一歩を踏み出す。アルドが続く。
骸骨たちがひるんだ。
「むっ!」
ぐっ、と踏み込んで左下段から切り上げた。
普通ならば両手剣として扱われるような重く長い剣を、右腕の力だけで振り続けるには無理がある。
強烈な慣性を体全体を使ってコントロールする。それを可能にする膂力は伊達じゃない。
狙うは腰骨、もしくは脊椎。
各部を砕いたところで、完全に粉砕するまでは機械のように動き続けるだろう。
ならば、上半身と下半身をつなぐ“要”を破壊するのが手っ取り早い。
狙いどおり、正面の骸骨は上下に分割されて、崩れ落ちた。
ガシャガシャと半身のまま床でもがくが、もう意味をなさない。
機械的に左側から振り下ろされた棍棒を、盾でいなす。
右斜め前に踏み込んで、更に別の骸骨を砕く。
前へ、ひたすら前へ。
俺たちは進軍した。
まずは、船倉に侵入してきた三体を破壊できた。
これからが本番だ。
俺はアルドにプロテスIVとシェルIIIをかけた。自分に使える最大限の防護の魔法だ。
すぐに効果が切れるだろうが、その前に船長と合流する。背水の陣の意味もあった。
俺たちは、次々に襲いくる骸骨を薙ぎ倒しながら甲板へ向かった。
「右!」 背後でアルドが声を上げる。「左後ろ!」
俺はアルドをかばいつつ、その声に従って剣を振り下ろす。
アルドは後ろを向いているが、彼から見ての左右ではなく、二人の進行方向にとっての左右を告げる。
賢い子だ。土壇場の度胸もある。
今の俺たちに死角はなかった。
よく見れば骸骨たちは、機械的に腕を振り下ろしているだけだ。
剣で受け流し、盾でいなし、鎧の厚い部分にこちらから当てて勢いを殺す。
実際、映画の殺陣のようにはいかない。俺のは華麗さとは程遠い剣さばきだった。
目にもとまらぬ速さでもないし、手数も多くはない。だが力強く確実に相手を打ち砕いた。
それにしても、いかんせん数が多い。
猛攻を防ぎきれず、あちこち殴られた。唇も切れた。鼻血も出てる感触がある。
それでも、アルドだけは怪我を負わせることなく護りきった。
予想通り、操舵室には船長と、骸骨たちを防いでいた船乗りたちが生き残っていた。
一人だけ、釣り人の格好のまま両手に武器を持った冒険者らしき者もいる。
操舵室から、機船の横で並走するおどろおどろしい雰囲気の海賊船が見えた。
「この大馬鹿野郎ッ」 船長の大声が轟いた。「何しに来やがった!」
「借りを返しにきた」
「鼻血ブーが言うセリフか!」
舵輪を握りながら、なぜか嬉しそうなクマヒゲオヤジ。
拭うヒマがなかったおかげで、手で触ると赤いものがこびりついていた。
やっぱり鼻血、出てんだ・・・。俺かっこわりぃ・・・。
「やつら海賊だ。荷物だけじゃなく、皆殺しにしてから死体も持って行っちまう外道だ」
遺体をどうするのか、想像はつく。
「逃げ切れるのか?」
「あのな」
クマヒゲオヤジがにやりと笑い、スロットルレバーを握り締める。
「はばかりながらこのボロ船は、世界一速えぇポンコツだッ。振り切ってみせらァ!」
ぐぐぐん、と機船の速度が上がった。
・・・ファルコン号?
今夜はココまでです。
ヘタレとかえっちぃのとかの方が、筆が進む気がする(ぇ
毎度毎度、乙です!
無理矢理にえちぃ方向に持っていく事は無いと思います。
ついでにトリップテスト
163 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/04(火) 00:56:11.20 ID:b/vxF5ge
(21)
ドラギーユ城を出るころには、すっかり日が暮れていた。
俺のモグハウスに泊り込むことになったエルリッドは隣を歩いている。
並んでみると、俺よりも少し低いだけでエルヴァーンとしてもかなり大柄な方だろう。
いや、大柄に見える原因は別にあるのかもしれない。
「なぁ、エルリッド」
「何ですか?」
笑顔だ、文句の付けようのないくらい笑顔。
「その、なんというか…重くないか?ソレ」
彼女の肩に乗っている、ブロンズベッドを指してそう言った。
彼女は右肩にブロンズベッドを担ぎ、左の小脇に小さなテーブルとかばんを持っている。
「大丈夫ですよ〜、毎日鍛えてますから」
「いや、なんというか視覚的にさ…重くなくてもかさ張るでしょ?持つよ?」
「あは♪ルーファスさん優しいんですねぇ」
違う、多分そういう問題じゃないんだよ…
どこの世界に人んちに止まるからってベッド持ってくる奴がいるんだよ…
(22)
「それよりも、さっきハルヴァー様から美味しそうなロランベリーワインを頂いてきたので、一緒に飲みましょう!」
「宰相様が?」
「えぇ、用意しているときにいらして、これを持って行けって」
胡散臭すぎる。却下だ。
「あぁ、俺は今日は疲れてるからエルリッドが飲んじゃいなよ」
「えぇ〜!駄目ですよ!一人でお酒を飲む女なんて寂しすぎます!」
なんか苦手だ、この娘…
「一応少しは付き合うし、モグもいるからさ」
「それじゃ一杯目は付き合ってくださいね♪」
「あぁ、わかった。おつまみは買っていかなくていいのかな?」
「それも持ってきてますよ、干し肉とサンドリアグレープです」
なんで飲む気満々なんだろう、この娘は…
そうこうしている間にモグハウスの入り口に着いていた。
(23)
「ただいまー」
「ごしゅじーーーーーーん!」
扉を開けると同時にモーグリが飛びついてきた。
「朝から出て行ったきりこんな時間まで戻らないから、モグとっても心配したクポよぉ〜!」
そういや、西ロンフォールに向かって出て行ったのは日も昇りきった頃で、
城に着いたのが日も傾き始めた頃だった。今はすっかり暗くなっている。
「心配かけたな、とりあえず大丈夫だよ」
笑ってみようとしたが、苦笑いになったような気がする。
「おじゃましまーす」
エルリッドが大荷物を持って入ってくる。
「ご、ご主人、この方は…?」
ブロンズベッドとテーブルをもったエルリッドをみたモーグリが固まっている。
そりゃそうだ、俺でもきっとそうなる。
「しばらくの間、俺の監視兼案内役でここに住み込むことになったエルリッドだ」
「モーグリさん、よろしくね♪」
(24)
モーグリはしばし固まった後、部屋の隅へ移動して俺に手招きをした。
「何か問題あるかい?」
「いや、ご主人。これは重大な問題クポ」
なんだろう、ここは独り者専用とか決まりごとでもあるんだろうか。
「二人が、その…○○○とかし始めたら、モグはどk」
ドカッ
「どうしたんですか?二人で内緒話なんかして」
「なんでもないよ。今タンス片付けてベッド置けるスペース作るから待ってて」
何事もなかったようにタンスを寄せ始める。
しまってあったタルタル屏風も出して、どうにか共生するのに差し支えない空間にした。
テーブルの上には宰相様からもらってきたというロランベリーワインがすでに乗せられていた。
「コップありますかー?」
「あぁ、多分…」
気を失っていたモーグリを起こし、コップを3つ出させた。
皆さん投下お疲れ様です。
私も今日はこれで投下終了です。
長い割りに話が進んでないのが一番の気がかりですが…
169 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/04(火) 02:51:27.94 ID:moSeMYiM
トリップテスト
上手くいけますかな…
おおできた。よし。
少し書くの自粛。
まとめサイトさんが大変だ…。
171 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/04(火) 07:56:03.67 ID:PsKnOWvL
「戦争が・・・ない。だと?」クゥダフの元技術将校が訝しげに僕を見た。
「戦争がない。困る。殺す。楽しみない。奪えない。女犯せない」
そう叫ぶオークの戦士・・・オークってそんな奴ばかりか!
僕が引いてるのに気がついた彼は真顔で僕に言う。
「いいオークの騎士。女子供爺婆殺さない。犯すが」犯すな!
「いいオークの騎士。貧乏人から奪わない。殺して遊ぶが」殺すな!
というかこいつ騎士だったのか。・・・トカゲをつれているのは乗用かぁ。
「これ、俺のトカゲ。乗って早い。食って美味い」騎士が乗馬(?)食うな!
「・・・貴様。『別の世界から来た』とのたまう冒険者の一人だな」
ヤグードの音楽家が僕に言う。どきっ。
「・・・『あのお方』からそういう人間の存在を言われたことがある」
・・・あのお方・・・は雇い主じゃなくて多分ヤグード族の現人神か神官だな。
「お前の歌、この世界の人間の魂が作ったものではない」
・・・ばれてるか。獣人はカンが鋭い。
ゴブリンが頷(うなず)く。
「お前の身体この世界の。お前の魂。別の世界の。匂いでわかる」
・・・魂って匂いあるの・・・か??
連投参ります。
その前に、キャラプロフィールなんかを・・・。
初出: 2スレ目83(74で初だけど、本文開始予告したのが83なので、こっちを)
PC(仮)名:Rain(出てきてないけど、一応) /中の人: 83 ◆W0QmuTI9lM
種族フェイス:ミスラF6A
ジョブ&Lv:モンクLV12、サポなし
特記事項:メイン鯖ではなく、知り合いと遊ぶのに作った別鯖の倉庫。
よって、装備や所持金も・・・orz~
情景描写多め。あとはシステム周りを脳内でw
活動エリア: 現在ウィンダスのみ。内容次第で何処に行くか・・・
あらすじ:
>>84-92 他キャラとの接触:現在なっしんぐ( ゚∀゚)
零れ出た涙を指先で拭う。今は・・・感傷に浸ってる余裕は無い筈だ。
決意を新たに、前を見据え歩き出す・・・
とすん
尻に軽い衝撃。と同時に、後ろでふきゃっという悲鳴。
何事かと振り向くと、そこにはチュニックを着たタルタルが転がっている。
「あいたたぁ・・・もう、出口でボーっとしてないでよぅ!」
鼻先を押さえながら怒られる。ぶつかってきたのはそっちなのだが・・・。
口論しても仕方が無い。倒れたタルタルに手を差し伸べる。
『ごめん、大丈夫?』
手を掴み、タルタルがむっくり起き上がる。
服についた土をぽすぽすと叩き、クリクリした瞳でこちらを見上げる。
(タルタル、ちっちぇ・・・)
そんな感想を抱く。実際、本当に子供にしか見えない。
「ありがと。急いでるから、またね!」
笑顔でそう言うと、跳ねるように横をすり抜けて走って行った。
あの方角には確か、競売所があった筈だとと思い立ち、自分もそちらへ歩き出す。
広場の先は、両脇が少し高くなった通路。見たことも無い木が乱立している。
通路をそのまま進むと、簡単な木で組まれた布製のゲート。
ゲートを抜けると、目の前に広がる木製の橋と池。
橋の上では、思い思いに釣り糸を垂らす他の冒険者の姿が見て取れる。
少し広くなった橋の上に立ち、池を覗き込んでみる。
透明感のある水。水面下では掘ブナやピピラだろうか、魚影が見えた。
釣りをするにも竿は無い。何をするにも、まずは日用品を手に入れないと。
橋の途中で、視線の先に灰色の建物が見えてきた。記憶通りなら、あれが競売所だろう。
橋を抜けた少し開けた場所。左手の方向に、星の大樹が見える。
『でけーな・・・おぃ』
思わず一人呟く。天まで届くように思える大樹・・・現実にはありえないスケールだ。
競売所まで歩みを進める。パチンコ屋の景品交換所のような小窓がある。
ここがカウンターになるのだろうか。小さな机状の出っ張りと、左右の壁にはいくつもの紙。
何の気なしに、その一枚を手に取る。大きな文字で武器と、その下に落札・売却と書かれている。
さらにその下には、何かを書く為か、下線が引いてあった。大きな文字は、大まかなカテゴリーだろう。
周りを確認すると、丁度やってきた冒険者が壁の紙を手に取り、何かを書き込んで小窓に差し出していた。
自分も試しに、カウンターに置かれた羽ペンで、落札の部分に丸をつける。
下線部分に、短剣と書き込み、小窓に差し出してみる。
小さな手・・・多分タルタルだろう。紙が小窓の奥に引っ込み、少しあって先程とは違う紙が二枚差し出された。
大きな紙を手にとって確認する。ずらーっと、武器の名前が書かれている。
いくつかの名前の横には1や3などの数字。多分、これは在庫数だろう。
小さな紙のほうには、下線の隅にGと書かれているだけ。こちらは希望落札額を書き込む為の物なのかな。
在庫のあったオニオンダガーの頭に丸をつけ、再度小窓に差し出す。
今度は差し出した紙と、新しい紙。新しい紙には、大きな字でオニオンダガーと書かれている。
その下にずらずらと、日付と出品者の名前、その横に落札者の名前。更にその横に落札額。
ゲームでは気付かなかったが、実際はこのようなシステムになっていたらしい。
パソコンなんて無い世界だ。このようなやり取りが普通なのだろう。
武器の名前が列挙されていた紙を手に取ると、オニオンダガー横の数字が、1つ少なくなっていた。
誰かが落札したのだろうか。見た感じは先程のと同じ紙だ。
物は試しと落札額用紙に、最終落札額と同額の300と書き込む。
三枚の紙を差し出す。武器名が列挙された紙と履歴用紙には、隅に少し折り目をつけておいた。
紙が小窓の奥に引っ込む。少しして、窓の奥から「ギルも」、と声が聞こえた。
落札するにはギルを支払う必要がある。考えてみれば当然の話だ。
ギルの入っているポーチから、100と描かれた青銅貨を数枚取り出す。
ギルに関する話は、モグから聞いておいた。あまりリアルと差は無いらしい。
1・10・100の貨幣が青銅に刻印。
1000の銀貨に10000の金貨、プラチナ貨は100万らしいが、そんな物は生憎持っていなかった。
合成に使えると思ったが、モグの話では、合成には使用できない魔力が込められているらしい。
その魔力が込められていないと、偽造と判断され監獄送りになるそうだ。
300ギルを小窓に差し出す。ギルを掴み、手が奥に消える。
少しの間を置いて、奥から「落札を確認しました」との声。
・・・暫く待つが、ダガーは出てこない。落札したアイテムは何処だ、コラ。
小窓奥の職員に聞くのも気恥ずかしい。アイテムの入った背負いのサックを見てみる。
ハウスで確認した時には無かったはずの、鞘に収まった短剣が一つ。
・・・魔力か何かで転送したのだろうと、一人納得しておく。ビバ、ファンタジー。
同じような手順を踏み、先程落札したオニオンダガーの履歴用紙を受け取る。
最終落札の欄に、見たことのない名前と、見慣れた自分の名前。そして落札額。
自分がつけた折り目もそのまま。どうやら、魔力の働きで自動的に更新されるようだ。
落札したダガーにも、装備できないジョブやLVでは持てないような魔力が施されているらしい。
手に持つ事は出来たが、鞘から抜き放つ事はできなかった。
一連の出来事を納得したところで、生活に必要な物を買う作業へ移る。
(まずは食べ物・・・と、床で寝るのも辛いし、ブロンズベッドも買わないと・・・)
キャラを動かす為だけだった今までなら、これほどの買い物はしないだろう。
だが、いつまでこの状況で過ごさねばならないのかわからない以上、一応の準備はしておく。
(こんなもんかな)
一通りの買い物は済んだ。あとは、試しに買ったダガーを売却しなくては。使えないし。
今度は売却に丸をつけ、小窓に差し出す。すぐに売却用の用紙が差し出された。
紙を持つと、自分の名前が浮き上がる。その下には書き込む為の線が七箇所。
これも魔力で管理されているのだろう。一番上の線に、オニオンダガーと売却額を書き込む。
用紙を小窓に置くと、見慣れた手がそれらを取り、また奥に消えていった。
ややあって、奥から「手数料は4ギルです」との声。言われた通り、4ギルを置く。
ギルが小窓の奥に消えると、「出品を承りました。商品保持期間は9週間です」と聞こえた。
背負いのサックを見てみる。案の定、ダガーが一つ無くなっていた。
(・・・ボタンちょいちょい押してるだけの今までとは大違いだ・・・)
買い物も済んだ事だし、来た道を戻りモグハウスへ走る。
「おかえりクポ〜」
ドアを開けると、ぱたたと羽ばたいてモグが寄って来る。
『ただいま。ちょっと、手伝ってくれるかな?』
背負っていたサックを置き、競売で落札したアイテムを床にぶちまける。
かなりの量があるが、不思議と重みは感じなかった。
(・・・ブロンズベッドも入ってたんだけどな)
某ネコ型ロボットの、不思議ポケットと同様なのだろうと、一人納得しておく。
まずはベッドを部屋に置く。完成品がそのまま入っているのかと思っていたが、そうではなかった。
いくつかの青銅製の骨組みと、その上に置く板。それと簡単な布団一式。
モグに手伝ってもらい、カカッと組み立てを終わらせる。
見た目はリアルで使ってるパイプベッドと大差ない。粗末な寝台は、きっと本当にボロいのだろう。
完成したばかりのベッドに腰掛け、他のアイテムを整理しながらサックに詰め込む。
普段冒険者が何も口にしないのかと思っていたが、サックの中に携帯食料が入っていた。
見た目はカ○リーメイトのような感じだ。味は食べていないのでわからない。
他にも小振りのナイフと、ランタンなどの道具。モグに尋ねると、冒険者に渡される支給品だそうだ。
一部の道具は、人によっては扱えないらしい。多分、白魔導士のナイフだろうと考え苦笑する。
『さて、どうしようかな・・・』
荷物の整理を終えて、そう呟く。
帰る為の手段を探さねばならないが、あまりにも情報が無さすぎる。
まずは何処か、情報が得られそうな場所に赴くのが良いのだろうか。
『ねえモグ、ウィンダスで人が集まる場所って、何処かな?』
宙でクルクルと回っていたモグに問う。気持ち悪くならないのだろうか。
ピタっと回るのをやめ、ベッドの上まで来ると、そのままポスっと着地。
「ん〜・・・この時間だと、森の区の噴水広場が人通り多いクポ。
夜なら、水の区のレストランに集まってるクポ。石の区と港区は、あまり人気ないクポ〜」
人気が無いのは知っている。そもそも、あの辺りに用事がある事のほうが少ない。
「少し前までは釣りギルド周辺の桟橋に、冒険者さんがいっぱい居たクポ。
でも少し前に何故か、殆ど居なくなっちゃって寂しいクポ・・・。」
それは寝釣りだ。
出掛けるなら、森の区に出るのが良いのだろうか。
森の区ならば競売所もあるし、現実からの冒険者に出会える可能性は高いだろう。
何人かは星の大樹に行ったり、シャントット博士に会ったりしていたようだから、石の区に行くのもアリか。
考えれば考えるほど、この世界の広さを恨みたくなる。
と、以上です。
>>168氏
自分も長い割に、全く進んでおりません(ノ∀`)
898氏と似たような競売システムを考えてたら、先にやられましたw
少し差はありますが、その辺は気にしない方向で・・・w
>>180 投下乙です。
気にしません!!
魔法でカバンに転送…。ビバ!!ファンタジーw
落札品目で紙が分かれてるみたいですな。現実っぽい。
他の作者の人の物語も楽しみです。さぁ、書き込め!!
>>180 投下乙です。
なかなか時間が進んでくれないですよねw
>>181 書き込みます(`・ω・´)
(25)
コップを置き終わったところで、突然エルリッドが声を上げた。
「あ、いけない!コルク空ける道具がないです!」
「モグ、なんかそういう道具あるかい?」
「クポ〜…さすがに用意してないクポ」
仕方がないので俺とモーグリは席を立ってタンスや道具箱をあさり始める。
ふと、視線の端でエルリッドが俺の座っていた席に置いてあるグラスに何かしているのが見えた。
いつの間にか浮ついていた気持ちが一気に冷めて行くのがわかった。
…なるほど、そういうことか。
「あ〜、ごめんなさい!かばんの中に入ってました」
それを合図に、俺とモーグリが席に戻ろうとする。
(…ご主人、今の見ていたクポ?)
(あぁ、見てた。だが何をしたかわからない以上なんとも言えないな…)
やや考えて、
(モグ、ワインを注いだら俺が注意を引くから、エルリッドと俺のグラスを取り替えろ)
(わかったクポ!)
このモーグリ、目聡いし案外信用できるんだなぁ…
ご主人冥利に尽きるってもんだ。
(26)
席に戻ると同時に、エルリッドはそれぞれのグラスになみなみとワインを注いだ。
「それじゃぁ飲みましょう!かんp」
「ちょいまち、おつまみってこれだけ?」
エルリッドのかばんを開けようと席を立つ。
予想通り、エルリッドは急いで席を立って俺の歩みを阻止しにかかった。
「ダメです!女の子のかばんを覗くなんて絶対にダメですよ!」
女の子って、お前いくつだよ…
「あぁ、そう。で、おつまみはアレだけ?」
「そうです、アレだけです」
「そう、それならいいや」
席に戻りモーグリとアイコンタクトを交わす。どうやらうまくやってくれたらしい。
「それじゃ改めてかんぱーい!!」
「かんぱーい」
「かんぱいクポー」
さて、いったい何をしたんだか…
(27)
飲み始めて15分ほどすると、明らかにエルリッドの様子がおかしくなってきた。
目が妙にトロンとして、声もなんだか上ずっている。
やはり何かしていたらしい。
「るーふぁすぅさぁん、もしかしてぇきがついてぇましぃた?」
「あぁ、俺もモーグリも見てたよ。とりあえず何をしたのか聞こうか」
「ハェルヴァーさぁまにぃいわれてぇ、おくぅすりをぉぐらすにいぃれろぉってぇ…」
「んでその後はどうしろって?」
「いぃろいろぉとききだぁしてぇこぉいってぇ…」
とんだ食わせ物だ、あの宰相。
「これを指示したのはハルヴァーなんだな?」
「ふぁぁい、そうでぇぅぅすぅ…」
「クリルラはこのことを知っているのか?」
「しらなぁいぃとぉ、おもいぃますぅ…」
「ご主人、これは…」
「自白剤だろ、多分。こういうクスリは俺の世界にもあったよ。盛られたのは初めてだけどね」
(28)
「こんなの、持ってるだけで逮捕されるクポよ…」
「相手は一国の宰相なんだ、スパイに自白させるときとかに使うこともあるんだろう」
冷静を装ったが、気がついてなけりゃ俺がこうなっていたと思うとぞっとした。
「俺がこうなっても、きっとよっぽど酒に弱いんだろうって思うだろ?」
「確かに、そうクポ…」
さて、せっかくだから色々と聞き出すことにしよう。
「エルリッド、クリルラが俺にこんな露骨に監視をつけた理由は何だ?」
「るぅーふぁすさんがぁ、じぶぅんでしぃんでしまぁわなぁいぃ、よぉうにぃってぇ…」
「どういうことだ?なんで俺が自殺なんかしなきゃならない?」
「るーふぁすぅさぁんとぉ、おなじぃようなぁひぃとはぁ、そうぃいうことぉをするぅこぉとがあるぅって…」
そうならそうと言えばいいのに…
「ご主人、これは噂で聞いたことがあるクポ」
妙に冷静にモーグリが口を開いた。
「そうなのか、まぁ気持ちはわからない訳じゃないが…」
(29)
クリルラがこの娘を俺につけた理由がわかった気がした。
この件にクリルラが絡んでいないなら、引き続き彼女は信頼できるということになる。
あとはあの宰相の件だ。
「ハルヴァーは俺の何を聞き出せって言ってたんだ?」
「るぅーふぁすぅさぁんのぉ、もぉといたぁせぇかいぃのぉことぉをきぃてぇこぉいってぇ、いわれぇまぁしたぁ」
「どういうことクポ?」
「あぁ、今日あの宰相と3時間ばかりやりあってね。俺がひたすらしらばっくれてたから業を煮やしたんだろ」
ということは、嘘だってばれてるって事か。あの熱い麦トーク3時間を返せ。
「それぃに、わたぁしもぉきょぉみがあったぁんですぅよぉ」
「おいおい…」
「でぇもぉ、わたぁしぃがきいてぇもこたえてぇぁはくれなぁいかぁなぁって…」
「だからって人に薬盛るなよ…」
(30)
その後色々と聞いてみたが、しばらくすると口から涎をたらしたまま虚ろな眼差しで上を向いてしまった。
「モグ、なんかヤバそうだ。蒸留水をダースで買ってきてくれ」
「わかったクポ!」
モグに財布を丸ごと渡すと、すぐに出て行った。
阿吽の呼吸だ。あのモグとはうまくやっていけそうな気がする。
さて、エルリッドは表情からしてもうかなり薬が回っているようだ。
とりあえず錆びたバケツを引っ張り出してきてエルリッドの口をそこに向ける。
「エルリッド、わかるかどうか知らんが今から胃の内容物を吐かせる。少し我慢しろ」
そして答えは待たずに喉の奥に指を突っ込む。
ビクンッと大きく反応したかと思うと、少し内容物が出てきた。
もう一度、今度はもう少し深く喉の奥に指を突っ込んだ。
今度は洪水のように一気に出てきた。
胃液くさい指をみて、酔っ払いの介抱なんざリアルで十分だと心底ウンザリした。
以上です。
今日の夜にはもう少し投下する予定です。
190 :
既にその名前は使われています:2006/04/04(火) 13:20:41.43 ID:PsKnOWvL
・・・唯一持っている手持ちの武器はボロボロ。
その破片で兵器開発されてしまうほど使えない状態になっている上、
(現在破片を宰相、鉱山区のガルカ、ハルヴァー所持確認)
あちこちを愛用のマウンテンバイクで駆け回っている
前スレ
>>100さんの身が危なそうだな。
191 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/04(火) 13:36:55.87 ID:PsKnOWvL
「・・・」僕と獣人達は黙りこくった。工場の異臭が鼻の感覚に戻ってきた。
オークが「お前危険。俺頭悪い。忘れた。かえれ」といったのを合図に
皆が「帰ったほうがいいな」「・・・お前ここにいると飯の具」
「飯の具はもったいないが新しい道具作るため閉じ込めるぞ」
皆が帰れ帰れというのでかえることにした。
クゥダフが一言。「送って行ってやる。鉱山区だな?」
そういうと彼はローブを身にまとい、「これでガルカに見えるだろ?」
・・・見えません。「夜道だから見えるさ」彼は平然とつぶやくと僕の手を取った。
「獣人って"手をつなぐ"習慣あるの?」「ないな。今日が初めてだ」
僕らは皆が後片付けするのを尻目に深夜の町を歩き出した。
だが。屋敷を出るとあの三人組の
紙幣(←お金らしい。人間なのにね)さんのうちの一人に見つかってしまった。
「おい。何処へ行く?」やばい。
192 :
既にその名前は使われています:2006/04/04(火) 13:37:52.11 ID:PsKnOWvL
以上で投下終わり。自分は一応ラストまでかけたらいいなとは思っております。
193 :
既にその名前は使われています:2006/04/04(火) 18:24:33.92 ID:NZ4TLGa+
カカッ
世界が一回転するような間隔と視界を埋め尽くす紫の光と闇。
一瞬の浮遊感がなくなると、ぱっと視界が開けて数秒後、両足に地面の感触がしっかりと伝わってくる。
さっきまで強烈な熱線を放射していたものと同じとは思えない程穏やかな太陽。
水気を含んでいるがしつこくはない空気。
私は手に革袋をにぎったまま自分のモグハの前に立っていた。
手に入れたのは、ヤグードが置いていった数珠と革袋にはいっていた2000ギル。
どちらも私の欲しかったものではなかった。お金なんて今の私は少し合成すれば
生活に困らない程度には手に入る。今、私に必要な物は・・・
『今の世の中では残酷すぎるほうがいいのです。』
先生の言った言葉が頭の中でこだました。そう・・・残酷さが必要だ・・・。
私はモグハウスに入ることなくテレポメアの詠唱を開始した。
ザンコクニナレ イキルタメニ
私の中の何かがこう語りかけてきたような気がした。
ふわりとテレポイントの側に着地する私。相変わらず強い死の臭いを放っている不毛の大地、
タロンギ大渓谷へと私は戻ってきた。残酷さを身に着けるために。
すでに先生も帰ったらしくテレポイントの近くにはオンゾゾなどに行くらしい
見るからにベテランそうな全身をアダマン製の甲冑に身を包んだエルヴァーンの戦士や、
ミスラの白魔道士などがチョコボ屋でチョコボを借りている以外には人はいなかった。
私は・・・今から何かの命をこの手で奪わなければならない。
痛みを感じなくなるまで。残酷になれるまで。
テレポイントの階段を降りてしばらくまっすぐ歩く。別に行くあてはない。
私はただ、何かを殺さなければならないという義務に突き動かされていた。
ふと視界に紫の羽が入ってきた。間違いない、ヤグードだ・・・。
私は必要ないとは思いつつもリレイズとストンスキンをかけてからヤグードの方へと進んだ。
ある程度近づくと茶色と黒の翼もその周辺にあることに気がついた。明らかにヤグードのものではない。
警戒しながらもう少し近づいてみると、私の目に嫌な風景が飛び込んできた。
アクババ達がヤグードの死体をついばんでいた。背中には数本の矢と、
明らかに刃物によるものと思われる鮮やかな切り傷が何個も残っていた。
そしてその右手には折れた大降りの刀・・・その腕に数珠はない。
たぶん・・・私に命乞いをしたヤグード。
私は刀を破壊することで間接的にこの人を殺してしまったのかもしれない。
いや、違う。私は刀を折ることでウィンダスの・・・人類の敵を一匹倒したんだ。
「フェダ・・・」
しわがれた声が正面から聞こえてきた。明らかに人間のものではない声。
正面の岩陰からヨロヨロと大降りの刀を持ったヤグードが現れた。
「フェダ・・・フェダ・・・。」
ヤグードはうわごとのようにフェダという単語を連呼する。こちらには気がついていないようだ。
そのヤグードの目は宝石のようにキラキラと輝いていた。ヤグードは・・・泣いていた。
その黒い瞳に突然怒りの色が灯った。
「畜生!この鳥野郎!!フェダから離れろ!!!」
叫びながらヤグードは刀をブンブン振り回す。
それが一匹のアクババの首を刎ね、血しぶきがあがる。タロンギの砂が血に染まる。
それを見たアクババ達は身の危険を感じたためか、少し離れた位置まで飛び立った。
しかし彼らの視線はフェダと呼ばれたヤグードと今首を刎ねられたアクババをじっと見つめている。
彼らを自分の腹に収めようとその目をぎらつかせて。
「おい・・・フェダ・・・お前がやられちまうなんてよ・・・。
畜生・・・畜生・・・。何で・・・何でよりによってお前なんだよぉお!」
ヤグードはフェダの側に力なくすわりこみ涙を流し始める。
涙の粒がポツリポツリと血の色をした砂へと吸い込まれていった。
以上です。
なんだか虐待する主人ってイメージがついているみたいで心外ですwwwwww
薬盛られたり、骨にモテモテだったり、見つかりかけてたり、
皆さんの続きが非常に楽しみです
皆様、投下乙です。続きが気になってしょうがないデス。
前スレの“かに本家”
>>100さんとは、一本違う船に乗ったので会わないしなぁ。
そもそもウィンにもついてないし・・・。誰かが助けてあげないとヤバいかも?w
スピードを増した機船は、徐々に海賊船を引き離しつつあった。
とはいえ、依然、状況はよろしくない。
甲板には十数体の骸骨がうろつき、操舵室の両脇にある階段を上がってくる。
海賊船では三人の魔道士らしき人影が呪文を詠唱し続け、その度に骸骨が補充されていく。
あ、骸骨がまた増えた。
「あの黒い雲の、向こう側に抜けりゃウィンダスの領海だッ」
クマヒゲオヤジが、アゴをしゃくる。
行く手を遮るかのような真っ黒な雲の隙間から、暮れかけた東の空が見えた。
「それまで、ここをもたせればいいんだな?」
俺は、まぶたをぬぐった。額から流れた血が目に入って、赤い涙のようだった。
「おい、あんた!」 反対側のドアを守る釣り人に叫んだ。「ここは任せた!」
返事はないが、無言は承諾と受け取った。
「手当てを・・・」
「いらねぇ! アルド、ここにいて死角を」
アルドが小さく頷く。いい子だ。
俺は、ドアから入ろうとした骸骨を盾で叩き飛ばし、階段の踊り場に出た。
わずかに助走をつける。
ぶん、と剣を振り上げ、その勢いを使って跳んだ。
骸骨がひしめく甲板の、ど真ん中に。
あぁ、また俺は馬鹿なことをしている。自覚はある。
自分で思ったよりも、操舵室の階段は高かった。
いくらなんでも高く跳びすぎだよ、これ。いまさら遅いが。
甲板の中心、落下地点に立つ鎌持ちの骸骨に狙いを定める。
エルヴァーンの体重と筋力、全身鎧の重さと、落下のスピード。
すべてを剣先の一点に集中して、貫く。
その勢いを全部受け止めるのに、骸骨があまりに脆すぎたのは誤算だった。
一撃粉砕してもなお勢いは止まらず、膝を曲げて着地の衝撃を和らげようとしたが、無理だった。
「ッ・・・ぐっ!」
結局、俺は足を痛めてうずくまった。
歯を食いしばって、転げまわりたいのを我慢する。
四方八方から絶え間なく打ち下ろされる、棍棒と鎌。
片膝をついたままの俺は、めった打ちにされた。
いくら頼もしい鎧を着ていても、さすがにこれはキツい。
我ながら、なんて作戦を思いついたんだ。
本当にやってしまう俺は、馬鹿の極みだ。
201 :
既にその名前は使われています:2006/04/04(火) 21:15:31.96 ID:06hWVRqv
わっふるわっふる
命の理に反する存在、いわゆるアンデッドは、生気を啜り奪おうとして人間を喰らう。
血の匂いに引かれるわけでもないだろうが、特に病や傷を負って生命力が弱った者を好んで襲う。
いちいち、ごもっともだ。
俺は鎧の中の生身がきしむ痛みに耐えながら、ずっと自分の中で響くウンチク声に応えた。
だから、こうして俺は・・・。
「ッッらぁッ!」
低い姿勢から、切っ先で円を描くようになぎ払った。
俺を叩いていた周囲の骸骨たちが、一斉に吹き飛ぶ。
もういいだろう。
もう我慢の限界突破だ。
俺はゆらりと立ち上がった。
無数の骸骨たちが、眼球のない目で俺を“見た”。
そこに立つ、命わずかの者を見とめて、我先に喰らおうと群がる。
操舵室に入ろうとしていた骸骨までもが、階段を降りてきた。
ここからが本番だ。
再び目に入ってきた血を、無造作にガントレットの甲で拭い取る。
「・・・来いよ。あの世に送ってやる」
今夜はこんな感じでした。
皆様の続きを期待して。ひとまず、これにて。
>>203 投下乙です。続きがすごく気になりますw
私も投下します。
(31)
居住区には共同の炊事場のような場所があった。
さっき錆びたバケツで受けた内容物を捨てつつ、井戸から水を掬って手を清める。
モグが帰ってきて蒸留水をいくつか飲ませた後、エルリッドは静かな寝息を立てて眠ってしまった。
「いい気なもんだよなぁ…」
独り言も言いたくなる。薬を俺に盛ろうとした挙句自分で飲んで、
吐くだけ吐いたらいきなり寝やがった。
なんだか憎めないとは思っていたが、間が抜けすぎて怒る気にもならない。
エルリッドの話したことを信用するなら、この一件はハルヴァーの差し金らしい。
思ったよりも随分と強引な手を使ってきたものだ。
後日出頭する人間に対して、ここまでして情報を得る意味は何だろう?
エルリッドは本当にハルヴァーの言われた通りにしただけのようだ。
あんなにあからさまに薬を盛るくらいだ。こういった心得はほぼないに等しいのだろう。
やはり、クリルラとハルヴァーの思惑はそれぞれ別のところにある、と考えるのが自然だ。
(32)
宰相は焦っているのかもしれない。だが、その理由はわからない。
しかし、こういった方法を選択したということは、俺に危害を加えるつもりはないのかもしれない。
どうにも思考がこんがらがってきた。
ひとまず胃液の臭いが取れたことを確認して炊事場を後にした。
モグハウスに戻ると、驚いたことにエルリッドは目を覚まして後片付けをしている。
「あ、ルーファスさん…」
申し訳なさそうな上目遣いで俺を見る。正直結構カワイイ…
さて、どうしたものか。さすがに突き放してしまうのもなんだかかわいそうな気もしてきた。
「さっきのことは覚えてる?」
「はい…」
「んじゃ、まず言うことはないのかな?」
「はい…ごめんなさい…」
小学生かお前は。
(33)
「まぁ、とりあえず話を聞かせてくれ」
とりあえず、テーブルを挟んでエルリッドの正面に座った。
モーグリは相変わらず後片付けを続けている。
多分、あの様子でもこっちに聞き耳は立ててくれているだろう。
「ハルヴァーに渡された薬ってのは、なんだったんだ?」
「…これです」
ラベルも何もない、小さな小瓶を差し出してきた。
「で、これを俺に盛れといわれたんだな」
黙ってうなずく。
「なんで受けた?」
「…ハルヴァー様の命令です。断れるわけないです…」
「さっき、自分も興味があったから乗ったって言ってたけどな」
エルリッドは俺の顔を凝視してびっくりしたような顔をした。
意外だった。さっき『覚えている』といったのに対して、この反応は矛盾するのではないか。
「ごめんなさい、なんだか最後の方は何も覚えてないんです…」
「なるほどね」
ひとまず納得しておいた。
(34)
バンッ!
さっきの小瓶を拳と一緒に机の上に叩きつける。エルリッドの体かビクッと竦むのがわかった。
「で、これはいったい何なんだ?」
わざと威圧的に聞いてみた。案外押せば色々出てきそうな雰囲気だ。
「質問になんでも答えてくれるようになる薬だってハルヴァー様が…」
「そうか」
それがヤバイ事だって、この娘は理解してないのだろうか。
なんだか今にも泣き出しそうな顔だ。案外見た目より幼いのかもしれない。
「…ちなみにさ、エルリッドって年いくつ?」
「えっ…」
「ご主人、そんな単刀直入な…」
いつの間にかモグもテーブルに着いていた。
「じゅ、16です…」
「「えっ…………?」」
俺とモーグリは同時にエルリッドに目を向けた。
(35)
クリルラは何を考えてこんな小娘を俺の監視につけたんだろう…
俺は少し黙って考えることにした。
どうやらクリルラの言っていたことに、ほとんど嘘は含まれてなかったらしい。
監視が名目というのは100%真実ではないが、それが目的というわけではなさそうだ。
どちらかというと、俺の身を案じてくれてるというようにも思える。
だが、クリルラの意図とは別のところで宰相が俺に薬を盛ろうとし、エルリッドはそれに失敗した。
それはどういう事を意味しているかといえば…
突然エルリッドが、赤ん坊がぐずるような感じで泣き始めた。
いきなりのことで口を開いたまま唖然とする俺とモーグリ。
「ど、どうしよう…私…ハルヴァー様に怒られるし、クリルラ様が知ったら私…騎士団にいられなくなっちゃう…」
そう、そういうことだ。いろんな意味でこの娘は周囲の期待を全て裏切った事になるのだ。
16の小娘にされたことといって笑って流すには、ちょっと重過ぎる。
俺はこの娘をどこまで信用してよいのか正直わからない。
だけど、この状況的には…
「とりあえず、明日一緒にクリルラに会おう。俺が上手く説明するよ」
こう言わなきゃいけないよなぁ…自分のお人好しぶりに本気で自己嫌悪しそうだ。
(36)
「ありがとうございます…ルーファスさん」
さっきまでと違う、潤んだような目で俺を見るエルリッド。
これはこれでなんかヤバイ気がする。
突然、席を立って俺の手を付かむエルリッド。
するとすごい力で手を引かれるままに、ベッドまで連れてこられてしまった。
ベッドに横並びに座る体制になってしまった。
助けを求めようとモーグリを探すが、そそくさとタンスのある方へ向かってしまった。おイィ!!?
「ルーファスさん、ごめんなさい。でも、あの、私…」
マズイ、このパターンはなんだかとてもマズイ。
「ちょwwwまてwwwまずいってwwwwww」
なんだか笑ってしまったが、抵抗しないわけにも行かない。
距離をとろうとするが、肩に手を回されて体重を預けられた。ものすごい力だ。逃げられない…
とうとうベッドに押し倒されてしまった。
「ルーファスさん…私…」
だめだ、この娘完全に自分の世界に入ってる…
(37)
「ご主人!」
短い声とともにモーグリが何か投げてよこした。
薄茶色い液体の入った小瓶。これは画面で見覚えがある。
迷わず栓をあけて口に含んだ後、力を振り絞って上半身を起こす。
「わ!」
俺の顔がエルリッドの顔の数センチ前に来た。迷ってる暇もない。
手で顎を少し引かせて口を開き、そこに口移してさっきの液体を流し込んだ。
「ん〜〜〜!!!」
嫌がっているが、飲み込むまで口を離すわけには行かない。首筋に回した手で頭をしっかりと引き付ける。
やがて、エルリッドの喉がゴクリと音を立てたのを確認した。口を離すと唾液が糸を引いている。エロイな…
「なに、これ…ルーファスさぁん…」
ばたっと俺の上に倒れこんだエルリッドは、もう規則的な寝息を立てていた。
ベッドに仰向けに倒れこんで、深くため息をついた。
「助かった…」
「間一髪クポ…」
(38)
程なくして、俺も強烈な眠気に教われた。
昏睡薬を少しの間とはいえ口の中に含んだのだ。当然といえば当然だが…
起き上がれない。
エルリッドが上にいるのもあるが、体にもう力が入らない。
そうでなくたって朝から驚きと緊張の連続だったんだ。
「ご主人、大丈夫クポ?」
「ひとまずはな…だけど、俺も少し飲んだらしい…」
「困るクポ!モグじゃこの人をベッドまで運べないクポ!」
「あぁ……もう、そりゃ仕方ない……」
そこまで言って、俺の意識もぷっつりと途絶えた。
投下終了です。
>>自キャラになってた皆さん
わっふるわっふる
214 :
既にその名前は使われています:2006/04/04(火) 22:29:55.37 ID:rRoz7ZcI
ええい
なんという完備ネーションだ
すごすぎるぞモグと主人め
男だろう!ここで食わんでどこで食う!!
骨だろう!ここで食わんでどこで食う!!
>>213 ちょwww 俺は死にそうなのに ベッド戦闘とはうらやm
わっふるわっふる
217 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 00:15:14.10 ID:5bQU0n0N
ベッドで戦闘age
218 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/05(水) 01:11:13.71 ID:qGdaVRuJ
>>214 今後も以心伝心の予定です。
>>215 愛は多め、エロは少なめで・・・
>>216 いつかは実戦デビューしますw
少しだけ追加投下します。
(39)
薬のせいか夢も見ない深い眠りは、もぞもぞと動く感触で遮られた。
「ん…」
「あ、起きちゃいましたか」
俺の顔のすぐ横に、悪戯っぽい笑みを浮かべたエルリッドがいた。
前髪を下ろしていて別人のようだった。
俺は目を丸くしたまま、昨日の状況を思い出すのに数秒かかった。
窓の外はまだ薄青いように見える。夜明け前だろうか。
「体の方は大丈夫?」
寝る間際はそうでもなかったが、あの薬に後遺症がないともわからない。
「はい、大丈夫です。鍛えてますから♪」
何を鍛えてるんだろう。
「昨日は、その…色々とごめんなさい…」
「あぁ、いいよ。でも、できれば今後は勘弁してもらいたいね」
俺は薬の件を言ったつもりだったが、彼女は違ったらしい。
「私のこと、キライになりましたか…?」
おいィ?なに可愛い事言っちゃってる訳?
(40)
しばらく見詰め合いながらなんて答えたものだろうと悩んだが、結局上手い台詞は出てこなかった。
俺の頭の横にあったエルリッドの頭を胸に抱え込むように引き寄せる。
「カワイイ事言ってくれるじゃないのw」
そして頭をワシワシと撫でてみた。
特に抵抗はない。されるがままという感じだ。
そのうち、昨日と同じように赤ん坊がぐずるような声が聞こえてきた。
「泣くなよ」
「泣いてませんよ!」
「泣いてるじゃねぇかw」
グスッと鼻をすすりながら、額を俺の胸につけている。
この世界で16歳がどういう立場かは知らないが、メンタリティの上では多分現実とそう変わらないのかな、
とボーっと考えているうちに、また眠気が襲ってきた。
「まぁこういうことだから、あんまり気にしなくていいよ」
と言って、このまま寝ることにした。
221 :
まとめの中:2006/04/05(水) 03:28:53.06 ID:XYrVWCow
保守ついでにご連絡です。
・「トリップテスト」を行ってトリップをつけたかたのトリップを登録しました。
表示画面の数字をクリックしてログインすることによって投稿済み文章を編集できます。
・モバイル版を作ってみました。現在はauのみ対応です。
しおり機能付きです。読み終わった後、0キーを押していただくことによって、
しおりを挟んでおくことができます。しおりは携帯電話の電源を切っても削除されません。
「サブスクライバID」の送信を拒否している場合にはしおりを利用できません。
しおり機能を利用しないのならば、Docomo,Vodafoneからもご利用いただけます。
http://ss.ga4.net/?m=a
222 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 03:36:50.97 ID:KToPYIIo
追記
それぞれリンクの脇についている数字は、各数字キーに対応しています。
(1ボタンをおす→1のリンクに飛ぶ)
本文画面にて:
4.前の文章へ
6.次の文章へ
0.しおり
Loufasさん わっふるわっふる
一晩文字通り寝落ちするまで自分と、本来の自分…いや、自キャラか。の2人で独り言を言い判った事。
1つ、取り込まれた者は自PCになるが、魂(精神)は上書き状態か入れ替わっている可能性があるらしい。
上書きだとふとしたキッカケで本来の魂が起きる可能性がある。(激しい情緒変化など)
入れ替わっているとしたら、リアルが色々な意味でヤバイ事になってるかもしれない…。
1つ、ログアウトは、自PCが次ログインまで好き勝手動いてた。(本人から聞いた{ログインは引き寄せらしい})
1つ、基本的にPCとプレイヤは同じ性格で、(取り込まれる前は)PCは操られている感覚無しに活動している。
1つ、小声は/echo、普通の声は/say、大声が/shoutで、LSやPT、tellは念話。(念話は区別難しいそうです)
1つ、外を歩いてる獣人でも、弱い(絡まない)奴は、案外普通に会話出来るらしい。逃げられなければ。
コッチより強い相手だと、見つかっても交渉次第で見逃してくれるらしい。
食事は、実は結構量があったりするらしい(ガルサイズ山串とかw)。カレーはルーを一気に飲むそうで。
トイレは…「ハァ?何ソレ?排泄?消化シキレナイ量喰ウナヨw馬鹿ジャネwww」…だそうです…。
一応モグハウス施設の一角に共用浴場とトイレを確認。主にNPCだった人が利用する場所らしい。
結局自分の中に自分じゃ無い誰かを内包した状態で固定になったままだが、普段は黙っててくれる…よね?
「コノ躯ハ元々俺ノダッツーノ。俺ガココで黙ッテルト言ッタラ、貴様ハ泥棒ヲ無条件ニ信ジルノカ?」
ちょっ…いくらなんでも外でいきなり喋って怪しまれたりするような事はしないでくれよ……?
「ソレデ危険ニナルノガ貴様ダケナラシテヤルンダガナ。」
……教えてくれた情報が正しいのか凄い不安だけど、こんなとこか。…考えてるの筒抜けってイヤだわぁw
昼、起きて寝惚け眼で顔を洗い…そこねて水場に落ち、モグに馬鹿にされながら外に出て、
ブリンク等強化魔法を駆使して体(と服)を乾かし、その足で港区へ、外へと続く門の横でリンゴを買い、
リンゴをかじりながら外、西サルタバルタへ。
少し歩き、大人しく草を食べている兎を見つける。と同時に発される「食材ハッケ〜ンw」…言葉。
…いや、だからね?お願いだから勝手に喋らないでくれませんか?
「ァンダョ。貴様ガ思ッタ事ヲ俺様ガ代弁シテヤッタダケジャネェカョ。」
イラン事喋らなくて良いから…誰かに聞かれたら1人で喋る怪しい人だから……
「ッタク、ウッセ〜ナ。少シクライイイジャネェカ。街ン中ジャ喋ラネェンダカラ…。」
わかったから…人居ない所でなら喋って良いから……
「ッシャー!ヤッタネ〜♪」…なんか口車に乗せられた気がしてきた…
「ンダョ、今更ダメッテ言ッテモ聞カネーカラナ〜w ソリャソウト、逃ゲチマウゾ。ウサギ。」
「…あ゛」
言われて気付けば、兎がピョンピョンと跳ねながら既に遠くに行ってしまっている。
ボルト…はなんか毒々しい色してるからやめとく。食用に出来なくなりそうだし。
剣を抜き放ち、兎まで一直線に全力疾走する。あと2〜3歩の所で兎が振り向くが時既に時間切れ。
走って来た勢いを殺さず、そのまま剣を兎の頭めがけて振り下ろす!
―――ゴキャッ!!「キィーーィー……」
兎の頭蓋の砕ける音と、段々小さくなり消えてゆく断末魔。喰べる為とはいえ罪悪感がまとわりつく。
―――あれ?何で剣なのに砕ける音?
剣を見ると上下反対に持っていた。これではみねうちだ。切れない代わりに打撃武器化したのk…げ
兎だった肉塊を見た。…頭がグロテスクに潰れて(以下自主規制)…。
「うぷ…ぅえ゛えぇぇぇー…」「ヂョッデメーゴンナ゛ンデ…ン゛ンッ吐イテンジャネ−!!」
…吐いた。生まれて初めて見た物で気持ち悪くなって吐いた。人が首切られる動画見ても平気だったのに。
映像と現実の違い…私は架空であって現実の世界に居るのか…戻れるんだろうか。戻れない気がしてきた。
とりあえず、スプラッタになった首を切り落とし、胴体をモグハに持ち帰り、調理する。
…といっても、持って帰ったらモグが「給仕はモグの仕事クポー!」とかなんとか言いながら持ってった。
持ってった…が、調理室の炎クリを切らしてたらしく、ファイ"ガ"で結局手伝ったw
兎を一羽使い作られたグリルは、モグの分を作っても余りある量になった。
夕食は、野兎のグリルと…ウサギ切りした妖精リンゴとリンゴジュ−ス。
「…あぁ、リンゴ好きさ。大好きさ。悪いかぁぁぁ!!!」「誰も悪いなんて言って無いクポォォォォーー!!」
以上です。今はウィン国内を少しづつ巡る程度なので、戦闘描写は多分まだ無いです。
えろーは私にゃ多分無理です!wえろーいのは思いつきません!w
>>218 エr…の実践デビューに聴こえたのは気のせいですか?気のせいですよね?w
>>216 階段ジャンプは両手剣でサベッジした感じで良いしょうか?w
なんかよくわかんないけど、クマヒゲオヤジ燃えw
>>まとめの人
ナイスだマァ〜イク!ジュノの大公も目の色変えて絶賛する事間違い無しだぜぇ〜!!
まとめの方ちくちくと弄りました。分法おかしいとこあったので…。
まとめサイトさん、空欄気にせず埋めちゃってください〜。
>>220 俺タルタルだからエロは無理だなぁ…。
それよりも16の娘に口移しで薬飲ませるとは、エルオスの特権ですな。
てか小瓶そのまま口に突っ込めばよかったんではないか?てのは、
野暮ですかねw
228 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:17:39.95 ID:6QAayVxh
「なぁ」モーグリに尋ねる。「ここで魔法使っていいか?」
「なに言うクポ!!」モーグリが信じられないと言うような声を出した。
「別にいいだろ?攻撃系魔法使うつもりはないし。」
窓が無いハウスには匂いがこもりなんとも表現しがたかった。
デオードでも使えば何とかなるんじゃないか? そんな考えのうえでの質問だった。
「ダ、ダメクポッ!! ご主人殺されるクポよっ!!」モーグリがベッドから起き上がった。
「なにぃ! 殺されるぅ!?」
229 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:18:36.96 ID:6QAayVxh
モーグリの話だと、モグハウスの管理を統括してるのは実は組合ではなく
冒険者総合監視倫理協会、通称ASWES(アスウェース)がしてるらしい。
秘密裏に冒険者の行動を監視してる協会でモグハウスの全管理もそこでしている。
モグハウスでの魔法の使用もモグハウス居住規約事項の一級禁止に定められてるらしく、
破ると即禁固、尋問、監視、最終的にどうなるかはモグも知らないらしい。
230 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:19:47.61 ID:6QAayVxh
「知らないんじゃ…」
「それを自分で確かめる気ですか? クポ。」アップで暗い顔で言うな。
「辞めとくわ…」「それがいいクポ。」ん?「でもさぁ、秘密裏なんだろ? 言っちゃていいのか?」
沈黙。なに石化してんだ。「わかった、聞かなかったことにしとく。」「お願いしますクポ…。」
ストナなくても解けんだな。貴重な情報だ。
「…さてと、行ってくるわ。」スツールから立ち上がる。「もう平気クポよ。嫌いな外に出なくても…」
「飛べないのにか?」「でも…」「いいって、いいって。もう慣れたし。じゃ行ってくる、モーグリ。」
モグハウスの扉に手をかけた。と…
「フリート…。」
「んあ?」後ろを振り返る。モーグリがあの柔らかい目で見ていた。
「ボ、ボク、フリート・カコックっていうクポ。」何故か苦しそうに言っている。
「名前…か?」コクンと頷く。
「わかった。行ってくる、…フリート。」何故か顔が緩んだ。
「…いってらっしゃいクポッ。」フリートも嬉しそうだ。
モグハウスから出て扉を背にもたれかかる。視界が滲んできた。
うれしかった。俺を元気づけるために名前を教えてくれた。
231 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:20:38.66 ID:6QAayVxh
本当は慣れていない。プレイヤーに調べられるあの視線は。
でも行かなきゃ前に進めないんだ。俺は外に出る道に向かった。怖くてたまらない外のヴァナへ。
でも違った。違ったんだ。
フリートが名前を教えてくれたのは俺を元気づける為じゃなかったんだ。
もっと深い理由。それを俺が知るのはもっとずっと、ずっと先の話だ。
〜ウィンダス 水の区〜
さてと、初めての試みだな。
これまでの買い物、つまり食料などは全て競売で済ませていた。
NPCの店で買い物はしたことがなかったが今回は仕方がない。
欲しいのは「気分が悪いフリートをよくする薬」競売にそんなものは無い。よって店を利用するしかない。
俺は看板を見た。「Ensasa's Catalyst Shop」通称、水の区の雑貨屋さん。ここに売ってるかもしれない。
雑貨っていうくらいだからなんでも置いてるだろう。単純。でも他に思い当たるとこはない。さぁ、いけ俺!!
ガチャリ… ドアをそっと開け中に入る。
232 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:21:43.89 ID:6QAayVxh
「……。」中にいるタルタルとミスラ二人は無言。リアルでは
「いらっしゃいませぇ〜。何をお探しですかぁ?。」って聞くのにな。ゲーム通りだ。
カウンターが高いので右の側のカウンターが低いほうに移動する。話しかけようと目を上げ
「!?」びっくりした。ゲームのエンササはタルタル♀のF1の赤髪のはず。
だが、目の前のエンササは大体はゲームと似てるが微かに年齢を重ねてる印象がある。
目じりと口角には少し皺があり、赤髪には白髪が少し混じってる。
目は鋭いが真剣に商売やってると感じさせる目だ。年は30後半か?
それよりもっと驚いたのが、エンササの表情の均整が崩れたことだった。
始めは無表情、直後に落胆、その後「おやっ」という疑問と興味の表情。
それが少し続くと、今度は大きな驚きに変った。NPCなのに何故こんなに表情が変る!?
かといって呆けてる暇はない。薬を買わなければ。
「ちょっと聞きたい。モーグリの具合が悪いんだ。何かいい薬ないか?」
今度は後ろの白髪のミスラも一緒に驚いた。
どうなってるんだ?話しかけておいていうのもなんだがこんなに反応が帰ってくるなんて。
まるでリアル、いや現実みたいだ。三人暫く呆けたまま突っ立っていた。
やがてエンササが溜め息をつき、下を向いてなにかゴソゴソしだした。
薬出してくれるのか?と思ったが、出したのはキセルだった。
マッチをすり草に火を点け吸い込み紫煙を細く空中にはいた。
233 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:30:08.49 ID:6QAayVxh
(タバコ吸うのか…)これまた驚いてる俺に向かって
「あんた、最近始めたばっかりの冒険者だったっけ?」すこし鋭い目で見られる。
「いや、それなりにやってるけど…。」確かプロマシアが出て暫くしてから始めたんだ。
「だろうね、それシアー一式だろ?始めたばっかりの新人はそれを着れない。
三国をまわれる程度の実力がないとね。」
たしかに俺はシアー装備を着てる。そういえば黒魔道士のLv30だっけ。
「しっかし今日は珍しい日だねぇ、冒険者が私らに話しかけくるなんて。ねぇ?」
後ろのミスラに聞くエンササ。「ですね、冒険者は無言で買っていきますから。」
「そうそう、無言で。こっちとしては何にも言わないってのも癪だから、
いらっしゃいって繰り返してるけどね。」へっとエンササは自嘲気味に笑った。
話を聞きながら段々腹が立ってきた。何故ここまで言われなきゃならない?
そりゃ話しかけない俺たちも悪い。だけどそれはあんたらがNPCであって…
「で、どういう風の吹き回し?思い出した、あんたこの前確かここで乾燥マジョーラム買っていったよね?
あの時は『普通の』冒険者と同じ買い方をしていったんだ。だが今日は違う。どうしてだい?」
よく覚えてるな。確かに買った。ギルドに納入する豆のスープを作るために必要だったんだ。
まさか「別の世界から来ました!!」って言う訳も行かない。さてどう答えていいもんかと悩んでると、
「ま、いっか。いじめるのは趣味じゃない。それに」
俺に向かってニコリと笑った。「少しうれしいしね。」「へ?」
234 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/05(水) 05:31:06.89 ID:6QAayVxh
「うれしいんだ。ちゃんと話かけてくれるってのは。」
後ろの倉庫に続く扉を開けエンササが言った。「モーグリの具合が悪いって?」
「あ、ああ…、回りすぎて気分が悪いって…」
「回りすぎて!? アッハッハッハッ!! そうかい!! よっぽど嬉しかったんだろうねぇ。」
「え?」「おーい、そっちの箱にあるビン取ってくれ。」エンササが後ろの子タルに言う。
「…よいしょっと。これだ。これを一口づつ朝晩与えな。二日で良くなる。」
「あ、ありがとう。」受けとった手のひらほどの小瓶にはきれいな藍色の液体が入っていた。
(リアルポーションとは全然違うな。)「あ、そうだ。幾ら?」
「ん?そうだねぇ、結構貴重だし。10万くらいするねぇ。」
「いぃっ!?」あることはあるが高すぎる。
「あっはっは、いいよ!! タダにしといてやる。早く持っていってやりな。」カラカラと笑った。
野郎…、古典的な引っ掛けしやがって。引っ掛かる俺も俺だが。
「…ありがとう」でもうれしかった。
「またよろしくね。あんたは常連さんだ。またきな。」手を振り返し店を出る。
初めて人間性を感じられたNPC。
…違う、あの人たちは生きてる。だから話せたんだ。モグハウスに向かう道、俺はとても幸せだっ
た。
ああ!!歯切れわりぃっ!!orz 無視してください…。
しかもアゲテシマッタ…。申し訳ない…。
補足
エンササは普通のおばちゃんです。間違ってもASWESの元締めじゃないです。
ただ、何らかの理由でモーグリのことを知ってます。
深読みする人がいるかもってことで念のため。
50.
夕食になると侍女が迎えに来る。
予想通り、トリオンがいる。
「ひさしぶりだな、元気にしてたか」
「もちろん、ずっと町にいたからね」
「よし食べるぞ、明日から出発だしな」
腹いっぱい、食べて飲んで、話して時間は過ぎて行った。
「じゃあ、部屋に行くか。」
「ワインと簡単なつまみを、今日はもう休んでいいぞ。」
侍女に指示してる。
これはつまり、そういうことなんだろうな。
初めての人だし、命の恩人でもあるっぽい、お互い好きな気がする。
でもいいんだろうか、俺で・・・。
51.
部屋に戻ると、自然にキスしてきた。
まあ身長差あるから、ひょいって感じで持ち上げられたんだけど^^;
「ねえ、いいの?」
「もちろん( ̄∇+ ̄)v」
笑顔がまぶしい。なんか吹っ切れた。
明日でお別れなんだし、いろんなありがとうを込めてもう一回くらいいいか。
今生の別れそんな言葉を深く意識した。
そして、二人で楽しんだ。
トリオンは大きくないけど、タフだった。
技の限りを尽くして搾り取った。
そして、俺も何度も天国に行った。
なんか身も心も女してるかも。
でもそんな嫌じゃないかも。
その日生まれて初めて朝までしてしまった。
52.
とてもとても眠いです。
それでも謁見に遅刻するわけにはいかなかった。
侍女にせかされ、あわてて身支度し駆け込む。
お、トリオンもいる。あれがデスティン王か。お父さんとか読んだら殺されるかな^^;
「よく来た、アルルよ。
わしはサンドリア国王のデスティンだ。
堅苦しく考えることはないぞ。
お前のことは、トリオンから時々聞いておる。
随分と頑張っているようだな。
ハルヴァーから聞いておると思うが
今回、お前をジュノにあるサンドリア大使館の
職員として、派遣することとなった。
もっとも、そもそもの派遣理由は、
大使館員に欠員が出た、ということなのだが、
だからと言って悪びれることは何もないぞ。
わが命によって任に着くのだからな。」
なんかえらい長々と喋ってるが、正にミッション3だな。
とりあえず外に出よう。ここに居るだけでは、状況は一向に変わらない。
重い腰をあげ、サックを拾い上げ扉に向かう。
「おでかけクポ?」
それに気付いたモグが、後ろから声を掛ける。
『ん、誰かに会えるかもしれないし、森の区のほうに行ってみるよ』
振り向かずに声だけで答える。本当のところ、行くのは何処でも良かった。
「街の外に行くなら、忘れ物クポ〜」
ぱたたと羽ばたいて、モグがこちらに寄って来る。
荷物の整理はした。忘れ物なんて無い筈だが・・・なんだろう。
モグに向き直ると、その手には小さな金属の板のようなものが見て取れた。
「冒険者証明書クポ。これを持ってないと大変なことになっちゃうクポ!」
言われて受け取る。ゲームでは出てこなかったが・・・。
クレジットカードくらいの大きさ。何かの金属製のようだが、それほど重みは無い。
しばらくすると小さな光が表面に浮かび、カードを包み込む。そしてカードごと消えた。
『・・・何の手品だ?』
モグの鼻を、指で弾く。
「ッ。手品じゃないクポ〜〜・・・」
鼻を押さえながら教えられた事を要約する。
カードを持ったときの光は、本人照会の為の魔力だったらしい。
消えたのは、単に邪魔にならない場所に転送されただけ(見たら、腰ポケットに収まっていた)
カードの役目は、空気中の魔力を活性化させて、自身の回復力を早める働きと、
ホームポイントを記憶して、所持者が力尽きた時に、ホームポイントへ転送する働き、
そして、所持者の冒険者の名前とランク、LVを表示する機能を持ち合わせているそうだ。
腰からカードを引き抜いて確認する。【Rain Win:2 LV12】
Rain・・・は名前だ。Win:2とは、ウィンダス所属のランク2を示す。LVは読んで字の如く。
カードがぼんやりと発光しているのは、自身の経験によるものらしい。経験値、ってことか。
この光が最高潮に達すると、めでたくレベルアップ・・・らしい。
デスペナルティの事も言っていたが、魔力が云々うるさかったので聞き流しておいた。
「買い物に出る時、部屋に落として行ったクポ!無くしちゃダメクポ!大変クポ!」
最後にそう、念を押された。
無くすとどうなるのか興味はあったが、そこまで言われると大事にするしかない。
理解はできたが、現実にはありえない・・・と納得し、再度モグの鼻を弾いておく。先程より、少し強めに。
痛みで床に落ち、のたうつモグを尻目に、扉から外に出る。
後ろ手に扉を閉める間際、消え入りそうな声で「い・・・いってらっしゃいクポぉ〜・・・」と聞こえた。
軽い罪悪感を覚えたが、気にせずに走り出した。
居住区の薄暗い、石畳の通路を走っていると、いくつかの施設が見て取れた。
複数のカマドがあったのは、炊事場だろうか。その近くに、大浴場のプレートも見えた。
カマドの前には、何人(匹?)かのモーグリが、忙しそうに動き回っていた。
塩と砂糖間違えたクポー、と聞こえてきたが、聞こえなかった事にする。
どの施設も冒険者で共用なのだろうか。浴場が男女共用で無い事を祈るばかりだ。
案内のプレートを頼りに、森の区の出口へ向かう。程なくして、トンネルの先に光が見えてきた。
この辺りまで来ると、ハウスへ向かう冒険者とすれ違う事が多くなってくる。
どの冒険者もハウスへと駆けていく。自分の事など、視界に入っていないように。
(そりゃまあ、当然だよな)
自分から見れば、他の冒険者も生きている人間だが、相手からすれば自分は、見知らぬPCの一人でしかない。
しかも本来なら表示される事のない裏方のような場所だ。
・・・考えるのはやめよう。また、悲しくなってくる。
かぶりを振って、外へ飛び出した。
広場には何人もの冒険者が、思い思いの場所でバザーを開いていた。
小さな布に様々な品物を並べ、道行く冒険者の興味を惹いている。
殆どの冒険者は(中の人が)居ないのだろう。座ったまま、舟を漕いでいる。
走る速度を緩め、空を見上げる。陽は中天にかかる頃。現実世界の今は、何時なのだろうか。
広場を抜けると左右に分かれた道。左の方向に行けば、石の区だろう。
右手の先には、居住区前よりも大きな広場が見える。記憶を頼りにそちらへ向かう。
広場の手前、左手から声が聞こえてきた。男勝りな女性の声。
興味を惹かれ、そちらに足を向ける。声は、目の前の建物の中から聞こえてくるようだ。
曖昧な記憶から、その建物が何かと推測する。
壁に掛かったレリーフには、タルタルの手を模したような絵が描かれている。
(手の院・・・だったっけ・・・)
幾度か見かけたカカシのガード・・・カーディアンを作っているところ・・・だったはず。
頭の中で何かが閃いた。
カーディアンに意思を与えるのならば、自分たちに関する何かがわかるかもしれない。
淡い期待を胸に、扉に手をかけ
ばん!
ようとして、勢いよく――内側から扉が開いた。鼻っ柱にぶつかったのか、脳に突き抜ける痛み・・・マジで痛い。
モグをいじめた天罰だろうか。鼻を押さえ、その場にうずくまる。
「おわ、人が居たのか。ごめ、大丈夫か?」
頭上から女性の声。だが、口調は男。先程聞こえた話し声の人物だろう。
痛みを我慢して見上げると、背の高い女エルヴァーンが、自分を見下ろしていた。
『あ・・・あんまりだいじょうぶじゃない・・・』
鼻をさすりながら立ち上がる。鼻声になっていたが、そんな事気にしちゃいられない。
目の前には・・・ふくよか・・・とは言いがたいが、隆起した女性の胸。
身長差がある為、視線がどうしてもそちらに行ってしまう。
一歩下がり、顔を見上げる。均整の取れた顔立ちに、艶やかなストレートの黒髪が垂れている。
だが、その表情は今・・・自分を見て、笑みで崩れている。
『鼻、真っ赤だぜ』
笑いながらそう言われた。悪いのはアンタだ・・・ムっとして言い返す。
「やり返して良い?」
なるべく笑顔で言ったつもりだ。多分、目は笑ってなかっただろうけど。
「MPKですか。GM呼びますね」
モニター越しになら、絶対語尾に「^^^^^^^^^^^^」が付いていたと感じる口調。
冗談だとはわかっているが、とりあえず笑うなちくしょう。
「ごめんね〜。荷運びで、両手塞がってたもんだからさ」
言われて見ると、彼女は両手に荷物を抱えている。・・・このやろう、扉蹴り開けたな。
しかし・・・見たところ、彼女も冒険者のようだ。
それなのに何故、街中で荷運びなどしているのだろうか。
一つだけ思い当たるが、確信は持てない。間違えていたら自分は変な人だ。
『冒険者って言っても、普段はそうやって仕事してるんだね』
探りを入れる。これなら、間違いでも怪しまれない・・・と思う。
「いや、ちょっと事情があってね。
サンドリア所属の冒険者なんだけど、訳あって移籍の為の金稼いでるんだ」
言って良いものなのか悩んでいるのか。続けて、彼女は困ったような顔で言う。
「こんな事言っても信じてもらえるかわかんねーけどさ・・・
俺実はこれ、キャラクターじゃないんだわ。説明に困るんだけどさ」
ビンゴ、だろう。そこまで聞いて、声を合わせるように次の言葉を紡ぐ。
『「ネ実のスレ見た後、寝て起きたらヴァナに居た」』
驚く彼女。そしてニヤリと笑う俺。
『あんた、98さんだろ』
IDまでは覚えていないが、それだけで理解してくれたらしい。
「うっは、まじで!? いやー、久々にリアルな人と会えたわ。なんか嬉しぃーね」
久々に、というのがどれほどの期間を指すのかわからない。
だが少なくとも自分より、ヴァナでの経験が豊富な・・・言うなれば先輩だ。
そんな相手が自分と会えた事を喜んでいる。不思議と、自分も嬉しくなる。
『しかしあんた、その顔で男言葉ってのも似合わないな』
「あんたもな!」
そう言って、二人で笑った。ここに来て、初めて心から笑った。
245 :
83 ◆W0QmuTI9lM :2006/04/05(水) 08:52:39.65 ID:pS9BKXgH
キリの良いここまで。
>>投下してる皆様、乙です。
>>まとめ様、感謝です。ちょっと恥ずかしいですわ・・・w
自分もエロースは少な目の方向で考えています。
とりあえず出番の無かった、前スレ100氏を登場させてみました。
フェイスは勝手にエル♀F6Bと決めさせていただきましたw
流れ上、今後も少し勝手に動かさせていただきます!
それでは皆様、わっふる!わっふる!
わっふるわっふる!
247 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 11:59:25.66 ID:xVP+wDBS
898が物凄く先がきになる書き方をしている件について
248 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 12:39:27.51 ID:cr+r+14W
>>98って乳でかくなかったっけ?
尻は言うほどでかくないが乳はでかいという記述があったような。
今日は雨も降っててのんびりお仕事。
ちびちびと投下していきます。
一気にまくしたてられ、言い返す間も無く手を引っ張られて連れて行かれた。
俺は一体何事かも分からず、ただ連れて行かれるだけだった。
「お姉ちゃんさー、高位テレポも使えるんだし、たまには帰ってきなよー、
お母さんとお父さん、あんなでも毎日心配してんだよ?」
「えーっとさ、なんていうか」
「ん? どしたの? なんか変だよおねえちゃん」
ようやく妹だと思われるタルっ子は手を離してくれた。
だが俺の様子がおかしいのに気づいて、今度は詰め寄ってくる。
「んんん〜…? お姉ちゃん何か雰囲気変わった? いつもの悪口も言わないし、妙に大人しいし」
「そっか、いつもはそんなに騒がしかったのか…」
「口調も男っぽぃし、それに…なんかたくま…しい…?」
ギクッ、なかなか鋭いなコイツ…。
妹の不思議な視線はさておき…。
素直に全部話した方が良さそうだな。一応家族みたいだし。
「えと…、素直に話しておこう。驚かずに聞いてほしいんだけど」
「なによー、またエルヴァーンの首が伸びたとか、そんなくだらない話なら…」
「実は、記憶を殆ど無くしちゃって、さ…」
「……は?」
という事にしておこう、中身別人なんでーす。なんて言おうもんなら
それこそ病院、…いや、監獄送りになりかねない。
記憶喪失って事にしておけば、まだ家族に対しては説明が面倒にならずに済みそうだし。
それでも説明がめんd……ん?
「ど、どしたー? 固まっちゃって」
「な、な、なななななんですとーー!!!?? 記憶をなくしたぁぁ?! はぁ?!」
静かな石の区に悲鳴とも取れる声が響き渡った。
「えぇ〜〜と、こ、こんばんわー…、はじめまし…て?」
「むぅ…」
「はぁ…この子は…」
頭を抱え込む父親らしきタルタルと、ため息交じりに視線を逸らす母親らしきタルタル。
両方ともに軽く呆れられてるのは、いくら馬鹿な俺でもすぐに見て分かる。
あの後、錯乱状態の妹をなんとか丸め込み自宅まで案内してもらった。
地図では乗ってない、水の区の住宅街に連れてこられた、
簡素な、他の家と大差ない家だ。どうやら世間でいう所の中流、至って普通の家庭らしい。
妹は自宅に帰ってくるなり自室に篭ってしまい、俺はというとリビングでこうして両親と対面している。
父親なんだがもちろん知らない顔、トンガリ頭だがいたる所に白髪らしきものが見える。
母親、もちろんこっちも知らない顔、俺と同じポニーテールで茶色、
こうしてみるとゲームでは見分けつかないが、シワがあったり口調なんかである程度年も判別つくな。
「で? なんでまた記憶喪失に? どっかで戦闘中に頭でもぶつけたのかい?」
「いや、それがね朝起きたら殆ど何も…。ウィンダスの事とかは覚えてるんだけど」
「両親の顔まで忘れるとは、お前というやつは」
「そ、そー言われましても…」
ずっとROMってたけど今更ながら一言言わせてくれ。
このスレおもすれー!!11!1!
書き手の皆さん超がんがれ、陰ながら応援してまっす。
>>まとめサイトの人
乙&gjです!
携帯から見てることが多いので、対応させてくれてかなり嬉しい(*´д`*)
しおり機能便利すぎ修正されないでww
わっふるわっふる
254 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 16:37:36.69 ID:LB3dW2br
携帯から保守age
わっふるわっふる!!
結局両親だというタルタルにこってり説教と昔話を聞かされ、逆に妙に気に入られた。
大人しくなって素直になってくれたみたいで良い、と。いやあんたらどんな育て方したんだよ。
今日は泊まって帰れと言われたが、困った。妹と相部屋なのかよ…。
仮にも肉体は♀だが、中の人は♂だ。
部屋の前まで来たが、これはもう黙ってモグハウスに帰った方がいいんじゃないか?
「お姉ちゃん?」
「だわぁっ!」
突然背後から声をかけられ驚いてしまった、どうやら寝る前に風呂にでも入っていたのか、
ちょっと頬を赤く上気させた妹が立っていた。
「み、ミピピ。居たんだ」
「部屋の前で立ちっぱなしで頭抱えて何やってんの」
それだけ言うと、素っ気無く部屋に入っていく。
……思いっきり見られてた。ちょっと恥ずかしいじゃないか。
さっき両親の昔話ついでに聞かされた。妹の名前はミピピ、16歳らしい。
母親はナナミ、今年で42歳。父親はルンゴランゴ、今年で45歳になるらしい。
部屋に入って見渡すと意外と広い、部屋の中央付近にカーテンのような物で仕切りを作っている。
奥の方が妹の領土らしく、ミピピは奥にいってしまったようだ、シルエットだけがぼんやり見える。
自分の机らしい所に写真たてを見つけた、よく見るとどうやら妹と取った写真らしい、
こうして見ると仲良かったんだろな、この姉妹。
どうやらこのキャラ、というかミーナというタル娘は今年で22歳、
何やら話を聞く限りでは、近所の悪ガキ共を従える女版ジャイアンみたいなヤツだとか、
俺の感性で見れば、決してそんな強気な娘には見えないんだが…。
俺が机の上を色々いじりながら考えていると、ミピピがカーテン向こうから声をかけてきた。
「お姉ちゃん、記憶をなくしたってホント?」
「あ…、あー、うん。昔の事とかもさっぱりキレイに、何にも覚えてなくてゴメン」
「そ……っか…、全部忘れ…たんだ」
「…ミピピ?」
様子がおかしい、心なしか声も少し震えてるような。
257 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 18:32:41.83 ID:2KoQTcmk
わっふるわっふる
ちょ、お客さんいっぱいきた、
20:00までに全部捌けるかな…。
「ミピピ? どーした? 何かあったのか!?」
思わずカーテンに手をk「アハハハ、バッカだー、記憶喪失だってー、おっかしー」
思いっきりコケた。こいつ…言うに事欠いてバカと、しかも大笑いのオマケつき。
どうやらあの姉にしてこの妹アリか、そりゃそうだジャイアンな姉と仲が良かったんだから。
「くっ……、バカと来たか」
「だってさお姉ちゃん、記憶喪失なんて今時聞かないよー、それなのに」
「放っとけ、もう寝る! 布団は?」
「あー、はいはい、ちょっと待ってね」
相変わらずクスクス笑いながらカーテンをたたみ、布団を用意し始めるミピピ。
サイレスでもかけてやろうか…、この小娘…。
「はーい、準備できたよー、もう寝るの?」
「寝るっ! もう今日は一日中走り回ってつかr……アレ?」
妹さんよ。大きめの布団一つしかないんですが…?
しかもアレ…? なんでアナタもその布団に入ってますか? なんで枕が二つ…?
お仕事終了、今日はココまでー。
んでは帰りまする(・ω・)ノシ
263 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 21:19:16.27 ID:h/mElVDR
>>261 テラカコヨス
後ろの謎の生命体はいったい…w
264 :
既にその名前は使われています:2006/04/05(水) 21:23:32.95 ID:qGdaVRuJ
コロ助混じってね?
みぴぴちゃんにわっふるわっふる
53.
「トリオン、ピエールよ無事大使の任を果たしてくるのだぞ。」
「任せてください。」「謹んで。」
\(* ̄□\) ̄□\) ̄□\))))えーーーーーーー。
「アルル、ではジュノへ出発しようか」
連れてかれた先は、港・・・。
「トリオン、何処行くの?」
「ジュノ」
「何で行くの?」
「飛空挺」
「何時出るの?」
「今」
(ノ゚ο゚)ノ Noooooooo!!!!
「無理、荷物とかモグだし。」
「もう、飛空挺に積んでるよ、モグが出してくれてた。」
・・・お別れでなく、ずっと一緒か。
54.
生まれて初めての飛空挺はとてもすごかった。
船体、プロペラは、どう考えても空を飛べる構造ではなかった。
浮遊、推進は魔力メインのようだ。
乗り心地は、・・・・。
揺れまくる、甲板は風吹きまくる。
死ぬかと思ったbyアルル
他の人は慣れてるようで、俺ばっかりきゃーきゃー言っては
ピエールに怒られ、トリオンになだめられてた。
あは、結構いいトリオかもw
そして、世界の中心ジュノへ
ここで新たな冒険が幕を開ける。
今ちと迷ってんですが。
わっふるな展開か、そういうの無しな展開か、
さすがに百合っぽぃのは書いたことないんですが…(;゚Д゚)
そもそも百合の資料がないんでs
私は・・・私はどうすればいいのだろう。
残酷になろうと思った。最初に目に入ったモノを殺そうと思った。
だけど、この人を私には・・・私には殺せそうにはない。
このままではダメだと思いつつも私はこの場を去ることにした。
次へ次へと逃げることになるかもしれないとわかっていた。
けれども・・・私には無理だ。
一歩目をふみだした時、ザリッと砂とブーツが音を出した。
私がヤグードのほうを振り向いたのとヤグードが私のほうを向いたのは同時だった。
振り向いた拍子に私の鞄からヤグードの数珠が飛び出し地面に落ちる。
そのジュズを見た瞬間にヤグードの目がカッと見開かれた。
「でめぇ・・・てめぇが・・・てめぇがフェダを・・・」
刀をしっかりと構えたヤグードがこちらを睨みつける。
気迫はすごいけれど、白魔道士LV70の私の目には隙だらけにしか見えなかった。
「その数珠のためだけに明らかに格下のフェダをいたぶりやがったんだな・・・!」
私は機械的に腰に下げたダークモールを構えた。ヤグードは血走った目でさらにまくし立てる。
「てめぇから見たらゴミみたいな命かもしれねぇけどなぁ!!こいつは俺の親友だったんだ!!!
俺の命と同じぐらい大事な奴だったんだ!!!!」
だんだんと声が大声になってくる。本当に大切な人だったんだろう。ものすごくその気持ちが伝わってくる。
刀をもう一度構えなおしたヤグードの両脚にタメが作られた。
「俺は死んでもてめぇをゆるさねぇ!!!」
地面を蹴るヤグード。直線的にこちらへと走ってくる。狙いは首だろう。フェイントも何もない。
ただ、感情にまかせての一撃。戦いに慣れた体が一瞬でそれを理解した。
奇声と共に振り下ろされる刀は二歩後退した私にかする事もなく空を切る。
それを確認したかしないか分からないうちに私の体は一気にヤグードの懐へと飛び込んでいた。
流れるような動きで最後の三歩目を踏み込みながらハンマーを振り上げる。
何とも形容しがたい、ものが粉々に砕ける音と右手に伝わる確かな手ごたえ。
ヤグードの左ひじの骨を私のハンマーが粉々にしていた。ヤグードの悲鳴が耳を突く。
ザンコクニナレ
私はひるむことなく振り上げたハンマーをすかさず腰へと思い切り振り下ろした。
また悲鳴・・・。ヤグードは思わずその場でひざまづいた。
ひざまづいたのはヤグード教の神へ祈っているのか、私への命乞いなのか、
それとも仇は取れそうも無いとフェダへ謝っているのか・・・。
ザンコクニナレ
私は目の前の高さまで来たヤグードの頭にとどめの一撃を喰らわせる。
ヤグードは悲鳴もなく私に抱きつくような形で力なく倒れた。
私はそれを振りほどき、武器をしまう。武器にべったりとついた紫色の血・・・。
そして手に残った命を奪った感覚。命を守る高潔な白魔道士の証であるアーティファクトにも
私の顔にも、Yukapipiのリラコサージュにもその血はべったりとついていた。
ザンコクニナレ
気がつくと私は地面に座り込んでいた・・・。涙が止まらなかった。
怖かった・・・誰かの人生を終わらせることが。命を簡単に奪う力が備わっている自分の体が。
そしてそれ以上に自分の人生が終わることが・・・。
「ごめんなさい・・・。」
私はヴァナディールに来て何度目か分からない謝罪を二人のヤグードにした。
許されるはずがないとわかってはいたけれど、あやまって少しでも罪の意識から逃げたかった。
既に二人の亡骸をアクババの群れがついばみ始めていた。
以上です。
わっふるな展開をめざすべきなのだろうか・・・w
>>261 カッコヨス・・・こういう絵をかけるようになりたい・・・
百合軽く調べてみた。下のはコピペ。アドレスのは…まぁ、マニュアル的なページです。苦手な方は見ないようにw
「女性であると認識されうる存在Aと、Aと同性であると認識されうる存在Bについて、AもしくはB、またはその双方が、他方に対し非常に強い好意、
およびそれに伴う様々な感情を抱いている様を、心の琴線にふれる手法により描写したもの」
見分け方の簡便法として、
「女の子が好き」がレズビアン
「好きな人が女の子」が百合
というものがある。必ずしも一概には言えない。
ttp://sapphisticated.info/academe/situations.html
百合【興味があります】
ちょっと多めに投下します〜
(41)
「ご、ご主人…!」
今度はモーグリの声で目が覚めた。
エルリッドは俺の胸でスヤスヤと寝息を立てている。
小窓からやわらかい陽光が射していた。夜が明けたんだな。
「ご主人…やっちまったクp」
無言で枕を投げつける。
「昨日そのまま寝ただけじゃねぇか、何でそうなるんだよ」
「だって…抱きかかえて眠ってるなんて、まるで恋人同士見たいクポ」
言われてみりゃそうだが、これは不可抗力みたいなもんだ。
「まぁ、そういうのじゃないから安心しろ。俺は何もやってない」
「それはそれでつまらないクポ」
本当につまらなそうに部屋の中心へ戻っていくモーグリ。
こいつ…教育的指導をしてやろうか。
(42)
エルリッドを起こして身支度を整えた後、モーグリの用意した朝食を食べながら
簡単に今日の予定を話し合っていた。
「とりあえず、ハルヴァーとクリルラには会わなきゃいけないだろうな」
今のところ、この二人をつつくなり頼るなりしないことには物事が進展しなさそうだ。
エルリッドは露骨に嫌な顔をした。
「そんな顔しなさんな。ハルヴァー宰相からは出頭命令を受けているし、クリルラにも話があるんだ」
当然一緒に行動するのだから、彼女も両者に会うことになる。
昨日の報告もしなきゃいけないだろう。可哀想ではあるが、まぁ出来る限りフォローはしてあげよう。
「それと、他に俺と同じ状況の奴がいることについて、ハルヴァーは把握しているって言ってた」
エルリッドは驚いたような顔をしたが、モーグリは淡々と話を聞いている。
このモーグリ、どうしてこんなに落ち着いてるんだろう?
昨日から何をするにしてもやたら手際はいいし、こっちの意も汲んでくれる。
もしかすると、この世界で一番頼りにしていい存在かもしれない。
「とにかくそういう訳だから、食い終わったら城にいくぞ」
(43)
城に入ると、昨日と同じ位置にハルヴァー宰相は立っていた。
エルリッドは視線を感じてビクッっと大きく反応した後、俺の後ろに隠れるような格好で付いてくる。
「宰相様、昨日はワインご馳走様でした」
「…あぁ」
顔色は変わらない。なかなかポーカーフェイスのようだ。
「今日は先にクリルラ様に用があるので、お話はその後でもよろしいでしょうか?」
「かまわん、2時間後に昨日の部屋に来るがよい」
ジロリと俺の後ろへ視線を送ったのが見えた。
エントランスを出て神殿騎士団の詰め所に入る前に、ちょっと後ろを振り向いた。
「どうやらご立腹のようだねぇ」
にやりと笑いながら言ってみた。
「笑い事じゃないですよぅ…」
しかしまぁ、後で話すときに上手く立ち回るしかないだろう。
とりあえずクリルラに話をしてみるのが先決だ。
「んじゃ行こうか」
そういって俺は神殿騎士団詰め所の扉を開いた。
(44)
詰め所に入ると、エルリッドはサンドリア式の敬礼をした。
俺も真似をしてみるが、どうもしっくりこない。
「慣れない事はするものじゃないわ」
可笑しそうに微笑みながら、クリルラは言った。
クリルラはエルリッドにお茶を入れてくるように指示をすると、いすを引いて座るように促した。
正面にクリルラが座るのを待って切り出す。
「昨日、ハルヴァー宰相に薬を盛られそうになりましてね」
「!?」
クリルラの顔色が変わった。相当驚いているらしい。
「エルリッドが付いていながら、そんなことが?」
「まぁ、詳しいことは彼女が戻ってきてからにしましょう」
俺は努めて冷静に言った。
エルリッドがお茶の入ったカップを3つ持ってきてそれぞれの席に置いた。
昨日と同じバタリア茶だろう。
彼女が席に着いたのを確認してから、続きを話し始めた。
(45)
事情を話すと、クリルラはじろりとエルリッドを睨み付けた。
すっかり竦んでしまっているエルリッドは、なんだか小動物のようだ。
「宰相様の命令とあっては仕方なかったんでしょう」
と俺は軽い口調で言ってみる。
今度は俺が睨まれた。苦笑いを浮かべて誤魔化しておいた。
「俺がお願いしたいのは、この娘が何らかの形で処罰されるのを避けてほしいって事です」
「どういう意味かしら」
「そのままの意味です。宰相様の命令に失敗したことで、この娘に何らかの処罰が下される可能性があるでしょう?」
「それはないわ」
クリルラは言い切った。
「そもそも正規の命令ではないし、そんな任務を神殿騎士団の一兵卒にさせること自体がお門違いもいいところだわ」
なるほど、正論だ。
「それよりも、その命令のことを私に知らせなかったことが問題なのよ」
処罰することがあるとすればその件だ、とクリルラは言った。
隣でエルリッドがますます小さくなるのがわかる。
(46)
「申し訳ありません…」
「申し訳ありませんじゃないでしょう?あなたのしたことは軍規はおろか人としてやってはいけない事よ?」
随分と厳しいことを言う。おそらく、クリルラとしてもエルリッドには目をかけていたのだろう。
「はい…」
あぁ、また泣きそうな顔になってる…
「それでクリルラ様、もうひとつお願いがあります」
「なにかしら」
機嫌が悪そうだ。さもありなんというところではあるが…
「彼女をこのまま俺の監視として付けておいてもらいたいんですよ。」
あぁ、また驚いてるな…
隣のエルリッドもこちらを見て驚いているのがわかる。
「昨日と今朝に彼女とは色々と話をしましてね。俺としては彼女が近くにいた方が都合がいいという判断をしたんです」
「どうしてかしら?」
「腕っ節も信頼できるし、素直ないい娘ですからね」
前者は押し倒されたときに嫌というほど味わった。もちろん、その部分は説明から割愛している。
(47)
「お構いなしとして欲しいならただ黙っていればよかったんですが、
今後彼女が宰相様にまた何かさせられる可能性もあるかと思いまして」
要するに、宰相の命令を聞かなくともよいという認識をエルリッドに与えて欲しい、と話した。
「わかりました。エルリッド、そういうことだから今後は気をつけなさい」
「はい、かしこまりました…」
相変わらず泣きそうな声ではあるが、かすかに笑っている気がする。
ひとまずこれで用件のひとつは片付いた。
眼鏡をはずして、バタリア茶を一口飲んだ。
「でも宰相様の行動も不明な点が多いわね…」
首をかしげながら、悩ましげに眉根を寄せる。色っぽいねぇ…
「それに関してはこの後直接お話させていただくので、その際に伺っておきましょう」
「そう…それじゃ、その内容も私に知らせて頂戴。必要なら同席しましょうか?」
「それは結構です。えげつないやり取りになるかもしれませんので」
少なくとも、そういう覚悟でいたほうがいい。自分に言い聞かせるように俺は言った。
「彼女もここに置いて行きます」
「そう、わかりました」
(48)
「ルーファスさん…」
心配そうに上目遣いで俺を見るエルリッド。こっちもカワイイ…
「こっちも用意はしているし、大体向こうの欲しがっている情報もわかってる。心配はないよ」
もっとも、実際はどういう出方をするかわからない以上、心配なんて山積なんだが…
詰め所の壁にかけてあった時計を見ると、まだ30分しか経ってなかった。
約束の時間までまだ1時間半ほどある。ちょっと手持ち無沙汰になったな…
「ルーファスさん、約束の時間までまだちょっとありますよね?」
「あぁ、丁度そう思ってたとこだよ」
「それじゃ、少し体を動かしませんか?」
「お、いいねぇ」
そういえば昨日ロンフォールでちょっと戦闘してみたけど、あまりしっかりと体を動かしたとも言い難い。
今のこの体は元の俺の体じゃない以上、入念に確認しておかなきゃいけないなぁ…
「それじゃ、そうと決まったら行きましょう!」
エルリッドはもうすっかり立ち直ったらしい。まぁよかった。
(49)
城の外に連れ出され、兵舎のような場所に通された。
「ルーファスさんはモンクですよね、これ付けてください」
綿の入ったグローブのようなものを手渡される。
「最近サンドリアでは格闘の使い手が少なくって、一度手合わせしてみたかったんですよ♪」
「いや、そういう問題じゃないでしょ…なにこれ、マジ?」
エルリッドの方は自分の腰にあった剣に綿の入った布の袋をかぶせて紐で結んでいる。
サンドリアの戦績交換品の金太郎鎧を着て、準備万端といった感じだ。やる気満々だな…
俺も羅漢作努衣に着替える。
「と、とりあえず準備運動いいかな??」
屈伸から始まって伸脚、一通りの準備運動をしてみる。
感想としては、明らかに体の動きがいい。身体能力は元の体よりも遥かに良さそうだ。
昨日双竜脚を撃った時点で気が付くべきだった。あんなに身軽に俺が動けたはずがないんだ。
だが、どの程度というまでは実際にやってみないとわからない。
「準備できましたか〜?」
待ちきれない子供のような顔でエルリッドが待っている。
気が付くとクリルラも来ていた。
「私も見学させてもらうわ。異世界の体術なら興味もあるし」
いや、そんなに期待されても…
(50)
「それじゃ、行きますよ〜」
「あ、あぁ、お手柔らかに…」
エルリッドの目つきが変わった。ありゃぁマジだな…
こっちも気を引き締めないとこっぴどくやられそうだ。
とりあえず左足を前に出して半身になり、両手を開いた状態で前に出し縦にそろえて構える。
「かわった構えですね」
声をかけてはくるが、目が笑ってない。
「あぁ、俺の世界でも比較的変わったものかもしれないね」
そしてとうとう空気が一変した。
エルリッドは右手に剣、左手に大きな盾を構えている。
ナイトだな。そりゃそうだ、騎士団だもんな。
と思っている間にエルリッドの剣が飛んできた。横からの払い切り。
俺は後ろに飛んでかわす。
(51)
「あれ…?」
50センチほど後ろに飛んだつもりが、なんだかえらく距離が離れてしまった。
2〜3メートルくらいだろうか。
手足が長いことと、身体能力の問題だろう。この誤差も埋めていかなきゃ…
そう思っていると今後はエルリッドの突きが飛んできた。
少し体をずらしただけで避け、左手の甲を柄のあたりに添えて受け流す。
と同時に盾に向かって思い切り右拳を繰り出した。
「おおおおぉぉ!!」
思わず雄たけびが出た。
途端、あたりに低く重い音が響いた。
「いってぇ…!」
右拳には鈍い痛みが走っている。折れちゃいない。拳骨が盾にクリーンヒットした証拠だ。
エルリッドは元いた場所から後ろに2回転ほどして、膝を付いている。
動揺しているようだ。
盾は真ん中に大きなへこみが出来ていた。
エルリッドの目がさらに厳しくなる。
もしかして、怒らせちゃったかな…
(52)
体勢をすばやく立て直したエルリッドが気合を発しながら駆け寄ってきた。
「えぇぇい!!」
へこんだ盾を前に構えた状態で剣は後ろから出てくるようだ。これでは剣の出所がわからない。
俺は身を低くして構えると、剣が見える瞬間を待った。
見えた。
大きく右足を踏み込み、後ろから上を回すようにして剣が振り下ろされる。
その瞬間体を前に出しつつ体を開いて剣の軌道から自分の体を完全に外す。
左手の甲をエルリッドの手首にかけつつ、体全体は剣を振り下ろそうとする腕のわきの下を完全に抜けた。
抜ける瞬間、右手で剣を持っている腕をつかむ。
振り下ろす勢いは止まらずに、そのまま体ごと宙を回転して石畳に叩きつけられる。
ガシャン!
乾いた音が鳴ったが、これで止まらない。
右手で手首を固定したまま。左手をひじに当てる。
その状態で捻る様に引き付けて自分も回り込み、仰向けの状態からうつ伏せにして腕を極めた。
(53)
「そこまで!」
クリルラが大きな声で終了を宣言する。
極めた手を緩めると、ゆっくりとエルリッドが立ち上がって、満面の笑顔ではしゃぎだした。
「すごいです!ルーファスさん!私本気でやったのに!」
「あ、あぁ…」
やっぱり本気だったのかよ…少し体を動かすって言ってたのに…
「すごいわね、あんな動き初めて見たわ…」
クリルラも興奮気味に話しかけてきた。
体が思うように動くだけじゃない。異常なほどよく見えている。
「エルリッド、先に戻って着替えてらっしゃい」
クリルラは短く言うと先にエルリッドを帰した。
クリルラはエルリッドを見送った後に、やや厳しい目つきで切り出した。
「ルーファス、さっきの技、特に最後の投げ技は人間相手の戦闘に特化した技ね」
よくも一度見ただけでそこまでわかるものだ。
「えぇ、俺の世界にはモンスターや獣人はいません。人間の敵は人間なんですよ」
短く決め付けるように言ってから、クリルラを促して城に戻った。
>>273 こ、こんなページあったのか…、
とりあえず二つのパターン書いてみます。
定義みたいな見分け方のは、一番重要な所みたいです。
女が好きな女性→レズビアン
偶然好きになった人が女性→百合
男色の方はホモか、そうでないか しか無いようです。調べた限りでは。
291 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/06(木) 01:01:38.33 ID:zMGY7ZRQ
皆様、投下&まとめ乙であります。 iPodで遊んでたら、こんな時間にw
サン464さんの自分とキャラとの関わり、おもしろいです。ちょっと参考にさせてもらおうw
人間から見たら両手剣かもですが・・・、LLサイズの片手剣でヒャッホィです。わかってくれてテラウレシスw
>>83さん、100氏と合流乙です〜。GJ! そういえば、83さんのキ
>>228さん、仕事しn
>>261さん
うっをおおおおお!!! 嬉しいぃぃぃ!! GJ!!!!!
これをきっかけに描いてくれる神が増えたらイイナァ
アルルさん、わっふるわっふる 超わっふる!
ユリフィナさん、ぐぐっと迫ってくるような内容でしたねー。
Leadは憎しみ、ユリフィナさんは残酷さ、どっちもほっとくとダークサイドに落ちそうです・・・w
衆道一直線
どれほど剣を振るったのだろうか。
視界が真っ赤に染まっていた。
すでに満身創痍だ。
最後の一体が腰骨を失い、のたうっている。
俺はそれを見下ろして、剣を逆手に持ち替えた。
「っがぁぁぁぁぁあァあああアアアアア!!」
吼えた。渾身の力で、直下に剣を突き刺した。
甲板に動く者はない。
累々と築かれた屍の山に、俺は立ち尽くした。
力尽きて膝をつきそうになって、剣を支えにして耐えた。
まだだ。
あと一つだけ、やることが残っている。
動いてくれ、俺の体・・・。
294 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 01:50:29.35 ID:Z8Gncjn+
>>261の絵が見れないことで俺は深い悲しみに包まれた。寝る。
レスが付いてたの見落としてました…
>>226 エロの実践…ちょっとがんばってみますw
>>227 口移しじゃなきゃダメなんです!
>>まとめの方
ご苦労様です!機能が一杯付いてきましたねw
では皆様わっふるわっふる!
沈みかけの夕日が、あたりを真っ赤に照らす。
眠りも気絶もできない俺の意識は、全身を襲う痛みを絶え間なく感じたままだ。
俺は残りの気力を振り絞って直立した。
ずっと操舵室から見守ってくれていたアルドを振り返る。
ダンベルをぶら下げたように重い腕を上げ、握った拳をまっすぐに伸ばして親指を立てた。
サムズアップ。
アルドに笑顔が戻る。転びそうになりながら階段を駆け降りてくる。
あぁ、そうか・・・。
俺は、おひさまのような笑顔が見たかったんだ。
カッコつけるのも楽じゃないけど、これくらいのご褒美はもらってもいいよな。
全身を護っていた純白の甲冑が、ゆっくりと光の粒子になって消えていく。
アルドが胸に跳びこんできた時には、もうエルヴジャーキンを着た元の姿に戻っていた。
スピードの乗った機船は黒い雲を突き抜けて、海賊船を遠く引き離していた。
クマヒゲオヤジの腕と自信は、ハッタリじゃなかったようだ。
航路あやまたず、船の行く手には絶壁を削り取ったようなマウラの港が見えていた。
297 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 02:10:48.55 ID:HuHiiV6y
ユリフィナ_19さんのファンなんですが、ワッフルワッフルして欲しくないなぁw
わっふるわっふるも良いんですけれど、あんまり走りすぎても安直な気がする…
あくまで個人的な感想ですけれど。
今夜はこれにて。
>>297 口移しはエルオスの特権だよねw
300 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/06(木) 07:05:25.30 ID:w8K/Ii/W
301 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 07:45:16.92 ID:b2ZeY0ef
このスレは国際テロリストに占拠されました
スレノ続きを見たければコマンドーと書き込んでくださいです。
302 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 08:23:18.61 ID:3mwfVsoA
コマンドー
303 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 09:25:05.06 ID:YSFW0l5k
テコンドー
截拳道
305 :
261:2006/04/06(木) 12:05:07.72 ID:CdiUptQL
いきなりコロ助ばれてるし…
いつもこのスレは楽しく読んだり書いたりさせて頂いております(`・ω・´)ゞ
誰か絵師様降臨しないかな〜と思っていたので、呼び水になればと思い稚筆を取らせて頂きました(`・ω・´)ノ
306 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 12:24:37.42 ID:b2ZeY0ef
>>261 あまりの速さに分身して見えるハイパージェットストリームアタックかと思った
投下いきます。その前にちょっとレス。
>>248 お楽しみあれ【/grin】
>>261 コロ助だけ絵柄違うし、すぐバレるんじゃw
>>291 >そういえば、83さんのキ
にゃー
-、 ,.-、
./ .\ / ヽ
/ ;ゝ--──-- 、._/ .|
/,.-‐''"´ \ |
/ ヽ、 |
/ ● ヽ|
l (_人__ノ ● l いや、そんな事言われても
.| ´´ | / | ワチ猫やし
l ヽ_/ ´´ l 「キ」だけじゃ何のことやら
` 、 /
`ー 、__ /
`'''ー‐‐──‐┬‐‐'''""
/ |
/ |
「話したい事は山ほどあるけど、まずはこの荷物片付けないとな。
悪いけど、この先の噴水広場で待っててくれるか? 終わったらすぐ行くからさ」
ひとしきり笑った後、彼女はそう言った。
自分も話しておきたい事がいくつかある。願ったり叶ったりだ。
『オッケー。用事も無いし、このまま広場に行ってるよ』
そう告げると、彼女は石の区のほうへ走って行った。
手の院で話を聞きたかったが、彼女がいつ戻るかもわからないことだし、余計な時間は割けない。
とりあえずは、彼女と話をした後でも良いだろう。自分も広場へ向かう。
広場の中央には少し大きな木。木を囲むように石組みの噴水と、そこから湧き出た水が流れる小川。
小川の随所に小さな木組みの橋がある。橋の上では何人か、釣りをしている冒険者も居る。
他にも居住区前ほどではないが、バザーを開く者、品物を横目に行き交う者。
競売に向かう方角の通路の近くに、簡素な作りのテント。あれは露天だろうか。
興味は尽きないが、ひとまず噴水の縁へ腰を下ろす。
噴水から流れる水と木陰になってる事もあり、周囲よりも少し涼しい。
時折遠くから、何かを頼むような英語の声が聞こえる。意味は理解できないが。
モグの言っていた通り、かなりの人が活動している場なのだろう。
行き交う人々を眺めながら、宅配に行った彼女を待つ。
(そういえば名前・・・聞いてなかったな・・・)
リアルな人間と初めて会えた嬉しさで、すっかり失念していた。
陽が真上から少し傾き始めた頃、彼女はやってきた。手に何かを持っている。
「おまたせ。飯、まだだよな?」
言うが早いか、持っていた物を手渡される。紙に包まれたそれはまだ暖かい。
・・・そういえば、こっちに来てから飲まず食わずだったな。
包み紙を破く。程よく焼けた肉の香りが鼻腔をくすぐる。
中を見てみると、ピザのようなものが二つ折りになって収まっていた。
「マトントルティーヤ。名前くらいは聞いたことあるだろ?」
隣に腰掛け、既に齧りついていた彼女が言った。
『あぁうん、ありがとう』
礼を言い、彼女に習って齧りつく。唐辛子の辛味がアクセントとなり、忘れていた食欲が喚起させられる。
しばらく食べる事に専念する二人。のどかな食事風景に見えるだろうか。
「ごちそうさまでした、っと」
先に食べ終えた彼女が、包み紙をくしゃっとまとめながらこちらを見る。自分も急いで片付ける。
「そういえば自己紹介してなかったな。俺は98・・・つっても、知ってるみたいだな」
そう言って彼女――98は笑う。食べ終えた包み紙を折りたたみながら問う。
『きゅーじゅーはち?って呼べば良いのか?』
はっきり言って、呼びにくい事この上ない。それを告げると、自嘲気味に98が言う。
「んじゃさアンタ、俺に名前つけてくれよ」
・・・・・・なかなか無茶を言う。
「実を言うとさ俺、こっちに来てからIDかレス番でしか呼ばれてなくてさ。
キャラの名前あった筈なんだけど、こっちに来たドサクサで忘れちまったみたいなんだよな。
今まではNPC相手だったし、それで良かったんだけどさ。他のプレイヤーに会った時、
98って呼ばれるのもイヤじゃん? だからさ、頼まれてくれないか?」
手を合わせて「おねがいっ!」っと付け加える98。こういう時だけ容姿を武器にするな。
『ていうかさ・・・冒険者のカードに名前、載ってるんじゃないか?』
自分のカードを取り出し、98に見せながら、モグから聞いた説明をする。
納得したのか、自分のカードを探す98。今言われるまで、存在すら気付いていなかったのか。
自分のように鞄を持ち歩いていない98は、衣服の中までまさぐっている。
時折チラチラと、艶かしい肢体が見えるのに、98は気付いているのだろうか。
(・・・・・・少しは恥じらいってモノがないのかね)
横目で見ながら、そんな感想を抱く。止めずに見ている自分も自分だが。
「っだぁぁぁ! 邪魔だ、こんなもん!!」
何を思ったのかいきなりの絶叫。周囲を見渡したが、幸い誰も気付かなかったようでほっとする。
上着に手を引っ込め、両手で器用に――衣服の中が見えないように――何かを外している。
98の右手に引っ張られて出てきたのは、かなり長さのある布。
『・・・サラシ?』
包帯のようなその布は、98の胸を今まで覆っていたらしい。
直後。上着の隙間から、小さなカードが地面に転がり落ちた
「お、こんなとこにあったのか」
カードを拾い上げ、まじまじとそれを見つめる。
「んーと、Mio・・・ミオだってさ」
他人事のように言う。いや、名前が分かったのは良いんだけれど・・・。
『ずっとその・・・サラシ巻いてたのか?』
自分の視線は、98――いや、ミオの持っているサラシと、封印を解かれた胸を交互に見ている。
デカい。今までエル♀の胸は大きくないものだと思っていたが、考えを改めねばならないようだ。
「いやー。下着つけてたんだけど・・・固定力弱くて、走ると揺れるもんだから。
結構邪魔だぜ?擦れると痛いし。汗かくと蒸れるし。だからこれ巻いて、締め付けてたんよ」
手に持ったサラシを、ひらひらと動かす。
そういう話は聞いたことあるが、正面きって言われても困る。
『言ってる事はわかったけどさ・・・とりあえず衣服、直してくれ』
そこまで言われて気が付いたのだろう。乱れた衣服をそそくさと直す。
「見られても減るもんじゃねーけどな」
天下の往来でそういう事を言うか。女性に殺されるぞ。男にはわからない何かが減るんだ、きっと。
「つーかアンタ、横で見てただろうが」
気付かれてた。いや、気付かれていないとは思ってなかったが。
『見られて減るもんじゃないだろう。それに、不可抗力だ』
真顔でそう返しておく。自分もこれで、女性の敵になったに違いない。・・・ヤな話だ。
「これで自己紹介できるな。改めて、俺はミオ。
サンドリア所属の・・・今は赤魔LV1だな。よろしく」
何事も無かったかのようにミオが言う。そういえば、自己紹介するんだった。
『さっきカード見せたからわかるだろうけど、俺はレイン。
ウィン所属のモンクで、LVは12。ひよっこだけど、よろしくな』
言って手を差し出す。ミオも気付いたのか、手を出してがっちり握手する。
どちらともなく手を離す。そして、ミオが切り出した。
「レインも、あのスレ見てここに来ちまったクチだよな?
俺がこっち来てからかなり経つけど、今でも来ちまってる奴は多いのか?」
とりあえず、自分が記憶している限りの事を説明する。
それと、イッチが生きている事・・・。これを話したら、ミオは自分の事のほか喜んだ。
『こんなところかな。まだ来たばっかりなんで、今度はミオの話、聞かせてくれるか?』
頷くミオ。それに合わせて、黒髪がサラリと流れる。
「ウィン着いてから、移籍しようと宅配の仕事してる・・・のは知ってるよな。
あれから暫くして、コンクェストの集計があってさ。ウィンが上位に食い込んだせいで、
移籍金は足りないし、今までコンクェストの成績は変化無いし。
仕事放棄して外に出る訳にもいかないからさ。宅配しながら情報収集してた」
苦々しい口調から、何かと苦労しているという雰囲気が伝わってくる。
苦労話にも興味はあるが、何よりも戻る為の情報が欲しい。
『それで、何かわかった事は?』
単刀直入に切り出す。額に皺を寄せ、ミオはう〜んと唸る。
「宅配仕事のおかげで各院のお偉いさん方に、会えるには会えたんだけどさ・・・。
まだ何も掴めて無いの一点張りで、噂話程度しか情報集まってないんだよな。
ヴァナで生活してる――いわゆるNPCな? その中でも特産関係の商人だとか、
情報に聡い奴らなんかには、俺らみたいな冒険者の事、結構知られてるみたいだな。
あとは、国に直接関係してるガードだとか、モーグリなんかもそうかな。
一般住民なんかには、無駄な不安を煽るだろうし、知らされてないんだと思う」
上のほうで緘口令でも布かれているのだろうか。
一般民や他の冒険者にも、自分たちの存在が知られているのなら動きやすいのに。
その事を口にすると、とんでもないと言われた。
「いいか?そもそも俺らは、この世界からすればイレギュラーな存在でしかない。
絶対数が少なすぎるんだ。最悪俺らを消せば元通り、普段のヴァナだ」
考えて、背筋が寒くなる。確かに、そういう可能性だって否定できない。
むしろ、手間を考えるならば、不安分子を消すほうが手っ取り早い。自分ならそうする。
それでも敢えてそうしないのは、何かしらの理由があるのだろう。
『生かされている・・・って思ったほうがいいのかな』
不安が口に出た。
「そう思ってたほうが良いだろうな。少なくとも、冒険者として普通に振舞っていれば、
罪人にでもならない限り、殺されるって事は無いだろう。それだけはガチ」
『それだと冒険者として、ヴァナで一生を終える事になるよな・・・』
「それも、選択肢の一つだろ」
考えたくはないが、戻る手段がみつからなかった場合、そうするしか無い。
ミオも同じような事を思ったのだろう。ほぼ同時に、ため息をついた。
「でもまあ、ウィンダスのみで集めた情報でしかないし、ジュノ辺り行けばもっと何かわかるかもな」
そうか・・・。この世界で、最も人と物が集まる場所。それはジュノだ。
集まる情報だって段違いだろう。
「あとはさっきも言ったけど、お偉いさんに接触する。事情さえ話せば、手助けの約束はしてくれるぜ。
俺はLV低くて役立たずだから、リアルの話くらいしかできないけどな」
自分も高LVという訳ではないが、少しは何かの役に立てるだろうか。
「それなりに出来る事はあるし、落胆するにはまだ早いな」
元気付けるように言われた。
多分それは、自分自身に言い聞かせる意味もあったのだろう。
『諦めたら、そこで試合終了ですよってやつか』
言って、また二人で笑う。
笑えるうちはまだ大丈夫。自分にそう、言い聞かせた。
316 :
83 ◆W0QmuTI9lM :2006/04/06(木) 12:50:20.61 ID:RSlGmiW7
以上。最後にageつつ、100氏(まとめでは97氏)のテンプレと注釈を。
初出:1スレ98(本文は100より)
PC(仮)名: Mio(ID:wfMT4t1Oより、M1Oを拝借)/ 中の人:100(ID:wfMT4t1O)
種族フェイス: エルヴァーン♀F6B
ジョブ&Lv:ALLジョブLV1サポ無し。現在は赤。
特記事項:自転車・模造刀・トイレットペーパーを持ち込み。
活動エリア:サンドリア→バルクルム砂丘→汽船経由→ウィンダス
あらすじ:スレを覗きヴァナへ。サンドリアへ降り立ち、ガードを殴ったり色々。
ロンフォにて
>>1と遭遇。その後しばらく一緒に活動する。
宅配の仕事を終えて
>>1のモグハへ行くと、危篤状態の
>>1から知らせを受ける。
>>1を担いで自転車で砂丘に赴くも、ゴブリンクで重態を負い
>>1と離別。
近くに居たフレンドに助けを求め、汽船でウィンダスへ。
そこで宅配の仕事をしつつ、移籍金を稼ぐ日々。
他キャラとの接触:1スレ目の
>>1 >>119 >>120 2スレ目の
>>83 かなり勝手に弄りました。【許してください】w
*本文中のサラシは、腰装備の「さらし」とは関係ありませぬ。
317 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 13:27:06.65 ID:6ZAuEKAP
ワクワクテカテカ
生かされてるって考えるとこわいなぁ…
あぼーん検出って…このスレのどこがあぼーんされたんだか…w
319 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 15:03:11.22 ID:kZ4Z8/2E
少し書いたの投下してみる。
320 :
319:2006/04/06(木) 15:05:59.95 ID:kZ4Z8/2E
そう。あれは先週の事だった―――――
気づいたらモグハウスで自慰をしていた。
「・えちょ 気持ちいいwwwwwwwww」
ベットの横にあるわらで寝ていたモーグリが苦しそうに寝返りをうった。
モーグリが居る…それに気づいたチキンな俺は一応
「ミスwwwwww」
と言っておいた。
…ん?なんでモーグリが居るんだ?
さっきまで自分の部屋でやってたはずなのに。
「ちょwwwここどこwwwwww」
思わず発してしまった声にモーグリが起きる。
「どうしたクポ?」
…そうか。あの掲示板か。ついに俺も…
321 :
319:2006/04/06(木) 15:07:06.27 ID:kZ4Z8/2E
「ちょwwwご主人様wwwwwその格好見てられないクポwwwテラワロス」
日ごろ「w」を多用していた俺の話方が移ったのか
このモーグリも「w」を多用するらしい。
それより途中だったから下半身の服を何も装備していなかった。
急いで近くにあった種族脚を着た。
どうやら俺はヒュームらしい。
ジョブは分からないが壁に両手剣が立てかけてあった。
暗黒騎士みたいだな…。
とりあえず町に出てみるか。
「少し競売見てくる。じゃあまたな。」
「わかったクポwwwww帰ってくんなよwwww
あwwwwクポ付け忘れたクポwww」
…うざかったのでモーグリを殴ってみたら、
天井を突き抜けて上の階まで行ったみたいだ。
「・えちょ 俺ってSTR高すぎwww修正されるねwwwww」
「ミスwwwwww」
322 :
319:2006/04/06(木) 15:09:19.56 ID:kZ4Z8/2E
とりあえず終わり。
続ける予定ないけどもしかしたら続けるかも。
323 :
319:2006/04/06(木) 15:18:33.68 ID:kZ4Z8/2E
初出:2スレの319
PC名(仮):319
種族フェイス:ヒューム(顔は未定
ジョブ&Lv:暗黒騎士みたいだ。本当はなんのジョブかは分からない。
特記事項:
活動エリア:モグハウス
あらすじ:モグハウスで目覚めた。まだそれだけ…。
他キャラとの接触:とりあえず無いです。
>>316 投下乙です!
エル♀の胸は実は大きいんですね!
>>319 ぜひそのままの感じで続きを…w
書き溜めた分投下しますー
(54)
「とりあえず、最後の大振りはいただけなかったかな」
「そうね、動揺して動きが単調になってたわ」
神殿騎士団詰め所に戻ると何故か反省会になっていた。
「でも、ルーファスさんがあそこで前に出てくるとは全然思ってませんでした」
「何にでも対応できるようにしなきゃ。相手が何をしてくるかなんてわからないし、何が起こるかもわからないだろ?」
そう、俺みたいに朝起きたら自キャラになることもあるのだから。
そろそろ時間に近くなったので、クリルラとエルリッドを置いて詰め所を出る。
さて、ここからが正念場だ。
エントランスにはハルヴァーの姿はなかった。
もう先に向かったのだろうか。
昨日の部屋に向かうがやはりいなかったので、しばらく座って待つことにした。
やがて、カツカツという足音が近づいてきたかと思うと、静かにドアが開かれた。
そこには分厚い資料を片手に涼しい顔をしたハルヴァーが立っていた。
「これは宰相様、お忙しい中恐縮です」
もちろん社交辞令だ。精一杯の皮肉を込めて挨拶をする。
「すまない、待たせたようだな」
相変わらず無表情のままハルヴァーは席に着いた。
(55)
「先ほどの立ち回りを見せてもらったよ」
早々に切り出してきたのはハルヴァーだった。
「見たこともない体術だった。格闘とも違うな」
俺は内心で舌打ちを繰り返していた。
「まぁ、アレは趣味でやってたものの延長ですから」
「趣味の域であの動きか」
「えぇ、特別筋がよかったわけではありませんが、稽古だけはしっかりやってました」
ハルヴァーはふんっと短く鼻を鳴らした。
「私からもお伺いしたいことがあります。昨日の件です」
ハルヴァーの眉がピクリと動いたことを確認した。ここからは俺が聞く番だ。
「結局、薬はあの娘が全部飲んでしまいましてね」
それを飲んだ者がどうなるかまで俺自身の目で確認している、ということを暗に示した。
「むぅ…」
ハルヴァーは少し悔しそうにうなり声を上げた。
「私がお伺いしたいのは、宰相様がそうまで急いで私から情報を聞きだそうとしている理由です」
(56)
「…わかった。貴様は神殿騎士団の所属になるのだから、肚の探り合いをしても仕方あるまい」
意外とあっさり折れてくれた。俺にとってはうれしい誤算だった。
「理由は何点かある。ひとつは、貴様が元の世界の情報を忘れてしまう可能性があるということだ」
「…どういうことでしょう?」
「貴様と同じような境遇の人間を把握していると話したのを覚えているか?」
もちろん、覚えている。俺は強く頷いた。
「そういった連中は戦闘や冒険を避けて競売で日雇いの仕事を求めるらしい」
考えられることだ。それが本当かどうかは別にして、現代人の性向として辻褄は合う気がする。
「そうして生活する内に、元の世界の記憶を全て失い、完全にこちら側の人間になってしまうそうだ」
「記憶を失う、というのはつまり元の世界からきたという事実も、ということでしょうか?」
「そうだ」
「そしてもう一点、近頃冒険者が死亡する事件が増えている」
俺は少し戸惑った。
死亡ということは、昨日エルリッドから聞いた自殺の話以外にも、死ぬ場合があるということだ。
(57)
「私のような境遇のものに自殺する者がいるという話は伺いました」
「表向きは自殺なのだが、そうでないものもある」
その前に根本的な疑問をぶつけてみた。
「話の腰を折るようですが、こちらでは死亡してもHPに帰るだけと思っておりました」
ハルヴァーは若干あきれたような顔をした。
「モンスターや獣人に殺された場合はな。だが人間同士が殺しあった場合にはその限りではない」
さらに言うと、冒険者登録をした冒険者でなければHPに戻っては来ないらしい。
「なるほど。自殺も然り、という訳ですか」
「バリスタやブレンナーは競技として成り立つよう特殊な魔法を使用しているが…」
「話を戻そう。自殺が増えたのが先ず事実なのだが、状況的には他殺と見れるものが散見される」
「捜査は?」
「4国で散発する上に目撃者が皆無なのだ。今のところは何もわかってはいない」
自殺者の増加が捜査をさらに困難にしているそうだ。
木を隠すには森の中とはよく言ったものだ。
大量の自殺に紛れてしまえば殺人もそのインパクトは薄れる。
(58)
「他殺という確証は?」
「背中を刺されて死んでいる者を、誰が自殺と思うかね?」
そりゃ完全に他殺じゃねぇか。
「だが、世界中で殺人事件が散発しているという事実は、国家秩序を司る政府機関の信頼を失墜させる」
「それで自殺事件に紛れ込ませているということですか」
情報操作ということか。つまり、そうまでしなければいけないほど何もわかっていないということだろう。
「確証があるわけではないが、タイミングとしては貴様のようなものが現れるようになって事件が起こり始めたようだ。
殺されているのも、自殺したものもおそらくはそういった連中だろうと見ている」
「クリルラが護衛をつけなければ、私の手の者を出すつもりでいた」
俺の方を恨めしそうな目で見た。
この宰相の手のものであれば、薬の件にしても昨日のようにばれることもなく、
俺は洗いざらい話していたかもしれない。
「私の部下と同じ感覚であの娘を使ったのが、先ず失敗であったわ」
ハルヴァーは悪びれる様子もなくニヤリとした。
このおっさん、ホント大物だわ…
「さらにもうひとつ、単純に貴様に逃げられてはかなわぬと思ったまでよ」
(59)
大体の事情は飲み込めた。とりあえず俺に危害を加える気はないらしい。
「さてルーファス。ここまで私も話したのだから、貴様のことも聞かせてもらおうか」
来たか…
「宰相様、本当に申し訳ないのですが、私はこの世界では到底考えられないような仕事をしていたのです」
「考えられないとは?」
「この世界に存在しないものを扱った仕事で、しかもそれ自体はこの世界では作り出しようがありません」
「話が見えぬな…」
「例えば、金属素材を扱った仕事であれば治金技術をお教えすることが出来るでしょうが…」
つまり、ないものに関する知識を教えても、それが存在しなく作り出せない以上意味がない、
という旨を伝えた。
「ふぅむ…」
ハルヴァーはひとまず納得しようとしているようだ。
「そうか、まぁ情報が必ず得られると思っていたわけでもない。今回は空振りであったという事でよかろう」
思い出したことや役立ちそうなことがあれば随時知らせよ、とハルヴァーは言った。
(60)
やや間が空いて、ハルヴァーが切り出してきた。
「先ほど話した冒険者が殺されている事件、おそらく実行犯は人間だ」
「なぜそう思われますか?」
即座に聞き返すと、宰相は少し考えてこう言った。
「犯行に使ったと思われる凶器がな、人間の使用しているものと思われるのだ」
「現場に凶器が残っていたので?」
「いや、凶器は無論残っていない。だが傷口の大きさからそう憶測できる、しかも…」
「実行犯は複数いると断定している。手口が微妙にどれも違うのでな」
「組織的に行われているということですか…」
「そうだ」
長い静寂の後、宰相は口を開いた。
「もし私の考えるとおり、異世界から来た人間が狙われているのだとすれば…」
俺の顔を見てニヤニヤとし始めた。
「貴様はうってつけの囮になるやも知れぬな」
(61)
「貴様が襲われたとしても、先ずは貴様の安全を確保することが先決だ、しかし…」
襲われるのは前提なのか…
「もし可能であれば、犯人を捕らえてくれ」
俺はハルヴァーの顔を真正面から見据えた。
わざわざこんな話をするくらいだ、多分本気なんだろう。
「記憶をなくしてこの世界に居ついた連中も狙われているのですか?」
「いや、そういった連中に手出しはしないらしい。むしろ貴様のように動き回ろうとした連中が
殺されているのではないかと睨んでいる」
「近日中に私が襲われる可能性はかなり高いと踏んでいるわけですね」
「そういうことだ」
要するに何らかのアクションを起こさない限りは大丈夫らしい。
それにしても『貴様のように』って事は、俺はもう狙われる前提なのか?
まぁ、こうやって国の要人に直談判している時点で手遅れなんだろうなぁ…
「そういう意味で言うと、貴様が神殿騎士団の所属になる事は結果的によい方向に進んだ」
後付けだが、確かにそうだ。
「だが、城に閉じ込めると囮の意味がない。貴様には当面今のまま昼に登城してもらうことになるだろう」
(62)
「まぁ事情はわかりました。ですが、それなら警護を増やすなりなんなりしていただけるのでしょうね?」
宰相は意外な顔をした。ん、俺なんか変な事言ったかな?
「何を言っている?貴様には既にサンドリア屈指の騎士が護衛についているではないか?」
「はぁ??」
思わず間抜けな声が出た。まさか…
「貴様の護衛についているエルリッドという娘は、この国の若い騎士の中では抜群の腕前だ」
「は、はぁ、そうなんですか…」
「その騎士を相手に貴様はあれだけ立ち回ったのだ。そうでなくてはこんな話はしない」
なるほど…なんだか合点がいった。随分と買いかぶられたもんだ。
「精神的に未熟な部分があることは今回の件でわかったが、貴様が付いていれば問題もなかろう」
「え…いや、そこもよくわからないのですが…」
「私を相手に渡り合おうという輩などそうはいない。そういう意味では、私は貴様の事を買っているのだよ」
言い逃れが出来る状況じゃないな…
「はぁ、そうですか…買いかぶっていただくのは光栄ですが、あまり期待されましても…」
「ルーファス」
不意に言葉をさえぎられて、宰相の方を見た。
「期待するしないの話ではない。貴様はどの道そうせざるを得ないのだ」
薄く笑いながら宰相はそう言った。
投下終了です。
ハルヴァー宰相はそんなに悪い人ではありませんでしたよって事で…
335 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 17:54:15.74 ID:b2ZeY0ef
>>318 専用ブラウザが壊れたらアボーンが出ることもある
336 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 17:58:17.45 ID:b2ZeY0ef
このスレみていて気がついたんだが
リアル男の女キャラプレイヤー多すぎ
テステス。
>>334 投下おつかれですー。
>>336 wwwwwwwwwwwwwwww
…orz
初投稿させてもらいます。
【0】
───意識が覚醒しようとしている。
今日も一日が始まる。
しかし、この朝は何かが違っていた。
まず最初に感じた異変は、風、だ。
普段の朝であれば、絶対にあるはずのない風が、
今は俺の頬を冷たく撫でていた。
次に感じたのは、左半身が何かゴリゴリしたものに
押し付けられているような不快な感触。
左向きに寝ているので、
いつも通りなら、そこには布団があるはずなのだが。
───意識が覚醒する。
俺の布団って、こんなに固くなかったよな…。
そう思いながら、パサパサになっている目をゆっくりと開ける。
ボンヤリとそこに見えたのは、薄みがかった褐色の景色だった。
目が乾いていてよく見えない。
一旦瞼をギュっと閉じ、
しばらくの間、そのままの状態を続けて涙を分泌させる。
そして、水気を蓄えた目を見開く。
【1】
やはり、そこにあったのは褐色の地だった。
…ここは外?
なんで、外にいるんだ?
俺は昨日も、いつも通りに、
自分の部屋の自分の布団で眠りについたはずだ。
辺りを確認するために起き上がろうとしたが、失敗した。
自分の上体が予想外に重く、持ち上がらなかったのだ。
???
そういえば、背中に違和感がある。
首を回して、右肩越しにそこへと視線をやると、
自分が、見覚えの無いリュックのようなものを
背負っているという事が分かった。
その大きなリュックは、いったい何が入っているのだろうか、
その許容量の限界まで物が詰め込まれているかのように、
パンパンに膨れ上がっている。
いったい、なんなんだ。訳が分からない。
【2】
とりあえず起きよう。
今度は後ろのリュックの重さも踏まえて、
右手を目の前につき、全身に力を込めて起き上がる。
リュックは見た目通り、まるで、小学校の終業式の日に、
ロッカーと机の中に溜め起きしておいた物を
全部いっぺんに持って帰る時のように重たかったが、
どうにか膝をついて体を起こすことが出来た。
そこで視界に入ってきた景色からは目をそらさずに、
肩からリュックをドサッと横へと降ろし、身軽になったところで、
足をついて立ち上がり、辺りを見回す。
そこは二方を高い崖で囲まれた、谷のような場所だった。
自分のいる場所は比較的広い広場のようになっているが、
先へ進むにしたがって崖同士の間隔が狭まっていき、
ここから50m程先になると、そこからは完全に細長い道になっていた。
地面には、ポツリポツリと植物の緑色が見られるが、
それ以外のところは、地面も、崖も、渇いた褐色系統の色ばかりだった。
「何なんだよ、ここ…」
思わず洩れた自分の声に、心臓がドキッと鳴ったような気がした。
【3】
「ぇあ?」
予想だにしなかった異変に対してあげた間抜けな声も、
やはり自分の声ではなかった。
そう、自分の声ではないのだ。
耳がおかしいのだろうか。
そういえば、何か聞こえ方が変だ。
両手を上げて、その場所に触れてみる。
…無い。
耳が無い。
頭が真っ白になり、心臓の鼓動がさらに速まる。
いくら探っても、そこには、
髪の毛と、平らな肌しか存在していなかった。
なんで?どうして!?
両手で頭を覆って、グシャグシャと掻き回す。
すると…、
あった…。
頭頂部付近の左右に、なにやら、
上方に向けて尖った形をしたものが生えている。
【4】
胸が苦しい。極度の緊張でどうにかなってしまいそうだ。
それの前方に開いている穴に指を突っ込んで動かしてみる。
”ジュリッ、ジュリッ”と、何かが動いている音が大音量で聞こえる。
異形の耳から両指を抜き、
今度は、元きた道へ手を滑らせていく。
頭頂部、側頭部、そして、首へ。
髪の毛はここまで続くと、さらに、後ろで一本にまとめて結われており、
その、結われた部分を根元から手で握ってみると、
片手だけでは、髪がはみ出てしまうほどの長さに伸びている。
俺の髪は、こんなに長くない。
まさかと思い、バッと胸に手をやる。
…ある。
いや…、というか、あり過ぎる。
【5】
視線を下に落とすと、その膨らんだ胸を覆っているのは、
正面に金色のボタンが2列に並んでいて、
右肩には金糸で刺繍が施されている、高価な印象の黒い服だった。
その下には、同系色のズボン、ブーツを履いており、
それらの左右の側面部には、服に施されたものと同様に
金糸で施された刺繍が、ライン状に伸びていた。
さらに手には、これまた同系色の革のグローブをつけており、
俺の体は、頭以外のほとんどの部分が黒色で覆われていた。
しかし、そんな自分の不思議な服装へと目がいったのは、
ほんの少しの間だけだった。
やがて、俺の視線は完全に、
左右の腰から1本ずつ伸びている棒に奪われていた。
右手をゆっくりと上げ、左腰の方の棒を握る。
いくらかの間。そして、引き抜く。
【6】
”シャイィン”
見た目以上にそれの重量があったせいだろうか、
もしくは、それが予想通りのものでショックだったからだろうか、
それとも、その、鋭く響いた綺麗な音にびっくりしたせい?
今の自分には理由になることが多すぎて、よく分からないが、
ともかく俺は、それを引き抜くと同時に下へ落としてしまった。
”ザクッ”
下方で鈍い音がする。
それと同時に膝の力が抜け、その場にへたり込む。
…寒い。
心臓がドクドクとフル稼働しているにも関わらず、
とうに血の気が失せて冷たくなっている手足。
脇の下は、冷や汗でグシャグシャになっていることだろう。
目の前の地面には、刀身の黒い短剣が突き刺さっている。
その短剣を抜いた時に空気を振動させて響き渡った音が、
一瞬で、今までの全ての異変を糸のようなもので繋ぎ合わせて、
答えを導き出したような気がした。
ここがヴァナ・ディールだ、という答えを。
以上で今の全部です。まだ導入部分だけ…w
話の路線も決めてないし、続きが書けるかも分からないので、
テンプレはとりあえず保留です。
346 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 18:56:12.58 ID:d6NghN4d
347 :
319:2006/04/06(木) 21:02:39.27 ID:kZ4Z8/2E
続き。つまらないと思うけど…orz
348 :
319:2006/04/06(木) 21:03:04.72 ID:kZ4Z8/2E
モグハウスの外はジュノ上層だった。
俺は最後ジュノ上層のモグハウスで落ちたみたいだ。
さまざまなシャウトが聞こえる。
「【テレポルテ】【ください。】【いたわる】1000G」
「【ガルカ】【私のもの】」
「今日ご主人様が????してたクポwwwwワラワロスwwww」
「【テレポホラ】【テレポデム】【テレポホラ】【いりませんか?】1500G」
…3番目はあいつか…。しかも気づいていたのか…。
349 :
319:2006/04/06(木) 21:03:30.74 ID:kZ4Z8/2E
大声で喋るとシャウトになると、掲示板に書いてあったのを思い出した。…試してみるか。
何を言うのか決める前に俺の口が勝手に動いていた。
「あのモーグリ殺すwwwwwwwwww」
…どうやらシャウトになったみたいだ。周りの人の視線が俺に集まる。
チキンな俺は下層まで全力でダッシュしていた…。
ジュノ下層は人が多い。多すぎる。
ゲームでは人の中を通り抜けられたのにここは通り抜けられないらしい。
ガルカ二人に押しつぶされそうになった…。
やっぱりここは剣や刀を鞘に入れずに腰に装備する人が多いみたいだ。
そのおかげで競売に着いたときは満身創痍だった…。
350 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 21:04:03.68 ID:kZ4Z8/2E
掲示板に書いてあった通り競売所から"紙"が渡された。
本当なんだな…。その"紙"に感動してしまった俺はしばらく、
いろいろな装備の履歴を見ていた。
…そういえば、この前ソロでBCをした時にでた"アストラルリング"競売に出していたんだ。
売れてたらいいな、軽い気持ちでアストラルリングの履歴を見てみる。
Pokotan → Pokotan 1.500.000
Pokotan → Pokotan 1.600.000
Pokotan → Pokotan 1.700.000
…下手な自作自演だ。これじゃ相場上げる事も出来ないだろう。思わず笑ってしまった。
351 :
319:2006/04/06(木) 21:04:27.57 ID:kZ4Z8/2E
お、あったあった。俺の"アストラルリング"売れてたんだ。
319 → Pokotan 150.000
Pokotan → Pokotan 1.500.000
Pokotan → Pokotan 1.600.000
Pokotan → Pokotan 1.700.000
…え?桁間違ってないか?それとも俺の目が…?
頭が痛い…あれ…周りがだんだん見えなくなってきた…。
352 :
既にその名前は使われています:2006/04/06(木) 21:44:44.57 ID:XwTb3ywI
私は気がつくとモグハウスの前に立っていた。たぶん無意識のうちにデジョンをしていたのだろう。
血に汚れた体のまま私は何も言わずにモグハウスへと入った。
ガチャリという音を立てて扉は開く。その音に気がついた地面に座り込んで何かを熱心に読んでいたモグタンが
本を投げ捨ててタオルを持ってこちらへとやってきた。
「クポポポポ、お疲れ様クポー。」
手馴れた様子で返り血をふき取るモグタン。ユリフィナさんはこうやって毎日のように返り血を浴びて
この家に帰ってきていたんだ。そしてそのたびにモグタンはこうやって血をふき取っていたんだ。
私が殺し続ける限りこのやり取りはなくならない。
なんだかタオルを持つモグタンの真っ白の手まで赤黒く見えた。
「お風呂・・・入りたい。」
「水浴びクポ?分かったクポ。とりあえず今の服は洗濯しておくから脱ぐクポー。」
いやらしい目つき手つきで白AFを脱がすモグタンを張り飛ばす元気もでなかったので、
私はなされるがままに脱がされた。そして服を脱がされ終わったところでクローゼットで私服に着替え、
水浴びのためのタオル類も準備した。さて、血を落としに行こうかな・・・
「モグタン、これもお願い・・・。」
私は血塗られてしまったリラコサージュをモグタンに手渡した。
「いってきます」
こういってモグハウスを出る私の背中にモグタンがこういってくれた。
「何があったかはわからないけど、元気出すクポ」
ありがとう・・・。でも、ちょっと元気にはなれそうにも無かった。
「平気」
私はこういって水浴び場へと向かった。木陰の涼しさも、夕方へと向かうひやりとしたさわやかな風も、
今は死体のようなぞっとする冷たさを連想させる。
(イヤだ・・・殺したくない・・・死にたくない・・・)
私へ抱きつくように力尽きたヤグードのつぶれた顔が脳裏にフラッシュバックする。
いや、潰れた顔ではなく潰した顔か・・・。飛び出した目玉が恨みがましく私を見つめる様子まぶたから離れない。
早く血と恨みを洗い流したい。その一心で私は走り出した。
ゴチィィン!と頭に強烈な一撃が入った。
目の前がチカチカするし、おでこもズキズキする。どうやら曲がり角から歩いてきた誰かと激突したらしい。
「いたたたた・・・」
「いったーーい・・・」
視界がはっきりとしてきてぶつかった相手と周りの好奇の視線が分かってくる。
クスクスという笑い声とたくさんの視線。恥ずかしい・・・今すぐこの場から逃げたい・・・。
でも、そういうわけにもいかないので私はよろよろと立ち上がりながら、
未だにしりもちをついているタルタルの女の子に手をさしだした。
「あの、大丈夫ですか?」
「だいじょぶだよ、ユリフィナ。」
その女の子は私の名前を呼んだ。・・・え?
「どうしたの〜?そんなにあわてて。」
金髪を左右で結んでいるシャントット先生とよく似た顔が小首をかしげる。
この顔とこののんびりした口調・・・リポケケだ。
「・・・リポケケ?どうしたのこんなところで。」
私はランデブーポイント以外でフェローと会うという想定外の事態に思わず質問されたのに質問しかえす。
いっしょにレストランにいったりしたのに今更、という感じだけれども。
「どうしたもこうしたも晩ご飯かいにきたんだよ〜。ほら」
そういってリポケケは鞄のふたをバッと開けた。ハートチョコ、ジンジャークッキー、スノールジェラート、
オレンジクーヘン・・・
「晩ご飯??」
太るよ?っていうかお菓子ばっかり食べてると体壊すぞ。
「うん、そうだよ〜。ところでユリフィナはどこ行くの?」
パンパンの鞄のふたを閉じながらリポケケがたずねてきた。
「私は水浴び。」
そういってタオルをひょいっと持ち上げる。
「水浴びか〜、私も行こうかな。」
リポケケが楽しそうにこういった。
「私も荷物モグハに置いてきたらいこうっと。」
「うん、おいで。」
私はこうにっこり笑ったつもりで答えた。本当に笑えていたかはわからないけれど。
「それじゃ、後でね〜。」
リポケケはそんな私に眩しい素敵な笑顔で手をぶんぶんふる。
私も彼女にひらひらと手を振り返す。
リポケケも冒険者だ。あの無邪気な顔と小さな手で何人もの獣人の命を奪っているんだ。
そう考えていると突然リポケケが恐ろしい人のような感じがした。
以上です。
>>297 応援ありがとうございます。安易に走らないよう気をつけます。
ルーファスさんなんだかどえらい人に捕まってしまいましたね・・・
>>83さんなんだか怖くなる内容ですね。でもこういう雰囲気好きです
>>319さん
>>337さん続き楽しみにしています。
最近暗闇の術を15万で出品したはずなのに何故か5万ギルで買われてたwwwwwwwwwwworz
358 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 01:13:56.69 ID:eHgJYWNR
夜中のage
前すれ 98だけどひさびさに除いたらえらい事になってるねぇ
俺は完全オナヌーではじめたのにSSスレになってたw
という事で多分ROMに徹するので纏めサイトのとこから俺のは削除しといてください
360 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 01:34:53.23 ID:/T9O4Asi
>>359 だがそうすると他の人のお話が成立しない罠。
このスレの世界の基本設定がほとんど前スレ
>>98氏の話からできているんで。
361 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 01:36:21.13 ID:/T9O4Asi
というか、98氏の話を心待ちにしてるので是非復活してください。
98さん、わっふるわっふる。
まとめの中の人からも期待しています。
一応まとめサイトのしきい値として
「
1.書く宣言をしている
2.ストーリーとして2レス分以上投下している
」
のどちらかを満たしている場合に掲載することにしています。
もし、著作権者としての削除を希望しているのであればその旨お伝えいただければ削除致します。
(それなりの本人確認はさせていただきますが。)
えっ?更新? …朝起きたらやりますw
363 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 07:11:40.32 ID:M9z8Kavf
保守しときます
364 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 10:49:51.35 ID:xVr8PGAg
お出かけ前のほすあげ
365 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 12:59:55.04 ID:Y+SPpD65
わっふるわっふる
( ゚∀゚)∩
⊂ノノ
367 :
83:2006/04/07(金) 15:02:25.86 ID:fILxiTXM
多忙につき本日の投下はナシですが、レスだけさせていただきます。
>>317 >>357 稚拙な文章の中から、そういう感情を抱いて頂けたのなら幸いです。
このままの暗くなるような雰囲気で続く・・・事は無いと思います、多分。
>>359 続投に関して。自分が98氏を動かしてしまった事も関係しているのでしょうか。
なるべく98氏の話の流れを動かさないように注意した内容にしたつもりですが、
問題があって投下できないのであれば、いくらでも書き直しますが。
(別のキャラに置き換えるだけなので、手間は少ないです)
まとめのSSを消す事に関して。できれば残しておいて頂きたいと思います。
世界観の大部分や、
>>1氏・
>>161氏の物語に関係している事もあり、
無かった事にされると・・・困りますよね。
後から読み始めるであろう方が居たと仮定して、物語の流れもわからなくなりますし。
何度も読み直していますが、面白いことも理由に挙げさせていただきます。
願わくば、続投を。ROM専になるとしても、SSはそのままで・・・。
368 :
既にその名前は使われています:2006/04/07(金) 21:04:35.84 ID:eNa2D+au
保守age
>>345 また一人犠牲者が…
続き待ってますw
>>351 私同じ事やって1週間ログインしなかったなぁw
>>ユリフィナさん
なんだか心配な展開です…
>>前スレ98氏
設定色々使わせてもらってるので、ぜひ続投を!
今日はちょっとだけ投下します。
(63)
神殿騎士団の詰め所に戻ると、クリルラが神経質そうに鎧や剣を眺めていた。
「あら、案外早かったのね」
俺を目の端で捕らえるとこう言った。流し目が素敵です…
「エルリッドは?」
「新しい鎧を鍛冶ギルドまで取りに言ってるわ。さっき出て行ったばかりだから当分戻らないかしら」
「ほ〜、新調するんですか」
「さっきあなたに殴られたり投げられたりしたせいで壊れてしまっていたのよ」
「ありゃ、そりゃ悪い事したなぁ…」
クスッと笑うと、お茶を入れると言って奥に引っ込む。
なんだかここに来る度にお茶を出される気がする。
きっとイギリス人みたいに、放っておけば一日中お茶を飲んでるに違いない。
「で、宰相様との話の内容は聞かせてもらえるのかしら?」
カップを俺に手渡しながら言った。
「えぇ、エルリッドもいないし、丁度いいので今よろしいですか?」
クリルラは短く頷くと目でいすに座るよう促した。
(64)
宰相との話の内容をつぶさに伝えると、さすがにクリルラの顔から笑みが消えた。
「…思ったよりも深刻なのね」
「そのようですね」
俺は出来るだけ淡々と話した。
「まぁ、エルリッドの剣の腕は信用していいわ。ああ見えて、若い騎士では敵なしだもの」
「そうだと宰相様も言ってましたね」
「あなたから見てはどう?実際に手合わせして思う事もあるでしょう?」
どうだろう。あまりに自分の思い通りに進んだので感想というほどのものもなかった。
「あの剣を食らったら、たとえ剣が布袋に入ってたって死んでしまいそうだとは思いましたね」
「気をつけたほうがいいわよ。あれで何人病院送りになった事か…」
軽く寒気がした。
「だから、間違ってもあの子には手を出さないほうがいいわよ?」
忠告のつもりだろうか。いや、昨日襲われかけたんですけど…
「そうそう、しばらく行動を共にしてもらうし、あの娘のことを少し話しておくわね」
(65)
エルリッドには両親と兄がいたそうだ。
ただ、10年前に事故で両親が他界した際、エルリッドは他所に引き取られ、兄は冒険者になった。
エルリッドが引き取られたのは武門の誉れ高い名家だった。
剣を始めたのはその頃からだそうだ。養父母はとてもできた人らしかった。
騎士団に入ったのは15歳、つまり去年の事だった。
わずか一年の間にメキメキと頭角を現し、剣術においてはサンドリアでも10傑に入ろうかという使い手らしい。
「ただ、まだ子供っぽさが抜けなくてね…」
「そうですねぇ…」
「エルリッドの兄って人は、今何をしてるんです?」
「さぁ?生きていればあなたと同じように冒険者をしてるんじゃないかしら」
「へぇ〜…」
色々苦労してんだな、あの娘も…
「…と、あなたはそういえば神殿騎士団見習いだったわね」
「あぁ、そうでしたね。具体的に見習いって何をするんです?」
「本当なら雑務をしてもらうところだけど、あなたに関しては特にないわね」
「何故です?」
「命の危険がある人間に、おいそれと仕事は頼めないもの」
笑えない話を穏やかな笑みを浮かべながら言う。
(66)
やれやれと思いながらお茶をすすっていると、勢い良く詰め所のドアが開かれた。
「ただいま戻りました!」
「おかえりなさい。ドアの開け閉めはしずかになさい」
振り向くと、敬礼しながら照れくさそうな顔をしているエルリッドがいた。
さっきとは違う、見慣れない鎧を着ている。
「クリルラ様!ルーファスさん!これ、最近開発された新発明の鎧なんですよ〜♪」
くるくると2回転して無邪気にはしゃいでいる。カワイイなぁ…
「エアリーブレスト。あなたの世界の技術を応用して作られた装備よ」
「鎧というには…随分と薄くて軽そうですね」
さっきの金太郎鎧はガチガチの鉄製だったが、これは薄い皮鎧のようだ。
体のラインが出ている。胸…結構あるなぁ…腰のラインもきれいだ。
「普通の服を着てるのと同じ感覚なんですけど、結構頑丈なんです!」
また1回転した。本当にうれしそうだなぁ…
「うん、似合ってるねぇ」
「ですよね〜!あんなゴツゴツした鎧よりも体のラインが出るほうがかわいいですよね♪」
俺はニヤニヤしそうなのを微笑みで留めつつ頷いた。
>>102にある前スレ69氏の設定を使わせていただきました。
金属は要所のみということで、概観は革鎧ということにしてみました。
不都合があったら修正しますw
では皆様、わっふるわっふる!
皆様、投下乙であります。おもしろいなぁ。
自分も、もっとちゃんと書けたらいいのにねぇ・・・。
話は盛りだくさんですが、日数が進みませんw
不肖Leadが、夕方にマウラ到着。
一方その頃、失意のMioさんはフレの方に護衛されてサルタバルタ手前あたりか。
他の方に出演願おうと思っても時間軸が難しいなぁ・・・
水浴び場には誰もいなかった。
壁の向こうも静かなようなので男湯(男水?)のほうも誰もいないみたいだ。
川の浅い部分を石などで舗装して板の壁で男女と外の間を仕切っただけの簡素な水浴び場だが、
椅子や桶や石鹸なんかも置いてあって水が冷たいことをのぞけば普通の銭湯のようだ。
冷たい川の水はオレンジ色の夕日に染め上げられてキラキラと清らかな宝石のようにかがやいていた。
私はその輝く水に頭までつかった。全身にこびりついた血の匂いと色が洗い流される事を願って。
私の体もこの川の水のように清らかになることを祈って。
そんなことをしても無駄だとは分かっていた。けれども、こうせずにはいられなかった。
私は息が続かなくなるまでもぐり続けていた。
「由香・・・。帰りたいよ・・・」
自然と口が動く。怖い・・・。帰りたい・・・。普通の女の子に戻りたいよ・・・。
命を奪った自分の両手を見つめていると、もう私には帰る資格がなくなってしまったような気がしてきた。
「ユリフィナー!おっまたせ〜。」
能天気な声が私の思考をブチッと止めた。言うまでもなくリポケケだ。
「きゃ、冷た〜い。」
足先をちょこんと水につけてはしゃぐリポケケ。なんだか彼女の気楽さがうらやましい・・・。
「ね、リポケケ。冒険者やってて怖くなる事って無い?」
私は彼女に尋ねてみた。もしかしたらこれを聞くことでリポケケにいやな事を思い出させてしまうかもしれない。
そう思ったけれど、このときの私は尋ねずにはいられなかった。
彼女はきょとんとした顔でさらりと答えた。
「あるよ。しょっちゅう。」
そしてリポケケは一呼吸置いた後、心配そうに私を見つめた。
「どうしたの?何かあったの?」
やっぱり・・・顔とか態度にでてたのかな・・・。というよりもこんな事聞く時点でばればれなんだよね・・・。
私はリポケケに今日あったことを話した。
今日ヤグードを殺した事。そのヤグードの友達らしい人に襲われた事。そしてそのヤグードも殺した事。
そして、殺されることも殺すことも怖い事・・・。
「おかしいでしょ?今まで散々殺してきてるのに。」
私は力なく笑った。実際殺したのは私ではないのだけれども・・・。
「ならやめちゃえば。冒険者。」
後ろからツンとしたかっこいい女性の声がかけられた。振り向くとそこには私とそっくりの髪型をした、
けれど私よりも頭ひとつ分背がたかい吊り目気味のタルタルがいた。
ちなみにスタイルも私よりもぐっと良い。
それでも色気が感じられないのはタルタルの悲しいところかもしれない。
彼女はかっこよく前髪をかきあげながらまたツンと言い捨てた。
「つらくなったり怖くなったのに無理に続ける必要ないじゃない。やめちゃいな。」
やめられたらどんなに楽だろう。でも、やめたら帰れない。だけど・・・。
また私は同じ考えに陥る。いっそ、信じてもらえないかもしれないけれど
私がこの世界の人間じゃないことを白状してしまって事情を全て言うべきなのだろうか・・・。
「ちょっとちょっと〜!なぁに突然!」
リポケケが眉をグイッと吊り上げて彼女を睨みつける。それを見た彼女は軽く肩をすくめながら
「あぁ、ごめんなさい。君達の声が脱衣所まで聞こえてたから。
盗み聞きするつもりはなかったんだけどね。」
そして彼女は私のほうを鋭い目をさらに鋭くして私を見つめた。
「迷いとかあると死んじゃうわよ?私はそういう人たくさん見てきたんだから。」
彼女は私の隣に「失礼」と一言いって座った。
彼女はタオルで自分の体を拭きながら尋ねた。
「それとも何かやめられない理由があるの?」
ある。だから困ってるんだ・・・。
「・・・故郷に・・・帰りたいの。」
私は言った。
「故郷・・・。ひょっとして君はタブナシア出身?」
吊り目の彼女はちょっと考えた後に私に言った。
「ユリフィナの故郷ってウィンダスじゃないの?」
リポケケが余計なことを言った。ユリフィナは確かにウィンダス出身なんだけど・・・。
・・・私は変な人と思われるのを覚悟して私は今までの経緯を話すことにした。
「実は・・・」
私の故郷には戦争が無かったこと。しかしある日突然この世界に迷い込みユリフィナになっていたこと。
そして・・・私が別の世界の人間だということ。今日初めて人を殺してしまい怖くなったということ。
私の話を呆然とした顔で聞く二人。当然の反応といえば当然の反応だ。
「信じられないでしょう?ただの変な人だって思うでしょう?でも、本当の話なの・・・。」
私は苦笑いをしてから少しうつむいた。
何言ってるんだろう私、モグタンにも話してないのに見ず知らずの人にまでこんなこと言っちゃってさ。
「・・・ユリフィナって召喚獣だったんだ。」
ぽかーんとした顔のリポケケ。しかしリポケケの大ボケは私の顔をぽかーんとさせた。
そ、そういう考え方もできるのか。かといって私が召喚獣だってことはないとは思うけれど。
「・・・ずいぶんとかわいい召喚獣ねぇ。」
吊り目さんがちょっとあきれながら言った。
「召喚獣かどうかはわからないけど私は君の言うことを信じるよ。
魔法国家ウィンダスだもん。こういうことが無いとは言い切れないし。」
吊り目さんはそういうと頭から水をかぶり髪の毛を洗い始めた。
二人が結構あっさりと私の言ったことを信じたことに私は少し驚いた。
世界が違えば考え方も違う・・・か。本当に異世界なんだなぁと少ししみじみと思った。
「まぁ、なんていうか・・・。こればっかりは慣れるしかないんだよ。つらいのはすごくわかるけどさ。」
ちょっと困った顔で髪の毛を洗いながら吊り目さん。彼女は毛先を睨みながら続けた。
「偉そうなこといっちゃうけど、とにかく悩んだら悩むことに集中しな。
中途半端な気持ちで外いって、帰る前に死ぬのは嫌でしょ?」
私はコクリとうなずく。
「ならさ、いったん冒険者は休業!帰り方を探すのは誰かに頼む!
報酬は・・・あなたも冒険者なら珍しいものもってるでしょ?」
「うん、たいしたものは無いけれど。」
そう言って持っている高級品を頭に思い浮かべる。
ホーリーシールド、ディバインピアス、ダークモール+1・・・。
だ、ダメダメだ・・・。
「それじゃああたしがそのクエストオファーするよ!」
リポケケがにっこりと笑って私に言った。
「え?」
「じゃ、私もオファーしようかな。これもなんかの縁だし。」
吊り目さんもいう。あれ?え?もしかして帰り方を探すのを誰かに頼むのって決定事項?
「え?でも?・・・そんな。」
え?え?え?どうするべきなのコレ?
私が困っていると吊り目さんがニッと笑った。
「なーに、私はおもしろそうな話とか大好きなんだけだから遠慮しなくていいよ。
報酬なんかも無くたっていいくらい。・・・そりゃあったほうがいいけどさ。」
そしてペタペタと私の肩を叩く。
「ま、見つかるかどうかはわからないけど君はのんびりとウィンダスで生活しなよ。」
「あたしも一生懸命さがすからね!」
どうやら、決定事項らしい・・・。
「う、うん。二人ともありがとう。」
なんだか、感謝とかそういうものよりも混乱のほうが強かったためか、
ものすごく気のないお礼になってしまった。・・・なんだか変な話になってしまった気がする。
以上です。私も日数が進んでいませんっ!wwww
もうちょっと先まで書いてあるのですがまだ翌日になったばかりだったり・・・
エルリッドとルーファスがこれからどうなるのかいろんな意味で楽しみにしています。
わっふるわっふる
>>359 無理にとは申しませんが私もあなたに触発されて書き出した者としては
続きをとても読みたいです。気が向いたら是非続きをお願いします。
384 :
レップ:2006/04/08(土) 00:54:43.58 ID:fAAOUTTt
みなさん、投下乙です
久々に投下しますが、トリップパスをケータイに送るの忘れたため、名前のみで投下します
明日本人証明しますがw
385 :
レップ:2006/04/08(土) 00:56:37.97 ID:fAAOUTTt
激しい殴り合いが起こり、俺は体のあちこちから血が出ているのを感じ、呻いた。
――例え他の冒険者に会えなくても、へこんでいる訳にはいかない。まずはレベリングからしなければ。
モグハウスで既に立てていた予定通り、耳の院を後にすると、サルタバルタへとやってきた。
鞄から「ストーン」を取り出し、一通り目を通す。やはり、魔法の文章なのだろうか。読んだところから文字が消えてしまい、最後は羊皮紙だけが残った。多分覚えたのだろう。
リアルでもこれくらい記憶できればいいんだけどなぁ……
そんな事を考えながらサルタにやってきた俺は驚いた。広い。とにかく広い。
何処までも続く、草の生えた大地は風が吹くたびに揺れ、まるで波のように押し寄せる。
そして、その中にうごめくモンスター。あいつらを狩るのだ。
386 :
レップ:2006/04/08(土) 00:57:16.45 ID:fAAOUTTt
「最初だから、やっぱマンドラくらいがいいだろう」そう考え、近くのマンドラに向かってストーンを詠唱する。
実際に使ってみて初めて気がついたが、呪文の詠唱は唱えるというよりも、勝手に口から出てくる感じだ。
ストーンは無事詠唱終了。地面から石が飛び上がり、マンドラに直撃する。
「ひゃっほぅ!」意味のわからないことを叫びながら、背中のスタッフを取り出し、マンドラに殴りかかる。
が、そんなに甘くはなかったらしい。
マンドラはタルタルになった俺の短い手で全力で振り下ろした杖をかわし、頭で殴りつけてくる。
俺が殴り、マンドラが避け、マンドラが殴り、俺が避ける。
この繰り返しが殴り合いに発展してしまった。
387 :
レップ:2006/04/08(土) 00:58:05.89 ID:fAAOUTTt
俺は自分の血が流れ、マンドラは俺の血を被っている。
「ストーン!」マンドラの隙を見つけて詠唱し、ストーンを叩きつける。
と、マンドラが下から飛び上がった石に吹き飛ばされ、少し後ろに転がった。――もう、動かない。
やっと勝てた。これで4回かな?
フゥーッと息を吐くと、その場に座り込んだ。「ヒーリング」だ。
体のあちこちにできた傷がどんどん塞がり、集中力も戻ってきた。さらに、服に付いた血も、どんどん落ちていく。
Lv1だと仮定すると、あと6匹ほど倒せばいいだろう。
ぴょんと跳ね起き、回りを見渡した。
近くにマンドラは見えない。いるのはウサギとハチばかりだ。
「ハチとはやりたくないんだけど……」そういうと、ストーンを詠唱した。
388 :
レップ:2006/04/08(土) 01:01:11.53 ID:fAAOUTTt
以上です
中途半端になっちゃった
タイムパラドックスに筆を止められております…。
ゲーム中の24倍速の時間感覚から始めたのは間違いだったか。
何とか普通のリアルの時間感覚に戻さねば冒険ば辛かっとばい(?
いい方法ないか模索中。いい案下さい…。
最悪、空間捻じ曲げて時間の辻褄合わせるかな。
>>359 消すのは辛いものが…大部分の話の発端がなかったことになります。
続投は…無理強いできるものではないしな…、気が向いたらってことでw
気が狂って見える猫は今ドタバタ気味に石の区を奔走中です。暫くお待ち下さい。
時間の符合性:リアルの24倍速でも内部ではヴァナ1日=リアル感覚の24時間
居ない所に居たり(今の所無いハズだけど):ヴァナ内部の自分とかwドッペルゲンガーとかw
前スレ100さん、既に書いてある内容は、結構色々基準になってたりするので残してクダサイオネガイシマス。
もし気が向いて書かれる場合は、ウィンに着くまでの間等、他の人のに出演中でも影響しない所でも、
他の人の内容の所の自分側視点等でも手法としてはアリかと思われます。如何でしょうか。
ってまとめサイトさん、
>>234の抜けた部分「た。」補足ありがとうございます!!!
お礼言い忘れてどうする、俺!!
一応、自キャラの名前「バレィル・ヤレィル」に決定。
本文中のみ書きます。皆様どうぞよろしくw
なんて発音しにくい名前だ…。
392 :
898 ◆txXF4c8A0o :2006/04/08(土) 01:59:51.96 ID:G2rG8ZPO
>>390 即感謝!!
ところがそうも…。
一応LSメンバーに会っており、しかもNPCと会話してるので。
NPCの時間感覚は実はリアルと同じという設定で、この先のストーリーは
リアルでゲームをしてる人々もヴァナ時間が突然リアルと同じ感覚となり
大騒ぎ!!というふうに持っていこうと考えております。
やっぱ無茶かな…、無い頭で考え今日は寝ます。では。
393 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 02:41:27.45 ID:Soaz33/f
P君はヴァナ内一日を24時間と知覚して行動している。
この辺は個人差があるんでは?
モンスターに対する描写も「見る見る怪我が治る」報告だったり、
P君みたいに普通にゆっくり治ると感じるものもいるし、
固定的な定型文しかしゃべらない不気味なNPCやPC達と書く報告者もいれば、
その逆もあるし・・・。「個人差がある」ってことであまり気にしなくても。
394 :
No.1>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/08(土) 02:53:54.10 ID:Soaz33/f
書き直したらトリップ消えてた。
・・・剣の鞘にしてもP君の報告には「ある」ことで話を進めています。
>>374それでOKっすよー。 元々は重装甲鎧でもポリゴン一枚w
というブラックジョークのつもりで作った設定だし。 身体のラインはくっきり出ます。
ただし、全身を布や皮、装甲で覆っているため顔以外の露出は一切ありません。
サンドリアで最近見つかった軽銀(アルミ)ゴブリンの技術、現代の治金術、
魔法、木工ギルドのおばばと皮ギルドのミスラなどが技術を出し合った普及版です。
大量生産に向いているように各ギルドにて作業を分担、極限まで簡単に作れるようにし、
冒険者向けに作ったのがこれで、当然騎士団用に重装甲のものもあります。
こちらも既存の鎧よりも大量生産が効きます。
395 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 02:55:44.74 ID:Soaz33/f
紙のように薄い装甲板を衝撃を吸収する特殊な木材で補強し、
グラスファイバーやカーボンファイバーなどと皮を組み合わせて強化。
(ゴブリンの服の技術が一部応用されている)
直接剣や拳で殴りあうと案外脆い(既存の同レベル鎧より防御だけは低い)のですが、
銃弾を弾き返す能力、及び機動力は高いっす。一言で言えば防弾チョッキですし。
もっとも使用者の身体能力を高める効果がありますが。
騎士団用の新型鎧の外観は普通にフルプレートな鎧ですが、
こちらは防御に特化してあります。(既存の鎧よりはるかに軽くて動きやすいですが)
バストゥーク側の新型銃はこの鎧を遠距離から破壊することは不可能なのでバイサー外したときなどにピンポイント狙撃できるよう特化したという設定です。
396 :
まとめの中の人:2006/04/08(土) 03:20:52.61 ID:BRU8PHUo
>>391 一応投稿したものはそのままのせるつもりでしたが、
編集できるようにしてあるので、やっぱりそのくらいのミスは
こちらで修正してもいいかなぁ とか思って
修正して載せちゃいましたw
まとめサイト、更新ついでにマイナーバージョンアップしました。
たいして気にかからないところばかり修正したので気がつかなさそうですが・・・w
・キャッシュをしないよう常に最新のデータを拾う対策を行いました。
・携帯で表示した際、新着数の数字がひとつずれるのが修正されました。
・code=0,c=0のときの動作が若干修正されました。
・携帯で指定の番号にジャンプするしくみを追加されました。
・中の人の更新が遅い件は現在調整中です。
パソコンから読むときも「しおり」機能あったほうがいいですか?
cookieなりパスワードなりの手段で保存するてだてならないこともないですが。
397 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 04:59:33.04 ID:Soaz33/f
自分的にはスレッド一括ログも希望していいすか?
あと挿絵とか各キャラの外観とか。
398 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 05:00:52.84 ID:Soaz33/f
自分的にはスレッド一括ログも希望していいすか?
あと挿絵とか各キャラの外観とか。
399 :
319 ◆UG6WLxgigI :2006/04/08(土) 11:10:37.05 ID:81OWPU0X
携帯からトリップテスト。
板汚しスマソ
400 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 11:13:12.33 ID:t7M/3j2P
401 :
既にその名前は使われています:2006/04/08(土) 15:32:26.28 ID:d/IjzpYs
age
少しだけですが、投下いきま〜す。
その前に、皆様投下お疲れ様です。
一読者として、続きを楽しみにしています(`・ω・´)
時間経過の概念に関しては、自分もリアルと同じ感覚で考えてます。
理由は色々とありますが、何よりも動かしやすいのでw
その分長くなりがちですが、その辺りはご容赦くださいまし・・・。
>>396 まとめ様
忙しい中の更新、お疲れ様です!
その後もしばらく話は続いた。
バルクルム砂丘で乗り捨てた自転車が、OPのガードに回収され、バスで大変になっている事。
それに付随して、模造刀の破片も回収されている事も。それはつい最近知ったらしい。
俺がヴァナの歴史を変えるかもね、なんて言っていたが、
その事で表舞台にミオの名前が出る事はないだろう、とツッコんでおいた。
ミオはそれを聞いて、楽しそうに笑っていた。
どんな話でも、相手が居る事だけで嬉しいのだろう。それがリアルを知る相手なら尚更。
最後に互いのモグハウスの位置を交換し合って別れた。
「何かあったらモグに伝えておくからさ。そっちも、よろしく頼むな」
そう言って、手を振って走っていった。これからまだ、宅配の仕事があるのだろう。
ミオの姿が見えなくなったのを確認し、今後の行動を考える。
選択肢は3つ。
一つはジュノに行き、自分と同様の冒険者を探して情報を得る事。
これは自分のLVを考えると、辿り付けるかどうか・・・。モンスターに見つかったら死ねるし。
二つ目は、自身の状況を隠したまま、冒険者として一生を過ごす。
・・・・・・これは選択肢から省こう。現実世界に帰れないのが決まったとしても、俺は足掻く事を選ぶ。
三つ目。それなりの地位がある人物に会いに行き、事情を話して情報を得る。
ミオの話を信じるならば、これが最良の選択になるだろうか。幸い、ウィンダスには各院もある。
まずは、先程行き損ねた手の院に行ってみることにしよう。
手の院――別名、カーディアン工房。
ウィンダスの各所で見かける、カカシのカーディアンを製造している施設。
機械に意思を持たせる技術に詳しい人物ならば、この状況を打破する何かが得られるかもしれない。
ミオに蹴り開けられた苦い思い出のある建物左の扉ではなく、広場の見える右の扉に向かう。
一応ノックをしてから扉を押し開ける。二度目の顔面アタックはイヤだ。
『ごめんくださ〜い・・・』
中に入り、一言声を掛ける。少し待つが誰も居ないのだろうか。反応は無い。
周囲を見渡す。壁際には身動き一つしないカーディアンと、書物の押し込められた本棚。
床には雑然と転がった木の板や棒――カーディアンの部品だろうか。
他にも工具や木箱、書物などが転がっている。それらを踏まぬよう気をつけながら、もう少しだけ奥に進む。
一段高くなった部屋の奥を見ると、作業台の上に作りかけのカーディアン。その隣に、タルタルが横たわっていた。
死体かと思い、体が強張る。が、よく見ると胸が上下している・・・寝てるだけのようだ。
ホっとしてタルタルに近付く。幸せそうな顔で、ヨダレを垂らして寝息を立てている。
起こすのは気が引けるが、他に人が居ないのだから仕方ない。
横に座り、少し出っ張ったお腹をぽむぽむ叩く。
「むにゃむにゃ・・・このお方をどなたかと知っての狼藉かぁ・・・」
どんな寝言だ。
お腹を叩く腕に力が入った。みぞおちにクリティカル。
「ほぶぅっ・・・!」
どうやら起きてくれたようだ。永眠させてしまわなくて良かった。
何が起きたのか分らない様子で、目をパチクリさせている。
「ふわぁ・・・なんだよ・・・これからが見せ場だったのにぃ・・・」
しかも格さんか。確かに良い見せ場だ。いや、なんで水戸黄門なのか理解に苦しむが。
痛むのだろうか。お腹をさすりながら、むっくりと起き上がる。
「んむぅ〜・・・なんでお腹が痛いんだろう・・・」
ヤバイ。咄嗟に足下にあったハンマーを蹴り、タルタルの脇に滑らせる。
『すみません。台にぶつかった拍子に、上にあったハンマーが落ちてしまって・・・』
困ったような表情を作りながら言う・・・面倒ごとは御免だ。悪いのは自分だが。
「そっか・・・最近徹夜続きで疲れてたから、作業したまま寝ちゃったのかぁ・・・」
どうやら納得してくれたようだ。目を擦りながら立ち上がり、こちらに向き直る。
「ん?冒険者さんが何の用事かな。見覚えのある人だけど・・・」
寝惚け眼で小首をかしげるタルタル。記憶を呼び覚ましているのだろうか。ちょっとかわいい。
「あぁそうだ。前に、新型のカーディアンを作るのに必要な材料集めを頼んだ人だね」
そういえば、そんなクエストがあった気がする。やった事すら忘れていたが。
面識があるのならば、多少の融通は利くだろうか。少なくとも、見知らぬ人と話すよりはマシだろう。
『そうです。覚えていてくださって幸いです。実は少し、お聞きしたい事がありまして・・・。
最近聞いた噂なのですが、一部の冒険者の言動が豹変する現象の事をご存知でしょうか』
回りくどい言い方かもしれないが、自分の立場を明かすのは危険な可能性もある。念には念を、だ。
406 :
83 ◆W0QmuTI9lM :2006/04/08(土) 17:40:24.30 ID:mJbpfvpq
中途半端ですがここまで。
最後に保守し、皆様の投下を心待ちに寝ます(ぉ
407 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/08(土) 21:53:08.02 ID:d/IjzpYs
>>389 時間の調整は、徐々に長くなっていくような感覚でもよいかなと思います。
>>394 了解しました(´∀`)
>>396 まとめ乙です!
PCユーザとしてはしおりは必須ではないと感じています。
投下します〜
(67)
「それじゃエルリッド、今日はもう下がっていいからルーファスにサンドリアを案内してあげなさい」
「はい!かしこまりました!」
元気に返事をするエルリッド。
案内って、俺は何も知らないわけじゃないんだけど…
「私の方でも何かわかったら知らせるわ。それまでは特に任務もないしゆっくりしていなさい」
そういうと、クリルラは神殿騎士団詰め所から出て行った。
エルリッドは机に置かれたカップを片付けている。
しかし、どうも妙な話になってきた。
そういえば、現実に戻るための方法について、具体的に聞くのを忘れていた。
だがそんな話があれば既に向こうから出てきてもいいはずだ。
なにせ、謎の冒険者殺害が増えて困る立場にあるはずだから。
そして、冒険者を殺して回ってるという連中も、おそらくはその情報は持っていないだろう。
ハルヴァーの認識が正しいとするなら、またその連中が方法を知っているのなら
目的がなんであれ邪魔なら殺すまでもなく帰してしまえばいい。
いや、あるいは方法を一部の人間が握って、それが広まることを防いでいる可能性もあるか…
とすると、ある程度嗅ぎ回れば方法はあるのかも知れない。
「って、んな都合のいい話はねぇよなぁ…」
やはり、わかっていることが少なすぎる。考えがまとまる訳もない。
(68)
「何がですか?」
「ん、いや、なんでもないよ」
いつの間にかカップを片付け終わったエルリッドが横に座っていた。
「それじゃ行きましょう!サンドリア港においしいお店があるんですよ♪」
そういえばもう昼も過ぎている。不思議と腹は減らないが、朝に食事を摂ってからは随分時間が経っていた。
エルリッドに手を引かれて詰め所からエントランスへ出ると宰相が立っているのが見える。
ギクッとしたようにエルリッドは俺の手を離し、そそくさと城の外へ出てしまった。
「随分と懐かれた様だな」
「そうでしょうかね」
「…まぁいい。油断はするなよ」
「えぇ」
「それと、当面こちらで貴様を支援することになった。これはその一環だ」
小さな袋を投げてよこした。中にはなにやらコインが入っているようだった。
「それだけあれば、暫くは食うに困らないだろう」
「ありがとうございます」
俺は笑顔でそういった。
「…初めからそういう顔をしていればよかったのだ。そうすれば私も無用の邪推をせずに済んだものを」
笑顔はすぐに苦笑いに変わった。
(69)
城の外にでると、エルリッドが待っていた。
「宰相様に怒られる筋合いはないってクリルラ様も言ってんだから、避けることもないだろう?」
「それもありますけど、なんか苦手なんですよ…」
まぁ、ああいう雰囲気の人だしな。
「まぁいいや。俺もなんか腹減ってきたし、とにかくそのおいしい店に行こう」
「はい♪」
エルリッドと並んで広場を西に向かい、工人通りへと入った。
トントンカンカンという規則的な音が段々近づいてくる。
門をくぐると、忙しそうに動き回る職人の姿が眼下に広がった。
昨日もこの辺を通ったが、音には気が付かなかった。
きっと周りを見る余裕がなかったのだろう。
エルリッドは鍛冶ギルドから出てきた職人風の女性に大きく手を振っている。
「この鎧を仕立ててくれた人なんです」
「そう、腕のいい職人さんなんだね」
新技術の鎧を手がけていということは、そういうことなのだろう。
「鍛冶の技術だけじゃなくって、裁縫や革細工、木工の技術も必要だから大変だって言ってましたよ」
言われてみれば見た目は革鎧だし、鍛冶で作られるものでもないような気がする。
(70)
サンドリア港は荷物を運ぶ人や競売で買い物をする冒険者で思ったよりも賑わっていた。
「サンドリアは飛空挺以外に大きな荷物を運ぶ手段がないから、ここはそういうものを取り扱う人たちが多いんです」
考えてみればそうだ。海に面していない以上、海運産業は発達し得ない。
競売に抜ける道とは違う道に入りながらエルリッドはあれこれと説明してくれている。
通路が開けると丁度飛空挺が入港したらしく、ゴウンゴウンと大きな音が鳴っていた。
「すごいですよねぇ、あんなものが空を飛んじゃうんだから…」
飛空挺の根幹にかかわる技術はジュノ大公国が独占しているそうで、
実質サンドリアの物流はジュノに依存していると言えるらしい。
「さぁ、ここです」
エルリッドが指差したのは飛空挺乗り場に向かう途中にある酒場だった。
「ここのマメ料理はヘルシーだし美味しいし、お気に入りなんですよ〜♪」
思い出した。ここは常時ウサギの肉を切らしていたり、味の秘訣になる塩を切らしたりするちょっとアレな店だ。
「ここってさ、たまにメニューにあるもの頼んでも出てこなかったりしない?」
「あれ〜?なんで知ってるんですか?」
やっぱりか…
(71)
店に入り、エルリッドがなにか注文したので同じものを、と言ってメニューを置いた。
店主はやはり『うさぎの肉があれば…』と、うわ言の様に繰り返している。
「宰相様との話はどうだったんですか?」
「あぁ、とりあえず丸く収まったよ。厄介な頼み事もされたけどね」
宰相のとやり取りをかいつまんで説明した。
「じゃぁ、ルーファスさん狙われてるんですか?」
「さぁ?可能性の問題だからそうなのかどうかはわからないけど。でも宰相様は妙に確信してたみたい」
「へぇ〜…」
「ま、アテにしてるからさ、よろしく頼むよ」
「はい!任せてください!…って、私より強い人に言うのも可笑しいですかね」
照れたように笑うエルリッドはやっぱりカワイイ。
少しして頼んだ料理が来た。サラダとマメのスープ。質素な食事だねぇ…
マメのポタージュらしい。とりあえず一口スープを飲む。
「お!こりゃ美味いな」
「でしょ〜♪」
滋味に溢れていると言うか、なんだかほっとする味だった。
(72)
スープを2杯ほどおかわりして腹を満たし、少しゆっくりすることにした。
「そういえばさ、今朝から聞こうと思ってたんだけど」
「はんふぇふか?」
エルリッドはデザートのアップルパイを頬張りながら返事をした。
「いや、昨日の話でさ。エルリッドが俺に聞きたかったことってなんだったのかなって」
ちょっと表情が変わった。
「本当は覚えてるだろ?興味があったって自分で言ったの」
「…はい」
なんか空気が重たい。まずい事聞いたかな…
「いや、別に無理に聞こうって訳じゃなくってさ、答えられることならって思って…」
「…いえ、多分ルーファスさんにはわからないと思います」
そう決め付けるって事は、現実世界の話じゃないって事なのかな?
「…私の兄のことです」
(73)
「クリルラ様から聞いたよ。冒険者してるっていう…」
「でも、兄が冒険者になってから一度も私に会いに来ないどころか、手紙もないんです」
そう言うと俯いてしまった。
「だから、もしかしたら同じ冒険者なら何か知ってるかなって…」
なんだか可哀そうになってきた。
唯一の肉親から10年も音沙汰がないんじゃそれも仕方ないか。
「そっか…俺はこの世界に来る以前の記憶は、その、異世界の記憶しかないから…」
現実の、とは言えない。
今この地に生きる人間にとって、これがゲームの中という認識なんて当然ないだろうし、
もしかするとゲームの中とはまた別次元の話なのかもしれない。
「そうですよね、いいんです。もしかしたらもう兄は…」
「滅多な事は言うもんじゃないな」
俯いてた顔をこちらに向けてきた。
「良くわからないけど、冒険者ってのは危険な仕事なんだろ?連絡が取れない事情があるのかもしれない」
「そう、ですよね…」
また俯いてしまった。
(74)
ひとまずエルリッドを促して店を出ることにした。
ハルヴァーから渡された袋から代金を払うと、大量のお釣りが返ってきた。
「ルーファスさん、こんな大金どうしたんですか??」
大金なんだ…
店を出てモグハウスに向かう事にした。
「ハルヴァー様がそんな事を…」
エルリッドにとっては意外なことだったらしい。
「悪い人ではないと思うよ。油断ならないようなところもあるけど、信用は出来ると思う」
敵に回すと手強い相手だったが、見方にしてしまえば心強いと感じている。
「きっと、それだけ期待されてるって事ですよ」
「そうかな…」
あいまいに返事をしておいた。『期待するしないの話ではない』という件が頭をよぎった。
埠頭の方を見ると、空がやや赤く染まっていた。
「今日はもう休もう。暗くなると襲われる可能性も高くなる」
「はい、わかりました。私南サンドリアで買出ししてから帰りますので、先に帰っててください」
わかった、と短く返事をした後、走っていくエルリッドを見送ってからサンドリア港モグハウス入り口へ向かった。
416 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/08(土) 22:00:30.79 ID:d/IjzpYs
投下終了です。
>>398 出てくるキャラクターの外観とかまとめておいたほうが良いですかね?
では皆さんの続きも期待してます。
わっふるわっふる!
外観ってSSとか?
SSとかは無い方が俺は良いな
キャラのイメージを自分で作れるし
トリップつきのレップです。
えーと、昨日かな?投稿した、
>>384-388は自分です
以上、本人確認でした^^;
一時ごろに、起きてれば投下します
投下乙です(`・ω・´)ノ
みんな書くの早いなぁ…どんどん話に置いてかれてる気がする(´・ω・`)
書き溜めてきたので自分も投下します〜
421 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/09(日) 00:28:53.37 ID:tcDJAenJ
>>417 >>418 外観は、テンプレに書いたような種族/フェイスタイプとか装備とかです。
SSはさすがに…ばれそうだしw
>>419 わっふるわっふる
「はぁ……。それじゃ、Kuraudo…これでいい?」
呆れたような困ったような、微妙な表情でナナコが問いかける。
呼ばれた感想も正直、微妙……。
「いや、Sukoolで」
胃の辺りにもやもやと違和感を感じて、慌てて訂正する。
なんだか気恥ずかしくて、おれは返事を待たずに魔法の準備を始めた。強化魔法セット、とおれが普段呼んでいた一連の魔法群だ。
「ねぇ、何をするの?」
ナナコの問いに、おれは首をめぐらせ、見つけた"もの"をぐいと親指で示した。
「あれを…やろう」
「金策……じゃないよね。素材集め?」
まさか自分がどのくらい強いのか見てみたいとは言えず、そんなとこだよ、と答えた。
背後でナナコの気配がうなずく。
「うん…わかった。援護するから…守ってね、Sukool」
おれは振り向き、降参の表情で応えた。
「……ごめ、やっぱおれの事はヒロと呼んでくれ」
なにそれ、とぶうたれるナナコをそのままに、おれは再び前に向き直った。
そこには、大山椒魚と豚と人間を足し合わせたような巨大な生き物…オークがいた。
オークは三匹いた。
水のマナでより鋭利に研ぎ澄まされた愛剣を抜き放ち、一番手前のモンクタイプらしいオークに意識を集中する。
残り二匹は何事か話し込みながら向こうを向いていて、会話から取り残されたモンクは分隊から外れてこちらにぶらぶら歩いてくるところだった。チャンスだ。
戦闘は、いつもの通りにディアで始める事にした。
体を蝕む毒の光をイメージし、それを送り込む。成功だ。
体の異変に気づいたオークは短い首を巡らせ、茂みを挟んで対峙するこちらを睨みつけた。
ヒョッ、と短く鋭い雄叫びを発して、オークがこちらに突進してくる。
おれはゲーム画面を思い出しながら頭を下げ、剣の切っ先を下げて身構えた。
オークが茂みを突き破ってこちらに突進してくる。と、その肩越しにもう二匹のオークが続いているのが見えた。
え、どうして。視覚タイプのオークだったし、釣った時は確かに向こうを向いていたのに……?
取り敢えず寝かせないと… ディアが入った奴はオートアタックに任せて、残り二匹を一匹ずつスリプルで……
「何してるの!」
横合いからナナコが飛び出して、モンクオークを突き刺す。槍は胸の真ん中に命中したが、穂先は粗末な胸当ての小札幾枚をそぎ落としながら流れ、モンクの左肩へと抜けた。
モンクはひるみ、上体を後ろに逸らせて後退る。いや、違う。左足を引きつつ、回転力を右腕に集めて丸太のような右腕でナナコの胴を薙ぐ。おれを庇って体勢を崩していたナナコは躱しきれず、槍を引き戻して受け流しを試みるが、重量までは殺しきれない。
ひぎっ、と肺が潰れるような短い悲鳴を上げてナナコが地に転げた。
間合いを詰めていた戦士らしいオークが、受身を取ったナナコの頭上で斧を振り上げる。
おれは慌てて半歩踏み出し、振り下ろされる軌道上に剣を差し伸べた。鋭い激突音と共に、右手首にゴギンと衝撃が走り、愛用の突剣が右手首ごと宙を舞った。
いや、右手はついてる。しかし、中身が無くなってしまったみたいに痺れて感覚がない。見れば、手袋の上からでも分かるほど右手が変形している。
一瞬遅れて激痛が、右手首から全身に広がった。おれは多分泣きそうな顔をしていたと思う。ひょっとすると、泣き叫んでいたかもしれない。
そんな情けない顔で、ひしゃげてしまった右手と、標的をおれに切り替えて再び斧を振り上げるオークの顔を交互に見比べた。ナナコ──他人の事など、どうでもよかった。
左手の剣を横薙ぎに払う。喉から搾り出すような無様な悲鳴が聞こえた。
多分おれの声だ。斧を振り上げ重心が後ろに行っているオークは、下がって躱す事も斧で払う事も出来ず、まともに側頭部に斬撃を食らう。刃筋を通す事も出来ず、剣の腹が斜めにこめかみにめり込み、何か硬いものを無理矢理砕く感触が左手に伝わる。
血の飛沫が混じった鼻息を荒げながら斧オークがのけぞり、二歩三歩後退る。それを庇うように、三匹目のオークが手にした剣を掲げ魔法の詠唱を始めた。
魔力が闇となって収束する。バイオだ。食らったところでどうと言う事はないはずの魔法だったが、どんな種類の痛みであっても今のおれを怯えさせるには充分な威力を持っていた。
おれは左手の長剣を二匹に交互に向けながら大股で下がる。
と、さっきまでおれがいたところに不意に黒緑がかった雲のようなものが一瞬浮かび、おれの残像のようなものと一緒に掻き消えた。空蝉……か?
剣オークが怒号を発する。意味は分からないが、罵声という事は理解できた。
頭蓋の亀裂とひしゃげた眼窩から桃灰色の組織を滴らせながら、斧オークが突進してくる。
おれはこいつらの士気の高さに圧倒されかかっていた。
出張言っててみることも出来ませんでした…。
ただいま戻りました、609さんの投下終わったらこちらも投下していきます。
SSは…、必要あれば投下します。
自キャラを題材にしてるし、装備は汎用型(?)白AFなんで問題ないかと。
二匹は手負いだが、一匹は健在。今逃げ出せば、助かるかもしれない。
恐怖に視線が左右に泳ぐ。と、地面に転げた女が視界に入った。ナナコだ。無事だったのか。
ナナコは必死に腰を浮かすと、槍を突き出して斧オークの足に絡める。顔の右半分を失った奴にとっては完全に死角だ。奴は無様にすっ転んで、顔面から地面に突っ伏した。
「お願い!」
お願いって、どういう事だ? おれは判断に困ってナナコを窺う。
「とどめを!」
そうか、そうだよな。おれは言われるままに無造作に剣を振り上げ、倒れたオークの後頭部に振り下ろした。これ以上恐ろしい目に遭わされるのはいやだ。
池に張った薄い氷を割るような感触。オークの骨が脆いのか、おれの力が強いのかは分からなかったが、奴の頭は簡単に砕け、中から脳だの肉だの血だのを四散させた。
一拍遅れて、おれは自分が何をしたのか理解した。
あぁ、殺す……死ぬってこういう事なのか……。
のんきにショックを受けているおれを、後ろから抱きかかえてくる腕があった。最初におれが釣ったオークだ。前には剣オーク。
「だめえっ!!」
ナナコの悲鳴が聞こえた。剣が振り上げられる。おれは身をよじるが、オークの太い腕はとても振り解けなかった。
オークの死骸と、5分後のおれ自身のイメージが重なる。おれも、こんな風になるのか? ここに来て、本当に今更、おれは、おれが死にたくない事に気がついた。
オークの体躯からすれば小振りな、しかしちびのミスラに取っては充分長大な剣が、袈裟懸けに振り下ろされる。
おれはそのさまを、どこか遠くから眺めていた。イラクだかイランだかで捕まって首切られた連中は、切られる瞬間こんな気分だったんだろうか。
他人事みたいだったが、口は動いていた。多分、恫喝とか、命乞いとか、悲鳴とか、嗚咽とか、そんなものを吐き出していたに違いない。
刃こぼれだらけの刃は左の鎖骨から入り、肉を数センチえぐってバシッという衝撃と共に弾かれた。血は出なかった。切り裂かれ抉り取られた肉が土くれとなってボロボロと崩れ落ち、下から本当の皮膚が盛り上がってくる。
訳が分からず──ついさっき自分でかけたストンスキンなのだが──おれは顔を上げて剣を引いたオークを見た。
オークは、剣を握る馬手を弓手で支えながら呆然と突っ立っている。なんだ?
剣オークまでおれを仕留め損ねたのに業を煮やし、モンクオークは両腕を掴んで動きを封じる格好から、両肩を押さえつけて体重で押し潰す姿勢に切り替えてきた。
よく分からない内に落葉と下生に押し付けられる。倒されるのを支えていた右足が胴の下敷きになって捩れ、潰れた。
激痛に悲鳴をあげようと口を開いたおれの後頭部に巨大な拳が振り下ろされる。
バシッという衝撃が走りおれは顔面を土に叩きつけられた。苦渋い落葉くずが口に侵入してくる。潰れた鼻からぼたぼたと血が垂れた。
左肩を押さえつけていた腕が離れ、おれは身体を無理矢理捻って振り返る。オークは腕をだらりと下げて、剣オークみたいな顔で呆然としていた。
意味が分からなかったが、自分が今この瞬間に殺される事だけは免れた。
どろりと泳いでいたオークの焦点が再び定まる。不自然なほど発達した筋肉で節くれ立つ両手が組まれ、振り上げられる。
(あれを頭に食らったら死ぬよな。おれも斧オークみたいになるのかな。死んだら、ナナコやモーグリは悲しむかな。おかん、就職もしないでこんなとこで死んでごめんな)
視界が隅の方から白くノイズがかかったようになって、耳の辺りから目と目の間辺りにかけてむずがゆいような感覚が集まる。
(死んだらどうなるんだろう。地獄だの天国だのがあればいいんだけど。忘却、消滅といったとこか?)
──お前本当にそれでいいのか?──
未練がましくまとまりのない思考を続けるおれに、もう一人のおれが語りかける。この一節だけは、何故か音ではなく、文字で浮かんだ。
(消滅しても仕方ない。自分の為に何もして来なかったんだ、こんなに鍛えてる奴に勝てる訳ないよ)
──お前が何もしてないのは確定的に明らか。だからおれは何もせずに消滅していいのかと聞いているだけ──
(うるさいな、いいわけないだろ。でももう死ぬしかないんだから仕方ないじゃないか。武器だって落としちまったし、魔法を使ったって発動より相手の拳が速いに決まってる)
──おいィ? お前はまだ至高の赤魔道士だけに許された奥義を出していないわけだが?──
(なんだって?) 思わず尋ね返してしまったが、おれは既に答えが分かっていた。
体中の感覚がクリアになる。雑音が消え、オークの筋肉の軋みまで聞こえてくる。眉間に収束するむず痒さは、魔法の回線だ。
体中のマナが白熱して駆け巡り、通常の数倍、数十倍の速度で回路を構築していく。
──お前なかなかみどころあるな精進すべき──
(それほどでもない)
おれはおれにそう答えると、思いつく限りの術式を構築してかき集め、発動したものから片っ端に叩きつけた。
業炎が、雷槌が、突風が、激流・冷気・石刃が、オークの体を立て続けに抉り、引き裂き、砕いていく。
うは、おれイヤボーンしてるwwww
魔力のオーバーロードでますます白く濁っていく視界の中で、胸辺りから上をバラバラに飛び散らせながら倒れるオークが見えた。
視界が全て白く染まりきる寸前、おれはオーク達がおれを殴る度に走った衝撃の正体に気がついた。
──あ、そっか。ショックスパイクか…──
そして全ては白く暗転し、おれは何も分からなくなった。
いじょです(`・ω・´)ノ
外見の紹介とかは、あると楽しいかもですね〜
SSは特定されそうなのでちょっと怖いんですけど、画像つけられるようなら頑張って下手糞なのを描こうかな、なんてw
>>429 わっふるわっふる
228さんが投下するようなので、終わったら投下します
眠れるわけがないっ!!!!!
背を向けて静かに寝息を立てているミピピの横で、俺は寝れずにいた。
自慢じゃないがこんな状況はこれまで生きてきた人生、数えるほどしかないぞ。
しかもなんだ、今は自分自身もちっこいが相手もちっこい…。いやいやいや、そんな方向に考えるから余計に背徳的に…。
「お姉ちゃん…」
「はいぃぃっ!! なななななな、なにっ?!」
寝てたんじゃなかったのか、驚かせやがって…。
背を向けて寝てたと思ったら、ミピピはまだ寝てなかったらしい。
「お姉ちゃんさ、ホントに…記憶なくしただけ?」
「ほ、ホントだって」
やっぱり妙にするどい、こいつ…。
俺は一瞬どきっとしたが、ミピピはそのまま話を続けてきた。
「でもさ、お姉ちゃん記憶なくしただけにしては、雰囲気だけじゃなく、
言葉遣いまで殆ど男みたいになっちゃって。確かに性格は男っぽかったけど…」
「いや、ほら色々忘れちゃってさ、だからみんなの事も忘れてたでしょ?」
「でも!!」
がばっとこっちを向くミピピ。
……ぅ、まつげ長いな…、いやそうじゃなくて。
「でもお姉ちゃんウィンダスの事は覚えてるし、他の人達の事は知ってるみたいだし、
家族と自分の事だけ忘れたりするの?」
うーむ、ここまで詰め寄られるとは…。
素直に打ち明けちゃった方が良いのかもしれないな。
「わ、わかった。じゃあ本当の事を言うから。その代わり騒がず驚かずに聞いて欲しい」
「…う、うん、わかった」
「まず、ミピピの言った通り実は中身が別人だ。そして中身は別の世界の人間で、
今シャントット様に手伝ってもらって、元の世界に戻る方法を探してるんだ、
昼間のチラシもその一環、だとシャントット様は言って…、ん? ミピピ、どーした?」
「じゃ、じゃあお姉ちゃんじゃないんだ。……別人って、もしかしてもしかしなくても……男の……人?」
「ま、まあそうなるな…」
「き…………きゃぁっ! むぐっ」
「だわーーー、騒ぐなってば!」
ミピピが叫びそうになったので、慌てて俺はミピピを布団に押し込んだ。
布団の中から拒絶とも怒りとも取れるうめき声が聞こえてくる。
しばらくそのまま待つと、落ち着いたのかミピピは布団から顔を出した。
明らかに不満そうな目でこちらをみてくる。
「だから驚かないできいてくれtt「中身男の人なの?」
「そうだと言ったじゃないか…」
再度聞いてきた。よっぽど気になるのか。
「中身男の人なのに、女の人の身体に入って、やっぱり色々といたずらとか…」
「それはない! 神に誓ってない!」
残念ながら俺はロリコンではない。
それに第一、こっちに取り込まれた初日なんざ、そこまで余裕は無かったからな…。
まあ改めて言われたら色々と興味が無いわけでもないが……。
「…ホントに〜?」
「ほ、ホントだって」
俺はちょっと口ごもりながら答える。ちょっとミピピの視線が痛い。
「…わ、分かった分かった。ちょっと位はあるさ、けど他人の身体だぞ?
そんなの本来の身体の持ち主に悪いだろーに」
俺はさしあたって問題なさそうな返答で済まそうとした、がこれが墓穴だった。
「…自分の身体じゃなかったらいいの?」
「そうそう他人なら良い…、は?」
「ずっとお姉ちゃんに憧れてて、こんな形で夢が適うなんて…。『サイレス』」
「っ……!」
いじょ。書き溜めてた分はここまで。
また続き書き溜めておきます。
筆遅いな、俺…(´・ω・)
>>228 ちょwww
ワッフル!ワッフル!!1!!
皆様、投下乙であります。
わっふるわっふる。
438 :
既にその名前は使われています:2006/04/09(日) 01:53:45.91 ID:iudha1vg
わっふるわっふる
しばらく、ウィンダス付近でマンドラと蜂を狩っているうちに、どんどん自分が強くなっている感じがした。
いや、確かに強くなっていた。
蜂に体当たりされ、後ろに吹っ飛んだとき、偶然にも体のどこからかカードのような物が転がり出た。
『冒険者登録証明書』そう上部に小さい文字で書かれ、ジョブやレベルが表示されていた。
そして、いまそのカードを確認すると……レベル6になっている。日も暮れてきたし、そろそろ新しい魔法も欲しい。
「よし!」元気よく立ち上がると、水の区へ通じる門を潜った。
「ただいま〜。」「おかえりクポ〜」すっかり日が暮れてからモグハウスに帰った俺は、のんきに挨拶をする。
「ご主人様、あんまり帰りが遅いから、てっきり迷子になっちゃったかと思ったクポ!」なっ!いくら初心者とはいえ、もとはバリバリの73の黒魔導士だったんだぞ!
「はいはいクポー。でも今は初心s……ゲブッ」うるさい。何回もいうな
「よし、じゃぁ、とりあえず飯にしよう、飯! なーんか腹減った」モーグリが再び浮かぶのを見計らって言った。
「わかったクポー!」それならよし。
「ところでご主人様。」「ん?」悪気はなかったが、短い返事になってしまった。「ご飯は食材がないから作れないクポ。」
開いた口が塞がらなかった。
以上です
今日は少なめです(´・ω・`)
>>442 乙であります! (・∀・)
冒険者登録証か・・・。んーあーむーぅ。どうしよう・・・。
夕暮れのマウラ桟橋は、ちょっとした賑わいになっていた。
どこかの、リンクシェルの集まりだろう。二十人ほどの冒険者たちが船を待っていた。
狭い船倉では入りきらず、船長の判断で、出港前だが甲板を開放して対処していた。
三人は船が出る前に、桟橋で別れの挨拶を交わした。
アルドと“クマヒゲオヤジ”船長は、セルビナに帰る。
「鬼神の如く、ってか。あれはアーティファクト、いや・・・」
呆れ顔の船長は、何かを遠い記憶から引き出そうとして眉をしかめ、すぐにあきらめた。
「ま、どうでもイイこった」
「まぁね」 俺は夕日に目を細め、肩をすくめた。
「リードさん。ぼく・・・ぼく・・・!」
「『さん』付けはよせよ・・・、友達だろ?」
そうだ、と俺は思いついて、胸につけていた星型のバッジを外す。
携帯用のペンとインク壷を使って、裏にさらさらと書き込んだ。
“親愛なるアルドへ。リードより友情を込めて”
自分で書いた文字を見て俺はギクッとしたが、表情には出さずに済んだはずだ。
「あげるよ。俺とアルドの、勲章だから」
アルドは満面の笑みでバッジを受け取り、胸につけた。
キラキラと、もしかすると俺がつけていたときよりも、輝いた。
出会ったときと同じ夕日のオレンジに照らされながら、俺たちは別れた。
445 :
既にその名前は使われています:2006/04/09(日) 02:48:48.37 ID:ewf0bHBz
Pにはないから死んだらそれまで・・・かな。
本国でもらえるとかではないでしょうか。
前スレ98氏はトリップ使ってないから結局本人確認ができないんだよなぁ。
>>359も本人かどうか判らないし
98氏は行間と1レス文の文字が少なくかなり独特だから
続きを書いてもらえれば判るな うん
マウラの宿屋は、岩盤をくりぬいたような構造をしていた。
まるで洞窟のようだが、内部は明るく灯されて息苦しい感じはなかった。
これはこれで、おもむきがあるかもしれない。
俺は、安めの個室を一つ借りることにした。
堅いベッドに上がりこみ、毛布をひっかぶって目を閉じた。
食事も、風呂も後回しだ。正直、もう限界。
ケアルを何度もかけて、死にそうなほど積み重なった傷はみるみるふさがった。
だが無茶しすぎて、失った体力というか元気というか、とにかくもう動けない。
眠れないが、もうそれは仕方ないとあきらめた。
桟橋での別れ際のことが、頭をよぎる。
“親愛なるアルドへ。リードより友情を込めて” と、俺は日本語で書いたつもりだった。
ところが、あまりにも自然に俺が書いた文字は、この世界のものだった。
どうしてこの世界の文字を読み書きできるのか? 今まで、なぜ気にもしなかったのか。
日本、にっぽん、ニッポン、NIPPON、JAPAN。思い出せる。あたりまえだ。
イメージできる。そうだ、元の世界のことを忘れてなんかない・・・。
「やっほーぃ。起きてるかにゃ?」
突然、頭の中に声が響いた。イッチの声だった。
今夜はここまで。
書き貯めせずにその場で書いてるものだから、眠くなったらもうダメ・・・w
449 :
No.1>>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/09(日) 09:10:17.95 ID:ewf0bHBz
「・・・何処へ行く?」
夜の街を歩く僕とクゥダフの戦士を呼び止めたのはあのガルカだった。
暗い夜道だ。このままクゥダフの戦士が彼を斬り殺しても誰も気に止めない。
同時に人類の敵対種族が一人死んだところで誰も気に留めない。
クゥダフの戦士の反対側の手が彼の懐に吸い込まれていくのを僕は見た。
ガルカの戦士は腰の長剣に手を当てている。
「…月が美しいのでな」クゥダフの戦士がそう答えると
「・・・クゥダフが言う台詞か?」ガルカの笑い声。ばれてる。
そもそも今日は月なんて出てないと思うんだけど。クゥダフのおいちゃん…。
「・・・わかった。言うよ。」クウダフは腰の短剣の光をガルカに見せないようにしつつ。
「子供の泣き声が聞こえるから見てみたらこの子がいた」と答えて僕を見せる。
港区だから強烈な海の匂いがする。・・・これに血の匂いが加わるかも知れない。
450 :
No.1>>69 ◇FC91vFcmb2 :2006/04/09(日) 09:21:11.30 ID:ewf0bHBz
しばし二人の間に緊張が走る「…クゥダフが?」冷笑。
「・・・誤解しているようだが我々はバストゥークの悪事や凶行はさておいて、
貴様ら人間個人個人に恨みや憎しみを持っているわけではない」
むしろ技術、文化、芸術、大陸の地図を作成するなどの実績は評価していると答える彼に、
ふん。とガルカは鼻を鳴らすと剣を収めた。「まぁ俺は今から非番だしな」
「クゥダフはバストゥークの敵・・・お前は常時スパイとして見られる。
・・・我らが雇い主殿も、お前が勝手にうろついて殺されても面倒は見んぞ」
知り合いだったらしい。
「わかっている・・・この子が泣き出す前に鉱山区に行かねばならん」
クゥダフはため息をつくと剣を収めた。
「・・・この子は、見覚えあるんだが・・・」「気のせいだろ」
「いや、出入りのゴブリンの商人のバッグに潜りこんでいた子だ。
・・・坊や。おうちに帰りなさいって言っただろ?」
夜の闇をほのかに照らすガルカのランタンの暖かい光が僕の顔を照らす。
一瞬。怖い顔になる。てかガルカの怖い顔って本当に怖いんですけど!!
「・・・何か、見たか?」見てません見てません!!僕は首をぶんぶん振った。
451 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/09(日) 09:29:09.44 ID:ewf0bHBz
「・・・子供を脅かすな」クゥダフの戦士はそういって僕を肩の上に引っ張り上げて乗せた。
いあ。ちょっと半泣き。(中の人なんていない!てなくらいたるっこになってるな。僕)
「まぁ俺も鉱山区に戻るところだ・・・お前が変な事をしないよう監視してやる」
そういうとガルカは僕ににやりと笑う。「よかったな。いい獣人で。食われるとこだったぞ?w」
「・・・我々は勇敢な戦士に敬意を払うため、記憶から消えぬよう身体に取り込むが、
無分別に食っているわけではないぞ・・・」クゥダフは憮然と答えた。
てくてくと歩くクゥダフの戦士とガルカ。あまり見られない光景だ。
大体空気が悪い。というかガルカとクゥダフは現場で殺しあう仲だ。
ふとクゥダフが漏らした「坊や。坊やの・・・"戦争のない国"の御伽噺を聞かせてくれ」
452 :
既にその名前は使われています:2006/04/09(日) 09:30:59.26 ID:ewf0bHBz
今日はここまでにしてヴァナいってきまー。
・・・大鎧虫がつきそうだな。Pたん。
その後色々とたわいもない話を続けて少し打ち解けた私達は一緒に水からあがって脱衣所へと向かった。
「あ、そうだ。何かあったときに便利だからリンクパールあげる。」
着替えていた私とリポケケに吊り目さんが丸い宝石をヒョイヒョイッと放り投げる。
それを私達はパシッとナイスキャッチ。
「私ともう一人はいつもつけてるからなんかあったらつけてね。」
「はい。なんだかなにからなにまですみません。」
私はペコリと頭を下げる。
「あたし、リンクパールもらうの初めて〜。ありがとう。」
リポケケは下着姿のまま早速使おうとする。
「待ってっ!!!」
それをあわてて制止する吊り目さん。もぎ取るようにパールを奪い取る。
「こんなところで使うなっ!!!向こうからこっち丸見えっ!!!!!」
「ご、ごめん。知らなかった〜・・・。」
あぁ、声のほかに映像も送れるんだ。便利だなぁ。
ていうかこれって簡単に盗撮とかに使えそう。あ、私ってば考え方が少しモグタンになってるような・・・。
「もう、気をつけてよね・・・えーと・・・その・・・。」
ちょっと困った顔でペロリと舌をだして吊り目さんが言う。
「まだ、名前聞いてなかったや。」
吊り目さんは使い込まれたタブレッドを着ながら言った。
「私はユファファ。呼び捨てでいいよ。ナイトLV60。ランクはやっと6になったばかり。」
そういって彼女はハンドバックからライセンスを出す。
うーん、どっかで名前を聞いたような。
「あたしはリポケケ。戦士LV45だよ。ランクはまだ5。あたしのこともリポケケって呼んでね!」
リポケケもズボンのポケットからライセンスを取り出す。・・・15歳って若っ!!
どうやらユファファもそう思ったらしい。
「15歳でレベル45!?君、見かけによらずやるわね・・・。」
そういわれてリポケケがプーッとほほをふくらませ口を尖らせる。
「それってどういう意味かな!」
「ご、ごめん。」
ユファファの言いたいこと、ものすごくわかります。
まさかこんなに実力があるなんて・・・。
今度は私の番。手提げ鞄から私はライセンスを取り出した。
「私はユリフィナです。白魔道士70でランクは7です。」
ユファファが感心したように言う。
「LV70・・・相当実力があるのね。うらやましい。」
LV70になるまで散々モンスターを惨殺しておいて今さら・・・なんて思われたかもしれないけれど、
彼女はそんなそぶりを全く見せなかった。私の考えすぎかなぁ・・・。
そしてポツリと彼女が付け加える。
「にしても、ヒュームとかエルヴァーンみたいな名前ね。」
確かに・・・確かにタルタルらしくない名前だとは自分でも思う。
いっそYurififiとかYurinanaとかに改名するべきなのだろうか・・・。
「ま、そんなことどうでもいいか。よろしくね、リポケケ、ユリフィナ。」
スッと差し出されたユファファさんの手を私はギュッと握った。
着替えとパールの使い方の説明が終わって私達が水浴び場をでる頃にはすっかり夜になっていた。
満点の星空に夜光草の淡い光が美しい。どこかの家からか焼ける肉のおいしそうな香りも漂ってくる。
「ユーファファちゃーーーん!待った〜♪」
どこかで聞いたことがあるだみ声が私達にかけられた。そちらの方向を向くと
なんだか見たことがあるようなヒゲ男が脇に桶をかかえて浴衣姿でずかずかとやってきた。
その声に対して元気で可憐な美少年のような返事が返された。
「ううん、全然まってないよっ!」
誰ッ!?えっ!?私が状況を理解するのにたっぷり5秒はかかった。
「よかった、ユファファちゃんが寒がってらどうしようかと思ったよ。」
「もう、そんなに気を使わなくていいってば〜。」
ボーイッシュというよりもちょっと男勝りな感じのしたユファファが声の主だ。
ユファファは、私達二人が見ていることなど気にせずにヒゲ男の脚に抱きついてあごヒゲを見上げる。
「そうだ、紹介するねっ!ヒゲヒゲオヤジさん。」
・・・アッー!!!その名前はもしかしなくてもっ!!!!
私はふと昨日のランデブーポイントの出来事を思い出した。
ヒゲと私そっくりの顔のフェローのベタベタやりとりを・・・。
「・・・ただいま。」
私はなんだかげっそりとしたまま家に帰った。LSのいつもいるメンバーのもう一人が彼、
ヒゲヒゲオヤジさんだったことは言うまでも無い。
ちなみに彼の本名は本当は違うらしいがなんでもこう呼んでほしいらしい。
ユファファの豹変振りといい、私達を愛でるように見つめてくるヒゲ男といい
なんだかものすごく最後の最後に疲れた気がする・・・。
「お帰りクポー。」
モグタンがはたきを片手にパタパタと飛んでくる。そして優しげに私を見つめてこう言った。
「ちょっと元気になったクポ?」
あ・・・。言われてみれば・・・。なんだか色々ありすぎたせいであのヤグードを殺したショックから
少しだけ立ち直れたみたいだ。たぶん、夜一人で眠ろうとした時とか思い出すだろうけど・・・。
「うん、心配かけてごめんね。」
「なにか嫌なこととかあったらモグに何でも相談するクポ。それがモグの仕事クポ〜!」
そういって目の前で楽しげにクルクル回りだす。私の家にいるモーグリがモグタンでよかった・・・。
本当に・・・。私はまたちょっとだけ涙目になる。
同じように迷い込んだ人たちの中でも私以上の幸せ物はいないのかもしれない・・・。
しばらく回っていたモグタンがピタッととまって微笑んで付け加えた。
「でも、モグの場合は仕事じゃなくてもご主人様の悩み事は何でも聞いてあげたいクポ〜。」
・・・完ッ璧にとどめになった。・・・本当にありがとうモグタン。
私は思わずモグタンをギュッと抱きしめて、ありがとうとひたすらつぶやきながらその場に泣き崩れた。
(クポッ・・・なんだか『特に性の悩み事を聞きたいクポ。』だなんていえない空気クポ・・・)
以上です。もしかしたら夜に続きを投下するかもしれません
投下乙であります。
>>452 クゥダフとガルカとで、血みどろの戦いになるかと思ったヨー((((゜д゜;))))
てか、やっぱりクゥダフって食うんだ?w
>>459 ユリフィナさんのココロが持ち直して、ほっとしてみたり。
だんだんモグタンと仲良くなっていきますね・・・
わっふるわっふる!
そういえば、左胸のポケットにリンクシェルの小袋を入れたままだった。
勝手に通話状態になるなんて、まるで自動モードの携帯電話だ。
取り出して壁に叩きつける元気もなかった。
「・・・何か用か?」
ベッドにうつぶせたまま、俺はつぶやいた。
口に出さなくても会話はできるはずだが、まだ慣れていない。
「ひっでーにゃぁ。せっかく話し掛けてやったのに」
なんとなく、イッチのむくれた顔が思い浮かぶ。
「ひとり寝が寂しいんじゃないかにゃー?」
「・・・」
図星だった。
素直に認めるのはシャクに触る。
「馬鹿言え。そんなわけあるか」
知ってか知らずか、イッチは言葉を続けた。
サンドリアに着いたよ、と。
イッチはホラの遺跡で二人組と別れた後、貸しチョコボでサンドリアに走ったそうだ。
「ずいぶん早いな。まだ夕方・・・」
頭の中に広大なラテーヌの地図を思い描く。チョコボは時速何キロだ?
「はいィ? もう夜中だにゃ」
「そうなのか?」
もう夜・・・。気づかなかった。
あ、そうか。
どうもおかしいと思ったら、この部屋はラブホに似ているんだ。
分厚い岩で、外の音は漏れ聞こえない。
部屋の中は常に照明がぼんやり灯り、小さい窓は締め切っていて外の明るさの変化がわからない。
時計を見なければ、時間の感覚が狂ってしまう。
いつだったか、朝がきたのを二人とも気づかず、大失敗したことがあったっけ。
パブロフの犬じゃあるまいし、シチュエーションでムラムラ?
「くっはは・・・」
俺は苦笑した。
「おーい大丈夫? なにかあったにゃ?」
大丈夫だ、と俺は簡潔に応えた。
「いや、船でちょっとしたハプニングがあっただけだ。問題ない」
くどくど説明しなかった。
イッチに要らぬ心配をかけたくなかった。
「そんなことより、“
>>100”には会えたのか?」
砂丘でイッチとはぐれた
>>100は、サンドリアに戻っているはずと俺たちは予想していた。
「それが・・・ウィンダスに向かったって」
「あぁ!? 1レベルがひとりで? ハラから内臓出てたんだろ?」
>>100ってのは、斜め上を行く奴だな。
「“
>>119”が言うには、オレが死んだって思ったらしい・・・」
イッチも困惑してるのが伝わってくる。
ゴメンな、責めてるわけじゃないんだ。
「ちょうど居合わせたフレに護衛を頼んで、船に乗ったって」
俺が乗った船には、それらしき人物はいなかったはず。
別の便だな。
少なくともイッチの知り合いに、俺の狂態を見られずに済んだわけだ。
「連絡はつかないのか?」
そう、リンクシェルで俺たちが会話しているように。
「それが・・・渡すの忘れてたにゃ」
「お互いサンドリアだし、モグハの住所わかってるし、いいかなーって」
イッチが可愛いいしぐさで頭をかくのが見えるようだ。
あー、んー、むぅ・・・。
ま、いいか。
とりあえず、ここまでです。
夜に追加かも。
中の人がいるキャラクター、つまり現実とヴァナを唯一繋ぐ存在との交流は俺は諦めている。
いや早急だな、距離を置こうと考えているんだ。理由?
プレイヤーの装備やレベルをクイックで調べられる機能。それが交流を躊躇わせるひとつの理由だ。
あの視線は感じてみないとわからない、すべてを見透かすような粘着した視線。
中の人が悪気が無くてもあれは耐えれるもんじゃない。
だけど俺一人では生きていけない。孤独では辛すぎる環境であるし、
他の”望まない来訪者”の存在の確認と接触もしなくてはならない。
だから、俺の行動は至極自然な行動だと思うんだ。
「でも、ぶっちゃけ現実逃避クポね。」
そんな風に絶望的に的確な返答をする程すっかり元気になったフリート。
すっげー嬉しいよ俺。その気持ちをチョップに込めフリートの額だと思うところに振り下ろした。
〜ウィンダス 森の区 リヴァイアサンゲート東側方面〜
「普通『そうクポ!!ご主人の行動は何一つ間違ってないクポ!!』っていうだろ、たっくよ…」
ブツブツ独り言を垂れ流してるとプレイヤーに調べまくられる危険性があるのに、
それを全く気にしていなかった馬鹿な俺。ま、結局何事もなく東サルタバルタへ行けたんだけどな。
エンササ、じゃないやエンササさんと話したことによって俺に一筋の光が射した。
NPC改め町の住民とは現実と同じように話せる、それが判ったからだ。
とりあえずモグハウスに帰って一眠りして(6時間寝たからヴァナ時間で6日か?)
起きて慌ててフリートに薬を渡し(おい)外に出た俺が最初にしたことは
街の人全員に話しかけることだった。「こんにちは、今日もよいお日柄ですね〜。」てな。
現実では絶対使わない台詞。じゃ他にいい台詞があるか?ないだろ?って俺誰に言ってるん(ry
まぁ反応は大体概ね良好だった。「ようやく冒険者が話してくれた。」と行く先々で喜ばれた。
で「大体」というのは恐らく現実と同じ比率位だと思う。「なんだこいつは」ってタイプがいたんだ。
その代表格、ホノイゴモイ。イエイ。ウィンダスで唯一二階一戸建てをかまえる大金持ち。
ゲームで会ったことはないが周りの評判は知っていたから覚悟はしていた。が、
まさか石つぶて投げてくるとは思わなかった。で後で見たら拾ってるし。とことんケチらしい。
じゃ、そのホノイゴモイに敵対心を燃やしてるスターオニオンズ団のガキ共はというと、
これまた応対は悪かった。「俺たちに媚を売る汚い大人」と写ったらしい。今にもオニオン爆弾作って
投げそうな雰囲気(材料がなかったらしい)だったのでとりあえず出直すことにした。泥縄だな。
石の区の3博士? コルモル博士は本当にあのまんまで、俺の話聞いてるんだか聞いてないんだか。
ヨランオーラン博士は溜まりに溜まったマンドラゴラの四葉や硫黄を整理…ていうよりそれに埋もれてた。
笑い声が聞こえてたから大丈夫だろう。ていうか怖かった。
シャントット博士が意外にも3博士の中で一番マトモに対応してくれた。
「オーッホホホホ!!!ようやくわたくしの素晴らしさ偉大さがわかったようですわね。よござんす。
折角いらしたのですからわたくしが新しく開発した魔法の実験体に…ってあら?どこ行ったのかしら…」
前言撤回。やっぱ怖いです。
クピピはロランベリーパイで機嫌が良くなった。賄賂贈った気分だ。
ズババ女史は星の神子に近づかない限りは口うるさい姑といった感じ。もう一度話したいとは思わなかったが。
守護戦士は一様に冷たかった。まぁ星の神子を守る立場だから仕方ないだろう。
セミ・ラフィーネとは会いたくなかった。カンだが痛いところを突いてきそうだからだ。
同じ理由でアジドマルジドとも会いたくなかった。が、ウィンダスにはいなかった。どこいったんだろ?
…あ、そうそう一応俺にも好きな町の住民がいた。うん、まぁ思った通りだったな。
間違ってもナナー・ミーゴではない。彼女は土産物持参でないと機嫌が悪かった。
機嫌とるつもりはさらさらなかったので土産は持参しなかったが。まったく渋…
ま、まぁとりあえずはこんな感じ。って俺誰に言って(ry
とにかく気持ちの整理はついた。次に俺がしなくてはならないこと。それは
モンスターの命を奪いそして自分自身も傷つく『戦闘』。
頬を叩き気合を入れる。日常では有り得なかったシチュエーション。
東サルタバルタが目の前に広がっていた。街とは違う強い風が俺の髪を揺らす。
…って(あれ?)空を仰ぐ。まだ昼だ。
ちょ、ちょっと待て…、確か俺は朝方にモグハウスから出たはず。
今から3時間前ほどま…(!!)声が出なかった。
リアルと同じ時間感覚。
いつのまにかヴァナにはその時間が流れていた…。
投下終了
「いつのまにかリアルと同じだよ!!」で決着
ええ逃げですよ…、どうせ… orz
なんか皆さん色々羨ましい状況になってますなぁ…16娘や
>>1猫や妹や…
いいのか、それで!?(いいじゃねぇか
さてと次はこぼれ話でも書こうかな…
>>Loufas氏
何か起こるヨカーン。wktk。
>>609(ヒロ)氏
戦闘描写が熱いですな・・・そしてナイスブロントw
>>228氏
わっふるわっふる!wwww
筆が遅いのは各自のペースがありますから、気にする事では無いと思うです。
>>レップ氏・ユリフィナ氏
冒険者証明書キタコレ!
自分の設定が活かされると、計り知れない嬉しさが込み上げてきます・・・。
>>898氏
同感・・・。みんな仲間ができて・・・【/cry】
時間経過に関してはGJ!と言わせていただきますw
それでは、投下まいります。
「・・・何処で聞いたの。その事」
微妙に疑っているようだ。寝起きで機嫌が悪いというのもあるかもしれないが。
ここは一つ、信憑性のある嘘を。
『実は、週間魔法パラダイスの編集部から受けた依頼で、そのような現象があると聞いたから、
真偽を確かめるために、話を聞いてきてくれないか、と。
人格まで変わるようなので、それならばカーディアンに意思を持たせる事の可能な、
手の院に勤める人なら何か知っているかもしれない・・・と言われたので、こちらに来たのですが』
我ながら、よくもここまでスラスラと嘘が吐けるものだと思う。顔には出さないが。
「ん〜・・・あそこも今苦しいらしいしね。よく冒険者さんに仕事を頼むって聞いてるし・・・」
まだ少し疑っているようだが、一応は信用してくれたようだ。少し悩んだ後に彼は言った。
「他の冒険者さんには内緒にしててね。あと編集部に戻ったら、この事は記事にしないで欲しいって伝えて」
真剣な顔で言われては、こちらとしても頷くことしか出来ない。
・・・そもそも個人的に聞きたいだけなので、心配は無用なのだが。
『内容によっては、依頼そのものを破棄して、聞いた話を自分も忘れる事にします』
信用されるために言っておいた。それを聞いて安心したのか、彼は話を始めてくれた。
「そういう冒険者さんが居る事は聞いてるよ。その人達は、どうやら違う世界に住んでいたらしいね。
その中の何人かの冒険者の人たち・・・えーっと、【異邦者】って呼ばれてるんだけど、
異邦者の中でも高名な人たちが、各国の偉い人に会ってるっていう事も聞いてる。ここまではいい?」
少しだけ待ってもらい、背負いのサックを床に降ろす。
降ろしたサックから、朝方に競売で購入した、わら半紙のような紙束と羽ペンを取り出す。
ボールペン等の便利小道具は流石に無かったので、インクと付けペンを一体化させた御手製だ。
一応布切れなどで細工してあるので、液漏れなどの心配は無いはずだ。インクを漬ける手間は必要だが。
これでなんとか、記者という体裁を取る事にする。
試し書きに、先程聞いた事を端的にメモする。インクのノリも良好だ。
『お待たせしました、続けてください』
目線を合わせるため、その場に座り込みながら続きを促す。
「用意良いですね。では、続きを・・・」
彼も、ぺたりと地べたに座り込む。そして、淡々と話し始めた。
「異邦者さん達が言うには、そっちの世界は『リアル』とか『チキュー』って呼ばれてるそうなんだ。
そこに戻るために、各国で救いの手を求めてるらしい。
どの国も同盟関係にあるから、その事に関する協議が行われて、今は色々と情報を集めている段階」
重要そうな部分だけを抜き出し、メモしていく。
(みんな、頑張っているんだな・・・)
戻りたい、という願いは皆一緒なのだろう。その為に、どんな手を使っているのかは知る由も無いが。
「詳しい部分はわからないんだけど・・・ごめんね。
異邦者の世界とこの世界・・・ヴァナディールとは、何かと差があるらしくてね。
中には狂気に走って、自殺しちゃう人達も居るみたい」
それはモグから聞いている。その事を告げると、彼は肩をすくめた。
「まったく・・・モーグリはお喋りだなぁ。種族柄、仕方ないんだろうけどね」
イベント等に首を突っ込むモーグリ達だ。噂話の類には目が無いのだろう。
「ちなみに、モーグリからどんな話を聞いているのかな。話さなくても良い部分は端折りたいしね」
と言われても。自分もそこまでしか聞いていない。
『情報の精度を高めるためにも、どのような話であれ、お聞かせ願えないでしょうか』
これならば、彼の知っている情報を全て聞きだせる・・・ヴァナに来てから、悪知恵だけは働くようだ。
「君もお仕事だしね、仕方ないか。
話し合いの結果、僕達耳の院で調べている事は・・・まずこれ」
そう言って、彼は作業台上のカーディアンに手を置く。
「異邦者の所持品と思われる金属や、特殊な容器の一部に使われていた材質の研究。
同じ・・・とまではいかなかったけれど、ほぼ同等の物を作り出す事はできたんだ。
その材料を使ってできたのがこの『ネオカーディアンさま』なんだよ!
・・・おかげで、ここのところ徹夜続きなんだけどねぇ・・・」
果てしなくダサいネーミングセンスだが、敢えてツっこまない。こういう性格なのは知っていたし。
金属はミオの持ち込んだ模造刀の破片だろう。でも、特殊な容器とはなんだろうか・・・。
『そのカーディアン、少し拝見させて頂きますね』
百聞は一見にしかず。見たほうが早いと思い、返事を待たずに立ち上がってカーディアンを見下ろす。
基本的な材質は、他のカーディアンと同じ木製のようだ。
間接を守るためのプロテクターだろうか。その部分は金属製のように見受けられる。
あとは、所々に装飾された青い板・・・。これってまさか。
「気がついたかな?今までの欠点だった、間接部を守るために、新金属を使ったのと、
もう一つは最大の弱点、火に弱いという部分を解消する為に、未知の素材を散りばめたんだ。
・・・元の板は熱に弱かったんだけれど、クリスタル加工したら強力なバ系効果が発現したんだ。
こういう結果は予想していなかったけれど、下手な考え休むにタルタルって言うしさ。
ああ、興味があるなら触ってみても良いよ。壊さないように、気をつけてね」
言われて青い板に触れる。多少の弾力がありツルツルしている・・・これはもしかして、プラスチックか・・・?
掲示板に書かれた内容を思い返す。誰が持ち込んだ物か覚えていないが、ポーションのビンがあった筈。
限定BOXのビンに使われている飾り蓋は、確か青いプラスチックだったと思う。
「凄いでしょ? 新しく追加された戦績品の中には、これらの素材が使われた物もあるのさ!
ネオカーディアン様はまだ、試作段階だから動かしていないけれど、実用化されれば怖いものなしさ!」
自分が悩んでいる間も、彼は説明を続けている。
新素材を使われた新型カーディアン・・・戦争利用されない事を祈りたい。
「あともう一つ、耳の院が調べている事があるよ」
はっと我に帰り、新素材の要所を紙に走らせながら続きを待つ。
「それはカーディアンに用いられている技術。機械に意思を持たせる事さ」
羽ペンを動かす手が一瞬止まる。その話こそ、最も自分が知りたかった事だ。
動揺を悟られまいと、止まった手を無理矢理動かす。
ペンを持つ手に力が入る。紙束を持つ手が、いつのまにか汗で濡れていた。
「異邦者の特徴に、性格が一変するっていう報告が多いんだ。
これは、クリスタル大戦時に打ち捨てられ自我を持った、野良カーディアンに近いと考えたんだろうね。
意思を植えつけられたカーディアンと、元より意思を持っていた冒険者とで差はあるんだけど」
心の中でガッツポーズ。LVUPのファンファーレも鳴った気がするが、それは幻聴だろう。
『続きを・・・お願いします』
紙束から視線を上げて言う。期待を胸に、彼の眼を見下ろす。
「・・・それだけだよ?」
何を言われたのか、一瞬理解ができなかった。LVDOWNの沈痛な音が鳴った気がする。
沈黙を疑問と思ったのだろう。彼は少しの間を空けて言った。
「カーディアンに意思を持たせる工程は、アプルル院長が行っているんだ。
だから僕のような技術者は関連性を調べている、という事しか教えられて無いんだ。
院長なら、もっと詳しい事を教えてくれるかもしれないけれど、あいにく外出してるんだ」
今知りたかったが、外出中とあらば仕方が無い。落胆しかけた気持ちを奮い立たせる。
『アプルル院長は、いつ頃お戻りになられるかご存知でしょうか』
「各院の定例会議らしいから、普段通りなら夕方には戻ると思うよ。
詳しい話を聞きたいのなら、戻り次第伝えておくけど、それで良いかな?」
今すぐにでも、その定例会議とやらに駆けつけて話を聞きたいが・・・それは色々まずいだろう。
『お願いします。私の名前はRain。後ほど伺いますので、その旨お伝えください』
彼は快く了承してくれた。一礼して、耳の院を後にする。
外に出ると、陽はまだ幾分高い。夕暮れまで4〜5時間といったところか。
(次に何をするかは決まったし、どうしようかな・・・)
紙束と羽ペンをサックにしまい込み、時間つぶしを模索する。
街中を探索する必要はあまりないだろう。モニター越しとは言えど、長い時間をかけて遊んだ国だ。
何処に何の施設があるかは、ほぼ把握しているし、地図は無くとも走り回る自信はある。
そうなると、外に出てみたい気持ちが強くなる。
(LV12っていうと、サルタくらいなら気軽に出歩いて大丈夫だよな・・・)
思うが早いか、足は森の区にある門のほうへ動いていた。
噴水広場東の通路を抜けると、そこは外に出る為の門がある。
自分を追い越し、門から外に出て行く冒険者の姿。装備を見た感じ、まだLV1桁の冒険者だろうか。
それなりにベテラン冒険者を自負する自分は、門の横で仁王立ちしているガードに近寄る。
「ん? 冒険者か。何の用だ」
口調は堅く、聞き様によっては怖いと感じるかもしれないが・・・タルタルなので威厳も何も無い。
『シグネット・・・お願いできますか?』
そう答えると、いつものあの台詞の後に、不思議な感覚の魔法をかけられる。これで準備はOKだろう。
ガードに軽くお辞儀をし、門から外へ続く通路に身を躍らせた。
478 :
83 ◆W0QmuTI9lM :2006/04/09(日) 17:14:00.52 ID:IYJk9QJE
本日の投下は以上です。保守ageしておきまする。
>>69氏
そんな訳で、一部設定利用させていただきました。
・・・間違ってないデスヨネ・・・。
>>Lead氏・他
冒険者証明書は、ステータスの一部を確認できる、という使い方が主です。
閲覧できるのは文中の通りと、次ランクになる為のゲージ・称号くらいです。
つ・ま・り。自身のスキル表示は無いつもりです。数値で確認できたらアレですし。
死亡時のHP転送等まだ未確認ですので、果たしてHPに飛べるのかどうか(ぇ
ヒーリング効果に関しては、座ってるだけで傷が治るのはオカシイだろうと、
ほぼ全て脳内システムで作成しました。細かいことは気にしない気にしない・・・。
以上、注釈多めですが、役立たせて頂けると幸いです(´・ω・`)
実は前スレどこまで書いたか忘れたとか
まとめサイトにも後半乗ってないし良いかとか
小心者なのでトリップつけるの怖かったとか
そんなチャチな(AA
何か俺が沢山いるし放置でいいかなとか思ってみたり
本人降臨とか恥ずかしかったのでSS以外は書き込んで無いので…
ん、いままので自称98氏は偽者なのか?
もうわかんなくなってきたwwwww
481 :
既にその名前は使われています:2006/04/09(日) 21:38:49.56 ID:mLc/dGQY
>>464 もう、思わせぶりなこと言って・・・
眠れないじゃないの
わっふるわっふる
投下乙であります。
>>465 「すっげー嬉しいよ俺。その気持ちをチョップに込め・・・」
吹いたwww なんか負けた気がするwwwwww
>>478 設定サンキュ!
Leadのエルヴジャーキンは四次元ポケット付ですから、どっかに入ってるハズ(ぉ
>>479 かに本家さん・・・かな?
いろいろイジってすまんす。そのせいで出てこれないのかと思うと胸が痛んだり
「市民。世界は創造された時から完璧です」
「市民。世界は調和を乱す者を許しません」
「市民。世界は完全な管理の下にあるのです」
「市民。あなたは幸福ですね?」
さて、今夜も書き始めるとしますか・・・。
484 :
既にその名前は使われています:2006/04/09(日) 22:46:23.35 ID:c5ASdynN
自キャラになってゴブリンに追われた夢なら見たことある
し…市民、それは反逆なんじゃ……(ZAP ZAP ZAP)
セルビナで別れてから半日、12時間ほど。
たった、それだけなのに。
この心細さはどうだ。
自分はこの世界のイレギュラー、孤独なんだと思い込んでいた頃よりも。
今は、さらに。
「・・・ウィンダスに、来る・・・のか?」
どうして俺は。
こうも思いを言葉にするのが下手なのか。
「や、まだ行けないにゃ。サンドリアで調べたいことがあって」
「そう、だよな。・・・調べたいこと?」
「あー、そういえば、それを相談したくて連絡したんだったにゃ」
てへへ、と笑う顔が思い浮かぶ。
俺も段々リンクシェルを使い慣れてきた。もう唇を動かさずに通話ができる。
互いの思考が筒抜けというわけでもないようだ。
「ちょっと聞いたんだけど、最近、オレたちと同じっぽい人が増えてて・・・」
そこで一瞬、ためらうような間があった。
「・・・ワケもなく失踪したり、殺されたり、してるみたいなんだ」
Σ(゚Д゚)
ここはパラノイアなインターネットですか?
イッチが、わざわざ「失踪」や「殺し」と言うならば・・・。
背筋がぞくぞくする感覚がある。
意味もなく、俺は心の中で声をひそめた。
「冒険に出て行って音沙汰無し、とは違う意味だな?」
「にゃ」
「今、そっちは大丈夫なのか?」
「とりあえず、なんともないにゃ」
イッチも俺につられたのか、小声で通話しはじめた。
「普通の冒険者らしくしてるぶんには、大丈夫みたい」
まだ密かに噂になってるレベルだけど、とイッチは付け足した。
リアルから持ち込まれた物品を元に、各国で新技術が開発されつつある。
各国の首脳クラスは、危険かつ魅力的な、俺たちのような人間を探しているらしい。
「でも、エラい人たちは、事情を話せばたいてい協力的に待遇してくれるらしいにゃ」
俺がこっちの世界で“目覚め”てから、まだ四日・・・いや、日付が変わって五日目。
それが、既にここまで情勢が変化している。
「過去に飛ばされた人間もいるかもしれない、という予測は当たっていたわけか・・・」
490 :
既にその名前は使われています:2006/04/10(月) 00:04:49.67 ID:n4DII33e
どきどき・・・
わっふるわっふる
「といっても、そんなに昔じゃにゃいだろうけど・・・」
イッチも考えこみながらの通話だった。
「せいぜい、一、二・・・数ヶ月の誤差かな?」
「あぁ。そんなトコだろう」
返事をしながら、俺は別のことを考えていた。
各国のリーダークラスなら、利用するために生きたまま確保したいはずだ。
表向きは友好的に接するだろうし、無茶なことはしないだろう。
なぜ、失踪したのか。
元の世界に帰還できる方法を見つけた? ならば仲間に教えるはずだ。
自殺? ありえる。絶望か、それともログアウトできると信じてか。
しかし殺されたとすれば、誰に。
狙われる条件は、なんだ・・・?
「まさか」 俺は思わず、うめくような声を出した。「“持ち込んだ”人間を・・・」
「それと、にゃにかヘタに動いて奴等の目に止まれば、ドコかに連行、もし抵抗すれば・・・」
「奴等?」
「うん。まだ密かな噂程度にゃけど。でも仲間が連れて行かれるのを見た人がいる」
“赤い鎧”
イッチはそう言って、沈黙した。
今夜は以上です。
493 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/10(月) 00:41:02.03 ID:iYV12rQ9
>>492 投下乙です!
赤い鎧って言ったらやっぱり…
ちょっと多めに投下します。
(75)
「ほら、力抜いて…」
「はい、でも、あの…私こういうの初めてで…剣術しかしてなかったから…」
「でも興味はあるでしょ?」
「…はい」
「不安?」
「いえ、がんばってみます…」
「んじゃ、これ持って」
「やだ…こんなに太いの…」
「ここに手を当てて…」
「ダメ…怖い…」
「大丈夫、俺を信じて…」
黙ってコクンと頷く。
「そう、そのまま…」
ストンッ
「やったー!きれいに切れましたよ!」
サンドリアカロットに包丁を入れて喜ぶエルリッド。ただの輪切りなんだけど…
「いや、このくらい出来なきゃこの先ほんと困るよ?」
居住区の共同炊事場でなんだか変な注目が集まっていた。
(76)
なぜ料理なんてしているかといえば…
モグハウスに戻ると置手紙が置いてあった。
『モーグリの集会に行くので今日は帰らないクポ 食事は適当に済ませて欲しいクポ』
面倒だから夕食は抜いてもいいかなと思っていたら、エルリッドが食材を持って帰ってきた。
「え〜!モーグリさんに料理してもらおうと思って食材買って来たのにぃ〜」
さっき食べたばかりなのにもう夕食のことを考えていたらしい。
「買ってきたものは仕方ないか。それじゃ、俺たちで料理する?」
「…あの、私…」
「ん?」
「料理とか…全然出来ないんですけど…」
「あぁ、大丈夫。俺結構そういうの慣れてるから」
安心したような顔をするエルリッド。
「でも、いい機会だからエルリッドもやってみたら?俺が教えるから」
ギクッとしたように後ずさる。
「自分で食べるものくらい自分で作れるようにならないとね。で、なんの材料買ってきたの?」
「…ダルメルステーキとサラダ、それとパンです」
切って焼くだけじゃねぇか。料理とも言わない気がするけど…
そしてサラダを作るためにサンドリアカロットを短冊切りにしようとしているところだった。
(77)
「というかさ、普段剣を振り回してるのに包丁が怖いってどういうこと?」
「なんか自分の手切っちゃいそうで怖いんですよぉ…」
「…それじゃ、この肉を包丁の背で叩いておいて。あんまり力は入れすぎないようにね」
おっかなびっくり肉をペチペチし始めたエルリッドを横目に、俺はサラダの食材を切りそろえる。
「ルーファスさん、器用ですね〜!」
俺の手元を覗き込みながらエルリッドが感心していた。
「一人暮らしも長いしね。自分で作ることも多かったから」
「いいなぁ、私も料理できるようになりたいなぁ」
「んじゃ野菜切るくらいであんなにオタオタしないこった」
切った野菜を皿に盛り付けながらニヤリとしてみた。
肉が焼きあがったところで、モグハウスに戻って食べ始めた。
「おいしい〜〜!」
「ちょっと肉が硬かったかな」
「でも、ダルメルの肉って結構硬いですから、やわらかいほうですよ」
「そっか、肉叩いてもらって正解だったね」
俺もエルリッドもあっという間に平らげてしまった。
「ところでルーファスさん、元の世界には待っている人とかいないんですか?」
急に切り出されて、ちょっと慌ててしまった。
(78)
「どうだろう。基本的に一人だからね」
両親や兄弟とは年に数回しか連絡は取らないし、結婚もしてなければ彼女もいない。
飲み友達は寂しがってくれるだろうか。
「まぁ、仕事があるから出来るだけ早く帰りたいって言うのはあるけど…」
それから開放されたという思いの方が今のところは大きい気がする。
一人なのはヴァナディールでも同じ事で、フレは皆引退してるし、LSも持ってない。随分昔に捨ててしまった。
なんでFF続けてたんだろう。
「へぇ〜…なんか寂しいですね…」
「そうでもないよ、気楽でいい。悪くはないよ」
本音だが、それもなんだか言い訳がましい気がしてきた。
「あ、そういやいたな。一人知り合いが」
すっかり忘れていたが、かばんの中からシグナルパールを取り出した。
「どんな人ですか??」
なんか興味津々だ…
「エルヴァーンの女の人だよ。どういう人といわれると説明しづらいけど…」
「そうなんですか〜!じゃぁその人も呼んじゃいましょうよ!」
そういうエルリッドの片手にはロランベリーワインのボトルが握られていた。
(79)
シグナルパールを耳につけ、声をかけてみた。
「おーい、ラディール。聞こえる?」
『聞こえますよ、どうしました?』
随分落ち着いた感じの声だった。
というか、リンクパールって携帯電話並みに会話がクリアなんだなぁ…
「今サンドリアで飲むところなんだけど、近くにいたらラディールも来ない?」
『丁度、チョコボでサンドリアに向かってるところです。少し待ってもらえるなら行けますよ』
「今どの辺?」
『ロンフォールに入ったところです』
「了解、それじゃ門まで迎えに行くよ」
「来るってさ。門まで迎えに行こう」
「よ〜し、それじゃおつまみとお酒もうちょっと買い足しておかなきゃ!」
「あ〜そうそう、一応狙われてるって事もあるから装備だけはしっかりな」
「は〜い」
エルリッドは相変わらずエアリー装備をしているが、盾だけは俺がへこませたものと同じものを持っていた。
「新しい装備ってさ、盾もあっただろ?」
「う〜ん、見たんですけど透明だったんですよね〜…私、ああいうのなんかダメなんですよ」
そういうもんなのかね…
(80)
南サンドリアは露天商やバザーで、日が沈んでなお賑やかだった。
とりあえず買い物は後にしてラディールを迎えに行くことにした。
「ラディールさんって言うんですか。どんな人ですか?」
俺はちょっと返答に困った。
俺が知っているのは画面の中の彼女であって、接してどうということはわからなかった。
「さぁ、俺にはこの世界の情報はないからね。いるということは知っていても、どういう人かは正直わからないな」
「ふ〜ん…」
何か納得のいかない表情だ。俺も多分そんな顔をしてるだろうけど…
競売前を掠めて西側の門にでると、そこはガード以外は誰もいなかった。
そのまま外に出ると、ところどころに松明があるものの、それ以外は完全に夜の闇に染まった森があった。
門の外にいるはずの兵士は何故かいない。
「なぁ、ここっていつも衛兵が立ってなかった?」
「交代の引継ぎでもしてるんじゃないですか?」
エルリッドは軽く答えた。
そういわれるとそんな気もする。
どうも色々考えすぎていけないと思った瞬間、松明に照らされて黒いマントに覆われた何かが目に映った。
(81)
「…エルリッド!」
「わかってます!何か空気がおかしいです…」
既に剣を抜いている。
俺は腰にあるワーグバグナウを手にしようとして、結局そのまま素手で構えた。
そうしている間に黒いマントに覆われた影はスルスルと俺の前に移動した。
距離は大体6メートルくらいだろうか。フードの合間の笑ったような口元が松明に照らされた。
何が可笑しいのか。
ハッとして俺は背後と上を確認した。
背後は何もない。上は −
丁度上から同じような黒い影が2つ、こちらにめがけて落ちてくるのが見えた。
「上だ!」
俺は短く言うと、黒い影の着地する地点から離れようとした。
エルリッドは盾を前に構えて、俺の前にいた影に殺到していた。
なるほど、避けるのと同時に攻撃を仕掛けたのか。
俺はやや前進しつつ、エルリッドの背中を守るように上から落ちてくる2つの影を視界に捉えていた。
「やぁぁ!」
剣撃を打ち込んだ空気の裂ける音とエルリッドの気合の声が聞こえた。
すぐに金属同士がぶつかる音がする。防がれたらしい。
(82)
正面の一人はエルリッドが相手をしてくれている。
なら、俺は降って来た2人を押さえ込まなければならないが…
考えるよりも先に体が動いていた。
着地する瞬間を見計らって駆け出し、一人を思い切り殴り飛ばした。
派手に遠くまで飛んでいく。手ごたえはあったがありゃ飛びすぎだ、自分で飛んでる。
すぐに隣のもう一人へ足払いになる水平蹴りを繰り出した。
これも当たると派手にその場に倒れた。即座に倒れた相手を押さえ込みにかかる。
俺よりは2回りくらい小さな体格だったが力はすさまじい。
先ず思い切り腕を捻り上げ、肩口に押し付ける。うつ伏せの状態のまま固定し、首筋に足を当てた。
だが、すぐに力ずくで立ち上がろうともがき始めた。
「くっそ…!」
俺は捻りあげていた腕の肩を思い切り踏み抜いた。骨が外れる低い音がする。
そのまま外れた腕を引っ張り横向きにして鳩尾を蹴り上げた。
そこまでやって、最初に殴り飛ばした方がすぐ眼前まで迫っていた。
手には短剣を持っている。
横から払うように繰り出された斬撃を体を後ろにそらすようにして避ける。
勢いあまって後ろに後転したが、すぐに体制を立て直して敵が視界に入るように向き直った。
(83)
背後では連続して金属音がなっている。エルリッドはまだ健在だ。俺は目の前の敵に集中すればいい。
整息してから正面の影に向かい構えた。
倒れている方は動く気配がない。気を失ってくれたようだ。
どうする、こんな連中まともに相手できるのか…?いっそ逃げるか…
一瞬ゲートの方に目をやった次の瞬間、左腕の付け根に凄まじい痛みが走った。
「ぐぁっ!」
思わず声を上げた。
「ルーファスさん!」
「振り向くんじゃねぇ!」
目をやるとさっき横払いの斬撃を繰り出していた短剣が深々と刺さっていた。投げたのか?
腕がまるで動かなくなった。感覚がないが、腕の重さだけはわかる。
短剣を引き抜こうとすると、それを見計らったように影が襲い掛かってきた。
今度はさっきよりも長い武器が握られている。片手剣だろうか。
真上からそれが振り下ろされる。
直感的に腰のワーグバグナウを取りアッパーカットのような手つきで攻撃を受け止めた。
受け止めはしたが、影はそのまま力を込めてきた。
片手では支えきれず額に刃が当たる。
(84)
額が切れて血が流れてきたのがわかる。
受けきれない、だがどうすれば…
距離が近くなったせいか、フードの中身が松明の明かりでよく見える。
エルヴァーンじゃない、ヒュームだろうか。
そして、フードの切れ目付近の首筋が目に入った。
瞬間、俺はワーグバグナウを右にずらし、剣を右後背で受けた。
背中の肉で受けた分腕はまだ動くようだ。ワーグバグナウを離した右手で相手の首筋を思い切り引き付ける。
迷っている暇はない。俺は口を大きく開けると、覗いていた首筋に深く噛み付いた。
口の中に酸化した釘の錆びのような味が広がる。
影は声にならない絶叫を上げている。
そのまま噛んでいる部分を、首を振ってさらに深く食い込ませて、やがて噛み切った。
空気の漏れる音がする。喉笛を食いちぎったせいだろう。
影は数歩後ろに後ずさりして、そのまま仰向けに倒れた。
俺はそれを見届けてから、口の中の肉塊を吐き捨ててその場に膝を付いた。
(85)
付いた膝から、規則的な振動が伝わってきた。
人が走るような振動じゃない。おそらく、なにか大型の動物が近づいてる。
背後では相変わらず金属音が鳴っている。
俺は左肩に刺さっている短剣を勢い良く引き抜いた。同時に血が噴出す。
「こっちは片付いたァ!」
膝を付いたまま振り向き、叫ぶ。目に血が入ってよく見えないが、まだ影とエルリッドは戦闘中のようだ。
「はい!」
元気な声が返ってきた。なんだか安心してしまった。
だが、エルリッドと戦っていた影はすぐに後ろを向いて闇の中に消えていった。
代わりに視界に入ってきたのは、『きゃっ!』という声と大きな黄色い鳥。
「ルーファス!」
この声は、ついさっき聞いたばかりだ。
「…ラディール、遅かったな」
「ルーファスさん、喋っちゃダメです!」
エルリッドは何か口をもぞもぞと動かし始めた。
すぐに同じようにラディールも何かを唱え始める。なんだろう?
急に俺の体が紫を含んだ白い光の帯に包まれた。
(86)
光の帯が消えると、妙に体が軽くなった。額と肩の傷も消えている。
「大丈夫ですか!?ルーファスさん!」
「ルーファス!これは一体どういうことですか!?」
俺がよろよろと立ち上がると、二人が駆け寄ってきた。
生きてる。
そう思っただけでまた膝を突いてしまいそうなほど安心した。
「一人逃げられちゃいましたね…」
「こっちは一人は完全に死んでるけど、もう一人は気を失ってるだけのはずだ」
「話が見えませんよ!ルーファス!何があったんですか!?」
ラディールはひどく動揺しているようだった。
「あとでゆっくり説明するよ、それよりも今はこの場を収めるのが…」
目の端で、気絶しているはずの影が急に動き出したのを確認した。
「あいつを止めっ…!!」
声を出すが間に合わない。
影は、絶命している仲間に覆いかぶさるように倒れ込むと、何かをこすり付けるようなしぐさをした。
瞬間。
大轟音と共に、強い光が目の前に広がった。
(87)
「これって…」
「ルーファス…」
俺は、火柱を目の前にしてただ呆然としていた。
ゲートから衛兵が出てきた。俺たちを囲んで捕らえようとしているようだ。
「神殿騎士団近衛部隊所属!エルリッド・S・シュヴィヤールです!」
大きな声でエルリッドが名乗った。
「ここで不審者による襲撃を受けました!黒マント姿の者が逃走中です!すぐに追いなさい!」
悲鳴に近い叫び声だった。
囲もうとしていた衛兵は森の方へ向かいだした。
「くそっ…」
ひどく後味が悪い。口の中も相変わらず錆の味だ。
「ルーファスさん、ハルヴァー様に知らせましょう」
「あぁ…」
「ラディールさん、申し訳ありませんがご同行お願いいたします」
「わかりました」
エルリッドもラディールも、何故か落ち着いているようだ。
いざという時に女の方が肚が座っているというのは本当かもしれない。
俺はエルリッドに手を引かれるままゲートのほうへ歩き出した。
507 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/10(月) 00:48:46.84 ID:iYV12rQ9
以上投下終了です。
こちらは何故か黒マントです…
では皆様、わっふるわっふる!
乙ですー。
とうとう出てきましたね、コワイ人たちがっw
黒マントで全然問題ないと思われー。
みなさん、投下乙であります
ルーファス氏
戦闘描写うますぐるorz
どうやったらそんなにうまくかけるんですか……
リード氏
こぇぇえorz
はらはらします……
こういう小説に弱いのかもしれない
83氏
ついにアプルル登場?!w
楽しみですw
898氏
色んな人の所を回るってのはいいな〜
読んでてなぜかニヤニヤしてましたorz
チョップの台詞がwww
ユリフィナ氏
キタ!ヒゲキタ!w
今後の展開が楽しみですw
69氏
クゥダフかっこいいですねw
ていうか、ガルカは「食う」ことに関しては人の事言えないですよねww
こうして見ると、自分含めてモーグリはかなり暴力の対象になっているように見えますw
「だって今朝は…」今朝の飯の時は食材有ったじゃん。
「実は、そのぉ…」かなり言いにくそうにしているモーグリ。「さっきまでモグ達で宴会をやってて、配給された食料は全部使っちゃったクポ!」
その少し後、モーグリが部屋の外で倒れているのが見つかり、通り掛かった他の冒険者が部屋にいた俺を呼んで、中に入れた。俺甘いな。
本当にどうしようもない不思議生物だ。食材を切らすとは……
「ご主人様、今日のレベルあげで、何か取れなかったクポ?」馬鹿にしてるのか?
バッグを漁ってみると、蜂蜜がゴロゴロ出てきた。1Dはある感じだ。しかし……
「これだけあれば当分困らないクポー♪」はしゃぐな。「ダメだよ。」「クポ?」「これは金策用だよ。」確かに食っても良いけど……。新しい魔法は必須だろうから、まずはその資金確保から始めなければ。
「そんなのあんまりクポー!モグはお腹空いたクポー!」ついにわめき出した。「俺だって腹減ってるんだよ。」それくらいわかってくれ。それに、元はといえばお前のせいだろ。
「わかったわかった!もうちょっとだけ蜂狩ってくるからまってろよ。」そういって部屋を出た。本当に俺甘いな……
しかし、殺傷能力の低いストーンでは限界がある。新しい魔法は必要だ。
もうすっかり夜遅くだが、競売所の前は人だかりが出来ている。
タルタルの小さい体は、こういう所を通には好都合だ。
モグハウスから出た俺は、石の区へやってきた。天の塔を見上げながら、競売所まで来たのだ。
さて、蜂蜜をダースで出品だ。
「すみません。出品したいんですが」窓口に近づいて声をかけた。すぐに、紙が出てきた。駅員の方が愛想いいな……
背伸びして紙を取ると、1番上に名前を書き込み、商品名を書いたら、『ダース』と書かれた所に○をする。最後に最低入札額は……相場はいくらだろう?
「蜂蜜ダースで、相場はいくらかわかります?」思い切って聞いてみた。
「…5500。」しばしの沈黙のあと、値段だけ言われた。愛想悪いな……。
値段は5000Gilでいいや。完成した用紙をまた背伸びして窓口に差し出した。こういうときにはタルタルは都合が悪い。
「商品。」無愛想な声が飛んできた。
ムッとしながら、窓口に蜂蜜を12個並べようとした。
「ボウヤ、その蜂蜜は今出すところかね?」どこからかデカい声が飛んできた。思わず後ろを振り向くと、そこには壁……いや、ガルカがいた。こえぇぇ!
早いとこ終わらせよ……。
「うん!そうだよ!」もうプライドなんて無視。元気よくお返事をする。
「ほっほー。もしよかったら、おじさんが買い取ってあげようか?」マジですかw これで落札までの時間を縮められる!
「いくらだね?」ガルカが聞いてくる。相場よりかなり安くにしよう。
「おじさんなら4500G!」これでどうだ!
買った!そういってガハハと笑うと、俺に4500Gを渡し、カウンターに置いた蜂蜜を持って去って行った。取引き成立!
「あ、いまの出品取り消ししてください」ニッコリ笑っていった。
以上っす
眠いw
そろそろ魔力の泉を出そうかなぁなどと考えてますが、その前に他の人に会いに行こうか……色々考え中ですw
皆様の投下が次々と。寝れねぇ!w
>>516 投下乙です!
俺はだまされ・・・てませんよ、ええ。
投稿おつです〜
みんなどんどん話が絡み合って面白くなってますね〜w
>>516 自分もだまされましたw
誰かが呼んでる。甲高い、女の声だ。
うるせえな、ハロワには明日行くよ、明日。昨日は早朝まで忙しかったんだ。死にそうだったんだよ。
「ヒロ…ヒロっ ……Pokotasoっ!! ねぇ、怒ってるの?」
あれ……おかんじゃない。
われに還ると、そこは薄暗くなり始めた森の中で、おれはというと顔の下半分を覆った鼻血をちろちろと舐めながら、柔らかい下草の斜面に腰掛けていた。
お似合いなことに、誰か冒険者のものらしい古びて白骨化した死骸が、傍らで土に還ろうとしていた。
「ねえ、大丈夫? ごめんね、謝るから、無視しちゃやだよぉ……」
ナナコが、不安そうな面持ちでおれの顔を覗き込んでいる。
「あれ……ナナコ。おれ、どうしたんだっけ……?」
息が届くくらいの場所に女の子の顔がある。しかも相当かわいい。おれの鼻が血で塞がってなければ、甘い匂いもしたかも知れない。いや、死臭しか感じなかっただろうか。
いずれにしても、自分でも拍子抜けするくらい、そんな事はどうでもよかった。
ナナコはおれの返事にパッと顔を輝かせたが、すぐ憮然とする。
「どうしたって……、オークを倒したんじゃない。質問の意味が分からないんだけど」
怒っている。顔を引き正座したまま右手を腰に当てて、ぶぅと頬を膨らませてわざとらしく溜息をつく。
自分の怒りをアピールしているらしいが、あんまり迫力はなかった。もっとも、顔を半分潰されて向かってきたオークを見た後では、多分大抵の事をされても動じない気はする。
「ナナコがおれをここに運んでくれたの?」
見れば茂みの間の小さな広場にオークの死骸が三つ転がっている。そこから今いる斜面までは一〇メートルほどある。
「違うよ。普通に自分でここまで歩いてたよ。……覚えてないの? ほんの何分か前の事だよ?」 怪訝そうに首をかしげ、心配そうに眉根を寄せる。
全然覚えていない。
「今日、おかしいよ。全然動けてないし、剣の握り方まで忘れちゃったみたい。あいつらだって、連続魔を使って倒すほどの相手?」
剣なんて初めて握ったからな。傘でも持つみたいに軽く握っていた。だから、こうなった。
おれは右手を見やった。相変わらず手袋の上から分かるぐらい変形している。ジンジンと圧迫されるような痺れがあったが、痛みはほとんど感じなかった。それより捻った右足首と殴られた後頭部の方が痛い。
視線を右手から、オークの死骸が転がる広場に移す。頭を叩き潰された死骸と、胸に深々と槍の穂先を埋めた死骸、そして上半身を打ち砕かれたバラバラ死体。そうか。あれが連続魔か。
確かに不手際、オーバーキルもいいところだ。死骸の向こうの木々まで余波でなぎ倒され、焼け焦げて未だにくすぶっている枝もある。
馬鹿みたいな話だ。自分で剣を取って戦うっていうのに、ゲームみたいにオートアタックがあると思っていた。
魔法の術式を構築するのはおれ自身なのに、タイミングよくマクロでも起動すれば使えると思っていた。
練習相手にもならないこんなオーク程度、何発殴られたところで蚊ほどにも感じないと思っていた。
まったく馬鹿みたいな話だ。おれなんかがレベルカンストした赤魔道士でいる資格なんてない。今おれの傍らで死んでる誰かさんの代わりにおれが死ねばよかったんだ。
「ねえ、聞いてるの? わたしの槍、斬首兵を倒すとき折れちゃったんだから、新しいの買うのつきあってもらうからね!」
自分の世界に入りかけたおれを、ナナコが呼び戻す。あの剣オークは彼女一人で倒したらしい。見れば彼女も傷だらけだった。頬には張られたような痣があったし、左腕も痛めたのか、肩から上に上がらないらしい。
「……ごめん」
おれは彼女の身体に刻まれた傷を見つけるたびに惨めな気持ちになった。気持ちをぶつける相手が突然謝ったので、ナナコが拍子抜けしたような顔をする。
腰を浮かせ、彼女の方に手を伸ばす。触れた瞬間、彼女は身体を緊張させ、びくっと身じろぎしたが、抵抗はしなかった。
「ごめん、本当に……ごめん」
何度も謝りながら、ナナコの身体に魔力を通し傷を癒していく。捻挫、打撲、裂傷、擦過傷、ちいさな内出血まで、彼女の身体に刻まれた傷一つ一つを、丁寧に触れて修復していく。
家族以外の女の子の身体に触れるのは小学校以来だったかもしれない。心臓が早鐘のように鳴り、顔にかあっと血が上るのを感じた。
「ん……ふっ」
ナナコは嫌がるそぶりを見せなかった。切れた唇や、蚯蚓腫れの出来た脇腹に触れるたび、湿った吐息が漏れた。
おれは自分の怪我を治す事も忘れ、罪悪感と異様な高揚感に推されて、ナナコの体中を探った。
魔力の続く限り。
魔法の回線を使いきり、下位ケアルすら使えなくなった時には、ナナコの傷は全て癒えていた。
それでも、まだどこか傷ついているように思えて、おれは最後にもう一度、「ごめん」と呟いた。
「……心配だったんだから」
ナナコはどこかうっとりと、陶然とした表情で、最後におれを責めた。
もう魔法は打ち止めだった。
でも、ナナコは身を引かず、熱に浮かされたような潤んだ瞳でじっとこちらを見つめていた。じっと何かを待っていた。
何を求めているのか、なんとなく見当はついたが、応える事は出来なかった。
エロゲーで身に着けた知識だし、実践したらひどくアブノーマルな行為だったりしたらやばいし。
おれは単に自信がない事を歪んだ情報源のせいにして目を逸らした。
「あ……」
ナナコが残念そうな吐息を漏らした。
おれは立ち上がると、軽くびっこを引きながら斜面を歩いた。おれが終わらせた三つの命をもっとよく見たかった。
少し歩いたら、体中が軋み始めた。麻痺していた感覚が戻ってきて、泣きたくなるほどの痛みに襲われる。
ナナコの為にどんな事でも──下心も含めて──しようと思っていたのに、ちょっと体に痛みが走っただけでおれはもう、自分の為に魔力を残しておかなかった事を後悔していた。
コンバートがあるはずだったが、とても使う気にはなれなかった。ちょっとした捻挫や打撲や、脱臼(骨折かもしれないが)をしただけで死にそうになっているおれだ。コンバートなんか使ったら真面目に死ぬかもしれない。
魔法の回線は本来、生命活動に必要な力の流れを阻害しないように、間をぬって体内を流れている。
しかしコンバートは、それを逆転させて魔法回路を優先し、身体への負担を省みず(例え身体中の血や気の流れを断裂させても)無理やり回線を再構築する技だ。
それが身体にかける負担は計り知れないし、どれほどの苦痛を伴うのかも計り知れなかった。
ゆっくりと身体を休めて、自然に回線が復旧するのを待つほかない。
おれは下草の上に再び腰を降ろした。
ナナコがやってきて、おれの後ろの少し離れた場所に同じように腰を下ろすのが分かった。
ゲームでは倒すとすぐに消えてしまう死骸だったが、実際目の前にするといつまで経っても消えなかった。
「倒す」と言った。彼女もそう言っていた。でも、より正しくは、「殺す」だ。ただの言葉かもしれないが、おれはそれを深く胸に刻んだ。
おれは特に何をするでもなく、ぼんやりと三つの死骸を眺めていた。背後でナナコが何か言いかけ、その都度思いとどまる気配がした。
冒険者としても、魔法剣士としても、男としても、今はナナコの気遣いが煩わしかった。
どれほど時間が経っただろうか。陽はとうに落ち、オークの死骸もぼんやりとシルエットしか見えなくなっていた。
「きゃっ! もうこんな時間!」
いい加減痺れを切らしたんだろう。ナナコがわざとらしく慌てた声を上げた。多分腕時計でも確かめているに違いない。そんなものがこの世界にあればだが。
跳ね起きると、伸びをして身体をほぐす。
「もう、帰るね!」
あたふたと身支度をするナナコ。少し逡巡してから、屈み込んで座ったままのおれに目線を近づけると、「元気出してね、また遊ぼーねっ」
なん、だと……?
彼女にしてみればおれを元気づけようとしただけなのかも知れないが、何気ないその一言が、どうしても看過できなかった。
気がつけばおれは、ナナコの右腕を荒々しく掴んで引き寄せていた。
「痛いよ……ヒロ、やめ…」
鬼気迫ったおれの形相に怯えて、逃れようとナナコが身をよじる。
「あんなのが遊びだって言うのかよ」
何それ、わかんないよ、と顔を引きつらせるナナコ。
「三人も殺しておいて、あんなのがお前の遊びだって言うのかよ、なぁ!」
FFは遊びじゃない、そんなみっともない事を、こんな形で真面目に主張するとは思わなかった。
言ってしまってから、心が冷えていくのを感じた。生命の危険があったわけでもなく、思想の衝突があった訳でもない。遊びでオークを殺したのはおれ自身じゃないか。
ただ自分が大魔道士になったから、軽い気持ちで腕試しに喧嘩を売って、無闇に残酷な仕方で殺したのは、彼女じゃなく、おれ自身じゃないか。だけど……。
険が取れて、元の情けない顔に戻る。
「ごめん……」
今日何度目か分からない謝罪を口にする。
おれが力を抜いても、ナナコはもう逃げなかった。
「何かあったの? 本当に変だよ、今日のヒロ……。仕方ないじゃない、冒険者なんだもの」
冒険者、ね。少し考えて、やはり馬鹿の一つ覚えでごめんと言うほかなかった。
「今日は謝ってばっかりだね」 少し寂しそうに笑うと、おれの肩に額を押し付けてもたれかかる。女の汗の匂いがした。
おれは最後に駄目押しでもう一度ごめんと口にして、ナナコに笑われた。
「リュトが、あなたはジュノに居つかないから不便だって言ってたよ。頼みたい仕事があるんだって」
おれは曖昧な唸り声で返した。ナナコは腰のポーチから巻物みたいなものを取り出して、蝋で出来た封を解く。デジョンの呪符だ。
「わたしも一緒に行くから、そしたらたくさん話そうね」
そう言い残して、ナナコは消えた。
違うんだ、ナナコ。なんとなく、分かったんだ。おれは日本人で、君はヴァナ・ディール人なんだ。
おれは多分、君を分かる事はない。君も多分、おれを分かる事はない。だから会いたくない。これ以上話したくない。
おれはそれを謝りたかったんだ。
すっかり辺りが夜になってしまっても、月明かりのおかげで視界は開けていた。ミスラという種族の特性かもしれないが。
おれはいい加減整った魔法回路を再び使って、自分の身体を治した。
断裂した腱や筋肉がぶちぶちと音を立てて繋がり、外れた関節を無理矢理はめ込むゴリっという感触がいやで、ケアルは最初IVを一回使った後は、全てTばかりを使った。
体がすっかり本調子になってから、オークの死骸……いや、遺体を葬る事にした。
魔法で地面に大穴を穿ち、死骸を引きずって落とすだけの粗末な埋葬だ。
改めて死骸を見ると、レベル七五は伊達ではないらしい。中の人の技術が伴わないだけで、凄まじい威力だ。
ナナコに胸を槍で突かれて死んだオークに比べ、おれが殺した二体はひしゃげ、切り裂かれ、弾けとんでいる。
腕や顎をいちいち拾い集めて穴に落とすのは骨が折れたが、手を抜く気はなかった。
戦いはいやで、死体を見るのもいやで、おれはその痕跡を隠したかった。人道がどうとか、死者への敬意とか、そんなものじゃない。おれは死ぬのが怖いんだ。
戦えばこんな風に死体になるかもしれない。仮に勝っても、自分が殺した相手が「次はお前の番かもしれんぞ」と突きつけてくるのが怖いんだ。
おれはオークを埋めると、たまたま居合わせた冒険者の古い屍も埋葬する事にした。こちらは死者への敬意みたいなものが動機としてあったのかもしれない。
遺体はミスラのようだった。白骨化した頭蓋骨に、白い頭髪と黒い耳の残骸のようなものがこびりついていた。
その頭には三つの穴。左右二つは耳で、中央の大きな一つは恐らく斧かナタだろう。
おれは剣を鋤のように使って穴を掘ると、骨や遺留品を一つ一つ拾って穴に納めた。
と、ふと、似つかわしくないものを見つけて、おれは手を止めた。
「ジッパーなんて、この世界にあるのか?」
それはどう見ても、ジッパー付のウェストポーチだった。
おれは震える手でジッパーを手に取ると、中を探ってみた。
煙草と、腕時計、それに小銭入れ。
小銭入れにはギルではなく、見慣れた日本の円硬貨が詰まっていた。全部あわせれば千円以上ある。わざわざ小銭にして持ち歩くとは、アーケードゲーマーだったのだろうか?
そういえば、この世界に三つだけ、リアルからアイテムを持ち込めるなら、なんてスレが昔あった。おれがここに来る直前に見ていたスレでも同じような事になってるレスがあった。
こいつはおれ達の先輩なんだろうか? 死骸の痛み具合から、数ヶ月単位で先にこの世界に来て、そしてここジャグナーでオークの斧を食らって死んだんだろうか?
中の人間はどうなったんだろう。リアルに帰れたのか、それとも一緒に死んでしまったんだろうか。
だとしたら、こんな寂しい場所で、たった一人で死ぬのはどんなに悲しい事だったろう。
同情も少しはした。しかし、それ以上に、自分がこうなったらと想像して、ひたすらに恐ろしかった。
身元を示すようなものは入っていないが、リアルに帰れたなら、家族に渡してやろう。
おれは遺品をポーチに詰めると、自分用のザックに詰めた。
この人への同情というよりは、もしおれが死んだら同じように、おれを思い出す為の何かを残して欲しい。そんな思いがあったのかもしれない。
最後に折れた槍の穂先で墓標を作ると、おれは柄にもなく墓前で手を合わせ、とぼとぼとサンドリアへの帰途についた。
なぁ、田中。やっぱこの世界だめだわ。
どうすればおれを元の日本に返してくれる?
以上です(`・ω・´)ゞ
誰かとリンクしたいな〜と思う反面、設定の思惑とかが色々違ってきて、迷惑になりそうだな〜とも思ったりw
赤い鎧の人とか、リアルの品物とか自分も使ってみたいので、当面は独自路線で行こうと思います(´・ω・`)
投下乙です! わくわくして寝れねぇってばよ!w
とりあえず、現状の脳内設定ですが・・・。
“赤い鎧”は、全知全能ではありません。
ヴァナ・ディールを、完全なる世界だと認識して揺らぎません。
どこにでも現れる可能性がありますが、行動には何らかの制限があるようです。
メ○ターと呼ばれる手下を使うかもしれません。
“赤い鎧”は、矛盾をはらんだ都市伝説のような存在です。
皆様のSS情報で、徐々に明らかになっていくかもしれません。
それよりゴブリンの兄弟、誰か出してくれないかなぁw
529 :
>>69:2006/04/10(月) 02:12:15.14 ID:9PXVNGC2
赤い鎧というとソード○ールドの短編のあれか!!(結幕知らんが)
丁度タルタル(違うw)も活躍するし!!
投下乙様です!皆さん描写上手すぎですよ!
>>516 騙されてませんよっ!騙されてませんからねっ!!w
やっと書けた…ので投下、時間かかった割に少ないとか言わないでっ orz
戦闘描写って難しいですね…私のは戦闘と言えるかどうかわかりませんが…
赤い人キタ!もう来た!これでかつる!
朝か…それとも昼だろうか。
とりあえず外が明るいので夜では無い。
特に何かあった訳ではないが、起きるとモグ達は既に居ない。
えぇと…昨日は何してなんでここで寝たんだったかな……。
「阿呆カ貴サm゛ン゛…!」
自キャラが何か言おうとしたので腕で口を無理矢理閉じてみた。舌噛みそうだ。
…自キャラが自キャラが、と毎回言うのは面倒臭いな、躯で良いやw
「躯カヨw テカ喋ル以外俺ニャ何モ伝エル手段無ェンダカラ、喋ラセロヨw」
そうだ思い出した。この調理室で手伝って、そのままココで食事して酒飲んでモグ達と話して寝たんだw
「貴様馬鹿ダカラ素ナンダロウガ、話逸ラソウトシタ様ニ聞コエルゾ。」
私何か話を逸らそうとした?
「…モウイイヨ……!ツカコンナ事シテル時ジャネェ!天ノ塔カ目ノ院ニ禁書読ミニ行ケ!」
…禁書ってそう手軽に読めるの?読ませない、封印する本だから禁書なんじゃ……
「貴様ハ俺様ノランクヲ忘レタノカ?俺様位ニナリャ多少融通利クンダヨw」
………で、なんで私はこんな所に? 「………正直スマンカッタw」
…私は今、石の区の橋…の下にある柱の影に居る。ゴブもどきのモブリンが居る所なので水中では無いが。
今こうして天の塔へ向かう事も出来ずに隠れてるのは、ちょ〜〜〜〜っと躯が阿呆な事してくれたから。
「…ダカラスマンカッタッテw」 許さん。
まぁ、どうなってるかというと、想像の通り追われてます。誰にかって?そりゃ……
『目標☆ヲ☆発見』『逃ゲ☆レルト☆オモ☆ウナヨ』『警告☆警告☆警告』
・・・石の区に配備されてるカーディアン。
事の発端は、走って来た子タルタルがカーディアンにぶつかり転倒、泣いたのが原因。
そんなありふれた事が、こんな事になった。
…躯がカーディアンに「星ノ大樹ハ偉大ナノニソノ子供ハ使エネェ奴バッカダナw」と言ったから。
当然ながらカーディアンは、発言の訂正を求めて来た。
…使えない奴とか言う躯が本当に同じ性格なのか?私にこんな側面あるのか?てか私はどんなキャラだ?
ていうか躯は「ア゛ーア゛ーキコエナーーーィ」……お前なぁ、思考に声で言っても意味無いんじゃw
「ァ゛?テメェガ悪インジャネェカヨw」…ちょwカーディアン武器構えたww勘違いしてるwww逃げるぞwwww
「回想終ワリ!現実逃避スンナwww」
無理矢理4体のカーディアンに唯一の道の坂を押さえられ、ジリジリと距離を詰められている現実に戻される。
出来る事ならこのまま回想見続けて避けたy「無理ダカラ!イベ中止マッテテクレナイカラ!」
ちぇー。 仕方ないのでカーディアン…カカシを観察する。
数は4…種類は多分、バトン(黒)・コイン(赤)・チップ(白)・ソード(ナ)のカカシかな。武装は全部両手棍のようだ。
『目標☆ヲ☆攻撃』『許サナ☆イゾ!』『警告☆警告☆警告』
ソードはさっきから警告警告としか言っていない。チップに至っては何も喋らず無言だ。
何をどう警告してるのか判らない辺り、躯の言うのも間違って無…じゃない!今は敵をどうするかだ!
武器は一応持ってきているけど、警備用のカーディアン破壊したらマズイ事になるだろうしなぁ……
壊さないで倒すかうまく逃げ切らないといけないのか……。どうやって逃g「/echo 来ルゾ。」
『警告☆警告☆警告』ソードが闇雲に棍を振り回しながら近付いて来る。他3体は支援に回るのだろうか。
Lvのお陰か、カカシがダメすぎるのかは判らないが、当たらない。…避けようと動いて無いのに当たらない。
『マジメ☆ニ☆ヤレ!』 ……カカシがダメな方だったか…ちょっと残ねn「当タリ前ダ。阿呆カ。」
空振りを延々繰り返すソードを無視し、坂の上に陣取っている3体を見る。
魔道士タイプだから、魔法メインでくるのか(ゴッ)「痛ぁッ!」
チップが両手棍投げてきやがった!!その攻撃は想定外!!wwwwww
って投げた棍どこにも無いし! ――!危なッ ちょっまた投げて来てるし!!
投げられ、水面に突き刺さった棍は紫の光に包まれて消えた。見えばカカシの手元に現れる所だった。
どうやら延々投げるつもりのようだ。…白魔タイプのハズなんですが…白魔法は無い臼の方ですか?w
「/echo まぁこれなら後の2体も雑魚そうだw」
何か違和感があるが、あとの2体も弱いんだろうw サイレスでも入れて無力化しとこうw
「・・・・・。」 あれ?
「・・・・・・・・・・・・・・。」
…詠唱出来ない。っていうか声が出ない。…もしかしてコレって静寂?
迂闊だったな…黒と赤魔はマトm(ガンッ)…痛ッ!!棍投げカカシウゼーーーーーーー!!
なんか視界が黒い霧みたいに曇った。目を擦ってみてもとれない…もしかしてブライン?w
見えない訳じゃ無いからブラインは案外大丈夫そうだな。さて弱体仕事するコイン黙らせるか。
「・・・・・・。」『・・・・・・・・。』…訂正。マトモなのは黒だけだ。コインに狙い付けたらデジョンした。
バトンは何を使って来るのかな、やっぱバイオとか…(バトンはフリーズを唱えた。)
…………【えっ!?】【本当に?】ヤバッ何かで止めないと氷のオブジェにされるwwwww
「フー…ヤレヤレ、ヤット喋レル様ニナッタゼ」お、ナイスタイミングだ自分(の身体)。
離れてて手は届かない、サイレスは間に合わなそう…、呪文解らないけど、ダメもとでアレを言ってみよう…
バトンを視て、なんとなく右手をバトンに向けて言い放つ。「スタン。」
バシィ〜ン という音と共にオレンジ色の輪がカカシを2,3重に拘束し…消えた。
一瞬カカシが静止したから、多分効果はあった…んじゃないかな。
「ォー…貴様俺ノ躯ニ何ヲシヤガッタ!サポジョブ変エズニナンデ[スタン]使エルンダヨw」
さぁ…?使えるんだから使えるんじゃない?w でも今はそれよりまだカカシが居る…よっと
私が避けた、チップの投げた棍をソードが弾き飛ばし、チップの頭部パーツに直撃した。
『―――☆!?』
一瞬変な音を発し、糸の切れた人形のように倒れるチップ。
背後でまだ棍を延々振り回してるソ−ドが煩わしい。
『警告☆警告☆警コ(ゴン)ケ…ケコ…ケココココココココ』
棍をはじくと、そのまま自分の頭を棍で思いっきり強打し、地面に転がり、そのまま壊れた動きをしている。
「コノカカシ阿呆ジャネーノ?w」
私もそう思うよ。…ところで、前々から気にはなってたんだけど、良いかな?
「普通、中ニ居ル別人格ハ頭ン中デ喋ルンジャネェノカ、ダロ?ンナ事知ルカヨw テカ、バトンw」
「げっまだ残ってるんだッ……た?」 カカシの居た場所で紫色の光の粒子が消えていった。
…居ない。いや、それどころか足元に転がってるハズのソードも、坂に転がってたチップも居ない。
……追っ手の雑魚が急に消えた場合、今までやったゲームだと次に何か来る…としたら……
「…親玉」 「おやおや、警備用のカーディアンに攻撃しといてそれは無いんじゃないか?」
橋の上から女の声が聴こえた。姿は見えない。突然気配を現し、殺気を放っている。
「君はイレギュラーね?」
物言いから察するに、相手はコッチを知ってる…で、気付かせたって事は私じゃ正面から勝てない相手。
「どうしたの?まさか言葉の意味が判らないの?」
ただ走って逃げるだけでは簡単に殺られる…何か良い逃げ道は〜……
「仕方ないですね、意味を教えてさしあげましょう。イレギュラーの意味はね…」
―――コッ…コッ…コッ… 上から橋の端へと歩く音が聞こえる。 ―――ドンッ
「君のような馬鹿で愚かな異端者の事さぁぁ!!」
女は橋から飛び、空中で弓を射て、弓術で絨毯爆撃をしかけた。
…が、橋の下に獲物の姿は無く、矢の降り注いだ大地に女が降り立つ。真っ黒い、漆黒のローブを着ている。
「あらあら、逃げ足の速いコだこと………なんてね!!!」
振り向きざまに短弓を射て、橋脚に刺さった矢がダンッと乾いた音を立てる。
橋脚の向こうではゴブリンが縮こまって震えている。 女は射た体勢のまま目で周囲を見回し……
――――バキイィィィ!!
以上です。
また次まで少しかかる…かもしれません。
皆さんの見ながらちょくちょく絡むようにするかもw
そだ、
>>526で609さんが回収した物ですが、実はヴァナにある物がありますw
正解は、石の区の称号変更タルの近くの若いヒュームですw
この人以外はこれといってソレを持ってるという描写は今の所無いようです。
>>528 むむ、把握しました(`・ω・´)ゞ
力及びましたら登場させてみたいと思いますw
>>538 中の人とキャラが別人格で肉体を共有してる〜みたいな設定、なんか楽しいですw
ブロンティストとかじゃなくてよかったですねww
ヴァナにあるものって……煙草あたりでしょうか?(´・ω・`)
新素材がヴァナに浸透してますなぁ。
赤い鎧の人たちも動きだしてるし、いやホントワクテカテカ!!
俺は単独路線突っ切っていきますがみなさんその調子で!!
>>471 そういってくれるとありがたいです。
ってあんまり他のプレイヤーと絡んでる人はいないっすね…
NPCもといヴァナ人好きなのか!!おまえら!!(おい
>>482 >>509 「チョップ」が壷に入りましたか…
いやじつはこれ直前に追加したやつでここまでレスつくとは…
個人的には3博士くるかな〜と思ってたんですがそれはそれでよし!!
>>494 こういうエロ手法どっかで…い、いえ問題ありません!!
戦闘描写はすごいな〜モンク強え〜、羨ましい限り
今日はROMのみです。みなさんがんばれ〜
541 :
既にその名前は使われています:2006/04/10(月) 10:27:52.96 ID:9PXVNGC2
そういえば某ファンタジーRPG小説の先駆けになった水○氏の作品では、
当初「突撃した」「切りかかった」だったのだがかえって興奮したが、
後半超絶達人の戦闘描写をこまめに書こうとして大失敗してるのを見ると、
格闘技とかの経験って重要というか
慣れないとこをいかにぼかし得意なところはがっちり書くのが重要かわかるなぁ。
戦闘描写が得意な人でないのに無理する必要はない。
激しく切りあったとかでいいんだよね。
勿論、戦闘描写がうまい人はかっこいい戦いを描写できるので素晴らしい。
得意なところをがっちり書けばいいのであって無理は禁物だと思う俺。
(ちなみに俺は情景描写が苦手ですべて登場人物の台詞で物事が進んでいる。
小説というよりシナリオや漫画の絵コンテです。はい)
542 :
既にその名前は使われています:2006/04/10(月) 13:47:46.60 ID:nP2KfjaK
定期的にこのスレッドを覗くことになってパケ代がやばそうな件について
でも読んじゃう
フレのヒュム♀双子とそのフレのヒュム♀、エル♀とウルガランで雪見の約束をしていた。
俺はエル♀ネカマ。別のフレとの用で少し遅れたが、到着したらすごくきれいに晴れわたった雪景色だった。坂のあたりで落ち着いている4人を見つけ、俺も腰をおろした。
しばらく4人は談笑していたが、双子の妹が立ち上がる際胸元が見えて少しドキッとした。さらに目の前でエル♀とじゃれるので、眼前で動くお尻にアレが大きくなってしまった。
双子姉「〇〇、どうしたの?顔赤いよw」
俺「い、いや。なんでもないよ」
双子妹「何〜?邪魔?別にいいでしょw」
そういって双子妹は俺の膝に座ってきた。かなりやばい。
双子姉「何これ、おっきくなってるよw」
双子妹「本当だw何考えてたの?〇〇w」
俺の股間を撫でる双子。もう暴走寸前だ。
という夢を見た。しかもマジネタ。泣きそうだった
544 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/10(月) 20:55:48.09 ID:iYV12rQ9
(88)
「早速か…思ったよりも早かったな」
ハルヴァーが落ち着き払った声で呟いた。
俺は憮然とした表情のまま彼の前に座っている。隣にはエルリッド、さらにその隣にラディールがいた。
「まぁ、貴様らが生きていたことは何よりだ」
宰相は窓の外を見ながら言った。
宰相の執務室は国王の寝室とは離れた塔の3階くらいのところにあり、南サンドリアまで見通せる。
俺たちが城に駆け込んだ途端、宰相はここに俺たちを通した。
「実は半信半疑というところだったが、これでもう疑いようもないな」
俺は無言でハルヴァーの目を見た。
「ルーファス、エルリッド、それにラディールと言ったか。貴様らに特別なミッションを与える」
「待ってください。ラディールはたまたま居合わせただけです。彼女を巻き込むのはお門違いです」
俺が言うと、ラディールが驚いたようにこちらを向いたのがわかった。ラディールは俺の方を睨んでいるようだ。
「だがその現場を見た以上、もう無関係とは言えぬ。敵に顔を見られた可能性もあるしな」
…いちいちもっともなことを言う。俺は舌打ちが出そうになるのを堪えた。
俺の災難に人を巻き込むような真似はしたくなかった。
エルリッドだって、護衛を任されなければこんな目にあわずに済んだはずなのに。
「宰相様、ミッションの内容をお教えください」
ラディールが宰相にそう言った。
(89)
「待ってください!狙われているのは俺です。囮なら一人で十分でしょう!?」
声を荒げて訴えた。
「俺が一人のほうが連中も狙いやすいはずです。どうか、そのミッションは俺一人に」
元の世界がどうだとか、そんなことはどうでもいい。
ただ、こんな事が続けばいずれ誰かが死ぬことになる。
俺が原因で。
「ルーファスさん!」
「ルーファス!」
隣で二人が同時に声を上げるのが聞こえたが、俺は無視した。
「誘い出すのが目的なら俺一人で十分です。どうか…」
「…なら聞くが、今日のような状況で貴様は一人で生きていられたか?」
「無論です」
本当のところは、エルリッドが一人引き付けておいてくれたおかげで、しかも辛勝だったが…
ハルヴァーは黙り込んでしまった。
やや間が空いて、ハルヴァーが口を開いた。
「何かが起きるかもしれない、という曖昧な憶測に基づく責任感で命を捨てる気か?」
だが、それは実際に起き得ることだ。
(90)
「それに、誰が囮になれと言った?」
「昼間、俺に言いました」
即座に噛み付いた。
「だがそれは今から伝えるミッションの内容ではない」
決め付けるように、鋭くハルヴァーが言葉を放った。
「貴様らにやってもらいたいことは、ルーファス、貴様のような者の保護だ」
体のいい方便だ、と俺は思った。
「動き回れば目立つでしょう!それは囮とどう違うんですか!?」
「目的が違う」
俺とハルヴァーの視線が交錯する。
しばらく睨み合った後、ハルヴァーはため息を付いた。
「正式なミッションの通達は後日としよう。エルリッドとラディールは下がってよい」
俺は目を瞑った。
「ルーファス、貴様には少し話がある。ここに残れ」
「…はい」
隣にいた二人は静かに席を立つと俺の背後にある扉から出て行った。
俺は振り向かなかった。
(91)
部屋にはハルヴァーと俺の二人きりになった。
「ルーファス、何かを失うことがそんなに怖いか?」
核心を突かれた気がした。
違う、と喉まで出掛かったが、その後に続く言葉がまるで思いつかない。
「貴様の、元の世界での生い立ちや身分は知らん。だが、今の貴様はサンドリアに所属する冒険者だ」
ハルヴァーは俺の方をまっすぐ向いた。笑っているようにも見える。
「サンドリア国民は皆私にとって我が子のようなものだ。皆平等に幸せであってほしいと願っている」
かすかに口元を緩ませる。
「無論、貴様もな」
「しかし…だからと言って彼女たちを巻き込むことは出来ませんよ!」
「それは貴様の自意識過剰というものだ。彼女らがそう望むのに、貴様が否定する権利があるのか?」
「しかし…」
「それに、だ。異世界から来た全ての者達が貴様のように都合よく味方を作れる訳でもなかろう」
ハルヴァーは窓のほうを向いて言葉を続ける。
「我が子の同胞が苦しんでいるかもしれないというのだ。私も何もしない訳には行くまいよ」
あぁ、このおっさん、間違いなく大物だわ…
自分のことしか考えていない俺自身が、ひどく小さな人間のように思えた。
(92)
「そういう訳だ。異論はないな?」
「…はい」
なんだかすっきりした。目的も、意欲も俺にはある。
ただそれだけで力が湧いてくるようだった。
「宰相様、煙草ってこの世界にあります?」
「ん?あぁ、確か献上品にそんなものもあったな」
ハルヴァーは席を立つと執務机の下の辺りに手を伸ばした。
「受け取ることは受け取るが、実は王族初めこの城のものは誰も使わんのでな」
ゴトッとやや大きめの箱を取り出した。
「欲しいというならくれてやろう。可愛い我が子の我侭だ」
なんとなく照れくさい気がしてきた。
「ではありがたくいただきます」
はにかんだ様な笑いを浮かべて、それを受け取った。
部屋を退出するときに、ハルヴァーが声をかけてきた。
「ルーファス、己のすべきことを見極めよ。決して死に急ぐような真似はするなよ」
「…かしこまりました」
俺は深々と頭を下げて、部屋から出た。
(93)
城を出る頃にはすっかり夜もふけていた。
エルリッドとラディールは帰ったらしい。とりあえずモグハウスへ向かおうと歩みだした。
北サンドリアのモグハウス入り口にあるベンチに腰を下ろす。
さっきハルヴァーからもらった箱を開けると、箱の半分には煙草の草が詰められており、
もう半分には鉄製のパイプが2つとライターのようなものが入っている。
ライターを手に取ってよく見る。どうやらオイルライターのようなものらしい。
輪状のヤスリに手をかけてみる。ボウッと火がついた。よく出来ている。
パイプに草を詰めて、ライターの火を吸い込むように煙草に火をつけた。
美味い。
煙草を吸いながら、さっきのハルヴァーの言葉を思い出していた。
同胞、ね…あまり実感のない言葉だけど、なんだかしっくり来る。
もう少しこの世界のことをよく見てみよう。望まぬ来訪者たちのことも調べよう。
そして、その同胞達のために出来ることを考えよう。
多分、それは俺のためでもある。
俺に出来ること。すべきこと。それを考えよう。
煙草が燃え尽きたのを確認して箱にしまい、モグハウスへと向かった。
551 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/10(月) 21:03:02.74 ID:iYV12rQ9
今日は投下終了です。
戦闘の描写については、やっぱり身体を実際に動かしてひねり出してますw
皆さん、わっふるわっふる!
552 :
319:2006/04/10(月) 21:18:07.94 ID:ib79+mpb
SS書いて貼ってみたものの話が続かなさそうなので
しばらく書くのやめますorz
ジュノで気絶してるので誰かSSに載せてくれたらいいなぁ…w
ちなみに…/echoが下手な60Lvあんこくwです。
「グペェッ!?冒険者辞めちゃうクポッ!?」
なんだかものすごく嫌な驚き方をするモグタン。なんだか顔も驚きすぎて崩れてるし・・・。
今、私とモグタンは作業台をはさんで向き合っている。なんだか大事なことを話す時は
机を挟んで面と向かったほうがいいと思ったのでこういう形にしてみた。
私はモグタンに大切な話があるといって今までのことを全て洗いざらい話した。
私が違う世界にいたこと、いつの間にかヴァナディールに迷い込んだこと、殺すのが嫌なこと、
水浴び場でパールもらってユファファとリポケケに帰る方法探すことをたのんだこと。
モグタンは私が違う世界から来たことを聞いても大して驚きはしなかった。
「なんでも最近はやってるとモグたちの間でも話題になってるクポ〜。」らしい。
「う、うん。やめはしないけどしばらくお休みしようかなぁって。」
モグタンはちょっと考え込む。
「お休みっていつまでクポ?帰る方法が見つかるまでクポ?」
「たぶん。」
・・・やっぱりそれって辞めちゃうと同意義なのかなぁ。
帰る方法が見つかったらすぐに帰るつもりだし。
「んー、まぁご主人様がそうしたいならモグは構わないクポ。でも・・・」
「でも?」
「ご主人様は本当にそれでいいクポ?」
モグタンは少し心配そうに私を見つめた。
確かになんだか流されていくうちにこんな形になったのはたしかだ。
でも、正直言って獣人を殺していける自信は無い。殺されるのも嫌だ。・・・これでいいんだ。
「うん、大丈夫。殺したくないもん。」
やっぱり迷いがあるのだろうか・・・?私は顔をあげてはっきりとこう言うことは出来なかった。
「なら、モグもこれでいいクポ。」
水の流れる音だけがモグハの中を支配した。サーッと時間の流れのように流れ落ち続ける水。
本当に・・・本当にこれでいいんだ。
「クポッ!モグ晩御飯の準備するクポ!」
モグタンがパタパタとキッチンのほうに向かう。
「あ、わかった。今日はハンバーグ作るよ〜。」
私も立ち上がりエプロンを取りにクローゼットへと向かう。
「今日はモグが全部やるクポー!ご主人様は本でも読んでゆっくり休むクポ。」
「そんな、悪いよ。」
「遠慮は要らないクポポポポ〜♪」
モグタンがキッチンからひょいっと顔を出して言う。・・・まだ元気なさそうに見えるのかな?
私は素直にモグタンの好意に甘えることにして、本棚にから面白そうな本を探し始めた。
「それにしても驚いたクポ〜。ご主人様が召喚獣だったなんてクポ〜」
「・・・。」
赤ずきんちゃんは処女、オオカミはあの手この手で処女を自分のものにしようとする男のたとえ。
いつだったか読んだグリム童話研究の本に、そのようなことが書いてったことを思い出した。
素敵な花畑を教えてくれた優しいオオカミさんは実はかわいい赤ずきんちゃんを食べることしか考えていない。
うん、なんだかとても納得がいく話だ。
「ご主人様、どうしたクポ?」
「うん、その・・・なんていうかね・・・。ちょっと目がトロンとしてきたんだけど・・・。」
私は目の前にある半分ほどたいらげたモグタンが作ったミートソーススパゲッティとスープをショボショボする目で見つめた。
「・・・材料、何?」
モグタンの細いまぶたの奥にある瞳がどんな色をしているのか私に知るすべは無い。
なんだか知ることが出来ないという事はそれだけで恐ろしいことだと思った。切実に。
頭はボーっとするのに妙に胸はドキドキする。それに全身がなんだかくすぐったいような変な感じだ。
・・・いくら精神的に参っていてもこれは絶対普通な状態ではない。
「トマト、ご主人様が買ってきたお肉、あとは元気が出る薬草とか色々クポ。」
「・・・元気が出る・・・薬草?」
モグタンがコクンとうなずく。
「そうクポ〜。色々と元気になるらしいクポ〜♪」
「その色々を詳しく聞かせてくれないかしら?」
やば・・・眠くなってきた・・・。今寝たら・・・やられるっ!あっちの意味で。
私は何とか白い豚の毛皮をかぶったオオカミをにらみつけた。
「そんなのモグは知らないクポポー♪」
うれしそうに回転するモグタン。よく見るとモグタンもちょっと全体的にピンクっぽくなっている。
「・・・まさか、本当に知らない?」
「本当クポ〜♪クペペペペ〜・・・」
ヨダレをたらしながらフラフラと宙をしばらく舞っていたモグタンの動きが突然止まり、ポテッと地面に墜落する。
「ちょっと!大丈夫!?」
とりあえず、身の安全は確保されたらしいけれど・・・。どうなるのこれから・・・?
とりあえずモグタンを助けようと地面に転がっている彼の側へと駆け寄る。
脚がもつれる。転ぶ。
「ウヘヒャヘヘ・・・ユリフィナちゃん転んでるぅ・・・へんにゃのクポ〜〜。」
「ちょ、ちょっとモグタン本当に危ないんじゃにゃい!?」
あ、あれ?私もろれつが回らなく・・・。天井が突然グルグルうずまきを作り出した。
意識が戻った時には夜中の1時を回っていた。
「クポー・・・楽しい夢が見れて元気になる薬草らしかったクポー・・・。」
しょんぼりとするモグタン。それは間違いなく幻覚作用だと思う。
「うん、まぁ失敗くらいあるよ。」
あれから私はモグタンを起こして料理を処分してすぐに寝ることにした。
食器は明日の朝にでも洗おう。
今は部屋の明かりを落として二人でのんびり話しながら眠る体制に入っていた。
「・・・促淫作用のある薬草だけにすればよかったクポ。」
ぽつんとつぶやいたモグタンの声を私は聞き漏らさなかった。コイツ・・・やっぱり盛ってたな・・・
とりあえず投げられそうな武器を探す。はぁ、枕しかないや・・・。攻撃はあきらめよう。
・・・布団に入ってからどれくらいの時間が過ぎただろうか。真っ暗な部屋で聞こえてくるのは
水の音とモグタンの寝息。
頭の中をめぐるのはヤグードの死に顔とそれにたかるアクババ。
そして骨を砕いた時の手ごたえと血の色。
夜は嫌いだ。嫌なことばっかり思い出される。私は一度ブルッと身震いをした。
「モグタン、おきてる?」
私の声は石造りの部屋に吸い込まれた。やっぱり寝ちゃってるか・・・。
私はベッドから降りてペタペタと裸足のまま冷たい石の床を歩き
モグタンがくるまってる毛布がありそうな場所まで行った。
ここら辺かな?手探りでモグタンを探すと、意外とあっさりと暖かくてやわらかいものに触れられた。
「ク、クポ?」
私に触れられたモグタンはコロンと寝返りをうちスーッと気持ちよさそうな寝息を立てた。
私はそのモグタンをおもちゃ箱からぬいぐるみを引っ張り出すようにひょいっと毛布から取り上げた。
「さ、寒いクポ・・・。」
私にギュウッとモグタンが抱きつく。私はそのモグタンの頭をなでながら言った。
「ごめんね、すぐあったかくしてあげるから。」
・・・夜這いじゃないよ?私はフサフサでヌクヌクしているモグタンを抱きかかえ自分のベッドへと持っていった。
やっぱり・・・一人で寝るのがなんだか怖い。
なんだか暗い暗い部屋の隅に今日殺したヤグードが立っているような気がして・・・。
私はベッドまで戻りまた眠ろうとし始める。
足先が冷え切ってしまったのでちょっと寝付くまでが大変かもしれない・・・。
でも、モグタンがいるからさっきよりは眠りやすいかな?
私はギュウッとモグタンを抱いたままゆっくりとまぶたを閉じた。フサフサの毛、柔らかくて暖かい体。
なぜかちょっとイカ臭いような気もするけれど石鹸の香り。なんだかいい夢が見れる気がした。
「なんだかんだ言っても、私にはあなたが一番必要なのかもね。」
翌朝、肌寒さのために目を覚ますと私のパジャマのボタンがなぜか全て外されていた。
寝ぼけた視界にはなぜか私のパジャマのズボンを握っているモグタンが映っていた。
私は手をかぎづめ状にして思いっきりその手を振り下ろした。
以上です。
謎のマントに赤い鎧にフェローといちゃいちゃ(?)最近通学中に携帯で覗くことが増えたので
パケット通信料が今から怖いですw
私のほうは残念ながら謎のマントや赤い鎧との接点はできなさそうです・・・
>>544 見事に騙されたorz
>>552 残念です・・・。もし続きを閃いたりしたらその時は是非投下してください!
皆様、投下乙であります。
>>537 バキィィィン! って! 続き!続き!早く!w
>>609さん。
ヴァナにも煙草はあるっぽいですね。
ただ、自分はストーリーの流れから、「煙草」ってマルボロとかマルセンとかが入ってたんだろうな、って解釈してました。
過去ログで、Leadがもし持ち込めるなら「酒と煙草とコンドーム」って言ってた時の煙草も、いつも吸ってるクールの事だし。
>>543 エルメスキターーー(・∀・)ーーーー!w
>>551 頼もしいなぁ。イッチはルーファスさんにお任せか?w
>>552 気が向いたら続きを〜^^
>>560 ユリフィナさん・・・。ケモノはケモノでも召喚(ごふっ
赤ずきんのエピソードを入れるあたりにくいなぁ・・・。騙されたっ!w
563 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/10(月) 23:05:42.05 ID:jZv3nVWN
まとめ様に、お願いデス。
まとめサイトの名前一覧に、テンプレのキャラ紹介も見られるようにしていただけませんか〜?
「アレ? このひとの種族って何だったっけ?」と思うことしばしば。バシバシ。
忙しいトコすまんす。よろしくですー。
マルセンってなんだ俺・・・orz
マイルドセブンはマイセンだよね。テラハズカシス
「・・・イッチ?」 返事がない。「おい、イッチどうした?」
まさか・・・。
「返事しろよ! 何かあったのか!?」
俺は跳ね起きようとして、ベッドから転げ落ちた。
力が、入らない。
這いずるようにして、壁に立てかけた剣を手に取った。
サンドリアに行く、一番早い方法は?
船で逆戻り。―――論外だ。
チョコボ。―――まずデムの遺跡まで何時間かかる? ジュノを経由か?
テレポホラ。―――こんな僻地の夜中、テレポ屋が見つかるか?
くそったれ! なんでこんなに遠いんだ!
あの時、「一緒に来い」と、なぜ言えなかった!?
俺の中では、ぐるぐると悪い予想が渦巻いていた。
すみません。
コンシュタットにあるのはデムじゃなくてメアの遺跡です。
まとめサイトでは修正します・・・orz
はぅあぅはーぁ!
うちのPCはテレポ系イッコも習得していませんとも。ええ。マジです。@@;
ウィンダスの近所はタロンギ! タロンギ! テレポメア!
もうダメだ・・・。わけわかんねw
俺は剣を支えに立ち上がった。
ドアまでが、あまりに遠く感じる。
とにかく、外に・・・。
「お〜ぃ。もう大丈夫だにゃー」
イッチの、のんびりとした声が聞こえた。
「ビックリした? ビックリした?」
「あ・・・?」
俺は力なく崩れ落ちた。
頬にゴワゴワしたカーペットが当たっている感触がある。
もういいや。動きたくねぇ。
「よー、色男! アタシは“>119”」
リンクシェルからイッチじゃない声が聞こえた。
>119・・・。イッチから聞いていた、ミスラの黒魔。
「“>120”が急に暴れだしちゃってさ、イッチが押さえてる隙にアタシが眠らしたんだわ」
「つまりにゃー」
いまサンドリアにいるイッチと
>>119、そしてガルカの
>>120の三人。
>>100のことを心配しつつも、イッチの帰還を祝ってモグハウスで宴会していた。
みんな酔いが回って、なんだかそういうハナシになり。
俺の声を聞いてみたいと、こっそりリンクパールをつけていたと。
「・・・あのな」
俺は床に転がったまま大声で叫んでいた。
「どんだけ心配したと思ってんだ! サンドリアに飛んでくとこだったんだぞ!」
ごめんごめん、とイッチ。
「でも、“赤い鎧”の話が出たとたん、
>>120がアタマ抱えて暴れだしてにゃー」
「今までの事を全て忘れていて、おとなしく荷運びやってたんだよな?」
何かがつながりそうな、だがピースが足らないような・・・。
疲労のせいか、頭に靄がかかって考えがスッキリまとまらない。
「ところでリードさんさー」
>>119がニヤついてるのがわかる。
「あんたツンツンしてるくせに、つき合いはじめると過保護になるタイプだろ?」
「うっ・・・」
そんなにわかりやすい性格なのか? 俺は・・・。
「とにかくだ。“赤い鎧”っていえば、GMか?」
ヴァナのGM―――ゲームマスターはアフォなマクロボットと相場は決まっている。
ついでにバイトなら最悪。
「それが、どうもどっか違うみたいにゃ」
ヒトの話を聞かないのは共通してるんだけど・・・、と言って黙る。
うーん、と首をひねるイッチ。
「何人か手下もいるみたいだし。そのへんも、調べてみないとね」
「そうだな」 俺は頷いた。「仲間になれそうな奴を、先に狩られちゃ、な」
まだ見ぬ、同じ境遇の仲間たち。
できれば、一緒に元の世界に帰りたい。
「明日、っていうか朝になったら、城に行ってみるにゃ」
城?
何か、アテがあるのか?
「宰相のハルヴァーたんに、面会を申し込んでみようかにゃーと」
「会ってもらえたらいいな。とにかく、充分に気をつけろよ」
俺はそう言って、リンクシェルの小袋を胸ポケットから取り出し、ベッドに放り投げた。
もう夜明けまで、動く気はなかった。
剣を抱いて床に寝てやる。
今夜は以上ですー。
ルーファスさんとこのネタを拝借してみましたw
572 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/11(火) 01:25:12.14 ID:g7C248Y7
「戦争のない国の御伽噺?」ガルカが苦笑した。
夜の闇に僕らの靴音がこだまする中、ガルカの笑い声はよく響く。
「この子は詩人でな。さっき御伽噺を聞かせてもらっていた」
「・・・まぁ子供といってもタルタルだからな・・・実際は大人かもしれんが」
コツコツという靴音とランタンの淡い頼りなげな灯りが倉庫街を照らす。
「鉱山区までもうすぐだ」ガルカはつぶやくと、
「やっと酒が飲める」と苦笑した。
クゥダフが呟く。「ベドー産のワインならあるぞ」
「・・・獣人の飲む酒は俺の口に合わんな」
ましてやクゥダフの酒だと?ふざけるなと呟くガルカと同意する僕に、
「・・・人間向けに俺が作った」と表情を変えずにクゥダフの戦士は答えた。
「なにっ?(へっ?)」
夜の闇に頓狂な声が木霊した。
573 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/11(火) 01:50:30.65 ID:g7C248Y7
あの・・・クゥダフが酒作るってのがよくわからんのですが。
僕が言うとガルカさんも同意する。
危うくランタン落とすところだった。まったく。
ここで火事を起こしたら大変だった。
暗闇でランタンの光が下から出ているので表情は読めない。
まぁ元々カメの顔だからわかるわけがないが。
「別段おかしくはないと思うが?まぁ兄者は呆れていたがな」
「・・・クゥダフって敵の髄呑んだりしなかったっけ?酒飲むの?」
悪食な奴は骨まで食うが。
「飲んで悪いか?」そういう彼に僕らは口をそろえた。
「すっげー意外」「飲むとは思えん。作るというのも想像がつかんな」
酒はヤグードやゴブリンやオークなら飲むかも知れないが彼らは酒作らんと思う。
(ゴブリンはわからんが・・・あとヤグードも祭礼用の蜂蜜酒を作るかも知れん)
クゥダフは表情を動かさずこたえた。人間なら憮然となったのだろう。
「酒を造るだけなら猿でも作る」
574 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/11(火) 02:00:08.99 ID:g7C248Y7
彼が次にはなった言葉は衝撃的だった。
「我が種族に必要なのは経済力、政治力、人間達の新しい通貨、ギルだ」
・・・。獣人のインテリですかあなたは?
「"元"技術将校といったが?」・・・そうでした。
「人間の通貨はまだまだ旧貨幣のほうが信頼が高いが、
それでもいつかギルの時代が来る。金が共通ということは経済文化を共有するということだ。
闇王の暴力の世界は獣人族を結束させたが、人間もまた結束させた。
闇王なき今の世は人も獣人もお互いを探り合ってはいるが、
人間はギルを共有している。今のままでは我が種族は滅ぼされる。
我らには外貨を稼ぎ、他国や多種族の信頼を得うること、特に観光資源や商品が必要だ。
パシュハウ沼周辺の治安をよくして人間、獣人とわず商人や冒険者の安全を確保せねばならん。
勿論、我が種族と人間は共栄はできない。あくまで敵同士。何処まで行っても敵だ。
・・・が、共存できない敵は殺しあうのみだ。お互い妥協できる点を作らねばならん。
・・・忌まわしい一部のゴブリンやモーグリのようにな」
「で、酒と」「うむ。幸い"技術将校"ゆえほとんどの技術は持っている」
575 :
No.1->>69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/11(火) 02:01:57.71 ID:g7C248Y7
・・・クゥダフが獣人族きってのインテリなのは間違いがないらしい。
(知能だけならゴブリンやアンティカなどが勝るらしいが、
ゴブリンはアレだしアンティカは僕も一ヶ月くらい一緒に暮らしたが、
アレは技術とかはあっても感情とか文化を育てる感性が欠落している。
いや、アレはアレで面白い人々なのだが・・・とくにダインスレイフのおいちゃん元気かな?)
「ふーむ・・・クゥダフにも色々いるんだね」僕は呆れると「錬金術の応用?」
「いや、昔人間の鉱夫からせしめたワインがうまかったから、
成分分析して真似して作ったらマズくて呑めたものではなかったので」
「・・・・」あきれ返る僕達。きっかけはそんなもんなんだろう。
・・・ひとつ聞いていい?と僕が言うと彼は頷いた。
「純粋に最初から最後までタダの趣味で作ってたら『兄貴』が評価したんでは?」
「そうとも言うな」『・・・』僕とガルカはお互いの顔を見ると苦笑しあった。
「グゥッ!あ゛っあ゛ぁぁ…アァァァァァァァ!!」
雄叫びのような女性の叫び声がウィンダスのジュノ領事館で聞こえ、領事館付近にガードが集まる頃
1人のミスラが、ローブを着たヒュームを背負って、モグハウスへと入って行った。
「――!? ご主人、その人は誰クポ!?勝手に連れ込んじゃダメ(ゴッ)グプォっ」
正常な一般的反応を示すモグを気絶させ、細工を施したガルカンマネキンで支えてヒュームを立たせる。
細工といっても、自分で動かしたり、ガッチリ固定出来る程度なので勘違い無いように。
「……誰ニ言ッテンダヨw」 さぁ?なんとなく自己弁護してみただけさw
ヒューム…もとい襲撃してきた女の右腕は、不自然に だらん と、垂れ下がっているが、出血はしていない。
橋から降りた女の死角を通り橋の上に登り、
上からサベッジブレードのような動きで、右肩に不意フラットブレードをした際に骨を砕いたらしい。
怪我はケアルで治るのだろうが、ケアルはかけない。敵の利き腕を治したらまた襲い来るだろうから。
「サテ、ト…ソレジャ、オ楽シミノ時間ダw」 まてまてまてwwwwww
「ンダヨ、連レ込ンダノニ、違ウッテノカ?」 違う。断じて違う。絶対に違う……ハズ。
まぁ…言い方を変えればそうとれる事するけどさ…偽善心が痛むジャン?w
「ハイハイ、ソーイウ事ニシトイテヤルヨw」
躯とのやり取りが一区切り付いた所で、気絶したままの女の衣服を脱がせにかかる。
服はナイフで切っても良いのだろうが、個人的にソレは許せないので、普通に脱がせた。
裸……にする必要は無いので下着姿にしたが、実際見て初めて右肩が凄い事になっていると思った。
肩には幅2p、長さ12p程度の蚯蚓腫れがあり、肩の位置が胸の横辺りまで下がっている。 …不気味な。
装備は、ガルマネキンの場所から反対側の収納家具の上に広げる。
漆黒のローブは連邦軍士制式コートに見えなくもない。武器は短剣と手斧と短弓、どう見ても狩人だ。
武器は…特に特別な感は感じられない。なんの変哲も無いただの武器だ。
確か狩人は離れて戦う職業のハズ…あの女は余程自信があったか、馬鹿なのだろう…。
だが、女は普通の装備とは到底思えない、とてもとても危険なモノを身に着けていた。
大量の火薬…と思しき粉を詰めた腹巻のような物。 物としては自爆テロか何かで見たソレと似ている。
ご丁寧に、火打石付きの発火装置まで付いている。装置を外して火花が散るのを確かめたので間違いない。
「コリャァ………」 この物騒な装備、躯は知ってるか?
「…イヤ、俺ハコンナ装備始メテ見タ。貴様ノ思考ヲ読ンダガ、微塵隠レミタイナモンカ?」
……まぁ…そんな所だな、生き返らずにそのまま完全に死ぬって事意外は同じだと思う。
「物騒ダナ。デ、ドウスル?殺スカ?ソレトモ手篭メニデモスルカ?」 ちょwそんな二択かよwwww
寝る前に書いたのを投下して寝マス。おやすみなさいw
>>573 ヤグドリって元々はヤグードの製造するワインのハズですよ〜、ギデアスでは造られないと思いますが。
>>569 ツンデレ!ツンデレ!(AA略
"黒ローブの女"の服装は、連邦軍師制式一式グラ設定ですが、ウィン所属って訳じゃ無いですw
死角を通って、というのは、女が降りる時に橋の反対側から橋に登ったという意味です、判りにくくてすいません。
【みなさん】カッフェル カッフェル(誰だw)
579 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 03:09:15.26 ID:g7C248Y7
おー。自分はヤグドリ、コーラのようなもんと思ってた。
サン氏の身体氏に質問。
朝起きたら身体が野郎になっていた上、
しらない野郎の意識が入り込んでいたってかなりハードだと思うんですが・・・。
まぁ身体女のままで野郎の意識にオナニーされるよりマシですが。
あと月々の生理痛がまったくないとか、
(ミスラは外見上年とらんから案外子供作るとき以外は性機能はたらかんのかもしれませんが)
男性独特の生理現象(朝起ちとか)とか、
ジョブチェンジで一時的に封印しているはずの記憶と、
まったく関係なしにバシバシ魔法やアビを決める有能な中の人への感想とかはどうなてるんでしょうか。
580 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 05:10:27.90 ID:g7C248Y7
・・・ふとおもったがエアリーシールドは
「透明だから逆の意味で剣士には純粋に使いにくい」
というコンセプトがあったけど(リジェネあるし魔法使いには神)
エアリーソードはシフのメインウエポンとして当面鬼強いな。短剣と性能差がすさまじすぎる。
・・・実際エルリッドは盾で殴ったり盾で手の内を隠せないから使ってないし
(現代の機動隊の盾はともかく、盾は敵に吹っ飛ばされないようある程度重いほうがいい)
これで殴られたら回避-50%判定って・・・。しかもクリつくのか。強すぎたかも。
ちなみにこれらの装備や薬品、三国問わず移籍したり冒険者認証と違う人間にトレードすると
強化魔法が切れて機密保持のため壊れますw
多分この世界ににちゃんねるあったらサンドリア人以外の前衛は糞とか、
で、でたーフルエアリーの香具師(本文:防御低すぎ希望ださないで)とかいうスレ立ってると思われ。
あと、素で装備の元ネタになった防具の名前間違えてた(るなどん)。
セット名エアリーアーマーだ。シールドでどうする。俺。
いい加減に寝る。おやすみw
ぼく女だからガルカになるのは困るなあ
582 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 07:39:57.38 ID:RlZtFc9j
俺リトルグレイだから人間に擬態するのはめんどいなあ
俺新一だからコナンに擬態するのはめんどいなあ
584 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/11(火) 08:03:12.46 ID:wrxjgAYH
朝からちょっとだけ投下します。
>>562 イッチはどこかでお借りすることになると思いますw
一時的に、ですけど。
(94)
モグハウスの中は静かだろうと思っていたら、どこかから大きな声でわめいているのが聞こえた。
自分のモグハウスに近づくにつれ、それがどうも俺のモグハウスからしているようだということに気が付いた。
まさか…
モグハウスの扉を開けると、エルリッドとラディールがボトル片手に大声で騒いでる。
「あ〜〜!!ルーファスさぁん♪」
「るーふぁすぅ〜!」
エルリッドは力いっぱい、ラディールはひらひらと手を振っている。2人とも顔が真っ赤だ。
完全に出来上がってる。俺はため息混じりに扉を閉め、荷物を降ろした。
テーブルの下にはボトルが4本転がっていて、さらに中身の入っているボトルが10本はある。
どれだけ飲む気なんだ…
テーブルに近づくと、ラディールが席を立って俺の方に歩いてきた。顔は笑顔なんだけど、なんか怖い。
と、唸りを上げて横から平手が飛んできた。
とっさの事で避けられず、バチンッと音を立てて俺の頬に当たった。
「るーふぁすぅ、冷たいじゃないれすかぁ〜…」
「そうですよぅルーファスさぁん!」
エルリッドが煽る。
(95)
ラディールは俺の鼻の穴に指を2本入れて無理やり上を向かせた。無茶苦茶痛い…鼻腔に爪が刺さってる。
何でこんなことをされてるか理解していない俺はされるがままだ。
「関係ないってなんれすかぁ!関係ないわけないれしょ〜!」
「そぅだぁ〜!」
「アテにされてないみたいれくやしい!」
泣き真似をし始めた。指にもさらに力を込めてきた。マジ痛いって…
なんか鼻の中をさらさら流れるものが出て行く感触がする。鼻血かな…
「あれ〜?るーふぁすったら興奮しちゃったんれすかぁ??」
「エローイ♪ルーファスさんエローイ♪」
なにこの空気…
とりあえず整理しよう。
間違いなく言えるのは、この2人はどうしようもなく酒癖が悪いって事だ。
で、ラディールはどうもさっき宰相と話したときのことを怒っているらしい。
エルリッドは煽っているところを見るとそれに同調したのか、ただ酔っ払っているだけなのか…
んで、空いたボトルが4本でまだ空いてないボトルが10本以上あるから、まだ飲むつもりらしい。
気が付くと、エルリッドが近くに来ていた。手にはやはりワインのボトル。満タンに入っている。
「飲んじゃえ〜〜♪」
いきなり俺の口にワインボトルを突っ込んできた。鼻の穴にはラディールの指が入ったままだ。
(96)
俺は、口に突っ込まれたワインを一気に全部飲み干した。
「っしゃーこい!オラァ!」
もういい、ヤケだ、飲もう。このテンションに付いて行くためにはそれしかない。
鼻血が出るのも構わずに気合を入れる俺。
完全にヤケクソで酒を飲み始めた。
「あ〜!生きるの楽しいなぁぁ!こんちくしょ〜!!」
「いい事言った!いまるーふぁすがいい事言ったわ!よく聞いてあげて!」
田原総一朗かお前は。
「ルーファスさぁん!!今日は凄かったですねぇ!」
「おう!俺のはいつでもスゴイぜぇ!」
「エルリッドちゃん!私のらってスゴイわよ!」
「じゃぁわたしもスゴーイ♪」
なんかもう会話になってない。
鼻血は気が付くと止まっていた。
口の中は、いつの間にか錆の味がしなくなっていた。
こうやっていろんなことをしているうちに、色々忘れていくんだろう。さっきの事も、昔のことも。
良いか悪いか、それは俺が決めりゃいい。そう思いながら、ひそかに錆びたバケツを用意していた。
588 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/11(火) 08:08:26.02 ID:wrxjgAYH
以上です。夜にもう一回投下しますー
589 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 10:09:41.00 ID:8ljRcTtV
投下乙。
外出前に保守る
躯(464就寝中につき口調普通)
「いや、俺最初から男だしw
てか気がついたら視聴覚(464の見た景色が見える)
と、口以外使えねぇ状態で、
頭ん中に勝手に誰かの思考が流れて来るんだゼw
躯動かせねーし。ホント冗談じゃねーw
金貰えるとしても絶対やりたくないなw
女装してんのは、親父が出した冒険者する条件が、
"女装する事"だったからだw趣味じゃネーからな!!w」
591 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 15:30:26.64 ID:wrxjgAYH
age
55.
ジュノ港へと飛空挺が舞い降りる、ざっぱーーん。
かなりの衝撃と共に船になる、その後は静かに到着した。
ジュノそれは、一目で異なる技術で作られた街とわかった。
これがジラート文明の技術か。
階段を進み、下層、上層、ルルデと進む。
エレベータ欲しいっす。
トリオン、ピエールは平気な顔をしてる。やっぱこいつら強いのかな。
サンド大使館へ着くと、ネルが出迎えてくれる。
「トリオン様、ピエール様ようこそジュノへ」
「あいにく、ジマ様は塔へ出ておりまして、夕刻まで戻られません。」
!!やはり、ミッションで塔行くのか!!
「そうかなら、部屋で休もうか。流石に俺も疲れたのでな。」
そういいつつこちらにウインクしてくる。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ ばれるだろバカちんが。心の中で突っ込みを入れる。
「ネル、ところで例の物は用意出来てるか?」
「はい、大使館室ヘご用意しております。」
「うむ、では行こうか」
皆で、大使館室へと向かう。
56.
大使館室へと入るとトリオンがうれしそうにコッファーを出してくる。
「開けてみろよ、アルル」
む、なんだろ。そう思いつつコッファーを開ける。
「これは♪」
思わず声が出る。
「サンドリアの最新式の武具セット名づけて、エアリーシリーズ」
「試作1号で君に会わせてカスタマイズしてあるんだぜ」
トリオンが大げさに見栄を切ってみる。
ピエールは何もないかのように、荷物をといている・・。
「君へのプレゼントだ、俺だと思って大事に使えよな (* ̄∇ ̄*) 」
ちょい照れながらいうトリオン。
「ありがとー、トリオン」
走って飛びついて、抱きつく。俺って結構役者。
57.
エアリーシリーズ、布と皮をベースに要所要所を極薄の金属板で補強した防具と、
完全に透明な、剣と盾。すべてが恐ろしく軽く、種々の魔法強化がされている。
装備して、いろいろを型を流してみる。
まず最初の印象は、何これ???だった。
それほど、軽く動きやすかった。
うむ、これは剣技を再構築する必要があるくらいの革新的な装備だな。
一通り動いた後改めてトリオンに礼を言う。
「こんな素敵な武具、本当にありがとう。」
「喜んでくれてうれしいよ、アルル。」
なんか、ラブラブです。このまま愛人として生きるのも有りなのかな・・・。
58.
辺りが暗闇に落ちたころ、大使館内が騒然としてきた。
「遅すぎる」
「ジマ様の事だ、寄り道でもしてるのさ」
「病気の事もありますし、様子を見られては」
言い合う声につられ、俺たちも部屋を出る。
「どうした?」
トリオンがたずねると、
ネルが、ジマ様の帰りが遅いことを告げた。
暫く考えたトリオンは、ピエールに目配せする。
ピエールはあからさまに嫌な顔をする。
「俺が出よう、ピエール、アルル着いて来い。」
あは、やっぱり。w( ̄△ ̄;)w
とりあえず書いてる分投下します。
なんか、筆が一気に遅くなっちゃいました・・・。
エアリー装備アルルも使わせて貰いますね。
see you^^
投下乙であります。
わっふるわっふる
前スレ
>>119&
>>120ですが呼びにくいしdat落ちしてますし、
勝手に名前決めちゃいます。本人さんゴメンね。
初出:1スレ
>>119 PC(仮)名: マイウ / 中の人:1スレ
>>119 種族フェイス: ミスラ7B
ジョブ&Lv: 黒20、サポ白
初出:1スレ
>>120 PC(仮)名: ゴイス / 中の人:1スレ
>>120 種族フェイス: ガルカ6A
ジョブ&Lv: モ20、サポ戦
パパイヤと石塚にしか見えなくなりそうwww
それはそれとして投下乙ですw
カーペットを敷いてあるとはいえ、さすがに床は固かった。
おまけに下は石床だったのを忘れていた。
俺は体が痛くなってきて、耐えられずに体を起こした。
身体に、力が戻ってきている。
これだけ体力を消耗したのは、我を忘れて狂ったように動いたからか。
それとも、光の鎧の反動か。
小窓を開けてみたが、まだ夜明け前。
だが、追い立てられるような、目に見えないプレッシャーを感じる。
「行くか・・・」
俺は身支度を整えると、二日分の水と食料を用意してもらい、部屋を引き払った。
「ちょいとお待ちよ」
チェックアウトを済ませて出て行こうとした俺を、ちょっとふくよかな女主人が呼び止めた。
「そんな格好で行くつもりかい?」
・・・?
相変わらず、俺は初期装備に剣一本の姿だ。
旅用のマントは血まみれのボロボロになったので、セルビナで捨ててきた。
「今日は砂嵐の予報が出てるんだよ? ちょっと待ってな」
そう言いおいて、女主人は奥に引っ込んだ。
ほどなくして、女主人が引っ張り出してきたのは・・・。
「ターバン?」 正式名称は知らない。
「旦那が死ぬ前使ってたやつだから、品質は折り紙付きさ。マントもあるよ」
どうやって使うんだ、これ。
ていうか、日本人でネイティブにターバン巻ける奴っているの?
「つけたことないのかい? まぁそうだろうねぇ」
うんうん、と鎧もつけない俺の格好を眺めて勝手に納得している。
「じゃぁ、あたしの部屋においで。手取り足取り教えてあげるからさ」
マウラの町を一歩出ると、あたりは真っ暗だった。
空に星も見えないのは、曇っているからだろう。
予想以上に砂風が吹き荒れている。
朝になれば、少しは収まるだろうか。
俺は目だけ出したターバンに手をやった。耳の先が出てるのは御愛嬌だ。
なるほど、おかげで砂嵐の中でも息はマシにできる。
直射日光対策か、マントもターバンも黒一色。
長い黒マントの裾が、風にあおられひるがえる。
巻き余ったターバンをたなびかせて歩く姿は、まるで砂漠の民だ。
なかなか、いいかもしれない。
徐々に白んでいく東の空を右手に見ながら、俺は蛇行した道を進んだ。
徘徊するゴブリンに見つからないよう針路変更しては、地図で位置を確認する。
ブブリム半島は、バルクルムとはまったく印象の違う土地だった。
バルクルムが南国の砂浜だとすれば、ここは岩石の砂漠。
生態系も違うのだろう。あちらでは見られない動物もいる。
大陸からして違うのだから、当たり前といえば当たり前だが。
砂嵐は、いっこうに収まる気配はない。
ゴウゴウと、吹き荒れる風音が耳鳴りのように響く。
乾燥しているせいで、喉がすぐにカラカラになる。
ボトルの水、持つだろうか。
俺は岩陰に隠れて、小休止を取った。
バックから、女主人が包んでくれた弁当を開く。
サービスしてくれたみたいだ。ちょっと豪華。
砂がかぶらないよう、気をつけながら食った。
でも、けっこう量あるな・・・。
視界が悪いからか、気を抜いてしまったからか。
背後にゴブリンが迫っていたことに、俺は気がつかなかった。
603 :
既にその名前は使われています:2006/04/11(火) 23:59:37.75 ID:wrxjgAYH
割り込みですが緊急浮上…
「ひどいクポー!ご主人様から誘ってきたクポー!ひっかかれる理由が無いクポー!」
涙目で騒ぐモグタン。誘ったわけではないけれどまぁ、そうとらえられなくもないとは思う。でも、
「誘ってないっ!第一何もいわずに脱がす奴がいるかぁっ!!」
私はモグタンを睨んで怒鳴りつける。
「じゃあ何クポ!?ご主人様は『脱がすよ・・・』とか言われなくちゃ脱がされないクポ!?
そもそもご主人様はどうしてモグと同じ布団で寝ようと思ったクポ!?男女の間クポ!目的はひとつクポ!!」
朝っぱらからこのエロ生物は・・・何だこの激しいセクハラは?私は怒りに任せてまた思いっきり右手を振り上げた。
それを見たモグタンはすごいスピードで私から距離をとる。
「殴るクポ!?なんで殴るクポ!じゃあどうしてあんなことしたクポ!!!」
「そ、それは・・・。」
・・・私はちょっとモグタンから視線をそらした。顔がとても熱いしなんだか長い耳がしょぼんと垂れている感じがする。
「・・・一人で寝るの怖かったんだもん。」
モグタンの表情が突然優しいものになる。なんだか優しいけれどニヤついたちょっと嫌な感じがする顔。
「ご主人様、かわいいクポ〜。」
カァッと顔の温度が一気に5度は上昇した気がした。
「寝るっ!私もう一回寝る!!」
私はベッドに飛び込み布団をバフッとかぶる。さっきよりも顔はさらに熱くなっている。もうヤダ・・・
「そ、そのご主人様。」
モグタンが布団の上からポフポフと私を軽く叩く。
「モグはご主人様のそういうかわいいところも好きクポ。」
私は聞こえないふりをして、布団の中でさらに小さく丸くなった。
俺は走った。もったいないので、パンを口にくわえたまま走った。
怖くて後ろは振り向けないが、気配でわかる。
さっきより数が増えている。
ヴァナ名物“ゴブトレイン”。たいてい死ねる。
追い風だったのが幸いしたか、アウトポストが見えてきた。
国旗が強風にはためいている。
歩哨に立つ人影が、霞んだ視界に見えた。
「おおぉーい! ゴブに追われてる! 助けてくれ!」
だが、騎士らしき人物は俺を冷たく一瞥すると、「異常なし」と言って直立不動。
歩哨はタルタルで、たなびく国旗はウィンダスのもので。
俺はエルヴァーン。
あぁ、そうですか。
他国の人間はどうなろうと、知ったこっちゃないと。
俺はゴブリンに追われながら、アウトポストの前を全力疾走で駆け抜けた。
タロンギまで逃げ切れば、後ろのゴブリンたちも自分の縄張りに戻るだろう。
そうでないと、その、なんだ。
死ぬほど困る。
うほw 想定外wwww
いや、俺が書くのが遅かったからですね。すまんす。
今夜の自分の投下は以上です。
「ご主人様、朝ごはんできたクポ〜。いい加減でてくるクポ〜・・・。」
気はあまり進まなかったけれどこのままずっと布団をかぶっていても仕方が無いので
私はもぞもぞと布団からはいでた。
「うん、着替えるからちょっと待ってて。」
私は髪にくしも通さずにさっさと着替えて食卓についた。ちょっとモグタンと目を合わせづらい。
左ほほに鮮やかな赤色のひっかき傷をつけたモグタンはパンにバターを夢中になって塗りたくっていた。
「ご主人様」
モグタンがおずおずと私に語りかける。
「・・・な、何?」
「その、ちょっとご主人様の気持ちも考えないで襲おうとして悪かったクポ・・・。」
えーと、これってなんて答えればいいんだろう・・・。いや、そもそも主人を襲うなって話しだし。
モグハウスに備え付けられている小さな滝のオブジェクトのせいで、静かになると水音が部屋を支配する。
これは正直シーンとするよりもずっと寂しい。
「そ、そうクポ!ご主人様!!今日は何するクポ!?」
魔の水音に耐えかねたモグタンが先に口を開く。・・・うん、まぁさっきの台詞は聞き流しておこう。
えーと、今日は・・・。
「・・・何したらいいんだろう?」
帰る方法を探すのをリポケケとユファファに頼んでしまったためにやることが無い。
私に出来ること・・・。ウィンダス内での情報収集?
「・・・知らないクポ。」
「・・・困ったね。」
どうしよう・・・。食器とナイフがぶつかる音と水音だけが部屋に響く嫌な朝食タイムとなった。
・・・それから数十分後やっと嫌な沈黙に包まれた暗い朝食タイムが終わった。
昨日の晩御飯の時の食器と一緒に今朝の食器も洗い終わると見事にやることがなくなった。
ポストには昨日作った布や服の売り上げが入っていた。中々の売り上げだ。
今のお財布具合を見る限り生活費を現状維持できたら半年は働かなくてもすみそうだった。
とりあえず何もしないのもどうかと思ったので、昨日もらったパールをつけてみる。
「もしもし、おはようございます。」
ちょっと遠慮がちにパールに声をかけてみる。パールの中には今パールを使っている人の
周りの風景がうつっているみたいだった。
リポケケはおなかをだしてぐっすりと眠っている。
ユファファは・・・ヒゲヒゲオヤジと楽しそうに話しながら朝ごはんを食べているみたい。
邪魔しちゃいけないな。と思いパールから手を離そうとしたとき、
パールに向かってユファファがテクテクと歩いてきた。
「おはようっ。どうしたの?」
と、作り物の声でユファファ。
「おはようユリフィナちゃん。」
と、ヒゲ男。なんだか背筋がゾクッとした。
このヒゲはなんだか生理的に受け付けないかも・・・。
「そ、そのー。こういうこと聞くものじゃないとは思うんだけど。」
「ん?なあに?」
「・・・私、何したらいいのかなぁ?」
困った顔のユファファとヒゲ男。しばらく悩んだあとユファファはこう言った。
「・・・暇にしてればいいんじゃないかな?」
答えになっていなかった。
どうみても割り込みです。
本当に申し訳ありません。
ウィン国民の私もブブリムで派手にトレインしましたよ・・・w
もちろん数分後にはウィンダスに強制送還されていましたorz
>>596 王子様とイチャイチャ、うらやましいですw
私のほうはエアリー装備出せなさそうです・・・。出来ることなら出したいのですが
出す機会が生まれなさそうですorz
>>612 投下乙であります。全然キニシナイでOKっすよ〜。
何をしたらいいのか、どこに行ったらいいのか迷走中、という感じでしょうか。
ちなみにユリフィナさんのネタを使わせてもらおうと画策中でありますw
614 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/12(水) 00:59:21.75 ID:fzPkPzh9
皆さん投下乙です!
>>596 トリオン、おいしいキャラですねぇw
>>ユリフィナさん
なんかまた心配な展開に…
>>Leadさん
「にげるんだよぉスモーキー!」っていうアレを想像しましたw
投下しますー
(97)
目を覚ますと、テーブルに突っ伏していた。頭に鈍痛が走る。二日酔いらしい。
ノーブルベッドにはラディールが寝ているようだ。シェード装備の艶めかしい太ももが覗いている。
立ち上がってタルタル屏風の奥を確認するとブロンズベッドにエルリッドが寝ていた。
窓から外を見ると青白い空が広がっている。夜明け前のようだ。
昨日ハルヴァーからもらった煙草箱を持って外に出た。
外に出て、適当なところに腰掛けて、昨日の要領で煙草を吸いはじめる。
前方には共同の炊事場がある。その横にはよくわからない大きな建物があった。
そういえば、居住区の中にはどんな施設があるのかよく知らない。
辺りには誰もいないし、ちょっと見回ってみよう。
大きな建物には、入り口に暖簾のようなものが掛かっている。
暖簾には、もちろん日本語ではないが「湯」と書かれている。
中に入ると、なんだか2頭身くらいの小さな女の子が番頭の位置に座っていた。
「いらっしゃーい」
子供が声をかけてきた。
「あの、俺サンドリア初めてなんだけど、ここって銭湯?」
「そうですよ〜!最近話題沸騰の銭湯です!あ、沸騰って言ってもお湯が沸騰しているわけじゃないです」
(98)
「24時間いつでもお風呂に入れるんですよ〜、でも料金はいただきますけど」
へぇ〜、と俺は相槌を打った。これも現実世界の影響だろうか。
少し奥を覗いてみた。男湯と女湯に分かれている。結構本格的なつくりだ。
「どうですか?ひとっ風呂浴びれば生き返ること請け合いですよ?」
「あぁ、あとで友達連れてくることにするよ」
「そうですかぁ、この時間暇なんですよね〜」
なんだか残念そうな顔をする。
「しかし偉いね、こんな時間に君みたいな子供が店番してるなんて」
「あら、お客さん。私こう見えても立派な大人ですよ?」
ちょっと驚いた。どう見ても子供だ。
「タルタル族を見るのは初めてですか?」
あぁ、そうか。すっかり忘れていた。
「うん、実際見るのはそういえば初めてだね。知ってはいたんだけど」
「へぇ〜…」
銀髪でおかっぱみたいな髪型のタルタルは俺の方をジロジロ見ている。
「お客さん、もし暇ならちょっとお話しませんか?」
「あぁ、構わないよ」
(99)
「サンドリアって、偉そうなエルヴァーンばっかりかと思ってたんですけど」
タルタルの女の子は楽しそうに話し始めた。
「皆結構親切だし、それになんといっても身体が逞しくって惚れ惚れしちゃうw」
俺の方をチラッとみる。
「お客さんも良い身体してますね〜」
「そうかな…」
「近頃は物騒な噂もあるし、昨日なんか西ロンフォールで爆発もありましたよね」
「そうなんだ」
「それでも、この仕事だけはやめられませんわw」
趣味で仕事をしてるんだな、この娘…
「こういう銭湯って昔からあったの?」
「いえ〜、こういうのを作ったらどうかって言った人がいたらしくって、それでつい数ヶ月前に出来たんです」
数ヶ月前…微妙なところだな。俺と同じ現実から来た人だろうか。
「もう、殿方の裸覗き放題なんて夢のようなお仕事ですぅ〜」
顔を赤らめながらクネクネしてる。というか覗くなよ。
「しかし、噂には聞いてたんだけど、タルタルって小さいんだねぇ」
「魔力は全種族でも一番ですけど、街で蹴飛ばされちゃうほど小さいですね〜」
「そりゃ難儀だねぇ」
(100)
「でも、こう、大きな身体に包まれる感じって言うか、そういうのはタルタルの特権ですぅ」
またクネクネしてる。面白い生き物だなぁ…
外に目をやると日が昇っていた。
「それじゃ、また後で来るよ」
そう言うとタルタルの女の子に背を向けた。
「あ、ここ昼過ぎから夜は凄く込んでます。朝方から午前中が空いてますよ〜」
「あぁ、ありがとう」
とりあえず日も昇ったことだしモグハウスに戻ろう。
モグハウスに入ると、ラディールとエルリッドが思いつめたような顔でテーブルに着いていた。
「ルーファスさん!どこに行ってたんですか!」
「え…いや、ちょっと散歩に…」
「昨日の今日で、一人で?ルーファス、ちょっと危機感が足りないんじゃありませんか?」
ラディールが怒ってる。怖い…
「…もう、二日酔いの頭を巡らせて損しましたわ」
不機嫌そうにラディールが言った。エルリッドもそうだと言わんばかりにこっちを見ている。
「ま、まぁほら、ちょっと面白いところ見つけたからさ、一緒に行かない?銭湯だって」
「あ!行きたいです!」
エルリッドは食いついてくれた。ラディールも不機嫌そうに、準備をしてくると言って自分のモグハウスに向かった。
(101)
ラディールを待って、3人で並んで銭湯に向かった。
こうして並んでみると、ラディールはエルリッドと同じくらい背が大きい。
俺よりは若干小さいくらいだが、それでも並みのエルヴァーンよりは大きな体つきだ。
長身3人が歩く姿は珍しいらしく、時々すれ違う人は足を止めてこちらを見ていた。
「はい、到着」
暖簾をくぐって中に入った。
「あ〜、さっきのお客さん!」
「やぁ、約束どおり来たよ」
タルタルの女の子はうれしそうに迎えてくれた。
料金を支払うと、タオルを1枚貸してくれる。ますます普通の銭湯だ。
ラディールとエルリッドは当然女湯へ、俺は男湯へ入った。
とりあえず、タルタルの女の子の視線を感じつつも素っ裸になって浴室に向かう。
壁際にシャワーの口がいくつも並んでいて、その奥に湯船があるようだ。
さすがに蛇口から洗面器に受けるというようなことはないか。
湯船の上には、富士山ではなくキレイな風景画が飾られている。どこの風景だろう?
残念なことに、男湯と女湯はしっかりと区切られていて、声が聞こえてくるということもないようだ。
本当に残念だ、残念でならない。男のロマンをどうしてくれる。
(102)
シャワーの下にあるバルブをひねると、丁度いい温度のお湯が出てきた。
石鹸はさすがにないようだから、顔からつま先までワシャワシャと借りたタオルで強く拭く。
一通り身体を洗い終えて、タオルの水気をキッチリと切ったあと、湯船に向かう。
湯船は大人10人くらいは入れるだろうというくらい広い。足からゆっくりと入って、壁際に背を預けた。
タオルを頭に載せてゆっくりと目を閉じ、昨日のことを思い返す。
黒いマントの連中…ありゃ相当強い。最初の一人は一気に畳み掛けたからどうにかなったけど、
相手の出方がわからないのもあるから、長引けば長引くほどこっちが不利になるタイプの相手だ。
エルリッドは、そういえば無傷だった。よく守ったもんだ。
ハルヴァー宰相は意外と人情家のようだ。ちょっと俺も感動した。
ミッションが出るかどうかにかかわらず、やはり望まぬ来訪者たちを探す活動はするべきだろう。
帰る方法…これについては今のところ一切情報はない。まぁ追々というところだ。
出来ることは聞き込みと稽古くらいなものか。意外と少ないもんだ。
ゆっくり休んでもバチは当たらないだろうから、それでもいいんだけど。
いい加減茹ってしまいそうだったので湯船から出た。
空いてるといっていたのは本当のようで、誰も入ってこなかった。本当に話題沸騰なのかな?
(103)
浴室から出ると、例のタルタルの熱視線が注がれた。覗きすぎだろ…
見なかった振りをして身体を拭く。
着替えてタオルを回収かごに入れる。本当に銭湯そのままだなぁ…
とりあえず外に出ようと思ったらタルタルが呼びかけてきた。
「お客さん…いいもの見せていただきました。これ、サービスです」
鼻血を出さんばかりに高潮した顔で何か手渡してきた。
「なにこれ?」
「アップル・オレです。風呂上りの一杯は格別ですよぉ〜」
…随分親父くさい文化が形成されてるもんだ。まぁ飲むけど。
グビグビと一気に飲み干す。もちろん、腰に手を当てて。
「っぷはぁ、うめぇw」
「良い飲みっぷりです!」
「あ、一緒に入った2人、もう出てきた?」
「まだ出てこられてませんね〜」
「それじゃ、俺は外で待ってるからそう伝えておいてもらえる?」
「わっかりました!またお越しくださいね〜」
俺は歩きながら、背中越しに手をひらひらさせて答えた。
(104)
「気持ちよかったですねぇ♪」
「本当ね〜」
しばらくして2人が出てきた。何故か手にさっき俺が飲んだものと同じアップル・オレが握られている。
「それどうしたの?」
「何言ってるの、ルーファス。お風呂上りにアップル・オレは常識ですよ?」
当たり前のように言われてしまった。そういうもんなのか…
とりあえずモグハウスに戻ってこれ以降の話をしようと言うと、ラディールが妙な顔をした。
「…そういえば私、詳しい事情を一切聞いてませんよ?」
「そういえば…」
「…説明、必要?」
「当たり前です」
決め付けるように言う。顔が怖い。昨日から思ってたけど、ラディールは絶対Sだと思う。
「まぁ、とりあえずモハウス戻ってからにしない?」
「そうですね、そうしましょう」
銭湯の前からモグハウスに歩き出した。
(105)
「なるほどね、ようやく昨日の出来事が理解できました」
「まぁ、そういう訳で、実はラディールの事を知ってはいても、一緒に何をしたか具体的には知らないんだよ」
ラディールは首をかしげている。
「…それじゃぁ、今まで私が接していたルーファスはどうなったのかしら?」
「あ…」
まったく考えもしなかった事だ。確かに、俺がこの体で目覚める前にもこの体は活動していたのだ。
俺が操作していたキャラクターだが、こうなってみると人格があったと考えるのが自然だろう。
とすれば、その人格は一体どうなったのか?
「そっか、ラディールさんはルーファスさんの事、以前から知ってるんですもんね」
「えぇ、私の鏡について一緒に調査したのだけれど…」
話の流れは知っている。けど、当然ながら実際に行動したわけではない。
「でも、今の話を聞くまで、私は正直全然気が付かなかったのよ」
違和感がなかった、ということだろうか。別の人間なのに?
「口調も行動も、ほとんど私が知っているルーファスでした」
「…訳がわからねぇな。実は異世界から来たと思い込んでるだけってこともありえるってのか?」
「極端な考え方をすればそうなるわね」
なんだそりゃ…しかし、思い込みにしては以前の記憶が鮮明すぎる。
そうすると、ほとんど同じ性格の人格がこの体を操っていたということになるんだろうか。
(106)
「…まぁ、そりゃ俺が自分の世界に帰ることが出来れば多分解決するんだろうけど」
今その人格というのがどういう状態なのか。これが一番気に掛かる。俺の中に眠っているのか、他の何かに意識を移しているのか。
もしかしたら、現実の俺の意識と入れ替わってしまったのか。
「まぁ、結局のところあなたはルーファスで、気ままな冒険生活に目的が出来たというだけでしょう?」
なんだかあっさりと割り切ってくれたようだ。あんたいい女だよ。
「そうですよ、ルーファスさんはルーファスさんですよ」
いや、エルリッドは俺の以前の事知らないだろう?
「まぁ、考えても仕方のないことだよなぁ…」
「そうよ、そうと決まれば当面の行動方針を決めましょう」
テキパキと話を進めていく。なんか助かるわぁ…
「行動方針といっても、しばらくは情報収集が主な活動になるかな」
さっき風呂で考えていたことだ。
「そうね、話を聞く限りじゃ情報が少なすぎるわ。それじゃぁ…」
やや考えて言葉をつなげる。
「城まで私とエルリッドが送るから、ハルヴァー宰相やクリルラ様に役立ちそうな情報を聞いてきてくれませんか?」
「俺1人ってことは、そっちは2人で聞き込みでもするって事?」
「えぇ、ターゲットがいなくても襲撃の可能性はあるから、2人で行動します。何かあればこれで知らせます」
ラディールは耳のシグナルパールを指差した。
625 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/12(水) 01:05:11.61 ID:fzPkPzh9
投下終了です。
この後、城に行くところでイッチさんお借りする予定です。
では、わっふるわっふる!
626 :
まとめの中:2006/04/12(水) 01:22:50.71 ID:7ngD/+Bg
申し訳ありません。
リアル多忙につき更新作業滞っております。
いましばらくお待ちください。
でも、わっふるわっふる!
>>ユリフィナ(19)さん
モグに襲われても反撃が引っかきだけとは、とても優しいですねw
私なら間違いなく不意バックハンドブローです。…男なので襲われませんがw
>>Lead(161)さん
懐かしいなぁゴブトレインwみんな砂丘でLv上げしてた頃に、ブブリムでやってました。
>>アルルさん
第二王子の名前ってピエージェじゃありませんでしたっけ?
サンドには疎いので、ピエールって人だったらすいませんw
>>ルーファスさん
銭湯【興味】。だけどウィンはサンドバスと違って温泉無いんダヨ…【残念です。】w
サンはサポ???(ALL?)ですが、魔法はMP足り無ければ当然使えませんし、効果は100%ではありません。
シ/白が基本サポで、触媒を持ってないので触媒が必要な能力は、サポにしても使えません。
(脳内)設定では、サン(躯)は元々こういった体質で、(覚えたアビは)2hアビ以外使えます。
アビは使えても、サン(躯)は逆に魔法はインスニデオ以外使えません。はいソコ無駄サポとか言わないw
サン(464)は、逆にシーフ以外のアビを使うのは極端に下手で、もし使えても効果は焼け石に水程度です。
例 黙想:通常サポ時TP60 サン(464)黙想:TP20〜30の幅でランダム
例2 総MP175(仮) レイズV-MP250→使用不可 リレイズU-MP175→使用可能
ただし、MPは精神力で、MP使用=精神的な疲れの為、この場合リレU出来ても暫くは動けなくなります。
私の投下はまだかかります、すいません orz
あ、じゃぁ書き終わっているので先に投下しますね〜
みなさん投下お疲れ様です
わっふるわっふる
アルル氏
新装備キター!
自分は出すことないだろうなぁ……
リード氏
やべぇ、マジでドキドキする
と思ったら一気に賑やかにw
ユリフィナ氏
モグタン……段々大胆になってるようなw
フェローオモシロスw
ルーファス氏
やっぱヴァナでも煙草ですよね
吸ったことないけどw
てか、ワイン飲み過ぎですよwww
サン氏
ガーディアン愉快だ……orz
笑えすぐるw
609氏(ポコタン氏?)
それなんてエロゲ?(*'Д`*)
その小銭からまた新素材が……ってのは私の妄想ですねハイ
俺もウィン出身ですが、ゴブよりマンドラが多かったですね
ええ、リンクしないはずのマンドラです。
自分に足りない物、それはユーモアだ!w
お金とその場で買った炎クリ・蒸留水をしまいこみ、夜道をスタコラ走ってモグハウスまで行く。
これ以上の買い物は明日にしよう。また恐い目に会うのは御免だ。
石の区は天の塔から発せられる光によって、ほのかな明るさを保っおり、橋から転落するようなことはなさそうだ。
橋を渡りきりモグハウスへ帰り着き、静かに中に入った時、既にモーグリはいなかった。
いや、床の1番柔らかそうな場所を陣取ってあお向けに寝ている。……鼻摘むぞ?
結局一つ蜂蜜は余ってしまったが、自分で持っていたのは正解だろう。ここに置いておいたら、絶対に勝手に食っただろうからな。
蜂蜜を開け、買ってきた炎クリと蒸留水を取り出す。
こんな料理あるか知らないが、即席で作ってみよう。
まず、クリスタルの使い方は競売所の近くにいたタルタルを捕まえて聞いてみた。
『クリスタルを使うには、まず中のエネルギーを解放してやらなきゃいけない。
そのための、最もよく使う方法は、割ることだ。
割ると言っても、力任せじゃないぞ? 体内を流れる魔力を注ぎ込めば、常に飽和状態にあるクリスタルは簡単に割れる。』
炎クリを持ち上げ、体内で脈打つ「魔力」を探し出す。
『あとは、完成品をなるべく細かくイメージし、時々魔力を追加してやることだ。』
ゆっくりと手を上下し、徐々に魔力を加えていく。種族やジョブは関係ないらしい。
まず、蜂蜜を炎クリの結界の中へ取り込み、加熱する。しばらくすると、水みたいに柔らかくなった蜂蜜が結界を破って熔け出した。
ここで、蒸留水の出番だ。
炎クリの結界の真下に蒸留水を用意し、熔けた蜂蜜をいれる。
と、一瞬で固まって棒状の飴のようになった。うまくいったらしい。なんでこんなにできるんだろうw
棒状になった蜂蜜を噛り、モグハウスの外で虫の声を聞きながら、星を見上げる。ちょっとした趣がある。
ぼんやりと揺れる明かりは、星を見上げるには邪魔しない程度の明るさで、空一面の星が見渡せる。
――よく、家の屋根に上って見上げたもんだな……
幸い、競売所のない水の区のモグハウス前は寝バザーなどもおらず、独りで考え事をするにはもってこいの場所だ。
ヴァナに来てからまだ二日も経っていないのに、空や地面がまるで本物のように見えてくる。
「……でもこれは現実じゃない。」譫言のように呟く。
そうだ。ここは現実なはずがない。……果たして、本当にそうだろうか? じゃぁ、もしここが現実だったらどうなる? 今までの世界の記憶は何一つ消えてしまうのか……?
何度考えても、わからない。
帰ろう。モグハウスへ。そして、本当の家へ。
立ち上がると、建物の中へ歩き出す。ガーディアンが遠くに見える。
それにしても、静かだ。
あぁ、夜だから当然だな。いや、それにしても静か過ぎる。
何かがおかしい。背筋がゾクゾクする……
突如、モグハウスの明かりが消えた。
いきなり、闇を引き裂き、矢が飛んできた。と、俺は自分では信じられないことをしていた。
瞬時に反り返り両手を地面につき、足を跳ね上げる。後転しながら、目の前を通過する矢に手を伸ばし掴み取ると、足が地面につくのを待って手の力だけで跳ね、さらに着地。
闇の中から、怒りに満ちた叫びが聞こえ、カシャッという、剣を抜く音が聞こえる。
つられて、腕を背中に回し、オニオンスタッフを取ろうとする。
そこにはスタッフは無かった。指に当たる硬く冷たい金属の感覚。それを勢いよく抜き取る。
――!! 両手剣! しかも、それを両手で悠々と持っている。正直アリエナイ。
と、闇から凄まじい勢いで、影が飛び出してきた。その姿は、まるでAA(Ark Angel)の装備を血で染めたかのような錆びた鉄のような色だ。
そのまわりを、黒い霧のようなものが覆っている。顔は見えない。
両手で握りししめた剣で上段から、肩に向かって切りつける軌道を予測し、防ぐのではなく、体を軽く回転させて避ける。
避けると同時に剣が通り過ぎた。さらに右にジャンプした瞬間、今まで斜め移動していた剣が回転するように軌道を変更し、足スレスレを通過。
しかし、その回転を止めることなく、さらに勢いをつけ、横から凪払うように叩きつけてくる。と、俺の腕が勝手に動き、地面に両手剣を刺し、その上で倒立の体制になる。
次の瞬間、奴の腕が地面に支えられた両手剣を通過し、奴が悲鳴を上げる。
後方で、石に奴の剣が叩きつけられた音が聞こえた。
反動をつけて剣を地面から引き抜くと同時に後ろに跳躍し、奴の剣に手をかける。両手剣二刀流だ。マジでアリエナイ。
奴に急接近し、両肩に向かって剣を交差させるように切りつける。
当たったが、手応えはなしだ。ギリギリで逃げられたらしい。
と、ここで俺の腕がまだ動いていることに気がついた。無論、剣を握ったまま。止めようとするが、重すぎて止まらない。完全に無防備だ。
ガーン!という凄まじい衝撃と共に、体が傾いた。
誰かの叫び、うめき声、悲鳴などがごちゃまぜになり、意識が闇へと沈んでいった。
ついに赤い人出して見ました。
二日目からいきなり会っちゃったよorz
てことで、長文失礼しました
640 :
No.1-69 ◆FC91vFcmb2 :2006/04/12(水) 02:14:27.52 ID:bq2n5OdQ
うは。レスつきまくり。>>ALL わかったにゃー!w
ポリゴン鎧へのブラックジョークのつもりだった、
エアリーアーマー大好評。アルル氏。いつの間にかレベル40になってるのか。もうすぐリフレだね。
エアリーシリーズって本当にあったらアタッカー総サポ竜ヘイスト装備が普通になりそう。
(・・・ルーファス氏がサポ竜で装備したらアホほどヘイストかかるのか。)
というか激しくバランス崩壊レベルなんですが。風魔の脚絆とか中華張り付く意味ほぼないし。
命中装備、特にスコハネも蝉マンセーな今はゴミになるね。マズルカは・・・。
641 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 02:28:23.19 ID:bq2n5OdQ
ゲーム中は特に気にならんのですがマズルカ調べてみた。
エアリーシリーズに地味についているマズルカは「朝起きたら自キャラになっていた」世界では、
効果かかるまで4分聞かないといけません。最度詠唱まで60分かかります(実際のヴァナ時間)。あたりまえですが他の歌を聴いたら効果消えます。
攻撃したりダメージ受けたら解けます。(60分通常の移動速度に落ちる。またオートマズルカがかかるまで4分間うごいてはいけない)
ゲームではフィールドでしか使えないことになってるのですが、
フィールドはゲームの進行上実際より「狭く」作っているはずなのでこの物語では普通に使えるはず。
ただし、本来フィールドを休憩休憩で移動している(はずだよね!)のをマズルカしたら、
マラソンランナーのように休憩なしで動くことができるだけと思われますので、
その…街中だと体力溢れまくりの冒険者がサンドリアモグハウスから港競売まで30分なので、
(註訳。実際倉庫のマイラさん走らせた)これが休憩分短縮される程度の誤差だと・・・。
街中で冒険する限り、
エルリッドがルーファス氏置いてけぼりにしてものすごい速度で突っ走っていくというわけではないっぽい。
ルーファス(敬称略)のほうが足がはやければ多分普通に追いつけます。
ただ。マズルカ効果で長距離走るときに休憩が不要なだけです。
>>ルーファス氏
さて、ルーファスの本命はどちらの女子かな( ゚∀゚)
>>494には騙されたさっw
>>609氏
リアル人の死体・・・誰の死体なのかな・・・(´・ω・`)
>>サン氏
えろーすな予感?予感?w
>>ユリフィナ氏
モグ虐待の第一人者ですね。でもちょっと優しい・・・ツンd(ry
>>Lead氏
ブブリムのマテゴブーは自分も経験アリですorz~ そういえば、ウィン国民多いな・・。
どうでも良い話ですが、自分も愛飲してる煙草はクールだったりしますw
>>69氏
クゥダフって・・・実は凄い? 何気に新素材がまた増えそうな・・・増えますか?w
>>アルル氏
ジュノ到着でどうなるか、期待しております(`・ω・´)
>>レップ氏
初、敗者(ぇ
>>まとめ氏
・・・死なない程度に頑張ってください・・・
門を抜けると目の前に広がる緑。膝丈ほどもある草が所々に群生している。
東サルタバルタ――ウィンダスから外に出た冒険者が、初めてモンスターと戦闘をする場所。
遠めには緑色の服・・・初期装備かな・・・を着たタルタルが、カブのような物と殴り合いをしている。
あれがマンドラゴラだろうか。どう見ても、カブに手足のついたぬいぐるみにしか見えない。
程なくして地に倒れるマンドラ。タルタルは次の相手を探しに、何処かへ走り去っていった。
自分にあれと同じ事ができるのだろうか。
今までは何も考えずに(プレイヤーとして)やっていた事なのだが・・・どうしても躊躇う自分が居る。
「あんた、外に出たのは初めてかい?」
門の前でぼーっと立っていると、不意に声がかけられた。
声の聞こえたほうに顔を向けると、門の横に立っていたミスラが訝しげな顔でこちらを向いていた。
周囲には自分以外に誰も居ない。どうやら自分に投げかけられた問いのようだ。
「そんな事は無いよね。あんたの装備してるもんは、どう見てもひよっこに扱えるもんじゃないし」
一人納得するように言う。
共和軍団兵制式帯鎧・共和軍団兵制式篭手・ブレー・ゲートル、頭に蟲眼のサークレット。
腰にはバーニンセスタスが吊ってある。
見た目で言えば確かにLV12のモンクなのだが、中の人のLVは1にも満たないひよっこなのです。
「とりあえずそこは人が通る場所だし、つっ立ってないでどっか行ってくれないかい?」
返事が無い事に業を煮やしたのか、そう言われてシッシっと手を振られた。
ぞんざいな扱いだが、言われれば確かにその通りだ。
仕方なくその場を離れる。後ろから「がんばんなよ〜」と、暢気な声が聞こえてきた。
根は悪い人では無いようだ。振り向かずに手だけで返事をしておいた。
先程タルタルがマンドラを倒した辺りで足を止める。足元に目をやると、地に伏したマンドラの姿。
(消えない・・・のかね)
しばらく見ていたが消える様子は無い。この辺りゲームとは違うらしい。
同族を倒された事を意にも介さず、同じような姿のマンドラが辺りをふらふらしている。
腰に吊ったセスタスを腕にはめ、ふぅ・・・と短く息を吐く。
(――やってみるのが一番、か)
歩き回るマンドラに視線を定め駆け寄る。勢いをそのままに、飛び蹴り。
後頭部に蹴りを受け、よくわからない悲鳴を上げて吹き飛ぶマンドラ。
反撃が来るかと思っていたが、倒れたまま起き上がってこない。
(セスタス、意味なっし)
手にはめたセスタスを外し腰に吊り直す。LV12は伊達じゃないらしい。
吹き飛ばしたマンドラに近寄って見下ろす。口から泡(?)を吹いて痙攣している・・・。
可哀想だが、頭に生えている双葉を掴み思いっきり引き抜く。
それが決定打になったのか、短い悲鳴を上げて動かなくなった。
(・・・すんげー罪悪感)
手にした双葉を見てそう思った。見た目が可愛いだけに、尚更そう思うのだろうか。
双葉をサックに放り込み、その場を離れた。
モンスターと戦う理由は人それぞれだ。
LVを上げる為に戦う人・・・素材目当てに戦う人・・・強い相手と戦いたいという理由の人も居るかもしれない。
(なんていうか・・・これは違う・・・よな)
動かなくなったマンドラから少し離れた後、立ち止まって考える。
今のは戦いというよりも、一方的な攻撃しかしていない。戦利品はキッチリ頂いたが。
もう少し何か・・・少なくとも、戦意の無い相手とは戦う理由が無いように思える。
根本的な戦い方が間違えている可能性もあるが、それは気にしない。
(無関心な相手を倒すのはやめよ・・・)
そう、心に誓う。自分に対して敵意のある――いわゆるアクティブな相手とだけ戦う事にしよう。
そうなると、この辺りで戦える相手は限られてくる。
頭の中でアクティブな相手を思い浮かべる。ゴブリンにヤグード・・・のみか。
限定的な条件で現れるモンスターも居るだろうが、勘定には入れない事にする。
相手が決まれば、あとは探すだけ。地を蹴って走り出す。
すぐにヤグードは見つかった。モニター越しに見ていた姿と、そう大差は無い。
黒い羽毛に包まれた体、首には大きな数珠。二足歩行のカラスだと思えば大丈夫。
モンクタイプだろうか。手には何も持っていない。
背を向けているので、こちらには気付いていない筈だ。今ならイニシアチブが取れる。
駆けつつ素早くセスタスを腕にはめる。そして渾身の飛び蹴り。
首を狙いたかったがさすがに届かないので、無防備な背中目掛けて飛びかかる。
瞬間、ヤグードが振り返り自分と目が合う。
横に飛び退くヤグード。自分は勢いのまま着地し、地を削りながら滑る。
視線はヤグードから離さず、すぐさま体勢を整えて向き直る。
低い唸り声を上げながら、ヤグードもこちらを向いて構えを取っている。
(・・・そうそう上手く行かないか)
先手を取れなかったのは悔しいが、そんな事を考えている暇は無い。
中腰に構え相手の出方を待つ。格闘技の経験は無いので、構えは適当だが。
ジリジリと間合いを詰められる。気迫に押されぬよう、すり足で自分も間合いを詰める。
間合いに入ったと感じた瞬間、後ろ手に引いたヤグードの右手が振り下ろされる。
大振りの一撃を左手で流す。逸らす事はできたが爪が触れたのか、腕に鋭い痛み。
体勢を崩したヤグードの腹に右手で一撃。ゴリっと、何か堅いものが砕ける感触。
殴った反動で距離を取る。見ると、ヤグードの嘴から血が流れている。
好機と見て踏み込み、左で傷めている筈の腹に一撃・・・は受け止められる。読まれてたか。
掴まれた手を振りほどき、右手でアッパー気味の拳をアゴに叩き込む。
首にかけられていた数珠を砕きながら、ヤグードのアゴに拳が直撃する。
ヤグードが膝を折って崩れる。追い討ちをかけるように、右の拳を振り下ろす。狙いは――頭。
頭蓋が砕ける鈍い音。直後、糸の切れた人形のようにヤグードは地に倒れた。
足元に広がる血の朱。それを作り出したのは他でも無い、自分。
セスタスに付着した血を振り落とし腰に吊る。視線はヤグードから離れる事は無かった。
血を見たのはこれで何度目だろうか。
死に直面したのは何度目だろうか。
記憶にある全て、それは自分が直接的に手を下したものではない。
何かを殺したのは初めて・・・ではないか。直前にマンドラの命を奪っている。
それでも血を見ていると、マンドラを殺した事が嘘のような感情に支配される。
多少ではあるが自分も傷を負った。かすり傷だったのだろう。左腕の傷からはもう、血は止まっていた。
下手を打てば、倒れていたのは自分かもしれない。
そう考えると、言い様の無い悪寒が背中を駆け上がり身を震わせる。
それでも自分は、ヤグードの死に様を直視する。
――死を、心に刻み付けるように。
そして、何度も心の中で繰り返す。
(これで終わりじゃない。これが始まり・・・)
屈み込み、見開いていたヤグードの目を閉じさせる。
その一瞬だけ動いていない筈の目が、恨みがましい目に変わったように見えた。
(・・・ごめん。あんたにも家族とか・・・きっと居たよな)
この世界に居る限り、常に死と隣り合わせであると考えていよう。
それは自分自身。自分ではない見知らぬ誰か・・・全てに平等だ。
(もう大丈夫・・・これからまだ、血を見て進まなきゃ・・・な)
湿った風がヤグードの死体と自分を巻き込み、吹き去っていった。
立ち上がろうとすると、不意にヤグードの死体が不思議な光に包まれた。
一瞬の発光後に跡形もなく死体は消え、そこには緑色の小さな塊が転がっていた。
何気なく拾い見つめる。確か、モグハウスの金庫に同じものがいくつかあった。
(風のクリスタル?)
出掛けにかけて貰ったシグネットの効果だろうか。
マンドラゴラに効果が無かったのは、多分練習にもならない相手だったからか。
形見だと思い込み、サックに放り込む。
立ち上がり、もう一度だけ死体のあった場所を見る。今そこにあるのは血溜りだけだ。
こちらのほうが後味は多少薄れる。シグネットは忘れないようにしよう。
顔を上げ前を見据える。次の相手を探さないと・・・。
膝が震えていたが、意思の力で押さえ込んで歩き出す。
少しでも戦う事に慣れておかないと、この先に何があるかわからない。
辺りを見渡したが、居るのは草を食んでいる兎と芋虫だけだ。
もう少し遠くへ行かないと、この辺りにゴブリンは居ないのだろう。平和なものだ。
・・・芋虫がでかくてグロい。精神的には有害だな。
そんな事を考えながら、川があるであろう北へ向かう。
途中、血まみれのエルヴァーンとすれ違った。ウィンダスへ向かっているのだろう。
ケアルをしたかったが、モンクな自分はその術を持たない。無事にウィンダスへ辿り着いてくれる事を祈った。
本日の投下はここまで。
この時間になると投下多いですね。
昼間保守してくれてる方々に感謝。
最近スレ落ち速度早いので、読んだらageてくれると嬉しい気がします。
戦闘描写ってムズカシイ・・・。
650 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 02:41:53.56 ID:Wb7M+OHh
と、言ったくせにage忘れ。
明日落ちていませんように(−人−)
651 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 03:10:47.50 ID:bq2n5OdQ
素材どうなってるのかまとめてみた。
アルミニウム(ジュラルミン)・・・ルイサンオーベールが元々ある。
カーボン、ガラス(それ以前にファイバーが元々ある)
(普通の)紙。前スレ
>>98が持ち込み。だが"じんぴし"あるね。
プラスチック。自分の作中に登場。
ファインセラミック=サーメットという名である。
こんなもん?自分の作中で増やす予定はなし。
結構、ヴァナの素材技術高いっぽい。
エアリーはルイサンが限られた最高の技術をもった職人しか作れないのに対して、
徹底した分業体制で各パーツを作ってくっつけてるため大量生産可能。
元々手つくりが基本のサンドリアなので、
「均質な」アルミ合金の鎧を限られた鍛冶職人に頼むより、
各種のギルドや魔法使いに部品だけ発注、
あとで組み立てしたほうが早くできるという発想です(ハルヴァーは若くして宰相だけあって天才)。
バストゥークに1品物の鋼鉄鎧をコピーされて大量生産された意趣返しかもしれません。
652 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 03:15:25.19 ID:bq2n5OdQ
上質なアルミ装甲をたくさん作れないゆえ、他部分は別業種の職人に別素材で作らせたので、
アルミやジュラルミンのほかにも装甲補強(ショック吸収用)に木材、
皮、布、カーボンファイバーやセラミックなど多彩な素材が使われることになってしまい、
裏地に快適なこちらの世界の)紙(紙子といって実際に日本の服に昔からあります)、
と各職人(スキルランクは低い)が作り、くっつけて終わり。後で見てみたら、
強化魔法と素材の性能により凶悪性能になっていたんでしょうね。
温泉は・・・案外、エアリーの装甲材料のアルミ探してたら足元にわいたんでは?元々ユグホトに沸いてるし。
サンドリアが何処から(エアリーソードやシールドの)プラスチックの材料を調達してるのかは激しく不明。誰かがネタにするだろうとわっふるわっふる。
653 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 03:32:09.56 ID:1mYdWET1
わっふるわっふる
654 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 07:16:29.44 ID:k0WHaHh9
保守わっふる
655 :
ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ :2006/04/12(水) 09:24:50.98 ID:vcb9Pj64
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
~
('A`) <保守!
ノヽノヽ
くく
>>レップさん
ざんねん ここでレップのぼうけんは おわってしまった! とかなりませんように・・・
>>83さん
双葉を引っこ抜かれるマンドラを想像してコーヒーふきましたww
戦闘描写はむずかしいですよね・・・
「ね、モグタン。レイズは気を失っている人の意識を回復させるもので怪我は治せないんだって。」
「知ってるクポ〜。」
「死んじゃってる人には効果ないんだね〜。」
「常識クポ〜。」
私はゴロゴロと白魔法概論を読んでいた。まるで夏休みのような生活だ。
もともと白魔法が大好きで始めた白魔道士なのでこの本はものすごく興味深い。
「すごいね、切断された体をくっつける方法とかものってるよ。」
「それはすごいクポ〜。」
モグタンは部屋の隅に座り込んで熱心に読書をしている。どうせエッチな本だろう。
モグタンは何かに集中すると回りに気が向かなくなるタイプらしくてさっきから私の声に生返事しか返してこない。
なんか静か過ぎてやな感じだ。朝早く学校にいってみたら全然話さない人と30分近く教室で二人きりになった
苦い思い出を思い出した。
本を半分ほど読破したところで時計を見る。時間は11時30分。そろそろ昼ごはんの準備をしないと。
私は相変わらず読書に熱中しているモグタンを放置てエプロンを装備してごはんの準備にとりかかった。
(毎日食事のメニューを考えるのって意外と大変だなぁ。お母様、ちょっと尊敬します。)
残っている食料を見ると昨日の買ったひき肉少し、鳥の卵、怪しい草、セルビナバターなどなど・・・。
「オムレツ・・・かな?」
私はそうつぶやいて卵を割り始めた。
お昼ごはんを食べながら私はモグタンとバカ話に花を咲かせている時のことだった。
「食事中に悪い、ユリフィナちょっといい?」
丁度マンドラゴラは獣人でどこかに頭に花を咲かせたマンドラゴラ神が存在するに違いないと
熱くモグタンが語っている時にユファファに声をかけられた。
わたしはパールを覗き込んだ。彼女がいるのはジュノだろうか?
石造りの壁と真っ青な海と空、そして今まで見たことがないほどの人の山が映りこんでいた。
「はい、全然かまわないよ。」
私は答えた。
「えーとね、やること無いって言ってたよね?」
「うん。」
「ふと思ったんだけどさ、戦闘しないで済むような仕事を探せばいいんじゃないかな?
君くらい実力があれば本拠地に乗り込みでもしない限り獣人も襲ってはこないだろうし。」
戦闘しないで済むような仕事・・・。頼まれたものを取ってくるとか?
「そうね・・・。それいいかも!ご飯食べたら探してみるよ。」
ちょっとパシリみたいだけれど何もしないよりはずっとましだ。
私の答えを聞いたユファファはパールの向こうでニィッと笑った。
「そう、よかった。それじゃあさ、ご飯食べ終わったら水の区の帽子屋に行ってくれる?
アリアってエルヴァーンの人の忘れ物があるはずだから。」
「うん、わかった。・・・って、」
ちょっとちょっと!最初から私に仕事押し付けるつもりだったな!
「そうしたらサンドリアのどこかにいるはずだから届けてね〜♪
詳しいことは帽子屋のおじさんに聞いてね。それじゃ、またねーー。」
そういうと彼女は一方的にパールの接続を切ってしまった。
・・・まぁいいか。どうせ一日中暇になるところだったし。
「食事終わったら食器片付けてお仕事してくる〜・・・」
「クポ?冒険者は休むんじゃなかったクポ?」
なんだかうれしそうに言うモグタン。
「ちょっと押し付けられた・・・。」
反対に私は少し不機嫌そうに椅子に座りなおしてオムレツを再び食べ始めた。
「おおぉ・・・」
私は見事に洗濯されていたヒーラーブリオーを手にして思わず感嘆の声を漏らした。
「すごい・・・血の染みひとつ残ってない・・・。」
「モグは料理洗濯掃除、どれをとっても完璧なんだクポー♪」
そういってモグタンはクルクルと回転を始める。すごいぞモグタン!
「あとパンタロンも洗っておいたクポー♪」
そういってモグタンはたたんであった黒いタイツと白地に三角模様が描かれた
レッグウォーマーのようなものをカゴから取り出した。
かごの中には清潔そうな白いミトン、ヒーラーミトンもたたんである。
帰る際に召使としてモグタンをもって帰れないかな・・・。
あ、でも由佳にまで手を出されたら困るしな・・・
そんなことを思っていると、突然目の前でモグタンがそのタイツの匂いをクンクンと嗅ぎ始めた。
「においもバッチリ落ちてるクポ!」
「おおぉ・・・」
私は信じられない行動をするモグタンに思わず感嘆の声を漏らした。
そのチェック方法はありえないと思う。
私の中でメキメキ上昇していたモグタン株は某有名ベンチャー企業真っ青のスピードで大暴落した。
モグタンは再びタイツを丁寧にたたむとそれを私に手渡した。
「はい、早く着替えるクポー。」
モグタンがニコリと微笑む。私もニコリと微笑む。そして右手を限界まで振り上げる。
「うん、準備運動が終わったらね。」
格闘スキルが0.3上がった気がした。
保守ついてに投下しちゃいましたw
夜にも出来そうだったら投下します
662 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 12:21:28.71 ID:JMfpkMIQ
ほっふるほっふる
皆様投下乙です!今日は(も)レスだけ……
>416 Loufasさん
自分的にもキャラの外見が気になっていますw
>561 Lead(161)さん
自分も赤マルあたりをイメージしてましたw
型番とかブランドとか明記するスタイルは苦手なので割愛しましたけど(`・ω・´)ゞ
煙草の銘柄の略称って、ホント暗号にしか聞こえないですよねww
>626 まとめの人さん
おつかれさまです〜 自分の分はこちらでアップしようと思います。少しでも負担を減らせればいいんですが…
>630 レップさん
書いてて自分でもそう思いましたwww>エロゲ
自分の出した小道具については、ずっと持ってる事もないつもりなので適当に活用してもらえると嬉しいです(`・ω・´)ゞ
>642 83さん
特に誰というのは決めてないです(´・ω・`)ノ
いつも楽しく読まさせてもらってます^^
と、部外者がいきなり注文言うのもなんですが、各ストーリーの概要と
主要登場人物などがまとめてあると読みやすいと思いました。
これからの執筆も期待してます。
うはww2chなのに、丁寧語で書いてる自分、キモスwwwww
電車のなかから保守です
また投下は夜になるかと思います
わっふるわっふる
666 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 16:02:21.48 ID:bSDwqzKd
(∩゚(∩゚∀゚)゚)∩
わわわわっふるわっふる
アゲアゲ!
皆さんの作品をいつもワクテカしながら読んでます。
良作揃いで気が引けてしまうのですが、ちょと書いてみたものがあるので
試しに載せてみてもいいですか?
バッチコーイ!
投下お待ちしています(`・ω・´)ノ
では、恥ずかしながら投下させて頂きます。
ちょと不安ですが(-_-;)
■ 01 ■
薄い雲の向こうからぼやけた月明かりが周囲を照らしている。
浮かび上がるのは生い茂る緑の大地。
見晴らしのいい草原に静かに佇む湖の前には、数本の細い木が幾本か
不揃いに立ち並んでいる。
命の炎を思わせる色をたたえて揺らめく湖面には一人の男が映りこんでいた。
男の周囲には岩のような黒い塊が幾つか転がっている。
よく見ればそれが今まで生命として機能していた、今は只の肉塊とわかったかもしれない。
どれも苦悶の表情を浮かべ、その機能を終わらせている。
男はその肉塊をまるで粗大ゴミでも扱うように片手で引きずりながら、湖へ次々に放り投げていく。
時たま湖へ全て入りきらないと、煩わしいような表情で足で蹴飛ばしたりしている。
数分でその作業を終わらせると、湖近くの岩に腰を下ろして深い嘆息をついた。
ため息をついた口の中には鉄の味が広がり、体には数え切れないほどの刀傷が刻まれている。
深呼吸を繰り返して体内の気の流れを整え始めると、次第に傷がふさがり始めた。
そうしているうちに薄い雲に隠れていた月が顔を出し、緑の大地や男の姿を鮮明に浮かび上がらせる。
赤黒い東方の胴着に身を包んだ長身の男は、無言のまま深紅の月を眺めていた。
自身のものではない、まだ暖かい血がべっとりと付いた両手をそのままに。
「・・・もう・・・戻れないかもな」
見つめる月越しに何かを見ながら、誰ともなしに呟いていた。
「お前の声・・・どんなんだったっけ・・・」
辛うじて思い出すことの出来る笑顔を脳裏で繰り返しながら、記憶の糸を手繰り寄せようとする。
しかしその糸を掴もうとすると、手から滑り落ちて手にとることは出来なかった。
そんなことを繰り返しているうちに月は薄雲に顔を隠してしまい、周囲はまだ薄暗い草原へと変わってしまう。
「・・・クソッ」
悪態をついてから立ち上がり、のたのたと歩き出す。
行き先は寝泊りしているタブナジア地下壕。
歩いているそこはルフェーゼ野、男がこの世界に引き寄せられてから半年が経とうとしていた夏の夜。
以上です…さわりでいきなり暗くてすみませんでした(>_<)
投下乙です!
タブナジア方面からのSSは初めてなので、続投期待age
674 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 17:44:25.36 ID:Wb7M+OHh
・・・ orz
675 :
既にその名前は使われています:2006/04/12(水) 20:12:59.34 ID:8rj6Todp
保守age!
皆様、乙であります。昼間に保守していただいて、ホントありがたいです。
2スレ目も折り返し地点を過ぎましたね。バシバシ投下しましょ。
678 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/12(水) 21:50:32.12 ID:k0WHaHh9
Lead_161 ◆zmxSLEadCU
>>12 イッチ
>>15 ユリフィナ_19 ◆/GKRtxSDWQ
>>16 サン464 ◆PCl7Dh0dlY
>>17 609 ◆dWeYTO/GKY
>>32 アルル ◆4qZB6dTlbE
>>33
679 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/12(水) 21:51:17.86 ID:k0WHaHh9
228 ◆EqtePewCZE
>>47 898 ◆txXF4c8A0o
>>60 Loufas ◆TTnPTs4wAM
>>64 レップ ◆35//hs0Y0Y
>>71 83 ◆W0QmuTI9lM
>>172 1スレ98(100) >>“かに本家”プロフィールなし
抜け漏れあったらすまん。
丁寧に訊かれたらこたえちゃうのが人情。
680 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/12(水) 22:26:14.45 ID:fzPkPzh9
皆さん投下乙です。
>>638 いきなり死亡フラグ?w
>>642 本命は…どうなんでしょうねw
>>652 サンドリア周辺は水も豊かで近くに温泉もありますし、湧いてもおかしくないだろうと言うことで…
>>659 ほうほう、サンドリアにお越しですか…(ニヤリ
>>672 ちょwwwすっごい気になるwww
投下しますー
(107)
モグハウスを出てドラギーユ城まで来たところで、俺は2人と別れた。
ラディールは、ちょっと意外なほどしっかりしている様だから特に心配はないだろう。
エントランスに入ると、ハルヴァーがいつもの位置に立っていた。
「ルーファス。ミッションの件だが、正式に指令が降りるまで少し掛かりそうだ」
「そりゃまたどうしてです?」
「昨日の爆発の件がサンドリアに敵対する勢力のものではないかと言う嫌疑があってな。
今諸侯の意見を取りまとめているところだ。まぁ、実際のところは貴様から事情を聞いているので明らかなのだが…」
「…宰相様も大変ですね」
「昨日の件もあるし今日はゆっくりしていたらどうだ?」
「いえ、一応情報収集の一環で、そちらで把握している情報を提示いただけないかとお伺いしに来たんですよ」
「いいだろう。資料自体は既にまとまっている」
ハルヴァーが見ていたものをそのまま見ることが出来るということだろうか。それなら期待できる。
例によって奥の部屋に通された。
ものの数分で、30センチくらいの束ねられた紙を持ったハルヴァーがやってきた。
「これだ。目を通すのは中々骨が折れるだろうが、役立つ情報もあろう」
「えぇ、ありがとうございます」
資料を置くと、ハルヴァーは忙しそうに出て行った。久々のデスクワークだ…がんばろう。
懐から拡大眼鏡を取り出して、読み始めた。
(108)
3分の1ほど目を通したところで、ちょっと眉間を抑えた。
どうも半年前くらいから俺のような連中が来ているという情報があったらしい。
銭湯の件も、提案者の名前から足取りがジャグナーで途絶えたことまで詳細に記されている。
最初に会ったとき、ハルヴァーがあっさりと事情を飲み込んだのも納得がいく。
これはやはり、見せてもらって正解だったかもしれない。
再び読み出そうとすると、入り口のドアが開いて宰相が入ってきた。
「ルーファス。今から冒険者に会うことになったのだが、同席してくれ」
「へ?あぁ、構いませんが…」
俺に同席させるということは、まさか…
「おそらく、貴様の想像通りだ」
エントランスに行くと、小柄なミスラが2人とガルカがいた。
「またせたな、イッチと言ったか。話を聞くのに私の副官を同席させるが構わんか?」
「構いませんですにゃ」
(宰相様…)
(そういうことにしておけ。話はわかりやすい方が良い)
3人いるということは、全員がいわゆる『望まぬ来訪者』ということだろうか。
まずは俺の身分を明かす前に話を聞いてみるか…
(109)
驚いたことに、このイッチというミスラは来訪者たちと数多く接しているらしい。
不思議な掲示板を見た、と言った。2chのアレか…俺にも覚えがある。
アレを見た人間がこっちに呼ばれているらしい。
だが、そうすると資料にあった半年前の来訪者の情報はなんだろう?
おそらく、原因はそれだけではない。何かあるはずだ。
彼らはどうもスレの番号で呼び合うらしく、
>>100とか
>>161などの番号が出てきている。
「番号で呼ばれてる彼らに、名前はないのですか?」
俺は、一応宰相の副官らしい口調で聞いてみた。
「
>>161はリードというにゃ。
>>100は、名前はわからにゃいにゃ…」
「そうですか」
やはり、彼らには番号ではない名前があるようだ。
「では、あなたについて聞かせてください。あなたがこちらに来て、何かに狙われるようなことはありましたか?」
「今のところはないにゃ。でも…」
横にいるガルカに目をやって、何かを迷っているようだ。
「噂は聞くにゃ。冒険者が襲われたとか、赤い鎧にさらわれたとか…」
イッチが話し終わる前に、ガルカの様子がおかしくなった。
(110)
「うぁぁぁ!!あぁぁぁ!!!」
椅子から転げ落ちて、部屋の隅にうずくまるような姿勢で叫び声を上げている。
「…ゴイスは、赤い鎧に仲間が連れて行かれるのを見たみたいにゃんだけど、この調子で何も話せないにゃ…」
ゴイスというガルカは、叫び声はあげなくなったものの、まだ部屋の隅で震えていた。
こんな様子を見れば、恐らくその『赤い鎧』に接触をしたことはあるんだろうというのはわかる。
では、一体何があったのか。彼の口から聞き出すのは難しそうだった。
ミスラ2人は何か飄々とした雰囲気だ。
イッチといい、その横のマイウといい、落ち着いていると言うよりは気が抜けている感じがする。
「赤い鎧についてはこちらでは把握していない。だが、貴様らの仲間ならば1人知っている」
ハルヴァーが口を開いた。あぁ、そろそろネタばらししなきゃな。
「実は俺、あんたらと同じようにあっちの世界から来たんだわ」
それまでとは口調を変えて、出来るだけくだけた感じで挨拶してみた。
「俺はルーファス。今は神殿騎士団に世話になってる。まぁ、よろしく」
ガルカは震えたままだが、ミスラ2人は口をあけたままこっちを見ている。
あぁ、驚いてるなぁ…
(111)
「あんたらがまだ何かに狙われてないってのは幸いだね」
とりあえず、昨日のことを3人に話した。昨日の爆発については特に気にしていなかったらしい。
「すごいにゃぁ、ルーファスはレベルはそのままにゃの?」
「ん、確認したわけじゃないけど羅刹作務衣とか普通に着れるし、多分そのままだと思うよ」
なにか変な目で見てる。75ってだけで廃人扱いか。やってりゃ案外あっという間だっつーの。
「リードは、よくわからないけどエルヴジャーキン着てたからそんなにレベルは高そうに見えなかったにゃ」
そのリードというエルヴァーンとはセルビナで別れたという。ウィンダスに用があったそうだ。
「用、ね…」
なんだろう。まさかクエをするわけでもあるまい。
>>100とは砂丘ではぐれてしまったと言う。瀕死の怪我をしていたから、生きてるかどうかもわからないらしい。
「リードとはリンクパール渡してあるから話せるにゃ!」
イッチが声を上げた。胸元からパールを取り出して声をかけ始める。
「リード!聞こえるかにゃ!?」
何度か呼びかけているが、どうやら反応がないらしい。
「寝てるのかにゃぁ…?」
「まぁ、それは追々で構わないさ。それよりもあんたらには心がけてもらわなきゃいけないことがある」
3人それぞれに目を合わせてから、話し始める。
「当面の間、普通の冒険者、あるいはこの世界の住人として振舞ってもらいたいんだ」
(112)
「さっき話したように、俺は昨日黒装束の敵に襲われている。俺と関わったり、下手な行動を起こすと同じ様に狙われるかも知れない」
3人共驚いたような表情をしている。
「襲われた敵の中に、赤い鎧はいたにゃ?」
部屋の隅から、ヒィッという悲鳴が上がる。
「いや、3人いたが全員黒いマントを羽織っていた。赤い鎧を着ている様子はなかったよ」
「ということは、その黒装束と赤い鎧は関係ないのかにゃ?」
「それを判断するには情報不足だなぁ…とりあえず、誰かに見られる所では俺とは接しないほうがいいと思う」
「わかったにゃー」
ほんとにわかってんのかなぁ…
「連絡があれば、城で言付けるかモグハウスで、と言うことになるかな」
さらに、街の外に出るときは重々気をつけるように加えた。
「それと、なにか不審な出来事があったら、とにかく城で保護してもらうようにしてくれ」
イッチは結構修羅場をくぐってきているようだからその辺は大丈夫だとは思うが…
「ところでさ…リードや
>>100ってどんな人?」
「
>>100はおっぱいのでかいエル♀にゃ。リードは…」
イッチは顔を赤らめ始めた。
「すごかったにゃ…」
どうしよう、『何が?』って聞くのはアリな状況なんだろうか…?
(113)
イッチたちは、自分たちのモグハウスに戻ると言って城を出て行った。
宰相はまた忙しくどこかへ行ってしまった。
俺は朝から資料を読んでいた部屋で、続きを読みはじめる。
一通り目を通し終えた頃には、既に日が落ちていた。
『赤い鎧』に関する情報は、この資料の中にはなかった。
昨日の襲撃者に関しても俺が初めての目撃者なのだから、とにかく目撃証言は少ない。
半年前から断続的に出現する『来訪者』は、現在行方が知れない場合が多いことに驚いた。
死んだのか、さらわれたのか。いずれにせよ芳しい事態じゃない。
『ルーファス、聞こえますか?』
シグナルパールから声がした。ラディールだ。
「あぁ、聞こえるよ。聞き込みはどうだった?」
『めぼしい情報はありませんでした。そっちは?』
「これまでの『来訪者』に関する資料を見せてもらったよ。それなりに収穫はあった」
『そう、戻ったら話を聞かせてください』
「それと、その『来訪者』に会ったよ。それも3人だ」
『それを先に言いなさい!その方が重要じゃないですか!』
「彼らからもちょっと興味深い情報を聞いた。それも後で話すよ」
とりあえずワインでも買ってモグハウスに帰ろう。資料を片付けて席を立った。
688 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/12(水) 22:34:04.77 ID:fzPkPzh9
投下終了です。
>Leadさん
イッチお借りしましたw
今後は特に考えてないので、Loufasと連絡取りたくなったらイッチ経由でw
>まとめの方
無理はしない程度でがんばってください…
では、わっふるわっふる!
なんだかなぁ・・どんどん話が広がってるぞw
なんというか・・2chパワー?ネ実パワー?皆さん、ステキだよ。
ワッフルワッフル
>>688 投下乙です。
他の方の作品に自分の名前が出るって、こんなに震えるんだねw
テラヤバスwwww
わっふるわっふる!
投下乙です。
>>671 なんだか最初からグッと引き込まれるような雰囲気が凄いです。
>>688 どんどん話が大きくなっていってすごいwktkしてきますわっふるわっふる
>まとめの方
体にはきをつけてください・・・
俺は命からがら、タロンギ大渓谷まで走り抜いた。
赤茶けた岩壁に背を預けて乱れた息を整える。
そうっと身を隠しながら背後を覗くと、十体近いゴブリンたちがたむろしていた。
彼らはあたりを見回しつつも、ブブリムへ帰っていくところだった。
俺は、できればゴブリンとは戦いたくなかった。
“炎の壁”。
強い君はきっと「甘い」と言い切るだろう。
「戦の理で死ぬは本望」と言うだろう。
でも、俺は・・・。
タロンギは、見渡す限り赤錆びた岩石の世界だった。
ときおり強い風が砂塵を舞い上げ、視界を奪う。
俺はボトルの水をあおった。
ジリジリと照りつける日差しに目を細めつつ、顔を覆うターバンを直す。
メアの遺跡は、ここから北に向かえばいいはずだ。
そこでチョコボを借りよう。
道なりには進まない。
身を隠すものがなく、上から狙い撃ちしてくれといっているようなものだからだ。
北に向かって岩肌を歩き、白く輝くメアの遺跡を目印に進んだ。
うろついているゴブリンやヤグードからは距離をとる。
荒野の歩き方も、要領を得てきたようだ。
俺は小休止を取りながら三時間ほど歩いて、順調にメアの近くまで来ることができた。
テレポイントで昼にしてから、チョコボに乗ろう。
ところで、チョコボ屋の出張サービスはどこだ・・・?
俺はチョコボガールを探して、メアの周囲を回ってみた。
メアの遺跡も、やはり見上げんばかりの巨大さだ。
ホラとそっくりの、白く、陶磁器のような独特の形。
四方にテレポイントが浮かび、やはり一箇所だけ壊れている。
北側のテレポイントに人の姿を見つけた俺は、無防備に近づいていった。
人を待っているらしく、アダマン鎧姿のエルヴァーンがリンクパールを手に遠くを見ている。
ばさり。
背後で羽音がした。
> >>アルルさん
> 第二王子の名前ってピエージェじゃありませんでしたっけ?
> サンドには疎いので、ピエールって人だったらすいませんw
のああ 完全に勘違い
以後はピエージェにしときます。(^0^ゞ
振り向くと、一体のヤグードが俺を見下ろしていた。
右手に刀身の折れた太刀を下げている。
ずいぶん体が大きい。
ふくらませた全身の羽毛が、そう見せているのだろうか。
動物が威嚇をするとき、毛を逆立てて大きく見せる習性があると聞いた事がある。
つまり、やる気なんだな?
「オイ、おまえ!」 ヤグードがダミ声を出した。「ぞの剣を置いでいげ!」
「鳥が人間の言葉を話すのか」
俺は一瞥して言った。
意外な事実かもしれない。獣人が語を解すのは、さほど珍しくない?
「俺様の刀をニンゲンが折りやがっだ! ニンゲンが弁償じろ!」
ヤグードは、長いくちばしをガチャガチャ鳴らした。
おそらくは、威嚇の意味なのだろう。
「お前ぇみでぇな小物を倒じだっでほどんど得はねぇ! ぞの剣で見逃じでやる!」
「なるほど。話はわかった」
俺は剣の留め金を外した。渡す気はない。
視界の端に、テレポイントにいるアダマン鎧が弓に矢をつがえるのが見える。
「だが、断る」
696 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 00:16:43.61 ID:quq7EXXZ
だが断るキター
わっふるわっふる
697 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 00:18:05.08 ID:0xDEiepT
おまえら長文すぎるんだよ
無理すんなよ
>>697 このツンデレさんめ(*´д`*)
もうちょい、がむばる。
バサバサと羽を震わせながら、俺の目の前に立ちはだかるヤグード。
俺の体はエルヴァーンでも背の高いほうだが、同じくらい大きく見える。
「・・・困ったな」
剣は抜いたものの、俺は困っていた。
このヤグード、なんなんだろうか。
俺から一足一刀の間合いで、あまりにも無防備に棒立ちしているんだが。
大体だ。
真っ赤な砂塵の吹きすさぶ荒野で、黒ずくめの二人が対峙して睨みあっている。
映画じゃあるまいし、この現実感の無さはなんだ。
「なんだぁ! 怖じ気づいだのがぁ!?」 ヤグードがわめき散らす。「死にだぐ・・・」
シュコッ。
乾いた音を立てて、ヤグードの背に矢が突き立った。
言葉にならない叫びを上げて、ヤグードが背に手を回そうともがく。
この強風の中で狙撃か。やるな。
感心した俺の足元に、アダマン鎧が放った二本目の矢が突き立った。
・・・おい。
700 :
Lead_161 ◆zmxSLEadCU :2006/04/13(木) 00:49:57.39 ID:rrAyrREm
今夜の投下は以上です。
ユリフィナさんとこのフェダ君をお借りしましたw
お前等バカじゃね?
起きたら自キャラになってた、とかありえないから。
まぁ、ヴァナで暮らせたら面白いかもだけどな(´・ω・`)
702 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 01:30:48.00 ID:9xgFVX1E
>>701 じゃあおまいさん。何でこのスレ見てんだよwww
一作品を懸命に書いてくれてる人をけなすなっての。
大体自分も「当たりスレ」とか思ってるんでしょ?w
なら、援護唐揚げでもしたらどうかと。
はいはい次つぎ ∩(・ω・)∩わっふるわっふる!
結構伸びてるから笑えるネタスレだと思ったらただの同人小説スレだったと言うショックを考えてみろ・・・
書くのは別に好きにすればいいと思うんだがファン認定はマジで引くから勘弁してくれ。
それだけはキモ過ぎる。
正直スレ名は変えてくれと真剣に思う。
704 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 02:03:54.61 ID:dNhJj1wd
[0]
いつものように、日課のメールチェックとサイト巡りをして、
寝るまでの少ない時間をフェインでゴーレム相手に素材集めをすることにした。
不意打ちのあとはオートアタック、そんな感じで放置したりして、
携帯でネ実のスレを片っ端からチェックしていた。
ふと、腕に痺れが奔った。
慌てて腕を振ると、ガタン!と鈍い音を立ててコントローラーが落ちた。
急に自キャラがしゃがみ始めた。どうやら戦闘解除→ヒーリングのコンボが起きたらしい。
マズい!
気がついたら時既に時間切れ、近くにいたゴーストや蝙蝠が僕の周りに集まってきていた。
うはwwwマーフィーの法則キタwwwwピンチの時ほど避けねぇwww
あっという間にHPがなくなり、サーメット質の床に僕は横たわる。
705 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 02:05:42.94 ID:dNhJj1wd
[1]
―…ロ…。お…起き…。
(誰だよ、眠いのに起こすなよ。)
僕はぼんやりした頭の中でそう返事をしながら、振り向こうとする。
しかし…、首が後ろに回らない。いや、それよりもなんで壁に向かってうつむいているんだ?
さっきまでPCに向かっていたのに。
壁についている頬が、冷たく無機質なものを感じる。
(あれ…?壁紙はどこ…。)
不意に背中を蹴飛ばされ、喝が入る。
『痛ってぇ!』
理不尽な暴力に怒りを覚え、僕は勢いよく立ち上がり振り向く。
そこには、フードをかぶった人の影が見える。
―コん…トコろで…ルな……モりやごース…に…かられ…ゾ。
声がくぐもっていてよく聞き取れない。
それよりも、一体ここは?この暗い部屋は?
706 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 02:09:10.40 ID:dNhJj1wd
僕は痛む頭を抑えながら、少しずつ状況整理をしてみる。
認めたくはないが、どうやら「こっち」へ来てしまったようだ。
ここは…廃墟フェ・イン。さっきまで僕がしていたFFxiの、さっきまで僕のキャラがいたエリアだ。
目の前にいるのは、、、シャドウだ。エルヴァーンの誇り高き騎士の怨念。
そしてその妄執が作り出した、滅びることのない騎士。
他に「こっち」へ来た人たちのほとんどはモグハウスで目を覚ましたというのに。
僕は…こんな最果ての地で、しかも目の前には「生きた人間」を目の仇にしているアンデッドがいる。
走って逃げるか。それとも 「たたかう」か…。
ケンカなんてしたことがない僕に、ナイフ一本で「彼」と遣り合って勝つ自信なんてない。
それに追いかけるのは得意だけど、逃げるのは苦手なんだ。
でも、隙があれば逃げることができるかもしれない。
―…マて。おまエには怨ミはナい。
僕の考えを見通したかのように、「彼」は話し始める。
―オまえは普段コこヲ荒らシに来ル奴とハ違ウようダ。ついテ来イ。
僕は……これからどうなるのだろう。
だがそれがいい。
スレ名維持キボン
>>701 また一人、犠牲者が(嬉)
わっふるわっふる!
たしかに作家気取りの同人スレと化しているのは否めない
前スレ98氏カムバックきぼん。。。
まとめサイト 98が書いた話 全部乗ってないよな?
たしか絵描きのアンジュリカのところにいく話が有った気がするが
710 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 07:44:21.00 ID:c0uc3Hxs
グロ画像がはってあるわけじゃないんだから嫌なラミアければ良いのに
711 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 07:49:13.18 ID:c0uc3Hxs
しかし朝起きたら自キャラじゃなくてケイシーライバックと敵対してたじゃなくて良かったなw
探してきてみた。98氏が書いたと思われるレス。
前スレ258 260 261 263 268 270 271 274
アンジェリカのところに行って、シャントット博士に絵を届けるんだけど・・・
で、終わり・・・かな?
713 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/13(木) 09:21:31.95 ID:LP01S2ed
>>711 そんな事より
>>711よ、ちょいと聞いてくれよ。スレとあんま関係ないけどさ。
このあいだ、朝起きたらケイシーライバックと敵対してたんです。ケイシーライバック。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱい死んでて落ち着かないんです。
で、よく見たらなんか前掛けなんかしてて、俺はコックだ、とか言ってるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前な、コック如きが普段やらない殺人なんかしてんじゃねーよ、ボケが。
コックだよ、コック。
なんかナイフとか銃とかともってるし。戦うコックか。おめでてーな。
台所じゃ負けないぞ、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前な、コックならさっさと帰って料理しろと。
コックてのはな、もっとストイックに料理してるべきなんだよ。
ダイニングキッチンで、テーブルに座った客を見ただけで何が食べたいかを判断して、
料理を作る、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。ナイフとか銃は、しまってろ。
で、生きて帰れるかと思ったら、隣の奴が、待て!、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、待て!なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。死んだ振りしてろや。
得意げな顔して何が、待て!、だ。
お前は本当に待って欲しいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、待て!って言いたいだけちゃうんかと。
714 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/13(木) 09:21:58.99 ID:LP01S2ed
やられ役通の俺から言わせてもらえば今、通の間での最新流行はやっぱり、
死んだ振り、これだね。
銃で腹を撃たれて死にました。これが通の頼み方。
腹を撃たれてるってのはが案外わかりにくい。だから倒れてればバレない。これ。
で、息まで止めちゃって死んだ振り。これ最強。
しかし息を止めすぎると本当に死んでしまうという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前、
>>711は、合気道の技でもくらってなさいってこった。
715 :
Loufas ◆TTnPTs4wAM :2006/04/13(木) 09:23:02.32 ID:LP01S2ed
ケイシーライバックの名前を見つけて、なんだかうれしくなってやった。
今は反省している。
716 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 09:44:41.70 ID:c0uc3Hxs
わろすww
717 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 09:53:58.22 ID:zZ6/mh/G
アンチPOPしてるけどわっふるわっふる
帰りは徒歩になった。
おれは月光の下、時折剣を振り回しては重さを確かめ、技を思いついては試しながら、とぼとぼと歩いた。
戦いはいやだけど、何かに絡まれたら否応なく戦いになるだろう。戦いはいやだけど、死ぬのはもっといやだった。
剣を縦に振るい、横に払い、頼りない足取りで踏み込み、自己流の体捌きを考えては身をよじる。誰かが見たら笑うかもしれないが、おれは真剣だった。
戦いは極力避けた。このエリアにいるのは全部練習相手のはずだけど、ゴブリンやオークを見れば遠回りをした。
迂回が難しいと判断したら、知覚遮断の魔法を駆使して近づき、不意を打って抵抗させず一気に殺した。
あれほどうんざりしていた、カニや鳥や芋虫ばかりを狙っては群れから離しておびき寄せ、大勢で取り囲んで狩るスタイルが、実に賢明に思えた。
翌早朝にホラの遺跡に着いてから、おれは小銭すら持ってきていない事に気がついた。
小柄だが元気そうなチョコボを連れて来てくれたチョコボガールに、曖昧に笑って厩舎から退出すると、いらない血を流しながら憂鬱な旅を続けた。
生姜臭いクッキーで飢えを、果実系のきついリキュールで渇きを凌いで、サンドリア城下に帰り着いたのは、更に二日後の事だった。
三日ぶりのサンドリアは出た時と比べて、酷く色褪せ白々しく見えた。その反面、城門をくぐって西の曲輪へと入ると、ようやく安全な場所に来たと肩の力が抜けるのを実感せずにはいられなかった。
曲輪から凱旋広場へと繋がる大通りへと抜ける。まずはモグハウスに帰って、一眠りしよう。
「あら、あなた」
不意に頭上から声がした。上を見やると、ウルフカットのミスラが城壁から身を乗り出していた。
おれ?と自分を指差すと、こくこくと慌しく頷いて肯定する。昔登録したフレか何かだろうか?
「ちょっと待って、いま下に行くから」
そいつは一方的におれをその場に留めると、姿を消した。ほどなく、バタバタと階段を駆け下りる音がして、グレーの革鎧に身を包んだ先ほどの女が現れた。
「やっぱり男の人だわ。ねえ、珍しいわね。この辺りにも氏族のコロニーがあるのかしら?」
女はおれのつむじからつま先まで値踏みするように見回して、人懐こく笑った。
「だれ、おまえ」
あまりの胡散臭さに、不審感を隠そうともせずにたずねる。女は、いっけない、と自分の頭を小突いて、自己紹介をした。
「ごめんなさい、わたしはハエ=ジャッキヤ。ジャッキヤはブブリムの氏族なんだけど、仕事の関係で今はサンドリアにいるの。あ、仕事はA
H協会の配達員よ」
聞いてもいないことまで一方的にべらべらと喋ってから、はい、とおれに期待に満ちた視線を投げかける。
「貴方の名前は?」
ハエ=ジャッキヤだって? ミスラ萌えのおれをなめるなよ。ハエと言えば、おかっぱで男言葉でフタナリの、ウィンダスにいるミスラじゃないか。まぁ、フタナリというのは二次創作の世界での話だけど。
おれが黙っていると、わたしは名乗ったわよ、と笑顔の圧力をかけてきた。
「ヒロ、だ」
「ヒロ……、素敵な名前だわ」 二度三度、大袈裟に頷く。「で、氏族は?」
何というか、普通の会話をしているはずなのに、尋問されているような気がする。
ん? と屈託のない笑顔で首をかしげる。悪い奴ではないようだが、タチは悪いようだ。
「忘れたんだ」
「あ、秘密だって言うなら、無理には…… えぇ!?」
おれの苦しい言い逃れと、ハエのフォローはほぼ同時だった。しまった、秘密と言ってもよかったのか。
「忘れたって……そんな事があるの?」
信じられない、といった顔で詰め寄るハエに気おされて口ごもる。
「ひょっとして、記憶喪失!?」
ハエは祈るような仕草で両手を合わせると、宝物でも見つけたみたいに目を輝かせる。
「あう、うん…」
歯切れの悪い言葉で答えた。というより、答えさせられた。
「素敵! ドラマチックだわ!!」
「はあぁ?」
思わず声に出てしまった。何を言ってるんだ、この偽ハエ=ジャッキヤは?
(小説みたい……。異国の……彼は記憶……亡くして……わたしが助けて………二人は……落ちて結ばれるのよ!)
あらぬ方を見ながら何事か唱えているが、ぶつぶつと小声でよく聞き取れない。
「何だって?」
「あ、ううん、気にしないで。そんな事より、何か困ってる事はない? わたしでよかったら力になるわ」
強引におれの手を取って小さな両手で握り締める。悪意はないように思えるんだが、打算で援助を申し出ているのは丸分かりだった。
「お礼は出来ないぜ?」
握ったまま放さない手を振り解いて腕組みすると、少し考えてそう答えた。
「ううん、いいのよ。始めは多くを望まないわ、貴方と友達になりたいの」
いちいち言動に含みのある女だったが、知りたい事があったおれは申し出をありがたく受ける事にした。
「……教えて欲しいんだ。オスラ…じゃなくて、ミスラの男っていうのは、珍しいものなのか?」
この世界に来るまでミスラは雌しかいないと思っていたんだが、ハエの話を聞く限り雄のミスラもいるように思える。そういえばルジヌもミスラの雄の話をしていた。
ハエは本当に忘れてしまったのね、と哀れむようにまたおれの手を取った。落ち着かないんだが、当面は好きにさせておいた方がよさそうだと判断し放っておく事にした。
「珍しいわ。男はとても出生率が低いし、生まれても女より虚弱で大半が死んでしまうの。一つの氏族にいる男はせいぜいに四人くらいよ」
それではよく分からないので、一つの氏族に何人くらい女がいるか尋ねてみると、男の四の四の四倍いるそうだ。
四と言う数字をやたら多用しているが、ミスラ達の文化では「たくさん」という意味合いを持って使われる事が多いと言う。「よん?」もあながちネタと言い切れない。
「だから男は、氏族のコロニーで暮らすの。女は氏族の為に働いて、コロニーの男のところに通い、子供を作るのよ」
すごいな、ハーレム……いや、それ以上じゃないか。オスラはただ待っていればミスラが養ってくれて、おまけにモテモテって事か。
「男は何もしないのか?」
ううん、と首を横に振る。
「男は女の為におしゃれを研究し、教養を身に着け、身体を鍛えるの。やっぱり、素敵な人の腕に抱かれたいじゃない?」
ホスト……なのかな。話術に自信はないけど、殺し合いよりは楽そうだ。
「あとは子育てかな。男は氏族が滅びでもしない限り一生コロニーの外に出ないから、それでも自分を磨く時間は充分にあるからね」
そういう意味でも、貴方がこんな場所にいるのはとても珍しい事なの、と付け加える。。鎌首をもたげかけた興味とナニが、一気に沈静化した。
それって誰の人生なんだ? 勉強して、体鍛えて、男を磨いて、結局なんの役にも立たなくて、ただ飾り物としての自分の価値を高めるだけなのか?
「でも、子供が出来たら生まれるまで身動きが取れないから、それを嫌っている人もいるの。傭兵とか、守護戦士をやっている人達……セミ=ラフィーナ様の名前くらいは分かる?」
引きまくっているおれの事などお構いなしにハエは話し続ける。最後の質問だけ頭に入ってきて、知った名前だったので、おれは上の空で頷いた。
「それは覚えているんだ? 無理もないか、有名だものね。あの方も、本当はもう母になる体のはずよ。小姓を二人もつけているのは、それを無理に抑えているんだと思うの。
正直言うと、わたしも嫌い。男の人が嫌いだって言うんじゃないのよ? 連邦図書館の資料で調べたんだけど、ミスラ以外の種族は男と女が道端でぶつかったりして出会って、一対一で恋に落ちて色んな障害を経て結ばれるの。わたしもそんな風になりたいのよ」
そろそろどうでもいい話になってきた。オスラがこの世界でどういう立場にいるのか分かったら、そこから先は単なる世間話だ。
コロニーに閉じ込められて一生を終えるのがオスラの定めなら、それこそ女装でもしないと面倒に巻き込まれるかもしれないな。
ふと、ハエの戯言が止まったので、様子を窺うと、こちらの顔をじろじろと眺めていた。
「ワーロックシャポー持ってるんだ……強いのね。顔がちょっと情けないけど、それって甘いマスクって事。知らないけどきっとそう! やっと見つけた……わたしの王子様…!!」
こいつの価値観にはリアリティが欠如している気がしてならない。
「ありがとう、色々分かった。悪いけど、行かなきゃいけないんだ」
強引に腕を振り解いて、モグハウスに向かう。ついてきたらどうしようと思ったが、勤務中らしく追いかけてはこなかった。
「あ、待って! 貴方の氏族は?」
はあ? 何度も聞くな馬鹿。おれは肩越しに、不審感を剥き出しにして振り返る。
「駄目か…… もし隠してたなら、うっかり口を滑らせるかな〜って」
ペロリと舌を出す。おれはハエの自分本位な物言いにいい加減うんざりしていた。
「ソコワラメェだ」
「え?」 出鱈目の名前を教えると、きょとんとしているハエを尻目に、今度こそ歩き出す。
「ヒロ=ソコワラメェ! 七時に仕事が終わるから、また来て! ヒロ=ソコワラメェ! また会いましょう!」
卑猥なシャウトを繰り返す気狂いミスラを無視して、おれは大股でモグハウスへと向かった。
いじょ(`・ω・´)ゞ
ケイシーライバックには笑わせて頂きましたww
724 :
既にその名前は使われています:2006/04/13(木) 11:54:15.85 ID:Y+5JEdxW
その名前はGMものだろwwwwwwwwww
皆さん感想ありがとうございます。
何かこう勝手が掴めていなくてどうかなと思っていたのですが、
こんな感じで書いてもいいのかなと思うことができました。
スレッドは誰でも見れる誰でも書ける、でも素性はわからない。
お互い譲歩して見ることができれば楽しくできるかなと感じました。
性に合わないものでも、目を通してくれると嬉しいものですから。
では遅まきながら続きを投下させていただきます。
ためしにトリップなどをつけて。
■ 02 ■
僅かな風鳴りのする岩を穿って出来た入り口を潜り抜けると、そこは僅かに湿った空気が流れる
人の手が入った洞窟のような場所だった。
- タブナジア地下壕 -
かつて獣人の大侵攻で壊滅しかけた人々が辿り着いた場所。
今では僅かな人数が細々と暮らしている悲しみの色濃い集落。
男はのろのろと歩いてはいたが、周囲を見渡すようなことはなく止まることなく目的の場所へと向かっていた。
集落の中心部分には上空へと大きな穴が開いたホールの様な場所があり、螺旋状の坂で上下階へと移動
することができる場所がある。
そこの坂を下った場所にある荷物置き場のような一角の影へ行くと、男は足元にある毛布の上に座り込み靴を脱いだ。
懐から小さな赤いクリスタルを取り出し、腰のポシェットに入っている蒸留水の入ったビンに掲げると、クリスタルから
炎が噴出しほどなくして蒸留水はお湯へとかわった。
毛布の傍に転がっている半ば錆びたカップに茶葉とお湯を投げ込みしばらく待つと、ほのかな香りが沸き立ってきた。
茶葉を指で摘んで適当にその辺りへ投げ捨てると、指についていた血が僅かに混ざった薄いお茶を音を立てて飲む。
「よう、今日は遅かったなぁ。獣人狩りでもしてたのか?」
小太りの無精髭を生やした中年男が遠慮ない笑顔をはりつけながら坂を下っててくるところだった。
商人の風体をしたその男は、時折自分の腹を掻きながら優雅さとはかけ離れた歩き方で近づいてくる。
座り込んで茶をすすっていた胴着の男は、無言で近くに転がっている自分のよりも汚れていない陶器のカップを
手に取ると、先ほどと同じ要領で茶を沸かした。
「おお、毎度悪いな」
悪いと言いながらも容赦なくグシャグシャになった毛布に土足で座り込み、茶が抽出しきれていないカップに口をつけた。
これまたさっき以上に大きな音を立てて茶をすする。
熱さに強いのか湯面を吹いたりなどせずにカップの半分ほど飲み込んだ。
「っぱっは〜〜!ウィンダスの茶はうめぇな!ばっはははは!」
何が楽しいのか髭オヤジは大きな声で笑った。
時刻はすでに夜中1時をまわり、地下壕で起きているのは見張りの者くらいなのに容赦がない。
「そんで・・・今日はまた大勢殺してきたみたいだなぁ、血の臭いがすげぇぞ。朝が来る前に洗い場で流してきな」
「ああ、そうするよ」
視線は錆びたカップに落としたまま低く答える胴着。
「・・・ん〜、しかしまぁアレだな!ホレ、おめぇさんがココに寝泊りするようになってから結構経ったなぁ」
「迷惑なようならすぐに出て行く」
即答されて髭オヤジは目を丸くして、そしてまた笑った。
「ばははは!迷惑だなんて思ってると俺が思ってるわきゃねーってわかってるだろが!」
「・・・すまん」
眉をひそめ、口の端を少しあげてから胴着は茶を少しすすった。
しばらくそうしてお互いに取り留めのない話をして茶をすすり、時間は過ぎていった。
30分ほどそうしていただろうか、髭オヤジが腰を浮かせる。
「ほいじゃ、そろそろ俺は寝るとするわ。うちのガキがぐずりだす頃だからな」
「ああ、もうそんな時間か・・・悪いな、こんな時間まで」
「茶をすすりにきたのは俺だ、おめぇさんが気にすることじゃねぇよ。じゃな、今日は寝ろよ」
言いながらも坂を上り始めていた。
片手を上下にブラブラさせて『寝ろ』のしぐさをしながら。
それに苦笑いで返し、胴着は毛布の傍らに錆びたカップと陶器のカップを置いて横になった。
岩の天井の亀裂を見つめながら脳内の回路をアチコチつなぎ合わせる作業に集中し始める。
『元の世界の記憶』と『ヴァナでの記憶』に区切りをつける作業。
これをしないと最近は記憶があやふやになり、どれがどの記憶だかがわからなくなってきているからだ。
身の回りの日常品から世界のあちこちに生息する生物まで、どれをとっても共通しているようで
何一つ共通していない。
今自分の腕にたかっている『蚊』も形は元の世界のものとは違っていた。
そんな脳内作業をしていると、元の世界に置いてきた人が浮かびだされた。
「帰るからな・・・」
呟きながら枕にしていた右手を目の前に突き出し、握り拳を作る。
途端に乾いた血が細かい破片となり、自分の顔に幾つも降りかかってきた。
髭オヤジに言われていたコトを思い出し、寝ようとしていた重い体を起こして洗い場へと足を運んだ。
道中、ココへ来た日のことを思い出しながら。
極端な発想しかしない躯と口論…といっても傍から見たら怪しい独り言だが…を私はしばらくしていた。
女は青い顔して動かないまま。モグは気絶してるというか泡吹いてる。爆弾ベルトはバラした。
身元の判りそうな物は何も無い…が、ギルは結構持ってたのでありがたく戴く事にする。
見る人が見れば、何か判るのだろうが、私が見て判るのは装備が多少高級感があるって程度かな…。
絹製の漆黒コート一式は連邦軍師の物に似てるだけあって高級そうだし。手斧と短剣は装飾あるし。
手斧は、タブナジアで売ってそうな豪華な造りだが武器としては微妙、短剣は受け流しがし易そうな形だ。
「……あの女、どうするかなぁ…」 誰に言うでもなく、ボソりと言いながら背後…部屋の反対側を見る。
ガルカマネキンに羽交い絞めにされた状態で、ヒュームショーツ姿の右腕に怪我をした女がぐったりしている。
守護戦士か某博士辺りに突き出せば、後は処理してくれるだろうけど…
「女ガ何者カ、何故狙ッタカ、何ガ目的カ、誰ノ指図カ、報酬ハ何ダッタカ、処女カ、聞カナイトナ。」
……確かにそ〜にゃんだけどさ〜、何か明らかに余分な事聞こうとしてないですか?w
「ドレガ余分ナンダ?俺様ニハ全部トテモ重要ナ事ナノダガ?w」
「貴様は吸血鬼かぁッ!!」
そう言いながら頬をつねって攻撃してみたが、痛覚はなどは伝わらないらしい。
自分が痛いだけか……。チッ残念だ。本当残念です。
「俺様、最初ノ頃ニ口以外ホボ使エナイト言ッタハズダガ?w」 信じれるかっ!