ボトルに小便しながらHNM戦はヒキメンのたしなみ

このエントリーをはてなブックマークに追加
284既にその名前は使われています
別鯖でFF11をやっているリアフレのツテで、生のボトラーにインタビューする機会を得た。
住まいは普通の一戸建て。その一室に、彼はもう一年以上も引きこもり、FF11をやり続けているという。

呼び鈴を押すと、彼の母親が恐る恐る中へと通してくれた。
そして彼の部屋の前に行った瞬間、扉を閉めていても、室内から悪臭が漂ってくるのが、はっきりとわかった。
扉を開けると、悪臭は一層ひどくなった。

電気もつけず、カーテンも締め切り、テレビ画面だけが光源になっている薄暗い部屋に、果たして彼はいた。
某番組に出ていた肥満を勝手に想像していたが、意外にもその逆の、小柄で痩せた男だった。
目つきが異様に鋭く、私が室内に入ってきても微動だにせず、視線をテレビ画面に釘付けにしている。
手にはコントローラーを握り締め、
そして……下半身は裸で、性器は本当にペットボトルに挿入した状態になっており、
ボトルの中には液体が貯まっていた。
さらに室内の各所には、黄金の液体をたたえたボトルが数本と、
丸めた新聞紙が山積みにされていた。噂が本当なら、あの新聞紙の中には……

「よろしく」
そこまで考えた所で、彼はようやく私に気づいて口を開いた。しかしその視線はやはり、画面に向いたままだった。
285既にその名前は使われています:05/02/03 02:08:33 ID:LGMjDBm3
「すみません、今ベヒの沸き待ちでして。KBの抽選期間に入ってましてね」
淡々とした口調でボトラーは言った。私はそのままインタビューに入ることにした。
「早速ですが、単刀直入にお尋ねします。何がそこまで貴方を駆り立てるのですか?」
トイレに立つことも億劫がり、ペットボトルに放尿してまでHNM狩りを続ける事を指しての質問である。
「極めるため、ですね」
ボトラーは端的に答えた。
その意味を察し、私は気分が悪くなった。たかがゲーム如きを極めるために、人間の尊厳すら捨てるのかと。

「そのために、トイレに立つ事すら放棄して、ペットボトルに放尿すると?」
「その通りです。席を離れている間にHNMが沸き、他の集団に取られる事など許せませんから」
「許されないとは、貴方のLS内で糾弾されるという事ですか?」
「いいえ、私自身の誇りの問題です。より多くのHNMを狩ることが、このゲームのトッププレイヤーの証です。
そして私は何をやっても、トップでないと嫌な性分でしてね。中途半端は御免です」

ボトラーの声は冷めていたが、それは確かな本音なのだろう。
「こう言っては失礼ですが、ここまでなりふり構わずに力を注げるほど、
貴方にとって、このゲームは価値があるものなのですか?
そこまでやれる力があるのなら、もっと他の事に、その情熱とエネルギーを費やそうとは思いませんか?」
私は思い切って、そう質問してみた。
すると今まで無表情だったボトラーが、初めて口元に笑みを浮かべた。まるで私を哀れむかのような笑みを。
286既にその名前は使われています:05/02/03 02:09:46 ID:LGMjDBm3
「登山家がそこに山があるから山に登ると言う様に、私はそこにHNMがいるから狩るのです。
登山は、趣味や生きがいとして、世間にごくごく普通に認知されています。
けれどもネットゲームは違う。世間からは悪いイメージをもたれていますし、
ボトラーはその中でもさらに罵視されている」

なるほど、確かに趣味に貴賎は無い。だが私の言いたいことは別だ。

「質問の仕方を変えましょう。私もこのゲームはしています。私が言いたかった事は、
エネルギーを注ぐべき対象と、その分量が間違っているということです。
人にはそれぞれ趣味がありますし、それに力を注ぐのもよいですが、
それは仕事なり学業なりといった、生活の足場があったうえでの事ではないでしょうか?
貴方にとっては最早ヴァナでのHNM狩りだけが全てになっていますよね?」
「限度が越えている、と言いたいのですか?」
ボトラーは最早、嘲笑すら浮かべていた。
「先ほども申したとおり、私は中途半端が嫌いなだけですよ。
もし他に情熱を注げる対象が見つかれば、FFを捨ててそちらに向かうまでの話です。
そしてそこでもトップへと突き進むでしょう。
よく我々ボトラーを批難し侮蔑する声が聞かれますが、どこにいっても中途半端な輩に何を言われようと、
我々は一切痛痒に感じませんよ。むしろ哀れにすら思います」
287既にその名前は使われています:05/02/03 02:13:20 ID:LGMjDBm3
あまりに常軌を逸した価値観に、吐き気すら覚えたが、その一方で彼の信念も認めざるえなかった。
「よっしゃぁああぁあぁぁあああぁっ!」
突然ボトラーが大声を上げた。どうやら彼が、沸いたKBを釣り勝ちしたらしい。
「取りましたよ。この瞬間こそが絶頂ですよ。半端なプレイヤーには一生味わえぬ至福の瞬間です」
勝ち誇って言うボトラーだったが、別に彼の言う半端なプレイヤーは誰も、
ペットボトルに放尿してまで、そのような至福を得たくなどはないだろう思う。
だが、彼にとってはとてつもない価値のある瞬間なのだろう。

「おっと、興奮したら尿意が。失礼」
そう言ってボトラーは、私のいる前で堂々と、ペットボトルの中に放尿し始めた。
羞恥の心が全く無く、人前でこのような姿を平然と晒せるというだけでも、
すでに人としての正常な感覚が壊れている。
極めるという姿勢は頷けても、その代償に失っているものは確かにある。しかし彼はそれに気づいていない。
288既にその名前は使われています:05/02/03 02:14:18 ID:LGMjDBm3
「おっ、光布でましたよ。まあ皆ノーブル持ってますから、換金ですけれどね」
KBを倒した所で、初めてボトラーは私の方に顔を向けた。にっこりと屈託の無い笑みを浮かべていた。
「さてと、これからねぐらに行きますが。まだ沸き時間まで時間ありますし、片付けます」
そう言ってボトラーは、性器よりペットボトルを取りはずし、
さらに部屋の隅にあるボトルと新聞紙の塊を、部屋の外へと運んでいった。

「何日ぶりに片付けるのですか?」
私は試しに聞いてみた。
「六日ぶりですかね」
「部屋の外に出しただけみたいですけれど、あれはあの後どうするんですか?」
「母親が勝手に片付けるでしょう」
何の感心も無さそうに、ボトラーはさらっと答える。私は彼の母親に同情を禁じ得なかった。

インタビューは早めに切り上げた。外の空気の何と美味しかったことか。
あの部屋は、私のいる世界とは異なる異次元のようにすら思えた。
ボトラーが信念と情熱の結晶とも言える存在であることは、認めざる得ない。
だが、我々とは別の生き物と考えたい。同じ人間という種族とは思いたくないと思ったのが、
今回のインタビューを行った、私の正直な本音である。