クピピ
「奇跡のようなカードがここに実現しましたッッッ」
「ナナー・ミーゴvsアプルル」「姐さん盗賊vs手の院院長」「エロvsロリ」
「この対戦にこめられた期待は、実に想像を絶するものがあります!!!」
ミリー・ウォーリ(森の区タルガード)
「なんで僕が森の区でガードやってるか、わかる?」
他のガードたちA「えー」B「漢の道……みたいな」
――――ミリー・ウォーリに頭突きかまされるガードB。
ミリー・ウォーリ「アプルルたんのようになってみたかったんです。だから森の区で……。
あの人の生き方を見てると、ミスラに食べられるかもしれないっていう覚悟も、
女々しく思えちゃって」
ナナー・ミーゴ「大人の世界ってものを、教えてあげるわ」
カーディアン「ハジメィッッ」
ナナー・ミーゴ「!?」
――――試合開始と同時にいきなりのグラビデ。
ハエ・ジャッキヤ「やはりアジドマルジドの妹……魔道士かッ!」
クピピ「な、なんとグラビデなのです!!!
レジストグラビティを持つシーフであるナナー・ミーゴに、
なんといきなりのグラビデをやってのけましたのですーッ!!
恐るべし院長! 見た目はロリロリ、中身はポケポケ!」
アジド・マルジド「ふっ」
クピピピ「小さな身体で見下ろしているッッ、攻撃を加えようとしませんアプルル!
武器で攻撃を仕掛けません、魔道士の美学!!!」
ナナー・ミーゴ「魔道士の美学か、アハハハハ! 虫唾が走るわ。
あんたたち魔道士に比べなくても、あたしたちシーフは遥かにえげつない」
とにかくあんたは、最大にして最後のチャンスを失ったよ」
(この女の魔法センスは計り知れない。
アジド・マルジドと血を分けた兄妹という話……伊達じゃない!)
ナナー・ミーゴ「〜!!!」
――――無造作に魔法を唱えるアプルル。
ナナー・ミーゴ(な、何を考えてる? ここから単純に魔法を唱えるというのか……!)
――――ターゲットを外し、射程距離外に逃げようとするナナー・ミーゴ。だが。
ハエ・ジャッキヤ「グラビデが、効いているッ!」
――――アプルルのバインドがHit。
コーロ・ラコロ(スターオニオンズ(以下SO)団長)「ぜ、絶対回避ッ!」
――――とっさに発動させたナナー・ミーゴ。だが当然、魔法に絶対回避は無力。
ナナー・ミーゴ(か、回避が通用しないッッ)
クピピ「シーフの絶対回避が、アプルルの魔法の前に、あえなく砕け散ったのです!」
クピピ「さらに追撃、ブラインからバイオ、さらにパライズ――ッ!
かろうじてパライズはレジストできましたが、
魔法を受け続けるその姿に、盗賊ミスラの誇りはどこにも感じられないのです!
――――ナナー・ミーゴ、ここでとんずら開始。
クピピ「逃げたッッ! ナナー・ミーゴ、アプルルに対し明らかに背を向けましたのです!」
ナナー・ミーゴ(そう、負けるくらいなら逃げる。たとえどんなに惨めに見えても、
あたしの行動のベクトルは全て勝利に向けられている。
あと10秒……6、5、4、3、2、1……)
「タイムリミットだァッ!!」
コーロ・ラコロ「戦闘中に姿を消して、いきなり背後に現れて不意打ちッ!」
SO団員「そんなのありー!?」
ソロでの戦闘中に、相手の背後に回っての不意打ち。
この、時間の関係で相手のHPが回復してしまい、扱いづらい離れ技を使用する、
ある孤独なシーフ(釣り士)を作者は知る。本人の希望により名は伏せるが、
回線切断を利用することを条件に、この技は、実在する!!
ナナー・ミーゴ(あんたの見せた魔道士の美学、心より感謝する。
そして魔法にかける心意気、見損なっていたことを今ハッキリと認める!
しかし、勝ったのはあたしだ!)
――――大ダメージを受けたにもかかわらず立ちあがるアプルル。
ナナー・ミーゴ、ここで武器を構え……
コーロ・ラコロ「短剣の切り札、サイクロン!!」
SO団員「あんなの話できいたことしかなーい」
ナナー・ミーゴ(カ……カッタ━━━(゚∀゚)━━━!!!)
――――しかしアプルルも負けてはいない。手の院の魔道士に合図の視線を送る。
ナナー・ミーゴ「!!(゚∀゚)??」
バンッ!!(何かがナナーミーゴを弾き飛ばした音)
クピピ「さ、最新型カーディアン、10ofハート・アプルルカスタムなのですッ!」
ミーリ・ウォーリ「出たッ!」
クピピ「赤字につぐ赤字のなか、予算を度外視してつくられた最新型カーディアンの突撃。
単純にして強力!! 手の院院長のアプルルの権限を利用して、
はじめてできる作戦なのですッ!」
ナナー・ミーゴ(痛ァ……( ゚д゚)……)
クピピ「しかしアプルルのダメージも深刻なのなのですッ!」
ナナー・ミーゴ(思い上がってんじゃない、このチンピラ女)
(こんなの金銭感覚ゼロのぽけぽけ女に苦戦する才能なしが、
取り巻きにおだてられ、その気になり、いい気に名って姐さんなどと……)
(ナナーミーゴ、あんたなんかPT希望を出しても半日立ちんぼがザラな、
ただのミスラシーフなのよ)
ナナー・ミーゴ(その通り、ワカッてる、あたしはただの……)
「なめんなよッ、あたしはウィンダスを牛耳る盗賊ミスラだッ!」
ハエ・ジッャキヤ「あのカーディアンに正面から殴り合うつもりかッ!」
ナナー・ミーゴ「あんた達とは、あんた達とは……」
――――さらに10ofスペードまで持ちだし、追い討ちを掛けるアプルル。
ナナー・ミーゴ(死ぬか……死ぬか、ナナー・ミーゴ)
クピピ「もはやなす術なし!! 万策尽き果てたのです、ナナー・ミーゴッッ!!
シーフに最も適していると言われたミスラの最高レベルが、
この、気まぐれでカーディアンを作りつづける外見少女に、まるで通用しないッ!」
ナナー・ミーゴ(なるほどねェ。勝てないワケだ)
(なんか……理解ってきた……)
(この人は……金銭感覚がないんだ)
――――いかにも金がかかってそうな高性能カーディアンに攻めさせ、
マジックバーストを狙うアプルル。
ナナー・ミーゴ(あたしなんかのように……金のことなんか考えないもの)
(気付くのが……遅すぎるんだァ)
コーロ・ラコロ「ミーゴの姐さんッッ!」
ナナー・ミーゴ(!?)
――――ナナー・ミーゴに熱い視線を送るスターオニオンズ団の全員。
コーロ・ラコロ「こんな事したって、余程の気のいい人にしか誘われないんだけどさぁ……。
とりあえず、ワスプスティング100回ッ、構えッッ!!」
SO団員たち「エィッ!!」
コーロ・ラコロ「オリャッ!!」
SO団員たち「セリャッ!!」
コーロ・ラコロ「オリャッ!!」
ナナー・ミーゴ(いいシーフになれるさ……絶対に誰からも必要とされるシーフになれる……)
「こんなふうにっ!!」
――――不意打ちコンボでカーディアン2体を粉砕するナナー・ミーゴ。
ナナー・ミーゴ「アプルル……決着をつけよう」
ナナー・ミーゴ「アプルルという本物を相手に、戦力を隠す愚を思い知った。
あたしは地道にレベル上げることこそが、強者への道だと確信してた」
「だが世の中は広い。あんたのような女もいる」
「強くなるための努力自体を女々しい行為として、
カーディアンを作りつづける強烈な信念」
「一切の赤字に目をつぶり、性能のみを追求しつづけるその神経」
「金策能力=戦力のあたしと、まるで正反対。ほんとうに凄かった」
「今から使用するウェポンスキルは、野良カーディアン……
エースカーディアンに試すハズのものだった」
コーロ・ラコロ「……」ハエ・ジャッキヤ「……」ミリー・ウォーリ「……」
ナナー・ミーゴ「すなわち、そいつらを一撃で退けたアジド・マルジド!
あいつにたたき込むハズの技だったんだよ!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォッッ!!
ナナー・ミーゴ「いい音だろう」
コーロ・ラコロ「……拳が、見えない……」
ナナー・ミーゴ「不意打ちを利用し、必中の効果にDEXボーナスを加えてすべての拳を叩きこむ。
パッチがあてられた今、高レベルのシーフ/モンクのみがこの奇跡を生む」
「この最後の技をアプルル……あんたにこそ捧げたい!」
クピピ「格闘シーフの究極とも言える、ナナー・ミーゴ不意打ち乱撃ッッッ!!」
「それをも耐えきる気なのですか、アプルルッッ!!」
ナナー・ミーゴ「アプルル倒れろッ、もう勝負はついたんだッ!!」
クピピ「さらに不意打ち乱撃ィッ!」
――――何十という拳を受けても、立ちつづけるアプルル。
ナナー・ミーゴ「なにが……なにがあんたを支える……意地か? それとも院長の面子か?
「その信仰にも似た精神力に支えられたHPも、次の一撃で0だ」
「敗北を受け入れろ、アプルル。
ここまで戦っただけでも十分、一流のキャラだ。これ以上あたしに……!?」
アプルル「……たった一夜の……お守りで……一夜で稼ぐ……はずなのが……」
クピピ「あーっとアプルル、ここではじめて腕輪でガードしたのですッ!!」
――――そして……笑みさえこぼれるアプルル。しかしその笑みは……
クエスト名「伝説の大作戦」
赤字に悩む手の院の為に、お守り“無臭の腕輪”を作り、危険な夜も外を出歩く旅人に売って、
利益を得ようとした作戦。必要な素材は反魂樹の根、狼の毛皮、夜光布の3品。
いずれも夜間に出没するモンスターが持つアイテム。
だが、冒険者が夜間のモンスターを狩りつづけたおかげで、
お守りが不要になってしまったというオチがつき、以後「伝説の大作戦」と称し、
教訓として、現在も語り継がれることとなる。
たった一夜のお守りで 一夜で稼ぐはずなのが
旅の戦士が狩り尽くり たった一夜で売れ残り
50個100個と作っても 1個も売れぬ“お守り”が
とうに1000個を数えても されども売れぬ“お守り”が
とうに在庫は山になり バカ一代の“大作戦”
アプルル
――――乱撃を受けとめ、砕け散る無臭の腕輪。
穏やかな笑みを浮かべ、崩れ落ちるアプルル。
コーロ・ラコロ「……」 ハエ・ジャッキヤ「……」
ミリー・ウォーリ「……」 アジド・マルジド「……」
クピピ「勝負ありッッッ、なのですッッッ!!」
125 :
姐さん 対 妹 決着!:02/09/19 20:29 ID:+j//8B5M
――――退場後、通路にて。
コーロ・ラコロ「かっこよかったよ、盗賊ミスラッ!」
ナナー・ミーゴ「3度・・・・・・アプルルがあたしに勝つチャンス―――
少なくとも3度はあった。たった1度勝つために3度も負けたのよ」
コーロ・ラコロ「まッ、それでも勝ちは勝ちだよッ」
ナナー・ミーゴ「そんな心境には、とても。でも……あんたたちにはわからないだろうけど、
こういう正面きって戦うのもいいものね」
「なに今ごろそんなこと言ってるんだよー。
そんなことスターオニオンズ団は、みーんな知ってるんだぞ」
ナナー・ミーゴ「イヤ……今まで誰もそこまで、あたしを燃えさせなかったというか、
あんたなんかと違って……生粋のシーフだから」
コーロ・ラコロ「ふぅん……よっと」
――――アプルル・カーディアンに深手を負わされた尻尾をつかむ、コーロ・ラコロ。
ナナー・ミーゴ「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」