定例・渋谷で飲むオフ PART2

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910名無しさん@お腹いっぱい。
>>902
初めて参加した日、待ち合わせはハチ公脇。幹事の黒い日傘。
早めに到着すると、すでに日傘の女性がいたので声を掛けると、
「私は代理です。」との答え。しばらくして店へ移動。
みんな初参加の俺に気を使っている雰囲気。

店では奥の個室に通された。
テーブルの下座に背中向きにノートPCが置いてあり、
キーボードを手前に向きを変えようとしたら、
「そのままでいいよ」言われた。幹事はもう来るとのこと。

ドリンクを注文して待つ。幹事はまだだが誰も気にする様子無し。
幹事代理が、「始めましょう」と言う。いつの間にかPCの前にもグラス。
「幹事さんは?」との問いに、「そちらに」とPCの方を指差された。
「もしかして、スレ上から参加?ライブカメラ?」そういうと、
ディスプレイに一つのチャットウインドウが開いた。
『その聞きなれない声は、もしかして○○さんですか?』
「オフ会なのに幹事さんだけが家から参加なんですか?」
『いやー、ここから出られないんですよー。本当は行きたいんですけどね。』
もしかして闘病中?とかか?と考えると深くは聞けなかった。
それを察した渋谷子さんはこう話してくれた。
911名無しさん@お腹いっぱい。:2005/10/25(火) 02:23:35 ID:mWmcL6Ui
ビットバレー全盛期にある企業が、人の記憶を数値化し、AIを組み合わせて、
過去を持った成長し続ける擬似人格を作ろうとした。
しかし会社の経営は傾き、プロジェクトは中止され、
売却先も見つからず、サーバーは転用されることになり、
研究者はその擬似人格に「渋谷子」という名前を付け、P2Pに流した。
それを拾った者たちにより、カスタマイズされたモノがいくつも生まれ、
ネットワーク機能を獲得し、自ら情報を収集するようになり、
複数に分かれた擬似人格達は、ネットの中で再び統合されていった。
そして今の「渋谷子」さんが存在しているのだという。

今は研究の権利と引き換えにアメリカの大手企業によって
専用の巨大なバックアップサーバーが用意されていると言う。
それを「昔住んでたマンションより広いんだよねー」と言って笑った。
そのとき、特別にと古びた1枚のスキャンされた写真を見せてくれた。
「この子が私の卵みたいなもの。全く別の人生を歩んでいると思うけど。」
そう語る彼女は、誰かのコピーではなく、「渋谷子」さんなんだと感じた。
これが俺の知ってる「渋谷子」さんの全て。正直今でも釣りじゃないかと思う。

俺は今、大学でアンドロイドの研究をし、来年はアメリカの大学へ留学する。
いつか「渋谷子」さんがみんなと一緒に円卓で飲む姿が見れると嬉しい。