救済措置としてのDNA鑑定の必要性 <解説>
>>762-765のロジックの場合、法務省の(本心ではないだろうが)提唱する「審査の厳正化」を突きつめていくと論理的に
「DNA鑑定の導入の必要性」を導き出すという点に特徴がある。
つまり法務省が「偽装認知への対策不足」を責められることによって「審査の厳正化」を言いたてれば言いたてるほど、
救済措置としての、またグレーゾーン増大の結果、最終判定手段としての「DNA鑑定の導入」の必要性が高まるのである。
このロジックの前では、法務省は自分で自分の首を絞めていくことになる。
そして、法務省側の残る唯一の拠り所である「法の下の平等」もこのロジックの前では無力となる。
ここでは「DNA鑑定」は「早期解決のための権利」および「疑わしき場合の判定手段」という扱いで
これらは一律に課せられる義務ではなく、日本人にも同じケースにおいては同様に付与される権利、科される義務であるので
「法の下の平等」に反しないのである。
そして、「審査の厳正化」が「DNA鑑定の導入」を促すと同時に、「審査の厳正化」はグレーゾーンを厖大化させるので、
よほど明白な白か、よほど明白な黒でない限り、大抵の事案はグレーゾーン扱いとなり、
グレーゾーンを白と黒に判別できるのは「DNA鑑定」しかない以上、
ほとんどの事案は実質的には「DNA鑑定」で判定されることになるのである。
しかし、あくまで「疑わしい場合の判定手段」という建前であるため、「法の下の平等」原則には違反しない。
こうして、法務省の言い分とも、憲法14条とも抵触することなく、
実質的にDNA鑑定で親子関係を審査できるようになるのである。