西川一三『秘境西域八年の潜行』より
蒙古、西北のラマ間では、(中略)
米国は大東亜戦以来、「大鼻子(タービーズ)の金持ち国」 で少数の者に噂されているくらいのものだが、
「ジャガル」の名で仏の国として知られるインドや、
「オランオロス」あるいは「共産(コンチャ)」の名で「ラマをなくし、財産を没収する国だ」で知られているロシア、
それに日本(リーベン)あるいは、「ナランオロス」の名で、「戦争の強い国民」で知られている日本
の名は知らない者はないのである。
勿論、常に怨みと憎しみを抱いている中央(チュンヤン)あるいは「ケタト」と呼ばれているシナ
や、
「豚肉を喰わない邪教徒」として知られ回々(フイフイ)あるいは「カチ」と呼ばれている回教徒
の名は無論のことである。