千葉県身障者条例反対OFF-2

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237KAZU ◆lc/sgq.iN.
久々の書き込みが転載で申し訳ないのですが、それなりに意見がまとめられそうなのでこちらにも落としておきます。

千葉・障害者条例 その22 〜差別禁止条例よりも現実の福祉を〜
http://kazukazu.iza.ne.jp/blog/entry/163091/

これまで上げてきた記事で述べたように、当初「障害者にとって画期的な権利擁護条例」としての役割を期待されたはずのこの条例は、
実際には障害者および関係者からの主観に基づく「不利益と感じられる事案=差別的取り扱い」としてその訴えを吸い上げ、
差別と判断される事案には勧告をし、それ以外の実質的な解決に対しては調停などの民事手続きを紹介、あるいは斡旋するとともに
差別をされたと訴える側にのみ「訴訟費用の援助」をする、というこれだけの手続きしかありません。
では、これらの手続きはこの条例がなければ出来ないものなのでしょうか。

・・・実際には、既に法務省の人権擁護局に(程度の差は有れ)同様の手続きはあります。(以下法務省HPより)

人権を侵害されたら(人権侵害の被害を受けた方へ)http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken90.html

これらは対象を障害者に限定していないだけで、実際には広範な人権侵害とされる事案を被害の申告を受けた上で調査、
その是非を判断した上で救済のための措置を取る、というほぼ実際のこの障害者条例と同じ流れの手続きを取るようになっています。

無論、この制度そのものに瑕疵がないわけではなく、この制度やその背後にある思想を実際の法令として具体化した「人権擁護法案」は
種々の批判や具体的な反論を受けて国会への提出は見送られることになったわけですが・・・

重要なのは、「対象を障害者に限定していない」だけで既に同種の制度は法務省人権擁護局の事業の中に制度としてある、という事です。
この相談窓口は全国50の各法務局とそれぞれの支局にあり、なおかつそれ以外にも各地で人権相談の窓口として不定期で開催されています。

実際、千葉障害者条例においてはこれら既存の制度と本当にすり合わせを行ったうえで専門の相談窓口を設けると決定されたものなのでしょうか?

あるいは、この条例は福祉、医療、労働、教育など社会における八つの分野の不利益的取り扱いを差別として規定しておきながら
実際には「平等な取り扱いをしていても障害者にとっての実質的な平等が確保されていなければ」「差別としてなくすべきもの」として、
結果においても平等となるような責任を民間に課するために作られた条例なのではないでしょうか?
238KAZU ◆lc/sgq.iN. :2007/05/05(土) 00:33:01 ID:Goq7vKur
>>237 の続きです

千葉・障害者条例 その24 千葉県への提言〜障害保険特区〜
ttp://kazukazu.iza.ne.jp/blog/entry/164978/

千葉県の障害者条例について、現在の内容では法務省人権擁護局の
人権侵害申立制度と制度上の差異があまり無く、
これらが別個に存在することの意味は薄いのではないか、
むしろ障害者に対する「主観による不利益=障害者への差別」という認識を
定着させたいがための条例なのではないか、ということを前回のエントリーでお伝えしました。

今回は、では実際に障害のある人とどのように社会が共存していけばいいか、について
私見ながら考えてみたいと思います。
皆さんもご存知のように、障害には先天的なものと、後天的なものがあります。
これらについてはほぼ、自傷によって発生した障害などのよほど特殊な例を除いて、
自らそうなる事を望んでなったものではない事はわかってもらえるかと思います。

福祉、という観点において、こういったハンディを実際に負っている人のケアについては、
長らくその本人、もしくはその家族が直接的に負うものとされてきました。
それについては、これから私が述べることとひょっとしたら矛盾しているかのように思われる方がいるかもしれませんが、
そのこと自体はこれまでの方向性としては決して間違っていない、と私は考えます。

平成17年に成立した障害者自立支援法によって、障害者に対する公的な福祉サービスは、
その財政能力に応じた負担(これを応能負担といいます)を支払うことで皆が等しくサービスを受容できる体制から、
その福祉サービスにかかる費用の一割の定率負担を障害者本人に求める応益負担制度へと変わりました。
この事で、これまでの福祉制度において実質的には相当に低額で福祉サービスを受けられた人たちの間で混乱が見られたことも事実です。

厚生労働省の指針では、これらの福祉費用の負担については、
介護保険の費用負担を若年層にも拡大することで解決を図る方針でした。
ですが、現在は40〜64歳までの第2号被保険者と65歳以上の第1号被保険者が保険料を負担して、
高齢者向けの介護サービスの費用負担の9割に充てると言う現在の介護保険制度を、
その対象を障害者にも広げるから若年層にも応分の費用を負担してほしい、というこの制度改正は、
さすがに国会での議論には理解が得られず次回での制度改正には盛り込まれない方針で決着しています。

それはそうでしょう。40歳から64歳まで、これは25年ですか、それだけの間介護保険料を納めたので
その後の人生においては介護保険を利用できる、これは男性で78歳、女性では85歳になる
日本人の平均寿命から考えればある程度理解は出来ます。
しかし、それが20歳から保険料を徴収するとすればどうでしょうか。

20歳〜64歳、この間45年間、受給も受けられないサービスのための保険料を誰が納める気になると言うのでしょう?
厚生労働省はいうなれば国民年金の介護版だ、とでも言うつもりかもしれませんが、
あまりにも受給と納付のバランスが崩れていますし、
そもそも現役引退後の所得保障である国民年金とは最初から性格が違います。

むしろ、私はそれならばきちんと「自らが障害者になるかもしれない、という事へのリスクと不安を最初から折り込んだ、
そのための社会保障制度」として、言うなれば『障害保険制度』、とでもすべきものを
介護保険とは別枠で、議論して整備すべきなのではないかと考えます。