593 :
ヲチ:
私が都庁の展望台に着くと、既にそこは性という名の享楽の宴でした
一目見てアレが似顔絵オフの参加者だとわかったのです
数名の男子が、色鉛筆や筆やペンを握り締めて本能のままに動かしているのです
ある者は激しく貫くように
ある者は回転するかのようにしなやかに
ある者は上下左右に不規則に乱れるかのように
怒り、哀しみ、悦び、各々の感情をすべて絵筆に託しているのです
女子たちは、最初は絵筆の動きに圧倒され、身動きすら取れないままでいました
しかし次第に、染め上げられる羞恥心に恍惚の表情を浮かべはじめ、
やがて、絵筆から注がれた激しい感情の渦に巻き込まれてしまいます
絶叫をあげる者、痙攣を起こす者、中には自ら男性の絵筆を手に取り、誘導するかのように妖しくくねらせる者もいました
私は、人間の欲望と狂喜が入り乱れた世界を垣間見ました
あまりの熱気に足がすくみ、立入ることなく私はその場を辞しました
その後どのような展開で終局を迎えたのかは、もはやその場にいたもののみぞ知ることでしょう
否、あれだけの欲望を昇華させることのできる連中です
似顔絵オフは、まだ続いているのかもしれません