31 :
HIDEO ◆MerMUXO. :
『[新訂版]新トレーニング革命』(小山祐史 講談社 本体3107円)を
パラパラと読んだ。
武道の筋肉トレーニングの理論としては、非常に良いものだと思った。
ただし、この本の例で主に出てくるのは、マラソンや短距離走、野球なので、
そこらへんは、自分で応用しないといけない。
また、いままで、スポーツや武道において、いわゆる「ウェイトトレーニング」
とよばれるものの弊害がいわれてきたが、それは、ウェイトトレーニングの弊害
ではなくて、終動負荷トレーニングの弊害だということがわかった。
カバーや帯には、推薦者の名前がついているのだが、柔道の斉藤仁、マラソンの
宗兄弟など、ぼくでさへ知っている一流のメンバーばかりだ。
いまでは、一流選手は、マラソンでさへも、当たり前のようにウェイトトレーニ
ングを行っているのは、カバーの宗兄弟の言葉を読むまで知らなかった。
ウェイトトレーニングに興味がある武道家は、読んでも良い本ではないだろう
かと思う。
もっとも、体幹部を主に鍛えるというのと、初動に負荷をかける、稼動範囲を
考えるということ以外は、結構普通のウェイトトレーニングの本かもしれない。
32 :
HIDEO ◆MerMUXO. :01/11/27 00:29 ID:siXsZUZY
この本は、初動負荷理論の解説書だ。
初動負荷理論とは、動作の初動に主に負荷をかけ、終動には、負荷をかけない
ようにしてトレーニングする方法の優位性を示しその応用方法を説明する理論だ。
また、これとは、逆に動作の初動よりも終動に、負荷をかけるトレーニングを
終動負荷トレーニング(可変抵抗マシーン、油圧弾性マシン、チューブなど
がこれにあたる)といい、本の前半のほうで批判される。
また、初動負荷理論では、主に体幹部(胸、腹、背中)の筋肉を強化し、
それで間に合わなくなったときに、末端部(手足)の筋肉を鍛えていくとい
う風に体幹部の筋肉強化を重視する。
さらに、筋肉を鍛えるときには、関節の稼動範囲に注意するところも特徴で、
正しく練習すれば、練習後に、稼動範囲がせばまらないという。
33 :
HIDEO ◆MerMUXO. :01/11/27 00:30 ID:siXsZUZY
初動負荷理論の優位性は、いくつかの見地から説明される。それは、力学的、
解剖学的な見地と終動負荷トレーニングの欠点からだ。
力学的、解剖学的な見地では、人間の骨と筋のつきかたをテコとして考えた
場合、このテコは、力を出すには、不向きだが、高速に動かすには、有利な
テコになっていることが説明され、この身体の構造から、動作の初動で力
を出して加速していき、力より速さを出せるようなトレーニングをする
ことが、競技における実際の力になることが説明される。
これに関して、いくつか、体感的な説明があるが、初動で力を出して、
加速し、末端が高速に動くというのは、鞭のようなものを想像してもらえば、
わかると思う。
逆に、体幹部の筋肉が発達していないのに、手足ばかり鍛えて重くするのは、
回転モーメントを大きくすることになり、鉄下駄を履いて走るようになるよう
なものだという説明があった。
34 :
HIDEO ◆MerMUXO. :01/11/27 00:30 ID:siXsZUZY
終動負荷トレーニングの欠点は、人間の構造が上記であるため、スポーツ競技
もその構造に沿った筋肉の使い方(初動負荷的な使い方)をしているのに、そ
れを無視して筋肉トレーニングをすることによっておこる。
欠点を列挙すると
1.筋出力測定では、数値の向上が見られるのに、動きに結びつかない。あるいは、
スピードを失った。
2.筋肉は、獲得できたが、動きに結びつかない。あるいは、スピードを失った。
3.スピード・トレーニングが可能だと言われるマシーンでトレーニングを
行っているのに、実際動作でスピードが生まれない。
4身体が固くなった。各関節稼動域の縮小。
5鍛えているのに故障が耐えない。
6.末端部(いわゆる小手先)の動作が目立つようになった。
7.力がついたためか、強引な動作が目立つようになった。
8.怪我の後のリハビリを行った部位が痛む、また他の部位に痛みが発生した。
9.持久力が失われた。
10.疲れやすい。
まさに、武道家がいわゆるウェイトを否定するときの現象である。
ただ、これは、初動負荷理論によるトレーニングには、あてはまらない。