9 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:
つづき
さすがに怖かったが、
自分は「誰かいるんですか?」と声を出した。
・・・答えはない。
足音もピタリと止んでいる。
だが、このテントのすぐ近くに、何かがいることだけは
感覚的にわかる。
(こりゃやべぇな。)
何回か経験のある「ぞわっ」とした感じ。
だけどこのままというわけにもいかず確認してみることにする。
電気式のランタンの明かりを限界まであげ、テントの外に投げる。
ランタンは転がりながらも、周りを照らした。
テントの内部には外の石ころや草の陰が映った。
が、それだけ。人影は無い。
後ろに回りこんだか?とも思ったが、もうひとつのコールマンランタンに明かりをつけ
ナイフをにぎりテントから出てみた。
誰もいなかった。
ただ、テントの脇の石がひとつだけ濡れた面をさらけだしていた。