死を覚悟した瞬間

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73013日の金曜日(1)
657です。
やってしまいました。
>>715で「乞うご期待」なんて言ったのが良くなかったのか、
おいら自身が死にかけました。

金曜日に飲みに行った居酒屋で事件を起こしてしまいました。
まずは登場人物の紹介。

おいら:ADHDモード全開の能天気野郎。
N:製鉄所勤めのダイハード野郎。
I:おいらの命の恩人。ドキュソ野郎撲滅に燃える男。
K:NとI共通の友人(おいらは初対面)。発達した僧帽筋の持ち主。
ゆうちゃん:居酒屋の看板娘で短大生。見た目「Dカップの内田有紀」。
居酒屋の大将とおかみさん:ゆうちゃんと共に居酒屋の二・三階に居住。
おやじ×4:なぜか全員「毛沢東ハゲ」。
OL×3:顔と声ビビアン・スーそっくり+その他×2
カップル:デブ男+泣きボクロのある田中美佐子似(何でこんなデブと付き合ってんだ?)
専門学校生と思われ×5:声でけーし、やたらケータイ鳴らす鬱陶しい集団
その他大勢の皆さん:座敷席に約10人。多分職場の打ち上げ。
73113日の金曜日(2):2001/07/15(日) 03:52
そして現場の見取り図。
_______________________________________
|   レジ        ♀      ♂  ♂    |
入           ____     ____    |
           |カップル|   |おやじ |   |
口          |____|   |____|   |
|           ♂        ♂  ♂    |
|                            の
|  ♂  ♂     N  K    ビビアン      れ   厨房
|  ____     ____     ____    ん   &
| |専門  |   |    |   |OL  |   |   居住スペース
|♂|____|   |____|   |____|   |
|  ♂  ♂    オイラ   I     ♀  ♀    |
|                            |
|_________________________   |
|                         |  |
|  座        敷       席     |↓ |
|                         |WC|
|    その他大勢の皆様             |  |
73213日の金曜日(3):2001/07/15(日) 03:54

すみません。見取り図ずれちゃいました。

始まりは、ごく普通の一杯会。
ここはおいらの家から徒歩10分弱の行き付けの居酒屋。
ゆうちゃん「いらっしゃ〜い。約束どおり来てくれたんですね。」
(数日前コンビニでバッタリ会い、「また飲みに来てくださいね。約束ですよ。」
と言われて、おいらは本日の飲み会会場をここに決めた。
ゆうちゃんは決して媚を売るような口調、態度の子ではない。)
入店してきたおいら4人は全員180センチを超える大男。
しかもおいら以外は「筋肉ダルマ(ホントに↓そっくり)」なので、
http://www.netbugs.ne.jp/~ryoshida/training/kinnikuzu/kinnikuzu.htm
デカイ声で騒いでいた専門学校生どもはビビッらしく、急に静かになった。
カップル・おやじ・OLも、ほぼ同様の反応。
いつものことなので悠然と席につき、早速次々と注文。

Iより大柄で鋭い目つきのKだったが、趣味がおいら達と全く同じ
(クルマとプラモ、そしてハムスター大好き)だと聞いていたので、
4人ともそんな話題で盛り上がっていた。
おいらはともかく、容姿からは想像できないギャップの大きさに、
緊張が解けたのか、専門学校生どもは再び騒ぎ出し、
OL(特にビビアン)、田中美佐子は興味を持ったのか
相槌打ったり、おいら達の冗談で笑ったりしてた。
デブ男はヘソを曲げたらしく、やたら煙草を吸う。
おやじ団は決してこっちを見ようとせず黙々と串焼きを食ってる。
73313日の金曜日(4):2001/07/15(日) 03:55
そんなこんなで約1時間半経過。
テーブル席はメンバー変らず。
デブは相変わらず煙突状態。
専門軍団は騒ぎ疲れてメール打ってる。
おやじ団は巨人対広島観戦中。
襖の向う側も盛り上がってるみたい。
Vサインしたり手を振ったりすると、笑顔で手を振ってくれるビビアン&美佐子。
左の専門軍団は鬱陶しいが、絶好のポジション。
ゆうちゃんも、おいら達と一緒にハムスターの話。
しかも店からの差し入れが運ばれてきた(刺身+鳥串+唐揚げ盛り合わせ)。
幸せなひとときである。
おいらは悲劇が迫っている事なんか予想だにせず、
ゆうちゃんとのおしゃべりを楽しんでいた。

ここまでに飲み干したアルコールは
N、I、Kとも生大×8以上、おいらも生中×5+酎ハイ×4。
そしておびただしい数の皿。4人ともほろ酔い加減。
N「そろそろビールおかわりするか。」
I「うむ」
K「おう」
ゆうちゃん「空いたジョッキ片付けまぁす。」と厨房へ。
「おいらも酎ハイおかわり」と、
グラスに残っていた生レモン酎ハイを空けようと、
おいらはグラスを傾けた。
73413日の金曜日(5):2001/07/15(日) 03:56
悲劇は突然襲ってきた。
一気に飲み干そうとグラスをあおった、ここまでは普通。
しかし角度と速度が少し急だった。
アッと異変に気付いたおいら、ここからの映像はスローモーションで見えた。
まず大部分の生レモン酎ハイ+レモンの粒々が鼻の穴と目に。
そして残りと氷がおいらの口腔の奥、気管支の入口へと殺到していった。
当然のごとく反射運動が起こる。

「ごばあっ!」(本当にこう聞こえました。)
と氷、酎ハイ、唾液を吐き出したおいら。
「まるで火山噴火みたいだった」(K談)
そして吐き出された氷はさながら散弾銃の弾丸の様に
正面に座るNに大半が命中した。
流れ弾がデブの後頭部と背中に命中。
デブ、ビックリして煙草を落とした。
この辺りから通常速度。
激しく咳き込むおいら。息継ぎもせず連続して咳き込み、
肺の中の空気を搾り出す。そして大きく息を吸いこむ。
再び激しく咳き込む。これを何度も繰り返した。
そのうち脚に力が入らなくなって椅子からずり落ち、
四つん這いになってさらに咳き込んだ。
この状態がどの位続いたのだろう。「おいらこのまま死ぬんかな」
そんな思いが頭をよぎるほど苦しかった。
73513日の金曜日(6):2001/07/15(日) 03:57
暫くすると、ほんの少し楽になったので咳き込みながらも周囲を見た。
涙と鼻水と涎まみれの顔で。
氷+酎ハイ+唾液を浴び、酔いと怒りで赤黒い顔をしているN。
ただひたすらゲラゲラ笑っているK。
笑うべきか、このまま堪えるべきか、という様な困った顔をしているI。
ゆうちゃん以外の女達は、何か汚いものを見ている目付きと表情。
オヤジ団と専門軍団は突然の出来事に呆けている。
デブは落とした煙草が股間に落ちたらしく、意味不明の悲鳴をあげている。
異変に気付いた座敷席の客達が、何事かと座敷の上がり口に集まってきている。

ゆうちゃん、大将、おかみさんがタオルと雑巾、バケツを持ってきた。
誰に対して、という訳でなく何度も謝罪しながら、おいらはタオルで顔を拭き、
「いいから、いいから」と言う大将から雑巾をもぎ取って床を拭いた。
おかみさんは数枚のタオルをNに渡し、そしてテーブルを拭いたりデブに何か言っている。
ゆうちゃんは床を拭いている。時々心配そうにこちらを見ながら。
床を拭きながらこの光景を見ていたおいらは、だんだん泣きそうになってきた。
申し訳なさと恥ずかしさで一杯になったおいらは、
ただ謝罪の言葉を繰り返しながら床掃除をする事しか頭に無かった。
そして...
73613日の金曜日(7):2001/07/15(日) 03:57
第二の悲劇がおいらを襲った。
「ぐわっしゃぁん!」
大音響が店内に轟いた。
おいらが後頭部でテーブルを強打したのだ。
「皿も食い物もみんな、数センチ飛び上がった」(I談)
暫く間をあけて、おいら以外の全員が一斉に大爆笑。、
何もテーブルから落ちなかったのが不幸中の幸いだった。
でも。
NもIもKも、大将もおかみさんもみんな笑ってる。
ゆうちゃんも涙を流して笑ってる。
他の女達、専門軍団は脚をバタつかせ、テーブルを叩いて笑ってる。
デブは屈折した、歪んだ笑い。
(打ちこみながら思い出して、メチャクチャムカついてきた)
オヤジ団、おいらを指差し腹を抱えて笑ってる。
座敷では転げ回って笑ってる奴がいる。
顔が熱くなった。
おいらは「顔から火が出る」と言う表現を、身をもって経験した。

約30分後、店内はようやく平静を取り戻しつつあった。
腹筋が痛いとヒーヒー言っている奴数名。
とにかく、この場を立ち去りたかったおいら。
おごってもらう予定だったが、急遽全額おいらが支払った。
三万八千円也。端数サービス。
痛い出費だ。これも悲劇といえば悲劇か。
ゆうちゃん「苦しかったでしょう?頭大丈夫ですか?あまり気にしないで、また来てくださいね」
優しい言葉においらの目頭は熱くなった。
そして憐憫の眼差しで見つめられ、胸が苦しくなった。
おいら達は店を出た。
そして。
73713日の金曜日(8):2001/07/15(日) 03:58
第三の悲劇。
店からほんの数メートルのところ。
激しく打ちひしがれていたおいらは、普段なら何でもない
路面の起伏につまづき、無様にバランスを崩した。
反射的に両手で体を支えようとした。
がり。イヤな音がした。
放置されボロボロになった野立て看板の釘が、
おいらの右親指に鍵裂きを作った。
第一間接から第二間接あたりまで、約5センチの傷口。
出血。後から後からダラダラと溢れ出てくる感じ。
「弱り目に祟り目」、「泣き面に蜂」とはこの事か。

おいらの情けない悲鳴を聞いたゆうちゃんが店を飛び出してきた。
状況をすぐ理解し、救急箱を持ってきてくれて応急手当。
おいら、もうボロボロ。最低最悪。
ゆうちゃんも無言だった。
ゆうちゃんにどんな言葉で礼を言ったのか、
どこを通って家に帰ったのか、あまりよく覚えていない。
思い出したくもない。
おいらの部屋に戻った4人。しばし無言。
そして。
73813日の金曜日(9):2001/07/15(日) 03:59
第四の悲劇。
おいらの家で生まれ、家族に愛想を振り撒いていた我が家のアイドル、
ジャンガリアンハムスター(♀)が天に召されていた。
享年二年六ヶ月。死因は多分老衰。
我慢していた涙がぽろぽろとこぼれおちてきた。
おいらにTシャツを汚されたNが、無言でおいらの肩に手を置いた。
庭に遺骸を埋め、合掌するハムスター好きの大男四人。
第三者が見たら滑稽な光景だったかもしれない。
でもおいら達には自然に感じた。

その後、Kがいろいろバカ話や下ネタなどで笑わせてくれた。
少し気分がすっきりしました。
内容は全然覚えていません。でも、Kの心遣いに感謝。
Nには、この顛末の一部始終を2chで公開する事を条件に許してもらえた。
お気に入りのTシャツをシミだらけにして、おまけに恥を掻かせたんだから当然といえば当然。
怪我のせいでキータッチが遅く、公開予定時刻より半日遅れました。
また、一部始終を書いたため長・長・長文になってしまいました。

本当に申し訳ありません。以上で終了です。