死を覚悟した瞬間

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126>>89 同じ思い
夜、豪雨の東名高速を走っていたとき、前を走っているトラックが
あまりに遅いので、抜かそうと右車線に移った。
ところが、横に並びかけるとそのトラックのはね上げる水しぶきが
襲ってくるので、抜かせない。
ふいに、前方に水しぶきにかすむ別のトラックのテールランプが見え、
左車線に戻ろうとバックミラーを見ると、さらに別のトラックがすぐ
後ろに迫ってくる。
しかたなく少しスピードを上げた途端、前方と横のトラックから猛烈
な水しぶきがフロントと左サイドガラスに降り注ぎ、まったく外が見え
なくなってしまった。
たぶん無意識にブレーキを軽く踏んだのだろう。
テールが滑り急に目の前に分離帯が現われ、すぐに逆ハンを切った。
その瞬間!...... 世界が2回転半した。
よくは覚えていない。後ろでドスンと音がして、気がつくと走行方向と
反対向きになり、道路左側に張ってあるワイヤーに車の後部右側がぶつ
かり、止まっていた。
一瞬の無色無音の時が過ぎ、後ろを走っていたであろうトラックが、
夜間灯のオレンジが染める夜の景色を切り裂き、クラクションを鳴らし
ながら、目の前を走り去っていった。

何事もなかったがごとき静かな雨の高速道路を呆然と眺めつ、
自分が死なず、何も壊さず、誰も殺さなかった僥倖に感謝した。