山梨ってどこよ?の怖い話

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500491
しかし僕らがそれをトラックだと認識していたのはほんの数秒でした
坂を登り終わって僕らの横を通り過ぎようとしたときに
いっぺんに視界が開けたように車内が生々しく目に飛び込んできました。

それは、今まで暗かった車内が、僕らの横を通り過ぎる瞬間に
いっせいにライトアップされたような感じでした。
 “奇妙なバスだな”
そのとき感じた感情はそのくらいのものでした。
薄ぼんやりしているとはいえフロントウィンドウ越しに見えるであろうはずの、
明るいブルーのライトが天井に5〜6個・・
しかしそれ以上に奇妙だったのは
窓のところについているプライベートライト(窓枠の所についている補助灯?)でした。

それは、人間が見続けていたら気が変になってしまうようなほどの、
なんとも言いがたい鮮烈な“赤”だったのです。

その赤いライトの照らされた乗員は大型バスにもかかわらずまばらで
前のほうに何人かの男の人が、
中ほどに一人の女性とその後ろに10歳前後の子供
(性別までは意識してみていませんでした)
後ろのほうにまた何人かの赤く染められた人影を映していました。

その全員が僕ら(僕)のほうをうつむきぎみに
(もちろんバスから見下ろされているわけですから)
誰一人眠ることなく見つめていました。