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僕の一緒にいた友人の一人がいきなり走り出しました。
多分恐怖心とこの奇妙な違和感を払拭したかったのだと思います。
彼はふざけながら目の前にある氷柱を素手で叩き割ってしまったのです。
氷は鈍い音と共に地面で粉々に砕け散りました。
その瞬間、今まで僕と一緒に歩いていた奴と氷を叩き割った奴が
無言でその場から全力で走り出しました。
僕は訳が分からず彼らを夢中で追いかけました。
走りながら『どうしたんだ?』と聞いた所
彼らは『下!』『下を見ろ!』と叫んでいました。
僕はすぐに彼らの差す氷の割れ落ちた場所に目をやりました。
そこには花束が添えてありました。
その場所が車にはねられた事故の現場だったのです。
・・続く。