「新耳袋」と「超怖い話」の内容について語るスレ

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50「親切心」
芹沢さんの友達の話である。
彼女の友達は旅行代理店に勤めているが、臨時で添乗員を任せられるほどバイタリ
ティに富んだ女性であった。そんな彼女が尾瀬に添乗に行って自宅に戻ったときの
ことである。彼女は駒沢公園にほど近いマンションに一人暮らしをしていた。
「夜の7時くらいかしら、会社で書類整理もしたもんだからクタクタになってドア
を開けたのよ。あの一週間のことは今でも忘れないわ。小さな玄関に荷物を投げ出
して、ジョギングシューズに手を掛けたら、後ろでドアがバタンと閉まったのね。
そしたらね」
トイレ兼ユニットバスのドアがスーッと閉まったそうである。
「あれっ?と思って、靴と荷物を奥の部屋に運んでから、ユニットのドアを開けた
のよ」男がいたそうである。
1メートル80ほどの背の高い男が真っ白な顔で彼女を睨んでいたのだ。その距離
は40センチほど、男の手にした柳刃包丁がブルブルと彼女の胸元で震えていたと
いう。灰色の作業服にボサボサの髪、目はつり上がっていた。