426 :
タケニツル:
笑っていました。
精神を病んでいる様な笑い方でした。
でも声は全く聞こえず、相変わらず静まりかえっていました。
エレベーターの扉はオーナーの為に時間設定を変えてあり
通常より閉まる時間が遅くなっていました。
身体が動かずボタンも押せない。視線も顔から外せない..
数十秒後に扉が閉まるまで、ずぅっと狂った様に
笑い続けていました。
私は逃げるように家に帰りました。途中、鍵を返すために
親戚の家にも寄りましたが、何も話せませんでした。
今まで音が聞こえない恐怖に怯えていましたが、
もしあの時、笑い声が聞こえていたら...