●都市伝説について、色々調べてみた。

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484名無しさん@お腹いっぱい。
オレたちが中学生のころの話だぜ。

  小学校5年生ぐらいのころから、ヨシミが学校に来なくなった。
  別にイジメてたわけじゃないし、登校拒否とも少し違う。
  単純に学校に行くのがイヤだったんだろう。遊んでたいらしい。
  学校に来ないってだけで、いつも一緒に遊んでたからな。

  が、クラスのみんなは当然心配する。
  なんせ、ほとんど学校こなかったのよ。
  困り果てた担任の先生にたのまれて、
  オレたちはヨシミの家に行った。

  ヨシミは転校生だったので、家は田舎ではめずらしくアパートだった。

  部屋にいくとヨシミはファミコンで遊んでいた。

 「なぁ。ヨシミ。ほんまオマエ学校来いや。みんな心配しとるし」

 「うん」

  プーヤンを遊びながらめんどくさそうに答える。
  およそ真面目に聞いてるとは思えない。

 「なんで学校来んねん?」

 「行く。行くって。明日」

 「ほんまか?」

 「ほんま。ほんま」

  同じ会話をもう数え切れないくらいくりかえした。
  これでヨシミを説得するのは7回目くらいだろうか。
  もちろん次の日も、その次の日もヨシミは学校に来ないのだが、
  今日はマサが切り札を持っていた。

 「ヨシミ。ほんま学校来るんやな?」

 「うん」

 「オマエ行く行くって言うて、いっつも来んやろ」

 「明日はいく」

 「絶対やな。男と男の約束やぞ!」

  カッコイイ。マサは昔から男気にあふれていた。

 「うん。約束や!」

  オレたちは安心した。
  子供心にも「男と男の約束」の重みを感じていた。
  ヨシミも改心したらしく、

 「ほんま、いままで迷惑かけてゴメンな」

  と、しきりにあやまるので、照れ隠しに、

 「ええって。気にすんなって。オレらただヨシミと学校で遊びたいだけや」

  なんて、オレたちの友情を確かめあった。
  その後、夜までヨシミの家で遊んで帰った。

  次の日ヨシミは来なかった。

485名無しさん@お腹いっぱい。:2000/08/06(日) 10:54
ヨシミを登校させるのをあきらめたオレたちだったが、
  いっしょに遊びはしてたし、朝は、いちおう学校に誘いつづけてた。

  ある日オレたちは海で花火をしていた。
  ヨシミは不参加。ヤツはルックスがよかったのでデートだった。
  たしか「小猫物語」だったはず。
  前の夜遊んだときにニヤニヤ自慢してた。

  昼間の花火だったので、
  「プロペラ」とか「パラシュート」とかがメインだったのだが、
  煙玉ってのがあるのよ。色のついた煙りがモクモクでるヤツ。
  地方によっては煙幕らしいが、
  これがつまんない花火で全然不人気だったのだが、

  オレッチが、

 「昼やったら面白いかも」

  って言って買ったのだが、
  昼やっても全然面白くなかった。ヘビ花火よかつまんねぇ。
  最初1個だけやって、あとはやらなかったんだけど、

  夕方になって面白いのはなくなって、煙玉だけがゴロゴロ残ってた。
  今日の花火はもう終わりかと思ってたころに、
  マサが、

 「ヨシミんちに煙玉いれてみねぇ?」

  と言いだした。ドアポストに叩き込むつもりらしい。
  オレたちは、それはヤりすぎだと反対したが、
  話し合いの結果、

 「1個ならいいだろう」

  ってことに決定した。

  で、煙玉をにぎりしめて、ヨシミんちに直行。
  煙玉に火を点火し、ドアポストをガシャッと開く。
  オレたちは大きく息を吸い込んで、

 「ヨシミィッ!」

  と大声で叫んでから、煙玉を投げ入れた。
  ドアのむこうから、

 「ヨシミぃ。なんか入ってきたで」

  間の抜けたヨシミのオカンの声と、

 「えー。なに? あ! 煙玉や! 大変や!」

  オレたちの期待したとおりの声が反応がかえってくる。
  いや、期待以上にオモロかった。

 「ヨシミぃ。水や! 水!」

 「あかん! スリッパで叩くんや!」

  パシパシッ! パシパシッ!

  
486名無しさん@お腹いっぱい。:2000/08/06(日) 10:54
マンガじゃねぇんだからよ。
  オレたちは階段の踊り場で爆笑していたのだが、ソッコー海に戻った。
  1個でこのオモロさならば、もっと入れたらもっとオモロい!

  とりあえず、煙玉を3個もってヨシミの家まで戻ってきた。
  さっきの煙玉はすっかり鎮火したらしく、
  ヨシミの家は静まりかえっていた。
  この後のことを想像して、すでに笑いが止まんねぇ。

  煙玉に順番に火を付けて、ドアポストを開く。
  つうかこの時点ですでに煙たかった。さすが3個。
  オレたちはまた、

 「ヨシミぃっ!」

  と叫んで、ポイポイポイっと投げ入れた。

 「ヨシミぃ。また、なんか入ってきたでぇ」

  「また」じゃねぇよ。緊張感のかけらもかんじられないオカンの声。
  さっきモクモク煙をだした玉が危険であることを忘れたらしい。

 「あ! 3個も入ってきた! 大変や!」

  またしてもヨシミのコミックチックな反応に爆笑するオレたち。

 「ヨシミぃ。煙いわぁ。なんとかしてぇ」

 「あかん。煙でなんも見えん。ゴホゴホ」

  オレたちが思っていた以上に煙玉の威力はすごいらしい。
  しばらくヨシミとオカンはバタバタ大騒ぎしていたのだが、
  そのうち声が遠くなった。
  アパートの外に出てみると、
  窓から赤とか青とかの混じった汚い煙がモクモク出てて、
  二つの顔がゲホゲホやっていた。

 「たすけてー! たすけてー!」

  と、叫ぶのがまたおもしろくてオレたちは腹をかかえて爆笑していたのだが、
  そのうちサイレンの音とともに消防車が来てしまった。
  あとで知ることになるのだが、煙玉が靴に引火して火事になるとこだったらしい。
  さいわいボヤですんで消火活動も終わりを告げたとき、
  オレたちはポリの前で事情聴取みたいなのをうけていた。

  親が泣きながらしきりにあやまっていた。
  それを遠目に見ながらパーカーに乗せられるオレたち。
  その後はマジ説教くらって、指紋をとられるお決まりパターン。

  オレたちに罪の意識はなかった。
  ただオモシロイことをやってみたかっただけなのに。こんなことになるなんて。
  ショックをうけたオレたちは、次の日ヨシミを呼びだした。

 「なんでポリに通報したんだよ。シャレになんねぇだろうが!」

  と、せまったところ、

 「ゴメン。オレはやめとけって言ったんだけど、オカンが勝手に・・・」

  ヨシミの反応はオモシロかったが、笑えなかった。
  当時、中3だったオレたちは、このとき、マジ高校あきらめたね。
  きっとこんな事件を起こした生徒はどこも入学させてくれないだろうと。
  新聞にものっちゃったし。定時制とか考えたもん。