夢だか現実だか思い返して区別がつかない

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12あなたのうしろに名無しさんが・・・

荘周は夢の中で一匹の胡蝶になっていた。

 いつのことだったか、荘周、つまりこの私は、夢の中で一匹の胡蝶になっていた。
ひらひらと空を舞う胡蝶である。心ゆくばかり空に遊んで、自分が荘周であることも、
もはや忘れはてていた。
ところが、ふと目覚めてみれば、まぎれもなく私自身。荘周以外のなにものでもない。
いったい、荘周が夢で胡蝶になったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となった
のであろうか。
世間の常識に従えば、荘周と胡蝶とはたしかに別物である。
だが、「物化」−すなわち生々流転してやまない実在の世界においては、夢もまた現実
であり、現実もまた夢である。
荘周もまた胡蝶であり、胡蝶もまた荘周であって、そこになんらの区別もない。)