じわじわ来る怖い話39じわ目

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503本当にあった怖い名無し@転載は禁止
Aは俗にいうブラック企業と呼ばれる会社に勤めていた。
口ぐせのように「やめたいやめたい」と言っていたが、
怖い先輩の口利きで入ったため簡単にやめれなかった。
いつものように午前様の帰宅をすると、両親はすでに就寝中、食卓には一人分の晩御飯が並べられていた。
そこへ兄が二階から降りてきて、「よう、おかえり。社畜様」
皮肉しか言えないこのニートをAは兄とは思っていなかった。
くさい雑音が聞こえる中、ふとカレンダーに目をやると、赤い丸のついた日があった。
「あと2日出れば1ヶ月ぶりの休みだ…」そう呟くと、Aは少しだけ疲労が取れた。
しかし横にいたニートが「俺は365日休みだけどなwww 」
取れた疲労が100倍になって返ってきた気がした。
いつもなら聞き流す程度の煽りだったが、この時のAは心のバランスを失っていた。
目に飛び込んできた台所の包丁、それがいつの間にか右手に握られていた。
「働け!このクソ野郎ーーー!!!」
Aはそう叫ぶと迷わず、兄めがけて包丁を降り下ろした。
しかし男の力には敵わず、逆に包丁を取られ揉みくちゃに争っている内に、包丁はAの背中に深く刺さってしまった。
一命は取りとめたものの、脊髄を損傷してしまったAは一生車椅子の生活を余儀なくされた。

半年後、役所の手続きを済ませたAは通院先の病院の待合室で、あるニュースを目撃した。
それは兄が殺人未遂の罪で懲役10年の刑に決まったというものだった。