1 :
本当にあった怖い名無し:
風俗と2次元行ったり来たりしてた俺にも彼女ができたので、明日デートに行く前に黒歴史を暴露しておきたい。
2 :
本当にあった怖い名無し:2013/09/21(土) 01:53:18.62 ID:toHhHbKy0
なんだ?
あ。
スーパー霊能者とか幽霊とか出てこないけど俺的にはオカルト話かなと思ったのでオカ板に立てたんだけど
今個人スレ禁止なの気付かなかった(´・ω・`)
どうしよう。
俺の後で誰かオカルトな黒歴史告白したい人いればいいんだが…
>>2
ありがとう1人でも聞いてくれたら懺悔になると思うんだ。
超長文だけどごめん。
まだ出会い系とかが無かった頃の話。
俺はテレクラとソープに通い詰め、結果ソープ嬢にストーカーされてとにかく酷い目にあっていた。
仕事も無くて、地元から遠い静岡の田舎に勤めた俺は友達も居らず、会社にも警察にも相手にされず、むしろお前が何かしたんだろとか責められて精神的にボロボロだった。
家に帰るとすぐに電話が鳴り続ける。
郵便受けには赤いボールペンとかで書かれた手紙、どこで調べたか分からない実家の名前で送られてくる彼女からの荷物などなど。
今ならきっとストーカー何とか法でどうにかしてくれるかもしれないが、その頃はストーカーされるのは女の方で、俺みたいな冴えないぼっちがしかも風俗の女に追い回されてるなんて話は誰もまともに聞いてくれない事だった。
そんな訳で俺は家には帰る気がしなくなり、テレクラで夜を明かす内、そこで清掃や受付のバイトをしているSと出会った。
6 :
本当にあった怖い名無し:2013/09/21(土) 01:56:20.62 ID:toHhHbKy0
続けてくれ
Sはテレクラの受付や個室の清掃なんかをしつつ、時々経費で買って来たうろつき童子や淫獣学園なんかを店内ビデオに紛れ込ませるバイトテロ行為に執念を燃やす貧乏なオタク学生だった。
その頃俺は現実から逃避したくて、2次元に興味を持ち始めてたものだから、2次元オタのSに飯をご馳走したりしてテレクラの個室や近所のケンタで2次元談義に花を咲かせる。その瞬間だけは楽しかった。
しかし、そんな楽しい時間も長く続くはずが無い。
ある日いつものようにテレクラへ行くと、Sではない店員から俺を訪ねて女が来たと聞かされた。
その風貌は間違いなく彼女のもので、俺はその場で情けなくも泣き崩れてしまった。
店員が俺をとりあえず部屋まで連れて行ってくれ、しばらくそこで休んでいると心配そうにSがやって来た。
店先で体調を崩したという事になっていたらしく、冷たいポカリを差し入れてくれた。
少し時間があるというので、俺は始めてSにストーカーの事を打ち明けた。
帰宅時間スレスレの電話。血を模した手紙。実家の住所や両親の名前まで調べられているという追い詰めらた感じ。
そういうものをテレクラの狭い部屋で泣きながらSに訴えた。
Sは黙って話を聞いてくれた後、週末の金曜で良ければ俺の家来てくれるという。
電話番号を交換し、俺は久々にまともに話を聞いてもらえた喜びとSの頼もしさに惚れそうだった。
金曜までは会社に泊まった。
普通の会社だったから仮眠室も風呂も無いけど守衛さんはいるし、常に夜勤の人が居たので安心だったし、何よりSが解決しようと言い出してくれた事が嬉しくて、久々に前向きな気持ちになれた気がした。
日中、会社の車で一応家まで向かい、周囲に人気が無いのを確認した後、隣の家にお詫びの饅頭を持っていく。
彼女は2日と置かず深夜になると俺の家に来て、周囲をグルグル徘徊したり、ドアノブを壊れる程ガチャガチャ回したり、「でてこい」と深夜に叫び続けるといった迷惑行為を繰り返していた。
本来なら追い出されてしまうのだろうが、俺の家は会社が用意してくれたものなのでその心配は無いらしい。
その変わりにせめて…という事で菓子折りを持って謝りに行き、俺は悪くない事をアピールしていた。
9 :
ミノムシ ◆WIIEP92EG2 :2013/09/21(土) 02:02:35.91 ID:TWJhG34rO
ストーカーこえぇ
そして金曜、Sは結構気軽な感じにやってきた。
何か武器とかそういう物を用意した方がいいのじゃないかと提案してみたのだが、
女ストーカーに危害を与えるのは逆効果となってしまうのでそういう事はしない方がいいと説得された。
とにかく俺達は久々の実家に戻り、車は念のため普段と違う駐車場に止め、玄関を開けた。
ドアには所々凹みがあって、彼女がやったんだろうと思うと気が重くなったが、Sがそれを使い捨てカメラで撮影し、
ストーカーじゃなく器物破損とかで別件アタックもできるんじゃないかと言い出したので、それまで悩みの種でしかなかった彼女の痕跡の数々を探し出すのが段々楽しくなってきた。
明るい間、家の周りの彼女が立っていた辺りを確認し、日が暮れてくるとカップ麺を啜りながら、これまで開けていなかった手紙の類にも着手し始めた。
1人で読むのは気が滅入ったが、Sが「殺すとか、直接的な言葉が書いてあるのがあれば脅迫だから」
と冷静な事を言ってくれるので、気味の悪い手紙も淡々と読み返す事ができた。
その時電話が鳴り始めたが、俺は一度目を無視してやった。
今まではベルの音に耐え切れず、ついつい受話器を取ってしまっていたのだが、
今日は無視できる俺すげぇって所をSに見せたかったから。
するとそれまで奥の部屋で荷物を開封していたSが、「発信先が知りたいから、
短くてもいいから回線繋いで」と言い出したので、結局俺は彼女と電話で話をする事になってしまった。
彼女は感情の無い低めの声で「今誰と一緒にいるの」と聞いてきた。
やっぱり近くで俺を監視してるんだと思った俺は
「恋人だよ! だからお前と結婚するとかありえないから! 迷惑だからもう電話とか手紙とか全部止めろ!!」
と叫んでしまった。
普段怒鳴ったりなんか絶対できなかったのに、何故かその時は物凄く気が大きくなっていたのか、生まれて初めてくらいの大声が出た。
それに彼女も驚いたのか、電話の向こうで泣いているようだったので、俺は更に興奮し、彼女の事を罵倒し続けた。
後ろからSが俺を制止する声が聞こえたけどそんなのは無視した。
無理矢理受話器を取ろうとする手も振り払い、電話の向こうの彼女に向かって迷惑だとか、消えろとか、死ねとかそんな酷い事も言ってしまった。
Sが用意してくれたレコーダーは、彼女の声じゃなくて俺の罵倒を録音していた。
耐えられなくなったらしい彼女が電話を切っても、俺はしばらく受話器を持って呆然としてた。
これまでずっと彼女に振り回されっぱなしだったから、その鬱憤が一気に爆発したんだと思う。
そしてその後でどうして良いのか分からなくなった。
恐る恐る振り返ると、Sが怒ったような顔で俺を見ていた。
何か言い訳をしなくちゃと俺がまごまごしている内に、Sはまた次の箱を開けながら
「しょうがないよ。そんだけ追い詰められてたって思うから」と溜息交じりに呟いた。
それから俺を見ないまま
「だけどさ、それは彼女も同じだと思うよ」とどっちの味方か分からない事を言い出した。
「こんな事をしようと思っちゃうのは病気なんだよね。本当はもっと早くに誰かが受け止めてあげるとか、病院行くとかしないとさ、取り返しつかなくなっちゃうんだよ…」
そんなのは詭弁だと思ったが、とにかく今Sに帰られては困るので、殊勝な顔をしておいた。
この時はSの言う事にこれっぽっちも同意なんかできなかった。
ストーカーに追い掛け回された事の無いやつが分かったような事言うなって思ってた。
ガキの癖に…って。
続きはよ
支援
その後、NTTに電話して直前の電話の発信先を確認。
それから有料ではあるが、通話明細のようなものも発行してくれる事にもなった。
電話の後は色んな事が順調で、日付も変わるかどうかって時間になった頃、Sが翌朝バイトもあるし帰ると言い出したので、2人で家を出ようとした時の事だった。
ドアノブがガチャガチャ回る音が聞こえて、俺は思わずSに抱きついたものの、直ぐに押しのけられて玄関の前で座り込んでいた。
Sは茶の間に戻り、レコーダーを準備しているようだったのだが、様子がおかしい。
俺が這うようにして近づくと、茶の間の向こうの窓を凝視したまま手が止まってる。
俺もSの視線を追うように顔を上げると、そこにはストーカ女の両手と金髪に近いソバージュが見えた。
外は暗くて、部屋の中の灯りに照らされて、細かい部分は分からないけれど、金髪っぽいソバージュは彼女のものだとすぐに分かった。
玄関からは相変わらずガチャガチャとドアノブを回す音が聞こえる。
だけど彼女は茶の間の窓に張り付いている。
慣れてくると、彼女の目が何か探してるみたいに動いているのも何となく分かる。
「どうしようどうしよう」
俺がSにしがみ付いていると、Sは結構冷静に俺を振り払い
「共犯がいるのかもしれん。帰宅後直ぐに電話が来たりするのはさ、盗聴器とか仕掛けてあったんだろうから、そういうの用意してくれる常連さんとか。そういう人が手伝ってるのかもしれない」
窓とドアの外の2人に気付かれないような声でそう言うと、Sはレコーダーを持って玄関へ行き、俺に電話で警察を呼ぶよう指示をした。
パトカーは直ぐに来てくれた。
ドアを叩く音も茶の間の彼女も何時の間にか消えていて、俺はSの指示通り「誰かがドアを蹴ったり叩いたりする」というような事を伝えると、隣の住人が「毎日煩くてしょうがない」とぼやいていった。
一応周辺の巡回を増やしてくれるという事にはなったが、Sは奥の部屋に篭ったままで何かをゴソゴソやっている。
何をしているのかと覗いてみたら彼女から届いた荷物を纏めた中からぬいぐるみを一つ取り出してその腹をカッターで割いていた。
中からはストーカー女の金髪っぽいソバージュがモサッと出てきた。
それからSが言ってた盗聴器らしい小さな機械と、小さく折りたたんだ写真。
これは素材で写真だという事は分かったけれど、とにかく小さく折りたたまれて、やっぱり彼女の髪の毛でグルグル巻きにされていたので、誰のものかは分からない。
俺は自分の写真が酷い事になってるとか、いやな方へばかり想像力が働いてしまうので見せて欲しいと頼み込んだが、Sは自分のポケットにしまい、それを俺には触らせなかった。
すごい面白いんだけど眠くなってきた
パトカーは直ぐに来てくれた。
ドアを叩く音も茶の間の彼女も何時の間にか消えていて、俺はSの指示通り「誰かがドアを蹴ったり叩いたりする」というような事を伝えると、隣の住人が「毎日煩くてしょうがない」とぼやいていった。
一応周辺の巡回を増やしてくれるという事にはなったが、Sは奥の部屋に篭ったままで何かをゴソゴソやっている。
何をしているのかと覗いてみたら彼女から届いた荷物を纏めた中からぬいぐるみを一つ取り出してその腹をカッターで割いていた。
中からはストーカー女の金髪っぽいソバージュがモサッと出てきた。
それからSが言ってた盗聴器らしい小さな機械と、小さく折りたたんだ写真。
これは素材で写真だという事は分かったけれど、とにかく小さく折りたたまれて、やっぱり彼女の髪の毛でグルグル巻きにされていたので、誰のものかは分からない。
俺は自分の写真が酷い事になってるとか、いやな方へばかり想像力が働いてしまうので見せて欲しいと頼み込んだが、Sは自分のポケットにしまい、それを俺には触らせなかった。
オカルトぽくなって参りました
22 :
ミノムシ ◆WIIEP92EG2 :2013/09/21(土) 02:26:42.36 ID:TWJhG34rO
続きまだ〜?
>>19 長くてスマン。
でも3時には俺も寝るから。
明日デートだし。
時間はもう深夜を大分回っていたが、俺は眠る気にはとてもなれなかったので、Sと何か楽しい話がしたかったのだが、Sは難しい顔をして家にあったタウンページを読んでいる。
どうせ話をしてくれないなら、風呂の番をして欲しいと頼み、俺は久々の家の風呂を満喫し、Sは大人しく電話帳を持って脱衣所に座り込んでいた。
風呂から出ると、Sは電話帳から顔を上げ、いつもの気楽な調子でチラシの裏に絵を描き始めた。
ウルトラマンの絵だった。
普段パンチラばかり描いていたので意外だったが、結構上手いと褒めてやったらSは素直に喜んで、いかにウルトラマンが凄いかというような話をしつつ、子供の頃にウルトラマンごっこをしたかどうかとかそんな事を聞いてきた。
本当にどうでも良いような話だったが、俺の年代は多分誰でもした事あるよ、とかそんな話をしてやると、Sはウルトラマンで誰が一番好きかとか、そういう話を結構熱心に振ってきたので、俺は素直にタロウかなぁと呟いた。
正直に言うと、俺はウルトラマンには詳しくなくて、どの話がタロウで、どれがレオなのか、誰と誰が兄弟だなんて話はその時全く分からなかった。
そんな話をしていたら、またドアをバンバン叩く音がする。
茶の間の窓を確認すると、やっぱり彼女の顔が張りついていて、今度は中を覗く感じじゃなくてガラスを掌で叩いてるようで窓がビリビリ震え始めた。
俺が警察を呼ぼうと電話に向かうと電話も鳴った。
後ろでSがダメだと言ったけど俺はもうその電話に出てしまっていた。
本当に何も考えず、引き寄せられるみたいに。
受話器からは「今誰といるの今誰といるの今誰といるの」って彼女の声が、いつ息継ぎしてんだってくらい繰り返し繰り返し呪文みたいに聞こえてる。
俺はもうパニックになってSを呼び、電話が電話がと泣き出した。
Sは俺を殴り、電話を切るとそのままモジュラージャックを引き抜いた。
電話はそれでも鳴っていて、その事をSに伝えるとSが電話の受話器を外して電話機本体に立てかけた。
「電話は鳴らない!!」
Sが怒鳴るみたいに言った。
「何で」
俺はもう何が何だか分からなくなって、茶の間の窓にビクビクしながらSを見た。
Sは泣き出しそうなのを我慢してるような顔をしつつも、俺に向かって「大丈夫だから」とはっきり言った。
何が大丈夫なのか分からなかったが、その言葉に俺は妙に安心し、Sに促がされるまま茶の間のちゃぶ台の上に座った。
1人暮らしの小さくて四角いコタツと共用のちゃぶ台の上で怖い怖いと縋り付く俺にSは
「今からお前はタロウだから。タロウになりきれ、怪獣の事だけ考えろ!」
という突拍子も無い事を真剣な顔で命令してきた。
それから
「この上に居たら大丈夫だから。彼女が万が一入って来てもこの上は絶対安全で何も起きない。この上はセーフゾーン。そしてお前には何も見えないし、聞こえない」
Sは今考えたら物凄くバカバカしい事を真面目な顔で凄く真剣に繰り返していた。
それがあんまり真剣な感じだったので、俺も何だか机の上が安全なような気がしてきた。
そうすると、玄関の音や窓を叩く音は段々遠くの音のような気がし始めた。
泣きじゃくっていた俺が少し落ち着くと、Sは玄関に置いていた自分の荷物の中から拳銃を2丁持ってきた。
重さのあるP8っぽいやつを俺に握らせて、「ゾンビ用だから何が来たって大丈夫だから」「いざとなったら撃っちゃえ」と言い残し、他の部屋の戸締りを確認しに行ってしまった。
Sが俺から離れると、俺はエアガンを握り締めSが言っていた「ここは大丈夫、ここは大丈夫」と繰り返し心の中で祈り続けた。
音は全くしなくなっていた。
ただただSが早く戻ってくれるようにと思っていたら、風呂場の方からSの「ギャッ」という声と、ガラガラと何かが崩れるような音が聞こえ、俺は思わず風呂場に走った。
Sから何があっても下りるなと言われてたのに、その時はそんな事すっかり頭に無かった。
風呂場のドアは開いていて、俺は物凄く不思議な体験をした。
右目と左目が別々のものを見てるみたいな、2枚のフィルムを重ねてるような、凄く変なもの。
風呂場には換気扇くらいの小さな窓が開いていて、そこから茶髪のソバージュが頭と片腕を突っ込んでもがいてる。
洗い場ではSが腰を抜かしたように座り込んでいて、洗面器とか手桶が転がっていた。
咄嗟にSが「戻れ」って叫んだ瞬間、俺は彼女と目が合った。
彼女の髪は金髪に近い茶髪でソバージュがちりちりになった感じなんだけど、
どうしてか水に濡れたようになっていて、ああソープで会う時はいつもこんなだったなぁと思い出した途端、
彼女の肩がぐにゃっと溶けたようになって風呂場に流れ込むみたいに落ちてきて、一度風呂桶の中におっこちた。
古い家だったから換気扇が風呂場にないので、俺は風呂を使う時には窓を開けておかなきゃいけなかった。
そして俺は風呂場の鍵を掛け忘れていた。
慌てて脱衣所に出て振り向くと、風呂桶に落ちたはずの彼女はSの横に居て、四つん這いみたいな格好で俺を追い掛けてきた。
「助けて助けて助けて」
俺はとにかく叫んでSに渡されたエアガンの引き金を彼女に向かって引いた。
エアガンでも顔に当たったらヤバイとか、そんな事は少しも考えないで連射した。
Sが何か言った気がするけど覚えてない。
目の前で赤っぽいものがセメント敷きの洗い場に流れて、助かったって思った瞬間、動きが止まった彼女が俺に「なんで」って聞いた。
びしょびしょでぐしゃぐしゃだったのに、何故かその顔が泣いてるみたいに見えた。
Sは俺にか彼女にか分からないけど「出てけ!」と叫び、俺はすぐにまた茶の間に戻ってちゃぶ台に上がった。
彼女に掴まれていた靴下が濡れていて、少し脱げかけていたのでそれを脱ぎ、なぜか正座してSが来るのを待った。
警察に電話しようとは思わなかった。
電話は茶の間の風呂場よりにあったし、一度座ったらもう腰が抜けて動けなかった。
風呂場から彼女の名前を呼ぶSの声が聞こえた。
Sが彼女の名前と、何か数字みたいなものを叫んでる。
俺の名前を何度か聞いたが、卒業証書の読み上げみたいで、呼ばれてる感じはしなかった。
随分長い時間のような気がしたけれど、俺は何かあった時の指示でちゃぶ台の上でアニソンを歌っていた。
ウルトラマンとか、ガンダムとか、高橋由美子とか。
ガタガタ震えながらアニソン歌う俺。しかも歌詞なんか全然思い出せなくてサビメドレーみたいな感じ。
ずぶ濡れのSが風呂場からエアガンを持って戻って来たのがいつだったのか分からない。
ただ、エアガンを持ったまましゃがみ込むSに「どうなった?彼女は?」と聞いてもSは首を振るだけで何も応えてはくれなくて、
俺が「何で教えてくれないんだよ!怖いんだよ!!」と怒鳴ったら、
Sが「私だって怖いんだよ!」と怒鳴り返して膝を抱えて泣き出した。
俺はSが泣くのを初めて見たので、どうしていいか分からずに、ただごめんと謝って正座していた。
しばらく泣くと、Sはもう一度風呂場を見に行った。
まだぐずぐずと泣いていたけど、やっぱりSは頼りになって、俺が何を見たのか教えて欲しいと言い出した。
すぐに答えられない俺に痺れを切らせたSは、電話線を繋ぎ直して、さっきNTTの人に教わった番号に電話を掛けた。
Sは電話を二、三回掛け直していた。
時間はその時明け方近かったし、俺は電話は繋がらないような気がしていたが、しつこくベルを鳴らすSを見ているうちに、俺も電話口へと近づいた。
Sは、「――ホテル」と小さく言いながら受話器を寄越した。
俺はものすごく迷惑そうなホテルの人に彼女の風貌を説明し、部屋で彼女が倒れているかもしれないので確かめて欲しいという事と、嫌だったけど名前と電話番号も一緒に伝えた。
折り返しの電話は警察から来た。
彼女はラブホテルの風呂場で手首を切って自殺していた。
幸い傷が浅かった事と、発見が早かったので助かったらしい。
俺はSに言われたとおり、素直に彼女にストーカー行為をされていた事、そして自殺の直前彼女から電話があった事を伝えた。
ストーカー被害の訴えもSのお陰で受理して貰い、散々嫌味は言われたものの、彼女から送られたものやその他もろもろは警察が引き取ってくれた。
彼女が自殺未遂したホテルは、俺が彼女と一回だけ行った事のあるラブホテルだった。
正直今でもどうして彼女が俺のストーカーになったのかはまるで分からない。
俺は常連客ではあったけど、恋人っぽいそぶりをした事なんか一回も無いし、常連はほかにもたくさんいたから。
ただ、Sには本当に申し訳無く思ってる。
Sは風呂場でずっと彼女と一緒に居たらしい。
目ぇぎらぎらさせて、襲い掛かってくる彼女を必死に呼びかけて、
彼女の意識が少しでも戻るように俺の電話番号や、名前を混ぜながら、怖くない、大丈夫だって言い続けてる声が風呂場からずっと聞こえてたのを俺は無視した。
疲れ果てて、元々小さいSが物凄く小さく小さく見えた。
俺はSに「あの時風呂場行った瞬間に、彼女がホテルの風呂で手首切ってるのが見えたんだ」と何日も経ってから告白した。
Sにも同じものが一瞬見えていたらしい。
結局彼女は病院から実家に引き取られていき、二度と会うことはなかったけど、
一度だけ謝罪の手紙が会社に届いた。
自分のストーカー行為で会社にも迷惑を掛けただろうけど、悪いのは自分だから…というような内容だった。
返事を書くか悩んだが、やめた。
Sは別にスーパー霊能者とかではないので、彼女がどういういきさつでああなったのか、そういう事は分からないそうだ。
ただ、このままでは俺を道連れにして彼女が死ぬと思ったそうで(その時Sは彼女を幽霊だとは思わなかったらしい)
とにかく必死に彼女を説得し、翌朝風呂を掃除してびしょぬれのまま朝飯も食わずにバイトに行った。
その後何かお礼を…と申し出た所、エアガンのバッテリーが故障したので、バッテリー代が欲しいとだけ言った。
それからサバゲやコミケにも連れていってもらった。
ソープやテレクラを辞め、イメクラとなり茶を始めた。
そして明日からリア充になる。
俺の書き込みはこれで終了。
それからオカ板久々で占有禁止に気付かなくて申し訳ない。
Sとの話は不思議なのがたくさんあるからもし埋まらなかったら
デートから戻ったら地味に下げつつ書き込んで埋めていこうと思う。
深夜に付き合ってくれてありがとう。
これですっきりして明日のデートに挑めるよ。
Sが彼女ではなかったか、乙
時間列がよく分からないんだが
出会い系もない時代の話から明日でリア充?
今までの間友達関係だけだったSと明日から付き合う事になったのか、新しい彼女と明日から何かあるのか
よかったな
放すなよ
40 :
本当にあった怖い名無し:2013/09/21(土) 14:12:23.78 ID:73SaxkTw0
1はアラフォーなの?
あとSはずっと男だと思ってたんだけど女なの?
一人称が「私」だったからあれって思ったんだけど
エロアニメビデオを買ってきて店に紛れ込ませる女ヲタってちょっと想像つかなくて
でも面白かったからもっと投下してー
セーフゾーンか。何らかの結界をSが張ったのかな
呪術なのか生霊なのか知らんが、耳なし芳一みたいに手土産を持ち帰られず済んで良かったな
同じく一人称出るまでSは男だと思ってたわ
43 :
本当にあった怖い名無し:2013/09/22(日) 02:33:35.15 ID:xzeHcLAm0
信じられん。
彼女の方から会いたいって言うから行ったのにフラれたorz
ホテル予約しなくて良かった。
とりあえずピンサロ行ったけど何か釈然としない。
すまん、あげちゃったけどすぐさがるだろうから許して欲しい。
>>38 後半結構急いで書いたから分かり難くてすまん。
Sとの話は20年くらい前の話で、現在とはあんまり関係無いんだ。
今年婚活パーティーで知り合った彼女に今日大事な話があると言われた俺は、
てっきり告白されると思いこみ、過去を清算する為にあえて黒歴史を
このスレに書き込んだんだが昼飯食う前にフラれた。
>>39 俺が絶望に突き落とされた。
>>40・42
イエス。
去年厄年で散々だった。
書き方悪くて申し訳ないがSは女。
だけどエロゲもSに教わった。
とりあえず折角なのでsageでまた一個投下してく
Sとカラオケに行った帰り道、多分今頃の季節だったと思う。
俺の家は防風林になってる松林の中にあり、大きな道路から直線で帰るには中学校の横か墓地の間を抜けなきゃいけない。
もう日は沈みかけていて、ちょっと怖かったのでSに家まで送って貰った。
学校から生徒がいなくなってしまうとこの道は殆ど誰も通らない。
海が近いからか側の家も塀が高くて、圧迫感のある道をSと並んで歩いていると、後ろからズッ、ズッ、という踵を引きずるような足音が聞こえた。
狭い道だったので道を譲ろうと振り返ったが誰も居ない。
右は民家のブロック塀、左は学校の校庭のフェンスだから横道も無い。
不思議に思いながら歩き出すと、またズッ、ズッ、と足音がする。
ちょっと早足にすると足音も早く。
立ち止まると、足音も止まる。
Sが引いていた自転車を止め、道の端に避けて俺にも端へ寄るように手で合図したので立ち止まっていると
「お先にどうぞ」とSが何かに声を掛け、しばらくしてまた歩き出した。
それでも足音はまだ俺達の後を付いてくる。
Sの引く自転車のカラカラ言う音と、ズッ、ズッ、という音がさっきより近いような気がして
振り向こうとするとSが首を横に振る。
この頃はもうSの言う事を聞いた方が良いのが分かっていたので、黙って前だけ向いて歩いた。
ふと足元を見ると、俺とSの影の間にもう一つ夕焼けに伸びる長い影がゆらゆらと俺達に付かず離れず付いてくる。
俺が悲鳴を上げるのを見越したようにSが「進め」と言うので口を塞いで黙って歩いた。
後少しで俺の家がある防風林に差し掛かるという所でSが目配せをして自転車を止め、また俺を道の端へと追いやった。
壁が終わるギリギリだったので、肩が壁にピッタリくっつく位に離れた所でSがしゃがみ込み、道に落ちていた小石を拾って「あーあ、こんなに邪魔な物があったら、ここから先には進めないな」って言いながら
真ん中の影の頭の辺りへぽいっと置いて、そのまま真っ直ぐ歩き始めた。
俺達の影は当然一緒に前へ進んで、真ん中の影はそのまま動かずそこに残った。
足音も止まり、影が視界から消える寸前にぐにゃっと歪んだような気がしたけれど、振り向く勇気なんか無かった。
とにかく走って家に帰ろうとする俺に、Sが「一応」といって家を通り過ぎ、海まで抜けた後で
ちょっとした散歩の距離を歩いて家に戻った。
Sと一緒に居る間、こういう事はしょっちゅう起きたのでネタはあるんだが、
正直オカ板的に面白いかどうかは分からんけども申し訳ない。
霊能者とかに知り合いも居ないから結局それが何だったのかも分からんし、
俺の話はオチも弱いから、誰かオカルトな黒歴史告白したい人がいたら使って欲しい。
でも誰もいなかったらまた明日くるw
おもしろい!
ネタがあるなら聞きたい!
私も聞きたい
51 :
本当にあった怖い名無し:2013/09/22(日) 10:53:00.93 ID:a4GVaWuIO
次のネタまだぁー?
オチは弱いかもしれんが面白いよ
もっとSとの話が聞きたい
面白いって言って貰えると嬉しいものだな。
ありがとう。
やっぱりその後が分からないから自分でもオチが弱い気がするんだよ。
あれは何々だった、とか後日談が書けるといいんだが、
今思い出せる中にはそういうきれいにオチる話が無くてすまん。
自己満足みたいなものだけど今日もsageで書いていくんで
よかったらまた読んでってくれ。
待ってるよ。
ありがとう。
ちょっと長くなったけど2時までには全部貼る。
これは夏の話で、確かこの頃Sはもう高校を卒業してた。
7月だったか9月かの土日にSがサバゲに行かないかというので、とりあえず見学に行く事にした。
場所は埼玉か栃木の辺りだったと思う。
S達のサバゲは遊びというより演習って感じで、本当の山の中でテントも張らずに1泊野宿する。
A班とB班数人ずつに分かれて別のルートで山に入り、途中何箇所かに設置されたフラッグを巡り戦闘し、
勝った方が食料や装備や良い野営地を貰えるという感じだったので、キャンプ気分で参加した初心者の俺は
最初のフラッグ争奪戦で自らリタイアする事にして、保護者であるSと一緒に運営本部である物置というか納屋みたいな所で無線を聞いていた。
「A班2名が被弾、戦闘は続行可能です」とか「B班3番フラッグ奪取に成功」とか、普段聞かない言葉が独特のノイズと共に聞こえてくるのをSは楽しそうに聞きながら、「了解」とか「善戦を祈る!」なんて返答していた。
山の夜はとにかく早く、暗くなる前に缶詰だけの夕飯を済ませ、7時か8時には寝袋に包まっていたが、
さっさと眠ったSと違って慣れない俺はなかなか寝付けないでいた。
多分まだ深夜という程の時間ではなかったと思う。
無線の音がザザ、と聞こえて、「来るな…」と男の声がした。
当直をしていた運営の人が呼びかけるものの、どちらの班からも応答は無い。
正時毎に定時連絡を交信するようになっているのに、それまで待っても連絡が無いので、
運営の人が予備の無線を持ってそれぞれの様子を見に行く事になってしまった。
本来ならば運営はベテランの人がやる筈なんだが、この日は俺が1人で脱落するのが寂しくて
Sを巻き込んでしまったために、Sは運営の人とバトンタッチして戦線離脱していた所為で、
運営には俺とSだけが残されて、2人で1つずつ無線を握った。
運営の人からは結構マメに連絡があり、熊にでも遭ったんじゃないか…なんていう冗談が出るくらいその時は暢気な感じだったんだ。
ところがこの運営の人からの連絡も途絶えてしまい、もう無線機の故障か、何かしらの原因で電波障害が起きているのかも…とこの頃になってようやく寝起きの悪いSが慌て出し、俺も何だかちょっと心配になってきた。
チームには熊とだって戦えそうな改造銃を持ってる人もいたけれど、Sは中古の64式とP8くらいしか持って居ないし、俺は当然碌な装備を持っていない。
本当に熊がここに来たならきっと俺達は負けるだろう。
こんな事なら来るんじゃなかったとぼやいていたら、無線からまたさっきと同じ声が聞こえた。
「こっちに来るな!」
思ったよりはっきり聞き取れたので、俺とSはビクッとして顔を見合わせた。
この時はこれが不思議な事だとは思わずに、ただの混線かサバゲやってる人達にうっかり遭遇してしまった誰かがビビッてるんじゃないかとSはそっちの方を気に掛けていた。
何しろS達の装備は本格的というよりはちょっとやり過ぎな感じだったし、エアガンとかもかなり本格的で、
ちょっと見ただけでは偽物になんて見えないようなゴツイのを担いでる訳だから
何も知らずに夜の山に入ってきちゃった近所の人が見掛けたら通報されてもおかしくない。
Sは「すみません」とか「許可取ってますから」とか腰は低く、且つ大声を張り上げていたが、
無線から聞こえる声はザザ、ザザ…、と周波のずれてるラジオのような、でもしっかりと聞こえる声で
「もう止めてくれ」「勘弁してくれ」「頼むからもう…うあああ…」
とこっちの声なんか聞こえてないような感じで叫び続ける。
この時ようやく俺達は何か他のものを聞いているんじゃないか…って言う雰囲気になって、二人とも微動だにせずに無線を睨んだ。
その声を拾っている無線はSが持っている方だけで、横にテプラでAと大きく貼り付けてある。
A班の持っていた無線から、A班の誰とも違う声が聞こえる。
それでもSはしばらくそれに向かって呼びかけ続けた。
「お願いします、…許してください…だから、だから…あがぁ…がッ…がッ…」
無線の向こうからは悲鳴とも何ともつかない声が聞こえる。
中年の、三十か四十くらいの男がただただ一方的に攻撃されて、許しを請う声が近くなったり、遠くなったり、
時折ザザ…、ザザ…っと掻き消えながらそれでもしっかりこちらに伝わってくる。
俺とSは二人だけでその悲鳴とも懇願とも付かない中年男の声をただ聞いているより他になかった。
そして
「―――…たすけてください…――…」
その声は俺達のすぐ後ろから聞こえた気がした。
クーラーも扇風機も窓も無い納屋の入り口の引き戸は全開だった。
その入り口に、中年の作業服のような服を着た男が立っているのを俺とSは見た。
二人とも声なんか出なくてただその人をまじまじ見ていた。
山の中の夜は一歩外に出たら何も見えないくらい暗いけど、納屋はランタンが照らしてて、
短く刈り上げたようなやはり泥だらけの髪に白髪が混じっているのまで見えた。
「助けて」と言ったその口の中から泥がぼたぼた零れるのも見た。
そしてそのまま男は崩れるように視界から消えた。
みてるよ
Sは泣き出しそうな顔をしながら無線を握り直し「――大丈夫です…」とはっきり言った。
「もう、乱暴な事はしません」
「ごめんなさい」
そんなような事を熱心に無線に向かって訴えていると、一瞬無線がジジ、と再び何か拾った。
すぐに途切れてしまうその雑音に縋るようにしてSは「朝になったら、ロープを解きます。そしたら、自由です。どこにでも行ける。だから大丈夫です」と、そんなような事を言い募り、気まぐれな雑音を真剣な顔で待っていた。
けれど、Sが待ってるのだろう声はもうそこからは聞こえなかった。
明け方近く、ようやく再び無線から声がしたけれど、それは運営の人の声だった。
A班、B班共に無事である事が確認された。
この話にも解決編のような後日談は無い。
ただ、翌朝になってSは運営に交渉し、すぐに片付けて帰る事になった。
ゲームで使用する区域は工事で使うような黄色と黒のロープにメーター間隔で赤布をぶら下げたもので区切ってあって、Sはこれを結んだ順序に拘って解いた。
もちろん運営を通し山の所有者にこの事を伝え、そこから警察にも山でキャンプをしていてこういう事があったのだけど…とは伝えたそうだが、どうなったのかは良く分からない。
万が一という事で運営の人も参加して何日か近所の人と山を捜索したとの事だが何も見付からず、山の持ち主はちょっとした出費を抱える事になったのだそうだ。
面倒を起した俺達はその山にはもう入れなくなり、確か1万円ずつを回収し山の持ち主にこれまでのお礼として差し出した事だけは余りに理不尽で覚えてる。
面白かった。ありがとう。
どの地方の話なんだろう。差し支えなければ。
埼玉か栃木って書いてたね、ごめん。
ちびちび飲みながらこれを書いてて思い出したが、Sの「お祓い」というのがあった。
Sにハグをしてもらい、背中を叩かれ「大丈夫だよ!」と目を合わせる。
オカ板だと笑われそうな稚拙なおはらいなんだけど案外効き目があるらしく、
ああいう事が起きた後にはみんなやって貰ってた。
そしてもう1つ、2話でだいたい50レスという事はあと20話でいいんだよな。
間違って立てたスレだけど、責任持ちたいのでのんびり1日1個ずつ投下していきたいが、
皆様は蟲とか触手とか平気ですかね。
こんな時間にしか来ないので、リクとか質問あれば全力で答えます。
乙。たまたま開いたけど、楽しませてもらいました
あんまりグロい表現じゃなきゃ大丈夫だけど、どうしてもだめ! って人もいるし
話の頭に虫注意とか書くといいかもね
あーこれパターン入ったよ
読んでないけど、どーせどっかのアフィに載るんだろ?
記念になんか書いとくか
イェ〜イ!そこの誰ともわからないおまえー、そうおまえだよおまえ
これ釣りだから最後のレス読んでみー
読んだか?な?当たってたろwww
まぁ糞アフィに転載されたくなかったら転載禁止と書いとけばいい
>>1が決める事
もっとその都度の見たもの、聞こえたもの、匂い、温度、あなたの感情
入れて脈絡なく書いてみてよー
きっとオカルトっぽくなるからさー
内容はアリ!^^
>>69 ありがとう。
虫の話を書く時は、なるべくグロくならないようにする。
それからグロ注意とか虫注意とか書く事にするよ。
>>70 あたってたあたってた!
どんなエスパーだよおまえ。
さすがオカ板だなw
>>71 まとめではハズレを読みたくないと思ってるので
できればこれは転載禁止でお願いします。
>>72アドバイスありがとう。
自分ではほとんど見たり触ったりできないから本当に傍観者的なんだよね。
次のは自分が触ったやつを書くよ。
ある日行き着けのキャバクラの女の子から呼び出され「お寺か神社を紹介して欲しい」と頼まれたので、
詳しく話を聞く為に店外デートで居酒屋へ寄った。
彼女は浴びるように酒を飲み、彼氏と肝試しに行ったらどーのこーのと言い出した。
彼氏がいるならそいつに相談すればいいだろうにと思ったが、県内の主だった所へは行ってみたのだが解決できず、
県外出身の俺に思い至ったらしい。
しかもその彼氏とは余り上手く行っていないという事なので、俺の地元では結構有名な厄払いの寺というのを教えてやった。
教えたといっても、地元の駅についたらデカデカと看板と道順が書いてあるからその通り行ったらいいよという事くらいしかできなかったけど。
後日、再び彼女に呼び出され、どこでも良いから寺か神社に一緒に行ってもらえないかと頼まれた。
今度は以前より随分と切羽詰った感じの彼女は、俺の腕を掴んでずっと離さなかった。
ほんの1週間くらい会わないだけだったのにゲッソリした感じで隈もひどい。
一気に10歳くらい年を食ったような感じで落ち着きが無く、目だけがギラギラとしてる感じで、黒目がキョロキョロと気持ちが悪いくらいに動き回った。
彼女の話を同伴出勤のネタ程度にしか思っていなかった俺は、この時ようやく彼女が本当に何かを抱えているんだと分かったが、怖い夢を見るのだと訴えてきた。
内容はここで言えないと繰り返すので、俺は仕方なく後日カラオケボックスを予約して、一応Sも呼んでみた。
Sはお節介な性質だし何よりツテが広いから、霊能者なんていう幻の職業もSなら知っているような気がした。
カラオケボックスで彼女が話してくれたのを纏めると、
彼女は彼氏を含む数人のグループで近所のちょっと有名らしい心霊スポットへ向かったらしい。
その日は何も無かったが、翌日から眠ると恐ろしい夢を見るらしい。
最初は自分が首を吊る夢。
けれど死に切れず、ロープを解こうと指が首を削り段々と力尽きていく。
次は、手首を切りつける夢。
腕から温かな血か流れ出すのを抑えなければと思いながら、腕が勝手に何本もの線を腕に刻み込み、
最後には手首を切断してしまう。
次は電車事故?の夢だったらしい。
線路で1人蹲っていると、猛スピードの電車がやってくる。逃げなければと思うが動けず、
線路の上で四肢を車輪が潰し、電車はいつまでも自分を巻き込んだまま走り続ける。
俺に相談した時彼女は、高い場所から飛び降りる夢を見たそうだ。
夢の中で彼女はまるで誰かに自分の身体を乗っ取られているような感覚なのだと泣き出した。
そして俺が紹介した寺でご祈祷もしてもらったが、結局効果は無かったらしい。
彼女はその後、目も眩むような高さから落下して、叩き潰される痛みと恐怖を何度も何度も眠るたび味わったらしい。
そして昨晩は自分の服に火をつける夢をみたそうだ。
ここには覚えてることを自分で適当に再構築して書いているからこんな感じだけど、
彼女が口にした表現はもっとスプラッタ的で詳細で、とにかく自分がどれ程辛く苦しいのかを俺やSに分かって貰おうと必死な感じが伝わってきた。
俺は可愛いかった女の子が夢の中でとはいえ、そんな酷い目にあっているなんて…と動揺し、なんとかしてやりたいと切実に思ったのだが、Sは至って冷静に夢判断の話をし、ユングとフロイトの話をし、精神科なら紹介ができると言い出した。
彼女は怒った。
怒ってフライドポテトの入ってたカゴをSに投げつけるくらい怒っていたが、Sは食べ物を粗末にするなと怒り始めた。
それから、怒ってる彼女に向かってSが言い放った事は今でも忘れない。
「自分で好き好んで肝試しに行って、幽霊出たから何とかしろっておかしいでしょう。
サバンナにライオン見に行って噛みつかれたから何とかしろって言ってるようなもんだ。
サバンナじゃ貴方はただの肉で餌でしかないし、死んでも傷ついて苦しんでる誰かを見物に行って、
それが私の事を苦しめるから助けてっていうのは通用しない。
今度は貴方がそれに苦しんでるところを見物される番が来た。それだけの事じゃないか。
食物連鎖みたいなもので、それは何も間違っていないのにどうして貴方は助かりたいと思うのか」
「自分勝手にも程がある」
俺はこの頃、自分が助けてもらった事もあり、Sを変わり者だが優しい子だと思っていたので、この言葉に物凄い衝撃を受けた。
泣いている女の子にこんな事を言えるのも、高校生がこんな考えを持っているのも物凄い違和感があって、俺は何よりSがこの時怖かった。
Sはたいていのダメ人間にとてもやさしい。俺にも、テレクラの客にもすごく優しくて、いつも楽しそうに笑ってる。
俺はSが怒るのを、多分怒ってたんだろうこういうSを初めて見た。
なのにその時のSはとても冷静で、冷酷で、とてもとても怒っていて、とてもとても遠くに見えた。
彼女は泣いていた。
泣きながら謝り、でも半分くらいしかSの言葉が理解できないようだった。
ただ「ごめんなさい」の合い間に「でも」とか「だって」とかしか言葉にならないようだった。
Sはそんな彼女をしばらく見詰め、「助かりたいとか、生きてたいって思っていますか」と静かに聞いた。
淡々としているけれど、優しいいつもの声だった。
彼女は当たり前だと答えたと思う。
Sは少し考えた後で彼女を真っ直ぐ見詰めて跪き「それなら1度だけ助けてあげる」と呟いた。
そして彼女の肩に手を掛け「でもこの方法でもしダメだったら、必ず一緒に病院に行ってください、お願いします」と頭を下げた。
Sの豹変に気圧されたのか、彼女は黙って頷いた。
俺はドリンクバーでコップに水を2杯汲んでくるように言われ、その通りにした。
部屋に戻ると、Sはかなり慎重にコップの水の量を調整し、2つのグラスにほぼぴったりの水が収まった。
そして自分の荷物からクロッキー帳を取り出し、一枚破ると彼女に教えながら、それをテルテル坊主のような形に切り抜いて、その真ん中に自分の名前をゆっくり書いた。
彼女にもクロッキー帳を一枚渡し、
「自分の子供の頃から肝試しに行った時までを思い出しながら。特に肝試しに行った時の事はよくよく思い出しながら」
とアドバイスして、同じようにテルテル坊主のような形に切り取らせ、真ん中に彼女の名前を書かせた。
それから彼女に髪の毛を二本切るのではなく、抜いてくれと頼み、なるべく長い髪を2本抜かせた。
Sのやっている事が異常だという事だけは理解できた。
彼女ももう泣いてはおらず、Sがまるで慣れた事のように行う異常な行為がかもす雰囲気に段々と飲み込まれているようだった。
さっきまでの険悪な雰囲気は消え、大人しくSの言うことに「はい」「はい」と頷き従っている。
そんなにはっきり覚えてないから、手順は大分省いて書いているけれど、Sの作業は何についても順序があって、
それをひとつでも間違ってはいけないといいながら進行していた。
俺には机の上でアニソンを歌わせてたくせに…と、少しばかり腑に落ちないが、口を噤んでSの指先に集中していると、Sは突拍子も無いことをし始めた。
彼女の髪の毛を折りたたみ、テルテル坊主に包ませて、コップの上で火をつけた。
指でつまんでいた部分は少し白いまま、コップの水面にそのままの形でテルテル坊主が浮いている。
Sはコップを持ち上げながら彼女に向かって「これは、これまでの貴方。肝試しに参加した時までの――さん。髪と、紙と、そして神」とフルネームを呼び、
三つの神の字を指で書き、そのまま一気にコップの水を…というか、灰になったかみを飲み込んだ。
俺も彼女も、ぽかんとしていた。
「それからこれは、今日から日曜までのバイトのスケジュールを思いながら書いた未来の私。
未来だから、髪は無いけど、その方がいい。これは、もっているだけでいい。
でも日曜までは、お風呂に入る時にも剥がしてはダメ」
そう言って、風呂に入る時には腕にでも巻いて、ラップで包んでおくように指示をした。
そして
「家の場所と、これまでの枕の向きを教えて欲しい。
それから今夜からはできれば別の場所で枕の方向を変えて寝るように。
日曜まで私は貴方で、貴方は私。短い間だけならこれで目くらましができるから、夢は見ない」
ときっぱり告げて、もう一杯残った水の表面に、指で何かを書くそぶりをして彼女に飲ませた。
ここまでは何もかもSの流れだった。
俺は彼女を自宅まで送る為、Sと分かれた。
翌日、キャバクラで会った彼女は呆然とした顔で、昨晩は夢を見なかった…と首を捻った。
日曜、俺達は駅で待ち合わせSの案内で寺へ向かった。
Sは地元民なのに地図を持っていて、右へとか左へとか、東へ西へとか角を間がる度に地図を確認し彼女に見せた。
そして川沿いの道を真っ直ぐ行けばもうその敷地、という場所まで来ると、Sは彼女の背中に両手をぴったり当てて角を曲がり、ゆっくりと寺へ向かった。
彼女の足は何故か重く、本当にとてもとてもゆっくりだった。
石段に辿り着くと、彼女の足はぴたりと止まった。
「どうしよう、足が動かない」と彼女が俺を見た。
Sは背後から、先に階段を上がりきれと俺に命じた。
彼女の後日談によれば、Sは階段を上がるまで、怖くないから一歩ずつ行こう。
ここは観音様がいらっしゃるから、きっとみんなも助けてくれる。
大丈夫、大丈夫。
一歩だけ上がろう、もう一歩上に。
そんな声を掛けてくれていたそうだ。
俺は、早朝の人気の無い寺の境内で2人が来るのを気にしつつ、空を見上げた。
空は晴天で、本当に雲ひとつ無いような天気だったが、ふと黒っぽい煙が幾つか下から昇ってきた。
煙のように霧散はせずに、1メートル程のちょうど運動会とか、花火大会の合図の花火の煙みたいに、高い場所にふかりふかりと浮いていた。
それは、いくつもいくつも空に上がっていくものの、スピードも大きさも、良く見ると色もそれぞれ違うように見えた。
黒い煙は徐々に徐々に空の高いところに行くに従って色を失って解けていくようで、だけど、色々な色があるように見えた。
赤っぽいもの、青っぽいもの、きいろっぽいもの…、ふと、あれは男だ…なんて思わせるものもあった。
目鼻がついているわけでもないのに。
Sが泣きじゃくる彼女と一緒に階段を上がりきるまで1時間以上が掛かったと思う。
「頑張った、もうちょっとだから」
Sは彼女を励まして、誰も居ない寺に賽銭を投げてお参りし、公園になっている寺の裏を通り、裏側から出た。
Sは来る時と決して同じ道を通らないように地図を辿って、彼女を駅まで送り届けた。
その後彼女は肝試しに行った相手ではない男と結婚し、普通に幸せに暮らしている。
たまにSの事が話題に上るが、笑い話だ。彼女はそういう女だったし、Sもそれでいいと言う。
日曜までの4日間、彼女が見るはずだった夢はSが見た。
彼女は同じ夢を1週間続けてみると言っていたのだが、Sは一晩に色んな手法で2、30回殺されたらしい。
Sはその事を「薬の幻覚じゃなくて良かったと思えば何でもないよ。疑って悪いけど、アル中とかでも幻覚あるし。見てる方には区別なんかつかないからね…」といって笑った。
俺の見た雲が何だったのかはSが「よくわからない」と教えてくれなかったから、今でも良くは分からない。
ただ、この頃からはSと少しだけ距離を置くようになってしまった。
また次の話楽しみにしてます。おやすみ〜
怖い夢見たわ(´・_・`)
Sさんは今いくつくらいなんだろ?
昔テレビで見た花子さん並に頼もしいな
なんか自分のすぐそばにもこんなことが隠れてるのかなぁ気づかないだけで
それとも
>>1やSの引きが強いのか…
>>86 ありがとう。
>>87 枕を天日干しするといいってSが言ってた。
>>88 確か俺より5コ下だから立派なBBAになってる筈。
>>89 幽霊しばりアップリケ〜のやつ?
あの棒読みが好きだよ
>>90 Sが言うにはこういうのはそこらへんに普通に存在してるんだって。
でも基本周波さえ合わせなければ出会わずにいられるんだそうだ。
万が一出会っても普通は周波さえ外してられれば影響を受けたりはしないらしい。
俺は生身の女の子との出会いが欲しい。
週末にまた婚活パーティー行くので引きも欲しい。
今日のはちょっとグロいかもしれん。
苦手な人飛ばしてください。
それから長文になりそうだから、書き終わったらまとめて投下する。
>>72のアドバイスを受けて頑張ってみる。
もう夏休みが終わった9月の頭、Sと二人で海に出かけた。
海といっても、俺の家から徒歩5分で着く地元民くらいしか泳いでないんじゃないかと思うような海の家も無ければ監視員も居ない場所。
本当はもっと大勢で行くはずだったのが、何かの事情で他のメンバーがそれぞれ来られなくなって、Sと二人きりになってしまった。
俺は海無し県で育っていたので、海には憧れと偏見があった。
海というのは白い砂浜が広がっていると信じていたのに、この土地の海は川原のように丸くひらべったい石が無数に敷き詰められている。
潮溜まりとかの磯とも違うこんな海辺を俺はこの土地で始めて知った。
しかも生臭い。
近くに漁港がある所為なのかもしれないが、この辺の海は基本生臭い。
その日は天気が良く、何組かの家族連れや、バーベキューしてるグループなんかがチラホラと居て
それなりに賑やかだったが、俺は妙に生臭い匂いに辟易していた。
とにかく臭くて仕方が無い。
魚が腐ったような普段の匂いとはちょっと違う、もっとべっちゃりとしたような、腹の奥から何かが上がってくるような
重くて不快になるような嫌な匂いが潮風と一緒に漂っている。
今日は泳ぐのをやめようかとも思ったのだが、この頃俺はようやく海で泳げるようになったばかりで、
Sは俺が前回までより遠くまで泳げるととても嬉しそうに褒めてくれるので、つい誘われるまま海へ入った。
Sに手を引かれ波打ち際までビーサンで進み、途中でそれを髪ゴムで括って波の届かない場所へ投げ捨てる。
波の合い間で太陽に当たる石は生暖かく湿り、水垢で汚れた浴槽のようにぬるぬるしていて、
足の裏からゾワゾワと悪寒が駆け上がってくるのを堪えながら沖へと向かう。
しばらく足の裏の痛みと気持ち悪さに耐えて進むと、ようやく砂と石とが半々くらいになり始め、
海水が冷たく感じるようになる。
Sが俺の手を掴み、グッと引かれた瞬間に波に身体が持ち上げられて足が浮く。
途中に漂う何だかわからない海草のひやりぐにゃりとした感触に脅かされつつも、
その辺りへ来ると俺はいつも普通に泳げるようになる。
Sは波に身体を任せつつ泳ぐ方法を教えてくれて、俺は随分と沖ま行けるようになっていた。
岸辺は少し汚れているように思えた海も、沖へと出ると水面からでも小魚が泳ぐ様子が覗けたし、
生臭い匂いは気にならないようになっていた。
岸からはもう50メートルかそこら離れた頃だったと思う。
俺は随分調子に乗って、Sから離れて泳ぎ始めた。波に身体を浮かせるのも楽しかったし、
空は晴れていて、どっちを見ても眺めは最高だった。
その時にふと、何メートルか離れた場所におっさんが見えた。
ちょっと髪の毛が乏しく、体格の良い、だけどこの辺の人にしては色が白い人だった。
俺みたいにキョロキョロしたりする事も無く、一心に沖へ向かって泳いでるように見えた。
余り泳ぎが達者なようには見えなくて、時々顔に思い切り波を被っては顔を顰めてる。
俺は何だか対抗心みたいな物を擽られ、そのおっさんを追い抜いてやろうと沖へ向かった。
おっさんを抜こうと、ちょうど横並びになった頃だったと思う。
俺はその人と目があった。
おっさんは凄く驚いた顔をして口を開け、俺は大人気なくちょっと笑った。
おっさんは思っていたよりも年寄りで、おっさんというよりじいさんといった風だった。
髪が黒かったからおっさんだと思ってただけで、顔は皺だらけで、黄土色っぽく日に焼けていた。
俺はそんな事まで分かるくらいにまじまじとおっさんを見てた。
「うわ」
声なんか聞こえる筈が無い距離なのに、おっさんの声が聞こえるように口が開いた。
声をあげたのは俺だったかもしれないし、Sだったかもしれない。
とにかく俺達は波に飲まれて、一気に海中へ引きずり込まれた。
海はほんのちょっと潜っただけで水温が違う。
他の海で泳いだ事が無いから、ここだけかもしれないけれど、とにかくさっきよりも冷たい水に包まれて、
顔が水に浸かった瞬間、おっさんの白い背中と薄い髪を見た。
髪がひっぱられるような感覚があり、俺はSに教わった通り、なるべく身体をまるめて小さくなった。
波に飲まれたら一度体育座りのように体を丸め頭をかばい、水の抵抗が少なくなるのを待って目を開ける。
何故かその水は白く濁っていて、ソープで使うローション風呂みたいな感触がする。
入浴剤でもぶちまけたような水の向こう。
鼻か、前髪が触るような距離には白いぶよぶよとしたものが漂っていて、緩やかな波に流されるように少し遠ざかる。
そこでようやくソレの全体が俺の視界に収まった。
海底に向かうように頭を斜め下にした、白人の物凄く太った男のようなもの。
薄い髪の毛が海草みたいに漂っていて、海面側はグレーっぽいズボンの膝から下が尾びれみたいにゆらゆらしている。
そんなに長い時間潜っていられる筈が無いのに、それはゆっくりと此方へ身体を捻るように顔を向けようとしているのが分かる。
怖い。
見たくない。
逃げ出したいと思うのに、目が離せずに凝視してしまう。
海流が俺の背中をそれに向けて押す。
目の前で身を捩る白いブヨブヨが真ん中で締め付けているベルトに負けて千切られる。
ずる、ずるっとゆっくりゆっくり裂け目が広がり、やがて内側から破裂するようにぶわっと黒っぽいものが噴き出した。
怖い、怖い、怖い。
ただそれだけが頭の中を支配して、俺はそこから逃げだそうとした。
なのに身体が全然言う事をきいてくれない。
水の中だから分からないけれど、多分泣いていて、腹の奥の方からせりあがってくるものが何かを突破した感触がして、口の中から飛び出した。
俺は海の中で吐いた。
吐き出したものと、ローションみたいな白い水が口の中でまざり、怖くて口が閉じられない。
もう死ぬ、もう死ぬ、もう死んだ方が全然マシだと思った。
息もできないし、腹だか胸だかが何かにのしかかられてるような圧迫感でつぶれそうになる。
肘の辺りにぬめっとした感触があった。
それが腕を辿って首へ絡みつき、苦しくてまた少し吐いた。
自分の吐しゃ物で前が見えず、首を絞めるものに爪を引っ掛けて引き剥がそうともがいたが、それは少しも弛まなかった。
俺はぼんやりとして全く考えの纏まらないまま、首に巻きつくものを剥がそうと必死に引っかき、蹴り付けた。
そこには結構しっかりとした硬い感触があって、俺はそのまま引きずられるように海面に出た。
その直前に顔が下を向き、海底に白いブヨブヨが積み重なっているのが見えた。
沈んでいるはずのそれは、まるで重さが無いように波に煽られてゆらゆらとして、
その度ベロッと白い部分がはがれたり、一部が崩れているものもある。
その上を蟹が、ゾワッと鳥肌が立つ程の数の蟹が蠢いている。
海面に出た途端俺はうわあとか、うぎゃあとか叫んだ気がする。
叫んで暴れた俺の首をまたぬめっとしたものが締め上げた。
「吐け」
Sの声がする。
俺はもうSにしがみつきたくて暴れ、また首を絞められ「まず吐いて。できなきゃ叫べ」
そう言われて息を吐き出そうとしたら、ばしゃッとまた少し何かを吐いた。
喉が焼けるように痛い。飲みすぎて吐くのとは違う、締め付けられるような痛みもあった。
「落ち着いて、とりあえず息して、お願いだから」
Sの声も切れ切れで呼吸が整っていないようだった。
息をしようにも、鼻水と吐しゃ物が邪魔で喉がひゅうひゅう鳴った。
何だあれ、何だ。
半分くらい分かっているけど、誰かに否定して欲しい。
いくら呼吸をしようとしても上手くいかずに途中で咽てしまう俺のゲロで汚れた口元を
ローションでぬめったようなSの手が何度も拭った。
鼻水もSの手が拭い、俺の背中にSのまったいらな胸が当たって、首に巻きついていた腕が俺の海パンを掴み、
「暴れないでよ」と呟いた途端、俺は半回転してSと向かい合わせになった。
それまでSは、背後からチョークスリーパーをかけるようにして俺を支えてくれていたのだが、
今度は向かい合わせになってSの両手が作った輪に俺が腰掛け、顎をSの肩に乗せる体勢に変えた。
「長くは持たないから、早めに自分で泳いでよ」
Sの声も流石に少し焦っているように思えた。
何しろ俺は170センチはあるし、体重だって70キロくらいだったと思う。
Sは150センチあるかないかで、40キロくらいしか無かったと思うので、かなり頼りない感じだったが、
俺はSの肩口でポニーテルをゲロで汚しつつ息を整えた。
「怖い」
俺はSにしがみつくようにして声に出した。
「なんだここ、何なんだよ、どうしてこんな事になってんの?」
体勢を変えた事で俺は漸く周囲が見えた。
さっきまで泳いでいた場所とは全然違う。
Sの肩越しに見える陸は平坦で、妙に薄暗い。
水は白く濁っていて、入浴剤とローションを混ぜたようなドロリとした感じがして生臭い。
その生臭さは俺は最初に感じたものと同じだった。
俺はSに甘えてしばらくそのまま陸を見ていた。
陸は、遠いのか近いのかまるで分からない。
松林も見えないし、遠くまで流されてしまったのかもしれないが、
それでも富士山が見えなくなる程流されるなんてありえない。
それに酷く静かな場所だった。
波は立っていて、Sの顔やポニーテールを濡らしているのに、波の音が少しもしない。
鳥も居ないし、そういえば風が少しも無かった。
耳がキーンとするような、そのくらい静かな場所だった。
その内、岸がぼうっと白く光り始めた。
光っているという表現もおかしいのだけど、陸に真っ白なにょろにょろみたいな人影が一人二人と集まり始めた。
「S、S…、何か白いもんが居る」
俺の声でSは波を被りつつ振り向くと、眉を顰めて俺をもう一度抱えなおした。
「――大丈夫だから」
「何が大丈夫なんだよ!死体だらけだし、陸には変なもの居るし大丈夫な訳ねぇだろうが!」
俺は少しキレ気味に叫んだ。
叫びながら俺はSの頭に手を掛けた。
そのせいでSがまた沈んで水を飲んだのをみて、ざまあみろと少しスッとした。
Sは、別段怒りもせずに
「変だと思うって事は、ここは私達の場所じゃないって事だから。だから帰ろう」
そう言ってまた俺を抱えなおした。
もうSも大分疲れている様子で、波をずいぶん被り続けた。
俺を抱えて泳ぐのは多分もう無理なんだろうなと思ったが、俺は怖くてSから離れる事なんかできなくてしがみついたままSに縋った。
その内に波がSの頭の上に来るくらい大きくなって、俺達はグンと陸へと引き寄せられた。
Sが上手くバランスを取ってくれなかったら、俺はまた海の中へと落ちそうなくらい強い引き波に押し流された。
「早く帰ろう」
ほんの一瞬でありえないくらい近づいた岸で、白い人影が手招きしているのが見える。
Sは少し焦ったように俺を見上げて、ちょっと自分で泳げと言って腕を緩めた。
俺は一気に肩まで水に浸かって、またあの気持ちの悪い波に顔を舐められSを恨んだ。
「ちゃんと一緒に帰ろうね」「手、離しちゃ駄目だよ」「こうしていたら必ず家に帰れるからね」
再びしがみ付こうとした俺の手を振り払い、水中で握り直したSが、
こっちの気も知らないで説得するように言い募るけれど、俺は少しも帰れる気なんかしなかった。
ここで俺達も死んで、あのブヨブヨとした塊になって蟹に食われるんだと思ってた。
また大きな波が来て、Sと手が離れそうになる。
つま先にぶよぶよした何かと、海草のようなものが絡む感触があった。
陸に居る人影は、光ってるのではなくて、暗い暗い場所に、白い穴が空いているように見えた。
ただ一様に声も出さず手まねきしている。
ああ、駄目だな…とぼんやり思った。
また波が来て、Sの手から俺の手が一瞬抜けた。
Sは泣きそうな顔で俺を呼び、必死に腕を伸ばして俺に飛び掛かるようにして手を掴み、
ついでに股間を物凄い力で掴んで、引っ張って、捻られた。
「仲見世のアニメイト閉店だって」
痛みと衝撃で頭が真っ白になった所でSが最寄のアニメイト閉店のお知らせをくれた。
驚いて、一瞬アニメイトに思考が持っていかれた。
「ごめんください」だったか「おいとまします」だったか、両方だったかはっきりしない。
なんかそんなような帰りの挨拶だったと思う。
何しろ金玉握られてる最中の事だったから。
とにかくSが平然とした声で呟いて、俺を水中に引き込んだ。
俺は思わず目を閉じて、次に目を開けた時には真っ青な空が広がっていた。
目の前には松林と富士山があり、Sは「ほらね、帰れた」と声を震わせ、褒めて欲しい犬のような顔で笑った。
Sはもう疲れて動けないので、しばらくここでプカプカと浮かび、アメリカまで流されていくと言い出したので、帰りは俺がSを引っ張って泳ぐことにした。
途中でへたり、結局Sは自力で陸へ辿り着いたが、二人とももうへとへとだった。
Sの腕や足には、俺が引っかいた痕が痛々しく残っていたが謝らなかった。
その事に触れてしまうと、あれが事実であるような気がして怖かったから。
Sは痛がりもしなかったし、ゲロの事にも触れないでくれたので俺も金玉の件は大目に見てやる事にした。
>>88だけど、ありがとうやってみるね。夜勤続きで昼間部屋にいないから休みまで無理だがw
不思議な体験だなぁ…やっぱり水辺は特に何かあるんだろうね
たまたま津波後の浜辺の写真とか沢山見たばかりだったからタイムリーでビビったわ
>>111 一人身だと夜勤ある時辛いよな…ごみ出しとか。
太陽に当てたタオルとか巻くだけでも違うらしいよ。
>>112 俺は山育ちのせいか水辺では変なものばっかみる。
特に海はめちゃめちゃ怖い。
>>113 不謹慎だけど水死体って本当にこんな感じなのかな。
実は怖くて本物って見た事が無い。
それにしても結婚したくてタマらない芸人が辛過ぎる…
俺も週末の婚活パーティー頑張ろう。
俺が住んでいた場所からちょっと離れた場所に大きな団地が建っていて、
そこにはブラジル人が結構住んでた。
混血だけど日本語が話せる人や、もう見た目はまんま日本人って人も多かった。
俺の勤めていた所にもブラジル系の社員は何人かいて、Aもその団地に住んでいた。
Aは日本語が堪能というかほぼ日本人なんだけど、ポルトガル語もペラペラでかなり貴重な人材だった。
ところがAがブラジルから呼び寄せた純ブラジル人の父親だかが危篤だからという事で1週間も会社に出てこない。
何度か電話でとにかく一度会社に顔を出して貰いたい事を伝えたのだが話にならず、Aの住む団地に行く事になった。
どれも同じような棟が並ぶ中、会社の資料を元にAの部屋を探すのは結構大変だったけど、
妙な話俺の地元も団地がやたらとたくさん並んでいたものだから、俺は静岡に来て初めて郷愁みたいなものを感じて歩いた。
Aの住む部屋は本当に普通の団地の一室で、特にブラジルっぽいものがあるわけでもない。
壁にやたらと家族や親戚の写真が張ってあるくらいで、拍子抜けするくらい日本と変わらないダイニングに通されてAを待った。
奥さんらしい人が応対してくれていたのだが、この人は日本語がちょっと不自由で、Aは在宅しているがとにかく今は出て来れないという。
正直俺は外国の作法とかそういうものには疎い上、この部屋に来るまでの間に何人ものブラジル人っぽい人に会っていたので、何となし強気にはなれず大人しくAを待っていた。
30分くらい待った頃、Aの息子らしい学生が帰宅したのと入れ替わるように、ようやくAが姿を見せた。
いつも更新遅い時間だから初めてリアルタイムで見れたな
支援
Aはかなり疲れているようだったが、それよりも俺の訪問を申し訳なさそうに何度も詫びて、それから差し出した書類に当惑していた。
会社として、1週間以上も本人以外の病気を理由に休暇を与える事はできない。
せめて来月までは通常通りに出勤して、また休むという事であれば相談に乗れる。
あるいは父親の診断書なりが欲しいというような事だった。
Aの説明によれば、父親は死神(以下シニガミモドキ)のようなものに狙われていて、
一人にする事も病院へ連れていく事もできないという。
対処法としては、Aか、Aの息子か、近所に住んでいるAの従兄弟が父親の側に24時間付き添って、
シニガミモドキが父親の心臓だか魂だかを盗もうとするのを防がなければいけないらしい。
流石に俺でもそれを上司に報告できない事は分かるので、Aと二人で頭を抱えた。
ブラジルではそのシニガミモドキを神父が退治してくれるらしいのだけど、日本にはその神父が少なく、
今は順番待ちでいつになるかは分からないらしい。
Aは俺を励ますように、静岡には東京よりもたくさんの神父がいるのできっとすぐだと訴えてきたが、
明日とか1週間後とか期限がはっきりしないならそれは余り関係が無い。
もしAが日本人だったなら俺は迷わず上司にありのまま報告し、Aには精神科の受診を勧めたと思う。
けれどもAはブラジル人だし、宗教上の理由というのがあるのかもしれない。
俺は一応話の分かりそうな先輩に「宗教上の理由って事でなんとかなりませんか」と相談してみたが、
まあ難しいだろうという事だった。
既に1週間も休んでいるAは、いい意味でも悪い意味でも外国人だから特別な扱いをされていて、
このまま続けば退職勧告があるかもしれないという事だった。
電話を終えて戻った俺の顔を見て、Aも奥さんも困った風な顔をした。
ブラジル人は日本人より血縁者を大切にする。
会社より父親というのが本来の考え方だが、生活的な考え方ではブラジルの親族に送金までしてるAが仕事をクビになるのも困るというような事を嫁とAとが二人で俺に訴えてくる。
騒ぎを聞きつけてAの母親となんかもう近所のやつらまで流れ込んできて何とかしてやってくれと言い出す始末で、俺はもうそんな事は会社か国に訴えろと喉まで出かかったけど、とにかく何とかしてみますと言って逃げ出した。
俺はとりあえず会社にはA宅を訪ね書類を渡した事だけを伝え、一応宗教上の理由で1月くらい喪に服すみたいなことって認められませんかね…と上司の顔色をうかがってみたが、当然にべもなくあしらわれ机に戻った。
先輩はAの事は諦めて、新しくポルトガル語を話せるやつを探した方が良いだろうと言う。
とりあえず俺はフィリピンパブで知り合ったキリスト教を信仰しているという女の子に連絡し、
相談に乗ってもらったのだが、キリスト教というのは色々な括りがあって、
多分俺達の望んでいるような事は難しいとの事だった。
無理を言い、一応彼女の通っている教会の神父だか牧師だかに連絡を取って貰ったのだが、
とにかく所謂出張鑑定みたいなのはやっていないという事らしい。
仕方が無いので、駄目元でSに連絡を取った。
Sはしつこく本当にブラジル人なのかという事を気にした以外は何も聞かずに1時間くらいで団地まで来た。
Sは簡単に挨拶を済ませると手を洗い、口をすすぎ、
それからAの父と血縁である人が5人集まるかどうかをAに尋ねた。
部屋の中には近所の人も集まっていて、Aの親族らしい男女が何人も手を上げたのだが、
Sはなるべく血縁が近く正確な…つまり、妹の旦那は駄目だがその息子や娘なら良い、といった具合に5人を集めた。
みんなは最初Sの言動に半信半疑で、神父を待った方が良いという声もあったそうだが、
Sがキッパリ「140日間、あるいは70日だけお父さんさんをシニガミモドキから守ります」
「けれど、最大で140日しか守れません」とAに通訳させると何故か皆のざわつきが止んだ。
ブラジルの風習は詳しくないけれど、何かブラジル人の琴線にそれが触れたのかもしれん。
Sの説明によれば、月齢計算だかで14日を5人分持ち回りで血縁者達がその寿命?から負担するという事で、
足りなければもう一周。それで合計140日。それ以内に神父が来れば大丈夫だという事らしい。
(月齢というのは覚えてるけど、数字はよく覚えてないので、だいたいこんな期間だった程度で書いてる)
それから集めた5人と握手をし、全員に「貴方を信頼しています」というような事を日本語で言った。
Sは頑なに日本語を貫き、Aが通訳するといった格好だった。
Aはダイニングで折り紙を用意し、好きな色1枚を選ばせるとその裏側にそれぞれの名前を書かせ、
各自親指と小指にキスし、中指を額に当てて人差し指と薬指をどうのこうのして、最後に名前の上を親指でなぞり、
小指で逆側からなぞらせる…というような事をさせた。
この時確か、この色は駄目っていう色があったと思う。
あとすごい巨乳の女の人が混じってた。
それからAに真っ白い折り紙と同じ大きさのコピー用紙を渡し、父親の名前を書かせた。
Sはそれらで器用にやっこさんのようなものを折っていく。
周囲からちょっとした歓声が上がる。
顔のひし形みたいな部分はちょっとややこしい折り方になっていて、
何をどうしたのかは良く見えなかったけど、6体全部が同じじゃなかった。
折ったものをその辺にあったダンボールを切った厚紙の上に横に並べ、奥さんから砂糖ととうもろこしと
とうがらしかなんかを貰った。
とうもろこしは頼んだけど無かったんだたか、近所の人がくれたんだったか、無ければ米でも良いとか何とか、
そんな事を言っていた。
それをSが折った三方のようなものに乗せ、その上に白いやっこさんを乗せた。
父親の部屋に入る前、Sはまた手を洗い口をすすぎ、Aの父親の部屋の前で仲居さんみたいに正座したまま襖を開けた。
一礼して、ダンボールのお盆を頭の上に掲げ、「シニガミモドキ様、シニガミモドキ様、失礼致します」と部屋に入った。
じいさんの枕元に座ったSは、シニガミモドキ様、と唱え、周囲を見回した。
Aが、ちょっと驚いたように外人っぽい声を上げた。
Aの視線を追っかけると、そこに黒い小人のような、影絵みたいな真っ黒い切り絵みたいなものが居る。
それが部屋の中をちょろちょろと、Sと爺さんの周囲をクルクルクルクル回っている。
余り規則性のある動きではないので、時々見失ってしまうような動きで部屋の中を天井も壁も、
カーテンも関係なくクルクルと駆け回る。
作り物のように真っ黒で輪郭もはっきりしてるのに、手足は人間みたいに動いてて、
髪の毛?みたいなものも揺れていて、真っ黒だけどこっち向いてんのかな…とかそういうのは何となく分かる。
これは見えてる人と、見えてない人に分かれるようで、見える人には随分怖く感じるらしく
外へ出たり隠れたり、何かお経みないなのを唱える人もいたのだが、黒い小人みたいなやつは凄く楽しそうに動き回ってて、自分の側に近づいてきても俺は不思議と怖くは無かった。
ほ
Sは水を張った皿のような物を用意してもらい、裏にシニガミモドキの名前をポルトガル語で書いて貰った黒い折り紙をやっこさんの形に折って、シニガミモドキ様と唱えながらマッチで燃やした。
それからSは、水に浮いた灰に向かって、皆に説明したのと同じように、14日を5人分、
それに食べ物を用意したのでそいつでじいさんに近づくのを待ってくださいと真面目な顔で交渉していた。
もしも交渉に乗らないのなら、このまま皿を日向へ置いて、皿に焼き付けてしまうがどうか、
というような脅しをかけて、水の上に唐辛子を置いた。
Aも、その最中にじいさんの隣に座っていたAの息子もぽかんとした顔でSを見ていた。
部屋の中をちょろちょろしていた黒い小さな影はもう見えなくなっていて、Aにも他の見えていた人にも見えなくなってしまったらしい。
交渉は成立したらしく、Sはダンボールを持って部屋から出ると、それぞれのやっこさんに7回息を吹き込ませ、
また7日しても神父がこなければ7回、それを神父が来るまで繰り返すように、という事と、
灰が沈んだ皿の水を神父が来るまでは切らさないように。
それから水はなるべく灰の形を崩さないようにそっと注ぐように注意して、
いつか来るらしい神父への伝言を紙に書き、Aに託して帰って行った。
Aは無事翌々日から仕事に復帰し、月が変わらない内に神父もやってきてじいさんは無事に一命を取り留めた。
A達はあの黒い小人の影がずっと見えていたので不安だったが、Sがそれを捕まえたので一安心だと喜んでいた。
Sはその時うっかりAに連絡先を教えてしまったもんだから、その後も団地に住んでるブラジル人に黒い小人やら、
なんちゃら言う妖怪?みたいなのを捕まえて欲しいとちょくちょく頼まれてはケンタのチキン貰ってた。
>>116 おおお…
リアルタイムでレス貰えて感動してる。
支援ありがとう!
>>121 一文字怖い。
でもsageてくれてありがとう。
おやすみ。
今回も興味深くおもしろかったです!
おつかれさま。おやすみなさーい
>>119 巨乳w
いつもたのしませてもらってるよー
>>123 悪い、怖がらせるつもりはなかったんだwww
保守しようと思うとついくせで一文字だけになっちゃうんだよ
Sは優しいな
報酬がケンタッキーフライドチキンに和んだ
ちょいちょいパブとか巨乳とかローションとか出てくるのな
モチロン嫌いじゃないw
その水に紙の灰浮かべるのSの得意技なんだね
ってか週末だ!
婚活ぱーちー頑張っていますか??
>>116だけどここのスレ平和で面白いし居心地いいから好きなんだよねw
だから私はこれからも支援する!
>>1の婚活パーティうまくいってますように!
>>124 こんなの読んでくれてるだけでありがたいのに、嬉しいな。
おっぱい嫌いな男なんかいない(`・ω・´)
>>125 ありがとう。
今日も楽しんでってくれると嬉しい。
>>126 すまん、ありがとう。
次は俺がしゅって次レス書いとくw
>>127 ブラジル人とかインド人にはやたらと優しかった。
あとSは貧乏だから肉に弱いのを既に読まれてたw
>>128 すまん。二次嫁だけじゃ乗り切れない夜があるんだorz
そういえば水に灰浮かべるのが多かった。
屋外では地面に直接何か書くとか歌とか、エロビとか踊りとか
Sのお祓いみたいのは他で見ないやつが多い気がする。
お経とか呪文とかってSからは余り聞いた事ない。
>>129 ありがとう。
中途半端に単発スレ立ててしまった責任は取りたいので
ネタがある内は続けたいなぁ。
既に厨二なSと俺の黒歴史を語るスレだけどよかったら。
あと、婚活パーチーは土曜の夜なので、今夜は自己PRを読む練習と
フリータイムの会話のネタ探しする。
でもみんな気にしてくれてありがとう!
連休の後半にサバゲ仲間と翌日遊びに行く筈だったので、遠方組が1日早く来て
俺の家に泊まっていく事になった。
昼間は堤防で釣りをして、料理の上手い軍曹がアジフライやら刺身やら煮魚やらを作ってくれて久々に賑やかな晩飯だった。
Sはバイトとバイトの合い間にちょっとだけ顔を出し、男4〜5人で釣を楽しんでいるのをいいなぁと笑い、あまりの釣果に驚いて、予言とその対策を告げて帰って行った。
俺は釣り餌に触れないので、いつもチーズタラとかルアーなんかを使ってるから、
ゴカイやフナムシを餌にするSには追いつかなかったが、その日は釣りの上手いやつもいたりして、
バケツが足りなくなるくらいだった。
晩飯を食い終わり、みんなでTVを見ていたら、玄関を叩く音がした。
「はい」と答えたが返事は無い。
けれどまだそこに誰かがいるような気がした。
俺はSの忠告通り「用意しときますから、ちょっと待っててください」と玄関のドア越しに声を掛けた。
すると、軽い足音がたったったっ、と遠ざかるような音が聞こえた。
「おいおいマジに来た」
スゲー、とSの予言的中率に浮かれつつ、俺達はいそいそと用意していた本日の釣果で一番だったと思われるものと、
ひとまわり小振りの鯵を紙皿に乗せて玄関の前のコンクリ敷きの所に置き、
「お待ちどう、お母さんの分も準備したからもってってー」
Sに言われた通りに暗がりに声を掛けドアを締めた。
結構デカイ男数人はそのまま玄関に集まって、「おまちどうさまじゃなかった?」「もってきーだった筈」とか
俺の言葉尻がSのと違うと言い合いながら、いつの間にか息を潜めてドアの向こうを伺っていた。
小さな軽い足音が、さっきより急いでる感じで近づいてきて、
カサコソと紙皿がコンクリートに擦れる音が聞こえる。
俺達は何かこう「がんばれ!」みたいな気持ちで一丸となり、ドアの外の何かを応援した。
鯵は大きくて、30センチくらいあったと思う。
しばらくして、かふッ、というような声か音がした。
猫とか犬が興奮し過ぎた時に出すようなくしゃみしそこねたみたいな変な音。
俺達は悶えるくらい萌え狂い、応援に熱を込めた。
その内、たっ、たたっ、た、たたたっという感じの乱れた足音が聞こえ、ドアの外から気配が消えた。
俺の家には一応覗き穴的なものもあったのだけど、誰も外を覗こうとは言い出さなかった。
Sが見てはいけない(邪魔をしてはいけないだったかも)というような事を言っていたのと、
見えない方が萌える事を皆知っていたからだと思う。
足音が消えてもすぐにはドアを開けずにみんな息を殺してしばらく待った。
やがて開けたコンクリの上には紙皿だけが残されていて、鯵は二匹とも無くなっていて、
鯵を落とした跡か、そいつの足跡か、幾つか濡れた足跡のようなものが浮いていた。
その晩は皆興奮してドアの外に居たのはどんなかを妄想して中々寝付けなかった。
ネコ耳幼女を想像するやつや、絶対男の子だと譲らないやつ。
獣型を主張するなど意見が分かれ、翌日Sを問い詰めてみると、Sも正体を知らないらしい。
「だって見たらいけないって言われてるから…」とガッカリする俺達に若干ヒキ気味に言い訳し、
けれどお母ちゃんは体長数メートルから数十メートルの完全なる獣系らしいと教えてくれた。
途中で覗いたり、アラの所しか出さないでおくとお母ちゃんが怒って玄関に爪を立ててどうのこうのしたとか、
釣り人を海に引きずりこんだとか、そんな逸話があるらしい。
可愛い話だな、和んだ
なにが食べてるんだろうなぁ(´ω`*
でも見たらきっと怖いんだろうなぁw
何気に1は文章がうまいよな。
羨ましいよ。
125だがここは煽りとかいないから居心地良いなー
婚活頑張れー
俺はマクラ天日干しして昼寝
今夜夜勤だから書き込みなくても保守するぜ
お供え的な?
俺もしょっちゅう釣りしてるから
たまには紙皿に用意した方がいいのか
いつもショボい釣果だから玄関ズタボロにされちゃうんだろなw
正直居心地がどうのの自分語りは鼻につくがな
まぁなんだ、保守
今日は婚活ぱーちー!
どんなカンジ?聞きたいねー
モチロンオカルトちっくにw
漂うBBA臭
支援
保守だね
BBA臭でたおっさんだが保守!w
Sの自分流っぽい魔除けやおまじないが面白いな
>>135〜146
帰ってきたらレスたくさんでシッコ漏れそう(´;ω;`)ブワッ
>>139 釣果がたくさん過ぎて「これはもう…自分だけの力では無い」と思った時は
助けてくれた何かに感謝してお供え?おすそ分け?すると良いらしい。
そしたらまた協力してくれるんだって。
その場で一匹海に返すとかもあるらしい。
>>136 可愛い何かに来て欲しいけど、俺も最近は全然釣れない。
チーズタラがだめなのかルアーがだめなのか…。
>>135・137( ´∀`)つ○ カントリーマアムドゾー
>>138AA略 隣で寝たい
>>140・143(・∀・)つ目
保守・支援してくれた人本当にありがとう。
\\ここからは俺が止めておく//
【柿渋石鹸】ヽ(`Д´)ノ【消臭力】
今日は今帰りで明日早いので、レス返しだけで。
明日は早めの時間からチビチビやります。
>>142と紺活心配してくれた人
>>147 オカ板なら珍しく無いと思ったんだけど、やっぱり珍しいのかな
机の上でアニソンは流石に誰もやらせないと思うけどorz
でも2chなら1人位は出会えると思ってた。
次のは誰か知ってたらいろいろと対策を教えて欲しい。
板違いなら恋のおまじないでもいい!!
水晶か!水晶を買えばいいのかorz
これは昨日の話だから結構正確に書けると思う。
俺は静岡県のとある場所で開催された集会に参加していた。
男20人に女20人程が車座に用意された椅子に腰掛け、若干俯き加減に、あるいは手渡されたクリップボードの書類を読むふりをして
目玉だけをギョロギョロとさせているのが良く分かる。
隣に座った30位のポロシャツの男は順番が回ってくる直前までぶつぶつとお経のようなものを呟き続け、
反対隣の男は――多分俺と同じ年頃だろう。
やはり目玉だけをギョロギョロ動かしながら膝に乗せた手をブルブルと震わせている。
儀式はまだ開始されていないというのに、そいつのスラックスには手汗がじんわりと滲み色を変えていた。
ふと何かを感じ、顔を上げると斜め向かい辺りの席にいた20代の女が恥かしそうにずっと俯いて顔を上げない。
不思議に思って見詰めていると、俺はある事に気付いてハッとした。
スタッフの男性が進行状況をアナウンスしながら彼女の前を足早に横切っていく。
一瞬彼に殺意が芽生えたが、その瞬間、彼女の顔を覆っていた茶色いウェーブの掛かった髪がふわりとなびき
彼女の嗤う口元が見えた。
俺が慌てて周囲の男を確認すると、数人が彼女の胸に視線を奪われているのが分かる。
秋口になるというのに、彼女は胸倉の大きく開いたキャミソールの上に白のカーディガンといった服装で、キャミソールからはブラジャーが見えそうになっていた。
俺は彼女を観察した末、結局声を掛けずに帰った。
彼女の胸は偽物だ。
薄着だからといって安心できない。
女はブラジャー一枚でもおっぱいを偽装できる事をもう知ってしまった。
結局婚活はあまり上手くはいっていない。
何とかカップルは成立したが、相手は第三希望の看護婦だった。
婚活パーティーは看護婦率がやけに高い。
(タイ ワコールCM 動画 でググってみると…w)
おっぱい鑑定に終始したんかw
保守だね
>>154 うっかりぐぐったorz
これからは性別さえも疑わなければならないなんて…
>>155 いろんな意味で面子がハズレだった。
選ぶとか選ばないじゃなくて、若い女の子多かったから
もうおっぱいでも観察してるしかないなーって。
看護婦さんは意外と押せ押せでちょっと怖い。
メール終わんなくて書き込みこられなかったよ。
今度はオタコンに参加してみる。
長文&スカ注意
連投規制されたら明日投下する。
長野の旧家に婿入りしていったサバゲ仲間のAから
「子供も生まれたし、義両親が旅行に出かけて不在になるから遊びに来ないか」
と誘われたのでSを含めた数名で結婚祝いも兼ねて長野に出かけた。
奥さんは東京で事務員をしてた元腐女子。
Aはコミケのスタッフをしてて、彼女とはそこで知り合ったらしい。
その後は俺達ともたまにコミケとかイベントの後で一緒に打ち上げをしたり、
合コンみたいなのを開催して貰ったりするような関係になっていたから
気安い1泊旅行のような軽い気持ちで途中何人かと合流しながら進むうち、
最後には何故か車は4台か5台になり、頭数は10人を軽く超えていた。
こんなに大勢で押しかけて大丈夫なのか流石にちょっと心配になって来たのだが、
A嫁の実家は陣内家みたいにデカイ門があり、玄関先に車を何台でも停め放題って感じの、
屋敷って言ってもいいような家で、俺達は旅館みたいだとちょっとはしゃいだ。
Aの奥さんの実家は大きくて立派なのだがとにかく古く、増築を繰り返したようにややこしい造りになっていた。
正面玄関を入って池まであるような広い中庭をぐるっと回り、
玄関を南とするのなら北側にあたる、一番西よりの部屋に通された。
西と東には別々の家が建っていて、玄関がある母屋とは廊下みたいなので繋いでるけど、
北側は南北を縁側で挟まれた長い座敷が連なっていて、その内の2つを男女で分かれて使う事にした。
Aの話ではA嫁の両親は旅行中との事だったのだが、A嫁の母は何故か在宅中で、俺達は少し肩身が狭かった。
けれどなるべく静かにしていよう、なんて言う気遣いをしつつも、女子達はすぐに赤ん坊を見てキャーキャー言い出し、
俺達は俺達でAに婿入りの心境を尋ねたり、その頃の流行のアニメとか、そんな話題で盛り上がりあっという間に夜になっていた。
夕飯はバーベキューにする予定を変更し、A夫妻が住む西棟で女子達がカレーか何か鍋のものを作り、食後には中庭で花火もやった。
季節は夏じゃ無かったと思うけど、それ程寒い時期でもなかったと思う。
この中庭に、すごく不思議な物がものが立っていた。
焼けたような黒ずんだような不思議な色の杉のように真っ直ぐな木が
庭の真ん中辺りに2メートル程の間隔を開けて植えてある。
直径は50センチとかそんなもんだと思うけど、何の為にあるのか、何であるのか全く何も分からないという。
A嫁の話によれば、A嫁の父が生まれた頃には既にそこにあったそうだが、やはり何なのかさっぱり分からないそうだ。
とにかくこの木には近寄るな…という事だけが伝わっているそうで、ホームセンターで売っているカントリーっぽい可愛い柵に凄く不自然に囲われていた。
俺達はもう大人だったし、他所の家で、しかもちょっと無口で機嫌の悪そうに見えるA嫁の母親が居る中、
触るなと言われた物に触れるような事はせず、それなりに気を遣い10時前にはタオルケットに包まった。
おぉもう始まってんだな!
婚活のもカキコんでないのにっ!w
すみません、続きをお願いします
支援!!
この日、俺達は本当に気を遣っていた。
実はA嫁が呼んだグループと、Aが呼んだグループとがあり、勿論全員がそれなりには顔見知りだが、
お互いがまさかこんな大人数になるとは思ってもいないで集まっていた。
A夫妻としては、長野に引っ越した後はオタク友達に会う事ができず寂しい思いをしていたのだろうし、
めでたいことながらすぐに子供が出来たので、そうそう東京に遊びに来るのも難しくなり、
両親が居ないこんな機会は滅多に無いので、両方を一度に呼んじゃえばいいんじゃないかという事だったのだが、
いくら広い家とはいっても10人越えのグループが突然やってきて歓待される訳が無い。
男連中は布団を断り、女子は3組の布団を一緒に使う事になり、寝相の悪いSは庭で寝たいと言い出していた。
タオルケットはせめてもの…という事でAが持ってきてくれたものだが、バスタオルだったかもしれない。
AもA嫁も此方の遠慮を無碍にして、話し足りないように座敷で一緒に眠ると言ってやってきた。
sきた!wktk
一応東棟に居るA嫁母を気にしつつ、俺達はこっそり酒を飲み、小声でつまらない話をしていた。
襖で仕切った隣の部屋からは、時々赤ん坊の泣く声や、女子のキャッキャ言う声が聞こえてきて、
ああ向こうもまだ起きてるんだなー…と、そんな話をしている最中だったと思う。
Aが便所に行くと立ち上がり、何故か西側ではなく、A嫁母の寝ている筈の東棟に向かって出て行った。
酔っていたのか、それとも何か考えがあったのかとにかくAは東棟へ行き、開けっ放しの縁側から廊下の明かりが付くのを見てからちょっとした頃、女部屋の方から悲鳴が聞こえた。
「キャーーーーッ」とか「キィーーーーッ」とか、とにかく耳を劈くような悲鳴が聞こえて、
便所に行った筈のAが裸足で何故か北側のどこかから現れて、中庭を突っ切り
「どうした?」とか「大丈夫か」とか、そんな感じで女部屋の障子を開ける音がした。
それは本当に一瞬の出来事で、正直何が何だか分からなかった。
「地震だ」と誰かに言われて俺は咄嗟に天井を見た。
他所の家なのに電気の紐を探してる内に、中途半端な姿勢ではいられないくらいに床が揺れているような気がして這いつくばった。
瓦が落ちて割れる音もして、顔を上げると東棟にパッと明りが点くのと同時、中庭の木が浮かび上がった。
2メートルくらいの空間に2メートル50センチくらいの顔が、此方を睨んでいるのが見える。
俺は余りに驚いて笑い出しそうになり、必死に堪えた。
顔は人間のじゃなくて牛に似ていた。
TVでしか見た事無いけど水牛とかの黒いツヤツヤとした毛並みか肌で、灰色のぐるんと外向きの鋭い角が生えてる牛。
あの牛に似た顔で、だけど目玉はもっと丸くて大きくて、真っ赤眼球に真っ黒な目が光って見えた。
見てます!
顔は知ってるけど名前を覚えてないやつが俺にしがみ付いて揺さぶってきた。
逃げよう、と何度も言われたが腰が抜けてるのと牛から目が離せないのとで俺はそこから動けなかった。
その頃ようやく周囲の音が耳に入った。
ミシッと嫌な音がして、牛が杉の木に両手を掛ける。
指があったかどうかは分からないけど、爪は猛禽っぽい形だったけど色が蹄のような濃灰色で、
やっぱりどこか牛に似ていた。
俺は何でか逃げるんじゃなくて、そいつの居る中庭に面した縁側の辺りまで近づいた。
月明かりか別の部屋の明かりが点いたのか、さっきまでより良く見える。
そこで初めて変な形の牙が上顎にも下顎にもあるのに気が付いた。
そいつが口を開けて、嘶くように頭を揺すった。
>>167 ありがとう。
でもちょっと落ち着けw
逆にやりにくいわww
>>169 すまん悪いw
最後に横やりどうだったか聞こうと思ってたが、すみませんw
だまります
声は何も聞こえなかったが、全身にブワッと鳥肌が立ち、ストンと腰が抜けたようになり、
泣いてる感覚も無く涙と涎が溢れて止まらなくなっていた。
縁側にはAが俺と似たような格好で腰を抜かしてて、女の子がそれを揺さぶっている。
ぐらぐらする視界の端にA嫁の母親が東棟の側で腰を抜かしてるのが見えた。
誰だったか、男がそれを支えるようにして此方へ連れて来ると、A嫁の母は呆然とした顔で俺と同じ辺りを見ていた。
「あれ何」とA嫁の叫ぶような泣くような声が聞こえた。
「さあ…」とA嫁母が何とも気の抜けた、夢でも見てるような声で呟いた。
A嫁は直ぐに旅行中のA父に連絡したが、繋がらない。
何件か掛けた末に、おじさんだかとA嫁が呼ぶ人に繋がったのだが、結局どうすればいいのか、
あれは何なのか、何もかも分からないままパニックだけが蔓延していく。
牛は物凄く異質な感じで、オカルトやホラーというより、怪獣映画を観てるみたいな違和感があった。
>>170 すまん。
だが猛烈にハードルが上がっていくのを感じたorz
だから反省はしていない!
木と木の間で牛がまた首を振るった。
AとA嫁と、A嫁母だけが悲鳴を上げて耳を塞いだ。
赤ん坊の声が聞こえた。
それから、Sが怒鳴るような声が聞こえた。
Sは「静岡県民はおかしの法則」みたいな事を言い、同じ静岡の連中だけが戸惑いながらSに従った。
縁側に現れたSはそのまま中庭に下り、そろそろと腰を屈めて牛に近づく。
また牛が口を開け、真っ赤な口の奥が覗けた。
Sはビクンと身を竦めつつも、這うようにして縁側に戻りA嫁に「さっきのオムツ捨てた?」と聞いた。
A嫁は唐突な質問に一瞬ぽかんとし、A嫁母も同じようにぽかんとした顔でSを見た。
Sはいつもこういう時には自信満々に振舞うのだが、この時は妙に慎重だった。
「さっきのウンチを捨ててなかったら欲しいです」
A嫁とA嫁母の顔を見詰めて言い聞かせるようにゆっくり言った。
A嫁がどっかのゴミ箱に捨てたというのを聞き出すと、Sが直ぐ静岡組に指示を出し、西棟からゴミ箱ごと持ってこさせた。
静岡組の男女がSに言われるままゴミ箱からオムツを漁り、小さな紙おむつを引きちぎり、うんこの付いているのと付いていないので分けていく。
A嫁ががっちりと腕の中に抱えている赤ん坊のちいさなオムツに付いたうんこはペースト状で、色も俺の想像するうんことはちょっと違った。
Sは腰を抜かしているAの肩を掴み、何度も何度も揺さぶりながら「お父さんでしょ!」と怒鳴り付け、
お願いだからと泣きながらA一家に何かを頼んでいるのが聞こえた。
牛がまた、二本の木を裂くようにミシ、ミシと爪を立て、パキンと嫌な高い音が混ざった。
赤ん坊はもうずっと泣き続けている。
Aは、嫁と赤ん坊に縋るような、まるでもう二度と会えなくなるんじゃないかというような視線を向けて、
だけど抱き合うとか名前を呼び合うとかそういう感動的なシーンも無いままSに連れられて中庭に出た。
Sはオムツから赤ん坊のうんこを手で擦り取り、Aの顔中に塗りたくり、手にも足にも、
それから服を捲って臍にも塗った。
うんこはそんなにたくさんは無くて、掌を擦り付けるようにしながらSは珍しく焦っているように見えた。
それからAに絶対口を開くなと言い、口を閉じさせ、うんこのついた指で「しー」という仕草をするように
唇の上に縦線を引き、ちょっと躊躇って自分も舌を出し、その上に汚れたままの指で何かの文字を書いているようだった。
SはAを連れ木の根元まで進むとその辺の土を自分の体に塗りたくり、顔中を泥だらけにしてから牛を見上げた。
舌に文字を書いたのは、この時だったかもしれないけど、順番はかなりあやふやで覚えていない。
牛がまた吠えるように口を開いて、Sはその顔の下で土下座していた。
AがSを見て慌てて自分も土下座する横で、Sは両手を叩き合わせ、パン、パンッ、と拍手を打った。
「ナンチャラカンチャラ申し上げます」こんな感じでSの口上が始まった。
「オマエサマの敷地に踏み込んだのは申し訳ないことであります」
「けれど踏み込んだものは既に人で無いものの所有物となりましたので、お渡しする事ができません」
「どうかこのたびはそれをお確かめの上、すみやかなお帰りをお願い致します」
「お詫びのお供物は後程ご用意いたします」
「その印にわたしの舌をお預けします」
Sはそう言って両手の指で口を左右に広げ、子供がイーッと歯を見せるような仕草で舌を出していた。
牛はSがしゃべり出すとSをギラギラした目で睨み、口から異様に長い肉厚で真っ赤な舌が伸びてきてAの腹から顔を舐め、またSを睨んだ。
Sが背筋をしゃんとして牛と睨みあい、何も言わずにもう一度深く頭を下げる。
物凄い出来事のように思えたが、終わりはほんの一瞬だった。
牛は、うぉおおん、というような犬の遠吠えに似た声を残して姿を消した。
みんながSに説明を強請ったが、Sは頑なに口を開かず、誰も二人に風呂を勧めなかったので、
Sは庭先で花火をするとき使ったホースで泥を落として体を洗うと、タオルケットで体を拭いて
淡々と縁側で服を着替えてそのままバタンと転がって寝た。
うんこまみれのAがおそるおそると云った感じに風呂入ってもいい?と尋ねた時にだけ目を開けて頷く以外、
誰が何を言っても目を開けなかった。
俺達は散々Sの悪口を言い、Sを罵り、Sは頭がおかしいという事で総意に至った。
自分達が見たものが何だか分からなかったし、それを教えてくれないSに怒ってもいた。
怒っていたし、怖かったし、特にAとA嫁達は何もかもSの所為だという事にした。
Sは多分それを聞いていたけれど、いつものように何も言わなかった。
翌日もSはちょっと皆とは距離を置き、朝飯も食わないで車に乗った。
静岡組の何人かだけが、苦笑いしながらSの我侭に付き合って、A達に挨拶をして少し早めに車を出した。
どこかでトイレ休憩の為に車を止めるのを伝える為に振り向くと、後部シートの隅っこで、膝を抱えたSが泣いていた。
やっぱりそれがすごく小さく見えたので、俺はSにコンビニで好きなアイス買ってやるよと誘ったのだが、Sは笑って首を横に振っていた。
数日後、Aから地鎮祭をするから来ないかというような連絡があった。
あの時Sがお願いだからと頼んでいたのは、必ず明日にでも神主を呼び、プロに何とかして貰え、という事だった。
坊主じゃだめだよ、必ず神社、この辺でできるだけ古い所に頼んで欲しい、そんなような事だったそうだが、
AもA嫁も失念しており、後日誰かに確認されて慌てたらしい。
その後帰ったA嫁の父の号令で集まったらしいA一家の家族会議でも何が何だかは分からなかったが、
とにかく変な事が起きたというなら、取り敢えず神主に来て貰って地鎮祭をしようという事になったんだそうだ。
そこでついでに居合わせた俺達もお祓いしてもらおう、という事になり、俺達はもう一度長野に行った。
俺達の中であの日の事は夢オチって事になっていた。
十何人かの中で、牛を見たのはA一家を含めて十人くらいで、地震の揺れも何も感じなかったってやつもいた。
全くA家とは無関係なのに、牛の声というのを聞いた子も居た。
それぞれの話がまとまらないのと、俺やAが聞いた女子部屋の悲鳴を女子が発していないというので
それならもう夢でいいじゃないか。
トラウマになったら各自受診という事で納得していた。
Sも誘いに行ったのだけど、結局長野へは来なかった。
お祓いを終えた俺と静岡組は、翌日Sを呼び出してその報告をした。
Sはそれはよかったと安心した風に俺達を見て、さわやかのハンバーグを代償にするとようやく色々な事を教えてくれた。
まず、長野に行かなかったのは、もしも行ったら自分がA家の人間でない事が牛にばれてしまうのではと考えたそうだ。
中庭の泥を塗ったくったのは、A家の人間を装う行為だったので、違うとばれたら牛は怒るかもしれないという事。
Sはあの牛を「神格」というような表現で説明していた。(ちょっと違うかもしれないが)
昔、どれくらい昔かは分からないけれど、A家か周辺の村で奉っていたか、とにかく大勢の人間の崇拝や畏怖やそういうものの対象になったものが、何らかの事情に因ってあの場所を与えられたのか封じられたのか、とにかくあの木の向こう側に居た。
何故ならあの牛はとても偉そうで、自分に与えられた場所をAが侵してしまった事をとても怒っているように感じられたので、Sはとにかく下手の交渉に出る事を考えたらしい。
本来何らかの条件であの牛は二本の木から此方へは出てこない筈なのに、Aを追い掛けて出てこようとしたが、
誰も事情を知らない状況であの牛を出してしまうのは良く無いと判断したSは、咄嗟に神格というものに対抗できるものを考えたらしい。
神格というのは何かわからんが、人間の幽霊とか悪霊とかよりずっとずっと強くて、
だけどチートにならないようにルールというのに縛られている。
でも俺達の知ってる神様とはちょっと違うんだそうだ。
こういうのは多分俺よりずっとオカ板の人の方が詳しそうなので後はまかせる。
そして、まだ母乳しか飲んでない赤ん坊は俺たちの食べるものを食べていないから人でなく、
人ならざるもの×大人数の祝福と歓迎=神的な何かって扱いになるらしく、
Aが赤ちゃんにああしてやろうこうしてやろう、自分が死ぬまで尽くしたいって思っていたら、
あの牛にとってAは自分とは別の人じゃないものに使役されてるシンシ?みたいな眷属みたいな扱いになって、
そういうものに、神様同士は手を出せない法則があるという説に賭けたのだそうだ。
もっと上位のものなら排泄物で汚れたAには触れられないし、別のものだったとしても魔よけにもなる。
赤ん坊のうんこというのはエネルギーに満ちていて何とも便利なものらしい。
それにあの時、自分ではあれ以上の事はできなかったのだとSは項垂れた。
ただ、万が一にも矛先が赤ん坊に向いてはいけないので、Sは供物の提案と、自分の舌を差し出した。
その後の無言も、押し売り行為のようなもので、神様は押し付けられた供物を断れないような、
結構色んなしがらみというのを抱えているのを利用したらしい。
何で舌なのかという問いにSは、心臓とか目玉とかが高レートなんだそうだとあやふやに言った。
一個しかないもので、自分が大切にしていて、だけど預けてもよくて、還ってこなければ困るもの。
そういう基準で舌を選択したのだそうだ。
俺は牛タンを想像していたので、ああ、と適当な相槌を打っていた。
後日談については全てがSの想像だし、最初から全部何かの幻覚とかなのかもしれない。
正直今でも頭がまともなやつなんていない二次元脳の集まりだったし。
あの悲鳴の主も分からないし、翌朝木の周りを見た時にはあの場違いに可愛い囲いは全部引っこ抜け、
バラバラになって転がっていたし、どうしてAが北の母屋から出てきたのかとか分からない事も多すぎる。
確かに中庭は一時死角になっていたけど、誰もそんな事する筈が無いし。
牛の声を聞いたという女子は、牛は大勢の余所者が来た事に怒っていて、夜中に北側の障子に猿の影が映り
男部屋の方へ向かうのを見たと言っていた。
悲鳴はその猿のもので、猿は牛の使い魔で、囲いを引っこ抜いたのも猿。
牛はSがAに穢れた排泄物を塗り付けた事や赤ん坊を怖がらせた事やそういう事にも怒っていたが、
自分が密教の九字を切り、ナントカ様に祈りを捧げA一家を守護する事に成功したと息巻いていて、
Sはそれに感心し、そうかもしれないと否定せずその後Aに謝罪した。
自分には牛の声など聞こえなかったので、彼女の方が正しい確立が高いのだそうだ。
とにかくA一家はその後もあの牛についての情報を得られないでいるが、神主か誰かの進言か
すぐに木の前に祠のようなものを建て、二本の木の周囲を石垣だかブロックだかで厳重に囲い人が通れないようにした。
十数年経った今でもA家には何の問題も無く、夫婦円満で健康そうだ。
赤ん坊の方も五体満足で健康に育ち、毎年A家の年賀状のモデルを続け、今は腐女子をやっている。
流石に今日はだらだら書き過ぎて眠くなってきた。
何かSの説明思い出したのでいつもより駄文ですまん。
明日も仕事なので寝る。
169と他にも付き合ってくれた人いたらありがとう。
おやすみ。
乙
いつもwktkする話をありがとう!
「牛の声を聞いたという女子」という人が、Sさんみたく霊能力のある人なのか、
中二を患ってる人なのかが気になるところです。
もし「ある人」だったら、2人もいるなんてすごい集団ですね(・∀・;
>>184 ありがとう。
>>185 読んでくれてありがとう。
牛の声聞いた女子っていうか、俺含めた全員が
厨二拗らせてるからなんともww
それに腐女子5人集めたら自称視える人は2人くらいいると思う。
女の子には特に多い気がする。
彼女の方が肝試しとかこっくりさんとか派手な話が多いから、そっちの方が面白いんだろうけど、
余り一緒に居なかったのでネタが少ない。
海で一度嫌な思いをしたものだから、俺はしばらく波打ち際には近づかなかった。
最初は海そのものにも近寄らないようにしてたのだけど、何しろ近過ぎるのだからと説得されて
リハビリ代わりの釣りに嵌って、海水浴場から少し離れたテトラポットの周辺を釣り場にしていた。
たまに泳ぎに来たS達と合流する事もあるし、他の友達や会社のやつと来る事もあった。
その日は薄曇の日で、泳ぎに来てる人は殆どいなかったけど、一人だけやけに遠くを泳いでるのが見えた。
この辺の海は堤防の上から眺めると少し沖合いで一気に色が濃く変わる。
そこから先はガクンと深くて、台風の後には見た事も無いような深海魚が掛かったりする。
そんな深い場所まで行って泳ぐのがSは好きだった。
天気もあまりよくなかったし、釣果も無くて俺はバケツを持ったまま堤防へ戻り、ブラブラと歩き始めた。
少し行くとSの自転車があり、俺はその近くへと腰を下ろしてSが戻ってくるのを待っていた。
Sは泳いでいるのか溺れているのか分からない風に沖合いで遊び、やがて波に押し遣られるように岸へ上がった。
声を掛けるとSは手を振り返し、ビシャビシャのまま堤防をよじ登り俺の隣へ腰掛けた。
「釣れた?」とか「まだチーズタラとか使ってんの?」とか、どうでも良い事を話していたら、
急に風が強くなってきた。
生臭い潮の匂いを含んだ湿った海風がべっとりと纏わりつくように吹き付けていて、波が少しだけ荒くなる。
それでもまだ波打ち際では泳いでる人達が居て、Sは「そろそろ上がった方がいいですよー」とか何とか声を掛けた。
俺達もそろそろ帰ろうか、という話になって、Sが髪を拭いてたんだか服着てたんだか、それを待つ間海を見てた。
海の色がどんどん変わって、青が紺になり、もっと緑が混ざったような色になり、段々色が濃くなって、波が泡立つ。
そのずっと沖、水平線に近いくらいの所にポツンと黒い影のようなものが見えた。
灯台とか船か…人にしてはサイズが変だし、何だろうと思って目を凝らしてると、
Sが不思議そうに俺の視線の先を辿った。
「あそこに船みたいなもんが見える」
俺は指を差してSにその場所を教えた。
この辺はウインドサーフィンやってる人が多いから、それかもしれない。
おぉ!始まってた
黒い点はさっき見た時よりも此方に近づいて来てるように見えたが輪郭がどうもはっきりしない。
Sは、影を指差した俺の人差し指を握って下ろし、すぐ後ろから俺のシャツの背中を握った。
耳元でちょっと不穏な事を言い、俺にちょっとした手仕草を教えた。
いつもSがしてるようなやつ。
それから最後に「絶対に離さないから大丈夫だよ」と早口に捲くし立てるSを振り返り、
ふと気付いたら俺は海の上に立っていた。
サンダル越しに硝子の上を歩いているような、ちょっと硬い感触があって、
その下で波がはじけると足に掛かる水が凄く冷たい。
何メートルか先に黒い人影が見えて、そいつがゆっくりゆっくり近づいてくる。
黒い影は人の形をしているけれど、全部が人の手首で構成されていた。
真っ黒というか、濃い紫のような斑に爛れた色の手首が大小幾つも折り重なって組み合わされて
人のような形になっている。
ぞわぞわとそれが蠢く様子が近づくにつれて鮮明に見え、時々はがれた爪や小さな手が海中へ落ち
また足元から這い上がるように重なっていく。
心配になって振り向くとそんなに遠く無い場所にさっきまで居た堤防が見えたがSは見えない。
逃げ出したかったが、俺はSから言われた通り必死にその場に踏ん張っていた。
膝がガクガクしてちょっとだけ後ずさると踵が波に沈んだ気がする。
指が絡み合う音が聞こえる程に近付くと、黒い影は何人かが同時にしゃべっているような
篭った声で「火を一本いただけませんか」というような事を言ってきた。
俺はそれには答えずに、Sについさっき教わったように息を止め、右手の人差し指と親指でチョキの形を作り、
影と俺の間で何か見えない糸でも切るようなつもりで二本の指をくっつけて、
次に両手をパーの形にし、海へと向けた。
その瞬間に背後からグン、と引っ張られるような感覚があって、気付くとさっきまでと同じ堤防にいて、
Sが俺のシャツの背中を握り締めて「おかえり」と言って笑った。
もしもあの時逃げ出していたら、一歩進むごとに体が沈んで、岸に戻る前に溺れるらしい。
ねだられるのは火だったり蝋燭だったり、水だったり色々だけど、とにかく答えてはいけないし、
男にしか見えないものなので、Sにはそれが何なのかどういうものなのか分からないそうだが、
海幽霊みたいな名前で呼ばれてて、けっこうどこの海にもいるんだそうだ。
>>189 昨日遅かったから今日は早めに。
ぼっちでもやってるよw
今日も乙彼!
Sさん完全にぬーべーやんw
てか
>>1見えないって言ってなかったっけ?
ガンガン触れ合ってますやん((・Д・)))))ガクブル
乙カレー
逃げてたらやられてたから、やられる前に会いに行ったってこと?
男の人にしか見えないのかぁ〜
逆に女の人にだけ見えるモノもあるのかなぁ
一応チョキしてくっつけて両手パー覚えておきます
いざという時の為にw
乙
Sと1の信頼関係スゴイなー
赤ん坊のウンチもそうだが、突然現れたそれに対して効果のある対処法を即席で作りあげられるのが凄いな
今日の海の話もそうだけどこれから1に起きる事を予言して、その対処法まで事前に伝えている
Sはオカ板にごまんと居る自称霊能者とは訳が違うよ
保守だね
>>193 そこまで頼りにはならないんだよね。年下だしww
でもいずなちゃんくらい恵体だったらとは思う。
幽霊とかは基本見えないし触れない。
でもたまーにSの影響なのか見えたり触れたりする。
今は
>>72のアドバイスに従って
俺が見えたり聞こえたりした時の話中心にしてるけど
すぐネタ切れしそうw
>>194 分かり難くてごめん。
俺が指差した時点で逃げてもアウトなんだって。
家まで逃げて帰っても気付くと海の上に居たりするらしいって他の人に聞いた。
そんで海の上に連れてかれると、本当に直ぐ側に岸が見えるから、
教わってなかったら絶対そっちに逃げたと思う。
でもそこで動いたら確実に溺れるっていうフラグ。
>>195 女の人にしか見えない馬っていうのもいた。
Sがチャリ乗ってる時に追いかけられて、川飛び込んで助かったらしい。
俺達には見えないから置いてけぼり感がすごい。
海辺在住の男なら覚えとくといいのかもw
使う機会が無い事を祈るけど。
>>196 信頼してるのかな…そうかも。
でもうんこはいやだな。
>>197 なんかありがとう。
Sは対処法が斬新過ぎて怖いとかの前にビックリする。
でも事前にこうなるからこうしたら大丈夫はこれまで100%大丈夫だったので
これからもそうであって欲しい。
あ、これからみたいですね^^
私は今から寝るので起きてから読むの楽しみにしてます!
お先におやすみなさいでーす
>>200 川に飛び込まないとなんですか…それは大変だぁw
Sの知り合いにインド人のおっさんが居た。
どこで知り合ったのかとかそういうのは知らない。
でもSはインド人が好きで、このおっさんがひき逃げにあった時物凄く悲しんで
日本人が申し訳ない事をしたってお見舞いに行った先で泣いて謝りインド人の家族をちょっとドン引きさせた。
幸いおっさんの怪我は命に別状のあるものじゃなくて、骨折程度だったんだけど、
事故の時に荷物をぶちまけ、警察の人がそれを拾ってくれたけど、何しろ深夜の出来事だったし、
いくつか足りないものがあるので探しに行きたいといっていたらしい。
Sはちょっと突っ走りやすい性格なので、このおっさんの為にちょっとした小金稼ぎを計画し、
怪我の治療費に当てて欲しいと持ち込んだ。
当然インド人はそれを断り、代わりにもしもよかったら、という感じでその時無くなった荷物の中で、
財布だか物入れだか、それだけはどうしても大切なものなので探して欲しいと言い出したらしい。
探して欲しいというか、見つけたら教えてね、とか多分そんな程度だったんだと思う。
かなり控えめな人だったから。
リアタイ支援
俺はこの小金稼ぎのバザーだかフリマだかを手伝う為に車を出していて、
その売り上げを届けに行くのにくっついていただけだから、詳しい事は聞いてなかったけれど、
この時Sは「貴方の家で使ってるカレー粉をください」みたいな事を頼んだらしくて、
ティッシュにカレー粉包んだやつを貰って車に戻ってきた。
いつにも増してやる気に溢れていたSは、そのカレー粉(みたいなの)を握り締め
そいつを使って財布を見つけるのだと言い出した。
俺はこれはちょっと面白そうだな、と思いSにくっついて行く事にした。
霊とかそういうのは怖いけど、失せ物探しにカレー粉を使うっていうのは聞いた事が無かったし、
Sができるって言うならできるのかもしれないけれど、失敗するのを見るのも面白いかなってちょっと期待した。
それで俺にもできそうだったら便利だなー、とか、そんな物凄い気軽な感じで車を出した。
事故現場は駅に程近い大型スーパー裏手で住宅街の交差点。俺はそこまでSを車に乗せてった。
車内でSはずっとカレー粉の匂いを嗅いで、けふけふ言いながら、俺が引くような政治的講釈を垂れていた。
支援
時間とかはよく覚えてないけど、フリマが終わってすぐインド人の家に行って、15分とかそんな感じだったから
まだ外は明るくて事故現場は何でもないただの道だし、事故があったなんて思えない位静かで車も滅多に通らない。
Sは周囲をキョロキョロしながら、インド人の証言に基づき事故現場にカレー粉を撒いた。
車から覗いてた俺はちょっと拍子抜けして、戻って来たSにそれだけ?と思わず突っ込んだ。
Sは力一杯「これだけ」と云って頷くと、後でもう一度事故のあった時間に来るのだと言ってバイトに出かけた。
事故があったのは深夜だったので、俺はスーパーの本屋とか、駅近のピンサロに行ったりして時間を潰して、
深夜もう1度Sと落ち合った。
既に閉店しているスーパーの前で落ち合うと、俺達は徒歩で交差点に向かった。
Sは自転車を引いてたかもしれない。
そこに近づくと、ふわっとカレーの匂いがした。
カレーの匂いっていうのは正しくは無いけど、カレーっぽい匂い。
とにかくSが握ってたあのカレー粉の匂いがした。
俺はSと分かれた後で何となく気になって何度かその場所を窓開けて通ったんだけど、そん時はカレーの匂いはしなかったのに。
Sを捕まえて服や手の匂いを嗅いでみたけど、Sの手からはバイト先のインクの匂いがしていて、カレー粉って感じの匂いはついていなかった。
Sは「急がないと分からなくなる」と俺を急かして、犬のように交差点のあちこちの匂いを嗅いでどんどん進み、
結構歩いた場所にある…車ならほんのちょっとだし、区画にすれば2区画も離れていないような場所にある公園まで来た。
そこからはもう何か別のものを見てるような感じでスタスタ歩き、ベンチと繁みの間みたいな
変な場所から財布を取り上げ俺に見せるように掲げてみせた。
俺は自分の犬が何か凄い事やらかしたような、どうにも複雑な心境になり、そんな事をやらかすSがちょっと怖かった。
後俺には絶対真似できないなって事も分かった。
その日はもうかなり遅かったのでSは翌日改める事にしたらしく、インド人が驚く姿を俺は見てない。
随分経ってからそのインド人達と飯を食ったが、Sはインド人に物凄く感謝され、可愛がられて楽しそうだったので、
俺はそれをどうやって見つけたのかを言い出せなかった。
>>201 レスありがとうございます。
おやすみなさい。
他の選択肢が童貞に触るんだったか、童貞じゃないやつに触るんだったか
とにかくどっちかの男に触るというやつだったらしいんだけど
Sが素人童貞をどうするか迷った挙句に川を選んだ。
俺が泣いた。
>>203・205
いろんな意味で支援・保守ありがたい。
本当にありがとう。
皆のお陰で200超えられた。
ありがとう。
おお、いい意味でスレタイ詐欺のこのスレも200かー
Sと1の奇妙な体験記が毎日の密かな楽しみだ
明日は残業とかで遅くなりそうなので休みます。
ついでに
>>67でエロと触手を間違えて書いたんだけどエロネタってありかな?
もちろん全年齢的な注意とエロ注意とか前書きはするけど。
後、S出てこない話書いてもいいかな。
こっちはちょっとしかネタが無いので、取り敢えず1回読んでくれたら嬉しいんだが…。
すごく素直にオカ板とか一般的にどんなもんなのか比較として意見が聞きたい。
>>209 おお…そう言って貰えると一番嬉しいよ!
ありがとう。
今は【登場人物】俺とSとの黒歴史【全員厨二】こんな感じになってきたww
明日は休んじゃうけど、sageのまままたコツコツと続けるからのんびり1000まで見守ってくれ。
引き出し全部開けて1000まで行こうぜ!
では保守だね
保守しておく
>>210 正直エログロは気にしなくていいと思うよ
上のほうで触れてた奴はちょっとテンションおかしいし
>>208 童貞の男に触るというのは、手とか肩でもいいの?
それとも…
今夜はおやすみなんですねーほしゅほしゅ
エロでもグロでもピンサロでもソープでもなんでもこい!
パンツ脱いで待ってる!w
保守だね
文章にまとめるのがものすごくうまいよね
俺なんか小学校当時、読書感想文を一言以上にするのがホント苦だったもん
さすがに今はそんなことはないけど
>>1さんのようにはいかないな
今は疎遠ぽいけどsさんの今も気になるな
何だ今日は休みか(´・ω・`)
応援保守!
期待ageしたいけど
>>1は潜航希望なの?
>>123でsageてくれてありがとう、て言ってるからsage希望なのかも?
ageると個人スレ云々で叩きたいやつの目につきやすくなるしな
叩きたい奴っていうかそもそもオカ板は 個人占有スレ駄目でしょ
1も
>>3で気付いてるからsage進行なんだよ
そういや個人スレ云々は何度か気にしてたな
とりあえず保守しとく
問題ないだろうが一応保守だね
負担にならない程度に楽しませて欲しいです
保守☆
おはよう、保守
保守だね
そういや出かける前に
いってらっしゃい、気を付けて
って言うと、事故率が下がるらしいね
保守
一言声を掛けるだけでも、無意識のうちに「気をつける」らしいね
言霊の力だね保守
これまでの物語を簡潔にまとめてくれ
まさかの休日出勤から今帰ってきた。
さすがに眠いので夕方にでもまた書き込みます。
こんなにたくさんレスついてると思わなかったから正直おどろいた。
あと保守してくれた人、sageてくれてる人、ほんとうにありがとう。
もりしお級に潜航希望なのでsage希望。
占有スレ禁止ルールに抵触してるのは分かってるので、書き込みしないで落とせって言われたらそれも考える。
それは荒しじゃなくて正当なルールだし。
ただ立てちゃったスレの有効活用()って感じにsageでひっそり使わせて貰ってるだけだしな。
黙認して貰えるようならエロとかグロも引き出し全開で書いてく予定。
全レスはうざいだろうからまとめ+αで。
>>215 手でも肩でもどこでもいいらしい。
一番いいのはもちろん…。
>>219 俺は逆にだらだら長文になって短くするのに苦労する。
もう少し読みやすくできるように頑張りたい。
Sとはジャンヌ2発売以来連絡ないな…
今度連絡してみるよ。
>>229・230・231
そうだ言霊。
そういうのはSも凄く気にしてたんだと思う。
あとは「穢れ」を「気枯れ」とか。
ネガティブな言葉を使わないとか。
気を付けて…もう何年も言って貰ってないorz
いってらっしゃいませなら年5回くらいは言って貰ってるんだけどな…ww
>>232 ルールも空気も読めない>>1がオカ板に占有スレ立てる。
ストーカー女をSなる人物に撃退してもらう厨二話を書き込む。
その後も過去の厨二的黒歴史のカキコを継続するも残業で一時休止←いまここ
保守
言霊かぁ 言霊ってわけじゃないんだろうけど、暑いだの寒いだのって口にすると余計に暑かったり寒く感じるよな
1よ、235は気にしないでくれ。
このスレは良スレだと思ってる。一日の終わりのささやかな楽しみになってるんだ。
まぁ
>>235書いたのは
>>1だけどなw
1日の終わりのささやかな楽しみ同意^^
ツレに、幼稚園児の甥の運動会つって動画見せられたけど
4:6で甥:巨乳な先生方で吹いたわw
>>1さん男はみんなアンタの仲間だw
>>236 暑い寒いは自己暗示なんだっけ?
言霊と自己暗示はどっちがどっちか分からん。
でも一人で居るとネガ発言ばっかりになる。
>>237 俺だよオレオレ。
よかったら今夜も楽しんでってくれ。
>>238 気付いてくれてありがとう。
寝る前になんとなく見てしまう微妙な時間帯の再放送深夜アニメのような感じに楽しんで欲しい。
>>239 分かるよ。
甥<<巨乳は不変の法則。
自分の子供の運動会でも巨乳タイムは確実にサブルミナルしておくだろうな。
…まあまたふられた訳だけどorz
起きたら夕方だったから結局いつもと同じ時間で申し訳ない。
Sと一緒にカエル捕りに行き、俺達は狭い踏み切りで足止めされてあのカンカン言う音を聞いていた。
この町は海と富士山に挟まれていて、海から大きな道路を挟むごとに風景が変わる。
俺の住んでいる場所は防風林に囲まれたいかにも海側の地区。
Sが住んでいるのはそこから県道を挟んだ住宅地。
そこから更に線路を挟むと一気に畑や田んぼが目に付いて、バイパスの向こうは工場だらけだ。
Sはとにかくバイトをいくつもいくつも掛け持ちしていて、テレクラの他にもパン工場や印刷工場、
洗濯工場にラブホの清掃と、その時々で時給や日給の一番良い物を厳選していたのだけど、
それだけでなくて普通の学生らしい読書感想文書いて500円とか、宿題のコピー300円とかそんなのもしてた。
その中のひとつがカエル捕りで、知り合いの金持ちがアロワナかなんかを飼っていて、
餌のカエルを持っていくと気前の良い時は5000円くらいくれるんだそうだ。
それでその日はバイパス側の工場のバイトをした後に田んぼでカエルを獲っていかなきゃならないというので、
その後に何だったかSとの約束を控えてた俺は先にその田んぼでSの代わりにカエルを獲っておく事にした。
意外にもカエルは簡単に獲れて、畦道で一服していると、踏み切りの向こうに女の子の頭がチラチラと見えた。
田んぼの畦道から線路まではちょっとした丘になっていて、自動車一台がギリギリ通れる程の畦道が
そのまま線路を乗り越えるように住宅街へと続いている。
俺の立ち位置からでは女の子の頭しか見えなかったが、何だかずいぶん楽しそうな笑い声と揺れる髪の毛だけが伺える。
そのうちにSが合流し、カエルの大量ぶりを褒められて、俺はちょっとだけ微妙な気持ちでSと線路を越えるべく歩き始めた。
Sに言わせれば人間が食う鯵を釣るのも、アロワナが食うカエルと釣るのは同じ事なのだそうだけど、
やっぱり俺は自分の捕まえたカエルがアロワナだったかヘビだったか、何かそういうものに食われてしまうのは
しのびないというか、罪悪感があるというか、そういう気持ちが捨てきれなくて、Sを冷血だなぁ…と
罵ったりしてそれを晴らした。
その時もSにカエルの袋を手渡して、気軽になった分だけ好き勝手な事をSに言っていたような気がする。
Sは別にそれを否定する訳でも無くいつものように受け止めて、片手に自転車、片手にカエルの入った袋を持って
踏み切りに続く短い急な坂を上がった。
丁度俺達が坂を上がりきるのと同時くらいに踏み切りの音がカンカンと電車の通過を報せ始めた。
多分Sが自転車を引いて無かったら、もし俺一人だったら走って渡りきるようなタイミングだった。
この辺は結構長く踏み切りが閉まるし、貨物列車やら普通の列車も車両が長くて待たされるから。
それにしばらく待ったが踏み切りのポールは一向に下りて来なかった。
不思議に思った俺がポールを見上げ、視線を戻すと線路の向こうにさっきの女の子が見えた。
ふんわりとした長い髪の毛を耳の上辺りで結わえてるらしく、その子がキョロキョロするたびに
ふわふわした白いリボンかレースみたいなものが揺れていて、それがさっきの女の子の頭にも付いていたから
きっとその子なんだと思う。
女の子は小学校の高学年くらいで、余所行きって感じのピンクに白い小さな水玉模様が付いたワンピースを着てた。
今風のふりふりしたゴスロリっぽいやつじゃなくって、もう少し古いタイプの白い丸襟が付いていて、膝丈のしっかりとしたワンピースだった。
支援
女の子は両腕に何か人形のような物を大事そうに抱えてて、俺と目が合うとにっこり笑った。
それがはにかむみたいな物凄く可愛い笑い方で、俺がロリコンだったら惚れてたと思う。
瞬間、Sの自転車がガタンと倒れる音がした。
倒れて、そのまま田んぼの中に自転車が落ちた。
カエルの袋もSが田んぼに放り投げ、俺の後ろから左腕を掴んで後ろへ引いた。
俺はバランスを崩して尻餅を付き、Sはその俺と一緒に地面に座り込んで俺の左腕に抱きついてきた。
その瞬間に目の前を、本当に目のまん前を貨物列車が通り過ぎていく。
顔の皮がブルブルして痛いくらいに近い所で、警笛なのか、耳障りなキュイーッというか、ピイィーというか、
そんな音が突き刺さってくるように近くで聞こえた。
貨物列車が通り抜けた後も、カンカンと警音が鳴り続けてる。
妙に心拍数が早くて息が苦しい。
「びっくりしたー」とか、そんな暢気な事を言って立ち上がった俺の左腕に縋ったままのSが耳元で
「もう一本来るから下を見て」と早口に言った。
引き寄せられた左腕がSの体にくっついてふんわりあったかい。
あったかいけど、女の子特有の柔らかさをまるで感じない。
それで「ああ、Sは相変わらず胸が無くて気の毒だな」と自然にシャツの隙間を覗き込んで、
やっぱり胸の無いのを確認し、何となく気まずくて線路の方へ視線を遣った。
Sの警告よりも、おっおぱいの成長に気を取られていた。
だから俺は下を見なかった。
女の子が線路の上を此方に向かって近づいてくる。
大事そうに何かを抱えて、小走りに駆けて来る彼女のスカートの裾と子供特有の細い髪の毛がふわふわしていた。
そこへ客車が音も無く滑り込んできて、女の子の身体が電車に持っていかれた。
電車は少しも速度を落とさず、俺はドシャッ、というか、ベシャッというか、何とも表現できない音を聞き、
唖然と口を開けていた。
綺麗なピンク色と赤いものと、何か白っぽいものと、黒っぽいものと、それから女の子が抱えてたらしいものが
空に向かってぽーんとすっぽ抜けたように飛んでいき、そのまま見えなくなった。
肘から先の、大人の手だった。
それはものすごくゆっくりに見えたけど、すぐにほっぺたに鳥のふんを食らったような感覚があって、
俺はもう一度尻餅を付いた。
右耳の側で女の子の声が聞こえたけれど、Sが俺を呼ぶ声にかき消されて何と言ったかは分からなかった。
多分、いじわる、とかそんな言葉じゃなかったかと思う。
カンカンと鳴る音が聞こえてきたのは随分経ってからだった。
ほっぺたを気にする俺を助け起すと、Sは俺の顔を撫で、その手に汚れがついて居ないのを証明し、
「大丈夫、もう電車は行ってしまったから」何も無かったように広がっている田んぼと、その向こう側の住宅街と、
それから空と富士山を見上げ、幸せそうな、だけど可愛いというよりは犬に似た顔でSは笑った。
その後の事はぼんやりとしか覚えて居ないが、やっぱり詳細は教えて貰わなかったんだと思う。
とにかく俺はしばらくそこに座り込んでいて、その横でSが無言でカエルを獲っていた。
俺が煙草を吸い終わるのも待たず、職人のような手際でカエルを袋一杯に獲ると、Sは自転車を引き上げて、俺を家まで送ってくれた。
怖いから一緒に居てくれと頼んだが、カエルを届けに行かなければいけないので、酒飲んで寝ろと言われた俺は、
今度こそその通りにして酒を飲んで寝た。
いつものようにオチは無い。
ただ、結局その日、どうして待ち合わせしていたのかも、俺がカエルを獲っていたのかも思い出せない。
乙
白昼夢みたいな儚い感じがいいね
Sはおばけの悪戯(?)を怖がりな
>>1さんに見せまいと注意を引いたのかな
Sの活躍を見てるとおっぱい見てるのもバレてんなこれは
Sさんの不思議な力以前にそのバイタリティに驚かされる。
色んなバイト経験しててそれだけでも楽しそう
>>251 ありがとう。
本当に夢を見てるみたいな感じだったよ。
ふわふわしてて、あまり怖くは無かった。
>>252 多分そうなんだろうな。
意味の無い事をさせたりはしないだろうから、俺を守ってくれようとしたのかも。
残念ながら見えるだけののおっぱいも無かった。
>>253 バイトの話の方が面白いかもしれない。
この時期になるといつもバイト先であんまんの点付ける機械が壊れて
手作業で流れてくるあんまんに点を打ち続けてたって話を聞いたの思い出す。
おっぱいが続いたので今日は大胸筋系の話題。
サバゲで知り合った仲間から、自分のチームで遊ばないかと誘われた。
友達の少ない俺はその事が凄く嬉しくて、一緒に山梨へ行く事にした。
S達のサバゲは本当に軍事演習のようなルールで面白味の無いものだったが、山梨にはサバゲで遊ぶ為の
アスレチック場のような場所があり、そこでは対人では使えないような弾も使えるし、
とにかくレクレーション色の強い遊びが出来た。
静岡をこよなく愛するSから裏切り者と呼ばれたが、そもそも他県民の俺はまったくそんな事を気にせず山梨へ行った。
山梨組のサバゲはとにかく楽しくて野営も無い。
ちゃんとしたバンガローとか山小屋のような所で寝られるし、飯も缶詰とかじゃなく普通のものが食べられる。
たまに可愛い女の子も来たし、本当に何もかも素晴らしかった。
ただ、そのバンガローだか山小屋だかに、1箇所だけいつも空いている建物があった。
山梨組のやつが言うには、そこは幽霊が出ると評判なので、余り借り手がいないらしくて、
そもそも何故か1棟だけちょっと離れた場所で不便だし、裏が小川で危ないし、管理人さんも空いているなら
キャンプ場の入り口近くから小屋を埋めるので滅多に使われる事はないらしい。
勿論夏休みとかGWとかには家族連れなんかが使うんだろうが、サバゲは比較的オフシーズンに遊ぶので
そういう時期には当たったことがそれまで無かった。
それがどうした訳かある時一度だけその幽霊が出ると噂のバンガローに泊まる事になってしまった。
それまで俺達は自分達が絶対そこに泊まる事が無いという安心感があったので、
その小屋にまつわる怪談話をしょっちゅうしていて、もちろん作り話なんかも入っているんだろうけど
借金苦の社長がそこで首を吊ったとか、その小屋に泊まった後で気が狂い、樹海に飛び込んだやつがいるだとか
某宗教の洗脳に使われてたとか色んな噂話を仕入れてきては披露していた。
本気にした訳じゃないけれど、そういう噂が何となく納得できるような不気味さがその小屋にあった。
何しろ裏はちょっとした崖で下を小川が流れてて、その向こうには鬱蒼とした森がある。
加えて何故か、その一棟だけが他のバンガローに比べて隣との距離が開きすぎていた。
感覚で言うと、その間にはもう1件あっても良いくらいの距離が開いていて、
そこが火事で焼け落ちて、一家全員が死んだとか、ホームレスが死んだとか、そういう噂も聞いた事がある。
管理人さんや地元のやつは、そんなのは全部噂で、ただ単に地盤とかそういう問題だろうと笑っていたけれど
それでもその棟に泊まる事になったという連絡の声は硬かった。
しかも俺達は2泊もするのだ。
俺は怖がりである事を隠す気は無いので、素直にSに助けを求めたものの
「幽霊なんか居ると思ったらいるし、居ないと思えばいないもんだよ。気にせず山梨で楽しんでくればいいじゃん」
などと素っ気無く、まったく相手にしてくれない。
そこで俺はケンタのチキンを献上し、何とか俺を安心させてくれるように頼み込んでみた。
すると「食べ物に釣られた訳じゃないんだからね!」という感じで俺にカセットテープを貸し出してくれた。
お札とかお守りとか、いつもの人型的なものとか、その頃はちょっとアニメとかでオカルトにも首を突っ込んでいた俺は
塩とか酒とか数珠的な物とかもう少し頼りになりそうな物が欲しかったのだが、Sは「これが一番いい」と断言した。
説明は聞いたが全部忘れた。
とにかくSは自分が用意できるものの中で、山梨で通用するものはこれ以外に無いと頑なに押してくるので
仕方なく俺はそのカセットテープを…MDだったかもしれないけど、とにかくその音源を山梨県に持ち込んだ。
金曜の夜、ファミレスで合流した俺達はそこで飯を食い、ちょっとはしゃいだやつが案の定怪談を始め
よくいる肝試しの一団といった風にキャンプ場へと乗り込んだ。
仕事が終わってからの移動だったから、もう周囲はすっかり暗くなっていて、管理人室の明りも消えていたけど
特段怖いとは感じなかった。
最初こそ「そこに白いもんがいる」とか「顔が見える」とか、そんな事を言い合っていたものの
翌朝が早い事もあり、俺達は早々に布団に入る事にした。
俺は一応Sから借りた音源をウォークマン的なものにセットして言われた通り枕の下に忍ばせておいた。
深夜というより、もう明け方近くになっていたと思うけど時間の感覚は余りない。
誰かのぎゃあとかうわあとかそんな声で目が覚めた。
バンガローの中には便所とシャワー室があるのだが、誰かが便所に立った際、勝手に隣のシャワーから水が出てきたらしい。
それを切欠にバンガローの中に居た奴が次から次におかしな事を言い出した。
川側の窓から人が覗いてる。
梁からロープが垂れていて、おっさんの死体がぶらさがっている。
ドアの外が燃えてるように赤く煙が部屋に入り込んでくる。
俺にはどれ一つ見えないけれど、その内にパチパチという木が爆ぜるような音が聞こえた。
ラップ音っていうやつなんだろうかと思っていたら、誰かが火事だと叫び始めた。
そう言われてから何となく煙たいような気がし始めて、俺にも入り口のドアから煙のような灰色のもやもやが
入って来るのが何となく見えた…ような気がする。
正直全部何となくでしかない。
Sと居る時のように鮮明な何かはひとつも見えない。
ただ、俺以外の7人が見た事も無い程慌てて突拍子も無い行動をとっているのに煽られた。
何が本当なのか分からない。
火事だって言われたらそうかもしれない。
煙い気がするし、だけど入り口はドアがひとつで、火元はそこだから出られない。
反対側の窓に向かったやつが、窓が開かないと絶叫している。
開かない窓をびしょ濡れの女がべったりくっついて這い上がってきて、青白い手がガラスに爪を立てている。
そんな事をそれぞれが泣き声交じりの悲鳴じみた声で叫び続ける。
ドアは熱くて触れないらしく、しかもそのドアの向こうで黒こげの人間かどうかも分からないやつが
「熱い…熱い…」と呻いているらしい。
俺にはそれが全部見えない。
聞こえもしない。
ドアに付けられた窓の外も、川側の窓も真っ暗で、室内にはオレンジ色の常夜灯がついているだけで、
なのに右往左往する7人がやけに鮮明に見えていた。
しばらく皆が明かりが付かないとか、女が見てるとか、火事だとか叫び怒鳴ったりして、
それから俺にも表現しにくい立ちくらみのような頭痛があった。
風邪のひきはじめみたいな倦怠感と、頭痛と、眠気のような眩暈と圧し掛かられているようなだるさ。
なんとなく息苦しいような気もしはじめた。
ああ、やっぱり何かいるのかもしれない。
普段強気な年上のオッサンが半泣きで腰抜かしてるし、これは普通の事じゃないんだろう。
やけに冷静にそんな事を考えながらSから渡されたウォークマンを枕の下から取り出した。
Sならきっと、ぶん殴ったりしてでも全員を助けようとするのかもしれないけど、俺はとりあえず
自分が怖くなくなればそれで構わなかったので、パニックになってる7人を無視し、Sに言われた通りにウォークマンの音量を上げた。
1度しか効かない。
絶対に何かあるまで聞いてはいけない。
Sは珍しく俺に厳しく制限を付けてテープを渡した。
音はしないかもしれない。
それでも構わず再生し続ける事。
自分の目や耳よりも機械とビクターを信じること。
Sは何度もそう言っていた。
俺はスピーカーの接続を確認し、電源を入れ、再生ボタンを押した。
俺が助かるには今しかないと思った。
「――――…」
スゲーいい声が大音量でバンガローに響いた。
一瞬皆が俺を見た。
そのまま、男8人が聞き耳を立てる中、男同士のセックスシーンが始まった。
さっきまでパニックを起していた7人全員の動きが止まり、シャワーだけがザアザア水を吐き出している。
呆然としている間に誰かと誰かがオーガズムに達し、まだ動けないでいる俺達の前でスピーカーが次々と
男同士の特殊プレイを音声だけで再現していた。
誰もシャワーを止めに行かなかったので、水はずっと流れっぱなしで
寝巻きの男8人がパニックの所為で揉みくちゃになった布団のうえに座り込んだり立ち尽くしたり
色んな体勢で3ターンくらいの戦闘シーンを聞いていた。
支援
Ksk
ワロタ
保守だね
保守
>>254 あんまんに点つける作業ってなんか楽しそう^^
心霊の恐怖よりガチホモのインパクトの方が強いって事ですね
小屋の外で音を耳にした人がいたらおもしろかっただろうなぁw
アッー!
今日初めて最初から読んだけど面白いのきたな
黒歴史乙しようとして騙されたわww
しかも短編と長編で雰囲気違うのに両方面白いのがすごい
支援保守!
乙!
大胸筋てそういうことかw
>>268 幽霊たちも空気読んだのかもですねw
保守とかkskとか支援助かります。
本当にありがとう。
sage進行も感謝。
>>268 俺も楽しそうだと思ったけどSには苦痛だったらしいww
なんかエルム街のフレディ的なものならガチホモの方が強いらしい。
外で誰かに聞かれてたりしたら俺もうお婿にいけそうにないorz
>>270 読んでくれてありがとう。
騙されたのに楽しんでくれるなんていいやつだな。
とりあえず今日も黒歴史聞いてってくれ。
>>271 空気読める幽霊ww
そして全員がSより遥かに巨乳。
即売会に参加した後、駅前で俺達は1時間に1本か2本しかないバスを待っていた。
俺以外は全員女の子の5人くらいのグループで、バスを待っている間にSがフラッとどこかに消えてしまった。
自分が興味を引かれれば、人でも犬でも車でも…それこそフェラーリなんか見たら
チャリで全力で追い掛けて「やっぱりフェラーリは早かったよ!」と汗だくで帰って来るような
自由気儘なやつだったので、誰も心配していなかった。
そこへSと入れ替わるように、さっきまでSの座ってた場所に誰かが座った。
振り向く程の距離じゃなかったけど、余りにも強烈な香水の匂いがしてその人を見た。
ベンチには誰かの母親だって言われてもふーんという感じしかしないおばさんが座ってた。
服装も持ってるものも全部が普通で、スーパーの白いビニール袋と、
大きながま口みたいな黒っぽいハンドバックを持っていた。
ただ、とにかく香水だけがものすごくきつい。
リアタイ支援
おばさんがハンドバックの口を開けると香水の匂いが強くなる。
あんまりそれが酷いので、おばさんになるべく背中を向けて座っていたものの、女の子の話題にも付いていけなくて、
何となく足元を見たら、白い綿ぼこりみたいなものがふわふわしてた。
大きさはまちまちで、ほんとうに小さな雨粒みたいなサイズから親指の爪くらいの大きさまで色んなのがいた。
バスのロータリーはビルとビルの間にあって、昼間でも結構暗い。
そんな暗い場所に、真っ白な毛玉が転がっているのは物凄い違和感があるというのに、誰もそれを気にしてなかった。
俺の知ってるものの中で一番近いのは、昔ぬーベーで見たケサランパサランだと思うけど、
フェイクファーみたいな柔らかそうな感じでもっとずっと小さかったような気がする。
それがコロコロと本当に綿ぼこりみたいに転がって、ぼんやり見てると女の子の足元にぶつかった。
別に指摘する程の事じゃないと思ったし、彼女はイベントの話題に夢中で足元のそんなものには
気付いていないようだったから黙って見てると、そのふわふわした物は彼女の足の回りを不自然に
風向きとかそういうのを無視して踝の辺りまで上ったり、また地面に落ちたりしながら彼女の回りを飛んでいた。
くすぐったくはないんだろうか。
捕まえてみたいと思って手を伸ばしたが、それは俺の指を避けるようにしてベンチの裏へと転がっていった。
俺の靴の回りにも、親指くらいの白いものがくるくるしていて、他の人達に視線を遣ると、幾人かの足元をそれが
まるで静電気とか見えない何かに引き寄せられてるんじゃないかと思うような感じで付かず離れず、本当に綿ぼこりのようにふわふわ付いていく。
バスのロータリーは確か十字路になっていて、何人もの人が横断歩道をあっちにこっちに渡っていくが、
こちらの角にケサランパサランは集中していて、ひょいっとそこを通る人の足元にまとわりついて消えて行く。
それは全部あのおばさんのハンドバックの中から出てきた。
こっそり振り向いた瞬間も、おばさんのハンドバックの中から白い小さなやつがふわふわ溢れて転がっていく。
俺は普段女の子のいる所では煙草を吸わない事にしていたのだけど、この時は妙に落ち着かなくなってきて煙草を探した。
持って居ないのに気が付いて、まだバスの時間まで間があるし、駅前までちょっとだけ足を伸ばそう。
とにかくここにじっとして、あのおばさんに見ていた事に気付かれたら良く無いような気になった。
そう思い始めたらおばさんの事が怖くなって俺は煙草を買いに行く事にした。
ほしゅ
ケサランパサランはそこにもふわふわ浮いていた。
ああ、太陽が当たると浮くのかな…と、ファンタジーな事を考えながら、中空をふわふわしている
ケサランパサランを眺めていたら、異様にケサランパサランをたくさんくっつけてる人に出くわした。
まだ若い女の人で、ふくらはぎが両方同じサイズの綺麗な足の人だった。
その人の着てる赤っぽいコートの背中から肩や頭にかけてケサランパサランがぶわっと覆いかぶさるように
くっついていて、その人の顔も分からないくらいケサランパサランまみれになってた。
それでもその人は気付かないようで、ぼんやりとケサランパサランを乗せたまま改札へ消えた。
注意深く見ていると、彼女のように何人かケサランパサランに異様に好かれる人がいるようで、
その人たちは皆一様に猫背でだるそうにしてたので、あんなにふわふわしてるものでも、
重さってものがあるのかと俺は変な納得をしてそれを眺めた。
眺めてるうちに、やっぱり妙な事に気が付いた。
最初にバス停のベンチで見たケサランパサランは真っ白で、フェイクファーみたいな素材だったのに
ふいにすれ違ったおっさんの頭にのっていたケサランパサランは灰色だった。
バス停との角に、カラオケ屋とか居酒屋に行くくだり階段があるんだが、そこから沸いて出たやつは何故か
まっくろくろすけそのままに真っ黒い煤のような透明度の無いものに代わってた。
俺は急いでキヨスクみたいなところで煙草とライターを買ってバス停に戻ろうとした。
連れの女の子の足元のケサランパサランが気になったのと、一人でいるのが怖くなったから。
その時に聞き覚えのありすぎる声が「山本さーん」って感じの暢気な感じで、さっきのおじさんに近付いて行った。
おっさんのアフロみたいになっていたケサランパサランは、Sがおっさんに近づいた途端にサァッと消えた。
Sに飲み込まれるみたいにも見えたし、シャボン玉がはじけるみたいにも見えた。
おじさんは山本さんではないらしく、会釈だけして足早に去った。
Sもその背中にスミマセンといった言葉をかけて見送った。
何やってんの、とSを捕まえて叱るような声を上げると、Sは普通にごめんごめんとバス停のベンチに向かって歩いた。
やっぱりSの歩いた周囲にはケサランパサランがいなくなる。
避けられてる訳でも無いようで、とにかくふッと見えなくなって消えてしまう。
バス停で待っていた女の子の足元にいたケサランパサランもあんなに真っ白だったのに煙草を買いに行ってる間に
すっかり黒くなっていて、だけどSが近づくとそれは姿を消してしまった。
いつの間にかおばさんの姿はなくなっていた。
だけどその場所だけは香水の匂いがまだ残ってて、ベンチの下には、真っ黒なケサランパサランがわさわさと取り残された影みたいになって身を寄せている。
Sが猫でも誘い出すようにしゃがみこんで指を差し出すと、それもやっぱり消えてしまった。
ホワホワ支援
>>1乙
怪奇系だけじゃなくてこういうちょっと不思議な話も好きだな
>>1の文章読んでるとSさんはオカ板でよく見る霊能者とは違う気がする
嘘っぽいとかじゃなくて上手く言えないけどこの手の若くてアクティブで可愛いタイプはSさんが初じゃないかな
神秘的で清楚かインテリ奇人系とばあさまじいさまばっかりだからSについても教えて欲しい
レスも300近いし記念に
>>1とSさんのスペック希望!
リアタイはじめてだったから興奮してしまった;
でもスペックはともかくトリとかはあった方がいいんじゃないかなとは思うんだ
とりあえず全力で保守して寝る!
おやすみ~
ふわふわ〜(´∀`*
可愛い感じだから見てみたい気がするけど、どうも怖いものみたいですね…
今日もおもしろかったです!
ふわふわ支援w
支援保守
支援とか保守いつもありがとう。
感謝してます。
>>283・284
読んでくれて嬉しいけど少し落ち着け。
質問系スレじゃないのでトリップは特に必要ないんじゃないかと思ってる。
スペ言われても面白いネタが思いつかんよww
>>285 読んでくれてありがとう。
触りたいけど触れないんだよな。
おばさんもふわふわも何度か見たけど、踏もうとしてもふわ〜と逃げて潰せない。
俺ももふもふが好きだから昨日は書いた後でうちの猫の腹もふもふした。
オカ板の文字数制限とサル規制が厳しくなってきたので
分割せざるを得なくなった。
昨日のが既に1レスの文字数いっぱいだったし。
なのでサル規制か来たら明日にまわします。長文スマソ。
Sの知り合いにT子という女の子がいた。
この子は同人仲間の間では特別な存在で、色んな人からしょっちゅうその手の相談を受けていた。
T子は俺の直接の知り合いじゃないので、それ程親しくないのだが、とにかくその能力がハンパ無い。
守護霊を言い当てたり、占いもできるし悪霊退治もしてくれる。
ケンタでご機嫌が取れるSに比べると値段は軽く100倍になるが、とにかく凄い能力者なので、
皆はいかにもインチキ臭のするSよりも、断然T子に信頼を寄せていた。
T子の家は遠い親戚が神主をやってるんだか坊主なんだか、とにかく神社の近所に住んでて、
彼女は先祖返り的にその能力を強く引き継いだんだそうだ。
ちょっとぽっちゃりではあるが、胸もDカップくらいはあったと思う。
長野で巨大な牛のようなものを見た時、その声を聞いたというのがこのT子だった。
お、今日は早いな
リアタイ支援
>>288 いつまででも待ってるよ~
本当に今日は早いね
ワクワク
ある日、知り合いから連絡があり肝試しに行こうと誘われた時も、俺は最初Sの言葉を思い出して断ったのだが、
T子が一緒だから絶対に大丈夫だと一笑されて、まあそれならと車を出した。
心霊スポットにたどり着く前に肝試しはもう始まっていた。
俺はその頃、自分の車を車検か何かに出していて、パジェロか何か、とにかく踏み込みの良い軽を代車で借りていたんだが、
その山道はもう軽だからとか四駆だからとかそういう事でどうにかなるような山じゃなかった。
右に左にハンドル一杯まで切らないと曲がれない道が続いて、対向車のライトさえ見えないような山の中、足元は途中で舗装されていないむき出しの砂利道に変わり、ヒィヒィ言いながら運転をした。
唯一幸いだったのは、この道がほぼ一本道だという事と、助手席に土地勘があり、且つ霊感の鋭いT子が乗っていてくれた事だった。
車は上下にバウンドしながら、少しだけ広い道に出て、目の前には車のライトに照らされた石作りのトンネルが小さく口を開けていた。
トンネルは、トンネルというにも躊躇われるほどに小さくて、苔のせいなのかそういう石を使ってるからか、妙に黒々として丸みがあって、何とも時代を感じさせるようなものだったけれど、俺はこの時、この場所についての謂われというか、由縁というのを全く聞いていなかった。
どんな幽霊が出るのかもどんな怪異が起きるのかとかも全く聞いていなかったけれど、それを見ただけで
ああここは幽霊が出るって言われても仕方が無いなと納得できるような雰囲気の場所で、
地元では有名な心霊スポットになってるんだそうだ。
はじめてリアルタイムで見れた
支援
車を降りた俺達は、懐中電灯でその辺をうろうろし、みんなは自分の感じた不思議な事をT子に打ち明け
T子がそこには何年頃にどういう理由で死んだ何歳くらいの女性がいるとか
それはこういう理由で現れた男性が救いを求めているだとか、そういう事をつらつらと説明してくれていた。
トンネルの中へ入るとそこはとにかくひんやりしていて、まるで別次元のように空気が違う。
零感の俺に分かったのはそこまでで、オレは何ひとつ不思議なものを見てはいないし、聞いてもいない。
ただ寒かったことと、トンネルの中は音の響きが妙だったのだけは気になった。
懐中電灯の明りを頼りに進む内、女の子が一人悲鳴を上げた。
ぅおおおん、というような音がトンネルの出口側から聞こえてきたのとどっちが早かったかは覚えて居ない。
ライトが見えて、ああ、車のエンジンの音かとホッとする間も無く、悲鳴を上げたらしいAが駆け出した。
今日は早めだね。支援
Aは半狂乱だった。
泣き叫びながら「いやだあ」とか「暗い…暗い…見えないよお!!!」とトンネルの出口で転がったり回ったり、
上半身をぶんぶん振って叫び続ける。
トンネルの向こう側に付いた車も肝試しの一行だったらしく、懐中電灯の明りと足音が近づいてくる。
「大丈夫ですか?」と若い男女に声を掛けられ、俺がおろおろしている間にT子が「大丈夫です」と対応していた。
その間もAはうわあんうわあんと遠慮の無い音量で絶叫を続け、両手で頭を抱えて髪を振り乱し始めた。
ぎやぁああん!!ぎやぁあああと、エレキギターみたいな声を上げてる様子はゾクゾクする程俺には怖くて
少しだけ俺のストーカーだったソープ嬢の事を思いだした。
T子はガクブルしている俺達に向かってAが何かたくさんの物に憑依されているのだと言い出した。
その声は普通すごく冷たくて断定的で、今考えるとおかしいけれどその場の雰囲気もあって誰一人笑ったりなんかしなかった。
俺達は2台の車に分乗していたが、T子とAはもう一台の車に乗る事になり、女の子とは思えない力で暴れるAを俺と
もう一人いた男とで何とかそいつの車に押し込み、T子が続いた。
T子の乗った車はしばらくしてやっと動き出し、俺もその後を追い掛けて山を下った。
車の中では女の子2人が後部座席で怖い怖いと震えていて、俺は俺だって怖いと思いながらも運転に集中するよりなかった。
見えない幽霊よりもこんな場所で事故る方がよっぽど俺には怖かった。
車はそのまま市内に戻り、まだ新しい感じの戸建ての前で停止した。
時間は深夜か明け方に近い頃だったと思う。
車から出たくないという女の子を残し、様子を見に行った俺は、T子からの指示でAを後部座席から出して
T子の家に連れ込むように頼まれた。
家は真っ暗で、T子が玄関の鍵を開け、静かに、というのに従い、ぐったりとしたAの足と頭を運転手をしてた男と二人係で抱えて家の中へと連れ込んだ。
その時向こうの車の中で何があったのかは聞いていない。
連れ出したAの口にはタオルか何かで猿轡のようなものがしてあって、顔は涙でぐちゃぐちゃで、俺はAが気の毒になった。
それを見抜いたようにT子から「かわいそうだって思ったら貴方も取り憑かれるからね!」と厳しい声で叱られた。
AはT子の家の仏間のような場所に転がされた。
俺達はなるべくAを見ないようにして、違法駐車している車をちょっと気にした。
T子はそんな事はおかまいなしに、ここは車なんか滅多に通らないからと言って俺達に他のメンバーも呼んでくるように言いつけた。
玄関を出ると、俺と運転手の男は溜息を吐き、何だかとんでも無い事に巻き込まれたなぁ…というような事を言い合った。
運転手の男はそう言いながらちょっと嬉しそうだった。
それは、声を掛けて出てきた後部シートの女の子達も同じだった。
あんなに怖がって泣いていたのに、T子がお祓いを始めるからと声を掛けると、自分も肩が重いとか、左手だけが冷たいだとか、色んな事を言いながらT子の家に入っていった。
既に寝ている両親に気を遣っているのか、T子はとにかく音に気を遣うように何度も俺達に注意した。
もう一方の車にはAの親友という女の子が乗っていて、この子はAとT子と一緒に仏間に入った。
俺達が皆を呼びに行っている間A子は少し正気を取り戻したのか自分でなんとなく正座していて
ぼんやりとした目で俺達を見た。
遠巻きに女の子達が「大丈夫だよ」「T子ちゃんが何とかしてくれるからね」とAを励ます。
俺達はT子の命令でAに触れる事はできなかったが、A子の縋ってくるような目はどこかで見た事があるような気がした。
どこからか色んな道具を運び込み、それから巫女さんが来ているような白い着物を羽織って現れたT子は仏壇に背を向けて座り、
それを半円に取り囲むように俺達が正座し、Aは部屋の隅っこで猿轡を噛んだままぼんやりした目で此方を見ていた。
T子は自分の部屋から3本の壜と、白い小さな足付きの皿に盛られた塩と、細長い紙の束を持ってきた。
それを仏間にあった黒塗りの低い机に白い布を敷いたやつの上に順番に並べ、仏具っぽい蝋燭立てを両側に配置し
何か呪文のようなものを呟きながら火をつけた。
線香立てのでかいようなやつがその台の真ん中にあって、T子はそこに人数分の線香を立てて、俺達に手を合わせるように命じ、その線香が半分くらいになるまでお経のようなものを静かに唱えた。
その間ずっとAは放置されていた。
時々体を震わせて、何かうめき声のようなものを上げたり、首を揺すったりしたけれどその都度T子の声が大きくなって
そうするとAは大人しくなった。
もちろんAの事は凄く気になるのだが、それを気にするとT子が鬼のような顔で睨みつけてくる。
全てが悪霊の仕業で、気に掛けたら憑依される。そうなったら廃人になると脅された。
俺達はT子の前に一人ずつ呼び出され、本格的なお祓いというのをしてもらった。
>>288 文字数制限なんかあるのかぁ。続きは明日かな? 保守
あ、猫のスペックを…w
なんだよまた糞アフィのステマ?
それともウニみたいに同人展開狙ってるとか?
必死にテンプレパッチワークしたってつまんないもんはつまんねーんだよwwww
スーパー霊能者様々が塩ぶっかけて除霊とかありえんしwwww
しかもおまえ色々間違ってるからwwww
場所どこよ?
そんな怖い場所教えといてくれないとだろ、どーせおまえの脳内なんだろうけどwwww
作者様()今頃顔真っ赤にしてんだろ?
言い訳できねーだろ?ん?
なにこれコピペか?
まあここまで荒らしが来なかったのが不思議なくらいか。
1はアフィには転載禁止って書いてるよ
保守だね
楽しめればいいじゃん…
こんな流れスルースルー!!
今回はよくある展開かなーって思っちゃってます
しかもオアズケ!
>>1さん、今回はハードル高いですよー?w
続きゆっくり待ちます^^
>>1も生活あるだろうし自分のペースでゆっくり書きなよ
保守はぬかりなくしておくからさ
おばさんのカバンにはふわふわが一つ
カバンを叩くとふわふわが二つ
そーんな不思議なカバンが欲しい
そーんな不思議なカバンが欲しい
304の事は気にせず続けてくれ
俺はこのスレを毎日楽しみにしてるよ
確かに今回のはよくある展開っぽいけど、これだけたくさん書いてたらそう毎回面白い事は書けなくてもしょうがないだろ
プロじゃないんだし
>1のやりやすいペースで続けて欲しい
>>302 文字数制限と連投制限があって、オカ板は結構厳しい。
せめて何文字とか何分置きなら大丈夫とか分かるといいんだけど途中で食らうと結構焦る。
>>303 うり様
多分8歳。雑種。最近5キロを超えた。
たまにふたばで恥かしい写真をうpされてる。
生の魚よりもカツブシがお好みのご様子。
>>304 師匠シリーズ面白いな!
読んでてうっかり遅くなった。
同人誌は冬コミ受かったら艦コレ本出したい。
ちなみに場所は旧天城トンネルだよ。
>>313 ちなみに俺は気を悪くされてないよ。
きにすんな。
>>
まとめで申し訳ない。
俺がだらだら長文書いたせいで空気を悪くして申し訳ない。
自分で上げたハードルに躓きそうだけど
別に良いもの書こうと思ってないから(゚ε゚)キニシナイ!!
それにしてもオカ板の人みんな優しいな!
保守とか支援とかkskとかすごくうれしいけど
テキトーに続けてるから俺の事は本当に気にしないでくれ。
その中で誰か一人でも楽しんでくれる話があれば嬉しいよ。
>>1よ、前に「猫だけど質問ある?」というスレがびっぷらにあったんだが心当たりはあるか?
閉め切られた仏間。
線香の匂い。
揺れる蝋燭の火。
そこに滔々とお経が響いてる。
俺は普通の人間が普通に生活していて出くわす冠婚葬祭的な儀式以外はアニメやマンガの二次元世界と
それからSの突拍子も無いお祓いしか見た事が無かったものだから、とにかくT子の雰囲気に呑まれた。
向かい合わせでT子が得意の九字を切る。
女の子の一人がそれでビクンと身を跳ねさせた。
T子がその反応を見て低級霊が憑いていると言い出し、女の子が泣いた。
放置されていたAもまた泣きだしたけど、猿轡の所為でよく分からない。
その後塩をふりかけられて、ラベルの無い壜からお猪口のようなものに注がれた酒を飲まされ
その酒が不味いようなら霊障があると脅された。
何度も九字を切られ、印を結ばされ、お経のようなものを輪唱のように読まされた。
俺ともう一人の男は車の運転があったので酒を断ったが、舐める程度、といわれたので本当に舌先をつける程度で
勘弁してもらった。
代わりに火の付いた線香を項の辺りに押し当てられて根性焼きみたいな事をされた。
酒はまずくて、料理酒みたいな味がしたけれど黙ってた。
俺は低級霊に取り憑かれやすいんだか既に取り憑かれてるという事で、背中もバンバン叩かれた。
物凄い力で、女の子なら泣くだろうってくらいに痛くて、身体が崩れるとT子が低級霊に負けるなって感じに
松岡修造みたいな事を言って励ましてくれる。
お祓いなのか修行なのか分からない。
最後に酢が出てきたけど、それを何に使ったかはよく覚えて無い。
明け方近く、俺達のお祓いはようやく終わった。
唯一Aだけは何十体もの霊が憑いているとの事なので、この日はT子宅の仏間に泊まる事になった。
T子は神妙な面持ちで今夜は徹夜で付いていなければAの魂が乗っ取られるだか持ってかれるだか、
とにかくそんな事を言ったのでAがまた泣いた。
Aの事が気に掛かったが、こんなに本格的なお祓いというのは初体験だったので、その時は
T子に任せていれば安心なんだろうと自分に言い聞かせ家に帰った。
>>315 残念だが無い。
是非リアルで参加したかった。
連投規制って途中でレス入ったら回避なんだっけ?
それともデータ量依存だっけ?
何にせよ
>>1のレスに惚れたww
とりまリアタイ支援してみるわ
翌日の午後、運転手の男から連絡が来て、A子をT子宅から移送するのを手伝って欲しいと言われて付き合った。
家の近くまで迎えにきた男の車でT子宅に行くと、A子は更に悲惨な状態になっていた。
何があったのがびしょ濡れで、ぐったりしていてほとんど動かない。
そんな口元にかなり本格的な猿轡を噛まされていて、両腕と両脚をビニール紐で縛られていた。
これは流石に遣り過ぎだとT子に訴えたのだが、T子はAの為だといって聞かない。
暴れてしまい自分を傷付けるおそれがあるのでこうする事がAの為には一番良いのだそうだ。
とにかくこれでは流石に世間体というのもあるし、拘束だけは外してやろうとT子を説得し、拘束を外して車に乗せた。
後部座席に座ったAは親友とT子に挟まれずっとガタガタ震えたまま下を向いていた。
俺はT子の除霊道具をトランクに運ぶのを手伝ってから後部座席のAをチラ見して、前に肝試しに行って酷い目にあったキャバクラの女の子と似てるな…と思った。
何かに取り憑かれるとみんなこんな風になるんだろうかとは思ったが、Sの事には思い至らなかった。
>>318 ないか(´・ω・`)
たまたまその猫の名前がうりだったから、もしかしてと思ったんだww
急に悪かったな
Aの家は普通のマンションの一室だった。
その日は休日だったのか両親が居て、俺達は体調の悪くなったAを送ってきたという事になっていた。
T子ともう一人、Aの親友だという子が一緒だったので、それは両親も信じてくれたんだと思う。
何しろAは本当に病人のようで顔色も悪く、俺は両親が居てくれた事に安堵した。
ああこれで非日常的な事からAも俺も開放される。
多少おかしな言動をしても行き先は病院だろうし、滅多な事にはならないだろうと。
それから3ヶ月くらい経った頃だった。
また何かのイベントでAの親友とT子と一緒になる事があり、運転手の男も一緒だった。
俺達はファミレスで一緒に飯を食いながら、Aのその後について話した。
リアタイ支援
Aの親友とT子は、Aがまだ何かに取り憑かれたまま回復しない事についてAの心が弱過ぎるのだと愚痴り始めた。
夜中に奇声を上げたり、家中のガラスを割りまくったり、自殺未遂も何度か起したと聞いて俺はようやく事態が深刻なんだと思い始めた。
それでもT子達はビビッてる俺にニヤニヤしながら、白い紙に包んだAの髪の毛を見せた。
Aは腐女子の中では可愛い方で、ときメモとかTHとか制服系のコスプレが似合う女の子だった。
髪の毛は肩に付くかどうかくらいで決して長い方じゃなかったのを思い出す。
T子が広げた紙の上に置かれてるのは、そんなAが坊主になったとしか思えない大量の髪の毛だった。
2人はこれからこの髪をT子の家の近くの神社の鳥居の下で燃やして祈祷するのだとはりきっていた。
運転手の男から連絡があったのは、その2日後くらいだったと思う。
何とかSと連絡が取れないか、とにかく会って話がしたいという事だった。
俺達はまたファミレスで会って男2人で話す事にした。
運転手の男はとんでも無い事になったとガクブルしていた。
この辺の交友関係は厄介なので簡単に省略すると、このT子のグループはSと殆ど関係が無い。
T子ともう何人かの古参がSを知っていて、運転手の男もAもその親友もSとは面識が無かったと思う。
だからそいつがどこからSの話を聞いてきたかは知らないけれど、とにかくそいつはT子以外にAを何とかしてくれる相手を必死に探してたらしい。
そいつの話によればAは今、自宅の部屋に監禁されていて、T子から相当に酷い虐待を受けているらしい。
紙テープみたいなものにお経がギッチリ書かれてる物を両手両脚を縛り上げられたAの体に巻きつけて、お経の束でそれが破けるまで殴り続ける。
肌に直接文字を書き、その中の一文字だけを太い線香で焼いて読めないように焦がしていくとか。
当然痛くて声を上げると、布を口に押し込まれ、服を着たまま風呂場で冷水を浴びせられる。
3ヶ月、AはT子の前でしか入浴を許されなかったらしい。それも全部水。お湯を使うのは厳禁とされ、
便所に行く時はT子から1枚1000円くらいで買ったお札を口に咥えて行く。
お札は半紙に墨で書いてあり、それが滲んだり破けたりすると交換しなければならない。
だからトイレに行くたびに1000円でお札を買わされる。
熱を出したり体調を崩してAが苦しむとT子は喜んで「悪霊が苦しんでいる」と回復を仄めかした。
女こええ
支援
段々怖くなってきた
支援
規制入っちゃったのかな(´・ω・`)
しかし
>>1はいい意味で期待を裏切るの上手いなw
運転手は俺に「このままだと俺達殺人の共犯とかにさせられるかもしれない」と言った。
一緒にA子を運ぶの手伝ったので、もし自分が逮捕されたりしたら俺の名前もしゃべると言って脅された。
実はこの頃Sは高校を卒業し就職した先で任された仕事がとにかく急がしかったり、
ちょっとしたゴタゴタがあったので俺は連絡を控えていたのだが流石に逮捕と言われると話が違う。
忙しいのを承知の上で、Sの携帯に電話を入れた。
俺は自分の保身の為なら誰でも差し出す。
Sはこの話を聞いたら絶対に放って置かないだろうなって事も、仕事あるのに大変だろうなって事も気付いていたけど電話した。
Sは昔のように身軽ではなかったけれど、やっぱりほいほいファミレスに来た。
運転手のおごりの肉を食いながら事情を聞いたSは空いた皿を見て「食わなきゃよかった」って顔をした。
そして、嫌そうな顔で付き合いの長い運転手からなるべく多くAの話を聞いて、それからT子のイベントスケジュールを聞き出して運転手を先に帰した。
2人だけになったファミレスでデザートを食いいる間もSの携帯は鳴りっぱなしで、
それでも逮捕の言葉にガクブルしてる俺に向かってSは「大丈夫だよ」と言って笑ってくれた。
Aの両親への根回しだとか、T子の足止めだとか色んな準備があったけれど、割愛する。
とにかく次にT子がイベントに参加する日、運転手からの連絡を待ってSと俺はA宅に向かった。
「Aちゃんのお見舞いに来ました」Sはそのぬらりひょんのような性格でA両親の懐に入り、
俺はまた大荷物を持って付き添った。
支援だね
いよいよSさんの登場かーっ!! でも続きを楽しみに寝まする。
1さんお疲れ。おやすみ〜
Aはドアを開けてはくれなかった。
この部屋は、結界があってT子以外は入れない。
T子の許可無く誰かが入ったら俺もSも母親もAも悪霊に襲われる。
出るのもダメだとAは頑なにSを拒否したが、Sがそれじゃあ別にここでもいいよと素直に引いた。
それから今日は本当にお見舞いに来たんだ、と俺に持たせてたダンボール箱を開け、中から紙袋を二個取り出した。
「ふしぎ遊戯の最終巻出たから持ってきた。どうせここから出られなくて暇なら読んでるといいよ。気が紛れるから。
同人誌もあるよ」そんな感じだったと思う。
ドアがちょっとだけ開いた。
Aは、本当に可愛くなくなっていた。
髪の毛はどんな罰ゲームだよって感じになってたし、何より顔がむくんで黄土色だし、なのに物凄く痩せこけてみえた。
いつかのキャバ嬢と同じように、10歳とか20歳とか一気に老けた感じで、ああやっぱり何かに取り付かれると年食うんだな…と納得していた。
すまん、規制回避の為に教えて貰った
師匠シリーズ読みながら書き込んでたらこんな時間になっちゃったので
まさかの3夜連続になった。
あとうちのヌコ様と同じ名前のスレも気になったりしてたからすまん。
もう書き終わってるので明日早めに張るのから勘弁してくれorz
今
>>304に殺意を覚えた
折角S出てきたのにまた持ち越しかよ(# ゜Д゜)
それにしても
>>1がSと付き合ってないのが不思議だ
ちょいちょい食い物に釣られるとか泣いてるとことか可愛くね?
これ読んでるとSは
>>1の事が好きなんじゃないの?
俺もSみたいな子と付き合いたい
>>335 それは1さんが巨乳が好きだから…?w
Sさん登場で続き期待sage!
ほう、この分割俺みたいな欲しがりにはたまらんな
やっぱりSには期待してしまう
なるべく
>>1の負担にならないようにでいいので、続き、くださいw
>>335 俺もSみたいな彼女欲しい
>>1は巨乳好きなら俺にくれww
ヒンヌー好きな俺にはたまらんちっぱいペロペロ
そういえば前にやっぱりSって名前の女の子(女の人?)のシリーズが有った気がするけど別人?
話自体は覚えて無いんだけど確かその子も
>>1が好きで最後二人は結婚しましたみたいなオチだったと思うんだけど誰か覚えてる人いる?
乙!
これはS vs T子が勃発するのか!?
てかこのT子が、、、いや言うまい
>>1さん頑張れほすほす
T子は言っちゃ悪いがちょっと胡散臭いよな
心霊スポットが危険だってことや、こうなる恐れがあること分かってるんだろうから、止めてやればよかったんだろうけど、
スポット凸とかは若気の至りというか、仕方ないもんか。
このスレがまさかこんなに続くとは思わなかったよ
しかしよくネタ尽きないな
>>1はもう自分のブログかSNSでやればいいのに
悪い意味じゃなくこれが落ちるのはもったいない
今夜完結編かな
期待sage
>>318 むしろ全力で感謝する。
ウリ可愛過ぎる。
3歳は可愛い盛りだよな!
俺も今日タブレットの電源を入れて出社したが
特に新スレは立ってなかったorz
とりあえず煮干買って来たが見向きもされないorz
同じウリなのにどうしてだよ。
>>337 ほらよ、これが欲しかったんだろ?
焦らしプレイ好きとはツワモノの予感。
>>339 オカ板は初めてだしSとは結婚してないので別人だな。
>>341 俺は友達欲しかったから止める勇気が無かった。
チキンと思われるのはいいけど付き合い悪いと思われたくなかったんだ。
申し訳ないと思ってはいる。
そして支援、保守、kskレス感謝します。
今夜完結できるように頑張る。
しかし貧乳が許されるのは小学生まで!
Sは部屋の外からそれをAに渡した。
もしT子に見付かって没収されても気にしないでいいよ。ブックオフで買ったやつだから。イラスト集もあるよー。
そんな軽いノリでSはAと敷居越しにしばらく話した。
そこでAはしばらくコミックスを読み込み、Sは黙ってそれを見ていた。
コミックスを読みながら、Aが、怖いよ、とSに打ち明けた。
Sはうん、そうだろうね、と暢気に返した。
Aは何かが爆発したように、一気に自分に起こる恐ろしいことをSに向かってぶちまけた。
途中で泣き出したのでAの母親が遣って来たけれど、Sが大丈夫ですよ、とそれを制した。
怖いんだから泣くよそりゃあ、とSは赤ん坊が泣くのをシレッと見てるばあちゃんみたいな顔をしていた。
SはAを抱き締めて、Aがわかんないでしょ、わかんないでしょと喚くのを、うん、わかんない。ごめんね。
そんな感じでずっと聞いていた。つらかったね、大変だったね、怖かったね、でももう大丈夫だよ。そんな感じだった。
Aは泣きながらしばらくSを叩いたりひっかいたりしたけれど、やっぱりSはそれを黙って受け止めて、何も言わないでうんうんと聞いていた。
肝試しに行った事を叱りもしなかったし、何か特別な儀式もしなかった。
私の心が弱いから…と、Aが愚痴を言い出した。
女っぽい湿った長い話を最後まで黙って聞いていたSが、「だけど萌えでは負けないでしょう」とAに同人誌を差し出した。
渋谷まで買い付けに行ってきました!と運転手から聞きだしたAの贔屓のサークルの同人誌を何冊か差し出した。
もの凄いドヤ顔だった。
Aが笑って、Sも笑った。
大丈夫だよ。
Sが強く言って、Aは弱く笑った。
SはAに同人誌を作るのがいかに大変なのかと説明し出した。
覚えてる所だけでも書こうかと思ったけど、長くなったから削除した。
愛を込めてインクとペンでこれだけの手間を掛けて作った本というものは物凄い愛が注がれている。
だからこの同人誌は霊能者のお札よりもAには効果がある筈なのだとトンデモ理論を繰り出した。
「だってT子のお札見てても幸せじゃないでしょ。でもこれを読んでる最中幸せでニヤニヤするならそっちの方がいい」
「悪霊とかそういうのの事は私にまかせたらいいよ」「それは私が代わるから」
そんな所に話が着地し、Aは自分をより幸せにしてくれるものに縋るという事で話が纏まった。
(書いてる途中で遥かなる何とかだったかもと思ってググッたけどちょっと思い出せ無い)
Aは何か納得のいったようないかないような顔をしていたが、Sはまたくるよー、と気軽にAの元を去り、
今度は両親に向かってこの件は虐待・詐欺・暴行に当たると脅すように訴えた。
自分はこれから警察に行き、Aの保護を訴えるつもりだが、それではAも気の毒だから
両親がT子からAを引き離すつもりがあるのならしばらく様子を見る事にするが、何かあればすぐ訴える。
そんな事を滔々と弁護士みたいに冷静な口調で説得し、とにかく警察の世話になりたくないのならT子から離れなさい。
霊的な云々が心配ならば自分が坊主でも神主でも紹介するからと恐喝なのか説得なのか分からない話し合いをした。
A家はもうT子に50万近い金を払っていた。
Sは唖然として、戒名が買える金額だと憤慨し、T子に連絡し彼女自身に結界を解かせた。
T子は憤慨したが、Sは至って冷静に暴行と恐喝で訴えてもいいと一歩も譲らず、T子が自分で解かないのなら
「私は貴方のような知識は無いから無理矢理こじ開けてひっぺがす」と強気に出ていた。
Sは詳しい説明をしてはくれなかったが、そういう事をすればSもTもそれからAも無事ではすまないのが普通なのだそうだ。
つまりチキンレースにT子が折れて、結界を回収していったらしい。
そんなものがあるのならだけど。
Sは運転手と共に頻繁にAの元へ通い、深夜でも早朝でも仕事中でもできるだけAからの電話に対応していた。
忙しい仕事の合い間にAの家に行くのも大変だったと思うけど、Sはそれには一回も愚痴を零さなかったそうだ。
まるで恋人のように甘やかし、ただ同意して慰めて、Aを大事に大事に扱っていたと運転手から聞いた。
運転手もそのうちそれに協力し、どちらかがなるべくAからの電話に出るようにしていたらしい。
運転手は一度だけSの不思議な行為を見たと言っていた。
その頃Aは家の中なら自由に歩けるようになっていて、その日も皆でお茶にしようって事で
リビングに出た。
運転手はいつまでも来ないSを呼ぶ為にAの部屋に行くと、Sは部屋の壁に手を付けて、ぐるぐると部屋を回っていたそうだ。
それから、布を掛けた鳥かごをAの部屋の隅に置いていったらしい。
Aに部屋の中で一番怖いと思う場所を聞き、そこに鳥かごを置き、黒い布を掛けた。
怖いものが来たら、鳥かごの方へ行けって思えばいいよ、とかそんな感じで。
運転手やA達には、急に安心にはならないだろうから、部屋中がなんとなく怖い状態よりも
一箇所どうしても怖い場所を決めておいた方が良いと説明したらしい。
しばらくしてまた俺に車で送って欲しいというので、一緒にAの所へ行く事になった。
Aはちょっと疲れた顔をしていたけれど、おかしな目付きもしていなかったし、普通に見えた。
支援
遥かなる時空の中で?みたいな名前のゲームか漫画かがあった気がする
>>342 禿同
1000になったら終わりなんだもんな
ブログ作ってここで書いた話を移して、ネタが尽きない限りブログで続きも書いてほしいくらいだわ。
おお始まってた
今日も楽しみ
支援sage!
SはAの回復を喜び、俺に持たせた大荷物からコスプレの衣装を取り出した。
何かファンタジーなマンガの衣装だった。
Aはそれに目を輝かせ、とても嬉しそうにはしゃぎ、でも似合うかな、髪こんなだし、メイクしてないし…とか女の子みたいな事を言っていた。女の子だけど。
カツラもあるよ、とSがへんてこな髪形のカツラを渡した。
怖い時には着てるといいよと励まして、それからAの部屋から鳥かごのようなものを回収してきた。
Sはそれを揺すり、荷物の中からまた新しい鳥かごを取り出して交換した。
Aはもうすっかり元気になった様子で、ちょっと痛々しくはあったが、コスプレ姿を俺達にも見せてくれた。
両親の協力もあって、T子たちとは完全に縁を切ったと聞かされた。
夜は時々母親と一緒に寝ているのだと恥かしそうにSに告げると、
Sは「それはとても良い事だ。手を繋いでいるともっと良い」と母親とAを褒めて励ました。
もうちょっとしたら、家の外にも出られるよ、とか、どこだかへ遊びに行こうとか、そんな感じで。
俺とSの所にはT子から呪いの電話や手紙が来たが、そんなに怖くは感じなかった。
悪霊を自在に操るというT子より、俺はすぐに警察と弁護士と病院に電話し始めるSの方が怖いと思った。
帰りの荷物は鳥かごひとつだったけど、俺は何となくSに申し訳なくてそれを預かった。
金属でできたそれは凄く重くて、車まで戻る間にどんどんどんどん重くなる。
両手で持って居ないと落としそうになるくらい安定もしなくて、Sに手渡してから掌を見ると、
5ミリくらいの幅の真っ赤な痕が中指から薬指まで横切っていて、何だか嫌な予感がしてSを見た。
Sはごめんね、とすまなそうに俺を見た。
Aの家を振り返ってすごくすごく疲れたように助手席のシートに背中を沈めて鳥かごを膝の上に抱えて目を閉じた。
T子に任せておいた方が良かったのかもしれないと珍しくSは弱気に言った。
前にも書いたけど、Sはスーパー霊能者ではないので、こういう事はT子の方が適任なのかもしれないのだそうだ。
それがどんな手段であっても、何百万円掛かっても。
せめて髪燃やす前だったらなぁ…と呟いて鳥かごを撫でた。
俺が鳥かごだと思ってたものはネズミ捕りだとSが笑って、覗かない方がいいと膝に抱えた。
それからSは眠ってしまった。
シートベルトに固定されても、スラパイが拝めない。
その膝の上で大きなネズミ捕りが車の動きに反してガチャガチャと余りに煩く鳴るものだから
信号に引っかかったついでに俺は布を捲って中を覗いた。
中は空っぽで何にも入っていなかった。
底にはSの名前を書いた汚い紙がセロハンテープでくっついていて、何も入っていないのに
その紙はぐしゃぐしゃで、まるでネズミが食ったような小さな歯型で一杯だった。
苗字と名前の間に小さな赤黒い汚れがあって、血なんだなって事がすぐに分かった。
多分あれはちょっと前までSがいつも作るテルテル坊主だったんだろうと思うけど、
今は頭の丸い部分と、名前を書いた胴の一部しか残ってなかった。
ああ、「代わる」ってこういう事かと俺はゾッとした。
俺はあの時、T子とSが代わるって意味だと思ってた。
でもSにそんな力なんか無いって最初からどこかで分かってた。
いつもSは自分にはT子みたいに除霊したり対話したりの能力は無いと言ってた。
だからSは、Aと「代わった」んだとようやく気付いた。
>>350 342じゃないけど禿同
正直ここで書いてるのが勿体ないんだよ
シリーズ総合とかの本スレで書いてくれたらと思うよ
今は特定作者ばっかりで過疎ってるし
>>1の話はバリエーション多いし文章も面白いから
ここが1000で落ちるのはおしい
Sはその後も何度も何度もネズミ捕りの交換の為にAを訪ねつつ、最終的にT子が髪の毛を燃やした神社と同系列で
神主の居る場所を探し当て、そこへAを連れて謝罪に行って〆としたらしい。
結局何が一番効果的だったのか分からないけれど、Aも今は幸せに暮らしている。
心療内科だか精神科だかには通っているけれど仕事もしてるし運転手の男と何年か前に結婚もした。
二人共T子の事は恨んでいるが、Sには特段の感謝をしていない。
Sはゆっくりとフェードアウトするように自分の立場を運転手の男とシフトチェンジしていったので、
Aの中であの時自分を助けてくれたのは運転手の男という事になっているのを結婚式の二次会で聞いて、
俺はちょっとだけイラッとした。
俺は納得できなくてSに捲くし立てたが、Sはそれが一番良いのだと言うからきっとそうなんだろう。
T子は今も霊感商法を続けているが、余り儲かってはいないらしい。
それでも普通に実家で暮らしてる。
>>349 今ググッたらそれかもしれない。
コスプレの衣装はこっちに近かった気がする。
でも持ち込んだのはコミックスだったんだよな…。
とりあえず今夜中に完結できてよかった。
明日は来られたら書く。
それからログを気にしてくれてる人には感謝するけど
正直2chでこんなに持ち上げられるとその方が怖い((((;゜Д゜)))
保守とか支援とかkskとか全部嬉しいけど
褒め殺しだけは勘弁してくれorz
ひそかな夜の楽しみとかそのくらいなら許す。
あとおっぱいとぬこの話はいつでも受け付ける。
でも読んでくれるのは本当に嬉しいよ。
ありがとう。
Sが…Sが人間として立派すぎて…
こんなこと自分じゃ出来ないけど普段のことはせめて頑張ろうとなんか思った
>>1乙!
三夜連続楽しませてもらいました
いや、毎晩ですありがとう
Sも毎度乙!と言ってみるw
身代りもよく使うS寿命縮んでない?元気にしてるんでしょうか?
>>1乙!
Sが切なくて泣けた(´;ω;`)
俺も明日から本気だす
そして
>>359に禿同
>>1の話ってさ、毎回登場人物の安否情報くれるのに
Sだけ無いのはまさかな…まさかだよな…!?
Sのおっぱいが犠牲になっていたのか。
貧乳ではなく賓乳だね
保守だね
>>1はアフィへの転載は拒否って書いてるけど
まとめはどうなるの?
まだ300で話すのは早いかもしれないけど2ch内転載とかまとめには載るんじゃないの?
俺は何かの形で残して欲しいな
とにかく3日連続乙でした!
今回も楽しませてもらいました
今日はお休みかな?
ほしゅほしゅ
雰囲気読まず保守
【コミュニティの一生】
面白い人が面白いことをする
↓
面白いから凡人が集まってくる
↓
住み着いた凡人が居場所を守るために主張し始める
↓
面白い人が見切りをつけて居なくなる
↓
残った凡人が面白くないことをする
↓
面白くないので皆居なくなる
これを貼れといわれた気がした
こうしてオカ板は衰退していくのか…
今3番目かな?
本スレに比べたら荒らしなんかほとんどいないしこれで逃走とかどんだけメンタル弱いんだよwwww
聞いてくれって言い出したのはスレタイ通り
>>1なんだから責任取ってちゃんとオチつけるべき
>>362 アフィ=まとめ(という名の無断転載)なんだが
>>362 こないだの著作権うんたらで作者(ここなら
>>1)が嫌だと言えば
おまいらの好きなまとめサイトには転載できなくなったんだよ
だからこのスレが圧縮やdatになったらもう読めなくなるってこと
普通の作者()はまとめ載りたがるのに必死なのにそんなこと言い出すから荒れるんだろ
俺だって楽しみにしてるんだぞ
今からでもアフィ入れて貰えよ
勿体ないだろ!
ま。なんだ
保守だね
なんだこの流れ
転載拒否されたアフィが暴れてんのかww
まあまあ
茶でも飲みながらのんびり
>>1の帰りを待とうぜ つ旦
>>1はもう帰ってこないのかな
もっと
>>1とSさんの話を聞きたかった(´・ω・`)
【このスレの一生】
面白くない人が面白く無いことをする
↓
面白くないけど人が集まってくる
↓
集まった人が意見を言い合う
↓
面白くないやつがいい気になる
↓
面白く無いやつが面白く無いことに気付かれる
↓
面白くないので皆居なくなる
近所に結構でかい川がある。
その河川敷をSを交えた何人かでぶらぶらと歩いてた。
理由は何だったのか覚えてないけど時間は夕方で、女の子が誰か夕焼けが凄く大きく見えるとはしゃいだ声を上げた。
俺もそれを見て、太陽ってこんなにでかかったかなぁとか、そんな事を考えながら、また前を向いて何歩か歩き出した頃、誰かが「顔に見える」と言い出した。
それは別に何か怖そうな口ぶりじゃなくて、月の凹凸がうさぎにみえるよというような軽い感じだったので、
俺は何の覚悟も無く振り向いた。
ぼやけた輪郭のでかすぎる夕日と同じ場所に、人間の顔がぽかんとあった。
俺達は呆然としてそれを見上げた。
ただでさえでかいなぁと思ってた太陽と同じ大きさの人間の顔なんかあるわけが無い。
だけどその顔はそんなに近くじゃない場所で遠近法とかをまるで無視して、とにかくそこに浮いてた。
顔は角田に似てた。
色黒でてらてらしてて、髪はあったかどうかも覚えてないけど、口周りに髭っぽいものが生えている。
首は無かった。
最初は目が閉じてたように思うけどよく覚えてない。
気付いたらそいつは目を開けてていて、それからゆっくり口を開いた。
口の中は真っ暗でよく分からないけど、何かがチラチラ動いてた。
全員がもう足を止めてそのでかい顔を見てたと思う。
ただそいつがはっきり見えてるやつと、ぼんやりとしか見えてないやつがいるようで
最初に顔に見えると言い出したやつが場違いな位にはしゃいだ声で「ね、ね、顔に見えるでしょ?」とか
そんな感じで体に触ってくるのがウザかった。
俺はSと一緒にいる間、こんな感じのものを何度か見たけど、怖い事は何度有ったって怖い。
自分の理解できないものをつきつけられて段々頭がおかしくなってるようなそういう感じで
見ているそのものが怖いのか、そんなものを見た自分が怖いのかがよく分からなくなってくる。
支援
口がゆっくり、顎が外れるんじゃねぇのかと思うくらい開いた。
頭に少し角度が付いたのか高さが変わったのか、さっきまで見上げるような感じだったのが正面に来たけど、
遠かったし、
別の女の子がSを呼ぶ声が聞こえて、その子は「だるまみたいな物がみえる」とSに言っていた。
Sはどのくらいの間か、その子と、それから顔みたいに見えると言ってた子と話をし、
唐突に「年越しの瞬間とかにジャンプして、今俺は世界に居なかった」っていうのをしようと出だした。
日没の瞬間なんてそんなに見られるものじゃないから、その瞬間にジャンプしよう。
そしたら夜にならないんだよー、とか、そんなんだったと思う。
顔が良く見えないやつらはSの提案を笑っていたが、顔が見えているやつはその提案をすぐ飲んだ。
その場所からは川が真っ直ぐに伸びていて見晴らしがよく、
山間に沈む太陽の、うすぼんやりとした下側が今に吸い込まれるようにちょっとだけ伸びて山のどこかとくっつく。
その瞬間にジャンプだよ、Sはまるでリア充のように左右のよく見えない子と手を繋ぎ、何度か練習し、
「ジャーンプ!」Sの掛け声で見えるやつも見えないやつも一斉に飛んだ。
人間がそんなに高くジャンプしてられる訳が無いから、ほんの一瞬だと思う。
俺と何人かのガッツリ見えてるやつだけが、ずるをして川の堤防のちょっと高いところから飛び降りるという技を使った。
Sによれば、太陽がくっつく瞬間に足が地面に付いていなければいい、という事だった。
S達は川原ではしゃぐように跳んだ。
俺も跳んだ。
その瞬間に角田の口の中でチラチラしていた真っ黒いような、赤いような、俺の表現力では言い表せない
気味悪い色の何かが溢れて、一瞬で足元を飲み込んだ。
ジャンプした足元スレスレを炎なのか水なのか分からないものが物凄い速さで山から海の方へと駆け抜けていく。
はっきり見えていた女の子がガクガクしながらあんな事で大丈夫だったのか、あれは何なのか
そして自分はどうなってしまうのかSに聞いていた。
俺もそうしたかったので、彼女にちょっと感謝した。
Sは「夜だよ」と普通に言った。
夜が来たんだよだからもう帰ろう。
触らなかったんだから大丈夫だよ、毎回そうだけどSは何だか分からないものに
何だか分からない対処をするので、俺達はそれが何だったのかという検証をしながら帰った。
この空気の中で平然と戻ってくるとかww
とりあえず支援しとく
その夜一人だけ冷え性に悩まされた男がSに電話してきた。
あの時そいつはガッツリ顔が見えたので、写真に撮ろうとカメラを構えていたのだそうだ。
この頃既にカメラ付き携帯があったかどうか覚えてないけど、写真が真っ黒だったという事だけは聞いた。
帰り道までは何でも無かったが、家についしばらくすると段々足が冷たくなってきて、
風呂に入ってもどうしてもとにかく足がふくらはぎの真ん中あたりまで冷たくて冷たくて仕方が無いのだそうだ。
痺れるような冷たさは痛みに変わって、痛くて冷たくてSに電話したらしい。
Sはそいつに「ばかだねぇ、信じないなら最後まで信じなきゃいいのに」と笑い、
そいつの足の裏と自分の足の裏に何か文字を書き、踵から合わせ、それから湯船に少しだけ湯を張り
浴槽に二人腰掛けて同じお湯に足を浸した。
Sはガクブルしているそいつの足に湯を掛けて、適当な頃合で部屋へ戻ると朝日が出るまでそいつの足を撫でていたらしい。
Sの手はとてもあたたかくて、いつの間にかそいつは眠ってしまったそうだが、何度か冷たい手に足を掴まれる夢をみた。
夢の中は真っ暗で、そいつはそれを凍った沼の中のような場所だと表現していた。
そこから何本も手が生えていて、物凄い力で自分を沼の底の方へとひっぱり込もうとするのだが、
必ず途中で足の裏からじんわり暖かいものが込み上げてきて、手は次々に剥がれてくそうだ。
そんな事を繰り返しているうちに朝が来たらしい。
早朝叩き起こされた後、Sの指示によりそいつは太陽に足の裏を向けて午前中日向ぼっこして過ごしたらしい。
治るまで付いててくれと縋ったが、やはりSはバイトに出掛けてしまったのだと憤慨していた。
昼過ぎになる頃には足の痺れや冷たさも落ち着いてきて、夜にはすっかり治ったものの、
夢だけは暫く見続けた。
真っ暗な沼の中で冷たい手に引き擦り込まれそうになる夢。
けれどその度に足の裏から段々と暖かくなっていき、足を掴む手はひとつひとつ離れて沼の底へと逃げていく。
1週間程でその夢も見なくなったそうだけど、そいつは今も夕方になると足元が寒くなるので一番怖いんだそうだ。
レス付けたかったけど、何にどう返していいか分からんのですまん。
お茶はありがたく貰ってく
且⊂(゜∀゜*)ウマー
支援とかkskとか保守とか本当にありがとう。
読んでくれるだけで嬉しいけどレスも嬉しい。
色々と偉そうに言って申し訳ない。
でも黒歴史なんでアフィは勘弁してくださいorz
今日も乙!
Sほんと優しいし頼りなるね
今結婚してるとしたらいいオカンなんだろうな
あと
>>1の
>>377は間違っている!面白い!
このスレがどんな一生を辿ろうとも見守ります
>>377ワロタ
俺も1000まで見守るからな
支援保守
Sは本当に優しくて頼もしいな
でも俺は
>>1の人柄も好きだ
支援sage!
リアルタイムで見たいけどいつもタイミングが悪い
今日は遅いのかな(´・ω・`)
レスありがとう。
1000まで続けられるように頑張る。
いつも遅い時間で申し訳ないが深夜アニメとだいたい同じだと思って諦めてくれ。
たまには早い日もあるよ。
あと頼もしいSへの嫉妬から今日はSが頼りにならない話を置いてく。
キターキターワァー
∧_∧ ∧_∧
('(゜∀゜∩∩゜∀゜)')
O_ 〈 〉 ,_O
`ヽ.) (_/´
嫉妬!?
Sとぶらぶら歩いていたら、道路で犬が死んでいた。
俺が気付いた時にはSはもうスタスタと横断歩道でも渡るみたいに道路に出ていて、
車がクラクションを鳴らしてSと足元の犬の死体を大きく避けた。
Sが手招きするので、俺はSの代わりにそこへ立ち、嫌々ながらなるべく足元を見ないようにして車を誘導した。
Sは近所のコンビにでペットボトルに入った水と、それから求人誌かなんかを買ったのか貰ったのかしてきて、
もう何度か引かれてスプラッタな犬だったものを掬うみたいにして歩道に上がった。
血だまりがある場所へ水を捲き、俺も歩道に上がらせて貰った。
Sは残った水を少しだけ犬の鼻先か口元かに掛けてやり、それから両手を合わせてじっとしていた。
この時俺達は何人かのグループでカラオケか何かに行く途中だった。
一緒に居たT子は顔を顰めて「犬や猫にああいうことをすると取り憑かれる」動物霊はどうのこうのと言い出してSの行動を非難した。
他の子達も気持ち悪いとか、偽善者だとかそういう感じでSから離れた。
俺はT子の言葉を真に受けて、そういうのは偽善だよと偉そうに言ってSから離れた。
Sはコンビニで保健所かどこかに連絡を付け、回収車が来るのをずっと待っていたそうだ。
スプラッタな死体は、何時間も経ってからやってきたトラックに回収された。
役所の人と、Sとが手を合わせてそれを見送ったらしい。
リアタイ支援!
…嫉妬!?
それからしばらくして、Sの側に犬の気配がするようになった。
俺は子供の頃にじいさんの家で犬を飼っていて、その犬が茶の間の外から中を覗いているのとよく目が合った。
そういう時は気配があって、だから俺は幽霊がいるかどうかは分からないけれど、
犬が側にいたら分かる犬探知能力には長けてると思う。
たまにマンションの上の方のベランダだとか、車の中とか、変な所に犬がいても、何となくその視線というか
気配があって、そっちを見ると必ずどこかに犬がいるから多分ちょっとした霊感よりは確実だと思う。
だからSに憑いている犬の気配もすぐに分かった。
時期的に多分、あの道路の犬だろうなと零感の俺にも分かったので、それをSに伝えると、
ちょっと複雑な顔をして「困ったねぇ…」と余り困った風でも無くいつものように笑って言った。
T子はSに動物霊はすぐにお祓いをするべきだと熱心に勧めたが、Sはそれを全部拒否した。
それどころかSはその犬に名前を付けて、コロと呼んだ。
昔飼っていた犬の名前で、とにかくSにだけは懐かず突如急所を狙って攻撃してくる素晴らしい犬だったそうだ。
Sには聞こえないそうだが、俺は時々Sの後ろを歩く犬のカッカッ、という爪がコンクリに擦れる音を聞いたし、
尻尾を振りすぎてバタバタ言うような音も聞いた。
何より物凄い犬の気配がSの側でした。
Sは、その犬にいつも「近づきすぎたらだめだよ」と注意しながら見えない犬との生活を満喫しているようだった。
その内にSの犬はT子や俺には鮮明に見えるようになっていた。
白っぽい柴犬のような、だけどいかにも雑種だなぁと思うような顔をしていた。
他にも何人か、なんとなく犬の気配を感じたり、犬に吠えられたりとかそんな事が起きたから
もしかしたら本当に犬はいたのかもしれない。
わくてか
こういう話は、大抵その犬にSが何かしら救われるんだろうけど、Sは交通事故に遭った。
犬助けろよ!と俺は思ったが、Sは全く気にせず、まるでその犬が本当に存在しているように
「コロが無事でよかった」と暢気且つ電波な事を言っていた。
それからSはしょっちゅう危ない目に遭った。
よく生きてるなと思うような事故にも遭った。
T子が本気で除霊を勧めてきた。
俺も皆もかなり真剣に説得したが、Sは頑なに嫌だと言って聞かない。
俺達は本気でSがこの犬に憑依されたと思い始めた。
そんなある日、Sが俺の手を握り、コロって呼んでと言い出した。
俺はかわいそうなSの為に「コロ」と大人しく犬の気配のする方に向かって呼んでみた。
犬が近づいてくるような気がするとSに伝えると、Sは手を離し「そうか」と言って帰って行った。
次にSに会った時、Sから犬の気配がしなくなっていた。
犬はどうしたのかと訪ねると、Sが小金が貯まったので寺に行ってきたのだと言った。
その頃はまだペット供養なんてものは珍しかったが、何件かの寺ではそういうものにも手を出していた。
山の上の、大きなお寺だったそうだ。
高校生だったSはバイトで貯めた数万円を握り締めその寺へ行き、何人かの愛犬家の人達と一緒にコロの葬儀を行ったらしい。
坊主まるもうけだなと俺が言うと、Sは坊主も食わなきゃならないからなぁとニコニコしていた。
俺に何度もコロはもう居ないか呼んでくれというので、俺は「コロ」と何度も何度も呼ばされた。
やっぱり犬の気配はしなかった。
それを伝えるとSは更に大喜びして「よかった」と泣いた。
Sには見えないのかと訪ねると、Sは「犬は鏡を見ないからね」と当然のように呟いた。
鏡を見ない犬は「犬」という形は取れるが、生前の姿を維持する事は滅多にないのだとSは呟いた。
だからその犬にコロという名前を覚えさせてからでなければ成仏させてやれないらしい。
Sは犬だの猫だのを拾ってくる度これをやるので出費が追いつかないと嘆いてもいた。
だからやっぱりSには特別な力なんか何も無くて、実はただの厨二じゃないかと思う事がある。
まさかオカ板で泣かされると思わなかった
Sは人間として立派すぎるよ(´;ω;`)
Sなら自分で成仏させてあげられないのかな?
、、、、ん?う?書き込んで大丈夫かの?
今日も乙!
って無理やり私怨に持ち込んだー!
いくら
>>1さんが話うまくても最後の数行でSの印象悪くするなんてできませんからね!w
俺も様子見てたw
乙です
>>1のSへの畏怖と尊敬とその他の感情が伝わった
前回の前の話か?T子も気になる存在だ
もう終わったかなかな?
>>1さん乙です
今夜のはSがいい子過ぎて切ない
でも私もSみたいに生きたいなぁ(*´∀`)
てかいくらなんでも最後数行でネギャキャンは無理だよww
>>1は文章が本当に上手いな
それにリアルとオカルトの采配も上手い
俺は0感だからあんまりすごいのは想像つかないし
ぶっちゃけインチキっぽいけど
>>1のは生活感があってリアル
次が楽しみ
今日も楽しく読めた 保守だね
俺はリアルタイムでは読めないけど毎日昼休みの楽しみにしてる
Sの事聞くと午後頑張ろうってなるよ
今日も面白かった
>>1乙
大金もらって霊に干渉するT子にしたら、Sの犬への行動は目障りなくらい偽善的な行為なんだろうな
>>1は零感じゃなくね?
犬の気配を掴めるのをSも認めてる
定期的にT子みたいな事言う奴いるよな
犬好きな俺にはSは天使だよ
ただここまでしてくれるならちゃんと埋葬までしてくれたら完璧だった
やっぱり生ゴミ扱いは切ない
>>413 犬、猫の事故ってキリがないのがはっきりしてるから
優しいSはホントに辛かったのかなーと思ったり
>>413 犬飼ってたSは死んだ生き物をそこらに埋葬しちゃ駄目って事を知ってたんじゃないか
普通飼い犬が亡くなったら金払って火葬か保健所だよ
>>412 霊感って犬の霊オンリーでも主張していいのかな。
俺犬だけだったら分かるんだよね。多分。
でも猫は生きてる筈の自分の猫ですら居るのか居ないのか分からないorz
台風来てるのにうちの猫がみつからねぇよ!
家猫だからこの家のどこかに居るはずなんだけどなぁ(´・ω・`)
しかもSのネガキャンに失敗した挙句天使とか呼ばれてちょっと泣いた。
でも読んでいただいてるだけでもありがたいです。
レスとか保守とか支援とか本当に嬉しいです。
だかもう一度Sのネガキャンしてから書き込む。
あいつ動物に嫌われてるんだぜ。
猫とかもう半径1メートルにも近寄らない。
鳥に襲われる。犬には噛まれる。ハツカネズミやうさぎにさえ噛み付かれる。
馬とサルだけ懐く。
そしてまた長くなったので3夜連続ですみません。
年下のYとはじゃまーるとかいう雑誌の文通コーナーで知り合った。
同じミュージシャンが好きで、且つ他県から静岡に来たという境遇も同じで意気投合し、半年程で一緒にコンサートに行くくらいまで仲良くなった。
無口で無愛想でいつも不安そうな少し怖い目をしていたけれど、若者っぽいちゃらちゃらした雰囲気を
持っていなかったし、俺はYが自分と良く似ているように感じていたので特段気にした事は無かった。
彼も俺と同じように友達は欲しいけれど人見知りだし、凄く我侭な話ではあるが、自分の機嫌を損ねない
そこそこに賢くて気遣いのできる自立した、そして何より自分を理解してくれる奴にウザく無い程度の積極性でアピールされて、
「お前面白いな」とか云われたりして、できれば何かのタイミングで「俺ら友達だろ」とか言われたいという厨二に相応しい夢を持っていた。
その場所は少なくとも飲み屋のレジ前とか、ATMの前ではなくて、欲を言うなら此方が困っている時に言って欲しい。
お互いにもう成人しているというのに、いつまでもそんな希望を持っていた。
こんなだから俺にもYにも学生時代からの友達というのは一人も居ない。
お互いを何となく牽制しつつ、どちらも「俺ら友達だろ」と言わせたいと願い、何十回となく
「俺は友達居ないから」と言いながら2人で出掛けた。
じゃまーるでは他にも何人かの返信があったが長く続いたのはYだけで、他は何となく自然消滅していった。
そんな感じでYとの微妙な友人関係が続いて1年程経った頃、Sが富士急ハイランドだったか小田急ファミリーランドだったかに誘ってくれた。
人数が多ければ多い程安くなるプランのようで、俺はYをそれに誘った。
意外な事にYは快諾し、それどころか青春の思い出に大勢と旅行なんて楽しそうじゃないですかと何だか心配になってしまう程に乗り気だった。
Sとその友達の女、Sのサバゲ仲間だかバイト仲間に囲まれて計8人くらいの小旅行。
その日のYはテンションが高く、他の奴らにも煽られながら俺達はまるでリア充のような時間を楽しんだ。
おっ始まった。C
その夜、俺達は貸し別荘に泊まる事になっていた。
遊園地で遊び倒して、花火見て、皆で支度した飯を食い、酒飲んでシモネタを言って笑い合う。
普通の事だけど、俺とYには特別な時間だったと思う。
そんな飲み会の最中に、ひとりひとりが自分の武勇伝のような物を語り出し、俺は風俗ネタで笑われた。
他の奴らもだいたいもうシモネタがDQN自慢かのどちらかだったが、Yが突然怪談でも始めるような声でY家の歴史を語り始めた。
俺はもちろん全員がその話にちょいちょい茶々を入れつつも黙って聞いた。
長い話だったが、要約するとこんな感じ。
Yの家は戦国時代まで家系図を遡れる。
元々は飛騨の辺りに住んでいた庄屋で武家では無いが立派な家柄だったらしい。
それが江戸時代になり、幕府だか朝廷だかから農業を教えて欲しいと直接頼まれ、江戸を経て
越後から陸奥の辺りへと移動しながら効率の良い稲作を教えて歩いていたんだそうだ。
とにかく稲作についてY家は腕が良かったらしく、あちこちの藩からひっぱりだこで、じゃんじゃん稼いだ。
最終的に館林の辺りに落ち着き、今でも本家にはでかい蔵があり、鑑定団に出せば凄い額がつくようなお宝がいくらでも
眠ってるとか、そんなような話だった。
リアタイ支援!
そこまではちょっと変わった自慢話だな…と思って聞いていたのだが、話の最後でYの顔がちょっと険しくなって
それから気味悪いくらいニヤニヤ笑いながら手に持っていた酒を飲み干して机の上にバン、と置いた。
「俺ね、爺さんからも親父からも日本酒は飲むなって言われてるけど、今日初めて飲んでやった」
ドヤァアアって感じのYに対して流石に俺も、他の奴らもへー…としか反応できず、ぽかんと見ていた。
その反応にYは恥かしい!って感じで急に赤くなり、言い訳っぽく「絶対にダメなんですよ日本酒飲んだら!」
「それはも江戸時代とかから決まってて…くぁwせdrftgyふじこ」って感じにしどろもどろだった。
Sだけがちょっと心配そうにYを見て「君はおじいさんがケチだったという話を聞いた事が無いか」と訪ねた。
Yは話しかけてくれたSに救いの神って感じの視線を向けていたものの、さあ…とかどっちかっていうと金持ちなんで…とか、そんな皆を微妙にイラッとさせる対応をして、何となく場の空気が悪くなったまま宴会はお開きになった。
女子はロフトで、俺達はリビング横の寝室2部屋に分かれて眠った。
俺は枕が代わると眠れないので、その日も中々寝付けずに、ようやく眠れたと思ったら早朝近くに目が覚めた。
隣のベッドには人影が無く、ああYが便所にでも立つ音で目が覚めたのかなと思ったのだけど、いつまでもYが戻らない。
俺も便所に行きたくなって寝室を出た。
久々にスレタイ詐欺って無い
でも痛々しくて泣ける(´;ω;`)
リアタイきた!
何だか嫌な気配がする。
幽霊とかじゃない。
零感の俺でも分かるゾッとするような気配に足が竦んで、その場で俺は動くのをやめた。
全身の神経を集中させて、必死に気配を探ろうとしつつ、悩んだ末に半歩戻って寝室の電気をつける事にした。
電気の付く独特の音の後でブゥウウンと絶対聞きたく無い音がした。
リビングの床に、壁に、無数の虫が蠢いている。
無数っていうのは言い過ぎかもしれないけど、ゴキブリだけで数十匹は絶対に居た。
とにかく虫だ。
カサコソ蠢いてた虫が、俺が付けた明りに驚いたのか興奮したのか動きを早めて、ゴキブリを含めた飛ぶ系の虫が
俺目掛けて一直線に飛んでくる。
もの凄い声が出た。何て叫んだかなんて覚えてないけど、とにかく隣の部屋で寝てた奴らも起きてきてもう大騒ぎになった。
俺はゴキブリが苦手だ。フナムシも苦手だし、ゴカイもムカデもバッタも苦手だ。
隣から出てきた男も大体全員が叫んだし、ロフトで目を覚ましたらしい女の子だけが何が起きたか分からないようで
不安そうに何があったのか聞いてきた。
誰かが「ゴキブリが居る。それから何かでっかい虫」と彼女に伝えると、それだけで彼女はひぎぃみたいな声を上げ、
必死にSを起こそうと名前を呼んだ。
あ、ゴメン書き込むの忘れた。
【グロ】虫注意【ゲロ】
いくら呼んでもSは目を覚まさないようで、女の子が泣き声交じりにSを呼んでいた。
ロフトの上にも虫が居たかどうか分からないけれど、とにかく俺達の足元も壁にも虫が湧き出したとしか言いようの無い
物凄い数蠢いていて、みんなどうして良いのか呆然としつつ飛び交う虫を避けるだけで必死だった。
ふと、Yが居ない事に気が付いた。
例え便所にいるにしたってこれだけの騒ぎになったら出てくるだろうし、便所の中にもこんだけの虫が居たんなら
俺ならもう漏らしてもいいから飛び出してくるような状態なのに、Yの声が全然しない。
「Yが居ない」と俺が叫んだが、誰もそんな事気にする余裕なんか無い。
そういえば…と、男のうちの誰かが言った。
「使ってない別荘って物凄い数のゴキブリが居て、夜電気消した途端に食べ残し狙って出てくるって聞いた事ある」
「そういえば俺は赤ん坊がゴキブリに食い殺された話を聞いた」
これでまた一同がパニックになった。
ゴキブリに噛まれると痛いらしい、という誰かの言葉から、じゃあ100匹ゴキブリがいたら人間なんかもう勝てないんじゃないか…とか、もうそんな話になってきた。
ロフトの上からは相変わらず女の子がSが起きないと泣きながらSを呼ぶ声が響き、室内はもう例えようの無いパニックだった。
女の子が誰か来てと叫び、隣の部屋の男が勇敢にもロフトに向かった。
縦横無尽に何の予告も無く飛び交うゴキブリやら何だか分からない虫をひいひぃ言いながら避け、薄暗いリビングでロフトへ向かう階段を上がると、そいつはSを「地震だぞ」と叫んで起した。
常日頃東海地震を恐れているSはそれで飛び起き、しばらく状況が飲み込めないように呆然としていたものの、
すぐに階段をちょっと下り、リビングの床やら壁の状況を見ると立ちすくんでいる俺達に「火事かもしれんから台所へ確認に行け」と難題を押し付け、自分はフェイスタオルを一本持って階段を下りてきた。
隣で寝てた4人の男と照明を付けるかどうか話し合い、結果これ以上刺激しないよう明りは付けない方向に決め、
台所へ偵察に行った奴から火事ではない事も聞かされた。
そいつの頭や肩口をカサコソしているゴキブリを素手で叩き落としたSは、Yがどうしているのか俺に尋ねた。
俺はそんな事よりゴキブリを素手で触る女というのに愕然としてそれはゴキブリですよと伝えたが、
Sはゴキブリが怖くては食品工場でアルバイトする事などできませんよと冷静に答え、
フェイスタオルを昔の過激派みたいに顔に巻き付け、一人でYを探しに出掛けた。
Sが頼もし過ぎて全員が静かにSを見守っていた。
今日はこれで終了して猫探してくる。
あとこれ注意喚起願います。
【グロ】虫注意【ゲロ】
ぬこたん見つかるといいな
しかし
>>1のSに対するネガキャンは
>>429で自滅しとるよ
本当に頼もしいわww
抱かれたい( 〃▽〃)
>>1さんは静岡ですよね?
台風とか心配してます
猫ちゃんも早く見つかりますように(=^ェ^=)
Sさんは私に似てる感じがする
私もオーラや霊がみえたりするのね。
それに困ってるひとがいたらついたすけちゃうのとか有名だし。
私は自分のペットは家族だと思っちゃうし、ちゃんとお墓にしてあけたいから汚れてもいい服を着て公園とか学校や花壇のすみっこにお墓作ってあげるけど。
ショコラは子供もお友達も大好きだったからごみに出すとか信じらんない!
お友達が言いたかったのはそうゆーことじゃない?
これは経験が無いとできないからもう少しだと思う
アア、なんだ
続編期待sage
猫無事か?
保守だね
>>413 一気に読んだが定期的にT子みたいな事言う人なんていたっけ?
>>411の事を指してるなら文盲を疑ったほうがいい
>>438 ここでの話じゃなくて一般的に生活してるとT子みたいなヤツがたまにいるってことでしょ
今更だがトリップ賛成
年内にはスレ使いきるペースだしな
何つーか、俺の中でのSのイメージは某アニメの
「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
なんだが・・・
どんだけ
>>1が嫉妬してもSに惚れた
S良い子だよねえ
>>1がネガキャンするのが謎すぎる
見えない何かが
>>1の思考を掌握してるのだとか考えてしまった
>>1がおっぱいしか表記しないからSをイメージしにくい
今まで登場したスペックは
・貧乳
・ポニーテール
・150cm、40kg
・P8と64式愛用
このくらい?
ネガキャンはいらんからもう少し情報をくれ
これじゃパンツ脱いだ意味ねぇよ
追いついた
>>1やSの、普通の世界に根ざしてる感じが好き
>>1乙!
遂に虫きたか、、想像するとゾワゾワする!
続きも楽しみ!
>>443 20年前に高校生の方だよ?Sは
>>1の5つ下だったかな?
今日一気に読んだ
Sに惚れた
20年前の女子高生でもいいから
こんな子と恋愛したい
猫さまは散々探したが見付からず諦めて寝ようとしたら
布団の中でまるくなってた。
最初からいましたが何か?みたいな顔してたので
窓から投げようと思ったけど腹に乗せて寝た。
風が吹く度に爪たててくるのかわいい。
そんなに怖いなら逃げるな。
だからもうSは40前のBBAだってば。
俺の5コ下くらい。
かつては貧乳だけどJKだったが今はBBA。
猫も見付かったし何か今日中に終わりそうなのでサクサク書く。
保守・支援・ksk・レス本当に嬉しい!ありがとう。
必要性は感じないが面倒は嫌なのでトリップもつけた。
【グロ】虫注意【ゲロ】
Sが驚く声が聞こえて俺達も恐る恐る台所へと向かった。
火事を確認しに行った奴はカウンターキッチンのリビング側から中を覗いただけだったので気付かなかったが、
Yはその向こう側、キッチンの一番奥にある勝手口に向かってしゃがみこんでいた。
そこはもう、言葉にできないような有様で、一体どこからこんなに虫が湧いて出たのかというように、床一面を虫が折り重なるようにしてウゾウゾしていた。
流石にSもその中には入っていけないようで、入り口のまだちょっとマシな所からYに声を掛けていた。
「外はどうか」とかそんなだったと思う。
もういっそ外に逃げようというのは誰かが既に言い出していた。
Yからは返事が無く、Sの足をゴキブリだとか、バッタみたいな足の長い虫が這い上がっていく。
気にせずYを幾度か呼んだSが何かに気付いて、女の子にはロフトの上の男と二人で残るように言い、
俺達には外へ出るように言いつけると、虫を踏まないようにそろそろと玄関へ向かい裸足のままで飛び出した。
その間にも壁から壁へ、天井から壁へ、凄い羽音とバシーンと壁にぶつかる音が部屋に響いた。
おお、猫見付かってよかったな!
リアタイ支援
外は真っ暗で虫の姿はそんなに無かった。
玄関前の外灯に蛾とか小さめの虫がくっついていたくらいで外からは普通の小洒た別荘の外観がぼんやりと見える。
Sの声を頼りに俺達は靴を履き、勝手口へと外から回った。
勝手口の側にも丸くてちょっとお洒落な外灯のようなものが付いていてそこからはYが良く見えた。
Yは何故か勝手口の小さな扉の前の狭いスペースに正座して、一心に虫を食っていた。
虫はどっから湧いてきてるのか分からないけど、Yの下半身はもう虫まみれで、Sが必死にそれをやめさせようと腕を押さえ付けたのを言葉になってない怒鳴り声と共に振り払い、Sがふっとんだ。
狭い勝手口の周囲には虫がもううぞうぞしていて、20センチくらい高くなってるドアの下のコンクリの部分には何故かカメムシの団体がもぞもぞしていた。
Sは俺達に救急車を呼べと言い残してまた家の中へ戻り大量の虫で塞がっている通路をどうするか少し悩んでいるようだった。
その間もYは何かに取り憑かれたように虫を食う。
手当たり次第に名前も分からない小さなコオロギみたいな虫も、カメムシみたいな茶色い奴も一匹ずつじゃなくて口に押し込む感じで詰め込んでいく。
猫よかったな!支援!
猫ww
虫怖いけど支援((((;゜Д゜)))
俺は気が動転してたのか、ガクガクしながら一緒に見てる奴に「イナゴとか食うところもあるから」みたいなフォローを必死になって入れてたらしい。
途方に暮れていたSは、風呂場から持ってきた洗面器で水だかお湯だかをぶちまけて通路を作り、Yにも頭から水を掛けたが、びしょ濡れになり、髪から水を滴らせながらもYは虫を食うのを止めようとしない。
誰か、とSが叫んだが俺も他の誰もYに近づけなかった。
Sは何度かYに掴み掛かっては振り払われていたものの、台所で焼きソバ作るのに使ったサラダ油を掴むとそれをYの頭からどぼどぼ掛けた。
表情の無かったYは一瞬ほうけたような顔をして、それからゲエッと口から大量の虫を吐き出した。
前かがみになったYの口からどんだけ食ったんだっていう虫の死骸が零れ落ちてくる。
誰かが貰いゲロをするくらいひどい臭いの中、SはYの背中からしがみつき、Yを持ち上げようとしているようだった。
その度にYがゲェゲェ虫を吐き出し、物凄い大きさのカマドウマみたいなものが殆どそのまま口から出てきた。
Yはまだ吐き足り無そうにえずきながらSを見た。
俺もSを見た。
Sは、口にトノサマバッタみたいなものを咥えてた。
俺達は頼りにしていたSまでおかしくなった事に愕然としたが、SはYにしがみ付いたままトノサマバッタを吐き出して、
「ここにお前の探しているものは無いよ」とはっきりしゃべった。
「あぶらつぼのなかにうんたらかんたら」それから「火がつくまえにでていきなさい」
「彼の方?に火がつきますよ」とかそんなちょっと覚えてられないような長い語りかけなのか呪文なのか、
日本語なのは確かなんだろうけど意味の汲めない言葉をSが唱えてる間、Yは時々ゲロを吐きながらも大人しく聞き、
それからボロボロ涙を零した。
いつの間にか虫はほとんど部屋から消えて、ゴキブリとゴキブリに似た飛ぶ虫と、それからカメムシだけが部屋に残った。
後テントウ虫の10分の1位の大きさの跳ねないノミみたいな虫が隅っこに居た、
Sは男を2人救急車の誘導の為に通りへ走らせ、その間台所から放心状態のYを俺ともう一人の男で引っ張り出した。
そこでYのシャツを捲って、虫の残骸交じりのゲロを浴びながら油塗れの手でそいつの臍を中心にして何か書き込み、さっき唱えてた呪文のようなものを臍に向かって唱え始めた。
救急車は中々来なくて、SはしばらくYの背中をさすってゲロを吐き出させていた。
時々Yの口の中に指を突っ込み、虫の破片を取り除いてるSの姿がやけに手馴れてて、こいつはゲロ慣れしてんなぁと感心していた。
Sが男前すぎてお姉さまとお呼びしたい
おっさんだが
救急車のサイレンが聞こえ始めた頃にようやくYが意識を取り戻したが、自分のゲロに虫の足を見付けてまた吐いた。
SはYにこの事をすぐに実家に報告する事を強く言い聞かせ、それから大丈夫だよといつものように励ました。
駆けつけてくれた救急隊には「友人が酔っ払って虫を食った」とありのままのようなそうでもないような
とにかく真実味のある事を冷静に説明し、救急隊にゲロを見せ掃除してしまっても構わないかどうかを聞いていた。
俺達はもう置いてきぼりもいい所で、とにかく順番に風呂に入って、それから車で一夜を明かした。
もろにアルコールと虫のゲロを被ったSは臭いが取れず、困り顔をしながら俺の車の助手席に座った。
Yはどっかの病院に入院し、一端実家に戻ったものの直ぐに静岡に戻って来た。
お詫びに食事でもと一度だけ皆を誘ったが俺とS以外参加者がいなかったのでお流れになった。
それからYはちょっとずつおかしくなってSのストーカーになり、散々付きまとった挙句心中を図るも断られ、
仕返しに猫の焼死体を送ったところでSの怒りを買い、大学を中退して実家へ帰った。
就職もせずニート暮らしをしているはずだが、金持ちなので不自由は無い。
多分今頃オンラインゲームやってると思う。
Sさんが素敵過ぎてお兄さまとお呼びしたい…
若輩な腐女子だがw
一応の補足というか、Sが帰りの車中で垂れ流していた事によると、あれは虫除けのまじないみたいなものらしい。
俺は聞いた事が無いけれど、飛騨の方には大昔に普通の日本人より凄い日本人が住んでいて、Yはその末裔なんじゃないか…とも言ってた。
Yのじいさんがケチ云々は、呪術的に米の豊作を祈願する地方には家主があえて
(特別な日以外は)米を食わない=米を原料とした酒も口にしない。という風習があるので気になったそうだ。
昔はこういう事って口外しないのが普通だったので、金持ちの米農家なのに米を食わなかったり清酒を口にしないのが
ケチだといわれる事もあったそうだよ、とちょっと気の毒そうに言っていた。
猫の件が起こるまでSはYの面倒をよく見てくれていたけれど、そういう博愛っぽい所がYをおかしくさせたんだろうなと俺は思ってる。
Sは本当に誰にでも優しいけれど、誰にでも優しいからつい勘違いさせる事もあるし、それはSが悪い。
Yが包丁持ち出した時も殴られた時も道端で精液ぶちまけられた時にもSは泣いたりしなかったけど
猫の死体が出てきた時にようやく自分の行動を鑑みて泣いた。
SはYを再起不能にしたし、その事で金持ちのYの親から散々に何か言われてたけど、その頃にはもう何も無かったような顔をしてたし、俺達もYなんてやつは最初からいないようにSに接した。
それでもSの腕は暫く痣だらけだった。
>>1乙!
ムズムズぞわぞわさせてもらいました
いやー怖いね
Yも怖い、変なのはSが追い払ったからYの本性なんだろうか(友達のこと悪くいってごめんよ)
虫の話はこれで終了。
自分で書いてるくせに最後Yに対してまた腹が立ってきて急ぎ過ぎた感はある。
読みにくかったらすまない。
酒も飲んでるし。
俺はこんなに一緒にいたのに、何の役にも立てて無いんだよなーって言うのが毎回ちと辛い。
酒飲んでだらだら書いてるこんなのに付き合ってくれていつもありがとう。
>>459 読んでくれてありがとう。
多分本性なんだろうけど、引き金ひいたのはSだからSの所為だよ。
20年も他人に優しくされてきてないYは、Sを特別に思っちゃったんだろうな。
でもSはあれば通常運行だからYのした事は腹たつけどSにもイライラする。
ここでぶちまけてちょっとスッとした。
つき合わせてすまん。
ありがとう。
虫だけでもぞくぞくしてたのに最後にストーカーでガクブルした
なんとなく
>>1さんのネガキャンの意味が分かったような気がする
とにかく乙!
猫さま可愛すぎ♪
飼い主に染まってか段々似てくるとか(; ̄ー ̄A
Sさんのような人のところへは
救いを求めるかの如く、人や問題が集ってきちゃうんだろうな
優しい1さんには黒歴史の一端かもだけれど
読んではその都度励まされる不思議、私からもありがと
ちょっとレス伸びてるからって調子乗んなよw
あーあ、しかも斜め読みしたらラノベ崩れの駄文撒き散らしてるだけだしww
これでまとめとか乗れるとか思っちゃった?
残念ウニ様はもう殿堂通り越して無双だしwww
マジでトリ付けるとかめでてーな!
作家様にでもなったつもりか?
なれねーからww
さっさと名無しに戻れクズ!
じゃまーる懐かしいな!
俺もバンドメンバー募集したw
誰かも書いてたけど
>>1の話はリアリティーあって、
怖いし面白いよ
今日のを読んで
>>1とSが色んな経験したからなんだろうなと思った。
グロだが面白く読めたよ
保守だね
>>465 お、いくつになっても好きな子にはちょっかいかけちゃうタイプだな?
でもそれじゃあ
>>1は振り向いてくれないぜ!
昼飯食いながら読んじゃったよー(´;ω;`)
ガサゴソ怖い
ガサガサ… ゴソゴソ…
遅レスだけど俺はSを超高校生級格闘家でイメージしてる
20年くらい経っても見た目変わらなそうだし
パンツ脱いだ
ガサゴソ怖ぇよ!
>>465の登場によってこのスレに足りなかった
ツンデレが補充されたな!
>>1乙
>>1の怖不思議な話好きだ
しかしSさんの除霊?は毎回かなり独特だよな…
今回のも聞いたことないけど地域的なものなの?
それともSさんが特別な家とかなの?
オカ板住民として興味ある
ID:+9T4PKXO0は恐らく
>>304と同一だろうな
煽るだけ煽って自分へのレスは怖くて見れないタイプのチキンだからレスしても無駄だよ
またレスが流れた頃に現れるだろう
Sは俺の嫁
Sなら今隣で俺のあんまんに点打ってるよ
夜勤シフトだから朝まで一緒ww
どこか個人スレokなとこにPart.2作る事ってできないのかな?
皆のコメも面白くて好きなんだが
コメが増えれば増えるほど1さんの話聞けるスペース(残りレス数)が減るんだよなって
複雑な気持ちになってしまって心から楽しめなくてな
このスレ終了後も、個人スレokなとこ移動してネタある限り続けてもらえるかハッキリすると
皆のコメを心から楽しめていいんだがなぁ〜と
1さん、どんなもんでしょう?
俺はスレとの出会いは一期一会のものだと思って楽しむ派だから1の意識尊重するよ
保守だね
意識×
意思○
俺は
>>1の判断に任せる
レスすんなっていうならそうするし
継続スレができるならそれも歓迎するよ
>>478-480 それ、S独特の除霊や
Yみたいくストーカーになるなよ
さて、今夜はあるのかな?wktk
うちの猫心配してくれた人ありがとう。
>>475 普通の民家に住んでたし、多分特別な家では無いと思う。
Sは水木しげるの妖怪辞典で読んだとか言ってたけど
俺は見た事も聞いた事も無い。
しつこく聞くと面倒な数式出してくるから文系の俺には理解できない。
それからこのスレは最初の宣言通り1000で終了する。
転載は勘弁して欲しいし、後続スレの予定も無い。
次も読みたいと思って貰えるのは凄く嬉しいけど、
1000で終わりだというのも2chらしくて良いのじゃないかと思う。
皆のレスは例え保守の一言だって凄く嬉しいし、481のように色々考えてくれるのも凄く嬉しい。
ルール違反の単発スレだけど、煽ったり煽られたりしながら1000まで付き合ってくれたらありがたい。
昨日みたいに残業とかで書けない日もあるが、まあまったりしていってくれ。
寒い冬の日の事だった。
俺はSに頼まれて、A子ちゃんという女の子の家に行く事になっていた。
Sは俺にネクタイと回数券の入った革財布を渡し、A子ちゃんのお父さんの役だよとにこやかに言った。
見せられた写真には小学生くらいの女の子がお父さんに甘えてる姿が映されていて、
なるほどこれはロリコンじゃなくても力になってやりたいと思わせるようなものだった。
だから何の違和感もなく俺はSに預かったネクタイを締め仕事を終えて、それから駅ビルの不二家でケーキを買ってバスに乗った。
乗るバスの時間にも指定があって、俺はあのケサランパサランの出るバス停のベンチで時間を潰してA子ちゃんの家に向かった。
繰り返すけど俺はロリコンじゃない。
だけどその日は特別な事をしているという感情からか、妙にウキウキとして幸せで、早くこのケーキを届けて
A子ちゃんが喜んでくれるといいなと思った。
人見知りで他人の家に行く事なんか苦痛でしかない俺が、どう考えても歓迎されない状況に向かっているのにこんな楽観的でいる事が既におかしかった。
A子ちゃんの家はバス通り沿いの普通の民家で、バス停からちょっと戻る格好になるがすぐに分かった。
事前にSからかなり細かい地図や道順を教わっていたし、初めての家なのに何の緊張もせずに表札を確認しチャイムを鳴らした。
実家に帰る時だってもう少し緊張するのに、どうしてか物凄くスムーズにチャイムを押したところまでは覚えてる。
チャイムがピン…ポーンって感じじゃなくてビーンって言う変な音だったのが気になって、もう一度押すかどうか悩んでる内に家の中から「つーかまえたーッ!」というSの声がした。
ポケモンゲットだぜ!って感じのノリだった。
A子ちゃんと遊んでいるんだろうか、それならもう一度チャイム鳴らさないと気付かないかもな、面倒くさい。
そんな事を考えていたら、玄関が開き、飛び出してきたSが俺に抱きつき、それからケーキを取り上げて家の中に戻っていった。
無言だった。
玄関が閉まり、俺は中に入るきっかけを掴めず、泣きそうな気持ちで5分くらい寒い玄関先でSを待つ。
さっきまでの楽観的思考は何だったのかと思う程気分が沈んで、もう一度チャイムを押す勇気なんか俺には無かった。
しばらくして玄関に現れたSにくっついて年配の女性が現れた。
その人はちょっと泣いているように見えたけど、それよりもひっつめた感じの生え際辺りの白髪がピンピン跳ねてて
それが物凄く疲れた風に見えたので、きっとSがまた何か変なお祓いでもしてきたんだろうと適当な想像をして
軽い会釈だけして俺も帰ろうとしたらおばさんが俺の腕をいきなり掴んでガン見してきた。
ちょっと驚いたけど、おばさんはすぐに正気を取り戻した風に「すみません」を何度も繰り返し、
どっからか出したポチ袋みたいな奴を俺に押し付けてきた。
形状は覚えて無いけど、ああ金だなってすぐ分かるようなものだったのでSに助けを求めると、
やっぱりそれを押し返してたので多分元々はSに渡す気だったんだろう。
Sはおばさんに「大丈夫ですよ」とか「元気だして」とか「また来ますから」とかそんな事を言ってまた自転車をカラカラ押して真っ暗な道を二人で歩いた。
バス通りは自転車を押せるような道じゃないので、Sの先導で裏道を通りながら俺は自分が何をしたのか、
あのおばさんは誰なのか、そしてA子ちゃんはどうなったのかを問い詰めた。
Sはこの時、あのおばさんがA子ちゃんのお母さんだとしか教えてくれず、他はまだSの中で整理がついていないので
とりあえずもし今夜悪い夢を見たら電話してくれとだけ言い残し帰って行った。
ネクタイは途中の自販機の前でSが解いて持って帰った。
2、3日してSからちょっと困った声であのおばさんがどうしても俺にお礼を言いたいと言っているので
一緒に来てくれないかと頼まれた。
流石に今回は説明をしてくれなければ嫌だとごねると、俺の家まで迎えに来たSがようやく事情を話してくれた。
その頃Sの父親が入院していて、その部屋にあの奥さんの旦那さん…つまりはA子ちゃんのお父さんも入院していた事が発端らしい。
A子ちゃんのお父さんは、病室でSをA子ちゃんと呼んで頭を撫でたり、ちょっと意味の分からない会話をしてくるような状態だったので、Sは病室内ではA子ちゃんとして振舞っていた。
それを気に掛けた奥さんがSに謝罪すると共に話してくれた事情というのが何とも世知辛いものだった。
俺が見た奥さんは再婚で、A子ちゃんは入院している旦那の連れ子だったそうだが、二人は余り良好な関係が築けていなかったのでは無いか…とSは言葉を濁した。
A子ちゃんはとにかくお父さん子で、お父さんもA子ちゃんをとても大切にしてたんだと思う。
奥さんが後妻に入る前は学校から帰り、一人で待っているA子ちゃんの為にお父さんは毎日定時で仕事を切り上げ、
同じ時間のバスで帰った。
バス通り沿いのその家の2階でバスを待ち、A子ちゃんは毎日大好きなお父さんを出迎えた。
そんな親子だったらしい。
ところがA子ちゃんは突然亡くなり、旦那さんはそれ以来徐々に徐々に体調を崩す事が増えていき、とうとう入院するまでになってしまった。
入院はもう数年に及び、回復までにはまだかなり掛かるだろうとの事だった。
そこで問題になったのが金だ。
数年に及ぶお父さんの入院に家計は圧迫され、奥さんのパート代だけでは入院費用もままならない。
どうせ帰っても奥さん一人しか居ないならあの家を手放して病院近くのアパートか何かで暮らしたい。
そうすればもっと旦那さんの看病もできるし、楽に暮らせる。
奥さんの主張はもっともな事だったと思う。
しかし夫婦が躊躇う理由はA子ちゃんの事だった。
A子ちゃんが亡くなった後、家の中にはたびたびA子ちゃんが現れたらしい。
奥さんにははっきりとは見えないが、お父さんとは会話もしていたのだそうだ。
それに時々、あのバスの時間になるとA子ちゃんが階段から下りてくる音を何度も聞いた。
それは最近めっきり聞こえなくなってきたのだが、変わりに奥さんの夢枕にA子ちゃんが立つようになり、
今ではふとした瞬間に例えば洗面所の鏡の向こうとか、台所に立ってる時とか、眠る間際に耳元で
「お父さん返して」とA子ちゃんの声がはっきり聞こえるようになってきた。
旦那さんの看病をして、パートで生活費を稼ぎ、挙句家では義娘の霊に恨まれて安眠もままならない。
奥さんは相当追い詰められていたようだった。
此処からはもう電波な話だ。
SはたびたびA子ちゃんの家を訪ねたものの、何度訪ねても幽霊のA子ちゃんは出てきてくれない。
金銭的な事情からもう家の売却はほぼ決定していて、このままではタイムリミットが来てしまう。
困り果てたSが最後に望みを繋いだのが俺だった。
俺はA子ちゃんとゆかりの深いお父さんのネクタイを締めて仕事に出かけ、A子ちゃんの好きなケーキを買い、
お父さんが乗るのと似た時間帯のバスでA子ちゃんの家へ向かった。
回数券と地図とケーキ代が入ってた財布にはご丁寧なお父さんの外出届け(偽造)が封入済。
これで俺とA子ちゃんのお父さんはがっつり結ばれた状態になった。
「A子ちゃんのお父さんの役ね」と言ったSの顔が悪魔みたいに思えた。
Sの目論見は的中し、A子ちゃんは俺がチャイムを押した瞬間Sに掴まったらしい。
愕然としている俺にSは悪びれもせず、助けたいでしょう女の子、と言って笑い、それからもう大丈夫だからと
静かに呟いて俺をあの家に連れて行った。
俺とSは奥さんに大歓迎されて客間に通され、あの日からA子ちゃんの声がしなくなったと嬉しそうに報告された。
Sは神妙な顔でよかったですね、と相槌を打ち、写真屋の封筒を奥さんに渡した。
お父さんの所に持って行ってあげてください。不安なら、一緒に行きます。
お母さんが開封すると、中から十数枚の写真が出てきた。
何でも無い、普通の家の中の写真だ。
ちょっと生活感はあるものの、不動産屋で紹介されるこんな物件ありますよみたいな人物も何も映ってないやつ。
なのにそれを見て、奥さんは手をブルブル震わせていて、最後の一枚でとうとう堪えきれないように泣き出した。
手の中の写真がグシャッとなって、此方を向いた。
廊下から階段を映した写真に、見た事の無い女の子がガッツリ写ってる。
宜保愛子とかの特集で見た心霊写真ってもっとぼんやりしてるとか背景透けてるとか、
心霊写真ですって雰囲気があったような気がするけれど、奥さんの持ってる写真にはセミロングの髪の女の子が
ちょっとビックリした顔で普通に映ってるだけだった。
大槻教授に見せたとしても、「こんな写真俺でも撮れるよ」って言われるだけの普通のスナップ写真を握り締め
奥さんは延々と泣いていた。
Sに問いただそうにもSも俯いてひどく複雑な顔をしていた。
「ここに娘さんを捕まえてあるからお父さんの所に連れて行ってあげてくださいね」
机の上に並べられた写真の中から、あの一枚を示してSは奥さんに言った。
Sらしくない乙女チックな写真立てにそれを収めて「A子ちゃんの引越し祝いに」と奥さんに渡すと奥さんはSに縋って泣いた。
大丈夫ですよ、もう許してくれたから…、奥さんを慰める声が少し低くなり「万が一旦那さんが亡くなった時は、必ず同じお棺に入れてあげてください」お願いします、と念を押す声が泣き出しそうな声だった。
奥さんは俺とSに深々と頭を下げて何度も「ありがとうございます」と言って金を渡そうとしてきた。
Sは頑なにそれを受け取らず、変わりに切手が欲しいと口にした。
記念切手を集めているので、何か珍しい切手を見たら、手紙でも書いてください。そんな感じだったと思う。
鬼気迫るような奥さんに対して、Sの精一杯の譲歩だったんだと思う。
奥さんは、A子ちゃんがSの撮った写真に封じ込められていると信じきっていた。
俺の見た変な写真は、写真立てに入れられた1枚だけだったけど、奥さんは机の上の写真全てにA子ちゃんが写っているように見えているらしい。
恨みの篭った眼差しで奥さんを見ているようだと奥さんは声を震わせた。
それ程に自分が憎いんでしょうね…と泣きながら俺にも愚痴った。
写真はSが処分する事になり、奥さんは心底安堵したような顔をした。
心から安心したように表情を緩め、これでようやく救われますとSに写真の束を手渡した。
その後、あの家は売りに出されて、写真はSの父親も入院する部屋に飾られた。
お父さんはSをA子ちゃんと間違えることがなくなり、病状は快方に向かった。
まるで全てが解決したような話だが、A子ちゃんはお父さんに取り憑いているのだよとSは言った。
奥さんは、旦那さんをA子ちゃんに取られてしまったんだよ。
普通の女の子なら恋愛して、結婚して、いつかは開放されるけど、あの子はもうお父さんからは離れないだろう。
だからもう、あの旦那さんは奥さんを愛したりはしないんだよと呟いた。
それでも奥さんは元気に病院に通い、せっせと旦那さんの世話してSにも元気な笑顔を見せてくれていたようだ。
成仏させてあげられないのか、と訪ねたが、Sは項垂れて首を横に振った。
これ以上はどうにもならない。
Sにできるのは、A子ちゃんを「お父さんを取った奥さんを恨む存在」から「お父さんと一緒に居たい娘さん」に
変えてあげる事だけらしい。
「いつかお父さんが亡くなった時、A子ちゃんも成仏できるはずだから」
「結局自分には何もできないんだよ」とSが肩を落とすので、俺は「その内坊さんが成仏させてくれるよ」と
とりあえずフォローを入れた。
何かもっと気の効いた台詞を言おうと思ったけれど、Sが自分で
「自分に何かできると思ってしまうのはのは傲慢な事だ」と苦笑いして、俺に今回の報酬である
双子の巫女さんが戦うエロアニメのシリーズを置いて帰ってしまった。
だから俺はまたSを慰め損ねた。
乙!
リアタイで見てたけど終わってからまとめて読んだ!
>>1の話はいつも切なく終わるのな
…それにしても毎回Sの優しさが沁みる
いい子過ぎると嘘っぽいけどSは生活感があるからか泣きそうになる
>>1の潔さも好きだ!
残り500レス大事に使おうな
もう書き込みしてもいいの?
というか481は何だったんだ?
無駄レスが付くと
>>1のレス回数が減るから後継スレ立てなきゃ書き込み禁止にしたかったんだろうか…
そんなんで
>>1のモチベーションとか大丈夫なのか?
俺は
>>1には自由にやってほしいよ
確かに書き込みしにくい雰囲気だったけど
>>487ってことは、カキコ解禁てことでいいんだよな?
>>1さん乙
写真は結局何だったんだろう…
奥さんとSさんにしか見えなかったのかな
481は丁寧な言葉遣いではあるが1000到達が早まるから無駄なレスすんなやって言いたいんだろ
気持ちはわかるけど2chで何言ってんのと言いたい
おっと、寝落ちしてた
A子ちゃんと奥さんは結局わかり合えず終いか・・・切ない
と思っていたところに
もう旦那さんは奥さんを愛したりはしない・・・
Sの見えている次元が遥か先すぎて切ない
>>1乙です
保守だね
まあ2chで何言ってんのとは思うけど
>>481の気持ちは分かる。
正直最近はvipでもこれだけ持ち上げられたら次スレの流れになったりするしな。
しかし
>>487で俺がは更に
>>1が気に入った。
1000まで見守りたい。
途中で逃げるなよ。
最近のvipはニコ厨とまとめから逆流してきたゆとりばっかだからね
馴れ合いやら女アピやらあそこはもうvipじゃないわ
>>1は文章上手くないけど話は面白い
登場人物も嫌味がないしSは好きだな。
頑張って続けて欲しい。
俺はかなりSが好きだよ!
比べる対象じゃないけど今年一番の萌えキャラだわ
嘘くさいゲーセン女より余程可愛い
しかも頭良さそうじゃね?
今夜は無しかな・・
名残惜しいけどそろそろ寝る。
保守しとく
Sは今どうしてるんだろうね
昨日は休みだったか…残念。
Sは今年の8月頃に
>>1と連絡してるんだろ?
他の能力者がみんな行方不明になったりしてんのにのんきだよなww
かんなり遅いけど
>>1乙!
んーなんて言うか、今回は切ないね
週末は毎週
>>1は婚活?そんなわけないかw
良いパートナーに出会えるように保守!
>>1は意外とリア充な気がする。
今日は来るかなーwktk
どれも面白いんだが、後味悪い話が続いたから
後味のいい話が聞きたいと言ってみるテスト
俺はエロ怖いのが読みたい。
後味は悪くて良い。
そんなに毎週婚活できるだけの余裕が無いorz
できればオタコンっていうのに参加したいけど募集が瞬殺なんだよな…。
ってかあれ本当にオタクの女の子とかオタク許容の女の子来るのか気になる。
このスレが900過ぎたらSに電話してみようと思う。
夏に連絡した時はメールだったし「ジャンヌ2発売ktkr!」くらいだったからw
今夜は511の希望に応えられればいいなと思う。
月曜の夜からはエログロ投下する予定。
保守とか支援とか感想とか色々ありがとう。
本当にいつも助かってます。
おお始まった!
リアタイ支援
そして
>>1とSの進展に期待sage!
Sとその友人を乗せて湯河原辺りの山の中を走ってる途中で迷子になった。
走れども走れども景色が変わらず…変わってるのかもしれないけれど、
慣れない夜の山道という事もあってまるで同じ場所をグルグルと走っているような違和感があった。
元々心元無かったガソリンも少なくなってきて、どうしたものかと途方に暮れていた所、
Sが車を停めて欲しいと言い出した。
さっき見たのと同じガードレールがあると言う。
後ろに気を付けながら車を停めると、Sの言う短いガードレールがあって俺達は首を捻りつつもう少し山道を進んだ。
ろくに舗装もされてない道は、登ってるのか下ってるのかも分からない緩いカーブが続いてて、先が見えない。
ふと目の前の道が二本に分かれた。
来る時にこんな道があっただろうかと話し合ったが、誰も覚えていない。
間違った方に進んでしまえば途中でガス欠のおそれもあるし…という事で、俺とSが車を降りて
両方の道をちょっとばかり様子を見る為に歩いてみる事になった。
Sは車に残った女の子には「もしも誰かがドアを叩いても決して返事をしてはいけない」と言い残し、
俺には「車の明りが見える範囲しか歩かないように」と言いつけた。
それから、やっぱり「誰かに呼ばれても返事をしてはいけないよ」と付け足した。
俺達は徒歩で暗い山道を進んだ。
本当に真っ暗で、懐中電灯の明りを左右に振ってゆっくり進まなければならないような道だった。
Sは懐中電灯を持たずに行ってしまったけれど大丈夫かと一瞬心配したけれど、
まあSなので大丈夫だろうと先を急いだ。
後ろでザザザ、ザザザ、と風も無いのに木の葉が揺れる音がして何だか妙な気配がしてくる。
心霊的な怖さと言うより、どっかから何か飛び出してきて痛い思いをするのは嫌だな…というような気持ちが先に立っていた。
その内にどこかからSの声で「こっちこっち」と呼ぶ声がした。
Sの進んだ方へ視線を向けると、木々の間からチラチラと何かの明りが見えた。
俺は思わず返事をしそうになったけれども、Sの言葉を思い出して口をつぐんだ。
光は何かの合図のようにクルクルとゆっくり丸を描いていて、何とも不思議な雰囲気だった。
とにかく一度戻ろうと思い車に向かうと、やっぱり何かが付いてくるようなザザ、ザザザと木の葉の擦れる音が聞こえる。
俺は気味悪くなって、車を停めた場所まで急いだ。
はじめてのリアタイ支援!
車に戻ると、残してきた女の子が運転席で泣いていた。
何でも俺達の姿が見えなくなってすぐに車のドアをトントンと誰かが叩いたらしい。
Sは返事をするなと言ったけど、余りにも直ぐの出来事だったので
彼女はSか俺だと思いこんで「どうしたの?」と返事をしてしまったそうだ。
すると突然、「開けて開けて」と子供のような声がして、車がぐらぐら揺れ出した。
それは俺の懐中電灯の明りが見えた途端に止んだらしい。
帰りたいよー、と彼女が泣くし、一人になるのはもう嫌だと言って聞かなかったので、
俺は彼女と二人でSの返りを待っていた。
その間もう一度「開けて」という子供の声が聞こえて車がガタガタ揺れたけど、
俺達はギュっと目を閉じて黙ったままそれを耐え抜いた。
声を出したらダメだと思って、二人とも口を塞いでジッとしていた。
Sが戻って来たのは直ぐに分かった。
子供の声と車を揺する音がしなくなったので、おそるおそる目を開けてみるとSが車の前に立っていた。
Sはどこかで転びでもしたのか、枯葉と泥に汚れてて、けれどいかにも暢気な感じで俺達の話を聞いて、
そいつは災難だったねぇと笑い、自分の荷物の中から何からクロッキー帳を取り出してトーンカッターで物凄く綺麗な丸を切り抜いた。
それから非常食にしているカニパンを手に車を降りると、俺達をちょいちょいと呼び出した。
面白いものが見られるよ、と。
Sは物凄く生き生きとした顔をして空を指差した。
山の木に隠れ隠れしてはいるけれど、月がふたつ、そんなに離れてない距離にポカンと丸く浮いていた。
こんなものが見られるなんて、もう二度と無いかもしれないからと、Sはしばらく二つ並んだ月を眺めて、
それから泥で汚れた白い丸をカニパンに重ねて真っ二つにし、
右の道と左の道の端っこに置いて両手を合わせた。
次にその辺で葉っぱを拾ってカニパンの上に一枚ずつ置き、もう一枚を自分が持つと、そこに向かって
「挨拶も無しに申し訳ない事を致しました。今夜此処を通させていただきたいので、
どうか道を譲ってください。どこそこまで帰るつもりですので道中よろしくお願い致します。」
そんなばあちゃんが地蔵にでも手を合わせてるような感じで葉っぱに向かってしゃべり終わると、
車の中に戻ろうと言って俺達を急かした。
「それでどっちだ」と俺が車を出そうとするのを遮って、Sはライトを消して欲しいと言い出した。
真っ暗な山の中、万が一後続車が来たら大迷惑になるだろうけれど、Sがそれならライトを下げて、
それから少しバックしてというので仕方なしに俺はその通りにした。
助手席の女の子はシートベルトを締めるのも忘れてぼんやりしている。
えー…うそだぁ…というような事を繰り返しながら、車の天井を見上げていた。
しばらくして、また子供の声で「開けて」と繰り返し強請る声が聞こえて車がグラグラ揺れ出した。
女の子が悲鳴を上げて耳を塞いだ。
Sはちょっとびっくりした顔をして「おいたが過ぎるとおしおきするよ、ご挨拶なら済ませたでしょう」と
本当に子供を窘めるような優しい声でドア越しに何かと会話していた。
けれど車はグラグラ揺れたまま「開けて開けて」と声がする。
Sは仕方が無いねぇ、と言った感じで俺の肩をつつき、煙草をふかしてくれという。
俺はもう意味が分からないまま煙草を咥えて、ライターを擦ったが上手く付かない。
隣では女の子がキャーキャー言い出して俺は全然落ち着けなかった。
Sは俺から煙草とライターを取り上げて、上手い具合に火をつけるとちょっと咽ながら
「煙ふかッてするやつやって」と窓の方を指差した。
こんなに車がグラグラ揺れてて、相手は開けろって言ってんだから、俺は窓を開けた途端に
何かが車に入って来るんじゃないかとそれを拒否した。
助手席の子も怖がってそれを拒否したが、Sが絶対大丈夫だからと訴えるので、肺一杯まで煙を吸い込み、
二、三度車内で練習してからほんのちょっとだけ窓を開け、外に向かって煙をふーッと吹き付けた。
途端に車の揺れはすっかり止まり、子供の声も消えていた。
ただ、まるで猫か何かが走り去るような、枯葉を掻き分けるような音が聞こえて
俺と助手席の彼女は顔を見合わせた。
Sがもうライトを上げても良いというので、ライトを戻すと道は一本になっていて、
俺達はまた何が何だか分からずに二人揃ってSを見た。
俺はもう道が1本になってる間に山を下りたくて車を出した。
助手席の子が必死にSを問い詰めたけれど、Sは「昔話みたいで素敵じゃないの」と
市原悦子の真似なんかしてまるで気に留めていないようだった。
ちなみにSの進んだ方には道など無くて、早々に崖を滑り落ちたんだそうだ。
だから正解の道は知っていたけれど、俺達はSの儀礼的なものに付き合わされただけらしい。
俺達は怒ったが、Sは全く気にもせず、静岡にもまだこんな山があってよかったとご機嫌で、
バイパスのドライブスルーでマックシェイクを奢ってくれた。
山の中で怪異的な迷子になった時は冷静に「分かってるんだぞ」って煙草を吹かせばいいらしい。
だから俺は禁煙した後も煙草とライターを必ず持って歩いてる。
>>1乙!
こういうの好きだー
Sは動物とか好きそうだな
うわリク有りかよ!
>>511>>512得したなー
俺は短編で良いからSメイン読みたい
今522だから530でリクとかだめかな?
伝え忘れたけど今日のも面白かったよ
>>1さん乙です
ヤマノケみたいな話かと思ったら狸なのか・・・
しかしこういう話のSはほっこりするなw
今日はエロいの楽しみにしてるぞ!
527 :
511:2013/10/21(月) 20:04:18.05 ID:BVLw2UHK0
まさか本当に書いてくれると思わなかった!
ありがとう!
>>1乙
非常食がカニパンのSに萌えた
カニパン可愛いなw
ケンタに釣られたりマックおごったりなごむわ
凄く面白いんだけど
>>1は深夜にしか来ないのか(´・ω・`)
眠くて起きてられん。
リクは無理だよ;
vipじゃないし安価とかはしたくない。
あとこれは俺の黒歴史書いてくスレだから勘弁してください。
そんなに怖い話ばっかりは経験して無いしな。
狸かー。
いまだに狸か狐か山神様かそれ以外の何かで迷ってたから
オカ板の人にそう言われると何か安心するな。
しかし平成にもなって狸かorz。
では今日の分投下してきます。
【閲覧注意】
【エロ・グロ・スカ・暴力表現】があるので苦手な人は回避お願いします。
多分規制関係で3日くらいに分かれると思う。
すみません。
もう大分前だけど、フィリピンパブというのがあって、普通のキャバクラとかスナックよりも
料金は安くて女の子は若くて、おっぱいは二次元の女の子みたいにプルンとしててちょっと硬めだけど
そこがいい。
あの片言な日本語も可愛くて俺はしょっちゅう通い詰めていた。
その店でAという奴と知り合った。
俺より10歳くらい年上で、金持ちのエリートって呼べるような肩書きだけど、性格の悪い奴だった。
普段は気弱で真面目なんだが酒が入ると気が大きくなって乱暴になり、店中に響くような声で自慢話やシモネタを話し、
女の子にはセクハラしまくる最低な奴で、しかも滅茶苦茶変態だった。
変態だけど金持ちだし地元民だし、しかも直接じゃないが俺の会社の取引先に務めていたし、
そいつに付いてけば色んな店を教えて貰えて、ちょっとした裏メニューなんかも遊ばせてもらえるようになったので、
俺はそいつと1年くらいは仲良くしていた。
ある時そいつが凄いものを見せてやるっていう事で網代辺りへ連れて行かれた。
135線を走って、どこかで脇道に入って民宿みたいな建物がまばらにあるような薄暗い町の一角に
木造の倉庫みたいな所があって、その二階だった。
入り口には痩せた男が立っていて、Aはそいつと親しげに話すと金を渡して中へ入った。
まってました(*´∀`)
1階は漁具とかのある普通の倉庫ですごく生臭い。
3階くらいの高さの場所まで階段を上がると、それが酒とか魚とか色んな臭いが混じった悪臭に変わり、
薄暗いストリップ小屋みたいな感じの場所に通された。
天井は低く、けばけばしい黄色や赤や紫の布が中途半端に天井から下がってて、10人か20人程度の客は皆
布製のゴザのようなものに座って舞台を見ていた。
舞台といっても何の段差がある訳でもない。
ただ、浅黒くがっしりとした男が立ってるだけで、すぐには何をしているのかは分からなかった。
浅黒い肌の男は俺達をニヤニヤ見ながら、リードに繋がれた女を人の姿をした犬だと言った。
女は全裸で、黒い髪が顔を隠していたけれど、ちょっと背筋を伸ばして覗くと赤い舌が垂れ下がっていて
そこから涎がだらだら床に落ちていた。
彼女は始終四つん這いを崩さなかったけど、普通に膝を付いてるんじゃなくて腰を落としてつま先を付いた格好で
ハッハッ、と本物の犬のように荒い呼吸を響かせている。
かなり辛い体勢だと思うけど、女の子は一切言葉を話す事無く男に言われるままに犬がするように芸をさせられていた。
ただただ嫌悪感だけが残った。
犬と紹介された女は男に引っ張られ布の向こう側へ消え、次に鳥女というのが引っ張り出された。
髪を短く刈り上げられていて、やっぱり首に何かが捲き付いていて前傾姿勢を取らされているが、
この子はしゃがみ込んだような姿勢のまま腰から上を前側へ倒し、両腕をピッタリ体の左右にくっつけて鶏みたいに
首を前後に揺すった。
目を見開いて、落ち着かないようにギラギラ視線を動かしているが、それは俺達を見て居ないようで
リードを持った男の方だけを気に掛けている。
この子は口元が少し変わった形をしていたけれど薄暗い部屋の中で後ろの方に座った俺には良く見えない。
男が指示すると女の子は尻から玉子を産み落とし、食いたい人が募集され、前の方に座ってた男が挙手して
受け取った。
一番痛々しかったのは猿女だった。
彼女はやっぱり髪を短く刈られていたけど、円形脱毛症のように髪の生えていない部分が幾つもあった。
ここで見た物は余りにも衝撃的で気持ちが悪くて、こういう場所でなければそれを見に行った事をとても人には
話せないような罪悪感に苛まれるような光景だった。
もちろん全部を書くなんて絶対無理だと思うようなひどいことばかりをさせられていた。
俺だってSMビデオくらい見た事があるし、むらかみてるあきの鬼畜ものだってアイルマニアックだって大好きだけど、
そんな俺でも胸糞悪くなるような場所だった。
その後Aからはしきりにあの場所へ行こうと誘われた為、段々距離を置くようになり、フィリピンパブでも
顔を合わせないようになっていた。
それどころか俺は2ヶ月くらい性欲も無くなってやる気も削がれた。
ピンサロにもフィリピンパブにも行かないで家でアニメばっかり見てた気がする。
姫ちゃんのリボンや赤ずきんチャチャに心を癒され、Sの所為でうっかりショタコンに目覚めるかと思うような
生活を送り、フィリピンパブからの誘いの電話は全部無視した。
半年くらいそんな風にしていたら、いつものようにフィリピンパブから電話があって、
これ以上店に来ないと会員権を失効したり、入れたボトルがどうのと言われて久々に顔を出す事になった。
女の子の半分以上は知らない子になっていたけど店員の男は以前と同じで俺好みのおっぱいの女の子をつけてくれた。
それから、俺の気に入っていたB子とAが付き合っている事を愚痴っぽくこぼしていった。
この店ではある程度の誠意を示せばフィリピン人の女の子とお付き合いする事もできたし、そのまま結婚する奴も少なくなかった。
だから店員の話はあくまでも売れっ子だったB子が店を辞めてしまったんだとかなんだとかそんな愚痴めいたもので
別に制裁を加えようとか、そんな血生臭いような話ではない。
ただ、AもB子も良く知る俺は、ちょっと微妙な気持ちになった。
Aは女は男の言う事きくのが当然って考えだったし、かなり歪んだ性癖と性格の持ち主だったから
美人で気が強くて、チヤホヤされるのが好きなB子とは上手くいくはずが無いと思った。
まあ俺には関係無い事だしな…と聞き流し、それさえ忘れた頃にAから電話があった。
携帯に掛かって来た時は無視をして、それから2日くらいしたら会社に電話が掛かってきた。
流石に会社で居留守が使える程には偉くないので電話に出ると、とにかく出て来いと繰り返すばかりで話にならない。
嫌な予感はしていたけれど、ちょうど就業時間近くだったし、もう会社の近所まで来ていると言うので俺はのこのこ出掛けていった。
挨拶も無く俺を車に引っ張り込んだAは、開口一番「お前の知り合いにオカルト女がいただろう」と切り出した。
「そいつ連れて来い」と一方的に言いながら、車で近所をグルグル移動し「そいつん家どこ?」「今から行く」とDQNな事を切羽詰った声で繰り返している。
俺は相変わらず自分勝手なAにイラついて、事情が分からなければ紹介できないと説明を求めながら、
この時俺は、いざとなったらT子を紹介してやろうと思っていた。
Aは物凄く怒ったような恨みがましい目で俺を見て、それから車をバイパスへ出してどんどん進んだ。
車は工場地帯まで進み、古臭い団地のような、畑の真ん中に一棟だけ経っているコンクリ造りの建物に案内された。
人は余り住んで居ないような変な建物だった。
Aは駅近くのマンションに住んでいる筈なのに…と思ってるうちに、震えるような手で鍵を開けていたAが俺を乱暴に部屋の中へと押し込んだ。
逃げようとした所をAが後ろから入り込んできてドアに鍵を掛ける音がした。
背中にピッタリとAの気配があって、振り返る間も無くまた俺を奥へと突き飛ばした。
靴を履いたまま廊下に転がされ、やっぱり靴を履いたままのAが俺の首根っこを掴み、ケツを蹴るような感じで
奥へ奥へと引きずっていく。
短い廊下の左右にキッチンと多分風呂場とか洗面所があって、そこは物凄く臭かった。
便所の臭いかもしれない。
廊下には埃が堪ってて、それを吸い込んで咽た。
そのままリビングに続くドアにぶつかると、何だか奇妙な気配がした。
ドア越しに何かいる。
よく知ってるものみたいな、全く知らない物のような不思議な気配だった。
俺はこの時、廊下に靴を履いたまま座り込んでて、頭の上でAが物置とかについてる蝶番みたいなのを噛み合わせる鍵と南京錠を開けるのを見てた。
「どけよ!」とAが怒鳴り声を上げ、リビングの奥で物音がした。
気配が遠くなる感じがして、それからAが泣いてるような怒ってるような顔で俺を見て、勢い良くドアを押し開けた。
リビングの奥に裸の女がM字開脚でしゃがみこんでる。
うっはwと一瞬思ったけれど、顔が気持ち悪い。
ニタァって笑ったような顔で、舌がデロンと横にはみ出てて、焦点の合ってない感じの目が此方を向いてて
俺がギャッて感じの悲鳴を上げたらそいつが一瞬首を傾げて、うううーーーーわーーって叫び出した。
Aは俺に舌打ちをして、俺を蹴りつけ、彼女の方へずんずん歩いた。
彼女はAが近づくと、腰を床に付けたまま不器用に手と足を動かして後ずさりした。
チワワとかがオスワリしたまま後ずさるような仕草だった。
部屋の隅に尻がくっつくと、ぐううううーーーーって声がでかくなる。
Aは「うるせぇッ!」とか「静かにしろ」とかそんな感じに彼女の髪をひっつかんで太腿を蹴った。
彼女は悲鳴も上げずヒッ、ヒッ、というような息継ぎだけして、うわ、と俺が顔を背けた瞬間にギャン!と鳴いた。
俺はあのストリップ小屋で見た女の子の事を思い出した。
>>1は直接書き込んでるのか?
できればメモ帳かなにかに書いてから、一気に投下してくれないかな。
面白いんだけど待つのダルい。
せめて次回投下予定書いてくれ。
毎日スレチェックできるほどこっちも暇じゃないんでな。
一定期間で落ちちゃうvipの、それもSSスレなんかじゃあるまいしさすがに場違いな要求だな
住人も増えた事だしもう保守レスは必要無いかな。
1の話はこれからも楽しくみさせてもらうよ
では最後の保守だね
>>540 直接書き込んでるのもあるし、メモ帳に書いてるのもある。
今回は概ね書きながら貼ってるから何回になるかは分からんし
長いから待ってもらうのは申し訳ない。
どのみち規制があって一気には書き込めないので週末の纏め読みをお勧めする。
>>546 保守レスにはすごく助けられてると思う。
本当にありがとう。
何もできないけど、これからもこのスレで少しでも楽しんでくれたら嬉しい。
支援、保守、色んなレス全部に感謝してます。
こんな駄文につきあってくれてありがとう。
本当は怖いところだけまとめて書けばいいんだろうけどオカルト絡みの黒歴史だから勘弁して欲しい。
では今日の分
【閲覧注意】
【エロ・グロ・スカ・暴力表現】があるので苦手な人は回避お願いします。
おお来た!
今夜はS登場かなwktk
気付いたと同時に俺はしょんべんを漏らした。
悲鳴を上げたけど、Aに睨まれて口を塞いだ。
塞いだ口の下で歯を食いしばって悲鳴を殺し、鼻水のしょっぱい味のする唾を飲んだ。
女の子も小便を漏らしたらしくて、Aが怒鳴ってる。
オカルトも怖いけど普通に人間に何かされるのだってもちろん怖い。
俺は逃げだそうとしてAに掴まり、リビングの中に放り込まれた。
靴を履いたままのAにガンガン蹴られて、それから彼女の所まで引きずられ、二人で部屋の奥へと追い詰められた。
女の子にこんな表現は使いたくないけど、彼女はものすごく臭かった。
多分1週間とか2週間とか、もっと風呂に入ってないような色んなものの混じった臭いが彼女からする。
俺はAに殺されるんじゃないかと思ってガクガクしながら、隣の彼女にも怯えてた。
彼女は体をありえない格好に曲げて、俺を興味深そうに覗き込んでくる。
顔を近付けて俺の匂いを嗅ぎ、それから本当に奇妙な動きで俺の股間に回りこみ、チンポの匂いを嗅いでいる。
べろん、とズボン越しにチンポを舐めて、それから俺から少し離れて床の匂いを嗅ぎ、
しょんべんの跡を舐めようとしてまたAに蹴られた。
女の子が足蹴にされてる光景にとても耐えられず「許してください」と何でか俺が必死にAに謝っていた。
Aがどすの利いた声で「オカルト女に電話しろ」って言った。
今すぐここに来るように言え。そいつが来るまでお前は帰さないからなって脅された。
俺は何度も頷いて、それからSに電話を掛けた。
もうT子を紹介してやろうとかそんな事は少しも頭に無かった。
上手くボタンが押せなくて、何度も失敗しながらようやくSに電話を掛けたがSは出なかった。
Aは怒鳴り出し、その辺にあるものをガンガン蹴りまくっていた。
全裸の女の子がその度にビクビクと体を跳ねさせて体を左右にぐにゃぁっと曲げるのが凄く怖い。
Sと連絡が付いたのはもう8時とか9時とかその位だったと思う。
俺達は1時間以上Aに怒鳴られながら怯えて過ごした。
Sは仕事中だったようで、その事を謝った後で俺の声が変なのを気にして「どうしたの?具合悪いの?」と
心配してくれた。
そんなSをこんな何だか分からない事に巻き込むのが凄く申し訳無く思えたけれど、
俺は「何が何だか分からないけど、知り合いが変な事になって…お前の事呼んで来いって言われて…」と
しどろもどろに説明した。
Sはちょっとだけ黙り込んだ後で「大丈夫だから、すぐに行くよ。場所はどこ?誰か話せる人がいたら替わって」
すごく冷静で静かな声だった。
俺は、場所が分からずAに電話を差し出した。
Aは電話口でも怒鳴り散らした。
俺はこれで助かる。Sが来てくれる…そう思って安心した途端また少しだけ小便が洩れた。
SとAがどんな遣り取りをしたかは分からないけれど、Aは俺の携帯を持って部屋を出た。
必死に頼んだけれど、俺は彼女と二人きりでリビングに置き去りにされた。
部屋には所謂家財道具のようなものが殆どなくて、ガランとしていた。
TVも無ければ時計やソファのような物も無い。
新聞紙と、弁当のゴミが入った袋やペットボトルとか空き缶なんかが散乱していて、逃げ出せるようなものは無い。
リビングの窓を割ってベランダから逃げるのも無理な高さだし、玄関側のドアの曇りガラスは狭過ぎる。
壁にピッタリ張り付いて、なるべく彼女と対角線上に移動しながらただSを待っていた。
彼女はAがいなくなるとしばらくドアの方を眺めていたが、俺を気に掛ける事無く部屋の中をうろうろとした。
その移動する姿が両手を付いて、両脚をガニマタに開き、つま先だけで歩く。
足の爪が伸びてるようで、カシッ、カシッ、と床にぶつかる音がたまにする。
よく見ると足の爪が剥がれてる所もあったけど、まったく気にしてないようだった。
ストリップ小屋で見た女の子はもっと完璧に犬の仕草をしていたけれど、彼女は何かが中途半端で、
犬だと言われたらそうなのだけど、それよりも薬か何かでこんな風になってしまったのですと言われた方が
何となく納得できるような支離滅裂な動き方だった。
彼女は俺に近づいては来ず、弁当の空が入ってるビニール袋を食いちぎるのに夢中になってた。
1時間くらいして玄関のドアが開く音がした。
彼女がまたあの変な動きでドアに近づき、Aの怒鳴る声が聞こえ、開いたドアの隙間からSが現れた。
Sは彼女を見るなり眉をしかめて物凄い顔をしてAを見上げた。
俺はSに駆け寄ろうとしたが、それよりも早く彼女がSに飛び掛り、その腕に噛み付き首を左右に揺すりつつ、
ぐぅうう…ぎぃいいい…と奇妙な声を上げている。
Aがそんな彼女を怒鳴り付け、それから彼女の腹を蹴るようにして払いのけた。
Sがまた泣き出しそうに顔を歪めた。
大丈夫かと俺が駆け寄ったけれど、SはAの腕を掴んで「何をやったのか」「誰がやったのか」そんな事を
繰り返し問い詰めていた。
Aはそんな事はどうでもいいので彼女をどうにかしてくれと不貞腐れたが、Sは一歩も譲らなかった。
彼女はまるでSを敵だと思ってるようにギリギリと歯を食いしばり、歯軋りの音を立てながら床に爪を立て、
ガシン、ガシンと激しく床にたたきつけている。
犬はこんな事しない。
だけど彼女からは少しだけ、犬のような気配がしていた。
俺は何とか立ち上がりはしたものの、ドアまでの間に彼女が陣取りSには近づくことができない。
どうしようかと二人を見守っているうちにSとAとが揉め出した。
SはAを抱き締めるみたいにその首に腕を絡めて、背中を叩き「――大丈夫だから、ちゃんと何とかしてあげるから」
「だから一緒に何とかしよう」「Aさんが一緒に頑張ってくれなきゃ、私は何もできないよ…」と語り掛けていた。
その内AはSにしがみ付いて声を上げて泣き、俺は玄関で居心地の悪い股間を気にしつつSの携帯を握り締めていた。
こういう時、俺は本当にSの偽善面が癪に障って好きではなかった。
Aは廊下で泣きじゃくりながら、リビングの奇妙な女がB子だと語り始めた。
行き着けの店のNo1と付き合いたくて口説いたが、付き合い出してすぐにB子は勝手に店を辞め、Aと結婚する気でいたらしい。
そのまま金の無心をはじめ、自国への送金や自分の買い物や、とにかく金のかかる女でしぶると会社に電話をかけてくる。
追い詰められてきたAは、あのストリップ小屋で見せられた女の子達に夢中になった。
というより、何人もの女の子達を言いなりにさせている調教師の男に夢中になった。
そしてそいつに大金を積み、B子を彼女らのようにしようと思った。
それはAの想像に反し、相当にオカルトでグロテスクな方法だったが、Aは彼に従った。
けれどB子はこの通り、自分の言う事さえきかなくなってしまったので、どうして良いのか分からなくなってしまったらしい。
余りに身勝手で酷い話に俺もSも愕然としたが、Aはまだ20かそこらのSに縋った。
Sはとにかく今はどうにもならない。
一端帰って対策を考えさせろとかそんな感じの事を訴え、Aはそれを受け入れず何とかするまで帰さない、
とにかく念仏のひとつでもあげていけとかそんな感じで話しは平行線だった。
普段滅多に取り乱さないSもかなり必死で、Aも鬼気迫るような具合に怒鳴りあっている。
そのうちに痺れを切らしたAがSに平手打ちして、胸倉を掴んでリビングに投げ込んで来た。
Sはすぐに起き上がり、近くにあったゴミをAに投げつけ、そのまま飛び掛りとにかく廊下へ転げ出た。
勢いでドアが閉まりかけ、見えなくなった廊下からAの悲鳴みたいな声が聞こえて彼女が一瞬怯んだ隙に
俺は廊下へ飛び出した。
Aは廊下に座り込んでいて、その上にSが跨っていて、ドライバーみたいなものを突きつけていた。
もう片方の手に携帯を持ってて
「一度警察に空電話してあるからワンコールで繋がる。貴方の車は何色の何で、ナンバーは云々…」
そんな事を淡々と口にしていた。
本当かどうかは知らないけど、Sの厨二ぶりが遺憾なく発揮されていた。
もちろんAだって黙っておらず、何度かSに殴り掛かったが、ドライバーに触る度に悲鳴を上げて手を下げた。
呆然としている俺に、Sは此方を見もせず玄関の鍵を開け、その場待機を言いつけた。
俺はSの背中を飛び越えるようにして玄関に向かい鍵を開け、上手くすればこのまま逃げられるな…と
卑怯な事を考えていた。
そこに再び彼女が飛び掛り、Sの腕にまた噛み付いた。
Sは俺に携帯電話を投げつけて、何の躊躇いも無く彼女の鼻を摘まみ「動くな!」と叫んだ。
Aも彼女もビクンとなって、動きを止めて、彼女は本当に動物のように後ずさりしてリビングに消えた。
Sは言葉にできないくらい悲痛な顔をしていたけれど、Aを責めたりはしなかった。
ただ横に座り、ずっと背中をさすり続けた。
俺とB子だけが取り残されてるのに、B子は意味も無い声を上げ、床をバンバン叩いたり、ゴミを漁ってる。
SはAに薬は使用していないかどうか。
病院へは連れていったのか。
行くつもりはあるか。
それから、いくら程度の予算であるかを端的に聞いた。
そして、可能であればその調教師に合わせて欲しいと言い出した。
それは難しい事らしかったけれど、Sはどうしてもとやはり譲らず、Aが何とか連絡を付ける事になった。
Aは既に調教師とB子の事で揉めていた為、俺がSをB子のようにする為に連れて行く事で話が付いた。
初期費用の10万はAが払う事になった。
帰り道Sは勝手に俺の家まで付いてきて、巻き込んでしまってごめんと呟いたきり黙りこみ、寒い玄関にしばらく座り込んでいた。
Aが殴ったほっぺたは真っ赤に腫れていて、ストッキングもシャツもボロボロだった。
俺は怒っていたし、Sの顔なんか見たくも無くて、黙ったまま風呂に入って出てきたらSはもういなくなっていた。
Sが座っていた場所に、Aに取り上げられたはずの携帯が置いてあった。
今日はもう終わりかな?
S登場にwktkしたけど最後がかわいそうだお(´;ω;`)
しかしSのドライバー強いなw
ある意味一番最初の話よりこわいかもな
パンツ脱ぐ前に涙で濡れた(´;ω;`)
俺は
>>1の味方だぞ!
この話のSは20歳前後か・・
明日の展開が楽しみだゴクリ
>>1乙です
なんて男前なS
また惚れた
Aと調教師はお仕置きだ!
>>1乙!
今夜は調教師vsSの対決か
楽しみすぐる
>>561 俺もSにならお仕置きされたい
>>1乙!
Sは相変わらず頼りになるし男前だ
ただ
>>1さん不甲斐ない!Sを守るくらいの気持ちはないのかね!
と毎度思ってしまってたが今回は特にw
>>1乙!
>>563禿同
年上の
>>1助けにきて殴られるなんてSも災難だな。
しかしSのタラシぶりはこのあとAがストーカーになっても納得のレベル
優しさの範疇をを超えてる気がする。
Aのやってる事は監禁..犯罪レベルだしな
そんなイカれた奴に1が捕まり自分も危ないかもって状況だと
相手をまず落ち着かせて信用させる手段として優しくするのも仕方ない気がするな
>>1がSのネガキャンするたびにSの好感度があがっていくなwww
Sの危機回避能力が既にオカルト
ドライバーはマイナスだったんだろうかw
>>1はSに何度助けてもらってんだ
感謝とこれまで付き合ってくれた責任とって
嫁にもらうべきだと俺は思う
>>568 Sは俺の嫁!
>>1には勿体ない。
俺今年40のワープワだが結構本気だ
本気でSみたいな嫁さん欲しい
>>563 まったくもって同意
なのに
>>1ときたら・・・
偽善面って余りにもSがかわいそうだ
家まで付いてきてくれてるのに放ったらかしとか
Sも不安だったろうに
>>569 Sは俺の腕枕で寝てるよ
Sもオカ板のどこかで何か書きこんでたりしないかな?
1乙!
だけどオカルトエピソードいったい幾つ持ってるんだ?
全部聞きたいのでもう俺は書き込まんよ。
書けば書くほど1のエピソードが聞けなくなるのは嫌だ。
しかし気持ちは皆と一緒だ。と思って潜伏する。
という同調圧力
黒歴史だからしょうがない。
正直に書いてるから勘弁してくれ。
でもSなんか守ったら正直俺はすぐ死ぬと思う。
それに正直いざって時には動けないものだよ。
しかも先にSが動いてるから余計動けない。
むしろ逃げなかっただけ偉いと思いながら書いた。
Sには多分100回は軽く助けてもらった。
オカルト関係なくサラ金に騙された時も助けて貰ったし
入院した時は転院から保険の手続きまでしてくれた。
801板にならいるかもしれん。
恐い話苦手だから。
レスは本当に嬉しいよ。
一人でも書くけど2chなんだからみんなで楽しもうぜ。
では今日の分
【閲覧注意】
【エロ・グロ・スカ・暴力表現】があるので苦手な人は回避お願いします。
あと予定より長くなったから明日まで続くかも。
5分おき投稿で通る分だけ貼ってく。
決行の日までの間、何度かSから電話があったが俺は無視した。
それは凄く身勝手な怒りで、俺はSに俺を助けて欲しくて連絡したのに、SがAを助ける為に俺に危ない橋を
渡らせようとした事が許せなかった。
Sのこういう偽善的な所は今でも好きでは無いし寛容できない。
遠い間柄なら立派だと思うけど、度を越えた偽善者は身近に居たら迷惑だと思う。
そして最低な事に俺はSやAやB子を見捨てるという事もできない中途半端な偽善者なので、直前になってSと調教師の所へ行く事にした。
夜はショーがあるので、土曜の昼間俺達は調教師の自宅に案内された。
SはAに一度帰ったふりをして、万が一があれば警察にこの場所を通報するように頼んでいたので、
部屋には俺とSと、それから調教師と、入り口にいた痩せた男と、カイジに出てくる班長に似た図体のでかい男が
まるで俺達を見張るようにして座っていた。
携帯電話や荷物を取り上げられた俺達は、調教師が来るのを待っていた。
彼はちょっと独特の…医者とか坊主とか弁護士だとかそういう肩書きがある人独特の雰囲気を持っていて
それなのに人懐こい感じに語りかけてくる。
あの場面を見ていた俺も、まるでこの人がいい人みたいに思えるくらいに温和そうな顔をしていた。
そいつは俺達が「調教」という言葉を使うのを笑い、自分の行為はもっと人間の深い部分まで入り込む「催眠」である
というような事を説明をして、自分を「催眠術師」のようなものだと名乗った。
Sはまるで大人しい女の子のように小さくなってそいつの話を聞いていて、俺だけが馬鹿みたいにへぇーとか、
それは調教と違うんですか…とか、何度かすみませんとか謝っていて、やっぱり来なければよかったと思った。
催眠術師はおっぱいの大きさで人を判断しないタイプのようで、いたくSを気に入った。
自分が育てた女の子と交換しないかというような事まで言い出す程で、渋ると結構な額を提示してきて驚かされた。
繰り返し言うけど、Sは美人じゃないし、おっぱいも無い。
それでも催眠術師にとっては「逸材」というものらしかった。
既にAから聞かされていたが、催眠術師は自分の能力がいかに素晴らしいものであり、強力なものかを説明しだした。
中国とかインドとかネパールとか、そんな所へ修行に出掛けて身につけた秘術であって、
これは表に出るものではない。
他言してはいけないと繰り返し念を押された。
そういう事をしたらやっかいな事になりますよ、と。
俺のオーダーは犬だったが、催眠術師はSは猿になるのが相応しいから猿にしなさいとしきりに勧めてくるので
じゃあそれで…と頷いた。
別に俺はSを犬にしたい訳でもないし、猿にしたい訳でもないけれど、とにかくそいつの言う事を聞いた。
催眠術師は自慢話のような歴史を滔々と語った後で、自分は「触れるだけで女を自由に操れるのだ」と豪語した。
そして、奇妙な儀式が始まった。
Sは小さなガラスのぐい飲みに入った赤黒いものを飲まされて、その後に同じコップでにごり酒のようなものを飲まされた。
酒に弱いSはもうゆらゆらしていて、物凄く危なっかしい感じだったが、催眠術師はニヤニヤとして、Sに卑猥な質問や
俺が聞きたくも無いセクハラな質問を繰り返し、流石のSもちょっと落ち着かないようだった。
男はSの額に指をあて、Sが質問に嘘を言うと「嘘だね」と即座に指摘し、Sがすみません、真実はこうですと応える。
そんなやりとりがしばらく続いた。
Sの目はぼんやりとしていて、催眠術師はご機嫌でSにシャツを脱ぐよう命じた。
あー…、と思ったがSは躊躇いなくシャツを脱ぎ、ブラジャー一枚にされた。
催眠術師がSの腕とか背中をねっとり撫でる。
俺はSがブラジャーをしている事にムカついていて、お前ブラジャーいらないだろう!と突っ込みたいのを我慢した。
催眠術師が俺を呼び、Sの口に指を突っ込めというので、おそるおそる指を入れた。
チラッと覗いたブラジャーの縁が浮いてて、ほらやっぱりな!と思うのと同時、凄くシンプルなブラジャーなのに
少しだけレースが使ってあるのと、サテンのリボンが付いてるのを見て、何だか妙に興奮してたら、
催眠術師がニヤニヤしながらSはもう自分の支配下にある。だからこんな事をしても大丈夫だと悪戯した後、
「貴方はもう動けません」みたいな事をSに囁き、バシン、と手の平の跡が赤く浮くくらい
遠慮の無い強い力でSの背中を平手打ちした。
俺が悲鳴を上げるくらいに凄い音がして、指が喉まで飲み込まれたけど、Sは指を噛んだりしなかった。
ちょっと咳き込み涙目になっているSに、催眠術師は満足したようにSの髪や顔を撫でて褒め、
「ほうらね、簡単でしょ!」って感じにドヤ顔をした。
Sは本当にそいつの催眠術というのに掛かったようにぼんやりとして、何でもそいつの言う事を聞いた。
本当は3日間預かって完璧な催眠状態にするのだそうだけど、Sには資質があるし、何かが特別なので今日中に
第一段階を終える事ができる。
凄い傑作になるかもしれないと催眠術師は興奮し、しばらく二人きりになってじっくり催眠をかけていくと言って
俺は他の二人と一緒に別室に移された。
6畳くらいの部屋で俺はヒヤヒヤしていた。
班長似の男は部屋の隅の方でぼんやりしていて、まるで知能障害でもあるんじゃないかと思うような言動を繰り返しているし、
痩せた男はしきりにシモネタを振ってくるし、頼りのSはあんなだし、逃げたい逃げたい逃げたいと俺はそれだけ考えていた。
2時間か3時間くらいだったと思う。
部屋で流れてたAVが3本目に入った頃、男の悲鳴が聞こえた。
痩せた男が律儀に声を掛けて部屋に入ると、パンイチの催眠術師が頭を抱えて悲鳴を上げていた。
Sはそいつの肩を押さえつけ、ブラジャーとパンツという間の抜けた格好で馬乗りになり、ニヤニヤ笑いながら
催眠術師に顔を近付けて「捕まえた」「帰さない」囁くようにそんな事を言っていた。
言葉は良く覚えてないけど、とにかく主従が逆転した事だけは分かった。
何が起きたか分からないでいた痩せた男が取り合えずSに掴みかかろうとしたが、「動くな」とSに叫ばれて動きを止めた。
俺と痩せた男は、呆然とまるで催眠術師のおっさんが20歳の女の子に犯されてヒィヒィ言ってるような絵面を眺め続けた。
催眠術師は泣き出して「助けてください」「勘弁してくれ」「もう嫌だ」そんな事を繰り返し叫んでいたが、
Sは鬼畜な顔をしておっさんの上から動かなかった。
物凄く怒ってる時の顔だった。
目を見開いて、おっさんの涙でボロボロの顔を覗きこみながら低い、楽しそうな声で言葉責めを次々繰り出した。
「まだまだ一緒に楽しもうよMくん」
「Mくんは何にして欲しい?猿か犬か、それとも虎か」
「絶対に許さない」
「帰さない」
「ああ、脳みそをかき回されてるみたいでしょう…、Mくんも自分がした事を経験しようよ…切り刻まれて、食いちぎられて…馬鹿だね、こんな奥にいるのに何処に逃げようって言うの…大丈夫、脳みそは痛くないんだって…」
俺達はSの狂気じみた言動にしょんべんを漏らしそうになりながらただ立っていた。
催眠術師は、Sが声を上げる度にひぃいいとかひぎぃいいとかエロゲの女の子のような声をあげ、
それは段々みさくら的になり、最後は口から泡を吹いた。
その場の誰も知らなかったが、Mくんはおっさんの本名?だそうだ。
おっさんが泡を吹いてあぐあぐ言い出すと、SはおっさんがSにしていたようにおっさんの額に指を当てて
それから〆みたいな文字を書いて体を起した。
平然と服を着て、それから痩せた男にトイレへと案内させた。
Sはトイレで何か色々と吐いて、それから二日酔いに苦しんでいるような顔をして催眠術師の所に戻ると彼を起した。
痩せた男が催眠術師を必死に介抱したが、催眠術師はしょんべんと糞まで漏らしていた。
班長顔の男はただその場所を右往左往しているだけで、時々うう、とかああ…とか声を上げるだけだった。
男がまともな会話ができるようになるまで大分掛かったが、Sはそこに留まって、Aには無事の連絡を入れた。
途中奇声を上げるおっさんの耳にSが息を吹き込んだ。
Sは催眠術師のおさっんと今度は1階の部屋で差し向かいに座り、俺にはまったく理解のできない話をしていた。
おっさんは自分の精神を分割して他人に憑依する…という事ができるらしく、今までその能力を駆使して
女の子を自由に操ってきたらしいが、何故かSの精神は一筋縄ではいかず随分深い部分まで潜っていってしまったらしい。
普通の女の子なら酒と、それからドロッとした血のようなものの演出やらも相俟ってそれで簡単に自由にできる筈なのに
おっさんの精神はSの精神に掴まってしまい、そりゃあもう酷い目にあったようだった。
Sはこういう勝負は精神力の強い方が勝つ。
こと妄想にかけて、素人がオタクに勝とうなんて百年早いとほざいてたが、Sも随分とフラフラしていた。
>>1乙!
今日はここまでかな・・
焦らされるww
>>571の言い分も分かるから書き込みにくいが
1日1回は感想とか
>>1乙言いたい。
Sは騙されたふりとかしてたのかな・・
女の子なのに下着姿にされた挙げ句
>>1の暴言とかかわいそ過ぎる(´;ω;`)
>>1乙です!
今夜完結編だと思ったら騙された・゜・(つД`)・゜・
>>1乙です
>>570では言い過ぎました(´・ω・`)
確かに非日常的な事に実際直面した
>>1じゃなきゃ分からないよなぁ
ゴメンよ
Sは
>>1にとって身近な特別な存在ってのがよくわかったよ
しかしS強えぇ
1さん乙です。
Sが男の子だったらまた違うよね。
同じ事でも女の子のSがすると、途端に偽善っぽくなる。
そーゆーのはやっぱ気持ち悪いよ。
1さんにもプライドがあるしね。
>>1乙!
>>563だけど非難のつもりじゃなかったんだ。毎回楽しく見せてもらってる!Sさっすが!
B子もそいつにやられたのかな?
てっきりAが実践して失敗したのかと思ってたよ
B子の運命や如何に!
>>1乙!
毎日昼休みに読んでる俺だ!
お前は中身にこだわり過ぎだよ
冷静になって素数を数えるんだ…
20歳の素人のオニャノコが衆人環視でブラジャー見せるってすごいぞ!
何をキレてんだよww
Sのパンツの色を報告汁!
>>1乙!
確かに俺も動けないかもな。
>>1の正直な文章も好きだから、気を悪くしないで
続けて欲しい。
>>584 意外にピンクとか可愛い系を予想。
そういえば超高校生級のサクラちゃんは白だったな。
俺は
>>1の事が好きだな。
自分と重なって読むのが辛いくらいだよ。
Sはカッコいいけど別次元の存在みたいに感じる。
このスレの一生も入れたのか
>>588乙!
新参の自分には凄く助かる
もう半分か…しかし
>>1のペース凄いな
>>588 乙
タイトル凄いなw
でもこの作品全部が1000と共に消えるんだよな…
一体何人くらいが読んでるんだろう。
レス消費気にして書き込まない奴もいるだろうから、100人くらいは読んでるのかな。
スレ的には面白いけどモッタイネー!!!
あああ…、何だか却って気を使わせて申し訳ない;
ただの言い訳とかそういうのだと思って聞き流してくれ;;
でも本当に非日常の場面だと動けないから気をつけろ。
素数なんか数えられねぇよ。
整数も数えらんないくらいパニくるぞって言いたかっただけで
本当に申し訳ない。
vipで叩かれてばっかだから何か優しさに土下座したくなるゲザーな俺。
あと一部の人が気にしてくれたSのブラジャーはサックスブルー。
レースが白で、リボンは水色。
パンツの方はよく覚えてない。
おっさんのアヘ顔の方がインパクトがあった。
Sの貧乳はブラジャーへの冒涜レベル。
>>588 タイトル乙!
なんかタイトル付くと何か作品みたいだなww
俺の黒歴史にタイトルが…ww
オカ板の奴は本当にみんな優しいな。
こんなにしてくれてありがとう。
ようやく半分過ぎた所だけど、よかったら最後までまったり付き合ってってくれ。
でも100人も読んでたら泣くわww
では今日の分の調教師解決編。
【閲覧注意】
【エロ・グロ・スカ・暴力表現】があるので苦手な人は回避お願いします。
>>1乙!
ブラジャー細かすぎワロタw
そして
>>1は俺のSに謝れ
俺のSのおっぱいに謝れ
催眠術師はもうすっかり意気消沈している様子でSに怯えきり、それを見て仲間の2人もオロオロしていた。
俺が拍子抜けするくらい此処までは簡単に話が進んだ。
何しろSは、彼らの背後に所謂ヤクザのような組織があったとしたらそれはもう最悪な事だけれど
それはそんなに低い確率では無いと俺を脅していたから。
用意周到なSは、事前にゼンリンの地図で倉庫の番地を特定し、県庁か何かで土地の所有者を確認しに行くといった
事前調査をしていたし、色んなプランを考えていたようだけど、そういう物が必要になる漫画のような展開はひとつも無かった。
もちろんおっさんの嘘かもしれないと警戒を怠りはしなかったけれど、今に至るまで何も無いから本当に何も無かったんだと思う。
所謂通り一遍の事情聴取のまね事を終えたSが、「戻し方を知っていますか」と聞いた。
おっさんはしばらく項垂れた後で知らないと小さく呟いた。
Sがじっとおっさんを見詰めていると、「本当に知りません」とおっさんが泣いた。
すみませんすみません勘弁してくださいと泣いた。
方法を誰に聞いたのか、という問いには、おっさんも上手く答えられないようだった。
飲み屋か何かで仲良くなった素性の知らない人に聞き、Aのように自分の恋人か何かで試したら上手く行ったので
段々楽しくなってきて、金儲けもしようと思っただけなのだという。
その後はもうおっさんの愚痴が延々続いた。
おっさんの生まれ、育ち、差別、中傷、それから自分を相手にしてくれなかった女の子への歪んだ感情や
憎しみなんかをSにぶつけて、それからまたおんおんと泣き出した。
久々のリアタイC
Sは彼に近付き優しい声で事情は何であれ、悪い事したら謝って、償えることは償おう。
そうしてくれないと私は貴方を生涯苦しめる程に恨んでしまう。
お前はそれだけの事をしたのだからむしろそうされるべきで、許されるなんて生涯思うな思えないよな云々かんぬん。
けれど自分が味方になれることがあるなら協力を惜しみませんよ、と飴と鞭とを差し出した。
Sの方がよっぽど調教師みたいな有様だった。
理想論じみた説教の後、二人は女の子達の元へと行ってしばらく帰ってこなかった。
多分女の子達の催眠を解きに行ったんだと思う。
その後保護された女の子達はほとんど監禁中の記憶を失っていて、ただ体だけが無理な姿勢を続けた所為か
衰弱しているようだった。
残された男が俺に、自分はこれからどうなるのか…と相談してきたがそんな事が俺に分かる訳がない。
ただ逃がさないようにしないとな…とは思ったので動かないでくださいとだけ言ってみた。
一応武器を…Sが使ってたドライバーみたいな奴を手渡されたので握っていたけど結局一度も使わなかった。
あれはドライバーじゃなく電池式のハンダゴテで、相手に取られてもすぐに使い方が分からないだろうから、
スタンガンよりもいいでしょうと言って手渡されていた。
このおっさん達のしでかした事については普通に事件だったので、警察が来た。
その後の事は良く分からないけれど彼らが逮捕されたのは新聞で読んだ。
地元紙なのにほんの小さな三行記事にしかならず、俺はやっぱり苛々とした。
苛々しっぱなしの俺は本当に酷い事ばかりやらかした。
帰り道の車の中でも、Sは俺にごめんね、と何度か謝っていて、俺はそれがまた癪に障って
ウルセェよオカルト女黙ってろみたいな事を怒鳴り散らした。
正義面がキショイとか、凄い事やってさぞいい気分なんだろうなとか、ご立派な事だとか、
ああウゼェウゼェと喚き散らしたが、Sはもうこんな事では泣いたりなんかしなかった。
ただ静かに後部座席に座って俯き、ごめんねと言っただけだった。
本当に最低だと思うけれど、あの時俺はSが恐かったのかもしれないし、本当に俺がダメ人間なだけかもしれない。
悔し紛れにその夜Sのブラジャー姿をおかずにしたのはここでしか言えない黒歴史中の黒歴史だ。
そしてまだB子問題が残されていた。
催眠術師の使った手段というのは、まず最初に催眠術師が女の子の中身をからっぽにする。
空っぽにするというか、催眠術師の精神の一部が女の子の思考的な部分を捕まえて、
精神のうんと深い場所に沈めてしまう…という感じの方が正しいのかもしれない。
(この精神を云々っていうのも、最初からできた訳で無く知らない人に教わったらしい)
そしてその空っぽになった隙間を埋めるように動物の魂を入れていく。
犬にしたいのなら犬を食わせる。
この時彼女達は犬の魂を一緒に食ってるという感覚らしい。
それ以外には制御の為に主の糞尿を食わせる。
この時に絶対してはいけない事というのがいくつかあって、Aはそれをやらかした。
1つは育成中にセックスした事。
もう1つは犬以外のものを食わせた事。
Sに言わせるとこの所為で公式が全てこんがらがってしまった…という事らしい。
B子の中にはいろんなものが混ざり過ぎていて、それをひとつひとつ探し出して引き剥がす。
1個でも逃せないし、全部引き剥がすまではB子の精神を開放できない。
他の計算が終わるまで括弧を外してはいけないのだよ、とかそんな説明をされたけど俺は文系だから理解できない。
おっさんが押さえ込んでいる筈のそれをどうやったのか、詳しい事は何もかも俺には分からない。
Sが代わりにやったのかもしれないし、何かもっと別の方法を考え付いたのかもしれない。
何しろこの頃も俺はSと1ヶ月くらい口をきかなかったから、やはり事情がよく分からないAからの又聞きばかりだ。
とにかくSはB子の元へ通い詰め、Aと共に必要な儀式というのを続けた。
催眠術師のおっさんの所には何人かの女の子がいたが、この子達はほんの数時間で全員正気を取り戻したのに、
B子だけはとにかく長い時間が掛かった。
Sは結局何の解決策も得られないままB子に対応する事になったので、色んな事が手探りだったが
二つの方法が有効であると気が付いた。
B子の食事を常に主であるAと同じ食器から与える事と、人間の一部を食わせる事。
血肉を提供する人間はその間肉や魚を一切口にしていない事が条件だそうだ。
もちろん生きていなければいけないし、死んだものでは意味が無い。
だから爪や髪の毛は対象外になるんだったか、効果が薄いのだったか…メモにもちゃんと書かれていない。
ただ、丁度この頃Sが胃潰瘍を患っていて、うどんしか食えなかったのでSが好きなだけB子に腕を齧らせた。
本当かどうかは知らないけれど、Aはそう信じている。偶然だけどよかった、と。
B子は最初からSにだけは言われなくても噛み付いてたのでこれはとてもスムーズだった。
Sは嫌われる性質というのも悪い事ばかりでは無いと誇らしげだったので俺はまたちょっとイラついた。
Sは本当に何も出来無い。
あのかわいそうな女の子達を全員助けられた訳でもなければ、そいつに教えた相手というのも分からない。
結局しゃしゃり出てきただけで顔も見た事の無いフィリピンパブの女の子一人を助けるだけで手一杯だった。
ビザの問題、受け入れ先が云々、管理局がどうの…、毎日忙しく仕事しながらそんな事まで引き受けて
腕が見せられないから点滴も受けられなくて、それなのに大丈夫だって笑うSに俺は気持ち悪いとしか
表現ができなかった。
Sを否定しないと自分が否定されてるようで、どうしてもそれが耐えられなかった。
それでも気持ちの悪いSは自分から俺には近づこうとせず、いつもと同じニコニコした顔で
困った時だけ電話してこい。友達じゃないか、なんて言うから、俺はもうどうして良いのか分からなかった。
Aと飯を食い、Sの腕を齧る。途中Sが虫取り網のようなもので室内の動物霊を捕まえる。
こんな感じの手順を3ヶ月くらい繰り返し、B子から奇妙な言動は消えていった。
言葉を発する事はできなかったが、それも次第に回復していき、それから先は精神病院かなんかの世話になり、
Aが身元を引き受けた。
俺はAや俺の所にも警察が来たり、万が一にもヤクザが来るのでは無いかとヒヤヒヤしてたがそれも無かった。
Sは散々悩んだ末に、AにB子の看護を任せた。
その後の事はB子が色んな判断ができるようになってからもう一度考えよう。
途中で逃げたり、二度と暴力振るったりしたら訴える。
それがSの出した結論で、SはAに誓約書を書かせ保管した。
多分今もSが持っている。
AはSと俺に泣いて土下座してくれたけれど、別に俺は半沢じゃないし土下座には何の興味もなかった。
Aが逮捕されてしまえばB子の面倒を見る人はいなくなるし、金銭的にも不自由する事になるだろう。
Sは相当Aの件について悩んだらしいが、俺は人間の一生を左右する決断を、20歳の女の子一人にさせた。
結局B子はAと結婚し、今はもう股関節が脱臼しやすい事やヘルニアに悩まされている事を除けば
ただの太ったおばさんになり、犬だった事や、Aに暴力を振るわれたことを覚えていないし、Sの事も覚えていない。
Aだけは今でもSに頭が上がらない。
たまにSから電話があると怖がって俺に連絡してくる。
俺はただ、あの女の子達が記憶を取り戻したりせず、少しでも平穏に暮らしていてくれたらという事と
それからあいつが、あの催眠術師がもう二度とあんな事をしないようにと願うばかりだ。
この一連の話は、オカルトなのかオカルトじゃないのか俺にはちょっと判断できない。
精神感応がどうこう言われたらSFな気がするし、催眠術ならただの洗脳事件のような気もする。
だから書こうかどうしようかを悩んだのだけど、このメモが出てきたので書くことにした。
当時のメモを処分するので此処に書いてく。
犬女とか、鳥女とか書かれてるこれは、特別な地域で特別な人だけが作ることができる。
静岡周辺の風習では確実にない。下手をすると日本の風習ですら無いかもしれない。
完璧な犬女は戌年生まれの女でなければならず、製作に入る前に数日間絶食させる。
特別な人はその絶食期間に女の魂抜きを行い、その魂は土や木で作った人形に保管される事が多い。
用途によって様々な殺し方をされた、あるいは生きたままの犬の特定の部位を生で食う。
犬との相性が悪ければ女は死ぬ。相性が良ければそれを続ける。
この期間、特別な場所で特別な相手としか面会は許されず、なるべく日光には当てない。
普通は初潮が始まる前に儀式を開始する。少なくとも処女でなくてはならない。
食い物は犬肉だけだが、犬として完成されてきたら、主たる特別な人間の排泄物を飲み食いする。
一緒に育てた犬を殺害もさせる。
その後犬と性交させたりする事もあるが、儀式的なものなので犬の張子などで代用し婚姻だけをする事もある。
基本的には儀式が終われば普通の犬として天寿を全うするが、基本短命。
これは猿でも鳥でもヘビでも同じ。
どこで何に使われていたのか、これより詳しい事というのは教えてもらえなかった。
本来戻し方なんていうものは存在しない。
特別な人というのは、精神体しか持たずに生まれた人間だそうだ。
それを人間と呼ぶのならだけど。
>>1&588乙!
もう十分小説とかのレベルだよ。
週末には全部読み直して浸るぜ!
俺は
>>93 生臭い浜辺が好きだな
>>1 切り番オメ!
長編お疲れさまでした!
今回も何だか少し切ないな
>>1の話は妙に生活感があるっていうか
生々しくリアルだよな…読み終わってからゾクッとする
これからも応援してるから頑張ってな
ずっと読んでたけど、初めて書き込みます。
>>1乙。
多分、かの国(隣の半島)のまじないと見たな。
犬食いは勿論の事、人を洗脳したり、あやかしやまじないの類はかの国のお得意とするところだから。
しかし、Sの凄さは言葉を失うな。
若干二十歳でそれだけの事を為し得るだけの行動力には敬服せざるを得ない。
じゃ、また楽しみにしています。
>>1乙です
やはり生きてる人間が一番恐ろしいな
>>588も乙です
「このスレの一生」だけど
最後は盛況のうちに1000に到達
そして伝説に・・・なる予感
>>1乙!
それにしてもSスゲーな。
このスレの能力者の中でもベスト5に入りそう。
今日はじめて読んで気になったんだけど、
>>1とSはこんなに心霊体験してるのに周囲で廃人とか、行方不明になった人がいないって凄いな。
それとも実は書いてないだけで何人か死んだりしてるの?
Sは私に似たタイプの能力者だと思う
私も自分が授かった能力はギフトだと思ってるから
他人とかお金とかじゃなくて助けたいって思っちゃう!
ただそれだけで偽善とかじゃないんだよね・・
ありがとうって思って貰えたらそれでいいってゆうか
事故犠牲の精神ってゆうか、そうゆうのかな。
もちろん仲良しの人限定だけど。
信じない人は呪われるから。
そのせいで今は病気になっちゃったけど後悔はないよ。
私のはもっと本格的な能力だから守護霊とか守護天使とかの力も使えるから、
私がB子ちゃんのお友達だったらもっと早くなおしてあげられたかも。
>>1さんやみんなが聞きたかったら私のお話も書いてもいいよ。
ここは人が少ないから秘密を話しやすいし。
みんないい人みたいだから、信じてくれるなら聞かせてあげてもいいかなって。
書くのが遅いから時間かかるし長いけど昼間にちょっとずつなら書き込めるから。
どうですか?
なんか、最近は
>>1自身が自分をネガキャンしてるのな
書き込みから、1さんのS嬢への愛がひしひしと感じられる。
本人は違うと否定するだろうけど、恋愛だけが愛ではないのでその辺はご了承を。
お互いの魂は、今生以外にも輪廻の繰り返しの中で助け合ったりしてたんだろうね。
二人とも幸せになって欲しいと心から願います。
偽善っていうのや売名や良い人だと思われたくてやるもんだから、周囲から気持ち悪いとか偽善者だとか言われはじめたらあっさりやめちゃうもんだよ。偽善者は自分が一番かわいいからね
Sはどれだけ周りに非難されても自分の信念を貫いているから偽善的な行動とは思えないな。相手の事を思ってるよ。偽善じゃ他人の為に虫食ったりゲロ受け止めたり出来ないよ
荒らしに構わないように。
>>1乙
>>613 おそらく
>>1もそれはわかってるんじゃない?
だからこそ自分が傷付いてまで他人を助けようと動くSを気持ち悪いと表現するのかなと
なんでそこまでする?してやる必要ある?って。
もっと自分を大切にしろ、って実際は直球では言えないもんなんだろうなと
俺はもう萌えとか通り越してSが好きだ。
ホモじゃないが
>>1も好きだ。
恋愛話に興味はないが、この二人にはどんな形でも幸せになって欲しい。
最後にSさえ死ななけりゃどんなオチでもいい。
しかしこのスレよく持つな・・
>>1のネタが尽きない事も凄いが、
普段あれだけ騒いでる批評家はおろか荒らしもたまに変なのが沸く程度だもんな。
このまま続いて欲しいもんだ。
自分のネガキャンっていうか、ここでくらい正直に書きたいと思ってる。
>>615みたいな気持ちは少しあるのかもしれない。
ただ、やっぱり俺は凡人だからSみたいな事をそれも年下の女の子にされるとちょっと立場が無いというか
そういうやっかみがあるんだろうな。
電車で同僚が先に席譲ったら、それは立派だけど、自分はできなかったって思うと素直に喜べない。
そう思うと俺はSのおっぱい並に小さい人間だと思う。
それから前にも書いたけど、俺はかなり変な体験をしてるが行方不明者とか死者は一人もいない。
40年も生きて来たから友人や知人に亡くなった人間はいるけれど所謂オカルトで死んだやつはいない。
精神科の世話になったB子とかも普通に暮らしてるよ。
恋愛小説みたいにSも死なないし、実は死んでた俺が書き込んでたオチも無い。
特にオチの無い話だけど付き合ってくれてる人には本当に感謝してる。
感想とかレスとか支援本当に嬉しい。全部にレスできなくて申し訳ない。
でも本当にありがとう。
>>617 皆のsage進行のおかげです。
批評家の人もこんな所まで来てくれない。
エグイ話が続いたので今日は気分を入れ替える。
何で読んだのか見たのか聞いたのか忘れてしまったけれど、誰かが魚を食った夜は必ず魚の幽霊を見るというような話をしていた。
そこでふと釣りにハマっていた俺は一度も魚の幽霊というのを見た事が無いし、余り聞かないがどういったものだろうと
気になってSを問い詰めた。
猫とか犬の霊っていうのはよく聞くけれど、魚の幽霊を聞いた事が無い。
しかしそういうものは存在するのか。
Sは俺の家でBJを読んでいて、驚いたように目を瞬かせると「都会の人は変なものを気にするね」と笑い、
魚にだって幽霊はいるけれどとても少ないし、それと波長を合わせるのはとても難しいから
俺は一生見る事もないだろう…というような事を言ってまたBJを読み出した。
しかし見たという人がいるのだと言って食い下がってみると、その人はきっと都会の人で、魚を食うたび
魚の目が気になるタイプの人なのだろうと相手にしてくれない。
他所は他所、俺は俺なのだから幽霊が見えないという事を気にするもんじゃ無いという、
母親のようなことを言ってSはまたBJに視線を落とした。
俺はその後もしばらく魚の幽霊について考えながら釣りをしていた。
そんなある日、堤防を通り掛かったSが俺に凄いものを見せてあげると――場所ははっきり覚えてないけど
西浦の方へ連れ出した。
海が見渡せる蜜柑畑が側にある、凄く気持ちのいい場所だった。
Sは時計を気にしつつ、俺の立ち位置を右に左に、前に後ろに本当にちょっとずつちょっとずつ調整し、
肩の後ろからつま先立ちで俺の視界を確かめるように覗き込み、ようやくその場所を見つけたらしい。
俺に目を閉じるように言い、
10秒くらいしか見られないから目を逸らしてはいけないよ。
それから何も恐くは無いから恐がってもダメ。
声は、なるべく上げないように。
びっくりさせると悪いから。
そんな事を付け足して、俺の目を後ろから両手で覆い隠した。
「サンゲンシャンサンゲンシャン、この一歩通してくださいな。月夜のように明るく見せてくださいな」
こんな感じの事を呟いて両手をパッと退けられた。
俺は急に明るくなった目の前に思わず目を細めたけれど、目の前の光景に瞬きも忘れるくらい目を見開いた。
天気の良い真っ青な空に、ぐわッとまるで水族館の水中回廊みたいな光景が広がっていた。
すぐ手が触れるような場所に小振りの鯵が来て、黄色っぽい部分が金色に見えて、腹側は白銀みたいにキラキラしていた。
魚はどれも凄く早くて、見た事の無いやつもサメもいて、でかいサメが遠くで口を開けて小さな魚の群れを飲んだ。
どこに視線を合わせていいのか分からずに、キョロキョロしてるうちに近くを何か大きな魚が通り抜け、水をかけられたような感触があった。
驚いて目を瞑り開くと、もう目の前はいつもの海と蜜柑畑が広がっていた。
声なんか上げる間も無くて、俺は口を開けっぱなしにしたままSを捕まえた。
「見えた?」とSが嬉しそうに聞いてくるので黙って俺は頷いた。
Sは幽霊じゃないけど、ああいうのならその辺にいるよ、とニコニコ笑った。
もう一回見せてくれと頼んだけれど、Sは帰って来られなくなるからダメだよ、1回だけ特別。
と言って二度とはそれを見せてくれなかった。
奇妙なものはその後も色々見せて貰ったけれど、蜜柑畑で見せてもらった空飛ぶ魚は一番綺麗だった。
>>1乙!
短いけどキレイな話だな。
というか昨日までとの落差凄すぎるww
お!もういいのかな
>>1乙です
なんていうシーパラダイス
蜜柑畑のその場所と別次元の世界が重なっているのだろうか?
1_でも立ち位置が違い、呪文を間違えずに唱えないと
見ること叶わないようなあちらの世界ってところか?
このスレ覗きにくるのが毎日の楽しみだ
そういえばBJにも幽霊話があったなぁ
>>622 そんなにしょっちゅうエグイ体験ばっかりしてる訳じゃないww
こういう「それで?」って話の方が実は多い。
突然部屋に現実には絶対ありえないような格好した日本人形みたいな女の子が現れて
俺の手を掴んでグイグイ押入れの方へひっぱってく。
PCの電源も付けっぱなしで言う通りにすると、女の子は押入れの壁をすり抜けて、
まだぐいぐい俺をひっぱってくる。
でも俺は襖にぶつかって動けない。何コレ怖いって思ってたらその子がああ、って顔で戻ってきて何かゴニョゴニョ言って
今度は襖あけたら真っ白な空間みたいな場所になってて、しばらく歩くと森に出て、
めちゃくちゃ美人のお雛様みたいな人の所で1週間くらい暮らした。
同じように戻ってきたら家に泥棒入ってて、玄関燃やされた跡があった。
多分家にいちゃいけなかったんだろうな…とか、そんなのもちょいちょいある。
>>623 それが一番うれしい、ありがとう。
多分そういうものなんだろうな。
Sはよくこういう変な言葉を使うから俺はよくメモってたんだけど、
自分で唱えてなんとかなった事はあんまりない。
ミカン畑もあれから何度か行ったけど全くみえない。
一度海の匂いしたことあるけどあの辺どこもみんな海の匂いするんだよorz
BJの幽霊話ってどれだろう…俺は小田霧響子の嘘好きだったな。
週末だから遅いと踏んで仮眠してきたら終わってた(´;ω;`)
しかもおしゃべりタイム付きとかウラヤマシス
俺も
>>1のスレ見るの楽しみにしてるぞ!
今日のは青春っぽくて眩しいなあ
そういえばちょっと前に妖怪と話せるスレが立ったんだか
>>1はどう思う?
>>1 >>625の小田霧響子でBJがビジネスジャンプであると・・・orz
ブラックジャックだとばかり思ってたよ スマヌ
>>624もなんだか凄い話だな
なんだか竜宮城のような話だ
燃やされた跡じゃなくて
>>1が玉手箱でも開けたんじゃ?
そんなのがちょいちょいって・・・
次回も楽しみにしてます!
ええっと・・
>>609で書いたものなんだけどレス貰えないんだけど私どうしたらいいんでしょうか?
黒歴史とかじゃないから困ってるんですけど・・
ここは
>>1さんのスレなので、1さんの話に対して感想を書くなら歓迎するけど、
あなたの個人語りなら別スレを当たるか自分でスレ立てして書いて下さい。
それなら喜んで読みに伺います。
繰り返しますが、ここではあなたの語りはご遠慮下さい。
初めの方は
>>1もみんなの黒歴史もあれば的なこと言ってたけど、
ここまでくると遠慮してほしい気持ちだな俺も
どっちみち黒歴史ではないならスレチということで
なんかあんまり歓迎されてないみたいだけど、私の方がSさんよりもずっと能力が上なんですよ?
人間としてもずっと格式が上ってことなんですよ。
本質が見極められない残念な人たちですね。
黒歴史ではないのは私がそれだけ立派に生きてきたからなんですよ?
黒魔術や正式な術式ではない呪術紛いのインチキ能力者のSさんよりも、私の方が正しい事を
>>1さんなら分かってくれると思います。
どちらの話しが有意義か
>>1さんに決めて貰います。
他の無能力者の人はもう黙ってください。
>>629 >>433がスルーされたからって同じような事を繰返し書き込みにくるなよ
お呼びじゃないんだよ。察しろ。上から目線で気味が悪い。
みんな駄目だよ?
良く見て、めっちゃ大きな釣り針じゃないかw
>>627 いやいや知ってたよ!BJって言ったらブラックジャックだよな!
廃刊になったビジネスジャンプの話なんか普通しないに決まってるだろ!
幽霊手術する話だよな!分かる分かる。
シャチの話が俺は好きだよ。
泣いちゃうけどな!
…おじさんでごめんorz
>>626 探して来て読んだ。
スレ主もういなくて残念だ。
俺が見た頭が魚のやつとか黒い坊さんとかは妖怪なのか聞きたかった。
あと>>1氏のレスでSの変な呪文は妖怪からでも教わってたんじゃないかと思った。
>>628 Sがいなくなって不思議なものを見るのも減った。
お雛様は美人だったけど威圧感凄くて恐かった。
誰もしゃべらないしもう帰れないかと思ったし。
助けてくれるならもうちょっと分かりやすく助けて欲しい。
>>632 すまん。何かのテンプレかと思った;
折角の話をこんな過疎スレに書いて貰ってもここはまとめにも載らないし
勿体無いから
>>633の誘導先で聞かせてくれたら嬉しい。
土下座するからこれでもう勘弁してください;;
ある日Sから「明日交通事故に遭うから、バイパスを走ったらダメだよ」と忠告された。
オカルトなSからの忠告だから、俺は一日ヒヤヒヤしながら過ごしたけれど、特段何も起きないどころか
わざわざバスで通勤したのにその日は車を使うような業務さえ回ってこなかった。
一日ビクビクした挙句、何も無かったものだから俺は何となく騙されたような気分になって、
サバゲ仲間と飲み会かなんかやってる時にその時の事を話題に出した。
すると集まっていたメンバーの何人かが俺と同じようにSに脅されたことがあると言い出した。
Sの奇妙な言動は俺達の間ではオカルトというよりも、おばあちゃんの知恵袋的な扱いだったので、
そんなに深刻な風には誰も考えておらず、聞けば誰一人その予言が的中した人間はいなかった。
俺なんか山に登ったら帰れなくなるとか言われたけど、あえて登った。
しかし何も起きなかったから案外アテになんないなー、とかそんな感じで場は盛り上がり、俺も笑った。
しばらくしてSがまた「今週は海へ行かない方がいいよ」というので、俺はふと意地悪な気持ちになって
お前の予言は当たらないから俺は週末海釣りに行ってやるぜと宣言をした。
Sは笑って「チーズタラで大物は釣れんよ」と言って帰って行った。
俺はちょっと怖かったけれど、よく晴れた波の穏やかな日だったし、いつもと同じ場所で同じように釣りをした。
釣果はいまひとつ覚えてないけれど、やっぱり何も起きない一日だった。
それを報告してもSは「それはよかった」と言うだけで、別に気にしていないようだった。
そんな事は何度かあったが、俺は段々気にも留めなくなってきて、Sの忠告を聞き流すようになっていた。
何しろ一度も当たらない予言なんてものを信じる方がどうかしている。
俺も、仲間も、誰もSの予言を信じてなんかいなかった。
嘘吐きと罵るやつもいたし、インチキだと言うやつもいたけれど、Sは予言をやめはしなかった。
それからどれくらい経ったか分からないけれど、仕事中に車を走らせていたら交通量の多い交差点にSが立っていた。
平日の午前10時頃だったと思う。
授業中のはずだったけれど、Sは制服を着て家からも学校からも遠い場所に立っていた。
信号が変わっても歩き出す様子は無くて、ただただ車の流れを眺めているように見えたので、
俺は不必要な左折と右折を繰り返し、Sが立ってる角の手前で車を止めて声を掛けた。
「何やってんだよ」
声を掛けると泣き出しそうな、驚いたような顔をしたSが「これからここで大きな事故が起きるんだよ」と早口に言った。
それからすぐに「ありがとう、早くここから離れた方がいいよ」というような事を言い残し、
自転車に乗って行ってしまった。
さっきまでの思いつめた表情を一転させて、満面の笑みで後ろ手に手を振る背中を眺めつつ車を大通りへと戻そうとした瞬間だった。
信号が青に変わって、停まっていた車が動き出した途端に物凄いスピードのトラックが視界に飛び込んできた。
クラクションがあちこちから鳴り、俺は運転手が慌てて顔を上げるのを見た。
呆気にとられていた俺が後ろの車からクラクションを鳴らされるような始末だったが、
車の中で、さっきのSの言葉を思い出していた。
1回も当たった事の無い予言。
だけど今、もしも信号が変わるタイミングがちょっとだけ遅かったら。
右折の車が居たら…、普段ならこの道は右折の車が何台か並んでいるから、物凄い偶然が重なって、
この日もSの予言は当たらなかった。
俺はその次にSに会った時、この事を聞いた。
Sは俺の言葉を遮るように、「また当たらなかった」と笑い、他のやつらの笑いを誘った。
帰り道、二人きりになるいつもの道で、自転車を転がすSの隣を歩きつつ、俺はもう一度Sに予言の話について訪ねた。
聞いておかなければいけない気がした。
Sはしばらくはぐらかすような事を言っていたけれど、俺のしつこさに根負けしたように
「信じないよ」とか「気持ち悪いって思うかも」とかそんな前置きをした後で、こんな話を聞かせてくれた。
昔まだSが小学生の頃に不思議なものを見た。
下校途中の男の子がブロック塀のようなものに登って怪我をするというようなものだったそうだ。
登校中の出来事だったから夢ではない。多分幻覚のようなものだろうけれど、Sはその子に忠告をした。
あのブロック塀は崩れるかもしれないので近寄らない方がいいよ、とかそんな風に。
もちろん予言は当たらなかった。
Sは次々に不思議な光景を見る事になった。
交通事故に遭う人、海で溺れる人、火事で焼ける家。
それはまちまちで、顔見知りの事もあれば、場所の見当すら立たない事もある。
基本的には不運な事故で怪我をする誰かの映像だそうだ。
確かにオカルトな出来事を予言した事は無いし、する時は直前か、必ず回避方法をセットで伝えてくる。
むしろそういう時は、回避方法を取らせる為の前説のようなものだったから。
子供のSはそれを何度も人に報告したが、何しろ決して当たらないので、嘘吐きだと怒られるまでになった。
映像はとてもリアルなのだけど、何しろ一度も事故は起きない。
Sも流石に自分の見ているものが信じられなくなってきて、ある日見た事を誰にも伝えず黙って過ごした。
その夜、Sが見た映像の通りに近所で火事が起きた。
Sが見た通りの人が怪我をして救急車で運ばれていった。
付近の記憶が飛んでしまう程Sはその事がトラウマになった。
自分が伝えていたら助かったのか、いやでも当たった事は無いのだし…、と眠れない程の不安に襲われた。
中学生になると、Sはその映像を見せる相手を突き止めた。
これをSは3人の占い師の幽霊、という長い名前で表現した。
男のような女のような、うすらぼんやりとしたものが、必ず背後からやってくる。
尻とか踵とか後頭部とか、そういう所に違和感があって、ひやっとした感触でその幽霊が来た事が分かるんだそうだ。
そしてこいつらはゆらりとSを通り抜け、その瞬間に悪い映像を置き土産のように見せていく。
何故かこいつらは後ろ向きに歩いていて、Sを通り抜けた瞬間に顔がすぐ近くに見えて、後ずさりするように消えて行くらしい。
顔は三つあるんだそうだ。
「必ず当たるけど、しゃべったら嘘になる」
Sは深刻な顔をして俯いた。
あの日、Sは俺が事故に遭う映像を登校中に見たらしい。
けれど当時携帯を持っていなかったので、俺に連絡の付けようが無い。
だから、現場で待っていた。
俺にギリギリ話せてよかったとSは笑った。
信じなくてもいいよ、と言ったけど、俺は信じる事にした。
そう言うとSは気持ち悪く顔を赤くしはにかんで、「いい人だね、優しいなぁ…」と大げさに喜び、
何度も何度もありがとう、と繰り返して最後には道端にしゃがみ込んで顔を真っ赤にさせていた。
自転車のスタンドを立ててやりながら顔を覗くと、黙ってボロボロ泣いていた。
ポニーテールだけが揺れていて、俺は何だかひどく気まずくて離れた場所で煙草吸ってた。
お前も無能な凡人だって分かった。
もういいです。
特別な人間は特別な人間としかわかり会えないんですよね。
あなたも違ったみたいです。
さようなら。
S、どんだけ辛い日々を送っていたんだよ。
「いい人だね、優しいなぁ…」
やっと分かって貰えたんだと、心からの安堵がもたらした言葉だろうね。
>>1さんの優しさに惚れるよ。男だけどな。
この予言には法則があって、無関係の人間に伝えると別の事故に代わり、新しい映像を事故直前に持って来るらしい。
場所が変わったり、人が変わったり、何が変わるかは様々だそうだ。
事故に遭う本人に直接伝えなければいけない。
そして大き過ぎること…例えばSが心配している大震災のような事は予言されない。
必ず嘘吐きになるか、見殺しにするかの二択しかない予言だなんて酷い話だな…と俺が言うと、
Sは驚いたような顔をして、カッサンドラの話を始めた。
彼女よりはずっとずーっと幸せなのだよ、とSは笑って、相手に伝えさえすれば回避できるんだから、
と誇らしげだった。
きっとあの幽霊は占い師で、生前たくさん嘘吐きと言われてしまったのじゃないか…とSは勝手に予想していた。
俺はそれが凄くSらしいと思った。
Sは他言無用と言っていたけれど、卑劣な俺は約束を守ったりせず、Sと付き合いの長い奴だとか、
Sに惚れてるサバゲ仲間とか、信頼のできる奴数人と「Sの予言を信じる会」を作った。
理由は詳しく伝えなかったが、全員が「Sが嘘を吐くとは思えないから」と、納得し、喜んで賛同してくれた。
羨ましい話しだけれど、人徳というやつなんだろう。
この会のメンバーは徐々に増え、十何人かを超えた頃、Sの元に幽霊はピタリと現れなくなった。
Sはとても不思議がったが、この事を教えてやるつもりは無い。
関係があるかどうかも零感の俺達には分からない事だし、皆もそれに同意してくれた。
Sの報告を聞いたあと、こっそり集まって乾杯をした。
これまでで一番って言ってもいい位のめちゃくちゃ美味いビールだった。
ただその替わり、何故か今では予言とは全く関係無しに、Sの情報は「嘘だー!」と言われる事が癖になっている。
「ミクの中の人が艦コレに!」「嘘だー!」って感じ。
Sが嘘を吐くなんて事はほとんど無かったし、俺達も何故「嘘だー!」と言ってしまうのか分からないので、
あの占い師の幽霊から開放されたのと引き換えに「Sの情報は誰も信じない呪い」でもかけられたのかもなと思ってる。
>>1乙です
途中まで予知夢?と想像してた
「しゃべったら嘘になる」これわかる気がする
>>1に伝えられてSはホッとしたんだろうな
ボロボロ泣いたSを俺なら肩をそっと抱いてやる
自分は心臓バクバクして起きるような事故とかの夢をみると
なるべく早く夢の内容を誰でもいいから人に言ってしまうようにしている
そうする事で正夢にならない気がしてね
>>1乙!
2chで久々に泣かされた(´;ω;`)
何で抱き締めてやらないんだって突っ込みたいけど
この距離が
>>1とSの距離感なんだろうな。
二人とも幸せになれよ!
>>647 俺もあるある!
予知夢かもって怖くなってしゃべりまくるよ
当たらないと思ってたら、しゃべると当たらなくなるのかw
>>1乙!
これって
>>1がSを助けたんだろうな。
Sなら気付いてそうな気もするけどなw
今日も良い話だったな
Sはやっぱりただ者ではないわ。感受性強そうだし、火事の事も自分のせいだと責めたんだろうな
>>643 他人をこきおろし自分を持ち上げる…関心する程の自己愛の強さだな。
人の集まってる場所に便乗するように現れるアンタも大した人間じゃないね。
>>1の話はオカルトを超えて普通に小説としても読みたい。
ここが埋まったらまたどこかでSとの話を書いてくれたらありがたいな。
最近Sが可愛くて仕方がない。
勝手に魔法少女アイでイメージしてる。
>>643 精神病院にでも入院したらわかりあえるお友達もあなたみたいな自称特別な人間いっぱいいると思うよ
つかそういうとこにしかいないと思う
ごらんの有様だよw
もう釣り餌突っつくのやめとけw
今日始めて読んだけど、こんなスレが埋もれてるなんてもったいない。。。
たくさんの人に読んで欲しいと思うの俺だけ?
Twitterとかで拡散するのはアフィ違反かな?
>>655 >>3あたり参照
良スレなのはそのとおりだが、拡散はNGかと
残念だけどね
昨日は休みか、、、
>>655 その手の話題は何度かループしてるよ。
良スレ同意だけど今はなるべく無駄なレス消費しないように見守りたい。
感想とかネタとかは
>>1も歓迎してるけど、荒らし構ったりしてるのは見ててヒヤヒヤする。
次スレ立たないから大事に使って欲しい。
バカッター民は本当に拡散()好きだな
楽しい事を大勢で共有できないと死んじゃうのか、自分が良ネタの拡散元になりたい欲なのかしらんが
>>1乙!
うへー泣きそう美味しいビール泣きそう; ;
ジャンヌ2気になって検索するんじゃなかったわ!w
なんでSと今は疎遠なのか。
ファンも多いSのおっぱいさえデカければ
>>1も惚れていたのか。
それともおっぱいが
>>1にとって重大な欠陥だったのか。
うーん、おっぱい。。。
20年近く前って事は、Sも既に熟女の域ですか。
と云うか、今は音信不通なのかな。
今夜は
>>1さんが来てくれますように。
祈願sage
毎晩楽しみにしてるから
色々事情があるのは分かってるけど
最近のオカ板は途中放置が多いから心配になる。
>>660 Sの話をまとめてみると、一番最初の話はおよそ20年前
アラフォーの
>>1の5こ下、さらに1にエロゲを教えたのもS。
おそらく話に登場するSはどれも20才前後ではあるが、数々の不可思議な現象を毎回、独自の方法で解決へと導いてきた。
怖がりな
>>1とは対照的にオカルト耐性は高い。
また、冷静で優しさも持ち合わせており、
>>1はSのことを「偽善者」「気持ち悪い」とも表現する。
ただし、Sも泣くときは泣く。
霊能力者顔負けのSは
「水に灰浮かべるのが多かった、 お経とか呪文とかってSからは余り聞いた事ない。」
また、 「Sにハグをしてもらい、背中を叩かれ『大丈夫だよ!』と目を合わせる。」「事前にこうなるからこうしたら大丈夫はこれまで100%大丈夫だったので」
>>1談
とのことから、不可思議な事象に対するなんらかの力を持ち合わせている模様。
現在Sと
>>1とは、ジャンヌ2発売前にSから連絡が来たのが直近らしい。(2013.08.30発売)
Sの身長は、150センチあるかないか
体重は40くらいしかないらしい
さらに気になるバストサイズは、シートベルトをしてもパイスラッシュを拝むこと、あたわず。←お察し
最後にサブタイとして 。
【登場人物】俺とSとの黒歴史【全員厨二】
すべて
>>1のレスより。
>>1の人物像。
大きなおっぱい大好き猫好き土曜婚活厨二文章神なアラフォーの男性。
私も1つ回想程度
>このスレが900過ぎたらSに電話してみようと思う。
>夏に連絡した時はメールだったし「ジャンヌ2発売ktkr!」くらいだったからw
とかとか言いつつ、この時詳しい話をしなくて、今から電話してみるでもなく
900過ぎたら、と言うところが
>>1の素敵なところだと思ってる!
これからも楽しみ(n´v`n)
無駄レスすみませんでした!
>>662 >>663 まとめ乙!
凄く分かりやすくて助かる。
俺はS孃の独特な解決法が好きだな。
カレー粉の失せ物探しとか日没ジャンプとか。
>>655 Twitterダメ、絶対。
ここに登場するエロゲは決して検索してはいけないワードです。
>>662・663さんまとめありがとうございます。
テレクラでバイトしてたのが高2くらいだから、ここで書いてるのは
だいたい17〜25歳くらいまでのSの話。
時系列は思い出した順とかで適当に書いてるので行ったり来たりする。
解決法は当時の俺メモに書いてあるのを引用してる。
チキンだったからSに言われた事は結構メモったけど最近俺がやっても意味無い事に気が付いた。
みんなのレス読むの楽しいな。
熟女という優しい言葉にSも感謝してるはず。
途中放棄はしないつもり。
夜のおかずや昼のおかずにしてくれてる人、いつもありがとう。
今日の分投下。
若干グロいかもしれない。
線路に近い神社の裏道を歩いていた時の事だった。
小さな神社の境内はちょっとした公園になっていて、幾つか遊具が置いてある。
細い道一本挟んだ周囲はほとんどが住宅地だったから、普段は結構遅い時間まで子供の声が聞こえてるのに
その日はまったく人の気配を感じなかった。
ふと境内の方へ目をやると、男の子が一人砂場でもない場所にしゃがみこみ何かやっていた。
何してるのかと目を凝らそうとしたらSが俺の腕を掴んで唐突に「こんにゃく!」と言った。
頭の中がこんにゃくで一杯になった瞬間、背後から男の子の声で「とーせんぼ、とーせんぼー…」と歌うような声が聞こえた。
メロディは全然違うけど、とおりゃんせみたいなああいう感じ。
俺が振り向こうとするとSがまた腕を引っ張ったのでSを見た。
Sは凄く嫌そうな顔で前を見ていた。
俺達は神社の裏の細い道を歩いてた。
片側は壁、もう片方は神社の境内で砂利が轢いてある。
誰も居なかったはずの正面に、足音もさせずあの男の子が立っていた。
線路に近い神社の裏道を歩いていた時の事だった。
小さな神社の境内はちょっとした公園になっていて、幾つか遊具が置いてある。
細い道一本挟んだ周囲はほとんどが住宅地だったから、普段は結構遅い時間まで子供の声が聞こえてるのに
その日はまったく人の気配を感じなかった。
ふと境内の方へ目をやると、男の子が一人砂場でもない場所にしゃがみこみ何かやっていた。
何してるのかと目を凝らそうとしたらSが俺の腕を掴んで唐突に「こんにゃく!」と言った。
頭の中がこんにゃくで一杯になった瞬間、背後から男の子の声で「とーせんぼ、とーせんぼー…」と歌うような声が聞こえた。
メロディは全然違うけど、とおりゃんせみたいなああいう感じ。
俺が振り向こうとするとSがまた腕を引っ張ったのでSを見た。
Sは凄く嫌そうな顔で正面を見ていた。
俺達は神社の裏の細い道を歩いてた。
片側は壁、もう片方は神社の境内で砂利が轢いてある。
誰も居なかったはずの正面に、足音もさせずあの男の子が立っていた。
服装もよく思い出せないくらい普通の男の子だった。
肌の色だけが異様に白くて痩せていたけれど、それよりもとにかく意地悪そうにニヤニヤ笑っているのが気持ち悪い。
そう思いながら見ていたら、そいつの顔が小学生の頃のいじめっ子に似てる気がして嫌な記憶を思い出した。
男の子が俺に視線を向けた瞬間、Sが俺の背中にサッと文字を書いた。
「すき」とひらがなで二文字。
あんまり驚いたのでまたSを見た。
男の子はまた知らない顔に戻って意地悪な顔でSを見た。
それからまた「とーうせんぼー、とーせんぼー」と歌いながら此方へ一歩近づいてきた。
後ずさりしようとしたら背中をSに押し返された。
Sのあったかい手が気になって仕方なかった。
本当に悲しい事だけど、こんな状況でも相手がSでも、好きだなんて言われたら俺はSが気になって
仕方が無くなってしまった。
いやこいつ俺の事好きだったのかよ、とかもうこんにゃくなんかどうだっていい。
俺はSの事ばかり考えていた。
男の子は俺とSの両方をじろじろと見て、それから「あーそびましょ、あそびましょー」とまた歌った。
やっぱり聞いた事の無いメロディだった。
Sはぎゅっと俺の上着の背中を握り、男の子を見てた。
男の子は俺の方を見上げて、ケキャケキャケキャキャキャ…という鳥のような耳障りな声で笑い、
また「あーそびましょー、あそびましょー…アメクモミクモヤマミクモ、クモノナントカケモノノナントカ…ケモノが咥えてトオニヒキサキ食べました。けれど満腹まだ遠い、ヒャクにするのにナントカし、まだ足りないから千に砕いて粉にした」
こんな感じの歌だった。
所々しか聞き取れないのに、引き裂いたとか、砕いたとか、そういう所は鮮明に聞こえてくる凄く不思議なメロディだった。
そして俺の顔に息が掛かるくらい近づいて、ギョロッと目玉を見開くと「引き裂かれたものなーんだ」と楽しそうな声で問いかけてきた。
一瞬頭が真っ白になって、Sの手を握った。
瞬間、男の子がニタァッと笑って、俺の手の中からSの手の感触が消えた。
驚いて隣を見ると、遅れたようにSの赤い自転車がガシャーンと倒れ、Sが消えていた。
前を見ると男の子はいつの間にか数メートル先にしゃがみ込み、何かをぐちゃぐちゃかき回して遊んでいるように見えた。
訳が分からなくなって周囲を見てもSは居なくて、こんなに大きな音がしたのに誰も出てこないし何も聞こえない。
どうしよう、どうしようどうしよう…パニックになっていると、また男の子の声がした。
「お兄ちゃんの宝物もーらった」
ケキャケキャケキャキャキャ…またあの耳障りな笑い声がして、男の子が足元から人間の頭を両手に抱えて此方に向けた。
Sの頭だった。
首からはまだ血がボタボタと滴っていて、俺は悲鳴も上げられなくてただ口が乾いてひゅうひゅういった。
幾ら考えたって俺には解決策なんか思いつかない。
こんにゃくと染み豆腐の事しか思いつかなくて、俺はSの名前を呼んでいた。
「あーそびましょ、あそびましょー」
また声がした。
今度は女の声だった。
次は俺がああなるんだと思って覚悟を決めて正面を向くと、男の子が驚いた顔をしてSの生首を見詰めてた。
ああ、Sの声か、と俺は何故だか驚くよりも安堵した。
生首が歌ってるのは気色悪い光景だけど、その時は少しも恐いなんて思わずに、ああ、やっぱりこれも夢なんだ…
くらいにしか思わなかった。
「あーそびましょ、あそびましょー」
Sは男の子に向かってあのメロディーで語りかけると、長ったらしい引き裂いてどうの…といった部分も
多分同じフレーズで歌い、それから「粉になったのなーんだ」と遊んでるような声で問いかけた。
男の子はとても驚いた顔をして、砂煙みたいになって消えてしまった。
気付くと俺は腰を抜かしていて、それからSに手を引かれて立ち上がるとケツやら背中をパンパンされた。
帰ったらすぐに全裸になって入浴し、速やかにパンツまで全て洗濯するように、と忠告を受けた。
「何あれ?」と訪ねたけれどSは「さあ…」と彼が立っていた辺りをぼんやり眺めた。
Sは倒れた自転車を起して前カゴが凹んだ事の方を気に掛けていた。
そしていつものように俺を家まで送り届けてくれながら、俺がビクビクしてるのを感じ取ったのか、
妙に真面目な声で唐突に
「しかし今回は危なかったな…。万が一お前がリア充で、私がショタコンじゃなければやられていたぜ」
そんな事を言って笑うので、俺もつられて笑ってしまった。
俺からも「せめてAカップになって出直してこい」と小突いたら、Sがやっぱり楽しげに笑いつつ
「ただのおまじないだから安心しなさい」と背中を叩き、洗濯忘れるなよー、と自転車に乗って帰って行った。
>>1乙・・おつ?
しかし俺は今
>>1に殺意を覚えた(# ゜Д゜)
幸せじゃねーか!
待ってくれ意味がわからない
こんにゃくはどうなったの?
それよりなんで
>>1がリア充になったの?
>>1乙!
こえーよ少年
これはあれか、好きな者を持っていく相手だったわけか
>>1の頭ん中をSでいっぱいにして被害をSに持っていき
Sはショタコンだったから少年自身に返したってところだね
幻覚だったのか、いずれにしろSが何枚も上手だな
そして
>>1が裏山だコンニャクヤロー!
>>1乙です
どうしてもショタコンをショコタンと読んでしまう俺orz
「引き裂かれたものなーんだ?」でSが引き裂かれ
「粉になったのなーんだ?」で砂煙のように消えたか・・・
もし少年が先に「粉になったのなーんだ?」と問いかけていたらSが粉々になったのか?
だから今回は危なかったとSは言ったのかな?
しかし察知能力から対処能力、事後のフォローまでさすがだなS
身を挺して
>>1を守ったんだな
でも引き裂かれた後
>>1がSの名を呼ばなかったら逆転パターンはなかったかもとか妄想すると鳥肌ものだ
そうか、Aカップもないか・・・ かまわんですたい!
今更だが17でテレクラバイトって出来たのか?
田舎のオッサンには刺激が強すぎるぜ
>>1乙!
昼のおかずにしてる俺だw
やっぱり
>>1の話はワクワクするな
>>675みたいに色んなパターン想像すると更に怖くなるけど
Sは
>>1が名前を呼ぶ事まで予測してたんじゃないかな。
Aカップに足りない…上等じゃねーか!
高級品だよ。
それからスレチ承知で聞いてみるけど、Sみたいな子が出てくる作品って
ホラーマンガとかラノベでも良いけど何かオススメある?
1000に備えて確保しておきたい。
お経とか必殺技で解決じゃなくて、毎回回避方法が違う…みたいな話が読みたい。
ちなみに西尾は押さえてる。
なんていうか、本出せるくらいレアな体験してるなぁ
心霊スポット凸しても何もないけど憑かれてたとかはよく聞くけど、姿を確認できて、向こうから話しかけられたり何かされたり変な世界に迷い混んだりっていうのがすごい。
S降臨マダー?
ずっと読んでるけど
>>1とSの信頼関係がすごいよな。
なぜかたまに泣けてくる。
こんな友達欲しかったなあ・・
>>675 オオ(・∀・)人(・∀・)同士!!
俺も書きながらアレッ?てなる。
俺あの股の部分がちょっと突っ張るトラックスーツとかのグラビアが好きだ。
そしてここもかなり田舎だww
田舎だからかなりルーズなんだと思う。
平気で深夜のコンビニに高校生がいたし、
Sも工場の夜勤とかしてた。
>>678 まだ間に合う。
そしてレスを読んで改めてガクブルする俺。
大丈夫じゃないバージョンなんか想像した事なかったorz
生きててよかった。
レアな体験なのか…。
いや零感な俺としてはレア体験だと思ってるけど、
霊感ある人はもっと色んなものが視えるんじゃないのかな?
あいつらは見えてる世界が俺とは違う気がする。
Sが胃潰瘍で何度目かの入院をした。
俺は何度か見舞いに寄ったけれど、Sの側にはいつも誰か居て廊下の椅子に座ってる事が多かった。
たいていは入院患者の人かその家族とかで、Sの家族を見た事は一度も無かった。
その時一緒に居たのは高校生くらいの男の子で、何となく入院が長いんだろうな…と想像できるような風貌だった。
Sはその子とワンダースワンをケーブルで繋ぎ、デジモンのゲームをやっていた。
男の子は俺に気付くとぺこりと頭を下げただけでSにボソボソと何か言い、また会釈してゆらゆらと病室に戻って行った。
廊下の長椅子の上に、村上春樹の本が置いてあった。
あの子の忘れ物だろうと声を掛けると、Sが置いてったんだよと笑うので、彼の続きの対戦を俺が引き受けた。
オメガモン贔屓のSが育てたミレニアモンは泣けるくらいに弱かった。
戦闘を終えるとSはゲーム機を片付けて、村上春樹のハードカバーを手に取ると、ぱらぱらとページを捲って見せた。
綺麗な本だったけど中盤の十数ページにインクを擦ったような薄い灰色の染みがついていた。
それはなんだかパラパラ漫画を読んでるような気分になった。
「この染みがね、段々濃くなって人の顔に見えるんだって」
Sはその汚れをなぞりながらちょっと笑った。
「本を替えても染みはあの子に付いてきて、毎晩話しかけてくるんだってさ」
俺は図書館の本とか古本屋の本とかは少し苦手なものだから、病院の待合室の本なんてものは触らない。
だからその本にも触りたくなくて、ちょっとだけ覗き込んでみると横からSがここが目で、ここが口で――と
彼が訴えたらしいイメージを俺にも伝えて、おじいさんの顔なんだって、と他人事のようにそこをなぞった。
触っても平気なのか、そもそもそんな曰く付きの本を持ってても平気なのか聞いてみたけれど
Sはそれには答えてくれずに、病院の中では大抵の恐怖は3割増しに、不安に至っては5倍くらいに膨れ上がるものだから
この本は自分が持っているのが相応しいのだと病室の中に持って帰った。
次に見舞いに行った時、Sはナースステーションで看護婦さんに叱られていた。
聞き耳を立てると病室で携帯電話を使用してる事について云々といった事だったのだけど、Sは特段言い訳もせずに
すみません、気を付けますと謝っていた。
看護婦は俺に気付くと声を低くして、とにかく今後は注意してくださいと話を〆た。
Sは便所に行ってくるから先に部屋へ行き待っていてくれと消えてしまった。
その背中にまた看護婦さんが何か注意して、Sは何だか嬉しそうにすみませんすみませんと謝っていた。
うほっ!リアタイシエン
Sが入院してたのは大部屋だったし、入っていくのが躊躇われたのでいつもの廊下の椅子に腰掛けていたら
病室の中から牢名主みたいなおばさんが出てきて、俺の隣にピッタリくっついて座り、
Sの家族が見舞いに来ないことだとか、俺がSの彼氏なのかという事だとか、病状がどうだとかこうだとか
とにかく色んな事を根掘り葉掘り聞いてきた。
そして俺が答えを濁していると、消灯時間も過ぎてからSが携帯電話で電話をしている事を話し始めた。
ああ、この人がチクッたんだな…と俺はできるだけ嫌な顔をしてみせたけれど、おばさんは気にする様子も見せないで
会話の相手がすごく気持ちの悪い声である事。
どうせ生きてても良い事無いとか、病人なんか厄介者なだけだとか、そんな内容の会話である事を滔々と告げ、
そんな風では聞いてるおばさんの気分も滅入り、憂鬱であると元気に捲くし立てるように愚痴り、
そして自分の病気の事を何か言い、Sがナースステーションでまた捕まってるのを目ざとく見付けると、
俺に饅頭かなんかを押し付けてそそくさと病室へ戻っていった。
Sはほくほくした顔で戻ってくると病室に戻らず俺の横に座り、看護婦さんっていいなぁとうっとりしていた。
40歳くらいの痩せてて滅茶苦茶キツイ物言いをする意地悪ばあさんみたいな看護婦がSのお気に入りで、
その人にまた怒られたのだと嬉しそうにニヤニヤしていた。
Mっ気でもあるのか、Sは他人に怒られるのが好きだった。
夜勤病棟でも主任の彼女が好きだったから、そういう肩書きに弱いのかもしれない。
俺は少しばかり怖かったけれど、あの本を見せて欲しいとSに頼んだ。
Sは途端に困った顔をして、あの本はもう読めなくなってしまったんだよ。
だからあの本をもう一冊買ってきてくれないか、と初めて見舞いの品を俺にねだった。
まだ途中までしか読んで居ないから続きが気になって仕方がないよ、とトーンの高い声で続けた。
俺は仕方なくSの頼みを聞いてやることにして古本屋であの本を半額で買い、Sの元へと届けてやった。
その日Sは珍しく病室のベッドに腰掛けていて、俺が買ってきたのと同じあの本を読んでいた。
別に読んでいた訳でも無いんだろう。
そのページはもう、読めないくらい黒くなっていて、それは俺にもはっきりと人の顔に見えたから。
ぼんやりとした能面のようだったあの顔は今、痩せたじいさんの顔に見えた。
Sは俺から古本屋の袋を受け取ると、何故かオマケにつけてもらった西村京太郎の本をペラペラ捲り
これはもう読んだからハズレだなぁ…と笑いながら古本屋の本に彼の本から外したカバーをかけかえた。
そんなの持ってて大丈夫なのかと尋ねると、Sは村上春樹の本は好きだから全く何の問題も無いと笑顔を見せた。
おかげで彼に本を返してやれると喜んでもいた。
携帯で話してる相手の声が外に漏れるなんて事はこの頃の技術でもそんなに起きたりしなかった。
それにSは、病室で携帯の電源入れるような事をする奴じゃない。
だからきっと、Sは深夜にあの本のじいさんと話してるんだと俺は思った。
冷静に文章にすると凄くおかしな事だけど、その時は別に普通の事のように思った。
俺の心配を他所に、Sは元気に退院してきた。
またしばらくして、Sとデジモンの対戦をしてる最中、ふとあの本が気になった。
俺が黒いじいさんに見える染みがあっただろうと伝えると、Sは目を丸くして驚いた。
それからあのじいさんはもう居なくなってしまったのだよ。話したいだけ話したら、段々褪せて消えてしまった。
よっぽど病院が嫌だったんだろうね、一緒に恐がってくれる相手を探してたのかもしれないなぁ…と
少し寂しげに呟きながら、容赦なく俺のオメガモンをオメガモンで攻撃してきた。
本の持ち主も無事退院し、今でもたまに遊んでくれると嬉しそうに言った。
デジモンはもう付き合ってくれないけれど、遊戯王カードで遊んでくれる。
物凄く強いよ、とSは楽しげに付け足した後、あのじいさんは不安を固めた存在なのだと珍しく饒舌に仔細を話してくれた。
例えば何か不安や恐怖がある時や、精神が不安定な状態にあると、どんなものでも幽霊に見える。
壁の染みや、天井の影やなんだって恐怖や不安の対象になる。
恐怖や不安が強くなったら自然とそれは濃くなっていって、人の感情がそういうものを産んでしまうのだと説明し、
だから黒いじいさんを見た俺をSはとても心配し、人間ドックを受けさせられた。
偶然だとは思うけど、腸にポリープが見付かった。
あと、ちょっとナントカ値というのが高いというので、Sと同じ病院に今度は俺が入院する事になった。
Sにそれを伝えると、「ちょwwアナル開通オメ!」と言われただけで、薄情にもSは一度も見舞いに来なかった。
支援感謝!
支援してもらえると5分置き投稿できてちょっと助かる。
連投規制がちょっと緩くなる気がするけど仕様なのかな。
リアタイ支援
>>1はSの影響で変な体験をしてるのか、それとももともと変な現象を引きつけやすい体質なのか、どっちなんだろうな
>>1乙
リアタイ逃がしたorz
Sの優しさはじんわりくるな。
泣かせ系の押し付け感が無いのも好きだ。
いい母さんになるんだろうな。
>>687 同意。
>>1はSに会う前から幽霊とか見てたの?
というか今は離れてるんだよな?
今も何かあるの?
>>1乙!
なんかほっこりな話とグロが混在しとる。
つまりSは幽霊の愚痴聞いて成仏させたってこと?
普通は幽霊とコンタクト取ったら引きずり込まれるって
いうからな。
Sがいなかったら少年は退院できなかったかもな。
段々書き込みにくいレス番になってきた(´・ω・`)
ざっと読んだだけだからはっきり言えないけど、この子
静岡東部の(旧駿河)生まれで家族に問題無いか?
血縁者に20前に死んだ人、狂人廃人みたいな人がいるとか。
本人が異常な俊敏さとか頭がい良いとか記憶力が凄いとかそういうのは?
あと初潮前に長時間の迷子か記憶が欠けてる事はないか
多分本人は覚えて無いから家族に聞いてみてくれないか?
このままだとこの子絶対成人できないぞ。
>>1乙!
デジモンも遊戯王も懐かしーなー
今回みたいな「曰く付き」にもS対応できるんだな
最後wワタクシからも後れ馳せながら開通オメ!!
>>691 成人はとっくにしてるから自称霊能者様は帰って、どうぞ。
>>691 >>1の話を読んでたら出身地は予測できる
Sはもう30台の熟女で今年の夏に新作のエロゲプレイしとるよww
今は俺の家で夕飯作ってる。
>>1乙です
ウホッ 開通w
成仏したからじいさんの顔がはっきり浮かんできたのか?
病院独特の雰囲気と、
>>1のアナルポリープの前兆がそう見えるように影響したのか?
はたまた成仏などしておらず、ジジイが次の獲物として
>>1に狙いを定めたから顔が見えたのか?
いや、Sが対処したんだから大丈夫だな
>>1の話はもちろん、本編前のコメ返しも好きだ
コンニャク!
691だけど、荒らしみたいになってすみません。
気になって最初から全部読んできて、この人が普通に生きてるって聞いて驚いてます。
別に霊能者とかじゃなくて、俺の親父が特別な事情を抱えた子供を預かる施設をやってたんだけど、その中にすごく良く似た子がいたんだ。
やっぱりもう10年以上前で、その子がSさんの呪文とよく似た呪文を唱えることがあって、俺は火の玉がグルグル回ってる空を見せてもらったことがあるんだ。
「サンゲンシャン」っていうやつ。
俺には「さんぜんしゃや」って聞こえたけど、同じように目隠しされて、何度も見せて貰ったんだ。
その子も静岡東部出身で、その地方にはそういう子の生まれる家があって
特別な能力を貰うけど体が弱くて20までに必ず死ぬって言われてたんだって。
その子も15歳くらいで亡くなったんだ。
その事がずっと気になってて、だから心配になって書き込んでしまったんだけど、生きてるならよかった。
スレ汚し申し訳ない。
色々興味深いのでロム専で読ませてもらいます。
>>1乙
ちょいちょい出てくるフィリピンパブとかテレクラもだが
デジモンとか遊戯王とかビジネスジャンプとか懐かしくて
おじさんには堪らん。
全部好きだ!
しかしSが今元気にエロゲやってると言うのは色々安心だな。
情報が先出しされてるから変な心配せず純粋に楽しめる。
Sに会うまで幽霊とか見た事は無いと思う。
ただ、もしかしてこれが金縛り?…って事とか、なんかぼんやりした黒いものが…とかは
子供の頃たまにあった気がするけど、記憶に残ってるものは無い。
今は特に何も無いと思うけど、5年くらい前までは不思議な事が続いた。
前に書いた雛人形みたいなのに連れていかれたのもその頃だし。
黒い坊さんみたいなのが助手席に乗ってきたりする事もあった。
でも不思議と恐いことは起きていない。
むしろ皆のレスが怖いorz
色々想像しちゃうじゃないか!
>>691 なにそれこわい。
素人童貞なのにアナル開通済みって嫌われるかな?
婚活で不利にならないか心配になってきた。
サバゲ仲間とどっかの森林公園みたいな場所へ遊びに出掛けた。
花見とかそういう理由だったかもしれないけど、軽装だったのは覚えてる。
そうそう毎回ガッツリした装備で遊べる訳でも無いし、迷彩服なんか来てうろうろしてたら
絶対通報されるので、この時は全員迷彩禁止で普通のTシャツにワークパンツとかそんなだった。
それでも元々がサバゲをしたいやつらの集まりなので、こういう場所でのちょっとした遊びというのが幾つか有った。
赤組と白組に分かれ、赤組が隠れて白組は赤組を探す。
双方が赤い紙テープと白い紙テープを腕に捲いてて、ここからはもう騎馬戦ルール。
隠れる方はたいてい2人一組になって、一人がおとりになって、隠れてるもう一人がこっそり紙テープを破きに行く。
すごく単純だけど、大人版鬼ごっこって感じでかなり興奮して走りまわった。
この日、俺はAという奴とコンビになって隠れる側になっていた。
二人共そんなスキルは無いけれど、俺の方がよりスキルが無いので、俺が囮になってうろうろし、
白組の奴らが来たらAが飛び出してきてくれる…とか、そんな約束になっていた。
そこで二人で隠れる場所を探した所、ちょうど丘のような斜面にぽっかりと1メートルくらいのキレイな穴が空いていた。
中を覗くと結構奥まで続いてるようではあったけど、入り口1メートルくらいは土管みたいな物が埋められていて
崩れてくるような心配も無い感じだったので、Aがその中に隠れ、俺が少し離れた場所からそこに向かって
相手を誘導してくる事に決めた。
穴の近くにはちょっと特徴的な小さな木が生えていたので、それを目印にして俺はその場所から離れ、穴もAも見えなくなった。
ゲーム開始の合図があって、結構あっさりと俺は白組に見付かった。
すぐに声を上げ、あの木を目標にして走ったけれど、いくら走ってもAが助けに出て来ない。
当然のように白組に掴まったけれど、Aを巻き込んではいけないと思い、その時は穴の側に近付かず、
捕虜として白組陣営で大人しくしてた。
ところがゲームが終了してもAは姿を現さなかった。
俺は速やかにこの事を隊長に報告し、穴のあった場所へと皆を案内した。
目印にした木はすぐ見付かった。
白組の俺を捕まえた奴の証言も重なって、大体の場所の見当はついていたけれど、何故かその場所に穴が無かった。
Aも、Aの入ってた穴も跡形も無く消えてしまって、それは埋まったというよりも最初からそこには
穴なんか無かったみたいに草がまばらに生えた斜面が広がっていて、俺は一瞬固まって、
「ここに穴があったんだよ!」とバカみたいに同じ事を繰り返していた。
皆は一応俺を立ててくれるような感じで穴の大きさや、目印にした木の形なんかを聞くと、
多分場所を間違えたのだろう…って感じでAの名前を呼びながらその辺を歩き回った。
もちろんAは出て来なかった。
一応携帯に電話もしたけれど、電源が入ってないのか電波が届かないのか、連絡は付かない。
メールは確か送信できた気がするけど、返信は無かった。
警察に届けるかどうするか少しばかり考えたけれど、Sの提案で一端落ち着いて飯を食おうって事になった。
俺は多分かなりうろたえていたし、真昼間の森林公園みたいな場所で成人男性が1人はぐれたからといって
すぐ警察に駆け込むって言うのも迷惑な話かもしれない。
便所にでも行って帰れなくなったとか、まあ色々と考えられる可能性はあるのだし、季節も真冬とか真夏じゃなくて
慌ててるのは俺一人だけで皆結構冷静に様子を見ようって事で落ち着いた。
飯を食う前Sは俺に穴があった場所を聞いてきた。
Sだけが俺を信じてくれたみたいで嬉しくて、俺は必死にその場所の説明をして、
この辺にこういう感じの穴があって…と、身振り手振りまでしてみせたけれど、Sはその辺の土の匂いを嗅いでいて
余り俺の事を見ていなかった。
それからSは弁当についてきた割り箸を持って穴の有った場所へ戻ってくると、犬のようにその辺を這って、
満足いくまで匂いを嗅ぐと
「一本の枝を二本に割って、これは門、これを目印に帰っておいで」
そう言って割り箸をパチンと割って二本同時に突き立てた。
何だか小学生の作ったお墓みたいでちょっと嫌な感じだった。
Sは俺達の「墓だ…」「あれはAの墓だ」という囁きをまるで意に介さないような感じで自分の携帯のメモリを全部消し、
Aの名前と番号だけを登録しなおした。
備考欄みたいな部分も分かる限り住所とか勤務先とか、誕生日とか全部を埋めた。
それから繋がらないその番号をダイヤルし、おかけになった番号は…とあのアナウンスが流れるままの携帯を
割り箸の間に置くと、飯を食いに行ってしまった。
携帯を盗まれたりしないかとハラハラしてたが、Sは全く気にしない様子で飯を食おうと誘うので、俺も皆の所に戻り、
飯を食う事にした。
それからSは飯を食う間、誰かが必ずAに電話をかけ続ける事を提案した。
最初は俺が、5分くらいSが繰り返せというので何度も何度も電話をかけた。
次は別の奴が、そしてまた別の奴が。
もうひとつ何かあったような気がするけど思い出せない。
とにかく誰かが常にAの番号に電話をかけてた。
しばらくして、全員が弁当を食べ終わった頃、Sがふとあの穴の方を見た。
誰かがSに声を掛けたが、Sは返事をしなかったので、一人、二人と穴の方へと様子を見に行くと言い出した。
俺ももう飯を食い終わってたので、行こうかと思ったけれど、Sの手がちょっと震えてたので残ることにした。
穴の方から誰かの歓声が聞こえて、Aの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「見付かったみたいだ」とSに声を掛けると、Sは天神屋のでかすぎる握り飯を持ったままぐったりしていた。
自分の携帯を回収してきて欲しいと言うので、俺も皆の声のする方へ行くと、Aが半泣きで穴の前に座り込んでいた。
Sが立てたAの墓と、携帯がそこに有ったから、やっぱり場所に間違いは無い。
だけど一回無くなったはずの穴がそこにはまた有って、俺は携帯の回収も忘れてみんなに
「ちゃんと穴があったじゃないか!」と訴えた。
Aは何だか呆然としていて、みんなに介抱されるようにしてレジャーシートの敷いてある場所へ連れて行かれた。
Sは俺を待てずにふらふらやってきて、俺をお遣いのできない子だと蔑んだ末に、携帯をポケットに仕舞い、
割り箸を引き抜き二本合わせてバキッと折った。
Aは殆ど何も覚えていなかったけれど、Sは無理に思い出さない方がいいよ、とAを気遣った。
何でも穴の中に居たら、背後から人の声が聞こえる。しかし振り返るほどの余裕が無いので、
そのままちょっと後ずさったら、入り口が見えなくなってしまった。
あわてて前進したらまた入り口から外が見えたが、そこは全く見た事も無い場所だったそうだ。
その場所の事は思い出せないが、とにかく出たら穴が無くなって戻れなくなるのではないか…と心配になり、
穴の中でじっとしていたそうだ。
携帯を取り出すと圏外で、当然誰にもつながらない。
どうしたものかと困っていたら、誰かがやってくる気配がしたので、また穴の奥へ少しだけ後ずさりした。
その途端携帯が鳴って、その音にビビッて飛び出してみたらここにいたらしい。
一瞬だけ穴から出るのを躊躇ったそうだが、目の前に携帯電話が置いてあったので、ああ助かったと思ったそうだ。
着信履歴が誰だったかは忘れたけれど、Sじゃなかった。
非通知とかでもない。
そこにいた誰かの番号だったと思う。
当然みんな面白がって、俺も俺もと穴の中にもぐりこんだけど、誰もAが行ってきた別世界には行けなかった。
ただ、その穴はとにかく深くて、途中まで行くと確かに真っ暗になる場所があり、
そこまで行くと向こうから風が吹いてくるらしい。
SはAに「おかえり」と言って一緒に弁当を食っていた。
最近こいつと飲みに行ったら、面白いことを聞かせて貰った。
Aはその後もちょいちょい別の世界に行ったらしい。
その事は覚えてるのに、何故かその場所の事は覚えて居なくて、思いだしてはいけないような気がするらしい。
ただ、毎回恐くて震えていると、Sから電話やメールが届いたそうだ。
そうすると必ず元の場所に戻ってこられるので、携帯はトイレにも持ち込んでいたらしい。
つい1年か2年くらい前も、子供とかくれんぼをしていたんだか、押入れにいたら子供に襖を閉められたんだか、
とにかく押入れの中から襖を開けたら知らない場所にいたらしい。
一瞬夢でも見てるのかと思ったが、ふとSの事を思い出し、携帯を取り出すとやっぱり圏外に表示されている。
また襖を閉め、しばらくそこでじっとしていると人の気配がしはじめた。
息をひそめてしばらくすると、携帯が鳴った。
確認すると、奥さんからの電話だったらしい。
メールだったかもしれない。
「圏外の表示が出てるのに、着信音がしたんだよ」と酔っ払ったAは可笑しそうに熱弁した。
それでもう一度襖を開けたら、家の中だったそうだ。
あの時Aは、Sに携帯の番号を変えないように、と釘を刺されていたそうだ。
もし替える時は、末尾を引き継ぐが、自分に深く由縁のある数字にするか、どちらかを選ぶように、
かなりしつこく言われたらしい。
そうしてくれたらどこに行っても、必ず電波を繋げるからね、とSはAに伝えたらしい。
多分その役目を今は奥さんがしてるんだろうな…と思ったらやっぱり俺も嫁さんが欲しいと切実に思う。
>>1乙。
匂い。一つだけ残した電話番号。詳細な個人データ。割り箸で作った門。
震えていたS。Aを呼ぶ声。
うーん、全く分からない。
が、今回も不思議な話をありがとう。
>>707 禿同
俺も毎回謎解きできない。
でも震えてたのは時代背景的に携帯電話を使って
別次元か別世界のAを召還?するのが始めてだったからかなーと想像。
割り箸と匂いとかは分からないや。
誰か頭がいい人とかこのスレに溢れてる能力者達に解説希望。
でもそこが
>>1の話の面白い所でもあるからな。
とにかく
>>1乙!
毎回Sの解決法は独特過ぎる同意
独特なんだけど、メモリを消すとか割り箸は何か意味があるんだろうな・・
今夜も楽しかった乙!
今日は早いな!
もう少し早く来てたらリアタイ支援できたのにorz
このスレも700越えか…
あと何本読めるんだろうな
ぶっかけストックどのくらいあるの?
本当は毎回だって乙が言いたい。
>>1に聞きたい事もある。
>707-709みたいな雑談もしたい。
でもその分
>>1のレスが削られると思ったら書き込めない(´・ω・`)
だが敢えて書き込む。
最近Sの出番が少ない。
出番というか描写が少ない。
あと1回でまとめられる文字数は纏めてくれ!
もう700だからな。
それからSに電話するのに安価くらい取ってくれよ。
今回みたいな不思議な術式の意味、この対処法は自己流なのか、聞きたい事は多いだろ?
焦らすだけ焦らして電話無しとか無しだからな?
1レスにまとめたくてきつい言い方かもしれないが、もう書き込まないから勘弁してくれ。
本当に好きなんだよ。
>>709 様々なケースに対応できるのがすごいよな。
誰かに教えてもらったというより、自分で効きそうな解決策を編み出している感じがする
しかもその場にある限られたアイテムで
>>1乙です
犬のように臭いを嗅ぐとか五感をフルに使ってAの痕跡を探したのだろうか
Sなら第六感どころか第七…いや、第八感あたりまでありそうだ
今回の事象はSも疲れたようだが、胃潰瘍で何度か身体壊してるようだし
色々怪奇な問題を一人で抱え込み過ぎてるのではないかと心配してしまう
Aの体験した穴の先とか押し入れの戸の先ってパラレルワールドかもね
なかなか未知の世界には踏み出せないよな
疲れて現実逃避したくても、パラレルワールドには行きたくないわ
案外平気な感じで
>>1に押し入れの話をするAには
別世界を見てきて欲しい気もするが
このスレで
>>1を嫌いな奴なんていないだろ?
焦らずスレでの
>>1のように自然体でいれば、嫁さん候補の一人や二人すぐに出来ると思うんだが…
と、アラフォー独身の俺が言ってみる
昨日は休みか、、、
毎晩書いてくれてるから何となく無いと物足りない。
もちろん
>>1の生活が一番だけどやっぱりさみしいな(´・ω・`)
ない日は黙って待てばいいんじゃないか?空気読めない催促で無駄にレス消費するよりは
昨日は友達の家で野球見てるうちに飲んじゃったから帰れなくなった。
ごめん。
Sの行動の意味は俺にも分からないからな…
誰かこういうのに詳しい人がいれば分かるのかもしれないけど
役に立てなくて申し訳ないな;;
パラレルワールドとかハルヒみたいで興味ある。
オカルトは恐いけどSFは好きだ。
最初は恐かったらしいが、何度か行ったりきたりしてるうちに慣れたらしい。
多分戻れるって信じてるからなんだろうな。
俺もちょっと聞いてみたけど、やっぱり思い出せないらしい。
>>713 お前いいやつだな…(´;ω;`)
そうか…自然体って難しいけど頑張ってみる。
もしかしたら今が最高のモテ期かもしれん。
そしてその貴重なモテ期をこのスレで消費してたらどうしようww
できれば一発投下したいんだけど、文字制限やサル規制があるので勘弁してくれ。
結構長文が入る時とこれしかダメなのかって時があって俺も困ってる。
せめて3夜連続程度が限界だとは思う。
という訳でまた長文スマソ。
当時はそんな事全然知らなかったけど、S達のサバゲチームは本当に変わっていて、
フル装備での登山演習や雪山走破というものがあった。
一体何と戦う事を想定して訓練しているのかは分からないけれど、30キロとかの装備を背負って、
ただただ近所の山を登って野営して下山するなんていうのもたまにした。
装備は重けりゃ重い程凄いけど、だいたい30キロ前後。
俺とかSは10キロくらいだったと思う。
チームの隊長はSのバイト先で知り合った元自衛隊の人で、色んな事がやけに本格的だった。
延々と穴を掘り続けるとか、テントを組み立てたり片付けたりを繰り返すとか。
今思うと何が楽しかったのかまるで分からないけれど、若かったからか、友達が居なかったからか、
とにかくその頃は何の違和感もなくそれを楽しいと思ったし、へとへとになって眠るのは凄く気持ちが良かったと思う。
その日も何の目的も無く、ただただ重い荷物を背負って山を走破するというだけのゲームに参加していた。
人数はしっかり12人。
何度も点呼したから良く覚えてる。
場所は愛鷹山のどこかだったと思う。
早朝どこかの自然公園のような場所から登山を始めた俺達の荷物は、基本いらないものばかりだった。
険しい場所を歩くならテントとかシェルフとか靴だってもっと本格的な物を支度するけれど、その日はとにかく
重い荷物を背負って歩くのが目的だから、ペットボトルのコーラを二本詰めてくる奴や、分かりやすくダンベルを
リュックに詰めてくる奴、もちろん最新の凄く高価な装備を自慢するためだけに持って来る奴もいたりして、
それなりに賑やかな雰囲気で山の中へと踏み込んだ。
C
最初の頃はハイキングの人とすれ違ったり、もっと上の方のコースを目指す人に追い抜かれたり、挨拶を交わしながらの行程だったが、段々山の深い場所へと入り込んでいき、途中で何か変だぞ…って事になった。
地図とコンパスも装備して進んでいる筈なのに何故かコースを外れてしまい、いつもと違う道を歩いているようで、
古参の人達がざわつき始めた。
時系列はよく覚えてはいないけど、この時既に雨が降っていたんだったか、その後だったか、目の前にちょっとしたトンネルが見えて俺達はその中へ一時避難した。
トンネルは長くて緩いカーブになっているようで、オレンジの光がずっと奥まで続いてた。
そこで誰かがトンネルの向こう側を見に行く事になって、3人くらいが一組になってトンネルの奥の方へと進んでいった。
迷子になったと分かった途端、俺は荷物がやけに重く感じて、雨で真っ白になったトンネルの入り口から外を眺めて
冷たいコンクリに座り込んでいた。
この行程の最中は、原則隊長の許可無く装備を下ろしてはいけないのだけど、数人が俺と同じようにその辺に座り込んでいて、多分みんな同じように疲れていたんだと思う。
もういっそここで昼飯を食おう…って話が出始めた頃、向こう側を見に行った筈の奴らの声が聞こえた。
悲鳴というか絶叫というか、とにかく尋常じゃない声だったので、皆荷物を背負ったままで其方に向けて駆け出した。
俺とか数人は走るといってもゆっくりで、隊長たちから随分と離されていたし、確かもう歩いてるような奴もいて、
全員がかなりバラバラな動き方だった。
トンネルはやけに長くて、いつまで歩いても出口の明りが見えてこない。
ただオレンジのぼんやりとした光だけがどこまでも続いてて、周囲を見るのに苦労はなかった。
壁は古いコンクリートで、雨漏りでもしているのか、あちこちに黒っぽい染みのようなものが広がっていて、
奥へ進むとちょっとカビのような土のような不思議な匂いがしたけれど、息苦しさは感じなかった。
ただ、長さの割りに狭いトンネルで、軽トラックぐらいがやっと通りぬけられるような道幅しかなく、
万が一両側から車が来たら一体どうやって回避するのかが気になっていた。
みんなの姿が目に入るより早く、隊長の名前を呼ぶ声が聞こえて、それから出口がどうのとか、凄い音がどうのとか、
先に行った三人が支離滅裂な報告をするのを隊長がはそれを冷静に聞き返していた。
何でもそいつらがもう10メートルかそこら先まで行った辺りで、まるで落盤でもあったような大きな音と
ズシンというような地響きがあって、そいつらは慌てて音とは反対方向へ逃げ出してきた…という事らしい。
思いの他音の響くトンネルの中で、いくら離れていたとしたって俺達はそんな音など聞こえなかったし、
恐がるそいつらを置いてまた別の奴らが少し前の方へと進んでいった。
今度は俺達も悲鳴を上げた。
表現しようのないドーンというような物凄く重い音がして、確かに地面がビリビリっと揺れた。
それは結構近い場所から聞こえてきたので、見に行った奴らが巻き込まれたんじゃないか…と気になるぐらいに
リアルな音で、俺はどっち向いてたかとかは忘れたけれど、ほっぺたがブルッとするような震動があって、
風圧も感じた。
座り込んでいた3人は「ほらあの音だ」というような感じでビクブルしつつ必死に奥を指差し訴えた。
奥を見に言っていた奴も慌てて逃げてきたといった様子で、首を横に振り、向こうへ行くのは危ないと判断した。
隊長が何か見たか、と尋ねたけれど、あんな音がしたから引き換えしてきたというだけで、誰も現場は見ていない。
Sだけが、それならいっそ向こうへ進んだ方がいいと言っていたけれど、まあ出口はどう考えても今来た道が近いので
一端其方へ戻る事になった。
ちょっとややこしくなったので一度纏めると、A地点から俺達がトンネルに侵入。
数名が100メートル程奥へ様子を見に行き、爆音を聞いて悲鳴を上げる。
A地点から俺達が奥へ進みそいつらと合流、更に奥へ数名が進み、全員が爆音を聞く。
全員合流し、A地点まで引き返す事になる←今ここ、って感じ。
だから俺達は100メートルくらいしかこのトンネルを進んでいない。
なのに、歩いても歩いても歩いても入ってきた筈のトンネルの出口が見えてこない。
ちょっとパニックになって全員の歩くスピードが少し早くなる。
俺とか、もう何人かちょっと遅れるやつがいるけれど、それでも必死に前の奴の顔が見える場所に食いついた。
置いていかれたらもう、絶対に出られないんじゃないか…。
誰もそんな事言わなかったけど、俺はそう思ってたし、多分みんなそう思ってたと思う。
おお、おかえり!
久々のリアタイ支援
ちょっと待ってくださいと誰かが言った。
何しろ物凄い荷物を背負ってるわけだし、半日近く闇雲に歩き回ってる訳だからそいつの息は上がってて、
一休みして水分補給いいですか、とかそんな内容だったと思う。
隊長が、思い出したように、ああ、そうしようって頷いて、その時初めて全員が一度足を止め、崩れるみたいに座り込んだ。
水を飲んでる最中に、またトンネルのそう遠く無い場所でドゴーン、って感じの音がした。
さっきのとはまた違う、もっともっと重い音で、座り込んでる尻までブルブル震えるような音だった。
皆ビクンと其方を見たけど、誰も逃げ出したりはしなかった。
多分逃げたくてももう、逃げられなかったんだと思う。
そこでしばらく休んでる最中に、古参たちの間で話し合いがあった。
このまま進むか、それとも此処で救助を待つか。
Sはこういう時には大抵かやの外だ。
何度こんな事があってもいつだって俺達はそれが決定的になるまでは自分達が置かれてる現状が
超常的な何かだなんて理解できなかったし、理解しようともしなかった。
それを認めてしまえば凄く簡単な事なのに、俺達は何故かどこかで分かれ道を間違えたんじゃないか、
なんてトンチンカンな事を議論していた。
Sは皆の話を聞いているのかいないのか、ふらふらとその辺の様子を見てあるき、壁にべったりくっついてみたり、
今度は地面を叩いてみたり、やっぱり犬のように匂いを嗅いだりした後、トンネルの奥を凝視したまま動かなくなった。
俺と、もう何人かがSの動向を気にしてた。
隊長も、時々Sを気にしてた。
とにかくもう少しだけ進んでみよう、そんな話をしてる最中に、またあの音がした。
地響きみたいな物凄い音が奥からビリビリ空気を震わせていて、奥の方から吹き付けてくる風が少し粉っぽい。
俺はその瞬間にSを見てた。
Sはトンネルの奥を見ていて、それから四つん這いで地面を這って、コンタクトレンズを探すような仕草をし、
天井を見上げて隊長に近付き「奥へ進もう」と言い出した。
流石に全員が驚いてSを見た。
入ってきた入り口に向かうか、ここに待機するかの話し合いならしてたけど、奥へ進むなんていう意見は誰も出してない。
自衛隊経験のある隊長でさえ奥は危ないと判断してるのに、ガキが何言ってんだよというような、ちょっと険悪な空気が流れた。
それはSが云々というよりも、皆とにかく疲れていたし、トンネルがいつ崩れるかという恐怖とそれに、
もう余り動きたくないという疲労感がそうさせていた。
726 :
本当にあった怖い名無し:2013/11/02(土) 01:19:09.62 ID:q07Mus560
shien
Sに甘い隊長も、流石にその時はふざけんなって感じの態度を取った。
圧倒的なアウェイの中で、Sは凄く冷静に全員を見て、それから天井を指差した。
オレンジの常夜灯みたいなぼんやりとした光が灯ってる。
「蜘蛛の巣が無い。ここに来るまで一個も無かった」
「あんなに物凄い音がしてるのに、床のコンクリがすべすべしてる。何の破片も、小石も落ちてない」
Sの言葉に全員が床を擦った。
床はしっとりとしたコンクリートで、暗さの所為か古めかしい様子なのにざらざらしてはいるけれど、
確かにあれだけの震動があったのに…というかそもそも俺達が歩き回っている筈なのに
地面に小石ひとつ落ちてないというのは何だか妙に説得力があった。
砂とか泥とかそういうものも手につかなかった。
それを切欠にして皆が何となくSの話に入り込んできた。
頭がまともな奴が数人、Sの意見がオカルト過ぎるといった趣旨の発言をした。
Sはそいつらに滔々と、雪山遭難の話を聞かせた。
極限状態におかれた遭難者一行が、全員一緒に山小屋の幻影を見たり、逆に全員が山小屋を見落とすことがある。
我々は疲れていて正常な判断ができていない。
しかし此処はトンネルで、向こうからは音がしていて、進行方向からは雨の匂いも音もしない。
ならばより情報量の多いトンネルの奥へ進もう。
こんな感じだったと思う。
とにかく俺達はSに騙されてるような気持ち半分で、トンネルの奥へと進むことになった。
Sはこの時俺達に幾つかのアドバイスをした。
全部は覚えて無いけれど、確かライトを持ってきてる奴は取り出しておく事と、
何が起きても絶対に列から離れない(逆走しない)事だったと思う。
他にもあったと思うけど、この時の事は余裕が無かったので覚えてない。
「自分達は今幻覚を見てる。この先もっと変な幻覚を見るかもしれない。でも所詮幻覚なので慌てるな」
そんな感じで説得されて、誰かが持ってたザイルを全員が片腕に巻きつけて握り、崩落じみた音のする奥へと進む。
先頭はこの時Sじゃなかった。
Sは確か一番後ろの方に居て、先頭は隊長が歩いてたと思う。
隊長はかなり慎重な足取りで前へ進んだ。
幻覚ではない崩落の可能性があった場合にはすぐ引き返す事でSも同意した。
不思議な事に、奥へ進み始めてからはあの崩落めいた音はしなくなっていて、やっぱりあれは幻聴で
そういう恐怖にある所為でそんな音が聞こえたんだろうか…と言い合っていた。
もちろん崩落の形跡なんかひとつも見付からなかった。
俺達がぼそぼそ話す声はトンネルの中にこだまして、妙にわんわんとしたハウリングのような音に聞こえた。
誰かが格好をつけて変な靴を履いてきたのか、トンネルの中に時々カーン、カーンという音が聞こえる。
できれば駆け抜けてしまいたいような陰気なトンネルの中を俺達は物凄くゆっくり歩いた。
続きだやっほー支援
いてぇ、と誰かが声を上げて列が止まった。
なんだなんだという声がやっぱり人数分より多く聞こえる。
それまではバラバラに広がって歩いてたのが、隊長の指示により全員が罪人みたいに
ザイルで繋がれて歩いてたから誰か一人が足を止めたらそのまま後続の奴が背嚢にぶつかる仕組み。
みんなが文句言いながら、何故か前の奴に習って天井を見た。
俺はかなり後ろを歩いてたから前の奴にはぶつからずに済んだけど、やはり前の奴が上を見たので上を見た。
天井は何だか物凄く真っ暗に見えた。
全員がぽかんと口を開けてそれを見ていたと思う。
トンネルの天井から物凄い数の首がぶら下がっていて、ぶらんぶらんとしてるのが見えた。
何て表現が正しいのかは分からないけれど、トンネルの天井から首が生えてるって言う言い方の方が近い。
生えているのは首だけで、誰かは指とか腕を見たと言ってたような気がするけれど、俺は首しか見なかった。
何か言いたそうな、けれど口はただがらんどうに穴が空いているだけで、その奥が暗い。
口までしか出てこられない奴もいるようで、顔は原型を留めてる奴も、鼻が欠けてる奴とか、もう半分くらい
白骨になってる奴もいて、俺が見た奴はじーっと俺を見詰めながら、何か言葉にならない声を上げていたけれど、
前の奴が見ている奴は、目玉の部分に黒い穴がぽっかり空いてて、そこに吸い込まれそうな感じだったと
いつまでもブツブツ言った。
俺達は静かだった。
誰も何も言わなくて、悲鳴も上がらない。
ザイルだけが誰か震えてるのか俺が震えてるのか、やけに前後に引っ張られて腕が揺れた。
誰も書き込みしてないし、もう続き来ないかと思った(´;ω;`)
感激支援!
うぎゃあああ、とかぎやああとか、そんな濁音一杯の悲鳴がトンネルに響いた途端、ドカッて感じの重い音がして、
首が落ちてきた。
悲鳴は一気に広がって、ぎゃあぎゃあ全員が喚き始めた。
その首は見えてない奴も居て、そいつは何が起きたのか分からないまま悲鳴を上げた。
誰かが駆け出そうとして、ザイルに絡まってその場に何人かが座り込むようにして崩れ込む。
そこに合わせたように、天井の首が全部此方を睨むように見て、口々に何か言っているけれど、
もうそれを聞き取れるような状態じゃなくて、ただ、おおおぅん…おぉおおぅん…って感じに聞こえるだけだった。
Sが後ろの方から「幻覚だってば!」と怒鳴りつけた。
その声でまた首が二、三個落ちてきて、誰かがSに「首が落ちてきてんだよ!幻覚じゃ無い」と怒鳴り返した。
逃げないと…、と誰かが叫び、ザイルはもう邪魔なものでしかなくなっていた。
普段は物凄いリーダーシップを発揮してくれる隊長も、その時はどうする事もできないで、ただただ呆然と天井を見てた。
Sはザイルを解いて前の方へとずかずか来ると、「幽霊はいないの!これは幻覚!」そう言って誰かを殴り、
落っこちてきた首を踏みつけた。
首は悲鳴も上げず、ただSを睨みながら消えた。
「子供みたいな事を言わないで、ちゃんと歩け!」母親みたいな檄を飛ばして、倒れてる奴を起すのを手伝い、
また列へ戻った。
呪われるぞと何人かがSに忠告したが、Sは「生きてる人間が最優先!」と言って聞き入れなかった。
それでもみんな恐がって、進みはかなり遅いものだった。
やっぱりこっちに来るんじゃなかったっていう意見もあった。
この時の生首の恐さを俺は余りよく覚えていない。
俺達はSに後ろからケツを蹴られるような形でしぶしぶ前へ進んでいった。
Sと親しい俺達は、Sが生首を踏み潰したのがショックだったが、逆にあのSが踏みつけたんだから
多分あれは本当に幻覚とかそういうものかもしれないという安心感も芽生えつつあった。
ところが前へ進む内、この顔は余程俺達に訴えたい事でもあったのか、床一面に浮かんでみたり、
壁からずぶずぶ出てきたり、正面に影絵みたいに浮かんで突進してきたりと、お化け屋敷さながらに存在を
アピールしてきた。
チキンな俺達はその度に悲鳴を上げて列を乱したり、将棋倒しになったりと本当に散々な目に遭わされた。
それでもそれは、声を上げられるような類の恐怖で、悲鳴を上げているうちは大丈夫だというのがSの持論だ。
散々俺達を脅かした生首達は、その都度野良猫のようにSに追い返されて、やがてその仕返しのように
トンネルの中の明りをフツフツと消してしまった。
そもそも俺達はこの時点でもまだ自分が一体どこに居るのかも分からなかったし、出口があるかどうかも分からない。
途中で誰かが作成中のトンネルなんじゃないか…なんていう事を言い出したりして、俺達はもうへとへとだった。
そこで何の前触れもなく地面を照らしてたオレンジの光が消えていき、俺達は本当に真っ暗闇の中に引きずり込まれた。
誰も少しも動かなかった。
動きようが無い。
隊長がライトつけろと号令をかけて、持ってる奴ら全員がライトをつけた。
この時も当然少しもめた。
電池の残量とかを考えて半分しかつけるべきではないだとか、持って無い奴の不満とか、
そもそもこの日はライトが必要な登山じゃなかった。
だから俺も、俺の前の奴もライトが無い。
幸い俺の後ろの奴がかなり良いライトを持っていたので助かったけれど、不公平感は否めないし、バランスも悪い。
隊列の順番を、ライト持ってる奴と持って無い奴と交互にし、Sは、俺の何人か前でカンテラみたいな物をぶらさげていた。
隊長は物凄い本格派ライトを二個も持ってたが、それでも歩くスピードはさっきまでとは段違いに遅くなった。
ザイルを腕から解き、握るようにしていないと前の奴の足を踏んだり、背嚢に顔をぶつけたりするので自然そうなっていく。
疲れてぜいぜい言う息遣いと、それから前を歩く奴の足音。
後ろを歩いてる奴の気配。
そういうものに段々敏感になっていく。
荷物が肩に食い込んでくる感触もそうだ。
暗いって事がこんなに恐いという事を俺は始めて知った。
家の中の電気を全部消しても、夜の海に出ても、そこに真っ暗なんてものは無い。
多少の曇天でも星とか月とか、余程の田舎に行かなかったら自分の掌も見えないくらいの闇なんていうのは感じないと思う。
事実、この時もSや、ずっと離れた隊長の明りだけでも俺達は大分救われていた。
仲間の輪郭が見えたし、自分の指も足元も見えた。
それが作る影に怯えはしたけれど、まだ前に進むだけの意欲が無くなる事は無かった。
しえん
電気が消えたのはかなり突然の事だった。
誰かがもう歩けないとか、足が痛いとか、荷物が重過ぎるとか段々愚痴っぽい事を言い出して、
トンネルの中はひどく険悪なムードになっていた。
隊長も疲れてるのか、注意する声がいつもとは違う。
まるで本当の軍隊にでも押し込まれ、やりたくもない訓練をさせられているような状況に俺達は疲れ果て、
それから精神的にもすっかり参ってしまっていたんだと思う。
いつもは凄く姿勢よく歩いてるSも、肩が落ちて、時々体が大きく振れていたから、他の奴らなんかもう
歩いているのがやっとな感じで、壁に手を付いてずるずると足を引きずっているような奴もいた。
そんな有様で前後の奴がコケて巻き添えを食らったりしたら、起き上がるだけの余裕が俺達にはもう残ってなかった。
だから怒鳴りあい、罵倒しあって、それからSの判断ミスだとか隊長がSを特別扱いしてるとか、
普段言えないような事まで言い合って、転んだまま隊長が戻ってくるまで座り込んだまま動かなくなる奴もでてきた。
休みたい。
ポツリポツリと誰かが頼んだが、隊長は水分補給程度の休息しか許してはくれなかった。
一度休んだら、もう歩けなくなってしまうんじゃないかと思ったそうだ。
ゆっくりでも、何とか進み続けてトンネルから抜けたい。
隊長はそう思って俺達を必死で鼓舞した。
そんな時だった。
やっぱり誰かが誰かの巻き添えを食って崩れこみ、大声で怒鳴りあい、隊長が仲裁にやってきた。
その間列は動かず、俺達はトンネルの壁に肩を預けて小休止を貪っていた。
もう幽霊が出ても走って逃げるなんて奴はいないだろうな…と思うような疲労感だけが圧し掛かっていた。
ふいに隊長が頭に付けてたライトがジジ、とブレるような嫌な点滅をしてフツンと消えた。
それから段々に蝋燭の火が消えるように、次々と皆が持っていたライトが消えた。
パニックが起きた。
紫煙
S強いな・・
スイッチを入れなおしてもダメ、誰かの懐中電灯か何かが手から落ちて分からなくなる。
電池が落ちた、と声が聞こえる。
ライトを持っていた奴らの焦燥と、持っていなかった奴らの八つ当たりじみた抗議。
誰かがライターは?と声を上げた。
俺はポケットに手を突っ込んでライターをさぐった。
100円ライターを大事に掌に包み込み、何度もドラムを擦ったが瞬間フリントの間で青い火花が散るだけで
親指が痛む程やっても点火に至らない。
雨で濡れた所為なのか、それとも100円ライターだったからなのか、とにかくオイルはまだ十分に残ってたのに
俺のライターは点火しなかった。
他の奴らもだいたい同じで、ターボの奴も、ジッポの奴も、みんな同じように火は付かなかった。
誰かに貸せといわれて渡したけれど、そいつも結局火をつけることはできないようで、俺の所に戻された。
その時俺は、何だか何もかもがどうでもいいような気がし始めた。
疲れていたし、そんなに苦労してまで帰らなくてはいけない理由をどんなに考えても見つける事ができなかった。
ただ、明りを失い、隣の奴が立っているのか座っているのか、自分が握ってるザイルの先に誰か居るのかさえ分からない。
そもそも自分の体だって見えないくらいに暗くて闇に溶けてしまうみたいだった。
暗闇の中で、動くのは危険だと隊長が判断し、俺達はその場に座り込んだ。
最初はみんなそれぞれが怒鳴ったり壁を蹴ったり殴ったり、色んな事で不安や怒りを表現していた。
隊長はもう、何も言わなかった。
本当に恐い時人は言葉なんか口にしなくなる。
ただ声を噛み殺して、ふーっ、ふーっと必死に呼吸する事だけで頭の中が一杯だった。
初支援!
>>1乙!
今日はここまでかな。
また明日も楽しみにしてるよ( ^∀^)
これはいいスレタイ詐欺ww
みんなの支援に感謝してる。
メンタルは弱いけどスルー(される)スキルが凄過ぎる件についてww
優しいオカ板の人達ありがとうございます。
では今夜完結予定です。
>>1乙!
おぉ!タイミングばっちり、俺!w
支援だ!!
何もかもが手探りで、それさえあやうい。
さっき見た天井の生首や、床から浮いてくる顔が妙に鮮明に思い出されて悲鳴を上げたくなる。
隣で誰かの呼吸が聞こえる。
たまに触れると生暖かくて安心したが、相手から触れられると恐くてそれを振りほどく。
信頼も何もあったものじゃなかった。
それからは延々と恐怖との戦いだった。
皆疲れてて、怒鳴る声も途切れ、ただ荒い息遣いやすすり泣くような呻くような声が聞こえはじめる。
自分で自分の手を触り合い、腕を辿り、それから顔を撫でて髪に触れて、ようやく自分がここに居るんだと分かる。
その位真っ暗で何も見えない。
時間も分からない。
俺の時計はアナログで、耳に近づけると秒針の進む音がする。
少し安心した。
ふとSは何をしてるんだろうかと気になった。
ぼそぼそ聞こえる誰だか分からない声の中に、Sの声が聞こえた。
「大丈夫だよ」「ちゃんとここに居るよ」「ちゃんと触れるんだから」「へーきへーき」
そんな声が切れ切れに聞こえてきた。
いつもの明るいSの声だった。
多分、誰かを励ましてたんだろうけど、遠かったからよく聞こえない。
ただ、あの場所に例えSでも女の子が居たというのは俺達にとって物凄い救いだった。
Sの明るくて元気な、本当にいつもと変わらない声は何となく皆を安心させた。
安心させるのと同時に能天気なSに非難は集中した。
こっち側に進むことを提案したのはSなのだから、おまえの所為だって罵声が一気に飛んだ。
しえん
真っ暗闇の中で、仲間から一身に罵声を浴びるのが一体どんな気分なのか俺には想像も付かない。
どんな顔をしていたのかも、真っ暗で当然見る事なんかできなかったけど、声はいつもと同じで
「絶対帰れる」「大丈夫」「大丈夫だから謝らない」ときっぱりした声が繰り返していた。
こういう時、誰か一人攻撃する相手が居るって事は凄く良い事だ。
しかもそいつが泣き出したり己の非を認めたりせず、此方の罪悪感を擽らない気丈な返事をしてくれるのは幸いで、
俺達は一丸となって存分にSを責めたてる事ができた。
恐怖や不安や、やり場の無かった感情を全部言葉にしてSにぶつけた。
そうする事で他の11人は団結できた。
言いたい放題罵倒して満足したのか、それとも疲れてそれどころでは無くなったのか皆の声は徐々に小さくなり消えた。
そこでそうしていた時間は、物凄く長かった。
腹減ったなー…、と思ったけれど、何かを食う気にもならない。
時々Sが歌を歌う声が聞こえた。
B'ZかTMだったと思う。
他にも何曲か俺の知らない歌を歌ってた。
うるせぇ!と誰かに怒られて歌が止み、それからまた、誰かに他に明るい意味の漢字があるか、
というような事を聞く声が聞こえた。
晴、輝、照、陽、日、漢字クイズ並みに漢字を誰かと口々に言い合い、男11人が疲労と絶望で座り込み
暗闇に恐怖して不安を抱えて震えてる情けない状況の中で、Sだけが此処から出る事を考えているんだ…と
俺はそれだけで少しだけ希望が持てた。
Sは馬鹿だ。
B型だし、高卒だし、こんな状況で歌とか歌っちゃうくらい馬鹿だけど、それでもSが大丈夫だと言ったなら
きっと大丈夫なんだろうと思わせるものを持っていた。
Sと付き合いの長い連中だけは、Sが大丈夫だというのだから大丈夫なんだろうな…と、少しずつ声を出し始めていた。
俺もちょっとSの声の方へ身を乗り出して、「明とか、晃は」と明るいイメージの漢字を伝えた。
Sの嬉しそうな声が「ありがとー」と返ってきた。
ああ、出られるな、とその時思った。
指先も足先も、自分がその瞬間触っていない全部が暗がりに溶け出して、あるいは暗がりのあの頭の持ち主とかに
侵食されて自分が自分でなくなっていくような絶望感が消えて行く。
となりの奴を励ます余裕までできた。
この時Sは多分隊長の側に居て、俺はかなり真ん中寄りに座り込んでいた。
一番後ろは古参のAさんで、俺もSも良く知ってる人が座ってた。
Aさんが、「何か来る」と言って荷物をかき集めるような音がした。
Sが「動かないで!」と叫んで、その場がシンと静まり返った。
俺達の来た方から、うぉおおおん…と、気持ちの悪い声がする。
それからあの、カツーン、カツーンという音と、ざわざわというかぞわぞわというか、
とにかく何かたくさんの気配のような、冷気というか、例えようの無い悪寒が迫ってくるのを俺も感じた。
凄く怖いものが来るという事が分かった。
それはあの20や30の顔だとか、この暗闇だとか、そういうのじゃなくて、もっともっと恐いものだ。
それを何と表現していいか分からないけれど、そういうものが来ると思った。
さっきまでの希望から一転、絶望とも違う諦めみたいな気持ちに包まれて緊張が抜けた。
Sだけがそこから物凄い速さで動き始めた。
切羽詰った声を上げ、暗がりの中必死に動いて俺達をまさぐり時々叩いた。
何かひとつずつ寄越せ、そうだボタン、ボタンを寄越せ。
袖のでも、胸のでも1つずつ引きちぎれ。
隊長から順に、Sは全員のボタンを集めて回った。
ボタンの無い服を着てた奴が「ボタンなんか無い」と喚くとすぐに別の物をねだった。
髪の毛とかそういうのじゃなくて、持ち物みたいな物だったと思う。
ここから先、全員名前を口にしないで。
必ず明りの見える瞬間があるから、その瞬間に荷物を持って走れ!
もうケツを上げて支度しろ!
絶対に後ろを振り向くな。
ドーラおばさんみたいな頼もしさだった。
本当だ!
もうはじまってた
C
ボタンが外れずに苦心していたらSが腹に噛み付いてきて、俺のボタンを食いちぎるようにして取った。
ついでに何か、指で文字を書くような仕草をされた。
早くて何と書かれたか分からなかった。
ただ「さ、もう帰ろう」とどこかを軽く叩かれた。
Sは全員のボタンを集めるとAさんにも叩いて合図し最後に残った。
真っ暗で何も見えなくて、だけどAさんは体勢を立て直す時、トンネル一杯に広がる
もっともっと黒い物が見えたと言った。
Sの言う明かりは中々見えやしなかった。
「ナンチャラカンチャラに、この12人を差し上げましょう」
「――、――、――、…」
「だから残りの半分はどうか逃がしてやってくださいな」
「ここから先はナンチャラカンチャラ」
Sは、12人分の名前を叫んだ。
叫びながらボタンを投げているらしく、それが転がる軽く高い音がトンネルに響く。
12人全員が俺達の名前じゃなかった。
というか、全く知らない…今で言うならDQNネームな物凄い名前ばっかりだった。
二度目のナンチャラカンチャラ、の辺りで明りが見えた。
俺達は振り向く事なんか忘れて走った。
誰かこけたが、Aさんがフォローして、そいつの後頭部を抑えて明りの方へ向かった。
「走れ走れ!」と隊長が言った。
出口だ!って声も聞こえた。
いけー!支援!
雨はいつの間にか止んでて、俺達はコンクリートからいきなりぬかるんだ道へ出て、一気に滑って何人かが捻挫する程
したたかに転んだけれど、全員出てきた。
振り向くなと言われたけれど、後ろから物凄い音がしたのでうっかり全員振り向いた。
Sが漫画みたいにビシャーンとぬかるみで転んで「あぐぶ!」って感じの北斗の拳のやられ役みたいな悲鳴を上げた。
俺達は全員がトンネルから出た。
というか、そこはトンネルじゃなかった。
ただの穴みたいな洞窟みたいな、妙な場所だった。
誰も中を覗きに行く勇気は無かったし、捻挫程度の軽症者は数名いたので少し離れた場所で昼飯を食いながら
手当てをし、現状確認を行った。
あれは何だったのか、とは誰も言わなかった。
ただ黙々と昼飯を食った。
Sは転んで鼻血を出していたけれど、それ以外は多分軽症で、自分で歩けると言い張った。
まあ、歩けませんと言われても、誰も背負って帰れるような元気は残っていなかったので、
そうするより他は無かったのだけど。
現場がどこだったといえる程の地理を俺は持っていないけれど、整備された道に出るまで1時間も掛からなかった。
駐車場に戻った時もまだ明るかったような気がするから、思っていたよりも短い時間の出来事だったのかもしれない。
車に乗り込む前に俺達はSのお祓いをしてもらい、それぞれ泥だらけになって帰路についた。
車の中で、Sが今何時かと聞いてきて、初めてSの腕時計が無いのに気が付いた。
トンネルの中に落としてきたのかと聞くと、置いてきたのだと笑った。
Sは全員のボタンと一緒に自分の腕時計を外して一緒に置いてきたそうだ。
全員の明りが消えた時、デジタル時計のバックライトも動かなくなった。
唯一生きていた明りは蛍光塗料だけだったらしい。
Sの時計は安物のアナログだけど針に蛍光塗料が付いていて、あの瞬間に明りの付いたものでなら少しは
気を引けるかもしれないと考えたんだそうだ。
俺の車に乗ってた誰かが「時計を買ってやろうか」と言い出した。
あの時Sに随分酷い事を言った事を誰も謝っていなかったから、そういう罪滅ぼし的な感覚もあったと思う。
俺も時計を買ってやるよと言ったのだけど、Sは笑って取り合わなかった。
私が織田無道なら30秒で出られたんだけどなー、と悔しがり、皆が笑ってそれも結局うやむやになった。
俺達はせめてもの償いに途中で寄った天神屋でコロッケを買ってやった。
それを車中で食いながら、皆で帰れてよかったねぇ、とSが嬉しそうだったので結局俺達はSに謝らなかった。
俺はあれから暗い場所は少し苦手だ。
今でも常夜灯と時計をつけて寝るのが癖になっている。
その後、道に迷った事を反省し後悔した隊長とAさんは二人で何度かあの場所を探しに行ったらしい。
けれど入り口は見付からず、俺達の出てきたと思われる洞窟は見つけたのだけど、迂回して見た反対側は
土砂崩れの跡が残っていて塞がっていたそうだ。
かなり時間が立っている様子だったので、俺達が入った穴かどうかは分からないし、ちょっと中へ入っただけで
Sが置いてきた筈のボタンや時計を見つける事はできなかったので、やっぱりこれにもオチは特に無い。
ただ単三電池が落ちてたそうだ。
もう錆びだらけの膨らんだ奴が入り口近くに二本転がっていたんだそうだ。
>>1乙!
今回も面白かったけどSは毎回身を削ってるみたいで切なくなる。
自己犠牲というか健気というか…お前らはもう少し優しくしてやれよ。
>>1さん乙です
TMとか織田無道とか懐かしいなあ。
Sさんはやっぱりその場その場で解決法を考えてるんだね。
馬鹿どころか凄く頭が良さそうだし、強い人なんでしょうね。
なんか話題になってたから見に来たけど、ほとんどレスも付いてねぇのなwww
作家()やりたいならまず師匠シリーズとか祟られ屋シリーズ読んで出直してこいwww
お前みたいなのが専用スレとかないからマジでwww
一人でポチポチやってるとか惨めだなwww
>>1長編完結乙です
冒頭の隊長の想定した訓練が拷問に近いな
意味なく目的もなく穴を掘り埋める作業なんか延々と続けると
精神に異常をきたし廃人になると聞いたことがある
グーグルマップで見ると愛鷹山って近い所に二つあるね
最初、トンネルは新幹線のトンネルの斜抗で、ドーンて音はトンネルドンかと思ったが
グーグルマップ見る限り愛鷹山を貫いてるトンネルってないね
疲労から来る集団催眠か?
洞窟から幻覚を見るようなガスでも出ていたか?
それとも闇より黒い何かが巣食っていて、そいつに誘い込まれたか?
いずれにしてもSはこの11人にときめく事はないだろうなw
窮地をやせ我慢してでも耐え、女を守るのが男ぜ!
ま、そのやせ我慢すらSはいい意味でさせてくれそうもないか
最後の二行で今から妄想の旅に出るよ
乙。今回も結構怖かったな。
おつ。真偽はともかく読ませる力はあって面白いとおもうぜ
本当だとしても、これだけいろんな体験して零感はないだろ
DQNネームを叫んだのはあれなのかな
同じ名前の人がいないようにって考えた結果なんだろうか
安倍晴明の小説の中で読んだところでは、名前を知られる事は物の怪と縁を結ぶ事になるのだそうな。
だから偽名を使ったのではないかと推測。
つか、Sが健気過ぎて毎回泣ける。
>>764や765の考察を聞くとSの行動は物凄く考えられてるんだな。
その場で出来る最善を、こんな極限状態でポジティブに考えられるって本当に尊敬する
Sの言う通り先に進まなきゃ延々ループだったのかな
ここまで読んで、Sさんが今はただ結婚してて幸せな主婦やってるといいんだけどなと思った。掛け値なく幸せでいて欲しい、それ位に伝わる人柄があふれてる。
普賢地蔵菩薩みたい。あえて解脱せずに地獄にあって救える者は救えるだけ救うそんな存在。
>>767 あるいは崩落に巻き込まれたとか、何にせよ良い方向にはならなかったんじゃないかな?
一体俺達何と戦うつもりだったんだろうな…ww
ちなみに穴掘り訓練は某国の捕虜になっても戦意を喪失しない為の訓練だったorz
そんな機会民間人にねーよと当時の俺に言ってやりたい。
Sはいつも一番元気なのでとても勝てそうにない。
守ってもらうばっかりだww
DQNネームってそういう意味があったのか…。
今まで気付かなかった。
何かのゲームのキャラとかあてずっぽうに言ったのかと思ってた。
何にせよ出られてよかった。
こうして暢気に猫と遊びながら2chできるのもSのおかげだ。
おかげさまでそろそろ800に突入しそうなので書いておきたかった黒歴史長編の投下。
全年齢に気をつけるけどエログロっぽいので注意喚起。
もしかしたらこれが一番長いかも。
週末の纏め読み推奨。
【エロ】長文注意【黒歴史】
ソープ嬢にストーカーされ、そのソープ嬢が自殺未遂して、ようやく警察との遣り取りが落ち着いた頃、
俺は窮地に立たされていた。
もともと俺は地元で就職もできなくて静岡に来た余所者だったし、会社なんてものはバイト程度に思っていたから
そんなに周囲と仲良くしたいとも思ってなんか無かったし、飲み会とかそういうのは全部断っていた。
話の合わないやたら元気な同僚と不毛な愚痴を言い合うくらいならテレクラで女の子の声を聞いてる方がよかったし、
ソープで気持ちよくしてもらってる方がずっとよかった。
だから会社にストーカーされてる事を相談できるような奴もいなかったし、誰も俺の事を庇ったり気にしてくれるような奴はいなかった。
その結果得体の知れない高校生に助けを求めるなんて事になったのを後悔してもいた。
しかもストーカー女の自殺未遂はあっと言う間に会社中に知れ渡り、女性社員は口も聞いてくれなくなったし
被害妄想かもしれないけど、みんなが俺を酷い奴だと言ってるようなそんな感覚に襲われていた。
はじまってた!
C
歯炎
そんな俺の状態を心配してくれたのか、上司がたまにはと酒を飲みに誘ってくれた。
俺はコミュ障だったので、親父みたいな年の上司と何を話して良いか分からないままとりあえず誘いに乗った。
それを切欠に他の同僚からも週末になると飲みに誘われるようになり、俺はそれを断らなかった。
笑っちゃうような話だが、ハウツー本とか会話指南書みたいな物を何冊も買い込んで、必死で同僚と仲良くしたくて、
せめてハブにされないようにと必死になってパチンコに付き合い、麻雀を覚えた。
当然負けっぱなしだったけど、それでも学校なんかよりずっと狭いコミュニティの中で置いていかれないように
楽しいふりをして付き合った。
同僚の一人は俺をいいカモにして、小遣いが足りなくなると決まって俺を賭け麻雀に誘っては幾らか巻き上げるのが定番だった。
「お前は一人身だからこれくらい困らないだろ」が口癖だった。
給料を貰ったばかりの月末だったと思う。
ボーナスの時期だったかもしれない。
そいつを含めた同僚に飲みに誘われ、しこたま飲まされた後でまた麻雀に誘われた。
笑っちゃうくらい俺の一人負けだった。
全員に支払わなければいけない負けが10万を超えてて、俺は流石にそれは勘弁してくださいと皆に頼んだ。
できれば金を払って済ませたいけれど、これは支払いきれないな、というような金額だったような気がする。
もしかしたら3人が俺を負けさせるように仕組んでたのかもしれないけれど、もう分からない。
とにかく一人負け込んだ俺は、全員に万札を渡し、更に罰ゲームを受ける事で折り合いが付いた。
Aというデリヘルに電話してお任せのデリヘル嬢を頼み、そいつとセックスしてプレイ内容を報告するというものだった。
俺は社宅に住んでいたので、流石に社宅にデリヘルは呼べないというと、インターに1件デリヘルを呼べるラブホがあるのでそこにすればいい。
話はトントン拍子に進んで、俺は車でインターのラブホ前まで連れていかれた。
車の中で「ソープでブイブイ言わせてたんだろ」とからかわれても笑うしかない。
本当に全部が有り得ないくらいスムーズだったから、そこまでがネタだったのかもしれない。
ホテルは駅からかなり離れた場所にあり、深夜徒歩で帰るのは無理だろうなと思うような場所だった。
土地勘も無いし、タクシーが流してるような場所でも無い。
俺はもう財布が空だったので、変な話だがデリヘル代と帰りのタクシー代を同僚から借り、冷やかされながらチェックインした。
駐車場で同僚が「デリヘル来るまで見張ってるからな!」と大声を上げた。
俺は同僚に言われた通りにホテルの受付で「連れが後から来ます」と言って名前を名乗り、鍵を貰った。
偽名にすればよかったかなというのは部屋の中で気が付いた。
デリヘルは後にも先にもこれ一回しか経験が無い。
古いホテルの薄暗くて狭くて汚い部屋で、俺は手汗をかきながら電話を掛けた。
電話はずっと鳴り続けるけど繋がらない。
番号は生きているのに誰も電話に出てくれなくて、俺はとにかく困り果て、電話番号の掛かれた紙の後ろに正の字を書いた。
5分置きくらいに電話して、もう何十回となく電話した末に電話がフツンと繋がった。
俺は物凄い焦った声で「――ホテルの何号室です。おすすめの子ひとりお願いします」みたいな事を早口に捲くし立てた。
名前を言ったかも覚えてないし、相手が何か答えたのかも覚えて無い。
とにかく電話は向こうが切って、俺はツー、ツー、という音を聞いていた。
(´;ω;`)
俺は一仕事終えた安心感で、シャワーも浴びずにベッドに転がった。
じっとりとした硬いベッドで、こんな所でセックスすんのいやだなぁと天井を見ているうちに気分が悪くなってきた。
そもそもコミュ障で人との会話に不自由がある俺は友達はおろか彼女さえできた事も無く、
だからこそ熱心に風俗に通ってる訳で、初対面の女と二人きりになるなんていうのは気が重かった。
どんな女の子が来るんだろうか…、そもそも罰ゲームなんだから何かあんのかもな…すげぇババアだったらどうしよう
とか、そんな事ばっかり考えている内、俺は眠ってしまったようだった。
気が付くと女はベッドの足の方に立っていた。
いつ自分がドアを開けたのか、いつ起きたのか寝たのかまるで記憶が無い。
とにかく女が俺の足元に立っていて、俺は上半身を軽く起こしてそいつを見てた。
30ちょっとくらいだったと思う。
顔はいまでも覚えてるけど、似た女優とかは見た事が無い。
そんなに美人じゃないし、スナックとか安めのソープに行って当たりだなって思う程度で特別好みのタイプでもない。
俺と目が合うと、女が笑った。
笑い方が懐かしい風俗女の媚びたような、だけど半分此方を見下してるような、いかにもな笑い方だった。
やった、初めてリアタイ支援!
俺は何か言わなくちゃと思いながら口を動かそうとしたものの緊張と酒の所為で言葉が出ない。
そんな俺を無視して三十路の女は勝手に服を脱ぎ出した。
紫の花に金色の太い鎖みたいなのが絡んでる柄の、かなり古いデザインのワンピースだった。
前に小さなボタンがいくつもついてて、それをじれったく外していくと、ウエストの下くらいでそれを止め
ワンピースを落とすように足を抜き、下着姿になった。
パンストを履いてる事がほんの少しだけ気になったけれど、今更文句を言えるような感じじゃなかった。
もしかしたらこの時俺は金縛りっていうのに合ってたのかもしれないけれど、それも分からない。
とにかくあれよあれよという間に三十路女はそこそこのおっぱいをたぷんたぷんさせて、俺の足元に迫っていた。
ズボンの前をまさぐられ、ベルトも解かれてファスナーを下ろす音がやけに耳に響いた。
女が何か言った気がするけど聞こえなかった。
俺はシャワーを浴びてなかったし、彼女もシャワーを浴びてない。
なのに彼女は何の交渉も躊躇いも無い感じで俺のまだ萎えてるものにしゃぶりついてきた。
こんなに気持ち良いフェラチオは初めてだった。
wktk始艶
女の口の中がねっとりしてて、唾をたっぷり溜めてそれを滴らせながらしゃぶってるんだろうな…と想像した。
そのくらいねっとりしてて、みずっぽい口の中だった。
時々歯が当たる感触があって、その時彼女の歯並びが悪いのに気付いたけれど、そんなに気になる程では無い。
それより唾液たっぷりの口の中でまだ萎えたまんまのチンポを舌で転がされてるのが気持ち良い。
正直そんなに立派なものを持ってる訳でも無いから彼女の口には余裕があって、しかもよっぽど慣れているのか、
上顎の硬い所とか頬裏の使い方が絶妙であっという間に勃起した。
彼女がちらちら俺を見上げてくることだけが不愉快で、だけど体を支えてる両腕がぶるぶるするくらい気持ちが良くて
俺は彼女の頭を掴むとか、そういう事もできないままで彼女の口に翻弄された。
あっけなく一発目が出た。
それを女がやっぱり何のためらいも無く飲んだ。
ソープの女もピンサロの女も追加で生フェラしてくれることはあったけど、飲まれたのはこれが始めてで
うぇ、と声が出る程驚いた。
しかも女は笑ってるような、見下してるようなあの半月型の嫌な目で俺を見ている。
ずっとずっとずっと女はフェラチオの最初から最後まで、口の中に吐き出した精液飲んでる最中さえ俺を見ていた。
俺はそのまま、騎乗位でセックスをした。
全て彼女の主導によるもので、俺はとにかく身体的な快感と、精神的な嫌悪とで少しむずむずしながら行為を続けた。
俺は風俗は好きだが、そんなに絶倫なわけでもない。
口に一発だして、もう一度あの気持ちいい生フェラで勃起したものが妙に生暖かい女の中に飲み込まれていく。
そのセックスは一言で異常だった。
女の中がとにかくやわらかい。
ドロドロのねちゃねちゃな、試した事は無いけれどスライムで包んでるような抵抗の無さで奥まで入って、
妙に水っぽい愛液がくっちゃくっちゃガムを噛むような音を立てる。
その癖時々、物凄い力で奥へ奥へと吸い込まれるような感覚があって、俺はそれをぼんやりと
「これが名器ってやつなんだろうか」と考えていた。
この時も女は俺をじいっと見ていた。
ホテルの照明が女の頭で隠れて薄暗い室内が、更に暗くなって女の顔しか目に入らない。
美人でもなければぶさいくでも無い。
だけどメチャクチャセックスの上手い女が俺の上に居て、俺は同僚の事を考えていた。
多分あいつらとこいつがグルで、そんで俺が早漏だとか、そういう事を言いふらすとかそういう所を想像した。
できるだけ我慢して、だけど金玉がぎゅうっとなるような瞬間が何度もやってきて、結局俺は
なんだかさっぱりしないまま、だけど物凄い気持ちよくいった。
生出しの経験は後にも先にもこの女より他に無い。
女はゴムの事を一度も気にしなかったし、当然ホテルに常備していたゴムに見向きもしなかった。
ずっと俺を見下すような、媚びるような曖昧な嫌な視線を外さなかった。
生まれて初めての中出しをしたあとで、俺はテレクラで知り合ったオッサンの話を思い出していた。
この近くには古い温泉街があって、そういう場所には当然風俗が多い。
都会にある店舗型のものよりも、ちょっとアングラな昔ながらのシステムがあって、
そういう所の女というのはピルを飲んだり、それなりの避妊をしてるのでトラブルは少ないとか
バックにはヤクザがついているからどうのとか、美人局の事とか、ちょっとゾッとなるようなリアルな話。
俺はもう二度出したらすっかり満足し、ベッドに転がってティッシュを引き抜いた。
上半身はシャツを着たままで、下半身だけ出して事に至っていた俺は、ズボンに汚れが付くのを気にした。
それを気にしたのか女が腰を上げて俺のものを引き抜いた。
根元に指が触れて、それがやけに冷たかったけれど、ああやっぱり慣れてるんだな…と思う程度だった。
女はドロッドロに汚れてるはずの俺の下半身にまた吸い付いてきて、あの気持ちのいいフェラを始めた。
汚ねぇっていう嫌悪と、気持ちよさとがグチャグチャになって、それでも俺はあっけなくまた勃起して、
女はニタニタしながら機嫌よく俺に乗っかってまた腰を振りだした。
今度は少し余裕があって、ちょっと前かがみになった下腹が三段腹になる事と、おっぱいの北半球がくぼんでる事、
それからやけに乳首が大きい事や、左右のおっぱいのサイズが違うな…と結構細かい所が気になった。
そんな事ばっかり覚えてるのは、女の顔を見たく無かった事と、とにかくこれが気持ちよくって、
何かネガティブな事を考えていないと簡単にイッてしまいそうになるからだった。
四円
お客さーん、うちはヘルスなんで本番は困りますねぇ〜
もしかしてサッキュバスか?
787 :
本当にあった怖い名無し:2013/11/06(水) 00:59:32.77 ID:fn2t+bpZ0
私怨
この話が
>>1の話の次?くらいの時系列ならSは17か18だよな?
この流れからどうなるのか気になる。
789 :
本当にあった怖い名無し:2013/11/06(水) 14:50:15.81 ID:Og/JIl9G0
1さん乙です。
非常に興味深い話をありがとう。
ときどき覗いて読ませてもらってたけど
Sさんって、呪術系のセオリーをしっかり踏んでて
とても臨場感があったわ。これからも楽しみにしてます。
リアルよりこっちのがよっぽどリアルだ・・
なんか毎回じわじわ怖い
サキュバスはもっと美人のイメージ。
モリガンとかなら歓迎する。
この時期のSはまだ高校生だった。
俺の所為で学校休んだから覚えてるよ。
>>789さん
素人の俺にはメチャクチャに思えるので、ちゃんとしてると聞いて驚きです。
もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです。
>>790 よお、俺!
もう少し俺の辛い黒歴史とエロ話に付き合ってくれ。
据え膳がちょっと腐ってた。
でも食っちゃう俺orz
【エロ】長文注意【黒歴史】
二度目のセックスの最中で、女が俺に覆いかぶさってきた。
女の口から、物凄い匂いがして、いや多分俺の精液の匂いなんだろうけど、唾の乾いた匂いとそれが混じった
できれば嗅ぎたくないえずくような匂いがして俺は顔をできるだけ背けた。
女は俺の耳元で何かをぼそぼそずっと言っていたけれど、この時は何も聞き取れなかった。
喘ぎ声をあげる訳でも無く、何かをぼそぼそ言いながら腰を振る女にいいように煽られて、結局俺はまたいった。
そのまま眠ってしまったようで、翌朝フロントからの電話で目を覚まし、シャワーを浴びてタクシーを呼んで貰って
家に帰った。
女は姿を消していた。
心配していた財布もそこにあったが、不思議な事に彼女に払うはずの万札が何枚かそこに残されていて、
それだけがやけに気になったけれど、わざわざもう一度あそこに電話を掛けて、
金を支払っていないようなんですが…と言うような勇気は無かった。
ホテルに入った時はかなり酔ってたし、変な雰囲気に気圧されてたから、いくら持っていただとか、
女にいくら払っただとか、そういう事を思い出す事もできなかったから、適当に自分をごまかして
多分1万か2万を払ったって事にして納得していた。
ただ、ズボンの中のものが落ち着かないというか、あれだけ出したのに寸止めにあったような妙な感じが残ってて、
それはいつまで経ってもそのままだった。
支援
翌日は日曜で、俺は一日家でゴロゴロ転がっていた。
特にすべき事も無いし、友達もいないし、まだサバゲには行っていなかったので、Sのオススメの漫画を読んだり、
とりためたアニメを見たり、そんな感じで自堕落に過ごし、会社に行くのを億劫に思いながら夕飯を食い
酒を飲んで早めに布団にもぐりこんだ。
オナニーで抜こうかと思ったが、何だかその気になれずやめてしまった。
その晩、あの女の夢を見た。
あのホテルのあの部屋に女がドアを開けて入って来る。
あの時と同じようにセックスし、俺を見てニヤニヤ笑い、俺はいかされる。
ワンピースも、おっぱいの凹みも、フェラチオの気持ちよさも同じだった。
起きると二日酔いのような頭痛と倦怠感と、それから久々に夢精していた。
中学か高校の時以来だったので、何だか凄く不思議な感じで、とりあえずパンツだけ洗って、
他のものは放っておいた。
あの同僚は、特に何も言ってこなかった。
月曜は仕事が忙しい事もあったが、それよりも何となく此方からの反応をうかがっているようなそんな感じで
向こうから何か言ってくるような事はなかった。
次の土曜に、また飲みに行こうと誘われた。
タクシー代とデリヘル代を返せとか、俺達に報告する事があるだろうと迫られて、俺は渋々飲み屋に向かった。
途中銀行で金を下ろしてそいつらに渡し、それからあの女の話をした。
同僚達は始終訝しげな顔をしていた。
へぇーとか、ふぅんとか、曖昧な返事をするだけで、俺の話など余り聞いて居ない風だった。
店に入って二時間も経たない内に、そうか、と適当な感じに話を切り上げ、その日の飲み会は珍しく日付が変わる前に
割り勘で終了した。
何だか肩透かしを食らった気分で、俺は結局そのデリヘルを呼ぶ事に何の意味があったのか全く聞けないままだった。
翌週も別に変わった事は無かった。
同僚が多少余所余所しくはあったけれども、今までのようにあからさまな嫌がらせめいた事をしてくる事も無かったし、
どちらかと言えば快適で、物事は順調に進んでいるように思えた。
ただ、体調だけが優れなかった。
小便をするとチリチリとした痛みが走り、パンツが汚れるようになった。
金玉が熱っぽく、長時間座っている事ができない。
性病だろうな…とは気付いていたが、だからといって病院に行くような勇気が俺には無かった。
例えば今なら、インターネットで簡単に病院を検索できる。
口コミを見て受付時間を確認し、地図だってグーグルマップで引き出して、カーナビが何とかしてくれる。
だけど当時はタウンページか足で探すか、誰かに聞くかする位しか病院を探す方法が無かった。
リアタイ支援!
俺は昔、知り合いのソープ嬢に聞いた「風邪のふりをして抗生剤を貰う」というのを試した。
何の効果も無かった。
毎日一箱くらいバファリンを飲んだ。
1シートかもしれない。とにかく痛んだらバファリンを飲んだ。
時々風邪薬もちゃんぽんにして飲んだ。
そういう民間療法を風俗嬢から聞いた事があって、片っ端から試していった。
金玉はひどいことになっていたけど、気付かないふりをした。
幸か不幸か俺はこれまで堅実な風俗で遊んでいたので性病の経験が無かったものだから
治療法にも詳しくなかった。
あの同僚に相談しようかと思ったが、毎回上手く逃げられてしまい話ができない。
そもそも何と切り出して良いのか分からない。
もしもあいつらの想像していた悪戯が「病気持ちの風俗嬢とセックスさせて俺を性病にする」なんて
性質の悪いものだったなら、相談しても仕方が無いし、笑われるだけかもしれない。
2ヶ月近く、俺は腫れぼったい金玉を抱えて過ごした。
この頃はもう、余りの痛みに立小便が出来なくなってた。
小便をすると出てくる膿で尿道が痛み、立ってる事ができないので座ったまま小便をする。
残尿感も凄かった。
その間、毎晩あの女の出てくる夢を見た。
たった一晩、酔って相手しただけの商売女の夢をこんなに続けて見るなんておかしいんだろうけれど
その時はそんな事よりも日に日に症状が可笑しくなっていく下半身をどうするかの方に気を取られていた。
だから本当に毎日あの女の夢を見てたのかどうかも確かではない。
よく見たけれど、毎晩では無かったかもしれない。
夢の中で女と俺はどんどん親しくなっていき、まるで恋人同士のようだった。
色んなセックスをして、色んなプレイをした。
どれも現実離れした気持ちよさで、時々チンポだけじゃなく金玉の辺りまで飲み込まれてるんじゃないかって
錯覚するくらい気持ちがよかった。
女は俺の耳元で、「愛してる」とか「一緒にいてね」とか「離れないから」と可愛い事を言ってきた。
あきらかに年上で、そんなに好みの顔では無いし、おっぱいの北半球がへこんでるけど、それでも毎晩のように
夢に出てくるうちに俺はその女の事が可愛いような気になっていた。
だから夢の中で俺はその女に「愛してる」とか「一緒に居るよ」とか「離れないよ」とか、歯の浮くような
気持ちの悪い事を言いながらセックスしていた。
恋人気分のような、夫婦気分のような、この頃はもう気持ち悪さよりも、この夢の中に出てくる女とのセックスの
気持ちよさの方に比重がどんどん傾いていて、何だかまるで彼女が本当に俺の恋人のような気さえしていた。
名前も知らないのに、俺達は一緒に暮らす約束をして、笑ってしまうような話だけれど、子供の名前も決めていた。
本当に笑ってしまうような話だ。
子供の名前が、俺の名前なんだ。
女は俺を「あなた」って呼んで、俺は女を聞いた事の無い普通のよく居る女の名前で呼んだ。
昔から知ってるように、何のためらいも無く彼女の名前を呼び、子供の名前を「――」にしようって話す。
その名前は俺の名前で、その理由は、俺の名前がつけられたのと同じ由来だ。
目が覚めると、いつも女の名前を忘れてる。
そんな事の繰り返しだった。
時々、もう動けなくなるくらい体調が悪くなったけれど、仕事を休んだりはしなかった。
俺は夢の中のあの女と結婚するつもりでやみくもに働いた。
食欲も無いし、多分精神的にもかなりおかしかったんだと思うけれど、上司が一度だけ「大丈夫か?」って
聞いてきたことくらいしか覚えていない。
もちろん「大丈夫です」って答えた。
何が大丈夫なのかも分からないけど。
@@@@
だんだんオカルトっぽくなってきた!
仕事が終わると一直線で家に帰って、布団に入る。
風呂には入れる日と入れない日があった。
食事は昼飯だけ食っていた。
とにかく布団に入る事ばかり考えていた。
その日も俺は帰宅してすぐ布団に入り、風呂にも入らずに眠りこけていた。
いつものように女の夢を見て、いつものようにセックスをしながら、子供の事を話しあっていた。
「赤ちゃんが欲しい」と女が言って、俺が頑張るみたいな返事をして、女がニタニタして、やっぱり名前は
「――」だよな、と俺の名前を口にする。
いつもと同じ遣り取りだったが、急に女が凄い形相になって、俺の首を締め出した。
女とはいつも騎乗位のセックスで、俺はあのラブホのベッドに寝転がっていて、されるがままになっていた。
体を動かせたような記憶がそういえば無い。
女の力は物凄いもので、俺はヒュッ、ヒュッ、と喉が変な音を立てるのを聞きながら、女を始めて恐いと思った。
下半身にも変な感覚があった。
女の両手は俺の首に掛かってて、両手でグイグイ首を絞めてきてるのに、チンポの根元もギュウギュウ
締め上げられてるような…気持ち良いとかそういう類ではなくて、中に入れてる筈なのに、噛み付かれてるような
痛みが走った。
必死に下半身に目を遣ると、女の下腹にもうひとつ顔が有って、俺のものを咥えた口がギリギリそれに噛み付いていた。
リアタイC
それは確かに顔なんだけど表現のできない造作をしていて、俺は夢の中なのに失神か失禁かしそうになった。
痛くて苦しくて恐くて俺はボロボロ泣いた。
必死にもがいた指が女の腕を掴んだけれど、その手が弛む事は無かった。
性病が酷くなったのもこの頃だった。
目が覚めると俺はいつも泣いていて、耳に涙が入って気持ちが悪い。
どれだけ寝ても体は重くなっていく一方で、股間は痛いし、仕事はうまくいかないし、時々死にたいと思うようになった。
もちろん死ぬような勇気は持ち合わせてないので、自殺する事もできないでずるずるこうして生きてる訳だが
自殺願望なんていうのは本当に今日の晩飯を何にしようかと思うようにどんな風に自殺したら楽に死ねるのか
人に迷惑かけなくてすむのか、もういっそ生まれて来ないで消えてしまえたら楽なのになぁ…とメンヘラめいた事まで
考えていた。
そんな風だから、俺はどんどん夢の中の出来事にどっぷり浸かった。
夢の中では楽に死ねるようになってきた。
女が首を絞めてくる苦しさが、段々気持ちいいものになってきて、下半身に噛み付いてくる痛みも
表現のしようが無いんだが、女の中に吸い込まれていくようなそこから食い尽くされてるみたいな
本当に奇妙な感覚だった。
自分が生きてるのか死んでるのか、なんだか物凄く曖昧で、この時期の記憶が余り無い。
夢の中の記憶の方が鮮明なくらい現実の事を思い出せない。
ある日、ひどくうなされて目が覚めた。
布団までぐっしょりする程に寝汗をかいて、しばらく気持ちの悪い布団の上から動けないくらい
その日は具合が悪かった。
それでも便所に行きたくなって、仕方なく体を起して用を足していたら、新聞屋が朝刊を配達しに来た音が聞こえた。
どうせ起き上がったついでだと思い、玄関を開けるとドアノブに妙な重さがあった。
嫌な予感がして、そうっと玄関ドアを開けると、何故か焼きたてのパンの香ばしい甘い匂いがした。
ドアノブにコンビニの袋が結んであって、中にはまだやわらかい感じの菓子パンがずっしり入ってた。
俺は朝刊を忘れてそれを部屋の中に持って入って中身を全部テーブルの上にぶちまけた。
ストーカーに追い回された時に俺が登らされていたコタツの上に広げると中身は全部同じ菓子パンで
その中のひとつに小さな紙が貼り付けてあった。
包装ヨレで廃棄になったのでおすそ分けという説明と、それからまた何か奢ってくれなんて事が書いてある。
ちょっと癖のあるSの字だった。
Sにはとても言えないが、俺はこのメモがくっついたパンを握って泣いた。
頭が痛くなるまで泣いて、それから早めに家を出てSがバイトしてるテレクラへ行き、店員にちょっとした賄賂を渡し
S宛のメモを託した。
連絡先は知っていたけど家の電話だし、当然家族と暮らしてるSに突然電話するのはまだ抵抗があった。
ただ、本当に不思議な事だけれど、S宛のメモを渡した途端、俺は死にたいと思わなくなった。
Sさんキター!
しかし眠くなってきたorz
>>792 自分は
>>789ではありませんが、Sさんがしてる事は普通の拝み屋とは比べられないくらい素晴らしいです。
基本を押さえながらその場にあるものや相手を見極め、しかも先を見越した対応ができるだなんて、お恥ずかしい話プロにも最近は少ないです。
余程徳を積まれた方の生まれ変わりではないでしょうか。
今後のご活躍を期待しております。
>>1乙です
多分Sは
>>1の異変に気づいているんだろうな
菓子パンの小さい張り紙は、Sの助け舟だろうか?
>>1をカモにしてハメた同僚はお仕置きだ!
Sがどんなシフトでバイトに入っていたのかは変則過ぎて分からないけれど、
俺は延々とSから電話が来るのを待った。
2日目か、3日目の夜だったと思う。
「久しぶりだね、元気かね」と聞いてくる声に曖昧に応え、それから言葉を失った。
俺はSからの電話を心待ちにしていたにも関わらず、Sに何から話して良いのか分からなくなった。
会社の同僚に苛められて、バツゲームで呼んだデリヘルに性病うつされて、毎晩恐い夢を見るから
助けてくれって言えばいいのだろうか…。
ストーカーの時は、「ストーカー」って言う具体的な言葉があったけど、今俺はSに何から助けて欲しいのか
それがまったく分からなかった。
居心地の悪い職場と、性病と、恐い夢なんて、女子高生がどうにかできる問題じゃないのは普通に考えたら
当然の事なのに、ストーカー事件の所為で俺はSなら何とかしてくれるんじゃないか、そんな希望を抱いてしまった。
電話でSのまだ子供っぽい声を聞いているうちにそんな現実に押しつぶされて、何も言えなくなってしまった。
Sは俺のいかにも場繋ぎの言葉を黙って聞きながら、そのうち黙りこんでしまった。
何とも言えない気まずい空気が流れて、電話が切れた。
俺はまた、ツー、ツー、というあの音を聞きながら呆然と茶の間に座り込んでいた。
Sに見放された。見捨てられた。もうおしまいだ。
絶望的な事がグルグルと頭の中を埋め尽くしていて、どうして良いのか分からなくなった。
頭がぐわんぐわんして眩暈がし、座ってもいられないくらい具合が悪くなって意識が飛んだ。
あのホテルの部屋に居て、女がニタニタと笑ってドアの前に立っている。
ああ、またか、と思いながら眺めていると、女がいつもと同じように服を脱ぐ。
下腹には顔があって、それさえもうおかしいと思わなかった。
下腹の顔は老人のようだった。
生まれたばかりのしわくちゃで赤紫色の赤ん坊にも似ている。
色はちょうどそんな感じで、目は開いていない。
開けた口の中に歯は無くて、唇もあったかどうか覚えていない。
歯茎のようなものだけがあって、それが俺の根元をぎゅうぎゅう締め付けてくる。
もう慣れた行為だった。
何か甘い言葉を囁きながら、女が俺の首を絞めてくる。
また死ぬんだなぁと思っていたらチャイムが鳴って、俺は社宅の茶の間に引き戻された。
気の短いSがチャリを飛ばして俺の家までやってきた。
俺は少しの驚きと共にふらふらしながら玄関を開けて、Sを茶の間に案内したが、やっぱり何も言葉が出ない。
ただ、なんというかそれだけで満足だった。
Sは、黙ってる俺を急かすでも無く、しばらく無言で俺を眺めて、それから部屋を見回して
あのさ、と俺の顔を見た。
私は馬鹿だから、言われた事しかできないけれど、言われた事ならちゃんとできるよ。
――さんは今、何して欲しいの?
私にできる事なら力になりたい。だけど何をしていいか今の私には分からない。
そんな感じの事だと思う。
それから、俺の電話を受けながら「そばに居て欲しい」って言ってるんだと思ったから来た。
だけどどうもそうじゃないらしい。
それなら一体何があったか、まずは聞かせてくれないか。
真剣に、だけどなんだかとても緩い雰囲気でそう言われ、俺はSに会社での愚痴を零し始めた。
俺の長々とした愚痴をSは一度も遮らなかった。
「そんな奴こうしてしまえよ」とか「お前がはっきりしないから」とか、そういう言葉をSは一度も挟まない。
黙ったままそこに座って、それからデリヘルの話を平然と聞いた。
女子高生にデリヘルの体験談を話すのはいかがなものかとか、単語に気をつけるとかはしなかった。
馬鹿にする訳でも無ければ、興味深そうでも無い。
まるで仕事の打ち合わせでもしてるような顔をしているSに、俺は毎晩の夢の話をした。
長い長い話は朝まで続き、朝刊が届いても俺の話は終わらなかった。
Sは一度だけ夕飯を気にしたけれど、自分は食べてきたからと言ったので話を続けた。
俺は暫く悩んだ末に、性病の事もSに話した。
その時初めてSの顔色が変わった。
813 :
本当にあった怖い名無し:2013/11/08(金) 01:52:44.90 ID:zj37rfyT0
C
Sは、ほんの少ししか躊躇も遠慮もせず俺に下半身を見せろと言った。
下を脱げという言葉が命令めいていて、拒否できないような何かがあった。
俺はいやいや、と拒んだものの、Sが余りに真剣なので結局ズボンとパンツを下ろしてみせた。
Sはちょっとだけ顔を近付けてまじまじと俺の下半身を確認すると、可能なら今すぐ風呂に入り、
そして新しいパンツに履き替えることと、本日仕事を休む事が可能であるかを端的に聞いてきた。
この頃社宅にはシャワーが無かったので、浴槽で湯を沸かすしかできなかったが、入浴は禁じられた。
股間をあたためてはいけないと言い、俺が仕事は多分休めると言うと、すぐに会社に病欠の連絡を入れるよう指示した。
それは、俺は心のどこかで待ってた言葉だったような気がする。
俺が風呂に入ってる間にSは自分の家に電話して、学校に休みの電話を入れてくれるように頼んでいた。
それからどこかに電話を掛けて、泌尿器を扱っている総合病院か診療所を探してくれた。
初めての事にビクビクしている俺に向かって、Sは病院での応答の指示を出し、タクシーを呼んでくれた。
タクシー会社のの電話番号とかも寄越してくれた。
一応、と言いにくそうに、HIVの検査も受けておいでと言われて初めてゾッとした。
どうしても会社に知られたく無いのなら、保険証を出さず自費治療という手もあるのだという事も教えてくれた。
不安がる俺を何度も励まし、待っているからと約束して俺を見送ってくれた。
俺は上司の出勤時間を待って病欠の連絡を入れ、家の鍵をSに預けた。
Sは布団を干し、洗濯をし、昼過ぎに俺が帰って来る時には約束通り俺の家に居て「おかえり」と言って笑ってくれた。
今日は無いかと思ってたわ
しかし定期的にアゲるやつなんなの?
帰ると部屋の中が掃除されていて、冷蔵庫にはポカリとかプリンが入ってた。
米が焚けるいいにおいがして、梅干の粥を食わせてくれた。
それぞれに互いの攻防があったが、とにかくSはSの精一杯で俺の看病をしてくれた。
ちなみに無料ではない。
諸経費別で、バイト代時給850円を支払った。
初めての泌尿器科での悲惨で悲痛な出来事をSに愚痴りつつ昼飯を食う俺を笑いつつ、Sはふんどしを作ってた。
正確にはT字帯というらしい。
しばらく家の中にいる間だけでもこれを使用し、使い捨てるように命じられた。
大体医者の言ってた事に似ていたので俺が驚くと、Sがこういうのには慣れてるからとまた笑った。
俺は夜が不安だったので、一緒に居てくれと頼んだのだが、Sは夕方になるとバイトがあるからと姿を消した。
学校は休んでも自分が困るだけだけど、バイトは他人に迷惑が掛かるので休めないのだという勝手な理論を披露して
さっさとバイトに行ってしまった。
今夜も同じ夢を見るかもしれない。
だけど必ず起してあげるし、何も恐いことなど無い。
ただの悪い夢で、夢は夢以上の事をできないのだから…というような事を熱弁し、
今はとにかく体を休め、体力を回復させる事を考えるようにと説得された。
Sの家は貧乏で、生活費の大半をSのバイト代に依存していた。
だからSの両親は急なバイトだといえばSが学校を休む事を許容していたし、悪い言い方はしたく無いが、
とにかく金さえ家に入れ、やるべき事をやってさえいればそれ以上Sの行動に口を出さない――良い言い方をすれば
放任主義だし、ザックリ言えばSに対して極端に無関心だった。
その時俺はそんな事をまったく知らず、ただSが帰って来るのを待ちながら、
久々に干して貰った布団と枕で気持ちよく寝た。
医者の出してくれた薬は良く効いたけれど、深夜になって熱が出た。
Sはまだ帰っては来ず、俺はまたあの夢を見ていた。
女は少し不機嫌なように感じられたけれど、俺がその日は素っ気無かったからかもしれない。
首を絞める手と顔が、何時もより乱暴だったように感じた。
目を覚ますと約束通りSが居た。
ひぃひぃ言いながら俺はSに縋って泣いた。
どうして俺だけがこんな目に遭うのか、俺が何をしたというのか、俺はどうすればいいのか。
どうしてSは俺を助けてくれないのか、一緒に居てくれなかったSを責めて泣いた。
夢だとしても恐いものは恐い。
質感も息遣いも、何もかもがリアルで、どちらが夢で、どちらが現実なのか分からなくなる。
何度もあいつに殺される夢を見るなんて異常ではないのか、俺は呪われているのか、パニックになって捲くし立てた。
Sは俺を宥めて、アイスを食わせた。
このスレ読んでると怖い話云々よりもSさんが不憫でならない
例え創作だったとしても絶対に幸せになっていて欲しいよ
うーん、ここまで来るとこのスレのラストでSは
>>1とくっつく気がしてならない。
最後は法被炎土かw
スレ違いなのは分かってるけど、俺もチンチンのさきっぽに
ポツポツが出来て痛痒いんだがどこ行けばいいの?
膿とかは出ないけどポツポツが潰れると水っぽいなにかが出る。
彼女もいないし風俗も行ってない。
病気なのかな?呪われてるの?
俺も最後は
>>1とSがくっついて二人とも幸せになって欲しい
オカ板民だが全力でおまいらに爆発しろと言ってやりたい。
そういえば看護婦の彼女はどうなったの?
>>820 泌尿器科行って相談しなさい。
すぐ治る呪いかけといたから、安心して養生しる。
しかし、17,8やそこらで落ち着いた行動が出来るSには、驚きを通り越して何やら神々しいものを感じるな。
Sの家庭環境が彼女たらしめている要因ではあろうけど、それ以上にやっぱり過去生が徳の高い存在で
あろう事は疑いないね。僧侶、修験者、拝み屋、魔女、etc…どんな過去生を送って来たのか興味がある。
それ以上に
>>1とSの現生以前の関係も非常に気になるところだ。
何度も近しい関係だったんだろうな。
Sが凄い所というか新しい所って、不思議な能力持ってるのに地に足が付いてる所だよな。
普通霊能力者って何か常人離れしたってか浮き世離れしてるけど、Sは生活能力も高そうだ。
しかし
>>1はSと会えなかったらどうなってたんだろうなww
>>824 うーん、どうも
>>1は悪い事象を引き寄せてしまう何かを持ってるみたいな気がする。生きたゴーストホイホイだったりしてww
>>819 それなんて呪術w
>>820 病院池!
とにかく早い方がいいぞ。ひどくなると痛い事される。
>>821 もうメールの返信もこなくなった。
せめてクリスマスまでは付き合いたかったorz
>>823 介護歴が長いからシモの世話も全然平気。
犬のふんとかも素手で触れるし、便秘男のケツ穴に指突っ込むとか平気でする。
もし前世とかがあるなら来世でもよろしく頼みたい。
その時はもう少しおっぱいがあるといいな。
>>824 生活能力が有り過ぎて無人島でも一人で生きていけると思われるタイプだと思う。
実際は寂しいと死ぬので孤独を感じると駅前でホームレスや警官とたわむれてた。
俺はSに会わなかったらこのデリヘル事件の時地元に帰ろうと思ってた。
多分ニート一直線。
>>825 うちの猫があの黒い悪魔を捕まえては俺に差し出してくるのはその所為だったのか…。
そんな体質嫌だなぁ…orz
まさかの四夜連続になってしまったけど、今夜完結。
土日留守にするのでその前になんとか全部投下したい。
【エロ】長文注意【黒歴史】
翌日の晩、Sはまた俺の家へとやって来た。
仕事から帰り、医者やSの指導に従い風呂を使った後だった。
神妙な顔でやってきたSは「覚悟ができたので始めよう」というような事を言い、方位磁石を持ってきて、
布団の向きを慎重にどこかに合わせた。
それから俺に歯を磨いてくるように言い、自分も口をすすいだ。
二人で手を洗い、それからSが俺のライターでまち針を焼いた。
どこかで一杯お茶を淹れて、同じ湯呑みから半分ずつだか一口ずつを飲んだ。
順番はあやふやだが、互いの親指の腹に針を刺し合って、それからその血を舐め、
傷口を指相撲のようにくっつけた。
血を舐めたのはSだけだったような気もするし、指相撲は別々の指だったような気もする。
Sがそのまま俺の腹を捲り、臍を舐めた。
俺の前に跪いたSから風呂上りの匂いがして、一瞬性的な興奮があったものの、Sが俺の臍に向かって
「この子が無事に生まれますように」
「――が幸せでありますように」
「――が私よりもナンチャラ長く生きますように」
「――が末永く健やかでありますように」
「ナンチャラに一葉の翳りもありませんように」
そんな感じに俺の名前を何度も呼ぶので萎えてしまった。
勃起すると痛みが酷いので、幸いな事だったともいえる。
今日は早いな!
C
俺のSさんに欲情すんな(# ゜Д゜)、
Sは俺と手を繋いだまま布団へ向かい、二人並んで狭い布団にピッタリ腕をくっつけて寝た。
この時、Sは俺の小指だったか親指だったかにSの髪の毛を結び、くっつけた二本の指を咥えて軽く噛んだ。
眠れそうなら眠ってもいいよ、とSが静かな声で言い、けれど口を開いては駄目。
何も言わずに、目を閉じて、ただ静かに静かにしていなさい。と俺の額を撫でて瞼の上に手を添えて、
それから俺の体の何箇所かにキスをするように口を寄せて何か言った。
ねんねこしゃっしゃりまーせー…、とSが歌い出した。
知っていたけれど、Sはひどく音痴だった。
それでもSの体温があたたかくやけに気持ちよくて俺はまた眠ってしまった。
眠るのが恐いと思う暇も無くすとんと眠りに落ちた気がする。
ああまたあの夢だ、と思った。
俺はラブホテルに居て、ドアが開いて女が入って来る。
ニヤニヤ笑いながら近づいてきて、服を脱ぐ。
女の下腹の気味の悪い顔が見えて、覆いかぶさってくる。
いつもと同じ夢だった。
女が俺のズボンを脱がそうとした瞬間に、ドアがまた開いた。
顔は見えないけど、白っぽいスカートが見えた。
C
俺は体を起したかったが、少しも体が動かない。
裸の女と、新しく入ってきた白いスカートの女が何か揉めているような雰囲気だけが伝わってくる。
言葉は無い。
二人分の体重でベッドの下の方が沈む感覚があって、少し揺れた。
空間その物が揺れているような感覚だった。
女も上半身を起こしていて、何か叫んでいる風なのだけど、あの白いスカートの女が入ってきてから
俺はまるで水の中に居るような感じになって感覚がひどく鈍くなっていた。
これまでこの夢の中ではいつも痛覚や触覚や色んな感覚がひどく鋭敏になっていたのに、その時だけは
ぬるい風呂の中から外を見ているようなぼんやりとした輪郭の二人を眺めているだけだった。
白いスカートの女の手が、三十路女の腹の顔に触れ、そのままグイグイと腹を押した。
夢だからそんなに不思議な事では無いかもしれないけれど、腕が顔を掴んだ形で女の腹に消えて行く。
悲鳴のような泣き声のようなものが微かに聞こえた。
女が許さないと呪ってやるを半々くらいの割合で叫んだ。
全てが遠くで起きてるような、そんな気がした。
リアタイ支援!
気付くと、俺はまた夢を見ていた。
その時は夢だとは思わなくて、ただ、気持ちのいいあったかい場所に居て、そこから出たくないと思った。
出たくない、という感覚と、目を覚ましたくないという感覚がいつの間にか摩り替わり、ああ、これは夢なんだって
ようやく気付いた。
Sが俺の名前を呼んでる。
気が付くと、俺はまた泣いていた。
Sは、俺を抱き寄せてずっと背中を撫でてくれた。
Sのおっぱいが無い事はこの時に始めて気が付いた。
起き上がり、顔を洗いに行った後、Sに何をしたのか聞きたかったが、Sの顔を見たら聞けなくなった。
布団の横に座っていたSは、全く表情を無くして俯いていた。
どこを見ているのかも分からない顔で、目が少し赤くなっていた。
俺が戻って来たのに気付くと、Sは笑って「もう大丈夫。今夜からはもう夢も見なくなる」と断言して
逃げるように出て行った。
何かあったら直ぐに電話してくれと、電話番号も置いていった。
その言葉通り、あの夢はまったく見なくなってしまった。
はじめてのリアタイ!
だから俺はこの時Sが何をしたのか、随分と長い間知らないでいた。
理由を知りたかったが、Sの口は固かったし、俺も実害が無くなってしまった後は気にならなくなっていたから
それ程深くSを追求したりしなかった。
それよりも仕事をしたり、性病を治したり、そういう事に忙しかった。
ところがある日、T子にこの話をした時の事だった。
もちろんあちこち省略しての話だったが、俺のオカルト体験としてついこの時の事を話してしまった。
T子はそれを「呪いだね」と断言した。
Sのメチャクチャなやり方を非難して、自分ならもっと上手く除霊ができると色々な方法を口にした後、
Sが俺の母親をあの女と戦わせたので、俺の母親が霊障に遭っているのじゃないかと言い出した。
あの白いスカートが俺はいつまでも気がかりだった。
どこかで見た事があったのだけど、思い出せない。
そんな引っかかりがT子の言葉でストンと落ちた。
俺の母親が余所行きに着ていたスーツみたいな服のスカートだった。
俺は直ぐに実家に電話し母親の無事を確かめた後、Sを呼び出し強く怒鳴った。
大声で怒鳴り、罵り、それでも口を割ろうとしないので、髪の毛を掴みほっぺたをひっぱたいた。
一体あの時何をしたのか、どうして俺の母親を危険に晒すような真似をしたのか、何も言ってくれなかったのか。
俺はただ、どうしてもそれが知りたかった。
(;ω;)支援
しえん・・・・
俺の顔を見てSが眉をひそめた。
俺を哀れむような目で見た。
それも酷く気に入らなくてもう一度殴った。
口下手なSは言葉を捜すのに手間取りながら、ポツポツと説明を始めた。
俺は、あの三十路の女の愛憎のターゲットになってしまった。
T子が使った、呪術という言葉をSは使わなかった。
あの女は俺を愛していて、同時に憎しみを抱いている。
だから俺を取り込もうとする。
愛そうとするし、殺そうとする。
そういう思念のようなものと、俺の回線が繋がってしまったのだ、とSは言った。
理由は場所かもしれないし、あの電話かもしれないし、状況や偶然かもしれないが、それはSには分からない。
T子は性病になったのは女の呪術によるものだと言ったが、Sはそんな事はどうでもいいと一蹴し、
俺が女の夢を見る以上、俺はそこから逃げ出せない事が問題だと言った。
私怨
遅延
所謂悪夢に分類しても良い夢を繰り返し毎晩見ているのなら、俺は必ず体調を崩す。
けれど、セックスの快感に加え、女に執着心を持った俺は屹度またその夢を見るだろう。
実生活に不満のある俺は、あの夢に依存している状態だったと言っても良い程だったらしい。
それはとても良くない事なのだそうだ。
しかし恋人でも無い、女房でもない、肉体的にも精神的にも俺と関わりの薄いSは、その女に勝つ事ができない。
ならば、全男性にとって最強の守護神である「母親」というものを持ち出そうとSは考えた。
使ったものは全部私のものだから、もしも失敗した時は、私の所に戻ってくるようになっている。
髪の毛も血も、あの一回の夢の為に用意したものなのだから、お母さんの物は何ひとつ使っていない。
使ったものがあるとするのなら、俺の中の母親の記憶のほんの一部だけだとSは主張した。
俺の事も騙したのだから、とSは言った。
そして夢の中で俺の母親は――Sの言葉を借りるなら、俺の母親の服を借り、母親のふりをしたSは
三十路女を追い払い、見事勝利となったのだ。
俺は、どうしてそれを話してくれなかったのか、あの時に話してくれてたら、こんな事をしなかったのにと、
Sに暴力を振るってしまった責任をSに押し付けた。
途端にSがボロボロと子供みたいに泣き出した。
「もし生きてたら――」
俺がビンタした時も泣かなかったのに、Sが堪えてたものを吐き出すように泣き出した。
嗚咽交じりに、叫ぶように声を詰まらせてSが俯いた。
「もしも――さんが生きてたら、私はきっとあの人を殺してしまったと思う」
そのくらい強い感情の遣り取りなのだとSがとても珍しく声を荒げた。
俺は凄く気持ちが冷ややかになった。
それから2ヶ月以上毎晩のように呼んでいたのに、決して思い出す事のできないでいた
女の名前をさらりと口にしたSに恐怖も覚えた。
もしもこれを呪いだと思っているのなら私は呪いで人を殺したし、
もしもこれが妄想だとしたら、私はただのキチガイになれる。
Sはそんなような事を言って顔を拭った。
T子や、他の誰かにはできるのかもしれない、とSは言った。
けれど自分には、そこにある彼女の感情を俺から引き剥がした後、霧散させる事などできないのだそうだ。
俺の中に入り込んだそれを追い出したのなら、それは次に縁の深い本人に還る。
T子はそれを呪い返しと呼ぶし、Sはネガティブな感情物質の移動と呼んだ。
どちらも俺には理解できないが、どちらも結果は同じ事だからどうだっていい。
厨二で偽善者なSは、俺を呪い殺そうとした女を自分が殺したと思い込んで嘆き、
俺をとても不愉快にさせた。
だから俺はこの話の後日談をSに長い事知らせなかった。
あの女はまだ生きていて、せっせと性病を振りまいている。
俺に電話番号をくれた同僚は、あのデリヘルが既に摘発にあって閉店した事を知っていた。
なのに俺があまりにも良い思いをした事を羨んで、自分もあのホテルの部屋で電話をかけた。
同じように性病になり、奥さんに浮気を疑われ離婚した。
それは俺があの夢を見なくなった日よりも後の話だ。
だから、きっとあの女は生きているのだと俺は思う。
数年して俺がその事を話した時も、Sはそれ程嬉しそうにはしなかった。
ただ自分が中途半端な存在である事をボソッと愚痴っただけだった。
無事に全部が投下できてよかった。
これは俺の黒歴史の告白と懺悔的なものでもあるので、Sを殴った事も法的に違反する本番の事も
酒の勢いを借りながら全部書いた。
非難は受け付けるけどこれの更に後日談があるので、できればそれを最後に書きたいと思ってる。
土日の不在で落ちてしまう事は無いかと思うけど、もし気が向いたら保守してくれたら嬉しい。
できれば気持ちよく最後まで吐き出していきたいと思う。
こんな最低な俺だけど、よかったら最後まで付き合ってくれるとありがたい。
長々とこんなのに付き合ってくれてありがとう。
不愉快にさせた人がいたら申し訳ない。
だいぶ酔いが回ってきたので寝る。
付き合ってくれた人本当にありがとう。
長文本当に申し訳ない。
>>1乙!
エロなのに萎えたw
締めの話を楽しみに待ってるよ
せっかくのリアタイだったのに支援しそびれたorz
長編乙です。
保守はまかせて気を付けて行ってこいよ!
続編待ってるからな!
&#160;>>1乙!
これだけの長文読ませる文章力が羨ましいわ。
艦コレ本じゃなくてこれ新刊にして欲しいレベルだ。
それにしてもSさんはどんな煉獄で生きてるんだろうな…。
高校生だった頃の自分の事考えると情けなくなる。
>学校は休んでも自分が困るだけだけど、バイトは他人に迷惑が掛かるので休めない
この辺の感覚なんか社会人だって持って無いだろ。
本当にラストは>>1がSさんを幸せにしてやる、で終了して欲しい!
>>1さんが書かないなら私が同人誌にしたい(≧▽≦)
腐女子だからSさん男体化になるけど
二次創作はダメかなあ(´・ω・`)
いや…1はSと一緒になるべきではないのかもしれない
1はSと一緒に居たことでいろんなことを引き寄せていたような気がする
自分はSは偽善者なんかじゃないと思う
本当に強くて心が美しい人なんじゃないかな
偽善者だと思うのは1がSみたいに対処できる力を持ち合わせていないからかも
Sはいつでも自分を犠牲にして救ってくれた
そんなSを殴るなんて…
どんな状況にあっても女を殴る男は最低だと思う
一緒になったとしても1はSを殴る日が来るんじゃないかと
おっぱいのせいにしてるけど、Sの精神力にはかなわないって1は解っているんじゃないかな
結局T子ってどういう存在なんだ?霊能者としては本物なのか?
心霊スポットで憑かれた子の話で胡散臭く高圧的な霊能者様のイメージが付いてしまってるわ
あと1はSよりT子寄りの気がするのだが…T子はSよりおっぱいがあるでFA?
>>1乙です
「覚悟が出来たから」って、Sにも相当な事だったんだろうな
読みながら
>>1は書く事で懺悔したいのかなと感じていたよ
しかしSの無償の...いや、時給850円の愛はデカイな
まるで観音様?のようだ
偽善に感じ、時々腹立たしく、今は少し疎遠になっているのだろうが
>>1はSと偶然なのか必然なのかは分からないが、出会えて良かったな
色んな不思議な体験もSの影響なのかもしれないが、この出会いは人生の宝と思ってもいいんじゃないか?
このスレは勿論、現実での
>>1を陰ながら応援したくなるこの気持ちは何だ?
>>1、S、そして「Sの予言を信じる会」だっけ? の皆に幸多からん事を願う
ずっと
>>1を責めてきたが確かにSの優しさは実際に近くにいたら偽善者と呼びたくなるのかもな。
実際Sが偽善者だなんて思わないけど、ここまでになると側にいればいるほど自分が駄目に思えてくる。
>>1乙
>>851が思った事を全部書いてくれた・・・泣かせるなよ。
酒の勢いを借りなければ書けなかった
>>1の気持ちが伝わったよ。
この年になると深夜の酒は翌日堪えるから、ほどほどにな・・・同年齢より。
それにしても最後が、気になる。どうなるんだろう。終わったあと、このスレのロスが来そうだ
このスレも残り150だもんな
書き込みは余りしてなかったけど毎日楽しみにしてたからさみしくなるな。
年末まではと思ってたけど来週には埋まってしまいそうだ。
自分は
>>1の弱さを正直に出せる部分を尊敬するし応援したくなる。
もちろんSさんも好きすぎるくらいだ。
彼女の事を考えると奈落の花という曲を思い出す。
今幸せでいるといいな。
どのくらい書き込みがあれば保守できるの?
書き込み過ぎでスレを消費しちゃうのも気になる(´・ω・`)
VIPやニュー速ではないので、書き込まなくてもageなくても一定の書き込み数さえあれば落ちる事はない。
安心して1の書き込みを待とう。
毎回Sの男っぷりの良さと、男勢の何とも言えぬ女々しさが不思議なハーモニーを醸し出している話だ。
月曜まで休みか。
つかよくこれ毎晩続くもんだな・・・
しかし長編は毎回泣いてしまう(´;ω;`)
短編の二人の方が仲良しで好きだ。
オカルト関係なくSさんとのエピソードも聞きたい。
もっとゆっくりペースでいいから続けて欲しいよ
それは俺も続けて欲しいけど、偶然(というかうっかり)で立ったスレが
荒らしにもあわず、スレ主に放棄もされず1000まで埋まって
糞アフィにも載らずに終わる方が格好いいし神スレになるかもしれないぞ。
もちろん此処が終了したあと復活とかは歓迎だけどな!
読み返せなくなる前に保存して最初から読み返してくる。
ここで読むのは保存テキストとはまたちがうからな。
毎回楽しみに読ませてもらったよ。できればもっと続けてほしい。
1は、このスレでひとまず区切りをつけたいのだろうけども。
1もSもとても魅力的だし、腹くくって書いてるのが伝わってくるし。
何よりもSさんについてもっと聞かせてもらいたいし
スレ主さんとスレ住民のやりとりも読んでみたい。
霊的な世界は体験あってもよくわかんないんだけど、ここの住民は詳しい人も
いるみたいだし。Sさんのやり方がどんな風にオカルト的?に状況を打破して
るのかみんなでわいわい考えたり仮説だしたりしてるのを読んでみたいなって。
ダメモトで言ってみる。
>>859にまるっと同意
レスが少ないのも
>>855みたいにスレ消費気にしてる奴がいるのもあるしな。
てかしたらばかどっかに検証スレとか雑談スレとか立てるのはだめなのか?
それでここは1の書き込み専用にしたらいい(もちろん強制力はないが)。
>>860 もっと語り合いたいのはやまやまだが
派生スレ立てたら
こっちのスレにおかしな奴を呼び込むきっかけになってしまいそうな希ガス
俺は
>>860に賛成
したらばならオカ板に迷惑掛けないしいいんじゃないか?
師匠シリーズの検証スレみたいなのが理想だけどオカ板内では難しいだろうし。
転載禁止ルールがある以上、このスレがある間しか語れないしな・・・
派生ってSのおまじないや除霊、1が体験した事について語るスレか?
派生スレはいらないだろ
861が言ってるような事になりかねないし、
次スレ的なものはみんな希望してるだろうけど
こんな事話してると勝手にスレ立てるやつがでかねないからもうやめろ
こんな話でレス消費するのが既にもったいないだろ
>>1が戻るまで大人しく待てよ
そもそも派生スレ立てたい奴は何がしたいの?
Sのパンツなら白だぞ。
それから27歳で俺の嫁になって今子供とアライグマの番組みてる
概ね
>>865に同意だが、派生スレと次スレは別ものとして訴えたい。
派生スレはいらないが、次スレなら欲しい。
どちらにせよ
>>1不在の場所が必要だとは思わない。
ずっと次スレ要望はしてたので一応書き込みさせてもらった。
>>1にきめさせるのは賛成。
>>1乙!
今回の溜め読みした!エロとオカの融合、とてもおもしろいね
って小説とか読めないから思うだけなんだろうけど全部面白い!
>>1の本なら絵がなくても買う!かもw
てか実は検証スレ的なのたてようとしたことあったんだよね
500過ぎたあたりで、皆がレスの消費も気にしだした頃。。スレタイ悩んでめんどくさくなったのと
本当にいいのか!?でやめたけど
脳足りんな自分が勝手にたてなくて良かったよw
あと100ちょっとかー
何にでも終わりはくるのは仕方ないけど、完全にロスなるわこれは(´;Д;`)
1が来ないこの週末で感想以外は一気につまらないレスばかりになったな
やはり1に書く気がないならスレなど必要ないのだろう
もうすぐ900????
1がSに連絡を取るのが待ち遠しい
Sは今どんな人生を送っているのだろう
不在中もレスをありがとう。
無事に帰ってこられました。
色々と支えて貰っておいて申し訳無いが、俺の我侭を言っても良いのなら次スレも
派生スレも不要だ。
2chなんだから1000まで楽しんで終わり、それでいいじゃないか。
それから同人誌ワロタw
黒歴史スレで黒歴史を刻むなんてやめとけ!
そして結構グサッとくるレスが多くて涙出る。
確かに俺はSを殴るし、多分これからも側に居たらいつか殴るかもしれない。
だから側には居ない方がいいのだろうし、今が一番良い距離なのかもな…と思う。
普段は忘れてて、たまにこうして思い出して酒の肴にしたり自己嫌悪に浸ったり、そういうくらいが丁度いい。
正直今でもオカルトな事はよく分からないから、T子とSとどっちかと聞かれたら
完全にオカルトだな…と思ったらT子に相談するかもしれない。
何か妙に真実味のある感じに話してくるんだよ。
しかもおっぱいがあるんだ。
察してくれ。
それから、明日投下予定の話で丁度30話分だし、それを最後の話にしようと思う。
重い話が続いても何なので、今日は軽いSの不思議な歌と踊りの話。
そしたらみんなで雑談でもして埋めてくれ。
群馬に住んでる友達の家に子供の幽霊が出るという話を何度か聞いた。
本人は幽霊を気にしないタイプだったので、結構笑い話のネタ風に話すことが多かった。
そいつの住んでる家は別に古い曰くつきの戸建てとかじゃなくて、団地のような古いマンションの一室で
3LDKで二部屋が和室。
1部屋だけある6畳の洋室がそいつの部屋で、両親と住んでた。
ところが父親が病気で亡くなり、気の弱くなった母親が実家に帰る事になってしまった。
友達はもうとっくに成人していて、俺よりも幾つか年上だったので、しばらく一人暮らしという事になり、
折を見てこの家を売り、職場に近いアパートでも借りて暮らそうかと思ってたらしい。
その頃から子供の幽霊が頻繁に出始めて、友達の周りをちょろちょろと付いてくるようになったんだそうだ。
最初は気にしてなかった友達も、流石に一人きりになってしまったのでその幽霊が気になりだした。
今まで子供だって事と、幽霊だって事くらいしか分からなかった友達にも、段々その子が普通では無い事に気付き始めた。
わくてかシェーン!!
年齢は5歳かもっと下で、性別はよく分からない。
長めのショートカットで、黄色っぽいセーターに茶色の長ズボンに靴下を履いていて、冬でも夏でもこの格好らしい。
別に悪さをするわけでもなく、ただドアの隙間から覗いてくるとか、廊下を歩いてると後ろから足音がするとか、
誰もいないはずの和室で子供の声がするだとか、襖を開けるとあわてて逃げる子供がいるとかそんな程度で
実害も無い。
それどころかある日そいつが風邪をひいて寝込んでいると、ベッドの脇にその子が立ってて、
凄く心配そうな顔をして頭をなでなでしてくれたらしい。
目を覚ますと風邪はすっかり治っているという奇跡のような出来事が何度か起きたので、
多分良い幽霊なのだろうと思った友人は次に、自分の血縁者の幽霊なのでは無いか…と思ったそうだ。
よくある実は自分の兄弟が亡くなっていて――とか、そういう感動エピソードがあるのではと思い、
早速母親に連絡してみるものの、まったく心当りが無い一蹴された。
身内にもそんな若くして亡くなった人は居ないと言われたが、そのかわりその幽霊には母親も心あたりがあるという。
おかえりC!
母親が友人の弟を身ごもっている時にやはりその幽霊が頻繁に現れて、お腹を撫でていったらしい。
逆子だか未熟児だかやっかいな状態で無事に生まれるかどうか危ぶまれていた弟は健康に生まれ、健康に育った。
都内の大学を卒業し、既に都内で就職していたのでその頃一緒には住んでいなかったが、
弟もやはりその幽霊を見た事があるような気がする…という事だった。
理由や出自は分からないものの、友人はそのままその幽霊と暮らす事にした。
幽霊は会話する事はできないが、段々と友人に慣れてきて、帰ってくると嬉しそうに和室の辺りから顔を覗かせ
茶の間でくつろいでいる間、常に側にいるような気配がしていたのだそうだ。
ところがそれから1年もしない内、母親の実家でじいさんが倒れ、ちょっとした騒ぎが持ち上がった。
母親の実家がちょっと大きな商売をやっていたものだから、その跡継ぎを…という事らしい。
本来継ぐはずだった父親が既に他界してしまっているし、母親の兄弟は女ばかりで男は友人かその弟しか居ない。
田舎なもので、やはり跡取りは男でないと…という事になり、友人は随分泣きつかれた。
それは悪い話でも無かったし、友人は泣きついてくる母親も無碍にはできず悩んだ末にそれを受け入れる事にした。
心配事は子供の幽霊の事だった。
母親の実家に帰ろうと決めた晩からほとんど毎日、ちいさな子供の幽霊が夢枕に立ち、
「いい子にするから自分を一人にしないで欲しい」「一緒に連れていってくれ」と言って泣くらしい。
出勤しようと玄関で靴を履いていると、上着の裾を引っ張られたり、それまで嬉しそうに笑っていた顔も
だんだんとしょんぼりしたものになってきたのだと相談された。
除霊とかお祓いとかそういうのは寺や神社でもしてくれるだろうが、友人はこの子供の幽霊と離れたくない。
そこでどうしてもと頼まれてSを紹介する事になった。
Sは既に社会人だったが、第一日曜だかに文具会館の抽選に行くのでそのついででよければ
群馬まで行くと気軽に言って、俺とSと、現地で落ち合ったオカルト好きの奴と3人で友人のマンションへ向かった。
面子は4人が良いとSが言ったのでこいつに声を掛けた気がする。
ところが友人の家に着き、玄関が開いた途端にSは共用廊下の端まで逃走した。
俺を手招きし、とんでもないものが居ると声を震わせ、友人にも声を掛けて一度駅前まで撤退すると、
靴下とお茶の葉、それから金平糖を買ってもう一度友人の家に出直した。
wktk師縁
俺達は新しい靴下に履き替え、それから友人に頼んで玄関先で水を一杯貰い、それからお茶を淹れてもらって
茶の間に集まった。
Sは駅へと撤退する前に、友人に米を1合焚いておいてくれと頼んでいたので、茶の間には米の甘い匂いがした。
そこで初めてSは友人にあれは幽霊ではなく座敷童であると伝えた。
しかもまだ生まれて数十年というとても若くて脆いものであるので、移動させるのは難しいかもしれないという。
俺達だって座敷童なら知っている。
東北とかのでかい家に住んでいて、その家を繁栄させる神様みたいなものだろう?
そう聞くとSは頷いて、座敷童という表現は、一番相応しいから使っているだけで、別に呼称は何でも構わない。
福の神でも家神様でも、なんだっていいが、とにかく「家」に由来するものであると言い切った。
座敷童は、別段東北にしか居ない訳でも無いし、旧家にしか居ない訳でも無い。
ただ、ああいったものが存在していられる素養というのが東北の旧家に多いだけであって、生まれるだけなら
別に団地でも新興住宅地でも構わないのだ、と普通に言った。
その場の空気とか、住んでる人との相性だとか――生まれが最近の座敷童は、洋服姿でも珍しくないし、
大切なのは環境や、座敷童が何を由来としているかとか、そんな事だそうだ。
友人の家には床の間も無いし、神棚や仏壇の類も無かった。
何でも神棚は昔あったが、母親が実家へ戻る際に仏壇と一緒に近所の仏具屋でどうにかしてもらってしまったらしい。
リアタイ4円!!!!!
いつも楽しみに読んでる!
とにかくSの一言で友人の家にいるのは幽霊ではなく座敷童だという事になった。
そしてその引越しを手伝わなければならない。
Sは友人が焚いた米を4個の団子にし、茶の間の隣の和室に向かってパン、と手を打った。
それから失礼致します、と声を掛け、ピラミッドのように重ねた団子を掲げて和室に入り、それを部屋の真ん中に置き
後ずさるように出てきた。
それから友人の家のどこかに貼ってあったカレンダーを破り、小皿に水を張り、別の和室の畳の下から取り出して来た
新聞紙を半分、折りたたみ何かぶつぶつ言いながら燃やして灰を混ぜ、そこに醤油だったかソースだったか
何かそういうものを混ぜて黒いサラッとした液体を作った。
それで友人にカレンダーをB5を縦半分にしたようなサイズに切ったのの裏に介の字のようなものを書かせた。
「あの子の顔をよく思いだして、この家の中に必ずあの子が居たはずなので、それを思いながら書いてください」
そんな指令の元、簡素な家のようなものを書いた友人は、次にその二本の縦棒の間に棒人間のような物を描かされた。
顔は丸だけでとくに目鼻はいらないらしい。
逆に目鼻を付けてしまうと似てる似てないの問題があってややこしいので、いっそ無い方がいいとSは男らしく言った。
それからもう一度パン、と手を叩いてから今度はお引き上げに参りましたみたいな挨拶と共に襖を開けて、
団子を回収してくると、一つまみ残し、後は食えという。
俺達は固くて冷たくなった団子を仕方なく食った。
お札は何とも頼りない感じの出来栄えで、いかにも素人が作った色の薄い何かだったが、Sはそれで良いと言い、
俺とオカルトな友人に使い捨てカメラを買ってくるように命じて追い出した。
この頃はもう俺もSも携帯を持っていて、Sは電話するまで帰ってくるなと言って俺達を送り出した。
その後の不思議な儀式は友人から聞いた。
友人とSは、茶の間の隣のあの和室に二人で入り、部屋の真ん中で友人は畳に置いた自分の書いた絵を見つつ
座敷童との交流を思い出し続けた。
Sはその間、友人の周りを回りながら不思議な踊りをしていたらしい。
両脚を決して地面から離さないムーンウォークみたいな動きで部屋の角から角へ移動して、時々右手を上げたり
左手を上げたりしてパフ、と広げていた手を握り込む。
四隅へ来ると、角を背にして両手を90度に開き、ぱすん、というような音の立たない感じに両手を合わせる。
そんな事が小一時間続き、その間何か歌のような祝詞のような不思議な物を口にしていたらしいが、
友人も子供の幽霊ならぬ座敷童の事を真剣に思い出すうちにそれが気にならなくなってしまったらしいのでよくは
覚えていないらしい。
それから、残った米粒を使い、お札をその部屋の柱に貼り付けると、友人に向かって、今夜から決まった時間に
金平糖をお札の前にお供えするように言いつけた。
色に決まりがあって、よく覚えてないけど一番てっぺんが赤いのだったか…とにかくそれを朝と夜に供え、
それまで供えておいたものは友人が食う事になってた。
部屋に入る順序とか、歩く場所も決まってた。
そして俺達は、この事を一切疑わないこと。
引越しが終わるまで誰にもしゃべらないことを約束させられた。
今北支援!!
なにぃ!?
座敷わらしを引越させるだと!?
藤田和日朗私怨!
その後、もう一度Sと今度は二人で友人の家に行った。
Sがあの日俺の買った使い捨てカメラで撮影した友人の家の模型を造り終えたので、組み立てと仕上げをする為だった。
この家にはもう神棚も無いし、座敷童の家が無いのでなるべく近い状態のものを急遽支度したらしい。
オカルトなのか科学なのか、こういう所が俺には少し理解できない。
Sが造った模型は結構よく出来ていたが、仕上げは友人がやるべきだというのがSの言い分だった。
それから、ひっぺがせるもの――例えば壁紙やふすまの紙や、絨毯なんかは全部本物を切り取ってきて作った。
半日程掛けてようやく出来上がったそれは、柱の脇に置かれ、臨時の神棚のような扱いになった。
此処にも確か金平糖を置き、それからSはもう一度奇妙な踊りを踊ったけれど、それは部屋の真ん中で片足立ちで
踊るもので、友人と二人きりの時に踊ったものとは違うようだった。
変な歌も歌ってた。
タロウさんジロウさんサブロウさんのおーうち、誰のお家がいいでしょね…
タロウさんちはナンチャラカンチャラ、ジロウさんちはナンチャラカンチャラ…と続き、
それじゃ友人さんちはどうでしょね。
甘いお菓子に可愛い子、庭はナントカカントカで、いつもなんちゃらかんちゃらだけど
くもがどうとかはたけはどうとか――昔話のEDに似たような、だけど民謡のようなのんびりとしたメロディで
それをSが独特の強弱の無い声で話しかけるように滔々と歌う。
歌の最後、Sが友人さんでよろしかろうかー…と声を伸ばしてる最中に、俺は「よー」という声を聞いた。
友人は「よろしかろうよー」と聞こえたと言った。
Sは、それではこれより、これが友人さんちになりますので、お移りくださいませ。
といってパン、と手を合わせ頭を下げると、お札が床に落ちてた。
剥がれる瞬間を俺も友人も見ていないけれど、その日、Sの奇妙な踊りが始まるまでお札は柱にくっついていた。
友人の家の座敷童は、Sの不思議な儀式のおかげが、それともそんなものは必要なかったのかよく分からないけれど
とにかく友人と一緒に母親の実家に付いてきたそうだ。
あのマンションも無事に売却されて、そこそこの収入になったし、友人の商売は上手くいっている。
今でもたまに、友人の所有となった山で野営をしないかと誘ってくれるが、流石に今は体力が追いつかないので
滅多に会わないようになってしまった。
あれが本当に座敷童というものなのかは、俺もオカルト好きの友人も半信半疑というか今でも信じられないのだが、
俺と同じ素人童貞の毒男だったが、あっという間に彼女をつくり、何年か前には子供が生まれたと連絡が来た。
倒れたじいさんも持ち直し、まだまだ現役を退かない程充実した日々を送ってるらしい。
模型はある日突然Sから連絡があり、もう必要は無いだろうからと引き取っていったそうだ。
もちろんあの座敷童なのか幽霊なのかよく分からない子供も元気に母親の実家を走りまわっているらしい。
友人にもたまに笑う声や足音が聞こえるそうだが、姿は滅多に見えなくなってしまったそうだ。
その代わりのように友人の子供にはまるで生きてる子供のようにその存在がはっきりと見え、会話も可能らしいのだけど
まだしっかりと会話ができる年齢ではないのでそれも曖昧だ。
ただ俺は、あの日友人の家で食わされた、まったく味のしない金平糖の食感が忘れられない。
余った白いのは舌が溶ける程甘いのに、供えられた後の金平糖は、まるで湿った砂のような食感で口に入れるとすぐに崩れた。