【8月18日】百物語本スレ【怪宴】

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6昨日の人 ◆3wiF1V29nQ
   夏の風景   1/2

小学校高学年の夏休み。
祖父母の元へ一週間ほど泊まりで帰省していた時の話。
山奥の村落、20軒ほどが身を寄せ合うところで
村には私のような子供は一人も居なかった。
住人はほとんどが高齢者ばかりのようで過疎という言葉が当てはまる場所。
かといって暗い雰囲気は無く、小さな訪問者(私)に皆が親切にしてくれた。
「ミノル(父)の倅か、ほーかほーか。」「テービもねぇから詰まらんろ。」
「独楽回すか、独楽。」「後で、釣りいくべ。」
「虫がいねぇんだろ、あっちは。捕り方おしえんべか。」
どちらが子供か・・・。でも、うれしい。

 二日目に祖父と釣りへ出かけた。村の爺様ほとんど連れて・・・。
山間の上流、比較的流れが緩やかな場所。気を使ってくれているのは分かった。
竿の振り方や餌のつけ方、魚の居そうな場所などを教わり・・・十人居ると十人が微妙に違う。
釣り始めて二時間もしないうちに爺様たちは宴会になっていた。
一人竿を振る私のところへ代わる代わるきては、微妙に異なるコツを教えてくれた。

 「あ?かかった?」
そろそろ飽きかけていたところ竿が引かれた気が。
引き上げて見ると、緑色の塊だった。