【8月18日】百物語本スレ【怪宴】

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224代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8
キツネ ◆8yYI5eodys 様 『空き家の落書き』

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小学生の時分と言いますと、いやはや、怖いもの知らずと言いますか、大人になってからはやらないような遊びに興じるものでございます。

かく言う私も小学生の頃には近所の子供たちとヘビが出るような山の中に秘密基地を作ったり、虫だらけの洞窟を探検してみたり。
山沿いの田舎町だったこともありまして、今思うとゾッとするような場所で好奇心のままに遊んでおりました。
中でも私達が一番熱心だったのは探検ごっこでございまして、仲間の誰かが少しでも面白そうな場所・・・・・・
1人で行くには少々勇気がいるような場所を見つけると、すぐさま皆で乗り込んでいったものでございました。

さて、あれはいつのことでしたか。
仲間の1人が面白そうな場所を見つけて参りました。

町外れの廃屋。

もう何年も前に住んでいたお婆さんが亡くなり空き家になった・・・・・・確かそんな廃屋だったと記憶しております。
当時は学校の怪談、今で言う学校に纏わる都市伝説が子供の心を鷲掴みにしていた時代だったこともありまして、私達は誰も反対することなく探検に向かおうという話になりました。

いやはや、なんとも罰当たりと申しましょうか、不法侵入という概念を持っている今では決して考えられないような場所を選んだものだと、お恥ずかしい限りでございます。


いよいよ探検の日。
私達一行は祭りの露店で売っているような粗末なライトや、武器、と称し途中で拾った木の棒なんかを手に町外れまでやって参りました。

問題の廃屋は鬱蒼と茂る藪の中に隠れるように立っておりまして、カラスが数羽、不気味に鳴いていたのが印象的でした。
お世辞にも家と呼ぶには粗末な、さながら小屋とでも言った方が適切な2階建ての木造の建物。
その入り口側と思しき壁は無残にも崩れて1階部分は瓦礫の山と化しておりました。