>>249 工藤は、平泉先生が戦った群れを率いていた個体と、先ほどの脱出戦で最後に入場して来た個体が同じだと気付いていた。
そして、堺が使っていた自動車を引っ繰り返させたのも、あの白衣を着ていたゾンビだろうと推測している。
他の男子は、車をどかさねばならなくなった原因などどこ吹く風で騒いでいるが、工藤はとてもそんな気になれなかった。
ほどなくバスは、海老名ジャンクションを通過して厚木インターチェンジに差し掛かり、そこで足止めを食らう破目に。
料金所から東名高速の上りに合流するポイントで接触事故が発生し、後続車輌が反対車線、つまり工藤らの車線で横転。
そこへ下り(厚木、平塚、小田原・方面)の車輌が次々と突っ込み、この惨事となったらしい。
火災で路面が黒くすすけており、手前で停まれたドライバーも火に巻き込まいと放棄したのか、鮨詰めのまま放置されている。
工藤は珍しいナンバープレートの車を見つけ、ドアノブに手を掛けた。
最低限の手荷物だけ持って逃げたのか、車内には食べ残しや子供の玩具が残っている。
後部のトランクを開けて、驚きを隠すのに一苦労した。
そこには、米軍で使用するアサルトライフルや弾薬など、様々な兵器が収まっていのだから。
兵器に詳しくない工藤でも、これらがどれほどの破壊力を持っているかは容易に想像できる。
「(この量を独り占めできるわけもないが、かと言って無闇にみんなに渡して良いものか・・・。
今の無法状態で、銃を手にしたクラスメイトがどう変貌するのかも分からないし)」
「相模原Y」ナンバー。 在日米軍の登録車輌だと今になって気付いた。
周りに気取られないようにトランクやドアを施錠して車のキーをポケットにしまい、奥の事故現場を調べている堺らのもとに向かう。