>>216 堺は剣鉈を手離し、フォークの2度刺しで立ったままのゾンビを仕留めた。
囚人がゾンビの背中の衣服を掴み、バールの生徒と力を合わせて一気に引き倒す。
どこからか出した包丁を目から脳に掛けて突き上げると、ゾンビはパタリと動きを止める。
「(あんな包丁など渡してない。 一体どこに隠してた・・・!)」 堺は囚人への危機感を募らせる。
しかし今は残り1体を倒す事が先決だと気持ちを切り替え、鉈を収めるとバスの方へと駆け出す。
「あ、ありがとう」 バールの男子が囚人に礼を言う。
「いえいえ、お互いに助け合いですよ。 さぁ急ぎましょう」 とても罪人とは思えない、爽やかな笑顔だ。
夜が明けようとしている。
堺は、猫のように不気味に光っているゾンビの目を見据え、一気に突き込んで仕留めた。
どうやらコツが掴めてきた気がする。
農具のピッチフォークを満足げに見詰める彼の横を駆け、原がバスの扉を開けて乗り込んだ。
続いた堺は、鍵の位置を教えて貰いエンジンを始動する。