ガチでゾンビが溢れたら皆どうするよ 29日目

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193 ◆JwKmRx0RHU
>>165
事態が激変したのはその晩だった。
「みんなッ 大変だッ」
隣りの寝返りで肘鉄を食らった彼は、目覚めたついでにトイレへ行こうとして床を這い出た。
用を済まして戻った彼は、眠い目をいつもの癖でガラスの外へと向けて凍り付く。
停電で、月明かりしか頼れる光源の無い野外に、駐車場を埋め尽くす人影がひしめいている。
彼の呼び掛けに誰もが跳び起きた。
駆り立てられ、堺が懐中電灯でガラスを照らす。
「う・・・」 生徒たちはゾンビで作られた壁を前に言葉も無い。

これは最悪なのか?
いや違う。
最悪とは寝入っている隙にガラスを破られ、雪崩れ込まれる事態だ。

このところゾンビの数が激減していたので警戒を怠っていた。
とは言え、警戒したところでゾンビの群れが減ったと言うわけでもないのだが。
いつガラスが割れてもおかしくない大群を前に、猶予はなかった。
194 ◆JwKmRx0RHU :2012/04/07(土) 22:31:32.14 ID:MIDx2bYC0
>>193
いつガラスが割れてもおかしくない大群を前に、猶予はなかった。
「着替える時間は無いッ 制服と荷物をまとめてエントランスに集まってッ」 堺は叫ぶなりエントランスに飛び出る。

どうする。  まさか、裏口にまで大群が・・・!?

工藤少年が駆け付け、声を殺す。 「裏手には居ません。 出るなら今です」
指示を受けるまでもなく、先を読んで自ら動ける彼の存在は、堺にとって言葉に表せないほどに心強い。
「バスの入り口は狭い。 全て乗る前に襲われる」
「椅子やテーブルを盾に使っては?」
堺は頷き、小声で指示する。 「女子には軽い椅子、男子にはモップとか長物を」
生徒たちの方に向かおうとする工藤の肩を止め、「ゾンビの腕力は強い。 掴まれたら逃げられない」 念を押す。
工藤も厳しい表情で強く頷く。
指示された全員が物品を手にするのに2分と掛からなかった。
「裏口を背に、テーブルや陳列棚で此処にバリケードを張る」
「何でだ! 外に出ないのか!?」 佐藤が詰め寄る。