467 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:07:20.96 ID:JeL0zMrB0
ジャーナリストの先輩から聞いた話でもしますかね。
その先輩は嫌韓が高じて、お隣の国の悪事を世界にしらしめるとか言ってジャーナリストになった
バイタリティあふれる人で、1年の3分の2はお隣で活動してる。私はある意味、本末転倒じゃねと
か思うこともあるが。そんなお人なので結構、修羅場というかヤバイことを潜り抜けてるので帰国し
た際はよくそういう話を肴に飲み会へ誘われる。
さて、ついこの間、急遽帰国した先輩に例のごとく誘われた。
色々、近況などを報告しあい、料理も腹に詰めて先輩もいい感じに酒が回り始めた頃(私は酒に
弱いのでほぼ食い専)、今回の最大の修羅場に遭遇した話になった。
468 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:09:29.26 ID:JeL0zMrB0
先輩はある犯罪組織の元幹部という人物と接触することに成功したそうだ。
色々なコネや賄賂を駆使して地方都市の食堂(本当に場末の食事処みたいなところだったらし
い)で会談する機会を得た。
その場で面会した人物は見るからに胡散臭い、そして危険な気配を纏っていた。
客を迎える愛想笑いではない、ニヤニヤとしたイヤラシイ笑顔でCと名乗った。
「当然ながら偽名だろうけどな」
先輩も中国人のジャーナリストという偽の肩書きで取材を申し込んでいたらしいが。
通り一遍の挨拶と乾杯の後、取材が始まった。
469 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:12:15.71 ID:JeL0zMrB0
30年ほど前、Cが組織内で担当したのは盗みの部門だった。それも外国での活動を主としていた。
Cが目を付けたのはよりによって日本。十数人の部下を率い、窃盗団として金品の強奪を繰り返し、
改心どころかよく儲かったと自慢げに話した。
ある時、他の窃盗団から(日本にはいくつもの窃盗団が入り込んでいる)神社仏閣への窃盗を持ち
かけられる。儲けられればなんでもいいCは当然その話にも乗った。
明確に価値のあるとわかる金品の他、宗教関連の道具は意外にも美術的な価値を認められるも
のも多く金になる。そうでなくても金属類は本国に出してしまえば潰して価値ある素材に変えること
もできたらしい。
470 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:16:42.50 ID:JeL0zMrB0
話を持ちかけてきた窃盗団からの提案で、捕まるリスクを減らすためご神体や本尊など、無くなると
すぐに目立つものは贋物を用意するといったこともやった。これは非常に効果的だったらしく、すり
替えられたことに全く気が付かない、あるいは発覚してもずっと後のこと。十分以上の儲けがある
上、ノーリスクを得られるため贋物を用意する費用など全く問題にならなかった。大小関係なく片っ
端から神社仏閣から盗みを働いた。有名な神域、古刹にも手を伸ばした。
それがあまりにも有効だったため、Cが活動していた後期には様々な窃盗団が真似をしており、盗
みに入った先、いざ交換しようとしたらすでに別の窃盗団が交換した贋物だったということも珍しく
なくなっているほどだった。
471 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:20:45.61 ID:JeL0zMrB0
そうした犯罪歴を語り終えるとCは満面のしかし邪悪な笑みを浮かべ、
「わたし、日本人大嫌い。あいつらが贋物をありがたがって拝んでるのを見ると笑いが込み上げて
くるよ。……Jさん(先輩の偽名)あんたホントに中国人か?」
そう言ってきたそうだ。
先輩はやべぇ!と思いつつも動揺を押し隠して誤魔化したが、その時に店内にいた客も店員も全
員がこちらを見ていた。その顔はCのようなニヤニヤとした嫌な笑顔か、全く感情の見えない無表
情だったらしい。
心臓をバクバク言わせながら、予定の質問を終え当初から用意していた封筒を渡し(報酬だそう
だ)、こちらは予定になかった飲み食いした代金の倍の金額をテーブルに置いて店を出た。
すぐさまホテルへ戻るとさっさと引き上げてその日のうちに中国へ渡り、5つの都市を経由してやっ
と日本に戻ってきたそうだ。
473 :本当にあった怖い名無し:2012/06/16(土) 02:24:50.19 ID:JeL0zMrB0
「あいつら、もはや本能に日本嫌いが刷り込まれてるよ。日本に今、どれだけ本物が残ってるんだ
ろうな」
と先輩はつぶやくように言った。
その話自体も確かに怖かったが、私はふとある呪法について思い出して更に顔を青ざめさせた。
ネットで怖い話を探すとたまに見つかる、拝む者の運気や祈りを吸いだして術者へと流す呪い。も
しすり替えられた贋物にこの呪法が仕込まれていたら?
そんなものが日本中の神社仏閣にあったら?
若干、挙動不審気味に周囲を見回した先輩が続けて言った。
「実は日本に帰ってきてもまだ安心できてねーんだよ。奴ら日本ではS学会とも繋がりもってや
がったからよ」
……うわぁ。
終わりです。