【御案内】
○進行は、基本age進行です。
○本スレは進行役がご案内します。進行、非常時にも指示等はお任せ下さい。
○飛び入り語り部さん、大歓迎です。まずは、受付スレにお越し下さい。
○本スレの進行の妨げにならぬよう、雑談は雑談スレにてお願いします。
○気分が悪くなったり、変なものが見えた際には後述のお守りなどを利用して下さい。
○怖くてトイレに行けなくなりますので、事前に済ませておいて下さい。
○本スレにおいて、何がありましてもすべて自己責任でお願い致します。
○万一天候の悪化で雷が鳴り始めた時は、自分のPCを守ることを最優先してください。
【原稿の書き方と投稿について】
●●●投稿する文章は、メモ帳等に全部書き終えてから投稿しましょう●●●
○他の人が書き込んでいる途中で話を投下しないよう、注意しましょう。
●●●書き込む前に更新チェックを欠かさずに●●●
○語る内容が2レス以上になる場合は、本文(タイトルの横など)に、
(現在のページ→)1/2(←総ページ数)を入れて下さい。
○「あまり恐くないかも」等の前置きは必要ありません。遠慮せず書き込みましょう。
○文章の終わりには、必ず【完】【終わり】などをお入れ下さい。
○出来れば、2〜4レス程で、話の完結を推奨します。
○一レスあたりの行数は32行です。文字数は関係ありませんが、一レスの容量は2048バイトです。
○受付完了後、本スレにて案内人の指示がでるまでお待ち下さい。
※受付をしていない、指示が出ていないのに投下された話は、ノーカウントとさせて頂きます
※2ch書き込み規制になってしまった方 代理投稿希望の方
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/22553/1282328573/l50 へ
受付時のコテ・トリップ付きで『規制中・代理投稿希望』の旨、できるだけ早めにお知らせ下さい。
それでは、開宴まで今しばらくお待ちください。
怖い話書けばいいの?
異郷と此の世が重なる淡い刻
百の灯火に誘はれし
妖霊の言霊を引き入れたまへ
いざ御身 今宵語らう
先人達の残した業を繋ぎ
深き霧を纏ふ 稀人を待たん
------------2011年夏 百物語 開宴--------------
昨日の人 ◆3wiF1V29nQさんさん、第一話をお願いします…
放送はどこだ?
夏の風景 1/4
小学校低学年の頃のお話。
妹(ちい)を連れて市民プールへ遊びに行った帰り道。
遠くで蝉がシワシワ鳴いている、何処までも続く田んぼ道。
急に風が冷たくなってきたので(雷(らい)さまがきそうだー。)と思った。
(これ以上は早くこげんー。)後ろに妹を乗せた私は既に立ち漕ぎ状態だ。
「間に合わなかったら一本(いっぽん)さんなー。ちい、落ちるなよー。」後ろを向き妹に言う。
ギュッと私のシャツをつかみ返して「にいちゃん、降りようか?」と聞き返してくる。
「カラータイマーはまだふつーだ!」兄の意地。
一本さんが見える頃には、空は暗く時折シカッゴロゴロゴロと眩しい位に輝いた。
「雷さま早いから、一本さんとこで雨宿りするぞー。」「うん。」
一本さんの道を挟んで斜め前に、それはそれはボロボロのトタン屋根。
小さなバス停に二人で逃げ込んだ。埃の匂いと共に大粒の雨が降り出した。
9 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 21:02:29.69 ID:HOjuFdLa0
8 昨日の人 ◆3wiF1V29nQ sage 2011/08/19(金) 21:01:40.53 ID:inQZMRwE0
夏の風景 1/4
小学校低学年の頃のお話。
妹(ちい)を連れて市民プールへ遊びに行った帰り道。
遠くで蝉がシワシワ鳴いている、何処までも続く田んぼ道。
急に風が冷たくなってきたので(雷(らい)さまがきそうだー。)と思った。
(これ以上は早くこげんー。)後ろに妹を乗せた私は既に立ち漕ぎ状態だ。
「間に合わなかったら一本(いっぽん)さんなー。ちい、落ちるなよー。」後ろを向き妹に言う。
ギュッと私のシャツをつかみ返して「にいちゃん、降りようか?」と聞き返してくる。
「カラータイマーはまだふつーだ!」兄の意地。
一本さんが見える頃には、空は暗く時折シカッゴロゴロゴロと眩しい位に輝いた。
「雷さま早いから、一本さんとこで雨宿りするぞー。」「うん。」
一本さんの道を挟んで斜め前に、それはそれはボロボロのトタン屋根。
小さなバス停に二人で逃げ込んだ。埃の匂いと共に大粒の雨が降り出した。
とか言ってないで放送はどこー?
12 :
昨日の人 ◆3wiF1V29nQ :2011/08/19(金) 21:03:59.59 ID:inQZMRwE0
2/4
一本さんは田んぼの真ん中にある、大きな栗の木。根元に小さな御キツネ様が奉られている。
四方を見渡しても田園が彼方まで広がっている。広大な田園の中に一本さんと道を挟んでボロバス停。
妹と入ったバス停も雨宿り程度なら心配要らないようだった。いつもの夕立なら。
雷さまと夕立は、この辺なら当たり前に夏の夕方にくる。雷さまが鳴り出し、物凄い雨が降り、
あっという間(30分〜1時間程度)に去って行く。だけど今回は雷さまが止まない、近い。
雨が降り出せば雷さまは遠のく、はずなんだけど。
シカッッ!ドンッッ!!キカッッ!ドゴーン!!
眩しいストロボを焚かれたかと思えば、お腹を飛ばされるような衝撃。光と音が近い。
「にいちゃん、一本さんあぶない!」妹が叫ぶ。釣られて一本さんを見た。
ピッッッシュルルルルゴッ!ッズズゥゥゥン・・・
距離にしても子供の歩幅で20m離れていない、一本さんに直撃した。
音が聞こえない。豪雨も雷さまの音も聞こえないィイーンって音しか聞こえない。
片手で私のシャツを掴んだままの妹が指差す、一本さんの木を。
ねとらじじゃねーのかよ!
14 :
昨日の人 ◆3wiF1V29nQ :2011/08/19(金) 21:06:13.46 ID:inQZMRwE0
3/4
一本さんの木の根元には青く光るの子供がいた。
その子はしばらく木の周りをウロウロすると、顔を覆うように泣き出したように見えた。
「・・・ぃいちゃん!にいちゃん!一本さん!」やっと耳が聞こえた。妹が叫んでいる。
「一本さんこっちへ来てー!」「一本さん早くこっちへー!」わけも分からず兄妹で子供に叫び続けた。
木の焼けた匂いがした。一本さんに雷さま落ちたのかってあらためて感じた。
一本さんは私たちを見ると、今度はこっちへ来いと手招きをしていた。
「にいちゃん、いこ!一本さんとこいこ!」圧倒され妹をおぶって道を横切った。
ッキシャッッッ!ドンッッ!!
今まで居たバス停が無くなった・・・子供も・・・
帰り道今までの空が嘘のよう、妹を乗せ家路につく。
15 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 21:06:58.67 ID:AB2Q5ANU0
ねとらじって何?
16 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 21:07:04.37 ID:HOjuFdLa0
17 :
昨日の人 ◆3wiF1V29nQ :2011/08/19(金) 21:08:15.48 ID:inQZMRwE0
4/4
翌日兄妹どちらからともなく「一本さんとこいこ」となった。
当時ラムネは20円。瓶代込みの値段だ。二人で小遣い20円。
「一本さん、熱かったから」って置いてきた。
一本さんは落雷で枯れたけど、新芽がそのまま育ってる。
今でも田園の只中に小さくなっちゃったけど、一本さんはあります。
一本目の蝋燭が消えました・・・
昨日の人 ◆3wiF1V29nQさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第二話をお願いします
19 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 21:09:29.29 ID:pttk6Sb50
「母の洗濯機」
ピピピピピピピ………
ある日いつもの様に洗濯をしていると洗濯機から異音がしたので見に行くと、音が止み、
再び水が入る音がして洗濯を始めた。
私はまた動き出したのでその時は途中で放り出した用事の方が気になり、すぐに戻った。
その日は朝から晴れて暑い日だったので、たまった洗濯物を一気に片付けようと思い、
私は2回目の洗濯を始めた。そしてまた洗濯が終わる頃にピピピピピピピ………。
結局1回目の洗濯は合計3回もすすぎをした事になってしまったけど、2回目はすすぎ
は1回でいいやと思い、音が鳴りやんで再び水が入る時に停止しようと洗濯機のフタを
開けた。
すると思いに反して水が溜まっていたので「あれ?」と思い脱水のボタンを押した。
…そういえばこの洗濯機ももう5年以上使ってるし、すすぎのみの選択も出来なくなって
るし、もう寿命か…と思うと同時に前に使っていた洗濯機が壊れた時の状況が思い
出された。
…母の葬式が済んで家に帰り、洗濯をしようとしてフタを開けたら
水が溜まっていた時の事を…
あの時とまるで同じだな…と思い、ふとカレンダーを見るともうすぐお盆。
「Aちゃん、たまには遊びにおいで」母の声が聞こえた気がして、今年は早めにお墓参り
に行こうと思う夏の日だった。
「完」
二本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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太魔美 ◆aKQ2SJ2lbMさん、第三話をお願いします・・・
21 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 21:11:42.61 ID:GpadOyup0
おお始まってたか。
太魔美 ◆aKQ2SJ2lbMさん
タイトル「赤いポルシェの女」 1/2
友人のNが危険物取り扱いの資格が欲しくて
嫌々ながらもガソリンスタンドでバイトを始めた。
恥ずかしがり屋のNは大きな声で挨拶するのが苦手だったのだ。
だが資格を取るために我慢することにしたそうである。
Nの働くガソリンスタンドは24時間営業の店だった。
Nの勤務時間は夜9時から翌朝の8時まで。客はそんなに多くはなかった。
ある平日の深夜2時頃、赤いポルシェがスタンドに入ってきた。
車の窓が下がり、キツイ香水の匂いがNの鼻をついた。
「ハイオクで満タン」
厚化粧をし、着物を着た若い女が車の中から吐き捨てるように言った。
Nが車の後方に回り、給油しようとした時、ポルシェの後部座席で何かが光った。
目を凝らすとそれは斧だった。
よく見ると両手に斧を抱え、アイスホッケーのマスクを被った男が
後部座席で丸まっていたのだ。
機転を利かせたNは運転席の女に話かけた。
「お客様、当店ではただいまコーヒーをサービスしています
中に入って是非、お飲みください」
「わたし、コーヒーは嫌いなのよ、それより早くガソリンを入れてよ」
女が無愛想に急かした。
「嫌いでも飲んでもらわないと困るんです。とにかく車から降りて店の中へきてください」
Nは必死に粘った。
太魔美 ◆aKQ2SJ2lbMさん
2/2
女は眉間にシワを寄せた。
「しつこいわネ、アンタ、頭がオカシいんじゃないの」
つぎに女は何かに気がついたかのように、急に笑い出した。
「なんだアンタ、後部座席に隠れてるヤツが、斧でアタシを殺そうとしてると思ったのね」
Nは一瞬、訳が分からなくなった。
「わたしに気付かれてるとも知らないで、後ろで丸まってるイモ虫野郎のことは気にしなくてイイのよ」
女は優しい口調でNに言った。
給油を済ませた赤いポルシェは、風のように走り去って行ったという。【完】
24 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:15:18.25 ID:zYhUUkPX0
三本目の蝋燭が消えました・・・
太魔美 ◆aKQ2SJ2lbMさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第四話をお願いします・・・
25 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:15:48.64 ID:MJGkjTcm0
【通勤列車】(1/2)
知人A氏が約20年前に体験した出来事です
当時、某関東圏に勤めていたA氏はその日の朝もいつものように通勤快速で出勤していました。
すると突然乗っていた列車が途中で停止したのです。
直後に「只今、人身事故発生により運転を見合わせております。しばらくお待ちください」
と、アナウンスが流れました
「冗談じゃないよ。なんでよりによってこんな時間に・・・・」
「遅刻するじゃねえか!何やってんだよ!!」
「サイテー・・・」
列車内はさまざまな文句、不満などであふれ、嫌な雰囲気のまま数十分が過ぎました。
26 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:19:59.26 ID:MJGkjTcm0
『カンッ カンッカンッカンッカカカカカンッッ!!』
と、乗っていた車両の床下から何か硬いもので叩くような音がその車両内に響き渡ったのです
それまでうるさかった車内は一瞬にしてシン・・・・と静まり返り
停車駅に到着するまで、誰一人一言も声を発することはありませんでした。
【終わり】
27 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:20:50.82 ID:zYhUUkPX0
四本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、第五話をお願いします・・・
28 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:23:10.66 ID:zf04GSaIO
やぐら(1/2)
友人Aの母親の話。
友人Aの母親が、知人の様子を見に上京ついでに鎌倉に観光に行った時に、某有名やぐらへと行ったそうだ。
フェンスで囲まれた土地を横目に、やぐらへと到着。
『霊域につき撮影禁止』という立て札があるのだが、おばちゃん達は気にせずに中に踏み込み写真を撮ったそうだ。
その瞬間、カメラが動かなくなったそうだ。
シャッターを押しても動かない。
その数瞬前までは普通に撮れていたのに、霊域に踏み込んで写真を撮ろうとした途端だったのでさすがにおばちゃん達も驚いたそうだ。
しかし、小さな祠のようなものがあるだけで、特にめぼしい物があるわけではない。
おばちゃんが記念にと、よりによってそこで白い軽い石を拾って帰ったそうだ。
しかし地元に帰ってきて、すぐさまそのおばちゃんは高熱にうなされる事となった。
病院にも行ったのだが、風邪ではないか?と言われるだけで、原因不明。
三日目におばちゃんから友人A(離れて住んでいる息子)に電話があったそうだ。
「夜になると血まみれの鎧武者と女の人が出てきて、私を殺そうとする」
きっと熱のせいだよ、と友人Aは言ったそうだ。
「違うのよ。だって何回も首も絞められたし」
熱で妄想まで見始めたかと心配になった友人Aは急いで帰郷。
四日でやつれ果てた母親の姿に呆然としたそうだ。彼曰く「あれがとり憑かれてるって奴だ」と言うほどに。
変な手の形に似た痣なども出来ていて、彼は母親の言うことを信じることにした。
けれど原因がわからないので詳しく鎌倉の話を聞くと、白い石が原因ではないかと言うことになった。
「持っていたら危ないかもしれないから、お寺に持ってくよ」
と母親が何故か鏡の前に置いていたのを取り上げて(凄く嫌がったらしい)、近所の寺に持ち込んだそうだが、丁重に供養をお断りされたそうだ。
「人の骨かもしれません。
とても強い怨念があります、こちらではなく鎌倉のしかるべきお寺におさめるほうがいいでしょう」
あと、母親の代わりにとってもきつく怒られたと零していた。
確かにそういった場所から物を持って帰るなどありえない。
そう言われて知人は鎌倉へ向かい、お寺に供養を頼むことにした。
29 :
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 21:24:13.56 ID:k+LLH6dU0
『夏の悪夢』
黄金色 開けしところ
篠笛に 鼓のさざめき
十二単の 行灯に
畳の露は きらきらと
星降る店より 甘き蜜
らむね わたがし たまごやき
紫を 透かして見える
ほどけし結いは 地獄絵図
影法師 ガマの口にて
―めんめんめくらの お嬢ちゃん 星の祝いに ひとりとは
七つの姫の やぶの宮へと ―
赤き灯りに 天邪鬼
天邪鬼
まよいさまよい お面屋の
袖の限りの 雀の銭で
買いたる面は のっぺらぼう
のっぺらぼう
鮮衣の花 一面に
緑にピンク 紫の紅べったりと
さけんばかりに
さけんばかりに
大空を
飲まんほどに
夢の迷宮 抜けし刻には
かささぎの夜も 更けつつあらん
急ぎ安寿が 浮かべし面は
天を睨み
墨の流れに 消えゆかん
星に照る 兄様の顔
番の別れを 恨み呪わん
天の鏡に
30 :
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 21:24:47.13 ID:k+LLH6dU0
あ、失礼
第五話はもう投稿されてましたね
31 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:28:35.60 ID:zf04GSaIO
(2/2)
けれど一日で実家と鎌倉の往復は難しくて、東京の自分の家に白い石を一度置くことになったらしい。
骨じゃないかなどと言われたものだけに、薄気味悪い上に、母親が霊を見ているというので怯えつつ、ネットで調べて寝床の周りに盛り塩をして寝ることにしたそうだ。
夜中奇妙な音で目が覚めた友人Aは、つけっぱなしで寝たはずの電気が消えているのに気づいて慌てた。
起き上がって電気をつけようとしたところで、音が近いことに気づいて動けなくなったらしい。カリカリと何かを引っかくような音と、微かな呻き声。
その音が聞こえる玄関には白い石が置いてある。
怖いのは山々だが、このままじゃもっと怖いので友人Aは起き上がって電気をつける為に壁のスイッチへと近づいたそうだ。
「ねぬ……ねぬ…」と呻き声が繰り返す言葉が怖い。そしてスイッチを入れても電気が付かない。
焦りまくった友人は携帯電話を掴むと、とりあえず光源になるだろうと携帯のライトをつけたそうだ。
その瞬間、自分の横に誰か立っているのが見えたらしい。
緑と青と白で鳥の模様だったと後で教えてくれたが、女だと断言していた。
「ねぬねぬねぬ」と繰り返しているのはその女だったと気づいて、携帯を閉じるのも怖くてそのまま電話をかけて誰か友人を呼ぼうとした時に、女がふっと耳元に息を吹きかけてきたらしい。
冷たいくせに焦げ臭かったそうだ。
同時に女が耳元ではっきりと言った。
「死ねぬ」
その声が怖くて、友人Aはそのまま気絶してしまった。
気が付くと朝で、盛り塩はそのままだったが、何故か白い石を握った状態だったという。
起きてすぐに電車に乗ると、鎌倉へ向かったそうだ。
お寺に収めて、同時にお払いもしてもらったと、泣きそうな顔で話してくれたのが印象的だった。
「あとで調べて怖くなった」
と、友人Aは教えてくれた。
某やぐらの在る辺りは八百人近くの人間が死んでいる。
自害も多かったり、かなり悲惨な歴史を残している。
彼は非常識なおばちゃんの行動を責めたが、おばちゃん自身もそんなまねをする人ではないので持ってきたのを家族皆が不思議がったそうだ。白い石を鎌倉に返してからすぐに熱は引いておばちゃんは元気になった。
幽霊もそれっきり見ていないという。
終
32 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:29:07.35 ID:zYhUUkPX0
五本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第六話をお願いします・・・
33 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 21:29:40.41 ID:pttk6Sb50
「ストラップ」
店で携帯を片手に服を見ている時にカチャッて何かが落ちた音がした。
下を見ると携帯ストラップ。私はネジが緩んだのかな?そう思い家で直そうと先に
買い物を済ませた。
ストラップは時々落ちる。それはネジが緩むか紐が切れるかのどちらかだ。
今回もそうだろうと思ってどこから落ちたのかよく見てみた。するとネジだけ残ってる
のも無いし、落ちた方はボールリングのストラップで金具が緩んでるわけでも無かった。
私は「えっ?」と思いながら2つを何度も見比べて、どうやったら落ちるのかしばらく
考えた。
…まるで知恵の輪の様に切れ目も無いのにすり抜ける様にして落ちたストラップ。
私は謎を解くべく友達にも見てもらった…けどみんな不思議そうな顔をするばかりで
何で落ちたのか未だにわからない。
ちなみに落ちたストラップは姉が住む地域のご当地ものだった。
…私はその謎のストラップを携帯に付けるか迷っていた。
すると友達が「落ちたものを付けると縁起が悪いよ」と言い、私はそれもそうだなと
思い付けるのをやめた。そして家に持ち帰ろうと思ったけど、気まぐれで通り道の
金網にぶらさげた。
そうやって、自分の手元からそのストラップを完全に離したせいかはわからないが、
それまで不仲でしょっちゅうメールや電話で喧嘩ばかりしていた姉から一切連絡が
来なくなった。そればかりか、姉との関係が年賀メールのやりとりや、地震の安否を
確認する程度の自然な仲になったのだ。
…これはストラップが私と姉の憎しみの全てを自ら落ちる事によって落としてくれたの
かな?と、都合のいい考えかもしれないけど私はそう思っている。
「完」
34 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:30:51.19 ID:zYhUUkPX0
六本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、第七話をお願いします・・・
35 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:35:32.47 ID:zf04GSaIO
白黒
まだ小さい頃の話。
私は鍵っ子で、学校帰りは一人が多かった。
学校の帰り道いつもの細い道を歩いていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ったが、誰もおらず頭の中には?が浮かんでいた。
気のせいで済まし、また家の方を見ると絶句した。全部白黒。一瞬で色盲になっていた。
でも意味がわからない私は驚きながらもその風景を楽しんでいた。
白と黒の濃紺で出来た世界は、不思議で仕方なかった。
そのうち、変な事に気づく。
道には白黒の人が何人もいた。子供も大人もいて、座っていたり立っていたりするのだが、一度も見たことがない人達。
着物の人もいるし、皆なんだか動きが遅い。それに少し透けているように見えた。
おかしい事ばかりだな、と思いながら家に入ると中にも人がいた。
泥棒!?と考えたけれど、その人は帰ってきた私を見て泣きはじめてしまった。
歳は母くらい、でも見たことがない綺麗な女の人だった。
泥棒なのに何だか初めてあった気がしなかったのもあってとりあえず家に入ろうとした途端、女の人が手を突き出してきた。
「ダメだよダメだよ。見ちゃだめ」
と何回も言われ、背後を示された。
意味が解らないまま振り返ると、自分の後ろは色がついた世界だった。
また振り返って綺麗な人を見ようとしたが、そこはもう白黒の世界じゃなかった。綺麗な人もいない。
それっきり白黒の世界はみていないのだが、色盲になったにしてもおかしな体験だった。(というか、症状として有り得ないみたい)
数十年後自称霊感持ちの友人から、家への道には霊がいるという話を聞いた。
詳しく聞くと白黒で見た人達とほぼ同じ。
そして我が家には綺麗な女の人、多分守護霊だろうというのがいるのまで。
此処で軽い疑問が出来た。
最初に肩を叩いて白黒の世界を見せたのは誰なのか?
あれから白黒の視界になった事はないので、解らないままでいいのかも知れない。
終
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i / ヽ i
| ノ \ |
ヽ |"'=;,,、 、;;=''"""\ |
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.ヽ (,rェュ、ンヽ、 ノ .| |
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! イ ° ° ト!
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ヽ _ (::)(::).. _ /
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七本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第七話をお願いします・・・
38 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:36:19.17 ID:zYhUUkPX0
七本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第八話をお願いします・・・
39 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 21:37:02.42 ID:AB2Q5ANU0
百物語にて
去年の百物語の最中に起こった事です。
DJさんの放送を聴きながらうっとりと怖いお話を堪能していました。
しかし、もよおす物はもよおす訳であって、私はトイレへ向かいました。
私の家は1K、ユニットバスと言う事で、トイレはその中のスペースにあります。
トイレに座った時、半分閉まっていたシャワーカーテンが揺れました。
そんなに凄い勢いで入ってきたかな?と若干不思議に思いましたが
早く放送を聞きに戻りたかったので気にしない事にしました。
また、シャワーカーテンが揺れました。
少し視線をずらして、固まりました。
お風呂に誰かがいる。
いや、あり得ないんです。私は一人暮らしなんです。
鍵を開けたまま家を出た事もないし、今日家に帰って来た時も家の中からちゃんと鍵をかけました。
41 :
謎の少女:2011/08/19(金) 21:37:10.92 ID:fKq6szPq0
∩
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|( ヽ
ゞヽ ' '|
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失礼しました。先ほどの話は終わりです。
43 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:39:04.96 ID:zYhUUkPX0
八本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第九話をお願いします・・・
44 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:39:22.82 ID:MJGkjTcm0
【村の鎮守の・・・】(1/4)
私が住む村は南北に細長く、南端と北端にそれぞれ小さな神社があります
南端にあるのが『火の神様』 北端にあるのが『水の神様』が祀られているとされています
いわゆる「村の鎮守」とでも言いましょうか・・・
そして毎年小正月の「さいのかみ」(どんと焼きとも言われますが・・・)は
必ず『火の神様』が祀られている南端にある神社の近くで行うのが慣わしとなっています
45 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:41:32.44 ID:MJGkjTcm0
(2/4)
実は今から30年ほど前、一度だけその場所を変えたことがあります。
その頃から村の北側が開発されて分譲住宅がいくつか出来てきたことにより北側に住む人が急増したのです
その住人の多くから「さいのかみ」の場所をもっと北側に移動させるように要望が出るようになり
多数決で北側へと移動することになったのです
46 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:43:56.13 ID:MJGkjTcm0
(3/4)
その年、村では異常事態が発生しました
数十年、まったく火事が起きていなかった村内で半年あまりのあいだに
4件の火災が立て続けに起きたのです
ある家はタバコの不始末で、ある家はてんぷら鍋から
またある家では神棚に燈したろうそくの火が榊に引火して燃え広がったり・・・・
47 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/19(金) 21:46:05.18 ID:MJGkjTcm0
(4/4)
翌年「さいのかみ」はまたもとの場所に戻すことになりました
それから約30年、村内での住宅火災は1件も起きていません・・・・・
【終わり】
48 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:46:40.30 ID:zYhUUkPX0
九本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、第十話をお願いします・・・
49 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:49:15.31 ID:zf04GSaIO
深夜の工場(1/3)
とある会社の出来事。
その会社は駅までの送迎バスがあった。
それに乗るとかなりの時間をかけて山の中ほどにある会社に着く。
仕事もきついので「逃げられないように送迎がある」と言われていた。
実際、自家用車での通勤は禁止。
近くに社員寮はあったけど、ほとんど入っていない状態だった。次から次へと人がやめていくらしい。
そんな職場の夜勤勤務に入ることになった。
拘束時間は一応八時間なのだが、毎日四時間残業は当たり前。
それが連日続く。
職場は二階と一階があって、私は二階にいた。
二階は着替えのロッカーと休憩室にも近くてラッキーだった。
わずか二十分くらいの休憩。その間に四十人くらいの人がいっぺんにトイレに向かう。一階と休憩室、そして二階にしかない。それぞれ三つくらいしか個室がなくて一階と休憩室のトイレはいつも長蛇の列。
仲良くなった友達と、休憩室のトイレにいつもは行っていたのだけど、その日はたまたま彼女がいなかったので私はロッカーから一番近い二階のトイレに行くことにした。
入ってみると、誰もいない。
他の混み様を知っているだけに気味が悪いながらも中に入って用を足す事に。
中に入った途端、トイレの自動ドアが開く音がした。
誰かの足音がして、隣に誰か入ったのがわかった。
用を足して出て、自然に隣に視線が行くが隣もその隣も空いている。
あれ?と不思議に思いながら、手を洗い乾燥機を使って外に出る。
空いているのが嬉しくて、度々そこを使うことにした。気味が悪いが、利便性を優先することにした。
50 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:50:17.74 ID:zf04GSaIO
(2/3)
その日、夜中の二時くらいだったと思う。
仕事中に急に腹痛になって一人抜け出して一番近い二階のトイレに入った。
誰もいないことに慣れていたから、当たり前になっていた。
しかし個室に入ると誰かが入ってくるのがわかった。
そのまま隣の個室のドアが閉まる音がした。
用を終えて出ると、隣のドアが閉まっているのが見えた。
私以外に誰か入っているのは初めて、しかも仕事中だ。
人様の様子を伺っているほど変態ではないので、そのまま手を洗い出ようとしたところで閉まっていたドアが開いた。
中には誰もいなかった。
驚いた私の横を足音だけが聞こえて、私の立つ横の洗面台の蛇口が開いた。
水が少しの間流れて、また止まる。
そのままトイレの出入り口のドアが開いて『誰か』は出て行ったらしい。
半ば呆然としながら、私もトイレから出ることにした。
その後も何度か『それ』に遭遇することはあったけど、姿は見えないしなんとなく気のせいだ、と思い込むことにしていた。
何度かそのトイレを使用しているのを見られ、フロア長に帰り際に声をかけられた。
長「二階のトイレ、気持ち悪くない?」
私「そうですね」
確かに嫌な感じはするけど、便利なのには代えられない。
長「あの二階のトイレ、皆使わないの。
幽霊が出るからって」
言われてやっぱりそうなんだ、くらいにしか思わなかった。
今まで遭遇した事もフロア長には一応話してみた。
長「怖くない?」
私「姿見てませんから」
どうやらかなりの人が体験しているせいで、あの二階のトイレは使われなくなったらしい。
気をつけてね、とは言われたが、別に害はないのでそのまま使用することにした。
休憩になり、話の種にと友達と一緒にその二階のトイレに行くことにした。
それぞれ個室に入ったところで、トイレのドアが開く音がした。
51 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 21:52:43.94 ID:zf04GSaIO
(3/3)
その日、私はいつも入っている一番奥のトイレではなくて、『何か』がいつも入っているトイレのさらに隣にいた。
友人には私がいつも使っているトイレを使用してもらった。
誰か入ってくる音に友人が声をかけてくる。
友人「これ?」
私「うん、そう」
友人に答えながら、用を足し終えてドアを開ける。
もしかしたら私達が入ってきたのを見て、他の社員が入ってきたのかもしれない。
下手にいうのも申し訳ないので、手を洗うために洗面台へと向かった。
友人「ねぇ、本当にここでるのかな?」
私「さあね。でも空いているからいいじゃない」
それから友達の声は聞こえなくなった。
おかしいな?と思いながらも、とりあえず怖いだろうからトイレの中で彼女を待つことにした。でもなかなか出てこない。
いい加減痺れを切らせて、彼女を呼ぼうとした時悲鳴が聞こえた。
泣き叫ぶ声と共に、彼女がトイレから飛び出してくる。
私がどうしたのかと聞く前に、彼女はトイレから走り出していく。
それを見送ってから私が彼女のいたトイレを見ると、閉まっているトイレとの壁に黒いものが見えた。
彼女が見たのはそれだろう。閉まっている真ん中のトイレから、『何か』が壁を乗り越えようとしていた。
短い髪の赤いワンピースの女。黒く見えたのは髪の毛だった。
仕事着は白いし、帽子を被っているので絶対に社員ではない。
友人は女の顔を間近でみてしまったらしい。
女は私をチラッと見ると、また閉じられた個室に戻った。
私も手を洗うとそそくさと出ることにした。あの女が出て来る前にと。
あとで友達に聞いたところ、あの女は「いつもと違う」と何度も言っていたらしい。
つまりいつもは私が至近距離で女に見つめられていたんだと思う。
半分潰れた顔で、間近で覗き込まれた友人はすぐさま会社を辞めてしまった。
しばらくの間私はその会社に通っていて、変な物音を聞いたりおかしなことはあったがそのトイレに懲りずに世話になっていた。だがその女は二度と見てない。
終
52 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:53:43.10 ID:zYhUUkPX0
十本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第十一話をお願いします・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
「心霊写真」
友人達と久しぶりに会ったとき、数年前に撮った集合写真で心霊写真っぽく
ふざけて写したものを見る事になった。
だけど1つだけ、どうしても手がありえない場所にあるものがあった。
肩の上に手のひらが乗ってるような、構図的にはありがちなんだけど、
誰もそこに手を置いた記憶がない。
そのうち1人が「あ、これ、マジだわ…」ってつぶやいた。
「だって、無いから。」
って。
他のヤツも「…マジだわ」「やばいよ、これ…」とか言い始めた。
どうしても判らなくてイライラしながら「だから、何がないんだよ!」
って聞いたんだ。
そしたら、そいつと他のヤツも一言で言い切った。
「だってこの手、生命線が無い。」
【完】
54 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 21:59:16.76 ID:gRUjOSJV0
十一本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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御闇内 ◆1.vBi/ONCQさん、第十二話をお願いします
55 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 21:59:38.05 ID:zYhUUkPX0
「レプリカ」 1/3
僕の母は、15才の時に上京し、そのまま知り合いの美容院で働くことになりました。
高度成長期に乗りかけの、まだまだ貧しい時代でした。
お客さんの中には、戦争から帰還した“Sさん”という方がいて、皆から“兵隊さん”とよばれていました。
Sさんは、お店に来る時はいつも有名な羊羹など、珍しいお土産に持って来てくれて、母が喜ぶ顔を嬉しそうに見ていたそうです。
ある時、お店の皆さんで、T山に登りにいくことになりました。母もとても楽しみにいきました。
しかし山の入り口に入る時に、目の前の光景に動けなくなったそうです。
そこには包帯をグルグル巻きにした兵士が何十人と座り込み、割れたドンブリを膝元に置いていました。
右腕のない兵士の隣にいたのは、いつもニコニコと羊羹を持って来てくれるSさんでした。
一瞬、目が合った気がしましたが、母はすぐに顔を見られないように頭を垂れてその場を離れました。
一緒に来たお店の人達は、気付いてないようにしているのもわかりました。
(兵隊さんは、どんな思いであそこに座っていただろう、と思うと胸が苦しくて仕方なくなるの。)
(肩より低く頭を垂れながら乞うたお金で、自分の食べる物も買わず高い羊羹やお団子を買って、、、私は何も知らずに私は喜んでたの。)
母は、山登りもお参りの時も涙がぽろぽろと止まらなかったそうです。
56 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:00:24.81 ID:zYhUUkPX0
2/3
それから三年後の夏、優しい兵隊さんは亡くなりました。
あのT山で見かけてから一度だけ店に来て、母に受けとってほしいものがあるのと言ったそうです。
その時に渡されたのが、人の頭部の彫り物で、学校の美術室に飾ってあるようなものでした。
母の記憶では、大きさは大人の拳くらいだったそうです。
「これは本物を真似して作ったんだよ」
Sさんは、少し笑ってそれだけしか言いませんでした。
母には、その価値はわかりませんでした。
ですが初めてもらう珍しくてきれいなものがとてもうれしくて、箪笥の上に飾って毎日やわらかい布で拭いていたそうです。
しばらくして、他の住み込みの人から
「うす暗い時に、あの頭が話してるみたいに口が動いて見える」と言われるようになりました。
母は、いたずらでそんな話が出てるんだ、くらいにしか思っていませんでした。
その朝、母はいつも通り住み込みの家を掃除していました。
そしてあの彫り物の前を拭いていたところ、突然、なんの前触れもなく「カシャン」という音を立てて、頭部が割れてしまったのです。
咄嗟に手を出した手に尖った破片が刺さり、指先から血が流れました。
母はそれを押さえることも出来ずに割れた頭部を見ていました。
「それ」は
57 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:01:51.82 ID:zYhUUkPX0
3/3
母の血が滴れた、割れた破片の中で
唇がわなわなと動いていました。「ワタシ」と言ってるようでした。
目が合いました。その瞼が震えていました。
「それ」は泣いていたのです。
母は倒れました。意識が遠のく時、耳鳴りがまるで蝉時雨に包まれているようだったと言います。
店の奥さんに揺り起こされて気が付きました。
奥さんは、「サワちゃんどうしたの?!あら怪我してるじゃないの」と驚いてハンカチで母の指を押さえながら
「兵隊さん…Sさんを覚えてる?亡くなったんですって。汽車に轢かれて…」
そして割れた置き物を拾いながら 「頭が割れてたんですって……」
あとから聞いた話では、兵隊さんは狂ったように「待ってくれ」と泣き叫びながら、誰もいない踏切の中に飛びこんでいったそうです。
母は今年の夏も、蝉時雨の鎮まりを待っています。
【完】
58 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:02:00.95 ID:gRUjOSJV0
十二本目の蝋燭が消えました・・・
御闇内 ◆1.vBi/ONCQさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第十三話をお願いします
59 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 22:02:36.51 ID:pttk6Sb50
「足跡」
(1/2)
アパートの私の部屋の横には「使われない鉄製の階段」があります。
(以下「トマソン」と書きます)
住人が2階に上がる階段は入口にあるし、何のためにそこにあるのか未だにわかりません。
最初に話しておきますが、トマソンに行くには子供か、大人なら小柄な人でも横に
歩かなければ通れないくらいの通路しかなく、中の通路からは子供でも体を小さくして
やっと通れる隙間があるだけです。
私は10年近くアパートに住んでいますが、一度もそのトマソンを上り下りする音を聞いた
事がありません。そんなトマソンだけれど、住むのに邪魔になるわけでもないし特に気
にもしていませんでした。
ある日の冬、珍しく雪が降りました。雪国生まれの私はとても懐かしくまた嬉しくも
あり、夜にかけて2pくらい積もった雪をベランダからとトマソンに積もった雪も携帯
で撮りました。
翌朝、もう溶けたかな…と雨戸を開けるとまだ積もったままなので、私は携帯片手に
雪の上を歩こう、と思いうきうきして部屋を出てトマソンを横目で見てギョッとしました。
昨日の夜には無かった足跡がトマソンの真ん中あたりの2段にだけついているのです。
60 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 22:03:50.75 ID:pttk6Sb50
(2/2)
私はとっさにベランダと出入り口に行き足跡を確認しましたが、トマソンに行く足跡は
どこにもありませんでした。
私は不気味に思いながらもその足跡を観察して、ますます驚愕しました。
足跡は下からのものも無いし、上に向かうものも無いのです。そしてつま先だけの足跡
で踵の部分が無いのです。
後で階段を確認しましたが、足が乗る奥行を測ったら26pあり、外股の踵の無い足跡を
推測すると30pもの足のサイズという事になります。
…私はこの無用の階段をもうトマソンとは呼べなくなりました。
あれから何度か雪が積もるけど、もう階段に足跡がつく事はありません。
でも、今は見えないけど、確実に誰かが毎日利用しているかもしれないのですから…。
「完」
61 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:03:54.95 ID:gRUjOSJV0
十三本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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鈴羅 ◆TCpk32es4VKmさん、第十四話をお願いします
鈴羅 ◆TCpk32es4VKm様
「よく見る夢」
1/2
夢でさ、何度も見る夢ってあるよな。
俺の場合何個か種類があるんだけど、今回はその中の一つ。
夢の中で俺は薄暗いビルの中にいる。
非常口の明かりしかないようなところで、中央に螺旋階段があって、その周りにいくつも部屋がある。
毎回、メンバーは変わるんだけど何人かの友人達と一緒にそのビルを探検してる。
ちゃんと目的があって、高校時代は部室を探すため、とかだった。
なぜかいつもビルの3階くらいから始まって、どんどん地下へ降りていく。
部室を探してたりするわけだから周りの部屋もどんどん開けていく。
部屋の中には大体幽霊がいて、皆に見えてる。
どいつもこいつも青白い顔で髪の毛を振り乱してたり恐ろしい形相で扉を開けてすぐの所にいる。
皆怯えるんだけど俺だけ妙に冷静で、なぜか幽霊たちは俺にどんどん付いていく。
地下階の始まりまで降りてくといつも着流しの着物に羽織ものはおってスーツなんかで被るような
帽子を被った小柄だけどどっしりした貫禄のある爺さんがいる。
爺さんは「おう、待ってたぞ。」なんて言って俺たちを先導していく。
ここから先はビルからどこかの神社か仏閣の中みたいな和風の建物を歩いていく。
鈴羅 ◆TCpk32es4VKm様
2/2
地下のはずなのに障子窓があって、ほんのり明るい。歩いているところは狭い廊下で人一人がやっと通れるような幅。
障子窓と、反対の壁にはちょっとした棚みたいな段差が有って、色々な材質の小さな仏像が置いてある。
水晶とかガラス、石などの普通のからガスライター用のボンベ製のまで。
さっきまで怖い雰囲気のとこにいたもんだからつい仏像に拝もうとすると前を歩く爺さんが振り返って
「拝むなよ」って冷たい声で言う。「ここのは拝むもんじゃないんだ」らしい。
さらに狭い廊下を歩くと、仏像は無くなって周り一杯におみくじの結んだのとか唐辛子みたいなガラス細工
がつるしてある場所を潜る。
潜った先には見上げても膝しか見えないような大きな仏像と、その前に赤い座布団が置いてあって俺らは一人づつ
そこの座布団に座って仏像を拝む。
爺さんはその間俺の背中をさすりながら「頑張った、頑張ったな。」って言ってくれる。
それが終わると厄払いの時なんかで入るような待合室に通されて、だいたいいつもそこで目が覚める。
この間の夢では俺はそのあとトイレに行って爺さんに「尻にまだいる」って言われて尻をゆっくりさすられたがw
さすられてる間はすっごく暖かくて、温熱マッサージみたいに気持ちがいいのと、不思議とどの場面でも怖くないのが
俺的にオカルト。
そうそう、その爺さんだけどこの間母ちゃんに夢のことを話したら古い写真を見せてくれた。
母ちゃんのほうの親戚で、俺の曾曾曾爺さんにあたる人らしい。
了
64 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:05:13.25 ID:gRUjOSJV0
十四本目の蝋燭が消えました・・・
鈴羅 ◆TCpk32es4VKmさん、ありがとうございました
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空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、第十五話をお願いします
65 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 22:08:17.37 ID:zf04GSaIO
峠の女(1/2)
友達とコンビニに行ったときの話。
有名な走り屋の集まる峠の下のコンビニで、やんちゃな連中がたくさんいた。
その中でコンビニの中で買い物をする為にレジに並んでいた。
結構人がいたので、面倒だなーなんて思っていた時に山の方から猛スピードの車がくるのが見えた。急ブレーキの音が店内まで聞こえて、皆何事かとそっちを注目した。
停まった車はDQN車。
そこから慌てるように二人の男が飛び出してきた。自動ドアが開いて、その男二人は口々になんか喚いていた。
「女が!」「幽霊だった!」
そんな事を言っていたと思う。はっきり言って動揺しすぎていて、噛み噛みだしわからん。でも顔は真っ青で。
幽霊が出ると有名な峠だし、そんなに気にしてなかったんだけど、そのうちレジで並んでた一人が「わっ!?」と声を上げた。
そのうちに店内がぎゃぎゃーと騒がしくなって、店の中の客は窓際じゃなくて奥の方へと逃げ出してた。
なんだろうと思った時に、友人に教えられてようやくわかった。
DQN車の中を覗き込んでいる女がいた。
どう考えても普通の女じゃなかった。動きが何か変。
そのうちこちらに気づいて全力で走ってきた。長い髪がぐっしょり濡れているみたいだし、服もなんだか汚い。しかも裸足。
なんだか向こうが透けて見える。
もう店内大パニック。
66 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 22:09:10.42 ID:zf04GSaIO
(2/2)
バンっ!て音がして、女は自動ドアにぶつかってそのままその場にしゃがみ込んだ。
何が起こったのか一瞬わからなかったが、悲鳴は大爆笑に変わった。
自動ドアが開かなかったから、全力でぶつかったのだから相当痛そう…。
笑ってから、落ち着いてもう一回見たときには女はいなかった。
ドアの前にも駐車場にも。
女が『人間じゃない』事に気づいて笑いもしぼんでいった。
姿が見えないだけで、まだいるかもしれない。笑った自分達を恨むかもしれないと、誰ともなく思ったんだと思う。
とりあえず会計を終えても誰も出て行かない。出入り口に近づくのも誰しない。
十分くらい経ってから、奥から店長らしき人が出てきて自動ドアの前に向かった。
「大丈夫ですよ」
って言いながら泣いていたDQN二人に塩をばらばらと投げつける。
「怖い人は言ってください、塩サービスしてます」
笑いながら言ってる店長のお言葉に甘えて、塩を撒いてもらってみんな外に出ることにした。やっぱり女の姿はなかったけど。
「これで三回目です」
とこっそり教えてくれた店長。どうやら峠を攻めるDQN車に憑いてくるんじゃないかということだった。
実は私は女を見たのはこれで二回目。
一回目は生きている人間じゃないかと本気で思ったくらいだ。
一回目の時は、車の屋根にしがみついてそのまま女は行ってしまったので正直、ドッキリ系の撮影かと思っていたんだけど。
違ったらしい。
終
67 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:09:18.57 ID:gRUjOSJV0
十五本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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キツネ ◆8yYI5eodysさん、第十六話をお願いします
キツネ ◆8yYI5eodys様
「小さなワンピース」
【小さなワンピース】1/4
私が子供の頃、近所に仲の良い幼馴染がいました。
1人は同級生のAくんで、もう1人はその2歳年上のお姉ちゃん。
家が近く家族ぐるみの付き合いもあって、ほぼ毎日のように遊んでいたもんです。
あれは小学生の夏休みのこと。
いつものように幼馴染宅の裏手の河原で目一杯遊んでいた私たちは、
突然降り出した夕立でずぶ濡れになりながら逃げるように幼馴染宅に駆け込みました。
おばさんから「あんたたち今日もね!」とお小言を頂戴し、
みんなでお風呂から上がった後、私とAくんがゲームで遊んでいた時です。
ちょいちょい、とお姉ちゃんに手招きされて私とAくんが付いて行くと、そこは見慣れたAくんとお姉ちゃんの部屋。
私とAくんが腰掛けるなり、お姉ちゃんが切り出しました。
「暑いからちょっと怖い話してあげよっか」
私たちの返事も聞かずに、お姉ちゃんはポツリ、ポツリと語り始めました。
【小さなワンピース】2/4
それは昨晩の話だそうで。
その晩は夕方の大雨のせいか蒸し暑さを増した熱帯夜で、お姉ちゃんはなかなか寝付けませんでした。
真っ暗な部屋の中で聞こえてくるのは寝ている弟のAくんの寝息と、開け放した窓の外、堤防を挟んだ川の音。
その時、お姉ちゃんは『川の音』が妙に耳に付いて、ますます意識が冴えてしまったそうです。
不意に川の音に混じって、
ずる……ぺちゃり。
と、如何とも形容しがたい音が耳に届きました。
ずる……ぺちゃり。
ずる…ぺちゃり。
ず…ぺちゃ。
音は次第に間隔が短く、次第に大きく。
まるで自分に向かって近付いている、と感じたお姉ちゃんは真夏の熱帯夜だというのに寒気を感じたといいます。
ぺちゃ…ぺちゃ…ず…ぺちゃ。
耐えきれなくなったお姉ちゃんは頭からすっぽり布団をかぶって、泥棒だったらどうしよう?早く弟を起こして逃げた方がいいんじゃないか?などと考えたそうです。
【小さなワンピース】3/4
どれほどの間そうしていたのでしょうか。
お姉ちゃんがじっと耳を澄ますと音が止んでいます。
―――そうだ、今のうちにお母さんのところに行こう。
そう考えて、恐る恐る布団の端を持ち上げた時でした。
……ぺちゃ!
布団の隙間に見えたのは小さな目。
いいえ。
眼球の無い真っ黒に窪んだ眼窩で、じっ、とお姉ちゃんを覗き込む小さな女の子の顔でした。
―――痛い。冷たい。痛い。動けない。助けて。
そんな感情が奔流のように混ざり合ったところで、お姉ちゃんの記憶が途切れたのだそうです。
翌朝、お姉ちゃんが目を覚ますと、そこは朝日が差し込む自分の部屋でした。
気持ち良さそうに寝ていた弟のAくんを蹴り起こそうとした時、ふと昨晩の記憶が蘇って何気なく窓の外に目を遣りました。
窓の下、日差しが照り返すコンクリートの上の何かが目に入ります。
お姉ちゃんが網戸を開けて拾い上げたのは、水玉模様の布切れ。
それは所々が大きく破れた、びしょ濡れの小さなワンピースでした。
【小さなワンピース】4/4
以上がその日お姉ちゃんから聞いた、じゃなくて無理やり聞かされた話でした。
お姉ちゃんが語った内容は強く印象に残っているのですが、いやはや、文章にするとなかなか再現できないものですね。
お恥ずかしい限りです。
さて、余談ではありますがこの話にはちょっとした続きがあります。
お姉ちゃんの話を聞いて2日過ぎた頃だったと思います。
家族で食卓を囲んでいた時、テレビから私が住んでいる町の名前が聞こえてきました。
普段、ご町内で交通事故や火事が起きると大事件として話題を独占するような小さな田舎町です。
しめた、明日の登校日の時友達と話すネタになる、とでも思った私はテレビに釘付けになりました。
テレビに表示されていたのは、私の家から5キロほど離れた地区の名前。
簡略化された地図の、川の真上に描かれた赤い×印。
後ろに(5)と書かれた女の子の名前。
その名前の前に書かれた『死亡』の文字。
そして……ローカルニュースのキャスターは最後に「死因は水死とみられています」と読み上げました。
後で分かったことなのですが、亡くなられたのは10キロ以上離れた川の上流の隣町の女の子で、
ちょうどあの日―――お姉ちゃんが夜中に奇妙な体験をした日に行方不明になっていたのだそうです。
川で亡くなった女の子と、私の幼馴染お姉ちゃんの体験は何か関係あったのでしょうか?
今となっては分かりませんが、ただ一つだけ。
翌日から幼馴染のお母さんのお小言に「川で遊んじゃダメだからね!」という一言が追加されたのを鮮明に覚えていることぐらいでしょうか?
【完】
72 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:12:31.44 ID:gRUjOSJV0
十六本目の蝋燭が消えました・・・
キツネ ◆8yYI5eodysさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第十七話をお願いします
73 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 22:13:08.19 ID:pttk6Sb50
「古道具」
(1/2)
とある城下町に行った時の事、城を見た帰りに土産物を見ていました。
私は古道具にとても興味があり、その時も一軒の古道具屋さんを見つけました。
そこでは道具を売っているのではなく、ご主人の先代が薬問屋で、ご主人曰く
「この店構えを残しておきたかった事と、この町を訪れる人に歴史を紹介したくて
この場所を展示場にしたんです」と。
ご主人がそうしているうちにご主人の元に明治以降の古い物が集まるようになり、
その当時の薬の看板を始め、下駄、旅の小物、秤、地図…等々、所狭しと古い
ものがたくさん展示されていました。
私はひとつひとつどんな時にどういうふうにして使うのかを聞くとご主人も細かく丁寧に
教えてくれて、私は昔の人の知恵の凄さに感心したり、ご主人とたくさんお話をして
和気あいあいと長い時間を過ごしました。
そこには薬屋の帳場もあり、薬箪笥や屏風もありました。ご主人の意向であがらせて
もらい、また細かく見ていると、ご主人が額縁に飾ってある書きものを「これは勝海舟
直筆の書です」と言うので「ええ〜、凄い!」と驚いて、また帰りがけに写真を撮って
もいいかと聞くと「どうぞ気兼ね無く」と言うので気になるものをたくさん撮り、
帳場を撮ったあと、フラッシュを点けてない事に気づき、帳場だけフラッシュを点けて
2枚撮りました。
74 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/19(金) 22:14:21.05 ID:pttk6Sb50
(2/2)
私は良い旅だったなぁ…と電車の中で撮った写真を見直しました。
するとフラッシュを点けた帳場の写真にうっすらと煙草の煙の様な白いもやが写って
いました。2秒前に同じ場所を撮った写真には写っていません。
どう見ても光の反射ではなく、被写体が動くわけは無いし、私も手元を動かしていない
のでブレた時のものでもありません。
…これは何だろう…何か変なものが写ってしまった…
私はこういう写真を初めて撮ったのですが特に怖さも感じませんでした。
もしかするとご主人と楽しそうに会話をしていたから、先代も話を聞きに来たのかな。
そう考えたらとても微笑ましく感じました。
だけどもしかすると勝海舟の霊だったら凄い事ですよこれは…とあとでちょっとだけ
思ったのはここだけの話です。
「完」
75 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:14:24.99 ID:gRUjOSJV0
十七本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、第十八話をお願いします
76 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 22:16:04.60 ID:zf04GSaIO
住職(1/3)
ある事情で、幽霊が出ると言う家に住むことになった。
本当に怖い思いもしたのだけど、その時にアル中じゃないかってくらい酒が好きな住職にお世話になった。
背中に大怪我をしたりしたけど、その時に助けてくれたのはその住職だった。
幽霊屋敷を出ることになってしばらく、私はようやく落ち着いた生活ができるようになった。
住職とは二ヶ月くらいは連絡を取らなかったと思う。
その日、どうしても幽霊屋敷にいけなくてはいけない事になっていた。
私の土地、ということになるので下見みたいなものだ。
初めてこの家に来るAさんという人と一緒で、お互い結構緊張していた。
ぼろぼろの家だし、中ではかなり怖い目にあった。
住職の話では、特に危害はないだろうって事なので中に入って見学…みたいな話だった。
Aさんも肝試しみたいだね、なんて冗談を言いながら中を見て回った。
中で傷害事件もあったし、そのままで放置されていたので変なにおいもした。
「本当に出るんですか?」
なんて聞かれて、さぁとしか答えることが出来なかった。
昼間だし、そんなに怖いことは起こらないだろうって思っていたし。
家の惨状について説明しながら、丁度二階に行こうとしていた時に、突然叫び声が聞こえた。
家に来たのはAと二人っきりなので、当然第三者の叫び声となる。
というか、前にもこんなことあったな…と、背筋が寒くなる。
Aさんも長く続いている『うおー!』見たいな叫び声に、ぞっとしてきたみたい。
どうしようかって顔を見合わせた途端、二階で何かを叩くような音と、走り回る音が聞こえ始めた。
明らかに五、六人騒ぎまくってる感じ。
部外者入れたのがまずかったか!?と、もう青ざめて座り込みそうなAさんの手を引いて外に出る。
そしたら、ぴたっと止まった。
怖くなって車の近くまで避難したけど、家はなんともない。
叫び声も聞こえないし、何も壊れた様子はなかった。
「今のなんですか!?」
「さぁ」
めちゃくちゃ慌てるAさんには申し訳ないけど、それしか言えなかった。
77 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 22:17:23.87 ID:zf04GSaIO
(2/3)
夜ならわかるけど、こんな昼間にってのが正直怖かった。また霊体験が続くのかと本気で泣きそうだった。
その時、地面が大きく揺れた。
地面だけじゃなくって、家もその後ろの林も。
――3・11の本震だった。
少し広い場所まで逃げて、その後ろで幽霊屋敷が倒壊してくのが見えた。
揺れに耐え切れなくって、二回目?の大きな揺れであっけなく倒壊した。
「運良かったですね……」
なんて弁護士さんは言ったけど、どう考えても地震前に追い出されたって感じだった。
住職いわく、私は『気に入られている』らしいので、そのおかげかもしれないけど。ともかく、家と一緒に死ぬことはなかった。
ほっとして余震もそれほど大きいのがないのを確認してから、とりあえず車で山を降りようってなった時に、携帯電話が鳴って出ると本当にタイミングよく住職から電話があった。
『大丈夫か?』
「今の地震大きかったですね。
私は大丈夫ですけど、そちらは平気ですか?」
音が悪くて、雑音が入る。
もともとそこでは携帯の電波が入りにくかったから、気にしなかった。
『絶対にその土地は手放しちゃ駄目だよ。
今は君が居るから落ち着いているから。
遠くへ引っ越すにしても、土地の名義だけは死ぬまで離しては駄目だ』
ああ、来ているの知ってたからだなー、なんて思った。
「はい、わかってます」
答えながら、隣では一生懸命家族と連絡を取ろうとするAさんの姿。
混乱しながら、車に乗り込んで帰ろうとAさんに促される。
「それじゃ一度そちらにも顔を出しますから」
『気持ちだけでいいよ。
それより気をつけて。これから色々あると思うけど、俺は君の味方だから。
ずっと守っててあげるから、安心しなさい。破戒僧だけどね』
78 :
空色 ◆p4Tyoe2BOE :2011/08/19(金) 22:18:11.13 ID:zf04GSaIO
(3/3)
酔ってんのかな?とか思いながら、そういってくれたのが嬉しかった。
「ありがとうございます。
それじゃまた」
なんていって、電話を切った。
切ってから今度は知人に電話をしようと思ったけど、電話が通じなくなってた。
山だからとかそういう問題じゃなくって。
地震の影響で、一日くらい携帯では連絡が取れなくなった。
幸いネットやメールで連絡取れる人は大丈夫だったけど。
二日後、最初に住職を紹介してくれた人から連絡があった。
地震の直後に、住職は亡くなったことを教えてもらった。
自宅が倒壊して、亡くなっているのを発見された。後で聞いたら即死だったらしい。
じゃ、昨日の電話は?と確認しても間違いなく十五時代に住職からの着信記録があった。
死んでまで心配してくれたのだろうかと思うと、本当にごめんなさいと思う。
巻き込んでしまったせいで、迷惑かけたし、凄く良くしてもらった。
お礼もしてないのに……。
そう思うと、凄くやりきれない。
家族じゃなくって、こんな他人を気にかけてくれてありがとうございました。
あれからまだ色々あるけど、ちょっと運が良かったりするのは住職のおかげかもしれないと勝手に思うことにしている。
終
79 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:18:15.41 ID:gRUjOSJV0
十八本目の蝋燭が消えました・・・
空色 ◆p4Tyoe2BOEさん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第十九話をお願いします
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
「全盲の親戚の爺さん」
小学校3年生の夏休み、母の田舎である長野に行った。
親類の家に泊まるのだけど、そこに「全盲」のお爺さんがいた。
爺さんは全盲ではあるけど何十年とそこに住んでいるので
杖さえあれば近辺の散歩などは当然軽いものだったが、
「ほれ、見ろ、そこにカエルがいる」
「屋根の上に猫がいるな」
など、「全盲」では判らないはずのものを指摘していた。
しかもそれは、夜での出来事だった。
【完】
81 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:21:40.02 ID:gRUjOSJV0
十九本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第二十話をお願いします
後日談
心霊スポットに行った次の日の事です。
友人と深夜のドライブに出かけ、山の中で車をとめて話し込んでいました。
駐車場には4本のライトがありました。
まず、私達の居た所のライトが消えました。
「なんか消えちゃったねー」
そんな事を言いながら車を回し別のライトが点いているところへ。
数分後、また私達の居た所のライトが消えました。
「何か法則性があるのかな?」
と、私達はおもしろ半分でまたライトの点いているところへ車をやりました。
しばらくして、やはり消えました。
残りはあと1本。何分おきに消えるか、これは法則性なし。
そこに行ってから何分か、これも法則性なし。
やはり好奇心が勝ちました。
最後の1本へ車を移動させました。
まさか全部は消えないだろうと思っていました。
数分後、消えました。
二人とも無言になりました。ゆっくりと車を走らせ、下に降りていきます。
夜も遅いし帰ろうと言う事になり、私の家まで送ってもらう事になりました。
あともう少しで家、と言う時。
スナックの看板が一斉に消えました。3時39分でした。
そこには、スナックが4軒ほどありますが全ての看板が一斉に消えるなんて事はあり得ません。
友人はかなり怯えてしまい、とりあえず早く帰るしかありませんでした。
家の下まで送ってもらい、家に入って明かりをつけて思った事があります。
私は家を出るとき、廊下の電気は絶対に、消さない。
【完】
名前を代理投稿のままにしてしまいました。すみません。ゆあでお願いします。
84 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 22:23:33.44 ID:gRUjOSJV0
二十本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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仏師 ◆/g.//wsKSn4Bさん、第二十一話をお願いします
仏師 ◆/g.//wsKSn4B様
人形供養
身寄りのない叔母が亡くなり、唯一の親族である私の実家で葬式を出した後に、叔母の遺品を整理していたら
古い日本人形を見つけた。古いわりには手入れをしていたらしく、痛みが見えない。
形見分けでもないが、私がその人形を貰うことになった。だが、婿養子の彼が「気味が悪い」と
いいだし渋々、離れにある土蔵に収納して四十九日が過ぎた頃。
深夜になると壁に何かを、ぶつけてる音が聞こえてくる。さすがに三日三晩続いたのに業を煮やし
彼と音のする方に行ってみた。
やはり土蔵の中からで かすかに、童謡も聞こえるではないか。。。
京都では有名な丸竹夷(まるたけえびす)といって子供が覚えやすい歌詞である。
懐かしいと思いながら、ぶつかる音は手毬だと判明したが鍵を開ける勇気もなく
翌朝に神社の方に相談し引き取ってもらうことにした。
住職曰く「叔母が生前より寂しい時に話しかけたり、遊んでいた」想いの入った人形であり。
念が強いので、護摩木で箱をつくりその中に納め、封し、御炊き上げをする。と。
当日、他の人形と共に焼かれる最中に、怪異が起きた・・・箱が動く?正確には暴れているとの
表現が正しいだろうか。ゴトゴトッ!ギギギ!ガリガリガリッ!そして弱々しい歌声で
丸竹夷を!・・・なんだか悲しくなって自然と泣いている私が「お人形さんを叔母さんへ送ります」と
ポツリと発したらその振動は収まり、わらべ歌も聞こえなくなっていった。
完
86 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:24:44.41 ID:zYhUUkPX0
二十一本目の蝋燭が消えました・・・
仏師 ◆/g.//wsKSn4Bさん、ありがとうございました
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冷夏30℃ ◆dy8RdA2.M6さん、第二十二話をお願いします・・・
87 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:33:10.72 ID:zYhUUkPX0
失礼いたしました・・・
啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん第二十二話をお願いします・・・
啓 ◆N5NMa8pQLuy1様
【彼女の声】
1/3
10年程昔の事ですが、幼なじみのお兄さんにHさんという男性を紹介されました。
ドライブへ連れて行ってもらい、お食事をしてその日はお別れ。
部屋へ入り落ち着いた頃にPHS(当時)へ着信。Hさん。
「今日はどうもありがとう!また時間作って会ってくれる?」
素敵な方だったので、もちろんOK。
幼なじみのお兄さんへすぐに電話して、報告したのですが
話を聞くと3年近く彼女もいなくて、好きな人もなかなか出来ないヤツだと。
ふーん・・・と思いながらも、ラッキー!くらいにしか思っていませんでした。
その次の日の夜12時近くに、Hさんから着信。
「残業でこの時間だよー。ごめんねこんな遅くに」
「全然大丈夫だよー、この時間ならまだ起きてたし」
などと他愛もない会話をしていたのですが、横から女性がHさんへ
「ちょっと誰と話してるの!?」
「また女?」
「いい加減にしてよ」
うわぁー、なんだかんだ彼女?らしい人いるじゃないのと落胆し
彼女いるの?とも聞けず(Hさんに悪いので)、素っ気無く電話を切りました。
それが気になったらしく、次の日もその次の日も着信がありましたが無視。
それから一ヶ月程経った頃、幼なじみから電話があり、その時の事を聞かれました。
「Hが気にしてたぞー、悪い事言ったんじゃないかって。」
「だって、Hさん彼女いるんだよね?話してる時に横から文句言っててー!」
「そうかー・・・ じゃあHに言っておくから、次に電話来たら出てやってくれ」
2/3
そのあとすぐにHさんからの着信。電話に普通に出ると、どうも様子が変で。
前に会話をした時に、どんな事を女性が言っていたのかなどを詳しく聞かれました。
一通り話したあと、こちらもなんなのだろう?と腑に落ちなかったので
なんなのですか?と少し怒り気味に聞くと、少し黙ったあと静かに言いました。
「Eちゃん、俺本当にEちゃんとだったら仲良くなれるんじゃないかと思ってた。
けど迷惑を掛けられないから、俺はもう近づかないよ」
なにかあるなとピンと来たので、良かったら教えてくれないかな?と。
「俺が好きになりそうな人が出てくると、必ず邪魔をする女がいるんだ。
前に好きになったコも、Eちゃんと同じこと言ってたよ。彼女いるんでしょう?って。
そのコは交通事故に遭ってしまったし、他のコも色々・・・」
3/3
それ以上は聞けなかったので、すぐに幼なじみへ電話。
そこで聞いたのは、Hさんが付き合っていた女性が勘違いで自殺してしまったと。
電話での声だけでも、当時はもの凄く怖かった事を覚えています。
けど、それだけじゃないんです。
それから1ヶ月も経たない頃、友人らとClubへ行った時の事。
フロアで踊っていると、こちらへ視線があるのに気付き見てみるとなんとHさん。
偶然同じClubに居たみたいで、まずいなぁーと。お互い言葉は交わさずにいたのですが
なんとなく意識をしていて、居心地が悪く。
フロアから出て、カウンターへお酒を取りに行った時。
私の頭上に、高さ数メートルあるであろう天井からライトが落ちてきました。
近くにいた従業員が庇ってくれて、私には一切怪我はありませんでしたが
その人は手に怪我をしていました。すぐにオーナーが来て、今までこんな事は無く
大変申し訳無いと謝罪してくれましたが、私は放心状態。
普通にそんな事故があったら、怪我が無く良かったで済むのですが
私には思い当たるフシがあるので、言葉も出ず。
私を追いかけて、フロアから出てきたであろうHさんがすぐ後ろに居て
振り返ったままの姿勢で、じーっと見詰め合ったまま無言。
Hさんはお友達を連れて、挨拶もせずそのClubから出て行きました。
そのHさん、今どうしているのかも幼なじみに会っても聞けずにいます。
終わり
91 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:38:50.92 ID:zYhUUkPX0
二十二本目の蝋燭が消えました・・・
啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん、ありがとうございました
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はつし ◆qIYKkyK6xEさん、第二十三話をお願いします・・・
92 :
はつし ◆qIYKkyK6xE :2011/08/19(金) 22:39:44.20 ID:QHOsZPO5O
「お墓参りごっこ」
(1/2)
小学生の頃の話。
ぼくらにとってそこらじゅうにいる昆虫は格好のオモチャだった。
とんぼの頭をちぎって飛ばしてみたり、蝶の羽をもいでずらっと並べてみたり、燃やしてみたり、水をかけてみたり…。
毎日毎日飽きもせず繰り返してた。
ぼくだけじゃなくて同じぐらいの年の仲間は皆やってたことだから、まぁ子供特有の残酷さってやつです(今はもう虫に触れる事さえできないヘタレに成長しました)。
遊んだ後の残骸は放置して自然に返してたんだけど、ある時、誰かがそれらを地面に埋めて土を盛り、更に木の棒を差してお墓に見立てたものを作った。
それから、皆がお墓を作るようになった。
手を合わせて祈ったり、お経っぽい言葉を呟いたるする奴もいて、そしてそれも誰からともなく皆が真似をした
暫くすると、神妙な顔をして『お墓参り』をする、その行為自体がだんだん面白くなってきた。
更に時がたつと、その『お墓参り』をする為だけに虫を殺すようになった。
そうする内、小さい虫じゃもの足りなくなる奴が出てきた。
お墓がでかい=すげぇ! ヒーロー! みたいな感じです。わかるかな。
虫→アマガエル→金魚→亀→蛇→鯉、みたいに、どんどん対象がでかくなっていく。
ぼくは亀あたりで怖くなって離脱した。
あの『お墓参り』がどこまでエスカレートしていったのかは知らない。
93 :
はつし ◆qIYKkyK6xE :2011/08/19(金) 22:40:50.86 ID:QHOsZPO5O
(2/2)
後日談でもないが。
今年の盆に帰省した時、久々に『墓地』に行ってみたんだ。
流石にこまごまとした虫の墓は風雨にさらされてなくなってた。
でも、直径1mはあろうかという馬鹿デカイ盛り土が3つもあったのにはちょっとビビった。
あの下には何が埋まってるんだろう。
終
94 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:42:27.94 ID:zYhUUkPX0
二十三本目の蝋燭が消えました・・・
はつし ◆qIYKkyK6xEさん、ありがとうございました
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のらはり ◆EUWlqFWJAkさん、第二十四話をお願いします・・・
95 :
のらはり ◆EUWlqFWJAk :2011/08/19(金) 22:42:59.79 ID:9IkBRKai0
(1/2)
祖父は山の上の送電線の監視を仕事としており、長年T山に登り続けていた。
そのため祖父はT山を知り尽くしていて、休日などはよく祖父を先頭に家族で山登りをしていた。
あれは自分が高校生の時のこと。
春の雪解け後に出てくるふきのとうを狙って、祖父と自分と弟は一緒にT山を登っていた。
よく言う「山のルール」はやはりここでも存在し、すれ違う人との挨拶は絶対だった。
「挨拶しても返してこないのは幽霊だ」などと祖父は半分くらい冗談交じりで話していた。
雪解けの季節とはいえ、まだ雪はあちこちに残っており、それを踏みしめてのぼってくので思ったよりきつく、
先頭の祖父は元気にひょいひょいと登っていたが、後ろの自分と弟は下を向きながらフウフウ言いながら
登っていた。
すると先頭の祖父が「こんにちはー」と挨拶したので、自分たちも「こんにちはー」と言った。
そしてすぐ異変に気づいた。
誰ともすれ違わないのだ。
下を向いていたって足くらいは見えるし、そもそも歩く音が聞こえるはずである。
しかし足など見えないし、足音も聞こえない。
「ねぇ、今誰か通ったの?」
同じことを思っていたらしい弟がそう聞いた。
「ん、何も通ってないぞ?」「え、だって今じいちゃん誰かに・・」
96 :
のらはり ◆EUWlqFWJAk :2011/08/19(金) 22:43:56.10 ID:9IkBRKai0
(2/2)
と弟が言いかけたところで、こっちに振り向いていた祖父がキッと山道の前方をにらみつけた。
遠くからクマよけの鈴の音が聞こえる。
微かにだが、複数人のものと思われる足音も聞こえる。
「道を変えよう」
そう言って祖父は笹の生い茂るあきらかな獣道へと入っていった。
「え、待ってよーじいちゃーん」
と祖父を追いかけていった弟の後に続く形になった私は一瞬だけだが、前方から来た集団が見えた。
黒い服を着た男性がなにやら大きな荷物を抱えていた。
その後、しばらくけもの道を歩いて祖父は「今年はふきのとうはやめておこう」と言って、気持ちゆっくりめに山を降りた。
次の日、地元紙を読んでいた祖父が「やっぱりな」と呟いた。
そこにはT山で行方不明になっていた大学生の遺体が雪が解け始めた谷沢で見つかったという記事だった。
「見つかったのがうれしくって、魂だけ先に下りてきてしまったんだな。
あの時はおぼえていなかったが、今はなんとなくおぼえている。
たしかに俺はあの時挨拶をしたんだ。そしたら返ってきたんだ、『ただいま』ってな。」
97 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:45:55.94 ID:zYhUUkPX0
二十四本目の蝋燭が消えました・・・
のらはり ◆EUWlqFWJAkさん、ありがとうございました
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169 ◆riBiLQMQ3Uさん、第二十五話をお願いします・・・
98 :
169 ◆riBiLQMQ3U :2011/08/19(金) 22:47:45.56 ID:XHetkJRU0
(1/4)
小さい頃、お盆にお墓参りに行ったときの話。
私は家族と一緒に手を合わせていました。
辺りは当然ずらっと並んだお墓。普通なら怖いと感じていたのでしょうが、
お盆らしく、たくさんのお供え物や花をたむけられたお墓は、カラフルで
楽しそうに見えました。
だから、変なものが見えてもあまり怖くなかったのかもしれません。
99 :
169 ◆riBiLQMQ3U :2011/08/19(金) 22:48:18.76 ID:XHetkJRU0
(2/4)
お線香をあげているときに気づいたのですが、ずっと向こうのお墓の陰から、
白い、人の頭くらいの何かがひょいっひょいっと見え隠れしているのです。
私はおもしろくなってそれをじっと見ていました。と、頭をぽんっと叩かれ
ました。
「お参りちゅうによそ見しちゃ駄目でしょ!」
100 :
169 ◆riBiLQMQ3U :2011/08/19(金) 22:48:54.89 ID:XHetkJRU0
(3/4)
母がちょっと怖い顔で私を見下ろしていました。
私は素直にごめんなさいと言って、急いでお参りをすませ、またあの白い
ものがいた辺りを見ましたが、もうそこには何も動いていませんでした。
お母さんが怒るからだ…そう思ってがっかりしているうちに、家族全員の
お参りが終わり、みんな水桶やお線香の残りを持って移動し始めました。
(4/4)
私はどうしてもあの白いものがもう一回見たくてぐずぐずしていましたが、
母にせかされ、仕方なくみんなについて歩き出しました。
かなり歩いてから、最後にもう一回!と思って振り返りました。
白い、顔のないものが、こちらに向かって手を振っていました。 【終】
102 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:54:52.45 ID:zYhUUkPX0
二十五本目の蝋燭が消えました・・・
169 ◆riBiLQMQ3Uさん、ありがとうございました
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赤目さん、第二十六話をお願いします・・・
赤目様
僕が二十歳ごろの話です。
とあるホテルだか旅館に泊まったときの話です。
ホテルに泊まると霊が出てきてという話は時々聞くと思うのですが、
そのホテルで寝ていたら金縛りにあったのです。
高校生から眠りに落ちるときに時々金縛りになることがありました。
ところが、眠った後で金縛りになったのは初めてでした。
「嫌だなー。」「まさか幽霊なんて出ないよなー。」と思いながらいたら、
胸の上あたりに重いものを感じました。
そうしたら、首を絞められるような感じがあったのです。
息が出来ない、胸の圧迫感もありかなり驚きました。
しかし体は動かないのでどうしようもありません。
しかし頭では幽霊が出たのをある程度冷静に考えていました。
そうして冷静に考えた頭ではじき出した答えは、
「この幽霊は何もしていない僕に危害を加えている。僕はホテル代も払っている。
何も不法侵入したわけではない。ということはこの幽霊は僕に悪意をもって首を絞めているんだ。
八つ当たりにしては理不尽すぎる!」
とそんなことを考え出た答えは恐怖の感情より、怒りの感情でした。
それでも首を絞められていることには変わりはない。
とりあえず首を絞めている手を払わなくてはいけない。
腕を動かそうとしても動かない。
それでも強引に腕を動かそうとしたら、自分の幽霊のような腕がぬるりと体から抜け出した!
そのまま首を絞めている腕をつかむと思いっきり掴んだ。
そのころ僕は柔道と合気道をしていたため腕力もそれなりにあったと思う。
握力に任せて幽霊の腕を逆に締め上げていく。
締め上げていくと首の圧力がどんどん軽くなっていく。
2/2
首の圧力がなくなった時に思いっきり足元に投げつけたら、
入り口と部屋を仕切っているふすまがガタガタって音を出していた。
そこで気がついたら朝でした。
昨日のことを思い出してふすまを見たら、昨日は締めて寝たはずのふすまが5センチぐらい開いていました。
合気道の先生は神道の神主もしていて、幽霊に合ったときの話や神様の話といろいろ話していたことがありました。
人間は恐怖に飲まれると人間の本来持っている力を出せなくなる。
緊張や恐怖にあったとき落ち着いて対処すれば助かることもあり、冷静になれって話ていました。
今回体験した幽霊の話はそんな先生の話があったから何事もなかったことでした。
【完】
105 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 22:58:41.80 ID:zYhUUkPX0
二十六本目の蝋燭が消えました・・・
赤目さん、ありがとうございました
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怪獣の子供 ◆dxakKNa1zMさん、第二十七話をお願いします・・・
106 :
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 22:59:27.89 ID:k+LLH6dU0
『夏の夜、こびりついてきえない、とある悪夢、わたしの悪夢、そのスケッチ』(1/1)
黄金色 開けしところ
篠笛(しのぶえ)に 鼓のさざめき
十二単の 行灯に
畳の露は きらきらと
星降る店(たな)より 甘き蜜
らむね わたがし たまごやき
紫を 透かして見える
ほどけし結いは 地獄絵図
影法師 ガマの口にて
―めんめんめくらの お嬢ちゃん 星の祝いに ひとりとは
七つの姫の やぶの宮へと ―
赤き灯(とも)りに 天邪鬼
天邪鬼
まよいさまよい お面屋の
袖の限りの 雀の銭で
買いたる面は のっぺらぼう
のっぺらぼう
鮮衣(せんえ)の花 一面に
緑にピンク 紫の紅(べに)べったりと
さけんばかりに
さけんばかりに
大空を
飲まんほどに
迷いの宮 抜けし刻には
かささぎの夜も 更けつつあらん
急ぎ安寿(あんじゅ)が 浮かべし面は
天を睨み
墨の流れに 消えゆかん
星に照る 兄様の顔
番(つがい)の別れを 恨み呪わん
天の鏡に 【終わり】
107 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:00:42.46 ID:zYhUUkPX0
二十七本目の蝋燭が消えました・・・
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zMさん、ありがとうございました
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たったかた〜さん、第二十八話をお願いします・・・
長くて読む気がしない
たったかた〜様
[入れ代り]
1/6
200x年xx月xx日(x曜日)
午後14:30
右肩にこぶみたいなのができてきた。
見ているとだんだん皮膚が盛りあがり、裂けて目玉が出てきた。
不思議な事に痛みも出血もない。
白いボールのようだが黒目があり、その周りが充血している。
午後14:40
左肩にも同じようにこぶができてきた。
やはり同じように皮膚が盛りあがり、裂けて二つ目の目玉が出てきた。
やはり痛みも出血もない。
気持ち悪いが病院に持っていくために、バケツを階下から用意してきた。
午後14:50
今度は右の肘にこぶができた。
人間の左手首の骨が出てきた。
バケツの中に放りこむ。
110 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 23:12:12.10 ID:td22gft10
あれ? もう23:00か時間が経つのが早いな。
>>41 懐かしすぎるwww
2/6
午後15:00
右膝にこぶができた。
右手首が出てきた。
やはり、痛みも出血もない。
午後15:10
左肘にこぶ。
左足首が出てきた。
午後15:20
左膝にこぶ。
右足首が出てきた。
いったいいつまで続くのだろう?
午後15:30
左わき腹から突然皮膚を破って腕が折り畳んだ状態で出てきた。
どっちの腕だろう?
午後15:39
右わき腹から腕が出てきた。
同じように折り畳んだ状態だ。
両腕が揃った。
バケツに入らないのでレジャーシートを敷き、
並べてみる。
3/6
午後15:48
右太もものつけ根から片脚が出てきた。
午後15:57
今度は左太ももから片脚が出てきた。
どっちがどっちの足だかわからないが、一応並べてみる。
自分の身体をよく見てみると、出てきたところはもうすでに
皮膚の再生が終わって、傷口さえ見えない。
人間の皮膚の再生力とはこんなに凄いものだとは思わなかった。
少し感激する。
午後16:05
首筋、ちょうどボンクボのあたりから腰のあたりにかけて、
皮膚が裂け、肋骨と脊髄が出てきた。
目玉以外は全部骨だ。
しかし、私の身体のどこにこんなものがあったのだろう?
午後16:08
あとは骨盤と頭蓋骨が出てくれば、白骨死体一体分が揃う。
臀部から骨盤が出てきた。
どうやら男性の骨のようだ。
午後16:15
みぞおちから臍にかけて皮膚が裂けてきた。
頭蓋骨が出てこようとしている。
これで一体が揃う事になる。
しかし今までとは違い、ゆっくりと出てきている。
今ようやく目のあたりだ。
鼻の部分の穴が少し見えてきた。
4/6
午後16:50
頭蓋骨が出てきた。
何故頭蓋骨はこんなに時間がかかったのだろうか?
全部の骨を組みあわせてみる。
目玉をポッカリと空いた穴の中へ入れてみる。
ちょっと怖いが、理科室の骨格模型のようになった。
午後18:00
人間が横たわっている。
人間の皮膚を背中側頭部から腰のあたりまで、ナイフで裂く。
内臓を傷つけないように慎重に切りこみを入れる。
臀部から足にかけて、裁ち鋏で切っていく。
午後19:00
ようやく、切りこみが終わった。
ゆっくりと頭部から皮を剥いでいく。
以外と時間がかかるものだ。
午後20:18
綺麗に皮が剥げた。
しかしこの人間も不思議だ。
皮を剥いだのに血が一滴も出ない。
ちょっと体脂肪が多い気がするが、よしとしよう。
ちょっと休憩をする。
午後20:35
ゆっくりと慎重に内臓を取出し、自分の身体に入れてみる。
具合は…完璧とは言えないが、まぁこんなものだろう。
コイツ、脂肪肝だ。
一度内臓を取出し、ナイフで肝臓の脂肪を削っていく。
5/6
午後21:15
再度内臓を自分の身体に入れる。
さっきより具合がいいようだ。
午後21:30
剥ぎ取った皮に右脚をゆっくり滑りこませる。
スルリと入った。
次は左足。
途中で骨が引っ掛かったが、皮を少し引っ張りながら入れた。
あとは難無く皮を着る事ができた。
当り前だ。
俺には筋肉がないのだから。
午後21:55
皮がブヨブヨして気持ち悪い。
首と手を180度回転させて、裂け目を縫っていく。
頭部は鏡を見ながら縫う。
午後22:22
全部縫い終わった。
後は筋肉をつけるだけだ。
そこに転がっている死体の筋肉を慎重に骨から剥がして行く。
午後23:00
遅いディナータイムだ。
剥がした筋肉を少しずつ頬ばる。
午後23:57
食事を終え、暫しの休息。
まだ身体がブヨブヨしている。
5/6
200x年xx月xx日(x曜日)
午前01:00
鏡で傷口の確認をしてみる。
もう塞がっている。
抜糸をする。
午前01:30
待望の入浴タイムだ。
バスタブにいっぱいのお湯を張り、身体を沈める。
皮膚が水分を吸い込むのがはっきりとわかる。
午前03:00
バスタイム終了。
濡れた髪をドライヤーで乾かす。
ようやく皮がフィットした。
午前03:15
レジャーシートに転がっている白骨を処分しなくてはいけない。
車で近所の山に行き、登山道から少し離れた茂みに穴を掘って埋めた。
目玉は取出して木の枝に突きさした。
早朝、カラスが食べに来るだろう。
午前04:00
ひと眠りする事にする。
慣れていない事をすると非常に疲れる。
6/6
午前05:00
起床。
出勤の準備をする。
階下へ降りてトーストを頬ばりながら、コーヒーで流しこむ。
午前06:00
昨夜の疲れがまだ残っているが、出勤のため家をでる。
これから、平凡な毎日が始まろうとしている。
【完】
117 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:16:37.63 ID:zYhUUkPX0
二十八本目の蝋燭が消えました・・・
たったかた〜さん、ありがとうございました
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毒衣紋 ◆5TLWX9QsC1zcさん、第二十九話をお願いします・・・
118 :
毒衣紋 ◆5TLWX9QsC1zc :2011/08/19(金) 23:18:11.21 ID:MVLToZ5A0
[世話になった]
母がまだ若いころに体験した話です。
蒸し暑いお盆の日の夜のこと。
家の外から「シャン・・シャン・・・」という鈴の音が聞こえる。
何事かと思い家の裏口から通りへと出てみると深い靄のなかに人影が見える。
それも1人2人ではない。坂の上から海のほうまで沢山の人の行列である。
とても生きているとは思えないような人たちの…
母は不思議と怖いなどという感情は抱かなかった。
すると、列の中から1人の中年の男が近づいてくるではないか。
「かぁちゃん…かぁちゃん……」
よく見ると先日亡くなった近所のおじさんである。
「かぁちゃん…世話に……なったなぁ」
それだけ言うとおじさんは再び列へと帰って行った。
生前言えなかった礼を言うためにあの世への行列から抜け出して来たのだろう。
母が気づくと布団の中で、朝になっていたそうだ。
【終】
119 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:19:31.46 ID:zYhUUkPX0
二十九本目の蝋燭が消えました・・・
毒衣紋 ◆5TLWX9QsC1zcさん、ありがとうございました
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みゅ雨 ◆ycuS0GXjHEさん、第三十話をお願いします・・・
120 :
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:21:00.27 ID:3gJX/ByM0
『ロッカーの上に・・・』1/2
これは、私が、とある大学病院の内科で看護師をしていたときのお話です。
受け持ちだった寝たきりのおばあちゃん。
少し、痴呆もあり、コミュニケーションもなかなかとれず
お話もほとんどされなかったのですが、
ある夜勤の日、巡回にいくと、
なにやらモゴモゴと話したそうにしていました。
「どうしたの?何か用があるのかな?」
「ねぇねぇ、看護婦さん、、あそこの。。」
「ん?あそこ?」
おばあちゃんが指をさしたのは、病室のロッカー。
なんの変哲もない、普通のグレーのロッカー、天井と上部と30cmくらいの隙。
121 :
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:24:48.60 ID:3gJX/ByM0
すみません、3ページまであります;;
2/3
「ロッカー?ロッカーがどうしたの?」
「あそこの上ね・・」
「あそこの上に人が寝てるけど、あれ、いいの?」
ふだん、なにを言ってるかよくわかりにくいおばあちゃんが
このとき、ハッキリとそう言いました。
勿論、そんなところに誰かいるはずもありません。
そのとき、何故だか、一瞬で全身に鳥肌がたちました。
それから、ほどなくしておばあちゃんは亡くなられました。
122 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:25:38.07 ID:zYhUUkPX0
三十本目の蝋燭が消えました・・・
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHEさん、、ありがとうございました
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砂糖次郎さん、第三十一話をお願いします・・・
砂糖次郎様
何年か前の話。当時、学生だった自分は自転車でアルバイトに通っていたんだけど、
そのアルバイト先はちょっと遠くて、30分ほど自転車を漕がないといけなかったんだ。
その日も、店を閉めて帰る時間になったのは雑談していたこともあって、深夜0時を回る時間。
といっても、帰る道は国道に面しているので、車の往来は多いし、暗い道でもない。
海にほど近いところを走るので、いくつか橋を越えないといけなかったんだけど、
その2番目の橋で、川側のほうを見ると直径2mぐらいの光る球体が見えた。
その球体は遠い場所で光っているのでなく、5mぐらい先で光っている。
これはなんだろうと思って自転車を止めてその球体を見ていたんだけど、10秒ぐらいしたら消えてなくなりました。
周りで見ている人はいなく、プラズマってこれかと思ったけど、
あれはなんだったんだろう。
【終わり】
124 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:30:40.32 ID:zYhUUkPX0
三十一本目の蝋燭が消えました・・・
砂糖次郎さん、、ありがとうございました
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宮北 ◆dJNUgCnIngさん、第三十二話をお願いします・・・
125 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/19(金) 23:31:38.36 ID:HOjuFdLa0
126 :
宮北 ◆dJNUgCnIng :2011/08/19(金) 23:33:56.87 ID:VaWY4HNP0
「最上階の物件」(1/6)
私は今年の四月に引っ越しをした。
その際、不動産屋の方と話をしていて教えてもらった話。
その不動産屋の方をAさんとする。
Aさんはとあるマンションの最上階をお客さんに紹介した。
そのお客さんは母子家庭の方で、若い母親とその息子(4歳くらい)だった。
母親は最上階で見晴らしが良いにもかかわらず、とても安いのでそこに決めると言った。
Aさんは何故この良い物件がこんなにも安いのか、気になってはいた。
しかし、母親にも尋ねられなかったので調べることもないまま
その後親子にその部屋を貸すことになった。
127 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/19(金) 23:35:16.38 ID:zYhUUkPX0
大変失礼致しました。
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHEさん3/3をお願いし致します。
128 :
宮北 ◆dJNUgCnIng :2011/08/19(金) 23:37:36.45 ID:VaWY4HNP0
(2/6)
親子が最上階の部屋に引っ越した次の日の朝、母親から電話がかかってきた。
Aさんが電話に出ると、慌てたような声で
「すみません、あの、お聞きしたいことが…」
と言う。
「どうかなさったんですか」
とAさんが尋ねると、母親は答えた。
「息子が…真っ黒なおじさんが怖いって…。私もそれ、見たんです。
この部屋で何があったんですか」
Aさんはやはり、と思ったそうだ。
129 :
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:37:51.88 ID:3gJX/ByM0
3/4
ただ、おばあちゃんに関しては、痴呆が少しあったのもあるので
そこまでだと、もしや痴呆のせいではという疑いもあったのですが、、
この話には後日談があります。
私の勤務する内科病棟はおもに、白血病などの疾患を扱う病棟だったため
若い患者さんも多かったのです。
その時期、スタッフの間で俄に噂になっていたのが、
ロッカーの話。
死期の近い患者さんは、ロッカーの上に生首がならんでいるとか
よく訴えられたのです。。。
130 :
みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:41:05.14 ID:3gJX/ByM0
4/4
しかし、痴呆もない、若い末期の患者さんです。。
その幻覚?を見た患者さんたちは、
たいてい、数日で亡くなられてしまうことが多く・・・・・・・
ロッカーの上にいた、人物?とはいったいなんだったのでしょうか。・・・・・・・
≪完≫
131 :
宮北 ◆dJNUgCnIng :2011/08/19(金) 23:42:57.47 ID:VaWY4HNP0
(3/6)
本来高い家賃のはずが、安くなっているような物件はだいたいこういった「幽霊物件」か、貸す側に何か特別な理由
(たとえばいっきに部屋が空いたから埋めたい、など)がある場合なのだとか。
Aさんは一度電話を切ってすぐ、そのマンションのオーナーに電話をかけて話を聞いた。
すると、とんでもないことが分かった。
以前、その最上階の部屋には大きな会社の社長の息子が住んでいたらしい。
しかしその男は自分で働かず、衣食住を親に頼って暮らしていた。
132 :
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 23:50:47.55 ID:k+LLH6dU0
規制らしいですね
133 :
宮北 ◇dJNUgCnIng代理:2011/08/19(金) 23:54:43.57 ID:HOjuFdLa0
規制とのことで急遽代理
(4/6)
会社もうまくいっていたので、親も特に文句は言わず甘やかしていた。
そのうち男は自分で会社を立ち上げたが、もちろんそんな自堕落な奴が会社をうまく経営できるはずがなかった。
男がつくった会社は潰れ、一緒に会社を立ち上げた仲間にも裏切られて、多額の借金を負った。
男は親に頼ったが、とうとう見放されてしまい、誰も助けてはくれなかった。
そして、お先真っ暗になった男は何を思ったのか、自分の部屋、
つまり例の最上階の部屋で、自分にガソリンをかけて焼身自殺をしたのだそうだ。
部屋には真っ黒に焦げた男が倒れて亡くなっていたという。
後も、きれいにリフォームしたがその部屋を借りた人は皆すぐ出て行ってしまうのだ、とオーナーは語った。
134 :
宮北 ◇dJNUgCnIng代理:2011/08/19(金) 23:55:24.14 ID:HOjuFdLa0
(5/6)
このことを聞いたAさんは、とりあえず親子と会って話をすることにした。
母親は疲れたような顔で何があったのか語ってくれた。
昨晩、引っ越しも無事終わり、もう遅いし片づけは明日にしようと息子と一緒に床についた。
だが、深夜になって息子がうなされる声で目が覚めた。
余りにも苦しそうなので、起こして
「どうしたの」
と尋ねるたところ、息子は怯えた様子で部屋の隅を指さして
「真っ黒なおじさんがこっちをにらんでる。怖い」
と言ったそうだ。
135 :
宮北 ◇dJNUgCnIng代理:2011/08/19(金) 23:56:05.09 ID:HOjuFdLa0
(6/6)
夢でも見たのだろうと、息子を寝かしつけて自分も眠りに落ちたが
母親もうなされてまた目が覚めてしまった。
何とはなしにさっき息子が言っていた部屋の隅に目を向けると、
真っ黒な男がそこに立っていた。
母親は慌てて電気を付け、そちらを見ないようにしながら
最低限の荷物を持って息子を連れて部屋を出たのだそうだ。
親子はその後、別の部屋を借りて住んでいるという。
Aさんはこの話をしてくれた後、あなたも気をつけて下さいよ、と言った。
皆さんも部屋を借りるときは慎重に選んだ方がいいかもしれない。
【終】
136 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 23:56:12.44 ID:gRUjOSJV0
三十二本目の蝋燭が消えました・・・
宮北 ◆dJNUgCnIngさん、みゅ雨 ◆ycuS0GXjHEさんありがとうございました
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怪獣の子供 ◆dxakKNa1zMさん、第三十三話をお願いします
137 :
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 23:56:38.04 ID:k+LLH6dU0
【変身】
わたしが小学生の頃の話、中休み、体育館、いじめられっこのAを跳び箱に閉じ込め、遊んでいたのだが。
恐怖におののき、箱の中、豚のように泣き喚く友人、はじめはそんな友人を面白がっていたのだが、
次第に彼の声も弱弱しく、風船の空気が抜けるような。
Aのことなど気にせず、狂った猿のように、箱の上にかわりばんこに座りあう、そしてわたしの番、
と思うと、突然の咆哮、まるで獣、いや、鬼、とても子供の喉から出る叫びではない、
地の底から轟くような重低音が、まるで体育館全体をふるわすように。
まわりの友人たちは蜘蛛の子よ、散って、倉庫から逃げ出す、取り残されるは箱の上のわたし、
あわてて箱から飛び降りようと箱に手をつく、そのとき、体が宙に浮く感覚、突然地面が膨れ上がり、と思うと、頭に鈍痛。
わたしは天井に頭をぶつけて、箱が崩れた。
振り返ると、顔を真っ赤に、泣きしゃぐるA。
やはりただのもやしっ子、しかし上を見上げると、天井までは十数メートルはゆうにある、
いったい全体、あの頭の痛みは幻だったというのか、確かにわたしは頭を天井に打ったのだが……。
何かぞっとするものがあって、わたしはAを見ないようにして、教室に戻る、
あの鬼の咆哮は何だったのか、確かめようにも、
一足先に教室に戻った連中は、けろりとした顔をしていた。【おわり】
138 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/19(金) 23:57:16.93 ID:gRUjOSJV0
三十三本目の蝋燭が消えました・・・
怪獣の子供 ◆dxakKNa1zMさん、ありがとうございました
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Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、第三十四話をお願いします
Yenn ◆3qDMUSp0ng様
病院
数年前、ある内科の大部屋に入院していました。
そこは4人部屋で、アタシは窓際のベッド。
隣の廊下側のベッドには、少し年上の女性が途中で入ってきました。
ある日の夜中、ベットからカーテン越しにうめき声みたいな、
小さな苦しそうな声が聞こえて、「大丈夫ですか?」と声をかけたんですが、
微妙な声しか返ってきません。
ナースコールをするか考えていると、看護婦さんが部屋に入ってきて、
すぐに隣のカーテンを開けました。
小さな話し声がしだして、これで大丈夫だろうと、その日は何事もなく、
アタシはそのまま眠りに着きました。
翌日朝、隣の女性にあいさつすると「昨日はごめんね」と。
「大丈夫でしたか?」と尋ねると、彼女がしたのはこんな体験だったそうです。
ヘッドホンを外して深夜番組を消そうと思った時、足元のカーテンが揺れた気がして、
顔だけ向けて見てみると、小さな男の子が立っていた。
少し霊感があったらしいその女性はすぐに、「生きてない」と思ったそうです。
でも、体が動かない。ナースコールに手も触れない。
なんとか気づいて助けてもらおうと、力いっぱい叫ぼうとしていた。
それが、アタシの聞いた彼女のうめき声でした。
アタシが声をかけたのは聞こえたそうですが、返事はやっぱりうめき声にしかならなかった。
看護婦さんは深夜の見回りで、たまたま声を聞いて、あわててカーテンを開けて
様子を見てくれたそうです。
看護婦さんがカーテンを開けると同時に、その男の子は消えたそうですが、
がっちり起きてた真横でそんな事が起こってるのに、全然何とも思わなかったアタシは、やっぱり霊感がないんだと思いました
【完】
140 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:07:52.30 ID:w273qgce0
三十四本目の蝋燭が消えました・・・
Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、ありがとうございました
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よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、第三十五話をお願いします
[ 追われるモノ、追い詰めるモノ ]
― 職場の爺様から聞いた話 ―
【1/3】
昔、戦争の時。
人は勿論、犬や馬も軍犬、軍馬として徴用されたという。
犬や馬は一箇所に集められ、様々な用途に借り出された。
そんな場所にある、自衛隊の基地にて。
夜な夜な、どこからともなく馬のいななく声が聞こえる。
地面を引っかくようなひづめの音、走る音も。
ある時、夜中の見回り当番に当たった時に、馬の音の怪異に出会った。
正直、ぶるった。
でも、ここでぶるったままじゃ男がすたる。
勇気を振り絞り、懐中電灯を向けると、半透明な白い馬が、
影のごとく走り抜けていった。
【2/3】
追いかけようとしたが、それよりも先に脇から飛び出す影があった。
奴だ。
俺の同室のアホ。どうしようもないアホ。九州男児。
そいつが、奇声を上げながら馬を追っかけた。ちょっと酒臭いw
「待てっ!馬刺し、待てよ、ンダラァ!」
鉄砲玉のような勢いで馬を追い詰めていく九州男児。
奴はもともと足が速かった。俺じゃ追いつけねえ。
廊下は走っちゃいけないしな、真面目に巡回やるべえ。
しばらくして、九州男児がとぼとぼと戻ってきた。
「あいつ、壁ん中消えやがった。ちょうどいいツマミになったのに…」
としょんぼりしている。
俺は、幽霊の馬まで食らおうとしている九州男児が怖いと思った。
【3/3】
が、もっと怖い体験がその後に俺を待っていた。
巡回をちゃんとやらなかったという事で、九州男児の巻き添えで
何故か俺まで外出禁止になったことだ。
普段閉じ込められたような生活をしている隊員にとって、
かけがえのない貴重な外出が禁止になる。これは本気でこたえる。
九州男児は怒った。怒って、「臭いにおいは元から絶つ!」と絶叫し、
何をどうしたか判らんが、最後まで馬を逃げられないように追い詰め、
九州男児が追い詰めた翌日から、馬の幽霊はパッタリと姿を見せなくなった。
それ以来、奴は馬刺しの男、と呼ばれるようになった。
ちなみに、アホはしばらくの間、最初に馬が消えた辺りの壁に
チューブわさびとパック醤油を立てかけて供えていたらしい。
…やっぱり人が一番怖い。
[ 完 ]
144 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:10:13.40 ID:w273qgce0
三十五本目の蝋燭が消えました・・・
よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第三十六話をお願いします
145 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:12:06.66 ID:kNyTOn2o0
「赤い服の女の子」
10年くらい前の事だけど、このスレの事知って思い出した事がある。
当時の職場(24時間営業の書店)にダイビングやってる後輩が居て、
地元の人間しか知らない釣りの好ポイントを聞いてきたって言うんだよ。
海岸線の国道から20分くらい入った広場に車を停めて、
そこから荷物持ってさらに30分は歩かなきゃならない。
でも、30cmオーバーのニザダイが入れ食いで時々グレもくる。
「先輩がいれば絶対大漁。大丈夫っスよ!オレの車4駆ですから」と言う。
平日に2人で休みを取り、その釣り場に出かけた。すごく良い天気だった。
後輩自慢の4駆を停めたら荷物持って、暑い中けもの道みたいなのをひたすら歩く。
変な寒気がするし、何だかセミの声も妙に遠くで聞こえる気がして
「熱中症?ヤバイじゃん」とか思ってたら、遠くにヒラヒラ赤いものが見える。
??何だ??って思って歩いてると、その赤いものは次第に近づいてきた。
146 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:15:24.53 ID:kNyTOn2o0
あのさ、何て言うか「これから演奏会に出ます」って感じの可愛い女の子。
多分小学校の2・3年生くらいで、真っ赤な綺麗な服来て歩いて来るんだ。
肩に大きなカバン背負って...オレ、寒いし、もう声出すのも怖くて。
その子と目あわさないように、後輩の陰にかくれるみたいに黙って歩いた。
釣り場に着いてから後輩に
「あの子、地元の子かな?赤い服、可愛かったな、ハハハ」とか言ったら
「変な冗談やめて下さいよ」って全然相手にされない。
「途中で赤い服の女の子とすれ違ったろ、見なかったのかよ?」と食い下がったら
「オレ怖がりだけど、そんな安い話にはひっかかりませんよ」と笑う。
確かに良い釣り場で、その日は大きなニザダイと良型のグレを結構釣った。
でも、どうしても赤い服の女の子が気になって
「日が暮れてからが勝負っスよ」という後輩を説得し、早めに釣りを切り上げた。
147 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:19:08.86 ID:kNyTOn2o0
荷物と魚の詰まったクーラーボックスを担いで車へ戻ったら
車を止めた広場のすぐ手前に、真っ赤な小さい靴が落ちてた。
さすがに後輩も青い顔になって、2人慌てて荷物乗せて車を走らせた。
一番近いローソンに着くまで、どっちも無言だったよ。
だって最初車停めた時、そんな靴なんか絶対落ちてなかったし。
まあ、怪談というより「変な話」かもしれないけどね。
もちろんその釣り場にはそれから一度も行ったことはない。
148 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:19:41.68 ID:w273qgce0
三十六本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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冷夏30℃ ◆dy8RdA2.M6さん、第三十七話をお願いします
冷夏30℃ ◆dy8RdA2.M6様
1/2
高校生の時分、同じクラスにオカルト好きな友人がいた。
そいつは俗に言う見える奴で、何者かに階段から突き落とされるなど、日常的に霊的な被害を受けることが多かったらしく
どこかの神社の宮司さんから頂いたらしいお守りをいつも腕や首からぶら下げていたのが印象的だった。
オカルト大好きな癖に髪の先から爪先まで全く0感だった俺は、霊感のある人間の近くにいると霊感の無い人間も感化され霊感を持つようになるという話を信じ、
二年間ほぼ毎日放課後までオカルトから好きなクラスメイトに渡り話に花を咲かせていた。
結果として俺は今現在未だに0感のままこの体質に甘んじている訳だが、
そんな俺でも一度だけ彼と一緒に不可解な体験をしたことを思い出したので回顧録の意味合いも込めここに書きこませて頂きます、前置きが長くなり申し訳ない。
2/3
高一の秋、十月頃だったと思う。放課後の人気の消え去った教室で俺と彼との二人でいつものように長々とくだらない雑談に耽っていたら、
突然に彼がコックリさんをやろうと言いだした。
正直オカルト的なことに関しては彼から積極的に僕に話を切り出してくることは殆ど無かったから
ほとほと驚いた。
この時から少し嫌な予感はしていたが、でも、
以前から何度も興じてきたものだったし、彼が珍しく俺に働きかけてきたことが気になってすぐにOKした
(ついでに夕日が教室に差し始めたことで雰囲気もなかなか良かった)。
例によって50音字や数字を書き並べた用紙の上に硬貨を置き、
お互いの指を硬貨に重ねる。
3/3
慣れた台詞を彼が唱え、通常通りならこのまま始められるコックリさんではあるが、何があったのか不意に「目を閉じて!」と彼に怒鳴られた。
彼は霊感持ちと共に、かなりの不思議ちゃんでもあったから、時々よく分からない挙動を取ったり冗談を言うことがよくあり、てっきり今回もその一環だと思ってキョトンとしていたら、「早く」と今度は消え入るような声で言われた。見れば彼も目を閉じていた。
何の気も無く目を閉じた後に気がついたが、彼が真剣に話す時はいつも小さい声でつぶやくようにボソボソと喋るのを思い出して、ひょっとして遂に心霊体験できるのかか!?と少しわくわくしていた。
その瞬間耳元で硬い金属の捻じれるような「ギギギギギギギィィィィィ〜〜〜」という音が響いた。耳元で聴こえているのに、何故か何十mも遠くまで抜けていくかのような音。
あまりに突然のことにすっかりビビり俺は椅子から転げ落ちそうになったが、何とか踏ん張り目を閉じて耐え続けた。
数十秒(実際は数秒かもしれない)程経って音が落ち付きホッとした頃、今度は貧血で倒れこむ時のように意識が途絶えるかのような感覚に突然襲われた。何かが起こっているのは確実で耐え難い恐怖に襲われる。
本当に意識を失いそうだったし限界だった俺は思わず目を開けた、目の前の彼も同じくして目を開けたようだった。
「何か今一瞬意識飛んだり鉄みたいな音しなかった?」と聞かれ、互いに話込んでいくとどうも全く同じ体験をしたと分かった。結局、音の正体も意識のことについて聞いても彼は何故か教えてくれなかった。0感の僕にとってこれが唯一の怪異。
でも、もっと怖かったのは直後に彼が僕の人差し指をカッターで切らせ六芒星のような印が書かれた紙に指を付かせたことだが、高三のクラス替えと同時に袂を分かった現在彼が僕に何をさせたかったのは未だに分からないままでいる。
【了】
152 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:22:01.88 ID:w273qgce0
三十七本目の蝋燭が消えました・・・
冷夏30℃ ◆dy8RdA2.M6さん、ありがとうございました
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キツネ ◆8yYI5eodysさん、第三十八話をお願いします
キツネ ◆8yYI5eodys様
体育館の絵」
【体育館の絵】1/5
あれはまだ小学生だった頃。
当時子供たちの間では学校の怪談がブームで、片田舎の学校の私らも友達とコックリさんを試したり、学校の怖い噂で盛り上がったものでした。
そんな私たちの学校にもお馴染みのトイレの花子さんや目が光るベートーベンの肖像画に混じって、とある怖い噂がありました。
―――体育館の絵。
それは体育館の壁に掛けられた高さ2mほどの大きさで、
真ん中に赤ん坊を抱いた母親、その両脇に男の子と女の子がそれぞれ木の椅子に座っている構図の西洋画でした。
話によると郷土出身の画家が学校に寄贈した物とか。
それで肝心の噂と言いますのが、
やれ絵の中の母親の首が少しずつ長くなっているだの、
絵の中の少年が膝元で組んだ手にバレーボールが当たって以来、手の組み方がバレーのアンダーの形になっただの、
夜中、体育館からボールの跳ねる音や走り回る音が聞こえてくるだの……
どうです?いかにも小学生が考えたような怪談話でしょう?
そんな私たちのクラスには好奇心旺盛というか、物好きというか。
その体育館の絵について調べた子がいたんですよね。
きっと、噂の真相を確かめて目立ってやろう、とでも考えたのでしょう。
【体育館の絵】2/5
あれは梅雨に入った頃だったと記憶しています。
雨で昼休みに外で遊べなかった私たちは、何人かで定規飛ばしをして遊んでいました。
知ってます?ペンで机の上の定規を飛ばして、相手の定規を弾き飛ばして机から落とすと勝ちって遊び。
当時最強の30cm定規使いだったAくんを倒そうと奮闘していた時、教室の一角にクラスメイトが何人か集まって騒いでいました。
そこは例の絵について調べていた子……Bくんの席。
回転した30cm定規に巻き込まれて負けた私がその輪の中に首を突っ込んでみると、Bくんの机には開いたアルバムが置かれています。
白黒の子供たちが写った、いかにも古ぼけた卒業アルバムの写真。
どうしたの?と尋ねると、Bくんはちょっと強張った顔で1枚の集合写真を指差しました。
いまいち要領を得ない私が首を傾げていると、絵だの、首だの、手だの、周囲のクラスメイトが口々に騒いでいます。
ああ、なるほど!
その集合写真の背景は見覚えのある体育館で、Bくんが指差した先には噂の体育館の絵がバッチリ写っていたんです。
ですが、何かおかしい。
この気持ち悪い感じはなんだろう?
私はハッとしました。
白黒写真の中の体育館の絵。
母親の首は私が知っているものより明らかに短く、
少年の手は両手の指を交互に組んだ形で……バレーのアンダーじゃなかったんですよね。
【体育館の絵】3/5
小さな学校の噂って、駆け回るのが速い速い。
次の日には休み時間に学年を問わず別のクラスの子供が押し掛けるわ、アルバムを体育館に持って行って見比べると明らかに違うわで大騒動。
挙句、数日後に体育館の絵は先生たちによって職員室に移される事態にまでなりました。
絵が職員室へ移された翌日のことです。
クラスの美化委員だった私は朝早く学校に来て、クラスの花壇に水をやっていました。
ふと、遠くから響く救急車のサイレンの音。
それが段々と近付いてきて、花壇の近くの裏門から学校に入って来たではありませんか。
慌ててジョウロを捨てて追いかけるとそこは先生方の下足場の近くで、他のクラスの美化委員もちらほら集まっています。
運ばれてきたのは担架に乗せられて目を閉じたままの、他のクラスの先生でした。
そのすぐ後に出て来て、このことは他の生徒に言わないように、と強く私たちに注意した教頭先生の焦った顔が印象的だったことを覚えています。
後で断片的に噂で聞いたのは、
その先生は例の絵が置かれた職員室で遅くまで仕事をしていたこと。
朝早く学校に来た教頭先生が職員室で倒れている先生を発見したこと。
そして……例の絵が急遽、職員室から郷土資料館に移されたこと。
その絵が資料館で保管されたまま、公開されなかったこと。
あの夜、絵が移された職員室で、一体何があったのでしょうか?
【体育館の絵】4/5
それから十数年後。
大学を卒業し地元に一時帰省した私は、小学校時代の友人たちと久々に会う機会がありました。
友人たちに連絡を取ってくれたのはあの30cm定規使い、Aくん。
立派な町役場の職員に成長したAくんは郷土資料館に勤務しており、資料館内の喫茶室に集まろうってことになりました。
少しは資料館に金を落とせ、と電話で本音がボソッと漏れたのには笑いましたね。
その日、資料館の前にぞろぞろと懐かしい顔が集まり、入館料を払って入ったところで……私は唖然としました。
そこにあったのは、あの絵。
よう、と手を挙げて館内現れたAくんが私たちの様子を見て、一言。
「ああ、これやっぱり短くなってるよな……首」
そう、母親の首は記憶にある絵より短く、ついでに少年の手がバレーのアンダーじゃなくなっていたんです。
【体育館の絵】5/5
その後喫茶室で今どんな仕事してる、誰だれが結婚した、なんて一頻り地元トークで盛り上がった後、Aくんは「あの絵を描いた人に聞いたんだけどさ」と唐突に切り出し始めました。
Aくんの話を要約すると、
あの絵を描いた画家は戦時中に出征し、その間にご家族を亡くされたのだそうです。
その後、戦地を引き上げた彼が亡くなったご家族の写真をモデルに描き上げたのがあの絵で、せめて満足に勉強したり遊べなかった子供たちのために、と小学校に寄贈されたとのことでした。
また、その画家の方は2年前に亡くなられたのだそうです。
帰り際、ふと私はAくんになんであの絵が資料館で公開されなかったのか尋ねてみました。
するとAくんは、ぽつりと。
「同僚が言うには、何度修理してもすぐボロボロになるんだよね……」
そう言って資料保管室と書かれた不自然に真新しい木製のドアを指差しました。
そして、ドアの異常は2年ほど前にパタリと起こらなくなり、気がついた時には絵が元の姿……かつてBくんが見つけた白黒写真の中の絵のような格好に戻っていたのだそうです。
まるで画家が亡くなった2年前に合わせて、とでも言うように。
今になって思います。
ひょっとするとあの絵の子供たちは体育館で無邪気に遊んでいたんじゃないかと。
母親はご主人と会えるのをずっと待っていたんじゃないか、と。
そう―――文字通り首を長くして。
【完】
158 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:25:53.82 ID:w273qgce0
三十八本目の蝋燭が消えました・・・
キツネ ◆8yYI5eodysさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第三十九話をお願いします
159 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/20(土) 00:26:33.82 ID:YQD1C8J80
【愛犬】
我が家では妹が小学生になったときに一匹の犬を飼い始めました
その犬は妹が結婚し家を出る三か月前、19歳で亡くなりました。
その翌年、妹がお盆に帰省して来た時でした
妹が居間に入ったところ 「パタン・・・」 と戸棚の上にあった愛犬の写真が倒れ
妹の足元に落ちたのです。
それはまるで、いつも妹の足元でじゃれていた愛犬の姿そのものでした・・・・・
【終わり】
160 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:26:49.70 ID:w273qgce0
三十九本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第四十話をお願いします
冷たい
冬の出来事。
私は仕事を終え、お風呂に入ってベッドに潜り寝て居ました。
寝返りを打とうと足を右側に伸ばしたら、足にあたって
その足がすぐに引っ込みました。
起こしちゃったと思って「あ、ごめん」って言おうとした時、気づいたんですよ。
私、一人暮らししてるんです。当然一人で寝てたんです。
何か、壁に当たったのを勘違いしているんじゃないかと思ってもう一度、怖いけどもう一度
さっきの場所に足をやってみたんです。
もちろん、布団以外にあたるものなんてありませんでした。
私のベッドはセミダブルベッドです。だけど私はもう、かなり前からの癖で左側ぎりぎり、
落ちるか落ちないかという場所で寝るという癖がついています。
あたった足はとても冷たかった。とっさに布団とっちゃってたのかな、あっためてあげようかな…
とまで思ってしまいましたが、無くなってくれていて、良かったです。
それから起き上がるまでに時間がかかりました。
だって、もしバラバラの手足なんかが布団のどこかから出てきたら、嫌ですから。
【完】
163 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:28:07.90 ID:w273qgce0
四十本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第四十一話をお願いします
やっべ全然漢字読めねーw
誰か振り仮名つけて
165 :
4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 00:29:01.18 ID:TPh0jBLo0
【先生に聞いた話し】
高校生の頃、担任の先生に聞いた話です。
高校のすぐ近くのK大という大学を、2〜3年前に卒業したばかりの、若い先生でした。
『学校の近くに"出る"って有名なアパートがあってなぁ。
噂は色々とあったけど、家賃がめちゃくちゃ安かったんで、全然気にしないで住んでた学生も結構いたんだよ。
ある時、先輩がそこのアパートを出るっていうんで、空き部屋に入らないか?っていう誘いがあったんだ。
当時は貧乏だったから、もう二つ返事で引っ越した。
最初の夜は、引越しの手伝いに来てくれた友達と飲んでそのまま寝ちゃったから、何も出なかった。
翌日、初めて一人で寝てたら……
出たね。
夜中にふっと目が覚めて、何気なく部屋を見渡したら、足元の方に赤い服着た女が立ってるんだよ。
わっ!と思った瞬間、金縛りに逢って動けなくなっちゃって…。
で、その女が、足元から近づいて来るんだけどさ…手をこう…首を締める時みたいな形にして、
前に突き出しながら…一歩一歩にじり寄って来るわけよ。
もう死に物狂いで動こうと思ったけど、途中で気を失っちゃってね、覚えてないんだけどね。
朝起きたら、首の周りに赤く指の跡みたいなのがついててさ…。
もう速攻その部屋出たけどね。
そのアパート?
あぁ、まだあるよ。
K大に行くやつがいたら、紹介してやるぞ?
ははは…。』 -おわり-
166 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:30:10.96 ID:w273qgce0
四十一本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、第四十二話をお願いします
りほ ◆aZ4fR7hJwM様
1/3
・一方的な雪合戦
長野でのお話。 夏の時期に申し訳ないのだが、雪庇というものをご存知だろうか?
屋根や木の枝に積もった雪が自重に耐え切らなくなったか、
もしくは何かの弾みでドサッと落ちてくるという物である。
雪と聞けばたわいもないように思えるかもしれないが、
昼の日差しで溶け、夜の寒さで固まるといった循環を繰り返したそれは
もはや雪と言うより氷塊といったものである。
それが音もなく頭上から落ちてくる。
場合によっては木の枝ごと落ちてくるのだから、なかなか恐ろしいものである。
そんな真冬の出来事を一つ。
あれは大学3年の冬。時期で言えば2009年の12月と記憶している。
春夏冬と毎回休暇になると祖父母宅に行っては釣りをしたり、
山小屋の整理、畑(土地)の手入れをしたりして過ごしているのだが、
春や夏に比べると冬は雪のせいでやれることが少なくなるし、釣りも禁猟である。
周りにはスキーや温泉だと楽しみを持つ者もいるのだが、
それらに興味の無い自分には少々退屈な時期だ。
2/3
しかし、冬でしか出来ないこともある。それは釣り場の探索だ。
夏には崖下や藪が生い茂り、釣行するのに難儀な場所でも冬の間なら
雪の上を進むことでより行動範囲を広めることも出来る。
雪上を進むのはそれなりにしんどいのだが、
普段は行かない場所で思いもしない良ポイントが発見できれば、
春からの釣りがまた一段と楽しいものになる。
そういう理由から冬の間は新たなポイントを探すべく、沢や森中を探索していた。
そんなある晴れた日、山小屋へ向かう途中にある小さな沢が目についた。
普段通り過ぎる場所であるのだが、もしかしたら奥に行けば良ポイントがあるかもしれない、
道から簡単に入れるので、もし良ければ今後のポイントの一つになるだろうという思いから探索を始めた。
車を降り森の中を歩く。耳の端に僅かに聞こえる水音を頼りに、先ず沢を目指す。
雪上を歩くにあたっては雪庇だけではなく、跳ね返りや天然の落とし穴にも注意しなければならない。
跳ね返りというのは枝に積もった雪の重さで曲がり、しなったまま雪に埋もれている木である。
重しとなって乗っている雪が無くなれば、勢い良く飛び出してくる場合があり、
あたるとちょっと痛い。 また、雪は地面ではなく藪の上に積もっている為、
気をつけなければズボッとはまる事もある。 それらに気をつけつつ、
30分ほど進み沢へ出、そこから沢沿いに上流へ10分ほど歩いた時、
ひらけた場所を見つけることができた。
さて、ここはどうだろうかと吟味している中、何かが頭に当たった。
3/3
大きさはゴルフボールくらいだろうか、感触からすると雪。
まぁー、天気も良いし、日差しで解けた雪庇だろうと思ったところにまたポンと頭に当たる。
やれやれと、雪庇が当たったであろう後頭部についた雪を払ってる内にふとおかしなことに気がついた。
雪庇というのは上から落ちてくるはずである。
何故後頭部に当たるんだ?そう考えてる間に今度は右耳付近の側頭部に当たった。
思わず飛んできた方角に目をやる。 …いや、雪庇だと思ったが、
もしかしたら跳ね返りで飛んできた雪かもしれん。
しかしそれならば他にも雪上に飛んできた跡があるはず、
なにより飛ばしたであろう木が直ぐ見つかるはずだ。
だが、周りを見渡してもその様な跡も木も無く、目に付くのは自分の足跡だけである。
必死に理由を考えている間にまた当たる。
流石にムカッときたので、足元の雪を硬く握り、
飛んできた方角へ思いっきし雪球をブン投げてやった。
その瞬間、後頭部にポンではなくゴツッという鈍い衝撃が走る。
氷だろうか、先程よりも一回り大きく、そして硬いやつが当たった。
…もう考えるのは止めだ、帰ろう。 森の中を抜ける途中にもいくつか頭に当たった。
流石に氷ではなく、最初のような雪だまであったが、反応はせずに車に戻り帰宅した。
あんな一方的では勝負にならん。あの沢にはそれ以来行ってないが、
今度はロケット花火でも持っていってやろうかと思う。
【完】
170 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:32:03.31 ID:w273qgce0
四十二本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました
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のぶえ ◆mF3J5kfOroさん、第四十三話をお願いします
部屋(1/3)
東京の大学に入って、最初の夏の話だ。
空調の利いた部屋でぬくぬくと布団をかぶり、夏虫の合唱を聞きながら過ごす夏はとても趣があることに気付いたのはこの頃。
その夜も俺は、座椅子に腰掛けて文庫本を読んでいた。中古で二十円の破格に期待など皆無だったのに、存外に夢中になってしまった。
本を閉じたとき短針は二時を回っていた。
翌日は、朝の十時から約束があることを思い出す。
少し考えてから眼鏡を外し、座椅子の背もたれをぐっと下ろすと、俺はその上に寝そべることにした。
朝にちゃんと覚醒できるように電気も空調も付けたままだ。
黄ばんだ毛布を被ると、すぐに俺は寝入った。
目が覚めた時、どれだけの時間が経っていただろうか、ここに記すことはできない。
なにしろ時計を確認することが出来なかったのだ。
俺は金縛りにあっていた。
こうなっては時間の経過を待つより他ないと、経験上知っていたものの、物のためしと俺は闇雲に身体を動かしてみた。
結果、閉じられた瞼が数ミリほどこじ開けられたような気がしないでもない。その程度の成果だった。
眼鏡を外していた上に半開きなものだから、視界はピントが合わず、余計にもどかしい感じになった。
このとき、時間を無駄にすることに耐えられなくて、九九など頭の中で唱えていた気がする。
(2/3)
仕方なく身を横たえたままにしていると、つと視界の端で何かが動いた。
最初は、何かの拍子でカーテンが翻ったのだろうといった程度の認識だった。
そんな暢気なものだから、次の瞬間に状況をより正確に理解したときの驚きは一入だった。心臓が鉛になったようだった。
動いていたのは戸だった。
玄関に続く戸が開き、そこから何者かが入ってきたのだ。
それまで、金縛りは何度も経験していた。
それを踏まえても、決して超常現象の類ではなく、身体の覚醒の不調によって説明できると信じていた。
しかし、今確かに、いるはずの無い何者かが迫っている。
恐怖で動けないでいるままの俺に、すり足で床を徐々に迫ってくるそれ。
真っ白になりそうな意識を繋ぎとめながら、俺はどうにか勇気を奮い起そうと、思いつくばかりの悪態を浮かべた。念仏が唱えられれば良かったんだが、生憎そんな高尚な語彙は持ち合わせていなかった。
そんな努力もむなしく、それは俺の足元に迫り、緩慢なしぐさで毛布に侵入を始めた。
俺は必死で即席念仏、もとい罵詈雑言を唱えようとする。
馬鹿野郎馬鹿野郎死ねハゲクソ死ねタコクソうぜえ死ねハゲクソ死ねハゲクソ死ねハゲクソ死ねクソ死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
……
……
(3/3)
死ね
つと、祈りが通じたのだろうか。
その言葉が口を打って出たと思うと、俺の腹のあたりまで来ていたそいつはすっかり消えていた。
視力も回復していき、やがてだんだんと身体が動くようになった。
その間も震える体を鼓舞するために、持ちうる限りの汚い言葉を唱え続けた。
身体がすっかり覚醒すると、俺は立ち上がった。
毛布の中には、人ひとり分の空洞がぽっかりできていた。
進入路の戸は開いていた。
貧乏症の俺が、エアコンをつけたまま戸締りを忘れるということは考えられなかった。
思えば二時間の通学時間に嫌気がさした五月、不動産屋でその部屋を斡旋されたとき疑うべきだった。
清潔なクリーム色の部屋で、家賃は諭吉五枚。中央線まで歩いて五分。
決して悪くない条件だし、実際にマンションは俺が入った部屋を除いて満杯だったのだ。
部屋を出た今でも、たまにその前を通る時、カーテンをチェックするようにしている。
今のところ、半年ともった住人はいないようだ。
了
174 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:39:26.20 ID:w273qgce0
四十三本目の蝋燭が消えました・・・
のぶえ ◆mF3J5kfOroさん、ありがとうございました
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メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第四十四話をお願いします
175 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/20(土) 00:40:28.37 ID:YQD1C8J80
【失踪事件】(1/2)
私の遠縁に当たるM氏
前々からいわゆる「見える」らしく時折「あぁ、ここ。いるよ。」なんてボソッと口にする方でした。
そんなM氏がある日の朝、いつものように会社に出社したはずが
会社から「出社してこないのですが・・・」と連絡が来たのです。
心当たりを探しましたが夜になっても見つからず捜索願を出すことになりました
翌朝、警察から「M氏の車が見つかりました」と連絡が入り現場に向かいました
家族の立会いのもと車内を確認しましたがかばんや携帯、その朝渡した弁当箱も車内に残されたままの状態でした。
176 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/20(土) 00:41:14.09 ID:YQD1C8J80
(2/2)
いったいどこへいってしまったのか・・・?
そんな時、車内の捜索を続けていた警察官がトランクルームを開けたところいきなり大声を出したのです
見ると、トランクルームの中でM氏が横たわっていたのです。
恐る恐る起してみたところ・・・M氏は突然目を開き、錯乱状態で暴れだしたのです。
警察と家族で落ち着かせとにかく病院へ搬送されていきました
何が起きたのか、なぜこんな行動をとったのか未だに不明です。
ただM氏は救急車の中で延々と「逃げないと・・」「隠れないと・・」「追いかけてくる・・・」
とつぶやき続けていたそうです・・・・・
【終わり】
177 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 00:41:40.25 ID:w273qgce0
四十四本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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みそ ◆bJiVr4F5Agさん、第四十五話をお願いします
語り部の皆様
まずタイトルの前に
第何話かをつけましょう
みそ ◆bJiVr4F5Ag様
第45話
山の寺にて
数年前のことです。
私はその昔、小学校で遠足に行った、山の中にある七不思議のあるお寺へ行くことになりました。
20数年ぶりに見るお寺は、前より寂れているようにも感じました。
しかし、思い出しながら七つ見て、懐かしいねと楽しみました。
一通り見ましたが帰るには時間も早いので、戻って買いものでもしようと言うことになりました。
と、友人が靴ひもが解けたので先に行ってと言いました。先に行くのも何なので、少し進んだ所で待つことにしたのですが。
「おい、おい」
肩の後ろではっきりと、低い男の声が聞こえました。
私(ん?呼んだ??)
友人の声ではなかったので私の事とは思えず、疑問に思いながらも無視しました。
丁度七不思議のひとつ、開かずのトイレの前でのこと。そこからつい目をそらしました。
間もなく友人もきて、男の人が居たか聞いてみたのですが、いないよとの事。
そして突然鳴きだす多くの鴉の声。
私はうすら寒くなって、友人の手を引っ張り、急いで車に乗り出ました。
帰宅後、祖父にその話をした所。
「返事しないでよかったなぁ。答えたら天狗か何かにでも連れてかれたんじゃねえかな。
知らねえ奴に呼ばれたら変事すんなって、教えといてよかったなぁ。」
霊感の無い私が体験した、唯一の不思議な体験です。(完)
180 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 00:46:34.87 ID:BV43BcX/0
四十四本目の蝋燭が消えました・・・
みそ ◆bJiVr4F5Agさんさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShE、第四十六話をお願いします
妄想乙w
182 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:48:44.06 ID:kNyTOn2o0
第46話「中の人」
今夜は夜釣りに良い潮なんで張り切って出かけたんだけど
時々小雨も降るし、なんか遠くで雷がピカピカするし、
早々に切り上げて帰ってきたよ。帰りに缶コーヒー買って飲んだら
思い出した話があるんだ。確か98年の冬だったと思う。
釣りに行ったとき利用する自動販売機ってあるかい?
オレの良く行く釣り場は、駐車場の出口近くにいくつか自動販売機がある。
その中に、缶じゃなくて紙コップのコーヒーが買える奴があるんだ。
寒ーい日には釣りの帰りにホットコーヒー買うのが楽しみでさ。
一杯(?)70円で他より安いのも良い。お気に入りの販売機だった訳。
ただ100円玉を入れると10円玉のお釣りがジャラジャラ出てくる。
かじかんだ指で釣り銭取ろうとすると、落としたりして鬱陶しい。
だから50円玉が無い時は、なるべく100玉を1枚と10円玉を2枚入れて
釣り銭は50円玉1枚。これが何だかスカッとして気持ちいい。
でもその日は生憎財布に10円玉が1枚しか入ってなかったんだ。
183 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:51:38.35 ID:kNyTOn2o0
しょうがないから100円玉を1枚だけ入れてホットコーヒーを買った。
砂糖入りでミルクは抜きのボタンを押す。いつも通りガタガタ音がして
コーヒー豆を挽いたあと、紙コップが出てきて抽出が始まる。
「釣り銭は10円玉3枚かー」と思ってたら、
その日はカチャッって1回だけ釣り銭の落ちる音がしたんだ。
「あれ?」って感じで釣り銭を取り出したら50円玉が1枚?
「変だな」とは思ったけど別に損した訳じゃないし、何だかラッキーだし。
そうこうしてるうちに「抽出中」のランプが消えたんで紙コップを取り出した。
そしたら...いつもより軽いんだよ、紙コップが。
紙コップの中をみたら、コーヒーが半分くらいしか入ってない。
何とも言えない妙な気持ちになったけど、。寒いし。まあ損はしてないし。
184 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 00:54:41.76 ID:kNyTOn2o0
コップを口に運んでコーヒーを飲もうとしたら、
自動販売機の裏側あたりから、ハッキリ聞こえたんだよ。
小学生くらいの女の子の、けたたましい笑い声が...
深夜と言うより朝方に近い時間だ。背中がゾーッと冷たくなって
急いで車に戻って家に帰った。気がついたら袖口がコーヒーで染みになってる。
次の日は休みだったけどさすがに釣りに行く気にはならなかった。
今考えても、あの出来事が何だったのかはわからない。
酒の勢いで友達に話すと「妄想乙」とか「電波君」とか言われるけど、
あの甲高い、女の子の笑い声を思い出すと今でもゾッとするよ。
ま、それでもその釣り場には時々出かける。もうコーヒーは買わないけどね。
うまくいけば指4本〜5本クラスのタチウオが4〜5本釣れるとはいえ、
つくづく業の深い人種なんだよな。釣り人は。
(お終い)
185 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 00:55:38.16 ID:BV43BcX/0
四十六本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第四十七話をお願いします
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 00:57:00.09 ID:TPh0jBLo0
第47話 【先生に聞いた話し その2】
高校の先生が大学時代に住んでいた『出る』アパートには、それを承知で安い家賃のために
住み続けている学生もいました。
先生の先輩Aさんもその一人だったそうです。
ある日、Aさんの彼女が部屋に遊びに来ました。
こたつを挟んで向い合い、彼女はベランダを背にして座り、しばらくおしゃべりをしていましたが、
ふいに彼女が背後を振り返り、また前を向いてちょっと首を傾げました。
その後もしきりに背後のベランダを気にしています。
「何?どうかした?」
「ううん…」
彼女は暫く黙り込みましたが、突然立ち上がって猛スピードでA君の傍に寄って来たそうです。
「A君の後ろの、その食器棚のガラスに人の姿が映ってたの。
ベランダに誰かいると思ってびっくりして振り返るんだけど誰もいなくて…。
見間違いかと思って前を向くとやっぱりまだガラスに映ってて…逃げようと思ったけど怖くて動けなくて…。
ようやく消えたから、急いで逃げて来たんだよ!
外に立ってたのって、ひょっとして…アレ!?」
「ああ、あれ……外じゃなくて、中だから」
それっきりその彼女には、フラれたそうです。
ちなみにAさんの部屋には、入居前からあっちこっちにお札が貼られていたそうですが、そんなものは
全く無視して、トイレだの風呂だのにしょっちゅう怪しい人影が出没していたそうです。
Aさんは
「別に何かして来るわけじゃないから放っておいても大丈夫だよ」
とまるで気にせず、結局卒業までその部屋に居たのだとか。 -おわり-
187 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 00:58:19.19 ID:BV43BcX/0
四十七本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、第四十八話をお願いします
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よもや ◆t7bs99KZl0wn :2011/08/20(土) 00:59:03.28 ID:gy7GSVb50
48話 [ おうちに帰ろう ]
― 再び、爺様から聞いた話。親友の方の体験談 ―
【1/3】
硫黄島(いおうとう)。
ここは、先の戦争にて亡くなられた方のお骨がまだ埋まっている。
ある悪天候の日、着陸しようとする機体があった。
車ですら、悪天候での運転は細心の注意を払い、気を使う。
ましてや、必要最小限の設備しかない硫黄島に、飛行機で着陸するならば
その気遣いは半端ではない。
自分の機位、姿勢、全てにおいて通常以上の注意を払わねばならない。
そんな中、ぽつり、ぽつりと灯(あかり)が見えてくる。
機位確認。最終チェック。
【2/3】
機体が滑走路に近づき、滑走路灯が見えたところで着陸。
無事に着いて、ふと先ほどの灯を見ると、コースの誘導に
ベストの位置ではあったのだが、そこには…
設置された灯は、なかった。
では、あれは…。
任務を済ませ、本土に帰る日。
積荷が計算よりも重たく感じる。操縦桿に伝わる重さが違うのだ。
感覚的に、滑走路一杯使って離陸したくなる。
飛行中も、気を使う。
だが、本土に帰ると、本当に、本当に一気に軽くなるのだ。
御霊(みたま)がきっと、愛しい家族の下へ戻っていかれたのだろう。
190 :
よもや ◆t7bs99KZl0wn :2011/08/20(土) 01:00:11.05 ID:gy7GSVb50
【3/3】
それ以来、硫黄島に飛ぶことがある日は、帰りに
「どうぞ、○○(地名)まで自分は戻ります。一緒に行かれる方はどうぞ。」
と声を掛けてから戻った。
その時は、ちょっと楽しそうな、嬉しそうなざわめきのような
雰囲気が感じられたという。
そして退官する日、「今まで有難う」「お疲れ様」という言葉を、
聞きなれた同僚の声以外からも、贈られたそうだ。
[ 完 ]
191 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:01:53.70 ID:BV43BcX/0
四十八本目の蝋燭が消えました・・・
よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、ありがとうございました
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狐火 ◆QYJXQHmfdQDCさん、第四十九話をお願いします
狐火 ◆QYJXQHmfdQDC様
「赤いクレヨン」
ある夫婦が今まで暮らしていたアパートが手狭になってきたことと、貯金が溜まったので念願だったマイホームを購入することを決めた。
新築するだけの資金はないので中古物件で妥協することにして、不動産屋に相談した。
「出物だ」という価格の割には綺麗で適当な広さの中古住宅を購入することになった。
引越しを終えて新生活を始めた二人は、あることに気がつく。掃除した後でも廊下に赤いクレヨンが落ちていることがあるのだ。
夫婦は不動産屋に「この家で何かあったのか」と聞くが、不動産屋は「そういった事件は起きていない」と答えた。
しかし、何か思うところあったのか不動産屋は夫婦の元を訪れて家を再検証することにした。何も変わったことはないように見えたが、
不動産屋は家の間取りから「存在しなければならない部屋」があることに気づく。不動産屋は夫婦に了解を取って、夫と一緒に壁を壊し、隠されていた部屋を発見する。
部屋の壁には赤いクレヨンで「オカアサンダシテ オカアサンダシテ オカアサンダシテ オカアサンダシテ……」とびっしり書かれていた。
貴方も住宅を購入した際、間取りが変わっていたら注意してください。
賃貸だとリフォームされた間取りが以前に何かあったかもしれませんよ。。。?
完
193 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:07:41.59 ID:BV43BcX/0
四十九本目の蝋燭が消えました・・・
狐火 ◆QYJXQHmfdQDCさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第五十話をお願いします
194 :
4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 01:08:04.10 ID:TPh0jBLo0
第50話 「玄関先の老婆」 【1/2】
うちの母が私を産んだばかりの年のお盆に、実家に里帰りした時の話しです。
当時の母の実家は、祖父が退職時に購入した平屋の中古物件でした。
既に母は嫁いで家を出ていたので、母がその家に泊まるのは、その日が初めてでした。
姉妹全員が集まった事もあり、祖母を含む女性達は、全員で縁側付きの部屋に集まって寝る事にし、
遅くまでおしゃべりを楽しんで、眠りについたのは日付が変わってからだったそうです。
台所に一番近いところに祖母が寝て、間に姉妹が、母は縁側に一番近い位置で寝ていました。
初めて泊まる部屋で、母はなんとなく寝つけず、何度も寝返りを打っていたそうです。
少しウトウトしかけた時、ふいに足元の襖が開く気配がしました。
母がそちらに目を向けると、開いた襖の向う…玄関のある板の間から、誰かがこちらを覗き込んで
いるのが見えました。
『おかあさん…?部屋が狭いから、一人であっちに移ったのかしら?』
覗き込んだ人影が、なんとなく年輩の女性っぽかったのと、覗き込んでいた位置が、随分下の方だったため、
祖母が板の間から寝そべったままで、襖を開けてこちらを覗き込んでいるのだと母は思いました。
195 :
4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 01:09:29.31 ID:TPh0jBLo0
【2/2】
突然その人影が、這うようにして部屋に入って来て、一番台所に近い所で寝ていた者の傍ににじり寄りました。
そちらに目を向けると、寝ていたのは祖母でした。
では、今入って来たのは…?そう思った瞬間、体が金縛りに遭ったかのように動かなくなりました。
その人影は、向こう側から順に、一人一人顔を確認するように覗き込んでは移動を繰り返し、とうとう母の
ところまでやって来ました。
人影は、老婆でした。
老婆は母の足元から少しずつ這い上がって来ます。その重さたるや、とても老婆のものとは思えず、胸が潰さ
れて息が出来ない程です。
そして老婆は母の顔を覗き込むと、ニタ〜ッといやらしい笑みを浮かべました。
…母はそこで気が遠くなり、気付いたら朝だったそうなのですが、あまりにも胸が苦しいので、念のため病院に
行って検査をしたら
『まるでもの凄い力で締め付けられたみたいに、胃が上に上がってますよ。』
と言われたそうです。
その後、祖父がその家を買う前に住んでいた人が、嫁姑の仲がたいそう悪かったのだという話しを近所の人
に聞いたそうです。
気の強いお嫁さんは、玄関先の狭い板の間にお姑さんを閉じ込め、他の部屋には絶対に入らせないようにして、
自分は縁側や勝手口から出入りをしていたそうです。
お姑さんは寒い玄関先で不自由な生活を強いられ、とうとう体を壊して亡くなってしまいました。
近所の人の話しでは、お嫁さんはうちの母にちょっと雰囲気が似た人だったそうです。
ひょっとしたら、あの時老婆はお嫁さんの顔を確認してまわっていたのかもしれません。
-おわり-
196 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:09:56.85 ID:BV43BcX/0
五十本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第五十一話をお願いします
197 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 01:12:27.25 ID:kNyTOn2o0
第51話「波間から呼ぶ声」
かなり長いです。規制が少し心配。
かなり前のことだけれど、夏休みに
高校の仲間で、ある小さな島の民宿に泊まったんだ。
夕食を食べたら民宿の近くの砂浜に出て投げ釣り。
仕掛けを入れたら火を焚いて無駄話、最初は女の話とか...
火なんか焚いてにぎやかにやってちゃ魚なんか釣れない。
そのうち自然と怖い話大会になってきた。
なぜかっていうと仲間の一人、U君がすごい怖がりで
怖い話するとマジで怖がるから面白い。
その夜もU君は、
「夜釣りは怖いけど部屋に一人でいるのはもっと怖いから」
いやいやながら一緒に砂浜に来てたらしい。
怖い話大会になってしばらくの間
U君は「よせよー。そんなの怖いじゃん。」とか茶々入れてて
みんなもそれを面白がってたんだけど
そのうち怖い話が妙に盛り上がってきて
みんないつの間にかU君の事を気にしなくなった。
198 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 01:16:57.17 ID:kNyTOn2o0
みんなで妙に盛り上がって怖い話を続ける内、変な感じがしてきた。
焚き火は勢いよく燃えてるのに、何だか妙に寒いんだよ。
時計をみたら未だ11時過ぎ、ビール沢山飲んでたけど小便したい訳でもない。
それとなくみんなの様子をうかがうと、
みんなも腕とか脚とか、さすりながら話を聞いてる。
オレだけじゃないんだって思った時に、変な声が聞こえてきたんだよ。
最初は何て言ってるのか判らなかったし、誰の声かも判らない。
話を中断してみんなで顔を見合わせたら...声の主はU君だった。
祈るように指を組んで、下向いて何かブツブツ言ってる。
みんなシーンとして聞いてると、切れ切れに「呼んでる...」とか
「あそこ...ここにも ふたり さん..に...ん」とか聞こえてくる。
まずいと思ってU君に声をかけようとしたら
それより早く漁師の息子のAがU君の肩をつかんで
「おいU、U! 聞くな!返事もするな!」って怒鳴った。
だけどU君はすっと立ち上がると真っ暗な海の方向を指さして、
「あそこか...あそこで呼んでるのか...」とつぶやきながら
勢いよく燃える焚き火を踏み越えて、海へ向かってヨロヨロ歩き出した。
一瞬呆気にとられて、ボーッとU君の後ろ姿を見てたけど
すぐにみんなU君を追いかけた。波打ち際までほんの十数歩の距離だ。
199 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 01:19:40.59 ID:kNyTOn2o0
オレ達はすぐにU君に追いついた。
最初オレが後ろからU君の腕をつかんで止めようとしたんだ。
(この頃には正直みんなビビッて声も出なくなってた)
でもU君はオレの腕を軽々と振り払った。
U君はやせててオレより背が低いのに、すごい力だった。
漁師の息子のAは野球部OBのKと二人でU君の腰に飛びついた。
U君は一度ヒザをついたが...すぐに立ち上がって
AとKの二人をひきずりながら(!)、また歩き出した。
波打ち際までもう数歩、U君の靴は濡れた砂に沈みはじめてる。
オレはどうしたらいいかわからなくなって、ふとU君の顔を見た。
...笑ってた。いま思い出しても寒気がする何とも言えない笑顔だ。
その時、オレは打ち寄せる波の音に混じって妙な音を聞いた。
女の人の悲鳴のような、男の人のうなり声のような。
それは次第に大きく聞こえてくる。
すーっと引きこまれるように音のする方に顔を向けようとしたら
額の内側で何かが弾けて耳の中で大きな声がした。
「見るな!」
あんまり大きな声で、耳がキーンとなってすごく痛い。
オレは我に返って思い切り怒鳴った。「持ち上げろ!」
AとKが暴れるU君を担ぎ上げ、みんなで民宿まで走った。
後ろから何かが追いかけてくる気がして怖くてたまらないし、
すぐ近くのはずの民宿が何故かやたらに遠い。
さる避けっス
201 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 01:26:01.85 ID:kNyTOn2o0
部屋に着いたらU君に布団をかけてみんなで押さえつけた。
しばらくするとU君はぐったりして眠ってしまったけど
オレ達は全然眠れない。並んで座ってひたすら朝を待った。
ようやく日が昇り、あたりが明るくなった。昼過ぎには宿を出発しなきゃならない。
各自荷物をまとめたけど、問題は砂浜に置いてきた釣り具とクーラーボックスだ。
よっぽどそのまま置いていこうかとも思ったが、
忘れ物だと思われたりしたら民宿のおばさん達に迷惑かけちまう。
熟睡してるU君をK達に任せて、オレとAは二人で浜辺にでかけた。
二人とも黙って焚き火の残り火を始末し、クーラーボックスの氷と水を捨てて釣り具を片づけた。
民宿への帰り道、不意にAが口を開いた。
「昨夜は助かったよ。Uを止めようとしたとき、海から変な声が聞こえてさ。」
「お前が怒鳴らなかったらオレ、どうしていいかわからなかった。」
黙っていた方が良いのか迷ったけど、オレもAに言った。
「それ、オレにも聞こえたよ。」
「海の方見ようとしたら、耳の中で見るなって声がしてそれで...」
「そうか...」って言うとAは困ったような顔でしばらく黙ったが
民宿が見えてくると「声の話、K達には黙っていような。」と言い、
オレが黙って頷くとAはオレの肩を軽く叩いて少し笑った。
202 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 01:26:50.58 ID:kNyTOn2o0
民宿へ戻って部屋へ入るとU君はもう起きていて、
荷物をまとめていたけど別に普段と変わった様子はない。
目を覚ました後、Kが「昨夜の事憶えてるか?」って聞いたら、
「オレ何時頃寝たんだろ。お前が部屋まで連れてきてくれたのか?」って言ったらしい。
どうやら怖い話大会の途中から全然憶えていないようだった。
帰りの車の中でもU君は一人元気にはしゃいでいたが、
オレ達は、眠いし話題が昨夜のことにならないように気を使うしでえらく疲れた。
家に帰ってからしばらくは部屋で一人で寝るのが怖かったし
夜中にトイレ行きたくなって目覚ましたりしたら、もう最悪だった。
でももう何年も前のことで、あの夜のこともいつのまにか忘れてた。
たまたまこのスレッドの事知ってあの出来事を思い出したんだけどね。
「お終い」
203 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:27:29.52 ID:BV43BcX/0
五十一本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、第五十二話をお願いします
第52話 [ 女性専用車両にて ]
― 職場の女性から聞いた話 ―
【1/3】
朝の都営新宿線の先頭車両は、女性専用車両になっている。
男性は、体の不自由な人とその付き添い、または小学生以下の子供とその連れしか乗れない。
通勤時間帯に女性ばかりの車両に乗り込むのは勇気が居るせいか、
子供連れで乗っている男性は外国人くらい。
その外国人はニヤケていて非常にキモイ。が。まあ置いとく。
もう一人、どうみても、体が不自由とは思えない、吊り目の65歳〜70歳位の男が乗っていた。
周りの女性は完全にスルー。しかし彼を中心にぽっかりと空間が出来ており、
その分周りは混雑していた。
そのうち、つり革の渡してある棒にぶら下がってみたり不審な動きをしだす。
女性達はそれでもスルー。
【2/2】
不自然な空気の中、いくつかの駅を過ぎていく。
不審な男はそのまま、九段下の駅で降りていった。
その男の傍に居た、二人組が囁いていた。
「…あれ、身体障害者じゃないよね?」
「九段下って、朝鮮銀行が近くにあるんだよ」
「…そういえばつり目、だったね」
「触らぬ神になんとやら。禍国の国技に巻き込まれたくなかったら、
空気を読むのも大事なんだよ」
都会って怖い、と心底思った。
[ 完 ]
206 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:30:23.11 ID:BV43BcX/0
五十二本目の蝋燭が消えました・・・
よもや ◆t7bs99KZl0wnさん、ありがとうございました
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4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、第五十三話をお願いします
207 :
4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 01:31:01.89 ID:TPh0jBLo0
第53話 「帰って来る女」 【1/2】
伯父が新婚の頃住んでいた社宅の話しです。
社宅はかなり古いものでしたが、二階建てで、夫婦二人でとりあえず住むには十分でした。
伯母は、最初の頃は、ここは何の部屋にして、あれはあそこに置いて…と楽しそうにしていましたが、
ある日気がつくと、二階の部屋が締め切られ、全く使われていない様子。
おまけに二階自体に全く上がっていないようなのでした。
理由を聞くと、部屋が広すぎるから、とか物干し台の日当りが悪いから、というような事を言うので、
伯父はそうなのか?とその時はさほど気に止めなかったそうです。
ところがだんだんと伯母の様子がおかしくなり、家中の雨戸を締め切り、窓の開閉や人の出入りにも
酷く神経質になっている様子。
妻の異変に気付いた伯父が事情を問いただすと、この家に越して来た頃から毎日のように同じ夢を
見続けているというのです。
最初は引越しの片付けの途中でうっかり二階の部屋で居眠りをしてしまった時の事でした。
208 :
4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 01:32:32.72 ID:TPh0jBLo0
【2/2】
ガラリと玄関の開く音がして、ダダダっと凄い勢いで階段を上がって来る音がし、
部屋に見知らぬ女が入って来たのです。
その女は伯母をジロリと睨みつけると、あとは物も言わず、ただじっとこちらに背を向けたまま
部屋のまん中に座っているそうなのです。
それ以来、夜となく昼となく、同じ夢を見るようになり、ついには起きている時にまで、見るように
なってしまったそうです。
気味が悪くなって、二階の部屋の戸を締め切って入れないようにしてみましたが、効果はなし。
やがて伯母は取り憑かれたように家中の雨戸を締め切り、窓を締め切り、誰も外から入れないように厳重に
戸締まりをするようになり、すっかり人が変わったようになってしまいました。
慌てた伯父は、その社宅から退居することに。
後から上司に聞いた話しでは、以前に入居していた社員の奥さんが、あの社宅に入居した頃から
精神的におかしくなり、体面を気にしたその社員が、奥さんが亡くなるまでずっと例の二階の部屋
に軟禁状態にしてしまっていた、ということでした。
伯母の夢に出て来たのはその奥さんだったのでしょうか。
あるいはその奥さんも伯母と同じように、何かの怪異に遭遇していたのでしょうか。
-おわり-
209 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:33:43.47 ID:BV43BcX/0
五十三本目の蝋燭が消えました・・・
4コ卵 ◆hcYOhjUtjgさん、ありがとうございました
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半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、第五十四話をお願いします
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk 1様
1/2
【題目】猫のお迎え
ある時、我が家の庭にきれいな三毛猫が迷いこんできました。
どうやら、おなかが大きいようでした。
当初、祖母は飼うことに反対しました。
しかし、特に猫好きであった祖父が自分の部屋で飼い始めてしまいました。
猫は赤ちゃんを数匹生みました。
親猫と、貰われての見付からなかったメスの一匹を飼うことにしました。
いざ飼い始めれば、家族皆で猫達を可愛がりましたし、猫達も良くなつきました。
親猫はあまり鳴きませんでしたが、娘の猫は事あるごとに良く鳴いたことを覚えています。
十数年が経ち、親猫が死に、それから数年後に娘の猫も死にました。
親子猫とも十分に寿命であった思います。
それからしばらく経って、祖父が亡くなりました。
祖父の遺体は、お寺での通夜までの間、家の仏壇間に安置されました。
夜、私は仏壇間の隣の部屋で蝋燭の番をしていました。
2/2
うとうとしていましたが、小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
こっそり覗いてみると、一匹の猫が祖父の枕元で座っていました。
すぐに消えてしまいましたが、体の模様が三毛であったように思います。
その後、あまり間を置かず、祖母が急病で他界しました。
祖父と同じように、遺体はしばらく家の仏壇間に安置され、夜になって私は蝋燭の番をしていました。
すると、また小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
そのときに、祖父の時にも同じことがあったことを思いだしました。
そっと、様子を見てみると、一匹の猫が祖母の枕元で座りました。。
体の模様は薄ぼんやりしていて良く見えませんでしたが、一言鳴いて消えてしまいした。
祖母は当初、猫を飼うことに反対していましたが、後年、ペットは死なれると悲しいからと言うのを思い出しました。
自分達を飼い始めたてくれた祖父と、実質的には面倒を見ていた祖母に対して、
親猫と娘の猫がそれぞれに迎えに来てくれたのだと思っています。(終わり)
212 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:38:50.70 ID:BV43BcX/0
五十四本目の蝋燭が消えました・・・
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、ありがとうございました
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啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん、第五十五話をお願いします
啓 ◆N5NMa8pQLuy1様
【後部座席】
RV車に乗っていた時の事です。
当時付き合っていた彼を助手席に乗せて、2人で深夜に映画を観に行こうとしてました。
信号で停まっていたら、偶然同じビル内で働いていた女の子達が横に並んで(車で)
窓を開けて「どこ行くの?」「彼氏さんですかぁ?」など会話をして
青信号に変わった瞬間に、私達の車の方が先に発進。
お互い「またねー」などとにこやかに手を振って別れたんだけど。
次の日。
そのコ達と「昨日は偶然だったねー!」と会話をしていたら
彼女達が笑顔で「あんなにたくさん乗っけて、どこ行ったんですかぁ?」と。
「え?彼氏と2人だったよ。」
「えー!何言ってるんですか後ろに3人?4人?乗せてましたよね?」
「え?彼氏と2人だったけど・・・」
「だって信号変わったとき、後ろに乗ってた人達も手を振ってくれましたよ」
と、普通に話されました。騙しているんだなと思ったのですが
私の顔色を見た彼女達が「ごめんなさい・・・けど、本当の話なんです。」と。
それからしばらくはいろんな人に「ちょっと、聞いたけど大丈夫?」と言われてました。
車を売却するときに、あまりの安値に驚いてわけを聞いてみると
いわゆる「にこいち」で、なんらかの理由で二つの車を一つにしたものと聞き
二度と中古車を購入することはしないと心に誓いました。
終わり
214 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:43:00.28 ID:BV43BcX/0
五十五本目の蝋燭が消えました・・・
啓 ◆N5NMa8pQLuy1さん、ありがとうございました
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鳩太 ◆CHiCKevu8gさん、第五十六話をお願いします
鳩太 ◆CHiCKevu8g様
タイトル「旅客機」
1/2
小学校4年生のときの話。
その時は、体育の時間で校庭で体操をしていた。
真夏日で、ギラギラとする太陽光が見えそうなほどだったのを覚えている。
焼け付いたグラウンドで、僕ら生徒は校舎のほうを向き、先生の動きに合わせて汗を流していた。
突然、巨大なジャンボジェット機が校庭の裏山の方から校舎を超えてすっと姿を現した。
空を覆いつくすほど大きく、飛行機の陰で暗くなったグラウンドで僕らは一斉に声をあげた。
「飛行機だ!ジャンボジェット機だ!」
「すごい!すごいよ!」
しかし。
――極端な低空飛行だった。校舎の屋上に機体を擦りそうなほどに。
こちらから操縦席や乗客室の窓ガラスがはっきりと見える。
白いボディに青いラインのある機体だった。
飛行機はその後、向こうの空へ飛んでいき、やがて見えなくなった。
僕らはその後、飛行機のことをしばしば興奮気味に話したのを覚えている。
2/2
大人になってもそのことは不思議だった。
学校の裏手は山なのであり、周りは住宅地である。あれほどの低空飛行で飛べるはずがなく、
さらにジェットエンジン付の飛行機なのである。あのような飛行は不可能なはずだ。
しかし、しっかりとこの目で見た。
青いラインの曲がり加減や、その色合いまではっきり覚えていた。
僕だけでなく、未だに何人か覚えている友人達もいたこともさらに不思議がらせた。
あの真夏日に見た飛行機は一体何だったのだろう。
ある時、その飛行機の容姿をあまりにはっきりと覚えていたため、調べたことがある。
インターネットで「旅客機」と検索し、ひたすらに旅客機の写真をクリックしていった。
――ある写真で指が止まる。
イギリスの旅客機を写した写真。
機体の細かい所までも寸分違わぬものだった。
しかし、調べたところ僕のいた小学校を通るイギリス国際便の航路は存在しない……。
そして、思い出すと飛行機が飛んでいるときには全く音がしていなかった。
ジェットエンジン付であるはずの機体は無音のまま僕らの頭上を飛んでいったのである。
だが、未だに、真夏日の焦げ付くようなグラウンドで見た音もなく飛ぶ機影はしっかりと
僕の脳内に焼き付いて離れない。
217 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:44:37.72 ID:BV43BcX/0
五十六本目の蝋燭が消えました・・・
鳩太 ◆CHiCKevu8gさん、ありがとうございました
γ
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りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、第五十七話をお願いします
【完】
219 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:47:11.55 ID:78szAUOU0
・対抗意識 【1-4】
長野でのお話。
あれは高校3年の夏。時期で言えば2006年8月だったはず。
来る夏祭り(八丁原のそば祭り)に向け、祖父と共に山小屋の整理をしていた時の話である。
夕方になり、祖父は会合と言う名の宴会へ行き、僕は近くの沢へ釣りに向かった。
真夏の当時、P8時まではギリギリ何とか目視できる時間帯であった為、それまでと考えていたが
急遽振りだした雹と雷鳴轟く夕立に合い、P7時にはヒィヒィ言いながら山小屋に撤退するハメになった。
P9時前には出来上がった祖父も戻ってきた。酒のせいか、はたまた雹を浴びたのかやけに髪の薄くなった頭が
赤くなっていたのを覚えている。
220 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:49:11.47 ID:78szAUOU0
【2-4】
P10時頃になり、布団を引き就寝。
何時頃だろうか、ふとトイレに行こうとして妙な物音に気づいた。
道路に面した窓側の方から
「ガリガリ…ガリ」といった音が聞こえてくる。
ここが町中であったらギョっとしただろうが、山の中である。
動物が居て当たり前、家の中に虫や蛇が出て当たり前なこの場所では
その様な怪音も対して気にならず、トイレを終えた後に祖父に
「なんか家引っかいてる。どうする?」と聞いたところ
「あん?、追っ払え」などと言い出す。
とりあえず鼠にしてはやけに豪快な音を出しているので、狢か鼬だろうと思い、
ドン!と窓際の壁を蹴飛ばす。静かになったので戻ろうとしたらまた「ガリガリ…」。
221 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:50:21.35 ID:78szAUOU0
【3-4】
鬱陶しいので今度はドンドンドン!と連続で蹴飛ばし、静かになったところでもう1発とした時、
いきなりドゴォォン!という車がぶつかった様な大音が壁の向こうから響いた。
あまりのことにしばし固まってしまったが、慌てて祖父に報告したところ、
「自分には聞こえなかった。もしや熊か猪かもしれんからちょいと見て来い」とほざく。
さすがに嫌だったし、それ以降音もしなくなったのでそのまま寝たが、
翌日音のした付近を見ると確かに何かが壁の下をほじくった跡があった。
しかし、熊や猪、鹿といった大型動物が引っかいたような跡ではなく、猫ほどの大きさのものがほったような感じだ。
222 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:52:16.22 ID:78szAUOU0
【4-4】
結局あの音を出したのが何であったのかは未だ解らない。
ただ、思い返せばあれだけの轟音にもかかわらず、壁や窓は一切揺れることが無かった。
本当に音だけ。
ただ、幸いにも翌年からは自分が車の免許を所得したので、
祭りの会合後も小屋に泊まることも無くなった。
しかし、また同じような怪音に遭遇したときには、負けないようにロケット花火でもぶっ放してやろうと決めた夏であった。
〜終〜
223 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:52:41.34 ID:BV43BcX/0
五十七本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました
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`ー--─'"
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、第五十八話をお願いします
224 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/20(土) 01:53:15.56 ID:YQD1C8J80
第五十八話【パチンコ店】(1/2)
隣町にあるパチンコ店、8列目の入り口から4番目のところだけが台がなく鉄板が打ち付けられています
これにはある理由があると聞いています
以前、そのパチンコ店の駐輪場で1人の男性が首吊り自殺しました
その男性が自殺する数時間前、最後に打っていた台がその8列目の入り口から4番目の台だったのです
その後、その台では不可解な現象が立て続けに起きました
225 :
メタルスライム ◆LuWpVnhAYs :2011/08/20(土) 01:53:59.28 ID:YQD1C8J80
(2/2)
機械の誤作動、故障はあたりまえ、静電気が常に帯電しているのかいつも「パチッ!」とくる
最後には打っていた人が心筋梗塞で倒れ、救急車で運ばれるしまつ。
さすがに店側も「これではイカン・・・」と定休日に御祓いをし、台を撤去
そこを鉄板で封印したそうです。
だた、今でも深夜になると付近をうろつく不思議な影が目撃されるそうです・・・・
【終わり】
226 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 01:54:35.24 ID:BV43BcX/0
五十八本目の蝋燭が消えました・・・
メタルスライム ◆LuWpVnhAYsさん、ありがとうございました
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BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、第五十九話をお願いします
BIGGOD ◆FXm8E9Lrd9Ak様
1/2
題名「死んでしまえ!」
プルルルルルル
プルルルルルル
「はい?何ですか?」
知らない番号からの電話。セールスマンの声を予想していた私は、
向こうの無邪気な声にほっとした。
『いまどこぉ?』
イタズラ電話かと思ったりもしたが、相手はまだ小さい女の子のようだ。
どうやら、家族か何かに現在地を教えてもらおうとし、番号を間違えたのだろう。
「あら、どなたかな?」
答えると、女の子は言った。
『ねぇ、いま、どこにいるのぉ?』
・・・聞こえてなかったのだろうか。
2/2
「ごめんねぇ、番号まちがってるみたい、じゃあね。」
子供への接し方が分からない私は、適当に済ませようとした。
『あたし、まこちゃん。』
受話器を切ろうとした所で、女の子は言った。
『いま、どこぉ?』
「まこちゃん・・・、まちがえてるわよ。」
『あなた、だれぇ?』
・・・。ずぅずぅしい子だと、私は少し腹を立たせ、答えた。
「うちは柴田ですよ。」
これでようやく、間違いだと気付いてくれる。
『・・・・。』
なのに、女の子は黙ったままだ。
『・・・・アッテルジャナァイ・・・・?』
急に恐ろしい声に変わったのに驚いて、私は受話器を放り投げてしまった。
『………』
受話器からは何も聞こえない。
もう相手はきってしまったのか・・・・・。
おそるおそる、受話器を耳に当てた・・・・・・
『 死 ん で し ま え ! 』
ビックリして、恐ろしくなった私は、友人の家に行こうと外へ飛び出した。
キキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!
ドカン
終わり。
229 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:02:21.64 ID:BV43BcX/0
五十九本目の蝋燭が消えました・・・
BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、ありがとうございました
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ガタロー ◆l7Mb16VB82さん、第六十話をお願いします
230 :
ガタロー ◆l7Mb16VB82 :2011/08/20(土) 02:02:52.28 ID:w+0JlsO40
【位牌堂の屋根裏】
1/2
俺の親父は電気屋やってるんだが、その親父が今から20年以上前に田舎にある菩提寺の位牌堂の
電気の配線を通す作業をやってた時の話
当時の配線工事は今と違ってかなり面倒な作業だったらしく、位牌堂の屋根裏で懐中電灯片手に
四苦八苦していたそうだ
昼過ぎに始めた作業は日もだいぶ傾き始め、親父はもう明日に回そうとか考えていたとき、
カシャ…カシャ…と位牌堂から屋根裏にかけたハシゴを上ってくる音が聞こえたそうだ
親父はてっきり和尚さんが遅くなったんで見に来たのかと思い
「暗くてなかなか仕事が進まないですよ」
と話しかけたそうだ
しかしハシゴを上った人は無言。何も返事は返ってこない
「和尚さん?」
親父は懐中電灯をハシゴをかけている屋根裏の出入り口に向けるが、
親父のいる場所からは結構距離が離れており、懐中電灯の光もあまり当たらない
しかしシルエット程度は分かる。そこに人の居る感じは無かった
231 :
ガタロー ◆l7Mb16VB82 :2011/08/20(土) 02:03:55.49 ID:w+0JlsO40
2/2
気のせいかと思うも気味が悪くなった親父は今日は終わりと道具を片付け始めた
その時。
『クフフ・・・』
子供の押し殺した笑い声が屋根裏の出入り口から聞こえてきた
親父は再び懐中電灯を向ける。やはり誰も居ない
子供のいたずらか。しかしこの寺は和尚さん夫婦だけで子供は居ない
ではこの部落の子供が寺で遊んでるのか。しかしもう時間が時間である
そんな事を頭の中で考えていたとき
『キャハハハハハハハハハハハハハ!』
バタバタバタバタバタバタ!!!!!!と屋根裏を誰かが走り回る音が
子供の笑い声と共に辺り一面に広がった
慌てて懐中電灯を音のする方に照らすが何も見えない
しかし子供は狂ったような笑い声を上げながら相変わらず走り回っている
親父は努めて冷静に道具を片付け、走り回る見えない子供の笑い声をヨソに
屋根裏の出入り口に辿り着き、ハシゴに手をかけた
『バイバイ』
ハシゴを降りる時にそんな声がすぐ真正面から聞こえたそうだ。
そして親父は離れにいた和尚さんに今あった話をした
「ここはお寺ですからね。何でもいますよ」
和尚さんはそれ以上はあまり語らなかったらしい。
翌日、親父は和尚さんをハシゴの下に留め置いて配線作業を終わらせたそうな。
【終】
232 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:04:39.55 ID:BV43BcX/0
六十本目の蝋燭が消えました・・・
ガタロー ◆l7Mb16VB82さん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第六十一話をお願いします
233 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/20(土) 02:05:19.74 ID:8+aRKMPa0
「頬」
昔の事です。私はしょっちゅう金縛りに合っていました。
主にアパートで起こる事が多かったように思います。
部屋の隅から斜めに向かって台所に走る子供たち。
数人いるのかパタパタと駆ける足音と笑い声。
自分の足元を何度も行き来する誰か。
頭の方でカサカサうるさいビニール袋。
怖いのでお経を唱えてると突然大声で叫ばれたり……!
そんないろいろな金縛りの中で一番怖かったもの、それは…
今住んでいる部屋は8畳一間で、布団を敷くと周りには誰も座れないのです。
それなのに私の頭の上に白い着物の女の人が正座しました。
私はキタ!と思って身構えました。
すると私の顔を覗き込む様にして女の人は前にかがみ、私の顔を眺めてから、突然、
私の頬を両手であごの方からすうっ…と頭の方にさするのです。
それを何度も、何度も…
私は今までで一番声を殺し石の様になりながら「出ていけ!出ていけ!」と心の中で
叫び、気配が消えるのを待ちました。
霊に触られたのはこの時が初めてでした。
「完」
234 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:06:14.43 ID:BV43BcX/0
六十一本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、第六十二話をお願いします
Yenn ◆3qDMUSp0ng様
「ありがちな話」
深夜のファミレスからの帰り道。
まっすぐな道を、当時の彼氏の自転車の後ろに座って、ぼんやりすすでいた。
ふと顔をあげると、前を先行する自転車が見えた。
ふらふら進んでいて、進行速度は速くないから、このままの直線で追い抜くことになりそう。
よく見ると制服を着ているようで、それが警察のそれに見えた。
彼氏は飲めなくて素面だったけど、さすがに二人乗りで深夜だし、
これは彼氏とめた方がいいかなあと思った。
その直後、アタシが彼氏を止める前に、その自転車は川の手前の脇道にそれた。
フラフラしながら巡回とか大丈夫か?と思って、警官が曲がった道の先を覗き込んだ。
そこはせいぜい20畳ほどの大きさの墓地で、その小さな入り口以外壁に囲まれた行き止まりになっていた。
当然、そこに自転車も警官も、何もない。
アタシは何も言えず、そのまま家まで黙ったままだった。
帰って少し落ち着いて、彼氏に「あの警官、なんだったんだろうね?」と話しかけた。
理屈のつく説明がほしかったし、笑って済ませるならそれで気味悪さを吹き飛ばしたかった。
アタシはその選択を後悔した。
彼には前を行く自転車なんて見えてなかった。
【完】
236 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:09:12.73 ID:BV43BcX/0
六十二本目の蝋燭が消えました・・・
Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第六十三話をお願いします
237 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:14:47.69 ID:kNyTOn2o0
第63話「大きなヤドカリ」
ある日、夜釣りに出かけた。よっぽど条件が良かったのか
その日はひっきりなしにアタリがあったんだ。それこそひっきりなしに。
良型のコトヒキやホシミゾイサキ、それにゴマフエダイ。
小さなクーラーボックスに釣れた魚をどんどん入れる。
いつもの近場で、まさかそんなに釣れると思ってなかったから、
持参した餌「半ボイルオキアミ」の残りが少なくなってきた。
夜遅くなるにつれ、釣れる魚のサイズは大きくなってきてたから、
餌不足で釣りを止めるのも悔しい。他の餌はないかと考えた。
そしたら、波打ち際から少し離れた草むら近くに
オカヤドカリが沢山いるのを思い出した。
オカヤドカリを貝殻から引きずり出し、腹の部分をちぎったものは
最高のエサになるって聞いたことがあったんだ。
238 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:16:56.77 ID:kNyTOn2o0
オカヤドカリを何匹か捕まえて、殻を割ってエサを確保。
それを使って3投目、60cm超のハマフエフキが釣れた。
こりゃ、オカヤドカリ追加で確保するしかないよね。
もう一度草むらに戻ってオカヤドカリを探す。
ガサガサ音がして、ヤコウガイの殻に入った大物が歩いてる!!
「よっしゃあ!」って貝殻捕まえてひっくりかえす。
大きなハサミに気をつけて中身を引きずり出そうとしたら、
貝殻からでてきたのは、ヒトの手だった...色白の細い指5本。
どうやって釣り場から家に帰ったのか憶えていない。
竿とクーラーボックスは持って帰ってきてた。
すごく、気味の悪い体験だった。
239 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:17:21.74 ID:kNyTOn2o0
「お終い」
240 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:17:47.71 ID:BV43BcX/0
六十三本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第六十四話をお願いします
ワープロ室
1/3
私が高校生の頃に体験したお話です。夏のはじまり頃だったと思います。
当時、私は演劇部に所属しており、台本の作成を一人でしていました。
兄から貰ったワープロを学校に持ち込み、あれやこれやと話を考えていました。
ワープロを使う時は、図書室へ行ったり、部室へ行ったり、
K先生のパソコン室などを使わせて貰っていました。
放課後、私は部活を抜け、台本を書きに先生のパソコン室に行きました。
その日もこっそり、先生はお茶とお菓子を用意して待っていて下さいました。
私はお茶を飲みながら台本を、先生は授業用のプリントを作っていました。
気づくと、冷房を入れているはずの部屋が少し暑くなっていました。
ドアを見るとあいています。私が来た時、しめたはずなのですが…。
閉めに行こうかと思って席を立とうとした時です。
室内からかすかに話し声が聞こえました。
「先生のところに誰か来てたんだ…集中してて気づかなかったんだな」
私はそう思い、再びワープロに向かいました。
2/3
5分くらいたったでしょうか、ふとまたドアを見ると今度はしまっていました。
作業する手をとめ、振り返り先生にたずねました。
「先生、どなたか…」
いらっしゃってたんですか?と聞く前に先生の後ろに立つ学生に気づきました。
「あ…すみません。」
私は急いで目をそらし、ワープロに向かいました。
何故なら、その学生が私の事を睨んでいたからです。
あまりにもすさまじい形相をしていたので少し声が震えていたかも知れません。
それなのに先生は私を呼びました。
私は出来るだけ関わりたくないのに…先生は私の名を何度も呼びます。
仕方なくもう一度振り返ろうと、ワープロから目をはなした時でした…。
ドアの前に、先ほどの学生が教室を背にして、
つまり、私たちに背をむけて、ドアぎりぎりのところで立っていました。
異変に気づいたのはその時でした。
何故彼女はドアをあけようとしないのだろう。
何故ドアの真ん前にたったまま、動かないのだろう。
見ちゃいけない…
そう思う気持ちとは裏腹にその彼女から目が離せないでいました。
3/3
私の視界にネクタイが映りました。顔を上げると先生がいます。
先生は冷房のきいている部屋でひたいに汗をかいていました。
そして、ゆっくりと私に尋ねました。
「おまえ…なにか…みたか?」と。
私は何も言えませんでした。先生が、否定して欲しそうな顔をしてたからです。
私が首を横にふると、先生もうなずきました。
しばしの沈黙の後、「なぁ…」
先生が先に言葉を発しました。
「さっき、俺に話しかけたよな?どうして途中でやめたんだ?」
やはり先生は気づいていなかったようです。何者かが背後にいた事に。
少し悩んでから、私は先生に打ち明けました。
声が聞こえた事、室内に他の生徒がいたような気がした事を。
「やっぱりか…」先生はつぶやくと、私に帰り支度をするように言いました。
どうやら私を家まで送ってくれるようです。
その日は珍しく、私が靴を取りにいくのにもついてきて、
靴を持たせたまま、教員用の下駄箱まで一緒に行き、
そのまま先生の車までとぼとぼと歩いて行きました。
学校からでれて安心したのか、
先生はすっかり普段の「とっつきにくそうな先生の顔」をしていました。
家の前まで送って貰い、先生にお礼を言って家に入りました。
玄関に鍵をして、自分の部屋に荷物をおいて着替えようとしていた時です。
居間から「おかえりなさい…」と声が聞こえました。
おかしいんです。家は私が中学生の時から夜は誰もいないはずなのに。
その時の私に、誰がいるのかを確認する勇気はありませんでした。
【完】
244 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:20:20.43 ID:BV43BcX/0
六十四本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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コッソリ ◆.PiLQRq.0Aさん、第六十五話をお願いします
コッソリ ◆.PiLQRq.0A様
題名:【臭い】
(1/2)
僕が小学校3年の頃、ある友人がいました。仮に、彼の名前をT君としておきます。
T君は身体を動かすことがとても好きで、彼と遊ぶ時はいつも外を走り回っていました。
ある日、秋の深まった頃、僕はT君は二人で遊んでいました。
いつもは他に何人か友達がいるのですが、その日はみんな都合があって来られなかったのです。
大勢であれば色々な遊びもできるのですが、二人となるとそう面白い遊びもできません。
最初の内は二人で雑草を棒でなぎ払ったり、そこらの土管に潜り込んだりして遊んでいましたが、やがて二人とも飽きてきました。
辺りも徐々に暗くなってきたので、今日はそろそろ帰ろうかなぁ、と思っているとT君が
「…そうだ、うちに来ない?」
そう尋ねてきました。
彼の家に誘われるのは初めてだったので、僕はワクワクしながら彼の提案を受けました。
T君に先導されて辿り着いたのは古びた団地でした。
彼の部屋まで付いて行くと、T君はズボンのポケットから鍵を取り出し
「親、いないから」
そう言って、僕を家へと招き入れました。
家に入って最初に気が付いたのは、臭いでした。
まるで何かが腐っているような、鼻につく嫌な臭い。
T君はまるで何も感じていないように、いつもと同じ様子で僕を自分の部屋へと招きました。
家中に充満する饐えた臭いに閉口しながら、僕はT君の部屋へと足を踏み入れました。
(2/2)
彼の部屋へ入った瞬間、臭いはより強く、鮮明になりました。
目に刺さるほどに強く、吐き気を催すような、そんな臭い。
アンモニアのような、肉の腐ったような、そんな臭い。
この部屋が臭いの発生源であるような、そんな感じすらしました。
僕はT君に
「ねぇ、何かこの部屋臭わない?」と思わず尋ねました。
子供だったので、遠慮も何もなかったのですが、
今にして思えば、怒られてもおかしくない失言だったと思います。
しかし、T君は全く激昂する様子もなく
「あぁ、分かるんだ」
と答えました。
まるで宝物の在り処を明かすときの様に、T君は少し笑ってから答えました。
「この部屋さぁ、ずっと昔に自殺があったんだって。それで、臭いが取れないんだよ」
クスクスと笑いながらT君は電灯の紐を引きました。
パチパチッ、という軽い音の後、室内を蛍光灯の光が照らしました。
「まぁ嘘だけど。臭いなんてしなくない?」
そんなことをT君は言っていたような気がします。
僕はその言葉をしっかり聴かずに、T君の家を飛び出していました。
蛍光灯に照らされた室内にできるT君の影。
その影の右上、天井からぶら下がる、もう一人の影が揺れていました。
それ以来、T君とは距離を置くようになり関係は次第に薄れていきました。
彼は小学校が終わる前に引っ越しましたが、彼の住んでいたあの団地は、今も街の片隅に建っています。
【了】
247 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:32:57.81 ID:kNyTOn2o0
第66話「引き上げる時は」
これはオレの体験ではなく、中学の同級生Aから聞いた話。
Aは夏休みの間、カニ漁を手伝って親父と一緒に海に出ていた。
朝4時前には港を出て、前日あちこち仕掛けたカニ網でワタリガニを捕る。
港の近くの河口に仕掛けたカニ網を上げようとしたら、
カニ網と目印の浮子を結んだロープに何かが引っかかっているのが見えた。
洋服みたいな布が見えたので、変だなと思ってロープをちょっと引っ張ったら
それはゆっくり回転してロープから外れた。
やがて白っぽい上着を着た水死体がうつぶせになってボートの側に浮いてきた。
Aが驚いて親父を呼んだら親父は水死体を見て、別に慌てた様子もなく
「よしよし、今ロープ用意するからな」とつぶやいて何やら準備を始めた。
Aはマジでびびったらしいが、どうしても水死体から目を離せなかったそうだ。
すると、水死体はゆっくり流れてボートから離れていきそうになった。
Aが思わず身を乗り出すと、それはもう一度カニ網のロープにぶつかって、
何の具合か水死体の片手が水面近くに浮いてきた。
Aが「このままじゃ流されていっちまう」と思った途端に、
何だか自分でもよくわからない切羽詰まった気分になって
ボートから手を伸ばして水死体の手をつかんでたそうだ。
248 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:33:22.18 ID:BV43BcX/0
六十五本目の蝋燭が消えました・・・
コッソリ ◆.PiLQRq.0Aさん、ありがとうございました
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次の語り部がいらっしゃるまで、今しばらくお待ちください。
249 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:34:14.26 ID:kNyTOn2o0
ぐいっと力を入れて引っ張ったら、
何とも言えないイヤな感触を残して水死体の手の皮が手袋みたいに剥けた。
Aが悲鳴を上げてその皮を海に放り投げたら
親父が「手でつかむ奴がいるか」って怒鳴って、
Aの襟首をつかみ、ボートの中に引きずり倒した。
そのあとAの親父は水死体にロープを引っかけてボートの側に引き寄せ、
何か口の中でブツブツ言いながら腰の辺りにロープを結び、港まで曳いて帰った。
港に着いたらAの親父は片足で軽く触れてから、水死体を引き上げた。
Aが後で聞いたら、
溺れて死ぬのがあんまり苦しいから、引き上げようとする者にもしがみつこうとする。
だから「これから助けるからオレには取り憑くなよ」って意味で、
まず足で触るんだ。と話してくれたそうだ。
Aはその後、近くの祈祷師の所へ連れて行かれて
念のためにって御祓いしてもらったが、運良く何も障りはなかったらしい。
「あの時の手の皮の感触と、皮の剥けた手の気味悪さは忘れられん」
Aが自分の右手を見ながら話していた様子が妙に印象に残ってる。
「お終い」
250 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:34:55.72 ID:BV43BcX/0
失礼いたしました。
釣り人 ◆sRCidpIShEさん 引き続き 第66話をお願い致します。
251 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:40:00.10 ID:BV43BcX/0
六十六本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第六十七話をお願いします
252 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 02:40:10.09 ID:vuz4Ec9S0
「母から聞いた話」
祖母が亡くなったとき、ふと気がつくと、祖母がいる部屋から
玄関の引き戸まで、全て「こぶし1つ半分」位、引き戸が開いていた。
「魂」の幅?
【完】
253 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:42:40.94 ID:BV43BcX/0
六十七本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、第六十八話をお願いします
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk 1様
【工場】
私は製造業の会社に勤めています。
会社は昭和初期に建てられた古い工場と、最近建った開発棟が併設されています。
私は開発棟にて、主に試作品を作製する仕事をしています。
とある金曜日の夜、試作品の部品が壊れてしまいました。
月曜日には完成品を使用する必要があり、部品をあらためて購入する時間はありませんでした。
仕方なく私は工場に予備の部品が無いか、探しに行きました。
金曜日の夜ということもあって、すでに工場は真っ暗で、人気もありません。
予備の部品がありそうな場所は、工場の奥まったところにある倉庫でした。
倉庫は蛍光灯が1本あるだけで、かなり薄暗い状態でした。
倉庫の中で部品を探しましたが、なかなか見付かりません。
時間だけがどんどん経ち、次第にあせってきます。このままでは徹夜どころか、上司から大目玉をくらうことは明らかです。
私は半べそ状態で、なお部品を探し続けました。
そのとき不意に肩をたたかれたような気がしました。
後ろを振り向きましたが、誰もいません。
気のせいかと思い、また部品を探そうとしたときです。
視界の端、ちょうど倉庫の中央あたりに、縦に細長い影が立っているように見えました。
その瞬間、「ゴトッ」と何か物音がしました。
私は驚いて倉庫から飛び出しました。
しかし、どう考えても部品がありそうな場所は、この倉庫しかありません。
仕方なく再度倉庫に入ると、今度は予備の部品があっさり見付かりました。
その場所は中央の棚の付近で、しかも部品は一番手前に置いてありました。
ほっとして、開発棟に戻り、なんとかその日のうちに試作品を完成することが出来ました。
今思うと、遥か昔の先輩が後輩を不憫に思って、部品の場所を教えてくれたのかも知れません。(終わり)
255 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:45:47.47 ID:BV43BcX/0
六十八本目の蝋燭が消えました・・・
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gkさん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第六十九話をお願いします
256 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 02:46:12.57 ID:vuz4Ec9S0
「同じく母から聞いた話」
おれには全く霊感は無いけど母には結構あるらしい。
祖父の墓参りに向かった母は霊園の道を登る途中、お墓の前に黙祷を
捧げている女性を見かけた。
「こんな中で、傘もささずに…って思ってちょっと目を逸らして見直
したらいなくなったの。変よねぇ…」
母自信は霊感とかの自覚はないらしい。
【完】
257 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:48:24.30 ID:BV43BcX/0
六十九本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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れららさん、第七十話をお願いします
れらら様
黒い丸 1/3
今から10年ほど前、まだ大学生だった頃に後輩のA君から聞いた話です。
神奈川県の海沿いにある某大学。その大学のサッカー部は、代々先輩が卒業すると
それまで使っていたアパートの部屋を、新入生へ引き継ぐ伝統がありました。
その部屋は2人で使う為に古い二段ベットが置かれており、その年はA君と
同じくサッカー部に入部した新入生のB君が使う事になりました。
まだ新入生という事もあり、それほど話した事もない二人は、部活を終えれば
それぞれ別に食事を取り、アパートには寝るために戻る日が続きました。
A君は二段ベットの下、B君は二段ベットの上。
2,3ヶ月が経った頃。A君が深夜に目を覚ますと、B君が机でなにやら書きものを
しているのを見つけました。日記か何かだろうと思い、その日はそのまま寝ましたが
日に日に部活で見るB君の様子がおかしくなっていったそうです。
そして深夜には机に向かい、必死な形相で、殴り書くようにペンを動かしていました。
A君はその姿を見て怖くなり、部活の先輩に相談し、先輩と一緒にB君から事情を
聞いてみる事になりました。A君は相当精神的に参っていた様子で、泣きながら
此れまでの奇行の理由を教えてくれました。
B君がアパートに越してから数週間後、アパートの外で足音が聞こえるようになったそうです。
その足音は日に日に自分たちの部屋に近づいて来ており、一ヶ月前くらいからドアの戸を
ガチャリ、ガチャリと開けようとしており、何度か恐々と姿を見に行ったことがあったそうですが
ドアスコープには誰も映っていなかったそうです。
黒い丸 2/3
日記を書き始めたのは一週間ほど前、ついに姿を見てしまったそうです。
いつものように通路を足音が近づき、ドアをガチャガチャと回し、そして部屋の中へ
ベチャ…ベチャ…と、濡れたモップを引き摺るような音が聞こえてきたそうで、ベットで布団を被り
震えながら何処かへ遠ざかるのを待っていたそうです。
しかし、その音は二段ベットの梯子へ近づき、ベチャ…ベチャ…と、梯子を上ってきたと
梯子の段数など4,5段程度なのに、その音は10分近い時間を掛けて、ベチャ…ベチャ…と
登り、ついに足音が止まったときには、明らかにベット脇に気配があったそうです。
ジッ……と、こちらを見続ける気配に耐え切れず、数分後目を開けてみてみると
真っ黒い、巨大な毛むくじゃらのモノが、ジッ…とB君を見ていたそうです。
金縛りにあったように動けなくなり、恐怖で背筋が凍ったまま目を離すこともできず
B君は心の中で知りうる限りの神様、仏様へ祈り「消えてくれ!」と祈ったそうです。
それでも黒い毛むくじゃらの怪物は消えず、にやにやと笑いながら
「そんなの効かないよ」
と、笑いながら呟いたかと思えば、段々とふくらみ、パンッ…と弾けてしまったとか
その後、飛び起きてA君を起こしに梯子を降りると、地面は水をまいたように地面が濡れており
A君は寝ぼけ眼で起こされたそうですが、気配すら気がつかず「何で地面が濡れてるの?」
とか言っていたので、それ以降相談もしなかったとか…。
日記の内容を見せて貰うと、黒いペンで紙の破れるほどの筆圧でグチャグチャと
丸が書かれており、B君もなんで書いたのか覚えていないと言っていたそうですが…
今度はその日記の黒モジャを見て、先輩が真っ青になったとか
黒い丸 3/3
なんでも、先輩が一年だった頃、理由不明の自殺をした部員がいたそうで
彼の使っていたのもこの部屋、しかも2段ベットの上だったとか…
それからB君が使うようになるまで、荷物置き場になっていたそうです。
自殺した部員と懇意だった先輩が荷物を整理にしこの部屋へ来たときに見たのが
「あいつが来る」「殺される、殺される」
と書かれた日記で、同じようにグチャグチャと塗りつぶすように描かれた
黒い丸があったのだとか…
【終わり】
261 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:53:50.23 ID:BV43BcX/0
七十本目の蝋燭が消えました・・・
れららさん、ありがとうございました
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釣り人 ◆sRCidpIShEさん、第七十一話をお願いします
262 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:57:47.76 ID:kNyTOn2o0
71話 合宿の夜
オレの通ってた高校には、結構立派な合宿所があった。
夏休みには、いろんな部活が交代で合宿をする。
オレの入ってた部活は男女共通で部員が多く、とてもにぎやか。
オレは1年生だったから、練習の時以外はほとんどパシリ。
2年の女子の先輩達と買い物行って荷物持ったり、
合宿の昼飯定番の冷やしそうめんやカレー作ってワイワイやってた。
夕方になるとOBやOGの先輩方がやってきて一緒に夕飯を食べる。
もちろん酒を飲んだり、後輩を他所に連れ出したりはしないが、
遅くまで起きて怖い話し大会なんかはあたりまえ。
合宿最終日、芝生に車座になって
みんなで怖い話しをしてたら、1時を過ぎた頃から
何だか寒くなってきた。
263 :
釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:58:54.22 ID:kNyTOn2o0
目がかすんできてるのか、近くの家の灯りがボンヤリ見える。
「灯り増えてる?」って思ってよく見ると、それはホタルの光。
黄緑色の光があっちにも、こっちにも。
オレたちを取り囲んで無数のホタルが光ってる。
そのうちみんな異常な数のホタルに気が付いて、
あわてて合宿所に帰って布団に潜りこんだ。
クーラーもないのに、朝方まで、とても寒かったよ。
こんな場で言うことでもないが、
怖い話しは場所と時を選んでやらなきゃな。
話が「本物」だと、そいつらが寄ってくるらしいぞ。
お終い
264 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 02:59:24.61 ID:BV43BcX/0
七十一本目の蝋燭が消えました・・・
釣り人 ◆sRCidpIShEさん、ありがとうございました
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たったかた〜様◆UFe7PhFKw2さん、第七十二話をお願いします
たったかた〜様
[ヘルメット]
あの日は仕事が忙しく、残業をして会社を出たのが深夜0時をまわってた。
広い道路が交差する信号で青になるのをまってた。
見晴らしもいいので、ボーと交差点付近を眺めていた。
歩行者用信号が点滅をはじめた頃、おらの左側からでっかいダンプが走ってきた。
それにつられるようにして、おらの後からけたたましい音をたててバイクが交差
点に突っ込んだ。
すごい衝撃音だった。
おらの車のボンネットに何かが、"ドンッ”て乗っかった。
フルフェイスだった。首がヘルメットと一緒にもげていた。
ちょうど向きあうようにヘルメットがこちらを向いていた。
そして、バイクの運転手と目が合ってしまった。
するとバイクの運転手は大きな声で「見るなっ!」と叫んだかと思うと、
おらの車のボンネットから滑り落ちた。
恐怖でパニックを起こしてしまった。
その後パトカーや救急車がきてバイクの運転手の死体を片付けていた。
警察から証人として事情聴取されてたおらが何げにタンカを見ると、
ヘルメットの中の目がおらを一睨みするとゆっくりとまぶたを閉じた。
【完】
266 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:00:45.96 ID:BV43BcX/0
七十二本目の蝋燭が消えました・・・
たったかた〜様◆UFe7PhFKw2、ありがとうございました
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:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第七十三話をお願いします
267 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 03:00:58.39 ID:vuz4Ec9S0
「こっくりさん」
母と叔母、従姉の女性3名で家でこっくりさんをやった事があった。
色んな事を聞いてワイワイやっていたんだけど、最後の質問で
「お父さんはいつ帰ってきますか?」
って聞いたとき、返答の為の指が動きはじめた。
「 い ま 」
その瞬間、父の車の音が家の横で止まった。
さすがにびっくりした。
その頃父は別居していて、殆ど家に帰ってくる事自体がまれだったから。
【完】
268 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:02:56.23 ID:BV43BcX/0
七十三本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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ばれかい ◆yj6HeeuFqYさん、第七十四話をお願いします
あと27話だ
(´・ω・) ガンガレ
ばれかい ◆yj6HeeuFqY様
1/4
私が高校生の頃実家で飼っていた猫の話。
うちの猫をAとする。
うちの小屋に捨てられていた猫で
最初全くなつかなかったAに
私は毎日餌をあげ、なつかせるのに苦労した思い出がある。
餌付けが成功しはれてうちの猫になってくれたのだが
その後のAの人生は本当に過酷だったと思う。
田舎ならではの昼は放し飼いをしていたのだが
うちに来て2箇月ほどたったある日、
母の叫び声にびっくりして
外にでた私の目に入ったのは
近所の家の大型犬にくわえられた血だらけのAだった。
なんとか犬を撃退してAを助けたのだが
Aは虫の息でお腹に穴もあき内蔵も少しでていた。
すぐ病院へ連れていき手術をしてもらい命は助かったのだが
神経をやられてしまったAの後左足はもう二度と動くことはなかった。
その後リハビリを行い3本足で器用に歩くようになったのだが
どうしても動きに鈍さがあり
池におちたり、カラスに虐められたり苦労していた。
※夜中に外から猫の鳴き声がするとおもって外を見たら
Aがうちの池で溺れニャーニャーいって助けを求めてたのも
いい思い出w
でもネズミや雀はうまく捕まえていたなぁ
2/4
うちに来て5ヶ月
うちの道路を挾んで向かいの家にメス猫が
住みついたようだった。※メス猫はBとします。
図
うち→□ ┃道路┃ □←向かいのうち
Aはオス猫。
Bに惚れたのかAは毎日左後ろ足を引きずりながら
毎日朝になると道路を渡りBの家へ行き一緒に遊んでいるようだった。
夏休みだった私は毎朝Aを送り出すのが日課になっていた。
※夜はAを家の中に入れて家の鍵を締めて外にでられないようにしてたので
朝早くに家の鍵を開けてあげないとAは外に出られなかった
鍵あけないとAがうるさくニャーニャー(あけろあけろと)鳴いて大変だったw
でもBはすぐ死んでしまった。
田舎の人はわかると思うが、田舎の小屋には昔ネズミ退治用の
毒団子ってのがあって、それを食べて死んでしまった。
Bが死んだということを理解できていないのか
それとも、探し続けていたのかはわからない。
Bが死んだあともAは毎日朝になると
道路を渡り、Aの家へ通うことをやめなかった。
Bの家の庭に行き、Bを呼んでいるかのように
「にゃーにゃー」足を引きずりながら歩き回って
「にゃーにゃー」と鳴いていた。
そして夜になると疲れてうちに帰ってくる。
ただいまを言うように「にゃー」といってうちに入る。
その繰り返しだった。
3/4
Aに言葉はわからないかもしれないが
「Bはもう死んだんだよ」って言い聞かせていた。
でも毎日通うのをやめない。
そんなある日の朝いつものようにAにいってらっしゃいを
して道路をわたるのを見送っていた時Aは車にひかれた。
毎日Bを呼び続けて疲れていたのかもしれない。
足を怪我してなかったら轢かれていなかったのかもしれない。
車にひかれたAのそばによると目は飛び出て
血だらけで顎も外れていた。
それでもまだあったかくて、息をしていて。。。。
病院へ連れていった。
息はあった。でももうダメだった。
飛び出た目は私が押し込んであげた。
庭にお墓も作ってあげた。
すごく悲しかった。
悲しくて辛かった。
次の日の朝になり
「にゃーにゃー(鍵をあけろ)」と鳴き声が聞こえた。
寝ぼけてたんだと思う
いつものようにAのために家の鍵を開けなきゃ
そう思って家の鍵を開けたとき、
もういないってことを思い出した(目が覚めた?)
不思議だった。
4/4
でも次の日も朝「にゃーにゃー(鍵をあけろ)」と聞こえた。
そして夜もAがいつも帰ってきてた時間頃に
「にゃー」と聞こえることが続いた。
もう10年になる。自分はもう実家にはいないのだが
今でもAがいた夏の時期になると鳴き声が聞こえる気がすると母がいう。
AはBが死んだことも、自分が死んだことも気づかずに
まだ、毎日Bを探しに道路を渡り向かいの家にいっているのかもしれない。
A、Bと会えてないの?
A、お前ももう死んでいるんだから、
二匹とも死んでいるんだから、頼むから二匹で幸せに遊んでいてくれ。
そう思わずに入られない。
猫にも魂はあると思う。そう思った不思議な怖い話です。
【完】
274 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:12:47.19 ID:BV43BcX/0
七十四本目の蝋燭が消えました・・・
ばれかい ◆yj6HeeuFqYさん、ありがとうございました
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匿名希望さん、第七十五話をお願いします
匿名希望様
『 で き ご こ ろ 』
経理部の田所洋子さんは、私が実話怪談マニアだと知り相談したい事があると言う。
彼女はワンルームマンションで独り暮らしをしている。
引越をしたその日の夜からそれは現れた。パタパタパタと布団の周りを子供が走り回る。
姿を見てはいないのだが、何故か子供だと判ると言う。子供は月二ぐらいのペースで現れた。
「それに絶妙なタイミングなの。」
必ず洋子さんが眠りに落ちそうになると走り回る。
夢うつつで足音を聞いていて、ハッと我に返ると消えるのだ。
現実に起こっている事なのか確信が持てなかった。
「だから恐怖心みたいなものは無かったのよね。」
その日も、うつらうつらしていると 布団の周りをパタパタパタと走る足音が聞こえてきた。
ほんの出来心だったと言う。
五月蠅い。転ばしてやろうと足を出した。ドスッ!と何かがぶつかった。
「衝撃がリアルで吃驚して飛び上がっちゃった。」
壁に頭をめり込ませて倒れている子供がいた。
両手両足をじたばたともがいている。
「わーッて叫びながら電気を付けたら消えていたんだよね。」
その後二度と現れる事は無かった。
「あれが座敷童だとしたら幸せを逃したのかなぁ。
どうしたら戻ってくると思う。」
座敷童なのか疑問だが、とりあえずお菓子でも置いておけばと答えておいた。
根拠は無いんだけど。
今でも彼女は部屋の片隅にお菓子と玩具を置いている。
【完】
277 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:18:15.12 ID:BV43BcX/0
七十五本目の蝋燭が消えました・・・
匿名希望さん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第七十六話をお願いします
278 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 03:18:27.54 ID:vuz4Ec9S0
「こっくりさんのつづき」
こっくりさんの続きだけど、父がこっくりさんの言うとおり、直後に
帰ってきた。
父はこういう事は嫌いなので慌ててこっくりさんを返し、何事もなかっ
たように振舞った。
父はやがて着替えをして飯を食った後に自分の家に戻ったんだけど、
次の日母と叔母は白狐の夢を見てうなされたらしい。
【完】
279 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:19:58.10 ID:BV43BcX/0
七十六本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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ユウ ◆pK2t4W3twQさん、第七十七話をお願いします
280 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 03:20:35.14 ID:w273qgce0
「田舎にて」
1/2
今思うと怖い、と言うより不思議な話。
小学生の時だったな、何年生かは忘れたけど。
俺の親父の実家が山形にあって、夏休みの何日かをそこで過ごしたのね。
田舎とか行くの初めてだったから、弟と一緒にワクワクしてたの覚えてる。
まぁ良く見る田舎の風景が広がっててさ。
コンビニなんかはもちろん無くて、雑貨屋に行くだけでも結構歩かないとならないような。
今でもああいった土地は好きなんだけどね。
で、田舎で遊ぶって言ったら大体が山とか川とかになるワケで。
弟と連れ立って夕方暗くなるまで遊んで、っていうのがそこでの過ごし方だった。
でも何日か経つと同じ場所で遊ぶのも飽きてくるんだよね、子供だし。
だから少し遠くに足を伸ばして遊び場を探すのにそう時間は掛からなかった。
ある日の夕方近くかな、実家からだいぶ離れた山に行ったのね。
周りに家も無くて、人影も無いようなトコ。
それでも来た道は一本道だったから不安は感じてなかったな。
山道の入り口に石碑みたいなのが建ってたのを覚えてる。
弟と一緒にしばらく歩いてたら、木の陰から「何か」がこっちを覗いてたんだ。
281 :
ユウ ◆pK2t4W3twQ :2011/08/20(土) 03:21:16.92 ID:w273qgce0
2/2
大きさはどのくらいだったっけ、俺らとそんなに変わらなかったと思うけど。
夕闇で顔とかはよく見えなかった。
でもその中ではっきり見えたシルエット。
こっちを覗く頭のこめかみの辺りにツノが有ったんだよね。
もちろん弟と一緒に全力で逃げたよ。
人家の見えるトコまで全力で。
安堵感から足を止めて後ろを振り返ったけど、追っては来なかったみたい。
そのあと、親達には話しても取り合ってくれなかったけどね。
俺としては「鬼」とかの類だったのかな・・・なんて思ってる。
東北って妖怪の話とか多いじゃん?
でもそんなコト抜きに、意外とその辺の山とかにも居るのかもね。
(完)
282 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:22:06.09 ID:BV43BcX/0
七十七本目の蝋燭が消えました・・・
ユウ ◆pK2t4W3twQさん、ありがとうございました
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Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、第七十八話をお願いします
Yenn ◆3qDMUSp0ng様
「狐」
中学生になってすぐの、山の中でのオリエンテーリングで。
五月の半ばで、もうある程度のクラス内の仲間わけはできていて、一人の男の子と仲良くなった。
明るくて頭のいい、テニス部に入ったA君だった。
冷静なツッコミキャラの男の子で、オリエンテーリングの直前に、
教室の窓に片腕を突っ込んで血まみれになるというイベントを起こし、
そのときすでに同学年で知らない人はいなかった。
オリエンテーリング二日目。
外イベントで疲れて、アタシは早々に女子の宿泊部屋に引きこもっていた。
なんだか外が騒がしい。
同室の女の子が部屋にとび込んできて、「アタシさん、ちょっと来て!」と、アタシの手を引いた。
向かった先は男子の宿泊室の一室で、いいのかなと思いながらアタシはそこに足を踏み入れた。
中は二段ベットが四つある、女子と同じ間取りの、いわゆる合宿所みたいな間取りで、
男の子が狭いベットの間でひしめいて上を見てる。
視線の先は、奥の二段ベッドのひとつの上に、四つん這いでこっちを睨むA君。
目つきがおかしい。
威嚇してる猫ってこんなだよねって、なぜか冷静に思った。
アタシは踵を返して、先生のもとへ猛ダッシュした。
その部屋はいやな、獣臭いにおいがしていた。
その後次の日のイベントに、A君はいなかった。
後日、A君にその日のことを聞いたけど、イベントから帰った後記憶がなく、気が付いたら家で寝ていたらしい。
大人になって色んなオカルトな話を聞くようになって、あれが一種の「狐ツキ」といわれる状態なのを知った。
それが精神病なのか、本当に何かが憑いたのか、今となってはわからないけど、
あの生臭いような獣臭いような独特のにおいを、今のところアタシはあの時から嗅いだ事がない。
【完】
284 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:26:40.66 ID:BV43BcX/0
七十八本目の蝋燭が消えました・・・
Yenn ◆3qDMUSp0ngさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第七十九話をお願いします
天井の彼女
1/2
今年の4月下旬の事でした。
横になっていると、ふと身体に違和感を覚えました。
私はたまに金縛りに遭う事があるのですが、完全に動けない訳ではないのですが
身体全体が痺れる感じがするのですが
その日は普段より、その身体のしびれが酷い状態でした。
部屋の中は遮光カーテンのお陰もあって真っ暗。
ベッドの位置から言うと右側を向いて寝ていたのですが
背後…いえ、背後と言うよりも部屋の真ん中にある蛍光灯のあたり
つまり天井から女性の「あー…あー…」と言う声が聞こえてきました。
声の聞こえ方からして、天井から逆さにぶら下がっている状態のようでした。
その声にただならぬ狂気を感じて目が開けられません。
その女性はずっと「あー…あー…」と言っています。
言いたい事があるならはっきり伝えて、と言おうと思いましたが声が出ません。
仕方がないので心の中でずっとそう念じていました。
2/2
するとその女性は「あー…あー……ゆきお…」と言いました。
ゆきお、とも雪を、とも取れるような言い方でしたが
残念ながら私には全く心当たりがありません。
他にもとぎれとぎれに何か単語を言っていたようですが残念ながら覚えていません。
部屋の中を移動している気がしましたが怖くて目が開けられませんでした。
ぎゅっと目を瞑っていたのですが、恐怖心がうんだのか、目の奥で
ベッドの右側に女性の白い足が浮かびました。
そしてまた天井に戻った様な気配がしました。
また頭にイメージが浮かびます。天井から逆さにぶら下がった女性の姿です。
髪はセミロングくらいでしょうか。乱れていて正確な長さはわかりませんが
恐らく肩より少し下くらいの長さでしょう。
体感にして10分。10分の間ずっと「あー…あー…」と言い続けていた女性は
結局大した情報を私に与えないまま消えてしまいました。
彼女が何をしたかったのかは私にはわかりません。
【完】
287 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:30:24.64 ID:BV43BcX/0
七十九本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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枯野 ◆BxZntdZHxQさん、第八十話をお願いします
288 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 03:31:47.81 ID:E2+qSFyH0
「肝試しで有名な場所では」1/2
もう10年近く昔のことだろうか。
従妹の美保が劇団もどきのサークルにいたことがある。
もどき、というのは大掛かりな公演などをやらず、
ネットに朗読劇などを上げるのが主な活動内容だったからだ。
このサークルに籍を置いていた頃、親睦会と称して心霊スポット巡りをしたそうだ。
別にホラーの朗読をやっていた訳ではない。
今考えるとちょっとどうかと思うが、
有名なバトル漫画の戦闘シーンをラジオドラマ風に演じたり、
やたら独白の多い少女漫画を朗読したり、そんな遊びをするサークルである。
取材とか役作りとかではなく、どうやら主宰の趣味だったようだ。
そんな親睦会で、印象に残った場所がいくつかあると美保は言う。
たとえば、ハイキングコースの途中にある公園。
元々はお寺の別院があった場所だが、
現在はその痕跡と石碑や地蔵があるだけである。
一行は夏の夜、その近くまで車で乗り付けた。宵の口だ。
辺りにはガードレール沿いに何台も車が止まっていて、
どうやら同じ様な目的の連中が集まっているらしい。
肝試しである。
チキンの俺からすれば、怪談の定型も定型の、
夜の心霊スポットに男女が車で乗り付けて馬鹿騒ぎなんてのは、
ちょっと間違ってるが鴨が自ら葱を背負って鍋に出汁を張っているようなものだ。
つい「馬鹿じゃないの?」と口をついたら、美保も苦笑いして、
「主宰がそう言う体験したことなくて、大好きなんだよな。
あれこれ訊かれてうんざりした人もいるから、
本当は見えたりした人でも主宰には黙ってるし、
黙ってるから行くのを断りきれないって言うか。」
289 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 03:33:07.26 ID:E2+qSFyH0
2/2
見えないから見たい。お前らも見たいだろう。じゃあ行こう。
そう言うことだ。
何だか気の毒になって来たが、こういうのは心霊ばかりの話ではない。
起伏のある道を進むと、先の方から話し声が聞こえた。
先客も賑やかだ。
結構な人数であろうざわめきと、若い女のはしゃぐ声がする。
足場の悪い坂道で息があがり自然と無口になった一行の中で、
美保は(DQNは無駄に体力あるよな)と先行グループの元気さに苦笑したという。
そうこうするうちに目前に石段が現れ、石段を上がると開けた場所に出た。
そこが目的地。
遊具などはないが、ベンチがそこかしこにある公園だ。
公園は静かだった。
ぽつりぽつりと灯る街灯の下、神社だか寺だかであった痕跡の石灯籠が並んでいる。
見晴し台になっている崖側も含め雑木林に囲まれた夜の公園は、
鬱蒼と影に覆われ、ひっそりと静まり返っていた。
公園から縦走するコースへ入る山道は真っ暗で、唸る様な虫の声だけが響いている。
足音も、話し声も聴こえない。
ついさっきまで聴こえていたざわめきの主はどこへ行ったのか。
暫く辺りを散策したり立ち話をしていたそうだが、山道から戻って来る者はなく、
石段を下り元来た道を帰る時も、それと思しきグループと出会う事はなかった。
肝試しで有名な場所に行くと、そんなことが度々あったと言う。
【完】
290 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:35:00.18 ID:BV43BcX/0
八十本目の蝋燭が消えました・・・
枯野 ◆BxZntdZHxQさん、ありがとうございました
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:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第八十一話をお願いします
291 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 03:35:13.40 ID:vuz4Ec9S0
「黒い手」
子供の頃、寝ているときに黒い手に腕を掴まれた。
腕はタンスから伸びていた。
肩までタンスの中に引きずられ、必死両脇に寝ていた父と母に助けを
求めたが、死人のように仰向けに寝たまま微動だにしなかった。
必死に抵抗してなんとか振りほどくことが出来たけど、あのまま顔が
タンスの中に入ったら「何が見えたんだろう」と思う事が今でもある。
【完】
292 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:37:21.22 ID:BV43BcX/0
八十一本目の蝋燭が消えました・・・
:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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炉火さん、第八十二話をお願いします
炉火様
におい
「怖い、と言うよりもおかしな話なんだけど」
そう前置きをして男性は当時お付き合いをしていた女性の話をしてくれました。
詳しくは省きますが
最初に「それ」を感じたのは、彼女とベットを共にしている時でした。
彼女の背中から少し離れた空間から
何とも表現しづらい「臭い…?」が漂ってくる事に気がついたんです。
「それ」は彼女の身体から、ではなく
彼女の背後、背中から5〜60p程離れた空間から
丁度、人ひとり分の「空間」から
何とも言えない臭いが漂ってくるんです。
驚きはしたものの、まだ付き合い始めて日も浅い事、普段は何も感じる事がなかった事もあり
さほど気にはならない事。当初はそう思っていました。
ただ、肝心な時に限って突然その強烈な臭いが鼻を刺すと、どうしても気持ちが冷めてしまう。
日によってはあまりの強さに吐き気を催した事を必至で悟られないようにもしていました。
日が経つにつれ「それ」は悩みの種になり始めたものの、相手は女性ですから
流石に「君、臭くない?」とも聞けないし、周りに確認してもらうと言うわけにもいかない。
どうしたもんかと周りを様子を気にして見ている時にひとつ気が付いた事がありました。
2/2
例えば、友達と写真を撮る時、電車に乗る時、行列に並んでいる時
後ろはおろか周りの人間もそんな素振りは微塵も見せない様に思えた。
我慢している。気を使っている。とかではなく
どうやら「それ」を感じるのは自分だけ。のようなんですよね。
彼女が好意を寄せる男性だけが感じる異臭
その女性、本当に明るくて誰にでも分け隔たりなく接し愛想もいい
よく笑い周りからも悪い評判など聞いた事のないとても素敵な女性だったんですね。
ただ、人間そしらぬ顔をして裏では、過去には、何を持っているかはわかりませんからね。
今思えば臭いで吐きそうになってたのかどうかも疑わしい
女の子の背後からしか匂いがしないドブ臭い
「こいつ、何を背負ってるんだろう・・・」
そう思うと彼女の笑顔に恐怖を感じるようになって遂には別れてしまったそうです。
周りからは「なんてもったいない事を」とずいぶんと責められたそうですが
彼、
彼女の後ろにいるかもしれない「それ」とも付き合っていく事はどうしてもできなかったそうです。
【完】
295 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:41:50.27 ID:BV43BcX/0
八十二本目の蝋燭が消えました・・・
炉火さん、ありがとうございました
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しもこし ◆.BBLN94SlQさん、第八十三話をお願いします
1/4
夏休み。川下りにはまっていた我々は、友達5人で
遠方の有名な川を下りに行ったのでした。
スタート地点に車を止めて、川下りを始めたのは1時半過ぎ。
水も温かく、流れも穏やか。途中遊びながら、のんびりと行くことにしました。
途中、カヌーが岩にひっかかって随分と時間をロスしてしまったのを除けば
全体として大きな問題も無く、楽しい川下りでした。
ゴールについて、川から上がったのは17時半。
ゴール地点は渓谷の谷底で、500mほど歩いて登った所に電車の駅が一つあるばかりの山奥です。
近くに民家は一つもなく、道路は狭い林道です。
ドライバー役の友達が駅から電車に乗って、上流の駐車場に車を取りに向かうことになりました。
車を取ってきて、皆のボートを積んで、車で撤収するのです。
迎えの車を待つ間の1時間ほど、川で遊びながら時間を潰すことにしました。
しかし、1時間待ち、2時間待っても、一向に迎えの車は来ない。
19時を回ったころには、日はとっぷりと暮れ、林に包まれた川べりは真っ暗になってしまいました。
川下りの装備でしたから、手元には大したお金も、携帯電話も、食料も用意していませんでした。
真っ暗な中を濡れた体で待ち続けるのも辛く、まずは林道まで、歩いて出ることにしました。
川べりから林道までは片側がガケになった狭い未舗装の道路です。
林道に出てさらに2時間。しかしそれでも車は来ない。
最初は単に手間取っているだけだと思っていた私達も、次第に不安になってきました。
車を取りに行った友人に何か重大な事故に巻き込まれたのかもしれない。
しかし、こちらには連絡手段はありません。
9時半を過ぎた頃、流石に待つのも限界だと思い、手がかりを求めて駅に行くと
・・・友人が居ました。
聞けば車をぶつけてしまい、その事故処理をやっていたのだそうです。
ひとまず合流し、まずは電車で車が止めてある場所まで。
そして、皆でご飯をとってから、話し合った結果、車を運転して舟を回収に行くことになりました。
3/4
時間は深夜0時。ゴール地点がある駅に向かって車を走らせます。
途中から道は完全に山の中に入り、車1台すれ違えないほどの曲がりくねった狭い山道になりました。
進んでいくと、赤い橋、そしてトンネル。
深夜、人っ子一人居ない民家一つない山奥の赤い橋が、妙に不気味に感じられました。
それでもどうにか駅につき、狭い未舗装路を車で進み川べりへ。
真っ暗闇の中、ハンドルを一歩間違えたら谷底へ落ちてしまう、そんな状況でしたが、どうにか無事
ボートを回収し、戻ってこられました。
時間は深夜1時。流石に寝る時間です。
眠い中運転するのも危険だと考え、その山奥の駅で泊まることを提案しましたが
事故を起こした友達だけは、絶対に嫌だといいます。
途中で見た赤い橋が嫌な感じがした。この川にまつわる恐い話を聞いたことがある・・・などなど。
しかし、結局は深夜眠い中の移動のほうが危険と考え、皆で駅に車を止めて寝ました。
そして、翌朝は何事も無く現地を出発し、地元に帰ってきました。
4/4
さて、家に帰って数日後、ウェブニュースを眺めていると
私達が川下りをした6日前
私達が降ったコースで、カヌーにのった女性が
溺れて亡くなったとの記事を見つけました。
そこで急に友人の話を思い出し、気になって調べてみると・・・
途中で見た赤い橋。そしてその先にあったトンネル。
そこは、その地域でも有名な心霊スポットなのだそうです。
そして、私達が最初、車を待ち続けたゴールの水辺。
かつては、上にかかる鉄橋からの飛び降り自殺が絶えず
現在でも毎年のように、その川で観光客の水難事故が起こっているのだそうです。
【おわり】
300 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:47:28.19 ID:BV43BcX/0
八十三本目の蝋燭が消えました・・・
しもこし ◆.BBLN94SlQさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第八十四話をお願いします
充電器
1/2
私の部屋では、よく物がなくなります。
たまに配置のおかしくなっている小物があります。
元々大雑把な性格の私は、別段気にもとめてなかったのですが…。
3週間に一回程度の割合で、ケイタイの充電器がコンセントから抜けている事があります。
そこでも大雑把な私は、きっとコンセントが足りなくて充電器を抜いたんだと思っていました。
しかし、何度も何度も同じような事があり、充電器が抜けている部分に別の何かがささっている
訳ではないと気づいてから、少し薄気味悪く感じるようになりました。
ちなみにこれは、数日をかけて書いているのですが、書き始めてから
毎日ケータイの充電器だけ、コンセントから抜けているのを発見する様になりました。
それだけ足を引っかけやすい所にある訳でもなく、抜けやすくなっている訳でもありません。
ある日の夜、私がテーブルライトの明かりで本を読んでいました。
すると突然、部屋全体ががたがたと鳴り始めました。
何事かと身体を起こすと、一人暮らしの私の部屋に、私の他にもう1人、人が居たんです。
私のケータイの充電器を持って立っていました。
目が合いました。私はその顔に見覚えがありました。
その顔は、私が小学生の頃に見た事がありました。
でも同級生ではありません。
その人…その子は小学校高学年くらいの私の姿をしていました。
2/2
身体が硬直しました。
これもドッペルゲンガーと言うのだろうか。とすれば私は死んでしまうんだろうか。
でも、何故私のケータイの充電器を持っているんだろう…。
その子に声をかけようと思いました。もうこんな事は終わらせなければなりません。
「ねぇ、それ、どうしていつも抜くの?」
子供は答えません。
「困りはしないんだけど、毎回コンセントにさすのは面倒だからやめてくれるかな?」
子供の口が動きましたが、声は聞こえませんでした。
「わかったら手に持ってる物を置いてくれる?」
子供は素直に手から充電器を離しました。
「ありがとう。それで…貴方は私なの?」
「おねえちゃんがあたしを殺したんだ!」
そう言ってもう1人の私は消えてしまいました。
私は、子供の頃の記憶がほとんどありません。
それを子供の頃の私が悲しんでいるのでしょうか…。
【完】
303 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:50:04.00 ID:BV43BcX/0
八十四本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第八十五話をお願いします
304 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 03:50:12.67 ID:vuz4Ec9S0
「旧実家の4不思議」
母が引っ越してしまったのでもう中を見ることも出来ない前の家。
幼稚園から就職する頃まで過ごした家なんだけど、不思議な事がある。
・2階の廊下の天井に、いくつもの手のひらの跡のような染みがある。
・1階が店舗、2階が居住スペースでリビングも2階でそこで家族で
雑談をしていると、たまに階段を登ってくる音がする。
もちろん見ても誰もいない。
・なんでかは判らないんだけど、模様が入ったガラスが外の信号の光
で人の顔の様に見えてすごく怯えていた事があった。
でも、その日だけで、次の日には人の顔に見えなかった。
同じ場所で光って、同じ場所のベッドで寝ているのに。
・霊感の強い友人の女の子が遊びに来た時に「この家は男を嫌ってる」
と言われた。父は別居で家に殆ど来ないし、おれも高校以降家に帰る
事はまれだった。
【完】
305 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:51:55.71 ID:BV43BcX/0
八十五本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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匿名希望さん、第八十六話をお願いします
306 :
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 03:53:48.68 ID:hPkmSRgw0
匿名希望様
タイトル「我が家のルール」
川霧さんは念願のマイホームを買った。
裏が墓地だったので安く買えたという。
「30年ローンだけどね。」
新居に住む事になり家族で幾つかのルールを作った。
ささやかな抵抗をしたのだが家の中でのタバコは禁止になった。
「二階のベランダで吸えばいいって
嫁さんは言うんだけどさ。下が墓地だから」
なんだか気味が悪かった。
しかし一ヶ月を過ぎた頃には真夜中でも平気で吸えるようになった。
静かな墓地を眺めながらの一服もオツなものだと笑う。
深夜の一時過ぎ、睡眠前の一服を吸おうと
ベランダに出ると和型墓石のてっぺんに誰かが立っていた。
故人をモニュメントした墓?
感心していたら、それが万歳をするように両手を上げた。
全身黒タイツ姿のように見えたという。
人だと分かると今度は少し怖くなった。
真夜中に墓石の上にいる全身黒タイツなんて変態に決まっている。
警察に通報しよう。
突然そいつは墓石の上からポンッと飛び降りた。
ビクッと空中で止まり、今度は左右に勢いよく揺れる。
両手両足をダラリとさせ
首が妙に伸びた黒い人がブランコのように揺れていた。
『夜ベランダに出る事は禁止!』川霧家のルールが増えた。
【完】
307 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:54:59.74 ID:BV43BcX/0
八十六本目の蝋燭が消えました・・・
匿名希望さん、ありがとうございました
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色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、第八十七話をお願いします
308 :
代理投稿:色々諦めたロドリゲス ◇pbbxR7EI3w :2011/08/20(土) 03:55:25.50 ID:vuz4Ec9S0
「一反木綿」
母の田舎に遊びに行った時、道の向こう側から白くひらひらした物が
こちらに飛んできた。
そこには虫取りに出ていたおれ1人。
どんどん近づきすれ違った。
なんか、越中ふんどしの腰紐がないような感じの長い布。
呆然と横を通りすぎるのを眺め、背後に通りすぎた瞬間背後に向き直った。
そこには何もいなかった。
【完】
309 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 03:56:51.57 ID:BV43BcX/0
八十七本目の蝋燭が消えました・・・
色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3wさん、ありがとうございました
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枯野 ◆BxZntdZHxQさん、第八十八話をお願いします
310 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 03:58:12.60 ID:E2+qSFyH0
「樹海にて」1/3
従姉の美保が、演劇サークルの親睦会で樹海を散策したと言う。
もう10年近く昔の話でディテールは忘れてしまった様だが、こんな事があったそうだ。
サークルの主宰が「心霊体験をしてみたい」クチで、
メンバーは度々親睦会の名目の心霊スポット巡りに駆り出されていた。
ただ、樹海ツアーは陽気のいい時分の昼間の催行で、
特別な装備もなく遊歩道を散策するだけとの触れ込みだった為、
一行は気楽な観光旅行のつもりで参加したのだと言う。
しかし、やはり行動理念に難のあるサークル主宰だ。
遊歩道を散策する他のグループの姿が見えなくなると、鞄からある物を取り出した。
雑誌などを捨てる時、結束するのに使うビニールの紐である。
これを目印にして、遊歩道から外れた所を歩いてみようと言い出した。
以前にもこの主宰の話を聞いて「馬鹿か」と言った俺は、再び同じ言葉を口にした。
「怒ると思ったw」と美保は笑い、でもちゃんと紐は私が回収したからと付け足した。
今となっては真相は薮の中だが、この辺は美保の良識を信じたいところだ。
それはさておき。
一行は10人弱だったが、主宰に同行して遊歩道を外れたのは3人だった。
主宰直々に指名したひとりと、美保とその友人。
指名された人と美保はこれまでの同じ様な会で怪異に出会っていたので、
主宰はどうしても連れて行きたかったらしい。
もちろん迷子になるのは本意でないので、
遊歩道脇の木に括ったビニール紐を引いて行く。
50メートルも離れると、遊歩道で待つ仲間たちの姿も確認出来なくなり、
100メートルほどで話し声も聴こえなくなった。
白い紐はパッケージに300メートルと書いてあるので、それが切れる前に戻る約束になっている。
311 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 03:59:50.47 ID:E2+qSFyH0
2/3
植生は身近な雑木林と変わらない気がしたが、草はみっしりと密度高く、
木は低い位置からうねりねじれる様に伸びている。
いいとは言えない足場を、4人は踏み分け踏み分け進む。
ただしっとりと濃厚な緑の空気が肺に重く、一行は押し黙った。
何もない。
あるのは緑と、その隙間から覗く高い空だけだ。
無言の一行が歩いたのは、多分20分かそこいらの事だろうと思う。
それが気が遠くなる長い時間のように思えて来た頃、ビニール紐の終点が見えた。
主宰の手元には空っぽになった紐の外装と、白い紐のはじっこ。
何故かそれを持っていた主宰本人がほうと息をついて、笑った。
「戻ろうか 」
一番怖い思いをしたがっていた癖に、彼が一番緊張していたらしい。
主宰が紐を手繰り来た道を戻り始めると、3人もそれに従った。
緊張の糸は切れ、一行は口々に感想を話し始めた。
「なんだか怖かった」「でも意外と空気が綺麗で気持ちいいかも」「観光地だもの 」
…他愛ないやり取りをしつつ、紐の半分ほどを手繰ったところで、
主宰から指名を受けて来ていた人が「あれ」と何かに気付いた。
彼女の視線の先を見ると、地面が少し窪んだ所に草臥れた布の塊があった。
来る時には草むらの影で見えなかったのか、
キャンバス地のバッグが打ち捨てられているようだった。
美保は何の気なしに、視線をそこから上に移動させた。
うねった広葉樹の幹が、美保が手を伸ばしてちょうど届く位の高さで横に張っている。
そしてバッグが落ちている真上辺りの幹の皮が不自然に剥けている。
いやだな、と思った。
でも、何も感じない。
シチュエーションが厭な事を想起させているだけだろう。
「行きましょう」と主宰を促すと、彼はちょっと後ろ髪引かれる顔をしたが、素直に従った。
しかし、全員がその窪みに背を向け歩き出そうとした瞬間。
312 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 04:01:26.94 ID:E2+qSFyH0
3/3
♪ピーピピーリリピーリリー……
レベルが上がった!
いや、ファイナルファンタジーのレベルアップのファンファーレが鳴った。
美保の携帯だった。
遊歩道で待っている仲間だろうと、美保は鞄から携帯を取り出した。
少し遅かったのか、呼び出しは終わっていた。
だが、そこにははっきりと「圏外」の表示がある。
立ち止まり、美保は他の3人にも携帯を出してもらい確認した。
同じキャリアだったのは美保と友人、他の2人はそれぞれ別だった。
そして、主宰の携帯以外は全て圏外。
とりあえず主宰の携帯から待っているメンバーに電話を…と言いながらまた歩き始める。
すると、
♪ピーピーピリリラー……今度は別の携帯が鳴った。
見ると、やはり圏外。
一行は立ち止まらない。少し早足になる。
♪シャラララン…シャララン……また圏外の携帯が鳴っている!
美保は咄嗟に鳴っている携帯をもぎ取り、切れる寸前に通話ボタンを押した。
「もしもし!?」
電話の向こうは、ザーッというノイズが鳴っているだけだった。
ほんの僅かそのノイズが聴こえた後、ブツリと通話は終わった。
訳が分からない。
一行は退路を見誤らない様に、それでも最速で木立を抜けた。
遊歩道に戻り残りのメンバーに訊ねてみると、誰も電話をかけて来てはいなかった。
遊歩道では美保と友人の携帯もアンテナが立っている。
森の中で、圏外だった3個の携帯にだけかかって来た電話は何だったのだろうか。
現在では樹海の中でもかなり携帯が通じるそうだが、
それでは、こんなことはもう起こらないという事だろうか?
【完】
313 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:02:59.50 ID:BV43BcX/0
八十八本目の蝋燭が消えました・・・
枯野 ◆BxZntdZHxQさん、ありがとうございました
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炉火さん、第八十九話をお願いします
314 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:04:43.82 ID:hPkmSRgw0
炉火様
交差点
みさなんも仕事をしてると車を使われる事が多いと思います。
自分も、営業で外を回る時などは殆どが車での移動です。
とある某県の某市 その方面に営業に行く時に
まれに上司と一緒に車に乗って移動する時があるんですよ。
で、そっち方面って僕がまだ道に疎い事もあり
裏道使えば早いからって、いつも上司が運転してくれるんですね。
とある方面のとある交差点。
無意識なんでしょうね、ウチの上司
その、とある交差点
そこで上司、いつもぽそっと呟くんですよ。
「まーたあのばあちゃんいるよ。いっも危ないんだよなー、轢きそうになっちゃうよ」・・・って
「あー、そうですねぇ、おばあちゃんだし、気をつけないと危ないですよねぇ」
って、最近は自分そう答えるようにしてるんですよ。
「最近は」って言うのは
僕ね、その交差点で、上司の言うそのおばあちゃんっての
未だに見た事ないんですよね。
とても見通しの良い交差点ですよ
電柱も並木もなにも遮る物のない交差点。
ウチの上司、毎回毎回
一体何を見てるんでしょうね?
因みに、僕が一人で運転する時はは、そこ、絶対通りません。
【完】
315 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:06:17.46 ID:BV43BcX/0
八十九本目の蝋燭が消えました・・・
炉火さん、ありがとうございました
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たったかた〜◆UFe7PhFKw2さん、第九十話をお願いします
316 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:06:56.71 ID:hPkmSRgw0
たったかた〜様
[足]
ある女性が深夜帰宅するために、人通りの少ない道を歩いていた。
その女性はハイヒールを履いていたため、ひっそりとした道に足音だけが
リズムよく響いていた。
すぐそこに曲がり角がうっすらと街灯に照らされていた。
「そこを曲れば家まであと少しだから」女性は独り言を呟いた。
その角を曲ったとたん足元に違和感を感じた。
それに今まで響いていた足音も消え、何かフカフカしたものの上を歩いているよ
うだった。
女性は足を止め、自分の足元を見た。
薄明かりの中で目をこらすと、女性は悲鳴にもならない声を上げた。
何とそこには気味の悪い笑みを浮かべた男が、女性の靴を下から掴んでいた。
【完】
317 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:08:17.20 ID:BV43BcX/0
九十本目の蝋燭が消えました・・・
たったかた〜◆UFe7PhFKw2さん、ありがとうございました
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枯野 ◆BxZntdZHxQさん、第九十一話をお願いします
318 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 04:08:51.69 ID:E2+qSFyH0
「扉」1/2
母方の一番下の従妹が、一時期老人ホームのバイトをしていた。
本人に言わせると「洗濯機を見張る仕事」だったらしい。
要するにホーム内の洗濯物を洗っている部屋で、
機械が止まったりしない様に監視していたと言うことだろうか。
ほんとうに洗濯機の相手をするだけの仕事で、まさに「見張って」いたそうだ。
従妹…仮に桜と呼ぶ。
その日も桜は施設の地下で、洗濯機を見張っていた。
見張りとはいえ洗濯機のある部屋は湿気と熱気があるので、
廊下にあるベンチで、仕上がった洗濯物を畳みながら、時々部屋を覗く。
人気のない廊下にベンチはひとつ、洗濯室の方に体を向けると斜めに腰掛ける事になる。
洗濯室と反対側に斜めを向くと会議室で、今日は使われていない。
洗濯機や乾燥機のうねる音をBGMにただ黙々と洗濯物を畳む。
無我の境地に到達しそうだ。
いつもと変わらない作業……
ドン!ドンドンドンドンドン!!
桜はハッと振り返った。
静寂を破り、確かにドアを叩く音が響いた。
斜め後ろ。
会議室の向かいの部屋のドアが、確かに打ち鳴らされた。
でも、誰もいない。会議室は使われていない、向かいの部屋は使っているのを見た事もない。
それに、自分は朝から洗濯機を見張っている。誰かが階段を下りて来たら前を通る筈だ。
319 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2011/08/20(土) 04:10:17.06 ID:E2+qSFyH0
2/2
桜は立ち上がり、おそるおそるドアのレバーを引いた。
ガチリ、と鈍い音がしただけで、レバーは動かない。
鍵がかかっている。
誰もいない…いる筈がない。
桜は気のせいだと自分に言い聞かせて、作業に戻った。
暫く勤めた後、事務の口が見つかって桜は他の会社に就職した。
洗濯機の見張りのバイトは結構長く続いたが、その後は不審な物音などはなかったそうだ。
ただ一度だけ、鍵がかかっていた地下の部屋の扉が開いているのを見た。
がらんとした部屋に、祭壇がしつらえられてあった。
おそらく、滅多に使われない霊安室。ならば…
あの時ドアを叩いていたのは誰だったのだろう?
【完】
320 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:10:49.51 ID:BV43BcX/0
九十一本目の蝋燭が消えました・・・
枯野 ◆BxZntdZHxQさん、ありがとうございました
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ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、第九十二話をお願いします
322 :
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:11:58.02 ID:hPkmSRgw0
逆さま
私はお話を読んでいると、無意識のうちに頭の中でイメージを浮かべるクセがあります。
とある、怖いお話を読んでいた時の事です。
その時も無意識に、頭に映像が浮かんでいました。
家にまつわる心霊現象について書かれていたお話だったと思います。
読んでいる途中で、浮かんでいる映像に何か違和感を覚えました。
お話に関係のない何かが居るのです。
それは…天井から逆さにぶら下がった女の人。
つい先日、私の部屋に現れた女性でした。
もうお話を読むどころではありません。
普段ならお話を読んでいる最中しか映像は浮かばないのですが
その時は違いました。
その女性が、知らない部屋にぶら下がっているのがまだ見えているのです。
ゆっくりと辺りをキョロキョロしていました。
「見てはいけない!」何故かわかりませんがそう思いました。
彼女の動きが一瞬止まりました。
私は開いていたページを急いで閉じました。
これできっと彼女も消えると思いました。
しかし、頭の中のイメージは鮮明になっていきます。
横を向いている彼女が笑った気がしました。
するとぐるりと首だけをこちらに向け、口を動かしました。
声は聞こえませんが「み、つ、け、た」そう言っているようでした。
そして頭の中のイメージは途切れたのですが…
座っていた私の目の前に、上からのぞき込むように逆さまの顔が現れ
嬉しそうに口を「あー」と開けて消えました。
これからも逆さまの彼女は現れるのでしょうか…。
【完】
323 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:13:37.81 ID:BV43BcX/0
九十二本目の蝋燭が消えました・・・
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2さん、ありがとうございました
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匿名希望さん、第九十三話をお願いします
324 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:14:49.97 ID:hPkmSRgw0
匿名希望様
1/2
タイトル「自慢話」
「体験するまでは信じられないって。」
デザイン事務所に勤める吉田さんは都内にある某ビジネスホテルに泊まった。
6時間に及ぶ打合せも無事に終わり、
緊張が解けた彼はクライアントと一緒に酒を飲んだ。
ホテルに入ったのは深夜の2時をまわっていたという。
「スーツぐらいは脱ごうと。でも酒による金縛りってやつか。」
ベッドの上で心地良い睡魔を味わっていたら・・・
ドン!と壁を叩く音が部屋に響いた。
続けて隣の部屋から誰かが壁を何度も叩いた。
吉田は壁を叩き返した。
相手も叩き返してきた。何度かそんな応酬が続いた。
「怒りで睡魔が吹っ飛んだよ。酒というガソリンも入っていたしな。」
怒鳴り声をあげながら部屋を出た。
隣の部屋からも若い女性が出てきた。
「うるせぇんだよ!ハゲオヤジ!!」
酒臭い女は吉田に暴言を吐いた。
「見た目は結構イイ女なんだぜ。その女に糞だの死ねだのと叫ばれてみろ。」
325 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:15:31.07 ID:hPkmSRgw0
2/2
意表をつく展開に吉田も圧倒されてしまった。
お構いなしに暴言を吐き続ける女。
「俺は女には優しい。何度も言うがこれも酒が悪いんだ。」
吉田も罵声を浴びせ返した。
しかし女はまったく怯まなかった。お互い罵声を浴びせあった。
つかみ合いの喧嘩になりそうになった時、
「ドン!ドン!ドン!ドン!って、
俺がいた部屋の中からドアを激しく叩く音がしたんだ。」
同時に女の部屋からも誰かがドアを叩いた。二人は声を無くした。
「部屋には誰もいないんだって、意味分んねえよ。
そしたら今度は部屋の中から大声で笑う女の声が。
二つのドアを狂ったように叩きながら笑っているんだぜ!」
同じ女の笑い声が聞こえていたと言う。
「女と一緒に悲鳴を上げながら逃げたよ」
二人は一階にあるフロントに向かって走った。
「これが情動二要因理論てやつだ。
恐怖でドキドキすると恋愛が芽生えやすいという理論なんだけどさ。
それが縁でその女と付合っている。そういう現象は本当にあるんだって。」
吉田は自慢げに笑った。
【完】
326 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:16:48.11 ID:BV43BcX/0
九十三本目の蝋燭が消えました・・・
匿名希望さん、ありがとうございました
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龍聖 ◆U.fI9vC3eUさん、第九十四話をお願いします
第九十四話
【倉庫】
数年前のことです。
父の会社がとある倉庫を借りることになりました。
奥行きのある倉庫の前には簡単な作業が行えるスペース。
そして倉庫内外から入れる事務所が隣接しています。
さらに事務所には倉庫内の階段から繋がる二階がありました。
倉庫を借りてすぐ、会社内ではある話題で持ち切りになったそうです。
『階段を上る足音がする。白い服を着た女がいる。女の子がいる』
社員だけでなく、作業に来ていたパートさんもほぼ全員が音を聞いたり姿を見ていました。
私の父を除いて。
ある日の夜、父が倉庫に行かなければならなくなりました。
「別に怖いわけではないけど」という前置きをしつつ、父は私に一緒に来てほしいと言いました。
私は全力で拒否をしましたが、執拗な言い様にうんざりし渋々行くことにしました。
倉庫に着き「絶対中には入らないからね!」と言い、私は外で父を待っていました。
噂の女性の出没場所を大体聞いていた私は、絶対事務所の二階の窓を見ないよう意識的に下を向いていました。
そう、絶対見ないと下を向いていたはずなのです。
しかし私の目はしっかりと事務所の二階の窓、そこから下を見下ろす白い服の女性の姿を捉えていたのです。
全身が固まり、冷たいものを感じました。
「これは見てはいけないものだ!」
直感でそう思い、目を合わせないように急いで視線を移しました。
腕は鳥肌でびっしりで、冷たい汗と共に体が震えていました。
その後すぐに倉庫から父が戻って来ましたが、父は何も見ていないと言っていました。
この話には、ちょっとした後日談があります。
社員の内の一人がその女性を連れて帰ってしまったらしいのです。
ある日を境に事故が頻発し怪我を負い、病気をするようになったのです。
身体に重みを感じたこと、そして倉庫でのこともあり然る場所へ相談しに行ったところ、直ぐお祓いの運びになったそうです。
そこで女性を背負っていたことが分かりました。
好奇心も少しあり、私は父に頼み倉庫のことを調べてもらいました。
そこで分かったのは、事務所はもともと民家で、そこの二階で病気で亡くなった女性がいること。
神棚を残して、住んでいた家族が引っ越してしまったということでした。
女性の家族と引っ越した家族が同じ家族かどうかはまでは分かりませんでした。
お祓い後ですが、その後も倉庫で女の姿が目撃されています。
もともと二人いるということなので、お祓いされた女性とは別かもしれませんが。
目撃者によると、戻ってきているとのことでした。
その後その倉庫は別の会社が使ってたようですが、どうやら倒産したようです。
【了】
330 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:32:29.44 ID:BV43BcX/0
九十四本目の蝋燭が消えました・・・
龍聖 ◆U.fI9vC3eUさん、ありがとうございました
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BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、第九十五話をお願いします
331 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:34:15.29 ID:hPkmSRgw0
BIGGOD ◆FXm8E9Lrd9Ak様
題名影の歌
1/2
土曜日の昼間、私は友人のBIGGODとカラオケに来ていた。
「ありがとう〜♪君のことは忘れない……♪」
歌が終了し、点数が表示される。
……82点。
いつもと変わらない。
「はい、次、BIGGODの番だよ」
私はそう言って、BIGGODにマイクを手渡した。
BIGGODは『ありがとう』と言って受け取る。
それと同時に、BIGGODの好きな、ホラー系の曲が流れ始めた。
332 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:35:28.91 ID:hPkmSRgw0
「私に襲い来る黒い影……♪それは私を殺そうとする……」
「どんなに逃げても追ってきて♪それでも私は逃げ続けるの♪」
BIGGODの声って、綺麗だな。
そんなことを考えているうちに、歌はいよいよクライマックスに差し掛かった。
「とうとう私はあきらめて〜♪私は影に殺サレタ……♪」
ざしゅっ。
狭い部屋の中が、BIGGODの真っ赤な血に染まった。
機械は、BIGGODなどどうでもいいというように
美しいメロディーを流し続けている。
私はただ、呆然と立ち尽くしていた。
『ネエ、アナタハ、ドンナ歌ヲ歌ッテクレルノ?』
どこからか、期待に満ちた声がした。
【完】
333 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:40:40.41 ID:BV43BcX/0
九十五本目の蝋燭が消えました・・・
BIGGOD ◆UL0yNua03wさん、ありがとうございました
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キツネ ◆8yYI5eodysさん、第九十六話をお願いします
334 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:41:05.41 ID:hPkmSRgw0
キツネ ◆8yYI5eodys様
「刑場跡の三角石」
【刑場跡の三角石】1/4
あれは高校時代のことです。
週末、部活を終えた私は仲間たちと部室で駄弁っていました。
話の内容はというと……まあ、くだらないシモネタだったんじゃないでしょうか。
とうに日が暮れた部室で、いやはや、どういう会話の流れを辿ったのかは
分かりませんが、みんなで肝試しに行こう!ということになりました。
確か部員のKくんが、
「うちの近くに『出る』って場所があるよ。しかも昔処刑とかやってたらしい」
と言うので場所も決まり。
強がり真っ盛りの年代だった私たちは、口々に幽霊なんていないよ、全然怖くないし、などと強がっていたのを覚えています。
私たちは一度家に帰って学校の近くのコンビニに集合し、自転車でKくんの家に向かいました。
少し山道を登るから、とKくんが言うので私たちはKくんの家に自転車を置かせてもらい、懐中電灯で遊びながら目的の場所へ。
舗装されてはいるものの車1台分ほどの狭い道を抜けると、そこは森に囲まれた真っ暗な広場……入口から懐中電灯で照らしても奥が見えないほど広く、暗い場所でした。
周囲の森に吸い込まれそうな錯覚を覚えていますと、じゃあ始めよう、とKくんが発した声で我に返ります。
おっと、一応ルールがあったので記しておきましょう。
1人ずつ広場に入ってそのどこかにある祠を探し、そこKくんが予め置いておいたうまい棒を持って再び広場の入り口まで戻ってくる。
前の人が戻ってきたら、次の人がスタートする―――
さすがKくん!シンプルで安上がり。
335 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:41:46.50 ID:hPkmSRgw0
【刑場跡の三角石】2/4
私は順番が最後ということで、のんびり待っていました。
意外にも広場が広いのか、はたまた祠を探すのに手間取ってしまうのでしょうか。
みんな帰ってくるまでに結構な時間がかかり、一息ついてうまい棒をかじる顔は汗だくでした。
さて、いよいよ私の番。
「置いて帰らないでよ?」「えー、怖いの?」などとやり取りした後で、懐中電灯のスイッチを入れて、いよいよ広場に踏み込みます。
中に入ってみると分かるのですが、広場はいびつな形で、奥行きも結構深い。
迷うのは嫌だったので、私は公園を囲む森沿いに進むことにしました。
どれほど歩いたでしょうか?
急に森が途切れた小高い場所に、小さな三角屋根が見えます。
あそこかー、と緊張が解けた私が近付くと、それは木造の小さな、私の腰ほどまでの高さの祠でした。
あった!
うまい棒はその小さな祠の中に1本だけ……ちぇ、キャベツ味か。
懐中電灯でうまい棒を照らしながら祠から離れようと踏みだした時でした。
何故か足を取られてすっ転んだ私。
何かに躓いたのかな、と倒れたまま懐中電灯を足元に向けると、地面から何かが飛びだしていました。
よく見ると、それはちょうど正方形を半分に割ったような三角形の大きな石。
ついてないな、と潰れたうまい棒を拾い上げ、立ちあがろうとした―――その時でした。
336 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:42:28.02 ID:hPkmSRgw0
【刑場跡の三角石】3/4
『……ずるり。』
突然、数メートル先の森の中から音が響きました。
何かを引きずるような、そんな音。
さらに耳に神経を集中させると引きずるような音に混じって、コキリ、コキリ、と何だか固い物がぶつかるような、こすれるような音まで聞こえてきます。
慌てて森の方に目を向けると、小さな人影が目に入りました。
背の低い人影。
それがずるり…、ずるり…と足を引きずるような格好で私に向かって歩いてきたんです。
するり…コキリ。ずるり…コキリ。
次第に鮮明になるソレは、着物というにはズタボロの布を纏った男の人でした。
それにしては背が、こう、子供のように低い。
その違和感に気付いたまさにその時。
倒れ伏した私の目の前をずるり…コキリ、と男の人が横切っていきました。
過ぎて行ってくれた、とほっとその後ろ姿を見た時、私は目を見開きました。
その男の人が引きずっていたのは両の足の、膝から下の部分。
そうです、膝から下を引きずるようにして、膝先で歩いていたのです。
ずるり、コキリ。ずるり、コキリと。
男の人の姿が森に消えると、フッと身体が軽くなったのを感じました。
そして、懐中電灯とうまい棒を手に、全速力で駆けて入口まで引き返しました。
337 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:43:10.16 ID:hPkmSRgw0
【刑場跡の三角石】4/4
それから数年後。
大人になった私はそんな事があったのなんてすっかり忘れていたのですが、ある時友人と酒のつまみに怪談話をしていたときに、ふと、思い出しました。
それがずっと頭に引っかかっていた私は、去年、地元に帰った時に郷土の歴史に詳しいAくんにその場所、刑場跡だという場所について聞いてみたんです。
Aくんが調べてくれたところ、そこは確かに刑場の跡だったとのこと。
翌日、私はAくんの車でその場所に向かいました。
懐かしのあの広場は変わっておらず、あの日の出来事をAくんに話してみました。
バカな、と一笑に付したA君ですが、男の人が歩いて行った方向を見て驚いた表情を見せました。
Aくんに一言、ついて来い、と言われた私はそのままAくんに連れられて車で移動しました。
その車中でAくんが教えてくれたこと。
それは江戸時代、この地域には藩が定めた「念仏禁制」というものがあり、一向宗、いわゆる浄土真宗が禁止されていたそうです。
しかし農民の中で根強く信仰されており、見つかると見せしめに酷い拷問や処刑を受けたのがあの場所だったのです。
例えば水責め、火責め。
裸にした若い娘に、塩水に浸してピンと張った縄を跨いだ状態で歩かせる。
中には洗濯板のような尖った石の上に正座させ、膝の骨が砕けるまで平たい正方形の石を何枚も膝に乗せていく。
ちょうど、あの時地面から生えていた三角形の石を2枚重ねたような平たい石を。
車が停まり、A君が案内してくれたのは小さな洞穴でした。
隠れ念仏洞といって、一向信徒が隠れて念仏を唱えた場所だそうです。
そしてこの念仏洞は、ちょうどあの晩、男の人が進んだ森の先に当たると教えてくれました。
あの足を引きずっていた男の人は、ひょっとしてこの念仏洞に向かって歩いていたのでしょうか?
砕けたその足でもなお、この念仏洞に。
私は目をつぶり、静かに念仏洞に向かって手を合せました。
心の中で南無阿弥陀仏、と唱えながら。
【完】
338 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:51:56.63 ID:BV43BcX/0
九十六本目の蝋燭が消えました・・・
キツネ ◆8yYI5eodysさん、ありがとうございました
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匿名希望さん、第九十七話をお願いします
339 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:52:43.38 ID:hPkmSRgw0
匿名希望様
タイトル「想定外」
1/2
建設関係の仕事をしている川村さんは朝が弱い。
早朝から工事がある日は、
同じく朝が弱い会社の先輩と遅刻をしないように前夜から現場に入る事がよくあった。
先輩のセダンで仮眠をとる事が多かったという。
霊園での早朝からの仕事が入る。
いつものように前夜現場に入り霊園の駐車場にセダンを止めた。
「お化けに喧嘩を売ってくるわ。いるなら出るよな。お前も来い。」
元ヤンキーでちょっと歯が溶けている先輩はたまに突拍子も無い行動をとることがある。
時計を見ると午前一時を少し回っている。
誰もいないこの駐車場でも気味悪いのに墓場に入るなんて御免だ。
<若い頃やったシンナーで脳味噌がトロケてるから>
バカな事をやった時の先輩の口癖だ。
罰当たりな行為をしそうなので断った。
先輩は妙なテンションの雄叫びをあげながら車から飛び出すと、
転々と設置された街灯の向こう側にある墓地の闇の中へと消えていった。
五分も経たないうちに墓場から全力疾走で戻って来るのが見えた。
下半身は裸だ。
先輩は本当にバカだ。悲しくなる。
先輩は大きめのナニを激しく上下させなから車に向かって走って来る。
無表情なのに目だけが血走った姿には殺気すら感じた。
340 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:53:25.75 ID:hPkmSRgw0
2/2
スピードを落とさず全力疾走で突っ込んでくる。
ドンッ!と車のボンネットに飛び乗ると、そのまま屋根を乗り越えて後ろに走って行った。
愛車が命だと豪語していた先輩とは思えない行為だ。
あっけにとられながら走り去っていく先輩を凝視した。
背中に視線を感じて振りかえる。
前方の闇から青白く輝くドッヂボール大の塊が二つ、車を目掛けて飛んでくるのが目に入った。
その光の塊は先輩を追うように同じ軌道で飛んで来る。
一つはフロントガラスギリギリで上空へと飛び上がったが、後一つはボン!とフロントガラスに激突した。
水で膨らませた風船を地面に叩きつけた様に割れたという。
ビシャッと青白い粘着質な液体がフロントガラスに広がると蒸発するように消えていった。
一人でいるのは怖い。この場から逃げたいがエンジンが掛らない。
先輩を追う為にドアを開けると車内灯がついた。
フロントガラスで青い塊が弾けた場所に顔の跡があった。
脂汗で濡れた顔面を必死に押しつけた様な生々しい顔の跡がハッキリと分かる。
押し潰された鼻、見開かれた両目、そして大きく開いた口。
その表情はフロントガラスに激突することが想定外で驚いるように見えた。
結局墓場で何があったのかは記憶が無いからと教えてもらえなかったという。
霊園の入り口前で震えていた下半身むき出しの先輩は高熱を出して一週間も会社を休んだ。
罰が当たるとは先輩も想定外だったのは確かなようだ。
341 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:54:24.34 ID:hPkmSRgw0
【完】
342 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:55:57.38 ID:BV43BcX/0
九十七本目の蝋燭が消えました・・・
匿名希望さん、ありがとうございました
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( .( '、_ _ ,ノ ノ:i )
,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
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パンドラさん、第九十八話をお願いします
343 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:56:17.35 ID:hPkmSRgw0
パンドラ様
1/2
これは疲れているときに電車で遭遇した話です
「一緒においで」
皆さんは電車に乗るときつり革とか椅子に座ったりすると思います。
私はそのときつり革につかまってのっていたんです。
目の前に窓があってそこから水滴が落ちているのをみかけたんです。
「えぇ・・雨降ってんのかよ・・・傘ないんだよなぁ・・・」
そんなことを思っていたんです
音楽を聴きながらテンションあげようとしてプレーヤーをつけようとしたとき、
ふと、目の前の窓をみたんです。
そこには、透明とは程遠い赤黒い液体がツーッっと流れていたんです。
今思えば多分それは血だとおもいます。
気持ち悪くなって、見ないようにしました。
トンネルに入るとそれも暗がりで見えなくなって
安心していたんです。
344 :
代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:57:07.78 ID:hPkmSRgw0
2/2
トンネルをでてから顔を上げてみると、
そこに、女の上半身が見えていたんです。
血走った目で私をにらみつける様はまさに鬼のようでした。
でも回りは何の反応も示さないんです。
怖くなって一つ前の駅で降りたんです。
まあ、結局家まで歩くことになったんです
長い道を歩いていると、ボーっとしていたせいか人にぶつかったんです。
女の方だったんですが、まるでぶつかったことがなかったかのように、普通に立っていたんです。
謝罪したんですが、まったく反応は返って来ず、気味が悪くなって帰ったんです。
また歩いていると人にぶつかって、見たらさっきぶつかった女の人だったんです。
完全にビビッて家に駆け込むようににげたんです。
家に入って塩を玄関にぶっ掛けたんです。
これで安心と思って自分の部屋に入ってPCの電源をいれると、スタート画面が出た瞬間、
PCの電源が落ちました。 ブレーカー見てみたんですが、普通に動いていました。
自室に戻ってPCの電源をいれましたが、やっぱり付きません。
画面を覗くと自分の顔が映っています。
その横にさっきの女の人が映っていました。
その女は私に笑顔で
「一緒にくるか?」
と話しかけてきました。私はおびえながら拒否しました。
その瞬間鬼ともいえるような形相になり、私を睨みながら自室を出て行きました。
あいつは一体なんだったのでしょう?
もしかしたら家にまだいるのかもしれません
【完】
345 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 04:59:25.28 ID:BV43BcX/0
九十八本目の蝋燭が消えました・・・
パンドラさん、ありがとうございました
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あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、第九十九話をお願いします
346 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/20(土) 05:00:01.79 ID:8+aRKMPa0
「操り人間」
(1/2)
友人Dと霊感持ちのKの話です。
Kが霊感があるのはみんな知っていました。そこでDがある霊体験をKに相談したのです。
Dの体験というのは随分前から金縛りにあっていて、その夜も金縛りが始まったそうです。
でもその夜はいつもと違って自分の手足がぶらんぶらんと勝手に動くのだそうです。
身体はベッドに張りつけられた様に動かないのに、まるでひっくり返った昆虫がもがく様に
自分の意思に反して動き続ける手足。
Dは目も開けられて、首も動かせたので、自分の身体のありえない様子を驚愕しながら
見ていたそうです。
Dの話を聞いたKが一言「生霊だね」
私は二人の話を聞いていて『生霊って怖いというけど、本当にそんな事になるんだ』と
びっくりしました。
そしてDはこれからどうしたらいいんだろうと思ってまた、話に耳を傾けました。
347 :
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM :2011/08/20(土) 05:01:13.78 ID:8+aRKMPa0
(2/2)
D「俺もいろいろ考えたんだけどさ、思い当たる節があって…」
K「うん、わかるよ。D君が理解して自分で解決しようと考えてるのもわかる。
だからきっともう金縛りに合う事もないよ」
さすがのK。Dの思いも今後もわかるんだ。
私は感心しながら明るく笑っているDの顔を見て安心しました。
そして私はKに言いました。
「生霊かぁ〜私はどっちかっていうと飛ばしそうだな」
…笑って流してくれるかと思ったのにK曰く「うん、それはありえるね」
私「えええ〜マジでえぇ〜!?」
3人で大爆笑でした。
「完」
348 :
御闇内 ◆1.vBi/ONCQ :2011/08/20(土) 05:01:44.21 ID:BV43BcX/0
九十九本目の蝋燭が消えました・・・
あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCMさん、ありがとうございました
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りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、第百話をお願いします
349 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:02:55.23 ID:78szAUOU0
・次は…俺か?イヤ、それは無い
【1-4】
長野でのお話。
昔話や童話、言い伝えというのはどんなに眉唾なものであっても言われる以上、それなりの理由や体験があるのだろう。
ところで、長野ではないがこのような話を聞いたことがないだろうか?
ある猟師が山に入ったところ、目の前に次々と生き物が現れては次のものに喰われる。その中の1匹をとろうとした時に、ふと次は自分ではないか?
と思い難を逃れるというものである。ではでは…
記憶が正しければ、大学1年の夏。時期は2007年の9月になるかならないかというところ。
夏も終盤で日も短くなってきたが、未だ蒸し暑い日々が続く。
確かその日は午後まで他の用事が入り、正直疲れてはいたのだが、釣行することにした。
この時期の渓流釣りは良い避暑にもなるので夕涼みがてらになるからね。
林道をいけるところまで車で進み、川に辿り着く。普段ならここから更に奥へと沢を登っていくのだが、
その日は疲れが溜まっていたので、ちょっと進んだ先にある魚止めの堤に腰を下ろし、釣果関係無しでのんびりすることに決めた。
350 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:03:57.20 ID:78szAUOU0
2-4】
岩の上に腰を下ろし、足は冷たい渓流の流れにさらしながら時折堤の下の糸先に目をやる。そんな最中、あるものが目に入った。
木々の葉がいくらか積もったテトラの上にて黄緑の物体がうごめいている。飛蝗だ、おそらくウマオイだろうか。
それがテトラの上に落ちた葉を食べていた姿であった。
しばらくした後、ウマオイはテトラの上から茂みの方へと移動し始めたのだが、茂みの中から何かが飛び出してきた。
見たところトノサマガエルか、ヒキガエルだと思う。
そいつが飛び出ると同時にウマオイを飲みんだ。弱肉強食の摂理を目の当たりにし、感慨にふけっているところにバシャと何かが跳ねたような音がした。
しかしこのオカルト板もゆとり能全開というか、ぬるくなったよね
352 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:05:10.26 ID:78szAUOU0
【3-4】
思わず岩魚か!と思い目を向けるが、そこに居たのはおどろおどろしい色をした大き目のヤマカガシであった。
変温動物なのにこんな冷たい水に入って大丈夫なのか?という心配を他所に、そいつは水面をスルスルと進んで行き、
シャッ!とカエルに噛み付きそのまま水中へと引きずり込んだ。しばしの後、蛇は水中から出るとテトラの上にて日光浴を始めた。
腹を見る限り、どうやらカエルは飲み込んだようである。この辺りであの某話みたいだなと一人笑っていると、不意に蛇が此方を見た。
始めは「よく堤の上の自分に気づいたな」と思ったのだが、蛇はじっと此方を見たまま動かない。
353 :
りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:06:16.73 ID:78szAUOU0
【4-4】
某話であれば次は雉か猪が出るはずだが、そのようなものは出ることはなく、ただ蛇が自分を見続けるだけである。もしや…、コイツは自分にとられるのを待っているのか?
しばらく見詰め合った後、俺は竿をたたんで帰った。
一瞬自分がとったらどうなるのか?という強い興味も持ったがやめた。
確かに大物であったが、流石にヤマカガシは煮ても焼いても食えない。
面白い体験であったが、イマイチ選択が残念な感じもした時であった。蝮だったら確実に捕まえていたんだけどなぁ。
〜終〜
354 :
ゆあ ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 05:07:03.61 ID:hPkmSRgw0
百本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました
γ
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これにて語り部の話は最後となりました……
「百物語」今宵の幕が降ろされ様としています。
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其処には漂い消えゆく煙の跡
妖霊交わる夏の戯は
暦の遷りに変はりて 永久にやまず
刻定めて降りた稀人は
たゆたう潮汐と共に帰らん
355 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:07:29.49 ID:IrAp9s3t0
2011年8月19日 オカルト板百物語
皆様お楽しみ頂けましたでしょうか?
素敵なお話を語って下さった語り部の皆様、百物語にお付き合い下さった皆様
本当に有難う御座いました。
最後に、終宴の動画にて語り部の皆様をご紹介致します。
------------2011 百物語 終宴--------------
まとめサイト
http://hyaku2011.doumeki.com/
356 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:08:48.09 ID:IrAp9s3t0
【語り部様エントリーリスト】
1:昨日の人 ◆3wiF1V29nQ様
2:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
3:太魔美 ◆aKQ2SJ2lbMさん
4:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs様
5:空色 ◆p4Tyoe2BOE様
6:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
7:空色 ◆p4Tyoe2BOE様
8:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
9:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs様
10:空色 ◆p4Tyoe2BOE様
11:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
12:御闇内 ◆1.vBi/ONCQ様
13:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
14:鈴羅 ◆TCpk32es4VKm様
15:空色 ◆p4Tyoe2BOE様
16:キツネ ◆8yYI5eodys様
17:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
18:空色 ◆p4Tyoe2BOE様
19:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
20:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
357 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:09:26.57 ID:IrAp9s3t0
21:仏師 ◆/g.//wsKSn4B様
22:啓 ◆N5NMa8pQLuy1様
23:はつし ◆qIYKkyK6xE様
24:のらはり ◆EUWlqFWJAk様
25:169 ◆riBiLQMQ3U様
26:赤目様
27:怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM様
28:たったかた〜様◆UFe7PhFKw2
29:毒衣紋 ◆5TLWX9QsC1zc様
30:みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE様
31:砂糖次郎様
32:宮北 ◆dJNUgCnIng様
33:怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM様
34:Yenn ◆3qDMUSp0ng様
35:よもや ◆t7bs99KZl0wn様
36:釣り人 ◆sRCidpIShE
37:冷夏30℃ ◆dy8RdA2.M6様
38:キツネ ◆8yYI5eodysさん
39:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs様
40:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
358 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:10:32.53 ID:IrAp9s3t0
41:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg様
42:りほ ◆aZ4fR7hJwM様
43;のぶえ ◆mF3J5kfOro様
44:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs様
45:みそ ◆bJiVr4F5Ag様
46:釣り人 ◆sRCidpIShE
47:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg様
48:よもや ◆t7bs99KZl0wn様
49:狐火 ◆QYJXQHmfdQDC様
50:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg様
51:釣り人 ◆sRCidpIShE
52:よもや ◆t7bs99KZl0wn様
53:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg様
54:半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk様
55:啓 ◆N5NMa8pQLuy1様
56:鳩太 ◆CHiCKevu8g様
57:りほ ◆aZ4fR7hJwM様
58:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs様
59:BIGGOD ◆UL0yNua03w様
60:ガタロー ◆l7Mb16VB82様
359 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:12:13.57 ID:IrAp9s3t0
61:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
62:Yenn ◆3qDMUSp0ng様
63:釣り人 ◆sRCidpIShE様
64:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
65:コッソリ ◆.PiLQRq.0A様
67:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
68:半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk様
69:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
70:れらら様
71:釣り人 ◆sRCidpIShE様
72:たったかた〜様◆UFe7PhFKw2様
73:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
74:ばれかい ◆yj6HeeuFqY様
75:匿名希望様
76:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
77:ユウ ◆pK2t4W3twQ様
78:Yenn ◆3qDMUSp0ng様
79:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
80:枯野 ◆BxZntdZHxQ様
360 :
サンショウウオ ◆B63gYKJKEY :2011/08/20(土) 05:12:53.27 ID:IrAp9s3t0
81:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
82:炉火様
83:しもこし ◆.BBLN94SlQ様
84:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
85:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
86:匿名希望様
87:色々諦めたロドリゲス ◆pbbxR7EI3w様
88:枯野 ◆BxZntdZHxQ様
89:炉火様
90:たったかた〜様◆UFe7PhFKw2
91:枯野 ◆BxZntdZHxQ様
92:ゆあ ◆96j0kyRRhEF2様
93:匿名希望様
94::龍聖 ◆U.fI9vC3eU様
95:BIGGOD ◆UL0yNua03w様
96:キツネ ◆8yYI5eodys様
97:匿名希望様
98:パンドラ様
99:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM様
100:りほ ◆aZ4fR7hJwM様
おつかれーしょん
362 :
動画 ◆ElPl8xGQc2 :2011/08/20(土) 05:18:55.41 ID:vuz4Ec9S0
お憑かれ様でした〜!
最後の銅鑼(?)でちょっとひっくり返ったww
今北産業
終わってんじゃない?なんで?
ラジオの42話辺りから寝落ちしてしまってさっき起きたorz
367 :
忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2011/08/20(土) 20:12:45.44 ID:0Ful2MaL0
て
369 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/20(土) 21:39:15.79 ID:1rFPEvlq0
さて、また来年ここにくる
ああ!今日と勘違いしてたよ・・・orz
373 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/21(日) 08:05:37.69 ID:422lB43U0
やっと読んだ。
なかなか趣のある話でよかったですよ。
語り部さん、主催者さん達ありがとうございました。
しかし、オカ板で毎年夏に一大イベントがあるというのも楽しくていいね。
376 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/26(金) 05:27:25.96 ID:WJD7NL+9O
一応
377 :
本当にあった怖い名無し:2011/08/27(土) 19:59:22.39 ID:PxNASbkL0
素敵な夏をありがとう。
なんか、小4の頃に戻ったような懐かしい気分に浸ってました。
また来年。
読み終わった
>>376 保守してくれたのかな?ありがとね
(; ̄Д ̄)
(−_−;)
(´・ω・)
別にホシュせんでも、まとめサイトがあるがな・・・
383 :
本当にあった怖い名無し:2011/09/01(木) 17:54:01.70 ID:GK/Mhl1U0
(´・ω・)
こんなイベントあったのか
来年は参加するわ
このスレがなくなるとまとめサイトのURが分からなくなる
(´・ω・)
まだ読んでないから
ネット喫茶で読もうと思ってる
いま金なくて行けないけど
(; ̄Д ̄)
(´;ω;`)
(´・ω・)
(´・ω・)
(´・ω・)
保守せんでもまとめサイトのURLメモッとけば良いんでない?
つか、もうここ使ってないんだし、ログとして保存しときゃ良いんじゃねーの
(´・ω・`)
_φ( ̄ー ̄ )
397 :
本当にあった怖い名無し:2011/09/15(木) 04:02:02.46 ID:azfeIt7J0
月見ばーがー
(´・ω・)