じわじわ来る怖い話34じわ目

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中学時代の親友に道でバッタリ会ったんだが、よく気付いたな自分、と誉めて
あげたくなるくらい彼の容姿は変わっていた。
中学時代サッカー部のエースで、校内にファンクラブまであった彼はしかし、
今や3倍くらいに太り、髪はボサボサ、肌は青白く、目は白目を向いたようで
決して視線を合わせようとしない。

運命は皮肉だと思った。
そもそも中学の頃の俺はアニメオタクで、人気者の彼は幼馴染だった。
とにかく彼もオタクの道に踏み入れようと俺は色々なアニメを貸した。
そのうちの一本に彼がハマってからはアニメ一直線。関連グッズを買い集め、
アニメ雑誌を買い揃え、声優のファンクラブに入った頃には彼の周りから
人がいなくなった。そのうちネットゲームにハマって高校も途中から登校
しなくなり、部屋から一歩も出なくなったという。
一方の俺は高校から新しい友達との付き合いが忙しくなりアニメに費やす
時間はなくなっていった。彼女も出来て、今じゃ結婚して2児の父親。
地元の水産関連の企業に就職して、海辺に家を買った。
9912/2:2011/06/04(土) 15:45:11.14 ID:pkWothTL0
彼は今日親に言われてハローワークに職を探しに来たと言う。
もう夢と現実の境目が薄れつつあるのか、真顔で自分が未来から帰ってきた
ばかりだと、やはり視線を逸らしながら言った。
話を聞いたがさっぱり分からなかった。
この冬から始まる、マジョカマジカ?とかいう魔法少女アニメが大ヒットで
すごく売れると言うことだ。正直、アニメのことはもう全然分からない。
それでも俺と久々に話が出来てうれしかったのか、別れ際に彼はにっこりと
満面の笑みを浮かべていた。