小学校時代、母ちゃんが作ってくれる弁当をいつも学校に持っていってたんだが、ある日持ってくのを忘れた。母ちゃんも作るの忘れていた。
四時間目が終わって、思い出した漏れはとりあえず家に電話。
じいちゃんが出た。当時、両親共働きで、頼みの綱だったばあちゃんも公民館に出払ってるとのこと。
じいちゃんが茶碗に飯を盛ってるのすら見たことがなかった漏れは『こりゃ今日の昼飯諦めるべ…』と落胆して『弁当が無いんだけど…まあいいや』てじいちゃんに言って電話を切った。
で、空腹のまま昼休みが終わろうとしていたんだが、正門から漏れを呼ぶ野太い声が…。
見てみると、じいちゃんが軽トラに飼い犬乗せて、片手にタッパー掲げて叫んでた。
恥ずかしくてすぐ駆けつけたんだが、タッパーには焦げてぐちゃぐちゃになった冷凍餃子と冷や飯と梅がなんの仕切りも酢醤油もなくみちみちに突っ込まれてた。
恥ずかしくて軽トラの助手席で食べたんだが、なんかすげえウマかったんだよな。
じいちゃんはその数年後に末期癌で逝っちゃったけど、あの日に戻れるなら『弁当作ってくれてありがとう』ってちゃんとお礼言いたい。
本当に美味しかったよじいちゃん…