帰宅して夕飯の支度をしていると、玄関の扉が開く音がした
子供が学校から帰ってきたんだが、靴を乱暴に脱ぎ捨てるなり、部屋に駆け込でいった
「くっそ〜!! なんでだ! くぁwせdrftgyふじこ……」
子供部屋の扉越しに、散々悪態をついているのが聞こえる
何かあったようだが、最近はひどい反抗期のせいか、ろくにわたしとは口を聞こうとしないので、
わざわざ理由は尋ねずに放っておくことにした
その日は、たまたま旦那が早々に帰宅してきたので、少し早い夕飯に…
その席で、子供が珍しく話しかけてきた
「朝、お金もらったよね?」
そういえば、今朝、学校に持っていくお金を古封筒に入れて手渡した
学校で失くしたのかと心配した
「確かにカバンに入れたのに、学校に着いたら無かったんだ。 でも部屋にあった」
吐き捨てるように言う子供に、すかさず旦那
「そりゃおまえ、人のせいにすな。 自分が悪いんだろ」
子供は、今のところはまだ、旦那に強く言われると大抵黙るんだが、今回は引き下がらなかった
「絶対、カバンに入れたんだ。 あのポケットにちゃんと入れて、確認したのに無かったんだ
帰ってきてみたら、ベッドの上にあるじゃないか。 あんなとこに、あんな風には置かない。 置いたはずはない!」
「確認が足りなかったんだろー。 人のせいにすなー」
どうでもいいという態度の旦那に、子供はなおも食い下がった
「違う、違うんだ。 このごろ部屋に浮遊霊が出るんだ。 そいつが…」のところで旦那は、子供を見据えて、ゆっくりと言った
「だとしても、ひとのせいに、す・ん・な!」
子供はむくれて黙り込んだ
忘れることも、勘違いもある。入れたつもりで入れてなかったなんて良くあること
でも、わたしもときどき見てるんだよなぁ
子供が留守の時に、部屋を出入りする白Tの背の高い少年
自分が使った夕飯の皿をシンクに持ってきた子供が、すれ違いざまにボソっとわたしに呟いた
「……人のせいって、”人”じゃないんだってば……」
まあ、とりあえず明日の朝は、出がけにお金を持ったか、と声を掛けてやることにしよう
笑えにゃいでござる
す、すまん
旦那と子供のやりとりがおもしろかったんだが、書いたらあんましおもしろくなかった、というかスレチだったか
旦那と子供の掛け合いを楽しむスレでもないからな
だがちょっと待ってほしい
白Tの背の高い少年が童貞をこじらせた幽霊だとしたら……